説明

現像剤量規制ブレード

【課題】本発明の目的は、当接圧に影響を与える接着剤はみ出し量のバラツキを長手方向に渡り制御することで、従来よりも均一な当接圧とトナーの取込を実現でき、濃度ムラの無い画像を得ることができる現像剤量規制ブレードを提供することである。
【解決手段】本発明は、現像剤担持体に当接するブレード部材と該ブレード部材を支持する支持部材が接着部材により接着されている構成の現像剤量規制ブレードであって、該現像剤規制ブレードは、該支持部材端面の接着剤側に窪み空間を有し、該空間は該接着部材の余剰分を該端面より概略はみ出させない大きさを有することを特徴とする現像剤量規制ブレードである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した画像形成装置に用いられる現像剤量規制ブレードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に現像装置の概略構成の一例を示した。中空状に形成された現像剤容器10内に一成分現像剤(トナーとも言う)が蓄えられているとともに、上記現像剤容器から一部露出するようにしてローラー状の現像剤担持体11が設けられている。そして、現像剤担持体11をb方向に回転することにより、現像剤はa方向に回転する電子写真感光体12まで搬出される。この様な機構において、現像剤担持体には現像剤量規制ブレードのブレード部材13が圧接されており、搬出される現像剤の量が規制されて現像剤の薄膜が形成されると同時に、当接部において現像剤の所定の摩擦電荷(トリボとも言う)が付与される。現像剤量規制ブレードはブレード部材13及び支持部材14からなり、ブレード部材13は接着剤15により支持部材14と接着され、該支持部材14は現像剤容器10に取り付けられている。
【0003】
現像剤量規制ブレードにおけるブレード部材は、一般に、ゴム板、金属性薄板、樹脂板又はこれらの積層体から形成される。ブレード部材の現像剤担持体に圧接される面は、現像剤の摩擦電荷を制御する機能を有していることから、電荷制御面とも呼ばれ、また電荷制御面の表層を電荷制御層と呼ぶこともある。
【0004】
ネガ系現像剤に対して用いられるブレード部材としては、例えばウレタン樹脂、ポリアミドエラストマー等の板材が用いられている。また、ポジ系現像剤に対して用いられる現像剤量規制ブレードとしては、金属製薄板に電荷制御したシリコーンゴムなどの帯電付与層を積層したものが用いられている。
【0005】
近年、電子写真プロセスは、より高画質化、高速度化が進み、このような現像剤担持体と現像剤量規制ブレードの間の摺擦によって現像剤を摩擦帯電する方法において、濃度ムラや画像スジの発生を防止する為の技術が検討されている。
【0006】
濃度ムラや画像スジの発生原因として、現像剤量規制ブレードの現像剤担持体に対する当接圧の不均一性がある。現像剤量規制ブレードと現像剤担持体との当接によって、現像剤を摩擦帯電させるため、現像剤担持体への当接圧が現像性に影響してくる。現像剤担持体への圧力を決定する要因としては、現像剤量規制ブレードの自由長、ブレード部材の厚み、硬度等が挙げられる。その中でも、ブレード部材の自由長は、現像剤担持体への支点、作用点の位置を決める為、現像剤担持体への当接圧に大きく影響する。ここで、ブレード部材の自由長とは、接着剤のはみ出し先端から現像剤担持体との当接部までの距離である。現像剤量規制ブレードの長手方向に対して、ブレード部材への接着剤のはみ出しが不均一であると現像剤担持体までの距離(自由長)が部分的に変化してしまう。その結果、現像剤担持体への当接圧が長手方向で部分的に変化し、均一な現像剤取り込みが妨げられてしまう為、濃度ムラや画像スジの発生となる。
【0007】
接着剤のはみ出しについて図2及び図3を用いて説明する。図3は、ブレード部材2と支持部材3とを接着剤4で接着した際に接着剤が接着面の外部にはみ出した状態を示している。通常、接着面に接着剤を適量塗布して接着させたとしても、接着時の圧力で接着剤が幾分外側にはみ出す。はみ出した接着剤は図3に示すように不均一なはみ出し状態となり、このことはブレード部材の自由長に不均一が生ずることを意味している。つまり、例えば、AとBの位置では、接着剤のはみ出し幅(又は量)によってそれぞれの位置でブレード部材の自由長が異なってくることになる。(図ではAとBの位置と同時に自由長が異なっているイメージが示されている。)
【0008】
この自由長の不均一性は、現像剤担持体に対する当接圧のバラツキの原因となり、精細な画像を目指す昨今の画像形成装置において、些細な差異に起因する画像不良を起こすことになる。そのため、接着剤のはみ出しがないことが望ましく、圧着時の接着剤の厚みと広がり等から適正な塗布量が算出され、なるべく接着剤の塗布量が適正となるように塗布工程が行われている。しかし、それでも圧着によってはみ出る接着剤は皆無ではなく、不均一なはみ出しを改善する方法の開発が期待されている。
【0009】
このような問題に対し、例えば特許文献1では、ブレード部材をテーパー状に成型し、該ブレードと支持体との間に生じる空間に接着層を形成し、はみ出しを防ぐ方法が提案されている。しかし、かかる文献に記載の方法では、該空間に過不足なく接着剤が充填されなければ、濃度ムラや画像スジが発生してしまう。また、この文献ではホットメルト型接着剤の実施形態により自由端側の接着剤のはみ出しが軽減されるとしているが、ブレード部材の表面の粗さ等によって、はみ出し量の制御は必ずしも満足し得るものではない
【0010】
また、特許文献2では、ホットメルト型接着剤を使用する場合の接着剤の室温と高温高湿状態での接着力の違いや支持部材と接着剤との界面への水分の侵入による剥離を抑制するため、一定量をはみ出させる方法が提案されている。しかし、ブレード長手方向における接着剤のはみ出し量のバラツキに関しては何ら考慮されていない。実際には接着剤のはみ出しがあれば接着面積が広がってよいというわけではなく、はみ出し量の大小でブレード部材の非接着部の長さ(自由長)が異なってくるため、当接圧が影響を受け、濃度ムラや画像スジが発生する原因となってしまう。
【特許文献1】特開2001−66882号公報
【特許文献2】特開平5−113719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような状況に鑑み、本発明では、現像剤担持体に対する当接圧の不均一性により生じる濃度ムラ、画像スジ等を抑制し、現像剤担持体への現像剤の取り込み量を一定にすることができる現像剤量規制ブレードを提供することを目的とする。より具体的には、現像剤量規制ブレードにおいて、接着剤のはみ出し量のバラツキが低減された現像剤量規制ブレードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明は、支持部材のブレード自由端側端面に接着剤を蓄える窪み空間を形成することにより、はみ出し量のバラツキを抑制するものである。すなわち、本発明は、
[1]現像剤担持体に当接するブレード部材と該ブレード部材を支持する支持部材が接着部材により接着されている構成の現像剤量規制ブレードであって、該現像剤規制ブレードは、該支持部材端面の接着剤側に窪み空間を有し、該空間は該接着部材の余剰分を該端面より概略はみ出させない大きさを有することを特徴とする現像剤量規制ブレード。
[2]該ブレード部材の自由端側の該支持部材端面からブレード部材接着面への鉛直面と該ブレード部材の接着面とが交わる線を基準線として、該基準線を越えて前記ブレード部材表面の自由端側にはみ出す接着剤のはみ出し量のバラツキが0.5mm以内とすることを特徴とする現像剤量規制ブレード。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る現像剤量規制ブレードは、現像剤量規制ブレード毎の接着剤はみ出し量のバラツキを長手方向に亘り低減して製造することができる。したがって、現像剤担持体に対する現像剤量規制ブレード長手方向における当接圧を従来よりも均一にすることが可能になり、濃度ムラ、画像スジの無い画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、現像剤担持体に当接するブレード部材とブレード部材を支持する支持部材が接着部材により接着されている構成の現像剤量規制ブレードにおいて、現像剤規制ブレードは、支持部材端面の接着剤側に窪み空間を有し、空間は接着部材の余剰分を端面より概略はみ出させない大きさを有することを特徴とする現像剤量規制ブレードである。
【0015】
まず、本発明について図を用いて簡単に説明する。本発明の一実施形態は、ブレード部材と支持部材とを接着剤を用いて接着する現像剤量規制ブレードに関するものである。従来、接着時に接着面から接着剤がはみ出てしまい、はみ出し幅(又は量)のバラツキが生じてしまう場合がある。図3に示すように、現像剤量規制ブレード長手方向における不均一なはみ出しはブレード部材の自由長のバラツキの原因となり、この自由長のバラツキは濃度ムラ、画像スジ等の原因となる。そこで、本実施形態においては、図4に示すように、接着面側の支持部材端部6に切り欠き部5を有する支持部材を用いて現像剤量規制ブレードを作製する。このような切り欠き部5を有する支持部材3を用いることにより、該切り欠き部とブレード部材の接着面とで画定される窪み空間に接着剤が充填される際に、接着剤の表面張力が有効に作用して、接着剤のはみ出し幅のバラツキが抑制できる。
【0016】
(支持部材の形状、窪み空間)
ここで、支持部材の窪み空間について説明する。本実施形態では、接着面側の支持部材端部に長手方向に亘って切り欠き部を有する支持部材を用いる。接着時において、接着剤がこの切り欠き部とブレード部材の接着面とで画定される窪み空間を設けたことにより、はみ出しバラツキを低減させる。
【0017】
切り欠き部は、上述のように、接着面側の支持部材端部に長手方向に亘って設けられる。切り欠き部の形状は、接着面において理想的に配分される接着剤の圧着による微量の食み出しが切り欠き部の形状によって画定される窪み空間に溜まることにより有効に表面張力が作用して接着剤のはみ出しバラツキを低減できる形状であればよい
【0018】
窪み空間において、接着剤の表面張力を有効に作用させることにより、接着剤のはみ出しバラツキが低減される理由について、図面を参照して説明する。
【0019】
前述のように、従来の支持部材、つまり窪み空間を有しない支持部材を用いた場合、はみ出した接着剤はブレード部材表面に拡がる。特にブレード部材の表面状態、接着剤の塗布状況や圧着状況によって不均一に拡がる場合がある。そのため、拡がった接着剤の端からブレード端部までの自由長が場所によって微妙に異なってしまう。つまり、ブレード部材の長手方向における微小単位での自由長に差異が生じることとなる。ブレード部材は柔らかいため、自由長の長短は当接部の圧力に影響し、帯電状況の差異や画像ムラを生じさせる。本実施形態においては、ブレード部材の自由端側の接着面端部に窪み空間を設けることにより不均一な接着剤の拡がり、すなわち、はみ出し量のバラツキを抑制することができる。窪み空間を設けたことによって、図5(A)に示すように、接着剤はまず両部材の表面との吸着力により両部材の表面上に拡がり始めるが、ある程度窪み空間に接着剤がたまると、図5(B)に示すように、接着剤自身の表面張力が窪み空間の中央部に接着剤を引き寄せるように作用する。この窪み空間は長手方向に亘って設けられているため、表面張力が長手方向に均一化するように作用し、接着剤はブレード部材表面に拡がるよりも窪み空間に優先的に拡がる。したがって、この表面張力が有効に作用するように、窪み空間の大きさとこの窪み空間に充填される接着剤の量を最適化することにより、はみ出しバラツキを低減することができる。
【0020】
例えば、窪み空間の容積と同じ量の接着剤を窪み空間の後端から窪み空間に充填する場合を想定すると、窪み空間に支持部材端部まで接着剤が充填された接着面を形成することができることになる。しかし、実際には、図4(C)に示すように、両部材との接触面と両部材との間では、作用する力の差違によって、ブレード部材表面では基準線を越えてはみ出し、一方、両部材間に挟まれた接着剤4の端面は固定側に窪んだ凹部4aを形成する場合がある。
【0021】
本実施形態においては、このように形成される凹部4aの最も窪んだ位置が、支持部材先端からブレード部材接着面への鉛直面を超えないように、接着剤量及び窪み空間を調整することが好ましい。
【0022】
ここで、窪み空間の大きさは、接着剤の表面張力が有効に作用してはみ出しバラツキを低減できるように適宜調整することが好ましい。設計上予定された接着面に塗布される接着剤の量は設計値であるが、例えば、窪み空間の断面形状(図5参照)が大きすぎると、接着剤の表面張力による窪み空間への充填が有効に行われない場合がある。また、窪み空間の断面形状が小さすぎる場合は、作用する表面張力が弱く、有効にはみ出しバラツキを低減させることができない場合がある。因みに、特に限定するものではないが、支持部材にブレード部材を接着して作製する現像剤量規制ブレードでは、支持部材とブレード部材の接着力を確保するため、一般的に接着面積に必要な量の0%から20%程度の余剰分を持たせて塗布している。本発明では、この余剰分のうちブレード部材の自由端側への余剰分を含めて窪み空間に充填するものである。
【0023】
支持部材に形成する切り欠き部は、ブレード部材への当接面に対し水平方向への支持部材端面から0.1〜1.0mmの範囲であり、かつ当接面に対し垂直方向への支持部材端面から0.1〜1.0mmの範囲で接着剤の表面張力が有効に作用するように設けることが好ましい。また、ブレード部材への当接面に対し水平方向への支持部材端面から0.2〜0.7mmであり、かつ当接面に対し垂直方向への支持部材端面から0.2〜0.7mmの範囲に設けることがより好ましい。さらに、ブレード部材への当接面に対し水平方向への支持部材端面から0.3〜0.5mmであり、かつ当接面に対し垂直方向への支持部材端面から0.3〜0.5mmの範囲に設けることがより好ましい。また、窪み空間の断面形状は、支持部材への切り欠き部の作製のし易さを考慮すると、くさび形状や略コの字形状であることが好ましい。支持部材へ形成する切り欠き部の形状の例を図6に示す。なお、支持部材の厚みは1〜3mmであることから、支持部材端部での強度が得られるように切り欠き部の形状を選択することが好ましい。
【0024】
また、上述のように、窪み空間に接着剤が充填される時、接着剤がブレード部材表面にはみ出す場合がある。しかし、本発明によれば、接着剤のはみ出しバラツキを0.5mm以内とすることができる。はみ出しバラツキを0.5mm以内であることにより、はみ出しの影響が当接圧に及ぶことを防ぎ、均一な当接圧とすることができる。本発明において、はみ出しバラツキとは、最大はみ出し幅−最小はみ出し幅である。最大はみ出し幅とは、支持部材端面から垂直方向に最もはみ出している部分の幅をいう。また、最小はみ出し幅は、支持部材端面から垂直方向に最もはみ出しが少ない部分の幅をいい、はみ出していない部分があれば0となる。なお、ブレード部材表面上では、基準線より内側にひけた状態ではその分自由長が伸びることになるため、基準線より内側にひけた状態が形成されないように、長手方向に若干はみ出す程度に窪み空間と窪み空間への接着剤の充填量を最適化することが好ましい。
【0025】
(支持部材)
支持部材の材質としては特に限定されるものではなく、支持部材として、クロメート処理及び潤滑樹脂等の表面処理鋼板、リン青銅、ばね鋼等の弾性金属板より加工したもの、プラスチックやセラミックなどの成型品が挙げられる。
【0026】
(接着剤)
接着剤としては、接着時に液状であり表面張力が有効に作用するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、1液若しくは2液硬化タイプのウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤等が好適に使用される。また、ホットメルトタイプのフィルム状の接着剤は、接着面全面に亘ってほぼ均一な厚みの接着層を形成でき、接着時には熱融解されて液状化し、また、窪み空間に充填される接着剤量を制御しやすいことから、より好適に用いることができる。
【0027】
(はみ出し量の測定方法)
接着剤面のはみだし量の測定は顕微鏡を用い、前記ブレード部材の自由端側の前記支持部材端面からブレード部材接着面への鉛直面と前記ブレード部材の接着面とが交わる線を基準線として、この基準線からのはみ出し幅を測定した値とすることができる。
【0028】
上記ブレード部材の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、耐磨耗性の力学的特性の点からゴム弾性を有する熱硬化性ポリウレタン、シリコンゴム、液状ゴム等を挙げることができ、現像剤を摩擦帯電する極性により適宜選択することができ、ネガ系現像剤に対して、ブレード部材の材質としては、ウレタンエラストマーを含むことが特に好ましい。
【0029】
このような現像剤量規制ブレードの製造方法としては、上記各材料を用い、常法に準ずる方法、具体的には、プレポリマー法、セミワンショット法、ワンショット法などを挙げることができ、ブレード部材に使用する材料などにより適宜選択することができる。ブレード部材の材料としてウレタンエラストマーを含む場合を、具体的に例示して説明する。
【0030】
ブレード部材に用いるウレタンエラストマーの製造方法としては、先ず、ポリイソシアネートと高分子量ポリオールとを部分的に重合したウレタンゴム用プレポリマーと、硬化触媒を含む硬化剤とを混合攪拌し、ゴム原材料の流動性のイソシアネート組成物を調製する。
【0031】
上記ウレタンゴム用プレポリマーの調製に用いるポリイソシアネートとしては、具体的には、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、カルボジイミド変性MDI、ポリメチレンフェニルポリイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、ジメチルジイソシアネート等を挙げることができるが、得られるウレタンゴム成型品の特性バランスの観点からMDIが好ましい。
【0032】
また、上記ウレタンゴム用プレポリマーの調製に用いる高分子量ポリオールとしては、ポリエステル系ポリオールであることが好ましく、ポリエステル系ポリオールとしては、具体的には、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキシレンアジペート、エチレンアジペートとブチレンアジペートとの共重合体等を挙げることができる。また、ポリエステル系ポリオールの重量平均分子量は1500以上3000以下が好ましい。
【0033】
上記ウレタンゴム用プレポリマーと混合攪拌してゴム原材料を調製するのに用いる硬化剤としては、分子量300以下の低分子量ポリオールを用いることができるが、上記の高分子量ポリオールと併用することもできる。低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール(EG)、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、トリメチロールプロパン(TMP)、3,3−ジクロロ−4,4−ジアミノフェニルメタン、ヒドロキノン−ビス(β−ヒドロキシエチル)エーテル等を使用することができる。なお、必要に応じて、これらの低分子量ポリオールを2種類以上使用することもできる
【0034】
また、上記ゴム原材料を調製するのに用いる硬化触媒としては、三級アミン等のアミン系化合物、有機金属化合物等が挙げられる。上記三級アミンとしては、トリエチルアミン等のトリアルキルアミンや、N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン等のテトラアルキルジアミンや、ジメチルエタノールアミン等のアミノアルコールや、エトキシル化アミンや、エトキシル化ジアミンや、ビス(ジエチルエタノールアミン)アジペート等のエステルアミンやトリエチルジアミンやN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等のシクロヘキシルアミン誘導体や、N−メチルホルマリン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−ジメチルモルホリン等のモルホリン誘導体や、N,N'−ジエチル−2−メチルピペラジン、N,N'−ビス−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルピペラジン等のピペラジン誘導体を挙げることができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
【0036】
<実施例1>
【0037】
本発明の現像剤量規制ブレードを以下のように作製した。
【0038】
支持部材としてウレタン変性オレフィン樹脂及びアクリル変性オレフィン樹脂を含む非クロム表面処理層を有する電気亜鉛メッキ鋼板ジンコート21(商品名:新日本製鐵(株)製)、厚み1.6mmを使用した。支持部材端面の接着面側の窪み空間はブレード部材への当接面に対し水平方向への支持部材端面から0.5mm、かつ当接面に対し垂直方向への支持部材端面から0.5mmとした。これにフィルム状ホットメルト接着剤エルファン−UH(商品名:日本マタイ(株)製)を仮接着した。
【0039】
次いで、アジペート系ウレタンプレポリマー100質量部(Mn2000、NCO含有量7.0質量%)と、1、4−ブタンジオール3.7質量部、トリメチロールプロパン1.9質量部を注型機ミキシングチャンバー内で混合攪拌して熱硬化型ウレタンエラストマー原料混合物を得た。得られた原料混合物を遠心成型機に注入して130℃/1時間加熱硬化し、脱型しシート状の熱硬化型ポリウレタンエラストマーを得た。さらに得られたポリウレタンエラストマーを所定寸法に裁断し、ブレード部材とし、このブレード部材と上記ホットメルト接着剤を仮接着した支持部材とを加熱接着し、現像剤量規制ブレードを得た。この時、接着剤の最大はみ出し幅は支持部材端面(基準線)より0.1mmであった。
【0040】
(はみ出し量の測定方法)
接着剤面のはみだし量の測定はキーエンス社製ビデオマイクロVHX−900を用い、支持部材端面からはみ出た接着剤の端までを垂直方向に測定した。なお、はみ出しバラツキは、最大はみ出し幅−最小はみ出し幅で算出した。
【0041】
(画像評価方法)
この様にして作成した現像剤量規制ブレードについて、レーザービームプリンター LBP3410(キヤノン社製)用カートリッジに組み込み、画像ムラ、画像スジについて評価を行った。画像ムラについては、発生の無かったものを〇、僅かに画像ムラが確認されたものを△、はっきり画像ムラが確認されたものを×とした。画像スジにおいては画像スジの発生が見られないものを〇、多少の画像スジが確認できるものの実用上問題無いレベルであるものを△、画像スジの発生が確認でき実用上問題あるレベルであるものを×とした。結果(n=5の平均)を表1に示す。
【0042】
<実施例2>
用いた支持部材端面の接着面側の窪み空間をブレード部材への当接面に対し水平方向への支持部材端面から0.3mm、かつ当接面に対し垂直方向への支持部材端面から0.3mmとした。他は実施例1と同様にして、現像剤量規制ブレードを作製し、実施例1と同様に、接着剤はみ出し量を測定し、画像評価を行った。結果(n=5の平均)を表1に示す。
【0043】
<比較例1>
用いた支持部材端面の接着面側の窪み空間をブレード部材への当接面に対し水平方向への支持部材端面から1.5mm、かつ当接面に対し垂直方向への支持部材端面から1.5mmとした。他は実施例1と同様にして、現像剤量規制ブレードを作製し、実施例1と同様に、接着剤はみ出し量を測定し、画像評価を行った。結果(n=5の平均)を表2に示す。
【0044】
<比較例2>
支持部材端面に接着面側の窪み空間を設けない支持部材を使用した。他は実施例1と同様にして、現像剤量規制ブレードを作製し、実施例1と同様に、接着剤はみ出し量を測定し、画像評価を行った。結果(n=5の平均)を表2に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
上記の結果から、実施例1、2では接着剤のはみ出し、また、はみ出し量のバラツキが少なく、画像ムラ、画像スジの発生がない良好な画像もしくは実用上問題の無い画像が得られた。これに対して、比較例1では、はみ出し量のバラツキが大きく、画像スジやゴーストが発生した。また比較例2では支持部材とブレード部材間に接着層のない空間が発生し、画像スジやゴーストが発生した。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の現像装置の模式的構成図を示す図である。
【図2】従来のブレード部材と支持部材とからなる現像剤量規制ブレードの構成を示す図である。。
【図3】ブレード部材と支持部材とを接着剤で接着した際における接着剤が接着面の外部にはみ出した状態を示す図である。
【図4】接着面側の支持部材端部に窪み空間を有する支持部材を用いて現像剤量規制ブレードを作製する概要を説明する図である。
【図5】接着剤が窪み空間の後端から窪み空間に充填する状態を想定した図である。
【図6】支持部材に形成する窪み空間部の形状の例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 現像剤量規制ブレード
2 ブレード部材
3 支持部材
4 接着剤
5 窪み空間
6 支持部材端部
A 自由長(MAX)
B 自由長(MIN)
10 現像剤容器
11 現像剤担持体
12 電子写真感光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤担持体に当接するブレード部材と該ブレード部材を支持する支持部材が接着部材により接着されている構成の現像剤量規制ブレードにおいて、
該現像剤規制ブレードは、該支持部材端面の接着剤側に窪み空間を有し、該窪み空間は該接着部材の余剰分を該端面より概略はみ出させない大きさを有することを特徴とする現像剤量規制ブレード。
【請求項2】
該ブレード部材の自由端側の該支持部材端面からブレード部材接着面への鉛直面と該ブレード部材の接着面とが交わる線を基準線として、該基準線を越えて前記ブレード部材表面の自由端側にはみ出す接着剤のはみ出し量のバラツキが0.5mm以内とすることを特徴とする請求項1記載の現像剤量規制ブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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