説明

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】現像ローラとシール部材の間に生じた電場に起因するトナーのシール部材への固着を抑制し、従ってトナー落ちによる異常画像や機内汚染を防ぐ。
【解決手段】本発明に従う現像装置では、現像剤容器に取り付けられ、現像ローラ61と感光体の間の現像ニップ部近傍まで延在するシール部材70が、現像剤容器側に位置する絶縁体シート71と、現像ローラ61側に位置する導電体シート72とを有し、導電体シート72と現像ローラ61が同電位になるように導体で接続されるか、又は導電体シートと現像ローラの間に発生した電場により飛散トナーが現像ローラ61側に引き寄せられるように、導電体シートと現像ローラの電位が設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いられる現像装置、これを備えたプロセスカートリッジ及びこれらの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、粉体のトナーとキャリアを有する現像剤を用いた電子写真方式の画像形成装置では、様々なトナー飛散防止策が採られている。特に、現像装置内の現像ローラ周りにおけるトナー飛散防止策としては様々なものがあり、現像ローラから離脱したトナーの現像装置外部への飛散などを防止するために、現像ローラ周りに絶縁体のシール部材を設けたり、気流を生じさせたりする対策などが知られている。
【0003】
このようなトナー飛散防止策のうち、現像ローラをその長手方向にシール部材で覆い、現像ローラに対向配置された感光体に対してシール部材を突き当てるような構成が広く用いられている。このような構成では、一般的に現像容器から露出した現像ローラの部分を現像容器の円弧状部材で覆い、その先端にウレタンシートなどの絶縁体のシール部材を貼り付けて、これを感光体に突き当てる手法が用いられる。
【0004】
しかしながら、この円弧状部材及びウレタンシートがトナーとの摩擦などにより帯電し、これらにトナーが付着してしまう。付着したトナーは自重や衝撃などにより突発的に落下し、トナー落ち画像や機内汚染が発生することがある。
【0005】
このような問題に対して特許文献1では、現像ローラを覆う現像容器の円弧状部材にシール部材を設け、シール部材の現像ローラ側を導電性部材で形成し、これをアースすることで摩擦によるシール部材での電荷の蓄積を防ぎ、トナーのシール部材への付着を抑制している。
【0006】
しかしながら、現像ローラ近傍にアース面を設けると、アース面と現像ローラの間の電位差により電場が発生するため、アース面での電荷の蓄積がなくても電場の影響によりトナーがアース面に付着するという問題が生じる。
【0007】
これを、図5,6に示す現像装置の概略斜視図を参照してより具体的に説明する。
例えば、図5に示すように、現像剤を保持する現像剤容器からの現像ローラ61の露出部分は、図中手前部分及び奥部分をサイドシール62,63で覆われ、図中上側部分をシール支持部材64とその下方に位置するシール65で覆われている。シール65のさらに下方部分では、現像ローラ61は現像容器から露出している。
【0008】
また、図6において、シール支持部材64の下方に位置するシール65の現像ローラ対向面80はアースされている。一方、負帯電トナーを用いる場合、一般に現像ローラ61はマイナス電位に設定されるため、現像ローラ61近傍では、図中矢印のようにアース面80から現像ローラ61へ向かう電場が発生する。これにより負帯電トナーは、現像ローラ61からアース面80に向かう力を受け、アース面80に付着してしまう。従って、依然として、付着したトナーが自重や衝撃などにより突発的に落下し、トナー落ち画像や機内汚染が発生するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、現像ローラとシール部材の間に生じた電場に起因するトナーのシール部材への固着を抑制し、従ってトナー落ちによる異常画像や機内汚染を防ぐことができる現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明の現像装置は、現像剤を保持する現像剤容器と、現像剤を搬送する現像剤搬送部材と、現像剤を表面上に担持して回転し、対向配置された像担持体にトナーを供給する現像剤担持体と、該現像剤容器に取り付けられ、該現像剤担持体と該像担持体の間の現像ニップ部近傍まで延在するシール部材と、を備え、前記シール部材は、前記現像剤容器側に位置する絶縁部材と、前記現像剤担持体側に位置する導電部材とを有し、前記導電部材と前記現像剤担持体が同電位になるように導体で接続されるか、又は前記導電部材と前記現像剤担持体の間に発生した電場により飛散トナーが前記現像剤担持体側に引き寄せられるように、前記導電部材と前記現像剤担持体の電位が設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シール部材と現像剤担持体が同電位になることにより、シール部材と現像剤担持体の間において飛散トナーをシール部材に引き付けるような電場が生じず、トナーのシール部材への固着と、それに伴うトナー落ちによる異常画像や機内汚染が抑制される。または、飛散トナーはシール部材と現像剤担持体の間に発生した電場により現像剤担持体側に引き寄せられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るカラー画像形成装置の概略図である。
【図2】本発明に係る現像装置の概略斜視図である。
【図3】本発明に係る現像装置の概略断面図である。
【図4】現像ローラとシール支持部材の近傍の拡大断面図である。
【図5】従来の現像装置の概略斜視図である。
【図6】従来の現像ローラとシール支持部材の近傍の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、カラー画像形成装置1の一例を模式的に示しており、まず、この画像形成装置1について説明する。
当該カラー画像形成装置1では、図示のように給紙テーブル200上に装置本体100が載置されている。その装置本体100の上にはスキャナ300を取り付けると共に、その上に自動原稿給送装置(ADF)400を取り付けている。装置本体100内には、その略中央にベルト状の無端移動部材である中間転写ベルト10を有する転写装置を設けており、中間転写ベルト10は駆動ローラ14と2つの従動ローラ15,16の間に張架されて図1において時計回りに回動するようになっている。
【0014】
また、この中間転写ベルト10は、従動ローラ15の左方に設けられているクリーニング装置17により、その表面に画像転写後に残留する残留トナーが除去されるようになっている。その中間転写ベルト10の駆動ローラ14と従動ローラ15の間に架け渡された直線部分の上方には、その中間転写ベルト10の移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4つのドラム状の感光体40Y,40M,40C,40Bk(以下、特定しない場合には単に感光体40と呼ぶ)が所定の間隔を置いて配設されている。そして、中間転写ベルト10の内側に各感光体40に対向して中間転写ベルト10を挟むように、4個の1次転写ローラ58が設けられている。
【0015】
像担持体としての4個の各感光体40は、それぞれ図1で反時計回りに回転可能であり、その各感光体40の回りには、それぞれ帯電装置、現像装置60、上述した1次転写ローラ58、感光体クリーニング装置、除電装置を設けており、それぞれ作像ユニット18を構成している。そして、その4個の作像ユニット18の上方に、共用の露光装置21を設けている。
そして、その各感光体上に形成された各画像(トナー画像)が、中間転写ベルト10上に直接重ね合わせて順次転写されていくようになっている。
【0016】
一方、中間転写ベルト10の下側には、その中間転写ベルト10上の画像を記録紙であるシートに転写する転写部からなる2次転写装置22を設けている。その2次転写装置22は、2つのローラ23,23間に無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡したものであり、その2次転写ベルト24が中間転写ベルト10を介して従動ローラ16に押し当たるようになっている。
【0017】
この2次転写装置22は、2次転写ベルト24と中間転写ベルト10との間に送り込まれるシートに、中間転写ベルト10上のトナー画像を一括転写する。
そして、2次転写装置22のシート搬送方向下流側には、シートP上のトナー画像を定着する定着装置25があり、そこでは無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられている。
【0018】
なお、2次転写装置22は、画像転写後のシートを定着装置25へ搬送する機能も果たす。また、この2次転写装置22は、転写ローラや非接触のチャージャを使用した転写装置であってもよい。その2次転写装置22の下側には、シートの両面に画像を形成する際にシートを反転させるシート反転装置28を設けている。
【0019】
このように、この装置本体100は、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置1を構成している。
このカラー画像形成装置1によってカラーコピーをとるときは、自動原稿給送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。また、手動で原稿をセットする場合には、自動原稿給送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、自動原稿給送装置400を閉じてそれを押える。
【0020】
そして、図示していないスタートキーを押すと、自動原稿給送装置4に原稿をセットしたときは、その原稿がコンタクトガラス32上に給送される。また、手動で原稿をコンタクトガラス32上にセットしたときは、直ちにスキャナ3が駆動し、第1走行体33および第2走行体34が走行を開始する。そして、第1走行体33の光源から光が原稿に向けて照射され、その原稿面からの反射光が第2走行体34に向かうと共に、その光が第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入射して、原稿の内容が読み取られる。
【0021】
また、上述したスタートキーの押下により、中間転写ベルト10が回動を開始する。さらに、それと同時に各感光体40Y,40M,40C,40Kが回転を開始して、その各感光体上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各単色トナー画像を形成する動作を開始する。そして、その各感光体上に形成された各色のトナー画像は、図1で時計回りに回動する中間転写ベルト10上に重ね合わせて順次転写されていき、そこにフルカラーの合成カラー画像が形成される。
【0022】
一方、上述したスタートキーの押下により、給紙テーブル2内の選択された給紙段の給紙ローラ42が回転し、ペーパーバンク43の中の選択された1つの給紙カセット44からシートが繰り出され、それが分離ローラ45により1枚に分離されて給紙路46に搬送される。そのシートは、搬送ローラ47により装置本体1内の給紙路48に搬送され、レジストローラ49に突き当たって一旦停止する。
【0023】
また、手差し給紙の場合には、手差しトレイ51上にセットされたシートが給紙ローラ50の回転により繰り出され、それが分離ローラ52により1枚に分離されて手差し給紙路53に搬送され、レジストローラ49に突き当たって一旦停止状態になる。
【0024】
そのレジストローラ49は、中間転写ベルト10上の合成カラー画像に合わせた正確なタイミングで回転を開始し、一旦停止状態にあったシートを中間転写ベルト10と2次転写装置22との間に送り込む。そして、そのシート上に2次転写装置22でカラー画像が転写される。
【0025】
そのカラー画像が転写されたシートは、搬送装置としての機能も有する2次転写装置22により定着装置25へ搬送され、そこで熱と加圧力が加えられることにより転写されたカラー画像が定着される。その後、そのシートは、切換爪55により排出側に案内され、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出されて、そこにスタックされる。
【0026】
また、両面コピーモードが選択されているときには、片面に画像を形成したシートを切換爪55によりシート反転装置28側に搬送し、そこで反転させて再び転写位置へ導き、今度は裏面に画像を形成した後に、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出する。
【0027】
図2は、本発明における現像装置60の概略斜視図を示す。
感光体40に対向する側面において、現像ローラ61の現像容器からの露出部分は、図中手前部分及び奥部分をサイドシール62,63で覆われ、図中上側部分をシール支持部材64とその下方に位置するシール部材70で覆われている。シール部材70のさらに下方部分では、現像ローラ61は現像容器から露出し、感光体40に対向している。
【0028】
図3は、本発明に係る現像装置60の概略断面図である。
4つの現像装置60が、図1に示すようにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)に対応して、各感光体に対向して配置されているが、どの現像装置も構造は同じである。現像剤は、トナーと磁性キャリアを有する二成分現像剤であり、ここでは図示していないが現像装置60の現像容器に内包されている。
【0029】
ここで、図3を用いて現像装置60における現像剤の流れと現像剤規制部材73を説明する。
現像装置60は、現像剤担持体としての現像ローラ61を有しており、現像ローラ61は、図示しない駆動部によって回転方向Iに表面移動しながら、当該現像ローラ61に対向する感光体40の表面上の潜像にトナーを供給し、現像する機能を有する。また、現像剤搬送部材としての供給スクリュ68が設けられ、当該供給スクリュ68は、回転軸及び当該回転軸に設けられた羽部を備え、図示しない駆動部によって回転方向Jに回転することで軸方向、すなわち図1の手前方向に現像剤を搬送しながら、現像ローラ61に現像剤を供給する。供給スクリュ68の領域を含む、現像ローラ61に現像剤を供給するための供給搬送路90が、現像ローラ61の横に配置されている。
【0030】
また、現像ローラ61と感光体40との対向部である現像ニップ部から見て、現像ローラ61の回転方向Iのさらに下流側には、回収スクリュ66が備えられている。当該回収スクリュ66は、図示しない駆動部によって回転方向Kに回転する現像剤搬送部材であり、現像ニップ部を通過して落下する現像済みの残留現像剤を回収し、回収した回収現像剤を供給スクリュ68と同方向の紙面奥側から手前側に搬送する。回収スクリュ66の領域を含む、回収現像剤のための回収搬送路91が、現像ローラ61の下方に配置されている。
【0031】
また、回収スクリュ66の図中左側及び供給スクリュ68の下方に、攪拌スクリュ67が配置されている。攪拌スクリュ67は、図示しない駆動部によって回転方向Lに回転する現像剤搬送部材であり、回収スクリュ66から搬送されてきた現像剤を攪拌しながら、これを回収スクリュ66とは逆方向である紙面手前側から奥側に搬送する。攪拌スクリュ67の領域を含む、現像剤を攪拌するための攪拌搬送路92が、回収搬送路91の図中左側であって、供給搬送路90の下方に設けられている。現像剤は、攪拌搬送路92を紙面奥側まで搬送されると、そこで上方に運ばれて供給搬送路90に達する。現像ローラ61に供給されなかった現像剤は、通常は供給スクリュ端部まで搬送されると攪拌スクリュ67の領域へと戻される。ただし、現像剤の量が現像装置60の容量を超えている場合には、余剰分の現像剤が現像剤廃棄スクリュ69へと受け渡されて、現像装置外に排出される。
【0032】
供給搬送路90と攪拌搬送路92は、第一仕切り壁93によって仕切られているが、図中手前側と奥側との両端には第一仕切り壁93はなく開口部となっており、よって供給搬送路90と攪拌搬送路92が連通しており、そこを介して現像剤が搬送される。なお、供給搬送路90と回収搬送路91も、第一仕切り壁93によって仕切られているが、開口部は設けられていない。
【0033】
また、攪拌搬送路92と回収搬送路91の2つの搬送路は、第二仕切り壁94によって仕切られている。第二仕切り壁94は、図中手前側が開口部となっており、攪拌搬送路92と回収搬送路91は連通している。
【0034】
現像後の残留現像剤は、回収搬送路91によって回収され、図中手前側に搬送され、非画像領域部に設けられた第一仕切り壁94の開口部を介して、攪拌搬送路92に移送される。なお、攪拌搬送路92における現像剤搬送方向上流側の第一仕切り壁94の開口部の付近で、攪拌搬送路92の上側に設けられたトナー補給口から攪拌搬送路92にトナーが補給される。
【0035】
また、現像ローラ61と供給スクリュ68との対向部から見て、現像ローラ61の回転方向Iの下流側には、供給スクリュ68から現像ローラ61に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制部材73が設けられている。現像剤規制部材73の通過後の現像ローラ61上の現像剤はその厚さを規制され、一定の厚さになる。
【0036】
ドクターブレードである現像剤規制部材73は、主に、長尺な略長方形状の板状部材からなる非磁性板と、非磁性板よりも小さい寸法で長尺な略長方形状の板状部材からなる磁性板とから構成されている。非磁性板の材料としては、例えば、ステンレス製のSUS304やSUS316等を用いることができる。磁性板の材料としては、例えばSUS430等の材料を用いることができる。磁性板には非磁性板の板厚よりも薄いものが用いられ、非磁性板の板厚は例えば1〜3mmであり、磁性板の板厚は例えば0.1〜0.3mmである。
【0037】
現像ローラ61上にステンレス製の現像剤規制部材73によって薄層化された現像剤は、感光体との対向部である現像領域(現像ニップ部)まで搬送され、現像が行われる。
【0038】
現像剤搬送部材である供給スクリュ68、回収スクリュ66及び攪拌スクリュ67は、樹脂又は金属製のスクリュからなっており、各スクリュ径は全てφ22mmで、スクリュピッチは、供給スクリュが50mmの2条巻き、回収スクリュ66及び攪拌スクリュ67が25mmの1条巻きであり、回転数は全て約700rpmに設定されている。
【0039】
また、現像装置60の現像容器を構成するシール支持部材64が、円筒形状の現像ローラ61の外周から一定の間隔をおいて、現像ローラ61と感光体40の間の現像ニップ部近傍まで延在している。そして、現像前後におけるトナー飛散を防止するためのシール部材70が、現像容器のシール支持部材64に取り付けられている。シール部材70は、シール支持部材64の内側に支持されており、現像ローラ61の外周から一定の間隔をおいて、現像ローラ61と感光体40の間の現像ニップ部近傍まで延在している。
【0040】
図4は、現像ローラ61とシール支持部材64の近傍の拡大断面図である。
ここで、シール部材70は、絶縁部材としての絶縁体シート71と、導電部材としての導電体シート72の2層構造を有している。現像ローラ61側のシール部材に導電性(電荷)を与えることで、トナーのシール部材への付着を抑制し、感光体40側のシール部材を非導電性とすることで、感光体の表面上の潜像への影響を防ぐことができる。絶縁体シート71としてウレタンシートが使用されるのが望ましい。また、導電体シート72としては、現像ローラ61側に導電面を向けたアルミニウムの蒸着したポリエチレンテレフタレート(PET)又は導電性ウレタンシートが使用されるのが望ましい。
【0041】
曲面に沿って容易に設置することができるアルミニウム蒸着PETを用いることで、現像ローラ61の対向面に簡単かつ安価に電位を与えることができる。また、トナー付着や劣化などのしにくいウレタンシートを基材とした導電性部材を用いることで、より安定的にシール部材へのトナー付着を防ぐことができる。
【0042】
絶縁体シート71は、シール支持部材64の現像ローラ61との対向面の全体又は一部に両面テープなどにより接着されている。導電体シート72は、絶縁体シート71の上に又はシール支持部材64の現像ローラ61との対向面の一部に、両面テープなどにより接着されている。よって、絶縁体シート71はシール支持部材64側に位置し、導電体シート72は現像ローラ61側に位置している。このとき、導電体シート72の一端は、現像剤規制部材73とシール支持部材64の間に挟持されてもよい。
【0043】
絶縁体シート71の先端は感光体40に接しているが、導電体シート72は絶縁体シート71よりも短く、その先端は感光体40に接していない。絶縁体シート71を感光体に突き当てることで、より効果的に現像ローラからのトナー飛散、トナー落下を防ぐことができる。また、円筒状に設けられた導電体シート72は、現像ローラ61の外周に沿う方向において、シール支持部材64よりも長く、絶縁体シート71よりも短いと好ましい。
【0044】
ここで、導電体シート72の一端は現像剤規制部材73と接している。一方、現像剤規制部材73は、ヒートシンク74及び図示しない板金部材などの導体によって現像ローラ61に接続され、現像ローラ61と同電位となっている。よって、導電体シート72は現像ローラ61と同電位になっている。これにより、現像ローラ61と導電体シート72の間に電位差がなくなり電場が生じないため、トナーが導電体シート72側に引き付けられるような力は働かなくなる。なお、現像ローラ61は、画像形成装置本体内に設けられたバイアス回路(不図示)に接続しており、これにより給電され、電位を与えられる。
【0045】
この場合、導電体シート72の延在する範囲において、導電体シート72と現像ローラ61の間の空間が同電位となり、電場が生じないため、導電体シート72の延在範囲をなるべく広くすることはトナー飛散防止にとって有利である。
【0046】
これに代えて、導電体シート72と現像ローラ61の間に発生した電場により飛散トナーが現像ローラ61側に引き寄せられるように、導電体シート72と現像ローラ61の電位が設定されてもよい。例えば、負帯電トナーの場合、現像ローラ61を−600Vに設定し、導電体シート72を−800Vなどに設定すれば、現像ローラ61から導電体シート72に向かう電場が生じる。そして、負帯電トナーは、導電体シート72から現像ローラ61に向かう力を受けるため、導電体シート72や絶縁体シート71やシール支持部材64に飛散トナーが付着することが抑制され、従って固着したトナーが自重や衝撃などにより突発的に落下し、トナー落ち画像や機内汚染が生じることも抑制される。
【0047】
この場合は、導電体シート72と現像ローラ61を導体で接続して同電位とせずに、導電体シート72と現像ローラ61を画像形成装置本体内に設けられた別個のバイアス回路(不図示)に接続し、これによりそれぞれ所望の電位を与えればよい。
【0048】
また、本発明においては、感光体40、各感光体40の周囲に配置された帯電装置、現像装置60、感光体クリーニング装置はユニット化してケース内に収納され、プロセスカートリッジが形成されてもよい。各プロセスカートリッジは画像形成装置本体に着脱可能に装着される。これらの装置をプロセスカートリッジとしてユニット化することにより、交換やメンテナンスの作業が容易になり、また、各部材間の位置精度を高精度に維持することができ、形成される画像品質の向上を図ることができる。また、ユニット化されたプロセスカートリッジにより、トナー汚染と異常画像の発生を抑えることができる。
【0049】
なお、プロセスカートリッジの構成としては様々のものがあり、例えば、帯電装置、現像装置60、感光体クリーニング装置の少なくとも一つと感光体40とをケース内に収納してユニット化してもよい。
【符号の説明】
【0050】
40 感光体(像担持体)
60 現像装置
61 現像ローラ(現像剤担持体)
66 回収スクリュ(現像剤搬送部材)
67 攪拌スクリュ(現像剤搬送部材)
68 供給スクリュ(現像剤搬送部材)
70 シール部材
71 絶縁体シート(絶縁部材)
72 導電体シート(導電部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特許第4351542号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を保持する現像剤容器と、現像剤を搬送する現像剤搬送部材と、現像剤を表面上に担持して回転し、対向配置された像担持体にトナーを供給する現像剤担持体と、該現像剤容器に取り付けられ、該現像剤担持体と該像担持体の間の現像ニップ部近傍まで延在するシール部材と、を備える現像装置において、
前記シール部材は、前記現像剤容器側に位置する絶縁部材と、前記現像剤担持体側に位置する導電部材とを有し、
前記導電部材と前記現像剤担持体が同電位になるように導体で接続されるか、又は前記導電部材と前記現像剤担持体の間に発生した電場により飛散トナーが前記現像剤担持体側に引き寄せられるように、前記導電部材と前記現像剤担持体の電位が設定されることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記導電部材はアルミニウムの蒸着したポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記導電部材は導電性ウレタンシートからなることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記シール部材の前記絶縁部材は前記像担持体に接していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記絶縁部材は、前記現像剤容器を構成するシール支持部材に接着され、
前記導電部材は、前記現像剤担持体の外周に沿う方向において、前記シール支持部材よりも長く、前記絶縁部材よりも短いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の現像装置を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の現像装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−25231(P2013−25231A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161981(P2011−161981)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】