説明

現像流動性評価装置

【課題】複写機やプリンタなどの現像部の現像ローラ上のトナー層または現像剤層の層状態を光学的に評価する方法。
【解決手段】現像ローラ上に形成されるトナー層または現像剤層の表面にレーザ光を照射しその反射光を検出する測定手段、該測定手段に隣接しトナーまたは現像剤を吸引する吸引手段、測定手段と吸引手段を高精度に任意の現像ローラ位置に駆動する駆動手段を有し、該現像ローラ上に形成されるトナー層または現像剤層の表面にレーザ光を照射しその反射光を検出し、その後レーザ照射した場所のトナーまたは現像剤を吸引し、さらに吸引後のレーザ照射した同じ場所の現像ローラ表面に該測定手段を用いてレーザ光を照射してその反射光を検出し、現像ローラの同じ位置でのトナー層または現像剤層の吸引前後の反射光の違いにより現像ローラ上のトナー層または現像剤層の評価を行なうことを特徴とする現像流動性評価装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1成分現像または2成分現像装置に用いるトナー層または現像剤層の評価手段に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真関連の技術として、特許文献1(特開平01−203941号公報)には、磁場が印加されたロートの狭部を通過して落下するのに要する時間を測定することにより、現像剤の流動性を正確に評価する方法が記載されている。また、特許文献2(特開平04−116449号公報)には、傾斜可能な板の上にトナーを載せ、板を徐々に傾けていき、流れ始めるときと流れ終えたときの角度を測定することが記載されている。さらに、特許文献3(特開2000−292967号公報)には、篩を何段かに重ねて、その上にトナーを投入して、篩部分に水平方向と垂直方向の振動を与え、一定時間後の各篩部に残ったトナー量に予め設定された係数を乗算して算出する方法が記載されている。
しかし、これらの方式は、データのバラツキが大きく、測定者による差があり、細かいトナー間の流動性の違いを評価することはできなかった。また、これらの方式は、トナーまたは現像剤の流れを測定するもので、一番重要な現像域でのトナー層や現像剤層の状態を評価するものではない。
本発明では、現像ローラ上のトナー層または現像剤層の層状態を評価し、ドット再現性の良い、画像濃度ムラや縦筋などの無い、長期安定性に優れているトナー、現像剤を提供する。それにより、粒状性の良い高画質が安定して得られる。
【0003】
【特許文献1】特開平01−203941号公報
【特許文献2】特開平04−116449号公報
【特許文献3】特開2000−292967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複写機やプリンタなどの画質は、高画質化が進んでおり、最近では細かいドットの再現性が非常に重要になってきている。このドットの再現性は、トナーや現像剤の帯電量などの他に流動性が非常に重要になり、細かい潜像部に均一なトナー層または現像剤層を安定して供給することが必要になる。
また、高画質化が進むにつれて、それに用いられるトナーにおいては、小粒径化、高機能化が進んでいる。そのため、トナーの構造が複雑になってきており、従来より細かい作製時の制御が必要となってきている。また、現像剤を構成するキャリアにおいても、高画質化を達成するために小粒径化が進み、キャリア付着などの問題が生じないように磁性材料やコート剤の検討が進んでいる。特に、現像剤の流動性はドット再現性をはじめ、全ての画像品質に影響を与えるため、評価の面では個人差のない、精度の高い評価法が必要とされている。
本発明では、複写機やプリンタなどの現像部の現像ローラ上のトナー層または現像剤層の層状態を光学的に評価する方法を提供し、トナー層や現像剤層の層状態が均一になるようにし、いつでもドット再現性の良い高画質が安定して得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の本発明により解決される。
(1)「複写機やプリンタ等に用いる現像装置における現像ローラ上に形成されるトナー層または現像剤層の表面にレーザ光を照射しその反射光を検出する測定手段、該測定手段に隣接しトナーまたは現像剤を吸引する吸引手段、測定手段と吸引手段を高精度に任意の現像ローラ位置に駆動する駆動手段を有し、該現像ローラ上に形成されるトナー層または現像剤層の表面にレーザ光を照射しその反射光を検出し、その後レーザ照射した場所のトナーまたは現像剤を吸引し、さらに吸引後のレーザ照射した同じ場所の現像ローラ表面に該測定手段を用いてレーザ光を照射してその反射光を検出し、現像ローラの同じ位置でのトナー層または現像剤層の吸引前後の反射光の違いにより現像ローラ上のトナー層または現像剤層の評価を行なうことを特徴とする現像流動性評価装置」、
(2)「現像ローラ上のトナー層または現像剤層の表面にレーザ光を照射し、その反射光位置変化から現像ローラ上のトナー層の高さを測定し、その後レーザ照射した場所のトナーまたは現像剤を吸引し、さらに吸引後のレーザ照射した同じ場所の現像ローラ表面にレーザ光を照射し、その反射光位置変化から現像ローラ上の高さを測定し、現像ローラの同じ位置でのトナー層または現像剤層の吸引前後の高さの違いにより現像ローラ上のトナー層または現像剤層の高さを評価することを特徴とする前記第(1)項に記載の現像流動性評価装置」、
(3)「前記レーザ光のレーザ照射パワーが0.1〜10mWであることを特徴とする前記第(1)項に記載の現像流動性評価装置」、
(4)「前記レーザ光のレーザスポット径が10〜500μmであることを特徴とする前記第(1)項に記載の現像流動性評価装置」、
(5)「前記レーザ光を照射しその反射光を検出する測定手段のワークディスタンスが5〜30mmであることを特徴とする前記第(1)項に記載の現像流動性評価装置」、
(6)「前記トナーまたは現像剤を吸引する吸引手段の吸引速度が10〜60l/minであることを特徴とする前記第(1)項に記載の現像流動性評価装置」、
(7)「前記トナーまたは現像剤を吸引する吸引手段の吸込み口の面積が4〜20mmであることを特徴とする前記第(1)項に記載の現像流動性評価装置」、
(8)「前記測定手段と吸引手段を高精度に任意の現像ローラ位置に駆動する駆動手段の精度が1〜20μmであることを特徴とする前記第(1)項に記載の現像流動性評価装置」、
(9)「平均粒径が4〜10μmのトナーまたはキャリアの平均粒径が20〜65μmである現像剤を用いたことを特徴とする前記第(1)項に記載の現像流動性評価装置」、
(10)「現像ローラ上のトナー層または現像剤層の表面にレーザ光を照射し、その反射光位置変化から現像ローラ上のトナー層の高さを測定し、その後レーザ照射した場所のトナーまたは現像剤を吸引し、さらに吸引後のレーザ照射した同じ場所の現像ローラ表面にレーザ光を照射し、その反射光位置変化から現像ローラ上の高さを測定し、現像ローラの同じ位置でのトナー層または現像剤層の吸引前後の高さの違いにより現像ローラ上のトナー層または現像剤層の高さを評価することを特徴とする現像流動性評価方法」、
(11)「前記第(10)項に記載の評価法を用いて、トナーまたは現像剤の流動性を評価することを特徴とする流動性評価装置」。
【発明の効果】
【0006】
現像装置における現像ローラ上に形成されるトナー層または現像剤層の表面にレーザ光を照射しその反射光を検出する測定手段、該測定手段に隣接してトナーまたは現像剤を吸引する吸引手段、測定手段と吸引手段を高精度に任意の現像ローラ位置に駆動する駆動手段を有し、該現像ローラ上に形成されるトナー層または現像剤層の表面にレーザ光を照射しその反射光を検出し、その後レーザ照射した場所のトナーまたは現像剤を吸引し、さらに吸引後のレーザ照射した同じ場所の現像ローラ表面に該測定手段を用いてレーザ光を照射してその反射光を検出し、現像ローラの同じ位置でのトナー層または現像剤層の吸引前後の反射光の違いにより現像ローラ上のトナー層または現像剤層の評価を行なうことにより、いつでも安定したドット再現性の良い高画質が得られるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、前記のように、現像装置における現像ローラ上に形成されるトナー層または現像剤層の表面にレーザ光を照射しその反射光を検出する測定手段、該測定手段に隣接してトナーまたは現像剤を吸引する吸引手段、測定手段と吸引手段を高精度に任意の現像ローラ位置に駆動する駆動手段を有し、該現像ローラ上に形成されるトナー層または現像剤層の表面にレーザ光を照射しその反射光を検出し、その後レーザ照射した場所のトナーまたは現像剤を吸引し、さらに吸引後のレーザ照射した同じ場所の現像ローラ表面に該測定手段を用いてレーザ光を照射してその反射光を検出し、現像ローラの同じ位置でのトナー層または現像剤層の吸引前後の反射光の違いにより現像ローラ上のトナー層または現像剤層の評価を行なうことを特徴とする現像流動性評価装置に係るものである。
【0008】
その評価手段例(測定手段例)とこれを用いた評価方法例の概要について説明すると、評価手段は、図1に示すように、半導体レーザ、該レーザからのレーザー光を集光して測定対象物面に照射する集光レンズ、測定対象物面からの反射光を、受光レンズを介して受光する光位置検出用CCD等から成る。レーザ波長はCCDなどの受光素子の感度領域との関係で測定ができれば、どんな波長域のものでも良いが、できれば人間の目に見える波長が良い。コンパクト性からLDが良い。レーザ光の照射により、トナー層や現像剤層の表面状態が変化すれば問題になるので、レーザパワーが0.1〜10mWの必要がある。10mWより大きくなれば、トナーが熱の影響を受け変質し、画像劣化を招く。
【0009】
レーザパワーが0.1mWより小さければ、反射光量が小さくなり、信号を検出できなくなる。本発明はトナー層や現像剤層の層状態を評価することにあるので、レーザスポット径がトナーやキャリア径より大きいことが必要になる。スポット径の最適な範囲は、10μm〜500μmである。10μmより小さくなると層状態を非常に部分的に観察していることになり、平均的なデータとしての採用が難しくなり、フィードバックの状況が適切でなくなる。500μmより大きくなると、検出素子が大きくなり、コストやスペースの問題が生じる。
【0010】
光位置検出用CCDなどの受光素子は、レーザの波長に対応した素子を選択する必要がある。CCDのほかにビジコン、MOS型イメージセンサなどがあるが、できるだけコンパクトな素子が適している。また、光位置および光量の測定ができるように集積化する必要がある。レーザ波長と受光素子との関係は以下のようになる。可視域ではSiフォトダイオード、GaAsPフォトダイオード、可視光導電素子、近赤外域ではSiフォトダイオード、Siフォトトランジスタ、InGaAsフォトダイオード、Geフォトダイオード、フォトIC、赤外域ではPbS素子、PbSe素子、MgCdTe素子などがある。
光学系としては、図1のようになり、トナー層または現像剤層に対する受光素子の方向は、入射角度に対して正反射方向でなくても良い。現像部のレイアウトに応じて最適な位置を選択すべきである。
【0011】
レーザ光を用いて変位量を測定する原理は、図1のように三角測量を用いるもので次のようになる。半導体レーザビームは集光レンズを用いて集光され、測定対象物に照射される。そして、対象物から拡散反射されたビームは受光レンズを通して光位置検出素子上にスポットを結ぶ。その際、測定物の高さ方向の変位が変化するのに対応して、光位置検出素子上のスポット位置が変化する。つまり、そのスポット位置を検出することにより高さ変位を求めることができる。本方式の高さ変位の分解能は0.05μm位であり、トナー層または現像剤層の層状態制御には問題ない。
予め、複数の標準トナー又は標準現像剤について、層厚と光位置検出素子上のスポット位置変位の検量線を作成しておき、被測定試料についての測定結果と対比することにより、被測定試料の表面状態を評価することもできる。
また、本測定手段のワークディスタンスは5〜30mmが適している。5mmより小さくなるとトナーや現像剤層の極近傍に本測定手段が位置することになり、層状態の影響を強く受け、トナーや現像剤が光学系に接触する可能性が強まり、光学系への汚染の原因となり測定には適していない。30mmより大きくなると、位置検出の精度が悪くなり、測定手段サイズや装置が大きくなり無駄なスペースの問題が生じる。
【0012】
本発明の現像流動性評価装置は図2のようにレーザ光学系を用いた測定手段、これに隣接配置された吸引手段、および、該測定手段と吸引手段を搭載せる高精度移動ステージから成り、現像ローラ上に形成されるトナー層または現像剤層の表面にレーザ光を照射しその反射光を検出し、その後、吸引手段により、レーザ照射した場所のトナーまたは現像剤を吸引し、さらに、吸引後のレーザ照射した同じ場所の現像ローラ表面に該測定手段を戻し、該測定手段を用い、レーザ光を照射してその反射光を検出し、現像ローラの同じ位置でのトナー層または現像剤層の吸引前後の反射光の違いにより現像ローラ上のトナー層または現像剤層の評価を行なう。
トナーまたは現像剤を吸引する吸引手段の吸引速度は10〜60l/minであるのが適しており、吸引速度が10l/min未満の場合には現像ローラ表面にトナーまたは現像剤が残ってしまい正確な測定ができない。また、吸引速度が60l/minより大きい場合には他の場所の余分な場所のトナーおよび現像剤を吸引してしまうので、正確な分布状態が評価できず問題となる。
トナーまたは現像剤を吸引する吸引手段の吸込み口の面積は4〜20mmが適しており、吸込み口の面積が4mm未満の場合には吸引するトナーおよび現像剤量が少ないため、バラツキが大きくなり、正確な評価が難しくなる。吸込み口の面積が20mmより大きい場合には局所的な評価が難しくなり、問題となる。
【0013】
測定手段と吸引手段は高精度移動ステージ上に設置され、そのステージをボールネジを用いた駆動方式で高精度に任意の現像ローラ位置に駆動する。本発明の装置ではその移動ステージの駆動精度は1〜20μmであることが必要である。駆動精度が1μm未満の場合、スキャン速度が遅くなり、測定時間がかかる問題が生じる。駆動精度が20μmより大きい場合には、スキャン方向の位置精度が悪くなり、同じ位置での吸引前後の反射光の違いによるトナーおよび現像剤の層評価の正確度が低下する。
【0014】
トナーや現像剤の現像流動性と受光素子の出力との関係は以下のようになり、その関係からトナーや現像剤の現像流動性を判断する。トナーや現像剤の現像流動性が優れている場合には、トナー層または現像剤層の高さ変位が大きくなり、高さ変位バラツキが小さくなる。また、トナーや現像剤の現像流動性が劣っている場合には、トナー層または現像剤層の高さ変位が小さくなり、高さ変位バラツキが大きくなる。具体的には、実施例に述べる。しかし、これらの傾向は、測定系により変化するので、この限りではない。
【0015】
その受光素子の出力信号から、トナーや現像剤の現像流動性を判断した後、トナーや現像剤の現像流動性が劣っている場合には、トナーや現像剤の処方や作製条件を変化させる必要がある。特に、トナーに関してはトナー層の表面処理との関係で粉体特性が非常に敏感で、表面状態の変化に応じて粉体特性が大きく変化する。また、合わせて現像条件をトナーや現像剤の現像流動性の結果から、変化させる必要がある。つまり、高画質の状態を維持するために、トナーや現像剤を安定して現像ローラ上に搬送させる必要がある。現像条件には色々な条件があるが、一番トナー層や現像剤層の状態を変化させることができるのが、規制板の条件である。例えば、現像剤移送手段上又は現像スリーブ上を移送される現像剤量(層厚)又はトナー量(層厚)を規制する規制板の圧力を変化したり、ギャップを変化したりする。それが難しい場合には、供給条件を変化させる。供給用のローラがある場合には、供給ローラの回転数を変化させたり、供給ローラと現像ローラとのギャップを狭めたりする。他には、攪拌ローラの回転数を変化したり、2成分現像方式の場合にはトナー濃度を変化したりすることも可能である。現像条件は微妙であるので、どの条件を変化させるにしても、微細な制御が必要である。そのため、多数毎ランニング時でも変化が小さい安定した現像条件を求める必要がある。
【0016】
本現像装置に用いるトナーまたは現像剤は、高画質の現像を可能にするため、トナーの平均粒径が4〜10μm、キャリアの平均粒径が20〜65μmである。本トナーの重量平均粒径は4〜10μmであり、さらに好ましくは5〜7μmである。重量平均粒径4μm未満では長期間の使用でのトナー飛散による機内の汚れ、低湿環境下での画像濃度低下、感光体クリーニング不良等という問題が生じやすく、人体への影響も懸念される。重量平均粒径が10μmを超える場合では100μm以下の微小スポットの解像度が充分でなく非画像部への飛び散りも多く画像品位が劣る傾向となる。
キャリアの平均粒径が20〜65μmの範囲にあると、現像機内部のトナー濃度が2〜10重量%の範囲内において、トナーの帯電量をより均一にすることができる。20μmより小さくさるとキャリア粒子の感光体上への付着等が生じやすく、さらにトナーとの撹拌効率が悪くなりトナーの均一な帯電量が得られにくくなる。逆に、キャリアの平均粒径が65μmを超える場合では、細かい画像再現性が悪くなり、高画質は得られない。
【0017】
トナーおよび現像剤の詳細を以下に示す。
樹脂としては、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等がある。
【0018】
ビニル樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体:スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体:ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等がある。
【0019】
ポリエステル樹脂としては以下のA群に示したような2価のアルコールと、B群に示したような二塩基酸塩からなるものであり、さらにC群に示したような3価以上のアルコールあるいはカルボン酸を第三成分として加えてもよい。
【0020】
A群:エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4ブテンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等。
【0021】
B群:マレイン酸、フマール酸、メサコニン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、リノレイン酸、またはこれらの酸無水物または低級アルコールのエステル等。
【0022】
C群:グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール、トリメリト酸、ピロメリト酸等の3価以上のカルボン酸等。
【0023】
ポリオール樹脂としては、エポキシ樹脂と2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物、もしくはそのグリシジルエーテルとエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、エポキシ樹脂と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるものなどがある。
【0024】
本発明で用いる顔料としては以下のものが用いられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
また、橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等がある。
これらは1種または2種以上を使用することができる。
特にカラートナーにおいては、良好な顔料の均一分散が必須となり、顔料を直接大量の樹脂中に投入するのではなく、一度高濃度に顔料を分散させたマスターバッチを作製し、それを希釈する形で投入する方式が用いられている。この場合、一般的には、分散性を助けるために溶剤が使用されていたが、環境等の問題があり、本発明では水を使用して分散させた。水を使用する場合、マスターバッチ中の残水分が問題にならないように、温度コントロールが重要になる。
【0025】
本発明のトナーには電荷制御剤をトナー粒子内部に配合(内添)している。しかし、トナー粒子と混合(外添)して用いても良い。電荷制御剤によって、現像システムに応じた最適の電荷量コントロールが可能となり、特に本発明では、粒度分布と電荷量とのバランスを更に安定したものとすることが可能である。
トナーを正電荷性に制御するものとして、ニグロシンおよび四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系染料、イミダゾール金属錯体や塩類を、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。また、トナーを負電荷性に制御するものとしてサリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等が用いられる。
【0026】
また、本発明におけるトナーではオイルレス定着を実現し、定着時のオフセット防止のために離型剤を内添する。
離型剤としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキルリン酸エステル等がある。
これら離型剤の融点は65〜90℃であることが好ましい。この範囲より低い場合には、トナーの保存時のブロッキングが発生しやすくなり、この範囲より高い場合には定着ローラー温度が低い領域でオフセットが発生しやすくなる場合がある。
【0027】
添加剤としてはSi、Ti、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、In、Ga、Ni、Mn、W、Fe、Co、Zn、Cr、Mo、Cu、Ag、V、Zr等の酸化物や複合酸化物が挙げられる。これらのうち二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、アルミナの微粒子が好適に用いられる。
【0028】
本発明に係るトナーを作製する方法としては、粉砕法、重合法(懸濁重合、乳化重合分散重合、乳化凝集、乳化会合等)等があるが、これらの作製法に限るものではない。
粉砕法の一例としては、まず、前述した樹脂、着色剤としての顔料または染料、電荷制御剤、離型剤、その他の添加剤等を混合機により充分に混合した後、混練機により混練する。圧延冷却後、混練物を粗粉砕し、更に微粉砕機により微粉砕し、分級機により所定の粒度に分級する。その後、粒子表面を表面処理して、トナーを得る。
また、重合法の一例としては、モノマーに着色剤及び電荷制御剤等を添加したモノマー組成物を水系の媒体中で懸濁し重合させることでトナー粒子を得る。トナー粒子表面には、添加剤を付着または固着させる。また、カプセル化したトナーでも良い。
【0029】
二成分現像剤として使用する場合は、磁性キャリアと所定の混合比率で混合することによって二成分現像剤とする。キャリアとしては公知のものが使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉、マグネタイト粉の如き磁性粒子あるいはこれら磁性粒子の表面をフッ素系樹脂、ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂等で処理したもの、あるいは磁性粒子が樹脂中に分散されている磁性粒子分散樹脂粒子等が挙げられる。
また、磁性トナーとする場合には、トナー粒子の中に磁性体の微粒子を内添すれば良い。磁性体としては、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル、コバルト、それらの合金などの強磁性体等が考えられる。
【0030】
本トナーは、接触または非接触現像方式に使用する1成分現像剤として用いる。接触または非接触現像方式は色々な公知のものが使用される。例えば、アルミスリーブを用いた接触現像法、導電性ゴムベルトを用いた接触現像法、アルミ素管の表面にカーボンブラック等を含む導電性樹脂層を形成した現像スリーブを用いる非接触現像法等がある。
また、1成分現像方式において、トナー供給部の出口にトナー層を均一にするためのローラー状の規制部材を設けた現像方式を用いても良い。本方式の場合には、薄くて均一なトナー層の形成が可能である。
また、1成分現像方式において、トナー供給部の中にトナーのくみ上げ量を安定化するための供給ローラを設けた現像方式を用いても良い。本方式の場合には、安定した画像出力が可能である。
【0031】
また、トナー層または現像剤層の層状態をレーザ光を用いた測定手段および吸引手段を用いて評価するという方法は、トナーや現像剤の流動性を評価する方法としても使用でき、流動性評価装置として用いることができる。流動性が良い場合には高さ変位が高くて均一な層状態になり、流動性が悪い場合には高さ変位が低くて不均一な層状態になることで評価する。
現像剤の評価の場合には、現像スリーブ内部のマグネットの磁力を1000G以下に弱くして、流動性に及ぼす磁力の影響を小さくして現像剤自体の流動性が評価できるようにした方が良い。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。現像流動性評価装置の光学条件、吸引条件及び駆動条件は以下のようになり、トナーの種類を変えてトナー層状態を評価した。
<光学条件>
・レーザ:LD(λ=780nm)
・レーザパワー:1mW
・レーザスポット径:20μm
・ワークディスタンス:10mm
<吸引条件>
・吸引速度:30l/min
・吸込み口の形:1×10mm
<駆動条件>
・駆動精度:10μm
・駆動範囲:50mm〜100mm
・測定ステップ:1mm
【0033】
本実施例では、以下のトナー層形成条件で現像ローラ上のトナー層を形成し、トナー層状態を評価した。
<トナー層形成条件>
・現像ローラ材質:ゴム
・現像ローラ速度:100mm/s
・規制方式:ドクターローラ(ゴム材質、固定)
・供給方式:供給ローラ(スポンジ材質)
・供給ローラ速度:100mm/s
なお、以下の配合における部数は全て重量部である。
【0034】
<実施例1>
樹脂:ポリエステル樹脂 100部
(ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物テレフタル酸、
コハク酸誘導体から合成されたポリエステル)
着色剤:カーボンブラック(#44;三菱化学社製) 10部
帯電制御剤:サルチル酸亜鉛塩(ボントロンE84、オリエント化学) 5部
離型剤:低分子量ポリエチレン 5部
上記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機によりバレル温度100℃、混練機回転数110rpmで溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤:シリカ微粉末(R972;日本アエロジル社製) 1.8部
:酸化チタン微粉末(MT−150A;テイカ社製) 0.3部
混合回転数:2500rpm
混合時間:120sec
混合機:Qミキサー
本トナーを作製した後、本評価法により現像ローラ上トナー層の高さ分布を測定した結果、図3のようになり、現像部流動性が優れていることが分かった。
【0035】
<実施例2>
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤:シリカ微粉末(R972;日本アエロジル社製) 2.2部
:酸化チタン微粉末(MT−150A;テイカ社製) 0.3部
混合回転数:2500rpm
混合時間:120sec
混合機:Qミキサー
本トナーを作製した後、本評価法により現像ローラ上トナー層の高さ分布を測定した結果、図3のようになり、現像部流動性が余り良くないことが分かった。
【0036】
<実施例3>
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤:シリカ微粉末(R972;日本アエロジル社製) 1.0部
:酸化チタン微粉末(MT−150A;テイカ社製) 0.3部
混合回転数:2500rpm
混合時間:120sec
混合機:Qミキサー
本トナーを作製した後、本評価法により現像ローラ上トナー層の高さ分布を測定した結果、図3のようになり、現像部流動性が悪いことが分かった。
【0037】
<実施例4>
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤:シリカ微粉末(R972;日本アエロジル社製) 1.4部
:酸化チタン微粉末(MT−150A;テイカ社製) 0.3部
混合回転数:2500rpm
混合時間:120sec
混合機:Qミキサー
本トナーを作製した後、本評価法により現像ローラ上トナー層の高さ分布を測定した結果、図3のようになり、現像部流動性が良いことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】測定系の概要を示す図である。
【図2】現像流動性評価装置の概要を示す図である。
【図3】現像ローラ上トナー層の高さ分布を測定した結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複写機やプリンタ等に用いる現像装置における現像ローラ上に形成されるトナー層または現像剤層の表面にレーザ光を照射しその反射光を検出する測定手段、該測定手段に隣接しトナーまたは現像剤を吸引する吸引手段、測定手段と吸引手段を高精度に任意の現像ローラ位置に駆動する駆動手段を有し、該現像ローラ上に形成されるトナー層または現像剤層の表面にレーザ光を照射しその反射光を検出し、その後レーザ照射した場所のトナーまたは現像剤を吸引し、さらに吸引後のレーザ照射した同じ場所の現像ローラ表面に該測定手段を用いてレーザ光を照射してその反射光を検出し、現像ローラの同じ位置でのトナー層または現像剤層の吸引前後の反射光の違いにより現像ローラ上のトナー層または現像剤層の評価を行なうことを特徴とする現像流動性評価装置。
【請求項2】
現像ローラ上のトナー層または現像剤層の表面にレーザ光を照射し、その反射光位置変化から現像ローラ上のトナー層の高さを測定し、その後レーザ照射した場所のトナーまたは現像剤を吸引し、さらに吸引後のレーザ照射した同じ場所の現像ローラ表面にレーザ光を照射し、その反射光位置変化から現像ローラ上の高さを測定し、現像ローラの同じ位置でのトナー層または現像剤層の吸引前後の高さの違いにより現像ローラ上のトナー層または現像剤層の高さを評価することを特徴とする請求項1に記載の現像流動性評価装置。
【請求項3】
前記レーザ光のレーザ照射パワーが0.1〜10mWであることを特徴とする請求項1に記載の現像流動性評価装置。
【請求項4】
前記レーザ光のレーザスポット径が10〜500μmであることを特徴とする請求項1に記載の現像流動性評価装置。
【請求項5】
前記レーザ光を照射しその反射光を検出する測定手段のワークディスタンスが5〜30mmであることを特徴とする請求項1に記載の現像流動性評価装置。
【請求項6】
前記トナーまたは現像剤を吸引する吸引手段の吸引速度が10〜60l/minであることを特徴とする請求項1に記載の現像流動性評価装置。
【請求項7】
前記トナーまたは現像剤を吸引する吸引手段の吸込み口の面積が4〜20mmであることを特徴とする請求項1に記載の現像流動性評価装置。
【請求項8】
前記測定手段と吸引手段を高精度に任意の現像ローラ位置に駆動する駆動手段の精度が1〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載の現像流動性評価装置。
【請求項9】
平均粒径が4〜10μmのトナーまたはキャリアの平均粒径が20〜65μmである現像剤を用いたことを特徴とする請求項1に記載の現像流動性評価装置。
【請求項10】
現像ローラ上のトナー層または現像剤層の表面にレーザ光を照射し、その反射光位置変化から現像ローラ上のトナー層の高さを測定し、その後レーザ照射した場所のトナーまたは現像剤を吸引し、さらに吸引後のレーザ照射した同じ場所の現像ローラ表面にレーザ光を照射し、その反射光位置変化から現像ローラ上の高さを測定し、現像ローラの同じ位置でのトナー層または現像剤層の吸引前後の高さの違いにより現像ローラ上のトナー層または現像剤層の高さを評価することを特徴とする現像流動性評価方法。
【請求項11】
請求項10に記載の評価法を用いて、トナーまたは現像剤の流動性を評価することを特徴とする流動性評価装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−63416(P2009−63416A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231395(P2007−231395)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】