説明

現像剤特性規定方法、現像剤、及び画像形成装置

【課題】現像速度が速くても、汚れ、紙面カブリ、及び残像を良好にする。
【解決手段】現像速度が200mm/sec以上、かつ300mm/sec以下で、静電潜像を現像する現像剤であって、前記現像剤は、現像剤濃度5%でキャリアと混合し、60秒振とうしたときの帯電量をQ60(−μC/g)とし、同一条件下で600秒振とうしたときの帯電量をQ600(−μC/g)とした場合、0.85≦Q60/Q600、かつ10≦Q600≦20の条件を満たす。また、現像剤の流動性を80(%)以上とすることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤特性規定方法、現像剤、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電子写真法を用いた画像形成装置は、露光手段と、露光により静電潜像が形成される像担持体(感光ローラ)と、静電潜像に少なくとも着色剤を含む現像剤を付着させることによって可視化させる現像装置と、得られた可視像を転写紙等の転写材に転写させる転写手段と、加熱、圧力により定着させる定着器とを備える。なお、現像装置には、現像剤担持体、及び現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給手段が含まれる。
なお、特許文献1には、現像剤の帯電量と、現像剤担持体(現像ローラ)、及び現像剤供給手段(スポンジローラ)の周速比とを所定範囲内に規定することにより、汚れの少ない、良好な印字を得る技術が開示されている。また、この技術は、現像剤供給手段の周速度は、100mm/sec以上150mm/sec以下を前提としている、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−164707号公報(請求項2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置では、現像剤担持体(現像ローラ)、及び現像剤供給手段の周速比を規定しても、各々の周速度(現像速度)が高速の場合に、現像剤が摩擦帯電する機会が増大し、汚れの不良が発生してしまうという問題があった。また、周速度が低速の場合に、現像剤が摩擦帯電する機会が減少し、紙面カブリの不良が発生してしまうという問題も起こりうる。また、現像剤の帯電立ち上がり特性が悪いと、現像ローラの表面において、印刷で消費された部分に供給された現像剤の帯電が不十分になり、残像が発生するという問題も起こりうる。
【0005】
そこで、本発明は、現像速度が速くても、汚れ、紙面カブリ、及び残像を良好にすることができる現像剤特性規定方法、現像剤、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、現像速度が200mm/sec以上、かつ300mm/sec以下で、静電潜像を現像する現像剤であって、前記現像剤は、現像剤濃度5%でキャリアと混合し、60秒振とうしたときの帯電量をQ60(−μC/g)とし、同一条件下で600秒振とうしたときの帯電量をQ600(−μC/g)とした場合、
0.85≦Q60/Q600、かつ10≦Q600≦20
の条件を満たすことを特徴とする。
【0007】
現像速度(印刷速度)が遅くなると(例えば、150(mm/sec))、現像剤を摩擦帯電する機会が減少するため、紙面カブリが発生する。一方、印刷速度が速くなると(例えば、350(mm/sec))現像剤を摩擦帯電する機会が増加するため、汚れが発生する。
また、現像剤の飽和帯電量が小さい場合(例えば、Q600が10(−μC/g)未満)は、帯電量不足による逆極性に帯電した現像剤の割合が多くなるので、紙面カブリの不良が発生する。一方、現像剤の飽和帯電量が大きい場合(例えば、Q600が20(−μC/g)超)は、帯電過多による静電凝集のために現像ローラ上の現像剤層厚が増大し、汚れが発生する。
また、現像剤の帯電立ち上がり特性が高い場合(例えば、Q60/Q600が0.85以上)は、現像ローラの表面において、印刷で消費された部分に供給された現像剤がわずかな機会で十分に帯電させられ、消費されなかった部分の現像剤層電位との差が小さくなり、残像が良好となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現像速度が速くても、汚れ、紙面カブリ、及び残像を良好にする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態の画像形成装置の全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の現像装置、及び現像剤カートリッジの構成図である。
【図3】現像装置で使用される現像ローラ、及び現像剤供給ローラの詳細図である。
【図4】現像剤の帯電量を評価する振とう器の概略構成図である。
【図5】現像剤を印刷評価する際の媒体の観察箇所を示す図である。
【図6】紙面カブリの評価結果を示す図である。
【図7】汚れの評価結果を示す図である。
【図8】紙面カブリ、及び汚れの評価結果を示す図である。
【図9】残像の評価パターンを示す図である。
【図10】残像の評価結果を示す図である。
【図11】二成分現像剤を用いた現像装置の構成図である。
【図12】現像剤の流動性を測定するための測定方法を示す図である。
【図13】現像剤母体B−3系の汚れの評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態につき詳細に説明する。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
(第1の実施形態)
(構成の説明)
図1は、本発明の第1の実施形態の画像形成装置の全体構成図である。
図1において、画像形成装置100は、媒体(記録紙)10の両面に電子写真印刷可能なタンデムカラープリンタとして構成されており、4つの現像装置5(5K,5Y,5M,5C)と、4つの露光装置としてのLEDヘッド4(4K,4Y,4M,4C)と、定着器9と、4つの転写手段としての転写ローラ13(13a,13b,13c,13d)と、搬送ローラ11(11a,11b,・・・,11x)と、転写ベルト12と、駆動ローラ14bと、従動ローラとしてのベルトアイドルローラ14aと、記録紙走行ガイド15a,15bと、給紙カセット18と、廃棄現像剤タンク19と、回収手段としてのクリーニングブレード21とを備える。なお、色を表現する文字K,Y,M,Cは、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンに対応する。なお、本発明は、プリンタのみならず、複写機、FAX、MFP(Multi Function Printer)にも適用可能である。
【0011】
現像装置5は、現像剤(トナー)7が充填された、4色の現像装置5K,5Y,5M,5Cが搬送方向(f)に沿って配列されており、各々の現像装置5は、露光によって形成された静電潜像を現像して現像剤画像を形成する。現像装置5は、図2を用いて後記する。
LEDヘッド4は、複数の単結晶薄膜発光素子をライン状に配列したものであり、印刷データに従って、LEDを選択的に発光させることにより、感光ドラム1の表面を露光し、静電潜像を形成する。
【0012】
転写ローラ13a,13b,13c,13dは、現像装置5の内部で形成された現像剤画像を媒体10に転写する。定着器9は、媒体10に転写された現像剤画像を、所定の定着温度まで加熱し、加圧することにより定着させる。なお、定着器9は、加熱部材(加熱ローラ)9aと、圧着部材(圧着ローラ)9bとを備え、内部で発熱した熱が外部に放出しないように定着ケースで覆われている。
【0013】
給紙カセット18は、装置本体の下部に配設され、1乃至複数の媒体10を収容する。
搬送ローラ11(11a,11b,・・・,11j)は、媒体10を給紙カセット18から排紙スタッカまで搬送するものであり、特に、搬送ローラ11a,11bを給紙ローラと呼ぶこともある。
転写ベルト12は、無端状に形成されたベルト部材であり、媒体10を定着器9まで搬送する。なお、搬送部材、かつ第一の転写部材としての転写ベルト12は駆動部としてのモータと連動している。ベルトアイドルローラ14aは、転写ベルト12が弛まないように張力を与える。
【0014】
駆動ローラ14b、及びベルトアイドルローラ14aは、転写ベルト12を回転させる搬送手段であると共に、定着器9により暖められた転写ベルト12を冷却する冷却手段としても機能する。記録紙走行ガイド15a,15bは、媒体10の走行方向を変えるように、回転移動するようになっている。クリーニングブレード21は、ベルトアイドルローラ14aの下方(又は側方)に設けられ、廃棄現像剤タンク19は、ベルトアイドルローラ14a、及び転写ベルト12の下方に設けられている。
【0015】
なお、図1に記載の破線太/細矢印と共にあるカッコ付きアルファベット小文字は、両面印刷時を含めた媒体10の搬送経路を示している。
即ち、媒体10は、給紙カセット18、及び搬送ローラ11a,11bから搬送経路lを通って、搬送ローラ11c,11dに到達し、さらに、搬送経路eを通って、搬送ローラ11e,11fに到達する。そして、媒体10は、転写ベルト12の上面に沿って搬送されつつ、現像装置5、及び転写ローラ13が、媒体10の表面に現像剤画像を転写し、定着器9を通過する。
【0016】
そして、両面印刷の場合、媒体10は、記録紙走行ガイド15aにより、搬送ローラ11k,11lの方向に向けられ、記録紙走行ガイド15bの作用により、搬送ローラ11w,11xを通過する(搬送経路m)。そして、媒体10の後端が狭持された搬送ローラ11w,11xが反転すると共に、記録紙走行ガイド15bによる方向転換により、媒体10は、搬送経路nを通って、搬送ローラ11m,11nに到達する。そして、媒体10は、搬送経路o,p,qを通って、再度、搬送ローラ11c,11dに到達する。このとき、媒体10は、表裏反転しており、搬送経路e、及び搬送ローラ11e,11fを通って、転写ベルト12に到達する。そして、現像装置5、及び転写ローラ13は、媒体10の裏面に現像剤画像を転写し、定着器9は、媒体10に転写された現像剤画像を定着する。
【0017】
そして、記録紙走行ガイド15aが回転移動することにより、媒体10は、搬送ローラ11g,11hの方向に向けられる。そして、媒体10は、搬送経路iを通って、搬送ローラ11i,11jに到達し、搬送経路kを通って、排紙スタッカに排紙される。
【0018】
図2は、本実施形態の現像装置、及び現像剤カートリッジの構成図である。
現像装置5は、静電潜像、及び可視像が形成され、所定の速度で回転可能な像担持体としての感光ドラム1と、感光ドラム1と連れ回りで回転し、感光ドラム1表面を均一に帯電させる帯電部材としての帯電ローラ20と、感光ドラム1に形成された静電潜像に現像剤を付着させて現像する、現像剤担持体としての現像ローラ2と、現像ローラ2に圧接し、現像剤の層厚を規制し、かつ、所定極性に帯電させる規制部材としての現像ブレード3と、現像ローラ2に当接し、その当接部において周面が現像ローラ2とは逆方向に移動し、現像装置5の内部の現像剤7を現像ローラ2側へ供給する、供給部材としての現像剤供給ローラ6と、現像装置5の外部に現像剤7が漏れるのを防止するシール材8と、転写後に感光ドラム1の表面に残った現像剤を回収する、回収装置としてウレタンゴムからなるクリーニングブレード21とを備えている。また、現像装置5の上方には現像剤7を現像装置内に供給する供給口を有し、内部に現像剤7を収容する現像剤カートリッジ22が着脱自在に装着される。なお、現像ローラ2と現像剤供給ローラ6とは、互いに逆方向に回転するので、転写されずに現像ローラ2に残った現像剤7が掻き落とされる。
【0019】
感光ドラム1は、アルミニウムの素管に有機化合物による感光層(光導電性絶縁層)が形成されており、その外径はφ29.95mmである。感光ドラム1の感光層は、光が当たらないときには、絶縁体としての性質を持ち、光が当たると導電性になり帯電電荷を逃す性質を有する。
例えば、−600V(又は、−550V)の表面電位に帯電させられた感光ドラム1は、露光すると−40Vの潜像電位に放電させられる。また、感光ドラム1は、現像ローラ2により、静電潜像が現像させられ、現像剤像が形成される。例えば、現像ローラ2は、−200Vが印加させられており、その現像剤層の表面電位は、−50V〜−80Vである。負に帯電した現像剤7は、−40Vの静電潜像に移動、付着し、静電潜像を顯像化する。帯電ローラ20は、金属シャフトと半導電性エピクロロヒドリンゴムとによって構成されており、−1100Vに帯電されている。また、現像剤供給ローラ6は、−300V(又は、−250V)が印加されている。
【0020】
図3は、現像装置で使用される現像ローラ、及び現像剤供給ローラの詳細図である。
現像ローラ2は、表面にニッケルめっきを施した鋼からなる芯金2aと、芯金2aの周囲にウレタンゴムで形成された弾性層2bと、弾性層2bの表面に形成されるイソシアネートによる表面層2cとからなる。現像ローラ2の外径はφ19.6mmである。
現像剤供給ローラ6は、芯金6aの周囲にシリコーン発泡ゴム(弾性層6b)を備えたスポンジローラであり、その外径は中央がφ15.5mmであり、端部がφ14.8mmのクラウン状を呈している。なお、現像ローラ2の弾性層2bは、現像剤供給ローラ6の弾性層6bよりも硬く構成されている。
【0021】
現像剤供給ローラ6は、芯金6aの周囲にセル目の径が300〜500μmの連続気泡からなるシリコーン発泡ゴムの弾性層6bを備えている。
現像剤供給ローラ6の弾性層3bのセル目は、CCDカメラで径を測定した。具体的には、ほぼ同じ大きさのセルを目視にて10点選択し、選択した10点のセルの開口径の平均値から求めている。また、セルの開口径は、セルの外周が形成する楕円の長径と短径とを測定し、その測定結果からその楕円の面積を求め、その面積と同じ真円の直径をセルの開口径として換算している。
【0022】
現像ブレード3は0.08mmの厚みのステンレス(SUS304B−TA)板を曲げR0.275mmで折り曲げたものを、圧接している現像ローラ2の回転方向から見て折り曲げた短辺が上流側に、長辺を下流側になるように、かつ、同じ線圧(40〜70gf/cm程度)をもって撓むように現像ローラ2に圧接している。現像ブレード3は、現像ローラ2との相互作用により現像剤7の層厚が規制され、かつ、負極に摩擦帯電させられる。
【0023】
現像剤7は、負極性に帯電する非磁性1成分の粉砕現像剤である。現像剤7は、樹脂や離型剤(ワックス)からなる現像剤母材(ベーストナー)と、このベーストナーの周りに添加されたシリカや金属酸化物等の外添剤からなる。この外添剤は、他の現像剤や現像ローラ2の表面と現像剤7とが接触した場合に、コロのように他部材と直接現像剤とが接することを防止するために添加されている。なお、外添剤は、ファンデアワールス力等により現像剤母材と結合される。
【0024】
本実施形態に用いられる現像剤7については、以下のような粉砕法より製造したが、材料、及び製法は以下に限定されるものではない。
現像剤7は、材料として、結着樹脂としての非晶質ポリエステル樹脂100重量部と、この非晶質ポリエステル樹脂100重量部に対し、負帯電性の帯電制御剤(以下、CCAと呼ぶ)としてのサリチル酸の金属錯体0.10重量部と、正帯電性の荷電制御樹脂(以下、CCRと呼ぶ)として4級アンモニウム塩を有するポリエステル樹脂3.00重量部と、着色剤としてのMOGUL−L(キャボット社)4.0重量部と、離型剤としてのカルナウバワックス3.0重量部とを用いた。
【0025】
現像剤7の母体(現像剤母体A−1)は、前記した材料をヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製)を用いて混合した後、二軸押出機により、100℃の温度をかけながら混練し、冷却後、直径2mmのスクリ一ンを有するカッターミルで粗砕化した後、衝突板式粉砕機ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業(株)製)を用いて粉砕し、更に風力分級機を用いて分級を行うことにより得ることができる。
そして、前記と同じ材料、及び製法を用い、所定の帯電特性を有するようにCCA、及びCCRの添加量を変量して製造した現像剤母体を得、それぞれ、現像剤母体A−2〜A−5、B−1〜B−5、C−1〜C−5、D−1〜D−5、E−1〜E−5とした。また、非晶質ポリエステル樹脂100重量部、MOGUL−L(キャボット社)4.0重量部、カルナウバワックス3.0重量部については、分量の中心値を示しており、それぞれ±10%重量部についても行った。
【0026】
なお、現像剤母体A−1〜A−5は、CCRを3.00wt%としたものであり、現像剤母体B−1〜B−5は、CCRを2.25wt%としたものであり、現像剤母体C−1〜C−5は、CCRを1.5wt%としたものであり、現像剤母体D−1〜D−5は、CCRを0.75wt%としたものである。
さらに、正帯電性のCCRの代わりに、負帯電性のCCRであるスチレン系、アクリル系、及び第4級アンモニウム塩単位から成る共重合樹脂を変量して(その他の材料、及び製法は同じ)得られた現像剤母体をそれぞれ現像剤母体F−1〜F−5とした。
【0027】
現像剤母体製造後の外添工程は、現像剤母体A−1を100重量部に対し、解砕した(ヘンシェルミキサー等の高速撹枠機により凝集した無機微粒子を分離した)疎水性シリカR972(日本アエロジル社製、平均一次粒径16nm)を2.5重量部と、上記同様の解砕方法で解砕した疎水性シリカRY−50(日本アエロジル社製、平均一次粒径40nm)を2.0重量部とを加え、10リットル容のヘンシェルミキサーで3200(回転/分)の回転速度で2分間撹枠を行うものである。これにより得られた現像剤を現像剤A−1とした。
さらに、前記と同じ材料、及び製法を用いて、各現像剤母体A−2〜A−5、B−1〜B−5、C−1〜C−5、D−1〜D−5、E−1〜E一5、F−1〜F−5それぞれに外添処理を施したものを現像剤A−2〜A−5、B−1〜B−5、C−1〜C−5、D−1〜D−5、E−1〜E−5、F−1〜F−5とした。また、疎水性シリカR972を2.5重量部と、疎水性シリカRY−50を2.0重量部とについても、分量の中心値を示したものであり、±10%重量部についても行っている。ここで、各現像剤の平均粒径は、全て5.5μmであった。
【0028】
ここで、現像剤の体積平均粒径、及び5μm以下の粒子の体積比率は、コールター原理を用いて測定される。コールター原理は、細孔電気抵抗法(電気的検知帯法)と呼ばれ、電解質溶液(電解質の溶けた水溶液、又は有機溶剤)中の小さな径の細孔(アパチャー)に一定の電流を流し、粒子が細孔を通過したときの系の電気抵抗変化を測定するものである。すなわち、コールター原理は、細孔を通過した粒子により、粒子体積分の電解質溶液が置き換えられたことになり、この置き換えられた電解質の体積によって、細孔の電気抵抗が増加することを利用している。
【0029】
具体的測定方法は、細胞計数分析装置「コールターマルチサイザー(Multisizer)3」(ベックマンコールター社製)を用いて、アパチャーチューブ径100μmにて30,000カウント測定することで求められる。まず、
1.エマルゲン(花王社製)5gとアイソトン(ベックマンコールター社製)95gとをビーカーに入れ、スターラ(stirrer))を用いて攪拌しつつ加温溶解する。
2.トナーサンプルをマイクロスパチュラ1さじ取り、エマルゲン5%溶液5mlに混ぜ、超音波分散器で10秒分散する。
3.この溶液にアイソトン25mlを追加し、超音波分散器で60秒分散して測定試料とする。
4.マルチサイザーの測定セルに、電解液(アイソトン)を満たし、測定30秒で粒子数100個以下であることを確認する。
5.前記した測定試料を加え、濃度表示が10%位になるようにする。
6.測定終了後、粒子の体積分布ヒストグラムを得て、球相当径に変換された粒径表示により体積平均粒径、粒子径分布を読み取る。
【0030】
さらに、得られた現像剤の帯電特性を測定した。測定装置は、吸引ブロー式帯電量測定器TB203(京セラケミカル社製)である。測定条件は、キャリアとしてF−60(パウダーテック社製)を用い、吸引圧力が−40kPaであり、ブロー圧力が7.0kPaであり、測定時間が10secであり、現像剤混合重量比が5%である。このキャリア(F−60)は、Cu−Zn系の飽和磁化60〜70Am/kgの平均粒径60μmの球状である
【0031】
図4は、現像剤の帯電量を評価する振とう器の概略構成図である。
サンプルの帯電は、現像剤7とキャリア(F−60)とを攪拌することにより行う。サンプルの攪拌は、振とう器Model−YS−LD(株式会社ヤヨイ社製)を用い、振とう数は200回/minとし、振とう角を45°とし、振とう幅は80mm、振とう時間は60sec、及び600secとした。そして、それぞれの現像剤の帯電量Q60(−μC/g)、及びQ600(−μC/g)を測定した。
【0032】
現像剤の帯電量は、例えば、Q/M−meter(EPPING社製)を用いて、以下の手順で測定した。
先ず、セルと蓋とを精密天秤に乗せ、ゼロ補正を行う。計量スプーンにて約2.5g程度の現像剤をセルに入れた後、(蓋をした)セルを精密天秤に乗せ、現像剤の重量を読む。この状態で再び精密天秤のゼロ補正を行った後、(蓋をした)セルを取り出し、測定器本体に取り付ける。本体の扉を閉め、スタートボタンを押下する(測定時間90秒、吸引量1,000cm/min)。測定終了後、VACデジタル表示値を読む(VAC値)。(蓋をした)セルを取り出し、精密天秤に乗せ、重量(現像剤吸引量)を測定する。続けて2回測定し、差が±1.0以内ならば、平均して測定値とし、
帯電量[μC/g]=(VAC値×10)/(現像剤吸引量[mg])
の式から、現像剤の帯電量qを求める。この帯電量qの値が高ければ高い程その現像剤は帯電し易く、低ければ低いほど帯電しづらくなる。つまり、帯電量qは現像剤の帯電しやすさを表す指標である。なお、本実施形態においては、負帯電の電子写真方式の画像形成装置を用いたので、帯電量qに関して、「高い」とは「マイナス側に絶対値が大きい」ことを示し、「低い」とは「マイナス側に絶対値が小さい」ことを示す。
【0033】
表1〜表6に各現像剤の製造条件、及び帯電特性を示す。なお、表中のQ600は振とう時間が十分であるため、現像剤の「飽和帯電量」を表し、Q60/Q600は現像剤の「帯電立ち上がり特性」を表し、数値が1に近いほど帯電立ち上がり特性が良好であることを意味する。なお、種々の条件にてQ60/Q600が0.95よりも大きくなる現像剤の製造を試みたが、安定しての製造は不可能であった。
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】


【表5】


【表6】

【0034】
(動作の説明)
図1において、通信用インターフェースを介して外部のPC(不図示)から印刷信号が送られてくると、制御部30は、定着器9のヒータを通電制御し、加熱部材9a、及びこれに連れ回る加圧部材9bを回転させる。
加熱部材9aの表面温度が設定温度に達すると、制御部30は、モータを通電制御し、通紙を開始させる。例えば、現像装置5では、感光ドラム1、現像ローラ2、現像剤供給ローラ6は図2に図示した矢印の方向に回転する。まず、現像剤7は現像剤供給ローラ6によって現像ローラ2に供給される。次に、現像ブレード3は、現像ローラ2との相互作用により現像剤7の層厚が規制され、かつ、負極に摩擦帯電させられて現像剤層を形成する。そして、現像ローラ2の表面の現像剤層は、現像ローラ2と感光ドラム1との間に印加される電位差(電界)によって感光ドラム1上の潜像に移動、付着し、静電潜像が現像される。最後に、転写ユニット(転写ベルト12,転写ローラ13)による転写を経て、目的の現像剤像が媒体10の表面に形成される。
【0035】
現像剤像が形成された媒体10は、図1の矢印(h)へと搬送させられ、加熱部材9aと加圧部材9bとの間に進む。そこで加熱部材9aの熱が媒体10上の現像剤像を溶融し、さらに加熱部材9aと加圧部材9bとの圧接部で加圧が行われ、この加圧が現像剤像を媒体10に定着させる。
【0036】
前記のように製造した各現像剤を用いて、以下に説明する印刷評価を行った。なお、画像形成装置、及び現像装置は、『構成の説明』で記した装置、媒体はA4サイズのエクセレントホワイト(沖データ社製)を共通で使用した。特記していない限り、用いた現像剤以外の評価条件は同じである。
印刷環境は室温25℃/湿度40%(以後、RT環境と呼ぶ)であり、装置の印刷速度(=感光ドラムの最外周の線速)は200(mm/sec)に設定し、媒体を縦方向送り(4辺のうち短い2辺が先端と後端)、0.3%duty(A4用紙1枚の印刷可能範囲に全面ベタ印刷時の面積率100%印刷のことを100%dutyと表記)で10,000枚印刷した。
【0037】
評価は、通紙印刷10,000枚後に0.1%dutyパターン1枚と、25%dutyパターン(全面ハーフトーンパターン)1枚の印刷を行い、得られた印刷サンプルにおいて、紙面カブリ、及び汚れについて行った。なお、「紙面カブリは」、現像剤の帯電量が低く、正規に帯電した現像剤とは逆極性に帯電した現像剤が感光ドラム1の表面の潜像において非露光領域に現像し、紙面上の非露光領域に転写され、印刷紙面の画質を損なう現象である。紙面カブリの判定は、0.1%dutyパターン印刷紙面上の非露光領域における、所定の観察箇所を観察することで行った。
【0038】
図5は、現像剤を印刷評価する際の媒体の観察箇所を示す図である。
観察箇所は、印刷可能範囲を縦方向に4等分する3本の直線と、印刷可能範囲を横方向に4等分する3本の直線とがそれぞれ交わる9点(図5の媒体上の丸で囲んだ箇所)である。観察にはデジタルマイクロスコープVHX−100(キーエンス社製)を用い、観察箇所内の5点を無作為に選択して500倍の倍率で拡大観察し、0.5mm×0.5mmの視野における現像剤点数を目視で数え、各箇所の平均現像剤点数を計測した。評価基準は、現像剤点数が30未満であれば、実際の印刷紙面上分からず良好な画像であると評価することにし、更に前記5箇所の50%以上が良好であれば「○」とした。なお、50%未満の場合、不良な画像であるとして「×」とした。
【0039】
また、「汚れ」は、現像ローラ2の表面の現像剤層厚が部分的に増大し、感光ドラム上の静電潜像有無に関係なく現像剤が現像し、縦帯模様に印刷される現象を意味する。評価基準は、25%dutyパターンを目視で確認し、汚れが無い場合は良好な画像であるとして「○」とし、発生した場合は不良な画像であるとして「×」とすることにした。また、0.3%dutyパターン10,000枚の印刷中に汚れが発生した場合も「×」とすることにした。
【0040】
図6は、紙面カブリの評価結果を示す図であり、図7は、汚れの評価結果を示す図である。図6,7は、共に、各現像剤の飽和帯電量Q600、及び帯電立ち上がり特性Q60/Q600に対する評価結果を示す。Q600が10(−μC/g)未満の場合は、帯電量不足による逆極性に帯電した現像剤の割合が多くなったため、紙面カブリの結果は不良となった。また、Q600が20(−μC/g)よりも大きい場合は、帯電過多による静電凝集のために現像ローラ2の表面の現像剤層厚が増大し、汚れが発生した。
図8は、紙面カブリ、及び汚れの評価結果を示す図である。
図8は、図6,7の結果において、紙面カブリ、及び汚れの両評価結果が良好だったものを「○」とし、どちらか一方でも不良だったものを「×」としている。図8より、Q600、つまり現像剤の飽和帯電量が10〜20(−μC/g)の範囲内であれば、紙面カブリが良好であり、かつ汚れの発生しない画像が得られることが分かる。
【0041】
次に、前記の紙面カブリが良好であり、かつ汚れの発生しない画像が得られた現像剤のみを用いて、以下の残像の評価を行った。ここで、「残像」とは、現像ローラ2の表面の現像剤層において、印刷で消費された部分と消費されなかった部分とで電位差が生じてしまった場合に、印字上で濃度差が発生する印字不良のことをいう。この濃度差が大きければ大きい程、目立ってしまう。また、現像ローラ2の表面の現像剤層の電位に依存する現象である為、この残像は現像ローラ2の円周ピッチで現れる。
図9は、残像の評価パターンを示す図である。
本評価では、0.3%dutyパターン10,000枚印刷後に、図9(a)に示すような、印刷方向に対して先頭部に太ベタ文字の「A」、それ以降から後端部までベタ画像になっている評価パターンを印刷した。
【0042】
この評価パターンでは、各々の太ベタ文字「A」の頭頂部の残像が発生する、現像ローラ2の1周期後の印字部分(図9(b)の(ア))の濃度と、そこから水平に右に20mm移動した部分(図9(b)の(イ))の画像濃度の差をX−Rite528(X−Rite社製)で測定し、5点の平均を算出した。この平均値が0.20未満の場合、残像は良好として「○」と判定し、0.20以上の場合、残像は不良として「×」と判定した。
図10は、残像の評価結果を示す図である。
評価結果は、Q60/Q600が0.85以上であれば、残像は良好である。これは、現像剤7の帯電立ち上がり特性が十分に高いため、現像ローラ2の表面において、印刷で消費された部分の現像剤がわずかな機会で十分に帯電させられ、消費されなかった部分の現像剤層電位との差が小さくなったことに起因する。
【0043】
図8、及び図10の評価結果から、印刷速度(感光ドラム1の最外周の線速)200(mm/sec)では、Q600、つまり現像剤の飽和帯電量が10〜20(−μC/g)かつ、Q60/Q600が0.85以上の現像剤であれば、紙面カブリ、汚れの発生が少なく、残像も良好な画像が得られることが分かる。
【0044】
これら一連の評価を、装置の印刷速度のみを150、250、300、350(mm/sec)に変更して行った。
印刷速度250、300(mm/sec)の評価は、上記した印刷速度200(mm/sec)の結果と同じである。しかし、印刷速度150(mm/sec)の評価は、全ての現像剤で紙面カブリの結果が不良と判定された。このため、それ以降の評価を中断した。この紙面カブリの不良は、印刷速度が遅くなったことで、現像剤を摩擦帯電する機会が減少したためである。また、印刷速度350(mm/sec)の評価は、全ての現像剤で汚れの結果が不良と判定された。このため、それ以降の評価を中断した。この汚れの不良は、印刷速度が速くなったことで、現像剤を摩擦帯電する機会が増加したためである。
【0045】
以上の結果から、印刷速度(二感光ドラムの最外周の線速)が200〜300(mm/sec)の条件にて、現像剤の飽和帯電量が10〜20(−μC/g)かつ、Q60/Q600が0.85以上の現像剤であれば、紙面カブリ、汚れ、及び残像も良好な画像が得られることが分かる。
これと同様の評価を10℃/20%(以後、LL環境と呼ぶ)、及び28℃/80%(以後、HH環境と呼ぶ)の2環境でも行った。なお、今回記した評価結果はシアンの現像剤を用いた場合の結果であるが、ブラック、イエロー、マゼンタにおいても同様の傾向が見られた。
【0046】
なお、本実施形態では一成分現像剤に関して説明したが、二成分現像剤でも同様の効果がみられた。図11は、二成分現像剤を用いた現像装置の構成図である。
図11の現像装置は、一定の現像バイアス電圧が印加された非磁性の金属製現像ローラ23がマグネットローラ25の外側を回転する構成になっている。この場合、外面に現像剤7を静電的に付着させた磁性体粒子(フェライトキャリア)が使用される。このキャリア24は、金属製現像ローラ23の外周面に、その磁力線に沿ってブラシ状に吸着され、現像の際に感光ドラム1に接触する。また、現像剤7は感光ドラム1の外周面に静電気的に吸着されるが、キャリア24はマグネットローラ25に吸引されて現像装置の内部に戻る。その他の構成は、一成分現像剤で使用した現像装置5と同様であるため、説明は省略する。
【0047】
(効果の説明)
このように、感光ドラム1の最外周の線速(周速)が200mm/sec以上、300mm/sec以下の場合、現像剤濃度5%でキャリア(F−60)と混合し、60秒振とうしたときの帯電量をQ60(−μC/g)、同一条件下で600秒振とうしたときの帯電量をQ600(−μC/g)とした場合、Q60/Q600が0.85以上で、かつQ600が10以上、20以下を満たす現像剤であれば、印刷速度の高速化に伴って印字が悪化する場合でも、良好な印字を得ることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
(構成の説明)
画像形成装置の概略構成、及び現像装置の構成は第1の実施形態と同一なので説明を省略する。
第1の実施形態で製造した現像剤は、全て、現像剤母体100重量部に対し、疎水性シリカR972(日本アエロジル、平均一次粒径16nm)を2.5重量部と、疎水性シリカRY−50(日本アエロジル、平均一次粒径40nm)を2.0重量部とを外添した(この外添条件名を「外添1」とする)。第2の実施形態では、現像剤が所定の流動性を有するように、疎水性シリカR972の添加量を2.5wt%から6.0wt%まで変量し、疎水性シリカRY−50の添加量を2.0wt%から0.0wt%まで変量して、外添を施した。表7に具体的な外添条件を示す。
【表7】


現像剤母体には、第1の実施形態で記載したように、印刷速度が200〜300(mm/sec)の条件にて紙面カブリ、汚れ、及び残像が良好であった現像剤の母体(現像剤母体B−3〜B−5、C−3〜C−5、D−3〜D−5)を用いた。これら各々の現像剤母体に対し、外添2−1〜外添2−7それぞれの条件で外添を施して、新たな現像剤を製造した。現像剤母体B−3に外添2−1の条件で外添を施して製造した現像剤を現像剤B−3(2−1)と称し、同様に現像剤母体B−3に外添2−2の条件で外添を施して製造した現像剤を現像剤B−3(2−2)と称し、以下同様にして現像剤D−5(2−7)までを命名した。
【0049】
図12は、現像剤の流動性を測定するための測定方法を示す図である。
次に、第1の実施形態で製造した現像剤、及びこの実施形態で新たに得られた現像剤について、以下の方法で流動性を測定した。測定装置にはパウダーテスタPT−S(ホソカワミクロン)を用いた。パウダーテスタの振動台29の上に目開き150μmの篩26、目開き75μmの篩27、及び目開き45μmの篩28を重ねてセットして、現像剤2.0gを静かに目開き150μmの篩26に載せ、振幅0.8mmで95sec振動させた。そして、各篩上の現像剤の重量を測定し、以下の式で流動性(付着凝集性)を算出した。
(目開き150μmの篩上の現像剤の重量/2.0}×100
+(目開き75μmの篩上の現像剤の重量/2.0)×(3/5)×100
+(目開き45μmの篩上の現像剤の重量/2.0}×(1/5)×100
=A
流動性(%)=100−A
これを同一の現像剤で10回繰り返し、平均値をその現像剤の流動性とした。表8,9に流動性測定結果を示す。
【表8】


【表9】


測定の結果、外添条件が同じであれば、用いた現像剤母体に拘わらず、流動性はほぼ等しくなった。なお、種々の条件にて流動性が95よりも大きくなる現像剤の製造を試みたが、安定しての製造は不可能であった。さらに、第1の実施形態と同じ条件にて新たに製造した現像剤の帯電特性(Q60、及びQ600)も測定したが、こちらは現像剤母体が同じであれば、施した外添条件によらずQ60、及びQ60/Q600は等しくなった。
【0050】
(動作の説明)
画像形成装置、及び現像装置の動作は第1の実施形態と同一なので説明を省略する。第2の実施形態にて製造した現像剤と、比較例として第1の実施形態にて製造した現像剤B−3〜B−5、C−3〜C−5、D−3〜D−5を用いて以下の評価を行った。なお、特記していない条件は第1の実施形態と同じとする。
【0051】
まず、現像剤母体は同じであるが、流動性(及び、外添条件)が異なる現像剤B−3、B−3(2−1)〜B−3(2−7)の8種を用い、装置の印刷速度を150、200、250、300、350、400(mm/sec)の6条件として、第1の実施形態の方法で紙面カブリ、及び汚れについての評価を行った。
紙面カブリの結果に関しては、全ての組合せにて「○」(良好)となった。
図13は、現像剤母体B−3系の汚れの評価結果を示す図である。
図13から、流動性が80(%)未満の場合は印刷速度300(mm/sec)より高速域では汚れが発生してしまい、流動性が80(%)以上の場合は印刷速度350(mm/sec)まで汚れが未発生となることが分かる。これは、現像剤の流動性が増加したことにより、汚れ発生の一因となっていた、現像剤の静電凝集が緩和されたためであると思われる。
【0052】
この評価を、現像剤のみを変更して、残りの現像剤についても同様に行った。評価結果は、現像剤B−3、B−3(2−1)〜B−3(2−7)の評価結果と同様であり、紙面カブリは全ての組合せにて、「○(良好)」であり、汚れは流動性が80(%)未満の場合は印刷速度300(mm/sec)より高速域では汚れが発生してしまい、流動性が80%以上の場合は印刷速度350mm/secまで未発生だった。
第2の実施形態に関しても、これと同じ評価をLL環境、及びHH環境の2環境、今回記した評価結果であるシアン以外の現像剤(ブラック、イエロー、マゼンタ)、さらには二成分現像剤でも行ったが、同様の傾向が見られた。
【0053】
(効果の説明)
このように、現像剤の流動性が80%以上であれば、より高速域でも汚れの発生しない、良好な印字を得ることができる。ここで、流動性80%となる現像剤は、表7に示すように、外添2−5、2−6,2−7を用いたものであり、現像剤母体100重量部に対し、疎水性シリカR972を5重量部と疎水性シリカRY−50を0.5重量部とを外添した物と、疎水性シリカR972を5.5重量部と疎水性シリカRY−50を0.2重量部とを外添した物と、疎水性シリカR972 6重量部を外添した物との何れかである。
【0054】
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記各実施形態は、露光装置としてLEDヘッド4を用いたが、レーザ発振器、及びポリゴンミラーを用い、レーザ光をポリゴンミラーで反射させて感光体上に静電潜像を形成する方式を採用することもできる。
(2)前記実施形態のトナーカートリッジ22は、現像装置5から分離可能であることを前提として、現像装置5の中に現像ローラ2、及び現像剤供給ローラ6を備えていたが、トナーカートリッジの中に、現像ローラ2、及び現像剤供給ローラ6を備えて、一体化することも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1,1C,1M,1Y,1K 感光ドラム(像担持体、静電潜像担持体、現像剤像担持体)
2 現像ローラ(現像剤担持体)
2a 芯金
2b 弾性層
2c 表面層
3 現像ブレード(薄層形成手段)
4 LEDヘッド(露光手段)
5 現像装置
6 現像剤供給ローラ(現像剤供給手段)
6a 芯金
6b 弾性層
7 現像剤(トナー)
8 シール材
9 定着器
9a 加熱部材(ハロゲンランプ等)
9b 圧着部材
10 媒体
11 搬送ローラ
12 転写ベルト
13,13a,13b,13c,13d 転写ローラ(転写手段)
14a ベルトアイドルローラ(従動ローラ)
14b 駆動ローラ
15,15a,15b 記録紙走行ガイド
16 キャリア(F−16)
18 給紙カセット
19 廃棄現像剤タンク
20 帯電ローラ(帯電手段)
21 クリーニングブレード(回収部材)
22 現像剤カートリッジ
23 金属製現像ローラ
24 キャリア
25 マグネットローラ
26,27,28 篩(ふるい)
29 振動台
30 制御部
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像速度が200mm/sec以上、かつ300mm/sec以下で、静電潜像を現像する現像剤の特性を規定する現像剤特性規定方法であって、
前記現像剤は、現像剤濃度5%でキャリアと混合し、60秒振とうしたときの帯電量をQ60(−μC/g)とし、同一条件下で600秒振とうしたときの帯電量をQ600(−μC/g)とした場合、
0.85≦Q60/Q600、かつ10≦Q600≦20
の条件を満たすことを特徴とする現像剤特性規定方法。
【請求項2】
前記キャリアは、Cu−Zn系の飽和磁化60〜70(Am/kg)の平均粒径60μmの球状であることを特徴とする請求項1に記載の現像剤特性規定方法。
【請求項3】
前記現像剤の流動性が80%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像剤特性規定方法。
【請求項4】
前記流動性は、
目開き45μm、75μm、150μmの3つの篩をこの順に重ねて、2gの前記現像剤を目開き150μmの篩の上に載せ、振幅0.8mmで95秒振動させ、前記目開き150μmの篩上の現像剤の重量をXとし、前記目開き75μmの篩上の現像剤の重量をYとし、前記目開き45μmの篩上の現像剤の重量をZとしたとき、
G=(X/2+3Y/10+Z/10)×100
上記Gの値の平均値であることを特徴とする請求項3に記載の現像剤特性規定方法。
【請求項5】
前記現像剤の振とうは、振とう幅が80mmであり、振とう角が45°で行われることを特徴とする請求項4に記載の現像剤特性規定方法。
【請求項6】
現像速度が200mm/sec以上、かつ300mm/sec以下で、静電潜像を現像する現像剤であって、
前記現像剤は、現像剤濃度5%でキャリアと混合し、60秒振とうしたときの帯電量をQ60(−μC/g)とし、同一条件下で600秒振とうしたときの帯電量をQ600(−μC/g)とした場合、
0.85≦Q60/Q600、かつ10≦Q600≦20
の条件を満たすことを特徴とする現像剤。
【請求項7】
前記キャリアは、Cu−Zn系の飽和磁化60〜70(Am/kg)の平均粒径60μmの球状であることを特徴とする請求項6に記載の現像剤。
【請求項8】
前記現像剤は、現像剤母体に外添が施されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の現像剤。
【請求項9】
前記現像剤母体は、非晶質ポリエステル樹脂100±10%重量部と、サリチル酸の金属錯体0.38重量部乃至0.89重量部と、4級アンモニウム塩を有するポリエステル樹脂2.25重量部乃至3.00重量部と、着色剤4.0±10%重量部と、離型剤3.0±10%重量部とを用いて作成されることを特徴とする請求項8に記載の現像剤。
【請求項10】
前記現像剤母体は、非晶質ポリエステル樹脂100±10%重量部と、サリチル酸の金属錯体0.4重量部乃至0.9重量部と、4級アンモニウム塩を有するポリエステル樹脂1.5重量部乃至0.75重量部と、着色剤4.0±10%重量部と、離型剤3.0±10%重量部とを用いて作成されることを特徴とする請求項8に記載の現像剤。
【請求項11】
前記現像剤母体は、非晶質ポリエステル樹脂100±10%重量部と、サリチル酸の金属錯体0.41重量部乃至0.92重量部と、着色剤4.0±10%重量部と、離型剤3.0±10%重量部とを用いて作成されることを特徴とする請求項8に記載の現像剤。
【請求項12】
前記現像剤母体は、非晶質ポリエステル樹脂100±10%重量部と、サリチル酸の金属錯体0.42重量部乃至0.95重量部と、スチレン系、アクリル系、及び第4級アンモニウム塩単位からなる共重合樹脂0.75±10%重量部と、着色剤4.0±10%重量部と、離型剤3.0±10%重量部とを用いて作成されることを特徴とする請求項8に記載の現像剤。
【請求項13】
前記現像剤母体100重量部に対し、平均一次粒径16nmの疎水性シリカ5重量部と、平均一次粒径40nmの疎水性シリカ0.5重量部とを前記外添したことを特徴とする請求項8に記載の現像剤。
【請求項14】
前記現像剤母体100重量部に対し、平均一次粒径16nm疎水性シリカ5.5重量部と、平均一次粒径40nmの疎水性シリカ0.2重量部とを外添したことを特徴とする請求項8に記載の現像剤。
【請求項15】
前記現像剤母体100重量部に対し、平均一次粒径16nmの疎水性シリカ6重量部を外添したことを特徴とする請求項8に記載の現像剤。
【請求項16】
請求項8乃至請求項15のいずれか一項に記載の現像剤を使用することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−97008(P2013−97008A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236628(P2011−236628)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】