現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
【課題】 本発明は、ETH現象を用いて、搬送中の飛散粉体を低減できる、現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】 本発明の現像装置は、電圧供給手段により搬送電極に共通電極を介して多相の電圧を印加して搬送電界を形成し、搬送部材において当該搬送電界によって潜像担持体と対向する領域に粉体を搬送して潜像担持体上に粉体を付着させて潜像担持体上の潜像を現像する。更に、本発明の現像装置は、共通電極と搬送電極の一端の空隙間隔が搬送電極間の間隔より大きいことに特徴がある。よって、内側に向かう電界を形成することによって、トナーが長手方向の内側に向かうようにすることができるので、長手方向の飛散粉体の防止と、共通電極の粉体付着を防止することができる。
【解決手段】 本発明の現像装置は、電圧供給手段により搬送電極に共通電極を介して多相の電圧を印加して搬送電界を形成し、搬送部材において当該搬送電界によって潜像担持体と対向する領域に粉体を搬送して潜像担持体上に粉体を付着させて潜像担持体上の潜像を現像する。更に、本発明の現像装置は、共通電極と搬送電極の一端の空隙間隔が搬送電極間の間隔より大きいことに特徴がある。よって、内側に向かう電界を形成することによって、トナーが長手方向の内側に向かうようにすることができるので、長手方向の飛散粉体の防止と、共通電極の粉体付着を防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関し、詳細にはETH(Electrostatic Transport & Hopping)現象を用いて、搬送電極の電極間隔と共通電極までの距離を制御して搬送中の飛散トナーと共通電極のトナー付着を低減可能な、現像装置、この現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写装置、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置として、電子写真式プロセスを用いて、潜像担持体に潜像を形成し、この潜像に粉体である現像剤(以下、トナーと称す)を付着させて現像してトナー像として可視像化し、このトナー像を記録媒体に転写し、あるいは中間転写部材に一旦転写した後記録媒体に転写することで画像を形成するものがある。
【0003】
このような画像形成装置において、潜像担持体に形成された潜像を現像する現像装置として、従来から、現像装置内で攪拌させたトナーを現像剤担持体である現像ローラの表面に担持し、当該現像ローラを回転させることによって潜像担持体の表面に対して対向する位置まで搬送し、潜像担持体の潜像を現像する。そして、現像終了後、潜像担持体に転写しなかったトナーは現像ローラの回転により現像装置内に回収され、新たにトナーを攪拌・帯電して再び現像ローラに担持して搬送するようにしたものが知られている。
【0004】
一方、現在、潜像担持体に現像ローラを接触させずに現像を行う非接触方式の現像装置が注目されている。その一つに、進行波電界を利用した方法が提案されている。このような進行波電界を利用する現像装置においては、その現像剤搬送部材上における各電極の配列方向と直交する幅方向の外側(現像剤搬送部材の搬送方向と直交する幅方向の両側)にそれぞれ配線パターンが設けられている。その場合、配線パターンが位置する領域では、各電極の外側に位置しているために進行波電界条件が形成されておらず、この領域に現像剤が入り込むと、現像剤の飛散や固着が発生する恐れがある。このような問題点を解決する提案の一つとしての特許文献1によれば、静電潜像をその表面に担持している像担持体に対向する現像領域に配置し、基材上に所定間隔を存して複数配列された電極を表面保護層によって被覆してなる現像剤搬送部材を備え、各電極に対する多相電圧の印加により形成される進行波電界によって現像剤を現像剤搬送部材上で搬送するようにした現像装置において、上記現像剤搬送部材上に現像剤を供給する供給部材を設けている。そして、上記各電極の配列方向と直交する幅方向の有効電極幅Leと、上記供給部材上における現像剤存在領域の現像剤供給方向と直交する幅方向の長さLtとを、Lt<Leの関係を満たすように設定する。このように供給幅を搬送幅より狭めることで、搬送領域外にトナーが散逸するのを防止している。
【特許文献1】特許第3,639,545号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、トナーを搬送すると配線電極にも電界がかかっているために、搬送領域よりも長手方向で、幅広くトナーが搬送されてしまい、配線パターンが位置する領域まで、トナーが進入してしまう。また、進行波に載せてトナーを搬送する現像装置は進行波が並んで発生している部分は問題なく搬送されるが、エッジ部はバスライン(共通電極)があり、その部分には進行方向に電極が並んでいないためトナーが付着すると動かなくなって堆積していく。
また、従来の画像形成装置は搬送時にトナーがホッピングするが、その方向は必ずしも一定ではない。空気の抵抗や、電界の方向によってむしろ広がる方向にある。搬送方向が広がると、進行波が形成できない共通電極上や、更に外側の長手方向のエッジ部まで広がってしまい、最悪、画像形成装置の機内にトナーを飛散させてしまう。
更に、電極には進行波が発生しているので、ほとんどのトナーは電界にしたがって進行方向に向かう。しかし、電極のエッジ部では、次の電界がかかる部分が小さくなるので、共通電極の方向に向かうトナーが発生したりする。トナーは電界によるクーロン力で、引き付けられるので、電界の方向に制限を加えて、長手方向外側に力が向かわないようにすればよい。
【0006】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、ETH(Electrostatic Transport & Hopping)現象を用いて、搬送中の飛散粉体を低減できる、現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0007】
ここで、ETH現象とは、粉体が移相電界のエネルギーを与えられ、そのエネルギーが機械的なエネルギーに変換されて、粉体自身が動的に変動する現象をいう。このETH現象は、静電気力による粉体の水平方向の移動(搬送)と垂直方向の移動(ホッピング)を含む現象であり、静電搬送部材の表面を、移相電界によって粉体が進行方向の成分を持って飛び跳ねる現象であり、このETH現象を用いた現像方式をETH現像という。
【0008】
なお、本明細書において、ETH現象における搬送部材上の粉体の振る舞いを区別して表現する場合、基板水平方向への移動については、「搬送」、「搬送速度」、「搬送方向」、「搬送距離」という表現を使用し、基板垂直方向への飛翔(移動)については、「ホッピング」、「ホッピング速度」、「ホッピング方向」、「ホッピング高さ(距離)」という表現を使用し、搬送部材上での「搬送及びホッピング」は「移送」と総称する。なお、搬送装置、搬送基板という用語に含まれる「搬送」は「移送」と同義である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記問題点を解決するために、本発明の現像装置は、潜像担持体に対向して配置され、粉体を移動させる進行波電界を発生させるために、所定の間隔で配列された複数の搬送電極を有する搬送部材と、該搬送電極の一端に接続された共通電極を介して搬送電極に多相の電圧を印加するための電圧供給手段と、該搬送部材に粉体を供給する粉体供給手段と、過剰な粉体を回収する回収手段を具備している。そして、本発明の現像装置は、電圧供給手段により搬送電極に共通電極を介して多相の電圧を印加して搬送電界を形成し、搬送部材において当該搬送電界によって潜像担持体と対向する領域に粉体を搬送して潜像担持体上に粉体を付着させて潜像担持体上の潜像を現像する。更に、本発明の現像装置は、共通電極と搬送電極の一端の空隙間隔が搬送電極間の間隔より大きいことに特徴がある。よって、内側に向かう電界を形成することによって、トナーが長手方向の内側に向かうようにすることができるので、長手方向の飛散粉体の防止と、共通電極の粉体付着を防止することができる。
【0010】
また、潜像担持体と対向する現像領域以外の領域に相当する搬送電極の配列方向と共通電極の配列方向と成す角度を、粉体の搬送方向に対して鋭角にすることにより、内側に向かう力が外側に向かう力より大きくなり、粉体が外に飛散しなくなる。
【0011】
更に、搬送電極における現像領域以外の領域であって、かつ搬送電極の一端の長さは空隙間隔より小さいことにより、内側に向かう力が外側に向かう力より大きくなり、粉体が外に飛散しなくなる。
【0012】
また、搬送電極における現像領域以外の領域であって、かつ搬送電極の一端の長さは搬送電極の電極ピッチより大きいことにより、内側に向かう力が外側に向かう力より大きくなり、粉体が外に飛散しなくなる。
【0013】
更に、別の発明としてのプロセスカートリッジは、上記の現像装置と、電子写真プロセスにおける潜像担持体、帯電手段、クリーニング手段のうちの少なくとも一つと、を少なくとも含み、画像形成装置本体に着脱自在である。よって、搬送中の飛散粉体を低減することができるプロセスカートリッジを提供できる。
【0014】
更に、別の発明としての画像形成装置は、上記現像装置もしくは上記プロセスカートリッジを備えている。よって、搬送中の飛散粉体を低減することができる画像形成装置を提供できる。
【0015】
また、別の発明としての画像形成装置によれば、上記プロセスカートリッジを複数備えて、高画質な多色の画像を形成することができると共に、搬送中の飛散粉体を低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の現像装置は共通電極と搬送電極の一端の空隙間隔が搬送電極間の間隔より大きいことにより、搬送中の飛散粉体を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明の現像装置の構成を示す概略図である。同図に示す現像装置10は、粉体であるトナーTを搬送、ホッピング、回収するための電界を発生するための複数の搬送電極102を有する搬送部材である搬送基板11を備え、この搬送基板11の各搬送電極102に対しては駆動回路12から所要の電界を発生させるためのn相(nは2以上の正の整数。ここでは3相とする。)の異なる駆動波形Va1,Vb1,Vc1及びVa2,Vb2,Vc2が印加される。ここでは、搬送基板11は、駆動波形Va1,Vb1,Vc1及びVa2,Vb2,Vc2を与える搬送電極102の範囲及び潜像担持体である感光体ドラム20との関係において、トナーTを感光体ドラム20の近傍まで搬送する搬送領域、感光体ドラム20の潜像にトナーTを付着させてトナー像を形成するための現像領域、トナーTを搬送基板11側に回収するための現像領域通過後の回収領域とに分けられる。
【0018】
そして、この現像装置10において、搬送基板11の搬送領域ではトナーTを感光体ドラム20の近傍まで搬送し、現像領域では感光体ドラム20上の潜像の画像部に対してはトナーTが感光ドラム20側に向かい、非画像部に対してはトナーTが感光ドラム20と反対側(搬送基板側)に向かう方向の電界を形成して、トナーTを潜像に付着させて現像を行うための電界を発生し、回収領域ではトナーTが潜像の画像部及び非画像部のいずれに対しても感光体ドラム20と反対側(搬送基板11側)に向かう方向の電界を形成する。
【0019】
ここで、本発明の現像装置における搬送基板の構成について、図2〜図6を参照して詳細に説明する。なお、図2は搬送基板の平面図、図3は図2のA−A’線断面図、図4は図2のB−B’線断面図、図5は図2のC−C’線断面図、図6は図2のD−D’線断面図である。
【0020】
本発明の現像装置における搬送基板11は、図3の支持基板101上に3本の搬送電極102a、102b、102c(これらを搬送電極102と総称する)を1セットとして、図2及び図3の矢印方向のトナー搬送方向に沿って所定の間隔で、かつトナー搬送方向と略直交する方向に繰り返し形成され配置し、この上に搬送面を形成する絶縁性の搬送面形成部材となり、これらの搬送電極101の表面を覆う保護膜となる、無機又は有機の絶縁性材料で形成した表面保護層103を積層したものである。なお、ここでは、表面保護層103が搬送面を形成しているが、表面保護層103上に更に粉体(トナー)との適合性に優れた表面層を別途成膜することもできる。
【0021】
これらの搬送電極102a、102b、102cの両側には、搬送電極102a、102b、102cとそれぞれ両端部で相互接続した共通電極104a、104b、104c(これらを共通電極104と総称する)をトナー搬送方向に沿って、すなわち搬送電極102a、102b、102cの各々と略直交する方向に設けている。この場合、共通電極104の幅(この幅は、トナー搬送方向と直交する方向の幅)は搬送電極102の幅(この幅は、トナー搬送方向に沿う方向の幅)よりも広くしている。なお、図2では、共通電極104を、搬送領域では共通電極104a1、104b1、104c1を、現像領域では共通電極104a2、104b2、104c2、回収領域では共通電極104a3、104b3、104c3と、区別して表記している。
【0022】
ここでは、図4に示すように、支持基板101上に共通電極104a、104b、104cのパターンを形成した後層間絶縁膜105を形成し、この層間絶縁膜105にコンタクトホール106を形成した後搬送電極102a、102b、102cを形成することによって、搬送電極102a、102b、102cと共通電極104a、104b、104cとをそれぞれ相互接続している。なお、層間絶縁膜105は表面保護層103と同じ材料でも異なる材料のいずれでも良い。また、搬送電極102aと共通電極104aを一体形成したパターン上に層間絶縁膜105を形成し、この層間絶縁膜105上に搬送電極102bと共通電極104bを一体形成したパターンを形成し、更に層間絶縁膜105を形成して、この層間絶縁膜105上に搬送電極102cと共通電極104cを一体形成したパターンを形成する、つまり、電極を三層構造とすることもでき、あるいは一体形成に相互接続とコンタクトホール106による相互接続とを混在させることもできる。
【0023】
更に、これらの共通電極104a、104b、104cには、図1の駆動回路12からの駆動信号(駆動波形)Va、Vb、Vcを入力するための駆動信号印加用入力端子(図示せず)を設けている。この駆動信号入力用端子は、支持基板101に裏面側に設けてスルーホールを介して各共通電極104に接続してもよいし、あるいは層間絶縁膜105上に設けてもよい。
【0024】
ここで、支持基板101としては、ガラス基板、樹脂基板或いはセラミックス基板等の絶縁性材料からなる基板、或いはSUSなどの導電性材料からなる基板にSiO2等の絶縁膜を成膜したもの、ポリイミドフィルムなどのフレキシブルに変形可能な材料からなる基板などを用いることができる。
【0025】
また、搬送電極102は、支持基板101上にAl、Ni−Cr等の導電性材料を0.1〜10μm厚、好ましくは0.5〜2.0μmで成膜し、これをフォトリソ技術等を用いて所要の電極形状にパターン化して形成している。これらの複数の搬送電極102の粉体進行方向における幅Lは移動させる粉体の平均粒径の1倍以上20倍以下とし、かつ搬送電極102の粉体進行方向の間隔Rも移動させる粉体の平均粒径の1倍以上20倍以下としている。
【0026】
次に、このように構成した搬送基板11におけるトナーの静電搬送の原理について説明する。搬送基板11の複数の搬送電極102に対してn相(nは2以上の正の整数)の駆動波形を印加することにより、複数の搬送電極102によって移相電界(進行波電界)が発生し、搬送基板11上の帯電したトナーは反発力及び/又は吸引力を受けて移送方向にホッピングと搬送を含んで移動する。
【0027】
例えば、搬送基板11の複数の搬送電極102に対して図7に示すようにグランドG(0V)と正の電圧+との間で変化する3相のパルス状駆動波形(駆動信号)A(A相)、B(B相)、C(C相)を、タイミングをずらして印加する。
【0028】
このとき、図8に示すように、搬送基板11上に負帯電のトナーTがあり、搬送基板11の連続した複数の搬送電極102に同図に(1)で示すようにそれぞれ「G」、「G」、「+」、「G」、「G」が印加されたとすると、負帯電のトナーTは「+」の搬送電極102上に位置する。
【0029】
次のタイミングで複数の搬送電極102には(2)に示すようにそれぞれ「+」、「G」、「G」、「+」、「G」が印加され、負帯電のトナーTには同図で左側の「G」の搬送電極102との間で反発力が、右側の「+」の搬送電極102との間で吸引力がそれぞれ作用するので、負帯電のトナーTは「+」の搬送電極102側に移動する。さらに、次のタイミングで複数の搬送電極102には(3)に示すようにそれぞれ「G」、「+」、「G」、「G」、「+」が印加され、負帯電のトナーTには同様に反発力と吸引力がそれぞれ作用するので、負帯電のトナーTは更に「+」の搬送電極102側に移動する。
【0030】
このように複数の搬送電極102に電圧の変化する複相の駆動波形を印加することで、搬送基板1上には進行波電界が発生し、この進行波電界の進行方向に負帯電のトナーTは搬送及びホッピングを行いながら移動する。なお、正帯電のトナーTの場合には駆動波形の変化パターンを逆にすることで同様に同方向に移動する。
【0031】
次に、図1の駆動回路の全体構成について図9を参照して説明する。この駆動回路12は、パルス信号を生成出力するパスル信号発生回路21と、このパルス信号発生回路21からのパルス信号を入力して駆動波形Va1、Vb1、Vc1を生成出力する波形増幅器22a、22b、22cと、パルス信号発生回路21からのパルス信号を入力して駆動波形Va2、Vb2、Vc2を生成出力する波形増幅器23a、23b、23cとを含んで構成されている。そして、パルス信号発生回路21は、例えばロジックレベルの入力パルスを受けて、各120°に位相シフトした2組のパルスで、次段の波形増幅器22a〜22c、23a〜23cに含まれるスイッチング手段(図示せず)、例えばトランジスタを駆動して100Vのスイッチングを行うことができるレベルの出力電圧10〜15Vのパルス信号を生成して出力する。
【0032】
また、波形増幅器22a、22b、22cは、図1の搬送領域の各搬送電極102及び回収領域の各搬送電極102に対して、例えば図10に示すように、各相の+100Vの印加時間taを繰り返し周期tfの1/3である約33%に設定した(以下、これを「搬送電圧パターン」又は「回収搬送電圧パターン」と称す)3相の駆動波形(駆動パルス)Va1、Vb1、Vc1を印加する。更に、波形増幅器23a、23b、23cは、図1の現像領域の各搬送電極102に対して、例えば図11又は図12に示すように、各相の+100V又は0Vの印加時間taを繰り返し周期tfの2/3である約67%に設定した(以下、これを「ホッピング電圧パターン」と称す)3相の駆動波形(駆動パルス)Va2、Vb2、Vc2を印加する。
【0033】
以上の説明のように、ETH現像ではトナーをホッピングさせることによって潜像担持体の静電潜像を一成分現像方式で反転現像を行うことができる。すなわち、現像領域で、トナーが潜像の画像部に対しては潜像担持体側に向かい、非画像部に対してはトナーが潜像担持体と反対側に向かう方向の電界を形成する手段を備えることによって現像を行うことができる。
【0034】
例えば、図12に示すホッピング電圧パターンの駆動波形のように、0〜−100Vで遷移するパルス状電圧波形である場合、潜像担持体上の非画像部電位が−100Vより低いときには、画像部に対してはトナーが潜像担持体側に向かい、非画像部に対してはトナーが潜像担持体と反対側に向かうことになる。この場合、潜像の非画像部の電位を−150Vや後述する−170Vとした場合に、トナーが潜像担持体側に向かうことが確認された。
【0035】
また、ホッピング電圧パターンの駆動波形が20V〜−80Vで遷移するパルス状電圧波形である場合、画像部の電位を約0V、非画像部の電位が−110Vのときにも、パルス状駆動波形のローレベルの電位が潜像の画像部電位と非画像部電位との間にあるので、同様に、画像部に対してはトナーが潜像担持体側に向かい、非画像部に対してはトナーが潜像担持体と反対側に向かうことになる。
【0036】
要するに、パルス状駆動波形のローレベルの電位を潜像の画像部の電位と非画像部の電位との間の電位に設定することで、非画像部へのトナーの付着を防止し、高品質の現像を行うことができる。
【0037】
このように、ETH現像においては、トナーがホッピングしていることにより潜像の画像部に対してトナーが吸引付着し、非画像部ではトナーが反発されて付着されないので、トナーによる潜像の現像を行うことができ、このとき、既にホッピングしているトナーは搬送基板11との間で吸着力が生じないため、容易に潜像担持体側に搬送することができ、高い画像品質が得られる現像を低電圧で行うことができるようになる。
【0038】
すなわち、従来の所謂ジャンピング現像方式にあっては、現像ローラから帯電トナーを剥離させて感光体に搬送させるには、トナーの現像ローラに対する付着力以上の印加電圧が必要であり、DC600〜900Vのバイアス電圧をかけなければならない。これに対して、本発明によれば、トナーの付着力は通常50〜200nNであるが、搬送基板1上でホッピングしているために搬送基板11に対する付着力が略零になるので、トナーを搬送基板11から剥離する力が不要になり、低電圧で十分にトナーを潜像担持体側に搬送することが可能になるのである。
【0039】
しかも、各搬送電極102間に印加する電圧が|150〜100|V以下の低電圧であっても発生する電界が非常に大きい値となり、搬送電極102の表面に付着しているトナーを容易に剥離し、飛翔、ホッピングさせることが可能になる。また、OPC等の感光体を帯電する時に発生するオゾン、NOxが非常に少なく、又は皆無にすることができて、環境問題、感光体の耐久性に非常に有利となる。
【0040】
従って、従来方式の現像ローラ表面、またはキャリア表面に付着しているトナーを剥離するために現像ローラと感光体の間に印加していた500V〜数KVの高電圧バイアスを必要とすることがなく、感光体の帯電電位を非常に低い値として、潜像を形成して現像することが可能になる。
【0041】
例えば、OPC感光体を使用し、その表面のCTL(Charge Transport Layer)の厚さが15μm、その比誘電率εが3、帯電したトナーの電荷密度が(−3E−4C/m2の場合、OPC表面電位は約−170Vとなるが、この場合、搬送基板の電極への印加電圧として、0〜−100V、デューティー50%のパルス状駆動電圧を印加すると、平均で−50Vとなり、トナーが負帯電であれば搬送基板の電極とOPC感光体との間の電界は前述した関係になる。
【0042】
このとき、搬送基板とOPC感光体とのギャップ(間隔)が0.2〜0.3mmであれば十分に現像が可能となる。トナーのQ/M、搬送基板の電極への印加電圧、印刷速度すなわち感光体の回転速度によっても異なるが、負帯電トナーの場合、少なくとも感光体を帯電する電位は−300V以下、または現像効率を優先した構成の場合は−100V以下でも十分に現像を行うことができる。なお、正帯電の場合の帯電電位は+電位となる。
【0043】
ところで、上述したETH現像は、搬送基板11上でトナーをホッピングさせることによって、搬送基板11との吸着力を0にすることで現像を行うものであるが、単に搬送基板上でトナーをホッピングにさせるだけでは、ホッピングしたトナーが潜像担持体側への進行性を有しているとしても、潜像担持体の潜像に付着することの確実性が保証されず、トナー飛散が生じる。
【0044】
そこで、本発明は、ETH現像について、ホッピングしたトナーが潜像担持体の潜像の画像部に対して選択的に確実に付着し、かつ、非画像部には付着しない、すなわち地汚れが生じない条件を見出したものである。
【0045】
すなわち、潜像担持体の潜像の電位(表面電位)と搬送基板に印加する電位(発生させる電界)との関係を所定の関係に設定する、つまり、上述したように、潜像担持体の潜像の画像部に対してはトナーが潜像担持体側に向かい、非画像部に対してはトナーが搬送基板側に向かう電界を発生させる。これにより、潜像の画像部に対してはトナーが確実に付着し、非画像部に向かうトナーは搬送基板側に押し返されるので、搬送基板からホッピングしたトナーが効率的に現像に利用され、飛散を防止でき低電圧駆動による高品質現像を可能にすることができる。
【0046】
この場合、搬送基板の搬送電極に印加する電位の平均値(平均値電位)を潜像担持体の潜像の画像部の電位と非画像部の電位との間の電位に設定することで、上述したように、潜像担持体の潜像の画像部に対してはトナーが潜像担持体側に向かい、非画像部に対してはトナーが搬送基板側に向かう電界を発生させることができる。
【0047】
これらの図14及び図15で示す電界の強度は搬送電極の表面の代表点の値であり、搬送電界TEの代表点TEaは図13に示す電極端部の5μm上方の点、ホッピング電界HEの代表点HEaは図13に示す電極中央部の5μm上方の点とし、それぞれX方向、Y方向のトナーに作用する一番電界の強い代表点に相当する。
【0048】
これらの図14及び図15から、トナーの搬送、ホッピングに作用する力を付与できる電界としては(5E+5)V/m以上、吸着の問題がない好ましい電界としては(1E+6)V/m以上、更に十分な力を付与できるより好ましい電界としては(2E+6)V/m以上の範囲であることが分かる。
【0049】
また、搬送電極の電極間隔Rについては、間隔が広くなるほど搬送方向の電界強度は低下するため、上記電界強度の範囲に対応する値としても同様で、前述したように、トナーの平均粒径の1倍以上〜20倍以下、好ましくは2倍以上〜10倍以下、更により好ましくは2倍以上〜6倍以下である。
【0050】
次に、図2に示すように、共通電極が搬送電極の両側にあるような時は、トナーが共通電極部にも付着することがあり、共通電極上は電界のかかる方向が一定でないため搬送領域のように連続して電界が形成されないため、付着したトナーは堆積してしまう。
【0051】
そこで、本発明によれば、搬送電極の端と共通電極の間に、搬送電極の電極間隔以上の空隙を形成することによって、共通電極にトナーが付着することを防止することができる。
【0052】
図16は本発明の一実施の形態例に係る現像装置の搬送電極と共通電極の構成を示す部分拡大図である。また、図17は本実施の形態例の現像装置における搬送基板の構成を示す平面図である。図16において、搬送電極102aと共通電極104b、あるいは搬送電極102bと共通電極104cの空隙間隔D1は広ければ広いほど効果的であるが、搬送電極間の間隔であるスペース幅Sよりも広ければ、理想的には共通電極104b,104c上にトナーが付着することはない。しかし、実際は、電極表面が完全弾性衝突でないために実際は図14に示すように、搬送電極間の間隔であるスペース幅Sを30μmとした場合には、搬送電極102aと共通電極104b、あるいは搬送電極102bと共通電極104cの空隙幅D1は約3倍の100μm以上としたほうが望ましい。
【0053】
このように、搬送に寄与する電界強度が、搬送領域とそれ以外の領域で差ができ、搬送したい方向の表面の電界強度が、絶縁層のある領域の表面の電界強度より大きくなり、搬送したい方向の力が強くなる。そのために電荷をもったトナーは搬送方向に動く。
【0054】
次に、図18は本発明の別の実施の形態例に係る現像装置の搬送電極と共通電極の構成を示す部分拡大図である。同図に示す別の実施の形態例の現像装置は、共通電極104aから搬送電極102aに、共通電極104bから搬送電極102bに、そして共通電極104cから搬送電極102cに、トナー搬送方向に対してそれぞれ所定の角度θ(θ<90°)をつけることによって、電界の方向を長手方向の内側に向かせて、トナーが共通電極104a、104b、104c上に向かうことを防止して、共通電極104a、104b、104cにトナーが付着することを防止できる。更に、図18に示すように共通電極104bにつながらない現像幅よりも大きい部分の電極の長さD2を、搬送電極102aと共通電極104bや搬送電極102cと共通電極104bの間隔である空隙幅D1よりも小さくする。内側に向かう力が外側に向かう力より大きくなり、トナーが外に飛散しなくなる。このときは、空隙幅D1を200μmとして、共通電極104bにつながらない現像幅よりも大きい部分の電極の長さD2を100μmとした。このように電界が搬送方向に向かう力を大きくして、外側の共通電極104bへの方向に向かう力を小さくすることにより共通電極104bにトナーが付着することを防止できる。なお、共通電極104cに対してもD1’>D2’とする。
【0055】
なお、使用するトナーは粉砕トナーのように不定形であってもトナーが飛散したり共通電極に付着したりすることを防止できるが、円形度96%以上の球形トナーを使用することにより表面形状のばらつきを、粉砕トナーのような不定形なトナーと比較して少なくできるのでより均一な搬送が可能になる。つまり、円形度が96%より低い場合にトナーが基板と衝突のしたときの反発の方向がランダムになり、搬送方向から外れるトナーが生じてしまうので、共通電極までの距離D1及びD1’を大きくする必要があるが、このように円形度を規定することでトナーの共通電極部への散逸を比較的小さな距離で防止することが可能となる。また、同様に基板の表面性を表わす平均粗さ(Ra)がトナー径以下にすることによって、トナーが基板と衝突したときに、跳ね返る方向が安定し、電界に従った運動をする。そのため、上記のようにトナーの共通電極への散逸を防止することが可能となる。以上のように共通電極までの距離を短くすることができ、長手方向を短くすることにより現像装置の小型化が可能になる。
【0056】
また、本発明によれば、トナーの平均粒径が2〜10μm、Q/Mが負帯電の場合には−3〜−40μC/g、より好ましくは、−10〜−30μC/g、正帯電の場合には+3〜+40μC/g、より好ましくは、+10〜+30μC/gであるときに、特に上述した電極構成による搬送及びホッピングを効率的に行うことができた。
【0057】
これによって、前述したように、電極をファインピッチ化した場合に、搬送電極102間に印加する電圧が150〜100V以下の低電圧であっても発生する電界が非常に大きい値となり、搬送電極102の表面に付着しているトナーを容易に剥離し、飛翔、ホッピングさせることが可能になる。また、OPC等の感光体を帯電する時に発生するオゾン、NOxが非常に少なく、又は皆無にすることができて、環境問題、感光体の耐久性に非常に有利となる。
【0058】
次に、本発明の現像装置を搭載する別の発明に係る第1の実施の形態例の画像形成装置について図19を参照して説明する。
この画像形成装置の全体の概略及び動作を説明すると、潜像担持体である感光体ドラム201は基体202上に感光体層203を形成してなり、同図で矢示方向に回転駆動される。この感光体ドラム201は帯電装置204によって一様に帯電され、露光部205からの読み取り画像に応じたレーザ光による書き込みにより、感光体ドラム201の表面に静電潜像が形成される。
【0059】
そして、この感光体ドラム201の表面の静電潜像は、本発明に係る現像装置206によってトナーが付着されて可視像化され、この可視像は、給紙カセット207から給紙された転写紙(記録媒体)208に転写電源209からの電圧が印加される転写コロ210によって転写され、この可視像が転写された転写紙208は、感光体ドラム201の表面より分離されて、定着ユニット211のローラ間を通って、可視像が定着され、機外の排紙トレイへと排紙される。
【0060】
一方、転写が終了した感光体ドラム201の表面に残留しているトナーはクリーニング装置212によって除去され、感光体ドラム201の表面に残留している電荷は除電ランプ213によって消去される。
【0061】
そこで、本発明の現像装置について説明すると、現像装置206内には粉体であるトナーの帯電を施す部材の一例として帯電ブラシ214a、214bの両ブラシが接触するように配置され回転動作し、トナータンク215から送り込まれるトナーTは帯電ブラシ214a、214bによる摩擦を受けて帯電が施される。そして、帯電が施されたトナーTは、搬送基板216に送り込まれ、この搬送基板216上を搬送、ホッピングされて潜像担持体201に対向する現像領域に送られて、所要の現像を行った後、現像に供されなったトナーTは搬送基板216の終端から落下して、逆送用の搬送基板217によってトナーに帯電を施す部材(帯電ブラシ214b)に逆送される。
【0062】
なお、搬送基板216及び逆送用の搬送基板217の構成は、上述した搬送基板11と同様であり、搬送基板216及び逆送用の搬送基板217の各電極に駆動波形を与える駆動回路の構成も図示は省略するが、現像装置の各実施形態で説明した同様である。
【0063】
このように構成することで、飛散トナーが少なく、高い現像品質で現像を行って高画質の画像を形成することができる。
【0064】
次に、本発明の現像装置を搭載する別の発明に係る第2の実施の形態例の画像形成装置について図20を参照して説明する。
第2の実施の形態例の画像形成装置の全体の概略及び動作を説明すると、潜像担持体である感光体ドラム301(例えば、有機感光体:OPC)は同図で時計方向に回転駆動される。コンタクトガラス302上に原稿を載置し、図示しないプリントスタートスイッチを押すと、原稿照明光源303とミラー304とを含む走査光学系305と、ミラー306、307を含む走査光学系308とが移動して、原稿画像の読み取りが行われる。ここで、走査された原稿画像がレンズ309の後方に配置した画像読取素子310で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化され画像処理される。そして、この画像処理をした信号でレーザーダイオードを駆動し、このレーザーダイオードからのレーザ光をポリゴンミラー311で反射した後、ミラー312を介して感光体ドラム301上に照射する。この感光体ドラム301は帯電装置313によって一様に帯電されており、レーザ光による書き込みにより、感光体ドラム301の表面に静電潜像が形成される。
【0065】
そして、この感光体ドラム301表面の静電潜像は、本発明に係る現像装置314によってトナーが付着されて可視像化され、この可視像(トナー像)は、給紙部315A又は315Bから給紙コロ316A又は316Bで給紙された転写紙(記録媒体)317に転写チャージャ318のコロナ放電により転写される。この可視像が転写された転写紙317は、分離チャージャ319により感光体ドラム301の表面より分離されて、搬送ベルト320によって搬送され、定着ローラ対321の圧接部を通って、可視像が定着され、機外の排紙トレイ322へと排紙される。
【0066】
一方、転写が終了した感光体ドラム301の表面に残留しているトナーはクリーニング装置323によって除去され、感光体ドラム301の表面に残留している電荷は除電ランプ324によって消去される。
【0067】
図20の現像装置314は、図21に示すように、トナーを収納するトナーホッパ部325と、このトナーホッパ部325内のトナーを攪拌するアジテータ326と、トナーホッパ部325内のトナーを帯電させてトナーボックス部327に供給する帯電ローラ328及びこの帯電ローラ328の周面に接触させて配置したドクターブレード329とを備えている。また、トナーボックス部325内に供給されたトナーを現像のために搬送、ホッポングするために搬送する搬送基板330と、この搬送基板330の終端から落下する現像に供されなかったトナーを、帯電を施す部材である帯電ローラ328に戻す方向に搬送する逆送用の搬送基板331とを備えている。
【0068】
なお、上記第1の実施の形態例でも述べたとおり、搬送基板330及び逆送用の搬送基板331の構成は、上述した搬送基板11と同様であり、搬送基板330及び逆送用の搬送基板331の各搬送電極に駆動波形を与える駆動回路の構成も図示は省略するが、上述した現像装置の各実施の形態例で説明した同様である。
【0069】
このように構成することで、飛散トナーが少なく、高い現像品質で現像を行って高画質の画像を形成することができる。
【0070】
次に、別の発明に係るプロセスカートリッジを備えた、第3の実施の形態例の画像形成装置について、図22及び図23を参照して簡単に説明する。なお、図22はプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の概略構成図、図23はプロセスカートリッジの概略構成図である。
【0071】
図22に示す画像形成装置400は、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の4色でフルカラー画像を形成するレーザプリンタの一例であり、各色用の画像信号に応じたレーザビームを出射する4つの光書込装置401−M、401−C、401−Y、401−Bk(以下、光書込装置401と総称する)と、作像用の4つのプロセスカートリッジ402−M、402−C、402−Y、402−Bk(以下、プロセスカートリッジ502と総称する)と、画像が転写される記録用紙を収納する給紙カセット403と、給紙カセット403から記録用紙を給紙する給紙ローラ404と、記録用紙を所定のタイミングで搬送するレジストローラ405と、記録用紙を各プロセスカートリッジの転写部に搬送する転写ベルト406と、記録用紙に転写された画像を定着する定着ベルト407と加圧ローラ408からなる定着装置409と、定着後の記録用紙を排紙トレイ411に排紙する排紙ローラ410等を備えた構成となっている。
【0072】
4つのプロセスカートリッジからなるプロセスカートリッジ402は、図23に示すように、各プロセスカートリッジ402は、ケース内に像担持体であるドラム状の感光体412と、帯電ローラ413と、本発明に係る現像装置414と、クリーニングブレード415等を一体に備え、画像形成装置の本体に対して着脱可能に構成している。現像装置414を着脱自在であるプロセスカートリッジ402内に具備させることにより、メンテナンス性の向上、他の装置との一体交換を容易に行うことができるようになる。
【0073】
また、現像装置414内には、トナー供給ローラ416、帯電ローラ417、搬送基板418、搬送基板418へのトナー送り込み基板419、回収トナーを戻すトナー戻しローラ420が設けられており、各色のトナーが収納されている。また、プロセスカートリッジ402の背面側には、光書込装置401からのレーザビームが入射される窓口となるスリット421が設けられている。
【0074】
各光書き込み装置401−M、401−C、401−Y、401−Bkは、半導体レーザ、コリメートレンズ、ポリゴンミラー等の光偏向器、走査結像用光学系等から構成され、装置外部のパーソナルコンピュータ等のホスト(画像処理装置)から入力される各色用の画像データに応じて変調されたレーザビームを出射し、各プロセスカートリッジ402−M、402−C、402−Y、402−Bkの感光体412上を走査し、静電荷像(静電潜像)を書き込む。
【0075】
そして、画像形成が開始されると、各プロセスカートリッジ402−M、402−C、402−Y、402−Bkの感光体412が帯電ローラ413で均一に帯電され、各光書込装置401−M、401−C、401−Y、401−Bkから画像データに応じたレーザビームが照射されて各感光体上に各色の静電潜像が形成される。
【0076】
この感光体412上に形成された静電潜像は、現像装置414の搬送基板418によるETH現像により、各色のトナーによって現像され顕像化される。また、現像に供されなかったトナーは搬送基板418で搬送されてトナー戻しローラ420によってトナー送り込み基板419の入口側に戻される。このように、本発明に係る現像装置によって現像を行うことで、前述したように高品質の画像を形成することができる。
【0077】
一方、各プロセスカートリッジ402−Bk、402−Y、402−C、402−Mの各色の画像形成に同期して、供給カセット403内の記録用紙が供給ローラ404で給紙され、レジストローラ405により所定のタイミングで転写ベルト406に向けて搬送される。そして、記録用紙は転写ベルト406に担持されて4つのプロセスカートリッジ402−Bk、402−Y、402−C、402−Mの感光体412に向けて順次搬送され、各感光体上のBk、Y、C、Mの各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。4色のトナー像が転写された記録用紙は、定着装置409に搬送され、4色のトナー像からなるカラー画像が定着されて排紙トレイ411に排紙される。
【0078】
次に、別の発明に係るプロセスカートリッジを備えた、第4の実施の形態例の画像形成装置について、図24及び図25を参照して簡単に説明する。なお、図24はプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の概略構成図、図25はプロセスカートリッジの概略構成図である。
【0079】
図24に示す画像形成装置500は、水平に延在する転写ベルト(像担持体)501に沿って、各色のプロセスカ−トリッジ502−Y、502−M、502−C、502−Bk(以下、プロセスカートリッジ502と総称する)を並置したタンデム方式のカラー画像形成装置である。なお、プロセスカートリッジ502は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で説明したが、この順番に特定されるものではなく、どの順番で並置してもよい。
【0080】
そして、図25に示すプロセスカ−トリッジ502は、像担持体505、帯電手段506、搬送基板507を含む本発明に係る現像装置508、クリーニング装置509等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成している。
【0081】
通常、カラーの画像形成装置は複数の画像形成部を有するため装置が大きくなってしまう。また、現像装置、クリーニングや帯電などの各ユニットが個別で故障したり、寿命による交換時期がきた場合は、装置が複雑でユニットの交換に非常に手間がかかっていた。
【0082】
そこで、少なくとも像担持体と現像装置の構成要素をプロセスカートリッジ502として一体に結合して構成することによって、ユーザによる交換も可能な小型で高耐久のカラー画像形成装置を提供することができる。
【0083】
ここで、各色のプロセスカートリッジ502−Y、502−M、502−C、520−Bkで現像された像担持体505上の現像トナーは水平に延在する転写電圧が印加された転写ベルト501に順次転写される。
【0084】
このようにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと画像の形成が行なわれ、転写ベルト501上に多重に転写され、転写手段503で転写材504にまとめて転写される。そして、転写材504上の多重トナー像は図示しない定着装置によって定着される。
【0085】
上記各実施の形態例の画像形成装置は、いずれも本発明に係る現像装置を備えているので、装置の小型化、低コスト化を図れ、トナー飛散などもなく、画像品質を向上することができる。
【0086】
なお、上記実施の形態例においては、粉体としてトナーを例に説明しているが、トナー以外の粉体を搬送するための装置などにも同様に適用することができる。また、搬送電極に印加する駆動信号は3相を例に説明しているが、4相、6相などのn相(nは2以上の正の整数)でもよい。また、搬送基板を円筒状にすることにより、搬送基板からのトナー回収が、小型化が可能になり、利用効率も向上する。
【0087】
また、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の現像装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の現像装置の搬送基板の平面図である。
【図3】図2のA−A’線断面図である。
【図4】図2のB−B’線断面図である。
【図5】図2のC−C’線断面図である。
【図6】図2のD−D’線断面図である。
【図7】搬送基板に与える駆動波形の一例を示す波形図である。
【図8】粉体の搬送及びホッピングの様子を示す概略図である。
【図9】図1の駆動回路の一例を示すブロック図である。
【図10】搬送電圧パターン及び回収搬送電圧パターンの駆動波形の一例を示すタイムチャートである。
【図11】ホッピング電圧パターンの駆動波形の一例を示すタイムチャートである。
【図12】ホッピング電圧パターンの駆動波形の他の例を示すタイムチャートである。
【図13】本発明の現像装置の搬送基板の電極幅及び電極間隔を示す図である。
【図14】電極幅と0V電極端の電界(X方向)の関係の一例を示す特性図である。
【図15】電極幅と0V電極端の電界(Y方向)の関係の一例を示す特性図である。
【図16】本発明の一実施の形態例に係る現像装置の搬送電極と共通電極の構成を示す部分拡大図である。
【図17】本実施の形態例の現像装置における搬送基板の構成を示す平面図である。
【図18】本発明の他の実施の形態例に係る現像装置の搬送電極と共通電極の構成を示す部分拡大図である。
【図19】別の発明に係る第1の実施の形態例に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
【図20】別の発明に係る第2の実施の形態例に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
【図21】図20の現像装置の構成を示す拡大概略構成図である。
【図22】別の発明に係る第3の実施の形態例に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
【図23】図22の現像装置を含むプロセスカートリッジの構成を示す拡大概略構成図である。
【図24】別の発明に係る第4の実施の形態例に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
【図25】図24の現像装置を含むプロセスカートリッジの構成を示す拡大概略構成図である。
【符号の説明】
【0089】
10,206,314;現像装置、
11,216,217,330,331,418,507;搬送基板、
12;駆動回路、20;感光体ドラム、21;パスル信号発生回路、
22a〜22c、23a〜23c;波形増幅器、
101;支持基板、102;搬送電極、103;表面保護層、
104;共通電極、105;層間絶縁膜、106;コンタクトホール、
200,300,400,500;画像形成装置、
402,502;プロセスカートリッジ。
【技術分野】
【0001】
本発明は現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関し、詳細にはETH(Electrostatic Transport & Hopping)現象を用いて、搬送電極の電極間隔と共通電極までの距離を制御して搬送中の飛散トナーと共通電極のトナー付着を低減可能な、現像装置、この現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写装置、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置として、電子写真式プロセスを用いて、潜像担持体に潜像を形成し、この潜像に粉体である現像剤(以下、トナーと称す)を付着させて現像してトナー像として可視像化し、このトナー像を記録媒体に転写し、あるいは中間転写部材に一旦転写した後記録媒体に転写することで画像を形成するものがある。
【0003】
このような画像形成装置において、潜像担持体に形成された潜像を現像する現像装置として、従来から、現像装置内で攪拌させたトナーを現像剤担持体である現像ローラの表面に担持し、当該現像ローラを回転させることによって潜像担持体の表面に対して対向する位置まで搬送し、潜像担持体の潜像を現像する。そして、現像終了後、潜像担持体に転写しなかったトナーは現像ローラの回転により現像装置内に回収され、新たにトナーを攪拌・帯電して再び現像ローラに担持して搬送するようにしたものが知られている。
【0004】
一方、現在、潜像担持体に現像ローラを接触させずに現像を行う非接触方式の現像装置が注目されている。その一つに、進行波電界を利用した方法が提案されている。このような進行波電界を利用する現像装置においては、その現像剤搬送部材上における各電極の配列方向と直交する幅方向の外側(現像剤搬送部材の搬送方向と直交する幅方向の両側)にそれぞれ配線パターンが設けられている。その場合、配線パターンが位置する領域では、各電極の外側に位置しているために進行波電界条件が形成されておらず、この領域に現像剤が入り込むと、現像剤の飛散や固着が発生する恐れがある。このような問題点を解決する提案の一つとしての特許文献1によれば、静電潜像をその表面に担持している像担持体に対向する現像領域に配置し、基材上に所定間隔を存して複数配列された電極を表面保護層によって被覆してなる現像剤搬送部材を備え、各電極に対する多相電圧の印加により形成される進行波電界によって現像剤を現像剤搬送部材上で搬送するようにした現像装置において、上記現像剤搬送部材上に現像剤を供給する供給部材を設けている。そして、上記各電極の配列方向と直交する幅方向の有効電極幅Leと、上記供給部材上における現像剤存在領域の現像剤供給方向と直交する幅方向の長さLtとを、Lt<Leの関係を満たすように設定する。このように供給幅を搬送幅より狭めることで、搬送領域外にトナーが散逸するのを防止している。
【特許文献1】特許第3,639,545号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、トナーを搬送すると配線電極にも電界がかかっているために、搬送領域よりも長手方向で、幅広くトナーが搬送されてしまい、配線パターンが位置する領域まで、トナーが進入してしまう。また、進行波に載せてトナーを搬送する現像装置は進行波が並んで発生している部分は問題なく搬送されるが、エッジ部はバスライン(共通電極)があり、その部分には進行方向に電極が並んでいないためトナーが付着すると動かなくなって堆積していく。
また、従来の画像形成装置は搬送時にトナーがホッピングするが、その方向は必ずしも一定ではない。空気の抵抗や、電界の方向によってむしろ広がる方向にある。搬送方向が広がると、進行波が形成できない共通電極上や、更に外側の長手方向のエッジ部まで広がってしまい、最悪、画像形成装置の機内にトナーを飛散させてしまう。
更に、電極には進行波が発生しているので、ほとんどのトナーは電界にしたがって進行方向に向かう。しかし、電極のエッジ部では、次の電界がかかる部分が小さくなるので、共通電極の方向に向かうトナーが発生したりする。トナーは電界によるクーロン力で、引き付けられるので、電界の方向に制限を加えて、長手方向外側に力が向かわないようにすればよい。
【0006】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、ETH(Electrostatic Transport & Hopping)現象を用いて、搬送中の飛散粉体を低減できる、現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0007】
ここで、ETH現象とは、粉体が移相電界のエネルギーを与えられ、そのエネルギーが機械的なエネルギーに変換されて、粉体自身が動的に変動する現象をいう。このETH現象は、静電気力による粉体の水平方向の移動(搬送)と垂直方向の移動(ホッピング)を含む現象であり、静電搬送部材の表面を、移相電界によって粉体が進行方向の成分を持って飛び跳ねる現象であり、このETH現象を用いた現像方式をETH現像という。
【0008】
なお、本明細書において、ETH現象における搬送部材上の粉体の振る舞いを区別して表現する場合、基板水平方向への移動については、「搬送」、「搬送速度」、「搬送方向」、「搬送距離」という表現を使用し、基板垂直方向への飛翔(移動)については、「ホッピング」、「ホッピング速度」、「ホッピング方向」、「ホッピング高さ(距離)」という表現を使用し、搬送部材上での「搬送及びホッピング」は「移送」と総称する。なお、搬送装置、搬送基板という用語に含まれる「搬送」は「移送」と同義である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記問題点を解決するために、本発明の現像装置は、潜像担持体に対向して配置され、粉体を移動させる進行波電界を発生させるために、所定の間隔で配列された複数の搬送電極を有する搬送部材と、該搬送電極の一端に接続された共通電極を介して搬送電極に多相の電圧を印加するための電圧供給手段と、該搬送部材に粉体を供給する粉体供給手段と、過剰な粉体を回収する回収手段を具備している。そして、本発明の現像装置は、電圧供給手段により搬送電極に共通電極を介して多相の電圧を印加して搬送電界を形成し、搬送部材において当該搬送電界によって潜像担持体と対向する領域に粉体を搬送して潜像担持体上に粉体を付着させて潜像担持体上の潜像を現像する。更に、本発明の現像装置は、共通電極と搬送電極の一端の空隙間隔が搬送電極間の間隔より大きいことに特徴がある。よって、内側に向かう電界を形成することによって、トナーが長手方向の内側に向かうようにすることができるので、長手方向の飛散粉体の防止と、共通電極の粉体付着を防止することができる。
【0010】
また、潜像担持体と対向する現像領域以外の領域に相当する搬送電極の配列方向と共通電極の配列方向と成す角度を、粉体の搬送方向に対して鋭角にすることにより、内側に向かう力が外側に向かう力より大きくなり、粉体が外に飛散しなくなる。
【0011】
更に、搬送電極における現像領域以外の領域であって、かつ搬送電極の一端の長さは空隙間隔より小さいことにより、内側に向かう力が外側に向かう力より大きくなり、粉体が外に飛散しなくなる。
【0012】
また、搬送電極における現像領域以外の領域であって、かつ搬送電極の一端の長さは搬送電極の電極ピッチより大きいことにより、内側に向かう力が外側に向かう力より大きくなり、粉体が外に飛散しなくなる。
【0013】
更に、別の発明としてのプロセスカートリッジは、上記の現像装置と、電子写真プロセスにおける潜像担持体、帯電手段、クリーニング手段のうちの少なくとも一つと、を少なくとも含み、画像形成装置本体に着脱自在である。よって、搬送中の飛散粉体を低減することができるプロセスカートリッジを提供できる。
【0014】
更に、別の発明としての画像形成装置は、上記現像装置もしくは上記プロセスカートリッジを備えている。よって、搬送中の飛散粉体を低減することができる画像形成装置を提供できる。
【0015】
また、別の発明としての画像形成装置によれば、上記プロセスカートリッジを複数備えて、高画質な多色の画像を形成することができると共に、搬送中の飛散粉体を低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の現像装置は共通電極と搬送電極の一端の空隙間隔が搬送電極間の間隔より大きいことにより、搬送中の飛散粉体を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明の現像装置の構成を示す概略図である。同図に示す現像装置10は、粉体であるトナーTを搬送、ホッピング、回収するための電界を発生するための複数の搬送電極102を有する搬送部材である搬送基板11を備え、この搬送基板11の各搬送電極102に対しては駆動回路12から所要の電界を発生させるためのn相(nは2以上の正の整数。ここでは3相とする。)の異なる駆動波形Va1,Vb1,Vc1及びVa2,Vb2,Vc2が印加される。ここでは、搬送基板11は、駆動波形Va1,Vb1,Vc1及びVa2,Vb2,Vc2を与える搬送電極102の範囲及び潜像担持体である感光体ドラム20との関係において、トナーTを感光体ドラム20の近傍まで搬送する搬送領域、感光体ドラム20の潜像にトナーTを付着させてトナー像を形成するための現像領域、トナーTを搬送基板11側に回収するための現像領域通過後の回収領域とに分けられる。
【0018】
そして、この現像装置10において、搬送基板11の搬送領域ではトナーTを感光体ドラム20の近傍まで搬送し、現像領域では感光体ドラム20上の潜像の画像部に対してはトナーTが感光ドラム20側に向かい、非画像部に対してはトナーTが感光ドラム20と反対側(搬送基板側)に向かう方向の電界を形成して、トナーTを潜像に付着させて現像を行うための電界を発生し、回収領域ではトナーTが潜像の画像部及び非画像部のいずれに対しても感光体ドラム20と反対側(搬送基板11側)に向かう方向の電界を形成する。
【0019】
ここで、本発明の現像装置における搬送基板の構成について、図2〜図6を参照して詳細に説明する。なお、図2は搬送基板の平面図、図3は図2のA−A’線断面図、図4は図2のB−B’線断面図、図5は図2のC−C’線断面図、図6は図2のD−D’線断面図である。
【0020】
本発明の現像装置における搬送基板11は、図3の支持基板101上に3本の搬送電極102a、102b、102c(これらを搬送電極102と総称する)を1セットとして、図2及び図3の矢印方向のトナー搬送方向に沿って所定の間隔で、かつトナー搬送方向と略直交する方向に繰り返し形成され配置し、この上に搬送面を形成する絶縁性の搬送面形成部材となり、これらの搬送電極101の表面を覆う保護膜となる、無機又は有機の絶縁性材料で形成した表面保護層103を積層したものである。なお、ここでは、表面保護層103が搬送面を形成しているが、表面保護層103上に更に粉体(トナー)との適合性に優れた表面層を別途成膜することもできる。
【0021】
これらの搬送電極102a、102b、102cの両側には、搬送電極102a、102b、102cとそれぞれ両端部で相互接続した共通電極104a、104b、104c(これらを共通電極104と総称する)をトナー搬送方向に沿って、すなわち搬送電極102a、102b、102cの各々と略直交する方向に設けている。この場合、共通電極104の幅(この幅は、トナー搬送方向と直交する方向の幅)は搬送電極102の幅(この幅は、トナー搬送方向に沿う方向の幅)よりも広くしている。なお、図2では、共通電極104を、搬送領域では共通電極104a1、104b1、104c1を、現像領域では共通電極104a2、104b2、104c2、回収領域では共通電極104a3、104b3、104c3と、区別して表記している。
【0022】
ここでは、図4に示すように、支持基板101上に共通電極104a、104b、104cのパターンを形成した後層間絶縁膜105を形成し、この層間絶縁膜105にコンタクトホール106を形成した後搬送電極102a、102b、102cを形成することによって、搬送電極102a、102b、102cと共通電極104a、104b、104cとをそれぞれ相互接続している。なお、層間絶縁膜105は表面保護層103と同じ材料でも異なる材料のいずれでも良い。また、搬送電極102aと共通電極104aを一体形成したパターン上に層間絶縁膜105を形成し、この層間絶縁膜105上に搬送電極102bと共通電極104bを一体形成したパターンを形成し、更に層間絶縁膜105を形成して、この層間絶縁膜105上に搬送電極102cと共通電極104cを一体形成したパターンを形成する、つまり、電極を三層構造とすることもでき、あるいは一体形成に相互接続とコンタクトホール106による相互接続とを混在させることもできる。
【0023】
更に、これらの共通電極104a、104b、104cには、図1の駆動回路12からの駆動信号(駆動波形)Va、Vb、Vcを入力するための駆動信号印加用入力端子(図示せず)を設けている。この駆動信号入力用端子は、支持基板101に裏面側に設けてスルーホールを介して各共通電極104に接続してもよいし、あるいは層間絶縁膜105上に設けてもよい。
【0024】
ここで、支持基板101としては、ガラス基板、樹脂基板或いはセラミックス基板等の絶縁性材料からなる基板、或いはSUSなどの導電性材料からなる基板にSiO2等の絶縁膜を成膜したもの、ポリイミドフィルムなどのフレキシブルに変形可能な材料からなる基板などを用いることができる。
【0025】
また、搬送電極102は、支持基板101上にAl、Ni−Cr等の導電性材料を0.1〜10μm厚、好ましくは0.5〜2.0μmで成膜し、これをフォトリソ技術等を用いて所要の電極形状にパターン化して形成している。これらの複数の搬送電極102の粉体進行方向における幅Lは移動させる粉体の平均粒径の1倍以上20倍以下とし、かつ搬送電極102の粉体進行方向の間隔Rも移動させる粉体の平均粒径の1倍以上20倍以下としている。
【0026】
次に、このように構成した搬送基板11におけるトナーの静電搬送の原理について説明する。搬送基板11の複数の搬送電極102に対してn相(nは2以上の正の整数)の駆動波形を印加することにより、複数の搬送電極102によって移相電界(進行波電界)が発生し、搬送基板11上の帯電したトナーは反発力及び/又は吸引力を受けて移送方向にホッピングと搬送を含んで移動する。
【0027】
例えば、搬送基板11の複数の搬送電極102に対して図7に示すようにグランドG(0V)と正の電圧+との間で変化する3相のパルス状駆動波形(駆動信号)A(A相)、B(B相)、C(C相)を、タイミングをずらして印加する。
【0028】
このとき、図8に示すように、搬送基板11上に負帯電のトナーTがあり、搬送基板11の連続した複数の搬送電極102に同図に(1)で示すようにそれぞれ「G」、「G」、「+」、「G」、「G」が印加されたとすると、負帯電のトナーTは「+」の搬送電極102上に位置する。
【0029】
次のタイミングで複数の搬送電極102には(2)に示すようにそれぞれ「+」、「G」、「G」、「+」、「G」が印加され、負帯電のトナーTには同図で左側の「G」の搬送電極102との間で反発力が、右側の「+」の搬送電極102との間で吸引力がそれぞれ作用するので、負帯電のトナーTは「+」の搬送電極102側に移動する。さらに、次のタイミングで複数の搬送電極102には(3)に示すようにそれぞれ「G」、「+」、「G」、「G」、「+」が印加され、負帯電のトナーTには同様に反発力と吸引力がそれぞれ作用するので、負帯電のトナーTは更に「+」の搬送電極102側に移動する。
【0030】
このように複数の搬送電極102に電圧の変化する複相の駆動波形を印加することで、搬送基板1上には進行波電界が発生し、この進行波電界の進行方向に負帯電のトナーTは搬送及びホッピングを行いながら移動する。なお、正帯電のトナーTの場合には駆動波形の変化パターンを逆にすることで同様に同方向に移動する。
【0031】
次に、図1の駆動回路の全体構成について図9を参照して説明する。この駆動回路12は、パルス信号を生成出力するパスル信号発生回路21と、このパルス信号発生回路21からのパルス信号を入力して駆動波形Va1、Vb1、Vc1を生成出力する波形増幅器22a、22b、22cと、パルス信号発生回路21からのパルス信号を入力して駆動波形Va2、Vb2、Vc2を生成出力する波形増幅器23a、23b、23cとを含んで構成されている。そして、パルス信号発生回路21は、例えばロジックレベルの入力パルスを受けて、各120°に位相シフトした2組のパルスで、次段の波形増幅器22a〜22c、23a〜23cに含まれるスイッチング手段(図示せず)、例えばトランジスタを駆動して100Vのスイッチングを行うことができるレベルの出力電圧10〜15Vのパルス信号を生成して出力する。
【0032】
また、波形増幅器22a、22b、22cは、図1の搬送領域の各搬送電極102及び回収領域の各搬送電極102に対して、例えば図10に示すように、各相の+100Vの印加時間taを繰り返し周期tfの1/3である約33%に設定した(以下、これを「搬送電圧パターン」又は「回収搬送電圧パターン」と称す)3相の駆動波形(駆動パルス)Va1、Vb1、Vc1を印加する。更に、波形増幅器23a、23b、23cは、図1の現像領域の各搬送電極102に対して、例えば図11又は図12に示すように、各相の+100V又は0Vの印加時間taを繰り返し周期tfの2/3である約67%に設定した(以下、これを「ホッピング電圧パターン」と称す)3相の駆動波形(駆動パルス)Va2、Vb2、Vc2を印加する。
【0033】
以上の説明のように、ETH現像ではトナーをホッピングさせることによって潜像担持体の静電潜像を一成分現像方式で反転現像を行うことができる。すなわち、現像領域で、トナーが潜像の画像部に対しては潜像担持体側に向かい、非画像部に対してはトナーが潜像担持体と反対側に向かう方向の電界を形成する手段を備えることによって現像を行うことができる。
【0034】
例えば、図12に示すホッピング電圧パターンの駆動波形のように、0〜−100Vで遷移するパルス状電圧波形である場合、潜像担持体上の非画像部電位が−100Vより低いときには、画像部に対してはトナーが潜像担持体側に向かい、非画像部に対してはトナーが潜像担持体と反対側に向かうことになる。この場合、潜像の非画像部の電位を−150Vや後述する−170Vとした場合に、トナーが潜像担持体側に向かうことが確認された。
【0035】
また、ホッピング電圧パターンの駆動波形が20V〜−80Vで遷移するパルス状電圧波形である場合、画像部の電位を約0V、非画像部の電位が−110Vのときにも、パルス状駆動波形のローレベルの電位が潜像の画像部電位と非画像部電位との間にあるので、同様に、画像部に対してはトナーが潜像担持体側に向かい、非画像部に対してはトナーが潜像担持体と反対側に向かうことになる。
【0036】
要するに、パルス状駆動波形のローレベルの電位を潜像の画像部の電位と非画像部の電位との間の電位に設定することで、非画像部へのトナーの付着を防止し、高品質の現像を行うことができる。
【0037】
このように、ETH現像においては、トナーがホッピングしていることにより潜像の画像部に対してトナーが吸引付着し、非画像部ではトナーが反発されて付着されないので、トナーによる潜像の現像を行うことができ、このとき、既にホッピングしているトナーは搬送基板11との間で吸着力が生じないため、容易に潜像担持体側に搬送することができ、高い画像品質が得られる現像を低電圧で行うことができるようになる。
【0038】
すなわち、従来の所謂ジャンピング現像方式にあっては、現像ローラから帯電トナーを剥離させて感光体に搬送させるには、トナーの現像ローラに対する付着力以上の印加電圧が必要であり、DC600〜900Vのバイアス電圧をかけなければならない。これに対して、本発明によれば、トナーの付着力は通常50〜200nNであるが、搬送基板1上でホッピングしているために搬送基板11に対する付着力が略零になるので、トナーを搬送基板11から剥離する力が不要になり、低電圧で十分にトナーを潜像担持体側に搬送することが可能になるのである。
【0039】
しかも、各搬送電極102間に印加する電圧が|150〜100|V以下の低電圧であっても発生する電界が非常に大きい値となり、搬送電極102の表面に付着しているトナーを容易に剥離し、飛翔、ホッピングさせることが可能になる。また、OPC等の感光体を帯電する時に発生するオゾン、NOxが非常に少なく、又は皆無にすることができて、環境問題、感光体の耐久性に非常に有利となる。
【0040】
従って、従来方式の現像ローラ表面、またはキャリア表面に付着しているトナーを剥離するために現像ローラと感光体の間に印加していた500V〜数KVの高電圧バイアスを必要とすることがなく、感光体の帯電電位を非常に低い値として、潜像を形成して現像することが可能になる。
【0041】
例えば、OPC感光体を使用し、その表面のCTL(Charge Transport Layer)の厚さが15μm、その比誘電率εが3、帯電したトナーの電荷密度が(−3E−4C/m2の場合、OPC表面電位は約−170Vとなるが、この場合、搬送基板の電極への印加電圧として、0〜−100V、デューティー50%のパルス状駆動電圧を印加すると、平均で−50Vとなり、トナーが負帯電であれば搬送基板の電極とOPC感光体との間の電界は前述した関係になる。
【0042】
このとき、搬送基板とOPC感光体とのギャップ(間隔)が0.2〜0.3mmであれば十分に現像が可能となる。トナーのQ/M、搬送基板の電極への印加電圧、印刷速度すなわち感光体の回転速度によっても異なるが、負帯電トナーの場合、少なくとも感光体を帯電する電位は−300V以下、または現像効率を優先した構成の場合は−100V以下でも十分に現像を行うことができる。なお、正帯電の場合の帯電電位は+電位となる。
【0043】
ところで、上述したETH現像は、搬送基板11上でトナーをホッピングさせることによって、搬送基板11との吸着力を0にすることで現像を行うものであるが、単に搬送基板上でトナーをホッピングにさせるだけでは、ホッピングしたトナーが潜像担持体側への進行性を有しているとしても、潜像担持体の潜像に付着することの確実性が保証されず、トナー飛散が生じる。
【0044】
そこで、本発明は、ETH現像について、ホッピングしたトナーが潜像担持体の潜像の画像部に対して選択的に確実に付着し、かつ、非画像部には付着しない、すなわち地汚れが生じない条件を見出したものである。
【0045】
すなわち、潜像担持体の潜像の電位(表面電位)と搬送基板に印加する電位(発生させる電界)との関係を所定の関係に設定する、つまり、上述したように、潜像担持体の潜像の画像部に対してはトナーが潜像担持体側に向かい、非画像部に対してはトナーが搬送基板側に向かう電界を発生させる。これにより、潜像の画像部に対してはトナーが確実に付着し、非画像部に向かうトナーは搬送基板側に押し返されるので、搬送基板からホッピングしたトナーが効率的に現像に利用され、飛散を防止でき低電圧駆動による高品質現像を可能にすることができる。
【0046】
この場合、搬送基板の搬送電極に印加する電位の平均値(平均値電位)を潜像担持体の潜像の画像部の電位と非画像部の電位との間の電位に設定することで、上述したように、潜像担持体の潜像の画像部に対してはトナーが潜像担持体側に向かい、非画像部に対してはトナーが搬送基板側に向かう電界を発生させることができる。
【0047】
これらの図14及び図15で示す電界の強度は搬送電極の表面の代表点の値であり、搬送電界TEの代表点TEaは図13に示す電極端部の5μm上方の点、ホッピング電界HEの代表点HEaは図13に示す電極中央部の5μm上方の点とし、それぞれX方向、Y方向のトナーに作用する一番電界の強い代表点に相当する。
【0048】
これらの図14及び図15から、トナーの搬送、ホッピングに作用する力を付与できる電界としては(5E+5)V/m以上、吸着の問題がない好ましい電界としては(1E+6)V/m以上、更に十分な力を付与できるより好ましい電界としては(2E+6)V/m以上の範囲であることが分かる。
【0049】
また、搬送電極の電極間隔Rについては、間隔が広くなるほど搬送方向の電界強度は低下するため、上記電界強度の範囲に対応する値としても同様で、前述したように、トナーの平均粒径の1倍以上〜20倍以下、好ましくは2倍以上〜10倍以下、更により好ましくは2倍以上〜6倍以下である。
【0050】
次に、図2に示すように、共通電極が搬送電極の両側にあるような時は、トナーが共通電極部にも付着することがあり、共通電極上は電界のかかる方向が一定でないため搬送領域のように連続して電界が形成されないため、付着したトナーは堆積してしまう。
【0051】
そこで、本発明によれば、搬送電極の端と共通電極の間に、搬送電極の電極間隔以上の空隙を形成することによって、共通電極にトナーが付着することを防止することができる。
【0052】
図16は本発明の一実施の形態例に係る現像装置の搬送電極と共通電極の構成を示す部分拡大図である。また、図17は本実施の形態例の現像装置における搬送基板の構成を示す平面図である。図16において、搬送電極102aと共通電極104b、あるいは搬送電極102bと共通電極104cの空隙間隔D1は広ければ広いほど効果的であるが、搬送電極間の間隔であるスペース幅Sよりも広ければ、理想的には共通電極104b,104c上にトナーが付着することはない。しかし、実際は、電極表面が完全弾性衝突でないために実際は図14に示すように、搬送電極間の間隔であるスペース幅Sを30μmとした場合には、搬送電極102aと共通電極104b、あるいは搬送電極102bと共通電極104cの空隙幅D1は約3倍の100μm以上としたほうが望ましい。
【0053】
このように、搬送に寄与する電界強度が、搬送領域とそれ以外の領域で差ができ、搬送したい方向の表面の電界強度が、絶縁層のある領域の表面の電界強度より大きくなり、搬送したい方向の力が強くなる。そのために電荷をもったトナーは搬送方向に動く。
【0054】
次に、図18は本発明の別の実施の形態例に係る現像装置の搬送電極と共通電極の構成を示す部分拡大図である。同図に示す別の実施の形態例の現像装置は、共通電極104aから搬送電極102aに、共通電極104bから搬送電極102bに、そして共通電極104cから搬送電極102cに、トナー搬送方向に対してそれぞれ所定の角度θ(θ<90°)をつけることによって、電界の方向を長手方向の内側に向かせて、トナーが共通電極104a、104b、104c上に向かうことを防止して、共通電極104a、104b、104cにトナーが付着することを防止できる。更に、図18に示すように共通電極104bにつながらない現像幅よりも大きい部分の電極の長さD2を、搬送電極102aと共通電極104bや搬送電極102cと共通電極104bの間隔である空隙幅D1よりも小さくする。内側に向かう力が外側に向かう力より大きくなり、トナーが外に飛散しなくなる。このときは、空隙幅D1を200μmとして、共通電極104bにつながらない現像幅よりも大きい部分の電極の長さD2を100μmとした。このように電界が搬送方向に向かう力を大きくして、外側の共通電極104bへの方向に向かう力を小さくすることにより共通電極104bにトナーが付着することを防止できる。なお、共通電極104cに対してもD1’>D2’とする。
【0055】
なお、使用するトナーは粉砕トナーのように不定形であってもトナーが飛散したり共通電極に付着したりすることを防止できるが、円形度96%以上の球形トナーを使用することにより表面形状のばらつきを、粉砕トナーのような不定形なトナーと比較して少なくできるのでより均一な搬送が可能になる。つまり、円形度が96%より低い場合にトナーが基板と衝突のしたときの反発の方向がランダムになり、搬送方向から外れるトナーが生じてしまうので、共通電極までの距離D1及びD1’を大きくする必要があるが、このように円形度を規定することでトナーの共通電極部への散逸を比較的小さな距離で防止することが可能となる。また、同様に基板の表面性を表わす平均粗さ(Ra)がトナー径以下にすることによって、トナーが基板と衝突したときに、跳ね返る方向が安定し、電界に従った運動をする。そのため、上記のようにトナーの共通電極への散逸を防止することが可能となる。以上のように共通電極までの距離を短くすることができ、長手方向を短くすることにより現像装置の小型化が可能になる。
【0056】
また、本発明によれば、トナーの平均粒径が2〜10μm、Q/Mが負帯電の場合には−3〜−40μC/g、より好ましくは、−10〜−30μC/g、正帯電の場合には+3〜+40μC/g、より好ましくは、+10〜+30μC/gであるときに、特に上述した電極構成による搬送及びホッピングを効率的に行うことができた。
【0057】
これによって、前述したように、電極をファインピッチ化した場合に、搬送電極102間に印加する電圧が150〜100V以下の低電圧であっても発生する電界が非常に大きい値となり、搬送電極102の表面に付着しているトナーを容易に剥離し、飛翔、ホッピングさせることが可能になる。また、OPC等の感光体を帯電する時に発生するオゾン、NOxが非常に少なく、又は皆無にすることができて、環境問題、感光体の耐久性に非常に有利となる。
【0058】
次に、本発明の現像装置を搭載する別の発明に係る第1の実施の形態例の画像形成装置について図19を参照して説明する。
この画像形成装置の全体の概略及び動作を説明すると、潜像担持体である感光体ドラム201は基体202上に感光体層203を形成してなり、同図で矢示方向に回転駆動される。この感光体ドラム201は帯電装置204によって一様に帯電され、露光部205からの読み取り画像に応じたレーザ光による書き込みにより、感光体ドラム201の表面に静電潜像が形成される。
【0059】
そして、この感光体ドラム201の表面の静電潜像は、本発明に係る現像装置206によってトナーが付着されて可視像化され、この可視像は、給紙カセット207から給紙された転写紙(記録媒体)208に転写電源209からの電圧が印加される転写コロ210によって転写され、この可視像が転写された転写紙208は、感光体ドラム201の表面より分離されて、定着ユニット211のローラ間を通って、可視像が定着され、機外の排紙トレイへと排紙される。
【0060】
一方、転写が終了した感光体ドラム201の表面に残留しているトナーはクリーニング装置212によって除去され、感光体ドラム201の表面に残留している電荷は除電ランプ213によって消去される。
【0061】
そこで、本発明の現像装置について説明すると、現像装置206内には粉体であるトナーの帯電を施す部材の一例として帯電ブラシ214a、214bの両ブラシが接触するように配置され回転動作し、トナータンク215から送り込まれるトナーTは帯電ブラシ214a、214bによる摩擦を受けて帯電が施される。そして、帯電が施されたトナーTは、搬送基板216に送り込まれ、この搬送基板216上を搬送、ホッピングされて潜像担持体201に対向する現像領域に送られて、所要の現像を行った後、現像に供されなったトナーTは搬送基板216の終端から落下して、逆送用の搬送基板217によってトナーに帯電を施す部材(帯電ブラシ214b)に逆送される。
【0062】
なお、搬送基板216及び逆送用の搬送基板217の構成は、上述した搬送基板11と同様であり、搬送基板216及び逆送用の搬送基板217の各電極に駆動波形を与える駆動回路の構成も図示は省略するが、現像装置の各実施形態で説明した同様である。
【0063】
このように構成することで、飛散トナーが少なく、高い現像品質で現像を行って高画質の画像を形成することができる。
【0064】
次に、本発明の現像装置を搭載する別の発明に係る第2の実施の形態例の画像形成装置について図20を参照して説明する。
第2の実施の形態例の画像形成装置の全体の概略及び動作を説明すると、潜像担持体である感光体ドラム301(例えば、有機感光体:OPC)は同図で時計方向に回転駆動される。コンタクトガラス302上に原稿を載置し、図示しないプリントスタートスイッチを押すと、原稿照明光源303とミラー304とを含む走査光学系305と、ミラー306、307を含む走査光学系308とが移動して、原稿画像の読み取りが行われる。ここで、走査された原稿画像がレンズ309の後方に配置した画像読取素子310で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化され画像処理される。そして、この画像処理をした信号でレーザーダイオードを駆動し、このレーザーダイオードからのレーザ光をポリゴンミラー311で反射した後、ミラー312を介して感光体ドラム301上に照射する。この感光体ドラム301は帯電装置313によって一様に帯電されており、レーザ光による書き込みにより、感光体ドラム301の表面に静電潜像が形成される。
【0065】
そして、この感光体ドラム301表面の静電潜像は、本発明に係る現像装置314によってトナーが付着されて可視像化され、この可視像(トナー像)は、給紙部315A又は315Bから給紙コロ316A又は316Bで給紙された転写紙(記録媒体)317に転写チャージャ318のコロナ放電により転写される。この可視像が転写された転写紙317は、分離チャージャ319により感光体ドラム301の表面より分離されて、搬送ベルト320によって搬送され、定着ローラ対321の圧接部を通って、可視像が定着され、機外の排紙トレイ322へと排紙される。
【0066】
一方、転写が終了した感光体ドラム301の表面に残留しているトナーはクリーニング装置323によって除去され、感光体ドラム301の表面に残留している電荷は除電ランプ324によって消去される。
【0067】
図20の現像装置314は、図21に示すように、トナーを収納するトナーホッパ部325と、このトナーホッパ部325内のトナーを攪拌するアジテータ326と、トナーホッパ部325内のトナーを帯電させてトナーボックス部327に供給する帯電ローラ328及びこの帯電ローラ328の周面に接触させて配置したドクターブレード329とを備えている。また、トナーボックス部325内に供給されたトナーを現像のために搬送、ホッポングするために搬送する搬送基板330と、この搬送基板330の終端から落下する現像に供されなかったトナーを、帯電を施す部材である帯電ローラ328に戻す方向に搬送する逆送用の搬送基板331とを備えている。
【0068】
なお、上記第1の実施の形態例でも述べたとおり、搬送基板330及び逆送用の搬送基板331の構成は、上述した搬送基板11と同様であり、搬送基板330及び逆送用の搬送基板331の各搬送電極に駆動波形を与える駆動回路の構成も図示は省略するが、上述した現像装置の各実施の形態例で説明した同様である。
【0069】
このように構成することで、飛散トナーが少なく、高い現像品質で現像を行って高画質の画像を形成することができる。
【0070】
次に、別の発明に係るプロセスカートリッジを備えた、第3の実施の形態例の画像形成装置について、図22及び図23を参照して簡単に説明する。なお、図22はプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の概略構成図、図23はプロセスカートリッジの概略構成図である。
【0071】
図22に示す画像形成装置400は、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の4色でフルカラー画像を形成するレーザプリンタの一例であり、各色用の画像信号に応じたレーザビームを出射する4つの光書込装置401−M、401−C、401−Y、401−Bk(以下、光書込装置401と総称する)と、作像用の4つのプロセスカートリッジ402−M、402−C、402−Y、402−Bk(以下、プロセスカートリッジ502と総称する)と、画像が転写される記録用紙を収納する給紙カセット403と、給紙カセット403から記録用紙を給紙する給紙ローラ404と、記録用紙を所定のタイミングで搬送するレジストローラ405と、記録用紙を各プロセスカートリッジの転写部に搬送する転写ベルト406と、記録用紙に転写された画像を定着する定着ベルト407と加圧ローラ408からなる定着装置409と、定着後の記録用紙を排紙トレイ411に排紙する排紙ローラ410等を備えた構成となっている。
【0072】
4つのプロセスカートリッジからなるプロセスカートリッジ402は、図23に示すように、各プロセスカートリッジ402は、ケース内に像担持体であるドラム状の感光体412と、帯電ローラ413と、本発明に係る現像装置414と、クリーニングブレード415等を一体に備え、画像形成装置の本体に対して着脱可能に構成している。現像装置414を着脱自在であるプロセスカートリッジ402内に具備させることにより、メンテナンス性の向上、他の装置との一体交換を容易に行うことができるようになる。
【0073】
また、現像装置414内には、トナー供給ローラ416、帯電ローラ417、搬送基板418、搬送基板418へのトナー送り込み基板419、回収トナーを戻すトナー戻しローラ420が設けられており、各色のトナーが収納されている。また、プロセスカートリッジ402の背面側には、光書込装置401からのレーザビームが入射される窓口となるスリット421が設けられている。
【0074】
各光書き込み装置401−M、401−C、401−Y、401−Bkは、半導体レーザ、コリメートレンズ、ポリゴンミラー等の光偏向器、走査結像用光学系等から構成され、装置外部のパーソナルコンピュータ等のホスト(画像処理装置)から入力される各色用の画像データに応じて変調されたレーザビームを出射し、各プロセスカートリッジ402−M、402−C、402−Y、402−Bkの感光体412上を走査し、静電荷像(静電潜像)を書き込む。
【0075】
そして、画像形成が開始されると、各プロセスカートリッジ402−M、402−C、402−Y、402−Bkの感光体412が帯電ローラ413で均一に帯電され、各光書込装置401−M、401−C、401−Y、401−Bkから画像データに応じたレーザビームが照射されて各感光体上に各色の静電潜像が形成される。
【0076】
この感光体412上に形成された静電潜像は、現像装置414の搬送基板418によるETH現像により、各色のトナーによって現像され顕像化される。また、現像に供されなかったトナーは搬送基板418で搬送されてトナー戻しローラ420によってトナー送り込み基板419の入口側に戻される。このように、本発明に係る現像装置によって現像を行うことで、前述したように高品質の画像を形成することができる。
【0077】
一方、各プロセスカートリッジ402−Bk、402−Y、402−C、402−Mの各色の画像形成に同期して、供給カセット403内の記録用紙が供給ローラ404で給紙され、レジストローラ405により所定のタイミングで転写ベルト406に向けて搬送される。そして、記録用紙は転写ベルト406に担持されて4つのプロセスカートリッジ402−Bk、402−Y、402−C、402−Mの感光体412に向けて順次搬送され、各感光体上のBk、Y、C、Mの各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。4色のトナー像が転写された記録用紙は、定着装置409に搬送され、4色のトナー像からなるカラー画像が定着されて排紙トレイ411に排紙される。
【0078】
次に、別の発明に係るプロセスカートリッジを備えた、第4の実施の形態例の画像形成装置について、図24及び図25を参照して簡単に説明する。なお、図24はプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の概略構成図、図25はプロセスカートリッジの概略構成図である。
【0079】
図24に示す画像形成装置500は、水平に延在する転写ベルト(像担持体)501に沿って、各色のプロセスカ−トリッジ502−Y、502−M、502−C、502−Bk(以下、プロセスカートリッジ502と総称する)を並置したタンデム方式のカラー画像形成装置である。なお、プロセスカートリッジ502は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で説明したが、この順番に特定されるものではなく、どの順番で並置してもよい。
【0080】
そして、図25に示すプロセスカ−トリッジ502は、像担持体505、帯電手段506、搬送基板507を含む本発明に係る現像装置508、クリーニング装置509等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成している。
【0081】
通常、カラーの画像形成装置は複数の画像形成部を有するため装置が大きくなってしまう。また、現像装置、クリーニングや帯電などの各ユニットが個別で故障したり、寿命による交換時期がきた場合は、装置が複雑でユニットの交換に非常に手間がかかっていた。
【0082】
そこで、少なくとも像担持体と現像装置の構成要素をプロセスカートリッジ502として一体に結合して構成することによって、ユーザによる交換も可能な小型で高耐久のカラー画像形成装置を提供することができる。
【0083】
ここで、各色のプロセスカートリッジ502−Y、502−M、502−C、520−Bkで現像された像担持体505上の現像トナーは水平に延在する転写電圧が印加された転写ベルト501に順次転写される。
【0084】
このようにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと画像の形成が行なわれ、転写ベルト501上に多重に転写され、転写手段503で転写材504にまとめて転写される。そして、転写材504上の多重トナー像は図示しない定着装置によって定着される。
【0085】
上記各実施の形態例の画像形成装置は、いずれも本発明に係る現像装置を備えているので、装置の小型化、低コスト化を図れ、トナー飛散などもなく、画像品質を向上することができる。
【0086】
なお、上記実施の形態例においては、粉体としてトナーを例に説明しているが、トナー以外の粉体を搬送するための装置などにも同様に適用することができる。また、搬送電極に印加する駆動信号は3相を例に説明しているが、4相、6相などのn相(nは2以上の正の整数)でもよい。また、搬送基板を円筒状にすることにより、搬送基板からのトナー回収が、小型化が可能になり、利用効率も向上する。
【0087】
また、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の現像装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の現像装置の搬送基板の平面図である。
【図3】図2のA−A’線断面図である。
【図4】図2のB−B’線断面図である。
【図5】図2のC−C’線断面図である。
【図6】図2のD−D’線断面図である。
【図7】搬送基板に与える駆動波形の一例を示す波形図である。
【図8】粉体の搬送及びホッピングの様子を示す概略図である。
【図9】図1の駆動回路の一例を示すブロック図である。
【図10】搬送電圧パターン及び回収搬送電圧パターンの駆動波形の一例を示すタイムチャートである。
【図11】ホッピング電圧パターンの駆動波形の一例を示すタイムチャートである。
【図12】ホッピング電圧パターンの駆動波形の他の例を示すタイムチャートである。
【図13】本発明の現像装置の搬送基板の電極幅及び電極間隔を示す図である。
【図14】電極幅と0V電極端の電界(X方向)の関係の一例を示す特性図である。
【図15】電極幅と0V電極端の電界(Y方向)の関係の一例を示す特性図である。
【図16】本発明の一実施の形態例に係る現像装置の搬送電極と共通電極の構成を示す部分拡大図である。
【図17】本実施の形態例の現像装置における搬送基板の構成を示す平面図である。
【図18】本発明の他の実施の形態例に係る現像装置の搬送電極と共通電極の構成を示す部分拡大図である。
【図19】別の発明に係る第1の実施の形態例に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
【図20】別の発明に係る第2の実施の形態例に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
【図21】図20の現像装置の構成を示す拡大概略構成図である。
【図22】別の発明に係る第3の実施の形態例に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
【図23】図22の現像装置を含むプロセスカートリッジの構成を示す拡大概略構成図である。
【図24】別の発明に係る第4の実施の形態例に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
【図25】図24の現像装置を含むプロセスカートリッジの構成を示す拡大概略構成図である。
【符号の説明】
【0089】
10,206,314;現像装置、
11,216,217,330,331,418,507;搬送基板、
12;駆動回路、20;感光体ドラム、21;パスル信号発生回路、
22a〜22c、23a〜23c;波形増幅器、
101;支持基板、102;搬送電極、103;表面保護層、
104;共通電極、105;層間絶縁膜、106;コンタクトホール、
200,300,400,500;画像形成装置、
402,502;プロセスカートリッジ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体に対向して配置され、粉体を移動させる進行波電界を発生させるために、所定の間隔で配列された複数の搬送電極を有する搬送部材と、該搬送電極の一端に接続された共通電極を介して前記搬送電極に多相の電圧を印加するための電圧供給手段と、該搬送部材に前記粉体を供給する粉体供給手段と、過剰な前記粉体を回収する回収手段を具備し、前記電圧供給手段により前記搬送電極に前記共通電極を介して多相の電圧を印加して搬送電界を形成し、前記搬送部材において当該搬送電界によって前記潜像担持体と対向する領域に前記粉体を搬送して前記潜像担持体上に前記粉体を付着させて前記潜像担持体上の潜像を現像する現像装置であって、
前記共通電極と前記搬送電極の一端の空隙間隔が、前記搬送電極間の間隔より大きいことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記潜像担持体と対向する現像領域以外の領域に相当する前記搬送電極の配列方向と前記共通電極の配列方向と成す角度を、前記粉体の搬送方向に対して鋭角にする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記搬送電極における前記現像領域以外の領域であって、かつ前記搬送電極の一端の長さは、前記空隙間隔より小さい請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記搬送電極における前記現像領域以外の領域であって、かつ前記搬送電極の一端の長さは、前記搬送電極の電極ピッチより大きい請求項1〜3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の現像装置と、電子写真プロセスにおける潜像担持体、帯電手段、クリーニング手段のうちの少なくとも一つと、を少なくとも含み、画像形成装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
潜像担持体上に粉体を付着させて潜像担持体上の潜像を現像して画像を形成する画像形成装置において、
請求項1〜4のいずれかに記載の現像装置もしくは請求項5記載のプロセスカートリッジを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
カラー画像を形成する画像形成装置において、
請求項5記載のプロセスカートリッジを複数備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
潜像担持体に対向して配置され、粉体を移動させる進行波電界を発生させるために、所定の間隔で配列された複数の搬送電極を有する搬送部材と、該搬送電極の一端に接続された共通電極を介して前記搬送電極に多相の電圧を印加するための電圧供給手段と、該搬送部材に前記粉体を供給する粉体供給手段と、過剰な前記粉体を回収する回収手段を具備し、前記電圧供給手段により前記搬送電極に前記共通電極を介して多相の電圧を印加して搬送電界を形成し、前記搬送部材において当該搬送電界によって前記潜像担持体と対向する領域に前記粉体を搬送して前記潜像担持体上に前記粉体を付着させて前記潜像担持体上の潜像を現像する現像装置であって、
前記共通電極と前記搬送電極の一端の空隙間隔が、前記搬送電極間の間隔より大きいことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記潜像担持体と対向する現像領域以外の領域に相当する前記搬送電極の配列方向と前記共通電極の配列方向と成す角度を、前記粉体の搬送方向に対して鋭角にする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記搬送電極における前記現像領域以外の領域であって、かつ前記搬送電極の一端の長さは、前記空隙間隔より小さい請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記搬送電極における前記現像領域以外の領域であって、かつ前記搬送電極の一端の長さは、前記搬送電極の電極ピッチより大きい請求項1〜3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の現像装置と、電子写真プロセスにおける潜像担持体、帯電手段、クリーニング手段のうちの少なくとも一つと、を少なくとも含み、画像形成装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
潜像担持体上に粉体を付着させて潜像担持体上の潜像を現像して画像を形成する画像形成装置において、
請求項1〜4のいずれかに記載の現像装置もしくは請求項5記載のプロセスカートリッジを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
カラー画像を形成する画像形成装置において、
請求項5記載のプロセスカートリッジを複数備えていることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2007−241006(P2007−241006A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65075(P2006−65075)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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