説明

現像装置、画像形成装置、及び、画像形成システム

【課題】画質の劣化を適切に防止する現像装置、画像形成装置、及び、画像形成システムを実現することにある。
【解決手段】液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、該円柱状基材に螺旋状に巻き付けられているワイヤーであって、該ワイヤーの隣り合う部分が互いに接触するように、かつ、該ワイヤーが前記円柱状基材に対し移動可能となるように、巻き付けられている該ワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、該現像剤供給ローラに当接する当接部材と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、画像形成装置、及び、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置としては、例えば、潜像を担持するための像担持体の一例としての感光体と、液体現像剤(以下、単に、現像剤とも呼ぶ)によって感光体に担持された潜像を現像するための現像装置と、を有する画像形成装置が知られている。かかる画像形成装置は、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号等が送信されると、感光体上に潜像を形成する。そして、感光体に形成され、担持された潜像は、感光体の回転に伴って現像位置に至り、現像装置によって現像され、感光体上に現像剤像が形成される。
【0003】
上記の現像装置は、感光体上に形成された潜像を現像するという既述の機能等を実現するために、例えば、現像剤を担持するための現像剤担持体の一例としての現像ローラと、円柱状基材と該円柱状基材に螺旋状に巻き付けられているワイヤーとを備え、現像剤を現像ローラに供給するための現像剤供給ローラと、当該現像剤供給ローラに当接する当接部材の一例としての規制ブレードと、を有している。当該現像剤供給ローラには、ワイヤーが該ワイヤーの隣り合う部分が互いに接触するように巻き付けられており、その結果、現像剤供給ローラの表面には、ワイヤーにより溝が形成されている。現像剤供給ローラは、当該現像剤供給ローラ上の現像剤が溝に保持された現像剤を残して規制ブレードにより掻き取られた後に、当該溝に保持された現像剤を現像ローラに供給する。そして、現像ローラは、回転することにより、供給された現像剤を感光体に対向する現像位置に搬送し、当該現像位置に搬送された現像剤は、潜像の現像に供される。
【特許文献1】特開平11−153906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記現像装置に用いられる現像剤は、液体現像剤であるため、現像剤内には、気泡が発生する可能性がある。
現像剤供給ローラの前記溝に保持された現像剤に気泡が存在する状態で、当該気泡を有する現像剤が、現像剤供給ローラによって現像ローラに供給され、供給された現像剤により感光体に担持された潜像を現像して画像を形成した場合には、その画質に劣化が生ずる可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、画質の劣化を適切に防止する現像装置、画像形成装置、及び、画像形成システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
主たる本発明は、液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、該円柱状基材に螺旋状に巻き付けられているワイヤーであって、該ワイヤーの隣り合う部分が互いに接触するように、かつ、該ワイヤーが前記円柱状基材に対し移動可能となるように、巻き付けられている該ワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、該現像剤供給ローラに当接する当接部材と、を有することを特徴とする現像装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0009】
液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、該円柱状基材に螺旋状に巻き付けられているワイヤーであって、該ワイヤーの隣り合う部分が互いに接触するように、かつ、該ワイヤーが前記円柱状基材に対し移動可能となるように、巻き付けられている該ワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、該現像剤供給ローラに当接する当接部材と、を有することを特徴とする現像装置。
かかる現像装置によれば、画質の劣化を適切に防止することが可能となる。
【0010】
また、前記液体現像剤は、非ニュートン流体であることとしてもよい。
かかる場合には、画質の劣化を適切に防止する効果、がより有効に発揮されることとなる。
【0011】
また、前記現像剤供給ローラは、回転可能であり、前記当接部材は、回転している前記現像剤供給ローラに当接して、前記ワイヤーを移動させることにより、前記液体現像剤内に存在する気泡を、前記隣り合う部分を通過させて、前記円柱状基材側へ移動させることとしてもよい。
かかる場合には、気泡を有する液体現像剤が現像剤供給ローラによって現像剤担持体に供給されること、が抑止され、画質の劣化を適切に防止することが可能となる。
【0012】
また、総ての前記隣り合う部分は、互いに接着されていないこととしてもよい。
かかる場合には、ワイヤーの移動がスムーズとなり、ワイヤーの隣り合う部分に隙間を適切に生じさせることが可能となる。
【0013】
また、前記ワイヤーは、該ワイヤーの端部においてのみ、前記円柱状基材に接着されていることとしてもよい。
かかる場合には、ワイヤーの移動がスムーズとなり、ワイヤーの隣り合う部分に隙間を適切に生じさせることが可能となる。
【0014】
また、前記現像剤担持体は、円柱状の現像剤担持ローラであることとしてもよい。また、前記当接部材は、前記現像剤供給ローラ上の液体現像剤の量を規制するための規制部材であることとしてもよい。
また、前記規制部材は、該規制部材の、前記現像剤供給ローラに当接する側の先端が、該規制部材の、前記現像剤供給ローラに当接する当接位置、から見て該現像剤供給ローラの回転方向の下流側に向くように、設けられていることとしてもよい。
かかる場合には、規制部材が、液体現像剤を現像剤供給ローラの溝に向けて加圧する。したがって、溝内の気泡が、加圧された液体現像剤に押されて、適切に隙間を通過することとなり、気泡を有する液体現像剤が現像剤供給ローラによって現像剤担持体に供給されること、がより効果的に抑止される。
【0015】
また、液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、該円柱状基材に螺旋状に巻き付けられているワイヤーであって、該ワイヤーの隣り合う部分が互いに接触するように、かつ、該ワイヤーが前記円柱状基材に対し移動可能となるように、巻き付けられている該ワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、該現像剤供給ローラに当接する当接部材と、を有し、前記液体現像剤は、非ニュートン流体であり、前記現像剤供給ローラは、回転可能であり、前記当接部材は、回転している前記現像剤供給ローラに当接して、前記ワイヤーを移動させることにより、前記液体現像剤内に存在する気泡を、前記隣り合う部分を通過させて、前記円柱状基材側へ移動させ、総ての前記隣り合う部分は、互いに接着されておらず、前記ワイヤーは、該ワイヤーの端部においてのみ、前記円柱状基材に接着されており、前記現像剤担持体は、円柱状の現像剤担持ローラであり、前記当接部材は、前記現像剤供給ローラ上の液体現像剤の量を規制するための規制部材であり、前記規制部材は、該規制部材の、前記現像剤供給ローラに当接する側の先端が、該規制部材の、前記現像剤供給ローラに当接する当接位置、から見て該現像剤供給ローラの回転方向の下流側に向くように、設けられていることを特徴とする現像装置も実現可能である。
このようにすれば、既述の総ての効果を奏するため、本発明の目的がより有効に達成される。
【0016】
また、潜像を担持するための像担持体と、前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像装置であって、液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、該円柱状基材に螺旋状に巻き付けられているワイヤーであって、該ワイヤーの隣り合う部分が互いに接触するように、かつ、該ワイヤーが前記円柱状基材に対し移動可能となるように、巻き付けられている該ワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、該現像剤供給ローラに当接する当接部材と、を有する現像装置と、を備えた画像形成装置も実現可能である。
かかる画像形成装置によれば、画質の劣化を適切に防止することが可能となる。
【0017】
また、コンピュータ、及び、このコンピュータに接続可能な画像形成装置であって、潜像を担持するための像担持体と、前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像装置であって、液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、該円柱状基材に螺旋状に巻き付けられているワイヤーであって、該ワイヤーの隣り合う部分が互いに接触するように、かつ、該ワイヤーが前記円柱状基材に対し移動可能となるように、巻き付けられている該ワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、該現像剤供給ローラに当接する当接部材と、を有する現像装置と、を備えた画像形成装置、を有する画像形成システムも実現可能である。
かかる画像形成システムによれば、画質の劣化を適切に防止することが可能となる。
【0018】
===画像形成装置の全体構成例===
次に、図1を用いて、画像形成装置としてレーザビームプリンタ(以下、プリンタともいう)10を例にとって、その概要について説明する。図1は、プリンタ10を構成する主要構成要素を示した図である。なお、図1には、矢印にて上下方向を示しており、例えば、現像ユニット50Y、50M、50C、50Kは、プリンタ10の下部に配置されており、中間転写体70は、プリンタ10の上部に配置されている。
【0019】
本実施の形態に係るプリンタ10は、図1に示すように、4つの現像部15Y、15M、15C、15K、中間転写体70、二次転写ユニット80を有し、さらに、不図示の定着ユニット、ユーザへの報知手段をなし液晶パネルでなる表示ユニット、及び、これらのユニット等を制御しプリンタとしての動作を司る制御ユニット100(図2)を有している。
【0020】
現像部15Y、15M、15C、15Kは、それぞれ、イエロー(Y)現像剤、マゼンタ(M)現像剤、シアン(C)現像剤、ブラック(K)現像剤で潜像を現像する機能を有している。現像部15Y、15M、15C、15Kの構成は同様であるので、以下、現像部15Yについて説明する。
【0021】
現像部15Yは、図1に示すように、像担持体の一例としての感光体20Yの回転方向に沿って、帯電ユニット30Y、露光ユニット40Y、現像装置の一例としての現像ユニット50Y、一次転写ユニット60Y、除電ユニット73Y、感光体クリーニングユニット75Yを有している。
感光体20Yは、円筒状の基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図1中の矢印で示すように時計回りに回転する。
帯電ユニット30Yは、感光体20Yを帯電するための装置であり、露光ユニット40Yは、レーザを照射することによって帯電された感光体20Y上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット40Yは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体20Y上に照射する。
現像ユニット50Yは、感光体20Y上に形成された潜像を、イエロー(Y)現像剤を用いて現像するための装置である。現像ユニット50Yの詳細については後述する。
【0022】
一次転写ユニット60Yは、感光体20Yに形成されたイエロー現像剤像を中間転写体70に転写するための装置である。一次転写ユニット60Y、60M、60C、60Kにより、4色の現像剤が順次重ねて転写された場合には、中間転写体70にフルカラー現像剤像が形成される。
【0023】
中間転写体70は、複数の支持ローラに張架されたエンドレスのベルトであり、感光体20Y、20M、20C、20Kと当接しながら回転駆動される。
二次転写ユニット80は、中間転写体70上に形成された単色現像剤像やフルカラー現像剤像を紙、フィルム、布等の媒体に転写するための装置である。
【0024】
不図示の定着ユニットは、媒体上に転写された単色現像剤像やフルカラー現像剤像を紙等の媒体に融着させて永久像とするための装置である。
除電ユニット73Yは、一次転写ユニット60Yによって中間転写体70上に現像剤像が転写された後に、感光体20Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングユニット75Yは、感光体20Yの表面に当接されたゴム製の感光体クリーニングブレード76Yを有し、一次転写ユニット60Yによって中間転写体70上に現像剤像が転写された後に、感光体20Y上に残存する現像剤を感光体クリーニングブレード76Yにより掻き落として除去するための装置である。
【0025】
制御ユニット100は、図2に示すようにメインコントローラ101と、ユニットコントローラ102とで構成され、メインコントローラ101には画像信号及び制御信号が入力され、この画像信号及び制御信号に基づく指令に応じてユニットコントローラ102が前記各ユニット等を制御して画像を形成する。
【0026】
次に、このように構成されたプリンタ10の動作について、他の構成要素にも言及しつつ説明する。
【0027】
まず、不図示のホストコンピュータからの画像信号及び制御信号がインターフェイス(I/F)112を介してプリンタ10のメインコントローラ101に入力されると、このメインコントローラ101からの指令に基づくユニットコントローラ102の制御により感光体20Y、20M、20C、20K、現像ユニット50Y、50M、50C、50Kに備えられた後述する現像ローラ、及び、中間転写体70等が回転する。感光体20Y、20M、20C、20Kは、回転しながら、帯電位置において帯電ユニット30Y、30M、30C、30Kにより順次帯電される。
【0028】
感光体20Y、20M、20C、20Kの帯電された領域は、感光体20Y、20M、20C、20Kの回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40Y、40M、40C、40Kによって、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの画像情報に応じた潜像が該領域に形成される。
【0029】
感光体20Y、20M、20C、20K上に形成された潜像は、感光体20Y、20M、20C、20Kの回転に伴って現像位置に至り、現像ユニット50Y、50M、50C、50Kによって現像される。これにより、感光体20Y、20M、20C、20K上に現像剤像が形成される。
【0030】
感光体20Y、20M、20C、20K上に形成された現像剤像は、感光体20Y、20M、20C、20Kの回転に伴って一次転写位置に至り、一次転写ユニット60Y、60M、60C、60Kによって、中間転写体70に転写される。この際、一次転写ユニット60Y、60M、60C、60Kには、現像剤の帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧が印加される。この結果、各々の感光体20Y、20M、20C、20K上に形成された4色の現像剤像は、中間転写体70に重なり合って転写され、中間転写体70上にはフルカラー現像剤像が形成される。
【0031】
中間転写体70上に形成されたフルカラー現像剤像は、中間転写体70の回転に伴って二次転写位置に至り、二次転写ユニット80によって媒体に転写される。なお、媒体は、不図示の給紙トレイから、各種ローラを介して二次転写ユニット80へ搬送される(図1中の矢印は、媒体の搬送方向を表している)。また、転写動作を行う際、二次転写ユニット80は中間転写体70に押圧されるとともに二次転写電圧が印加される。
媒体に転写されたフルカラー現像剤像は、定着ユニットによって加熱加圧されて媒体に融着される。
【0032】
一方、感光体20Y、20M、20C、20Kは一次転写位置を経過した後に、除電ユニット73Y、73M、73C、73Kによって除電され、さらに、感光体クリーニングユニット75Y、75M、75C、75Kに支持された感光体クリーニングブレード76Y、76M、76C、76Kによって、その表面に付着している現像剤が掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされた現像剤は、感光体クリーニングユニット75Y、75M、75C、75Kが備える残存現像剤回収部に回収される。
【0033】
===制御ユニットの概要===
次に、制御ユニット100の構成について図2を参照しつつ説明する。制御ユニット100のメインコントローラ101は、インターフェイス112を介してホストコンピュータと接続され、このホストコンピュータから入力された画像信号を記憶するための画像メモリ113を備えている。ユニットコントローラ102は、装置本体の各ユニット(帯電ユニット30Y、30M、30C、30K、露光ユニット40Y、40M、40C、40K、現像ユニット50Y、50M、50C、50K、一次転写ユニット60Y、60M、60C、60K、除電ユニット73Y、73M、73C、73K、感光体クリーニングユニット75Y、75M、75C、75K、二次転写ユニット80、定着ユニット、表示ユニット)と電気的に接続され、それらが備えるセンサからの信号を受信することによって、各ユニットの状態を検出しつつ、メインコントローラ101から入力される信号に基づいて、各ユニットを制御する。
【0034】
===現像ユニットの構成例===
次に、図3乃至図10を用いて、現像ユニットの構成例について説明する。図3は、現像ユニットの主要構成要素を示した断面図である。図4は、現像剤供給ローラ550の表面を表した斜視概念図である。図5は、現像剤供給ローラ550の表面のうち、図4にて記号Eで表した部分を拡大した図であり、ワイヤー554の進み方向X1と現像剤供給ローラ550の長手方向X2との成す鋭角θを示す図である。図7は、現像剤供給ローラ550の表面に、溝556が形成されている様子を示した模式図である。図8は、現像剤供給ローラ550が、支持板金572により支持されている様子を示した模式図である。図9は、規制ブレード560のトレール(トレーリング)規制を表した模式図である。図10は、固定位置552cと当接部560aの、現像剤供給ローラ550(円柱状基材552)の長手方向X2における位置関係を示した正面模式図である。図6については、後述する。なお、図3においては、図1同様、矢印にて上下方向を示しており、例えば、現像ローラ510は、現像剤汲み上げローラ540よりも上方にある。
【0035】
プリンタ10には、現像ユニットとして、ブラック(K)現像剤を収容したブラック現像ユニット50K、マゼンタ(M)現像剤を収容したマゼンタ現像ユニット50M、シアン(C)現像剤を収容したシアン現像ユニット50C、及び、イエロー(Y)現像剤を収容したイエロー現像ユニット50Yが設けられているが、各現像ユニットの構成は同様であるので、以下、イエロー現像ユニット50Yについて説明する。
【0036】
イエロー現像ユニット50Yは、現像剤担持体の一例としての現像剤担持ローラ(本明細書において、当該現像剤担持ローラを現像ローラ510とも呼ぶ)と、現像剤収容部530と、現像剤汲み上げローラ540と、現像剤供給ローラ550と、規制部材の一例としての規制ブレード560と、現像ローラクリーニングユニット570と、を有している。
【0037】
現像剤収容部530は、感光体20Yに形成された潜像を現像するための現像剤Dを収容する。この現像剤収容部530に収容されている現像剤Dは、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)をキャリアとした低濃度(1〜2wt%程度)かつ低粘度の、常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤Dである。すなわち、本実施の形態に係る液体現像剤Dは、パラフィンオイル等からなる不揮発性かつ絶縁性の低粘度キャリア液中に、平均粒径0.1〜5μm程度の樹脂、顔料等からなるトナー粒子を高濃度(5〜40wt%程度)に分散させることにより、高粘度(100〜10000mPa・s程度)となった現像剤Dである。また、本実施の形態に係る液体現像剤Dは、所謂非ニュートン流体である。すなわち、ニュートン流体である前記キャリア液中に、前記トナー粒子を高濃度に分散させた結果、前記液体現像剤Dは、非ニュートン性を有する流体となる。
【0038】
現像剤汲み上げローラ540は、現像剤収容部530に収容されている現像剤Dを汲み上げて現像剤供給ローラ550へ搬送する。この現像剤汲み上げローラ540は、その下部が現像剤収容部530に収容された現像剤Dに浸されており、また、現像剤供給ローラ550から、約1mmの幅を持って離間している。
さらに、現像剤汲み上げローラ540は、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、現像剤供給ローラ550の回転中心軸よりも下方にある。また、現像剤汲み上げローラ540は、現像剤供給ローラ550の回転方向(図3において時計方向)と同じ方向(図3において時計方向)に回転する。なお、現像剤汲み上げローラ540は、現像剤収容部530に収容された現像剤Dを汲み上げて現像剤供給ローラ550へ搬送する機能を有するとともに、現像剤Dを適正な状態に維持するために現像剤Dを撹拌する機能をも有している。
【0039】
現像剤供給ローラ550は、現像剤収容部530から現像剤汲み上げローラ540により搬送された現像剤Dを現像ローラ510へ供給する。この現像剤供給ローラ550は、円柱状基材552と、複数のワイヤー554と、を有している。
円柱状基材552は、アルミニウム製の部材であり、軸552aと大径部552bとを有している。大径部552bの直径Rは約25mmである。
ワイヤー554は、SUS304製の部材であり、円形の断面を有している。当該断面の直径r、すなわち、ワイヤー554の線径、は約100μmである。そして、当該ワイヤー554は、図4に示すように、円柱状基材552(の大径部552b)に螺旋上に複数巻き付けられており、図5に示すように、ワイヤー554の進み方向X1と現像剤供給ローラ550の長手方向X2(すなわち、現像剤供給ローラ550の軸方向)X2との成す鋭角θは、約45度となっている。
【0040】
ここで、図4について、説明を加える。図4においては、円柱状基材552にワイヤー554が巻き付けられている様子を明示するために、便宜上、実際のワイヤー554の径よりも大きい径を有するワイヤー554を示している。 また、実際のワイヤー554の径よりも大きい径を有するワイヤー554を示したことに起因して、図4に係る現像剤供給ローラ550に巻き付けられているワイヤー554の本数nは、実際の現像剤供給ローラ550に巻き付けられているワイヤー554の本数n(当該本数nは、約550本である)よりも少なくなっている。すなわち、ワイヤー554の本数nと、ワイヤー554の進み方向X1と現像剤供給ローラ550の長手方向X2との成す鋭角θと、円柱状基材552の直径Rとワイヤー554の断面の直径rとの直径比r/Rと、の間に、関係式n=π・cosθ/(r/R)がほぼ成り立つこと、が知られている。したがって、前記鋭角θを所定の値とするために必要なワイヤー554の本数nは、前記直径比r/Rが小さくなればなるほど、多くなる(または、大きくなればなるほど、少なくなる)こととなる。そして、図4に示されている現像剤供給ローラ550の前記直径比r/Rは、実際の現像剤供給ローラ550の直径比r/Rよりも大きいから、図4に示されている現像剤供給ローラ550に巻き付けられているワイヤー554の本数nは、実際の現像剤供給ローラ550に巻き付けられているワイヤー554の本数nよりも少なくなる。
【0041】
なお、図10においても、図4と同様、実際のワイヤー554の径よりも大きい径を有するワイヤー554が示されており、かつ、図10に示されている現像剤供給ローラ550に巻き付けられているワイヤー554の本数nは、実際の現像剤供給ローラ550に巻き付けられているワイヤー554の本数nよりも少なくなっている。
【0042】
次に、ワイヤー554の、円柱状基材552への巻き付け方について、図6を用いてより詳細に説明する。図6は、ワイヤー554が円柱状基材552に巻き付けられている様子を示す断面図である。なお、図6には、円柱状基材552及びワイヤー554の、ワイヤー554の進み方向X1(図6においては、当該進み方向X1は紙面を貫く方向となる)に直交する直交面と交わる断面、を示している。また、ワイヤー554の進み方向X1と現像剤供給ローラ550の長手方向X2との成す鋭角θは、前述したとおり、約45度であるから、図6において矢印X3で示される方向は、図5に示すように、現像剤供給ローラ550の長手方向X2から約45度ずれた方向となる。
【0043】
図6には、複数のワイヤー554のうちの一部として、第一ワイヤー580、第二ワイヤー582、及び、第三ワイヤー584、が示されている。そして、第二ワイヤー582の両隣に第一ワイヤー580及び第三ワイヤー584が配置され、第二ワイヤー582は、第一ワイヤー580及び第三ワイヤー584の各々と接触している。すなわち、本実施の形態において、ワイヤー554は、当該ワイヤー554の隣り合う部分が互いに接触するように、円柱状基材552に巻き付けられている。換言すれば、ワイヤー554は、円柱状基材552に、所謂密着巻きで巻き付けられている。
【0044】
なお、ワイヤー554は、当該ワイヤー554の両端においてのみ、円柱状基材552に固定されている。すなわち、複数のワイヤー554の各々の端部555(図4)のみが、円柱状基材552の長手方向端部に位置する該円柱状基材552の周面上の固定位置552c(図4)に、円柱状基材552の周方向に沿って並ぶように半田で固定されている。また、前述したように、ワイヤー554は、当該ワイヤー554の隣り合う部分が互いに接触するように、円柱状基材552に巻き付けられているが、総ての当該隣り合う部分が、互いに接着されていない。
【0045】
このように、ワイヤー554は、半田による固定力と、円柱状基材552との摩擦力と、ワイヤー554の隣り合う部分が互いに接触することにより生ずる摩擦力とにより、円柱状基材552に対して位置決めされている。したがって、ワイヤー554は、円柱状基材552に対し移動可能となるように、巻き付けられていることとなる。
【0046】
上述したように、現像剤供給ローラ550は、円柱状基材552と、当該円柱状基材552に巻き付けられている複数のワイヤー554と、を備えるから、現像剤供給ローラ550の表面には、図7に示すように、溝556(図7において、互いに隣り合うワイヤー554と点線とで囲まれた部分)が形成される。後に詳述するが、当該溝556は、現像剤Dを保持する役割を果たす。本実施の形態において、当該溝556の最大幅wは、ワイヤー554の断面の直径rと等しく、約100μmであり、また、当該溝556の最大深さdは、前記直径rの1/2と等しく、約50μmである。
【0047】
また、現像剤供給ローラ550は、当該現像剤供給ローラ550上の現像剤Dを現像ローラ510に適切に転写するために、その表面が、当該現像ローラ510の後述する弾性体の層に圧接している。現像剤供給ローラ550は、その長手方向X2が現像ローラ510の長手方向(軸方向)に沿うように、配置されている。
【0048】
さらに、現像剤供給ローラ550は、図8に示すように、前述した軸552aが支持板金572によって二つの軸受け574を介して支持されることにより、回転自在に支持されている。現像剤供給ローラ550の軸方向一端側には、当該現像剤供給ローラ550を駆動するための駆動歯車575が設けられている。また、軸受け574の外側には、リング状部材576が設けられており、当該リング状部材576は、軸受け574の軸方向外側への移動、換言すれば、軸受け574の軸方向外側への移動に伴った、現像剤供給ローラ550の軸方向外側への移動、を規制している。しかしながら、前記軸受け574と前記リング状部材576との間には、両側で約0.2mmの隙間が存在しているため、現像剤供給ローラ550は、軸方向に僅かに移動できるようになっている。なお、現像剤供給ローラ550の軸552aは、現像ローラ510の回転中心軸よりも下方にある。また、現像剤供給ローラ550は、現像ローラ510の回転方向(図3において反時計方向)と逆の方向(図3において時計方向)に回転する。
【0049】
規制ブレード560は、現像剤供給ローラ550の表面に、該現像剤供給ローラ550(円柱状基材552)の長手方向X2に沿って当接して、現像剤供給ローラ上の現像剤Dの量を規制する当接部材である。すなわち、当該規制ブレード560は、現像剤供給ローラ550上の余剰現像剤を掻き取って、現像ローラ510に供給する現像剤供給ローラ550上の現像剤D、を計量する役割を果たす。この規制ブレード560は、弾性を有する弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材562より支持されている。規制ブレード560のゴム硬度は、JIS−Aで約77度である。
【0050】
また、規制ブレード560の、規制ブレード支持部材562に支持されている側とは逆側の端、すなわち、現像剤供給ローラ550に当接する側の先端は、現像剤供給ローラ550に接触しておらず、該先端から所定距離だけ離れた部分が、現像ローラ510に幅を持って接触している。すなわち、規制ブレード560は、現像剤供給ローラ550にエッジにて当接しておらず、腹当たりにて当接している。また、図9に示されるように、規制ブレード560は、その先端が、規制ブレード560の、現像剤供給ローラ550に当接する当接位置、から見て当該現像剤供給ローラ550の回転方向の下流側に向くように、設けられており、いわゆるトレール(トレーリング)規制を行う。図9に示されるように、本実施の形態において、そのトレール(トレーリング)角度は約15度である。また、規制ブレード560は、図10に示されるように、現像剤供給ローラ550(円柱状基材552)の長手方向X2において前記固定位置552cが規制ブレード560の現像剤供給ローラ550への当接部560aよりも外側に位置するように、配置されている。
【0051】
現像ローラ510は、感光体20Yに担持された潜像を現像剤Dにより現像するために、現像剤Dを担持して感光体20Yと対向する現像位置に搬送する。この現像ローラ510は、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えた円柱状の部材であり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ510は、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で現像剤供給ローラ550及び感光体20Yのそれぞれに圧接している。
【0052】
また、現像ローラ510は、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、感光体20Yの回転中心軸よりも下方にある。また、現像ローラ510は、感光体20Yの回転方向(図3において時計方向)と逆の方向(図3において反時計方向)に回転する。なお、感光体20Y上に形成された潜像を現像する際には、現像ローラ510と感光体20Yとの間に電界が形成される。
【0053】
現像ローラクリーニングユニット570は、現像ローラ510の表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード571を有し、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ510上に残存する現像剤Dを現像ローラクリーニングブレード571により掻き落として除去するための装置である。
【0054】
このように構成されたイエロー現像ユニット50Yにおいて、現像剤汲み上げローラ540が、その中心軸回りに回転することによって、現像剤収容部530に収容されている現像剤Dを汲み上げて現像剤供給ローラ550へ搬送する。
【0055】
現像剤供給ローラ550に搬送された現像剤Dは、現像剤供給ローラ550の回転によって、規制ブレード560の当接位置に至る。そして、当該当接位置を通過する際に、現像剤Dの余剰分が規制ブレード560によって掻き取られ、現像ローラ510に供給される現像剤Dの現像剤量が計量される。すなわち、現像剤供給ローラ550には、前述したとおり、溝556が設けられているから、現像剤供給ローラ550に当接する規制ブレード560は、現像剤供給ローラ550上の現像剤Dを溝556に保持された現像剤Dを残して掻き取ることとなる。また、現像ローラ510に供給される現像剤Dの現像剤量が適正な量になるように溝556の寸法(換言すれば、ワイヤー554の寸法)が決められているので、規制ブレード560が現像剤供給ローラ550上の現像剤Dを掻き取った際には、溝556によって適正な量に計量された現像剤Dが溝556に残存することとなる。
【0056】
現像剤供給ローラ550の溝556に保持された現像剤Dは、現像剤供給ローラ550のさらなる回転によって、現像ローラ510との圧接位置に至る。当該圧接位置に至った現像剤Dは、現像剤供給ローラ550と現像ローラ510が圧接することにより生ずる圧力の作用より、現像剤供給ローラ550から現像ローラ510へ転写され、現像ローラ510上には現像剤Dの薄膜が形成される。
【0057】
このようにして現像ローラ510上に形成された現像剤Dの薄膜は、現像ローラ510の回転によって、感光体20Yに対向する現像位置(すなわち、感光体20Yとの圧接位置)に至り、該現像位置にて所定の大きさの電界下で感光体20Y上に形成された潜像の現像に供される。現像位置を通過した現像ローラ510上の現像剤Dは、現像ローラ510のさらなる回転によって、現像ローラクリーニングブレード571の当接位置に至る。そして、当該当接位置を通過する際に、現像ローラクリーニングブレード571によって、現像ローラ510の表面に付着している現像剤Dが掻き落とされ、掻き落とされた現像剤Dは、現像ローラクリーニングユニット570が備える残存現像剤回収部に回収される。
【0058】
===本実施の形態に係る現像装置等の有効性について===
上述したとおり、本実施形態に係る現像装置は、現像剤Dを担持するための現像ローラ510と、円柱状基材552と、該円柱状基材552に螺旋状に巻き付けられているワイヤー554であって、該ワイヤー554の隣り合う部分が互いに接触するように、かつ、該ワイヤー554が前記円柱状基材552に対し移動可能となるように、巻き付けられているワイヤー554と、を備え、現像剤Dを現像ローラ510に供給するための現像剤供給ローラ550と、該現像剤供給ローラ550に当接する規制ブレード560と、を有している。このことにより、画質の劣化を適切に防止することが可能となる。
【0059】
すなわち、発明が解決しようとする課題の項等で説明したとおり、上記現像装置に用いられる現像剤Dは、液体現像剤であるため、現像剤D内には、気泡が発生する可能性がある。さらに、現像剤Dが非ニュートン性を有する場合には、非ニュートン流体である現像剤Dは、ニュートン流体である現像剤Dに比べて、気泡を取り込み易いから、現像剤D内に、より多くの気泡が存在することになる。
【0060】
現像剤供給ローラ550の前記溝556に保持された現像剤Dに気泡が存在する状態で、当該気泡を有する現像剤Dが、現像剤供給ローラ550によって現像ローラ510に供給され、供給された現像剤Dにより感光体20Y、20M、20C、20Kに担持された潜像を現像して画像を形成した場合には、その画質に劣化が生ずる可能性がある。
【0061】
本実施の形態に係る現像装置には、円柱状基材552に対し移動可能となるように巻き付けられているワイヤー554を備えた現像剤供給ローラ550が設けられているから、かかる課題を解決することができる。
【0062】
すなわち、本実施の形態に係る現像剤供給ローラ550は、前述したとおり、円柱状基材552にワイヤー554が螺旋状に巻き付けられている構成を有しているから、現像剤供給ローラ550が回転すると、現像剤供給ローラ550に対し当該現像剤供給ローラ550を軸方向に移動させる力が働く。そして、当該現像剤供給ローラ550は、図8に示したとおり、軸方向に僅かに移動できるようになっているから、現像剤供給ローラ550は、回転しながら、前記力を受けて軸方向に僅かに移動する。
【0063】
さらに、回転している現像剤供給ローラ550には(より具体的には、回転している現像剤供給ローラ550に設けられているワイヤー554には)、当接部材としての規制ブレード560が当接しているため、現像剤供給ローラ550が軸方向に移動すると、ワイヤー554に対し当該ワイヤー554を移動させる(換言すれば、ワイヤー554の、円柱状基材552に対する相対位置、を変化させる)力が働く。ワイヤー554は、円柱状基材552に対し移動可能となるように巻き付けられているから、ワイヤー554は、前記力を受けて移動することとなる。そして、ワイヤー554が移動すると、ワイヤー554の前述した隣り合う部分(例えば、図7における第一ワイヤー580と第二ワイヤー582とが接触している部分)に、気泡が通過可能な微小な隙間が生じ、ワイヤー554により形成された溝556、に保持された現像剤D内に存在する気泡が、当該隙間を通過して、円柱状基材552側へ移動することとなる。すなわち、規制ブレード560は、回転している現像剤供給ローラ550に当接して、ワイヤー554を移動させることにより、現像剤D内に存在する気泡を、前記隣り合う部分を通過させて、円柱状基材552側へ移動させる機能を発揮する。
【0064】
このことにより、気泡を有する現像剤Dが現像剤供給ローラ550によって現像ローラ510に供給されること、が抑止されるため、供給された現像剤Dにより潜像を現像して画像を形成した際にその画質に劣化が生ずること、を適切に防止することが可能となる。
【0065】
===その他の実施の形態===
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係る現像装置等を説明したが、上記発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0066】
上記実施の形態においては、画像形成装置として中間転写型のフルカラーレーザビームプリンタを例にとって説明したが、本発明は、中間転写型以外のフルカラーレーザビームプリンタにも適用可能である。また、フルカラーレーザプリンタだけではなく、モノクロレーザビームプリンタにも適用可能である。また、プリンタだけでなく、複写機、ファクシミリなどの各種画像形成装置にも適用可能である。
【0067】
また、感光体についても、円筒状の基材の外周面に感光層を設けて構成した、いわゆる感光ローラに限られず、ベルト状の基材の表面に感光層を設けて構成した、いわゆる感光ベルトであってもよい。
【0068】
また、上記実施の形態において、前記現像剤担持体は、円柱状の現像剤担持ローラ(現像ローラ510)であることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、ベルト状の現像ベルトであってもよい。
【0069】
また、上記実施の形態において、前記液体現像剤は、非ニュートン流体であることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、当該液体現像剤は、ニュートン流体であることとしてもよい。
【0070】
非ニュートン流体である液体現像剤は、ニュートン流体である液体現像剤に比べて、気泡を取り込み易い。したがって、上述した効果、すなわち、気泡を有する現像剤Dが現像ローラ510に供給されることを抑止し、画質に劣化が生ずることを適切に防止するという効果、がより有効に発揮されることとなる点で、上記実施の形態の方がより効果的である。
【0071】
また、上記実施の形態において、総ての前記隣り合う部分は、互いに接着されていないこととしたが、これに限定されるものではない。例えば、ワイヤー554の前記隣り合う部分の中に、互いに接着されている部分があってもよい。
ただし、ワイヤー554の移動がスムーズとなり、ワイヤー554の隣り合う部分に隙間を適切に生じさせることが可能となる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0072】
また、上記実施の形態において、ワイヤー554は、該ワイヤー554の端部においてのみ、円柱状基材552に接着されていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ワイヤー554の、円柱状基材552と接する総ての部分が、円柱状基材552に接着されていることとしてもよいし、前記端部と、ワイヤー554の、円柱状基材552と接する部分のうちの一部であって、前記端部以外の部分とが、円柱状基材552に接着されていることとしてもよい。
ただし、ワイヤー554の移動がスムーズとなり、ワイヤー554の隣り合う部分に隙間を適切に生じさせることが可能となる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0073】
また、上記実施の形態において、前記当接部材は、現像剤供給ローラ550上の現像剤Dの量を規制するための規制ブレード560であることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、当該当接部材は、現像剤供給ローラ550の表面に当接された現像剤供給ローラ用のクリーニングブレードであり、現像剤供給ローラ550上の現像剤Dの量は、エアナイフ等の現像剤供給ローラ550に当接しない部材により、規制されることとしてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態において、規制ブレード560は、現像剤供給ローラ550に、腹当たりにて当接していることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、エッジにて当接していることとしてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態において、規制ブレード560は、当該規制ブレード560の、現像剤供給ローラ550に当接する側の先端が、規制ブレード560の、現像剤供給ローラ550に当接する当接位置、から見て当該現像剤供給ローラ550の回転方向の下流側に向くように、設けられており、いわゆるトレール(トレーリング)規制を行うこととしたが、これに限定されるものではない。例えば、その先端が、現像剤供給ローラ550の回転方向の上流側に向くように、設けられており、いわゆるカウンター規制を行うこととしてもよい。
【0076】
トレール(トレーリング)規制の場合には、カウンター規制の場合とは異なり、前記当接部560a近傍において、規制ブレード560が、現像剤Dを現像剤供給ローラ550の溝556に向けて加圧する。したがって、溝556内の気泡が、加圧された現像剤Dに押されて、適切に隙間を通過することとなり、気泡を有する現像剤Dが現像剤供給ローラ550によって現像ローラ510に供給されること、がより効果的に抑止されるため、供給された現像剤Dにより潜像を現像して画像を形成した際にその画質に劣化が生ずること、をより適切に防止することが可能となる。かかる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0077】
また、上記実施の形態においては、円柱状基材552に複数のワイヤー554が巻き付けられていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、円柱状基材552に一本のワイヤー554が巻き付けられていることとしてもよい。
【0078】
また、上記実施の形態においては、円形の断面を有するワイヤー554が円柱状基材552に巻き付けられていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、楕円形の断面を有するワイヤー554が円柱状基材552に巻き付けられていることとしてもよい。
【0079】
また、上記実施の形態においては、複数のワイヤー554の各々の線径は同じであることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、その線径が互いに異なる複数のワイヤーが円柱状基材552に巻き付けられていることとしてもよい。
【0080】
===画像形成システム等の構成===
次に、本発明に係る実施の形態の一例である画像形成システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0081】
図11は、画像形成システムの外観構成を示した説明図である。画像形成システム700は、コンピュータ702と、表示装置704と、プリンタ706と、入力装置708と、読取装置710とを備えている。コンピュータ702は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置704は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ706は、上記に説明されたプリンタが用いられている。入力装置708は、本実施形態ではキーボード708Aとマウス708Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置710は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置710AとCD−ROMドライブ装置710Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magneto Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
【0082】
図12は、図11に示した画像形成システムの構成を示すブロック図である。コンピュータ702が収納された筐体内にRAM等の内部メモリ802と、ハードディスクドライブユニット804等の外部メモリがさらに設けられている。
【0083】
なお、以上の説明においては、プリンタ706が、コンピュータ702、表示装置704、入力装置708、及び、読取装置710と接続されて画像形成システムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、画像形成システムが、コンピュータ702とプリンタ706から構成されても良く、画像形成システムが表示装置704、入力装置708及び読取装置710のいずれかを備えていなくても良い。
【0084】
また、例えば、プリンタ706が、コンピュータ702、表示装置704、入力装置708、及び、読取装置710のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。一例として、プリンタ706が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部等を有する構成としても良い。
【0085】
このようにして実現された画像形成システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。
【図2】図1の画像形成装置の制御ユニットを示すブロック図である。
【図3】現像ユニットの主要構成要素を示した断面図である。
【図4】現像剤供給ローラ550の表面を表した斜視概念図である。
【図5】ワイヤー554の進み方向X1と現像剤供給ローラ550の長手方向X2との成す鋭角θを示す図である。
【図6】ワイヤー554が円柱状基材552に巻き付けられている様子を示す断面図である。
【図7】現像剤供給ローラ550の表面に、溝556が形成されている様子を示した模式図である。
【図8】現像剤供給ローラ550が、支持板金572により支持されている様子を示した模式図である。
【図9】規制ブレード560のトレール(トレーリング)規制を表した模式図である。
【図10】固定位置552cと当接部560aの、現像剤供給ローラ550(円柱状基材552)の長手方向X2における位置関係を示した正面模式図である。
【図11】画像形成システムの外観構成を示した説明図である。
【図12】図11に示した画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0087】
10 レーザビームプリンタ
15Y、15M、15C、15K 現像部
20Y、20M、20C、20K 感光体
30Y、30M、30C、30K 帯電ユニット
40Y、40M、40C、40K 露光ユニット
50Y、50M、50C、50K 現像ユニット
60Y、60M、60C、60K 一次転写ユニット
70 中間転写体
73Y、73M、73C、73K 除電ユニット
75Y、75M、75C、75K 感光体クリーニングユニット
76Y、76M、76C、76K 感光体クリーニングブレード
80 二次転写ユニット
100 制御ユニット 101 メインコントローラ
102 ユニットコントローラ 112 インターフェイス
113 画像メモリ
510 現像ローラ 530 現像剤収容部
540 現像剤汲み上げローラ 550 現像剤供給ローラ
552 円柱状基材 552a 軸
552b 大径部 552c 固定位置
554 ワイヤー 555 端部
556 溝
560 規制ブレード 560a 当接部
562 規制ブレード支持部材
570 現像ローラクリーニングユニット
571 現像ローラクリーニングブレード
572 支持板金 574 軸受け
575 駆動歯車 576 リング状部材
580 第一ワイヤー 582 第二ワイヤー
584 第三ワイヤー 700 画像形成システム
702 コンピュータ 704 表示装置
706 プリンタ 708 入力装置
708A キーボード 708B マウス
710 読取装置
710A フレキシブルディスクドライブ装置
710B CD−ROMドライブ装置
802 内部メモリ
804 ハードディスクドライブユニット
D 現像剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、
円柱状基材と、該円柱状基材に螺旋状に巻き付けられているワイヤーであって、該ワイヤーの隣り合う部分が互いに接触するように、かつ、該ワイヤーが前記円柱状基材に対し移動可能となるように、巻き付けられている該ワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、
該現像剤供給ローラに当接する当接部材と、
を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記液体現像剤は、非ニュートン流体であることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の現像装置において、
前記現像剤供給ローラは、回転可能であり、
前記当接部材は、回転している前記現像剤供給ローラに当接して、前記ワイヤーを移動させることにより、前記液体現像剤内に存在する気泡を、前記隣り合う部分を通過させて、前記円柱状基材側へ移動させることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の現像装置において、
総ての前記隣り合う部分は、互いに接着されていないことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の現像装置において、
前記ワイヤーは、該ワイヤーの端部においてのみ、前記円柱状基材に接着されていることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の現像装置において、
前記現像剤担持体は、円柱状の現像剤担持ローラであることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の現像装置において、
前記当接部材は、前記現像剤供給ローラ上の液体現像剤の量を規制するための規制部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の現像装置において、
前記規制部材は、
該規制部材の、前記現像剤供給ローラに当接する側の先端が、
該規制部材の、前記現像剤供給ローラに当接する当接位置、から見て該現像剤供給ローラの回転方向の下流側に向くように、
設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、
円柱状基材と、該円柱状基材に螺旋状に巻き付けられているワイヤーであって、該ワイヤーの隣り合う部分が互いに接触するように、かつ、該ワイヤーが前記円柱状基材に対し移動可能となるように、巻き付けられている該ワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、
該現像剤供給ローラに当接する当接部材と、
を有し、
前記液体現像剤は、非ニュートン流体であり、
前記現像剤供給ローラは、回転可能であり、
前記当接部材は、回転している前記現像剤供給ローラに当接して、前記ワイヤーを移動させることにより、前記液体現像剤内に存在する気泡を、前記隣り合う部分を通過させて、前記円柱状基材側へ移動させ、
総ての前記隣り合う部分は、互いに接着されておらず、
前記ワイヤーは、該ワイヤーの端部においてのみ、前記円柱状基材に接着されており、
前記現像剤担持体は、円柱状の現像剤担持ローラであり、
前記当接部材は、前記現像剤供給ローラ上の液体現像剤の量を規制するための規制部材であり、
前記規制部材は、
該規制部材の、前記現像剤供給ローラに当接する側の先端が、
該規制部材の、前記現像剤供給ローラに当接する当接位置、から見て該現像剤供給ローラの回転方向の下流側に向くように、
設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
潜像を担持するための像担持体と、
前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像装置であって、液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、該円柱状基材に螺旋状に巻き付けられているワイヤーであって、該ワイヤーの隣り合う部分が互いに接触するように、かつ、該ワイヤーが前記円柱状基材に対し移動可能となるように、巻き付けられている該ワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、該現像剤供給ローラに当接する当接部材と、を有する現像装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項11】
コンピュータ、及び、
このコンピュータに接続可能な画像形成装置であって、潜像を担持するための像担持体と、前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像装置であって、液体現像剤を担持するための現像剤担持体と、円柱状基材と、該円柱状基材に螺旋状に巻き付けられているワイヤーであって、該ワイヤーの隣り合う部分が互いに接触するように、かつ、該ワイヤーが前記円柱状基材に対し移動可能となるように、巻き付けられている該ワイヤーと、を備え、液体現像剤を前記現像剤担持体に供給するための現像剤供給ローラと、該現像剤供給ローラに当接する当接部材と、を有する現像装置と、を備えた画像形成装置、
を有する画像形成システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−119280(P2006−119280A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−305859(P2004−305859)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】