説明

現像装置、およびこれを備えた画像形成装置

【課題】現像剤滞留部の現像剤の減少に伴って、トナーコンテナからトナーが補給される現像装置において、現像剤受入口を現像剤搬送路における第1搬送路の下流側に配設する場合の補給現像剤の補給調整を安定化する。
【解決手段】搬送能力抑制部26は、トナー補給口25に対向する位置に滞留部27を形成する。滞留部27のトナー量に応じて、トナーコンテナ30から現像ハウジング210に流入するトナー量が調整される。第1パドル23cは、第1搬送路221から第2搬送路222にトナーを受け渡す。滞留部27で過剰に滞留したトナーは、搬送能力抑制部26と第1連通路223とが、軸方向でオーバーラップする隙間から、第2搬送路222側に流出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンター等の画像形成装置に好適に搭載される現像装置、およびそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1 に記載されているような現像装置が知られている。この現像装置は、現像ローラーと攪拌スクリューとを備える現像ハウジングと、この現像ハウジングに着脱自在に装着されるトナー補給用のトナーコンテナとを備えて構成されている。トナーコンテナの底部には、開閉可能なトナー排出口が設けられ、現像ハウジングには、トナー排出口に対応した位置にトナー補給口が設けられている。トナーコンテナが現像ハウジングに装着され、トナー排出口とトナー補給口とが開放されると、トナーコンテナ内のトナーが現像ハウジング内に形成された所定の循環搬送路に供給される。
【0003】
前記循環搬送路は、トナー補給口に対応した往路搬送路と、現像ローラーに対応した復路搬送路とからなる。各循環搬送路には、回転軸周りに螺旋羽根が配設された攪拌スクリューがそれぞれ装着される。トナーは、これら攪拌スクリューによって往路搬送路と復路搬送路との間を循環搬送される。
【0004】
このような構成を有する特許文献1の現像装置においては、往路搬送路に設けられた攪拌スクリューのトナー補給口より下流側に、搬送能力が局部的に低下するように構成された搬送能力抑制部が設けられている。かかる搬送能力抑制部によって、当該搬送能力抑制部の上流側のトナー補給口付近では、トナーの滞留部が形成される。滞留部のトナー量が多い場合、該滞留部のトナーがトナー補給口を塞ぐ。また、滞留部のトナー量が少ない場合、トナー補給口とトナーの滞留部との間に隙間が生じ、トナーコンテナ側から現像ハウジングにトナーが流入する。このように、滞留部で滞留するトナー量に応じて、トナーコンテナから現像ハウジングに補給されるトナー補給量が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−346116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の現像装置が搭載される装置本体内のレイアウトが決定されるにあたり、トナーコンテナを現像ハウジングの前記回転軸方向の端部に連結させたい場合がある。この場合、トナー補給口が往路搬送路の端部に配置されることとなるが、該端部には、往路搬送路と復路搬送路とを連通する連通路が近接しているため、もともと現像剤が滞留しやすい。したがって、トナー補給口を往路搬送路の端部に配設した場合、該連通路近傍における現像剤の滞留が、搬送能力抑制部によって形成される滞留部に影響を与え、トナーの補給調整が不安定になるという不具合が生じる。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、現像剤滞留部の現像剤の減少に伴って、補給現像剤収容部から補給現像剤が補給される現像装置において、現像剤受入口を現像剤搬送路における連通路近傍に配設する場合であっても、安定した補給現像剤の補給が実現できる現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る現像装置は、現像剤を収容する筐体と、前記筐体に着脱可能とされ、前記筐体に補給される補給現像剤を収容する補給現像剤収容部と、前記筐体内で、第1方向に前記現像剤が搬送される第1搬送路と、前記第1搬送路に沿って配設され、前記第1方向と逆の第2方向に前記現像剤が搬送される第2搬送路と、前記第1方向と交差する第3方向に向かって、前記第1搬送路下流側と前記第2搬送路上流側とを連通する第1連通路と、前記第3方向と逆方向の第4方向に向かって、前記第2搬送路下流側と前記第1搬送路上流側とを連通する第2連通路とを備える現像剤搬送路と、前記筐体に、前記第1搬送路の第1方向下流側の位置に対向して配設され、前記補給現像剤収容部から前記補給現像剤を前記現像剤搬送路に受け入れる現像剤受入口と、前記第1搬送路内に配設され、前記現像剤受入口が前記第1搬送路に対向する位置を通過するように前記第1方向に前記現像剤を搬送する現像剤搬送部と、前記現像剤搬送部の前記現像剤受入口よりも前記第1方向下流側に配置され、前記現像剤搬送部の前記現像剤の搬送能力を部分的に抑制することによって、前記現像剤受入口が対向する位置に前記補給現像剤の受入量を調整する現像剤滞留部を形成するとともに、前記第1方向下流側が、前記第3方向において前記第1連通路に対向する搬送能力抑制部と、前記現像剤搬送部の前記搬送能力抑制部の前記第1方向下流側に連接され、かつ、前記第3方向において前記第1連通路に対向し、前記第1搬送路から前記第2搬送路に前記現像剤を受け渡す連通搬送部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本構成によれば、搬送能力抑制部は、第1搬送路内であって、現像剤受入口に対向する位置に現像剤滞留部を形成する。現像剤搬送路内の現像剤が多い場合は、現像剤滞留部が、対向する現像剤受入口を封止する。このため、補給現像剤収容部から筐体側に補給現像剤が流入しにくい。一方、現像剤搬送路内の現像剤が少ない場合は、現像剤滞留部と現像剤受入口との間に隙間が形成され、補給現像剤収容部から筐体側に補給現像剤が流入する。現像剤受入口を、第1搬送路の第1方向下流側に配設する場合、搬送能力抑制部と第1連通路とが近くなる。このため、第1連通路において第1搬送路から第2搬送路に受け渡される現像剤の滞留が、近接する現像剤滞留部に合流し、補給現像剤の流入に影響をあたえてしまう。このように、搬送能力抑制部が、第1連通路に近い位置に配置される構成であっても、搬送能力抑制部の第1方向下流側に連接される連通搬送部が、第1搬送路から第2搬送路に現像剤を受け渡す機能を有するため、受け渡される現像剤が、搬送能力抑制部側に逆流しにくい。更に、搬送能力抑制部の第1方向下流側が、第3方向において第1連通路に対向しているため、搬送能力抑制部周辺において現像剤が過剰に滞留した場合であっても、搬送能力抑制部周辺の現像剤が、連通搬送部を介することなく、直接第1連通路に流入できる。このため、現像剤滞留部の過剰な現像剤が、第2搬送路側に速やかに流出する。この結果、現像剤滞留部における現像剤の滞留が安定し、補給現像剤の補給量が好適に調整される。
【0010】
上記の構成において、前記現像剤搬送部は、回転軸と、前記回転軸回りに形成されたスクリュー羽根とを有し、該スクリュー羽根の回転によって前記現像剤が搬送されることが好ましい。
【0011】
本構成によれば、回転軸回りに形成されたスクリュー羽根によって、現像剤搬送路内を現像剤が搬送される。スクリュー羽根は搬送方向に加え、回転半径方向に現像剤を押し出す力を備える。このため、搬送能力抑制部によって形成された現像剤滞留部では、スクリュー羽根の回転力によって、現像剤が現像剤受入口を封止しやすくなる。
【0012】
上記の構成において、前記第1搬送能力抑制部は、前記スクリュー羽根を欠落させることによって形成されることが好ましい。
【0013】
本構成によれば、現像剤滞留部は、スクリュー羽根を欠落させた部分によって形成される。このため、搬送能力抑制部にスクリュー羽根が配設されている場合と比べて、現像剤滞留部の形成が、現像剤搬送部材の回転速度に依存しにくい。したがって、現像剤搬送部材が複数の回転速度で回転駆動される場合であっても、現像剤滞留部が形成され、補給現像剤の補給が安定して調整される。また、搬送能力抑制部が第1方向に現像剤を搬送する能力を備えないため、搬送能力抑制部と連通搬送部との間で、現像剤が過剰に滞留することが防止される。
【0014】
上記の構成において、前記連通搬送部は、前記回転軸に回転可能に配設された板状部材であることが好ましい。
【0015】
本構成によれば、板状部材の回転によって、第1搬送路から第2搬送路に、積極的に現像剤が受け渡される。このため、第1連通路から搬送能力抑制部側に現像剤が逆流しにくく、現像剤滞留部における現像剤の滞留が安定しやすい。更に、回転する板状部材が、搬送能力抑制部との境界で防壁を形成するため、補給現像剤の補給調整のために必要な滞留現像剤が、過剰に第1連通路側に流出することが抑制される。
【0016】
上記の構成において、次の式を満たすことが好ましい。Z<X<B(Z:前記現像剤受入口の前記第1方向下流端から、前記第1連通路の前記第1方向上流端までの前記第1方向における距離、X:前記第1方向における前記搬送能力抑制部の長さ、B:前記第1方向における前記第1連通路の幅)。
【0017】
本構成によれば、連通搬送部と搬送能力抑制部とによって、安定した現像剤滞留部が形成される。この際、第1連通路と搬送能力抑制部とが第1方向においてオーバーラップする長さが、連通搬送部の第1方向における長さよりも短く設定される。このため、現像剤滞留部に滞留する現像剤が、前記オーバーラップ部分から、多量に第1連通路に流出することがない。この結果、現像剤滞留部において過剰となった現像剤が、第1連通路を介して第2搬送路側に流出し、現像剤滞留部の現像剤量が安定する。
【0018】
上記の構成において、下記式を満たすことが好ましい。B<A(A:前記第2方向における前記第2連通路の幅、B:前記第1方向における前記第1連通路の幅)。
【0019】
本構成によれば、第2連通路と比較して、第1連通路の方が現像剤の圧力が高くなるため、第2連通路側で多量の現像剤が滞留することが抑制される。したがって、現像剤搬送路内の現像剤の滞留を、現像剤滞留部から第1連通路までの領域に集めることが可能となる。
【0020】
また、本発明の他の局面に係る画像形成装置は、表面に静電潜像が形成され、当該静電潜像が前記現像剤によって、現像剤像に顕在化される像担持体と、上記の何れかに記載の現像装置と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
本構成によれば、現像剤滞留部の現像剤の減少に伴って、補給現像剤収容部から補給現像剤が補給される現像装置を備える画像形成装置において、現像剤受入口を現像剤搬送路における第1搬送路の下流側に配設しても、第1連通路周辺で滞留する現像剤が、現像剤滞留部に影響を与えにくく、安定した補給現像剤の補給が実現できる。このため、現像装置内の現像剤濃度が安定し、画像濃度の安定化が可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、現像剤滞留部の現像剤の減少に伴って、補給現像剤収容部から補給現像剤が補給される現像装置において、現像剤受入口を現像剤搬送路における第1搬送路の下流側に配設する場合であっても、安定した補給現像剤の補給が実現できる。また、現像装置内の現像剤濃度が安定し、画像濃度の安定化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を表す概要図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る現像装置の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るトナー補給部の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る攪拌スクリューの斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る現像装置の平面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る現像装置の平面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る現像装置の平面図である。
【図8】比較例に係る現像装置の平面図である。
【図9】比較例に係る現像装置の平面図である。
【図10】比較例に係る現像装置の平面図である。
【図11】従来の体積補給型の現像装置の平面図である。
【図12】従来の体積補給型の現像装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る現像装置について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る現像装置20を含む画像形成装置1の構成を概略的に示した断面図である。画像形成装置1は、光走査装置11、現像装置20、トナーコンテナ30(補給現像剤収容部)、帯電器13、感光体ドラム14(像担持体)、転写ローラー15、定着器16及び給紙カセット17を備える。
【0025】
感光体ドラム14は、円筒状の部材であり、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム14は、図略のモータからの駆動力を受けて、図1における時計回りの方向に回転される。帯電器13は、感光体ドラム14の表面を略一様に帯電する。
【0026】
光走査装置11は、レーザーダイオード等の光源、偏向体、走査レンズ及び光学素子等を備える。光走査装置11は、帯電器13によって略一様に帯電された感光体ドラム14の周面(被走査面)に対して、画像データに応じたレーザー光を照射して、画像データの静電潜像を形成する。
【0027】
現像装置20は、静電潜像が形成された感光体ドラム14の周面にトナーを供給してトナー像を形成する。現像装置20は、トナーを担持する現像ローラーやトナーを攪拌搬送する攪拌スクリューを含む。感光体ドラム14に形成されたトナー像は、給紙カセット17から繰り出され搬送路Pを搬送されるシートに転写される。この現像装置20には、トナーコンテナ30からトナーが補給される。現像装置20ついては後記で詳述する。
【0028】
トナーコンテナ30は、箱型の部材であり、内部にトナーを収容する。トナーコンテナ30は、現像装置20内にトナーを供給する。トナーコンテナ30は、現像装置20に対して着脱自在に配設されている。
【0029】
感光体ドラム14の下方には転写ローラー15が対向して配設され、両者によって転写ニップ部が形成されている。転写ローラー15は、導電性を有するゴム材料等で構成される。また、転写ローラー15は、不図示のバイアス印加手段によって転写バイアスが印加される。また、転写ローラー15は、感光体ドラム14に形成されたトナー像を前記記録紙に転写させる。
【0030】
定着器16は、ヒーターを内蔵する定着ローラー160と、定着ローラー160と対向する位置に設けられた加圧ローラー161とを備える。また、定着器16は、トナー像が形成された記録紙を加熱搬送することにより、記録紙に形成されたトナー像を定着させる。
【0031】
<現像装置の説明>
図2は、現像装置20の内部構造を示す平面図である。現像装置20は、一方向(現像ローラー21の軸方向)に長尺の箱形形状を有する現像ハウジング210(筐体)を備える。該現像ハウジング210は、内部空間220を有する。内部空間220には、現像ローラー21と、第1攪拌スクリュー23(現像剤搬送部)および第2攪拌スクリュー24と、トナー補給口25とが配設されている。一成分現像方式の場合、この内部空間220には、トナーが現像剤として充填される。また、二成分現像方式の場合、トナーと磁性体からなるキャリアとが混合されたものが、現像剤として充填される。トナーは、内部空間220内において攪拌搬送され、静電潜像を現像するために、逐次現像ローラー21から感光体ドラム14に供給される。
【0032】
現像ローラー21は、現像ハウジング210の長尺方向に延設される円筒形状を有し、外周に回転駆動されるスリーブ部分を有する。一成分現像方式の場合には、摩擦帯電により電荷をもったトナーが第2攪拌スクリュー24からスリーブ部分に付着する。また、二成分現像方式の場合は、スリーブ内部に固定配置された磁極が形成する磁界によって、磁性体であるキャリアが、静電気力によって付着するトナーを伴って、第2攪拌スクリュー24からスリーブ表面に付着する。スリーブ表面に担持されたトナー(現像剤)は、現像ハウジング210に配設された開口部(不図示)まで搬送され、対向する感光体ドラム14に供給される。
【0033】
現像ハウジング210の内部空間220は、不図示の天板によって覆われるとともに、左右方向に延びる仕切り板22によって、左右方向に長尺の第1搬送路221と第2搬送路222とに区画されている。仕切り板22は、現像ハウジング210の左右方向の幅よりも短く、仕切り板22の左端及び右端には、第1搬送路221と第2搬送路222とをそれぞれ連通させる第1連通路223及び第2連通路224が備えられている。これにより、内部空間220には、第1搬送路221、第1連通路223、第2搬送路222及び第2連通路224に至る循環経路(現像剤搬送路)が形成される。トナーは、該循環経路内を図2において時計回りに搬送される。
【0034】
トナー補給口25(現像剤受入口)は、前記天板に穿孔された開口部であり、第1搬送路221の左端付近の上方に配置されている(図2)。トナー補給口25は、上記の循環経路に対向して配置され、トナーコンテナ30から補給される補給トナー(補給現像剤)を内部空間220に受け入れる機能を備える。
【0035】
第1攪拌スクリュー23は、第1搬送路221に配設されている。第1攪拌スクリュー23は、第1回転軸23a(回転軸)と、この第1回転軸23aの周上にスパイラル状に突設された第1螺旋羽根23b(スクリュー羽根)とを含む。第1攪拌スクリュー23は、第1回転軸23a回り(矢印R2)に回転駆動されることで、図2の矢印D1方向(第1方向)にトナーを搬送する。第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置を通過するように現像剤を搬送する。これにより、第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25から流入する新しいトナーと、第1搬送路221を搬送されるトナーとを混合し、混合されたトナーを第2搬送路222側に受け渡す機能を有する。第1攪拌スクリュー23のトナー搬送方向(D1方向)下流側には、第1パドル23cが配設されている。第1パドル23cは、第1回転軸23a上に配設された板状部材である。第1パドル23cは、第1回転軸23aと共に回転され、図2の矢印D3方向(第3方向)に向かって、第1搬送路221から第2搬送路222に、トナーを受け渡す。
【0036】
第2攪拌スクリュー24は、第1搬送路222に配設されている。第2攪拌スクリュー24は、第2回転軸24aと、この第2回転軸24aの周上にスパイラル状に突設された第2螺旋羽根24bとを含む。第2攪拌スクリュー24は、第2回転軸24a回り(矢印R1)に回転駆動されることで、図2の矢印D2方向(第2方向)にトナーを搬送する。第2攪拌スクリュー24は、第2搬送路222内で、トナーを搬送するとともに、現像ローラー21にトナーを供給する。第2攪拌スクリュー24のトナー搬送方向(D2方向)下流側には、第2パドル24cが配設されている。第2パドル24cは、第2回転軸24a上に配設された板状部材である。第2パドル24cは、第2回転軸24aと共に回転され、図2の矢印D4方向(第4方向)に向かって、第2搬送路222から第1搬送路221に、トナーを受け渡す。
【0037】
トナーコンテナ30は、現像ハウジング210のトナー補給口25の上方に、配置されている。トナーコンテナ30は、内部にトナーが搬送されるトナー搬送路30aと、トナー搬送部材321と、トナー排出口33と、を備える。トナーコンテナ30は、トナーコンテナ30の長手方向(トナー搬送路30aが形成されている方向)が、現像装置20の長手方向(第1攪拌スクリュー23の現像剤搬送方向。矢印D1方向)に直交する方向に位置するように、現像装置20に組みつけられている。
【0038】
トナー排出口33は、現像装置20のトナー補給口25に対応して、トナーコンテナ30の底部に配設されている。トナー搬送部材321は、軸部と該軸部回りに回転される羽根部とを有し(図3参照)、トナー搬送路30a内の補給トナーをトナー排出口33に向かって搬送する。トナー排出口33から落下したトナーは、トナー補給口25を介して、現像装置20に補給される。
【0039】
<滞留部について>
次に、トナー補給口25から新たに補給されるトナーの流れについて説明する。図3は、現像装置20に配設されたトナー補給口25およびトナーコンテナ30に配設されたトナー排出口33付近の断面図である。なお、図3では、説明のために、トナーコンテナ30の配置を水平方向において90度回転させて示している。実際には、トナーコンテナ30内のトナー搬送部材321は、紙面手前に向かって延設され、第1攪拌スクリュー23と、トナーコンテナ30内のトナー搬送部材321とは、互いに直交する位置関係となっている。
【0040】
トナーコンテナ30のトナー排出口33から供給された補給トナーT2は、第1搬送路221に落下して既存のトナーT1と混合され、第1攪拌スクリュー23により矢印D1方向(第1方向)に搬送される。この際、トナーT1、T2は攪拌され、帯電される。
【0041】
第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25よりトナー搬送方向下流側に、部分的に現像剤の搬送性能が抑制される第1搬送能力抑制部26を備える。本実施形態では、第1搬送能力抑制部26は、第1攪拌スクリュー23の第1螺旋羽根23bを欠落させることによって形成される(図4参照)。したがって、第1搬送能力抑制部は、部分的に第1回転軸23aのみが配設されている部分に相当する。この場合、第1搬送能力抑制部26は、第1回転軸23aの軸方向の現像剤搬送性能を有さない。従って、第1搬送路221内において、第1搬送能力抑制部26よりも上流側から搬送されるトナーは、該第1搬送能力抑制部26において、滞留し始める。そして、これらのトナーの滞留は、第1搬送能力抑制部26の直ぐ上流側であって、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置まで累積していく。この結果、トナー補給口25の入口付近には、現像剤の滞留部27(現像剤滞留部)が形成される。
【0042】
なお、画像形成装置1の動作条件に応じて、現像装置20の第1攪拌スクリュー23が異なる回転速度で制御される場合には、本実施形態のように、第1搬送能力抑制部26は、第1螺旋羽根23bを有さず第1回転軸23aのみの領域で構成されることが好ましい。この場合、第1攪拌スクリュー23の回転速度に依存せずに、トナーの搬送性能が抑制されるため、安定して滞留部27が形成される。
【0043】
トナー補給口25から補給トナーT2が補給され、内部空間220内のトナー量が増えると、この滞留部27で滞留するトナーが、トナー補給口25を塞ぎ(封止し)、それ以上のトナーの補給を抑制する。その後、内部空間220内のトナーが現像ローラー21から消費され、滞留部27で滞留するトナーが減少すると、トナー補給口25を塞いでいたトナーが減り、滞留部27とトナー補給口25との間に隙間が生じる。この結果、再び補給トナーT2がトナー補給口25から内部空間220に流入する。このように、本実施形態では、滞留部27に滞留するトナーの減少に伴って、補給トナー量の受入量が調整される体積補給型のトナー補給形式が採用される。
【0044】
従来、体積補給型のトナー補給形式を備える現像装置では、図11に示すように、トナー補給口25(25J1)は、第1搬送路421において、軸方向の略中央部に配設された。搬送能力抑制部26J1によって形成される滞留部は、トナー補給口25J1が対向する第1搬送路421上に形成され、該滞留部の増減によって、トナーコンテナ30から補給される補給トナー量が調整された。
【0045】
ここで、上記現像装置が搭載される画像形成装置1の本体内のレイアウトが決定されるにあたり、トナーコンテナ30を現像ハウジング212の回転軸方向の端部に連結させたい場合がある。たとえば、図12に示すように、第1搬送路521のトナー搬送方向(矢印D11)上流側端部に、トナー補給口25J2が配置され、該トナー補給口25J2に対向するように、トナーコンテナ30(不図示)が配置される。この場合、滞留部27J2は、搬送能力抑制部26J2によって、トナー補給口25J2に対向するように形成される。
【0046】
一方、トナー補給口25J2が配置される第1搬送路521の上流側端部には、第1搬送路521と第2搬送路522とを連通する連通路502が配置されている。そして、第2搬送路522から第1搬送路521に受け渡されたトナーは、第1搬送部材23J2によって、矢印D11方向に搬送されたのち、滞留部27J2に衝突する。したがって、トナーの流れが、滞留部27J2によって妨げられてしまう。この結果、図12中、領域Tにおいて、トナーの詰まりが発生する。
【0047】
そこで、図5に示すように、第1搬送路221において、第1方向(矢印D1方向)下流側に、トナー補給口25を配設し、該位置に対応して、トナーコンテナ30(不図示)を配設することが考えられる。この場合、搬送能力抑制部26が形成する滞留部27は、第1搬送路221から第2搬送路222にトナーを受け渡す第1連通路223に近接している。第1パドル23cが配設されていない場合、第1攪拌スクリュー23によって、第1方向に搬送されたトナーは、現像ハウジング210の側壁210aに衝突し、滞留を形成する。そして、該滞留から溢れたトナーが、徐々に第1連通路223を通過することで、上記トナーの受け渡しが行われることになる。したがって、該受け渡しにおけるトナーの滞留が、近接する滞留部27に影響し、補給トナーの調整が不安定になるという不具合が生じ得る。
【0048】
上記のように、第1搬送路221において、第1方向(矢印D1方向)下流側に、トナー補給口25を配設した場合に、滞留部27にもたらされる課題を解決するために、本実施形態では、第1パドル23cおよび搬送能力抑制部26の配置に特有の工夫を施している。以下、この点について詳述する。
【0049】
図5は、第1パドル23cおよび搬送能力抑制部26の配置が好適に設定された第1の実施形態を表した図である。同図において、Aは、第2方向における第2連通路224の幅を表し、Bは、第1方向における第1連通路223の幅を表し、Cは第1パドル23cの第1方向の長さを表す。また、Xは、第1方向における搬送能力抑制部26の長さを表し、Zは、トナー補給口25の第1方向下流端から、第1連通路223の第1方向上流端までの第1方向における距離を表す。
【0050】
本実施形態では、上記のA、B、X、Zが、関係式Z<X<Bを満たすように、各部材の形状、配置が設定されている(図5)。これにより、搬送能力抑制部26の第1方向下流側と、板状部材からなる第1パドル23c(連通搬送部)とが、第3方向(矢印D3方向)において、第1連通路223に対向するように配設されている。
【0051】
そして、回転する第1パドル23cの長さCは、第1方向において、第1連通路223の幅Bの中に包含される。このため、第1搬送路221の下流端部に位置するトナーは、第1パドル23cの回転力を受けて、第2搬送路222の上流側に積極的に受け渡される。したがって、第1搬送路221の下流端部に位置するトナーが、搬送能力抑制部26周辺に逆流することが抑止される。
【0052】
また、搬送能力抑制部26の第1方向下流側が、第3方向において、第1連通路223に対向している。このため、搬送能力抑制部26周辺において、トナーが過剰に滞留した場合であっても、搬送能力抑制部26周辺のトナーが、第1パドル23cを介することなく、図中矢印F1に示すように、直接第1通路223に流入できる。このため、滞留部27の過剰なトナーが、第2搬送路222側に速やかに流出する。この結果、滞留部27におけるトナーの滞留が安定するため、補給トナーの補給量が好適に調整される。
【0053】
更に、第1パドル23cが板状部材から構成されるため、該第1パドル23cの回転によって、該第1パドル23cの右端部(第1方向上流側端部)と搬送能力抑制部26との間に防壁が形成される。このため、トナーが堰き止められやすくなり、滞留部27の第1方向下流側の端部(始端部)が確実に確保されるとともに、補給トナーの補給調整のために必要な滞留部27のトナーが、過剰に第1連通路223側に流出することが抑制される。
【0054】
また、本実施形態では、関係式C>(B−C)を満たすように、第1パドル23cの長さが設定されている(図5)。この結果、第1連通路223と搬送能力抑制部26とが、第1方向においてオーバーラップする長さ(B−C)が、第1パドル23cの第1方向における長さCよりも短く設定される。このため、滞留部27に滞留するトナーが、前記オーバーラップ部分から、多量に第1連通路223に流出することがない。この結果、滞留部27において過剰となったトナーだけが、第1連通路223を介して第2搬送路222側に流出し、滞留部27のトナー量が安定する。
【0055】
更に、本実施形態では、関係式B<Aを満たすように、第1連通路223、第2連通路224の第1方向における幅が、それぞれ設定されている。この結果、第2連通路224と比較して、第1連通路223の方が、トナーの圧力が高くなるため、第2連通路224側で多量のトナーが滞留することが抑制される。したがって、循環経路内のトナーの滞留を、滞留部27から第1連通路223までの領域に集めることが可能となる。
【0056】
次に、図6に基づいて、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は第1の実施形態と同様に、トナー補給口25の第1方向下流側に、搬送能力抑制部26aを備え、該搬送能力抑制部26aの第1方向下流側に、第1パドル231cを備える。また、搬送能力抑制部26aの第1方向下流側部分と、第1パドル231cとは、第3方向において、第1連通路223aに対向している。一方、本実施形態は、第1の実施形態と比較して、前述のB、C、X、Zの関係が異なるため、この点について詳述し、その他の点は説明を省略する。
【0057】
本実施形態では、関係式Z<B<X、かつ、C<Bを満たすように、各部材の形状、配置が設定されている。この場合、第1の実施形態と比較して、第1連通路223aと搬送能力抑制部26aとの、第1方向におけるオーバーラップ部分である(B−C)が大きく設定される。このため、本実施形態では、搬送能力抑制部26a周辺のトナーが、第1連通路223a側に流入しやすく、滞留部27aが形成されにくい。換言すれば、使用されるトナーの流動性や環境条件などによって、滞留部27aにおけるトナーが過剰に滞留しやすい場合には、該トナーが第1連通路223a側に、流入しやすいため、補給トナーの補給調整が好適に実現される。
【0058】
次に、図7に基づいて、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は第1の実施形態と同様に、トナー補給口25の第1方向下流側に、搬送能力抑制部26bを備え、該搬送能力抑制部26bの第1方向下流側に、第1パドル232cを備える。また、搬送能力抑制部26bの第1方向下流側部分と、第1パドル232cとは、第3方向において、第1連通路223bに対向している。一方、本実施形態は、第1の実施形態と比較して、前述のB、C、X、Zの関係が異なるため、この点について詳述し、その他の点は説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、関係式B<Z<X、かつ、C<Bを満たすように、各部材の形状、配置が設定されている。この場合、第1の実施形態と比較して、搬送能力抑制部26bが第1方向に長く設定され、滞留部27bも第1方向に長い範囲で形成される。そして、滞留部27bの第1方向における長さに対して、第1連通路223bと搬送能力抑制部26bとの、第1方向におけるオーバーラップ部分が、小さく設定される。この結果、本実施形態では、滞留部27bのトナーが、第1連通路223b側に流入しにくい。換言すれば、使用されるトナーの流動性や環境条件などによって、トナーの滞留が形成されにくい場合であっても、搬送能力抑制部26bによって、滞留部27bが形成され、補給トナーの補給調整が好適に実現される。
【0060】
次に、図8を参照して、本発明の構成を備えていない第1の比較例について説明する。本比較例は、第1の実施形態と同様に、トナー補給口25の第1方向下流側に、搬送能力抑制部26cを備え、該搬送能力抑制部26cの第1方向下流側に、第1パドル233cを備える。一方、搬送能力抑制部26cの第1方向下流側部分は、第3方向において、第1連通路223cに対向していない。また、本比較例は、第1の実施形態と比較して、前述のB、C、X、Zの関係が異なるため、この点について詳述し、その他の点は説明を省略する。
【0061】
本比較例では、関係式B<X<Z、かつ、B<Cを満たすように、各部材の形状、配置が設定されている。この場合、前述のとおり、第1の実施形態と比較して、搬送能力抑制部26cの第1方向下流側部分は、第3方向において、第1連通路223cに対向していない。したがって、滞留部27cのトナーは、第1パドル233cを介さずに、第1連通路223cを通過することができない。また、第1連通路223cの第1方向における幅Bが、第1パドル233cの第1方向における長さCよりも小さく設定されている。したがって、図8の領域Mにおいて、トナーが過剰に滞留する不具合を生じる。この結果、本比較例では、補給トナーの要否に関わらず、トナーが多量に滞留するため、補給トナーの補給調整が、好適に実現されない。
【0062】
次に、図9を参照して、本発明の構成を備えていない第2の比較例について説明する。本比較例は、第1の実施形態と同様に、トナー補給口25の第1方向下流側に、搬送能力抑制部26dを備え、該搬送能力抑制部26dの第1方向下流側に、第1パドル234cを備える。また、搬送能力抑制部26dの第1方向下流側部分は、第3方向において、第1連通路223dに対向していない。本比較例は、第1の実施形態と比較して、前述のB、C、X、Zの関係が異なるため、この点について詳述し、その他の点は説明を省略する。
【0063】
本比較例では、関係式X<B<Z、かつ、B<Cを満たすように、各部材の形状、配置が設定されている。この場合、前述のとおり、第1の実施形態と比較して、搬送能力抑制部26dの第1方向下流側部分は、第3方向において、第1連通路223dに対向していない。したがって、滞留部27dのトナーは、第1パドル234cを介さずに、第1通路223dを通過することができない。また、第1パドル234cの第1方向における長さCが、第1通路223dの第1方向における幅Bよりも長く設定され、結果的に、搬送能力抑制部26dが短く設定されている。この結果、第1パドル234cが第1連通路223dよりも第2方向(矢印D2方向)に突出する部分(C−B)が長く、該部分の回転によって、第1搬送路221中のトナーの第1方向への流れが妨げられる。そして、循環経路内のトナーが、第1パドル234c周辺に集中し、その他の領域におけるトナーが減少する。このため、トナー補給口25が、常に滞留部27dによって封止され、補給トナーが第1搬送路221に流入できない。更に、この状態で、画像形成装置1において、高印字率の画像を連続的に出力すると、現像ローラー21上でトナーが部分的に不足し、画質欠陥を生じてしまう。このように、本比較例では、補給トナーの補給調整が好適に実現されず、また、循環経路内のトナーのバランスが崩れ、画質欠陥が生じる。
【0064】
次に、図10を参照して、本発明の構成を備えていない第3の比較例について説明する。本比較例は、第1の実施形態と同様に、トナー補給口25の第1方向下流側に、搬送能力抑制部26eを備え、該搬送能力抑制部26eの第1方向下流側に、第1パドル235cを備える。また、搬送能力抑制部26eの第1方向下流側部分は、第3方向において、第1連通路223eに対向していない。本比較例は、第1の実施形態と比較して、前述のB、C、X、Zの関係が異なるため、この点について詳述し、その他の点は説明を省略する。
【0065】
本比較例では、関係式X<Z<B、かつ、B<Cを満たすように、各部材の形状、配置が設定されている。この場合、前述のとおり、第1の実施形態と比較して、搬送能力抑制部26eの第1方向下流側部分は、第3方向において、第1連通路223eに対向していない。したがって、滞留部27eのトナーは、第1パドル235cを介さずに、第1連通路223eを通過することができない。また、第1パドル235cの第1方向における長さCが、第1連通路223eの第1方向における幅Bよりも若干長く設定され、かつ、搬送能力抑制部26eが短く設定されている。この結果、搬送能力抑制部26eによって形成される滞留部27eのトナーが少なく、過剰に補給トナーが第1搬送路221に流入する。加えて、第1パドル235cが第1連通路223eよりも第2方向(矢印D2)に突出する部分(C−B)が短いため、第1パドル235cが第1方向に搬送されるトナーを塞き止める力が小さい。この結果、循環経路内でトナーが集中して滞留する領域がないため、循環経路全体に分布するトナー量が多くなる。よって、現像装置20hの駆動トルクが大きくなってしまう。このように、本比較例では、補給トナーの補給調整が好適に実現されず、また、循環経路内のトナーのバランスが崩れ、現像装置20hの駆動トルクに不具合が生じる。
【0066】
以上のように、上記の各実施形態は、トナー補給口25の第1方向下流側に、搬送能力抑制部26(26a、26b)を備え、該搬送能力抑制部26(26a、26b)の第1方向下流側に、第1パドル23c(231c、232c)を備える。また、搬送能力抑制部26(26a、26b)の第1方向下流側部分と、第1パドル23c(231c、232c)とは、第3方向において、第1連通路223(223a、223b)に対向している。これによって、滞留部27(27a、27b)において、トナーが安定して滞留し、補給トナーの補給調整が好適に実現される。
【0067】
以上、本発明の実施形態に係る現像装置20について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0068】
(1)上記の実施形態では、第1攪拌スクリュー23の第1螺旋羽根23bを欠落させた部分を搬送能力抑制部26としたが、この他に、第1攪拌スクリュー23の第1螺旋羽根23bの周縁部に第1回転軸23aと並行な棒部材を配設し、この棒部材が付設された部分が搬送能力抑制部26であってもよい。第1螺旋羽根23bに付設された棒部材によって、トナーの搬送能力が抑制され、第1搬送路221内でトナーが滞留する。
【0069】
(2)また、上記の実施形態では、補給トナーの補給調整を実現するために、トナー補給口25の第1方向下流側に、滞留部27を形成したが、これに限られるものではなく、トナー補給口の第1方向上流側に上流側滞留部29を形成してもよい。図5〜7において、トナー補給口25の第1方向上流側には、第1攪拌スクリュー23上に、抑制パドル28が配設される。
【0070】
抑制パドル28は、第1方向(矢印D1方向)で隣り合った2つの第1螺旋羽根23bの間に掛け渡された、第1回転軸23aの回転半径方向に延伸する板状のリブ部材である。抑制パドル28は、第1攪拌スクリュー23の回転に伴って、矢印R2方向に回転され、第1搬送路221内で搬送されるトナーを該R2方向に搬送する。このため、該抑制パドル28周辺では、第1方向へのトナーの搬送性能が抑制され、トナーが滞留する。この滞留したトナーによって、第1搬送路221内には、トナー補給口25の直上流側に、上流側滞留部29が形成される。上流側滞留部29は、トナー補給口25に対して、第1方向上流側を封止するため、現像装置20に取り付けられるトナーコンテナ30内のトナーの流動性が上昇した場合であっても、該トナーが、トナー補給口25の上流側に流入することが抑止される。したがって、滞留部27(27a、27b)は、第1パドル23c(231c、232c)の回転によって、第1方向下流側に位置する始端部が確実に形成され、抑制パドル28の回転によって、第1方向上流側に位置する終端部が確実に形成される。
【0071】
(3)更に、上記の実施形態では、第1パドル23cとして、第1回転軸23a上に配設された板状部材を用いて説明したが、これに限られるものではない。すなわち、第1回転軸23a上に、該第1回転軸23aと平行に配設された棒状部材であってもよく、また、板状部材の先端が、くの字に折り曲げられることで、トナーの受け渡し性能を向上させた態様などであってもよい。
【符号の説明】
【0072】
20 現像装置
210 現像ハウジング(筐体)
23 第1攪拌スクリュー(現像剤搬送部)
23a 第1回転軸(回転軸)
23b 第1螺旋羽根(スクリュー羽根)
23c、231c、232c 第1パドル(連通搬送部)
24 第2攪拌スクリュー
24a 第2回転軸
24b 第2螺旋羽根
24c 第2パドル
25 トナー補給口(現像剤受入口)
26、26a、26b 搬送能力抑制部
27、27a、27b 滞留部(現像剤滞留部)
28 抑制パドル
29 上流側滞留部
30 トナーコンテナ(補給現像剤収容部)
33 トナー排出口







【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する筐体と、
前記筐体に着脱可能とされ、前記筐体に補給される補給現像剤を収容する補給現像剤収容部と、
前記筐体内で、第1方向に前記現像剤が搬送される第1搬送路と、前記第1搬送路に沿って配設され、前記第1方向と逆方向の第2方向に前記現像剤が搬送される第2搬送路と、前記第1方向と交差する第3方向に向かって、前記第1搬送路下流側と前記第2搬送路上流側とを連通する第1連通路と、前記第3方向と逆方向の第4方向に向かって、前記第2搬送路下流側と前記第1搬送路上流側とを連通する第2連通路とを備える現像剤搬送路と、
前記筐体に、前記第1搬送路の第1方向下流側の位置に対向して配設され、前記補給現像剤収容部から前記補給現像剤を前記現像剤搬送路に受け入れる現像剤受入口と、
前記第1搬送路内に配設され、前記現像剤受入口が前記第1搬送路に対向する位置を通過するように前記第1方向に前記現像剤を搬送する現像剤搬送部と、
前記現像剤搬送部の前記現像剤受入口よりも前記第1方向下流側に配置され、前記現像剤搬送部の前記現像剤の搬送能力を部分的に抑制することによって、前記現像剤受入口が対向する位置に前記補給現像剤の受入量を調整する現像剤滞留部を形成するとともに、前記第1方向下流側が、前記第3方向において前記第1連通路に対向する搬送能力抑制部と、
前記現像剤搬送部の前記搬送能力抑制部の前記第1方向下流側に連接され、かつ、前記第3方向において前記第1連通路に対向し、前記第1搬送路から前記第2搬送路に前記現像剤を受け渡す連通搬送部と、を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤搬送部は、回転軸と、前記回転軸回りに形成されたスクリュー羽根とを有し、該スクリュー羽根の回転によって前記現像剤が搬送されることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記搬送能力抑制部は、前記スクリュー羽根を欠落させることによって形成されることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記連通搬送部は、前記回転軸に回転可能に配設された板状部材であることを特徴とする請求項2または3に記載の現像装置。
【請求項5】
下記式を満たすことを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の現像装置。
Z<X<B
Z:前記現像剤受入口の前記第1方向下流端から、前記第1連通路の前記第1方向上流端までの前記第1方向における距離
X:前記第1方向における前記搬送能力抑制部の長さ
B:前記第1方向における前記第1連通路の幅
【請求項6】
下記式を満たすことを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の現像装置。
B<A
A:前記第2方向における前記第2連通路の幅
B:前記第1方向における前記第1連通路の幅
【請求項7】
表面に静電潜像が形成され、当該静電潜像が前記現像剤によって現像剤像に可視化される像担持体と、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の現像装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−113893(P2013−113893A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257523(P2011−257523)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】