説明

現像装置、画像形成ユニット、及び画像形成装置

【課題】複数の供給ローラから現像ローラに安定した量のトナーを継続的に供給することができる現像装置、並びに、良好な画像を形成することができる画像形成ユニット及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置13は、画像形成装置100又は画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cに含まれる現像部であり、トナーを収容するトナー収容部20と、現像ローラ30と、現像ローラ30にトナーを供給する第1の供給ローラ31と、第1の供給ローラ31によりトナーが供給された現像ローラ30にトナーをさらに供給する第2の供給ローラ32と、トナー収容部20内を区画して、第1の供給ローラ31を収容する第1のトナー収容室21と第2の供給ローラ32を収容する第2のトナー収容室22とを形成する隔壁24とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真記録方式の画像形成装置に備えられる現像装置、この現像装置を含む画像形成ユニット、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真記録方式の画像形成装置においては、一様に帯電した感光体ドラムの表面に露光を施して静電潜像を形成し、現像装置の現像ローラから供給されるトナーによって静電潜像を現像してトナー画像を形成し、このトナー画像を用紙上に転写し、定着させることにより、画像を形成している。現像ローラへのトナー供給は、現像装置のトナー収容部内に備えられている供給ローラによって行われる。
【0003】
ところが、1台の供給ローラによって現像ローラにトナーを供給する場合には、用紙の搬送方向の前半領域と後半領域とにおいて濃度段差(後半領域の濃度が低くなる現象)が発生し、特に、印刷領域の全域を黒で塗りつぶした画像(べた黒画像)に近い画像を印刷する場合には、濃度段差が目立つという問題があった。このような問題を解決するために、2本の供給ローラを備え、第1の供給ローラによって現像ローラの表面にトナーを供給し、その後、第2の供給ローラによって現像ローラにトナーをさらに供給する現像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−39628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トナー収容部内に現像ローラに接する2本の供給ローラを配置した場合には、各種要因(例えば、トナー収容部内に収容されているトナーの残量、長期の使用によるトナーの劣化、トナー収容部の形状、トナー収容部内における各供給ローラの位置など)により、トナー収容部内にトナーが残っているにもかかわらず、一方の供給ローラによるトナー供給量だけが低下することがあった。この場合には、現像ローラに安定した量のトナーが継続的に供給されなくなり、印刷された画像にかすれ等の画像品質の低下が発生するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、2本の供給ローラから現像ローラに安定した量のトナーを継続的に供給することができる現像装置、この現像装置を含む画像形成ユニット、及び高品質な画像を形成することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る現像装置は、現像剤を収容する現像剤収容部と、像担持体に供給される現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に対向配置され、前記現像剤担持体に、前記現像剤収容部に収容されている現像剤を供給する第1の供給部材と、前記現像剤担持体に対向配置され、前記第1の供給部材によって現像剤が供給された前記現像剤担持体に、前記現像剤収容部に収容されている現像剤を供給する第2の供給部材と、前記現像剤収容部を、前記第1の供給部材を収容する第1の収容室を区画して、前記第2の供給部材を収容する第2の収容室とを形成する隔壁とを有することを特徴としている。
【0008】
また、本発明の他の態様に係る画像形成ユニットは、像担持体と、前記像担持体の表面を一様に帯電させる帯電部と、静電潜像が形成された前記像担持体の表面に現像剤を供給して現像剤像を形成する現像部とを有し、前記現像部が、現像剤を収容する現像剤収容部と、前記像担持体に供給される現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に対向配置され、前記現像剤担持体に、前記現像剤収容部に収容されている現像剤を供給する第1の供給部材と、前記現像剤担持体に対向配置され、前記第1の供給部材によって現像剤が供給された前記現像剤担持体に、前記現像剤収容部に収容されている現像剤を供給する第2の供給部材と、前記現像剤収容部内を区画して、前記第1の供給部材を収容する第1の収容室と前記第2の供給部材を収容する第2の収容室とを形成する隔壁とを含むことを特徴としている。
【0009】
また、本発明の他の態様に係る画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体の表面を一様に帯電させる帯電部と、帯電した前記像担持体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光部と、静電潜像が形成された前記像担持体の表面に現像剤を供給して現像剤像を形成する現像部と、前記現像剤像を記録媒体上に転写させる転写部と、転写された前記現像剤像を前記記録媒体上に定着させる定着部とを有し、前記現像部が、現像剤を収容する現像剤収容部と、前記像担持体に供給される現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に対向配置され、前記現像剤担持体に、前記現像剤収容部に収容されている現像剤を供給する第1の供給部材と、前記現像剤担持体に対向配置され、前記第1の供給部材によって現像剤が供給された前記現像剤担持体に、前記現像剤収容部に収容されている現像剤を供給する第2の供給部材と、前記現像剤収容部内を区画して、前記第1の供給部材を収容する第1の収容室と前記第2の供給部材を収容する第2の収容室とを形成する隔壁とを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る現像装置によれば、2本の供給部材から現像剤担持体に安定した量の現像剤を継続的に供給することができるという効果を得ることができる。
【0011】
本発明に係る画像形成ユニット及び画像形成装置によれば、記録媒体上に高品質な画像を形成することができるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像形成ユニットの構成を概略的に示す縦断面図である。
【図3】図2に示される現像部(現像装置)の内部をD2方向に見た場合を概略的に示す平面図である。
【図4】図2に示される現像部の隔壁の一例を概略的に示す斜視図である。
【図5】図2に示される現像部の隔壁の一例を拡大して示す概略的な縦断面図である。
【図6】図2に示される現像部において第1のトナー収容室及び第2のトナー収容室の収容容積を示す図である。
【図7】(a)及び(b)は、隔壁が備えられていない比較例の現像部における課題を示す説明図である。
【図8】(a)は、第1の実施形態に係る現像部の第2の供給ローラに供給されるトナーを示す図であり、(b)は、隔壁が備えられていない比較例の現像部の第2の供給ローラに供給されるトナーを示す図である。
【図9】第2の実施形態に係る画像形成ユニットの構成を概略的に示す縦断面図である。
【図10】図9に示される現像部(現像装置)の隔壁の動きを示す概略的な側面図である。
【図11】図9に示される現像部の隔壁の一例を概略的に示す斜視図である。
【図12】(a)〜(c)は、図9に示される現像部の隔壁の動作を示す概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
《1》第1の実施形態
《1−1》第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置100の構成を概略的に示す図である。図1に示されるように、画像形成装置100は、記録媒体としての用紙P上に黒色の画像(ブラックトナー画像)を形成する画像形成部(画像形成ユニット)1Kと、用紙P上にイエロー色の画像(イエロートナー画像)を形成する画像形成部(画像形成ユニット)1Yと、用紙P上にマゼンタ色の画像(マゼンタトナー画像)を形成する画像形成部(画像形成ユニット)1Mと、用紙P上にシアン色の画像(シアントナー画像)を形成する画像形成部(画像形成ユニット)1Cとを有している。画像形成装置100は、各色の画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cを、無端状の搬送ベルト2による用紙Pの搬送方向の順に、搬送ベルト2に沿って配列した、タンデム方式のカラープリンタである。画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cはそれぞれ、画像形成装置100の筐体内部に着脱自在に装着されている。図1に示される画像形成装置100は、電子写真記録方式を採用したカラープリンタであるが、本発明は、モノクロプリンタ及び1つの像担持体で4サイクルの印刷を行うことによってカラー画像を形成するカラープリンタ、並びに、複写機、ファクシミリ、MFP(多機能周辺装置)などのような他の装置にも適用することができる。また、画像形成ユニットの個数は、4台に限定されず、3台以下又は5台以上とすることもできる。
【0014】
また、図1に示されるように、画像形成装置100は、黒色用の画像情報に対応する露光を施す露光部としてのLEDアレイヘッド3Kと、イエロー色用の画像情報に対応する露光を施す露光部としてのLEDアレイヘッド3Yと、マゼンタ色用の画像情報に対応する露光を施す露光部としてのLEDアレイヘッド3Mと、シアン色用の画像情報に対応する露光を施す露光部としてのLEDアレイヘッド3Cと、搬送ベルト2を挟んで画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cにそれぞれ対向配置された転写ローラ4K,4Y,4M,4Cとを有している。また、画像形成装置100は、搬送ベルト2が巻き掛けられる1対の駆動ローラ41,42と、搬送ベルト2の表面に付着したトナーを掻き取るクリーニングブレード43と、クリーニングブレード43により掻き取られたトナーを収容する廃トナーボックス44とを有している。なお、露光部の光源はLEDに限らず、レーザー光源などの他の光源であってもよい。また、搬送ベルト2及びその駆動ローラ41,42の構造は、図示の例に限定されない。また、搬送ベルト2に代えて、トナー画像を保持する中間転写ベルトを備え、中間転写ベルト上のトナー画像を用紙に転写させるように構成することもできる。
【0015】
また、画像形成装置100は、搬送ベルト2に供給される用紙Pが積載される給紙トレイ51と、給紙トレイ51に積載された用紙Pを1枚ずつ送り出す給紙ローラ52と、給紙された用紙Pを搬送ベルト2上に運ぶ1対のローラ(すなわち、搬送ローラ53及び押えローラ54)とを有している。
【0016】
また、画像形成装置100は、トナー画像が転写された用紙Pにトナー画像を定着させるための1対のローラ(すなわち、加熱ローラ61及び加圧ローラ62)を具備する定着器63と、定着器63を通過した用紙Pを排出させる1対のローラ(すなわち、排出ローラ64及び押えローラ65)と、排出された用紙Pを収容する排出カセット66とを有している。
【0017】
図2は、第1の実施形態に係る画像形成ユニット1Kの構成を概略的に示す縦断面図である。図2に示されるように、画像形成ユニット1Kは、静電潜像及び静電潜像に対応するトナー画像を担持する像担持体としての感光体ドラム11と、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる帯電部としての帯電ローラ12と、LEDアレイヘッド3Kによって静電潜像が形成された感光体ドラム11の表面にトナー(現像剤)を供給してトナー像を形成する現像部(現像装置)13と、感光体ドラム11の表面の残留トナーを掻き取るクリーニングブレード14と、この掻き取られたトナーを収容する廃トナーボックス15とを有している。感光体ドラム11は、画像形成ユニット1K本体に支軸11aを中心にして矢印D11方向に回転可能に支持されており、帯電ローラ12は画像形成ユニット1K本体に支軸12aを中心に回転可能に支持されている。
【0018】
現像部13は、現像剤としてのトナーを収容する現像剤収容部としてのトナー収容部(トナー収容容器)20を有している。トナー収容部20内は、隔壁24によって区画されている。トナー収容部20内には、隔壁24によって、第1の現像剤収容室としての第1のトナー収容室21と、第2の現像剤収容室としての第2のトナー収容室22とが形成されている。トナー収容部20は、第1のトナー収容室21及び第2のトナー収容室22の上部に、トナーカートリッジ(図示せず)から供給されて第1のトナー収容室21又は第2のトナー収容室22に供給するトナーTが貯蔵される第3の現像剤収容部としての第3のトナー収容室23を有している。トナー収容部20のトナー供給口26には、トナーカートリッジ(図示せず)が装着され、トナーカートリッジから第3のトナー収容室23内にトナーが補給される。トナー収容部20に収容されるトナーTの一例は、ポリエステル樹脂、着色剤、帯電制御剤、離型剤、及び外添剤(疎水性シリカ)から構成されており、粉砕法により得られた粉砕形状の粒子(平均粒径8[μm])から成る現像剤である。
【0019】
現像部13は、感光体ドラム11の表面にトナーを供給する現像剤担持体としての現像ローラ30と、第1のトナー収容室21内に備えられた第1の供給部材としての第1の供給ローラ31と、第1のトナー収容室21内に備えられた攪拌部材としての攪拌バー33,34と、第2のトナー収容室22内に備えられた第2の供給部材としての第2の供給ローラ32と、第2のトナー収容室22内に備えられた攪拌部材としての攪拌バー35と、第3のトナー収容室23内に備えられた攪拌部材としての攪拌バー36とを有している。現像ローラ30は、画像形成ユニット1K本体に支軸30aを中心に回転可能に支持されており、第1の供給ローラ31は、画像形成ユニット1K本体に支軸31aを中心に回転可能に支持されており、第2の供給ローラ32は、画像形成ユニット1K本体に支軸32aを中心に回転可能に支持されている。第2の供給ローラ32は、第1の供給ローラ31より現像ローラ30の回転方向(矢印D30方向)の下流側に配置されている。図2の例では、第2の供給ローラ32は、第1の供給ローラ31の真上に配置されている。ただし、第2の供給ローラ32と第1の供給ローラ31との位置関係は、図示の例に限定されない。
【0020】
現像ローラ30は、例えば、金属製のシャフトの外周に弾性体を備えた構造を有している。現像ローラ30の一例としては、直径10[mm]の金属製のシャフトの外周上に、弾性体として肉厚3[mm]、ゴム硬度70°(アスカーC)の半導電性のウレタンゴムを備えた構造のものがある。ただし、現像ローラ30の構造、材質、寸法は上記例に限定されない。
【0021】
第1の供給ローラ31及び第2の供給ローラ32は、例えば、金属製のシャフトの外周に発泡体を備えることによって構成される。一例として、直径6[mm]の金属製シャフトの外周に硬度50°(アスカーF)のシリコン発砲体を厚さ3.5[mm]で成形したものを用いることができる。第1の実施形態では、第1の供給ローラ31と現像ローラ30との軸間距離及び第2の供給ローラ32と現像ローラ30との軸間距離を、13.5[mm]としている。また、第1の供給ローラ31は現像ローラ30と、周方向の長さで1.0[mm]接触しており、第2の供給ローラ32は現像ローラ30と、周方向の長さで同じ1.0[mm]接触している。ただし、第1の供給ローラ31及び第2の供給ローラ32の構造、材質、寸法、位置は、上記例に限定されない。また、第1の供給ローラ31と第2の供給ローラ32とは、通常は同じ構造、材質、及び大きさであるが、これらを、異なる構造、材質、又は大きさのものとすることもできる。
【0022】
現像部13のトナー収容部20には、トナー漏れ防止フィルム27が備えられている。トナー漏れ防止フィルム27は、一端が画像形成ユニット1Kであるトナ−収容部20の外壁に固定されており、多端は現像ローラ30の表面に接している。トナー漏れ防止フィルム27は、第1のトナー収容室21内のトナーTが外に漏れないようにする機能を有している。第1の供給ローラ31及び第2の供給ローラ32は、矢印D30方向に回転する現像ローラ30に接触しており、矢印D31方向及び矢印D32方向にそれぞれ回転する。また、現像部13のトナー収容部20には、現像ローラ30の表面に形成されるトナー層の厚さを規制するためのトナー層形成部材である層形成ブレード28が、現像ローラ30の表面に接触するように備えられている。
【0023】
図3は、図2に示される現像部13のトナー収容部20の内部を上から(図2の矢印D2方向に)見た場合を概略的に示す平面図である。図3に示されるように、トナー収容部20の内部には、第3のトナー収容室23内においてトナーの攪拌を行う攪拌部材としての攪拌バー36が備えられている。攪拌バー36は、トナー収容部20のトナー供給口26の下であって、隔壁24の上に配置されている。攪拌バー36は、トナー供給口26から供給されたトナーTを、第1のトナー収容室21及び第2のトナー収容室22のそれぞれに移動させるための構造、例えば、クランク形状のシャフトなど、を有している。このシャフトは、トナー収容部20に回転可能に備えられ、モータ及びギヤなどの駆動部からの駆動力を受けて回転する。
【0024】
また、図3に示されるように、トナー収容部20の内部には、第1のトナー収容室21内においてトナーを攪拌する攪拌バー34と、第2のトナー収容室22内においてトナーを攪拌する攪拌バー35とが備えられている。図3には示されていないが、第1のトナー収容室21内には、トナーを攪拌する攪拌バー33(図2に示される)が備えられている。攪拌バー33,34は、トナー収容部20の第1のトナー収容室21内のトナーTを攪拌する構造、例えば、クランク形状のシャフト、を有している。この攪拌バー33,34は、トナー収容部20に対して回転可能に備えられ、モータ及びギヤなどの駆動部からの駆動力を受けて回転する。攪拌バー35は、トナー収容部20の第2のトナー収容室21内のトナーTを攪拌する構造、例えば、クランク形状のシャフト、を有している。攪拌バー35は、トナー収容部20に回転可能に備えられ、モータ及びギヤなどの駆動部からの駆動力を受けて回転する。
【0025】
図4は、図2に示される現像部13の隔壁24の一例を概略的に示す斜視図である。また、図5は、図2に示される現像部13の隔壁24の一例を拡大して示す概略的な縦断面図である。図5は、図4に示される隔壁24をV−V線で切る面の縦断面形状を示している。隔壁24は、第2の供給ローラ32と僅かな間隔を開けて、第2の供給ローラ32の下側を覆う第1の部分241と、第1の部分241の現像ローラ30から遠い側の端部(辺)241aから、第2の供給ローラ32の上側に向けて(図5においては、左斜め上を向けて)延在する第2の部分242とを有している。第1の部分241は、画像形成ユニット1Kのトナー収容部20に固定されており、第2の部分242は、第1の部分241の現像ローラ30から遠い側の端部(辺)241aに固定された端部(辺)242aと、端部242aの反対側の端部242bとを有している。なお、隔壁24の第2の部分242の端部242bは、第1のトナー収容室21側及び第2のトナー収容室22側のいずれかに交互に移動可能に構成してもよい。第1のトナー収容室21と第2のトナー収容室22とを区画する隔壁24は、現像部13のトナー収容部20内で、長手方向(第2の供給ローラ32の支軸方向、すなわち、図5が描かれている紙面に直交する方向)に長尺な形状である。また、隔壁24の第2の部分242にはトナーTを通過させることができる複数の孔243が設けられている。孔243を隔壁24の第2の部分242に設けた理由は、第2の供給ローラ32と対向する第1の部分242に孔243を設けた場合には、隔壁24によって第2の供給ローラ32にトナーを押付ける力が弱まり、トナー付着量が減少するからである。このような理由から、孔243は、隔壁24の第2の部分242に設けることが望ましい。通常は、例えば、5[mm]×5[mm]の四角形の孔243が長手方向に並ぶように複数形成されている。複数の孔243は、例えば、1列に配列されており、第2の部分242に備えられている。ただし、孔243の個数、形状、大きさ、位置、配列は、現像部13の各構成の構造やトナーの特性などを考慮して決定することができる。
【0026】
図4及び図5の例では、第1の部分241は、第2の供給ローラ32の下側の表面に沿う曲面形状を有している。ただし、第1の部分241の形状は図示の例に限定されず、他の形状を採用することもできる。第2の供給ローラ32と隔壁24の第1の部分241との間隔(図5おける間隔G2)は、トナー供給性を損なわない範囲の間隔(例えば、0.5[mm]以上2.0[mm]以下、望ましくは、1.5[mm])に設定することが望ましい。同様に、第1の供給ローラ31とトナー収容部20の外壁25との関係も、第2の供給ローラ32と第1の部分241との関係と同様にすることが望ましい。第1の供給ローラ31とトナー収容部20の外壁25との間隔(図6における間隔G1)は、トナー供給性を損なわない範囲の間隔(例えば、0.5[mm]以上2.0[mm]以下、望ましくは、1.5[mm])に設定することが望ましい。これらの間隔G1,G2が、0.5[mm]よりも狭い場合には、第1又は第2の供給ローラ31,32が壁面に接触して削られるおそれがあるため、望ましくない。また、間隔G1,G2が2.0[mm]より広くなると、壁面によってトナーが第1又は第2の供給ローラ31,32の表面に押付けられる圧力が弱くなり、第1又は第2の供給ローラ31,32の表面にトナーが付着しないことが起こりうる。
【0027】
図6は、第1のトナー収容室21及び第2のトナー収容室22の収容容積を示す図である。第1のトナー収容室21がトナーを収容できる容量(容積)(図6におけるハッチング部分)と第2のトナー収容室22がトナー収容できる容量(容積)(図6におけるクロスハッチング部分)とは同じであることが望ましい。これは、通常、第1の供給ローラ31と第2の供給ローラ32とは、同じ条件で動作し、トナーの消費も同様に進むので、第1のトナー収容室21又は第2のトナー収容室22の一方のトナーが極端に早く無くなることを防ぐためである。ただし、第1のトナー収容室21の収容容積と第2のトナー収容室22の収容容積とは、必ずしも同じである必要はなく、第1の供給ローラ31によるトナー供給量(トナー消費量)と第2の供給ローラ32によるトナー供給量(トナー消費量)とに違いがある場合のような要因を考慮して、異なる容積としてもよい。例えば、第1の供給ローラ31によるトナー供給量(トナー消費量)が少なく第2の供給ローラ32によるトナー供給量(トナー消費量)が多い場合に、第2のトナー収容室22の容積を第1のトナー収容室21に容積より大きくしてもよい。一例として、第1のトナー収容室21と第2のトナー収容室22の容積比を、トナー供給量の比率に等しい値としてもよい。
【0028】
画像形成ユニット1Y,1M,1Cの構造は、基本的に、画像形成ユニット1Kの構造と同じである。ただし、画像形成ユニット1Y,1M,1Cの構造を、各色のトナーの特性の違いなどに応じて、個々に変更してもよい。
【0029】
《1−2》第1の実施形態の動作
第1の実施形態に係る画像形成装置100の画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cでは、トナーカートリッジからトナー供給口26を介して供給されたトナーTが第3のトナー収容室23を通り、第1のトナー収容室21及び第2のトナー収容室22の両方に供給される。
【0030】
画像形成装置100の動作モードがトナー供給モードになると、モータ及びギヤなどの駆動機構(図示せず)によって攪拌バー36,35,33と搬送用攪拌バー34が回転する。トナーカートリッジからトナー供給口26を介して第3のトナー収容室23に供給されたトナーは、重力及び第3のトナー収容室23内の攪拌バー36の回転によって、第2のトナー収容室22及び第1のトナー収容室21のそれぞれに供給される。第2のトナー収容室22に移動したトナーTは、攪拌バー35により攪拌されることにより凝集が防がれる。攪拌バー35により攪拌された後、トナーTは第2の供給ローラ32の表面に付着する。また、第1のトナー収容室21に移動したトナーTは、重力及び搬送用攪拌バー34の回転によって攪拌されながら下方に移動し、第1の供給ローラ31近傍の攪拌バー33により再度攪拌され、第1の供給ローラ31の表面に付着する。
【0031】
画像形成装置100に印刷指示が入力されると、モータ及びギヤなどの駆動機構(図示せず)によって、図2に示されるように、感光体ドラム11が矢印D11方向に、現像ローラ30が矢印D30方向に、第2の供給ローラ32が矢印D32方向に、及び第1の供給ローラ31が矢印D31方向に回転する。例えば、感光体ドラム11を線速(外周速度)130[mm/s]で駆動した場合、現像ローラ30は線速156[mm/s]、第2の供給ローラ32は109[mm/s]、第1の供給ローラ31は109[mm/s]で回転する。感光体ドラム11が回転すると、帯電ローラ12は、感光体ドラム11の回転に従動して回転し、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる。感光体ドラム11の表面が帯電した後に、LEDアレイヘッド3Kは、帯電した感光体ドラム11の表面に印刷用の黒色用の画像データに基づいた露光を施して、感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成する。
【0032】
一方、第1の供給ローラ31の表面に保持されたトナーTは、現像ローラ30の表面に供給され、第2の供給ローラ32に保持されたトナーTは、現像ローラ30の表面に供給される。現像ローラ30の表面のトナーTは、現像ローラ30に接触する層形成ブレード28を通過すると層厚が規制され、均一な層厚のトナー層になる。トナーTが付着する現像ローラ30の表面と、感光体ドラム11の表面とが接触すると、感光体ドラム11上の静電潜像にトナーTが移動して、感光体ドラム11の表面にトナー像(現像剤像)が形成される。
【0033】
他の色の画像形成ユニット1Y,1M,1Cにおいても、画像形成ユニット1Kにおける動作と同様の動作によって、各感光体ドラムの表面に静電潜像に応じた各色のトナー像が形成される。
【0034】
一方、駆動ローラ41,42が回転すると、無端状の搬送ベルト2は、矢印D1方向に回転移動する。そして、用紙Pは、給紙ローラ52により給紙された後、搬送ローラ53と押えローラ54に挟まれ、搬送ベルト2まで搬送される。用紙Pは、画像形成ユニット1Kの感光体ドラム11及び転写ローラ4Kに挟まれて搬送され、感光体ドラム11の表面の黒色のトナー像は、電源部から高電圧が印可されている転写ローラ4Kによって用紙Pに転写される。その後、用紙Pは、画像形成ユニット1Yの感光体ドラム及び転写ローラ4Yに挟まれて搬送され、感光体ドラムの表面のイエロー色のトナー像は、転写ローラ4Yによって用紙Pに転写される。同様に、転写ローラ4Mによってマゼンタ色のトナー像が用紙Pに転写され、転写ローラ4Cによってシアン色のトナー像が用紙Pに転写される。
【0035】
各色のトナー像が転写された用紙Pが加熱された加熱ローラ61とこれに対向配置された加圧ローラ62とに挟まれて搬送されて、加熱及び加圧され、用紙Pに各色のトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙Pは、回転する排出ローラ64とこれに対向配置された押えローラ65とに挟まれて搬送され、排出口から装置外の排出カセット66上に搬送される。以上により、1枚の用紙Pの印刷処理を終了する。
【0036】
なお、感光体ドラム11の表面のトナー像が用紙Pに転写された際に搬送ベルト2上に残留したトナー(残トナー)は、搬送ベルト2を介して駆動ローラ13と対向する位置に設けられたクリーニングブレード43によって掻き取り除去され、残トナー回収部44内に回収される。
【0037】
また、各画像形成ユニットにおいて、感光体ドラム11の表面上に残留したトナー(残トナー)は、クリーニングブレード14により掻き取られ、廃トナーボックス15内に回収される。
【0038】
図7(a)及び(b)は、隔壁が備えられていない比較例の現像部における課題を示す説明図である。図7(a)及び(b)において、図2に示される構成と同一又は対応する構成には、同じ符号を付す。この比較例の現像部は、隔壁24及び攪拌バー34を備えていない点が、図2に示される現像部13と相違する。トナー収容部20内のトナー収容室が1つである比較例の現像部を備えた画像形成装置では、図7(a)に斜線領域として示されるように、トナー収容部20内(すなわち、トナー収容室内)にトナーが満たされている必要がある。しかし、長期の使用によりトナーの外添剤が剥がれ、トナーの凝集が発生した場合などには、図7(b)に斜線領域として示されるように、トナー収容室内の下側の第1の供給ローラ31の周辺にトナーが搬送されなくなることがあった。この場合には、トナー収容室内の上側の第2の供給ローラ32のみによって、現像ローラ30にトナーが供給されるため、トナー供給量が減少し、形成された画像にかすれが発生する傾向が高くなった。
【0039】
図2に示される現像部を有する第1の実施形態に係る画像形成装置と、図7(a),(b)に示される現像部を有する比較例の画像形成装置のそれぞれについて、A4サイズの用紙の全面を黒色に印刷する「べた黒」100%の印刷をする確認が行われている。この確認は、A4サイズの用紙の全面に面積率100%、O.D.(光学濃度)1.5になるように「べた黒」100%画像を印刷し、印刷物を目視確認することによって、「かすれ」の有無及び程度を確認することによって行われた。確認は、先ず、用紙の上側(搬送方向先端側)の5cmの領域と下側(搬送方向後端側)5cmを比較し、用紙の下側の濃度がO.D.濃度1.2以下になっている範囲を目視確認することによって行われた。上側が濃度O.D.1.5に出力されている場合に、下側がO.D.濃度1.2以下になっている範囲を目視で判定し、O.D.濃度1.2以下の領域が30%以上であれば、「全面かすれ」と判定し、O.D.濃度1.2の領域が30%未満であれば、「一部かすれ」と判定し、O.D.濃度1.2の領域が存在しなければ(0%であれば)、「かすれ無し」と判定する。この確認により、以下の表2に示すような結果が得られた。表1において、「○」は、「かすれ無し」、「△」は、「一部かすれ有り」、「×」は、「全面かすれが有り」を示す。
【0040】
【表1】

【0041】
隔壁を持たない(トナー収容室が1つしかない)比較例の画像形成装置では、10,000枚印刷後、「一部かすれ」が発生し、20,000枚印刷した以降において、「全面かすれ」が発生した。これは、比較例の画像形成装置では、図7(b)に示すように、長期の使用により、トナーの外添剤が剥がれ、トナー凝集が発生して、第1の供給ローラ31にトナーが搬送され難くなり、第2の供給ローラ32のみで現像ローラ11にトナー供給をするため、トナー供給量が減少してかすれが発生した。
【0042】
第1の実施形態では、トナー収容部20内の隔壁24に孔243を設けて第1のトナー収容室21と第2のトナー収容室22との間で、トナーが移動できるように構成しているので、トナーが第1のトナー収容室21又は第2のトナー収容室22のいずれかに偏り過ぎることのないようにしている。また、第1のトナー収容室21内には、に搬送用攪拌バー34があるため、トナー凝集が起こることなく、第1の供給ローラ31にトナーを搬送することができる。第2の供給ローラ32と第1の供給ローラ32にトナーが付着しているため、2本の供給ローラにより現像ローラへ安定してトナーを供給することができる。
【0043】
図8(a)は、第1の実施形態に係る現像部113の第2の供給ローラ32に供給されるトナーを示す図であり、同図(b)は、隔壁が備えられていない比較例の現像部の第2の供給ローラに供給されるトナーを示す図である。図8(b)に示すように、トナー収容室が1つである比較例の現像部では、第2の供給ローラ32はトナー収容室の現像ローラ30側に配置されており、第2の供給ローラ32の外周近傍には、壁(図8(a)に示される隔壁24)に相当する部材は存在しない。したがって、図8(b)に示される比較例の現像部の場合には、トナー収容室内のトナーTの残量が少なくなった場合に、第2の供給ローラ32の上部から、現像ローラ30と第2の供給ローラ32の間に向けて、矢印D8b方向に供給され、第2の供給ローラ32の下側(回転方向上流側)210からは供給されない。このため、図8(b)に示される比較例の現像部の場合には、第2の供給ローラ32から現像ローラ30の表面に供給されるトナーの量が非常に少なくなる。
【0044】
これに対し、図8(a)に示される第1の実施形態の現像部13においては、隔壁24の第1の部分241が微小な間隔(図5におけるG2)をあけて第2の供給ローラ32の表面に対向するように配置されており、隔壁24の第1の部分241の上部に、トナーTを第2の供給ローラ32に導くガイドの役目を果たす第2の部分242を有している。このため、図8(a)に示される比較例の現像部の場合には、トナー収容室内のトナーTの残量が少なくなった場合であっても、第2の供給ローラ32の上部から、現像ローラ30と第2の供給ローラ32の間に向けて、矢印D8a方向に供給され、第2の供給ローラ32の下側(回転方向上流側)210からも供給される。このため、図8(a)に示される第1の実施形態における現像部13の場合には、第2の供給ローラ32から現像ローラ30の表面に供給されるトナーの量が非常に多くなる。また、図8(a)に示されるように、トナーTと第2の供給ローラ30が接する面積が減ると、供給ローラとトナー間に圧力がかからず、供給ローラにトナーが付着する量が減少する。第1の実施形態では、図8(a)で示すように第2の供給ローラ32の外周近傍に壁部材(隔壁24の第1の部分241)を設けているので、トナーが劣化した場合でも、壁部材241によってトナーがとの間で圧力がかかり第1の供給ローラ32にトナーを付着させることができる。第2の供給ローラ32と第2の供給ローラ32にトナーを安定して付着させることができ、2本でトナー供給を行っているので、安定して供給することができる。
【0045】
《1−3》第1の実施形態の効果
以上に説明したように、第1の実施形態に係る現像装置(現像部23)によれば、第1及び第2の供給ローラ31,32から現像ローラ30に安定した量のトナーを継続的に供給することができるという効果がある。
【0046】
また、第1の実施形態に係る画像形成ユニット1K,1Y,1M,1C及び画像形成装置100によれば、用紙P上に高品質な画像を形成することができるという効果がある。
【0047】
《2》第2の実施形態
《2−1》第2の実施形態の構成
図9は、第2の実施形態に係る画像形成ユニット201の構成を概略的に示す縦断面図である。図9において、図2に示される構成と同一又は対応する構成には、同じ符号を付す。第2の実施形態に係る画像形成ユニット201は、隔壁74の構造及び隔壁74が振動する点において、第1の実施形態に係る画像形成ユニット1K(1Y,1M,1C)と相違する。第2の実施形態に係る画像形成ユニット201は、図1に示される画像形成装置100の画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cに代えて使用することができる。第2の実施形態に係る画像形成ユニット201においては、現像部(現像装置)213のトナー収容部220内を区画し、第1のトナー収容室221と第2のトナー収容室222とを形成する隔壁224の一部(第2の部分)を、弾性部材であるフィルム2242で形成しており、第3のトナー収容室223内で回転する攪拌バー36に接触してフィルム2242が振動(又は往復移動又は揺動)する構成としている。なお、隔壁224の、第2の供給ローラ32に対向する第1の部分2241の構造は、第1の実施形態における第1の部分241と同様に、第2の供給ローラ32の外周に僅かな間隔を開けて対向する曲面形状である。
【0048】
図9に示される現像部213は、現像剤としてのトナーを収容する現像剤収容部としてのトナー収容部(トナー収容容器)220を有している。トナー収容部220内は、隔壁224によって区画されている。トナー収容部220内には、隔壁224によって、第1の現像剤収容室としての第1のトナー収容室221と、第2の現像剤収容室としての第2のトナー収容室222とが形成されている。トナー収容部220は、第1のトナー収容室221及び第2のトナー収容室222の上部に、トナーカートリッジ(図示せず)から供給されて第1のトナー収容室221又は第2のトナー収容室222に供給するトナーTが貯蔵される第3の現像剤収容部としての第3のトナー収容室223を有している。
【0049】
図10は、図9に示される現像部(現像装置)213の隔壁224の動きを示す側面図であり、図11は、図9に示される現像部213の隔壁224の一例を概略的に示す斜視図である。図10に示されるように、隔壁224の可動部材(第2の部分)としてのフィルム2242は、接続部材2244により、壁部材(第1の部分)2241の端部(現像ローラ30から遠い側の端辺)に接続される。接続部材2244としては、例えば、両面テープなどを用いることができる。なお、接続部材2244は両面テープに限定されるものでなく、壁部材2241にフィルム2242を強固に接続できる構成であれば、接着剤などの他の構成であってもよい。また、フィルム2242は、図10に示されるように角度αの曲面形状を持たせて、第3のトナー収容室223内において攪拌バー36に当接して配置される。第2の実施形態では、攪拌バー36の回転外周の長さを4[mm]、フィルム2242の曲面部2242bの折り曲げ角度αを120°、フィルム2242の曲面部2242bより壁部材2241側の第1の平面部2242aの自由長M2を20[mm]、フィルム2242の曲面部2242bより先端側の第2の平面部2242cの自由長M3を20[mm]、接続部材2244の長さを5[mm]に設定した。弾性部材であるフィルム2242の一例として、厚さ0.2[mm]のポリエステル(マイラー)フィルムから構成されたものを用いることができる。
【0050】
また、図11に示されるように、第2のトナー収容室222と第1のトナー収容室221を仕切る隔壁224のフィルム2242の第1の平面部2242aには、トナーを通過させることができる孔2243が設けられている。孔2243は、5×5[mm]のサイズであり、長手方向に複数配列されている。なお、隔壁224の構造、図10,図11に示されたものに限定されない。
【0051】
《2−2》第2の実施形態の動作
図12(a)〜(c)は、図9に示される現像部213の隔壁の動作を示す側面図である。図12(a)に示されるように、攪拌バー36が回転すると、攪拌バー36はフィルム2242に接触して、フィルム2242を、点線位置から実線位置に移動させ、そのご、フォルム2242の弾性復元力により、フィルム2242は、実線位置から点線位置にもどる。このような動作により、フィルム2242は、攪拌バー36の回転に伴って振動(又は揺動)する。
【0052】
攪拌バー36の回転に伴って振動するフィルム2242は、図12(b)に示されるように、凝集により形成されたトナー塊70を振動させ、図12(c)に示されるように、トナー塊70を崩して小さなトナー塊70aにする。小さなトナー塊70aは、フィルム2242に形成された孔2243を通過して、第2のトナー収容室222から第1のトナー収容室221に、又は、第1のトナー収容室221から第2のトナー収容室222に移動する。
【0053】
図2に示される現像部13を有する第1の実施形態に係る画像形成装置と、図9に示される現像部213を有する第2の実施形態に係る画像形成装置のそれぞれについて、A4サイズの用紙の全面を黒色に印刷する「べた黒」100%の画像(印刷目標としての画像)の印刷をし、印刷画像の確認が行われている。この確認は、高温多湿環境(温度27〜28℃、湿度70〜80%)下で行われ、A4サイズの用紙の全面に面積率100%、O.D.(光学濃度)1.5になるように「べた黒」100%印刷して調整して、印刷物を目視確認することによって、「かすれ」の有無及び程度を確認することによって行われた。確認は、先ず、用紙の上側(搬送方向先端側)の5cmの領域と下側(搬送方向後端側)5cmを比較し、用紙の下側のO.D.濃度で1.2以下になっている範囲を目視確認することによって行われた。上側がO.D.濃度1.5に出力されているので、下側がO.D濃度1.2以下になっている範囲を目視で判定し、O.D.1.2の領域が30%以上であれば、「全面かすれ」と判定し、O.D.1.2の領域が30%未満であれば、「一部かすれ」と判定し、O.D.1.2の領域が無ければ、「かすれ無し」と判定する。この実験により、以下の表2に示すような結果が得られた。表2において、「○」は「かすれ無し」、「△」は「一部かすれ有り」、「×」は「全面かすれ有り」を示す。
【0054】
【表2】

【0055】
第1の実施形態に係る画像形成装置では、20,000枚印刷後、「一部かすれ」の発生が確認された。これは、高温多湿下では、トナーTの流動性が落ち、トナー塊70が発生し、第1のトナー収容室221にトナーTが移動できなくなったためである。第2の供給ローラ32のみでトナー供給を行ったため、かすれが発生した。一方、第2の実施形態の画像形成装置では、トナー塊70が発生した場合でも、振動するフィルム2242によりトナー塊70が崩されるので、第1のトナー収容室221と第2のトナー収容室223内の両方にトナーTを収容でき、第1の供給ローラ31と第2の供給ローラ32を用いて、安定してトナー供給を行うことができるため、かすれの発生はなかった。
【0056】
《2−3》第2の実施形態の効果
以上に説明したように、第2の実施形態に係る現像装置(現像部223)によれば、高温多湿などのトナー凝集が起こりやすい環境においても、第1及び第2の供給ローラ31,32から現像ローラ30に安定した量のトナーを継続的に供給することができるという効果がある。
【0057】
また、第2の実施形態に係る画像形成ユニット221及び画像形成装置によれば、記録媒体上に高品質な画像を形成することができるという効果を得ることができる。
【0058】
《3》変形例
上記第1及び第2の実施形態においては、画像形成ユニット1K,1Y,1M,1C,221が、第1及び第2の供給ローラ31,32及び第1及び第2のトナー供給室21,221及び22,222を有する場合を説明したが、供給ローラ及びトナー供給室の各々を3つ以上設けてもよい。この場合には、現像ローラ30に対するトナー供給量をさらに増やすことができ、トナーの供給量が増えることによって、かすれの発生を減らすことが期待できる。ただし、供給ローラ及びトナー供給室の各々を3つ以上設けるか否かの判断は、画像形成装置に要求される各種要件(画質等の性能、外形寸法件、製品価格などの要件)を考慮して決定すればよい。
【0059】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、隔壁24,224の第2の部分(上側部分)241,2241が現像ローラ30側に傾いて斜め上方に延在している例を説明したが、隔壁24,224の第2の部分(上側部分)241,2241を垂直上方に向ける形状とすることも可能である。このように、隔壁24,224の第2の部分241,2241を垂直方向(重力方向)に向けた又は垂直方向に近づけた場合には、第2の供給ローラ32の回転方向上流側へのトナー供給がされやすくなり、第2の供給ローラ32から現像ローラ30へのトナー供給量を増やすことができる。逆に、第2の供給ローラ32から現像ローラ30へのトナー供給量を減らすためには、隔壁24,224の第2の部分241,2241を第2の供給ローラ32の上側に向けるように、隔壁を曲げればよい(例えば、図10の角度αを小さくすればよい)。
【符号の説明】
【0060】
1K,1Y,1M,1C,221 画像形成ユニット(画像形成部)、 2 搬送ベルト、 3K,3Y,3M,3C LEDアレイヘッド(露光部)、 4K,4Y,4M,4C 転写ローラ(転写部)、 11 感光体ドラム(像担持体)、 12 帯電ローラ(帯電部)、 13,213 現像装置(現像部)、 14 クリーニングブレード、 15 廃トナーボックス、 20,220 トナー収容部(現像剤収容部)、 21,221 第1のトナー収容室(第1の現像剤収容室)、 22,222 第2のトナー収容室(第2の現像剤収容室)、 23,223 第3のトナー収容室、 24,224 隔壁、 26 トナー供給口、 27 トナー漏れ防止フィルム、 28 層形成ブレード、 30 現像ローラ(現像剤担持体)、 31 第1の供給ローラ(第1の供給部材)、 32 第2の供給ローラ(第2の供給部材)、 33,34,35,36 攪拌バー(攪拌部材)、 41,42 駆動ローラ、 43 クリーニングブレード、 44 廃トナーボックス、 51 給紙トレイ、 52 給紙ローラ、 53 搬送ローラ、 54 押えローラ、 61 加熱ローラ、 62 加圧ローラ、 63 定着器、 64 排出ローラ、 65 押えローラ、 66 排出カセット、 70,70a トナー塊、 100 画像形成装置、 241,2241 第1の部分、 241a 第1の部分の現像ローラから遠い側の端部、 242 第2の部分、 2242 フィルム(第2の部分)、 242a 第2の部分の端部、 242b 第2の部分の端部、 243,2243 孔、 2244 接続部材、 P 用紙、 T トナー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する現像剤収容部と、
像担持体に供給される現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に対向配置され、前記現像剤担持体に、前記現像剤収容部に収容されている現像剤を供給する第1の供給部材と、
前記現像剤担持体に対向配置され、前記第1の供給部材によって現像剤が供給された前記現像剤担持体に、前記現像剤収容部に収容されている現像剤を供給する第2の供給部材と、
前記現像剤収容部内を区画して、前記第1の供給部材を収容する第1の収容室と前記第2の供給部材を収容する第2の収容室とを形成する隔壁と
を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤担持体は、第1の支軸を中心に回転可能な現像ローラであり、
前記第1の供給部材は、第2の支軸を中心に回転可能な第1の供給ローラであり、
前記第2の供給部材は、第3の支軸を中心に回転可能な第2の供給ローラであり、
前記第2の供給ローラは、前記第1の供給ローラより前記現像ローラの回転方向の下流側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第2の供給部材は、前記第1の供給部材の上方に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記隔壁は、
前記第2の供給部材と間隔を開けて、前記第2の供給部材の下側を覆う第1の部分と、
前記第1の部分の前記現像剤担持体から遠い側の端部から、前記第2の供給部材の上側に向けて延在する第2の部分と
を含むことを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記第1の部分は、前記現像剤収容部に固定されており、
前記第2の部分は、前記第1の部分の前記現像剤担持体から遠い側の端部に固定された第1の端部と、前記第1の端部の反対側の移動可能な第2の端部とを有する
ことを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記第1の部分は、前記第2の供給部材の下側の表面に沿う曲面形状を有することを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記現像剤収容部は、前記第1の供給部材の下側の表面に沿う曲面形状の外壁を有することを特徴とする請求項6に記載の現像装置。
【請求項8】
前記隔壁は、前記第1の収容室と前記第2の収容室との間を連通させ、前記現像剤を通過させる孔を有することを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項9】
前記孔は、前記第2の部分に複数個備えられることを特徴とする請求項8に記載の現像装置。
【請求項10】
前記第1の収容室内に収容されている現像剤を攪拌する第1の攪拌部材と、
前記第2の収容室内に収容されている現像剤を攪拌する第2の攪拌部材とを有する
ことを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項11】
前記現像剤収容部は、前記第1の収容室及び前記第2の収容室のそれぞれに現像剤を供給する第3の収容室を有し、
前記第3の収容室内に補給された現像剤を、前記第1の収容室及び前記第2の収容室に移動させる第3の攪拌部材を有する
ことを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項12】
前記第1の収容室が現像剤を収容できる容量は前記第2の収容室が現像剤を収容できる容量と同じであることを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項13】
像担持体と、
前記像担持体の表面を一様に帯電させる帯電部と、
静電潜像が形成された前記像担持体の表面に現像剤を供給して現像剤像を形成する現像部とを有し、
前記現像部が、
現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記像担持体に供給される現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に対向配置され、前記現像剤担持体に、前記現像剤収容部に収容されている現像剤を供給する第1の供給部材と、
前記現像剤担持体に対向配置され、前記第1の供給部材によって現像剤が供給された前記現像剤担持体に、前記現像剤収容部に収容されている現像剤を供給する第2の供給部材と、
前記現像剤収容部内を区画して、前記第1の供給部材を収容する第1の収容室と前記第2の供給部材を収容する第2の収容室とを形成する隔壁と
を含む
ことを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項14】
像担持体と、
前記像担持体の表面を一様に帯電させる帯電部と、
帯電した前記像担持体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光部と、
静電潜像が形成された前記像担持体の表面に現像剤を供給して現像剤像を形成する現像部と、
前記現像剤像を記録媒体上に転写させる転写部と、
転写された前記現像剤像を前記記録媒体上に定着させる定着部とを有し、
前記現像部が、
現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記像担持体に供給される現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に対向配置され、前記現像剤担持体に、前記現像剤収容部に収容されている現像剤を供給する第1の供給部材と、
前記現像剤担持体に対向配置され、前記第1の供給部材によって現像剤が供給された前記現像剤担持体に、前記現像剤収容部に収容されている現像剤を供給する第2の供給部材と、
前記現像剤収容部内を区画して、前記第1の供給部材を収容する第1の収容室と前記第2の供給部材を収容する第2の収容室とを形成する隔壁と
を含む
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−255954(P2012−255954A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129758(P2011−129758)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】