説明

現像用キャリア、現像剤、及び画像形成装置

【課題】従来よりも磁性粒子を現像用キャリアの表面に露出しにくくすることが可能な、新規かつ改良された現像用キャリア、現像剤、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像用キャリア1は、磁性粒子2と、磁性粒子2の表面に形成される非架橋性樹脂層3と、非架橋性樹脂層3内の磁性粒子2の表面またはその近傍に偏在し、非架橋性樹脂層3を構成する非架橋性樹脂よりも硬く、平均粒径が200nm〜1μmであり、投影面積が非架橋性樹脂層3の表面積の5〜40%であるスペーサ用粒子5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像用キャリア、現像剤、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式を用いた画像形成は、帯電、露光、現像、転写、定着という工程を有する。現像方式により、大きく1成分現像方式と2成分現像方式に分類されるが、2成分現像方式は、トナーと帯電付与機能を持たせた現像用キャリアとを混合することで帯電制御を行うため、安定性に優れるという理由で広く採用されている。
【0003】
特許文献1、2は、このような現像用キャリアとして、磁性粒子と、この磁性粒子の表面に形成された樹脂層とを備える現像用キャリアを開示する。特許文献1、2に記載された現像用キャリアは、他の現像用キャリアとの摩擦等によって、表面の樹脂層を磨耗させることができるので、表面をリフレッシュすることができる。このため、特許文献1、2に記載された現像用キャリアは、その特性(例えば、トナーへの帯電付与特性)を初期状態に近い状態に維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−214847号公報
【特許文献2】特開2004−333931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2記載の現像用キャリアには、樹脂層の摩耗が進行することによって現像用キャリアの表面に磁性粒子が露出するという問題があった。磁性粒子が現像用キャリアの表面に露出すると、現像用キャリアの特性が大幅に変化し、画像濃度の低下、トナー飛散、かぶりといった画像品質の劣化が生じやすくなる。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、従来よりも磁性粒子を現像用キャリアの表面に露出しにくくすることが可能な、新規かつ改良された現像用キャリア、現像剤、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、磁性粒子と、磁性粒子の表面に形成される非架橋性樹脂層と、非架橋性樹脂層に含まれ、磁性粒子の表面及び表面近傍の少なくとも一方に偏在し、非架橋性樹脂層を構成する非架橋性樹脂よりも硬く、平均粒径が200nm〜1μmであり、投影面積が非架橋性樹脂層の表面積の5〜40%であるスペーサ用粒子と、を備え、前記投影面積は、以下の式(2)で表されることを特徴とする、現像用キャリアが提供される。
【0008】
=nπr …(2)
:スペーサ用粒子の投影面積、n:現像用キャリアの1つあたりに含まれるスペーサ用粒子の数、r:スペーサ用粒子の平均半径
【0009】
この現像用キャリアによれば、非架橋性樹脂層を構成する非架橋性樹脂よりも硬いスペーサ用粒子が磁性粒子の表面及び表面近傍の少なくとも一方に遍在するので、非架橋性樹脂層の表面が磁性粒子の表面近傍に達するまでは、非架橋性樹脂層が磨耗することで、現像用キャリアの表面がリフレッシュされる。これにより、現像用キャリアは、初期状態(非架橋性樹脂層が磨耗されておらず、かつ、その表面がトナー等によって汚染されていない状態)に近い特性(例えば、帯電付与特性)を維持する。そして、現像用キャリアは、非架橋性樹脂層の摩耗が進んでその表面が磁性粒子の表面近傍に達した後は、スペーサ用粒子によって、その後の摩耗速度を低減することができる。
【0010】
したがって、現像用キャリアは、従来よりも磁性粒子を現像用キャリアの表面に露出しにくくすることができる。
【0011】
さらに、スペーサ用粒子の平均粒径が200nm〜1μmなので、現像用キャリアは、スペーサ用粒子が磁気粒子の表面の凹凸に埋まることを防止し、かつ、スペーサ用粒子が現像用キャリアの表面に露出するタイミングを遅らせることができる。
【0012】
さらに、スペーサ用粒子の投影面積が非架橋性樹脂層の表面積の5〜40%であるので、現像用キャリアは、スペーサ用粒子の機能を確保しつつ、スペーサ用粒子によって非架橋性樹脂層の特性が大きく変化しないようにすることができる。
【0013】
ここで、スペーサ用粒子の抵抗は、磁性粒子よりも高く、スペーサ用粒子の平均粒径は、非架橋性樹脂層の平均層厚の1/2以下であってもよい。
【0014】
この観点による現像用キャリアによれば、スペーサ用粒子の抵抗が磁性粒子よりも高くなっているので、スペーサ用粒子が現像用キャリアの表面に露出した際の電気抵抗の低下量が、磁性粒子が現像用キャリアの表面に露出した際の電気抵抗の低下量よりも小さくなる。即ち、この観点による現像用キャリアは、磁性粒子が現像用キャリアの表面に露出することによる電気抵抗の急激な低下を防止するとともに、スペーサ用粒子が現像用キャリアの表面に露出した際の電気抵抗の変動量も低く抑えることができる。
【0015】
さらに、スペーサ用粒子の平均粒径が非架橋性樹脂層の平均層厚の1/2以下となっているので、現像用キャリアは、スペーサ用粒子が現像用キャリアの表面に露出するタイミングを遅らせることができる。
【0016】
また、非架橋性樹脂層は、磁性粒子の表面に形成され、非架橋性樹脂を含む第1の樹脂層と、第1の樹脂層の表面に形成され、非架橋性樹脂を含む第2の樹脂層とを含み、スペーサ用粒子の第1の樹脂層への偏在率は、60%以上であり、第1の樹脂層を構成する非架橋性樹脂は、第2の樹脂層を構成する非架橋性樹脂と同一の樹脂であり、第1の樹脂層の層厚は、非架橋性樹脂層の層厚の1/2以下であってもよい。
【0017】
このような現像用キャリアによれば、スペーサ用粒子の第1の樹脂層への偏在率が60%以上であるので、第1の樹脂層が現像用キャリアの表面に露出した後には、摩耗速度が抑えられる。
【0018】
さらに、第1の樹脂層を構成する非架橋性樹脂は、第2の樹脂層を構成する非架橋性樹脂と同一の樹脂であるので、第1の樹脂層と第2の樹脂層との境界面での特性の変化が抑えられる。
【0019】
さらに、第1の樹脂層の層厚は非架橋性樹脂層の層厚の1/2以下であるので、現像用キャリアは、第1の樹脂層が露出するタイミング、すなわちスペーサ用粒子が露出するタイミングを遅らせることができる。
【0020】
また、スペーサ用粒子は、架橋性樹脂粒子であってもよい。
【0021】
このような現像用キャリアによれば、スペーサ用粒子の特性が非架橋性樹脂の特性に近くなるので、スペーサ用粒子が露出しても、現像用キャリアの特性の変化が低く抑えられる。
【0022】
また、非架橋性樹脂層を構成する非架橋性樹脂は非架橋アクリル系樹脂であり、架橋性樹脂粒子を構成する架橋性樹脂は、架橋性アクリル系樹脂であってもよい。
【0023】
このような現像用キャリアによれば、スペーサ用粒子の特性が非架橋性樹脂の特性により近くなる。
【0024】
また、スペーサ用粒子は、無機粒子であってもよい。
【0025】
このような現像用キャリアによれば、非架橋性樹脂層の摩耗が進んで無機粒子が現像用キャリアの表面に露出した際に、無機粒子によって、その後の摩耗速度を低減することができる。
【0026】
また、非架橋性樹脂層を構成する非架橋性樹脂は非架橋アクリル系樹脂であってもよい。
【0027】
このような現像用キャリアによれば、スペーサ用粒子が露出するまでは、非架橋アクリル系樹脂からなる非架橋性樹脂層が磨耗することで、初期状態に近い特性が維持される。そして、現像用キャリアは、非架橋性樹脂層の摩耗が進んで無機粒子が現像用キャリアの表面に露出した際に、無機粒子によって、その後の摩耗速度を低減することができる。
【0028】
また、本発明の別の観点によれば、上記の現像用キャリアと、現像用キャリアの表面に付着したトナーと、を備えることを特徴とする、現像剤が提供される。
【0029】
このような現像剤は、上記の現像用キャリアを含むので、その特性をより長期間維持することができる。
【0030】
また、本発明のさらに別の観点によれば、上記の現像剤を用いて、感光体ドラムにトナー像を形成することを特徴とする、画像形成装置が提供される。
【0031】
このような画像形成装置は、上記の現像剤を用いて感光体ドラムにトナー像を形成するので、より長期間にわたって、均質な印刷物を提供することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように本発明に係る現像用キャリアは、従来よりも磁性粒子を現像用キャリアの表面に露出しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る現像用キャリアの概略構成を示す断面図である。
【図2】同実施形態に係る非架橋性樹脂層の平均層厚を測定する方法を示す断面図である。
【図3】同実施形態に係るスペーサ用粒子の硬さを測定する方法を示す側面図である。
【図4】現像用キャリアを適用した画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0035】
<現像用キャリアの概略構成>
まず、図1に基づいて、現像用キャリア1の概略構成を説明する。現像用キャリア1は、磁性粒子2と、非架橋性樹脂層3と、スペーサ用粒子5とを備える。
[磁性粒子2について]
磁性粒子2を構成する磁性材料は、従来公知いずれのものも使用することができるが、例えば、フェライトまたはマグネタイトを使用することが好ましい。他のキャリア芯材として、例えば鉄粉が知られているが、鉄粉の場合は比重が大きいためトナーを劣化させやすいので、フェライトやマグネタイトの方が安定性に優れている。
【0036】
フェライトは、下記化学式1で表される化合物である。ここで、下記化学式1において、Mは、Cu、Zn、Fe、Mg、Mn、Ca、Li、Ti、Ni、Sn、Sr、Al、Ba、Co、Mo等から選ばれる少なくとも1種の元素である。またXおよびYは、質量mol比を示し、かつ条件X+Y=100を満たす。
【0037】
(MO)(Fe ・・・(化学式1)
【0038】
また、Mは、Li、Mg、Ca、Mn、Sr、Snの1種もしくは数種の組み合わせであり、それら以外の成分の含有量が1質量%以下であるフェライト粒子であることが好ましい。Cu、Zn、Ni元素は、添加することにより低抵抗になり易く、電荷漏洩が起こり易い。また、樹脂被覆が困難となる傾向にあり、また環境依存性も悪くなる傾向にある。さらに、これらの元素は重金属であり、キャリアに与えるストレスが強くなり、保存性に対して悪影響を与えることがある。また、安全性の観点から、近年ではMn元素やMg元素を添加するものが一般に普及している。
【0039】
本実施形態に係る磁性粒子2としては、フェライト芯材が更に好適であり、磁性粒子2の原料としては、Feを必須成分として、更に用いられる磁性粒子としては、マグネタイト、マグヘマイトなどの強磁性酸化鉄粒子粉末、鉄以外の金属(Mn、Ni、Zn、Mg、Cu等)を1種または2種以上含有するスピネルフェライト粒子粉末、バリウムフェライトなどのマグネットプランバイト型フェライト粒子粉末、表面に酸化被膜を有する鉄や鉄合金の粒子粉末を挙げることができる。
【0040】
また、本実施形態で使用される磁性粒子2は、原料のフェライト等を造粒、乾燥した後、加熱処理による焼成処理を行い、形成された焼成物を解砕、分級する工程を経て作製することができる。ここで、焼成処理工程は、造粒乾燥して得られた粒子を容器に投入し、当該容器を焼成炉に配置して焼成を行うものである。
【0041】
[非架橋性樹脂層3について]
非架橋性樹脂層3は、磁性粒子2の表面に形成され、非架橋性樹脂を含む第1の樹脂層4と、第1の樹脂層4の表面7に形成され、非架橋性樹脂を含む第2の樹脂層6とで構成される。
【0042】
第1の樹脂層4を構成する非架橋性樹脂は、非架橋アクリル系樹脂である。第2の樹脂層6を構成する非架橋性樹脂は、第1の樹脂層4を構成する非架橋アクリル系樹脂と同一の樹脂である。もちろん、第1の樹脂層4を構成する非架橋性樹脂は、アクリル系樹脂以外であってもよい。また、第2の樹脂層6を構成する非架橋性樹脂は、第1の樹脂層4を構成する非架橋性樹脂と異なっていてもよい。
【0043】
ここで、アクリル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、スチレン系単量体(a)および単官能(メタ)アクリル系単量体(b)を含有する単量体を重合して得られる樹脂が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」とは、「メタクリル」または「アクリル」を表す。
【0044】
スチレン系単量体(a)としては、特に制限されないが、例えば、スチレン,oーメチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、αーメチルスチレン、p−エチルスチレン、2、4ージメチルスチレン、pーnーブチルスチレン、p−tertーブチルスチレン、pーnーヘキシルスチレン、pーnーオクチルスチレン、pーn−ノニルスチレン、p−n−テンシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−フェニルスチレン、3、4ージシクロシルスチレン等が挙げられ、中でも、スチレンが好ましい。これらのスチレン系単量体は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0045】
スチレン系単量体(a)から導かれる構成単位の含有量は、特に制限されないが、スチレン−アクリル樹脂全量中に50質量%以上含まれることが好ましい。この含有量が50質量%以上の場合に、定着性が良好となる傾向にある。また、この含有量の下限値は、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。
【0046】
単官能(メタ)アクリル系単量体(b)としては、特に制限されないが、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタアクリル酸、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ステアリル等が挙げられる。
【0047】
単官能(メタ)アクリル系単量体(b)から導かれる構成単位の含有量は、特に制限されないが、スチレン−アクリル樹脂全量中5〜50質量%の範囲が好ましい。この含有量が5質量%以上の場合に、定着性が向上する傾向にあり、50質量%以下の場合に、保存性が向上する傾向にある。また、この含有量の下限値は、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。また、この上限値は、40質量%以下がより好ましく、30質量%が特に好ましい。
【0048】
スチレン−アクリル樹脂としては、上記の成分(a)および成分(b)以外にも、多官能ビニル系単量体から導かれる構成単位を含有してもよい。多官能ビニル系単量体としては、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であれば、特に制限されない。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ビスフェノールA誘導体のジ(メタ)アクリル酸、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能化合物は、1種または2種以上を併用して使用される。
【0049】
多官能ビニル系単量体の中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(c)が特に好ましい。トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(c)から導かれる構成単位の含有量は、特に制限されないが、スチレン−アクリル樹脂全量中0.05〜3質量%が好ましい。この含有量が、0.05質量%以上の場合に耐高温オフセット性が向上する傾向にあり、3質量%以下の場合に低温定着性が向上する傾向となる。この下限値は、0.1質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が特に好ましい。またこの上限値は、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
【0050】
スチレン−アクリル樹脂は、上記の多官能ビニル系単量体から導かれる構成単位以外にも、その他のビニル系単量体から導かれる構成単位を含有してもよい。その他のビニル系単量体としては、特に制限されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ケイヒ酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル等の不飽和モノカルボン酸モノエステル等のカルボキシル基含有ビニル単量体等が挙げられる。
【0051】
表1に、本実施形態において好適に使用される非架橋アクリル系樹脂を列挙する。いずれも、日本ペイント株式会社製である。
【表1】

【0052】
第1の樹脂層4の平均層厚は、非架橋性樹脂層3の平均層厚(即ち、第1の樹脂層4と第2の樹脂層6との総層厚)の1/2以下となっている。
【0053】
第1の樹脂層4と第2の樹脂層6とはいずれも非架橋性樹脂を含む層なので、第1の樹脂層4が現像用キャリア1の表面に露出しても、現像用キャリア1は、初期状態(非架橋性樹脂層3が磨耗されておらず、かつ、その表面がトナー等によって汚染されていない状態)に近い特性を維持する。特に、第1の樹脂層4を構成する非架橋性樹脂と第2の樹脂層6を構成する非架橋性樹脂とは同一であるので、これらの樹脂が異なっている場合よりも、初期状態に近い特性が維持される。
【0054】
しかし、後述するように、第1の樹脂層4は、スペーサ用粒子5が遍在する領域である。したがって、第1の樹脂層4が現像用キャリア1の表面に露出した際には、スペーサ用粒子5も露出する可能性が高い。
【0055】
したがって、現像用キャリア1の特性を初期状態により近い状態に維持するという観点からは、第1の樹脂層4は薄いほうが好ましい。そこで、本実施形態では、第1の樹脂層4の平均層厚が、非架橋性樹脂層3の平均層厚の1/2以下となっている。
【0056】
ここで、平均層厚の測定方法を、非架橋性樹脂層3の平均層厚の測定方法を一例として説明する。まず、図2に示すように、磁気粒子2を、公知の手法(例えば、画像解析法)によって球状の粒子に換算し、その中心点Oを特定する。次いで、中心点Oを通り、かつ、互いに45度の角度をなす4本の直線L1〜L4を定義し、これらの直線L1〜L4が非架橋性樹脂層3を通過する部分の長さd1〜d8を測定する。次いで、これらの長さd1〜d8の算術平均を算出し、これを非架橋性樹脂層3の平均層厚とする。平均層厚の測定は、例えば、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800(日立ハイテク社製)により行われる。
【0057】
[スペーサ用粒子5について]
スペーサ用粒子5は、非架橋性樹脂層3に含まれ、磁性粒子2の表面及び表面近傍の少なくとも一方に偏在している。具体的には、スペーサ用粒子5の第1の樹脂層4への偏在率が60%以上となっている。ここで、スペーサ用粒子5の第1の樹脂層4への偏在率が60%以上となっているのは、偏在率が60%未満の場合には、スペーサ用粒子5が非架橋性樹脂層3内に均一に分散している状態とほとんど変わらなくなってしまうからである。
【0058】
スペーサ用粒子5の第1の樹脂層4への偏在率は、非架橋性樹脂層3に含まれるスペーサ用粒子5のうち、第1の樹脂層4内に存在するスペーサ用粒子5の割合である。例えば、図1では、偏在率は100%となっている。なお、第1の樹脂層4及び第2の樹脂層4に跨っているスペーサ用粒子5は、第1の樹脂層4内に存在するものとして扱われる。偏在率の測定は、例えば、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800(日立ハイテク社製)により行われる。
【0059】
スペーサ用粒子5は、非架橋性樹脂層3を構成する非架橋性樹脂よりも硬くなっている。スペーサ用粒子5の硬さは、例えば、微小圧縮試験機(島津製作所製、MCT−W 501)を用いて以下のように行われる。
【0060】
即ち、図3(a)に示すように、基板11上にスペーサ用粒子5を載置し、基板11の上方から圧盤12をスペーサ用粒子5に近づけ、スペーサ用粒子5に接触させる。このときの基材11と圧盤12との距離をdとし、図3(b)に示すように、圧盤12をさらにd/10だけ下降させる。そして、このときの圧縮強度を以下の式(1)により算出し、算出された圧縮強度をスペーサ用粒子5の硬さとする。
S10=2.8P/(πd)(N/mm、MPa) …(1)
S10:圧縮強度
P:圧縮試験力(圧盤12の位置を図2(b)の位置に保持するのに必要な力)(N)
【0061】
非架橋性樹脂層3を構成する非架橋性樹脂の粒子について、上記と同様の方法により測定された硬さを100としたとき、スペーサ用粒子5の硬さは、120以上となる。
【0062】
このように、非架橋性樹脂層3を構成する非架橋性樹脂よりも硬いスペーサ用粒子5が磁性粒子2の表面近傍に遍在するので、現像用キャリア1は、非架橋性樹脂層3の表面が磁性粒子2の表面近傍(具体的には、第1の樹脂層4の表面7)に達するまでは、非架橋性樹脂層3を磨耗させることで、初期状態(非架橋性樹脂層3が磨耗されておらず、かつ、その表面がトナー等によって汚染されていない状態)に近い特性を維持することができる。そして、現像用キャリア1は、非架橋性樹脂層3の摩耗が進んでその表面が磁性粒子2の表面近傍に達した後は、スペーサ用粒子5によって、その後の摩耗速度を低減することができる。すなわち、現像用キャリア1は、スペーサ用粒子5を、現像用キャリア1の表面と磁性粒子2の表面との間隔を維持するスペーサとしての役割を持たせることができる。例えば、図1に示す場合では、現像用キャリア1の表面が第1の樹脂層4の表面7に達するまで、非架橋性樹脂層3が摩耗する。その後は、スペーサ用粒子5がスペーサの役割を果たすので、非架橋性樹脂層3の摩耗速度が低減される。
【0063】
スペーサ用粒子5の平均粒径は、200nm〜1μmである。スペーサ用粒子5の平均粒径が200nm未満である場合には、スペーサ用粒子5が磁性粒子2の表面に形成される凹凸に埋まってしまい、その役割を充分に果たせなくなってしまう。一方、スペーサ用粒子5の平均粒径が1μmを超える場合には、スペーサ用粒子5が現像用キャリア1の表面に露出しやすくなってしまう。
【0064】
ここで、平均粒径の測定方法について、スペーサ用粒子5の平均粒径を一例として説明する。すなわち、予め設定された所定数のスペーサ用粒子5の各々を、公知の手法(例えば、画像解析法)によって球状の粒子に換算し、粒径(直径)を算出する。次いで、算出された粒径の算術平均(抽出されたスペーサ用粒子5に関する算術平均)を算出し、これをスペーサ用粒子5の平均粒径とする。平均粒径の測定は、例えば、マイクロトラック(Microtrac)粒度分布測定装置MT3000II(日機装社製)により行われる。
【0065】
また、スペーサ用粒子5の投影面積は、非架橋性樹脂層3の表面積(即ち現像用キャリア1の表面積)の5〜40%である。スペーサ用粒子5の投影面積が非架橋性樹脂層3の表面積の5%未満である場合には、スペーサ用粒子5がスペーサとしての機能を充分に果たせなくなってしまい、スペーサ用粒子5の投影面積が非架橋性樹脂層3の表面積の40%を超える場合には、スペーサ用粒子5が多すぎてしまい、第1の樹脂層4が別の樹脂であるのと同様になってしまうからである。スペーサ用粒子5の投影面積は、好ましくは10〜30%である。
【0066】
ここで、スペーサ用粒子5の投影面積は、例えば、Macsorb HM model−1201(マウンテック社製)を用いたBET法によってスペーサ用粒子5の比表面積を測定した上で、以下の式(2)により算出される。即ち、スペーサ用粒子5の比表面積は、スペーサ用粒子5の単位質量あたりの表面積であるので、この値が判明すれば、1つの現像用キャリア1内に存在するスペーサ用粒子5の総質量を測定することで、1つの現像用キャリア1内に存在するスペーサ用粒子5の表面積の総和が判明する。そして、この総和が投影面積となる。
【0067】
=nπr …(2)
:スペーサ用粒子5の投影面積、n:現像用キャリア1の1つあたりに含まれるスペーサ用粒子5の数、r:スペーサ用粒子5の平均半径(=平均粒径/2)
【0068】
現像用キャリア1の表面積は、例えば、マイクロトラック(Microtrac)粒度分布測定装置MT3000II(日機装社製)により平均粒径を測定した上で、以下の式(3)により算出される。
【0069】
=4πr …(3)
:現像用キャリア1の表面積、r:現像用キャリア1の平均半径(=平均粒径/2)
【0070】
また、スペーサ用粒子5の抵抗は磁性粒子2よりも高く、スペーサ用粒子5の平均粒径は、非架橋性樹脂層3の平均層厚の1/2以下となっている。スペーサ用粒子5の抵抗が磁性粒子2よりも高くなっているので、スペーサ用粒子5が現像用キャリア1の表面に露出した際の電気抵抗の低下量が、磁性粒子2が現像用キャリア1の表面に露出した際の電気抵抗の低下量よりも小さくなる。即ち、現像用キャリア1は、磁性粒子2が現像用キャリア1の表面に露出することによる電気抵抗の急激な低下を防止するとともに、スペーサ用粒子5が現像用キャリア1の表面に露出した際の電気抵抗の変動量も低く抑えることができる。
【0071】
スペーサ用粒子5の平均粒径が非架橋性樹脂層3の平均層厚の1/2以下となっているのは、スペーサ用粒子5の平均粒径が非架橋性樹脂層3の平均層厚の1/2を超えると、スペーサ用粒子5が現像用キャリア1の表面に露出するタイミングが早くなってしまうからである。
【0072】
スペーサ用粒子5は、具体的には、架橋性樹脂粒子または無機粒子である。
【0073】
架橋性樹脂粒子は、上記のアクリル系樹脂を架橋したものであるが、好ましくは、第1の樹脂層4を構成するアクリル系樹脂を架橋したものである。ここで、本発明の架橋スチレン−(メタ)アクリル系共重合体粒子は、種々の方法により製造できる。例えば、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル系モノマー及び架橋性モノマーを含むモノマー混合物を、重合開始剤の存在下で、懸濁重合させることにより得ることができる。懸濁重合は、通常、水性媒体中で行われる。
【0074】
重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過安息香酸2−エチルヘキシル、過酸化アセチル、過酸化イソブチリル、過酸化オクタノイル、過酸化ラウロイル、過酸化ジtert−ブチル、クメンヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、4,4,6−トリメチルシクロヘキサノンジtert−ブチルペルオキシケタール、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、シクロヘキサノンジ−tert−ブチルペルオキシケタール、アセトンジ−tert−ブチルペルオキシケタール、ジイソプロピルヒドロペルオキシド等が挙げられる。重合開始剤は、モノマー混合物100質量部に対して、0.3〜5質量部の範囲で使用されることが好ましい。使用量が0.3質量部未満では、重合時間が長くなり、かつ架橋共重合体粒子の粒度分布が広くなることがある。一方、使用量が5質量部を越える場合、その使用量に見合う効果が期待できない。
【0075】
水性媒体としては、特に限定されず、水、又は水と水溶性有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。水性媒体は、モノマー混合物100質量部に対して、100〜400質量部の範囲で使用することが好ましく、120〜200質量部の範囲で使用することがより好ましい。
【0076】
また、水性媒体には界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤をいずれも使用できる。
【0077】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、コハクスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0078】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
【0079】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0080】
両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイドや、リン酸エステル系又は亜リン酸エステル系界面活性剤が挙げられる。
【0081】
上記界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。界面活性剤の添加量は、水性媒体100質量部に対して0.001〜0.05質量部とできる。
【0082】
また、架橋共重合体粒子の製造には、懸濁安定剤を用いてもよい。懸濁安定剤としては、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、酸化チタン、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ、ベンガラ、カーボンブラック、ガラス、金属粉、デンプン粉、セルロース粉、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸の金属塩、ポリメタクリル酸の金属塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
【0083】
重合温度は、70〜100℃であることが好ましく、更に好ましくは80〜90℃である。重合時間は、2〜9時間であることが好ましく、3〜6時間であることがより好ましい。
【0084】
また、重合は、通常、モノマー混合物の液滴が破壊されない程度の攪拌下で行われる。攪拌条件としては、例えば、攪拌羽根の周速度が150〜400rpmで規定される条件が挙げられる。
【0085】
得られた架橋共重合体粒子は、例えば、吸引ろ過、遠心脱水、遠心分離、加圧脱水、水洗、乾燥等の工程を経ることで、水性媒体から単離できる。
【0086】
架橋度は、溶出成分量(質量%)により表され、以下のように測定される。架橋共重合体粒子1gをTHF40mlで一晩静置し溶出させる。次に、ろ紙(ADVANTEC
No.101 185mm)で濾過した後、100℃で1時間乾燥しデシケーターで放冷する。放冷後全重量からろ紙重量を引いて、溶出しなかった試料重量(a)を算出し、架橋共重合体粒子の初期重量(b)〔1g〕から、下記式により溶出成分量(重量%)を求める。
溶出成分量(重量%)=100−(a)/(b)×100
架橋度は、25質量%以上が好ましい。25質量%未満だと、スペーサ用粒子5による効果が小さくなる。
【0087】
このように、架橋性樹脂粒子がアクリル系樹脂を架橋したものであるので、現像用キャリア1は、スペーサ用粒子5が現像用キャリア1の表面に露出した場合であっても、その特性を初期状態のものにより近づけることができる。なお、架橋性樹脂粒子は、他の樹脂を架橋したものであってもよい。
【0088】
表2に、本実施形態において好適に使用される架橋アクリル系樹脂を列挙する。いずれも、日本ペイント株式会社製である。
【表2】

【0089】
無機粒子としては、例えば、シリカ微粒子、チタニア微粒子、アルミナ微粒子、チタン酸バリウム微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
なお、スペーサ用粒子5としては、架橋性樹脂粒子の方が、無機微粒子よりも好ましい。無機微粒子の特性(帯電付与特性等)よりも架橋性樹脂粒子の特性の方が非架橋性樹脂層3の特性に近いためである。
【0091】
[現像用キャリアの製造方法]
次に、現像用キャリアの製造方法について説明する。本実施形態では、乾式コート法によって、現像用キャリア1を製造する。
【0092】
まず、攪拌槽を有し、この攪拌槽内を加温可能な撹拌混合・造粒装置(具体的には、FM20C/I(日本コークス工業)、「ターボミル」(ターボ工業社製)、ピンミル、「クリプトロン」(川崎重工社製)等のローターとライナーを有する摩砕機又は撹拌羽根付高速撹拌混合機)を用意する。
【0093】
ついで、磁性粒子2、非架橋アクリル系樹脂の粒子、スペーサ用粒子5を攪拌槽に投入し、装置を作動させる(第1段階)。攪拌槽内では、非架橋アクリル系樹脂の溶融と攪拌羽根の回転による機械的衝撃により、スペーサ用粒子5を含む非架橋アクリル系樹脂が磁性粒子2の表面に被覆される。攪拌時間は5〜40分間が好ましい。また、攪拌時の温度は、最初の5〜15分では常温とされ、残りの時間では樹脂粒子のガラス転移点Tgに対し(Tg−15)℃〜(Tg+15)の範囲とすることが好ましい。ついで、生成された粒子を少なくとも非架橋アクリル系樹脂のガラス転移温度以下の温度、好ましくは常温まで冷却する。これにより、磁性粒子2の表面に第1の樹脂層4が形成される。
【0094】
ついで、非架橋アクリル系樹脂(及び必要に応じてスペーサ用粒子5)を再度攪拌槽内に追加投入し、装置を再度作動させる(第2段階)。攪拌槽内では、非架橋アクリル系樹脂の溶融と攪拌羽根の回転による機械的衝撃により、非架橋アクリル系樹脂が第1の樹脂層4の表面に被覆される。攪拌時間は5〜40分間が好ましい。また、攪拌時の温度は、最初の5〜15分では常温とされ、残りの時間では樹脂微粒子のガラス転移点Tgに対し(Tg−15)℃〜(Tg+15)の範囲とすることが好ましい。これにより、第1の樹脂層4の表面に第2の樹脂層6が形成される。ここで、攪拌槽内に追加投入される樹脂は、第1の樹脂層4を構成する樹脂と同一のものである。なお、上記の各段階において装置に投入される非架橋アクリル系樹脂粒子の質量は、第1の樹脂層4及び第2の樹脂層6が所望の厚さとなるように調整されるが、好ましくは磁性粒子2の質量に対して0.3〜10質量%の範囲内、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲内で調整される。なお、非架橋アクリル系樹脂の質量をこのような範囲内で調整するようにしたのは、現像用キャリア1の抵抗率を調整する観点によるものである。上記の各段階において装置に投入されるスペーサ用粒子5の質量は、所望の偏在率に応じて決定される。例えば、第1の樹脂層への偏在率を90%としたい場合、スペーサ用粒子5の全投入量のうち90質量%を第1段階で投入し、残りを第2段階で投入する。
【0095】
<画像形成装置の概略構成>
現像用キャリア1は、例えば、図4に示すタンデム方式の画像形成装置100に適用される。画像形成装置100は、図4に示すように、記録媒体搬送ユニット110と、中間転写体として転写ベルト120を備える転写ユニットと、静電潜像を担持する感光体ドラム130と、感光体ドラム130上に形成された静電潜像を現像する現像ユニット1100と、定着ユニット140とから構成される。
【0096】
記録媒体搬送ユニット110は、最終的に画像が形成される記録媒体を収容するとともに、記録媒体を記録媒体搬送路上に搬送する。記録媒体は例えば用紙Xであり、カセットに積層して収容される。記録媒体搬送ユニット110は、用紙Xに転写されるトナー像が形成されて二次転写領域に到達するタイミングで、用紙Xを二次転写領域に到達させる。
【0097】
転写ユニットは、後述する現像ユニット1100により形成されたトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写領域に搬送する。転写ユニットは、転写ベルト120と、転写ベルト120を懸架する懸架ローラ120a、120b、120c、120dと、感光体ドラム130とともに転写ベルト120を挟持する一次転写ローラ122と、懸架ローラ120dとともに転写ベルト120を挟持する二次転写ローラ124とからなる。
【0098】
転写ベルト120は、懸架ローラ120a、120b、120c、120dにより循環移動される無端状のベルトである。一次転写ローラ122は、転写ベルト120の内周側から感光体ドラム130を押圧するように設けられる。一方、二次転写ローラ124は、転写ベルト120の外周側から懸架ローラ120dを押圧するように設けられる。また、図1には示していないが、転写ユニットは、転写ベルト120に付着したトナーを除去するベルトクリーニング装置などをさらに備えてもよい。
【0099】
感光体ドラム130は、周面に画像が形成される静電潜像担持体であり、例えばOPC(Organic PhotoConductor)からなる。本実施形態にかかる画像形成装置100は、カラー画像を形成可能な装置であり、例えばマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの各色に対応して、4つの感光体ドラム130が転写ベルト120の回転方向に設けられている。各感光体ドラム130の周上には、図4に示すように、帯電ローラ132と、露光ユニット134と、現像ユニット1100と、クリーニングユニット138とが設けられている。
【0100】
帯電ローラ132は、感光体ドラム130の表面を所定の電位に均一に帯電する。露光ユニット134は、帯電ローラ132により帯電した感光体ドラム130の表面を形成する画像に応じて露光する。これにより、感光体ドラム130の表面のうち露光ユニット134により露光された部分の電位が変化し、静電潜像が形成される。現像ユニット1100は、トナータンク136(136M、136Y、136C、136B)により供給されたトナーで感光体ドラム130に形成された静電潜像を現像し、トナー像を生成する。
【0101】
クリーニングユニット138は、感光体ドラム130上に形成されたトナー像が転写ベルト120に一次転写された後に感光体ドラム130上に残存するトナーを回収する。クリーニングユニット138は、例えばクリーニングブレードを設け、感光体ドラム130の周面にクリーニングブレードを当接させることにより感光体ドラム130上の残トナーをそぎ落とすように構成することができる。なお、感光体ドラム130の周上には、感光体ドラム130の回転方向においてクリーニングユニット138と帯電ローラ132との間に、感光体ドラム130の電位をリセットする除電ランプ(図示せず。)を配置することもできる。
【0102】
定着ユニット140は、転写ベルト120から記録媒体へ二次転写されたトナー像を記録媒体に付着させ、定着させる。定着ユニット140は、例えば、加熱ローラ142と、加圧ローラ144とから構成される。加熱ローラ142は、回転軸周りに回転可能な円筒状の部材であり、その内部には例えばハロゲンランプなどの熱源が設けられている。加圧ローラ144は、回転軸周りに回転可能な円筒状の部材であり、加熱ローラ142を押圧するように設けられる。加熱ローラ142および加圧ローラ144の外周面には、例えばシリコンゴム等の耐熱弾性層が設けられる。加熱ローラ142と加圧ローラ144と接触領域である定着ニップ部に記録媒体を通過させることにより、トナー像を記録媒体に溶融定着させる。
【0103】
現像ユニット1100は、現像ローラ1110と、攪拌搬送部1120と、貯蔵部1140とから構成される。現像ローラ1110は、感光体ドラム130の周面上に形成された静電潜像に対してトナーを供給する。すなわち、現像ローラ1110は、現像剤(現像用キャリア1の表面にトナーが付着したもの)を担持する。そして、現像ローラ1110は、回転することで、現像剤を感光体ドラム130と対向する領域まで搬送する。その後、現像ローラ1110に担持された現像剤のうちトナーが感光体ドラム130の周面上に形成された静電潜像に移動し、静電潜像が現像される。一方、現像用キャリア1は、撹拌搬送部1120内に落下し、再利用される。
攪拌搬送部1120は、内部に現像用キャリア1を多数内蔵しており、貯蔵部140から供給されたトナーと現像用キャリア1とを充分に撹拌することで、これらを帯電させるとともに、現像用キャリア1の表面にトナーを付着させる。これにより、現像剤が生成される。第1の搬送撹拌部1120は、生成された現像剤を現像ローラ1110に搬送する。現像用キャリア1は、例えばトナーとともに撹拌される過程において、他の現像用キャリア1と摩擦することで、表面が摩耗する。
貯蔵部140は、トナータンク136から供給されるトナーを一時的に貯蔵するとともに、撹拌搬送部1120に供給する。
また、画像形成装置100には、定着ユニット140によりトナー像が定着された記録媒体を装置外部へ排出するための排出ローラ152、154が設けられている。
【0104】
このような画像形成装置100は、まず、画像形成装置100が操作されると、被記録画像の画像信号が制御部(図示せず。)に送信される。次いで、制御部は、受信した画像信号に基づいて、帯電ローラ132により感光体ドラム130の表面を所定の電位に均一に帯電させた後、露光ユニット134により感光体ドラム130の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。
【0105】
一方、現像ユニット1100では、トナーと現像用キャリア1とを混合攪拌して十分に帯電させた後、現像ローラ1110に現像剤を担持させる。これにより、磁気ブラシが形成される。そして、現像ローラ1110の回転により現像剤が感光体ドラム130と対向する領域まで搬送されると、現像ローラ1110に担持された現像剤のうちトナーが感光体ドラム130の周面上に形成された静電潜像に移動し、静電潜像を現像する。こうして形成されたトナー像は、感光体ドラム130と転写ベルト120とが対向する領域において、感光体ドラム130から転写ベルト120へ一次転写される。一方、現像用キャリア1は、撹拌搬送部1120に落下し、再利用される。転写ベルト120には、4つの感光体ドラム130上に形成されたトナー像が順次積層されて、1つの積層トナー像が形成される。そして、積層トナー像は、懸架ローラ120dと二次転写ローラ124とが接触する領域において、記録媒体搬送ユニット110から搬送された記録媒体に二次転写される。
【0106】
積層トナー像が二次転写された記録媒体は、定着ユニット140へ搬送される。記録媒体を加熱ローラ142と加圧ローラ144との間で熱および圧力が加えながら通過させることにより、積層トナー像が記録媒体に溶融定着する。その後、記録媒体は、排出ローラ52、54により画像形成装置100の外部へ排出される。一方、転写ベルト120は、ベルトクリーニング装置を備える場合、積層トナー像が記録媒体へ二次転写された後、転写ベルト120に残存するトナーがベルトクリーニング装置により除去される。
【実施例】
【0107】
<現像用キャリア1の製造例>
次に、本実施形態の実施例として、まず製造例を説明する。本製造例では、以下の表3に記載されているパラメータを有する現像用キャリア1を製造した(実施例1〜12、比較例1〜12)。製造方法は上述したとおりである。また、本製造例では、磁性粒子2として、マンガン・マグネシウム系フェライト(重量平均粒径50μm以下)を使用し、非架橋アクリル系樹脂(粒子)としてFS−101を使用し、架橋アクリル系樹脂(粒子)として、MG−151を使用し、チタニアとしてNKT−90(日本アエロジル社製)を使用した。比較例11では、第1の樹脂層4にFS−101を使用し、第2の樹脂層6にFS−102を使用し、他の例では、第1の樹脂層4及び第2の樹脂層6に同一の樹脂、即ちFS−101を使用した。
【0108】
【表3】

【0109】
なお、「投影面積率」は、投影面積の現像用キャリア1の表面積に対する割合を意味する。
【0110】
<評価>
実施例1〜12、比較例1〜12で製造された現像用キャリア1をそれぞれ適用したMultiXpress CLX−9350ND改造機(サムスン電子社製)と、印字用紙(製品名:C2、富士ゼロックス社製)とを用意し、画像濃度、かぶり、トナー飛散について、以下のように評価を行った。
【0111】
<画像濃度>
まず、上述のMultiXpress CLX−9350ND改造機(サムスン電子社製)により、全面ベタ画像を100,000枚印刷した。ついで、1枚目の全面ベタ画像上の着色部分20箇所について、X−Rite社製「SpectroEye」を用いて、画像濃度を測定し、これらの算術平均値を測定した。なお、この濃度は、初期濃度となる。ついで、100,000枚の全面ベタ画像について、同様に画像濃度の算出平均値を測定した。
【0112】
<かぶり>
まず、上述のMultiXpress CLX−9350ND改造機(サムスン電子社製)により、予め設定された画像を100,000枚印刷した。
【0113】
ついで、印刷がなされていない白紙について、X−Rite社製「SpectroEye」を用いて20ヶ所の画像濃度を測定し、これらの算術平均値を白紙濃度とした。
【0114】
ついで、1枚目の画像上の白地部分について、同様に20ヶ所の画像濃度を測定し、これらの算術平均値から白紙濃度を引いた値をかぶり濃度とした。この値は、かぶり濃度の初期値となる。
【0115】
ついで、100,000枚目の画像上の白地部分について、同様に20ヶ所の画像濃度を測定し、これらの算術平均値から白紙濃度を引いた値をかぶり濃度とした。
ついで、これらのかぶり濃度について、以下の判定基準により、良否を判定した。
◎:0.03以下
○:0.03より大きく0.06以下
△:0.06より大きく0.10以下
×:0.10より大きい
【0116】
<トナー飛散>
まず、上述のMultiXpress CLX−9350ND改造機(サムスン電子社製)により、予め設定された画像を100,000枚印刷した。ついで、トナーカートリッジを交換する際の手の汚れ具合を目視で判定することにより、機内におけるトナー飛散状態を評価した。
【0117】
◎:全く汚れがない
○:良く見ると汚れがわかる
△:汚れがわかるが軽微
×:著しく汚れる
【0118】
これらの結果を、以下の表4にあわせて示した。
【0119】
【表4】

【0120】
表4に示されるように、実施例1〜12の現像用キャリア1は、いずれも、比較例1〜12の現像用キャリア1よりも良好な結果を示した。
【0121】
なお、表4に示した評価以外にもいくつか考察すべき事項が見受けられたので、以下に列挙する。
【0122】
実施例2:スペーサ用粒子5がやや少なめなので、他の実施例よりも非架橋性樹脂層3の摩耗抑制効果がやや小さい。
【0123】
実施例3:スペーサ用粒子5が多めで、スペーサ用粒子5の帯電特性が画像濃度にやや影響している。
【0124】
実施例4:非架橋性樹脂層3の平均層厚に対して、スペーサ用粒子5の平均粒径がやや大きいので、他の実施例よりもスペーサ用粒子5が露出するタイミングがやや早い。
【0125】
実施例6:スペーサ用粒子5の平均粒径が下限値に近いため、他の実施例よりも非架橋性樹脂層3の摩耗抑制効果がやや小さい。
【0126】
実施例8:スペーサ用粒子5がやや少なめなので、他の実施例よりも非架橋性樹脂層3の摩耗抑制効果がやや小さい。
【0127】
実施例9:スペーサ用粒子5が多めで、スペーサ用粒子5の帯電特性が画像濃度にやや影響している。
【0128】
実施例10:非架橋性樹脂層3の平均層厚に対して、スペーサ用粒子5の平均粒径がやや大きいので、他の実施例よりもスペーサ用粒子5が露出するタイミングがやや早い。
【0129】
実施例2、3、8、9によれば、投影面積率が10〜30%であることが好ましいことがわかる。
【0130】
比較例1:樹脂層の摩耗が進まないので、現像用キャリア1の表面が汚染され続ける。
【0131】
比較例2:スペーサ用粒子5を非架橋性樹脂層3に混入していないのと同じで、非架橋性樹脂層3の摩耗が止まらない。
【0132】
比較例3:スペーサ用粒子5が非架橋性樹脂層3内に実質的に均一に分散されているので、摩耗速度が常に一定である。
【0133】
比較例4:第2の樹脂層6が薄すぎるので、スペーサ用粒子5がすぐに露出してしまう。
【0134】
比較例5:非架橋性樹脂層3の摩耗が止まらない。
【0135】
比較例6:スペーサ用粒子5が小さすぎるので、非架橋性樹脂層3の摩耗速度が落ちるタイミングが遅い。
【0136】
比較例7:スペーサ用粒子5が少なすぎるので、非架橋性樹脂層3の摩耗が止まらない。
【0137】
比較例8:スペーサ用粒子5が多すぎるので、スペーサ用粒子5の特性が出すぎてしまう。
【0138】
比較例9:スペーサ用粒子5が小さすぎるので、非架橋性樹脂層3の摩耗速度が落ちるタイミングが遅い。
【0139】
比較例10:スペーサ用粒子5が大きすぎ、かつ、非架橋性樹脂層3が厚すぎるので、現像用キャリア1の帯電量が落ちない。
【0140】
比較例11:第1の樹脂層4と第2の樹脂層6との境界面(第1の樹脂層4の表面7)で現像用キャリア1の特性が急激に変化する。
【0141】
比較例12:スペーサ用粒子5が多すぎるので、スペーサ用粒子5の特性が出すぎてしまう。
【0142】
以上により、本実施形態では、非架橋性樹脂層3を構成する非架橋性樹脂よりも硬いスペーサ用粒子5が磁性粒子2の表面近傍に遍在するので、現像用キャリア1は、非架橋性樹脂層3の表面が磁性粒子2の表面近傍に達するまでは、非架橋性樹脂層3を磨耗させることで、初期状態(非架橋性樹脂層3が磨耗されておらず、かつ、その表面がトナー等によって汚染されていない状態)に近い特性を維持することができる。そして、現像用キャリア1は、非架橋性樹脂層3の摩耗が進んでその表面が磁性粒子2の表面近傍に達した後は、スペーサ用粒子5によって、その後の摩耗速度を低減することができる。
【0143】
したがって、現像用キャリア1は、従来よりも磁性粒子2が現像用キャリア1の表面に露出しにくくすることができる。
【0144】
さらに、スペーサ用粒子5の平均粒径が200nm〜1μmなので、現像用キャリア1は、スペーサ用粒子5が磁気粒子2の表面の凹凸に埋まることを防止し、かつ、スペーサ用粒子5が現像用キャリア1の表面に露出するタイミングを遅らせることができる。
【0145】
さらに、スペーサ用粒子5の投影面積が非架橋性樹脂層3の表面積の5〜40%であるので、現像用キャリア1は、スペーサ用粒子5の機能を確保しつつ、スペーサ用粒子5によって非架橋性樹脂層3の特性(特に、第1の樹脂層4の特性)が大きく変化しないようにすることができる。
【0146】
さらに、スペーサ用粒子5の抵抗が磁性粒子2よりも高くなっているので、スペーサ用粒子5が現像用キャリア1の表面に露出した際の電気抵抗の低下量が、磁性粒子2が現像用キャリア1の表面に露出した際の電気抵抗の低下量よりも小さくなる。即ち、現像用キャリア1は、磁性粒子2が現像用キャリア1の表面に露出することによる電気抵抗の急激な低下を防止するとともに、スペーサ用粒子5が現像用キャリア1の表面に露出した際の電気抵抗の変動量も低く抑えることができる。
【0147】
さらに、スペーサ用粒子5の平均粒径が非架橋性樹脂層3の平均層厚の1/2以下となっているので、現像用キャリア1は、スペーサ用粒子5が現像用キャリア1の表面に露出するタイミングを遅らせることができる。
【0148】
さらに、スペーサ用粒子5の第1の樹脂層4への偏在率が60%以上であるので、現像用キャリア1は、第1の樹脂層4が現像用キャリア1の表面に露出した後には、摩耗速度を抑えることができる。
【0149】
さらに、第1の樹脂層4を構成する非架橋性樹脂は、第2の樹脂層6を構成する非架橋性樹脂と同一の樹脂、具体的にはいずれも同一の非架橋アクリル系樹脂であるので、第1の樹脂層4と第2の樹脂層6との境界面(第1の樹脂層4の表面7)での特性の変化が抑えられる。
【0150】
さらに、第1の樹脂層4の層厚は非架橋性樹脂層3の層厚の1/2以下であるので、現像用キャリア1は、第1の樹脂層4が露出するタイミング、すなわちスペーサ用粒子5が露出するタイミングを遅らせることができる。
【0151】
さらに、スペーサ用粒子5が架橋性樹脂粒子である場合には、スペーサ用粒子5の特性が非架橋性樹脂の特性に近いものとなる。
【0152】
特に、本実施形態では、架橋性樹脂粒子を構成する架橋性樹脂は、架橋性アクリル系樹脂であるので、スペーサ用粒子5の特性は、非架橋性樹脂の特性により近くなる。
【0153】
さらに、スペーサ用粒子5は無機粒子である場合には、現像用キャリア1は、非架橋性樹脂層3の摩耗が進んでスペーサ用粒子5が現像用キャリア1の表面に露出した際に、スペーサ用粒子5によって、その後の摩耗速度を低減することができる。
【0154】
さらに、本実施形態に係る現像剤は、現像用キャリア1を含むので、その特性をより長期間維持することができる。
【0155】
さらに、本実施形態に係る画像形成装置は、このような現像剤を用いて感光体ドラムにトナー像を形成するので、より長期間にわたって、均質な印刷物を提供することができる。
【0156】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。例えば、非架橋性樹脂層3には、各種の添加剤を加えてもよい。
【符号の説明】
【0157】
1 現像用キャリア
2 磁性粒子
3 非架橋性樹脂層
4 第1の樹脂層
5 スペーサ用粒子
6 第2の樹脂層
7 第1の樹脂層の表面
101 画像形成装置
110 記録媒体搬送ユニット
120 転写ベルト
120a、120b、120c、120d 懸架ローラ
124 二次転写ローラ
130 感光体ドラム
136M、136Y、136C、136B トナータンク
140 定着ユニット
1100 現像ユニット
1110 現像ローラ
1114 現像スリーブ
1120 攪拌搬送部
1140 貯蔵部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子と、
磁性粒子の表面に形成される非架橋性樹脂層と、
前記非架橋性樹脂層に含まれ、前記磁性粒子の表面及び表面近傍の少なくとも一方に偏在し、前記非架橋性樹脂層を構成する非架橋性樹脂よりも硬く、平均粒径が200nm〜1μmであり、投影面積が前記非架橋性樹脂層の表面積の5〜40%であるスペーサ用粒子と、を備え、
前記投影面積は、以下の式(1)で表されることを特徴とする、現像用キャリア。
=nπr …(1)
:スペーサ用粒子の投影面積、n:現像用キャリアの1つあたりに含まれるスペーサ用粒子の数、r:スペーサ用粒子の平均半径
【請求項2】
前記スペーサ用粒子の抵抗は、前記磁性粒子よりも高く、
前記スペーサ用粒子の平均粒径は、前記非架橋性樹脂層の平均層厚の1/2以下であることを特徴とする、請求項1記載の現像用キャリア。
【請求項3】
前記非架橋性樹脂層は、前記磁性粒子の表面に形成され、非架橋性樹脂を含む第1の樹脂層と、前記第1の樹脂層の表面に形成され、非架橋性樹脂を含む第2の樹脂層とを含み、
前記スペーサ用粒子の前記第1の樹脂層への偏在率は、60%以上であり、
前記第1の樹脂層を構成する非架橋性樹脂は、前記第2の樹脂層を構成する非架橋性樹脂と同一の樹脂であり、
前記第1の樹脂層の層厚は、前記非架橋性樹脂層の層厚の1/2以下であることを特徴とする、請求項1または2記載の現像用キャリア。
【請求項4】
前記スペーサ用粒子は、架橋性樹脂粒子であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像用キャリア。
【請求項5】
前記非架橋性樹脂層を構成する非架橋性樹脂は非架橋アクリル系樹脂であり、
前記架橋性樹脂粒子を構成する架橋性樹脂は、架橋性アクリル系樹脂であることを特徴とする、請求項4記載の現像用キャリア。
【請求項6】
前記スペーサ用粒子は、無機粒子であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像用キャリア。
【請求項7】
前記非架橋性樹脂層を構成する非架橋性樹脂は非架橋アクリル系樹脂であることを特徴とする、請求項6記載の現像用キャリア。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の現像用キャリアと、前記現像用キャリアの表面に付着したトナーと、を備えることを特徴とする、現像剤。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の現像用キャリアと、トナーとを撹拌することで、請求項8記載の現像剤を形成し、形成された現像剤を用いて磁気ブラシを形成する攪拌部を備えることを特徴とする、画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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