説明

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】現像剤の連れまわりを防止し、現像剤の高寿命化と、画像濃度ムラの無い高画質な現像(画像形成)とを両立することができる現像装置を実現する。
【解決手段】本発明の現像装置2では、トナー濃度が低くなった現像済みの現像剤208を現像スリーブ202から現像剤収容槽207b内に落とす剤切れ領域rを現像スリーブの外表面に形成するように磁界発生手段201の表面部分に剤切れ極pを設けると共に、剤切れ極pに対向した位置(現像スリーブ表面の近傍で剤切れ極に対向した位置)に電極板212を配置し、電極板にバイアスを印加し、キャリアを現像剤担持体204から引き剥がす方向の電界(キャリアが現像剤担持体204から電極板212に移動する方向の電界)を形成する構成とした。この構成により、連れまわってしまった現像剤を現像剤担持体から電界の力で剥ぎ取ることができ、静電気的に連れまわらなくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式2成分現像剤を用いる現像装置と、該現像装置を備えたプロセスカートリッジ、及び、前記現像装置またはプロセスカートリッジを備えた複写機、ファクシミリ、プリンター、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンター、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置では、種々の現像装置(例えば、特許文献1乃至3参照)が用いられている。ここで従来の現像装置の例として、トナーと磁性キャリアからなる乾式2成分現像剤を用いる現像装置の構成例を図8、図9に示す。
図8及び図9に示すように、現像装置100は、現像剤担持体としての現像ローラ104を備え、該現像ローラ104で現像剤101を像担持体(例えば感光体ドラム)102と対向する現像領域103に搬送し、感光体ドラム102上に形成された静電潜像を現像剤101のトナーにより現像してトナー像を形成する。
【0003】
この現像ローラ104は、円筒状に形成された現像スリーブ105と、前記現像スリーブ105内に収容され、かつ、当該現像スリーブ105の表面に現像剤101の穂立ちを生じさせるように磁界を形成するマグネットローラ106を備えている。この現像ローラ104には、現像剤101の穂立ちの際、現像剤101の磁性キャリアがマグネットローラ106で生じる磁力線に沿うように現像スリーブ105上に穂立ちすると共に、この穂立ちした磁性キャリアに現像剤101のトナーが付着する。
【0004】
また、この種の現像装置100は、図10に示すように、前述した現像剤101を収容する収容槽107と、この収容槽107内の現像剤101を攪拌するスクリュー形状の攪拌部材(攪拌スクリュー)108と、現像ローラ104に汲み上げられた現像剤101の量を均一化する現像剤規制部材(規制ブレード)109と、を備えている。また、図8(または図9)と図10に示した現像装置100は、収容槽107と攪拌スクリュー108をそれぞれ一対備えている。
【0005】
この現像装置100内の現像剤101は、図10中の矢印Kで示すように、収容槽107内を移動する。現像ローラ104から離れた側の一方の収容槽107aの一端部から補給されたトナーは、攪拌スクリュー108により、該一方の収容槽107aの他端部まで攪拌スクリュー108の軸方向に沿って搬送されながら、現像剤101と混合・攪拌される。そして、現像剤101は、一方の収容槽107aの他端部から現像ローラ104寄りの他方の収容槽107b内に移動する。
【0006】
現像ローラ104寄りの他方の収容槽107bに移った現像剤101は、現像ローラ104のマグネットローラ106の磁力により現像スリーブ105の表面に汲み上げられる(現像スリーブ105の表面に付着する)。その後、現像剤101は、規制ブレード109にて量が均一化された後に、感光体ドラム102と現像ローラ104とが間隔をあけて対向する現像領域103へと搬送される。現像剤101は、感光体ドラム102上に形成された静電潜像を現像して、トナー像を形成する。
【0007】
ここで、図8に示す現像装置100は、現像ローラ104の上側又は横側に規制ブレード109を設け、現像ローラ104の下側で、現像した際に残った現像剤101の剤切れを行う。また、図9に示す現像装置100は、現像ローラ104の下側に規制ブレード109を設け、現像ローラ104の上側で、現像した際に残った現像剤101の剤切れを行う。現像装置100は、感光体ドラム102等の他のユニットのレイアウトによって、前述した図8と図9に示されたものが使い分けられている。
【0008】
上記のような構成の現像装置において、剤切れ性は非常に重要であり、剤切れ性が悪いと、現像済みの現像剤が現像剤収容層に収容されることなく現像剤担持体上を搬送され続けて(「連れまわり」と言う)トナーが現像剤担持体上に補充されなくなるので、画像にもやのようなムラが発生するという問題が生じる。また、剤切れ極で1度現像剤担持体から離れた現像剤が現像剤収容層で混ざる間もなく、すぐに再び汲み上げられてしまっても同様なムラが発生してしまう。
そこでこのような問題を解決するため、特許文献4に記載の従来技術では、現像剤担持体の剤切れ領域に現像剤剥ぎ取りブレードを設置し、強制的に剤切れをさせている。この場合、現像剤剥ぎ取りブレードは現像剤担持体に摺接してもしなくても良いということであるが、摺接した場合には、現像剤担持体表面を傷つけてしまうという問題や、現像剤担持体へのトナー固着等の問題があり、また、摺接しない場合には、現像剤剥ぎ取りの効果が小さくなってしまう。
【0009】
【特許文献1】特開2000−194194号公報
【特許文献2】特開2000−194195号公報
【特許文献3】特開2000−250311号公報
【特許文献4】特開2006−171067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、現像剤の高寿命化の要求も急速に高まっており、キャリアのコート層の膜厚を厚くし、キャリア抵抗を高抵抗化することで現像剤寿命を延ばすことが行われている。しかし、高抵抗キャリアを使用することで新たな問題が生じている。例えば高抵抗キャリアを使用した場合、ベタ画像現像後、剤切れ部で現像剤が剤切れせず、使用済み現像剤が連れまわってしまい、現像剤担持体1周分後、次の画像の先端で画像濃度が薄くなるという現象が発生した。
ここで、高抵抗キャリアが連れまわるメカニズムは次のようである。現像後のキャリアはトナーを奪われているため、トナーの電荷分のカウンターチャージが溜まり、Q/Mが高くなる。Q/Mが高くなると、鏡像力が大きくなり、剤切れせずに使用済み現像剤が連れまわってしまう。このため上記のような問題が発生する。
【0011】
本発明は上記の事情に基づいてなされたものであり、高抵抗キャリアを使用した場合にも、現像剤の連れまわりを防止し、現像剤の高寿命化と、画像濃度ムラの無い高画質な現像(画像形成)とを両立することができる現像装置を提供することを目的とし、さらには、その現像装置を備えたプロセスカートリッジを提供すること、及び、前記現像装置またはプロセスカートリッジを備え、画像濃度ムラの無い高画質な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明では以下のような解決手段を採っている。
本発明の第1の手段は、「複数の固定磁極を表面部分に有する円筒状又は円柱状の磁界発生手段と、前記磁界発生手段を内包する形で該磁界発生手段の軸と同軸上に配置された回転可能な非磁性材料で構成される中空体(現像スリーブと言う)とからなり、トナーとキャリアからなる現像剤を担持搬送して像担持体上の静電潜像を現像する現像剤担持体」と、「前記現像剤担持体に対向するように設けられ、該現像剤担持体に担持されて前記像担持体に搬送される現像剤の量を規制する現像剤規制部材」と、「前記現像剤担持体の回転方向における前記現像剤規制部材の上流側に設けられ、現像剤収容槽内に収容された現像剤を前記中空体(現像スリーブ)の軸方向に搬送する攪拌部材(例えばスクリュー状に形成された攪拌部材)」と、を少なくとも有する現像装置において、トナー濃度が低くなった現像済みの現像剤を前記中空体(現像スリーブ)から前記現像剤収容槽内に落とす剤切れ領域を前記中空体(現像スリーブ)の外表面に形成するように前記磁界発生手段の表面部分に剤切れ極を設けるとともに、該剤切れ極に対向した位置(例えば現像スリーブの表面の近傍で剤切れ極に対向した位置)に電極板を配置し、該電極板にバイアスを印加し、キャリアを前記現像剤担持体から引き剥がす方向の電界を形成する構成としたことを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の手段は、第1の手段の現像装置において、前記現像剤に用いられるキャリアは、体積固有抵抗が、1×1014.5Ω・cm以上、1×1017Ω・cm以下であることを特徴とする。
また、本発明の第3の手段は、第1または第2の手段の現像装置において、少なくとも、前記電極板の前記現像剤担持体と対向する面は、絶縁することを特徴とする。
さらに本発明の第4の手段は、第1〜第3のいずれか1つの手段の現像装置において、画像作像中のみ前記電極板にバイアスを印加することを特徴とする。
【0014】
本発明の第5の手段は、第1〜第4のいずれか1つの手段の現像装置において、前記現像剤に用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmであり、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする。
また、本発明の第6の手段は、第1〜第5のいずれか1つの手段の現像装置において、前記現像剤に用いられるトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする。
さらに本発明の第7の手段は、第1〜第6のいずれか1つの手段の現像装置において、前記現像剤に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであることを特徴とする。
【0015】
本発明の第8の手段は、第1〜第7のいずれか1つの手段の現像装置において、前記現像剤に使用されるトナーは、略球形状であることを特徴とする。
また、本発明の第9の手段は、第1〜第7のいずれか1つの手段の現像装置において、前記現像剤に使用されるトナーは、その形状が長軸r1、短軸r2、厚さr3で規定され、r1≧r2≧r3としたとき、長軸r1と短軸r2との比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲にあり、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲にあることを特徴とする。
【0016】
本発明の第10の手段は、画像形成装置の作像部に装備されるプロセスカートリッジにおいて、少なくとも、像担持体と、第1〜第9のいずれか1つの手段の現像装置とを有し、画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられたことを特徴とする。
【0017】
本発明の第11の手段は、像担持体と、該像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体に静電潜像を形成する手段と、前記像担持体上の潜像を現像して顕像化する現像手段と、を少なくとも備えた画像形成装置において、前記現像手段として、第1〜第9のいずれか1つの手段の現像装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明の第12の手段は、像担持体と、該像担持体に静電潜像を形成する手段と、前記像担持体上の潜像を現像して顕像化する現像手段とを少なくとも備えた画像形成装置において、第10の手段のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の現像装置では、トナー濃度が低くなった現像済みの現像剤を中空体(現像スリーブ)から現像剤収容槽内に落とす剤切れ領域を中空体(現像スリーブ)の外表面に形成するように磁界発生手段の表面部分に剤切れ極を設けるとともに、該剤切れ極に対向した位置(例えば現像スリーブの表面の近傍で剤切れ極に対向した位置)に電極板を配置し、該電極板にバイアスを印加し、キャリアを現像剤担持体から引き剥がす方向の電界(キャリアが現像剤担持体から電極板に移動する方向の電界)を形成する構成としたことにより、連れまわってしまった現像剤を現像剤担持体から電界の力で剥ぎ取ることができ、静電気的に連れまわらなくすることができる。従って本発明によれば、現像剤の高寿命化に伴うキャリア高抵抗化が原因の静電気的連れまわりを防止することができ、現像剤の高寿命化と、画像濃度ムラの無い高画質な現像(画像形成)とを両立することができる現像装置を実現することができる。
また、本発明のプロセスカートリッジ及び画像形成装置では、上記の現像装置を備えているため、画像濃度ムラの無い高画質な画像形成を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の構成、動作及び作用を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。この画像形成装置は、4つの作像部を備えた所謂タンデム型のカラー画像形成装置の例であり、イエロー(以下、「Y」と記す)、シアン(以下、「C」と記す)、マゼンタ(以下、「M」と記す)、ブラック(以下、「K」と記す)の4色のトナーを用いて単色、多色またはフルカラー画像を形成するものである。
【0020】
まず、画像形成装置の基本的な構成について説明する。この画像形成装置は、画像形成ユニット30内に各色の作像部を構成する像担持体として4つの感光体1Y、1C、1M、1Kを備えている。なお、ここではドラム状の感光体(感光体ドラム)を例に挙げているが、ベルト状の感光体を採用することもできる。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、中間転写体としての中間転写ベルト10に沿って並設されており、それぞれ中間転写ベルト10に接触しながら、図中の矢印の方向に回転駆動する。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、比較的薄い円筒状の導電性基体上に、光導電性の感光層を形成し、更にその感光層の上に保護層を形成したものである。また、感光層と保護層との間に中間層を設けても良い。
【0021】
各色の作像部を構成する4つの感光体1Y、1C、1M、1Kの周囲の構成はすべて同じであり、各符号の数字の後に色分け用の符号Y、C、M、Kを付けてある。
より具体的に述べると、各感光体1Y、1C、1M、1Kの周りには、転写残トナーを感光体から除去するクリーニング装置7Y、7C、7M、7K、帯電手段としての帯電装置3Y、3C、3M、3K、現像手段としての現像装置2Y、2C、2M、2Kの順に配置されている。ここで、各作像部の感光体1Y、1C、1M、1Kと、現像装置2Y、2C、2M、2K、帯電装置3Y、3C、3M、3K、クリーニング装置7Y、7C、7M、7Kは、カートリッジ内に一体に収納されており、プロセスカートリッジを構成している。そして、このプロセスカートリッジは、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成され、容易に交換が可能となっている。すなわち、図1に示す画像形成装置は、中間転写ベルト10に沿って4つのプロセスカートリッジを着脱可能に並設した構成である。
【0022】
また、各作像部(プロセスカートリッジ)の帯電装置3Y、3C、3M、3Kと現像装置2Y、2C、2M、2Kとの間には、潜像形成手段としての露光装置4から発せられるレーザ光が感光体1まで通過できるようにスペースが確保されている。
【0023】
帯電装置3Y、3C、3M、3Kは、例えば回動可能なローラ状の帯電部材を感光体1Y、1C、1M、1Kに近接させて配置し、帯電部材に交流に直流を重畳させた電圧を印加し、感光体と帯電部材間で放電をさせて感光体1Y、1C、1M、1Kを帯電する。また、帯電部材を接触させた接触帯電ローラを用いて感光体を帯電させても良いし、あるいは非接触の帯電チャージャ等も用いることができる。。
【0024】
このようにして帯電した各感光体1Y、1C、1M、1Kの表面には、露光装置4によってレーザ光が露光されて、各色に対応した静電潜像が形成される。この露光装置4は、各色に対応した画像情報に基づき、各感光体1Y、1C、1M、1Kに対して各色に対応した静電潜像を書き込む。なお、本実施形態の露光装置4は、複数の半導体レーザ光源と、カップリング光学系(コリメートレンズ、アパーチャ、シリンドリカルレンズ等)と、光偏向器(ポリゴンミラー、ピラミダルミラー、振動ミラー等)と、走査結像用光学系(走査結像用レンズ、像面湾曲や収差等の補正用レンズ、折り返しミラー等)などからなるレーザ走査方式の露光装置であるが、LEDアレイと結像手段からなる露光装置などの他の方式の露光装置を採用することもできる。
【0025】
各現像装置2Y、2C、2M、2Kは、図2に示すような2軸搬送タイプの現像装置2であり、現像剤を担持する現像剤担持体204と、現像剤を攪拌搬送するスクリュー状に形成された攪拌部材206(2つの攪拌スクリュ206a、206b)を有している。2つの攪拌スクリュ206a、206bは仕切り板によって端部以外が隔てられている。また、ケーシングの開口から現像剤担持体204が部分的に露出している。また、ここでは、トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を用いている。なお、現像装置の詳細な説明は後述する。
【0026】
各現像装置2Y、2C、2M、2Kは、図1に示したトナーボトル31Y、31C、31M、31Kから、図示しない補給手段により対応する色のトナーの補給を受けてこれを内部に収容している。このトナーボトル31Y、31C、31M、31Kは、それぞれが単体で交換できるように、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されている。このような構成とすることで、トナーエンド時にはトナーボトル31Y、31C、31M、31Kだけを交換すればよい。したがって、トナーエンド時にまだ寿命になっていない他の構成部材はそのまま利用でき、ユーザーの出費を抑えることができる。
【0027】
トナーボトル31Y、31C、31M、31Kから各現像装置2Y、2C、2M、2K内に補給された各色のトナーは、第1攪拌スクリュー206aによって現像剤と撹拌されながら供給側の第2攪拌スクリュー206bへと搬送され、そこで現像剤担持体204上に担持されることになる。この現像剤担持体204は、内部に固定された磁界発生手段としての複数の磁極が着磁されたマグネットローラ201(あるいは複数の固定磁石)と、その周りを同軸回転する非磁性材料で構成される中空体(現像スリーブ)202とから構成されている。供給側の攪拌スクリュー部の現像剤は、マグネットローラ201が発生させる磁力により現像剤担持体204上に汲み上げられ、現像剤規制部材205によって薄層化されたあと、現像剤担持体204の現像スリーブ202上に穂立ちした状態となって感光体1(1Y、1C、1M、1K)と対向する現像領域まで搬送される。
【0028】
ここで、現像剤担持体204は、感光体1と対向する領域(以下、「現像領域」と記す)において感光体1の表面よりも速い線速で同方向に表面移動する。そして、現像剤担持体204上に穂立ちしたキャリアは、感光体1の表面を摺擦しながら、キャリア表面に付着したトナーを感光体1の表面に供給する。このとき、現像剤担持体204には、図示しない電源から所定の現像バイアスが印加され、これにより現像領域には現像電界が形成される。そして、感光体1上の静電潜像と現像剤担持体204との間では、現像剤担持体204上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。これにより、現像剤担持体204上のトナーは、感光体1上の静電潜像に静電的に付着することになる。この付着によって感光体1上の静電潜像は、それぞれ対応する色のトナー像に現像(顕像化)される。
【0029】
転写装置6における中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ11、12、13に張架されており、図中矢印の方向に無端移動する構成となっている。この中間転写ベルト10上には、各感光体1Y、1C、1M、1K上のトナー像が静電転写方式により互いに重なり合うように転写される。静電転写方式には、転写チャージャを用いた構成もあるが、ここでは転写チリの発生が少ない転写ローラを用いた構成を採用している。具体的には、各感光体1Y、1C、1M、1Kと接触する中間転写ベルト10の部分の裏面に、それぞれ転写装置6としての一次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kを配置している。ここでは、各一次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kにより押圧された中間転写ベルト10の部分と各感光体1Y、1C、1M、1Kとによって、一次転写ニップ部が形成される。そして、各感光体1Y、1C、1M、1K上のトナー像を中間転写ベルト10上に転写する際には、各一次転写ローラ14に正極性のバイアスが印加される。これにより、各一次転写ニップ部には転写電界が形成され、各感光体1Y、1C、1M、1K上のトナー像は、中間転写ベルト10上に静電的に付着し、転写される。
【0030】
転写装置6で転写されずに感光体上に残留した転写残トナーは、クリーニング装置7Y、7C、7M、7K7にて回収され,図示しない排トナー回収ボトルへと送られる。ここでクリーニング装置7Y、7C、7M、7Kでは、ファーブラシ、ローラ、ブレード等のクリーニング部材が感光体1Y、1C、1M、1K上に当接されており、感光体1Y、1C、1M、1Kから転写残トナーを除去する。
【0031】
中間転写ベルト10の周りには、その表面に残留したトナーを除去するためのベルトクリーニング装置15が設けられている。このベルトクリーニング装置15は、中間転写ベルト10の表面に付着した不要なトナーをファーブラシ及びクリーニングブレードで回収する構成となっている。なお、回収した不要トナーは、ベルトクリーニング装置15内から図示しない搬送手段により図示しない廃トナータンクまで搬送される。
【0032】
また、支持ローラ13に張架された中間転写ベルト10の部分には、二次転写ローラ16が接触して配置されている。この中間転写ベルト10と二次転写ローラ16との間には二次転写ニップ部が形成され、この部分に、所定のタイミングで記録材としての記録紙が送り込まれるようになっている。この記録紙は、露光装置4の図中下側にある給紙カセット20内に収容されており、給紙ローラ21、レジストローラ対22等によって、二次転写ニップ部まで搬送される。そして、中間転写ベルト10上に重ね合わされたトナー像は、二次転写ニップ部において、記録紙上に一括して転写される。この二次転写時には、二次転写ローラ16に正極性のバイアスが印加され、これにより形成される転写電界によって中間転写ベルト10上のトナー像が記録紙上に転写される。
【0033】
二次転写ニップ部の転写紙搬送方向下流側には、定着手段としての加熱定着装置23が配置されている。この加熱定着装置23は、ヒータを内蔵した加熱ローラ23aと、圧力を加えるための加圧ローラ23bとを備えている。二次転写ニップ部を通過した記録紙は、これらのローラ間に挟み込まれ、熱と圧力を受けることになる。これにより、記録紙上に載っていたトナーが溶融し、トナー像が記録紙に定着される。そして、定着後の記録紙は、排紙ローラ24によって、装置上面の排紙トレイ上に排出される。
【0034】
以上、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、図1では4つの作像部(プロセスカートリッジ)を備えたタンデム構成のカラー画像形成装置を示したが、作像部が1つだけのモノクロ画像形成装置でも良い。また、図1では、カラープリンタ部の構成のみを示しているが、このプリンタ部の上部に原稿画像読取部(スキャナ部)を設置すればデジタル複写機の構成となり、さらに画像処理機能や通信機能を付加すればファクシミリやデジタル複合機として利用できる。
【0035】
次に、上記のような構成の画像形成装置の作像部(またはプロセスカートリッジ)に装備される現像装置の具体的な構成と、その現像装置に用いる現像剤(キャリア、トナー)について説明する。
【0036】
[現像装置の説明]
図2は、本発明の一実施形態を示す現像装置の概略断面図である。図2において、現像装置2は、現像剤208を像担持体(感光体ドラム)1と対向する現像領域に搬送し、そして、該像担持体1の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像剤担持体(現像ローラ)204を備えている。この現像剤担持体204は、内部に固定された磁界発生手段としての複数の磁極が着磁されたマグネットローラ201と、その周りを同軸回転する非磁性材料で構成される円筒状に形成された現像スリーブ202とから構成されている。現像スリーブ202に内包されたマグネットローラ201は、現像領域で現像スリーブ202の表面に現像剤208の穂立ちを生じさせるように磁界を形成する。そして、この現像剤担持体204においては、現像剤208の穂立ちの際に、現像剤208を構成する磁性キャリアがマグネットローラ201で生じる磁力線に沿うように現像スリーブ202上に穂立ちすると共に、この穂立ちした磁性キャリアに現像剤208を構成するトナーが付着する。
【0037】
このような現像装置2では、ケーシング内に、前述した現像剤208を収容する現像剤収容槽207と、この現像剤収容槽207内の現像剤208を攪拌するスクリュー形状の攪拌部材206(2つの攪拌スクリュ206a、206b)と、現像剤担持体204に汲み上げられた現像剤208の量を均一にする現像剤規制部材(例えば規制ブレード)205と、を備えている。図2に示される現像装置2においては、現像剤収容槽207と攪拌部材206をそれぞれ一対(第1現像剤収容槽207a、第2現像剤収容槽207bと、第1攪拌スクリュー206a、第2攪拌スクリュー206b)備えている。
【0038】
この現像装置2における現像剤208は、現像剤収容槽207内を攪拌部材206の軸方向に移動する。現像剤担持体204から離れた側の第1現像剤収容槽207aの一端部には、前述のトナーボトルから補給されたトナーが導入されるトナー補給部が設けられており、このトナー補給部から第1現像剤収容槽207aの一端部に補給されたトナーは、第1攪拌スクリュー206aにより、第1現像剤収容槽207aの他端部まで第1攪拌スクリュー206aの軸方向に沿って搬送されながら現像剤208と混合攪拌される。そして、現像剤208は、第1現像剤収容槽207aの他端部から現像剤担持体204寄りの(供給側の)第2現像剤収容槽207b内に移動する。現像剤担持体204寄りの第2現像剤収容槽207bに移った現像剤208は、第2攪拌スクリュー206bにより逆側の端部に向けて、第2攪拌スクリュー206bの軸方向に沿って搬送されるが、その搬送過程で一部の現像剤がマグネットローラ201の磁力により現像スリーブ202の表面に汲み上げられる(即ち、現像スリーブ202の表面に付着する)。その後、現像剤208は、現像剤規制部材205にてその量が均一にされ、続いて、像担持体1と現像剤担持体204とが間隔を開けて対向する現像領域へと搬送される。そして、現像領域に搬送された現像剤208は、現像スリーブ202の表面に穂立ちして磁気ブラシを形成し、像担持体1上に形成された静電潜像をトナーで現像して顕像(トナー像)を形成する。
【0039】
マグネットローラ201には、複数の固定磁極、例えば、n1(現像剤搬送極),n2(現像剤汲み上げ極)、s1(現像剤搬送極),n3(現像極)及びs2(現像剤搬送極)がそれぞれ設けられている。現像剤担持体204の現像スリーブ202は図中の矢印g方向に回転するので、現像剤208は、現像スリーブ202の表面を固定磁極n1,n2、s1,n3及びs2の順に移行する。このマグネットローラ201においては、固定磁極n1(現像剤搬送極)及び固定磁極n2(現像剤汲み上げ極)を同極のN極性とし、そして、固定磁極n1と固定磁極n2との間にN極性の磁極pを設けると、トナー濃度の薄くなった現像済みの現像剤208は、固定磁極n1と固定磁極n2との反発力に加えて磁極pの反発力によって、第2現像剤収容槽207bの中に落とされる。
【0040】
本発明では、このような磁極p(P)を「剤切れ極」と呼び、そして、磁極p(P)の反発力によって現像済みの現像剤208が第2現像剤収容槽207bの中に落とされる領域rを「剤切れ領域」と呼ぶ。このように第2現像剤収容槽207bの中に落とされた(即ち、剤切れされた)トナー濃度の薄くなった現像済みの現像剤208は、第2現像剤収容槽207bにおいて、第1現像剤収容槽207aから送られてきたトナー濃度の濃い新しい現像剤と共に攪拌した後、固定磁極n2(現像剤汲み上げ極)にトナー濃度の濃くなった現像剤208を引きつけ(即ち、汲み上げ)、次に、固定磁極s1(現像剤搬送極)に移行される。この固定磁極s1に移行されたトナー濃度の濃くなった現像剤208は、現像剤規制部材205で一定量にして固定磁極n3(現像極)に移行される。
【0041】
また、現像スリーブ202の外表面は、周知のブラスト処理が施されて、細かい凹凸が形成されているものや、あるいは該現像スリーブ202即ち現像剤担持体204の軸芯203に沿って伸びた溝が複数形成されているものでも良い。
【0042】
次に本発明の現像装置2に設けられる現像剤剥ぎ取り電極板について説明する。
現像剤剥ぎ取り電極板212(以下、電極板とする)は、アルミニウム、ステンレス等の非磁性材料で形成され、現像剤担持体204の現像スリーブ202表面との間に所定間隔をあけて取り付けられる。電極板212の位置は、図2で言うところの、剤切れ領域rに対向した位置(即ち剤切れ極pと対向した位置)であり、本来、剤切れをする場所であり、現像剤は存在しない場所である。
【0043】
前述したが、高寿命化のために膜厚を厚くした場合、キャリアは高抵抗化する。この高抵抗キャリアを使用すると、ベタ画像現像後、剤切れ部で現像剤が剤切れせず、使用済み現像剤が現像剤担持体と連れまわってしまい、現像剤担持体1周分後の次の画像先端の画像濃度が薄くなる現象が発生する。高抵抗キャリアが連れまわるメカニズムは次のようである。現像後のキャリアはトナーを奪われているため、トナーの電荷分のカウンターチャージが溜まり、Q/Mが高くなる。Q/Mが高くなると、鏡像力が大きくなり、剤切れせず連れまわってしまう。
【0044】
そこで、本発明では、剤切れ領域rに対向した位置(即ち剤切れ極pと対向した位置)に電極板212を配置し、現像剤担持体204と静電気的に連れまわってしまった現像剤を、本発明の現像剤剥ぎ取り電極板212にバイアス用電源213により直流バイアスを印加することで、現像剤担持体202と電極板212の間に電界(キャリアが現像剤担持体202から電極板212に移動する方向の電界)を形成し、連れまわってしまった現像剤を現像剤担持体204から電界の力で剥ぎ取ることで、静電気的に連れまわらなくすることができる。
【0045】
なお、キャリアを現像剤担持体204から剥ぎ取れれば良いのであれば、電極板212の位置は剤切れ領域r以外(例えば、図2の固定磁極n1、n2に対向した位置)でも問題ないが、本発明が剤切れ領域rに対向した場所に特定している理由は以下のようなことである。
剤切れ領域rでは、使用済み現像剤のみが現像剤担持体204と静電気的に連れまわっており、トナー濃度が低めである。しかし、剤切れ領域以外の場所は、現像に使用した剤と使用しなかった剤のどちらも存在しており、トナー濃度は高めである。また、現像剤担持体204と電極板212間にキャリアを現像剤担持体204から剥ぎ取る方向に電界を形成しているため、逆極性のトナーは現像剤担持体204に引きつけられる方向に電界が作用することになり、トナー付着による現像スリーブ汚れが懸念される方向である。これらのことから、トナー濃度が高い方が現像スリーブ汚れが起こりやすいため、なるべくトナー濃度が低い部分で電界を形成した方が現像スリーブ汚れもなく、静電気的に連れまわった現像剤も剥ぎ取ることができるため、剤切れ領域rに対向した場所に電極板212を設置して剥ぎ取るようにしたほうが良いということである。
【0046】
[現像剤のキャリアの説明]
次に、上記の静電気連れまわりとキャリア抵抗との関係を説明する。
図3に、キャリアの体積固有抵抗と連れまわりランク(剤切れ部に連れまわっている現像剤を目視ランク評価したもの)の関係を示す。ランク5が全く連れまわっていない状態、ランク1がスリーブ表面が見えないぐらいに密に現像剤が連れまわっている状態であり、ランクが低くなるにつれて連れまわりが悪い。
図3より、体積固有抵抗と連れまわりランクに相関があり、体積固有抵抗が高いほど連れまわりが悪いことが分かる。そして、体積固有抵抗が1×1014.5Ω・cm以上でランク5以下となってしまう。これより、体積固有抵抗が1×1014.5Ω・cm以上のキャリアを使用した場合には、キャリアが連れまわるため、本発明のキャリア剥ぎ取り効果が大きいことが分かる。また、体積固有抵抗が1×1017Ω・cmを越える場合、エッジ効果が大きくなりすぎるため、エッジが強調された画像が出てしまい問題となる。
【0047】
体積固有抵抗は、以下のようにして測定される。図4に示すように、電極間距離2mm、表面積2×4cmの電極132a、電極132bを収容したフッ素樹脂製容器からなるセル131にキャリア133を充填し、タッピングマシンPTM−1型(三協パイオテク社製)を用いて、タッピングスピード30回/分で1分間タッピング操作を行う。両極間に1000Vの直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(4329A+LJK5HVLVWDQFH OHWHU;横川ヒューレットパッカード社製)により直流抵抗を測定して体積固有抵抗R[Ω・cm]を求め、LogRを算出する。
【0048】
また、電極板212と現像剤担持体204の間で放電が発生する可能性が考えられるため、電極板212の現像剤担持体204に対向する表面を絶縁することで放電発生を抑えることができる。絶縁する方法は、絶縁性テープを貼り付ける、アルマイト処理を施す等が考えられるが、絶縁方法は限定されない。
【0049】
前述したが、本発明は、トナーを現像剤担持体側に引きつける電界をかけているので、トナー付着による現像スリーブ212の汚れが懸念されるため、電界をかけている時間は極力短くしたい。そこで、現像動作中(画像を作像中)の間のみ電極板212にバイアスを印加することで現像スリーブ212の汚れを最小限にすることができる。
【0050】
[現像剤のトナーの説明]
次に、本発明の現像装置(及びプロセスカートリッジ、画像形成装置)で好適に使用されるトナーについて説明する。
600dpi以上の微小ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましい。体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0051】
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図5、図6は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記の式(1)で表される。これはトナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0052】
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記の式(2)で表される。これはトナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0053】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり、従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0054】
本発明の現像装置(及びプロセスカートリッジ、画像形成装置)で好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
【0055】
[トナーの構成材料]
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0056】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0057】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0058】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0059】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0060】
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0061】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
【0062】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0063】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
【0064】
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0065】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0066】
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0067】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0068】
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
【0069】
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0070】
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0071】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
【0072】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0073】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0074】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0075】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0076】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0077】
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像剤担持体の現像スリーブとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0078】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0079】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
【0080】
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
【0081】
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られる。すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0082】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
【0083】
[トナーの製造方法]
(1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0084】
(2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
【0085】
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0086】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を上げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0087】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0088】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0089】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン−アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0090】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0091】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0092】
(3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0093】
(4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0094】
(5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0095】
[トナー形状の説明]
本発明に係るトナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。
図7は、本発明の現像装置に用いられるトナーの形状を模式的に示す図である。図7において、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3と規定し、r1≧r2≧r3としたとき、本発明のトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。
なお、r1、r2、r3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
【実施例】
【0096】
次に、本発明の具体的な実施例について更に説明する。
(実施例1)
現像条件として以下に記載の条件で画像出しを行った。現像装置は図2に示す構成とし、前述した動作で現像を行った。現像剤208はマイナス帯電トナー、キャリア粒径35μm、体積固有抵抗が1×1015Ω・cmのキャリアを使用し、現像剤担持体204の現像スリーブ202の直径は18mm、現像バイアスはDC−500V、現像剤担持体204の現像スリーブ202と像担持体(感光体)1間の距離(現像ギャップ)は0.3mm、現像剤汲み上げ量は40mg/cm、現像剤剥ぎ取り電極板212と現像剤担持体204間の距離(現像剤剥ぎ取り領域rにおける電極板212と現像スリーブ表面との間の距離)は0.5mm、電極板212の印加バイアスは−1000V、電極板212の幅(現像剤担持体204と対向している現像剤担持体の回転方向の幅)は5mmである。また、電極板212の現像剤担持体204に対向する表面に絶縁性テープを貼り、絶縁している。以上の条件でベタ画像の出力を行ったが、現像剤連れまわりによるムラ画像の発生は全く無かった。
【0097】
(実施例2)
実施例1と同一条件で、キャリアの体積固有抵抗のみ1×1017Ω・cmとした場合にも、ベタ画像に現像剤連れまわりによるムラの発生は全く無く、キャリア抵抗が高く連れまわりが悪い条件においても効果が得られることが確認された。
【0098】
(実施例3)
実施例1と同一条件で、現像剤剥ぎ取り電極板212と現像剤担持体204間の距離は2mm、電極板212の印加バイアスは−2000Vと変更した場合にも、ベタ画像に現像剤連れまわりによる濃度ムラの発生は全く無く、電極板212と現像剤担持体204間距離を大きくしても、電極板212と現像剤担持体204間に形成する電界を調整することで、効果が得られることが確認された。
【0099】
(比較例)
実施例1と同一条件で、現像剤剥ぎ取り電極板212のみ無くした条件で画像出しを行ったところ、ベタ画像に現像剤連れまわりによる濃度ムラが発生した。
【0100】
以上、説明してきたように、本発明の現像装置2では、トナー濃度が低くなった現像済みの現像剤を現像スリーブ202から現像剤収容槽207b内に落とす剤切れ領域rを現像スリーブ202の外表面に形成するようにマグネットローラ201の表面部分に剤切れ極pを設けるとともに、該剤切れ極pに対向した位置(現像スリーブ202表面の近傍で剤切れ極pに対向した位置)に電極板212を配置し、該電極板212にバイアスを印加し、キャリアを現像剤担持体204から引き剥がす方向の電界(キャリアが現像剤担持体204から電極板212に移動する方向の電界)を形成する構成としたことにより、連れまわってしまった現像剤を現像剤担持体204から電界の力で剥ぎ取ることができ、静電気的に連れまわらなくすることができるので、現像剤の高寿命化に伴うキャリア高抵抗化が原因の静電気的連れまわりを防止することができる。従って本発明によれば、現像剤の高寿命化と、画像濃度ムラの無い高画質な現像(画像形成)とを両立することができる現像装置2を実現することができる。そして、この現像装置2を用いることにより、画像濃度ムラの無い高画質な画像形成を行うことができ画像形成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す現像装置の概略断面図である。
【図3】キャリアの体積固有抵抗と連れまわりランク(剤切れ部に連れまわっている現像剤を目視ランク評価したもの)との関係を示す図である。
【図4】キャリアの体積固有抵抗の測定に用いられるセルを示す斜視図である。
【図5】形状係数SF−1を説明するために、トナーの形状を模式的に表した図である。
【図6】形状係数SF−2を説明するために、トナーの形状を模式的に表した図である。
【図7】本発明の現像装置に用いられるトナーの形状を模式的に示す図である。
【図8】従来技術の一例を示す現像装置の概略断面図である。
【図9】従来技術の別の例を示す現像装置の概略断面図である。
【図10】図8中のa−b−c−d線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0102】
1(1Y、1C、1M、1K):感光体(像担持体)
2(2Y、2C、2M、2K):現像装置
3Y、3C、3M、3K:帯電装置
4:露光装置(潜像形成手段)
6:転写装置
7Y、7C、7M、7K:感光体クリーニング装置
10:中間転写ベルト(中間転写体)
11、12、13:支持ローラ
14Y、14C、14M、14K:一次転写ローラ
15:ベルトクリーニング装置
16:二次転写ローラ
20:給紙カセット
21:給紙ローラ
22:レジストローラ対
23:加熱定着装置
24:排紙ローラ
30:画像形成ユニット
31Y、31C、31M、31K:トナーボトル
201:マグネットローラ(磁界発生手段)
202:現像スリーブ(中空体)
203:軸
204:現像剤担持体
205:現像剤規制部材
206:攪拌部材
206a:第1攪拌スクリュー
206b:第2攪拌スクリュー
207:現像剤収容槽
207a:第1現像剤収容槽
207b:第2現像剤収容槽
208:現像剤
212:電極板
213:バイアス用電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固定磁極を表面部分に有する円筒状又は円柱状の磁界発生手段と、前記磁界発生手段を内包する形で該磁界発生手段の軸と同軸上に配置された回転可能な非磁性材料で構成される中空体とからなり、トナーとキャリアからなる現像剤を担持搬送して像担持体上の静電潜像を現像する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に対向するように設けられ、該現像剤担持体に担持されて前記像担持体に搬送される現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体の回転方向における前記現像剤規制部材の上流側に設けられ、現像剤収容槽内に収容された現像剤を前記中空体の軸方向に搬送する攪拌部材と、
を少なくとも有する現像装置において、
トナー濃度が低くなった現像済みの現像剤を前記中空体から前記現像剤収容槽内に落とす剤切れ領域を前記中空体の外表面に形成するように前記磁界発生手段の表面部分に剤切れ極を設けるとともに、該剤切れ極に対向した位置に電極板を配置し、該電極板にバイアスを印加し、キャリアを前記現像剤担持体から引き剥がす方向の電界を形成する構成としたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記現像剤に用いられるキャリアは、体積固有抵抗が、1×1014.5Ω・cm以上、1×1017Ω・cm以下であることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の現像装置において、
少なくとも、前記電極板の前記現像剤担持体と対向する面は、絶縁することを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置において、
画像作像中のみ前記電極板にバイアスを印加することを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記現像剤に用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmであり、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記現像剤に用いられるトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記現像剤に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記現像剤に使用されるトナーは、略球形状であることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記現像剤に使用されるトナーは、その形状が長軸r1、短軸r2、厚さr3で規定され、r1≧r2≧r3としたとき、長軸r1と短軸r2との比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲にあり、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲にあることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
画像形成装置の作像部に装備されるプロセスカートリッジにおいて、
少なくとも、像担持体と、請求項1〜9のいずれか1項に記載の現像装置とを有し、画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項11】
像担持体と、該像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体に静電潜像を形成する手段と、前記像担持体上の潜像を現像して顕像化する現像手段と、を少なくとも備えた画像形成装置において、
前記現像手段として、請求項1〜9のいずれか1項に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
像担持体と、該像担持体に静電潜像を形成する手段と、前記像担持体上の潜像を現像して顕像化する現像手段とを少なくとも備えた画像形成装置において、
請求項10のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−122190(P2009−122190A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293527(P2007−293527)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】