説明

現像装置、現像剤供給ローラ、画像形成装置、及び、画像形成システム

【課題】画質の劣化を適切に防止する現像装置、現像剤供給ローラ、画像形成装置、及び、画像形成システムを実現することにある。
【解決手段】液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、楕円形の断面を有し、該楕円形の短径方向が前記円柱状基材の径方向に沿うように、前記円柱状基材に巻き付けられているワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、現像剤供給ローラ、画像形成装置、及び、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置としては、例えば、潜像を担持するための像担持体の一例としての感光体と、液体現像剤(以下、単に、現像剤とも呼ぶ)によって感光体に担持された潜像を現像するための現像装置と、を有する画像形成装置が知られている。かかる画像形成装置は、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号等が送信されると、感光体上に潜像を形成する。そして、感光体に形成され、担持された潜像は、感光体の回転に伴って現像位置に至り、現像装置によって現像され、感光体上に現像剤像が形成される。
【0003】
上記の現像装置は、感光体上に形成された潜像を現像するという既述の機能等を実現するために、現像剤を担持するための現像剤担持体の一例としての現像ローラと、円柱状基材と該円柱状基材に巻き付けられているワイヤーとを備えた現像剤供給ローラと、を有している。当該現像剤供給ローラの表面には、前記ワイヤーにより溝が形成されており、現像剤供給ローラは、当該溝に保持された現像剤を現像ローラに供給する。そして、現像ローラは、回転することにより、供給された現像剤を感光体に対向する現像位置に搬送し、当該現像位置に搬送された現像剤は、潜像の現像に供される。
【特許文献1】特開平11−153906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記現像位置に搬送された現像剤が潜像の現像に供される際には、現像ローラ上の現像剤の膜厚が均一になっている必要がある。膜圧が不均一な現像剤により、感光体に担持された潜像を現像して画像を形成した場合には、その画質に劣化が生じることとなる。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、画質の劣化を適切に防止する現像装置、現像剤供給ローラ、画像形成装置、及び、画像形成システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
主たる本発明は、液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、楕円形の断面を有し、該楕円形の短径方向が前記円柱状基材の径方向に沿うように、前記円柱状基材に巻き付けられているワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、を有することを特徴とする現像装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0007】
液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、楕円形の断面を有し、該楕円形の短径方向が前記円柱状基材の径方向に沿うように、前記円柱状基材に巻き付けられているワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、を有することを特徴とする現像装置。
かかる現像装置によれば、画質の劣化を適切に防止することが可能となる。
【0008】
また、前記現像剤担持体は、現像剤担持ローラであることとしてもよい 。
【0009】
また、前記現像剤担持体は、弾性部を有し、前記現像剤供給ローラは、前記現像剤担持体の該弾性部に圧接して、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給することとしてもよい。
かかる場合には、セルフレベリング現象を適切に発生させ、画質の劣化を防止するという効果、がより有効に発揮される。
【0010】
また、弾性を備え、前記現像剤供給ローラの表面に当接して、該現像剤供給ローラ上の液体現像剤の量を規制するための規制部材を有することとしてもよい。
このようにすれば、現像剤供給ローラ上の液体現像剤を、より適切に掻き取ることができる。
【0011】
また、前記円柱状基材の表面の算術平均粗さは、前記ワイヤーの表面の算術平均粗さよりも大きいこととしてもよい。
このようにすれば、円柱状基材の表面に形成された凹凸の作用により、ワイヤーが円柱状基材に対し適切に位置決めされる。
【0012】
また、前記ワイヤーは、前記円柱状基材に、螺旋状に巻き付けられていることとしてもよい。
また、前記液体現像剤は、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤であることとしてもよい。
かかる場合には、セルフレベリング現象を適切に発生させ、画質の劣化を防止するという効果、がより有効に発揮される。
【0013】
また、液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、楕円形の断面を有し、該楕円形の短径方向が前記円柱状基材の径方向に沿うように、前記円柱状基材に巻き付けられているワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、を有し、前記現像剤担持体は、現像剤担持ローラであり、前記現像剤担持体は、弾性部を有し、前記現像剤供給ローラは、前記現像剤担持体の該弾性部に圧接して、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給し、弾性を備え、前記現像剤供給ローラの表面に当接して、該現像剤供給ローラ上の液体現像剤の量を規制するための規制部材を有し、 前記円柱状基材の表面の算術平均粗さは、前記ワイヤーの表面の算術平均粗さよりも大きくて、前記ワイヤーは、前記円柱状基材に、螺旋状に巻き付けられており、前記液体現像剤は、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤であることを特徴とする現像装置も実現可能である。
このようにすれば、既述の総ての効果を奏するため、本発明の目的がより有効に達成される。
【0014】
また、液体現像剤を現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラであって、円柱状基材と、楕円形の断面を有し、該楕円形の短径方向が前記円柱状基材の径方向に沿うように、前記円柱状基材に巻き付けられているワイヤーと、を有することを特徴とする現像剤供給ローラも実現可能である。
かかる現像剤供給ローラによれば、画質の劣化を適切に防止することが可能となる。
【0015】
また、潜像を担持するための像担持体と、前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像装置であって、液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、楕円形の断面を有し、該楕円形の短径方向が前記円柱状基材の径方向に沿うように、前記円柱状基材に巻き付けられているワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、を有する現像装置と、を備えた画像形成装置も実現可能である。
かかる画像形成装置によれば、画質の劣化を適切に防止することが可能となる。
【0016】
また、コンピュータ、及び、このコンピュータに接続可能な画像形成装置であって、潜像を担持するための像担持体と、前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像装置であって、液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、楕円形の断面を有し、該楕円形の短径方向が前記円柱状基材の径方向に沿うように、前記円柱状基材に巻き付けられているワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、を有する現像装置と、を備えた画像形成装置、を有する画像形成システムも実現可能である。
このようにして実現された画像形成システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0017】
===画像形成装置の全体構成例===
次に、図1を用いて、画像形成装置としてレーザビームプリンタ(以下、プリンタともいう)10を例にとって、その概要について説明する。図1は、プリンタ10を構成する主要構成要素を示した図である。なお、図1には、矢印にて上下方向を示しており、例えば、現像ユニット50Y、50M、50C、50Kは、プリンタ10の下部に配置されており、中間転写体70は、プリンタ10の上部に配置されている。
【0018】
本実施の形態に係るプリンタ10は、図1に示すように、4つの現像部15Y、15M、15C、15K、中間転写体70、二次転写ユニット80を有し、さらに、不図示の定着ユニット、ユーザへの報知手段をなし液晶パネルでなる表示ユニット、及び、これらのユニット等を制御しプリンタとしての動作を司る制御ユニット100(図2)を有している。
【0019】
現像部15Y、15M、15C、15Kは、それぞれ、イエロー(Y)現像剤、マゼンタ(M)現像剤、シアン(C)現像剤、ブラック(K)現像剤で潜像を現像する機能を有している。現像部15Y、15M、15C、15Kの構成は同様であるので、以下、現像部15Yについて説明する。
現像部15Yは、図1に示すように、像担持体の一例としての感光体20Yの回転方向に沿って、帯電ユニット30Y、露光ユニット40Y、現像装置の一例としての現像ユニット50Y、一次転写ユニット60Y、除電ユニット73Y、感光体クリーニングユニット75Yを有している。
感光体20Yは、円筒状の基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図1中の矢印で示すように時計回りに回転する。
帯電ユニット30Yは、感光体20Yを帯電するための装置であり、露光ユニット40Yは、レーザを照射することによって帯電された感光体20Y上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット40Yは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体20Y上に照射する。
現像ユニット50Yは、感光体20Y上に形成された潜像を、イエロー(Y)現像剤を用いて現像するための装置である。現像ユニット50Yの詳細については後述する。
一次転写ユニット60Yは、感光体20Yに形成されたイエロー現像剤像を中間転写体70に転写するための装置である。一次転写ユニット60Y、60M、60C、60Kにより、4色の現像剤が順次重ねて転写された場合には、中間転写体70にフルカラー現像剤像が形成される。
中間転写体70は、複数の支持ローラに張架されたエンドレスのベルトであり、感光体20Y、20M、20C、20Kと当接しながら回転駆動される。
二次転写ユニット80は、中間転写体70上に形成された単色現像剤像やフルカラー現像剤像を紙、フィルム、布等の媒体に転写するための装置である。
不図示の定着ユニットは、媒体上に転写された単色現像剤像やフルカラー現像剤像を紙等の媒体に融着させて永久像とするための装置である。
除電ユニット73Yは、一次転写ユニット60Yによって中間転写体70上に現像剤像が転写された後に、感光体20Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングユニット75Yは、感光体20Yの表面に当接されたゴム製の感光体クリーニングブレード76Yを有し、一次転写ユニット60Yによって中間転写体70上に現像剤像が転写された後に、感光体20Y上に残存する現像剤を感光体クリーニングブレード76Yにより掻き落として除去するための装置である。
【0020】
制御ユニット100は、図2に示すようにメインコントローラ101と、ユニットコントローラ102とで構成され、メインコントローラ101には画像信号及び制御信号が入力され、この画像信号及び制御信号に基づく指令に応じてユニットコントローラ102が前記各ユニット等を制御して画像を形成する。
次に、このように構成されたプリンタ10の動作について、他の構成要素にも言及しつつ説明する。
【0021】
まず、不図示のホストコンピュータからの画像信号及び制御信号がインターフェイス(I/F)112を介してプリンタ10のメインコントローラ101に入力されると、このメインコントローラ101からの指令に基づくユニットコントローラ102の制御により感光体20Y、20M、20C、20K、現像ユニット50Y、50M、50C、50Kに備えられた後述する現像ローラ、及び、中間転写体70等が回転する。感光体20Y、20M、20C、20Kは、回転しながら、帯電位置において帯電ユニット30Y、30M、30C、30Kにより順次帯電される。
【0022】
感光体20Y、20M、20C、20Kの帯電された領域は、感光体20Y、20M、20C、20Kの回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40Y、40M、40C、40Kによって、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの画像情報に応じた潜像が該領域に形成される。
感光体20Y、20M、20C、20K上に形成された潜像は、感光体20Y、20M、20C、20Kの回転に伴って現像位置に至り、現像ユニット50Y、50M、50C、50Kによって現像される。これにより、感光体20Y、20M、20C、20K上に現像剤像が形成される。
感光体20Y、20M、20C、20K上に形成された現像剤像は、感光体20Y、20M、20C、20Kの回転に伴って一次転写位置に至り、一次転写ユニット60Y、60M、60C、60Kによって、中間転写体70に転写される。この際、一次転写ユニット60Y、60M、60C、60Kには、現像剤の帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧が印加される。この結果、各々の感光体20Y、20M、20C、20K上に形成された4色の現像剤像は、中間転写体70に重なり合って転写され、中間転写体70上にはフルカラー現像剤像が形成される。
【0023】
中間転写体70上に形成されたフルカラー現像剤像は、中間転写体70の回転に伴って二次転写位置に至り、二次転写ユニット80によって媒体に転写される。なお、媒体は、不図示の給紙トレイから、各種ローラを介して二次転写ユニット80へ搬送される(図1中の矢印は、媒体の搬送方向を表している)。また、転写動作を行う際、二次転写ユニット80は中間転写体70に押圧されるとともに二次転写電圧が印加される。
媒体に転写されたフルカラー現像剤像は、定着ユニットによって加熱加圧されて媒体に融着される。
【0024】
一方、感光体20Y、20M、20C、20Kは一次転写位置を経過した後に、除電ユニット73Y、73M、73C、73Kによって除電され、さらに、感光体クリーニングユニット75Y、75M、75C、75Kに支持された感光体クリーニングブレード76Y、76M、76C、76Kによって、その表面に付着している現像剤が掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされた現像剤は、感光体クリーニングユニット75Y、75M、75C、75Kが備える残存現像剤回収部に回収される。
【0025】
===制御ユニットの概要===
次に、制御ユニット100の構成について図2を参照しつつ説明する。制御ユニット100のメインコントローラ101は、インターフェイス112を介してホストコンピュータと接続され、このホストコンピュータから入力された画像信号を記憶するための画像メモリ113を備えている。ユニットコントローラ102は、装置本体の各ユニット(帯電ユニット30Y、30M、30C、30K、露光ユニット40Y、40M、40C、40K、現像ユニット50Y、50M、50C、50K、一次転写ユニット60Y、60M、60C、60K、除電ユニット73Y、73M、73C、73K、感光体クリーニングユニット75Y、75M、75C、75K、二次転写ユニット80、定着ユニット、表示ユニット)と電気的に接続され、それらが備えるセンサからの信号を受信することによって、各ユニットの状態を検出しつつ、メインコントローラ101から入力される信号に基づいて、各ユニットを制御する。
【0026】
===現像ユニットの構成例===
次に、図3乃至図9を用いて、現像ユニットの構成例について説明する。図3は、現像ユニットの主要構成要素を示した断面図である。図4は、現像剤供給ローラ550の表面を表した斜視概念図である。図5は、「楕円形」の定義を説明するための説明図である。図7は、現像剤供給ローラ550の表面に、溝556が形成されている様子を示した模式図である。図8は、規制ブレード560のトレール(トレーリング)規制を表した模式図である。図9は、固定位置552aと当接部560aの、現像剤供給ローラ550(円柱状基材552)の長手方向における位置関係を示した正面模式図である。図6については、後述する。なお、図3においては、図1同様、矢印にて上下方向を示しており、例えば、現像ローラ510は、現像剤汲み上げローラ540よりも上方にある。また、円柱状基材552にワイヤー554が巻き付けられている様子を明示するために、図4及び図9においては、便宜上、実際のワイヤー554の径よりも大きい径を有するワイヤー554が示されている。
【0027】
プリンタ10には、現像ユニットとして、ブラック(K)現像剤を収容したブラック現像ユニット50K、マゼンタ(M)現像剤を収容したマゼンタ現像ユニット50M、シアン(C)現像剤を収容したシアン現像ユニット50C、及び、イエロー(Y)現像剤を収容したイエロー現像ユニット50Yが設けられているが、各現像ユニットの構成は同様であるので、以下、イエロー現像ユニット50Yについて説明する。
【0028】
イエロー現像ユニット50Yは、現像剤担持体の一例としての現像剤担持ローラ(本明細書において、当該現像剤担持ローラを現像ローラ510とも呼ぶ)と、現像剤収容部530と、現像剤汲み上げローラ540と、現像剤供給ローラ550と、規制部材の一例としての規制ブレード560と、現像ローラクリーニングユニット570とを有している。
【0029】
現像剤収容部530は、感光体20Yに形成された潜像を現像するための現像剤Dを収容する。この現像剤収容部530に収容されている現像剤Dは、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)をキャリアとした低濃度(1〜2wt%程度)かつ低粘度の、常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤Dである。すなわち、本実施の形態に係る液体現像剤Dは、シリコーンオイル等の不揮発性かつ絶縁性キャリア液中に、平均粒径0.1〜5μm程度の樹脂、顔料等からなるトナー粒子を高濃度(5〜40wt%程度)に分散させた高粘度(100〜10000mPa・s程度)現像剤Dである。
【0030】
現像剤汲み上げローラ540は、現像剤収容部530に収容されている現像剤Dを汲み上げて現像剤供給ローラ550へ搬送する。この現像剤汲み上げローラ540は、その下部が現像剤収容部530に収容された現像剤Dに浸されており、また、現像剤供給ローラ550から、約1mmの幅を持って離間している。
【0031】
さらに、現像剤汲み上げローラ540は、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、現像剤供給ローラ550の回転中心軸よりも下方にある。また、現像剤汲み上げローラ540は、現像剤供給ローラ550の回転方向(図3において時計方向)と同じ方向(図3において時計方向)に回転する。なお、現像剤汲み上げローラ540は、現像剤収容部530に収容された現像剤Dを汲み上げて現像剤供給ローラ550へ搬送する機能を有するとともに、現像剤Dを適正な状態に維持するために現像剤Dを撹拌する機能をも有している。
【0032】
現像剤供給ローラ550は、現像剤収容部530から現像剤汲み上げローラ540により搬送された現像剤Dを現像ローラ510へ供給する。この現像剤供給ローラ550は、円柱状基材552と一本のワイヤー554とを有している。
円柱状基材552は、アルミニウム製の部材であり、その直径は約25mmである。また、当該円柱状基材552の表面の算術平均粗さRa(JIS B 0601−1994準拠)は、後述するワイヤー554の表面の算術平均粗さRaよりも大きくて、その値は、約0.15μmである。
ワイヤー554は、SUS304製の部材であり、楕円形の断面を有している。当該楕円形の長径aは約130μm、短径bは約100μmである。また、当該ワイヤー554の表面の算術平均粗さRaは、約0.03μmである。そして、当該ワイヤー554は、図4に示すように、円柱状基材552に螺旋上に巻き付けられている。なお、本明細書において、「楕円形」とは、完全な楕円形のみを意味するものではなく、例えば、図5に示すような、長方形の角部が丸まった形状、をも意味する。
【0033】
ここで、ワイヤー554の、円柱状基材552への巻き付け方について、図6を用いてより詳細に説明する。図6は、ワイヤー554が円柱状基材552に巻き付けられている様子を示す断面図である。なお、図6には、円柱状基材552及びワイヤー554の、ワイヤー554の進み方向(図6において、紙面を貫く方向)に直交する直交面と交わる断面、を示している。前述したとおり、ワイヤー554は、円柱状基材552に螺旋上に巻き付けられているため、ワイヤー554の進み方向は、円柱状基材552の長手方向(軸方向)と、厳密には直交しない。したがって、図6において矢印X3で示される方向は、円柱状基材552の長手方向(軸方向)から所定の微小角度だけ、ずれた方向となる。
【0034】
本図に示すように、ワイヤー554は、前記楕円形の短径方向X1が円柱状基材552の径方向X2に沿うように、円柱状基材552に巻き付けられている。また、本実施の形態においては、ワイヤー554は、ワイヤー554の隣り合う部分(例えば、図中、符号554a、554bで示す部分)が互いに接触するように巻き付けられている。
【0035】
なお、ワイヤー554は、該ワイヤー554の両端のみで、円柱状基材552に固定されている。すなわち、ワイヤー554の端部555(図4)は、円柱状基材552の長手方向端部に位置する該円柱状基材552の周面上の固定位置552a(図4)に、半田で接合されている。したがって、ワイヤー554は、半田による当該接合力と、円柱状基材552との摩擦力と、ワイヤー554の隣り合う部分が互いに接触することにより生ずる摩擦力とにより、円柱状基材552に対して適切に位置決めされている。
【0036】
上述したように、現像剤供給ローラ550は、円柱状基材552と、当該円柱状基材552に巻き付けられているワイヤー554と、を備えるから、現像剤供給ローラ550の表面には、図7に示すように、溝556(図7において、ワイヤー554の隣り合う部分と点線とで囲まれた部分)が形成される。後に詳述するが、当該溝556は、現像剤Dを保持する役割を果たす。本実施の形態において、当該溝556の最大幅wは、前記楕円形の長径aと等しく、約130μmであり、また、当該溝556の最大深さdは、前記楕円形の短径bの1/2と等しく、約50μmである。
【0037】
さらに、現像剤供給ローラ550は、当該現像剤供給ローラ550上の現像剤Dを現像ローラ510に適切に転写するために、その表面が、当該現像ローラ510の後述する弾性体の層に圧接している。また、現像剤供給ローラ550は、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、現像ローラ510の回転中心軸よりも下方にある。また、現像剤供給ローラ550は、現像ローラ510の回転方向(図3において反時計方向)と逆の方向(図3において時計方向)に回転する。
【0038】
規制ブレード560は、現像剤供給ローラ550の表面に、該現像剤供給ローラ550(円柱状基材552)の長手方向に沿って当接して、現像剤供給ローラ上の現像剤Dの量を規制する。すなわち、当該規制ブレード560は、現像剤供給ローラ550上の余剰現像剤を掻き取って、現像ローラ510に供給する現像剤供給ローラ550上の現像剤D、を計量する役割を果たす。この規制ブレード560は、弾性を有する弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材562より支持されている。規制ブレード560のゴム硬度は、JIS−Aで約77度である。
【0039】
また、規制ブレード560の、規制ブレード支持部材562に支持されている側とは逆側の端、すなわち、先端は、現像剤供給ローラ550に接触しておらず、該先端から所定距離だけ離れた部分が、現像ローラ510に幅を持って接触している。すなわち、規制ブレード560は、現像剤供給ローラ550にエッジにて当接しておらず、腹当たりにて当接している。また、図8に示されるように、規制ブレード560は、その先端が現像剤供給ローラ550の回転方向の下流側に向くように配置されており、いわゆるトレール(トレーリング)規制を行う。図8に示されるように、本実施の形態において、そのトレール(トレーリング)角度は約15度である。また、規制ブレード560は、図9に示されるように、現像剤供給ローラ550(円柱状基材552)の長手方向において前記固定位置552aが規制ブレード560の現像剤供給ローラ550への当接部560aよりも外側に位置するように、配置されている。
【0040】
現像ローラ510は、感光体20Yに担持された潜像を現像剤Dにより現像するために、現像剤Dを担持して感光体20Yと対向する現像位置に搬送する。この現像ローラ510は、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性部の一例としての弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ510は、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で現像剤供給ローラ550及び感光体20Yのそれぞれに圧接している。
【0041】
また、現像ローラ510は、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、感光体20Yの回転中心軸よりも下方にある。また、現像ローラ510は、感光体20Yの回転方向(図3において時計方向)と逆の方向(図3において反時計方向)に回転する。なお、感光体20Y上に形成された潜像を現像する際には、現像ローラ510と感光体20Yとの間に電界が形成される。
【0042】
現像ローラクリーニングユニット570は、現像ローラ510の表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード571を有し、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ510上に残存する現像剤Dを現像ローラクリーニングブレード571により掻き落として除去するための装置である。
【0043】
このように構成されたイエロー現像ユニット50Yにおいて、現像剤汲み上げローラ540が、その中心軸回りに回転することによって、現像剤収容部530に収容されている現像剤Dを汲み上げて現像剤供給ローラ550へ搬送する。
【0044】
現像剤供給ローラ550に搬送された現像剤Dは、現像剤供給ローラ550の回転によって、規制ブレード560の当接位置に至る。そして、当該当接位置を通過する際に、現像剤Dの余剰分が規制ブレード560によって掻き取られ、現像ローラ510に供給される現像剤Dの現像剤量が計量される。すなわち、現像剤供給ローラ550には、前述したとおり、溝556が設けられているから、現像剤供給ローラ550に当接する規制ブレード560は、現像剤供給ローラ550上の現像剤Dを溝556に保持された現像剤Dを残して掻き取ることとなる。また、現像ローラ510に供給される現像剤Dの現像剤量が適正な量になるように溝556の寸法(換言すれば、ワイヤー554の寸法)が決められているので、規制ブレード560が現像剤供給ローラ550上の現像剤Dを掻き取った際には、溝556によって適正な量に計量された現像剤Dが溝556に残存することとなる。
【0045】
現像剤供給ローラ550の溝556に保持された現像剤Dは、現像剤供給ローラ550のさらなる回転によって、現像ローラ510との圧接位置に至る。当該圧接位置に至った現像剤Dは、現像剤供給ローラ550と現像ローラ510が圧接することにより生ずる圧力の作用より、現像剤供給ローラ550から現像ローラ510へ転写され、現像ローラ510上には現像剤Dの薄膜が形成される。
【0046】
このようにして現像ローラ510上に形成された現像剤Dの薄膜は、現像ローラ510の回転によって、感光体20Yに対向する現像位置(すなわち、感光体20Yとの圧接位置)に至り、該現像位置にて所定の大きさの電界下で感光体20Y上に形成された潜像の現像に供される。現像位置を通過した現像ローラ510上の現像剤Dは、現像ローラ510のさらなる回転によって、現像ローラクリーニングブレード571の当接位置に至る。そして、当該当接位置を通過する際に、現像ローラクリーニングブレード571によって、現像ローラ510の表面に付着している現像剤Dが掻き落とされ、掻き落とされた現像剤Dは、現像ローラクリーニングユニット570が備える残存現像剤回収部に回収される。
【0047】
===本実施の形態に係る現像剤供給ローラ等の有効性について===
上述したとおり、現像剤Dは、現像剤供給ローラ550から現像ローラ510へ供給され、その後、現像ローラ510の回転により、潜像の現像のために感光体20Yに対向する現像位置に搬送される。そして、膜圧が不均一な現像剤Dにより、潜像を現像して画像を形成した場合には、その画質に劣化が生じることとなるから、現像剤Dが現像位置に搬送される際には、現像ローラ510上の現像剤Dの膜厚が均一になっている必要がある。
【0048】
一方、本実施の形態に係る現像剤供給ローラ550は、円柱状基材552と、楕円形の断面を有し、該楕円形の短径方向X1が前記円柱状基材552の径方向X2に沿うように、前記円柱状基材552に巻き付けられているワイヤー554と、を備えるから、当該現像剤供給ローラ550の表面には、図7に示した形状を有する溝556が形成されている。そして、かかる形状を有する溝556に保持された現像剤Dの膜厚は、当該現像剤Dが、現像ローラ510に供給される際に、又は、その後、現像ローラ510の回転により、前記現像位置に搬送される際に、適切に均一化され、現像位置に至った現像剤Dの膜厚は均一なものとなる。
【0049】
比較例(従来例)と比較しながら、図10及び図11を用いて具体的に説明する。図10及び図11は、現像剤供給ローラ550の溝556に保持された現像剤Dが、現像ローラ510との圧接位置で、現像ローラ510へ転写される様子を示す模式図である。図10が、本実施の形態に係る例(以下、本件例とも呼ぶ)を示す模式図であり、図11が、比較例を示す模式図である。なお、本件例と比較する比較例としては、円柱状基材552と、直径約100μmの円形の断面を有し前記円柱状基材552に巻き付けられているワイヤー554と、を備える現像剤供給ローラ550、が設けられた現像装置を用いる。
【0050】
図10及び図11より明らかなように、本件例と比較例のいずれの場合においても、現像ローラ510へ転写される前の溝556に保持された現像剤Dの膜厚は、均一ではない。すなわち、現像剤Dの膜厚は、ワイヤー554が現像ローラ510と接触する位置において最小(0μm)となり、2つの隣り合う当該接触位置の中間において最大(50μm)となる。
【0051】
一方、溝556に保持された現像剤Dが、現像ローラ510に供給される際に、又は、その後、現像剤Dが、現像ローラ510の回転により、前記現像位置に搬送される際に、当該現像剤Dがなだらか(平坦)な状態(例えば、図12に示す状態)に移行しようとする現象(セルフレベリング現象)が発生することが、知られている。当該セルフレベリング現象を適切に発生させることができれば、現像剤Dの膜厚は、当該現像剤Dが、現像ローラ510に供給される際に、又は、その後、現像ローラ510の回転により、前記現像位置に搬送される際に、適切に均一化され、現像位置に至った現像剤Dの膜厚は均一なものとなる。しかしながら、当該セルフレベリング現象が適切に発生するかどうかは、溝556に保持された現像剤Dの形状(換言すれば、溝556の形状)に依存する。
【0052】
ここで、本件例と比較例のうちのどちらにおいて、現像剤Dのセルフレベリング現象がより適切に発生するかについて考察する。先ず、図10及び図11から明らかなように、本件例に係る現像剤供給ローラ550の溝556に保持された現像剤Dの形状は、比較例に係る現像剤供給ローラ550の溝556に保持された現像剤Dの形状に比べて、横長なものとなっているため(本件例の場合には、溝556の縦横比が50/130=約0.38であるのに対し、比較例の場合には、当該縦横比が50/100=0.5である)、現像剤Dがなだらか(平坦)な状態(例えば、図12に示す状態)に移行しやすくなっている。また、図10に示される形成角α1が、図11に示される形成角α2よりも小さいため、本件例の方が比較例に比べて、現像剤Dがなだらか(平坦)な状態(例えば、図12に示す状態)に移行しやすい。
【0053】
このように、本実施の形態に係る現像剤供給ローラ550は、円柱状基材552と、楕円形の断面を有し、該楕円形の短径方向X1が前記円柱状基材の径方向X2に沿うように、前記円柱状基材552に巻き付けられているワイヤー554と、を備えるから、当該現像剤供給ローラ550に形成された溝556、に保持される現像剤Dの形状は、図10に示すような形状となる。そして、現像剤Dの当該形状は、現像剤Dのセルフレベリング現象を適切に発生させるために好適な形状であると言える。そのため、溝556に保持された現像剤Dの膜厚は、当該現像剤Dが、現像ローラ510に供給される際に、又は、その後、現像ローラ510の回転により、前記現像位置に搬送される際に、適切に均一化され、現像位置に至った現像剤Dの膜厚は均一なものとなる。したがって、潜像を現像して画像を形成した場合にその画質に劣化が生じること、が適切に防止される。
【0054】
なお、現像ローラ510上の現像剤Dを観察したところ、比較例の場合には、数ミクロンレベルの、現像剤Dが途切れている部分、が見られたが、本件例の場合には、このような部分は見られなかった。したがって、このことからも、本件例の場合には、現像剤Dの膜厚が、セルフレベリング現象により、適切に均一化されていることがわかる。
【0055】
===その他の実施の形態===
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係る現像装置等を説明したが、上記発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0056】
上記実施の形態においては、画像形成装置として中間転写型のフルカラーレーザビームプリンタを例にとって説明したが、本発明は、中間転写型以外のフルカラーレーザビームプリンタにも適用可能である。また、フルカラーレーザプリンタだけではなく、モノクロレーザビームプリンタにも適用可能である。また、プリンタだけでなく、複写機、ファクシミリなどの各種画像形成装置にも適用可能である。
【0057】
また、感光体についても、円筒状の基材の外周面に感光層を設けて構成した、いわゆる感光ローラに限られず、ベルト状の基材の表面に感光層を設けて構成した、いわゆる感光ベルトであってもよい。
【0058】
また、上記実施の形態において、前記現像剤担持体は、現像剤担持ローラ(現像ローラ510)であることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、ベルト状の現像ベルトであってもよい。
【0059】
また、上記実施の形態において、規制ブレード560は、現像剤供給ローラ550に、腹当たりにて当接していることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、エッジにて当接していることとしてもよい。
【0060】
また、上記実施の形態において、規制ブレード560は、その先端が現像剤供給ローラ550の回転方向の下流側に向くように配置されており、いわゆるトレール(トレーリング)規制を行うこととしたが、これに限定されるものではなく、例えば、その先端が現像剤供給ローラの回転方向の上流側に向くように配置されており、いわゆるカウンター規制を行うこととしてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態において、現像ローラ510は、弾性体の層を有し、現像剤供給ローラ550は、現像ローラ510の該弾性体の層に圧接して、現像剤Dを現像ローラ510に供給することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、現像ローラと現像剤供給ローラとの間に、中間ローラが設けられており、現像剤供給ローラは、当該中間ローラを介して、現像剤Dを現像ローラに供給することとしてもよい。
【0062】
現像剤供給ローラ550が、現像ローラ510の弾性体の層に圧接して、現像剤Dを現像ローラ510に供給する場合には、現像剤供給ローラが、中間ローラを介して、現像剤Dを現像ローラに供給する場合に比べて、セルフレベリング現象を発生させるための十分な時間が得られなくなる。したがって、上述した効果、すなわち、図10に示すような形状を有する現像剤Dを現像剤供給ローラ550から現像ローラ510へ転写して、セルフレベリング現象を適切に発生させ、画質の劣化を防止するという効果、がより有効に発揮される点で、上記実施の形態の方がより効果的である。
【0063】
また、上記実施の形態においては、弾性を備え、現像剤供給ローラ550の表面に当接して、該現像剤供給ローラ550上の現像剤Dの量を規制するための規制ブレード560を有することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、現像剤供給ローラ550上の現像剤Dの量を規制するためのエアナイフを有することとしてもよいし、弾性を備えない規制ブレードを有することとしてもよい。
ただし、現像剤供給ローラ550上の現像剤Dを、より適切に掻き取ることができる点で上記実施の形態の方が望ましい。
【0064】
また、上記実施の形態において、円柱状基材552の表面の算術平均粗さRaは、ワイヤー554の表面の算術平均粗さRaよりも大きいこととしたが、これに限定されるものではなく、例えば、円柱状基材の表面の算術平均粗さRaは、ワイヤーの表面の算術平均粗さRaよりも小さいこととしてもよいし、双方の算術平均粗さRaが同じであることとしてもよい。
ただし、円柱状基材552の表面に形成された凹凸の作用により、ワイヤー554が円柱状基材552に対し適切に位置決めされる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0065】
また、上記実施の形態においては、一本のワイヤー554が、円柱状基材552に巻き付けられていることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、複数のワイヤーが、円柱状基材に巻き付けられていることとしてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態において、ワイヤー554は、円柱状基材552に、螺旋状に巻き付けられていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ワイヤーが、その進み方向が円柱状基材の周方向に沿うように、複数巻き付けられていることとしてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態において、前記現像剤Dは、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤であることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、当該現像剤は、Isopar(商標:エクソン)をキャリアとした低濃度(1〜2wt%程度)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤であってもよい。
【0068】
常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤は、その不揮発性を発揮させるためにその粘度が高くなっている。高粘度の液体現像剤を上述した現像装置に使用した場合には、その粘度の高さに起因して、前述したセルフレベリング現象が発生しにくくなる。したがって、上述した効果、すなわち、図10に示すような形状を有する現像剤Dを現像剤供給ローラ550から現像ローラ510へ転写して、セルフレベリング現象を適切に発生させ、画質の劣化を防止するという効果、がより有効に発揮される点で、上記実施の形態の方がより効果的である。
【0069】
===画像形成システム等の構成===
次に、本発明に係る実施の形態の一例である画像形成システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0070】
図13は、画像形成システムの外観構成を示した説明図である。画像形成システム700は、コンピュータ702と、表示装置704と、プリンタ706と、入力装置708と、読取装置710とを備えている。コンピュータ702は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置704は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ706は、上記に説明されたプリンタが用いられている。入力装置708は、本実施形態ではキーボード708Aとマウス708Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置710は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置710AとCD−ROMドライブ装置710Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magneto Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
【0071】
図14は、図13に示した画像形成システムの構成を示すブロック図である。コンピュータ702が収納された筐体内にRAM等の内部メモリ802と、ハードディスクドライブユニット804等の外部メモリがさらに設けられている。
【0072】
なお、以上の説明においては、プリンタ706が、コンピュータ702、表示装置704、入力装置708、及び、読取装置710と接続されて画像形成システムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、画像形成システムが、コンピュータ702とプリンタ706から構成されても良く、画像形成システムが表示装置704、入力装置708及び読取装置710のいずれかを備えていなくても良い。
【0073】
また、例えば、プリンタ706が、コンピュータ702、表示装置704、入力装置708、及び、読取装置710のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。一例として、プリンタ706が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部等を有する構成としても良い。
【0074】
このようにして実現された画像形成システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。
【図2】図1の画像形成装置の制御ユニットを示すブロック図である。
【図3】現像ユニットの主要構成要素を示した断面図である。
【図4】現像剤供給ローラ550の表面を表した斜視概念図である。
【図5】「楕円形」の定義を説明するための説明図である。
【図6】ワイヤー554が円柱状基材552に巻き付けられている様子を示す断面図である。
【図7】現像剤供給ローラ550の表面に、溝556が形成されている様子を示した模式図である。
【図8】規制ブレード560のトレール(トレーリング)規制を表した模式図である。
【図9】固定位置552aと当接部560aの、現像剤供給ローラ550(円柱状基材552)の長手方向における位置関係を示した正面模式図である。
【図10】本件例に係る現像剤供給ローラ550の溝556に保持された現像剤Dが、現像ローラ510との圧接位置で、現像ローラ510へ転写される様子を示す模式図である。
【図11】比較例に係る現像剤供給ローラ550の溝556に保持された現像剤Dが、現像ローラ510との圧接位置で、現像ローラ510へ転写される様子を示す模式図である。
【図12】現像剤Dが、セルフレベリング現象により、なだらか(平坦)な状態になった様子を示す模式図である。
【図13】画像形成システムの外観構成を示した説明図である。
【図14】図13に示した画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0076】
10 レーザビームプリンタ
15Y、15M、15C、15K 現像部
20Y、20M、20C、20K 感光体
30Y、30M、30C、30K 帯電ユニット
40Y、40M、40C、40K 露光ユニット
50Y、50M、50C、50K 現像ユニット
60Y、60M、60C、60K 一次転写ユニット
70 中間転写体
73Y、73M、73C、73K 除電ユニット
75Y、75M、75C、75K 感光体クリーニングユニット
76Y、76M、76C、76K 感光体クリーニングブレード
80 二次転写ユニット
100 制御ユニット 101 メインコントローラ
102 ユニットコントローラ 112 インターフェイス
113 画像メモリ
510 現像ローラ 530 現像剤収容部
540 現像剤汲み上げローラ 550 現像剤供給ローラ
552 円柱状基材 552a 固定位置
554 ワイヤー
554a 隣り合う部分 554b 隣り合う部分
555 端部 556 溝
560 規制ブレード 560a 当接部
562 規制ブレード支持部材
570 現像ローラクリーニングユニット
571 現像ローラクリーニングブレード
700 画像形成システム 702 コンピュータ
704 表示装置 706 プリンタ
708 入力装置
708A キーボード 708B マウス
710 読取装置
710A フレキシブルディスクドライブ装置
710B CD−ROMドライブ装置
802 内部メモリ
804 ハードディスクドライブユニット
D 現像剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、
円柱状基材と、楕円形の断面を有し、該楕円形の短径方向が前記円柱状基材の径方向に沿うように、前記円柱状基材に巻き付けられているワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、
を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記現像剤担持体は、現像剤担持ローラであることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の現像装置において、
前記現像剤担持体は、弾性部を有し、
前記現像剤供給ローラは、前記現像剤担持体の該弾性部に圧接して、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給することを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の現像装置において、
弾性を備え、前記現像剤供給ローラの表面に当接して、該現像剤供給ローラ上の液体現像剤の量を規制するための規制部材を有することを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の現像装置において、
前記円柱状基材の表面の算術平均粗さは、前記ワイヤーの表面の算術平均粗さよりも大きいことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の現像装置において、
前記ワイヤーは、前記円柱状基材に、螺旋状に巻き付けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の現像装置において、
前記液体現像剤は、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤であることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、
円柱状基材と、楕円形の断面を有し、該楕円形の短径方向が前記円柱状基材の径方向に沿うように、前記円柱状基材に巻き付けられているワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、
を有し、
前記現像剤担持体は、現像剤担持ローラであり、
前記現像剤担持体は、弾性部を有し、
前記現像剤供給ローラは、前記現像剤担持体の該弾性部に圧接して、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給し、
弾性を備え、前記現像剤供給ローラの表面に当接して、該現像剤供給ローラ上の液体現像剤の量を規制するための規制部材を有し、
前記円柱状基材の表面の算術平均粗さは、前記ワイヤーの表面の算術平均粗さよりも大きくて、
前記ワイヤーは、前記円柱状基材に、螺旋状に巻き付けられており、
前記液体現像剤は、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤であることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
液体現像剤を現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラであって、
円柱状基材と、楕円形の断面を有し、該楕円形の短径方向が前記円柱状基材の径方向に沿うように、前記円柱状基材に巻き付けられているワイヤーと、を有することを特徴とする現像剤供給ローラ。
【請求項10】
潜像を担持するための像担持体と、
前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像装置であって、液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、楕円形の断面を有し、該楕円形の短径方向が前記円柱状基材の径方向に沿うように、前記円柱状基材に巻き付けられているワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、を有する現像装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項11】
コンピュータ、及び、
このコンピュータに接続可能な画像形成装置であって、潜像を担持するための像担持体と、前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像装置であって、液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、楕円形の断面を有し、該楕円形の短径方向が前記円柱状基材の径方向に沿うように、前記円柱状基材に巻き付けられているワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、を有する現像装置と、を備えた画像形成装置、
を有する画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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