説明

現像剤電界搬送装置、現像剤供給装置、及び画像形成装置

【課題】 進行波電界による現像剤の搬送量の、幅方向(主走査方向)におけるばらつきが抑制され得る現像剤電界搬送装置、及び当該現像剤電界搬送装置を備えた現像剤供給装置並びに画像形成装置を提供する。
【解決手段】 トナー供給装置6は、感光体ドラム3の潜像形成面LSに対して、帯電したトナーTを供給し得るように構成されている。トナー供給装置6内には、トナー電界搬送体62が収容されている。トナー電界搬送体62は、搬送電極63aと、搬送電極支持フィルム63bと、搬送電極コーティング層63cと、を備えている。搬送電極63aは、搬送電極支持フィルム63bの表面である搬送電極支持表面63b1上にて支持されている。搬送電極支持表面63b1とトナー搬送面TTSとの間の構造が異なる第1の部分と第2の部分とが、搬送電極63aの長手方向に沿って並ぶように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤電界搬送装置、現像剤供給装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、進行波電界を用いて現像剤(乾式現像剤ないし乾式トナー)を搬送する機構が、従来から多数知られている(例えば、特開昭63−13074号公報、特公平5−31146号公報、特開2002−351218号公報、特開2003−15417号公報、特開2004−157259号公報、特開2004−340996号公報、特開2005−275127号公報等)。かかる機構においては、絶縁性の基板の上に、多数本の線状電極が、一列に並べられている。
【0003】
上述の構成によれば、多数本の前記線状電極に対して、多相の交流電圧が順次印加されることで、進行波電界が形成される。この進行波電界の作用により、帯電した前記現像剤が所定方向に搬送される。
【発明の開示】
【0004】
上述したような画像形成装置において、画質のさらなる向上が求められている。このためには、前記所定方向と垂直な幅方向(主走査方向)における現像剤の搬送量のばらつきを抑制する必要がある。
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、進行波電界による前記現像剤の搬送量の、前記幅方向(主走査方向)におけるばらつきが抑制され得る現像剤電界搬送装置、及び当該現像剤電界搬送装置を備えた現像剤供給装置並びに画像形成装置を提供することにある。
【0006】
(1)本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、現像剤供給装置と、を備えている。
【0007】
前記静電潜像担持体は、潜像形成面を有する。この潜像形成面は、所定の主走査方向と平行に形成されている。この潜像形成面は、電位分布による静電潜像が形成され得るように構成されている。そして、前記静電潜像担持体は、前記潜像形成面が前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って移動し得るように構成されている。
【0008】
前記現像剤供給装置は、前記静電潜像担持体と対向するように配置されている。この現像剤供給装置は、現像剤を帯電した状態で前記潜像形成面に供給し得るように構成されている。
【0009】
本発明の画像形成装置においては、前記現像剤供給装置は、複数の搬送電極と、電極支持部材と、電極被覆部材と、中間層と、を備えている。
【0010】
前記搬送電極は、前記副走査方向と交差する方向の長手方向を有するように構成されている。また、前記搬送電極は、前記副走査方向に沿って配列されている。そして、これらの搬送電極は、進行波状の電圧が印加されることで、前記現像剤を所定の現像剤搬送方向に搬送し得るように構成及び配置されている。
【0011】
前記電極支持部材は、前記搬送電極を支持するように構成されている。すなわち、前記搬送電極は、前記電極支持部材の表面上にて支持されている。
【0012】
前記電極被覆部材は、前記電極支持部材の前記表面及び前記搬送電極を覆うように形成されている。この電極被覆部材は、現像剤搬送面を備えている。この現像剤搬送面は、前記主走査方向と平行で前記潜像形成面と対向する面である。
【0013】
前記中間層は、前記電極被覆部材と前記搬送電極との間に形成されている。
【0014】
そして、この現像剤供給装置においては、前記中間層における比誘電率が異なる第1の部分と第2の部分とが、前記搬送電極の前記長手方向に沿って並ぶように設けられている。
【0015】
なお、前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、前記副走査方向に沿った縞状に配列され得る。
【0016】
あるいは、前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、互いに隣り合うように配置された多角形状に形成され得る。
【0017】
あるいは、前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、前記副走査方向と交差する斜め縞状に配列され得る。
【0018】
あるいは、前記第1の部分又は前記第2の部分のいずれか一方が、平面視にて、互いに交差する第1の縞及び第2の縞を構成するように設けられていて、前記第1の部分又は前記第2の部分の前記一方と異なる他方が、平面視にて、前記第1の縞と前記第2の縞との間で囲まれた部分から構成され得る。
【0019】
あるいは、前記第1の部分と前記第2の部分とが、ランダムに配列され得る。
【0020】
あるいは、前記搬送電極は、前記第1の部分と前記第2の部分とで、その厚さが異なるように形成され得る。
【0021】
あるいは、前記搬送電極の、前記第1の部分に対応する位置には、突起部が形成され得る。
【0022】
かかる構成を有する本発明の画像形成装置は、画像形成の際に、以下のように動作する。
【0023】
前記静電潜像担持体における前記潜像形成面に、電位分布による前記静電潜像が形成される。この静電潜像が形成された前記潜像形成面は、前記副走査方向に沿って移動する。
【0024】
前記現像剤供給装置に備えられた前記現像剤搬送体における、複数の前記搬送電極に、所定の進行波状の電圧が印加される。この電圧により、前記現像剤搬送面上に、所定の進行波状の電界が発生する。この電界により、帯電した前記現像剤が、前記現像剤搬送面上を、前記現像剤搬送方向に沿って移動する。
【0025】
前記潜像形成面及び前記現像剤搬送面は、前記主走査方向と平行な面である。よって、前記潜像形成面と前記現像剤搬送面との間の距離が最短となる最近接位置の近傍にて、前記潜像形成面と前記現像剤搬送面とは、互いに平行な状態で対向し得る。そして、前記現像剤搬送体上にて搬送されてきた、帯電した前記現像剤によって、前記静電潜像が、前記最近接位置の近傍にて現像される。
【0026】
ここで、本発明の画像形成装置においては、前記搬送電極の前記長手方向に沿って並んでいる前記第1の部分と前記第2の部分とで、前記電極支持部材の前記表面と前記現像剤搬送面との間の構造が異なる。すると、前記現像剤搬送面における、前記第1の部分と前記第2の部分とで、上述の電界の状態(強度及び/又は方向)が異なり得る。
【0027】
これにより、前記第1の部分と前記第2の部分との境界の近傍にて、前記現像剤搬送面にて生じる上述の進行波状の電界に、前記長手方向に沿った成分が生じ得る。この長手方向は前記副走査方向と交差しているので、上述の成分は、前記副走査方向と交差することになる。すなわち、かかる成分は、前記主走査方向に沿ったものとなり得る。
【0028】
よって、帯電した前記現像剤は、前記現像剤搬送面上にて、前記長手方向(前記主走査方向)に沿った方向にも移動し得ることになる。換言すれば、帯電した前記現像剤は、前記現像剤搬送面上にて、蛇行しながら前記最近接位置に向かって移動し得る。
【0029】
かかる構成によれば、例えば、前記現像剤の凝集の発生等により、前記現像剤搬送面の前記現像剤搬送方向における最上流部に対する前記現像剤の供給量にばらつきが生じたとしても、前記現像剤の上述のような蛇行により、幅方向(前記現像剤搬送方向と直交する方向であって前記長手方向に沿った方向)における搬送量のばらつきが効果的に解消され得る。
【0030】
よって、かかる構成によれば、前記現像剤搬送面における、進行波電界による前記現像剤の搬送量の、前記主走査方向におけるばらつきが抑制され得る。これにより、前記主走査方向についての供給量のムラが可及的に抑制された状態で、帯電した前記現像剤が、前記潜像形成面に対して供給され得る。したがって、前記現像剤による画像の、前記幅方向(前記主走査方向)についての濃度ムラが、可及的に抑制され得る。
【0031】
(2)本発明の現像剤供給装置は、現像剤担持体における現像剤担持面に対して、現像剤を帯電した状態で所定の現像剤搬送方向に沿って供給し得るように構成されている。
【0032】
ここで、前記現像剤担持体は、当該現像剤供給装置と対向するように配置され得る。この前記現像剤担持体は、前記現像剤担持面を有している。
【0033】
前記現像剤担持面は、所定の主走査方向と平行な面であって、前記現像剤が担持され得る面である。この現像剤担持面は、前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って移動し得るようになっている。
【0034】
具体的には、前記現像剤担持体としては、例えば、電位分布による静電潜像が形成され得るように構成された静電潜像担持体が用いられ得る。この場合、前記現像剤担持面は、潜像形成面によって構成されている。前記潜像形成面は、前記静電潜像担持体の周面である。この潜像形成面は、前記静電潜像が形成され得るように構成されている。
【0035】
あるいは、前記現像剤担持体としては、例えば、前記副走査方向に沿って搬送される記録媒体(用紙等)が用いられ得る。この場合、前記現像剤担持面は、前記記録媒体の表面(被記録面)によって構成されている。
【0036】
あるいは、前記現像剤担持体としては、例えば、ローラ、スリーブ、又はベルト状の部材(現像ローラ、現像スリーブ、中間転写ベルト等)が用いられ得る。これらの部材は、例えば、前記記録媒体や前記静電潜像担持体と対向するように配置されている。そして、これらの部材は、前記記録媒体や前記静電潜像担持体上に前記現像剤を転写し得るように構成・配置されている。
【0037】
本発明の現像剤供給装置は、複数の搬送電極と、電極支持部材と、電極被覆部材と、中間層と、を備えている。
【0038】
前記搬送電極は、前記副走査方向と交差する方向の長手方向を有するように構成されている。また、前記搬送電極は、前記副走査方向に沿って配列されている。そして、これらの搬送電極は、進行波状の電圧が印加されることで、前記現像剤を所定の現像剤搬送方向に搬送し得るように構成及び配置されている。
【0039】
前記電極支持部材は、前記搬送電極を支持するように構成されている。すなわち、前記搬送電極は、前記電極支持部材の表面上にて支持されている。
【0040】
前記電極被覆部材は、前記電極支持部材の前記表面及び前記搬送電極を覆うように形成されている。この電極被覆部材は、現像剤搬送面を備えている。この現像剤搬送面は、前記主走査方向と平行で前記現像剤担持面と対向する面である。
【0041】
前記中間層は、前記電極被覆部材と前記搬送電極との間に形成されている。
【0042】
そして、この現像剤供給装置においては、前記中間層における比誘電率が異なる第1の部分と第2の部分とが、前記搬送電極の前記長手方向に沿って並ぶように設けられている。
【0043】
なお、前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、前記副走査方向に沿った縞状に配列され得る。
【0044】
あるいは、前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、互いに隣り合うように配置された多角形状に形成され得る。
【0045】
あるいは、前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、前記副走査方向と交差する斜め縞状に配列され得る。
【0046】
あるいは、前記第1の部分又は前記第2の部分のいずれか一方が、平面視にて、互いに交差する第1の縞及び第2の縞を構成するように設けられていて、前記第1の部分又は前記第2の部分の前記一方と異なる他方が、平面視にて、前記第1の縞と前記第2の縞との間で囲まれた部分から構成され得る。
【0047】
あるいは、前記第1の部分と前記第2の部分とが、ランダムに配列され得る。
【0048】
あるいは、前記搬送電極は、前記第1の部分と前記第2の部分とで、その厚さが異なるように形成され得る。
【0049】
あるいは、前記搬送電極の、前記第1の部分に対応する位置には、突起部が形成され得る。
【0050】
かかる構成を有する本発明の現像剤供給装置を用いた画像形成動作は、以下のようにして行われる。
【0051】
当該現像剤供給装置における前記現像剤搬送体の前記現像剤搬送面、及び(当該現像剤供給装置と対向するように配置された)前記現像剤担持体における前記現像剤担持面は、前記主走査方向と平行な面である。
【0052】
よって、前記現像剤担持面と前記現像剤搬送面との間の距離が最短となる最近接位置の近傍にて、前記現像剤担持面と前記現像剤搬送面とは、互いに平行な状態で対向し得る。
【0053】
前記現像剤担持体における前記現像剤担持面が、前記副走査方向に沿って移動する。一方、前記現像剤搬送体における前記現像剤搬送面上にて、帯電した前記現像剤が、前記現像剤搬送方向に沿って搬送される。
【0054】
これにより、前記最近接位置の近傍にて、前記現像剤担持面に対して、帯電した前記現像剤が供給される。そして、帯電した前記現像剤が、前記現像剤担持面に担持され得る。
【0055】
上述のような、前記現像剤担持面における帯電した前記現像剤の搬送は、以下のようにして行われる。
【0056】
前記現像剤搬送体における複数の前記搬送電極に、所定の進行波状の電圧が印加される。この電圧により、前記現像剤搬送面上に、所定の進行波状の電界が発生する。この電界により、帯電した前記現像剤が、前記現像剤搬送面上を、前記現像剤搬送方向に沿って移動する。
【0057】
ここで、本発明の現像剤供給装置においては、前記搬送電極の前記長手方向に沿って並んでいる前記第1の部分と前記第2の部分とで、前記電極支持部材の前記表面と前記現像剤搬送面との間の構造が異なる。すると、前記現像剤搬送面における、前記第1の部分と前記第2の部分とで、上述の電界の状態(強度及び/又は方向)が異なり得る。
【0058】
これにより、前記第1の部分と前記第2の部分との境界の近傍にて、前記現像剤搬送面にて生じる上述の進行波状の電界に、前記長手方向に沿った成分、すなわち、前記主走査方向に沿った成分が生じ得る。よって、帯電した前記現像剤は、前記現像剤搬送面上にて、前記長手方向(前記主走査方向)に沿った方向にも移動し得ることになる。換言すれば、帯電した前記現像剤は、前記現像剤搬送面上にて、蛇行しながら前記最近接位置に向かって移動し得る。
【0059】
かかる構成によれば、前記現像剤搬送面における、進行波電界による前記現像剤の搬送量の、前記主走査方向におけるばらつきが抑制され得る。よって、前記主走査方向についての供給量のムラが可及的に抑制された状態で、帯電した前記現像剤が、前記現像剤担持面に対して供給され得る。
【0060】
(3)本発明の現像剤電界搬送装置は、帯電した現像剤を、電界により所定の現像剤搬送方向に沿って搬送し得るように構成されている。この現像剤電界搬送装置は、現像剤担持体と対向するように配置されている。
【0061】
前記現像剤担持体は、現像剤担持面を有している。この現像剤担持面は、前記現像剤担持体の表面であって、前記現像剤が担持され得る面である。この現像剤担持面は、所定の主走査方向と平行に形成されている。
【0062】
前記現像剤担持面は、所定の移動方向に沿って移動し得るようになっている。この移動方向は、前記主走査方向と直交する副走査方向と平行となるように設定され得る。
【0063】
具体的には、前記現像剤担持体としては、例えば、電位分布による静電潜像が形成され得るように構成された静電潜像担持体が用いられ得る。この場合、前記現像剤担持面は、潜像形成面によって構成されている。この潜像形成面は、前記静電潜像担持体の周面であって、前記静電潜像が形成される面である。
【0064】
あるいは、前記現像剤担持体としては、例えば、前記副走査方向に沿って搬送される記録媒体(用紙等)が用いられ得る。この場合、前記現像剤担持面は、前記記録媒体の表面(被記録面)によって構成されている。
【0065】
あるいは、前記現像剤担持体としては、例えば、ローラ、スリーブ、又はベルト状の部材(現像ローラ、現像スリーブ、中間転写ベルト等)が用いられ得る。これらの部材は、前記記録媒体や前記静電潜像担持体等と対向するように配置されている。そして、これらの部材は、前記記録媒体や前記静電潜像担持体上に前記現像剤を転写し得るように構成・配置されている。
【0066】
本発明の現像剤電界搬送装置は、複数の搬送電極と、電極支持部材と、電極被覆部材と、中間層と、を備えている。
【0067】
前記搬送電極は、前記副走査方向と交差する方向の長手方向を有するように構成されている。また、前記搬送電極は、前記副走査方向に沿って配列されている。そして、これらの搬送電極は、進行波状の電圧が印加されることで、前記現像剤を所定の現像剤搬送方向に搬送し得るように構成及び配置されている。
【0068】
前記電極支持部材は、前記搬送電極を支持するように構成されている。すなわち、前記搬送電極は、前記電極支持部材の表面上にて支持されている。
【0069】
前記電極被覆部材は、前記電極支持部材の前記表面及び前記搬送電極を覆うように形成されている。この電極被覆部材は、現像剤搬送面を備えている。この現像剤搬送面は、前記主走査方向と平行で前記現像剤担持面と対向する面である。
【0070】
前記中間層は、前記電極被覆部材と前記搬送電極との間に形成されている。
【0071】
そして、この現像剤電界搬送装置においては、前記中間層における比誘電率が異なる第1の部分と第2の部分とが、前記搬送電極の前記長手方向に沿って並ぶように設けられている。
【0072】
なお、前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、前記副走査方向に沿った縞状に配列され得る。
【0073】
あるいは、前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、互いに隣り合うように配置された多角形状に形成され得る。
【0074】
あるいは、前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、前記副走査方向と交差する斜め縞状に配列され得る。
【0075】
あるいは、前記第1の部分又は前記第2の部分のいずれか一方が、平面視にて、互いに交差する第1の縞及び第2の縞を構成するように設けられていて、前記第1の部分又は前記第2の部分の前記一方と異なる他方が、平面視にて、前記第1の縞と前記第2の縞との間で囲まれた部分から構成され得る。
【0076】
あるいは、前記第1の部分と前記第2の部分とが、ランダムに配列され得る。
【0077】
あるいは、前記搬送電極は、前記第1の部分と前記第2の部分とで、その厚さが異なるように形成され得る。
【0078】
あるいは、前記搬送電極の、前記第1の部分に対応する位置には、突起部が形成され得る。
【0079】
かかる構成を有する本発明の現像剤電界搬送装置を用いた画像形成動作は、以下のようにして行われる。
【0080】
当該現像剤電界搬送装置における前記現像剤搬送面、及び当該現像剤電界搬送装置と対向するように配置された前記現像剤担持体における前記現像剤担持面は、前記主走査方向と平行な面である。
【0081】
よって、当該現像剤電界搬送装置と前記現像剤担持体との間の距離(前記現像剤担持面と前記現像剤搬送面との間の距離)が最短となる最近接位置の近傍にて、前記現像剤担持面と前記現像剤搬送面とは、互いに平行な状態で対向し得る。
【0082】
前記現像剤担持体における前記現像剤担持面が、前記副走査方向に沿って移動する。一方、当該現像剤電界搬送装置における前記現像剤搬送体の前記現像剤搬送面上にて、帯電した前記現像剤が、前記現像剤搬送方向に沿って搬送される。
【0083】
これにより、前記最近接位置の近傍にて、当該現像剤電界搬送装置における前記現像剤搬送面から、前記現像剤担持体における前記現像剤担持面に対して、帯電した前記現像剤が供給される。そして、帯電した前記現像剤が、前記現像剤担持面に担持され得る。
【0084】
上述のような、前記現像剤担持面における帯電した前記現像剤の搬送は、以下のようにして行われる。
【0085】
前記現像剤搬送体における複数の前記搬送電極に、所定の進行波状の電圧が印加される。この電圧により、前記現像剤搬送面上に、所定の進行波状の電界が発生する。この電界により、帯電した前記現像剤が、前記現像剤搬送面上を、前記現像剤搬送方向に沿って移動する。
【0086】
ここで、本発明の現像剤電界搬送装置においては、前記搬送電極の前記長手方向に沿って並んでいる前記第1の部分と前記第2の部分とで、前記電極支持部材の前記表面と前記現像剤搬送面との間の構造が異なる。すると、前記現像剤搬送面における、前記第1の部分と前記第2の部分とで、上述の電界の状態(強度及び/又は方向)が異なり得る。
【0087】
これにより、前記第1の部分と前記第2の部分との境界の近傍にて、前記現像剤搬送面にて生じる上述の進行波状の電界に、前記長手方向に沿った成分、すなわち、前記主走査方向に沿った成分が生じ得る。よって、帯電した前記現像剤は、帯電した前記現像剤は、前記現像剤搬送面上にて、蛇行しながら前記現像剤搬送方向に沿って(前記最近接位置に向かって)移動し得る。
【0088】
かかる構成によれば、前記現像剤搬送面における、進行波電界による前記現像剤の搬送量の、前記主走査方向におけるばらつきが抑制され得る。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザープリンタの概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示されている感光体ドラムとトナー供給装置とが対向している部分を拡大した側断面図である。
【図3】図2に示されている搬送配線基板の一部を拡大した平面図である。
【図4】図2に示されている各電源回路が発生する電圧の波形を示したグラフである。
【図5】図2に示されているトナー搬送面の周辺を拡大して示す側断面図である。
【図6】図3に示されている第1の部分及び第2の部分の第1の実施例の構成を示す断面図(図3におけるA−A断面を一部拡大した断面図)である。
【図7】図3に示されている第1の部分及び第2の部分の第2の実施例の構成を示す断面図である。
【図8】図3におけるxy平面における電位分布図である。
【図9】図3におけるyz平面における電位分布及び電界の状態を示す図である。
【図10】図3に示されている第1の部分及び第2の部分の第3の実施例の構成を示す断面図である。
【図11】図3に示されている第1の部分及び第2の部分の第4の実施例の構成を示す断面図である。
【図12】図3に示されている第1の部分及び第2の部分の第5の実施例の構成を示す断面図である。
【図13】図3に示されている第1の部分及び第2の部分の第6の実施例の構成を示す断面図である。
【図14】図3に示されている搬送配線基板の変形例の構成を示す平面図である。
【図15】図3に示されている搬送配線基板の変形例の構成を示す平面図である。
【図16】図3に示されている搬送配線基板の変形例の構成を示す平面図である。
【図17】図3に示されている搬送配線基板の変形例の構成を示す平面図である。
【図18】図3に示されている搬送配線基板の変形例の構成を示す平面図である。
【図19】図3に示されている搬送配線基板の変形例の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について、図面を参照しつつ説明する。
【0091】
<レーザープリンタの全体構成>
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態であるレーザープリンタ1の概略構成を示す側面図である。
【0092】
図1を参照すると、レーザープリンタ1は、用紙搬送機構2と、感光体ドラム3と、帯電器4と、スキャナーユニット5と、トナー供給装置6と、を備えている。
【0093】
レーザープリンタ1内に備えられた、図示しない給紙トレイには、シート状の用紙Pが積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構2は、用紙Pを所定の用紙搬送経路に沿って搬送し得るように構成されている。
【0094】
本発明の静電潜像担持体、現像剤像担持体、及び現像剤担持体としての、感光体ドラム3の周面には、本発明の潜像形成面、現像剤像担持面、及び現像剤担持面としての、潜像形成面LSが形成されている。
【0095】
潜像形成面LSは、主走査方向(図中z軸方向)と平行な円筒面として形成されている。潜像形成面LSは、電位分布による静電潜像LIが形成され得るように構成されている。
【0096】
感光体ドラム3は、中心軸Cを中心として、図中矢印で示されている方向に回転駆動され得るように構成されている。すなわち、潜像形成面LSが、所定の移動方向、すなわち、前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って、移動し得るように、感光体ドラム3が構成されている。
【0097】
なお、「副走査方向」とは、前記主走査方向と直交する任意の方向である。通常、前記副走査方向は、鉛直線と交差する方向とされる。すなわち、前記副走査方向は、レーザープリンタ1の前後方向(用紙幅方向及び高さ方向と直交する方向:図中x軸方向)に沿った方向とされる。
【0098】
帯電器4は、潜像形成面LSと対向するように配置されている。帯電器4は、コロトロン型あるいはスコロトロン型の帯電器であって、潜像形成面LSを一様に正帯電させ得るように構成されている。
【0099】
スキャナーユニット5は、画像データに基づいて変調されたレーザービームLBを生成するように構成されている。また、スキャナーユニット5は、生成されたレーザービームLBを、潜像形成面LS上の位置であって、帯電器4よりも感光体ドラム3の回転方向(図1における矢印で示されている方向:図中時計回り)における下流側の位置(スキャン位置SP)にて結像させる(露光する)ように構成されている。さらに、スキャナーユニット5は、潜像形成面LS上にてレーザービームLBが結像される位置を、前記主走査方向に沿って等速度にて移動させる(走査する)ように構成されている。
【0100】
本発明の現像剤供給装置としてのトナー供給装置6は、感光体ドラム3と対向するように配置されている。トナー供給装置6は、微粒子状の乾式現像剤(粉体現像剤)である正帯電性のトナーを帯電した状態で潜像形成面LSに供給し得るように構成されている。このトナー供給装置6の詳細な構成については後述する。
【0101】
<レーザープリンタの各部の構成>
次に、レーザープリンタ1の各部の具体的な構成について説明する。
【0102】
<<用紙搬送機構>>
用紙搬送機構2は、一対のレジストローラ21と、転写ローラ22と、を備えている。
【0103】
レジストローラ21は、用紙Pを所定のタイミングにて感光体ドラム3と転写ローラ22との間に向けて送り出し得るように構成されている。
【0104】
転写ローラ22は、感光体ドラム3の外周面である潜像形成面LSと、転写位置TPにて、用紙Pを挟んで対向するように配置されている。また、転写ローラ22は、図中矢印で示されている方向(反時計回り)に回転駆動され得るように構成されている。
【0105】
転写ローラ22は、図示しないバイアス電源回路に接続されている。すなわち、転写ローラ22と感光体ドラム3との間で、潜像形成面LS上に付着したトナー(現像剤)を用紙Pに転写させるための所定の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0106】
<<感光体ドラム>>
図2は、図1に示されている感光体ドラム3とトナー供給装置6とが対向している部分を拡大した側断面図である。
【0107】
図2を参照すると、感光体ドラム3は、ドラム本体31と、感光層32と、から構成されている。
【0108】
ドラム本体31は、z軸と平行な中心軸Cを有する円筒状の部材であって、アルミニウム等の金属から構成されている。このドラム本体31は、接地されている。
【0109】
感光層32は、ドラム本体31の外周を覆うように設けられている。この感光層32は、所定波長のレーザー光の露光によって電子伝導性を示す、正帯電性の光導電層から構成されている。
【0110】
潜像形成面LSは、感光層32の外周面によって構成されている。すなわち、帯電器4(図1参照)によって一様に正帯電された後に、スキャン位置SPにてレーザービームLBが走査されることで、正電荷のパターンからなる静電潜像LIが形成されるように、潜像形成面LS(感光層32)が構成されている。
【0111】
<<トナー供給装置>>
トナー供給装置6のケーシングをなすトナーボックス61は、箱状部材であって、その内部に微粒子状の乾式現像剤としてのトナーTを貯留し得るように構成されている。本実施形態においては、トナーTは、正帯電性、非磁性1成分の、黒色のものが用いられている。
【0112】
トナーボックス61における頂板61aは、感光体ドラム3と近接するように配置されている。この頂板61aには、トナー通過孔61a1が形成されている。トナー通過孔61a1は、頂板61aと感光層32とが近接している位置に形成されている。
【0113】
トナー通過孔61a1は、平面視にて、前記主走査方向(図中z軸方向)における感光層32の幅と略同じ長さの長辺を有するとともに前記副走査方向(図中x軸方向)と平行な短辺を有する長方形状に形成されている。トナー通過孔61a1は、トナーTがトナーボックス61の内部から感光層32に向けて図中y軸方向に沿って移動する際に通過し得る貫通孔として形成されている。
【0114】
<<<トナー搬送体の概略構成>>>
トナーボックス61の内部には、本発明の現像剤電界搬送装置としてのトナー電界搬送体62が収容されている。
【0115】
図2を参照すると、トナー電界搬送体62は、搬送配線基板63を備えている。搬送配線基板63は、トナーボックス61における頂板61a及びトナー通過孔61a1を挟んで、潜像形成面LSと対向するように配置されている。
【0116】
本発明の現像剤搬送面としてのトナー搬送面TTSは、前記主走査方向(図中z軸方向)と平行に形成されている。このトナー搬送面TTSは、感光体ドラム3における潜像形成面LSと対向するように設けられている。また、潜像形成面LSとトナー搬送面TTSとが最も近接する最近接位置としての現像位置DPは、トナー通過孔61a1の前記副走査方向(図中x軸方向)における中心とほぼ一致するようになっている。
【0117】
搬送配線基板63は、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。
【0118】
すなわち、複数の搬送電極63aは、本発明の電極支持部材としての搬送電極支持フィルム63bの表面(搬送電極支持表面63b1)上に支持されている。搬送電極63aは、厚さが数十μm程度の銅箔からなる。搬送電極支持フィルム63bは、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。
【0119】
搬送電極63aは、前記主走査方向と平行な(前記副走査方向と直交する)長手方向を有する線状の配線パターンとして形成されている。また、複数の搬送電極63aは、互いに平行に配置されている。そして、これらの搬送電極63aは、前記副走査方向に沿って配列されている。
【0120】
前記副走査方向に沿って多数配列された各搬送電極63aは、3本置きに同一の電源回路に接続されている。
【0121】
すなわち、電源回路VAに接続された搬送電極63a,電源回路VBに接続された搬送電極63a,電源回路VCに接続された搬送電極63a,電源回路VDに接続された搬送電極63a,電源回路VAに接続された搬送電極63a,電源回路VBに接続された搬送電極63a,電源回路VCに接続された搬送電極63a・・・が、前記副走査方向に沿って順に配列されている。
【0122】
ここで、各電源回路VAないしVDは、ほぼ同一波形の交流電圧(搬送電圧)を出力し得るように構成されている。また、各電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形における位相が、90°ずつ異なるように、各電源回路VAないしVDが構成されている。すなわち、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に、電圧の位相が90°ずつ遅れるようになっている。
【0123】
本発明の電極被覆部材としての搬送電極コーティング層63cは、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この搬送電極コーティング層63cは、搬送電極支持フィルム63bにおける搬送電極支持表面63b1、及び搬送電極63aを覆うように設けられている。
【0124】
上述のトナー搬送面TTSは、搬送電極支持表面63b1と略平行な、搬送電極コーティング層63cの表面からなり、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
【0125】
このように、本実施形態においては、搬送電極63aは、トナー搬送面TTSに沿って配置されている。すなわち、搬送電極63aは、トナー搬送面TTSの近傍に配置されている。
【0126】
トナー電界搬送体62は、また、搬送基板支持部材64を備えている。搬送基板支持部材64は、合成樹脂製の板材からなり、搬送配線基板63を下側から支持するように設けられている。
【0127】
ここで、本実施形態のトナー電界搬送体62は、トナー搬送方向TTDが、搬送電極63aの配列方向としての前記副走査方向に沿った方向となるように構成されている。
【0128】
すなわち、トナー電界搬送体62は、搬送配線基板63における各搬送電極63aに対して、上述のような搬送電圧が印加されて、前記副走査方向に沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーTをトナー搬送方向TTDに搬送し得るように構成されている。
【0129】
<<<対向配線基板>>>
図2を参照すると、トナーボックス61の頂板61aの内側面には、対向配線基板65が装着されている。この対向配線基板65は、トナー搬送面TTSと所定の空隙を挟んで対向するように配置されている。
【0130】
対向配線基板65は、上述の搬送配線基板63と同様の構成を有している。
【0131】
すなわち、複数の対向電極65aは、対向電極支持フィルム65bの表面(対向電極支持表面65b1)上に支持されている。対向電極65aは、厚さが数十μm程度の銅箔からなる。対向電極支持フィルム65bは、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。
【0132】
対向電極65aは、前記主走査方向と平行な(前記副走査方向と直交する)長手方向を有する線状の配線パターンとして形成されている。また、複数の対向電極65aは、互いに平行に配置されている。そして、これらの対向電極65aは、前記副走査方向に沿って配列されている。
【0133】
前記副走査方向に沿って多数配列された各対向電極65aは、3本置きに同一の電源回路に接続されている。
【0134】
対向電極コーティング層65cは、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この対向電極コーティング層65cは、対向電極支持フィルム65bにおける対向電極支持表面65b1、及び対向電極65aを覆うように設けられている。
【0135】
対向配線基板表面CSは、対向電極支持表面65b1と略平行な、対向電極コーティング層65cの表面からなり、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
【0136】
このように、本実施形態においては、対向電極65aは、対向配線基板表面CSに沿って配置されている。すなわち、対向電極65aは、対向配線基板表面CSの近傍に配置されている。
【0137】
対向配線基板65は、上述の搬送配線基板63と同様に、複数の対向電極65aに対して所定の電圧が印加されて、前記副走査方向に沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーTをトナー搬送方向TTDに搬送し得るように構成されている。
【0138】
<<実施形態の搬送配線基板の詳細な構成>>
図3は、図2に示されている搬送配線基板63の一部を拡大した平面図である。以下、本実施形態における搬送配線基板63の詳細な構成について、図2及び図3を用いて説明する。
【0139】
図3を参照すると、搬送配線基板63は、第1の部分631と、第2の部分632と、を備えている。第1の部分631及び第2の部分632は、それぞれ複数設けられている。
【0140】
図2及び図3を参照すると、第1の部分631における搬送電極支持表面63b1とトナー搬送面TTSとの間の構造(搬送電極63aや搬送電極コーティング層63c等の、厚さ、及び/又は材質等)が、第2の部分632における構造とは異なるように、第1の部分631及び第2の部分632が構成されている。
【0141】
本実施形態においては、第1の部分631及び第2の部分632は、平面視にて、前記副走査方向(図中x方向)と平行な長手方向を有する縞状(帯状)に形成されている。
【0142】
図3に示されているように、第1の部分631及び第2の部分632は、搬送電極63aの長手方向に沿って並ぶように設けられている。そして、第1の部分631と第2の部分632とが交互に位置するように、搬送配線基板63が構成されている。
【0143】
<レーザープリンタの動作>
次に、上述のように構成されたレーザープリンタ1による動作について、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0144】
<<給紙動作>>
まず図1を参照すると、図示しない給紙トレイ上に積載された用紙Pの先端が、レジストローラ21まで送られる。このレジストローラ21にて、用紙Pの斜行が補正されるとともに、搬送タイミングが調整される。その後、用紙Pは、転写位置TPまで給送される。
【0145】
<<潜像形成面上へのトナー像の担持>>
上述のように用紙Pが転写位置TPに向けて搬送されている間に、感光体ドラム3の周面である潜像形成面LS上に、以下のようにしてトナーTによる像が担持される。
【0146】
<<<静電潜像の形成>>>
感光体ドラム3の潜像形成面LSは、まず、帯電器4によって、正極性に一様に帯電される。
【0147】
帯電器4によって帯電された潜像形成面LSは、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向(時計回り)の回転により、スキャナーユニット5と対向する(正対する)位置であるスキャン位置SPまで、前記副走査方向に沿って移動する。
【0148】
図2を参照すると、スキャン位置SPにて、画像情報に基づいて変調されたレーザービームLBが、前記主走査方向に沿って走査されつつ、潜像形成面LSに照射される。このレーザービームLBの変調状態に応じて、潜像形成面LS上の正電荷が消失する部分が生じる。これにより、潜像形成面LS上に、正電荷のパターン(画像状分布)による静電潜像LIが形成される。
【0149】
潜像形成面LSに形成された静電潜像LIは、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向(時計回り)の回転により、トナー供給装置6と対向する位置に向かって移動する。
【0150】
<<<帯電トナーの搬送・供給>>>
図2を参照すると、トナー電界搬送体62における複数の搬送電極63aに対して、電圧が進行波状に印加される。これにより、トナー搬送面TTS上には、所定の進行波状の電界が形成される。この進行波状の電界により、正帯電のトナーTが、トナー搬送面TTS上にて、トナー搬送方向TTDに沿って搬送される。
【0151】
図4は、図2に示されている電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形を示したグラフである。図5は、図2に示されているトナー搬送面TTSの周辺を拡大して示す側断面図である。なお、図2において、電源回路VAと接続されている搬送電極63aは、図5において、搬送電極63aAと示されている。搬送電極63aBないし搬送電極63aDも同様である。
【0152】
以下、正帯電のトナーTが、トナー搬送面TTS上における、トナー搬送方向TTDの搬送の様子について、図4及び図5を参照しつつ説明する。
【0153】
図4に示されているように、各電源回路VAないしVDから、ほぼ同一波形の交流電圧が、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に位相が90°ずつ遅れるように出力される。
【0154】
図4における時点t1においては、図5の(A)に示されているように、搬送電極63aAと搬送電極63aBとの間の位置であるAB間位置にて、トナー搬送方向TTDと逆向き(図5におけるxと反対の方向)の電界EF1が形成される。
【0155】
一方、搬送電極63aCと搬送電極63aDとの間の位置であるCD間位置には、トナー搬送方向TTDと同じ向き(図5におけるx方向)の電界EF2が形成される。
【0156】
また、搬送電極63aBと搬送電極63aCとの間の位置であるBC間位置、及び搬送電極63aDと搬送電極63aAとの間の位置であるDA間位置には、トナー搬送方向TTDに沿った方向の電界が形成されない。
【0157】
すなわち、時点t1においては、前記AB間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDと逆向きの静電力を受ける。
【0158】
また、前記BC間位置及び前記DA間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDに沿った方向の静電力をほとんど受けない。
【0159】
また、前記CD間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDと同じ向きの静電力を受ける。
【0160】
よって、時点t1においては、正帯電のトナーTは、前記DA間位置に集められる。同様に、時点t2においては、正帯電のトナーTは、前記AB間位置に集められる。次いで、時点t3になると、正帯電のトナーTは、前記BC間位置に集められる。
【0161】
すなわち、トナーTが集められる領域が、時間の経過に伴い、トナー搬送面TTS上を、トナー搬送方向TTDに沿って移動していく。
【0162】
このように、各搬送電極63aに対して、図4に示されているような電圧が印加されることで、トナー搬送面TTS上にて、進行波状の電界が形成される。これにより、正帯電したトナーTが、図中y方向にホッピングしつつ、トナー搬送方向TTDに沿って搬送される。
【0163】
図2を参照すると、対向配線基板65によるトナーTの搬送動作も、上述のような、搬送配線基板63によるトナーTの搬送動作と同様である。
【0164】
<<<静電潜像の現像>>>
図2を参照すると、上述のようにして、正帯電のトナーTが、トナー搬送面TTS上にて、トナー搬送方向TTDに搬送される。これにより、当該トナーTは、現像位置DPに供給される。
【0165】
この現像位置DPの近傍にて、トナーTによって、潜像形成面LSに形成された静電潜像LIが現像される。すなわち、潜像形成面LS上であって、静電潜像LIにおける正電荷が消失した部分に、トナーTが付着する。これにより、トナーTによる画像(以下、「トナー像」と称する。)が、潜像形成面LS上に担持される。
【0166】
<<潜像形成面から用紙へのトナー像の転写>>
図1を参照すると、上述のようにして感光体ドラム3の潜像形成面LS上に担持されたトナー像は、当該潜像形成面LSが図中矢印で示されている方向(時計回り)に回転することにより、転写位置TPに向けて搬送される。そして、この転写位置TPにて、トナー像が、潜像形成面LSから用紙P上に転写される。
【0167】
<実施形態の構成による作用・効果>
本実施形態の構成においては、搬送電極63aの長手方向(z方向:図3における横方向)に沿って並んでいる第1の部分631と第2の部分632とで、搬送電極支持表面63b1とトナー搬送面TTSとの間の構造が異なる。すると、トナー搬送面TTSにおける、第1の部分631と第2の部分632とで、電界の状態(強度及び/又は方向)が異なり得る。
【0168】
これにより、第1の部分631と第2の部分632との境界の近傍にて、トナー搬送面TTSにて生じる上述の進行波状の電界に、前記長手方向(z方向:図3における横方向)に沿った成分が生じ得る。すなわち、トナー搬送面TTSにて生じる上述の進行波状の電界に、前記主走査方向に沿った成分が生じ得る。
【0169】
よって、帯電したトナーTは、トナー搬送面TTS上にて、前記長手方向(前記主走査方向)に沿った方向にも移動し得ることになる。すなわち、帯電したトナーTは、図3にて2点鎖線で示されているように、蛇行しながら図中x方向に移動し得る。
【0170】
ここで、例えば、トナーボックス61内にて、トナーTの凝集が発生することがあり得る。このようなトナーTの凝集等により、トナー搬送の初期における搬送量(トナー搬送面TTSのトナー搬送方向TTDにおける最上流部に対するトナーTの供給量)に、前記用紙幅方向に沿った「ばらつき」が生じることがあり得る。
【0171】
もっとも、本実施形態の構成によれば、上述のように、トナーTが蛇行し得る。これにより、前記最上流部にて前記用紙幅方向に沿って発生した搬送量のばらつきが、効果的に解消され得る。すなわち、トナー搬送面TTSにおける、進行波電界によるトナーTの搬送量の、前記用紙幅方向(前記主走査方向)に沿ったばらつきが、効果的に抑制され得る。
【0172】
これにより、前記主走査方向についての供給量のムラが可及的に抑制された状態で、正帯電したトナーTが、現像位置DPに対して供給され得る。したがって、潜像形成面LS上に形成されたトナー像の、前記用紙幅方向(前記主走査方向)についての濃度ムラが、可及的に抑制され得る。
【0173】
<搬送配線基板の構成の実施例>
次に、上述の実施形態の搬送配線基板63のより具体的な構成(実施例)について、図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0174】
図6は、図3に示されている第1の部分631及び第2の部分632の第1の実施例の構成を示す断面図である。すなわち、図6は、図3におけるA−A断面を一部拡大した断面図である。
【0175】
図6に示されているように、本実施例における第1の部分631は、第1搬送電極コーティング層631cを備えている。第1搬送電極コーティング層631cは、第1トナー搬送面TTS1を有している。
【0176】
また、本実施例における第2の部分632は、第2搬送電極コーティング層632cを備えている。第2搬送電極コーティング層632cは、第2トナー搬送面TTS2を有している。
【0177】
そして、第1搬送電極コーティング層631cは、第2搬送電極コーティング層632cとは異なる比誘電率を有する材質から構成されている(なお、第1搬送電極コーティング層631cと第2搬送電極コーティング層632cとは、同一の厚さに形成されている。)。
【0178】
すなわち、第1の部分631における、第1トナー搬送面TTS1と搬送電極支持表面63b1との間の構造は、一定の厚さの金属膜からなる搬送電極63aと、一定の厚さの誘電体膜からなる第1搬送電極コーティング層631cと、を積層した構造である。
【0179】
一方、第2の部分632における、第2トナー搬送面TTS2と搬送電極支持表面63b1との間の構造は、一定の厚さの金属膜からなる搬送電極63aと、一定の厚さの誘電体膜であって第1搬送電極コーティング層631cとは異なる比誘電率を有する第2搬送電極コーティング層632cと、を積層した構造である。
【0180】
この第1の実施例の構成による作用・効果は、下記の第2の実施例の構成による作用・効果と同様である。よって、以下に、第2の実施例の構成及びその作用・効果について詳細に説明する。
【実施例2】
【0181】
図7は、図3に示されている第1の部分631及び第2の部分632の第2の実施例の構成を示す断面図である。
【0182】
図7に示されているように、本実施例においても、上述の第1の実施例と同様に、第1の部分631が第1搬送電極コーティング層631cを備えていて、第2の部分632が第2搬送電極コーティング層632cを備えている。そして、第1搬送電極コーティング層631cは、第2搬送電極コーティング層632cとは異なる比誘電率を有する材質から構成されている。
【0183】
さらに、本実施例においては、搬送電極63aと、第1搬送電極コーティング層631c及び第2搬送電極コーティング層632cとの間には、中間層63dが設けられている。本実施例においては、中間層63dは、ほぼ一定の厚さに形成されている。
【0184】
すなわち、第1の部分631における、第1トナー搬送面TTS1と搬送電極支持表面63b1との間の構造は、一定の厚さの金属膜からなる搬送電極63aと、一定の厚さの中間層63dと、一定の厚さの誘電体膜からなる第1搬送電極コーティング層631cと、を積層した構造である。
【0185】
一方、第2の部分632における、第2トナー搬送面TTS2と搬送電極支持表面63b1との間の構造は、一定の厚さの金属膜からなる搬送電極63aと、一定の厚さの中間層63dと、一定の厚さの誘電体膜であって第1搬送電極コーティング層631cとは異なる比誘電率を有する第2搬送電極コーティング層632cと、を積層した構造である。
【0186】
実施例2の構成について、有限要素法によってシミュレーションした結果を、図8及び図9に示す。この図8及び図9のシミュレーションにおいては、搬送電極63aの電位を+150V又は−150Vとし、第1搬送電極コーティング層631c及び中間層63dの比誘電率を3、第2搬送電極コーティング層632cの比誘電率を400とした。
【0187】
図8は、図3におけるxy平面における電位分布図(低電位ほど濃い色で示されている)である。
【0188】
また、図9は、図3におけるyz平面における電位分布(同上)及び電界の状態(電界の方向は矢印の方向で、電界の大きさは矢印の長さで示されている)を示す図である。なお、図9は、図8における左から2番目の搬送電極63aの、x方向における略中央における、yz平面と平行な断面の、電位分布及び電界の状態を示すものとする。
【0189】
図9に示されているように、本実施例の構成においては、前記用紙幅方向(z軸方向)に沿って配列された、互いに比誘電率の異なる第1搬送電極コーティング層631cと第2搬送電極コーティング層632cとの境界の近傍にて、前記用紙幅方向(z軸方向)の成分を有する電界が形成されている。
【0190】
これにより、上述のように、第1トナー搬送面TTS1及び第2トナー搬送面TTS2上にて、トナーT(図2参照)が蛇行し得る。
【実施例3】
【0191】
図10は、図3に示されている第1の部分631及び第2の部分632の第3の実施例の構成を示す断面図である。
【0192】
図10に示されているように、本実施例における第1の部分631は、第1中間層631dを備えている。また、本実施例における第2の部分632は、第2中間層632dを備えている。
【0193】
そして、第1中間層631dは、第2中間層632dとは異なる比誘電率を有する材質から構成されている(なお、第1中間層631dと第2中間層632dとは、同一の厚さに形成されている。)。
【0194】
すなわち、第1の部分631における、トナー搬送面TTSと搬送電極支持表面63b1との間の構造は、一定の厚さの金属膜からなる搬送電極63aと、一定の厚さの誘電体層からなる第1中間層631dと、一定の厚さの誘電体膜からなる搬送電極コーティング層63cと、を積層した構造である。
【0195】
一方、第2の部分632における、トナー搬送面TTSと搬送電極支持表面63b1との間の構造は、一定の厚さの金属膜からなる搬送電極63aと、一定の厚さの誘電体層であって第1中間層631dとは異なる比誘電率を有する第2中間層632dと、一定の厚さの誘電体膜からなる搬送電極コーティング層63cと、を積層した構造である。
【0196】
かかる構成によっても、上述の各実施例と同様に、第1の部分631と第2の部分632との境界の近傍にて、前記用紙幅方向(z軸方向)の成分を有する電界が形成される。
【実施例4】
【0197】
図11は、図3に示されている第1の部分631及び第2の部分632の第4の実施例の構成を示す断面図である。
【0198】
図11に示されているように、本実施例における第1の部分631は、第1搬送電極コーティング層631cと、第1中間層631dと、を備えている。また、本実施例における第2の部分632は、第2搬送電極コーティング層632cと、第2中間層632dと、を備えている。
【0199】
本実施例における第1搬送電極コーティング層631cと第2搬送電極コーティング層632cとは、同一の材質によって一体に成形されている。すなわち、第1搬送電極コーティング層631cと第2搬送電極コーティング層632cとは、同一の比誘電率の材質によって構成されている。
【0200】
同様に、本実施例における第1中間層631dと第2中間層632dとは、同一の材質によって一体に成形されている。すなわち、第1中間層631dと第2中間層632dとは、同一の比誘電率の材質によって構成されている。また、第1中間層631d及び第2中間層632dは、第1搬送電極コーティング層631c及び第2搬送電極コーティング層632cとは異なる比誘電率を有する材質によって構成されている。
【0201】
本実施例における第1中間層631dは、第2中間層632dよりも厚く形成されている。一方、本実施例における第1搬送電極コーティング層631cは、第2搬送電極コーティング層632cよりも薄く形成されている。
【0202】
そして、第1搬送電極コーティング層631cと第1中間層631dとの厚さの合計が、第2搬送電極コーティング層632cと第2中間層632dとの厚さの合計と等しくなるように、第1の部分631及び第2の部分632が構成されている。
【0203】
すなわち、第1の部分631における、トナー搬送面TTSと搬送電極支持表面63b1との間の構造は、一定の厚さの金属膜からなる搬送電極63aと、誘電体層からなる第1中間層631dと、この第1中間層631dとは異なる比誘電率を有する誘電体膜からなる第1搬送電極コーティング層631cと、を積層した構造である。
【0204】
一方、第2の部分632における、トナー搬送面TTSと搬送電極支持表面63b1との間の構造は、一定の厚さの金属膜からなる搬送電極63aと、第1中間層631dと同一の材質で異なる厚さの誘電体層からなる第2中間層631dと、この第2中間層631dとは異なる比誘電率を有し第1搬送電極コーティング層631cと同一の材質で異なる厚さの誘電体膜からなる第2搬送電極コーティング層632cと、を積層した構造である。
【0205】
かかる構成によっても、上述の各実施例と同様に、第1の部分631と第2の部分632との境界の近傍にて、前記用紙幅方向(z軸方向)の成分を有する電界が形成される。
【実施例5】
【0206】
図12は、図3に示されている第1の部分631及び第2の部分632の第5の実施例の構成を示す断面図である。
【0207】
図12に示されているように、本実施例における第1の部分631は、第1搬送電極コーティング層631cと、中間層63dと、補助中間層631eと、を備えている。また、本実施例における第2の部分632は、第2搬送電極コーティング層632cと、中間層63dと、を備えている。
【0208】
本実施例における第1搬送電極コーティング層631cと第2搬送電極コーティング層632cとは、同一の材質によって一体に成形されている。すなわち、第1搬送電極コーティング層631cと第2搬送電極コーティング層632cとは、同一の比誘電率の材質によって構成されている。一方、本実施例における第1搬送電極コーティング層631cは、第2搬送電極コーティング層632cよりも薄く形成されている。
【0209】
また、第1搬送電極コーティング層631cと補助中間層631eとの厚さの合計が、第2搬送電極コーティング層632cの厚さと等しくなるように、第1の部分631及び第2の部分632が構成されている。
【0210】
補助中間層631eは、第1搬送電極コーティング層631c、第2搬送電極コーティング層632c、及び中間層63dとは異なる比誘電率を有する材質によって構成されている。
【0211】
かかる構成によっても、上述の各実施例と同様に、第1の部分631と第2の部分632との境界の近傍にて、前記用紙幅方向(z軸方向)の成分を有する電界が形成される。
【実施例6】
【0212】
図13は、図3に示されている第1の部分631及び第2の部分632の第6の実施例の構成を示す断面図である。
【0213】
図13に示されているように、搬送電極63aの、第1の部分631に対応する位置には、突起部63a1が形成されている。すなわち、本実施例においては、第1の部分631と第2の部分632とで、搬送電極63aの厚さが異なるように、第1の部分631及び第2の部分632が構成されている。
【0214】
この突起部63a1の形状には、特に限定はない。例えば、突起部63a1は、搬送電極63aの本体部(突起部63a1以外の薄肉の部分)と同一の厚さの層状の突起として形成されていてもよい。あるいは、突起部63a1は、導体の微粒子から構成されていてもよい。
【0215】
このような、突起部63a1を備えた搬送電極63aは、例えば、金属ペーストをスクリーン印刷法で塗布することによって簡単に形成され得る。
【0216】
かかる構成によっても、上述の各実施例と同様に、第1の部分631と第2の部分632との境界の近傍にて、前記用紙幅方向(z軸方向)の成分を有する電界が形成される。
【0217】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態及び実施例は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態及び実施例を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態や実施例に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態や実施例に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0218】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態や実施例にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態や実施例と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
【0219】
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたもの限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0220】
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
【0221】
(1)本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。
【0222】
あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式(例えば、感光体を用いないトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等)の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
【0223】
(2)上述の実施形態において、各電源回路VA〜VDが発生する電圧の波形は、矩形状波形であったが、正弦波状波形や三角状波形等の他の形状の波形であってもよい。
【0224】
また、上記実施形態は、4つの電源回路VA〜VDを備えるとともに各電源回路VA〜VDが発生する電圧の位相が90°ずつ異なるように構成されていたが、3つの電源回路を備えるとともに各電源回路が発生する電圧の位相が120°ずつ異なるように構成されていてもよい。
【0225】
(3)上述の各実施例は、互いに組み合わせられ得る。あるいは、適宜変容され得る。
【0226】
すなわち、例えば、図11ないし図13における中間層63d、第1中間層631d、第2中間層632dは、省略され得る。
【0227】
あるいは、図10における搬送電極コーティング層63cに代えて、図9における第1搬送電極コーティング層631c及び第2搬送電極コーティング層632cが適用され得る。
【0228】
あるいは、図11及び図12における、第1搬送電極コーティング層631cの比誘電率と第2搬送電極コーティング層632cの比誘電率とが異なり得る。
【0229】
あるいは、図11及び図12における、第1中間層631dの比誘電率と第2中間層632dの比誘電率とが異なり得る。
【0230】
あるいは、図6、図7、図11、及び図12における、搬送電極63aに代えて、図13における搬送電極63aが適用され得る。
【0231】
(4)搬送配線基板63は、図3に示されているような、第1の部分631と第2の部分632とが、平面視にて、前記副走査方向に沿った多数の縞状(帯状)に配列されている構成に限定されない。
【0232】
例えば、第1の部分631が、前記用紙幅方向における両端部にのみ形成されていて、一対の第1の部分631の間に第2の部分632が形成されていてもよい。あるいは、逆に、第2の部分632が、前記用紙幅方向における両端部にのみ形成されていて、一対の第2の部分632の間に第1の部分631が形成されていてもよい。
【0233】
図14ないし図19は、図3に示されている搬送配線基板63の変形例の構成を示す平面図である。
【0234】
例えば、図14に示されているように、第1の部分631と第2の部分632とが、平面視にて、前記副走査方向と交差する斜め縞状に配列され得る。
【0235】
あるいは、図15や図16に示されているように、第1の部分631と第2の部分632とが、平面視にて、互いに隣り合うように配置された多角形状(平行四辺形状)に形成され得る。
【0236】
ここで、図15に示されているように、第1の部分631と第2の部分632とが、搬送電極63aの長手方向と平行な方向に交互に配列されていてもよい。あるいは、図16に示されているように、第1の部分631と第2の部分632とが、搬送電極63aの長手方向と交差する方向に交互に配列されていてもよい。
【0237】
あるいは、図17に示されているように、第1の部分631が、平面視にて、互いに交差する第1の縞及び第2の縞を構成するように設けられ得る。この場合、第2の部分632は、平面視にて、第1の部分631によって囲まれた部分、すなわち、上述の第1の縞と第2の縞との間で囲まれた部分から構成され得る。
【0238】
あるいは、図18に示されているように、第1の部分631と第2の部分632とが、ランダムに配列され得る。この場合、第1の部分631及び第2の部分632の、平面視における形状も、複数種類に形成され得る。
【0239】
あるいは、搬送電極支持表面63b1とトナー搬送面TTSとの間の構造が異なる3つ以上の部分が、互いに隣り合うように構成されていてもよい。
【0240】
具体的には、例えば、図19に示されているように、第1の部分631と第2の部分632と第3の部分633とが、平面視にて、互いに隣り合うように配置された六角形状に形成され得る。
【0241】
(5)対向配線基板65は、上述の実施形態、各実施例、及び各変形例の搬送配線基板63と同様に構成され得る。あるいは、対向配線基板65は、部分的又は全体的に省略され得る。
【0242】
(6)その他、いちいち言及しないが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、これら以外の種々の変形が可能である。
【0243】
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。
【符号の説明】
【0244】
1…レーザープリンタ
3…感光体ドラム(静電潜像担持体・現像剤担持体)
6…トナー供給装置(現像剤供給装置)
31…ドラム本体
32…感光層
61…トナーボックス
61a…頂板
62…トナー搬送体(現像剤電界搬送装置)
63…搬送配線基板
63a…搬送電極
63a1…突起部
63b…搬送電極支持フィルム(電極支持部材)
63b1…搬送電極支持表面
63c…搬送電極コーティング層(電極被覆部材)
63d…中間層
631…第1の部分
631c…第1搬送電極コーティング層
631d…第1中間層
631e…補助中間層
632…第2の部分
632c…第2搬送電極コーティング層
632d…第2中間層
633…第3の部分
CS…対向配線基板表面
DP…現像位置(最近接位置)
LB…レーザービーム
LI…静電潜像
LS…潜像形成面(現像剤担持面)
P…用紙
T…トナー
TTD…トナー搬送方向
TTS…トナー搬送面(現像剤搬送面)
TTS1…第1トナー搬送面
TTS2…第2トナー搬送面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0245】
【特許文献1】特開昭63−13074号公報
【特許文献2】特公平5−31146号公報
【特許文献3】特開2002−351218号公報
【特許文献4】特開2003−15417号公報
【特許文献5】特開2004−157259号公報
【特許文献6】特開2004−340996号公報
【特許文献7】特開2005−275127号公報
【特許文献8】特開平4−318575号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の主走査方向と平行に形成されていて電位分布による静電潜像が形成され得るように構成された潜像形成面を有するとともに、当該潜像形成面が前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って移動し得るように構成された、静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体と対向するように配置されていて、現像剤を帯電した状態で前記潜像形成面に供給し得るように構成された現像剤供給装置と、
を備えた画像形成装置であって、
前記現像剤供給装置は、
前記副走査方向に沿って配列されていて、前記副走査方向と交差する方向の長手方向を有し、進行波状の電圧が印加されることで前記現像剤を所定の現像剤搬送方向に搬送し得るように構成された、複数の搬送電極と、
前記搬送電極をその表面上に支持するように構成された、電極支持部材と、
前記電極支持部材の前記表面及び前記搬送電極を覆うように形成され、前記主走査方向と平行で前記潜像形成面と対向する現像剤搬送面を備えた、電極被覆部材と、
前記電極被覆部材と前記搬送電極との間に形成された中間層と、
を備え、
前記中間層は、比誘電率が異なる第1の部分と第2の部分とが、前記搬送電極の前記長手方向に沿って並ぶように形成されていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、前記副走査方向に沿った縞状に配列されていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、互いに隣り合うように配置された多角形状に形成されていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、前記副走査方向と交差する斜め縞状に配列されていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記第1の部分又は前記第2の部分のいずれか一方が、平面視にて、互いに交差する第1の縞及び第2の縞を構成するように設けられていて、
前記第1の部分又は前記第2の部分の前記一方と異なる他方が、平面視にて、前記第1の縞と前記第2の縞との間で囲まれた部分から構成されていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記第1の部分と前記第2の部分とが、ランダムに配列されていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記搬送電極は、前記第1の部分と前記第2の部分とで、その厚さが異なるように形成されていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記搬送電極の、前記第1の部分に対応する位置には、突起部が形成されていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項9】
所定の主走査方向と平行な面であって現像剤が担持され得る現像剤担持面を有するとともに当該現像剤担持面が前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って移動し得る現像剤担持体に対して、前記現像剤を帯電した状態で所定の現像剤搬送方向に沿って供給し得るように構成された、現像剤供給装置において、
前記副走査方向に沿って配列されていて、前記副走査方向と交差する方向の長手方向を有し、進行波状の電圧が印加されることで前記現像剤を所定の現像剤搬送方向に搬送し得るように構成された、複数の搬送電極と、
前記搬送電極をその表面上に支持するように構成された、電極支持部材と、
前記電極支持部材の前記表面及び前記搬送電極を覆うように形成され、前記主走査方向と平行で前記現像剤担持面と対向する現像剤搬送面を備えた、電極被覆部材と、
前記電極被覆部材と前記搬送電極との間に形成された中間層と、
を備え、
前記中間層は、比誘電率が異なる第1の部分と第2の部分とが、前記搬送電極の前記長手方向に沿って並ぶように形成されていることを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項10】
請求項9に記載の現像剤供給装置であって、
前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、前記副走査方向に沿った縞状に配列されていることを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項11】
請求項9に記載の現像剤供給装置であって、
前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、互いに隣り合うように配置された多角形状に形成されていることを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項12】
請求項9に記載の現像剤供給装置であって、
前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、前記副走査方向と交差する斜め縞状に配列されていることを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項13】
請求項9に記載の現像剤供給装置であって、
前記第1の部分又は前記第2の部分のいずれか一方が、平面視にて、互いに交差する第1の縞及び第2の縞を構成するように設けられていて、
前記第1の部分又は前記第2の部分の前記一方と異なる他方が、平面視にて、前記第1の縞と前記第2の縞との間で囲まれた部分から構成されていることを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項14】
請求項9ないし請求項13のいずれかに記載の現像剤供給装置であって、
前記第1の部分と前記第2の部分とが、ランダムに配列されていることを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項15】
請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の現像剤供給装置であって、
前記搬送電極は、前記第1の部分と前記第2の部分とで、その厚さが異なるように形成されていることを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項16】
請求項9ないし請求項15のいずれかに記載の現像剤供給装置であって、
前記搬送電極の、前記第1の部分に対応する位置には、突起部が形成されていることを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項17】
帯電した現像剤を、電界により所定の現像剤搬送方向に沿って搬送し得るように構成された、現像剤電界搬送装置において、
当該現像剤電界搬送装置と対向して配置された現像剤担持体の表面であって前記現像剤が担持される面としての現像剤担持面の移動方向である副走査方向に沿って配列されていて、前記副走査方向と交差する方向の長手方向を有し、進行波状の電圧が印加されることで前記現像剤を前記現像剤搬送方向に搬送し得るように構成された、複数の搬送電極と、
前記搬送電極をその表面上に支持するように構成された、電極支持部材と、
前記電極支持部材の前記表面及び前記搬送電極を覆うように形成され、前記副走査方向と直交する主走査方向と平行で前記現像剤担持面と対向する現像剤搬送面を備えた、電極被覆部材と、
前記電極被覆部材と前記搬送電極との間に形成された中間層と、
を備え、
前記中間層は、比誘電率が異なる第1の部分と第2の部分とが、前記搬送電極の前記長手方向に沿って並ぶように形成されていることを特徴とする、現像剤電界搬送装置。
【請求項18】
請求項17に記載の現像剤電界搬送装置であって、
前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、前記副走査方向に沿った縞状に配列されていることを特徴とする、現像剤電界搬送装置。
【請求項19】
請求項17に記載の現像剤電界搬送装置であって、
前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、互いに隣り合うように配置された多角形状に形成されていることを特徴とする、現像剤電界搬送装置。
【請求項20】
請求項17に記載の現像剤電界搬送装置であって、
前記第1の部分と前記第2の部分とが、平面視にて、前記副走査方向と交差する斜め縞状に配列されていることを特徴とする、現像剤電界搬送装置。
【請求項21】
請求項17に記載の現像剤電界搬送装置であって、
前記第1の部分又は前記第2の部分のいずれか一方が、平面視にて、互いに交差する第1の縞及び第2の縞を構成するように設けられていて、
前記第1の部分又は前記第2の部分の前記一方と異なる他方が、平面視にて、前記第1の縞と前記第2の縞との間で囲まれた部分から構成されていることを特徴とする、現像剤電界搬送装置。
【請求項22】
請求項17ないし請求項21のいずれかに記載の現像剤電界搬送装置であって、
前記第1の部分と前記第2の部分とが、ランダムに配列されていることを特徴とする、現像剤電界搬送装置。
【請求項23】
請求項17ないし請求項22のいずれかに記載の現像剤電界搬送装置であって、
前記搬送電極は、前記第1の部分と前記第2の部分とで、その厚さが異なるように形成されていることを特徴とする、現像剤電界搬送装置。
【請求項24】
請求項17ないし請求項23のいずれかに記載の現像剤電界搬送装置であって、
前記搬送電極の、前記第1の部分に対応する位置には、突起部が形成されていることを特徴とする、現像剤電界搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図3】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−288820(P2009−288820A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212757(P2009−212757)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【分割の表示】特願2006−254962(P2006−254962)の分割
【原出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】