説明

現像装置、及び該現像装置を備えた画像形成装置

【課題】
トナーを表面に担持して回転する現像ローラと、該現像ローラに圧接してトナーの層厚を規制する規制部材を備える現像装置において、現像ローラと接触する規制部材表面で凹凸が形成されにくく、局所的なトナー層厚の低下やスリ抜けも生じず、均一なトナー層の形成ができる現像装置、及び該現像装置を備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
現像ローラに向けて規制部材を圧接する棒状部材を備え、規制部材上で現像ローラ回転方向もしくは逆方向に棒状部材を移動させることで、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、及び該現像装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーを表面に担持して回転軸を中心として回転する現像ローラと、現像ローラに圧接してトナーの層厚を規制する規制部材を備え、規制部材で規制されたのち搬送されるトナーで現像ローラと対向配置される感光体上の静電潜像を可視化する現像装置が提案されている。
【0003】
例えば、特公昭63−16736号公報(特許文献1)では、図5に示すように、規制部材としての弾性規制板100の腹の面を現像ローラとしてのトナー担持筒101に当接させることで、トナー担持筒101上で、均一なトナー層を形成させることができると示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭63−16736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の現像装置では、規制部材と現像ローラは常に同じ当接部で加圧接触しているため、長期に亙って現像装置を使用する場合、現像ローラと接触する規制部材表面に凹凸が形成され、局所的なトナー層厚の低下やスリ抜けを招き、均一なトナー層の形成ができなくなる。その結果、出力画像上で、画像濃度のムラやトナー飛散が生じる。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、現像ローラに向けて規制部材を圧接する棒状部材を、規制部材上で現像ローラ回転方向もしくは逆方向に移動させることで、規制部材が傾き、現像ローラとの当接部の位置がずれるため、現像ローラと接触する規制部材表面で凹凸が形成されにくく、局所的なトナー層厚の低下やスリ抜けも生じず、均一なトナー層の形成ができる現像装置、及び該現像装置を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、トナーを表面に担持して回転する現像ローラと、該現像ローラに圧接して前記トナーの層厚を規制する規制部材と、規制部材上に配設された棒状部材を備える現像装置であって、規制部材は、棒状部材を現像ローラ回転方向もしくは逆方向に移動させる移動部材を備えるものである。
【0008】
また、移動部材は、コイルバネとネジから構成され、棒状部材は、コイルバネとネジに狭持されていることが好ましい。
【0009】
また、本発明は、前記現像装置を備えた画像形成装置を提供することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現像ローラに向けて規制部材を圧接する棒状部材を備え、規制部材上で現像ローラ回転方向もしくは逆方向に棒状部材を移動させることで、規制部材が傾き、現像ローラとの当接部の位置がずれるため、現像ローラと接触する規制部材表面で凹凸が形成されにくく、局所的なトナー層厚の低下やスリ抜けも生じず、均一なトナー層の形成ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例となる現像装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施例となるシャフト周辺の構成を示す、現像ローラの軸方向から見た概略断面図である。
【図3】本発明の実施例となるシャフト周辺の構成を示す、現像ローラの軸方向から見た概略断面図である。
【図4】本発明の実施例となるシャフト周辺の構成を示す、現像ローラの軸方向から見た概略断面図である。
【図5】本発明の従来例となる現像装置の構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の現像装置について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の現像装置1の構成を示す概略断面図である。以下には、本発明の現像装置に関して説明するが、その他の構成については、画像形成装置の一般的な技術が適用できることはいうまでもない。
【0014】
本発明の現像装置1は、トナー2を担持する現像ローラ3と、トナー2を収容する現像槽4と、現像槽4の中でトナー2を撹拌搬送する第1、第2及び第3撹拌搬送部材5、6、7と、供給ローラ8と、規制部材としてのドクターブレード9と、棒状部材としての金属製の円筒状のシャフト10を含む。第1、第2及び第3撹拌搬送部材5、6、7は、現像槽4内に回転自在に設けられ、各々、矢印で示す反時計方向に回転している。
【0015】
現像槽4内において、第1撹拌搬送部材5及び第2撹拌搬送部材6は、主として、回転方向にトナー2を撹拌及び搬送する役割を果たす。第1撹拌搬送部材5及び第2撹拌搬送部材6は、不図示の回転軸部と、回転軸部から半径方向外方に突出する不図示の複数の羽根片を含んで構成され、その羽根片は、例えば、PET(Polyethylene Terephthalate)等の樹脂を用いて薄板状に形成される。また、第3撹拌搬送部材7は、硬質の合成樹脂を用いて形成されるスクリュー状の回転部材であって、主として、軸方向にトナー2を撹拌及び搬送する役割を果たす。
【0016】
また、現像槽4内には、第1撹拌搬送部材5と供給ローラ8との間に、中間壁部材11が設けられる。中間壁部材11は、例えば、合成樹脂等からなる平板状の部材であり、現像槽4の長手方向、即ち現像ローラ3の軸線方向に延びて、現像槽4の底部から立ち上がるようにして設けられる。そして、中間壁部材11には、その中央部に開口12が形成されている。このような中間壁部材11によって、現像槽4内には、第1撹拌搬送部材5から供給ローラ8へ向うトナー2の流れが形成される。
【0017】
供給ローラ8は、不図示の金属製の芯金の表面に発泡ウレタン等の多孔性弾性部材が設けられたものであり、表面の空孔にトナーを吸着しつつ、現像ローラ3を摺擦することで、トナーを現像ローラ3に供給し、かつ、現像後に現像ローラ3に残存した余分のトナーをクリーニングする。
【0018】
供給ローラ8と現像ローラ3の接触部の食い込み量は0.5mm、この接触部の長手方向、即ち供給ローラ8の軸線方向の幅は330mmで設定されている。なお、供給ローラ8は、アスカーC硬度で5度のウレタンスポンジを用いた。直径は16mmとした。
【0019】
現像槽4は、例えば、硬質の合成樹脂等からなり、外観が略直方体形状を有する容器部材である。なお、本発明では、トナー2として、ポリエステル樹脂を主成分とし、粉砕法で作製され、体積平均粒子径が9μmのトナーを用いた。
【0020】
現像ローラ3は、現像槽4内に回転自在に設けられ、現像槽4に収容されるトナー2を担持して、感光体13に搬送する。現像ローラ3は、感光体13を臨み、軸線が感光体13の回転軸線と平行になるように配置され、現像槽4本体の不図示のフレーム部に支持される。現像ローラ3の回転方向は、感光体13の回転方向と逆方向である。本発明では、現像ローラ3は、アルミニウムからなり、直径16mm、肉厚が1mmで、表面の算術平均粗さRaが、0.3〜0.8μmとなるようにサンドブラスト処理されたものである。また、現像ローラ3は、周速度145mm/secで、軸線周りに回転駆動される。
【0021】
なお、感光体13の周速度は145mm/sec、供給ローラ8の周速度は116mm/secとし、第1、第2及び第3撹拌搬送部材5、6、7の回転数は157rpm、157rpm、38rpmとした。
【0022】
また、感光体13の直径は30mmであり、現像ローラ3と対向して配設されている感光体13との間隙は、不図示の間隙保持部材により、200±20μmに設定されている。
【0023】
現像ローラ3の上方には、一定量のトナー2の層を形成するためのドクターブレード9が設けられており、ドクターブレード9は、現像ローラ3の軸線方向に平行に延びる板状部材である。
【0024】
ドクターブレード9の上方には、現像ローラ3に向けてドクターブレード9を圧接するシャフト10があり、ドクターブレード9は、支持用の板金14に設けた発泡ウレタンもしくは発泡シリコーン等からなる発泡部材zよって支持されている。また、発泡部材zに替えて、バネ等の弾性部材を用いて、ドクタブレードを挟んでもよい。板金14はビス15によって現像槽4本体に固定されている。ドクターブレード9を現像ローラ3に押圧させるときの押圧力は、15gf/cmに設定される。なお、シャフト10の形状は、多角柱状でもよく、外径も特に限定されない。
【0025】
ドクターブレード9は薄く、ウレタンゴムであり、一定の圧力で現像ローラ3を押圧している。これにより、現像ローラ3上に一定の帯電を有したトナー2の層が担持される。この帯電した電荷を有するトナー2の層が、現像ローラ3と感光体13との電位差に応じて、現像ローラ3から感光体13に供給されて静電潜像を現像し、トナー像を形成する。
【0026】
ドクターブレード9の硬度はJIS−A硬度で65〜85°に設定されるのが好ましく、本発明では70°に設定される。また、ドクターブレード9は、厚み1mm、長さ30mm、幅333mmに設定されており、導電性カーボンブラックまたはイオン導電剤が添加されて、抵抗値が10〜10Ωcmに調整されている。
【0027】
図2は、本発明の実施例となるシャフト10周辺の構成を示す、現像ローラ3の軸方向から見た概略断面図である。
【0028】
シャフト10の中心は現像ローラ3の中心の鉛直方向上方にあって、ドクターブレード9は、シャフト10の中心と現像ローラ3の中心を結ぶ直線上の接触点aの位置において、現像ローラ3を押圧している。また、ドクタブレード9は、板金14に設けられた窪みに挿入され、窪みの隙間を埋めた発泡部材zで支えられている。その結果、ドクタブレード9は板金14に設けられた窪みの中を自在に移動することができる。なお、シャフト10の軸方向両端部には、不図示の軸方向位置ズレ防止機構が配設されている。
【0029】
ドクターブレード9上方にあるシャフト10は、移動部材であるコイルバネ10aとネジ10bの間に配設されており、ドクタブレード9上で現像ローラ3回転方向もしくは逆方向に移動するものである。
【0030】
コイルバネ10aは、ネジ10bに抗してシャフト10を押圧しており、一端はシャフト10に当接し、他端は現像槽4本体に固定されている。
【0031】
ネジ10bは、ドクタブレード9に固定して配設された支持板10cに螺合され、ネジ先はシャフト10に当接している。そして、ネジ10bの頭部を回すことで、ドクターブレード9上で現像ローラ3回転方向もしくは逆方向にシャフト10を移動させることができる。
【0032】
ドクターブレード9は、現像ローラ3と接触点aで接したまま長期に亙って現像ローラ3を押圧すると、ドクターブレード9上の接触点a表面で凹凸が形成され、局所的なトナー層厚の低下やスリ抜けを招き、均一なトナー層の形成ができないため、本発明ではドクターブレード9と現像ローラ3の当接部を移動可能とした。
【0033】
図3は、本発明の実施例となるシャフト10周辺の構成を示す、現像ローラ3の軸方向から見た概略断面図である。
【0034】
支持板10cに螺合されたネジ10bの頭部を回すことで、ドクターブレード9上で現像ローラ3回転方向とは逆方向にシャフト10を移動させた場合を示している。
【0035】
ドクターブレード9は、シャフト10の自重で、ドクターブレード9の現像ローラ3回転方向先端が現像ローラ3から離れる上方に傾く。このことで、ドクターブレード9の現像ローラ3との当接部の位置は、接触点aよりも現像ローラ3回転方向上流側の接触点bとなる。
【0036】
このように、ドクターブレード9の現像ローラ3との当接部の位置がずれるため、現像ローラ3と接触するドクターブレード9表面で凹凸が形成されにくく、局所的なトナー層厚の低下やスリ抜けも生じず、均一なトナー層の形成ができる。
【0037】
図4は、本発明の実施例となるシャフト10周辺の構成を示す、現像ローラ3の軸方向から見た概略断面図である。
【0038】
支持板10cに螺合されたネジ10bの頭部を回すことで、ドクターブレード9上で現像ローラ3回転方向にシャフト10を移動させた場合を示している。
【0039】
ドクターブレード9は、シャフト10の自重で、ドクターブレード9の現像ローラ3回転方向先端が現像ローラ3に近づく下方に傾く。このことで、ドクターブレード9の現像ローラ3との当接部の位置は、接触点aよりも現像ローラ3回転方向下流側の接触点cとなる。
【0040】
このように、ドクターブレード9の現像ローラ3との当接部の位置をずらすことによって、現像ローラ3と接触するドクターブレード9表面で凹凸が形成されにくく、局所的なトナー層厚の低下やスリ抜けも生じず、均一なトナー層の形成ができる。なお、ドクターブレード9の現像ローラ3との当接部の位置をずらすタイミングについては、あらかじめ定めた印字枚数ごとに行っても、画像形成装置の定期メンテナンスの際に行ってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 現像装置
2 トナー
3 現像ローラ
4 現像槽
5 第1撹拌搬送部材
6 第2撹拌搬送部材
7 第3撹拌搬送部材
8 供給ローラ
9 ドクターブレード
10 シャフト
10a コイルバネ
10b ネジ
10c 支持板
11 中間壁部材
12 開口
13 感光体
14 板金
15 ビス
a 接触点(b、c)
z 発泡部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを表面に担持して回転する現像ローラと、
該現像ローラに圧接して前記トナーの層厚を規制する規制部材と、
前記規制部材上に配設された棒状部材を備える現像装置であって、
前記規制部材は、前記棒状部材を前記現像ローラ回転方向もしくは逆方向に移動させる移動部材を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記移動部材は、コイルバネとネジから構成され、前記棒状部材は、前記コイルバネと前記ネジに狭持されていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−15691(P2013−15691A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148748(P2011−148748)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】