説明

現像剤担持体、電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真装置

【課題】 高温高湿環境において高い帯電付与性を有し、さらに高温高湿環境に放置した後のゴースト画像が低減された、高品位の現像剤担持体を提供する。また、前記の現像担持体を用いることで高品位な電子写真プロセスカートリッジ、及び電子写真装置を提供する。
【解決手段】 ピリジニウム基と3級アミノ基を含有する共重合体と、ポリウレタンを含有する表面層を具備する現像剤担持体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真装置に組み込まれる現像剤担持体、電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成装置(以下、「電子写真装置」と呼ぶ)において、現像剤は現像剤担持体あるいはキャリアとの摺擦により帯電される。現像剤の帯電は画質、画像安定性に対して大きく影響するため、現像剤の帯電を制御する技術が求められている。そのための手段として、帯電付与剤をキャリアや現像剤担持体に利用し、現像剤に対する帯電付与性を制御するという技術が提案されている。特許文献1では、表面層にビニルピリジンと、スチレン、アクリレートあるいはブタジエンとの共重合体を含有する現像剤担持体が開示されている。また特許文献2ではビニルピリジンと、スチレン及びメチルメタクリレートの共重合体で被覆されたキャリアが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−254969号公報
【特許文献2】特開平1−140168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の電子写真装置の使用環境の多様化に伴い、高温高湿環境といった、一般に現像剤を安定して帯電させることが困難な環境においても安定した帯電付与性能を発揮する現像剤担持体が求められてきている。
特許文献1に示されるビニルピリジンの共重合体を含有する現像剤担持体では、常温高湿環境においては高い帯電付与性を有する。また、特許文献2には、同じくビニルピリジンの共重合体を含有するキャリアが提案されており、このような共重合体を用いることで耐久使用後も安定した帯電付与性を有することが知られている。しかしながら、特許文献1および2に係る現像剤担持体は、高温高湿環境における帯電付与性能の安定性には未だ改善の余地があった。
【0005】
また、特許文献1および2の現像剤担持体は、高温高湿環境下での長期間放置により、帯電付与剤である共重合体が、活発な分子運動により現像剤担持体の表面に滲出(ブリード)してくることがあった。
そこで、本発明の目的は、高温高湿環境においても安定した帯電付与性能を示し、かつ、ブリードの生じにくい現像剤担持体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る現像剤担持体は、軸芯体と表面層とを有する現像剤担持体であって、該表面層が、下記構造式(1)および下記構造式(2)で示される構成単位から選ばれるいずれか一方または両方と、下記構造式(3)で示される構成単位とを有する共重合体、及びポリウレタンを含有することを特徴とする。
【0007】
【化1】

[Rは炭素数1以上13以下のアルキル基を、Xはハロゲンイオンまたはパラトルエンスルホン酸イオンを表す。]
【0008】
【化2】

[Rは炭素数1以上13以下のアルキル基を、Xはハロゲンイオンまたはパラトルエンスルホン酸イオンを表す。]
【0009】
【化3】

[Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数2以上4以下のアルキレン基、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1あるいは2のアルキル基を表す。]
【0010】
また本発明は、少なくとも現像剤担持体が装着されてなり、電子写真装置の本体に着脱可能な電子写真プロセスカートリッジにおいて、該現像剤担持体が上記の現像剤担持体であることを特徴とする電子写真プロセスカートリッジに関する。
さらに本発明は、潜像を形成する感光体に対向する現像剤担持体を備え、該現像剤担持体が前記感光体に現像剤を付与することにより該潜像を現像する電子写真装置において、上記の現像剤担持体を具備することを特徴とする電子写真装置に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高温高湿環境における帯電付与性が良好で、かつ、高温高湿環境に放置後にもブリードが生じにくい現像剤担持体が得られる。また、本発明によれば、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する電子写真プロセスカートリッジ、及び電子写真装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の現像剤担持体の一例を示す概念図である。
【図2】本発明の現像剤担持体の一例を示す概念図である。
【図3】本発明の電子写真プロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の電子写真装置の一例を示す概略構成図である
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の現像剤担持体は、図1に示すような円柱状あるいは、図2に示すような中空円筒状の軸芯体2、及び表面層4を有している。また、軸芯体2が図1に示すような円柱状の場合には、軸芯体2と表面層4の間に弾性層3を有することが好ましい。特に非磁性一成分接触現像系プロセスでは、弾性層3を有する現像剤担持体が好適に用いられる。
軸芯体2は、現像剤担持体1の電極および支持部材として機能するもので、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属または合金、クロム又はニッケルで鍍金処理を施した鉄の如き導電性の材質で構成される。軸芯体2の外径は、使用される電子写真装置によって設定されるが、通常4〜10mmの範囲である。
【0014】
<軸芯体>
軸芯体2が中空円筒状の場合、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮の如き非磁性の金属又は合金を円筒状に成型し、研磨、研削の如き加工を施したものが好適に用いられる。
【0015】
<弾性層>
弾性層3には、従来より導電性ゴムローラに用いられている種々のゴム材を用いることができる。ゴム材に使用するゴムとしては、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、ウレタンゴムが挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。この中でも、圧縮応力歪みの小さいシリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサン、これらのシロキサンの共重合体が挙げられる。
【0016】
弾性層3中には、電子導電性物質やイオン導電性物質のような導電性付与剤を配合することで、その導電性を適宜調整することができる。
【0017】
<表面層>
表面層4は、下記構造式(1)および下記構造式(2)で示される構成単位から選ばれるいずれか一方または両方と、下記構造式(3)で示される構成単位とを有する共重合体、及びポリウレタンを含有する。
【0018】
【化4】

[Rは炭素数1以上13以下のアルキル基を、Xはハロゲンイオンまたはパラトルエンスルホン酸イオンを表す。]
【0019】
【化5】

[Rは炭素数1以上13以下のアルキル基を、Xはハロゲンイオンまたはパラトルエンスルホン酸イオンを表す。]
【0020】
【化6】

[Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数2以上4以下のアルキレン基、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1または2のアルキル基を表す。]
【0021】
特許文献1及び2に示されるように、ピリジン基含有共重合体により現像剤担持体の帯電付与性を向上できるものの、高温高湿環境における帯電付与性が不十分であった。また、特許文献1及び2に示されるピリジン基含有共重合体は高温高湿環境での長期放置で表面にブリードしやすい。
【0022】
本発明者らは、ピリジン基の代わりに前記構造式(1)または(2)に示されるピリジニウム基を含む構成単位を有する共重合体を帯電付与剤として表面層に含有させてなる現像剤担持体を検討した。その結果、高温高湿環境における帯電付与性に優れることを見出した。しかし、上記の現像剤担持体も高温高湿環境での長期放置によって、上記共重合体の表面へのブリードが観察された。
そこで、本発明者らは、前記構造式(1)および(2)から選ばれる少なくとも一方の構成単位と、前記構造式(3)に示される3級アミノ基を有する構成単位とを有する共重合体を、ポリウレタンとともに表面層中に含有させたところ、高温高湿環境での長期間放置によってもブリードが生じにくく、かつ、高温高湿環境下での帯電付与性能に優れた現像剤担持体を得ることができることを見出した。
【0023】
上記の構成に係る現像剤担持体によって、高温高湿環境での長期放置によってもブリードを抑制できる理由は、前記式(3)で示される構成単位中の3級アミノ基とポリウレタンの相互作用によりピリジニウム基含有共重合体の滲出が抑えられるためであると考えられる。
ポリウレタン中のウレタン基のN−H結合において、電気陰性度の高い窒素原子と結合している水素原子は弱い正電荷を帯びている。また、3級アミノ基は非共有電子対を有している。このため、ウレタン基と3級アミノ基の間で水素結合が形成されると考えられる。この水素結合により分子運動が制限され、その結果、ピリジニウム基含有共重合体の滲出が抑制されるものと考えられる。
【0024】
本発明における共重合体の製造には、公知の重合方法を用いることができる。具体的には、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等を使用することができる。これらのうち反応を容易に制御できる点から溶液重合法が好ましい。溶液重合に用いる溶媒としては、例えば、キシレン、トルエン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミドを挙げることができる。
【0025】
本発明に係る共重合体の製造に使用する重合開始剤の例を以下に挙げる。
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド。t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)。2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等。
上記の重合開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0026】
前記構造式(1)及び(2)中おいて、R及びRは各々独立に炭素数1以上13以下のアルキル基を示す。係るアルキル基の具体例を以下に挙げる。メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基等。
また、X及びXは各々独立に、塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオンまたはパラトルエンスルホン酸イオンを示す。
前記構造式(1)及び(2)で示される構成単位は、ピリジニウム基を有するビニルモノマーを用いることによって共重合体中に導入することができる。
ピリジニウム基を有するビニルモノマーの具体例を以下に挙げる。
1−メチル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−エチル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−プロピル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−ブチル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−ペンチル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−ヘキシル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−ヘプチル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−オクチル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−ノニル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−デシル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−ドデシル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−トリデシル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−メチル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−エチル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−プロピル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−ブチル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−ペンチル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−ヘキシル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−ヘプチル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−オクチル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−ノニル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−デシル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−ドデシル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−トリデシル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩等。
【0027】
前記構造式(3)中、Rには水素原子またはメチル基を、Rにはエチレン基またはプロピレン基またはブチレン基を、R及びRにはメチル基またはエチル基を示す。
前記構造式(3)で示される構成単位は、3級アミノ基を有する(メタ)アクリレートモノマーを用いることによって共重合体中に導入することができる。
かかる(メタ)アクリレートモノマーの具体例を以下に挙げる。
N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート等。なお、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートまたはアクリレートを意味する(以下、同様)。
【0028】
本発明に示す共重合体は、前記のピリジニウム基含有モノマー及び3級アミノ基含有モノマーに加え、さらに他のモノマーと共重合されていても良い。他のモノマーの具体例を以下に挙げる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルの如きメタクリル酸アルキルエステル等。これらのモノマーは共重合体の極性を調整するために適宜用いることができる。
【0029】
これらのモノマーの共重合比は特に限定されるものではなく、必要に応じて設定することができる。共重合比の設定は、前記の重合方法において、反応に用いるモノマーの仕込み量を調整することによって行うことができる。即ち、帯電付与性をより向上させる必要があれば、ピリジニウム基含有モノマーの仕込み量を増大させ、その共重合比を大きくすれば良い。また、高温高湿環境放置による滲出をより低減する必要があれば、3級アミノ基含有モノマーの仕込み量を増大させ、その共重合比を大きくすれば良い。好ましくは、ピリジニウム基含有モノマーの重合比は20mol%以上80mol%以下、3級アミノ基含有モノマーの重合度比は20mol%以下である。ピリジニウム基含有モノマーの重合比が20mol%以上の場合、帯電付与性の向上が見られ、80mol%以下の場合、バインダー樹脂との相溶性が良い。また、3級アミノ基含有モノマーの重合度比は20mol%以下の場合、帯電付与性と滲出低減のバランスが良い。
【0030】
本発明に係る共重合体の重量平均分子量(Mw)は、10000以上100000以下が好ましい。Mwが10000以上の場合、表面層4からの該共重合体のブリードアウトの抑制効果に優れ、100000以下の場合、表面層4に含有されるバインダー樹脂との相溶性に優れる。
該共重合体の含有量は、表面層4に含有されるポリウレタン100質量部に対して、0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。含有量が0.2質量部以上の場合、帯電付与効果に優れ、10質量部以下である場合、バインダー樹脂との相溶性に優れる。
【0031】
本発明においては、表面層4にバインダー樹脂成分として、ポリオール成分をイソシアネート化合物で架橋したポリウレタンを含む。
ポリオール成分の具体例を以下に挙げる。
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、アクリルポリオール等。
イソシアネート化合物の具体例を以下に挙げる。
脂肪族ポリイソシアネート:エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等。
脂環式ポリイソシアネート:イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート等。
芳香族イソシアネート:2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等。
【0032】
本発明における共重合体が、更に下記構造式構造式(4)で示される構成単位を有する場合、高温高湿環境放置後のゴースト発生が更に低減される。前述したように、高温高湿環境に放置後のゴーストの発生は、バインダー樹脂及び帯電付与剤の分子運動による、帯電付与剤の滲出が原因であると考えられる。共重合体中に、下記構造式(4)のような環状構造を含む嵩高い構造を有することで、分子運動の自由度が制限され、高温高湿環境に放置後の滲出を低減することができる。その結果、ゴーストの発生を更に低減できるものと考えられる。
【0033】
【化7】

[Rは水素原子またはメチル基、Rはシクロヘキシル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基のいずれかを表す。]
【0034】
本発明では、表面層4に導電性微粒子を含有させることができる。導電性微粒子としては、カーボンブラックが好ましい。該導電性微粒子の性状としては、一次粒径18nm以上25nm以下、かつDBP吸油量が50ml/100g以上160ml/100g以下であるカーボンブラックの場合、導電性と分散性のバランスが良好であり好ましい。導電性微粒子の含有率は、表面層を形成する樹脂固形分100質量部に対して10質量部以上30質量部以下が好ましい。
【0035】
現像剤担持体として表面粗度が必要な場合は、表面層4に粗さ制御のための微粒子を添加しても良い。粗さ制御用微粒子としては、体積平均粒径が3〜20μmであることが好ましい。また、表面層4に添加する粒子添加量が、表面層4の樹脂固形分100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。粗さ制御用微粒子には、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等を用いることができる。
【0036】
表面層4の形成方法としては特に限定されるものではないが、例えば、表面層4の各成分を溶剤中に分散混合して塗料化し、軸芯体2または弾性層3の上に塗工し、乾燥固化または硬化することにより形成することが可能である。分散混合には、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミルの如きビーズを利用した公知の分散装置が好適に利用可能である。また、得られた塗料の軸芯体2または弾性層3への塗工方法としては、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法の如き公知の方法が適用可能である。
【0037】
本発明の電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真装置は、上記本発明の現像剤担持体を有するものであれば、複写機、ファクシミリ、またはプリンターに限定されるものではない。本発明の現像剤担持体を搭載した本発明の電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真装置の一例として、非磁性一成分現像方式のプリンターを以下に説明する。図3において、電子写真装置は、一成分現像剤として非磁性現像剤7を収容した現像装置8と、現像剤担持体1と、現像剤供給ローラ6とを備える。前記現像剤担持体1は、現像装置内の長手方向に延在する開口部に位置し感光体5と対向設置されており、感光体5の上の静電潜像を現像して電子写真画像を形成する。
【0038】
図4に示すように、プリンターには、図示しない回転機構により回転される感光体5が配置され、更に感光体5の周りには、感光体5の表面を所定の極性・電位に帯電させる帯電部材9が配置される。更に、帯電された感光体5の表面に画像露光を行って静電潜像を形成する目的で、不図示の画像露光装置が配置される。更に、感光体5の周りには、形成された静電潜像上に現像剤を付着させて現像する本発明の現像剤担持体1を有する現像装置8が配置される。紙11の搬送経路上には、転写された像を紙11の上に定着させる定着装置10が配置される。
【実施例】
【0039】
本発明における共重合体の合成には公知の重合方法を用いることができる。以下に参考として共重合体の製造例を示すが、本発明はこれらの製造例に限定されるものではない。
【0040】
共重合体溶液の製造例
(共重合体溶液A1の製造例)
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコ内で表1に記載の材料を混合し、系が均一になるまで撹拌した。
【0041】
【表1】

【0042】
撹拌を続けながら、反応系内の温度が70℃になるまで昇温し、窒素導入還流状態で8時間反応させた。更に、この溶液をエタノールで希釈して固形分40質量%の共重合体溶液A1を得た。得られた共重合体溶液を用いて、下記の分子量測定法により共重合体の重量平均分子量を測定したところ、重量平均分子量は14000であった。
【0043】
[分子量測定]
重量平均分子量(Mw)の測定に用いた装置、並びに条件は表2のとおりである。
【0044】
【表2】

【0045】
なお測定サンプルは、共重合体溶液をTHFで希釈し0.1質量%の溶液としたものを用いた。更に検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いて測定を行った。
検量線作成用の標準試料として、TSK標準ポリスチレンA−1000、A−2500、A−5000、F−1、F−2、F−4、F−10、F−20、F−40、F−80、F−128(東ソー社製)を用いて検量線の作成を行った。これをもとに得られた測定サンプルの保持時間から重量平均分子量を求めた。
【0046】
(共重合体溶液A2〜A14の製造例)
使用する共重合成分の種類と重量(質量部)を表3に示すとおりにしたこと以外は、A1製造例と同様にして、共重合体溶液A2〜A14を得た。共重合体の構造、及び重量平均分子量(Mw)を表4に示す。
【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

※PTSA:パラトルエンスルホン酸
【0049】
(共重合体溶液B1の製造例)
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコ内で表5に記載の材料を混合し、系が均一になるまで撹拌した。
【0050】
【表5】

【0051】
撹拌を続けながら、反応系内の温度が70℃になるまで昇温し、窒素導入還流状態で8時間反応させた。更に、この溶液をエタノールで希釈して固形分40質量%の共重合体溶液B1を得た。得られた共重合体の重量平均分子量は17500であった。
【0052】
(共重合体溶液B2〜B13の製造例)
使用する共重合成分の種類と重量(質量部)を表6に示すとおりにしたこと以外は、B1製造例と同様にして、共重合体溶液B2〜B13を得た。共重合体の構造と重量平均分子量(Mw)を表7に示す。
【0053】
【表6】

【0054】
【表7】

【0055】
(共重合体溶液H1の製造例)
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコ内で表8に記載の材料を混合し、系が均一になるまで撹拌した。
【0056】
【表8】

【0057】
撹拌を続けながら、反応系内の温度が70℃になるまで昇温し、窒素導入還流状態で8時間反応させた。更に、この溶液をエタノールで希釈して固形分40質量%の共重合体溶液H1を得た。得られた共重合体の重量平均分子量は16500であった。
【0058】
(共重合体溶液H2の製造例)
n−ヘキシル−2−ビニルピリジニウムブロマイドをn−ヘキシル−4−ビニルピリジニウムブロマイドに変更した以外は、共重合体溶液H1と同様の手順で共重合体溶液H2を得た。得られた共重合体の重量平均分子量は16200であった。
【0059】
(共重合体溶液H3の製造例)
共重合体成分を、表9に記載のものに変更した以外は、共重合体溶液H1と同様の手順で共重合体溶液H3を得た。得られた共重合体の重量平均分子量は11700であった。
【0060】
【表9】

(共重合体溶液H4の製造例)
【0061】
共重合体成分を、表10に記載のものに変更した以外は、共重合体溶液H1と同様の手順で共重合体溶液H4を得た。得られた共重合体の重量平均分子量は10100であった。H1〜H4の共重合体の構造と重量平均分子量(Mw)を表11に示す。
【0062】
【表10】

【0063】
【表11】

※下記に示す構造式(5)
【0064】
【化8】

以上の製造例で示した共重合体溶液を用いた実施例を以下に示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0065】
(実施例1)
<軸芯体2の製造>
軸芯体2として、SUS304製の直径6mmの芯金にプライマ−(商品名:DY35−051;東レ・ダウコーニング社製)を塗布、焼付けしたものを用意した。
【0066】
<弾性層3の製造>
ついで、軸芯体2を金型に配置し、表12に記載の材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。
【0067】
【表12】

【0068】
続いて、金型を加熱してシリコーンゴムを150℃、15分間加硫硬化し、脱型した後、さらに180℃、1時間加熱し硬化反応を完結させ、軸芯体2の外周に厚さ3mmの弾性層3を設けた。
【0069】
<表面層4の製造>
表面層4のバインダー樹脂材料として、ポリエーテルポリオール(商品名:PTG2000、保土谷化学社製)100.0質量部と、MDI系ポリイソシアネート(商品名:CORONATE2521、日本ポリウレタン工業社製)124.9質量部を混合した。更に導電性微粒子としてカーボンブラック(商品名:MA230、三菱化学社製)36.0質量部を加え撹拌混合した。その後、総固形分比30質量%になるようにメチルエチルケトンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。共重合体溶液A1 11.7質量部を撹拌モーターにより撹拌しながら徐々に加え、さらに撹拌モーターにより20分間混合撹拌して表面層形成用塗料を得た。更に、この表面層形成用塗料を粘度10〜13cpsになるようメチルエチルケトンで希釈後、前記弾性層上に塗工した。塗工した塗料を乾燥させた後、温度150℃にて1時間加熱処理することで弾性層外周に膜厚約20μmの表面層4を設け、実施例1の現像剤担持体を作製した。
【0070】
(実施例2〜14)
実施例1で用いた共重合体溶液A1を共重合体溶液A2〜14に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例2〜14の現像剤担持体を得た。
【0071】
(実施例15)
実施例1と同様の手順で軸芯体2を準備し、さらに弾性層3を設けた。次に、表面層4のバインダー樹脂材料として、ポリエステルポリオール(商品名:ニッポラン3027、日本ポリウレタン工業社製)100.0質量部と、MDI系ポリイソシアネート(商品名:CORONATE2521、日本ポリウレタン工業社製102.6質量部を混合した。更に導電性微粒子としてカーボンブラック(商品名:MA230、三菱化学社製)33.7質量部を加え撹拌混合した。その後、総固形分比30質量%になるようにメチルエチルケトンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。
共重合体溶液A2 11.7質量部を撹拌モーターにより撹拌しながら徐々に加え、さらに撹拌モーターにより20分間混合撹拌して表面層形成用塗料を得た。更に、この表面層形成用塗料を粘度10〜13cpsになるようメチルエチルケトンで希釈後、前記弾性層上に浸漬塗工した後乾燥させた。その後、温度150℃にて1時間加熱処理することで弾性層外周に膜厚約20μmの表面層を設け、実施例15の現像剤担持体を得た。
【0072】
(実施例16、17)
実施例15で用いた共重合体溶液A2を共重合体溶液A7及び共重合体溶液A13に変更した以外は、実施例15と同様の方法で実施例16及び実施例17の現像剤担持体を得た。
【0073】
(実施例18)
実施例1と同様の手順で軸芯体2を準備し、さらに弾性層3を設けた。次に、表面層4のバインダー材料として、ポリカーボネートポリオール(商品名:ニッポラン980R、日本ポリウレタン工業社製)100.0質量部と、MDI系ポリイソシアネート(商品名:CORONATE2521、日本ポリウレタン工業社製)122.7質量部を混合した。更に導電性微粒子としてカーボンブラック(商品名:MA230、三菱化学社製)35.8質量部を加え撹拌混合した。その後、総固形分比30質量%になるようにメチルエチルケトンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。
共重合体溶液A2 11.7質量部を撹拌モーターにより撹拌しながら徐々に加え、さらに撹拌モーターにより20分間混合撹拌して表面層形成用塗料を得た。更に、この表面層形成用塗料を粘度10〜13cpsになるようメチルエチルケトンで希釈後、前記弾性層上に浸漬塗工した後乾燥させた。その後、温度150℃にて1時間加熱処理することで弾性層外周に膜厚約20μmの表面層を設け、実施例18の現像剤担持体を得た。
【0074】
(実施例19、20)
実施例18で用いた共重合体溶液A2を共重合体溶液A7及び共重合体溶液A13に変更した以外は、実施例18と同様の方法で実施例19及び実施例20の現像剤担持体を得た。
【0075】
(実施例21)
実施例1と同様の手順で軸芯体2を準備し、さらに弾性層3を設けた。次に、表面層4のバインダー材料として、ポリエーテルポリオール(商品名:PTG2000、保土谷化学社製)100.0質量部と、TDI系ポリイソシアネート(商品名:CORONATE2232、日本ポリウレタン工業社製)101.2質量部を混合した。更に導電性微粒子としてカーボンブラック(商品名:MA230、三菱化学社製)29.5質量部を加え撹拌混合した。その後、総固形分比30質量%になるようにメチルエチルケトンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。
共重合体溶液A2 11.7質量部を撹拌モーターにより撹拌しながら徐々に加え、さらに撹拌モーターにより20分間混合撹拌して表面層形成用塗料を得た。更に、この表面層形成用塗料を粘度10〜13cpsになるようメチルエチルケトンで希釈後、前記弾性層上に浸漬塗工した後乾燥させた。その後、温度150℃にて1時間加熱処理することで弾性層外周に膜厚約20μmの表面層を設け、実施例21の現像剤担持体を得た。
【0076】
(実施例22、23)
実施例21で用いた共重合体溶液A2を共重合体溶液A7及びA13に変更した以外は、実施例21と同様の方法で実施例22及び実施例23の現像剤担持体を得た。
(実施例24〜36)
実施例1で用いた共重合体溶液A1を共重合体溶液B1〜13に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例24〜36の現像剤担持体を得た。
(実施例37〜41)
実施例15で用いた共重合体溶液A2を共重合体溶液B1,B2,B7,B9,B12に変更した以外は、実施例15と同様の方法で実施例37〜41の現像剤担持体を得た。
(実施例42〜46)
実施例18で用いた共重合体溶液A2を共重合体溶液B1,B2,B7,B9,B12に変更した以外は、実施例18と同様の方法で実施例42〜46の現像剤担持体を得た。
(実施例47〜51)
実施例21で用いた共重合体溶液A2を共重合体溶液B1,B2,B7,B9,B12に変更した以外は、実施例21と同様の方法で実施例47〜51の現像剤担持体を得た。
【0077】
(比較例1)
実施例1と同様の手順で軸芯体2を準備し、さらに弾性層3を設けた。次に、表面層4のバインダー材料として、ポリエーテルポリオール(商品名:PTG2000、保土谷化学社製)100.0質量部と、メラミン樹脂(商品名:サイメル235、日本サイテックインダストリー社製)30.0質量部を混合した。更に導電性微粒子としてカーボンブラックMA230(商品名、三菱化学社製)19.8質量部を加え撹拌混合し、総固形分比30質量%になるようにトルエンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。
共重合体溶液A2 11.7質量部を撹拌モーターにより撹拌しながら徐々に加え、さらに撹拌モーターにより20分間混合撹拌して表面層形成用塗料を得た。更に、この表面層形成用塗料を粘度10〜13cpsになるようメチルエチルケトンで希釈後、前記弾性層上に浸漬塗工した後乾燥させた。その後、温度150℃にて1時間加熱処理することで弾性層外周に膜厚約20μmの表面層を設け、比較例1の現像剤担持体を得た。
【0078】
(比較例2〜6)
比較例1の共重合体溶液A2を共重合体溶液A7,B1,B2,B9,B12に変更した以外は、比較例1と同様の方法で比較例2〜6の現像剤担持体を得た。
【0079】
(比較例7〜10)
実施例1において、共重合体溶液A1を共重合体溶液H1〜H4に変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例7〜10の現像剤担持体を得た。
【0080】
(画像評価)
以上のようにして作製した実施例1−51及び比較例1−10の現像剤担持体を、下記の方法によりそれぞれ評価した。なお、評価は、図4のような構成を有するレーザープリンター(商品名:LBP5300;キヤノン社製)を用いた。
【0081】
[現像剤担持体上現像剤の摩擦帯電量(Q/M)測定]
室温30℃、相対湿度80%の環境(以下、H/H環境と表記)下において、現像剤担持体を前記レーザープリンター中に装填し、ベタ白画像を出力することで現像剤担持体上に現像剤を担持させた。現像剤担持体上の現像剤を金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、現像剤を吸引した重量Mを測定した。これらの値から、単位重量当たりの電荷量Q/M(μC/g)を算出した。
【0082】
[高温高湿環境放置後ゴースト評価]
現像剤担持体を、H/H環境に1ヶ月間静置した後、これらを前記レーザープリンター中に装填し以下の方法でゴースト評価を行った。
プリンターの出力画像において、画像先端の現像剤担持体1周分に相当する領域を白地にベタ黒の象形(正方形、及び円形)の画像を等間隔で配置し、それ以外の部分をハーフトーンとしたものを用いた。ハーフトーン上に象形画像のゴーストがどのように出現するかによりランク付けを行った。なお、ポジゴーストとは、ハーフトーンより画像濃度が高いゴーストを示し、ネガゴーストはハーフトーンよりも画像濃度の低いゴーストを示す。
A:濃淡差が全く見られない。
B:見る角度によってわずかな濃淡差が確認できる。
C:ゴーストが目視で明確に確認される。
D:ゴーストがはっきり濃淡として現れる。反射濃度計で濃度差が測定可能。
E:ゴーストが現像剤担持体2周分またはそれ以上にわたって現れている。
以上の結果を表13〜15にまとめて以下に示す。
【0083】
【表13】

【0084】
【表14】

【0085】
【表15】

【0086】
実施例1〜51は、本発明の特徴である前記構造式(1)および前記構造式(2)で示される構成単位から選ばれるいずれか一方または両方と、前記構造式(3)で示される構成単位とを有する共重合体、及びポリウレタンを含有する。表13〜15の結果より、実施例1〜51の現像剤担持体は、いずれもH/H環境でのQ/Mが高く、したがって、高い帯電付与性を有しているといえる。また、ゴーストのランクについても良好であった。
【0087】
比較例1〜6の現像剤担持体はいずれも、前記構造式(1)または(2)で示される構成単位と、前記構造式(3)で示される構成単位とを有する共重合体を含有するが、ポリウレタンは含有していない。このため、H/H環境において共重合体が滲出しやすく、ゴーストのランクは実施例1〜23と比べて低い。
比較例7および8の現像剤担持体は、ポリウレタンを含有しているが、共重合体中に前記構造式(3)で示される構成単位を有していない。このため、H/H環境において共重合体が滲出しやすく、ゴーストのランクは実施例1〜23と比べて低い。
【0088】
比較例9及び10の現像剤担持体は、ポリウレタン及び前記構造式(3)で示される構成単位を有しているが、前記構造式(1)及び前記構造式(2)で示される構成単位のいずれも有していない。このため、実施例1〜23と比べて、H/H環境でのQ/Mが低く、帯電付与性は低い。
また、共重合体中に前記構造式(4)に示される構成単位のような嵩高い構造を有する実施例24〜51の現像剤担持体では、このような構成単位を有していない実施例1〜23と比べて、特にゴーストのランクが良好であった。
【符号の説明】
【0089】
1:現像剤担持体
2:軸芯体
3:弾性層
4:表面層
5:感光体
6:現像剤供給ローラ
7:現像剤
8:現像装置
9:帯電部材
10:定着装置
11:紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯体と表面層とを有する現像剤担持体であって、
該表面層が、
下記構造式(1)および下記構造式(2)で示される構成単位から選ばれるいずれか一方または両方と、下記構造式(3)で示される構成単位とを有する共重合体、及び
ポリウレタンを含有することを特徴とする現像剤担持体:
【化1】

[Rは炭素数1以上13以下のアルキル基を、Xはハロゲンイオンまたはパラトルエンスルホン酸イオンを表す。]
【化2】

[Rは炭素数1以上13以下のアルキル基を、Xはハロゲンイオンまたはパラトルエンスルホン酸イオンを表す。]
【化3】

[Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数2以上4以下のアルキレン基、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1または2のアルキル基を表す。]。
【請求項2】
前記共重合体が下記構造式(4)で示される構成単位を更に有する請求項1に記載の現像剤担持体:
【化4】

[Rは水素原子またはメチル基、Rはシクロヘキシル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基のいずれかを表す。]。
【請求項3】
電子写真装置の本体に着脱可能に構成されている電子写真プロセスカートリッジであって、請求項1または2に記載の現像剤担持体を有していることを特徴とする電子写真プロセスカートリッジ。
【請求項4】
請求項1または2に記載の現像剤担持体を有していることを特徴とする電子写真装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−181367(P2012−181367A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44335(P2011−44335)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】