現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置
【課題】トナー担持体へのトナー付着を防止することによって、確実にトナーをフレアさせることができ、現像領域で正常に現像を行うことができる構成の現像装置を提供する。
【解決手段】潜像担持体10と対向して配置され、潜像担持体上の静電潜像を現像するためのトナーを担持するトナー担持体61を有する現像装置であって、トナー担持体61の内部に所定の間隔で並べられた複数の電極を有し、該複数の電極間の電界が時間的に変化するように電極に電圧を印加する電圧印加手段を備え、電極間の電界によりトナー担持体上のトナーを飛翔させてクラウドを形成する構成の現像装置において、潜像担持体10とトナー担持体61とが対向する現像領域の上流に、トナー担持体表面へのトナー付着を防止するトナー付着防止部材70Aを設けた。これにより、トナー担持体へのトナー付着を防止することができ、確実にトナーをフレアさせることができる。
【解決手段】潜像担持体10と対向して配置され、潜像担持体上の静電潜像を現像するためのトナーを担持するトナー担持体61を有する現像装置であって、トナー担持体61の内部に所定の間隔で並べられた複数の電極を有し、該複数の電極間の電界が時間的に変化するように電極に電圧を印加する電圧印加手段を備え、電極間の電界によりトナー担持体上のトナーを飛翔させてクラウドを形成する構成の現像装置において、潜像担持体10とトナー担持体61とが対向する現像領域の上流に、トナー担持体表面へのトナー付着を防止するトナー付着防止部材70Aを設けた。これにより、トナー担持体へのトナー付着を防止することができ、確実にトナーをフレアさせることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜像担持体上の静電潜像をトナーを用いて現像する現像装置と、その現像装置を備えたプロセスカートリッジ、および、前記現像装置または前記プロセスカートリッジを備えた複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリあるいはこれらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
潜像担持体上の静電潜像をトナーを用いて現像する現像装置の従来技術として、例えば特許文献1(特開2005−010348公報)には、ドナー構造体からトナーを移動させることにより電荷保持面に対して非接触で静電潜像を現像する現像装置であって、前記ドナー構造体と前記電荷保持面との間の前記ドナー構造体近傍に設けられた電極と、前記電極に第1の交流電圧を印加する第1の印加手段と前記第1の交流電圧に当該第1の交流電圧と略同期した第2の交流電圧を重畳した第3の交流電圧を前記ドナー構造体に印加する第2の印加手段と、を備えた現像装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献2(特開2004−333845公報)には、所定の間隔をあけて配列された複数の電極に多層の交流電圧を印加することにより不均等交番電界を形成して現像剤を搬送する現像剤搬送手段を有し、前記現像剤搬送手段にて現像剤を静電潜像が形成された像担持体に向けて搬送することによって前記静電潜像を可視化する現像装置であって、前記現像剤搬送手段は、各電極の表面から現像剤搬送表面までの距離が、現像剤搬送方向に進むに従って段階的に小さくなるように構成されていることを特徴とする現像装置が記載されている。
【0004】
さらに本出願人により先に出願公開された特許文献3(特開2004−198675公報)には、潜像担持体上に粉体を付着させて潜像担持体上の潜像を現像するための現像装置において、前記潜像担持体に対向して配置され、前記粉体を移動させる進行波電界を発生させるための複数の電極を有する搬送部材を備え、前記搬送部材の電極には、前記粉体が前記潜像の画像部に対しては前記潜像担持体側に向かい、非画像部に対しては前記粉体が前記潜像担持体と反対側に向かう方向の電界を形成するn相の電位が印加されることを特徴とする現像装置が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−010348公報
【特許文献2】特開2004−333845公報
【特許文献3】特開2004−198675公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、現像剤担持体上の現像剤を潜像担持体に直接接触させないで、現像剤を潜像担持体上に供給して現像を行う構成の現像装置が知られている。その一例として、トナー担持体上のトナーをクラウド化させることによってトナーを潜像担持体上に供給するという従来技術がある。このトナー担持体は潜像担持体に対向して配置され、その内部には複数の電極が所定のピッチで配置されている。この複数の電極に時間的に変化する電圧を印加し、電極間の電界によってトナー担持体上のトナーを飛翔(以下、フレアと呼ぶ)させてクラウド化させている。
【0007】
このような構成の現像装置において、トナー担持体の表面においてトナーが電極間の電界から受ける力F1とトナーとトナー担持体表面の間の付着力F2の大小関係が重要となってくる。F1がF2より大きい場合は、トナーは電極間の電界に従って正常にフレアすることが可能であるが、F1がF2より小さくなるとトナーはトナー担持体の表面に付着したままとなりフレアすることができず、現像が正常に行われない。
そこで現像を正常に行うためにF1をF2よりも大きくする必要があるが、F1を大きくするためには電極に印加する電圧値を大きくしたり、電極の表層を覆っている絶縁層の厚さを薄くするなどの方法が考えられる。そして、このような方法でF1をF2より大きくし、正常にトナーをフレアさせている。
【0008】
しかし、経時においてトナーがあまり現像に使用させず長期に現像装置内で攪拌され続けると、トナー母体の表層に存在していた外添剤が遊離したり、母体内部に埋没したりして、トナー表層における外添剤の存在率が低下してしまう。そのような状態のトナーがトナー担持体の表面に付着した場合、トナーの母体とトナー担持体表面が直接接触するようになり、接触距離が小さくなり、接触面積も大きくなる。このような場合、トナーとトナー担持体表面の間の非静電的付着力が増加する。また、トナーが帯電していることによってトナー担持体表面から受ける鏡像力もトナーの帯電量が経時で変動しないとしても、増加してしまう。よって、経時で外添剤の存在率が低下して劣化してしまったトナーの場合、トナーとトナー担持体表面の間の付着力F2が非常に増加してしまい、トナーが電極間の電界から受ける力F1より大きくなってしまい、トナーはフレアしなくなってしまう。
【0009】
経時でトナーが劣化しフレアしなくなった場合、電極に印加する電圧値を大きくし、トナーが電極間の電界から受ける力F1を大きくする方法が考えられる。この場合はF1をF2より大きくすることが可能であるが、電界から大きな力を受けるためフレアしたトナーがトナー担持体へ戻ってくることができなくなり、トナー飛散が発生してしまう。また、電極間に大きな電位差で電圧を印加してしまうため、電極間でリークが起こる可能性が大きくなる。
【0010】
経時でF1よりF2が大きくなった場合、トナー担持体に対向して対向電極を設け、その電極にトナーがトナー担持体から対向電極に向かう方向に電界が生じるように電圧を印加することによって、F1を大きくすることが可能である。原理的にはトナー担持体の電極に印加する電圧値を大きくすることと同じであるが、対向電極の場合は飛散してしまったトナーは対向電極で回収できるため、問題はない。また、一度フレアしたトナーはその後、トナー担持体表面に付着することはないため、対向電極を設置する位置はトナー担持体上の一部だけでよい。
【0011】
また、経時で付着してしまったトナーは、物理的に動かすことによってF2を小さくすることが可能であり、そうすることによってF2をF1より小さくすることができる。フレアしたトナーは電極間でホッピングを続けるが、ホッピングしているトナーが付着しているトナーに衝突することによって、付着していたトナーが動かされ、F2が小さくなり、フレアし始める。このようにしてなだれ式にトナーがフレアしはじめ、最終的にトナー担持体上全体のトナーがフレアするようになる。
【0012】
前述の特許文献1に記載の従来技術では、現像領域においてドナー構造体と電荷保持面の間に電極を設け、その電極に交流電圧を重畳させた電圧を印加し、ドナー構造体上のトナーをクラウド化させている。このような構成の現像装置において、経時でトナーが劣化しドナー構造体への付着力が増加した場合、トナーをクラウド化させるためには電極に大きな電圧を印加する必要がある。その場合、クラウド化したトナーは今度は電荷保持面側に付着してしまう可能性があり、地汚れが発生してしまい問題である。また、一度電荷保持面に現像されたトナー像を乱してしまう可能性があり、画像劣化も起こってしまう。
【0013】
特許文献2に記載の従来技術では、現像領域に近づくにつれて現像剤搬送手段の電極上の絶縁層の幅を小さくしていくことによって、現像剤搬送手段の表面の電界を徐々に大きくし、現像領域でトナーが高くクラウドするようにしている。このような構成の現像装置において、経時でトナーが劣化した場合、現像領域に到達する前に現像剤搬送手段の表面に付着してしまい、付着してしまったトナーは現像領域に搬送されることはない。従って多くのトナーが付着してしまった場合は、その後からやってくるトナーにも影響を与えてしまい、問題である。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、トナー担持体へのトナー付着を防止することによって、確実にトナーをフレアさせることができ、現像領域で正常に現像を行うことができる構成の現像装置を提供することを目的とする。また、本発明は、その現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とし、さらにはそのプロセスカーリッジを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明では以下のような解決手段を採っている。
本発明の第1の手段は、潜像担持体と対向して配置され、前記潜像担持体上の静電潜像を現像するためのトナーを担持するトナー担持体を有する現像装置であって、前記トナー担持体の内部に所定の間隔で並べられた複数の電極を有し、該複数の電極間の電界が時間的に変化するように前記電極に電圧を印加する電圧印加手段を備え、前記電極間の電界により前記トナー担持体上のトナーを飛翔させてクラウドを形成する構成の現像装置において、前記潜像担持体と前記トナー担持体とが対向する現像領域の上流に、前記トナー担持体表面へのトナー付着を防止するトナー付着防止部材を設けたことを特徴とする。
【0016】
本発明の第2の手段は、第1の手段の現像装置において、前記トナー付着防止部材は電極であり、該電極に電圧を印加する電圧印加手段を有することを特徴とする。
また、本発明の第3の手段は、第2の手段の現像装置において、前記電圧印加手段が印加する電圧は直流電圧であることを特徴とする。
さらに本発明の第4の手段は、第2の手段の現像装置において、前記電圧印加手段が印加する電圧は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧であること特徴とする。
【0017】
本発明の第5の手段は、第1〜第4のいずれか1つの手段の現像装置において、前記トナー付着防止部材は、ワイヤ状の電極であることを特徴とする。
また、本発明の第6の手段は、第1〜第4のいずれか1つの手段の現像装置において、前記トナー付着防止部材は、円弧状電極であることを特徴とする。
【0018】
本発明の第7の手段は、第1の手段の現像装置において、前記トナー付着防止部材は絶縁性の部材であり、前記トナー担持体と接しており、前記トナー担持体表面に付着したトナーを動かすことを特徴とする。
また、本発明の第8の手段は、第1または第7の手段の現像装置において、前記トナー付着防止部材は、前記トナー担持体と接離可能であることを特徴とする。
【0019】
本発明の第9の手段は、第1〜第8のいずれか1つの手段の現像装置において、前記トナー担持体表面へのトナーの付着量を検知するトナー付着量検知手段を有し、該トナー付着量検知手段の検知結果を用いて前記トナー付着防止部材が動作することを特徴とする。
また、本発明の第10の手段は、第1〜第9のいずれか1つの手段の現像装置において、前記トナー付着量検知手段は現像領域下流におけるトナー担持体上のトナー付着量を検知するか、もしくは前記潜像担持体上のトナー付着量を検知することを特徴とする。
【0020】
本発明の第11の手段は、潜像担持体上の潜像にトナーを付着させることにより潜像を現像し、これにより得られたトナー像を最終的に記録材に転移させて画像形成を行う画像形成装置において、前記潜像担持体上の潜像を現像する手段として、第1〜第10のいずれか1つの手段に記載の現像装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明の第12の手段は、第11の手段に記載の画像形成装置において、前記潜像担持体上に形成されたトナー像を複数互いに重ね合わせて得られる画像を記録材に形成することを特徴とする。
【0021】
本発明の第13の手段は、電子写真プロセスにより画像形成を行う画像形成装置に装備されるプロセスカートリッジであって、潜像担持体、帯電手段、クリーニング手段のうちの少なくとも一つと、第1〜第10のいずれか1つの手段に記載の現像装置を一体に保持し、前記画像形成装置に対して着脱可能に設けられたことを特徴とする。
また、本発明の第14の手段は、電子写真プロセスにより画像形成を行う画像形成装置であって、第13の手段に記載のプロセスカートリッジを単数または複数備え、単色、多色またはフルカラー画像を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、トナー担持体の現像領域上流側にトナー担持体へのトナー付着を防止するトナー付着防止部材を設けている。そして、トナー付着防止部材として、トナー担持体と対向して対向電極を設け、その電極にトナーがトナー担持体から対向電極に向かう方向に電界が生じるように電圧を印加することによって、付着したトナーをトナー担持体から引き剥がし、フレアさせている。また、トナー付着防止部材として絶縁性のブラシ状の部材やシート状の部材をトナー担持体上に付着しているトナーに直接接触させることによって、付着しているトナーを動かし、付着力を小さくしてトナーをフレアさせている。
【0023】
より具体的には、第1の手段の現像装置では、潜像担持体とトナー担持体とが対向する現像領域の上流に、トナー担持体表面へのトナー付着を防止するトナー付着防止部材を設けた構成としたので、トナー担持体へのトナー付着を防止することができ、それにより、確実にトナーをフレアさせることができ、現像領域で正常に現像を行うことができる。
【0024】
第2の手段の現像装置では、第1の手段の構成及び効果に加え、前記トナー付着防止部材は電極であり、該電極に電圧を印加する電圧印加手段を有する構成としたので、トナー担持体に対して非接触の電極を用いることによって、トナーの帯電量等に影響を与えることなくトナー付着を防止することが可能である。
また、第3の手段の現像装置では、第2の手段の構成及び効果に加え、前記電圧印加手段が印加する電圧は直流電圧であるので、電極に直流電圧を印加することによって、トナー付着を防止するとともに、飛散トナーを回収することが可能である。
さらに第4の手段の現像装置では、第2の手段の構成及び効果に加え、前記電圧印加手段が印加する電圧は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧であるので、電極に直流電圧に交流電圧を重畳させた電圧を印加することによって、振動電界がトナーに作用し、効率的にトナー付着を防止することができる。
【0025】
第5の手段の現像装置では、第1〜第4のいずれか1つの手段の構成及び効果に加えて、前記トナー付着防止部材は、ワイヤ状の電極であるので、ワイヤ電極にすることで、小型の現像装置でスペースの狭い場所でも設置が容易である。
また、第6の手段の現像装置では、第1〜第4のいずれか1つの手段の構成及び効果に加えて、前記トナー付着防止部材は、円弧状電極であるので、円弧状電極にすることで、広い範囲で付着トナーをトナー担持体表面から剥ぎ取ることが可能となる。
【0026】
第7の手段の現像装置では、第1の手段の構成及び効果に加えて、前記トナー付着防止部材は絶縁性の部材であり、前記トナー担持体と接しており、前記トナー担持体表面に付着したトナーを動かす構成としたので、絶縁性の部材をトナー担持体表面に接触させることによって、トナー担持体表面に付着したトナーを確実に動かすことができ、トナー付着を効率よく防止することができる。
また、第8の手段の現像装置では、第1または第7の手段の構成及び効果に加え、前記トナー付着防止部材は、前記トナー担持体と接離可能であるので、トナー付着防止部材をトナー担持体に対して接離可能にすることによって、トナー付着が起こっていないときにはトナーと接触させないことでトナーの帯電量等に影響を与えることがなくなる。
【0027】
第9の手段の現像装置では、第1〜第8のいずれか1つの手段の構成及び効果に加えて、前記トナー担持体表面へのトナーの付着量を検知するトナー付着量検知手段を有し、該トナー付着量検知手段の検知結果を用いて前記トナー付着防止部材が動作する構成としたので、トナー付着量検知手段の検知結果を用いることで、トナー担持体表面へのトナー付着が発生した場合にのみトナー付着防止部材を動作させればよくなる。
また、第10の手段の現像装置では、第1〜第9のいずれか1つの手段の構成及び効果に加えて、前記トナー付着量検知手段は現像領域下流におけるトナー担持体上のトナー付着量を検知するか、もしくは潜像担持体上のトナー付着量を検知する構成としたので、現像領域下流側のトナー担持体上のトナー付着量、または潜像担持体上のトナー付着量を検知することで、正確にトナー担持体表面へのトナー付着量を検知することができる。
【0028】
第11の手段の画像形成装置では、潜像担持体上の潜像を現像する手段として、第1〜第10のいずれか1つの手段の現像装置を備えたことにより、第1〜第10のいずれか1つの手段の効果が得られ、トナー付着による異常画像を防ぐことができ、安定した良好な画像形成を行うことができる。
また、第12の手段の画像形成装置では、第11の手段の効果に加え、前記潜像担持体上に形成されたトナー像を複数互いに重ね合わせて得られる画像を記録材に形成することにより、安定した良好な多色またはカラー画像を形成することができる。
【0029】
第13の手段のプロセスカートリッジでは、潜像担持体、帯電手段、クリーニング手段のうちの少なくとも一つと、第1〜第10のいずれか1つの手段の現像装置を一体に保持したことにより、トナー付着による異常画像を防ぐことができ、安定した良好な画像形成を行うことができるプロセスカートリッジを提供することができる。また、このプロセスカートリッジは、画像形成装置に対して着脱可能に設けられているので、容易に交換やリサイクルが可能になり、画像形成装置のメンテンナンス性の向上や、省資源化に寄与することができる。
【0030】
第14の手段の画像形成装置では、第13の手段のプロセスカートリッジを単数または複数備え、単色、多色またはフルカラー画像を形成することにより、安定した良好な単色、多色またはフルカラー画像を形成することができる。また、プロセスカートリッジは、画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられているので、容易に交換やリサイクルが可能になり、画像形成装置のメンテンナンス性の向上や、省資源化に寄与することができる。また、画像形成装置の保守や管理も容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態及び実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
[実施形態1]
本発明の現像装置に用いられるトナー担持体の電極構成例を図1に示す。図1の構成ではトナー担持体21の電極の電極幅は40μm、電極間距離は40μmである。また、トナー担持体21の電極は2相であり、奇数番目の電極1a,2a,3a,4a,5a・・・をa相、偶数番目の電極1b,2b,3b,4b・・・をb相とする。図2、図3にトナー担持体のa相とb相の電極に印加する電圧の例を示す。
【0033】
図2において、電圧は矩形波であり、a相とb相の電圧は位相がπだけずれて印加されている。この位相差によって、a相とb相間には常にVppだけの電位差が生じている。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界に応じてトナーが電極間をホッピングする。Vppは100V〜1000Vである。Vppが100Vより小さくなると、電極間の電界が小さくなってしまい、トナーがホッピングしなくなってしまう。また、Vppが1000Vより大きくなると、経時で電極間でリークが発生する可能性がある。リークが発生すると、それ以降は電極間に電界が発生しなくなり、トナーがホッピングしなくなってしまう。
【0034】
上記印加電圧の矩形波の周波数fは0.1kHzから10kHzである。0.1kHzより小さくするとトナーのホッピングが現像速度に追いつかなくなってしまう。また、10kHzより大きくすると、トナーが電圧の切り替わりに追従できなくなってしまう。電圧の中心値V0は画像部電位と非画像部電位の間で現像条件によって変動させている。図2では印加する電圧は矩形波であるが、矩形波の場合、電圧の切り替わりが瞬時に起き、トナーのホッピングには適しているが、サイン波でも三角波でもよい。
【0035】
図3は、電圧印加方法の別の例である。a相は図2と同様の矩形波が印加されているが、b相には直流電圧が印加されている。この場合、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、図3の場合は印加するVppの範囲は200V〜2000Vとなる。図3の印加方法ではa相とb相の位相差は考える必要はなく、電源コストが安くなる。
【0036】
図4にトナー担持体21の軸に平行な方向から見た図を示す。図4において、a相の電極はトナー担持体21の左側から、b相の電極はトナー担持体21の右側から出ており、a相とb相で櫛歯状の電極構成になっている。また、トナー担持体21の両端部は外部から電圧を供給できるようにしている。一例としては、トナー担持体21の両端部に、電源に接続されたブラシ状の電極を摺接させ、電圧を供給する方法等がある。
【0037】
トナー担持体21の作成方法としては、軸となるステンレスなどの金属ローラに樹脂をコーティング、または樹脂ローラに金属ローラを圧入し、その樹脂ローラの表面に櫛歯状に電極を作成する。さらに、電極の作成後、表面を絶縁層でコーティングすることでトナー担持体ができあがる。
【0038】
図5は本発明の第1の実施形態を示す現像装置の概略構成図であり、図5における現像装置20は、磁性キャリアと非磁性トナーから成る二成分現像剤を用いた例である。図5の現像剤収容部は2室24a,24bに分けられており、現像装置内の両端部の現像剤通路(図示せず)によってつながっている。現像剤収容部24a,24bには二成分現像剤が収容されており、各室にある攪拌搬送スクリュ25a,25bによって攪拌されながら現像剤収容部内を搬送されている。現像装置20にはトナー補給口26が配置されており、トナー収容部(図示せず)からトナー補給口を通って、現像剤収容部24aにトナーが補給される。現像剤収容部(24aまたは24b)には現像剤の透磁率を検知するトナー濃度センサ(図示せず)が設置されており、現像剤の濃度を検知している。現像剤収容部(24aまたは24b)のトナー濃度が減少すると、トナー補給口26から現像剤収容部にトナーが補給される。
【0039】
攪拌搬送スクリュ25bと対向する位置には、トナー供給部材(現像剤担持体)22が配置されている。トナー供給部材22の内部には固定された磁石が配置されおり、トナー供給部材22の回転と磁力によって、現像剤収容部内の現像剤はトナー供給部材表面に汲み上げられる。現像剤の汲み上げ位置よりトナー供給部材22の回転方向上流において、トナー供給部材22と対向する位置に現像剤層規制部材23が設けられている。汲み上げ位置で汲み上げられた現像剤は現像剤層規制部材23によって一定量の現像剤層厚に規制される。現像剤層規制部材23を通った現像剤はトナー供給部材22の回転にともなって、前述の電極構成のトナー担持体21と対向する位置まで搬送される。
【0040】
トナー供給部材22には、第一電圧印加手段27によって供給バイアスが印加されている。この供給バイアスは、直流電圧でも交流電圧でもよい。また、直流電圧に交流電圧を重畳させたバイアスでもよい。トナー担持体21と対向する位置においては、第一、第二電圧印加手段27,28によってトナー担持体21とトナー供給部材22との間に電界が生じている。その電界からの静電気力を受け、トナーはキャリアから解離し、トナー担持体21の表面に移動する。トナー担持体21には、第二電圧印加手段28によって電極に電圧が印加されている。第二電圧印加手段28が印加する電圧は、図2(または図3)に示したような矩形波が最も適しているが、サイン波でも三角波でもよい。
【0041】
本実施形態では前述したように電極はa相とb相の2相とし、各隣り合う電極に位相差πをもった電圧を印加し、電極間に電界を生じさせている。トナー担持体21の表面に達したトナーは、この電極間の電界によってホッピングしながら電極間を往復運動する。本実施例ではトナーの搬送はトナー担持体21の回転によって行っている。トナーはホッピングしながら電極間を往復運動しながら、トナー担持体21の回転によって現像領域まで搬送される。現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持体21と潜像担持体10上の画像部との間の現像電界によって、潜像担持体10上に現像される。現像に寄与しなかったトナーはホッピングしながらトナー担持体21の回転によってさらに搬送され、回収手段(図示せず)によってトナー担持体表面から回収される。回収されたトナーは再び現像剤収容部24a,24bに戻され、現像装置内を循環する。
【0042】
[実施形態2]
次に図6は本発明の第2の実施形態を示す現像装置の概略構成図であり、非磁性トナーから成る一成分現像剤を用いた現像装置30の一例を示している。トナーは現像剤収容部34に収容されており、トナー補給ローラ35a,35bによって攪拌されている。そして、トナー補給ローラ35bによってトナーはトナー供給部材32と摩擦帯電を行い、静電気力によってトナー供給部材32上に汲み上げられる。トナー供給部材32上のトナーは現像剤層規制部材33によって薄層とされ、トナー供給部材32の回転にともなって、前述の電極構成のトナー担持体31と対向する位置に搬送される。
【0043】
トナー供給部材32には、第一電圧印加手段37によって供給バイアスが印加されている。この供給バイアスは、直流電圧でも交流電圧でもよい。また、直流電圧に交流電圧を重畳させたバイアスでもよい。トナー担持体32と対向する位置においては、第一、第二電圧印加手段37,38によってトナー担持体31とトナー供給部材32との間に電界が生じている。その電界からの静電気力を受け、トナーはトナー供給部材32から解離し、トナー担持体31の表面に移動する。トナー担持体31には、第二電圧印加手段38によって電極に電圧が印加されている。第二電圧印加手段38が印加する電圧は、図2(または図3)に示したような矩形波が最も適しているが、サイン波でも三角波でもよい。
【0044】
本実施形態では前述したように電極はa相とb相の2相とし、各隣り合う電極に位相差πをもった電圧を印加し、電極間に電界を生じさせている。トナー担持体31の表面に達したトナーは、この電極間の電界によってホッピングしながら電極間を往復運動する。本実施例ではトナーの搬送はトナー担持体31の回転によって行っている。トナーはホッピングしながら電極間を往復運動しながら、トナー担持体31の回転によって現像領域まで搬送される。現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持体31と潜像担持体10上の画像部との間の現像電界によって、潜像担持体10上に現像される。現像に寄与しなかったトナーはトナー担持体の回転によってさらに搬送され、回収手段(図示せず)によってトナー担持体表面から回収される。回収されたトナーは再び現像剤収容部34に戻され、現像装置内を循環する。
【0045】
[実施形態3]
次に図7は本発明の第3の実施形態を示す現像装置の概略構成図であり、トナー搬送方向に関して現像領域下流側にトナー回収手段を備えている構成の現像装置40の例である。なお、図7において、符号41はトナー担持体、42はトナー供給部材(または現像剤担持体)、43は現像剤層規制部材であり、これらは図5または図6の現像装置と同様の構成部材であり、動作も同様である。また、符号45a,45bは攪拌搬送部材である。
【0046】
トナー回収手段としては種々の方法が考えられる。図7は、回収板46と振動子47によるトナー回収を示した図である。トナー担持体41と回収板46の間に電圧印加手段48で直流電圧を印加し、トナーにトナー担持体41から回収板46に向かう方向に力が作用するように電界を発生させる。現像領域で現像に寄与しなかったトナーは回収板46とトナー担持体41が対向しあう回収領域において、トナー担持体41上から回収板46へ移動する。回収板上にトナーがある程度の量がたまると、振動子47によって回収板46を振動させ、回収板上のトナーを振るい落とし、再び現像剤収容部44に戻す。
【0047】
[実施形態4]
次に図8は本発明の第4の実施形態を示す現像装置の概略構成図であり、トナー搬送方向に関して現像領域下流側にトナー回収手段を備えている構成の現像装置の別の例である。図8に示す現像装置40では、トナー回収手段として回収ローラ49を用いてトナーを回収している。トナー担持体41と回収ローラ49の間に電圧印加手段48で直流電圧を印加し、トナーにトナー担持体41から回収ローラ49に向かう方向に力が作用するように電界を発生させる。現像領域で現像に寄与しなかったトナーは回収ローラ49とトナー担持体41が対向しあう回収領域において、トナー担持体41上から回収ローラ49へ移動する。回収ローラ49に付着したトナーは、ブレード50によって掻き落とされ、再び現像剤収容部44に戻される。
【0048】
[実施形態5]
次に図9は本発明の第5の実施形態を示す現像装置の概略構成図であり、トナー搬送方向に関して現像領域下流側にトナー回収手段を備えている構成の現像装置のさらに別の例である。図9に示す現像装置40では、トナー回収手段としてブラシローラ51を用いてトナーを回収している。トナー担持体41とブラシローラ51の間に電圧印加手段48で直流電圧を印加し、トナーにトナー担持体41からブラシローラ51に向かう方向に力が作用するように電界を発生させる。現像領域で現像に寄与しなかったトナーはブラシローラ51とトナー担持体41が対向しあう回収領域において、トナー担持体41上からブラシローラ51へ移動する。ブラシローラ51に付着したトナーは、フリッカバー52によって掻き落とされ、再び現像剤収容部44に戻される。
【0049】
[実施形態6]
次に図10は本発明の第6の実施形態を示す現像装置の概略構成図であり、トナー搬送方向に関して現像領域下流側にトナー回収手段を備えている構成の現像装置のさらに別の例である。図10に示す現像装置40では、トナー回収手段として吸引ノズル53を用いてトナーを回収している。具体的には、吸引ノズル53とトナー担持体41を対向させ、吸引ポンプ55によって吸引ノズル53から空気を吸引する。吸引ノズル53のトナー搬送方向下流側にはシール54が付けてあり、このシール54はトナー担持体41の表面と接触している。現像領域で現像に寄与しなかったトナーは、回収領域において空気の流れに乗って吸引ノズル53を通って回収される。空気の流れに乗らず、進行波電界によって搬送されているトナーもシール54と衝突し、そのまま下流に搬送されていくことはない。吸引ノズル53によって回収されたトナーは、ダクト56を通って再び現像剤収容部44に戻される。
【0050】
[実施形態7]
次に図11は本発明の第7の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。この現像装置60は、現像剤として一成分非磁性トナーを用い、トナー供給部材であるトナー補給ローラ62から直接トナー担持体61へトナーを供給する構成である。なお、トナー担持体61の構成は実施形態1と同様である。
【0051】
図11に示す現像装置60では、トナー補給ローラ62としてスポンジローラを用い、スポンジローラ62をトナー担持体61へ当接させてトナーを帯電させながらトナー担持体上へ供給する。図11ではトナー供給部材であるトナー補給ローラ62はトナー担持体61とトレーリング方向に回転しているが、カウンター方向でもよい。スポンジローラ62には第一電圧印加手段64によって供給バイアスが印加されており、この電圧によってトナー担持体61へ供給するトナーの量を制御することができる。この供給バイアスは、直流電圧でも交流電圧でもよい。また、直流電圧に交流電圧を重畳させたバイアスでもよい。トナー担持体61には、第二電圧印加手段65によって電極に電圧が印加されている。第二電圧印加手段65が印加する電圧は、図2に示したような矩形波が最も適しているが、サイン波でも三角波でもよい。
【0052】
本実施形態では前述したように電極はa相とb相の2相とし、各隣り合う電極に位相差πをもった電圧を印加し、電極間に電界を生じさせている。トナー担持体61へ供給されたトナーは、この電極間の電界によってホッピングしながら電極間を往復運動する。本実施形態ではトナーの搬送はトナー担持体61の回転によって行っている。トナー補給ローラ62からトナー担持体61へ供給されたトナーはトナー層規制部材63によって、さらに帯電され、トナー量は規制される。
【0053】
トナー層規制部材63によって帯電され規制されたトナーは、さらにホッピングしながらトナー担持体61の回転によって、現像領域まで搬送される。現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持体61と潜像担持体10上の画像部との間の現像電界によって、潜像担持体10上に現像される。現像に寄与しなかったトナーはトナー担持体61の回転によってさらに搬送され、トナー供給部材であるトナー補給ローラ62まで達する。トナー補給ローラ62は現像に使われずに戻ってきたトナーをトナー担持体61上から掃き取り、現像剤収容部66にトナーを戻す。
【実施例1】
【0054】
次に、以上に述べた実施形態1〜7の構成の現像装置(20,30,40,60)に共通の実施例について説明する。
【0055】
実施形態1〜7で説明した構成の現像装置(20,30,40,60)において、現像領域とは、潜像担持体10とトナー担持体(21,31,41,61)が対向する領域において、潜像担持体10は停止させた状態で画像部電位がトナー担持体(21,31,41,61)と対向するようにし、トナー担持体(21,31,41,61)の回転によってトナーを搬送し、潜像担持体10にトナーが現像された領域を現像領域と定義する。以下、現像領域を現像ニップと定義する。
【0056】
また、各実施形態で供給領域とは、トナー担持体(21,31,41,61)の回転を停止させ各電極にパルス電圧を印加しない状態で、トナー供給部材(22,32,42,62)に電圧を印加し、トナーがトナー担持体上に供給された領域のことを供給領域と定義する。
さらに各実施形態で規制領域とは、トナー担持体上にトナーがない状態で、トナー担持体と現像剤層規制部材(またはトナー層規制部材)(23,33,43,63)とが接触する領域のことを規制領域と定義する。
【0057】
以下、実施形態7で説明した図11の構成の現像装置60を例に挙げて本実施例を説明する。
実施形態7の現像装置60の構成では、トナー担持体61の表面でトナーには、電極間の電界から受ける力F1とトナー担持体61の表面と接触しているときに受ける付着力F2が作用している。トナー担持体61の電極幅や電極間距離や電極上の絶縁層の厚みが同じであれば、トナー担持体61の全周において電極間の電界はほぼ同じであるため、F1も同じである。トナーが供給領域や規制領域を通過するときに、トナーは摩擦を受け、トナーが帯電される。帯電したトナーはトナー担持体61の表面から鏡像力を受ける。また、規制領域を通過する際、トナーはトナー層規制部材63から規制圧を受け、トナー担持体表面に押し付けられる。押し付けられることによってトナーとトナー担持体間の非静電的付着力は増加する。よって、トナーが規制領域を通過した後はトナーとトナー担持体間の付着力F2(上述の鏡像力や非静電的付着力などの和)が最も大きくなっている。F1がF2よりも大きい場合は、トナーはトナー担持体61の表面上に形成されている電界(以下、フレア電界と呼ぶ)によってフレアすることができる。F1がF2より小さい場合は、トナーはトナー担持体表面に付着したままとなり、フレアすることができない。よって、トナー担持体61の電極に印加する電圧を調整したり、トナーの帯電量を調整したり、トナーに添加する外添剤を調整したりして、F1をF2より大きくし、トナーが正常にフレアするようにしている。
【0058】
上記の現像装置60において、現像時にトナーがあまり使用されず現像装置内で循環し続けると、経時でトナー劣化が発生する。初期においてはトナーの母体は外添剤によって覆われており、トナー母体とトナー担持体61とが直接接触することはない。経時においては現像装置内でトナーが循環し続けると、トナーの外添剤が母体から遊離または母体へ埋没し、トナー母体表面において外添剤の存在率が低下する。そのような劣化トナーの場合、トナー母体とトナー担持体表面が直接接触するようになる。トナー母体とトナー担持体表面が直接接触すると、トナーとトナー担持体表面との間の非静電的付着力や鏡像力が増加し、F2が増加する。経時でF2がF1より大きくなると、トナーはフレアできなくなり、現像時にトナーが現像されなくなってしまう。
【0059】
そこで本発明では、トナー担持体61の回転方向に対して現像領域の上流側にトナーがトナー担持体表面に付着することを防止するトナー付着防止部材を設ける(第1の手段)。トナー付着防止部材はトナー担持体に対して一定の距離を隔てて設けられた対向電極であり、電極に電圧を印加する電圧印加手段を設けている(第2の手段)。そして、トナー担持体上に付着しているトナーが対向電極の方に向かう方向に電界が発生するような電圧を対向電極に印加することによって、トナー担持体表面において部分的にF1を大きくすることが可能となり、F1がF2より大きくなり、トナーはフレアし始める。フレアしたトナーはまたトナー担持体表面と接触するが、電圧の切り替わりによってすぐにフレアするため、付着し続けることはない。また、F1よりF2の方が大きいトナーが発生しても、周囲でホッピングしているトナーとの衝突によって、またそのトナーは動き出し、フレアすることができる。
【0060】
次に本発明の現像装置に設けられるトナー付着防止部材の具体的な実施例を以下に示す。なお、以下の実施例では、現像装置の構成は実施形態7で説明した図11の構成の現像装置60と同様とし、現像剤として一成分非磁性トナーを用い、トナー供給部材であるトナー補給ローラ62から直接トナー担持体61へトナーを供給する構成としているが、これに限定されるものではなく、実施形態1〜6で説明した構成の現像装置にも同様にトナー付着防止部材を設けることができる。
【0061】
図12は本発明の一実施例を示す現像装置の概略要部構成図であり、図11の構成の現像装置60にトナー付着防止部材を設けた構成の一例を示している。図12におけるトナー付着防止部材70Aはトナー担持体61の軸方向と平行に張られたワイヤ状の電極である(第5の手段)。小型の現像装置の場合、規制領域と現像領域の間にはあまりスペースがないが、このワイヤ状の電極では小型の現像装置でも容易に設置することが可能である。
【0062】
図13は本発明の別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図であり、図11の構成の現像装置60にトナー付着防止部材を設けた構成の別の例を示している。図13の例では、トナー付着防止部材70Bとして、規制領域から現像領域までのトナー担持体表面を覆う円弧状の電極を用いている(第6の手段)。このように、規制領域から現像領域までの長い領域で円弧状の電極70Bを用いてトナー担持体表面を覆うことによって、効率的にトナー付着を防止することが可能となる。
【0063】
トナー付着防止部材70Bとトナー担持体61のGapは30μmから1mmである。印加する電圧は直流電圧(第3の手段)でも、直流電圧に交流電圧を重畳させた電圧(第4の手段)でもどちらでもよい。直流電圧の場合、図2、図3のV0との電位差が30V〜300Vとなるような電圧値を印加している。直流電圧を用いるとトナー担持体61から飛散していくトナーを電極によって回収することが可能である。また、交流電圧の場合、直流電圧成分は図2、図3のV0と同じとし、Vppは100V〜1000Vであり、トナー担持体61の電極に印加する電圧のVppと同じか、小さくしている。交流電圧の周波数は1kHz〜10kHzであり、トナー担持体61の電極に印加する電圧の周波数よりは大きく設定している。交流電圧を用いた場合には、振動電界によってトナーをトナー担持体61から引き剥がすことができるため、効率よくトナー付着を防止することができる。
【0064】
その他のトナー付着防止部材の例としては、絶縁性の部材を用いてトナー担持体61と直接接触させ、トナー担持体表面に付着したトナーを動かすことによって付着を防止させる構成がある(第7の手段)。経時で劣化したトナーはトナー担持体との間の付着力F2が増加しフレアできずに付着したままとなってしまうが、その付着したトナーを物理的に動かすことによって、付着力F2を小さくしトナーをフレアさせることができる。
【0065】
ここで、図14、図15は、トナー付着防止部材として絶縁性の部材を用いた実施例であり、図14は、トナー付着防止部材として絶縁性のブラシ状の部材70Cを設けた例である。また、図15は、トナー付着防止部材として絶縁性のシート状の部材70Dを設けた例である。
【0066】
このような絶縁性のトナー付着防止部材70C,70Dの場合、トナーと直接接触するためトナーの帯電量等に影響を与えてしまう。よって、トナーがトナー担持体表面に付着しておらず正常にフレアしている間は、トナー付着防止部材70C,70Dはトナー担持体61と接触していない方が望ましい。そのため、トナー付着防止部材70C,70Dはトナー担持体61と接離可能とし(第8の手段)、トナーが正常にフレアしている間はトナー付着防止部材70C,70Dはトナー担持体61と離れているように構成している。
【0067】
以上のように、本実施例においては、トナー担持体61の現像領域上流側にトナー担持体へのトナー付着を防止するトナー付着防止部材を設けている。そして、トナー付着防止部材として、トナー担持体61と対向して対向電極(70Aまたは70B)を設け、その電極(70Aまたは70B)にトナーがトナー担持体61から対向電極に向かう方向に電界が生じるように電圧印加手段で電圧を印加することによって、付着したトナーをトナー担持体61から引き剥がし、フレアさせている。また、トナー付着防止部材として絶縁性のブラシ状の部材70Cやシート状の部材70Dをトナー担持体上に付着しているトナーに直接接触させることによって、付着しているトナーを動かし、付着力を小さくしてトナーをフレアさせている。従って本発明によれば、トナー担持体61へのトナー付着を防止することができ、それにより、確実にトナーをフレアさせることができ、現像領域で正常に現像を行うことができる。
【0068】
ところで、トナー担持体表面にトナー付着が発生していなくて正常にトナーがフレアしている場合は、上記のトナー付着防止部材(70A,70B,70C,70D)を動作させる必要がない。よって本発明では、トナー付着量検知手段を設け、トナー付着量検知手段の検知結果を用いてトナー付着防止部材(70A,70B,70C,70D)を動作させるように構成している(第9の手段)。
【0069】
トナー担持体表面へのトナー付着が発生していない時に100%ベタ画像を現像した場合、トナー担持体上のトナーはすべて現像に使用され、トナー担持体61の回転方向に対して現像領域下流側でのトナーはなくなる。また、潜像担持体上では、潜像担持体10の回転方向に対して現像領域下流側では所望の付着量のトナーが付着している。トナー担持体表面へのトナー付着が発生している時に100%ベタ画像を現像した場合、付着していない正常にフレアしているトナーは現像に使用されるが、トナー担持体表面に付着しているトナーは現像に使用されず、トナー担持体表面に付着したままである。よって、トナー担持体61の回転方向に対して現像領域下流側でもトナー担持体上にトナーは存在することになる。
【0070】
また、潜像担持体上では、潜像担持体10の回転方向に対して現像領域下流側では付着しているトナー量は少なくなってしまう。よって、トナー付着量検知手段71は、例えば図16に示すように、現像領域下流側のトナー担持体61上のトナー付着量を検知する位置に設けるか、または図17に示すように、現像領域下流側の潜像担持体10上のトナー付着量を検知する位置に設けている(第10の手段)。そして、このような位置に設けたトナー付着量検知手段71で、トナー担持体61上のトナー付着量または潜像担持体10上のトナー付着量を検知することによって、正確にトナー担持体表面に付着しているトナー量を検知することができる。
【0071】
ここで、トナー付着量検知手段71としては、発光ダイオード(LED)等の発光素子と、フォトダイオード(PD)等の受光素子からなる反射型の光学センサで検知を行っている。この光学センサとしては、正反射光検知と散乱光検知のどちらでもよいと考えられるが、通常は、カラートナーの場合は散乱光、ブラックトナーの場合は正反射光を検知している。
【0072】
このトナー付着量検知手段71による検知結果より、トナー付着量がある一定値を超えると、前述のトナー付着防止部材が動作(トナー付着防止部材が図12、図13の例のような電極(70Aまたは70B)の場合は電圧印加、また、図14、図15の例のような絶縁性の部材(70Cまたは70D)の場合は接離動作)し、トナー担持体61の表面へのトナー付着を防止している。
【0073】
以上のように、図16または図17に示す実施例では、トナー担持体表面へのトナーの付着量を検知するトナー付着量検知手段71を有し、該トナー付着量検知手段71の検知結果を用いてトナー付着防止部材が動作する構成としたので、トナー付着量検知手段の検知結果を用いることで、トナー担持体表面へのトナー付着が発生した場合にのみトナー付着防止部材を動作させればよくなる。
また、トナー付着量検知手段71は現像領域下流におけるトナー担持体61上のトナー付着量を検知するか、もしくは潜像担持体10上のトナー付着量を検知する構成としたので、現像領域下流側のトナー担持体上のトナー付着量、または潜像担持体上のトナー付着量を検知することで、正確にトナー担持体表面へのトナー付着量を検知することができ、トナー付着防止部材の動作を確実に制御することができる。なお、トナー付着量検知手段71の検知結果に基いたトナー付着防止部材の動作の制御は、画像形成装置本体に具備された制御部で実行される。
【実施例2】
【0074】
次に上記の実施例1で説明した現像装置を備えた画像形成装置の実施例を説明する。
図18は、実施例1で説明した現像装置を用いた画像形成装置の構成例を示す概略構成図であり、デジタル複写機(またはデジタル複合機)の一例を示している。この画像形成装置は、画像形成部(プリンタ部)100と画像読取部(スキャナ部)110で構成されており、画像形成部(プリンタ部)100では、画像読取部(スキャナ部)110で読取った原稿の画像情報や、装置外部のパーソナルコンピュータ等からLANを通じて入力された画像情報、あるいは、通信回線を介して外部から送信されて来た画像情報等に応じて画像形成を行なう。
【0075】
画像形成部(プリンタ部)100の略中央部には潜像担持体であるドラム状の感光体10が配設されており、その周囲には、感光体10を帯電する帯電手段である帯電装置(例えば帯電ローラ、帯電チャージャ、帯電ブラシ等)11と、帯電された感光体に画像情報に応じて光を照射し静電潜像を形成する光書込装置(例えばレーザ走査方式の光書込装置、あるいはLEDアレイと結像素子アレイからなるライン状の光書込装置等)12と、感光体上の潜像をトナーで現像して顕像化する現像装置20(図示の例では図5に示した現像装置に実施例1のトナー付着防止部材70Aやトナー付着量検知手段71等を付加したもの)と、感光体上に形成されたトナー像を記録材Pに転移させる転写装置(例えば転写ローラ、転写チャージャ、転写ブラシ等)13と、転写後の感光体上の残留トナーを清掃するクリーニング装置(例えばクリーニングブレード、クリーニングブラシ、クリーニングローラ等)14と、感光体上の残留電荷を除去する除電装置(例えば除電ランプ、除電チャージャ、除電ブラシ等)15などが配設されている。また、現像装置20の上部にはトナー収容部29が設けられており、トナー収容部29からトナー補給口を通って現像剤収容部にトナーが補給されるようになっている。
【0076】
画像形成が開始されると電子写真プロセスによる画像形成動作が実行され、感光体10が図中の矢印で示すように時計回りに回転し、感光体表面が帯電装置11により均一に帯電される。そして光書込装置12により、帯電された感光体10に画像情報に応じた光が照射され静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置20のトナー担持体21に担持されたトナーにより現像され、トナー像として顕像化される。
【0077】
画像形成部100の下部には、記録紙等の記録材Pを収納した給紙カセット16が装着されており、上記の画像形成動作にタイミングを合せて給紙カセット16内の記録材Pが給紙ローラ17aと分離ローラ17bにより1枚づつ給紙され、複数の搬送ローラ17cを経てレジストローラ17dへ搬送される。そして、感光体上のトナー像が転写位置に来るタイミングに合せてレジストローラ17dで転写位置に記録材Pが送り出され、転写装置13により感光体上のトナー像が記録材Pに転写される。トナー像が転写された記録材Pは、搬送ベルト17eを経て定着装置18に搬送され、定着装置18により加熱・加圧されてトナー像が記録材Pに定着される。定着後の記録材Pは複数の排紙ローラ19a〜19eを経て排紙トレイ120に排紙される。また、トナー像転写後の感光体10は、クリーニング装置14により残留トナーを清掃され、除電装置15により残留電荷を除電される。
【0078】
本実施例の画像形成装置では、感光体10上の潜像を現像する手段として、実施例1で説明したような構成の現像装置を備えたことにより、トナー担持体へのトナー付着を防止することができ、それにより、確実にトナーをフレアさせることができ、現像領域で正常に現像を行うことができるので、トナー付着による異常画像を防ぐことができ、安定した良好な画像形成を行うことができる。
【実施例3】
【0079】
次に実施例1で説明した現像装置を備えたプロセスカートリッジの実施例を説明する。
上記の実施例2で述べたような画像形成装置においては、感光体、帯電装置、クリーニング装置のうちの少なくとも一つと、現像装置とを一体にしたプロセスカートリッジを用いることができる。
図19はプロセスカートリッジの一例を示す概略断面図であり、このプロセスカートリッジ80は、感光体10と帯電装置11と現像装置60(図示の例では図11に示す現像装置に実施例1のトナー付着防止部材70Aやトナー付着量検知手段71等を付加したもの)とクリーニング装置14をカートリッジ81内に一体に保持している。そして、このプロセスカートリッジ80は、画像形成装置に対して着脱可能に設けられているので、容易に交換やリサイクルが可能であり、画像形成装置のメンテンナンス性の向上や、省資源化に寄与することができる。
【実施例4】
【0080】
次に実施例3で説明したプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の実施例を説明する。
図20は、図19に示したプロセスカートリッジ80を複数備え、単色、多色またはフルカラー画像を形成するカラー画像形成装置の構成例を示す概略構成図である。
このカラー画像形成装置200では、記録材Pを搬送する転写ベルト90に沿って4つのプロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kを並設したものであり、プロセスカートリッジ80Yは実施例9と同様の電子写真プロセスにより感光体上にイエロー色のトナー像を形成し、プロセスカートリッジ80Mは実施例9と同様の電子写真プロセスにより感光体上にマゼンタ色のトナー像を形成し、プロセスカートリッジ80Cは実施例9と同様の電子写真プロセスにより感光体上にマゼンタ色のトナー像を形成し、プロセスカートリッジ80Kは実施例9と同様の電子写真プロセスにより感光体上にブラック色のトナー像を形成する。
【0081】
転写ベルト90の下方には、記録紙等の記録材Pを収納した多段の給紙カセット16A,16Bが装着されており、上記の各プロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kでの画像形成動作にタイミングを合せて給紙カセット16A,16Bのいずれか一方から記録材Pが給紙ローラ17aと分離ローラ17bにより1枚づつ給紙され、複数の搬送ローラ17cを経てレジストローラ17dへ搬送される。そして、各プロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kの感光体上のトナー像が転写位置に来るタイミングに合せてレジストローラ17dで転写ベルト90に記録材Pが送り出され、転写ベルト90で記録材が各プロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kの転写位置に順次搬送され、各転写装置13により感光体上の各色のトナー像が記録材Pに順次重ね合わせて転写される。トナー像が転写された記録材Pは、搬送ベルト17eを経て定着装置18に搬送され、定着装置18により加熱・加圧されてトナー像が記録材Pに定着される。定着後の記録材Pは複数の排紙ローラ19a〜19eを経て排紙トレイ210に排紙される。また、トナー像転写後の各プロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kの感光体10は、クリーニング装置14により残留トナーを清掃される。
【0082】
上記の構成のカラー画像形成装置200では、各プロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kを選択的に駆動されることにより、安定した良好な単色、多色またはフルカラー画像を形成することができる。また、各プロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kは、画像形成装置に対して着脱可能に設けられているので、容易に交換やリサイクルが可能であり、画像形成装置のメンテンナンス性の向上や、省資源化に寄与することができ、カラー画像形成装置200の保守、管理が容易である。
【0083】
なお、図20では、記録材Pを搬送する転写ベルト90に沿って4つのプロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kを並設した、直接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置の構成例を示したが、転写ベルト90に代えて中間転写ベルトを用い、中間転写ベルトから記録材に二次転写する二次転写部を設ければ、中間転写方式のタンデム型カラー画像形成装置を構成することができる。
また、図20は、プリンタ部の構成のみを示しているが、図18と同様に、プリンタ部の上部に画像読取部(スキャナ部)を設置すれば、プリンタやデジタル複写機として機能する複合機を構成することができる。また、通信回線と接続することにより、ファクシミリとしても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の現像装置に用いられるトナー担持体の電極構成例を示す要部断面図である。
【図2】図1に示すトナー担持体のa相とb相の電極に印加する電圧の例を示す図である。
【図3】図1に示すトナー担持体のa相とb相の電極に印加する電圧の別の例を示す図である。
【図4】図1に示すトナー担持体を軸に平行な方向から見た図である。
【図5】本発明の第1の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。
【図7】本発明の第3の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。
【図8】本発明の第4の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。
【図9】本発明の第5の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。
【図10】本発明の第6の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。
【図11】本発明の第7の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。
【図12】本発明の一実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。
【図13】本発明の別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。
【図14】本発明の別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。
【図15】本発明の別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。
【図16】本発明の別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。
【図17】本発明の別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。
【図18】本発明の現像装置を用いた画像形成装置の構成例を示す概略構成図である。
【図19】本発明の現像装置を用いたプロセスカートリッジの一例を示す概略断面図である。
【図20】図19に示すプロセスカートリッジを複数備えたカラー画像形成装置の構成例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0085】
1a,2a,3a,4a,5a:a相の電極
1b、2b、3b、4b:b相の電極
10:感光体(潜像担持体)
11:帯電装置
12:光書込装置
13:転写装置
14:クリーニング装置
15:除電装置
16,16A,16B:給紙カセット
18:定着装置
20,30,40,60:現像装置
21,31,41,61:トナー担持体
22,32,42,62:トナー供給部材
23,33,43,63:現像剤層規制部材(またはトナー層規制部材)
24a,24b,34,44,66:現像剤収容部
25a,25b:攪拌搬送スクリュ
27,37,64:第一電圧印加手段
28,38,65:第二電圧印加手段
35a,35b:トナー補給ローラ
45a,45b:攪拌搬送部材
70A,70B:トナー付着防止部材(電極)
70C,70D:トナー付着防止部材(絶縁性部材)
71:トナー付着量検知手段
80,80Y,80M,80C,80K:プロセスカートリッジ
90:転写ベルト
100:画像形成部(プリンタ部)
110:画像読取部(スキャナ部)
120,210:排紙トレイ
200:カラー画像形成装置
P:記録材
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜像担持体上の静電潜像をトナーを用いて現像する現像装置と、その現像装置を備えたプロセスカートリッジ、および、前記現像装置または前記プロセスカートリッジを備えた複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリあるいはこれらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
潜像担持体上の静電潜像をトナーを用いて現像する現像装置の従来技術として、例えば特許文献1(特開2005−010348公報)には、ドナー構造体からトナーを移動させることにより電荷保持面に対して非接触で静電潜像を現像する現像装置であって、前記ドナー構造体と前記電荷保持面との間の前記ドナー構造体近傍に設けられた電極と、前記電極に第1の交流電圧を印加する第1の印加手段と前記第1の交流電圧に当該第1の交流電圧と略同期した第2の交流電圧を重畳した第3の交流電圧を前記ドナー構造体に印加する第2の印加手段と、を備えた現像装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献2(特開2004−333845公報)には、所定の間隔をあけて配列された複数の電極に多層の交流電圧を印加することにより不均等交番電界を形成して現像剤を搬送する現像剤搬送手段を有し、前記現像剤搬送手段にて現像剤を静電潜像が形成された像担持体に向けて搬送することによって前記静電潜像を可視化する現像装置であって、前記現像剤搬送手段は、各電極の表面から現像剤搬送表面までの距離が、現像剤搬送方向に進むに従って段階的に小さくなるように構成されていることを特徴とする現像装置が記載されている。
【0004】
さらに本出願人により先に出願公開された特許文献3(特開2004−198675公報)には、潜像担持体上に粉体を付着させて潜像担持体上の潜像を現像するための現像装置において、前記潜像担持体に対向して配置され、前記粉体を移動させる進行波電界を発生させるための複数の電極を有する搬送部材を備え、前記搬送部材の電極には、前記粉体が前記潜像の画像部に対しては前記潜像担持体側に向かい、非画像部に対しては前記粉体が前記潜像担持体と反対側に向かう方向の電界を形成するn相の電位が印加されることを特徴とする現像装置が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−010348公報
【特許文献2】特開2004−333845公報
【特許文献3】特開2004−198675公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、現像剤担持体上の現像剤を潜像担持体に直接接触させないで、現像剤を潜像担持体上に供給して現像を行う構成の現像装置が知られている。その一例として、トナー担持体上のトナーをクラウド化させることによってトナーを潜像担持体上に供給するという従来技術がある。このトナー担持体は潜像担持体に対向して配置され、その内部には複数の電極が所定のピッチで配置されている。この複数の電極に時間的に変化する電圧を印加し、電極間の電界によってトナー担持体上のトナーを飛翔(以下、フレアと呼ぶ)させてクラウド化させている。
【0007】
このような構成の現像装置において、トナー担持体の表面においてトナーが電極間の電界から受ける力F1とトナーとトナー担持体表面の間の付着力F2の大小関係が重要となってくる。F1がF2より大きい場合は、トナーは電極間の電界に従って正常にフレアすることが可能であるが、F1がF2より小さくなるとトナーはトナー担持体の表面に付着したままとなりフレアすることができず、現像が正常に行われない。
そこで現像を正常に行うためにF1をF2よりも大きくする必要があるが、F1を大きくするためには電極に印加する電圧値を大きくしたり、電極の表層を覆っている絶縁層の厚さを薄くするなどの方法が考えられる。そして、このような方法でF1をF2より大きくし、正常にトナーをフレアさせている。
【0008】
しかし、経時においてトナーがあまり現像に使用させず長期に現像装置内で攪拌され続けると、トナー母体の表層に存在していた外添剤が遊離したり、母体内部に埋没したりして、トナー表層における外添剤の存在率が低下してしまう。そのような状態のトナーがトナー担持体の表面に付着した場合、トナーの母体とトナー担持体表面が直接接触するようになり、接触距離が小さくなり、接触面積も大きくなる。このような場合、トナーとトナー担持体表面の間の非静電的付着力が増加する。また、トナーが帯電していることによってトナー担持体表面から受ける鏡像力もトナーの帯電量が経時で変動しないとしても、増加してしまう。よって、経時で外添剤の存在率が低下して劣化してしまったトナーの場合、トナーとトナー担持体表面の間の付着力F2が非常に増加してしまい、トナーが電極間の電界から受ける力F1より大きくなってしまい、トナーはフレアしなくなってしまう。
【0009】
経時でトナーが劣化しフレアしなくなった場合、電極に印加する電圧値を大きくし、トナーが電極間の電界から受ける力F1を大きくする方法が考えられる。この場合はF1をF2より大きくすることが可能であるが、電界から大きな力を受けるためフレアしたトナーがトナー担持体へ戻ってくることができなくなり、トナー飛散が発生してしまう。また、電極間に大きな電位差で電圧を印加してしまうため、電極間でリークが起こる可能性が大きくなる。
【0010】
経時でF1よりF2が大きくなった場合、トナー担持体に対向して対向電極を設け、その電極にトナーがトナー担持体から対向電極に向かう方向に電界が生じるように電圧を印加することによって、F1を大きくすることが可能である。原理的にはトナー担持体の電極に印加する電圧値を大きくすることと同じであるが、対向電極の場合は飛散してしまったトナーは対向電極で回収できるため、問題はない。また、一度フレアしたトナーはその後、トナー担持体表面に付着することはないため、対向電極を設置する位置はトナー担持体上の一部だけでよい。
【0011】
また、経時で付着してしまったトナーは、物理的に動かすことによってF2を小さくすることが可能であり、そうすることによってF2をF1より小さくすることができる。フレアしたトナーは電極間でホッピングを続けるが、ホッピングしているトナーが付着しているトナーに衝突することによって、付着していたトナーが動かされ、F2が小さくなり、フレアし始める。このようにしてなだれ式にトナーがフレアしはじめ、最終的にトナー担持体上全体のトナーがフレアするようになる。
【0012】
前述の特許文献1に記載の従来技術では、現像領域においてドナー構造体と電荷保持面の間に電極を設け、その電極に交流電圧を重畳させた電圧を印加し、ドナー構造体上のトナーをクラウド化させている。このような構成の現像装置において、経時でトナーが劣化しドナー構造体への付着力が増加した場合、トナーをクラウド化させるためには電極に大きな電圧を印加する必要がある。その場合、クラウド化したトナーは今度は電荷保持面側に付着してしまう可能性があり、地汚れが発生してしまい問題である。また、一度電荷保持面に現像されたトナー像を乱してしまう可能性があり、画像劣化も起こってしまう。
【0013】
特許文献2に記載の従来技術では、現像領域に近づくにつれて現像剤搬送手段の電極上の絶縁層の幅を小さくしていくことによって、現像剤搬送手段の表面の電界を徐々に大きくし、現像領域でトナーが高くクラウドするようにしている。このような構成の現像装置において、経時でトナーが劣化した場合、現像領域に到達する前に現像剤搬送手段の表面に付着してしまい、付着してしまったトナーは現像領域に搬送されることはない。従って多くのトナーが付着してしまった場合は、その後からやってくるトナーにも影響を与えてしまい、問題である。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、トナー担持体へのトナー付着を防止することによって、確実にトナーをフレアさせることができ、現像領域で正常に現像を行うことができる構成の現像装置を提供することを目的とする。また、本発明は、その現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とし、さらにはそのプロセスカーリッジを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明では以下のような解決手段を採っている。
本発明の第1の手段は、潜像担持体と対向して配置され、前記潜像担持体上の静電潜像を現像するためのトナーを担持するトナー担持体を有する現像装置であって、前記トナー担持体の内部に所定の間隔で並べられた複数の電極を有し、該複数の電極間の電界が時間的に変化するように前記電極に電圧を印加する電圧印加手段を備え、前記電極間の電界により前記トナー担持体上のトナーを飛翔させてクラウドを形成する構成の現像装置において、前記潜像担持体と前記トナー担持体とが対向する現像領域の上流に、前記トナー担持体表面へのトナー付着を防止するトナー付着防止部材を設けたことを特徴とする。
【0016】
本発明の第2の手段は、第1の手段の現像装置において、前記トナー付着防止部材は電極であり、該電極に電圧を印加する電圧印加手段を有することを特徴とする。
また、本発明の第3の手段は、第2の手段の現像装置において、前記電圧印加手段が印加する電圧は直流電圧であることを特徴とする。
さらに本発明の第4の手段は、第2の手段の現像装置において、前記電圧印加手段が印加する電圧は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧であること特徴とする。
【0017】
本発明の第5の手段は、第1〜第4のいずれか1つの手段の現像装置において、前記トナー付着防止部材は、ワイヤ状の電極であることを特徴とする。
また、本発明の第6の手段は、第1〜第4のいずれか1つの手段の現像装置において、前記トナー付着防止部材は、円弧状電極であることを特徴とする。
【0018】
本発明の第7の手段は、第1の手段の現像装置において、前記トナー付着防止部材は絶縁性の部材であり、前記トナー担持体と接しており、前記トナー担持体表面に付着したトナーを動かすことを特徴とする。
また、本発明の第8の手段は、第1または第7の手段の現像装置において、前記トナー付着防止部材は、前記トナー担持体と接離可能であることを特徴とする。
【0019】
本発明の第9の手段は、第1〜第8のいずれか1つの手段の現像装置において、前記トナー担持体表面へのトナーの付着量を検知するトナー付着量検知手段を有し、該トナー付着量検知手段の検知結果を用いて前記トナー付着防止部材が動作することを特徴とする。
また、本発明の第10の手段は、第1〜第9のいずれか1つの手段の現像装置において、前記トナー付着量検知手段は現像領域下流におけるトナー担持体上のトナー付着量を検知するか、もしくは前記潜像担持体上のトナー付着量を検知することを特徴とする。
【0020】
本発明の第11の手段は、潜像担持体上の潜像にトナーを付着させることにより潜像を現像し、これにより得られたトナー像を最終的に記録材に転移させて画像形成を行う画像形成装置において、前記潜像担持体上の潜像を現像する手段として、第1〜第10のいずれか1つの手段に記載の現像装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明の第12の手段は、第11の手段に記載の画像形成装置において、前記潜像担持体上に形成されたトナー像を複数互いに重ね合わせて得られる画像を記録材に形成することを特徴とする。
【0021】
本発明の第13の手段は、電子写真プロセスにより画像形成を行う画像形成装置に装備されるプロセスカートリッジであって、潜像担持体、帯電手段、クリーニング手段のうちの少なくとも一つと、第1〜第10のいずれか1つの手段に記載の現像装置を一体に保持し、前記画像形成装置に対して着脱可能に設けられたことを特徴とする。
また、本発明の第14の手段は、電子写真プロセスにより画像形成を行う画像形成装置であって、第13の手段に記載のプロセスカートリッジを単数または複数備え、単色、多色またはフルカラー画像を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、トナー担持体の現像領域上流側にトナー担持体へのトナー付着を防止するトナー付着防止部材を設けている。そして、トナー付着防止部材として、トナー担持体と対向して対向電極を設け、その電極にトナーがトナー担持体から対向電極に向かう方向に電界が生じるように電圧を印加することによって、付着したトナーをトナー担持体から引き剥がし、フレアさせている。また、トナー付着防止部材として絶縁性のブラシ状の部材やシート状の部材をトナー担持体上に付着しているトナーに直接接触させることによって、付着しているトナーを動かし、付着力を小さくしてトナーをフレアさせている。
【0023】
より具体的には、第1の手段の現像装置では、潜像担持体とトナー担持体とが対向する現像領域の上流に、トナー担持体表面へのトナー付着を防止するトナー付着防止部材を設けた構成としたので、トナー担持体へのトナー付着を防止することができ、それにより、確実にトナーをフレアさせることができ、現像領域で正常に現像を行うことができる。
【0024】
第2の手段の現像装置では、第1の手段の構成及び効果に加え、前記トナー付着防止部材は電極であり、該電極に電圧を印加する電圧印加手段を有する構成としたので、トナー担持体に対して非接触の電極を用いることによって、トナーの帯電量等に影響を与えることなくトナー付着を防止することが可能である。
また、第3の手段の現像装置では、第2の手段の構成及び効果に加え、前記電圧印加手段が印加する電圧は直流電圧であるので、電極に直流電圧を印加することによって、トナー付着を防止するとともに、飛散トナーを回収することが可能である。
さらに第4の手段の現像装置では、第2の手段の構成及び効果に加え、前記電圧印加手段が印加する電圧は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧であるので、電極に直流電圧に交流電圧を重畳させた電圧を印加することによって、振動電界がトナーに作用し、効率的にトナー付着を防止することができる。
【0025】
第5の手段の現像装置では、第1〜第4のいずれか1つの手段の構成及び効果に加えて、前記トナー付着防止部材は、ワイヤ状の電極であるので、ワイヤ電極にすることで、小型の現像装置でスペースの狭い場所でも設置が容易である。
また、第6の手段の現像装置では、第1〜第4のいずれか1つの手段の構成及び効果に加えて、前記トナー付着防止部材は、円弧状電極であるので、円弧状電極にすることで、広い範囲で付着トナーをトナー担持体表面から剥ぎ取ることが可能となる。
【0026】
第7の手段の現像装置では、第1の手段の構成及び効果に加えて、前記トナー付着防止部材は絶縁性の部材であり、前記トナー担持体と接しており、前記トナー担持体表面に付着したトナーを動かす構成としたので、絶縁性の部材をトナー担持体表面に接触させることによって、トナー担持体表面に付着したトナーを確実に動かすことができ、トナー付着を効率よく防止することができる。
また、第8の手段の現像装置では、第1または第7の手段の構成及び効果に加え、前記トナー付着防止部材は、前記トナー担持体と接離可能であるので、トナー付着防止部材をトナー担持体に対して接離可能にすることによって、トナー付着が起こっていないときにはトナーと接触させないことでトナーの帯電量等に影響を与えることがなくなる。
【0027】
第9の手段の現像装置では、第1〜第8のいずれか1つの手段の構成及び効果に加えて、前記トナー担持体表面へのトナーの付着量を検知するトナー付着量検知手段を有し、該トナー付着量検知手段の検知結果を用いて前記トナー付着防止部材が動作する構成としたので、トナー付着量検知手段の検知結果を用いることで、トナー担持体表面へのトナー付着が発生した場合にのみトナー付着防止部材を動作させればよくなる。
また、第10の手段の現像装置では、第1〜第9のいずれか1つの手段の構成及び効果に加えて、前記トナー付着量検知手段は現像領域下流におけるトナー担持体上のトナー付着量を検知するか、もしくは潜像担持体上のトナー付着量を検知する構成としたので、現像領域下流側のトナー担持体上のトナー付着量、または潜像担持体上のトナー付着量を検知することで、正確にトナー担持体表面へのトナー付着量を検知することができる。
【0028】
第11の手段の画像形成装置では、潜像担持体上の潜像を現像する手段として、第1〜第10のいずれか1つの手段の現像装置を備えたことにより、第1〜第10のいずれか1つの手段の効果が得られ、トナー付着による異常画像を防ぐことができ、安定した良好な画像形成を行うことができる。
また、第12の手段の画像形成装置では、第11の手段の効果に加え、前記潜像担持体上に形成されたトナー像を複数互いに重ね合わせて得られる画像を記録材に形成することにより、安定した良好な多色またはカラー画像を形成することができる。
【0029】
第13の手段のプロセスカートリッジでは、潜像担持体、帯電手段、クリーニング手段のうちの少なくとも一つと、第1〜第10のいずれか1つの手段の現像装置を一体に保持したことにより、トナー付着による異常画像を防ぐことができ、安定した良好な画像形成を行うことができるプロセスカートリッジを提供することができる。また、このプロセスカートリッジは、画像形成装置に対して着脱可能に設けられているので、容易に交換やリサイクルが可能になり、画像形成装置のメンテンナンス性の向上や、省資源化に寄与することができる。
【0030】
第14の手段の画像形成装置では、第13の手段のプロセスカートリッジを単数または複数備え、単色、多色またはフルカラー画像を形成することにより、安定した良好な単色、多色またはフルカラー画像を形成することができる。また、プロセスカートリッジは、画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられているので、容易に交換やリサイクルが可能になり、画像形成装置のメンテンナンス性の向上や、省資源化に寄与することができる。また、画像形成装置の保守や管理も容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態及び実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
[実施形態1]
本発明の現像装置に用いられるトナー担持体の電極構成例を図1に示す。図1の構成ではトナー担持体21の電極の電極幅は40μm、電極間距離は40μmである。また、トナー担持体21の電極は2相であり、奇数番目の電極1a,2a,3a,4a,5a・・・をa相、偶数番目の電極1b,2b,3b,4b・・・をb相とする。図2、図3にトナー担持体のa相とb相の電極に印加する電圧の例を示す。
【0033】
図2において、電圧は矩形波であり、a相とb相の電圧は位相がπだけずれて印加されている。この位相差によって、a相とb相間には常にVppだけの電位差が生じている。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界に応じてトナーが電極間をホッピングする。Vppは100V〜1000Vである。Vppが100Vより小さくなると、電極間の電界が小さくなってしまい、トナーがホッピングしなくなってしまう。また、Vppが1000Vより大きくなると、経時で電極間でリークが発生する可能性がある。リークが発生すると、それ以降は電極間に電界が発生しなくなり、トナーがホッピングしなくなってしまう。
【0034】
上記印加電圧の矩形波の周波数fは0.1kHzから10kHzである。0.1kHzより小さくするとトナーのホッピングが現像速度に追いつかなくなってしまう。また、10kHzより大きくすると、トナーが電圧の切り替わりに追従できなくなってしまう。電圧の中心値V0は画像部電位と非画像部電位の間で現像条件によって変動させている。図2では印加する電圧は矩形波であるが、矩形波の場合、電圧の切り替わりが瞬時に起き、トナーのホッピングには適しているが、サイン波でも三角波でもよい。
【0035】
図3は、電圧印加方法の別の例である。a相は図2と同様の矩形波が印加されているが、b相には直流電圧が印加されている。この場合、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、図3の場合は印加するVppの範囲は200V〜2000Vとなる。図3の印加方法ではa相とb相の位相差は考える必要はなく、電源コストが安くなる。
【0036】
図4にトナー担持体21の軸に平行な方向から見た図を示す。図4において、a相の電極はトナー担持体21の左側から、b相の電極はトナー担持体21の右側から出ており、a相とb相で櫛歯状の電極構成になっている。また、トナー担持体21の両端部は外部から電圧を供給できるようにしている。一例としては、トナー担持体21の両端部に、電源に接続されたブラシ状の電極を摺接させ、電圧を供給する方法等がある。
【0037】
トナー担持体21の作成方法としては、軸となるステンレスなどの金属ローラに樹脂をコーティング、または樹脂ローラに金属ローラを圧入し、その樹脂ローラの表面に櫛歯状に電極を作成する。さらに、電極の作成後、表面を絶縁層でコーティングすることでトナー担持体ができあがる。
【0038】
図5は本発明の第1の実施形態を示す現像装置の概略構成図であり、図5における現像装置20は、磁性キャリアと非磁性トナーから成る二成分現像剤を用いた例である。図5の現像剤収容部は2室24a,24bに分けられており、現像装置内の両端部の現像剤通路(図示せず)によってつながっている。現像剤収容部24a,24bには二成分現像剤が収容されており、各室にある攪拌搬送スクリュ25a,25bによって攪拌されながら現像剤収容部内を搬送されている。現像装置20にはトナー補給口26が配置されており、トナー収容部(図示せず)からトナー補給口を通って、現像剤収容部24aにトナーが補給される。現像剤収容部(24aまたは24b)には現像剤の透磁率を検知するトナー濃度センサ(図示せず)が設置されており、現像剤の濃度を検知している。現像剤収容部(24aまたは24b)のトナー濃度が減少すると、トナー補給口26から現像剤収容部にトナーが補給される。
【0039】
攪拌搬送スクリュ25bと対向する位置には、トナー供給部材(現像剤担持体)22が配置されている。トナー供給部材22の内部には固定された磁石が配置されおり、トナー供給部材22の回転と磁力によって、現像剤収容部内の現像剤はトナー供給部材表面に汲み上げられる。現像剤の汲み上げ位置よりトナー供給部材22の回転方向上流において、トナー供給部材22と対向する位置に現像剤層規制部材23が設けられている。汲み上げ位置で汲み上げられた現像剤は現像剤層規制部材23によって一定量の現像剤層厚に規制される。現像剤層規制部材23を通った現像剤はトナー供給部材22の回転にともなって、前述の電極構成のトナー担持体21と対向する位置まで搬送される。
【0040】
トナー供給部材22には、第一電圧印加手段27によって供給バイアスが印加されている。この供給バイアスは、直流電圧でも交流電圧でもよい。また、直流電圧に交流電圧を重畳させたバイアスでもよい。トナー担持体21と対向する位置においては、第一、第二電圧印加手段27,28によってトナー担持体21とトナー供給部材22との間に電界が生じている。その電界からの静電気力を受け、トナーはキャリアから解離し、トナー担持体21の表面に移動する。トナー担持体21には、第二電圧印加手段28によって電極に電圧が印加されている。第二電圧印加手段28が印加する電圧は、図2(または図3)に示したような矩形波が最も適しているが、サイン波でも三角波でもよい。
【0041】
本実施形態では前述したように電極はa相とb相の2相とし、各隣り合う電極に位相差πをもった電圧を印加し、電極間に電界を生じさせている。トナー担持体21の表面に達したトナーは、この電極間の電界によってホッピングしながら電極間を往復運動する。本実施例ではトナーの搬送はトナー担持体21の回転によって行っている。トナーはホッピングしながら電極間を往復運動しながら、トナー担持体21の回転によって現像領域まで搬送される。現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持体21と潜像担持体10上の画像部との間の現像電界によって、潜像担持体10上に現像される。現像に寄与しなかったトナーはホッピングしながらトナー担持体21の回転によってさらに搬送され、回収手段(図示せず)によってトナー担持体表面から回収される。回収されたトナーは再び現像剤収容部24a,24bに戻され、現像装置内を循環する。
【0042】
[実施形態2]
次に図6は本発明の第2の実施形態を示す現像装置の概略構成図であり、非磁性トナーから成る一成分現像剤を用いた現像装置30の一例を示している。トナーは現像剤収容部34に収容されており、トナー補給ローラ35a,35bによって攪拌されている。そして、トナー補給ローラ35bによってトナーはトナー供給部材32と摩擦帯電を行い、静電気力によってトナー供給部材32上に汲み上げられる。トナー供給部材32上のトナーは現像剤層規制部材33によって薄層とされ、トナー供給部材32の回転にともなって、前述の電極構成のトナー担持体31と対向する位置に搬送される。
【0043】
トナー供給部材32には、第一電圧印加手段37によって供給バイアスが印加されている。この供給バイアスは、直流電圧でも交流電圧でもよい。また、直流電圧に交流電圧を重畳させたバイアスでもよい。トナー担持体32と対向する位置においては、第一、第二電圧印加手段37,38によってトナー担持体31とトナー供給部材32との間に電界が生じている。その電界からの静電気力を受け、トナーはトナー供給部材32から解離し、トナー担持体31の表面に移動する。トナー担持体31には、第二電圧印加手段38によって電極に電圧が印加されている。第二電圧印加手段38が印加する電圧は、図2(または図3)に示したような矩形波が最も適しているが、サイン波でも三角波でもよい。
【0044】
本実施形態では前述したように電極はa相とb相の2相とし、各隣り合う電極に位相差πをもった電圧を印加し、電極間に電界を生じさせている。トナー担持体31の表面に達したトナーは、この電極間の電界によってホッピングしながら電極間を往復運動する。本実施例ではトナーの搬送はトナー担持体31の回転によって行っている。トナーはホッピングしながら電極間を往復運動しながら、トナー担持体31の回転によって現像領域まで搬送される。現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持体31と潜像担持体10上の画像部との間の現像電界によって、潜像担持体10上に現像される。現像に寄与しなかったトナーはトナー担持体の回転によってさらに搬送され、回収手段(図示せず)によってトナー担持体表面から回収される。回収されたトナーは再び現像剤収容部34に戻され、現像装置内を循環する。
【0045】
[実施形態3]
次に図7は本発明の第3の実施形態を示す現像装置の概略構成図であり、トナー搬送方向に関して現像領域下流側にトナー回収手段を備えている構成の現像装置40の例である。なお、図7において、符号41はトナー担持体、42はトナー供給部材(または現像剤担持体)、43は現像剤層規制部材であり、これらは図5または図6の現像装置と同様の構成部材であり、動作も同様である。また、符号45a,45bは攪拌搬送部材である。
【0046】
トナー回収手段としては種々の方法が考えられる。図7は、回収板46と振動子47によるトナー回収を示した図である。トナー担持体41と回収板46の間に電圧印加手段48で直流電圧を印加し、トナーにトナー担持体41から回収板46に向かう方向に力が作用するように電界を発生させる。現像領域で現像に寄与しなかったトナーは回収板46とトナー担持体41が対向しあう回収領域において、トナー担持体41上から回収板46へ移動する。回収板上にトナーがある程度の量がたまると、振動子47によって回収板46を振動させ、回収板上のトナーを振るい落とし、再び現像剤収容部44に戻す。
【0047】
[実施形態4]
次に図8は本発明の第4の実施形態を示す現像装置の概略構成図であり、トナー搬送方向に関して現像領域下流側にトナー回収手段を備えている構成の現像装置の別の例である。図8に示す現像装置40では、トナー回収手段として回収ローラ49を用いてトナーを回収している。トナー担持体41と回収ローラ49の間に電圧印加手段48で直流電圧を印加し、トナーにトナー担持体41から回収ローラ49に向かう方向に力が作用するように電界を発生させる。現像領域で現像に寄与しなかったトナーは回収ローラ49とトナー担持体41が対向しあう回収領域において、トナー担持体41上から回収ローラ49へ移動する。回収ローラ49に付着したトナーは、ブレード50によって掻き落とされ、再び現像剤収容部44に戻される。
【0048】
[実施形態5]
次に図9は本発明の第5の実施形態を示す現像装置の概略構成図であり、トナー搬送方向に関して現像領域下流側にトナー回収手段を備えている構成の現像装置のさらに別の例である。図9に示す現像装置40では、トナー回収手段としてブラシローラ51を用いてトナーを回収している。トナー担持体41とブラシローラ51の間に電圧印加手段48で直流電圧を印加し、トナーにトナー担持体41からブラシローラ51に向かう方向に力が作用するように電界を発生させる。現像領域で現像に寄与しなかったトナーはブラシローラ51とトナー担持体41が対向しあう回収領域において、トナー担持体41上からブラシローラ51へ移動する。ブラシローラ51に付着したトナーは、フリッカバー52によって掻き落とされ、再び現像剤収容部44に戻される。
【0049】
[実施形態6]
次に図10は本発明の第6の実施形態を示す現像装置の概略構成図であり、トナー搬送方向に関して現像領域下流側にトナー回収手段を備えている構成の現像装置のさらに別の例である。図10に示す現像装置40では、トナー回収手段として吸引ノズル53を用いてトナーを回収している。具体的には、吸引ノズル53とトナー担持体41を対向させ、吸引ポンプ55によって吸引ノズル53から空気を吸引する。吸引ノズル53のトナー搬送方向下流側にはシール54が付けてあり、このシール54はトナー担持体41の表面と接触している。現像領域で現像に寄与しなかったトナーは、回収領域において空気の流れに乗って吸引ノズル53を通って回収される。空気の流れに乗らず、進行波電界によって搬送されているトナーもシール54と衝突し、そのまま下流に搬送されていくことはない。吸引ノズル53によって回収されたトナーは、ダクト56を通って再び現像剤収容部44に戻される。
【0050】
[実施形態7]
次に図11は本発明の第7の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。この現像装置60は、現像剤として一成分非磁性トナーを用い、トナー供給部材であるトナー補給ローラ62から直接トナー担持体61へトナーを供給する構成である。なお、トナー担持体61の構成は実施形態1と同様である。
【0051】
図11に示す現像装置60では、トナー補給ローラ62としてスポンジローラを用い、スポンジローラ62をトナー担持体61へ当接させてトナーを帯電させながらトナー担持体上へ供給する。図11ではトナー供給部材であるトナー補給ローラ62はトナー担持体61とトレーリング方向に回転しているが、カウンター方向でもよい。スポンジローラ62には第一電圧印加手段64によって供給バイアスが印加されており、この電圧によってトナー担持体61へ供給するトナーの量を制御することができる。この供給バイアスは、直流電圧でも交流電圧でもよい。また、直流電圧に交流電圧を重畳させたバイアスでもよい。トナー担持体61には、第二電圧印加手段65によって電極に電圧が印加されている。第二電圧印加手段65が印加する電圧は、図2に示したような矩形波が最も適しているが、サイン波でも三角波でもよい。
【0052】
本実施形態では前述したように電極はa相とb相の2相とし、各隣り合う電極に位相差πをもった電圧を印加し、電極間に電界を生じさせている。トナー担持体61へ供給されたトナーは、この電極間の電界によってホッピングしながら電極間を往復運動する。本実施形態ではトナーの搬送はトナー担持体61の回転によって行っている。トナー補給ローラ62からトナー担持体61へ供給されたトナーはトナー層規制部材63によって、さらに帯電され、トナー量は規制される。
【0053】
トナー層規制部材63によって帯電され規制されたトナーは、さらにホッピングしながらトナー担持体61の回転によって、現像領域まで搬送される。現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持体61と潜像担持体10上の画像部との間の現像電界によって、潜像担持体10上に現像される。現像に寄与しなかったトナーはトナー担持体61の回転によってさらに搬送され、トナー供給部材であるトナー補給ローラ62まで達する。トナー補給ローラ62は現像に使われずに戻ってきたトナーをトナー担持体61上から掃き取り、現像剤収容部66にトナーを戻す。
【実施例1】
【0054】
次に、以上に述べた実施形態1〜7の構成の現像装置(20,30,40,60)に共通の実施例について説明する。
【0055】
実施形態1〜7で説明した構成の現像装置(20,30,40,60)において、現像領域とは、潜像担持体10とトナー担持体(21,31,41,61)が対向する領域において、潜像担持体10は停止させた状態で画像部電位がトナー担持体(21,31,41,61)と対向するようにし、トナー担持体(21,31,41,61)の回転によってトナーを搬送し、潜像担持体10にトナーが現像された領域を現像領域と定義する。以下、現像領域を現像ニップと定義する。
【0056】
また、各実施形態で供給領域とは、トナー担持体(21,31,41,61)の回転を停止させ各電極にパルス電圧を印加しない状態で、トナー供給部材(22,32,42,62)に電圧を印加し、トナーがトナー担持体上に供給された領域のことを供給領域と定義する。
さらに各実施形態で規制領域とは、トナー担持体上にトナーがない状態で、トナー担持体と現像剤層規制部材(またはトナー層規制部材)(23,33,43,63)とが接触する領域のことを規制領域と定義する。
【0057】
以下、実施形態7で説明した図11の構成の現像装置60を例に挙げて本実施例を説明する。
実施形態7の現像装置60の構成では、トナー担持体61の表面でトナーには、電極間の電界から受ける力F1とトナー担持体61の表面と接触しているときに受ける付着力F2が作用している。トナー担持体61の電極幅や電極間距離や電極上の絶縁層の厚みが同じであれば、トナー担持体61の全周において電極間の電界はほぼ同じであるため、F1も同じである。トナーが供給領域や規制領域を通過するときに、トナーは摩擦を受け、トナーが帯電される。帯電したトナーはトナー担持体61の表面から鏡像力を受ける。また、規制領域を通過する際、トナーはトナー層規制部材63から規制圧を受け、トナー担持体表面に押し付けられる。押し付けられることによってトナーとトナー担持体間の非静電的付着力は増加する。よって、トナーが規制領域を通過した後はトナーとトナー担持体間の付着力F2(上述の鏡像力や非静電的付着力などの和)が最も大きくなっている。F1がF2よりも大きい場合は、トナーはトナー担持体61の表面上に形成されている電界(以下、フレア電界と呼ぶ)によってフレアすることができる。F1がF2より小さい場合は、トナーはトナー担持体表面に付着したままとなり、フレアすることができない。よって、トナー担持体61の電極に印加する電圧を調整したり、トナーの帯電量を調整したり、トナーに添加する外添剤を調整したりして、F1をF2より大きくし、トナーが正常にフレアするようにしている。
【0058】
上記の現像装置60において、現像時にトナーがあまり使用されず現像装置内で循環し続けると、経時でトナー劣化が発生する。初期においてはトナーの母体は外添剤によって覆われており、トナー母体とトナー担持体61とが直接接触することはない。経時においては現像装置内でトナーが循環し続けると、トナーの外添剤が母体から遊離または母体へ埋没し、トナー母体表面において外添剤の存在率が低下する。そのような劣化トナーの場合、トナー母体とトナー担持体表面が直接接触するようになる。トナー母体とトナー担持体表面が直接接触すると、トナーとトナー担持体表面との間の非静電的付着力や鏡像力が増加し、F2が増加する。経時でF2がF1より大きくなると、トナーはフレアできなくなり、現像時にトナーが現像されなくなってしまう。
【0059】
そこで本発明では、トナー担持体61の回転方向に対して現像領域の上流側にトナーがトナー担持体表面に付着することを防止するトナー付着防止部材を設ける(第1の手段)。トナー付着防止部材はトナー担持体に対して一定の距離を隔てて設けられた対向電極であり、電極に電圧を印加する電圧印加手段を設けている(第2の手段)。そして、トナー担持体上に付着しているトナーが対向電極の方に向かう方向に電界が発生するような電圧を対向電極に印加することによって、トナー担持体表面において部分的にF1を大きくすることが可能となり、F1がF2より大きくなり、トナーはフレアし始める。フレアしたトナーはまたトナー担持体表面と接触するが、電圧の切り替わりによってすぐにフレアするため、付着し続けることはない。また、F1よりF2の方が大きいトナーが発生しても、周囲でホッピングしているトナーとの衝突によって、またそのトナーは動き出し、フレアすることができる。
【0060】
次に本発明の現像装置に設けられるトナー付着防止部材の具体的な実施例を以下に示す。なお、以下の実施例では、現像装置の構成は実施形態7で説明した図11の構成の現像装置60と同様とし、現像剤として一成分非磁性トナーを用い、トナー供給部材であるトナー補給ローラ62から直接トナー担持体61へトナーを供給する構成としているが、これに限定されるものではなく、実施形態1〜6で説明した構成の現像装置にも同様にトナー付着防止部材を設けることができる。
【0061】
図12は本発明の一実施例を示す現像装置の概略要部構成図であり、図11の構成の現像装置60にトナー付着防止部材を設けた構成の一例を示している。図12におけるトナー付着防止部材70Aはトナー担持体61の軸方向と平行に張られたワイヤ状の電極である(第5の手段)。小型の現像装置の場合、規制領域と現像領域の間にはあまりスペースがないが、このワイヤ状の電極では小型の現像装置でも容易に設置することが可能である。
【0062】
図13は本発明の別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図であり、図11の構成の現像装置60にトナー付着防止部材を設けた構成の別の例を示している。図13の例では、トナー付着防止部材70Bとして、規制領域から現像領域までのトナー担持体表面を覆う円弧状の電極を用いている(第6の手段)。このように、規制領域から現像領域までの長い領域で円弧状の電極70Bを用いてトナー担持体表面を覆うことによって、効率的にトナー付着を防止することが可能となる。
【0063】
トナー付着防止部材70Bとトナー担持体61のGapは30μmから1mmである。印加する電圧は直流電圧(第3の手段)でも、直流電圧に交流電圧を重畳させた電圧(第4の手段)でもどちらでもよい。直流電圧の場合、図2、図3のV0との電位差が30V〜300Vとなるような電圧値を印加している。直流電圧を用いるとトナー担持体61から飛散していくトナーを電極によって回収することが可能である。また、交流電圧の場合、直流電圧成分は図2、図3のV0と同じとし、Vppは100V〜1000Vであり、トナー担持体61の電極に印加する電圧のVppと同じか、小さくしている。交流電圧の周波数は1kHz〜10kHzであり、トナー担持体61の電極に印加する電圧の周波数よりは大きく設定している。交流電圧を用いた場合には、振動電界によってトナーをトナー担持体61から引き剥がすことができるため、効率よくトナー付着を防止することができる。
【0064】
その他のトナー付着防止部材の例としては、絶縁性の部材を用いてトナー担持体61と直接接触させ、トナー担持体表面に付着したトナーを動かすことによって付着を防止させる構成がある(第7の手段)。経時で劣化したトナーはトナー担持体との間の付着力F2が増加しフレアできずに付着したままとなってしまうが、その付着したトナーを物理的に動かすことによって、付着力F2を小さくしトナーをフレアさせることができる。
【0065】
ここで、図14、図15は、トナー付着防止部材として絶縁性の部材を用いた実施例であり、図14は、トナー付着防止部材として絶縁性のブラシ状の部材70Cを設けた例である。また、図15は、トナー付着防止部材として絶縁性のシート状の部材70Dを設けた例である。
【0066】
このような絶縁性のトナー付着防止部材70C,70Dの場合、トナーと直接接触するためトナーの帯電量等に影響を与えてしまう。よって、トナーがトナー担持体表面に付着しておらず正常にフレアしている間は、トナー付着防止部材70C,70Dはトナー担持体61と接触していない方が望ましい。そのため、トナー付着防止部材70C,70Dはトナー担持体61と接離可能とし(第8の手段)、トナーが正常にフレアしている間はトナー付着防止部材70C,70Dはトナー担持体61と離れているように構成している。
【0067】
以上のように、本実施例においては、トナー担持体61の現像領域上流側にトナー担持体へのトナー付着を防止するトナー付着防止部材を設けている。そして、トナー付着防止部材として、トナー担持体61と対向して対向電極(70Aまたは70B)を設け、その電極(70Aまたは70B)にトナーがトナー担持体61から対向電極に向かう方向に電界が生じるように電圧印加手段で電圧を印加することによって、付着したトナーをトナー担持体61から引き剥がし、フレアさせている。また、トナー付着防止部材として絶縁性のブラシ状の部材70Cやシート状の部材70Dをトナー担持体上に付着しているトナーに直接接触させることによって、付着しているトナーを動かし、付着力を小さくしてトナーをフレアさせている。従って本発明によれば、トナー担持体61へのトナー付着を防止することができ、それにより、確実にトナーをフレアさせることができ、現像領域で正常に現像を行うことができる。
【0068】
ところで、トナー担持体表面にトナー付着が発生していなくて正常にトナーがフレアしている場合は、上記のトナー付着防止部材(70A,70B,70C,70D)を動作させる必要がない。よって本発明では、トナー付着量検知手段を設け、トナー付着量検知手段の検知結果を用いてトナー付着防止部材(70A,70B,70C,70D)を動作させるように構成している(第9の手段)。
【0069】
トナー担持体表面へのトナー付着が発生していない時に100%ベタ画像を現像した場合、トナー担持体上のトナーはすべて現像に使用され、トナー担持体61の回転方向に対して現像領域下流側でのトナーはなくなる。また、潜像担持体上では、潜像担持体10の回転方向に対して現像領域下流側では所望の付着量のトナーが付着している。トナー担持体表面へのトナー付着が発生している時に100%ベタ画像を現像した場合、付着していない正常にフレアしているトナーは現像に使用されるが、トナー担持体表面に付着しているトナーは現像に使用されず、トナー担持体表面に付着したままである。よって、トナー担持体61の回転方向に対して現像領域下流側でもトナー担持体上にトナーは存在することになる。
【0070】
また、潜像担持体上では、潜像担持体10の回転方向に対して現像領域下流側では付着しているトナー量は少なくなってしまう。よって、トナー付着量検知手段71は、例えば図16に示すように、現像領域下流側のトナー担持体61上のトナー付着量を検知する位置に設けるか、または図17に示すように、現像領域下流側の潜像担持体10上のトナー付着量を検知する位置に設けている(第10の手段)。そして、このような位置に設けたトナー付着量検知手段71で、トナー担持体61上のトナー付着量または潜像担持体10上のトナー付着量を検知することによって、正確にトナー担持体表面に付着しているトナー量を検知することができる。
【0071】
ここで、トナー付着量検知手段71としては、発光ダイオード(LED)等の発光素子と、フォトダイオード(PD)等の受光素子からなる反射型の光学センサで検知を行っている。この光学センサとしては、正反射光検知と散乱光検知のどちらでもよいと考えられるが、通常は、カラートナーの場合は散乱光、ブラックトナーの場合は正反射光を検知している。
【0072】
このトナー付着量検知手段71による検知結果より、トナー付着量がある一定値を超えると、前述のトナー付着防止部材が動作(トナー付着防止部材が図12、図13の例のような電極(70Aまたは70B)の場合は電圧印加、また、図14、図15の例のような絶縁性の部材(70Cまたは70D)の場合は接離動作)し、トナー担持体61の表面へのトナー付着を防止している。
【0073】
以上のように、図16または図17に示す実施例では、トナー担持体表面へのトナーの付着量を検知するトナー付着量検知手段71を有し、該トナー付着量検知手段71の検知結果を用いてトナー付着防止部材が動作する構成としたので、トナー付着量検知手段の検知結果を用いることで、トナー担持体表面へのトナー付着が発生した場合にのみトナー付着防止部材を動作させればよくなる。
また、トナー付着量検知手段71は現像領域下流におけるトナー担持体61上のトナー付着量を検知するか、もしくは潜像担持体10上のトナー付着量を検知する構成としたので、現像領域下流側のトナー担持体上のトナー付着量、または潜像担持体上のトナー付着量を検知することで、正確にトナー担持体表面へのトナー付着量を検知することができ、トナー付着防止部材の動作を確実に制御することができる。なお、トナー付着量検知手段71の検知結果に基いたトナー付着防止部材の動作の制御は、画像形成装置本体に具備された制御部で実行される。
【実施例2】
【0074】
次に上記の実施例1で説明した現像装置を備えた画像形成装置の実施例を説明する。
図18は、実施例1で説明した現像装置を用いた画像形成装置の構成例を示す概略構成図であり、デジタル複写機(またはデジタル複合機)の一例を示している。この画像形成装置は、画像形成部(プリンタ部)100と画像読取部(スキャナ部)110で構成されており、画像形成部(プリンタ部)100では、画像読取部(スキャナ部)110で読取った原稿の画像情報や、装置外部のパーソナルコンピュータ等からLANを通じて入力された画像情報、あるいは、通信回線を介して外部から送信されて来た画像情報等に応じて画像形成を行なう。
【0075】
画像形成部(プリンタ部)100の略中央部には潜像担持体であるドラム状の感光体10が配設されており、その周囲には、感光体10を帯電する帯電手段である帯電装置(例えば帯電ローラ、帯電チャージャ、帯電ブラシ等)11と、帯電された感光体に画像情報に応じて光を照射し静電潜像を形成する光書込装置(例えばレーザ走査方式の光書込装置、あるいはLEDアレイと結像素子アレイからなるライン状の光書込装置等)12と、感光体上の潜像をトナーで現像して顕像化する現像装置20(図示の例では図5に示した現像装置に実施例1のトナー付着防止部材70Aやトナー付着量検知手段71等を付加したもの)と、感光体上に形成されたトナー像を記録材Pに転移させる転写装置(例えば転写ローラ、転写チャージャ、転写ブラシ等)13と、転写後の感光体上の残留トナーを清掃するクリーニング装置(例えばクリーニングブレード、クリーニングブラシ、クリーニングローラ等)14と、感光体上の残留電荷を除去する除電装置(例えば除電ランプ、除電チャージャ、除電ブラシ等)15などが配設されている。また、現像装置20の上部にはトナー収容部29が設けられており、トナー収容部29からトナー補給口を通って現像剤収容部にトナーが補給されるようになっている。
【0076】
画像形成が開始されると電子写真プロセスによる画像形成動作が実行され、感光体10が図中の矢印で示すように時計回りに回転し、感光体表面が帯電装置11により均一に帯電される。そして光書込装置12により、帯電された感光体10に画像情報に応じた光が照射され静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置20のトナー担持体21に担持されたトナーにより現像され、トナー像として顕像化される。
【0077】
画像形成部100の下部には、記録紙等の記録材Pを収納した給紙カセット16が装着されており、上記の画像形成動作にタイミングを合せて給紙カセット16内の記録材Pが給紙ローラ17aと分離ローラ17bにより1枚づつ給紙され、複数の搬送ローラ17cを経てレジストローラ17dへ搬送される。そして、感光体上のトナー像が転写位置に来るタイミングに合せてレジストローラ17dで転写位置に記録材Pが送り出され、転写装置13により感光体上のトナー像が記録材Pに転写される。トナー像が転写された記録材Pは、搬送ベルト17eを経て定着装置18に搬送され、定着装置18により加熱・加圧されてトナー像が記録材Pに定着される。定着後の記録材Pは複数の排紙ローラ19a〜19eを経て排紙トレイ120に排紙される。また、トナー像転写後の感光体10は、クリーニング装置14により残留トナーを清掃され、除電装置15により残留電荷を除電される。
【0078】
本実施例の画像形成装置では、感光体10上の潜像を現像する手段として、実施例1で説明したような構成の現像装置を備えたことにより、トナー担持体へのトナー付着を防止することができ、それにより、確実にトナーをフレアさせることができ、現像領域で正常に現像を行うことができるので、トナー付着による異常画像を防ぐことができ、安定した良好な画像形成を行うことができる。
【実施例3】
【0079】
次に実施例1で説明した現像装置を備えたプロセスカートリッジの実施例を説明する。
上記の実施例2で述べたような画像形成装置においては、感光体、帯電装置、クリーニング装置のうちの少なくとも一つと、現像装置とを一体にしたプロセスカートリッジを用いることができる。
図19はプロセスカートリッジの一例を示す概略断面図であり、このプロセスカートリッジ80は、感光体10と帯電装置11と現像装置60(図示の例では図11に示す現像装置に実施例1のトナー付着防止部材70Aやトナー付着量検知手段71等を付加したもの)とクリーニング装置14をカートリッジ81内に一体に保持している。そして、このプロセスカートリッジ80は、画像形成装置に対して着脱可能に設けられているので、容易に交換やリサイクルが可能であり、画像形成装置のメンテンナンス性の向上や、省資源化に寄与することができる。
【実施例4】
【0080】
次に実施例3で説明したプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の実施例を説明する。
図20は、図19に示したプロセスカートリッジ80を複数備え、単色、多色またはフルカラー画像を形成するカラー画像形成装置の構成例を示す概略構成図である。
このカラー画像形成装置200では、記録材Pを搬送する転写ベルト90に沿って4つのプロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kを並設したものであり、プロセスカートリッジ80Yは実施例9と同様の電子写真プロセスにより感光体上にイエロー色のトナー像を形成し、プロセスカートリッジ80Mは実施例9と同様の電子写真プロセスにより感光体上にマゼンタ色のトナー像を形成し、プロセスカートリッジ80Cは実施例9と同様の電子写真プロセスにより感光体上にマゼンタ色のトナー像を形成し、プロセスカートリッジ80Kは実施例9と同様の電子写真プロセスにより感光体上にブラック色のトナー像を形成する。
【0081】
転写ベルト90の下方には、記録紙等の記録材Pを収納した多段の給紙カセット16A,16Bが装着されており、上記の各プロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kでの画像形成動作にタイミングを合せて給紙カセット16A,16Bのいずれか一方から記録材Pが給紙ローラ17aと分離ローラ17bにより1枚づつ給紙され、複数の搬送ローラ17cを経てレジストローラ17dへ搬送される。そして、各プロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kの感光体上のトナー像が転写位置に来るタイミングに合せてレジストローラ17dで転写ベルト90に記録材Pが送り出され、転写ベルト90で記録材が各プロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kの転写位置に順次搬送され、各転写装置13により感光体上の各色のトナー像が記録材Pに順次重ね合わせて転写される。トナー像が転写された記録材Pは、搬送ベルト17eを経て定着装置18に搬送され、定着装置18により加熱・加圧されてトナー像が記録材Pに定着される。定着後の記録材Pは複数の排紙ローラ19a〜19eを経て排紙トレイ210に排紙される。また、トナー像転写後の各プロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kの感光体10は、クリーニング装置14により残留トナーを清掃される。
【0082】
上記の構成のカラー画像形成装置200では、各プロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kを選択的に駆動されることにより、安定した良好な単色、多色またはフルカラー画像を形成することができる。また、各プロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kは、画像形成装置に対して着脱可能に設けられているので、容易に交換やリサイクルが可能であり、画像形成装置のメンテンナンス性の向上や、省資源化に寄与することができ、カラー画像形成装置200の保守、管理が容易である。
【0083】
なお、図20では、記録材Pを搬送する転写ベルト90に沿って4つのプロセスカートリッジ80Y,80M,80C,80Kを並設した、直接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置の構成例を示したが、転写ベルト90に代えて中間転写ベルトを用い、中間転写ベルトから記録材に二次転写する二次転写部を設ければ、中間転写方式のタンデム型カラー画像形成装置を構成することができる。
また、図20は、プリンタ部の構成のみを示しているが、図18と同様に、プリンタ部の上部に画像読取部(スキャナ部)を設置すれば、プリンタやデジタル複写機として機能する複合機を構成することができる。また、通信回線と接続することにより、ファクシミリとしても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の現像装置に用いられるトナー担持体の電極構成例を示す要部断面図である。
【図2】図1に示すトナー担持体のa相とb相の電極に印加する電圧の例を示す図である。
【図3】図1に示すトナー担持体のa相とb相の電極に印加する電圧の別の例を示す図である。
【図4】図1に示すトナー担持体を軸に平行な方向から見た図である。
【図5】本発明の第1の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。
【図7】本発明の第3の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。
【図8】本発明の第4の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。
【図9】本発明の第5の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。
【図10】本発明の第6の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。
【図11】本発明の第7の実施形態を示す現像装置の概略構成図である。
【図12】本発明の一実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。
【図13】本発明の別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。
【図14】本発明の別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。
【図15】本発明の別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。
【図16】本発明の別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。
【図17】本発明の別の実施例を示す現像装置の概略要部構成図である。
【図18】本発明の現像装置を用いた画像形成装置の構成例を示す概略構成図である。
【図19】本発明の現像装置を用いたプロセスカートリッジの一例を示す概略断面図である。
【図20】図19に示すプロセスカートリッジを複数備えたカラー画像形成装置の構成例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0085】
1a,2a,3a,4a,5a:a相の電極
1b、2b、3b、4b:b相の電極
10:感光体(潜像担持体)
11:帯電装置
12:光書込装置
13:転写装置
14:クリーニング装置
15:除電装置
16,16A,16B:給紙カセット
18:定着装置
20,30,40,60:現像装置
21,31,41,61:トナー担持体
22,32,42,62:トナー供給部材
23,33,43,63:現像剤層規制部材(またはトナー層規制部材)
24a,24b,34,44,66:現像剤収容部
25a,25b:攪拌搬送スクリュ
27,37,64:第一電圧印加手段
28,38,65:第二電圧印加手段
35a,35b:トナー補給ローラ
45a,45b:攪拌搬送部材
70A,70B:トナー付着防止部材(電極)
70C,70D:トナー付着防止部材(絶縁性部材)
71:トナー付着量検知手段
80,80Y,80M,80C,80K:プロセスカートリッジ
90:転写ベルト
100:画像形成部(プリンタ部)
110:画像読取部(スキャナ部)
120,210:排紙トレイ
200:カラー画像形成装置
P:記録材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体と対向して配置され、前記潜像担持体上の静電潜像を現像するためのトナーを担持するトナー担持体を有する現像装置であって、前記トナー担持体の内部に所定の間隔で並べられた複数の電極を有し、該複数の電極間の電界が時間的に変化するように前記電極に電圧を印加する電圧印加手段を備え、前記電極間の電界により前記トナー担持体上のトナーを飛翔させてクラウドを形成する構成の現像装置において、
前記潜像担持体と前記トナー担持体とが対向する現像領域の上流に、前記トナー担持体表面へのトナー付着を防止するトナー付着防止部材を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記トナー付着防止部材は電極であり、該電極に電圧を印加する電圧印加手段を有することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の現像装置において、
前記電圧印加手段が印加する電圧は直流電圧であることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2に記載の現像装置において、
前記電圧印加手段が印加する電圧は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧であること特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記トナー付着防止部材は、ワイヤ状の電極であることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記トナー付着防止部材は、円弧状電極であることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1に記載の現像装置において、
前記トナー付着防止部材は絶縁性の部材であり、前記トナー担持体と接しており、前記トナー担持体表面に付着したトナーを動かすことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1または7に記載の現像装置において、
前記トナー付着防止部材は、前記トナー担持体と接離可能であることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記トナー担持体表面へのトナーの付着量を検知するトナー付着量検知手段を有し、該トナー付着量検知手段の検知結果を用いて前記トナー付着防止部材が動作することを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記トナー付着量検知手段は現像領域下流におけるトナー担持体上のトナー付着量を検知するか、もしくは前記潜像担持体上のトナー付着量を検知することを特徴とする現像装置。
【請求項11】
潜像担持体上の潜像にトナーを付着させることにより潜像を現像し、これにより得られたトナー像を最終的に記録材に転移させて画像形成を行う画像形成装置において、
前記潜像担持体上の潜像を現像する手段として、請求項1〜10のいずれか1項に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11に記載の画像形成装置において、
前記潜像担持体上に形成されたトナー像を複数互いに重ね合わせて得られる画像を記録材に形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
電子写真プロセスにより画像形成を行う画像形成装置に装備されるプロセスカートリッジであって、
潜像担持体、帯電手段、クリーニング手段のうちの少なくとも一つと、請求項1〜10のいずれか1項に記載の現像装置を一体に保持し、前記画像形成装置に対して着脱可能に設けられたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項14】
電子写真プロセスにより画像形成を行う画像形成装置であって、
請求項13に記載のプロセスカートリッジを単数または複数備え、単色、多色またはフルカラー画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
潜像担持体と対向して配置され、前記潜像担持体上の静電潜像を現像するためのトナーを担持するトナー担持体を有する現像装置であって、前記トナー担持体の内部に所定の間隔で並べられた複数の電極を有し、該複数の電極間の電界が時間的に変化するように前記電極に電圧を印加する電圧印加手段を備え、前記電極間の電界により前記トナー担持体上のトナーを飛翔させてクラウドを形成する構成の現像装置において、
前記潜像担持体と前記トナー担持体とが対向する現像領域の上流に、前記トナー担持体表面へのトナー付着を防止するトナー付着防止部材を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記トナー付着防止部材は電極であり、該電極に電圧を印加する電圧印加手段を有することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の現像装置において、
前記電圧印加手段が印加する電圧は直流電圧であることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2に記載の現像装置において、
前記電圧印加手段が印加する電圧は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧であること特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記トナー付着防止部材は、ワイヤ状の電極であることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記トナー付着防止部材は、円弧状電極であることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1に記載の現像装置において、
前記トナー付着防止部材は絶縁性の部材であり、前記トナー担持体と接しており、前記トナー担持体表面に付着したトナーを動かすことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1または7に記載の現像装置において、
前記トナー付着防止部材は、前記トナー担持体と接離可能であることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記トナー担持体表面へのトナーの付着量を検知するトナー付着量検知手段を有し、該トナー付着量検知手段の検知結果を用いて前記トナー付着防止部材が動作することを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記トナー付着量検知手段は現像領域下流におけるトナー担持体上のトナー付着量を検知するか、もしくは前記潜像担持体上のトナー付着量を検知することを特徴とする現像装置。
【請求項11】
潜像担持体上の潜像にトナーを付着させることにより潜像を現像し、これにより得られたトナー像を最終的に記録材に転移させて画像形成を行う画像形成装置において、
前記潜像担持体上の潜像を現像する手段として、請求項1〜10のいずれか1項に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11に記載の画像形成装置において、
前記潜像担持体上に形成されたトナー像を複数互いに重ね合わせて得られる画像を記録材に形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
電子写真プロセスにより画像形成を行う画像形成装置に装備されるプロセスカートリッジであって、
潜像担持体、帯電手段、クリーニング手段のうちの少なくとも一つと、請求項1〜10のいずれか1項に記載の現像装置を一体に保持し、前記画像形成装置に対して着脱可能に設けられたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項14】
電子写真プロセスにより画像形成を行う画像形成装置であって、
請求項13に記載のプロセスカートリッジを単数または複数備え、単色、多色またはフルカラー画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−69329(P2009−69329A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236272(P2007−236272)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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