説明

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】分離のための除電部材と転写後の除電部材を共用にしても、除電部材をそれぞれの除電に最適な位置にすることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の感光体ドラム20上に形成された互いに異なる色のトナー像を、順次中間転写ベルト11に一次転写してトナー像を重ね合わせて画像を形成し、二次転写体により画像を用紙2上に転写してカラー画像を形成する画像形成装置であり、中間転写ベルト11から二次転写後の用紙2の分離を促す除電と、二次転写後の用紙の除電とを共通して行う除電部材55と、除電部材55を用紙2の分離を促す分離除電位置と用紙2を除電する除電位置とに移動可能に支持するギャップ管理部材53と、ギャップ管理部材53を弾性保持するスプリング56とを有し、分離除電位置に保持されているギャップ管理部材53はスプリング56の作用に抗して搬送される記録媒体により記録媒体の除電位置へ移動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ又はそれらの少なくとも2つの機能を有する複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記画像形成装置において、像担持体に担持したトナー像を用紙等の記録媒体に転写した際、用紙がそのまま像担持体に貼り付いてしまうことがある。かかる問題を防止するため、像担持体に分離爪を設けて物理的に張り付いた用紙を剥離する方法が知られている。
【0003】
また、用紙は転写後に転写バイアスにより帯電状態になるが、この帯電状態のまま用紙から画像定着器へ向けて搬送されると、その搬送の間に用紙が搬送ガイドなどに接触して用紙上の電荷がリークして用紙上の未定着トナー画像に乱れが生じる場合があるため、転写後の用紙を除電部材で除電する方法も特許文献1等に記載され既に知られている。
【0004】
さらに、像担持体から用紙を分離するための除電と、転写後の用紙を除電する除電を、共用の除電部材を用いる行うことも既に知られている。
しかし、上記した分離に関する従来の防止方法には、以下に示す問題があった。
【0005】
分離爪を用いる方法は、用紙及び像担持体に傷が付きやすいという技術的課題がある。
また、除電部材を用いる方法は効果が距離に比例するため、除電部材と貼り付いた用紙をニップ部に近づける必要がある。しかし、用紙の排出を妨げない位置に配置する必要があるため、自ずと設置できる場所が限られてしまう。そして、二次転写ローラは大径にすることで像担持体が中間転写ベルトの場合、カール癖の発生を防止するためにゆうりであるが、二次転写ローラが大径になればなるほど、除電部材を設置できる場所がニップ場所より遠ざかってしまい、効果が得られなくなる。
【0006】
さらにまた、分離のための除電部材と転写後の除電部材を共用にする場合、両者の最適な位置が異なるという問題もあった。
ところで、特許文献1には、用紙と除電部材の最適な距離を保つ目的で、用紙の位置をセンサで読み取り、最適な位置に除電部材を移動させる発明が開示されている。しかし、特許文献1は分離時に最適な位置に除電部材を設置できないため、分離のための除電部材と転写後の除電部材を共用にするタイプのものでなく、像担持体からの用紙の分離は分離爪を用いており、これによるベルト傷の発生という問題は解消できていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した従来の問題に鑑みてなされたものであり、分離のための除電部材と転写後の除電部材を共用にしても、除電部材をそれぞれの除電に最適な位置にすることができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の感光体ドラム上に形成された互いに異なる色のトナー像を、順次中間転写体に一次転写してトナー像を重ね合わせて画像を形成し、二次転写体により画像を記録媒体上に転写してカラー画像を形成する画像形成装置において、前記中間転写体から二次転写後の記録媒体の分離を促す除電と、二次転写後の記録媒体の除電とを共通して行う除電部材と、該除電部材を記録媒体の分離を促す分離除電位置と記録媒体を除電する除電位置とに移動可能に支持するギャップ管理部材と、該ギャップ管理部材を弾性保持する弾性保持手段とを有し、前記分離除電位置に保持されているギャップ管理部材は前記弾性保持手段の作用に抗して搬送される記録媒体により記録媒体の除電位置へ移動されることを特徴とする画像形成装置を提案する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のよれば、除電部材を記録媒体の分離を促す分離除電位置と記録媒体を除電する除電位置とに移動可能に支持するギャップ管理部材と、ギャップ管理部材を弾性保持する弾性保持手段とを有し、分離除電位置に保持されているギャップ管理部材は弾性保持手段の作用に抗して搬送される記録媒体により記録媒体の除電位置へ移動されるので、除電部材が、分離時に最適な位置に位置され、分離後の搬送時は記録媒体と除電部材に最適な距離を保つ位置に移動することができる。
することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
【図2】その二次転写部の部分の拡大説明図である。
【図3】除電部材の形態を示す説明図である。
【図4】図2の用紙が二次転写部のニップに飛び出す寸前の状態を示す説明図である。
【図5】図2の用紙の大部分が二次転写部のニップを出た状態を示す説明図である。
【図6】除電部材の用紙除電位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、画像形成装置の一例を示す全体概略図である。
図1において、本画像形成装置は支持ローラ21,22,23に巻き掛けられた中間転写ベルト11を有する転写ベルトユニット10と4つの画像ステーションが配置されるカラー画像形成装置である。該装置の各画像ステーションには像担持体として感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkを有し、その回りには専用の帯電装置30Y、30C、30M、30Bk、現像装置50Y、50C、50M、50Bk、クリーニング装置40Y、40C、40M、40Bkを有している。9はトナーを補給するトナーボトルであり、図中左からイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(Bk)のトナーが充填されており、ここから図示しない搬送経路によって、所定の補給量だけ各色の現像装置50Y、50C、50M、50Bkに補給される。
【0012】
動作に関しては、記録媒体としての用紙2が給紙カセット1より給紙ローラ3でフィードされ、用紙2の先端が位置決めローラ対4まで到達すると図示しないセンサによって検知され、この検出信号でタイミングを取りながら、位置決めローラ対4によって用紙2を二次転写ローラ5と中間転写ベルト11のニップ部に搬送する。あらかじめ帯電装置30Y、30C、30M、30Bkによって一様に帯電された感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkは、光書込み装置8によりレーザー光にて露光走査され、感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bk上に静電潜像が作られる。各静電潜像は、それぞれ各色の現像装置50Y、50C、50M、50Bkにより現像され、感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bk表面にイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナー像が形成される。次に1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkに電圧が印加され、感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bk上のトナーが、中間転写ベルト11上に順次転写されていく。この時各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるように、上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。中間転写ベルト11上に形成された画像は、二次転写ローラ5の位置まで搬送され、用紙2に二次転写される。各色のトナー像が転写された用紙2は、定着装置6に搬送されて熱定着され、排紙ローラ7で排紙される。なお、感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bk上の残留トナーは、それぞれのクリーニング装置40Y、40C、40M、40Bkでクリーニングされ、その後、直流に交流成分のバイアスが重畳印加された帯電装置30Y、30C、30M、30Bkによって除電と同時に帯電され、次の作像に備える。また、中間転写ベルト11上の残留トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置19によってクリーニングされ、次の作像工程に備える。
【0013】
図2は、図1の二次転写ローラ5付近を拡大した図である。
図2において、二次転写ローラ5は二次転写加圧スプリング51により、対向する支持ローラ21に圧接する方向に加圧されている。中間転写ベルト11は、矢印A方向に回転する。支持ローラ22は図1に示すように、中間転写ベルト11にテンションを与えるテンションローラとしても構成される入口ローラである。二次転写ローラ5と支持ローラ21のニップ出口にはギャップ管理部材53に支持された除電部材55が設けられている。ギャップ管理部材53は、二次転写ローラ5の両側において軸に直接または間接的に該軸を中心に回動可能に支持された支持脚部54Aと、支持脚部54A同士を連結する支持板部54Bとで構成され、支持板部54B上に図3に示すような鋸波状の除電部材55が支持されている。なお、符号52は用紙2のガイドであり、本実施の形態ではガイド52がギャップ管理部材53と一体に設けられ、ギャップ管理部材53が回動するとガイド52も回動するが、ガイド52とギャップ管理部材53は別体で構成しても良い。
【0014】
このギャップ管理部材53は、付勢手段としてのスプリング56により二次転写ローラ5の軸を中心に反時計方向の回動力が付勢され、ギャップ管理部材53が転写ベルトユニット10に設けられた位置決め部としてのストッパ57に当接することにより、二次転写ローラ5と支持ローラ21のニップ出口に精度良く配置されている。すなわち、二次転写ローラ5に支持されているギャップ管理部材53は転写ベルトユニット10のストッパ57に押し付けられて位置決めがされる。ニップ部は、この二次転写ローラ5と支持ローラ21のにより決定されるので、この位置決め方式によれば、分離に最適な位置に除電部材55を配置することが可能となる。なお、ストッパ57は転写ベルトユニット10に設けられてギャップ管理部材53を止めることができるものであれば、設置場所及び形態は任意でよい。
【0015】
本実施の形態において用いる除電部材55は、図2及び図3に示すように、ギャップ管理部材53の支持板部54Bに保持されている。本例では、図示しないが、2つのモールド間に挟まれ、モールド同士を熱カシメすることで、保持される。除電部材55は接着剤等で完全に固定してしまうと、両者の熱膨張率の違いにより、除電部材55が変形してしまうことが環境により発生する。用紙2は支持板部54Bのエッジ端部に沿って搬送されるため、用紙2と除電部材55との距離を自由に設定することが可能となっている。本実施の形態においては、支持板部54Bのエッジ端部に沿って搬送されるため、用紙2と除電部材55の間を0.5mmに指定している。つまり、用紙2と除電部材55との距離は、常に変動することなく0.5mmが保たれる。なお、本実施の形態における除電部材55はステンレス製であり、そして本例では図示していないバイアス電源によりバイアス印加されることが可能な形態となっている。また、図3は長手方向から一部分を切り出して表示しており、実際は二次転写ローラ5の長手方向全域(最大通紙幅全域)に、除電部材55が存在する。さらにまた、図3には除電部材55の一例として具体的な寸法を示している。
【0016】
次に、具体的な分離時の除電部材55の位置について図4及び図5を用いて説明する。
用紙2が二次転写ローラ5と支持ローラ21のニップ出口に現れる前のギャップ管理部材53はスプリング56によってストッパ57に当接する分離除電位置に保持されている。この分離除電位置は、ギャップ管理部材53の支持板部54Bのエッジ端部側にニップを通過する用紙2が必ず当たって押すように、ニップの接線Lを跨った中間転写ベルト11に近づいた位置に設定されている。したがって、ニップを通過する用紙2はギャップ管理部材53の支持板部54Bを押し、ギャップ管理部材53がスプリング56の作用に抗して用紙2に押されて時計方向に回動する。しかも、かかる位置にギャップ管理部材53を位置させれば、ニップを出る用紙の方向ばらついても用紙の先端が支持板部54Bを押スことができる。なお、スプリング56の弾性力はギャップ管理部材53の回動を得られるように用紙2がギャップ管理部材53を押す力より小さい力になるように設定されている。
【0017】
用紙2がニップ通過してギャップ管理部材53の支持板部54Bを押すと、ギャップ管理部材53が時計方向に回動するとともに、用紙2はスプリング56によって支持板部54Bのエッジ端部が当接した状態のまま搬送される。したがって、用紙2は除電部材55が良好に除電するギャップを保ったまま通過するので、用紙2は転写後に転写バイアスによる帯電状態が確実に解消される。
【0018】
かくして、上記実施の形態では1つの除電部材55で分離の除電と転写後の帯電状態の除電とを良好に行うことができる。なお、上記実施の形態において、除電部材55にバイアスを印加しているが、このときのバイアスは分離の除電とのときと、転写後の帯電状態の除電のときとで切り替えるようにして、それぞれに適したバイアス印加することができる。また、このときの切り替えのタイミングはギャップ管理部材53が用紙に押されて設定した位置まで回動してことを検知して行うことが好ましい。
【0019】
さらに、除電部材55はバイアスを印加しない単なるアースであってもよく、アースで構成すると、バイアスのためのパワーパックを削除でき、コストダウンになる効果が期待できる。
【符号の説明】
【0020】
5 二次転写ローラ
11 中間転写ベルト
21 支持ローラ
53 ギャップ管理部材
55 除電部材
56 スプリング
57 ストッパ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2008−134446号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の感光体ドラム上に形成された互いに異なる色のトナー像を、順次中間転写体に一次転写してトナー像を重ね合わせて画像を形成し、二次転写体により画像を記録媒体上に転写してカラー画像を形成する画像形成装置において、
前記中間転写体から二次転写後の記録媒体の分離を促す除電と、二次転写後の記録媒体の除電とを共通して行う除電部材と、
該除電部材を記録媒体の分離を促す分離除電位置と記録媒体を除電する除電位置とに移動可能に支持するギャップ管理部材と、
該ギャップ管理部材を弾性保持する弾性保持手段とを有し、
前記分離除電位置に保持されているギャップ管理部材は前記弾性保持手段の作用に抗して搬送される記録媒体により記録媒体の除電位置へ移動されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記除電部材はバイアスが印加されて除電するとともに、印加するバイアスが分離除電時と記録媒体除電時とで変えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、前記印加バイアスの切替が除電部材の移動と連動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記除電部材はアースであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記中間転写体が複数のローラに巻き掛けられた中間転写ベルトで、前記二次転写体が中間転写ベルトを支持するローラの1つと対向する転写ローラでそれぞれ構成され、該転写ローラの径が対向するローラの径以上であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、前記ギャップ管理部材が前記転写ローラの軸を中心に回動して記録媒体の分離を促す分離除電位置と記録媒体を除電する除電位置とに移動されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、前記分離除電位置が前記対向ローラと前記転写ローラのニップ出口付近で、かつ、該ニップを通過する記録媒体が前記ギャップ管理部材の先端を押す位置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−15618(P2013−15618A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147209(P2011−147209)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】