説明

現像剤規制部材及びそれを備えた現像装置並びに画像形成装置

【課題】層間への溶剤の残留を抑制可能な積層構造の現像剤規制部材、及びそれを備えた現像装置並びに画像形成装置を提供する。
【解決手段】規制ブレード29は、第1ブレード29aと第2ブレード29bとをスポット溶接により貼り合わせて一体としたものである。第1ブレード29aの第2ブレード29bとの接合面には、複数の断面矩形状の溝部31が所定の溝幅及び間隔で長手方向に対し平行に形成されている。また、各溝部31は第1ブレード29aの側端縁まで連続して形成されており、規制ブレード29の両側端において開口している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置及びそれに用いる現像装置、現像剤規制部材に関し、特に、複数の板状部材が積層された構造の現像剤規制部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンタ、FAX等の電子写真方式を用いる画像形成装置においては、主に粉末の現像剤が使用され、感光体ドラム等の像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によって可視化し、そのトナー像を記録媒体上に転写した後、定着処理を行うプロセスが一般的である。
【0003】
現像剤は、トナー及びキャリアから成る二成分現像剤と、磁性を帯びたトナーのみから成る一成分現像剤とに大別され、磁性を有する現像剤規制部材により現像剤担持体(現像ローラ)に担持された現像剤(以下、単にトナーともいう)の摩擦帯電を促進させる。このような現像剤規制部材としては、磁性部材のみで構成されるものや、非磁性部材をベースとし、現像剤担持体に対向する部分(規制端)に磁性部材を配置した構成が知られている。
【0004】
また、特許文献1には、非磁性体と磁性体から成る二層構造の現像剤規制部材が開示されている。この構成によれば、例えば厚い非磁性体板へ薄い磁性体側板を積層して二層構造とすることにより、規制部材全体の剛性を持たせながら規制端への磁力集中を達成することができる。
【特許文献1】特開2000−98738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような二層構造を有する現像剤規制部材の作製方法としては、二層を圧延して合金としてから形状加工する方法(クラッドブレード法)と、非磁性体及び磁性体の板状部材をそれぞれ形状加工した後、両者をスポット溶接により貼り合わせる方法(貼り合わせブレード法)とがある。そして、貼り合わせブレード法には現像剤規制部材を比較的安価で作製できるというメリットがある。
【0006】
しかしながら、貼り合わせブレード法を用いた場合、作製された現像剤規制部材は二層が完全に密着しているわけではなく、微細な隙間を隔てて近接している。そのため、製造工程においてアルコール含浸布による拭き取り等の溶剤洗浄を行った場合、毛細管現象により二層の隙間から溶剤が浸透し易くなる。また、一旦浸透した溶剤は接合面全体に広がり、且つ空気の通りが悪いため乾燥し難い。
【0007】
接合面に溶剤が残留すると、現像装置に現像剤規制部材を装着後、現像剤規制部材に現像剤圧が加わった際に隙間から染み出した溶剤が現像剤担持体上に落下し、縦スジ等の画像不具合を引き起こすことがあった。一方、溶剤を完全に乾燥させようとすると、製造工程において長い乾燥時間をとる必要があり生産性を著しく低下させてしまう。また、加熱による乾燥工程を設けることも考えられるが別途乾燥設備が必要となる。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、層間への溶剤の残留を抑制可能な積層構造の現像剤規制部材、及びそれを備えた現像装置並びに画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像剤規制部材であって、複数の板状部材が積層されて成り、各板状部材の接合面の少なくとも一方には1箇所以上の溝部が形成されていることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の現像剤規制部材において、前記溝部の少なくとも一端が、前記現像剤規制部材の端縁のうち前記現像剤担持体に対向する規制端以外に連通することを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の現像剤規制部材において、前記溝部は、前記規制端と略平行に形成されていることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の現像剤規制部材において、前記溝部の両端が前記現像剤規制部材の長手方向の端縁に連通することを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の現像剤規制部材において、非磁性体と磁性体から成る2枚の板状部材がスポット溶接により接合された二層構造であることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の現像剤規制部材が搭載された現像装置である。
【0015】
また本発明は、上記構成の現像剤規制部材が搭載された画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の構成によれば、複数の板状部材が積層された現像剤規制部材の製造工程において、現像剤規制部材を溶剤で洗浄する際に接合面の隙間から浸透した溶剤が溝部で塞き止められるため、溶剤の広範囲な拡散を防止することができる。
【0017】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の現像剤規制部材において、溝部の少なくとも一端が現像剤規制部材の端縁に連通することにより、溝部により塞き止められた溶剤を外部へ蒸発、放出させることができる。また、溝部が現像剤担持体に対向する規制端には連通しないため、溝部で塞き止められた溶剤が規制端から現像剤担持体上に落下するのを防止することができる。
【0018】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の現像剤規制部材において、溝部が規制端と略平行に形成されているため、規制端から溝部までの距離が現像剤規制部材の長手方向において略均等となる。従って、規制端の隙間から浸透した溶剤を最短距離でムラ無く塞き止めることができる。
【0019】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の現像剤規制部材において、溝部の両端が現像剤規制部材の長手方向の端縁に連通することにより、溝部により塞き止められた溶剤を外部へ容易に蒸発、放出できる。また、溝部の一端から圧縮空気を送り込むことで溝部に残留する溶剤を強制的に除去可能となる。
【0020】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の現像剤規制部材において、非磁性体と磁性体から成る2枚の板状部材がスポット溶接により接合された二層構造の現像剤規制部材とすることにより、全体の剛性を持たせながら規制端の磁力集中を達成できる現像剤規制部材を、接合面へ溶剤を残留させることなく簡便に製造できる。
【0021】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の現像剤規制部材を搭載することにより、現像剤規制部材からの溶剤の染み出しによる縦スジ等の画像不具合が発生しない現像装置となる。
【0022】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の現像剤規制部材を搭載することにより、現像剤規制部材からの溶剤の染み出しによる縦スジ等の画像不具合が発生しない画像形成装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の現像剤規制部材を現像装置内に備えた画像形成装置の概略断面図である。画像形成装置(例えばプリンタ)100では、コピー動作を行う場合、装置本体内の画像形成部Pにおいて、不図示のパーソナルコンピューター(PC)から送信された原稿画像データに基づく静電潜像が形成され、現像装置4により静電潜像にトナーが付着されてトナー像が形成される。この現像装置4へのトナーの供給はトナーコンテナ5から行われる。そして、このような画像形成装置100では、感光体ドラム1を図1において時計回りに回転させながら、感光体ドラム1に対する画像形成プロセスが実行される。
【0024】
画像形成部Pには、感光体ドラム1の回転方向(時計回り)に沿って、帯電部2、露光ユニット3、現像装置4、転写ローラ6、クリーニング装置7、及び除電装置(図示せず)が配設されている。感光体ドラム1は、例えばアルミドラムに感光層が積層されたものであり、帯電部2により、表面を帯電させるようになっている。そして、後述する露光ユニット3からのレーザビームを受けた表面に、帯電を減衰させた静電潜像を形成する。なお、上記の感光層は、特に限定するものではないが、例えば耐久性に優れるアモルファスシリコン(a−Si)等が好ましい。
【0025】
帯電部(帯電チャージャー)2は、感光体ドラム1の表面を均一に帯電させるものである。例えば帯電部2は、細いワイヤー等を電極として高電圧を印加することにより放電するコロナ放電装置が用いられる。なお、コロナ放電装置に代えて、帯電ローラに代表される帯電部材を感光体表面に接触させた状態で電圧を印加する接触式の帯電装置を用いても良い。露光ユニット3は、画像データに基づいて光ビーム(例えばレーザビーム)を感光体ドラム1に照射し、感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成する。
【0026】
現像装置4は、感光体ドラム1の静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成させるものである。なお、ここでは磁性を有するトナー成分のみから構成される一成分現像剤が現像装置4に収容されている。また、現像装置4の詳細については後述する。転写ローラ6は、感光体ドラム1表面に形成されたトナー像を乱さずに用紙搬送路11を搬送されてくる用紙に移行(転写)する。クリーニング装置7は、感光体ドラム1の長手方向に線接触するクリーニングローラやブレード材等を備えており、トナー像が用紙に移行(転写)された後に、感光体ドラム1の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。
【0027】
そして、予め入力された画像データに基づいて露光ユニット3が感光体ドラム1上にレーザビーム(光線)を発することで、その画像データに基づく静電潜像を感光体ドラム1表面に形成する。その後、現像装置4が静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。
【0028】
上記のようにトナー像が形成された感光体ドラム1に向けて、用紙収容部10から用紙が用紙搬送路11及びレジストローラ対13を経由して画像形成部Pに搬送され、画像形成部Pにおいて転写ローラ6により感光体ドラム1表面のトナー像が用紙に転写される。そして、トナー像が転写された用紙は感光体ドラム1から分離され、定着部8に搬送されて加熱及び加圧されることで用紙にトナー像が定着される。定着部8を通過した用紙は、排出ローラ対14を通過して用紙排出部15に排出される。
【0029】
図2は、現像装置の側面断面図である。図2に示すように、ケーシング20内には、第1貯留室21と第2貯留室22とがケーシング20と一体形成された仕切り壁20aによって形成されている。そして、この第1貯留室21には第1攪拌スクリュー23が、第2貯留室22には第2攪拌スクリュー24が配設されている。ケーシング20の上部にはトナー供給口20bが設けられており、ケーシング20内のトナー量を検知するトナーセンサ(図示せず)の検知結果に応じてトナーコンテナ5(図1参照)に貯留されたトナーが供給される。
【0030】
第1攪拌スクリュー23、第2攪拌スクリュー24は、それぞれ支軸を中心とし、その周囲に螺旋羽を設けた構成になっており、互いに平行な状態でケーシング20に回転可能に軸支されている。なお、第1攪拌スクリュー23、第2攪拌スクリュー24の軸方向であるケーシング20の長手方向(図2の紙面方向)の両端部においては仕切り壁20aが存在せず、第1攪拌スクリュー23、第2攪拌スクリュー24間でのトナーの受け渡しが可能となっている。これにより、第1攪拌スクリュー23は、第1貯留室21内のトナーを攪拌しながら第2貯留室22に搬送し、第2攪拌スクリュー24は、第2貯留室22に搬送されてきたトナーを攪拌しながら搬送して現像ローラ25に供給する。
【0031】
現像ローラ25は、感光体ドラム1(図1参照)の回転に応じて回転することで、感光体ドラム1の感光層にトナーを供給する。現像ローラ25の内部には複数の磁極を有する永久磁石から成るマグネットローラ27が固定されている。このマグネットローラ27の磁力により現像ローラ25の表面にトナーを付着(担持)させてトナー薄層を形成する。現像ローラ25は、第1攪拌スクリュー23、第2攪拌スクリュー24と平行な状態で、ケーシング20に回転可能に軸支されている。第1攪拌スクリュー23、第2攪拌スクリュー24、及び現像ローラ25は、モータ(図示せず)により回転駆動される。
【0032】
規制ブレード29は、その長手方向(図2の紙面方向)が最大現像幅よりも大きく形成されており、現像ローラ25と所定の間隔を隔てて配置されることにより、感光体ドラム1に供給するトナー量を規制する規制部30を形成する。ここでは、非磁性体から成る第1ブレード29aと、磁性体から成る第2ブレード29bとを貼り合わせた二層構造の規制ブレード29を用いている。第2ブレード29bは、第1ブレード29aの長手方向と略同一の長さを有し、第1ブレード29aの、現像ローラ25の回転方向(図2の反時計方向)に対し上流側の側面に固定されている。
【0033】
図3は、図2の現像装置における現像ローラ周辺の拡大図である。図3を用いて現像ローラ25上のトナー量の規制方法を詳細に説明する。図3に示すように、マグネットローラ27は、N極27a、27cと、S極27b、27d、27eから成る5つの磁極27a〜27eを有している。規制ブレード29にはマグネットローラ27のN極27aが対向するため、第2ブレード29bの先端にはS極が誘起され、規制部30に引き合う方向の磁界が発生する。
【0034】
この磁界により、規制ブレード29と現像ローラ25との間にトナーが連なったトナー鎖が形成される。そして、規制部30を通過することにより層規制され、現像ローラ25上にトナー薄層が形成される。規制ブレード29に磁性体の第2ブレード29bを配置することにより、規制部30の間隔だけでなく規制部30に発生する磁界によって規制力を高め、現像ローラ25上に数十μmのトナー薄層を形成する。一方、トナー薄層の形成に用いられなかったトナーは規制ブレード29の上流側の側面に沿って滞留する。その後、現像ローラ25が矢印B方向に回転してトナー鎖が感光体ドラム1に対向する位置に移動すると、S極27bにより磁界が付与されるため、トナー鎖は感光体ドラム1表面に接触してトナー像を形成する。
【0035】
さらに現像ローラ25が矢印B方向に回転すると、今度はN極27cにより引き合う磁界が付与されて、トナー像の形成に使われなかったトナーがケーシング20内に回収される。さらに、S極27d、27eにより反発する磁界が付与されるため、トナーはケーシング20内で現像ローラ25から離脱する。そして、第2攪拌スクリュー24により攪拌、搬送された後、S極27eの磁界により再び現像ローラ25上に付着する。
【0036】
図4は、規制ブレード29を第2ブレード29b側から見た平面図であり、図5は、規制ブレード29の側面図である。規制ブレード29は、第1ブレード29aと第2ブレード29bとをスポット溶接により貼り合わせて一体としたものである。第1ブレード29aの材質としては、アルミニウムやSUS304、305等の非磁性体の金属が用いられる。第2ブレード29bの材質としては、永久磁石や、鉄、SUS430等の磁性体の金属が用いられる。
【0037】
第1ブレード29aの、第2ブレード29bとの接合面には、複数(ここでは5条)の断面矩形状の溝部31が所定の溝幅(ここでは1mm)及び間隔(ここでは1mm)で長手方向に対し平行に形成されている。また、各溝部31は第1ブレード29aの側端縁まで連続して形成されており、規制ブレード29の両側端(図4の左右両端)に連通している。
【0038】
図6(a)及び図6(b)は、規制ブレード29の一端(図4の右端)の部分拡大図である。第1ブレード29aと第2ブレード29bはスポット溶接により接合されているため、接合面は完全に密着しておらず、図6(b)に示すように微細な隙間Gが存在する。そのため、製造工程において規制ブレード29をアルコール等の溶剤で洗浄すると、図6(a)に黒矢印で示すように、毛細管現象により隙間Gから接合面に溶剤が浸透する。
【0039】
本発明の構成では、溝部31が設けられているため、隙間Gから浸透した溶剤は溝部31により塞き止められる。これにより、溶剤が広範囲に拡散するのを防止することができる。また、溝部31の両端が外部に連通しているため通気性が良く、図6(a)に白矢印で示すように、溝部31により塞き止められた溶剤を溝部31の開口から外部へ容易に蒸発、放出させることができる。
【0040】
また、溝部31は規制端29c(現像ローラ25に対向する端面)と略平行に形成されているため、規制端29cから溝部31までの距離が規制ブレード29の長手方向において略均等となる。従って、溶剤を含浸させた布で規制端29cを拭いた場合に隙間Gから浸透した溶剤を最短距離でムラ無く塞き止めることができる。
【0041】
さらに、溶剤による洗浄工程の後、規制ブレード29の一端から溝部31内に圧縮空気を送り込む工程を入れることにより、溝部31に残留する溶剤を簡単に且つ効果的に除去することができる。このとき、長い乾燥時間や乾燥設備を必要としないため規制ブレード29の生産性も向上する。
【0042】
そして、本発明の規制ブレード29を装着することにより、ブレードの接合面からの溶剤の染み出しによる縦スジ等の画像不具合が発生しない現像装置及び画像形成装置を簡易且つ低コストで製造することができる。
【0043】
なお、溝部31が規制ブレード29の規制端29cに連通していると、溝部31で塞き止められた溶剤が溝部31の開口から現像ローラ25上に落下して現像不良が発生するおそれがある。従って、上記実施形態では溝部31を規制端29cと略平行に形成して規制ブレード29の両側端に連通させている。或いは、溝部31を湾曲させて規制ブレード29の側端と上端とに連通させても良い。
【0044】
また、ここでは溝部31の両端が規制ブレード29の端部に連通している構成としたが、溝部31のいずれか一端のみが連通している構成としても良い。しかし、両端を連通させた場合は一層通気性が良くなり、圧縮空気による溶剤の強制除去も可能となるため好ましい。なお、両端がいずれも連通(開口)していない溝部31であっても、溶剤を塞き止めて広範囲に拡散するのを防止する効果は期待できる。
【0045】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した溝部31の数や溝幅、間隔、或いは断面形状については一例に過ぎず、規制ブレード29の大きさや形状等に応じて適宜設定すれば良い。例えば図7(a)のように、幅広の溝部31を1つ形成しても良い。また、図7(b)のように、溝部31を第2ブレード29b側に形成しても良いし、図7(c)のように第1ブレード29a側と第2ブレード29b側の両方に形成しても良い。さらに溝部31は直線状に限らず、曲線状、ジクザグ状等の種々の形状に形成することができる。
【0046】
また、上記実施形態では第1ブレード29aと第2ブレード29bとを貼り合わせた二層構造の規制ブレード29について説明したが、本発明は3枚以上のブレード材を貼り合わせた多層構造の規制ブレードにも全く同様に適用することができる。
【0047】
また、ここでは本発明の規制ブレードを備えた現像装置として、図2に示したような磁性一成分現像剤を用いる現像装置について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばトナー成分とキャリアとから成る二成分現像剤を用いる現像装置であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、複数の板状部材が積層された現像剤規制部材に利用可能であり、現像剤規制部材を構成する各板状部材の接合面の少なくとも一方に1箇所以上の溝部を形成したものである。これにより、製造工程において現像剤規制部材を溶剤で洗浄する際に接合面の隙間から浸透した溶剤の広範囲な拡散を防止することができる。従って、接合面からの溶剤の染み出しのない現像剤規制部材を提供することができ、特に、非磁性体と磁性体の板状部材がスポット溶接により接合された現像剤規制部材に好適に用いられる。
【0049】
また、溝部の少なくとも一端を現像剤規制部材の端縁に連通させることにより、溝部により塞き止められた溶剤を外部へ蒸発、放出させることができる。このとき、溝部を規制端に連通させないようにすれば、規制端から現像剤担持体への溶剤の落下を防止できる。
【0050】
また、溝部を規制端と略平行に形成するとともに溝部の両端を現像剤規制部材の長手方向の端縁に連通させることにより、規制端を清掃する際に浸透した溶剤を効果的に塞き止めることができ、さらに溝部内の通気性が良好となるため溶剤を外部へ容易に蒸発、放出できる。また、溝部の一端から圧縮空気を送り込むことで溝部に残留する溶剤を強制的に除去できるため、長時間の乾燥や乾燥設備が不要となる。
【0051】
また、本発明の現像剤規制部材を備えた現像装置は、現像剤規制部材からの溶剤の染み出しによる縦スジ等の画像不具合の発生を抑えることができる。そして、この現像装置を搭載することにより、高品位な画像形成が行える画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】は、本発明の現像剤規制部材を備えた画像形成装置の概略断面図である。
【図2】は、本発明の現像剤規制部材を備えた現像装置の側面断面図である。
【図3】は、現像装置の現像ローラ周辺の断面拡大図である。
【図4】は、規制ブレードを第2ブレード側から見た正面図である。
【図5】は、規制ブレードの側面図である。
【図6】は、規制ブレードの一端の部分拡大図である。
【図7】は、規制ブレードの他の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 感光体ドラム
4 現像装置
20 ケーシング
23 第1攪拌スクリュー
24 第2攪拌スクリュー
25 現像ローラ(現像剤担持体)
27 マグネットローラ
29 規制ブレード(現像剤規制部材)
29a 第1ブレード(板状部材)
29b 第2ブレード(板状部材)
29c 規制端
31 溝部
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像剤規制部材であって、
複数の板状部材が積層されて成り、各板状部材の接合面の少なくとも一方には1箇所以上の溝部が形成されていることを特徴とする現像剤規制部材。
【請求項2】
前記溝部の少なくとも一端が、前記現像剤規制部材の端縁のうち前記現像剤担持体に対向する規制端以外に連通することを特徴とする請求項1に記載の現像剤規制部材。
【請求項3】
前記溝部は、前記規制端と略平行に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像剤規制部材。
【請求項4】
前記溝部の両端が前記現像剤規制部材の長手方向の端縁に連通することを特徴とする請求項3に記載の現像剤規制部材。
【請求項5】
非磁性体と磁性体から成る2枚の板状部材がスポット溶接により接合された二層構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の現像剤規制部材。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の現像剤規制部材が搭載された現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の現像剤規制部材が搭載された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−48838(P2010−48838A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210293(P2008−210293)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】