説明

現像装置、画像形成装置及びカートリッジ

【課題】 現像剤担持体に振動電圧を印加することによって、像担持体上に形成された静電潜像の現像を行う手段を有し、この現像手段による現像時に生じる「掃き寄せ」現象を、現像画像の濃度低下を引き起こすこと無く抑制して、長期間に亘って高品位な現像剤像が得られる現像装置、画像形成装置及びカートリッジを提供する。
【解決手段】 シート部材11を、先端が像担持体9と現像剤担持体6との間隙dにおいて現像に作用する現像領域α内に侵入するように、現像剤担持体6の回転方向上流から垂下して配置し、シート部材11の現像領域α内における先端位置に応じて、振動電圧を変化させる手段13を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体と現像剤担持体とを所定の間隔を設けて設置し、互いの部材の間隙に振動電界を形成することによって、像担持体上に形成した静電潜像を非接触現像する現像装置、該現像装置を具備する静電記録方式又は電子写真方式の画像形成装置、及び該画像形成装置に用いられるカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体上に画像を形成する機能を備えた、例えば、複写機、プリンタ、あるいは、ファクシミリ装置等の画像形成装置においては、像担持体上に形成した静電潜像を、現像剤を用いて現像装置により現像剤像(トナー像)として可視化する現像動作が行われている。
【0003】
このような現像を動作が行われる現像装置として、例えば、乾式一成分接触現像装置が提案され、実用化されている。この場合、多くは、回転する静電潜像担持体と同じく回転する、現像剤を担持した現像剤担持体を、適当な相対周速差で押圧もしくは接触させることで、静電潜像を現像している。加えて、現像剤として、この場合は磁性材料が不要であり、装置の簡略化及び小型化が容易である、非磁性トナーを使用することでフルカラー画像形成装置に応用が可能である等、多くの利点を有している。
【0004】
一般的な非磁性一成分現像方式を用いた従来の画像形成装置100について、図13を用いて説明を行う。
【0005】
一般にシリンダ表面に感光層を塗布して形成される、像担持体としての電子写真感光体(以下「感光ドラム」と示す。)101は、一次帯電器102にて一様に帯電される。次に外部装置より入力された画像情報に対応し、露光装置103より感光ドラム101表面に光照射を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム101上の静電潜像は、現像装置104において、一次帯電器102の印加電圧と同極性の摩擦帯電極性を有する現像剤Tにより可視像、即ち現像剤像とされる。
【0006】
現像剤像は転写帯電器105にて転写材Qに転写される。転写材Qは感光ドラム101より分離され、引き続き定着装置106に搬送されて定着される。又、転写帯電器105で転写されず、感光ドラム101上に残存する現像剤Tは、クリーニング装置107によって除去される。
【0007】
ここで、図13に示される画像形成装置100において現像動作を実行する現像装置104が収容する現像剤Tは負帯電性であり、且つイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色いずれかの顔料を含有した非磁性一成分現像剤である。現像装置104を構成する現像剤Tが収容される現像容器104cは、現像動作を実行する現像剤担持体である現像ローラ104bが備えられた部分と、現像剤を攪拌する攪拌部材104aが備えられた部分と、に仕切り板104dにて分割されており、攪拌部材104aとして、各種形状に加工された板状若しくはスクリュー等で構成される2本の撹拌部材104aが図中矢印Fの方向に回転して存在しており、現像剤Tを、現像装置104の開口部で感光ドラム101との対向部に備えられた現像剤担持体としての現像ローラ104bへ、仕切壁104dの高さを超えてオーバーフローによって搬送している。ここで、撹拌部材104aは2個でない場合もあり、攪拌部材104aの構成は、現像剤Tを現像容器104c内部から現像ローラ104b近傍まで搬送することが出来、各種現像器構成に合せて適宜変更される。仕切り板104dは、現像ローラ104bに接触させて配置した現像剤供給ローラ104eに対し、常に一定量の現像剤を供給出来るようにその高さが適正化されている。
【0008】
ここで、現像剤供給ローラ104eは、現像ローラ104bとのニップ部で、現像ローラ104bに対してカウンタ方向に回転し、現像剤Tを現像ローラ104b上に供給すると共に、感光ドラム101との対向位置即ち現像領域を通過しても現像に用いられなかった現像ローラ104b上の現像剤Tを剥ぎ取る役目を担っている。
【0009】
現像ローラ104bには、現像剤量規制部材としての規制ブレード104fが当接されており、現像ローラ104b上の現像剤Tを規制して現像剤薄層を形成する。前述の現像領域に搬送される現像剤量Tは、現像ローラ104b上に接触する、規制ブレード104fの当接圧や当接長さ等により決定される。
【0010】
更に、現像ローラ104bに振動電圧を印加することで、所定の間隔をもって配置された感光ドラム101及び現像ローラ104b間に交流電界が形成される。
【0011】
現像領域まで搬送された現像剤Tは上述の振動電界によって、現像ローラ104b表面と感光ドラム101表面の間で往復運動を行い、その一部が感光ドラム101表面に形成された静電潜像に付着することによって現像が行われる。
【0012】
しかしながら、以上説明したような、現像剤担持体と像担持体との間に振動電圧を含む現像バイアスを印加して現像動作を行う画像形成装置及び現像装置では、現像を行う際に、現像領域にて形成される現像剤像後端部に現像剤が多く集まり、当該部位の濃度が他の部位に比較して濃くなる、「掃き寄せ」と呼ばれる現像(画像)不良が発生することがある。
【0013】
「掃き寄せ」は、以下に述べるメカニズムにより起こると考えられる。
【0014】
図14は、AC電圧とDC電圧を重畳した振動電圧を印加した現像ローラ104bと、感光ドラム101との間隙dにおいて形成される、電気力線Hを示す模式図である。これら電気力線Hが作用する領域は、ほぼ感光ドラム101上において静電潜像の現像に作用する領域、つまり現像領域αに相当する。
【0015】
ここで、現像ローラ104bと感光ドラム101は互いに順方向に回転しており、これらの間隙dにおける回転方向は同一であり、これらの回転方向で上流下流と行った場合は、現像ローラ104bと感光ドラム101との両方の回転方向に対し同じ方向を示す。
【0016】
図14に示されるように、現像ローラ104bと感光ドラム101との間隙dの中心部(a)、即ち現像ローラ104bと感光ドラム101の両部材が最も近接する部位では、電気力線Hがほぼ直線状に形成される。
【0017】
一方、(a)の両側、即ち現像ローラ104bと感光ドラム101間の距離が広い部位(b)及び(c)では、電気力線Hが曲線状に形成される。
【0018】
このような電気作用が施される現像ローラ104bと対向した感光ドラム101の表面に、静電潜像Rbが存在する際、図15に示すように、現像ローラ104bと感光ドラム101との間隙dにおいて、現像ローラ140b及び感光ドラム101の回転方向上流側端部(b)に形成された電界の作用力により、現像剤Tが移動する。
【0019】
そして、この移動した現像剤Tの様子を、図16を用いて説明する。現像剤Tは、現像ローラ104b及び感光ドラム101の回転方向上流側端部(b)に形成された曲線状の電気力線H1上の点a1で、その接線方向にベクトル速度V1を持ち、更に外側の曲線H2上の点a2に移動する。
【0020】
続いて、現像剤Tが点a2に到達した時点で、現像剤Tには点a2での電気力線H2の接線方向にベクトル速度V2を与えられる。
【0021】
すると、現像剤Tは点a2から、これらの合成ベクトル(V1+V2)の方向に一時的に飛翔する。
【0022】
つまり、現像ローラ104b及び感光ドラム101の回転方向上流側端部(b)では、現像ローラ104bに担持された現像剤Tは、図15に示すように、感光ドラム101と現像ローラ104bとの間で徐々に外側へと向う飛翔軌跡Q1のように電気力線Hに沿った往復運動を繰返す。
【0023】
そして、図17に示すように、感光ドラム101上の静電潜像が形成されない非画像部Ra(表面電位を−600Vとする)と、引続き上流側に形成された静電潜像Rb(表面電位を−100Vとする)との境界部Rcが、電気力線の曲線状に形成された現像ローラ104b及び感光ドラム101の回転方向上流側端部(b)に達すると、静電潜像Rbよりも下流側にある現像ローラ104b上の現像剤Tが飛翔軌跡Q2に示すように飛翔し、静電潜像Rbに対向する側へと移動する。よって、境界部Rcに現像剤Tが集中し、これらの現像剤Tが再び現像ローラ104bの上流側に戻る為、現像ローラ104bの当該部位に現像剤Tの大きな溜りSが出来る。
【0024】
又、図18に示すように、現像ローラ104b及び感光ドラム101の回転方向上流側端部(b)に静電潜像Rbが位置した状態になると、現像ローラ104b上の現像剤Tは飛翔軌跡Q3のように感光ドラム101との間で徐々に外側へと向う往復運動を繰返す。よって、現像ローラ104bが回転するにも関わらず、現像ローラ104b上の上流側の一定位置に現像剤Tの大きな溜りSが形成され続ける。
【0025】
更に、図19に示すように、感光ドラム101の回転により、静電潜像Rbとその上流側に連なる非画像部Rdとの境界部Reが、現像ローラ104b及び感光ドラム101の回転方向上流側端部(b)に達すると、電界は境界部Reに集中し、現像ローラ104b上に形成された現像剤Tの大きな溜りSの現像剤Tは、境界部Reに引き寄せられる。よって、現像剤溜りSの現像剤Tが現像ローラ104b及び感光ドラム101の間を、飛翔軌跡Q4のように往復運動しながら、境界部Reの移動に伴って下流側に移動し、現像ローラ104bと感光ドラム101の間隙dを通過する。
【0026】
その後、図20に示すように、現像ローラ104b及び感光ドラム101の回転方向下流側端部(c)において、現像剤Tの大きな溜りSの現像剤Tが、飛翔軌跡Q5のように、静電潜像Rbの後端に付着することで、「掃き寄せ」画像が形成される。
【0027】
上述した「掃き寄せ」を改善する為、像担持体である感光ドラム101と現像剤担持体である現像ローラ104bの間に、導電性を有する板状の電極部材を設けたものが提案されている(特許文献1参照。)。
【0028】
しかし、特許文献1では、該電極部材にバイアスを印加する為の電源や接点類の追加が必要となり、小型現像器及び該現像器を搭載する小型画像形成装置への投入が難しい。
【0029】
一方、現像剤担持体である現像ローラ104bに印加する現像バイアスを所定の条件に設定することで、上述の「掃き寄せ」を改善する手段も提案されている(特許文献2参照。)。
【0030】
特許文献2では、現像領域上流域(b)のみならず下流域(c)での現像剤Tの往復運動が抑制される。現像器及び画像形成装置の小型化に伴い、より小径の現像ローラ104bと感光ドラム101を用いた場合、互いの部材の曲率が大きく現像領域α(即ち、互いの部材間距離が短く、現像剤Tが往復する範囲)が狭まる為、前述の通り下流側(c)で現像剤Tの往復運動が抑制されると、充分な現像濃度が得難くなる。
【特許文献1】特許第3366968号公報
【特許文献2】特許第2971713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本発明の目的は、現像剤担持体に、AC電圧とDC電圧を重畳した振動電圧を印加することによって、像担持体上に形成された静電潜像の可視像化即ち現像を行う手段を有し、この現像手段による現像時に生じる「掃き寄せ」現象を、現像画像の濃度低下を引き起こすこと無く抑制して、長期間に亘って高品位な現像剤像が得られる現像装置、画像形成装置及びカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記目的は本発明に係る現像装置、画像形成装置及びカートリッジにより達成される。要約すれば、第1の本発明は、像担持体上に形成された静電潜像に対して、前記像担持体と所定の間隔をもって配置され且つ現像剤を担持して回転する現像剤担持体に、前記像担持体との間に作用する振動電圧を印加し、現像剤を現像部へと搬送することによって現像動作を行う現像装置において、
更に、シート部材を、先端が前記像担持体と前記現像剤担持体との間隙において現像に作用する現像領域内に侵入するように、前記現像剤担持体の回転方向上流から垂下して配置し、
該シート部材の前記現像領域内における先端位置に応じて、前記振動電圧を変化させる手段を備えることを特徴とする現像装置を提供する。
【0033】
第2の本発明は、表面に静電潜像が形成される像担持体と、該像担持体上に形成された前記静電潜像に対して、前記像担持体と所定の間隔をもって配置され且つ現像剤を担持して回転する現像剤担持体に、前記像担持体との間に作用する振動電圧を印加し、現像剤を現像部へと搬送することによって現像動作を行う現像装置と、を有する画像形成装置において、
更に、シート部材を、先端が前記像担持体と前記現像剤担持体との間隙において現像に作用する現像領域内に侵入するように、前記現像剤担持体の回転方向上流から垂下して配置し、
該シート部材の前記現像領域内の先端位置に応じて、前記振動電圧を変化させる手段を備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0034】
第1、第2の本発明の一実施態様によると、前記振動電圧は、振動電界を形成する部分と、振動電界を形成していない部分とが交互に繰返される電界である。
【0035】
第3の本発明は、像担持体に形成された静電潜像を、前記像担持体と所定の間隔をもって配置される現像剤担持体上に現像剤を担持させ、前記像担持体と前記現像剤担持体との間に振動電圧が印加されることにより現像を行う現像装置と、前記像担持体と前記現像剤担持体との間隙において現像に作用する現像領域内にかかるように設置されたシート部材と、を一体化し、画像形成装置本体と着脱可能としたカートリッジであり、前記シート部材の先端位置に係わる情報を記憶する記憶媒体を搭載することを特徴とするカートリッジを提供する。
【発明の効果】
【0036】
本発明の現像装置、画像形成装置及びカートリッジは、像担持体上に形成された静電潜像に対して、像担持体と所定の間隔をもって配置され且つ現像剤を担持して回転する現像剤担持体に、像担持体との間に作用する振動電圧を印加し、現像剤を現像部へと搬送することによって現像動作を行い、更に、シート部材を、先端が像担持体と現像剤担持体との間隙において現像に作用する現像領域内に侵入するように、現像剤担持体の回転方向上流から垂下して配置し、シート部材の現像領域内における先端位置に応じて、振動電圧を変化させる手段を備えるので、現像画像において現像時に生じる「掃き寄せ」現象を、現像画像の濃度低下を引き起こすこと無く抑制して、長期間に亘って高品位な現像剤像が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明に係る現像装置、画像形成装置、及びカートリッジを図面に則して更に詳しく説明する。本発明は、実施例1又は2に記載される現像装置やそれを備える実施例3に記載される画像形成装置、実施例4に記載される画像形成装置やカートリッジに適用される。
【0038】
実施例1
本実施例では、本発明を、現像工程を含む画像形成工程を実施する様々な構成の画像形成装置又はカートリッジに備えられる現像装置1に適用するものとする。本実施例にて説明する現像装置1は、例えば、従来例にて説明した図13に示されるような構成の画像形成装置や、実施例3及び4に後述するような画像形成装置等、様々な構成のものにおいて、現像工程を実施するに際し、適用される。
【0039】
例えば、最も基本的な構成として、図3に示すような装置において本実施例の現像装置1は使用される。この装置において、像担持体9としては、外径30mmのアルミニウム製芯金9a上に、電荷発生層9bを形成し、その上層に電荷輸送層9cを形成した有機感光ドラムが用いられる。
【0040】
そして像担持体9の周囲に、像担持体9表面を一様な電位に帯電するローラ帯電装置14と、像担持体9の回転に併せて一定の間隔で明滅する露光用光源15が設けられている。
【0041】
露光用光源15を設置した位置に対し、像担持体9の回転方向下流側に、本実施例の現像装置としての非接触現像器(現像器)1が配置される。そして、像担持体9上に残留した現像剤を除去するクリーニング装置16が設けられている。
【0042】
図1に示すのは、本実施例である現像器1の模式図、又、図2はこの現像器1における現像剤担持体近傍の拡大図である。
【0043】
本実施例の現像装置は、電子写真方式の画像形成装置に用いることを目的とした非接触現像器1であり、例えば感光ドラム等の像担持体9上に形成された静電潜像を、像担持体9と所定の間隔をもって配置され一方向に回転する現像剤担持体6に対し、現像剤担持体6と像担持体9の間で作用する振動電圧を印加することによって現像を行う。
【0044】
ここで、図1を用いて非接触現像器1の構成を説明する。
【0045】
非接触現像器1を構成する枠体内の空間は、現像剤Tを内包するための現像剤収容部2として利用される。
【0046】
現像剤収容部2に充填された現像剤Tは、図1中矢印A方向に回転する撹拌部材3によって、供給ローラ4側へと搬送される。この時、現像剤収容部2と供給ローラ4の間は仕切り板5によって隔てられているので、撹拌部材3の押圧によって仕切り板5を乗越えた現像剤Tが、オーバーフローによって略一定量ずつ供給ローラ4へと搬送される。
【0047】
一方、供給ローラ4は、現像剤担持体である現像ローラ6に接触しながら、それとカウンタ方向である図1中矢印B方向へと回転することによって、現像剤Tを帯電させ且つ現像ローラ6に供給する。
【0048】
矢印C方向に回転する現像ローラ6に担持された現像剤Tは、規制部材である現像ブレード7によって所定の層厚に形成され、引続き図1に破線で示した被現像部材である像担持体9、図13に示す画像形成装置においては像担持体としての感光ドラム101に対向した現像ローラ6によって、像担持体9と現像ローラ6との間隙dに位置する現像領域αへと搬送される。ここで、現像ローラ6と像担持体9とは、対向部で同方向に移動する順方向に回転している。
【0049】
間隙dまで搬送された現像剤Tは、現像用電源12から現像バイアスとして現像ローラ6に印加されるAC電圧とDC電圧を重畳した振動電圧によって、像担持体9と現像ローラ6間を往復する。この現像剤Tの挙動に際して、像担持体9表面に形成された静電潜像に付着して現像が行われる。この現像バイアスについては、後に詳しく説明する。
【0050】
ここで、像担持体9表面に転移しなかった現像剤Tは、再び現像ローラ6に回収されて次回の現像に用いられる。
【0051】
尚、図2を参照すれば理解されるように、現像ローラ6両端部には、内径部で現像ローラ6に接触し、その外径部を像担持体9に当接することにより現像ローラ6表面と像担持体9表面を所定の間隔に保つ働きをする、リング状の規制コロ8が設けられる。
【0052】
本実施例の非接触現像器1では、樹脂溶液中にカーボン等を配合して抵抗調整を行った後、外径15mmのアルミニウム素管上に塗工を行ったものを現像ローラ6として使用した。
【0053】
尚、現像ローラ6表面と像担持体9表面の間隔dが、規制コロ8によって300μmに保たれるように調節を行った。
【0054】
又、現像剤Tとしては、負極帯電される非磁性一成分トナーを用いたが、非接触現像に適したものであれば、磁性・非磁性を問わず利用することが可能である。
【0055】
尚、現像器1の構成としては、図1に示されるものに限定されず、従来例の図13の画像形成装置に備えられたような、攪拌部材を複数個有するものでもよい。
【0056】
ここで、本発明の特徴のひとつとして、本実施例においては、像担持体9と現像ローラ6とで構成される間隙d、そしてその間隙dに存在する現像に作用する領域である現像領域α内に侵入するように、絶縁材質から構成されるシート部材11を、現像ローラ6の回転方向C及び像担持体9の回転方向D上流側より垂下して配置した。
【0057】
こうしたシート部材11を設ける手段によって、背景技術において「掃き寄せ」の発生原理についての説明に用いた図14〜図20にて、ここに示される現像ローラ104b(現像剤担持体)と感光ドラム101(像担持体)とで形成される間隙dにおいて、両部材の回転方向上流側端部(b)で往復する現像剤Tの飛翔運動が阻止される。従って、現像ローラ104b上の回転方向C上流側の一定位置に現像剤Tの大きな溜りS(図17)が形成されず、現像ローラ104b及び感光ドラム101の回転方向下流側端部(c)において、現像剤Tが像担持体表面の静電潜像Rb後端に、現像剤Tが多量に付着する図20に示すような現象がなくなって、「掃き寄せ」画像の発生が抑止される。
【0058】
即ち、本実施例の非接触現像器1では、図2に示すように、現像ブレード7に支持部材としての台座10を固定し、台座10に対し厚さ60μm程のポリエチレンテレフタレート樹脂製のシート部材(PETシート)11の貼付けを行った。この貼り付け部分11aがシート11の固定端となる。
【0059】
台座10に固定されていないPETシート11の固定端11aに対してもう一方の自由端Gは、現像ローラ6と像担持体9の間隙dにある現像領域αに侵入し、台座10から垂れ下がるように垂下して配置される。
【0060】
尚、本実施例では、重力の作用方向に対してその上方からPETシート11を垂れ下げるように取付ける為、この様子を「垂下」と表現した。
【0061】
ここで、シート部材11を垂下させるには、固定端11aが重力方向上方で、自由端Gが下方に配置されることが必要である。そして、それを現像ローラ6と像担持体9との間隙dに、現像ローラ6回転方向上流から垂下するため、現像ローラ6の像担持体9の、その間隙dにおける回転方向(ここでは両部材は互いに順方向で回転しているため同方向)を重力方向にする。
【0062】
ここで、現像領域αとは、従来例で図14を用いて説明したような、現像バイアスによって電気力線Hが生じる領域であり、つまり実際に現像に作用する領域である。本実施例における現像領域αは、上述の現像バイアスの条件下において、像担持体9の外径を外径30mmとした場合、現像領域αは像担持体9及び現像ローラ6の最近接部eから、現像ローラ6の回転方向の上下流側にそれぞれ1.5mm〜1.8mmの範囲、即ち3.0〜3.6mm程度の幅を持つことが判った。
【0063】
尚、現像ローラ6の回転方向C上流から垂下するPETシート11等のシート状の部材は絶縁材質から形成される為、現像ローラ6と像担持体9との間隙dに形成された電界において、放電現象の発生を促すことは無い。
【0064】
しかし、シート部材11が像担持体9と現像ローラ6の間隙dにおける現像領域αを過多に遮ることにより、現像作用に介在する現像剤T量が減少した場合、白縦筋状に現像されない部位(筋)が生じたり、全体的に現像濃度が低下することがある。
【0065】
ここで、本発明におけるもうひとつの特徴として、本実施例では、上述した現像器1における現像ローラ6に現像バイアスを印加するための現像用電源12には、現像バイアスとして、現像ローラ6に印加される振動電圧(振動バイアス)の切替え手段13が接続されており、これらの値は図2に示すPETシート11が現像領域αを遮る量δに応じて、適宜調整を行うことが出来ることが挙げられる。
【0066】
このことによって、現像作用に介在する現像剤T量が減少した場合でも、該現像剤Tが静電潜像に対して飛翔し易いように最適な振動電界を形成出来る為、筋や現像濃度低下を抑え、安定した現像画質が得られるようになる。即ち、シート部材11の先端位置が幅広い範囲に位置していても、「掃き寄せ」が抑制された良好な現像画質が得られるようになる。
【0067】
上記に説明したように、現像器1において、現像ローラ6によって現像領域αまで搬送された現像剤Tは、現像用電源12から現像ローラ6に印加されるAC電圧とDC電圧を重畳した振動バイアスによって、像担持体9と現像ローラ6間を往復する間に、像担持体9表面に形成された静電潜像に付着して現像が行われる。
【0068】
本実施例の非接触現像器1では、ピーク間電圧:2.0kVpp、周波数:2.5kHz、Duty:50%の矩形ACバイアスに対し、Vdc=−300VのDC電圧を重畳させたものを基準バイアスとして用いた。
【0069】
上述のACバイアスのDutyについて詳細に説明すると、図4に示すような矩形ACバイアスにおいて、ピーク間電圧の両端を成す現像促進側電圧、即ち現像剤Tを像担持体9表面に飛翔させる条件を備える電圧の最大値Vmax、及び、現像抑制側電圧即ち現像剤Tの像担持体9表面への飛翔を抑える条件を備える電圧の最大値Vmin、そして、これらのVmaxとVminとの間の一定バイアス値で、それを示す直線状の軌跡とACバイアスとのバイアス波形を示す軌跡とで囲まれた部位の面積Xが、各々の電圧側で等しくなるように設定した面積中心電圧Vdcに対し、現像促進側電圧となる時間T2の、矩形ACバイアス周期(T1+T2)中に占める割合(単位は%)が、このDutyである。
【0070】
ここで、PETシート11が現像領域αを遮る量、即ち、図2中に示すδを設定したが、この設定について、間隙d(現像領域αを含む)の中でPETシート11の自由端Gの位置を振り、像担持体9上に形成された現像剤像での「掃き寄せ」や濃度低下の状況を調べた。そして、更に、この現像バイアスのACバイアスとなる図4に示した基準バイアスとしての振動バイアスの設定を変えて、同様に、像担持体9上に形成された現像剤像での「掃き寄せ」や濃度低下の状況を調べた。
【0071】
以下、前記に説明した図3の模式図を用い、評価に使用した装置について説明を行う。
【0072】
像担持体9としては、上記と同様に、外径30mmのアルミニウム製芯金9a上に、電荷発生層9bを形成し、その上層に電荷輸送層9cを形成した有機感光ドラムを用意した。
【0073】
又、画像形成装置と同様に、像担持体9の周囲に、像担持体9表面を一様な電位に帯電するローラ帯電装置14と、像担持体9の回転に併せて一定の間隔で明滅する露光用光源15を取付けた。そして、露光用光源15を設置した位置に対し、像担持体9の回転方向下流側に非接触現像器1を配置した。
【0074】
像担持体9を1rpmで回転駆動した上で、露光用光源15は0.5秒毎に明滅を繰返す。尚、現像ローラ6は3.2rpmで回転駆動し、現像ローラ6表面が像担持体9表面に対して150%の速度差を持って移動するように調整を行った。ここで、前記したように、現像ローラ6と像担持体9とは、通常互いに順方向で回転している。
【0075】
上述の装置全体を覆って充分に遮光を行った後、ローラ帯電装置14に印加するバイアス値を調整することで像担持体9の表面を−500Vに帯電し、露光用光源15によって露光を行うと、像担持体9上の露光部の表面電位は−100V迄低下した。
【0076】
続いて、非接触現像器1の現像ローラ6に先に述べた現像バイアスを印加することで、露光部が現像される。この時点で、目視により像担持体9上の露光部後端部に「掃き寄せ」が発生しているか否かの判断を行う。
【0077】
本評価において、PETシート11の自由端Gの設定位置は、この図3に示されるような三次元測定装置において、上述した像担持体9と現像ローラ6の図2に示す最近接部e、即ち現像領域αの中央部を基準に採り、現像ローラ6の回転方向の上下流側にそれぞれ0.3mm刻みに調整を行うようにした。そして、三次元測定装置による測定結果、特に詳細な条件振りが必要な箇所は0.1mm刻みに調整を行った。
【0078】
まず、本実施例の非接触現像器1の優位性を確認する為、PETシート11が現像領域αを遮る量δに応じて、現像ローラ6に印加する振動バイアスの切替えを行わない場合について評価を行った。
【0079】
上述の評価結果を、表1を用いて説明する。
【0080】
【表1】

【0081】
表1において、自由端位置欄に記載された数値に付けられた符号は、像担持体9と現像ローラ6の最近接部eを基準とし、現像ローラ6の回転方向上流側、前記に記載したように現像ローラ6と像担持体9の回転方向は間隙dにおいては重力方向であるので、重力の作用方向に対し上方側を負、現像ローラ6の回転方向の下流側、即ち、重力の作用方向に対し下方側を正で表し、数値は、+又は−の方向の最近接部eから自由端Gの距離(mm)を表している。つまり、現像領域αを遮る量δが大きい場合は、自由端位置欄は正の数値になり、現像領域αを遮る量δが小さい場合は、自由端位置欄は負の数値となる。
【0082】
表1に記した結果から判るように、PETシート11の自由端Gが−1.8mmから+0.6mmの位置に有る場合、「掃き寄せ」が改善されている。
【0083】
これは、像担持体9と現像ローラ6とで構成される間隙d内上流側(即ち、重力の作用方向に対し上流側)において、現像に作用する現像剤T量をPETシート11により制限することで、像担持体9の静電潜像後端に集中して飛翔する現像剤T量が減少した為だと考えられる。
【0084】
尚、自由端位置−2.1mmの場合には「掃き寄せ」の抑止効果が得られず、PETシート11の自由端Gが先に述べた現像領域αより外に位置していることが確認出来た。
【0085】
以上の結果から、PETシート11が現像領域αを遮る範囲を、現像ローラ6の回転方向現像領域αにおいて、上流端側からその中央部分までに設定することで、「掃き寄せ」を抑制出来ることが判った。
【0086】
一方、PETシート11の自由端Gを+0.3mmにすると白縦筋状に現像されない部位が、又、+0.6mm以上とした場合、明らかな現像濃度の低下が観測された。
【0087】
上記現象は、PETシート11が像担持体9と現像ローラ6の間隙dにおける現像領域αを過多に遮ることにより、現像作用に介在する現像剤T量が極端に減少する為に生じると考えられる。
【0088】
そこで、次に、同様の装置を用い、現像ローラ6に印加する振動バイアスの切替えを行った場合の評価結果について、表2を用いて説明する。
【0089】
尚、表2中に示す振動バイアスのDuty値は、PETシート11が現像領域αを遮る量δに応じて、「掃き寄せ」が最大限に抑制され、充分な現像濃度が得られるように選択を行ったものである。
【0090】
【表2】

【0091】
表2に記した結果から判るように、PETシート11の自由端Gが−1.8mmから+0.6mmの位置に在る場合、「掃き寄せ」が問題の無いレベルまで改善され、自由端Gが更に現像領域αに侵入した際にも改善効果が見られた。
【0092】
一方、PETシート11の自由端Gを+0.6mmにすると白縦筋状に現像されない部位が観測でき、+0.9mm以上とした場合、明らかな現像濃度の低下が観測出来た。
【0093】
このように、PETシート11が現像領域αを遮る量δに応じて、現像ローラ6に印加する振動バイアスの切替えを行うことで、表1に示した切替えを行わない場合に比較し、より幅広い領域で良好な現像画質を得ることが出来た。
【0094】
尚、本実施例の非接触現像器1では、台座に取付けるシート状の部材としてPETシート11を用いたが、例えばウレタン等のように絶縁性を有し、且つ被現像部材に接触した際に傷等を生じさせないもの(例えば、ポリプロピレン、アクリル系樹脂等をシート状に成型したもの)であれば、同様の効果が得られる。
【0095】
尚、現像ローラ6の軸方向における前記PETシート11の幅は、現像ローラ6が現像剤Tを担持する領域(現像幅)全てを覆い、且つ両端部に設けられる規制コロ8よりも内側までとすることで、現像幅全域で「掃き寄せ」を抑えることが出来る。
【0096】
又、本実施例の非接触現像器1と同様に、像担持体9と現像ローラ6の間隙にPETシート11を上方から垂下して配置すれば、複数の非接触現像器1を格納し、各々の現像装置で現像を行った現像剤像を積層してフルカラー画像の形成を行う、タンデム方式・ロータリー方式の多色画像形成装置においても、「掃き寄せ」を抑制することが可能である。
【0097】
そして、本実施例の非接触現像器1のように、振動バイアスのDutyを調節して現像性のコントロールを行った。その他、振動バイアスを構成するAC成分におけるピーク間電圧及び周波数、また前述AC成分に重畳されるDC電圧値を、PETシート11が現像領域αを遮る量δに応じて設定することで、同様の効果を得ることが出来る。
【0098】
以上のことから、現像装置において、像担持体と現像剤担持体とで構成される間隙における現像領域内にかかるように絶縁材質のシート部材を設置すると共に、シート部材の先端位置に応じて、振動電界を形成する現像剤担持体に印加する振動バイアスを変化させる手段を設けることで、現像剤担持体と像担持体とで形成される現像領域において、両部材の回転方向上流側端部にて往復する現像剤の飛翔運動が阻止され、現像剤担持体上の回転方向上流側の一定位置に現像剤の大きな溜りが形成されず、現像剤担持体及び像担持体の回転方向下流側端部において、現像剤が像担持体表面の静電潜像後端に、現像剤が多量に付着することが回避され、「掃き寄せ」画像の発生が抑止される。
【0099】
更に、シート部材が像担持体と現像剤担持体の間隙における現像領域を過多に遮ることによる現像作用に介在する現像剤量の減少が起こった時も、現像剤が静電潜像に対して飛翔し易いように最適な振動電界を形成出来る為、白縦筋状に現像されない部位が生じたり、全体的に現像濃度が低下するのを抑え、安定した現像画質が得られるようになる。そして、シート部材の先端位置が幅広い範囲に位置していても、「掃き寄せ」が抑制された良好な現像画質が得られるようになる。
【0100】
又、シート部材を像担持体に接触させて配置すれば、現像剤担持体と像担持体との微小な間隙において、絶縁材質から構成されるシート部材の先端位置を、容易に設定することが可能となる。よって、シート部材の先端位置の精度を出し易くなる。加えて、シート部材を、像担持体に対して所定の押圧力をもって積極的に押付けることで、現像剤担持体側へのシート部材の倒れを抑え、現像剤担持体表面への接触が防止される。この方法により、シート部材が現像剤担持体表面に接触することにより、現像剤担持体上の現像剤コート層が乱され、濃度むら等の画像欠陥が生じるのを防止することが出来る。
【0101】
シート部材の取付方法に関しては、特に限定するものではないが、規制部材若しくは規制部材を保持する現像装置枠体に取付けられた支持部材に対し、絶縁材質から構成されるシート部材を貼付けることができ、簡単な構成により現像剤担持体と像担持体との間隙内に設置出来、現像装置機構の簡略化を図ることが出来る。又、現像装置の交換に併せて絶縁材質から構成されるシート部材の交換も行える為、シート部材が破損したり、現像剤の汚染等でその効力が低下した場合に、容易にメンテナンスを行うことが出来る。
【0102】
実施例2
本実施例においては、現像装置1aにおいて、実施例1においては図4に示すような波形のAC成分を有する現像バイアスとしての振動バイアスにてAC成分のDutyを変化させたのに対し、このAC成分として、図5に示すような、電位が交互に変化する部分と、電位が変化せずに一定になる部分とが交互に生じる、所謂ブランクパルスバイアスと称される振動バイアスを印加し、PETシート11が現像領域αを遮る量δに応じて、このブランクパルスバイアスに対して、電位が交互に変化する部分と、電位が変化せずに一定になる部分と、の比率を調節したことを特徴とする。
【0103】
掃き寄せ画像は上記したように、像担持体9と現像ローラ6間にてトナーの往復運動によって生じるものである。よって、トナーの往復運動の回数が多いほど掃き寄せが悪化し易い。像担持体9の回転速度が下がるにつれて掃き寄せ画像が悪化するのはこのためである。一般的に現像剤であるトナーは現像バイアスの極性の切り替わり時に力を得て像担持体へ向かう方向または現像ローラへ向かう方向へ飛翔する。ブランクパルスはその極性の切り換えの回数を減らしている為、トナーの往復運動を抑制する。それにより、掃き寄せ画像を低減することが可能となる。
【0104】
更に、トナーの往復運動を抑制する量はブランクパルスの振幅率によって制御できる。振幅率とは、ブランクパルスの振幅部の時間をP、ブランク部の時間をBとしたとき、P/(P+B)×100%である。振幅率を上げると、トナーの往復運動量は増加され、掃き寄せ及び画像濃度が増加する。又、振幅率を下げるとトナーの往復運動は抑制され、掃き寄せ及び画像濃度が減少する。
【0105】
言い換えると、現像剤Tは一般に、現像ローラ6に印加される振動電圧の極性切替えタイミングに作用力を受け、像担持体9に向かう方向又は現像ローラ6へと向かう方向へと飛翔する。ブランクパルスバイアスを用い、振動電圧に振動電界を形成していない部分を設けることで、極性の切り換えの回数を減らし、像担持体9及び現像ローラ6間での現像剤Tの往復運動を抑制する。よって、シート部材11と併せ、効果的に「掃き寄せ」を低減することが可能となる。
【0106】
更に、シート部材11が現像領域αを過多に遮った場合でも、現像前述振動電圧において振動電界を形成しない部分を減少させることで、像担持体9及び現像ローラ6間での現像剤Tの往復運動を促進して、最適な現像濃度を得ることが出来る。
【0107】
尚、本実施例にて使用する現像装置1aは、上述した振動バイアスの条件が異なる以外は、実施例1で説明した現像装置1と同様の構成を採る為、その詳細な説明は省略する。
【0108】
以下に、図5を用いて、本実施例において、現像ローラ6に印加される現像バイアスのAC成分としてのブランクパルスバイアスについて説明する。
【0109】
本実施例において現像ローラ6に印加される振動バイアスは、電位が10波分交互に変化するパルス波形部Pと、パルス波形部Pと同様の期間(10波分)電位が変化せず、一定の電位となるブランク部Bより形成されている。以下、このような振動バイアスを、「10/10BP(パルス部分10波/ブランク部分10波のブランクパルス)」と示す。
【0110】
又、電位が交互に変化するパルス部の周波数を、3.0kHz、ピーク間電圧(振幅)を2.0kV、Dutyを50%とし、パルス波形部Pのピーク間中央値を−300Vに設定した。即ち、ここではDutyが50%なので、図4に示した面積中心電圧Vdcと一致させた。
【0111】
そして、本実施例では、現像性をコントロールする為に、これらの条件は、PETシート11が現像領域αを遮る量δが増えた場合には、パルス波形部Pの比率を大きくして現像性Upを計り、PETシート11が現像領域αを遮る量δが減った場合には、ブランク部Bの比率を大きくして現像性Downを図るように、切替えを行う。
【0112】
ここで、本実施例においても、非接触現像器1aの現像ローラ6に、このブランクパルスバイアスを重畳した現像バイアスを印加することで、像担持体9における露光部が現像される。この時点で、目視により像担持体9上の露光部後端部に「掃き寄せ」が発生しているか否かの判断を行った。評価方法においては、実施例1と同様に図3に示す装置に本実施例の現像装置1aを設置して実施した。
【0113】
まず、本実施例の非接触現像器1aの優位性を確認する為、まずPETシート11が現像領域αを遮る量δに応じて、現像ローラ6に印加するプランクパルスバイアスの切替えを行わない場合について評価を行った。
【0114】
上述の評価結果を、表3を用いて説明する。表3においても、表1、2と同様の表現方法で、自由端位置欄に記載された数値に付けられた符号は、図2における像担持体9と現像ローラ6の最近接部eを基準とし、現像ローラ6の回転方向上流側を負、現像ローラ6の回転方向の下流側を正で表し、数値は、+又は−の方向の最近接部eから自由端Gの距離(mm)を表している。つまり、現像領域αを遮る量δが大きい場合は、自由端位置欄は正の数値になり、現像領域αを遮る量δが小さい場合は、自由端位置欄は負の数値となる。
【0115】
【表3】

【0116】
表3に記した結果から判るように、PETシート11の自由端Gが−1.6mmから+0.6mmの位置に有る場合、「掃き寄せ」が問題の無いレベルまで改善され、自由端Gが更に現像領域αに浅く侵入する領域でも改善効果が見られた。
【0117】
一方、PETシート11の自由端Gを−0.3mmにすると白縦筋状に現像されない部位が、+0.3mm以上とした場合、明らかな現像濃度不足となった。
【0118】
即ち、プランクパルスバイアスを用いた本実施例の現像装置1aでは、本発明に係わる実施例1で用いた通常のAC矩形波バイアスに対し、PETシート11の自由端Gが現像領域αにより浅く侵入する領域でも「掃き寄せ」が抑制されるが、PETシート11の自由端Gが現像領域αに深く侵入した際、現像濃度が得られ難いという特性を持つことが分かった。
【0119】
次に、プランクパルスバイアスの切り替えを実施した時の評価を同様に表4に示す。
【0120】
【表4】

【0121】
表4に記した結果から判るように、PETシート11の自由端Gが−1.6mmから+0.6mmの位置に有る場合、「掃き寄せ」が問題の無いレベルまで改善され、自由端Gが更に現像領域αに浅く侵入する領域でも改善効果が見られた。
【0122】
一方、PETシート11の自由端Gを+0.6mmにすると濃度薄の傾向が現われ、また+0.9mm以上とした場合、明らかな現像濃度不足となった。しかし、ブランクパルスバイアスの切り替えを実施しない場合には−0.3mm以上にて現像濃度不足となるのに比べると、明らかにPETシート11の取付範囲が広くなっていることが明らかである。
【0123】
即ち、表3で説明した際に述べた、ブランクパルスバイアス化の弊害である現像濃度の低下が解消されたことになる。このように、PETシート11が現像領域αを遮る量δに応じて、現像ローラ6に印加するブランクパルスバイアスの条件切替えを行うことで、表3に示した条件切替えを行わない場合に比較して、より幅広い領域で良好な現像画質を得ることが出来た。
【0124】
尚、本実施例においては、10/10BP、12/8BP、8/4BP等のブランクパルスを用いたが、現像ローラ6と像担持体9間の距離、像担持体9や現像ローラ6の外径等、諸条件により最適なプランクパルスバイアス条件が変化する。従って、任意に設定したプランクパルスバイアス条件を、PETシート11が現像領域αを遮る量δと相関させながら切替えた場合でも、本発明と同様の効果を得ることが出来る。
【0125】
実施例3
実施例1及び実施例2において説明してきたような本発明の現像装置としての非接触現像器1、1aは、像担持体9の周囲に、像担持体9及び現像ローラ6の回転方向が間隙dにおける回転方向が重力方向となる範囲であらゆる姿勢で適用できるので、多様な構成の画像形成装置において、好適に適用可能である。
【0126】
本実施例では、本発明を適用した画像形成装置の一例について説明する。
【0127】
図6に示すように、本実施例の画像形成装置は従来例に説明した図13に示す画像形成装置と基本構成を同様とし、現像装置として、実施例2に説明した非接触現像器1aを採用したものである。
【0128】
本実施例の図6に示す画像形成装置おいても、像担持体である感光ドラム101上に形成された静電潜像を、感光ドラム101と所定の間隔をもって配置された現像剤担持体6に対して振動電圧を印加し、現像剤担持体6及び感光ドラム101の間で作用する振動電界を形成することによって現像を行う。
【0129】
又、現像剤担持体6と感光ドラム101とで構成される間隙dにおける現像領域α内にかかるよう、絶縁材質であるシート部材11を、現像剤担持体6の回転方向上流より垂れ下げるように配置し、現像装置1aを交換する際には、シート部材11の先端位置に応じて、印加する振動電圧の条件を最適な値に制御することを特徴とする。
【0130】
本実施例の画像形成装置は、像担持体9として直径30mmに形成された感光ドラム101を有し、感光ドラム101は、帯電工程にて接触帯電部材としての帯電ローラ102に一様に帯電される。潜像形成工程にて、一様に帯電された感光ドラム101表面には、潜像形成手段の露光手段であるレーザスキャナ(露光用光源)103によって露光されて静電潜像が形成され、現像工程にて、現像剤Tを内包する現像装置としての非接触現像器1によって、感光ドラム101上に形成された静電潜像は現像される。
【0131】
感光ドラム101は、アルミニウム等から構成される芯金101a上に、電荷発生層101bを形成し、その上層に電荷輸送層101cを形成した所謂有機感光体である。
【0132】
感光ドラム101は図6中矢印D方向に回転しながら、帯電ローラ102によりその周面を−500Vの電位に接触帯電処理される。
【0133】
帯電ローラ102の芯金102aには、画像形成装置本体に備えられた帯電用電源18から芯金102aに接触させた摺動電極(不図示)を介し、AC電圧とDC電圧を重畳した振動電圧が印加される。
【0134】
次いで、感光ドラム101の帯電処理面に対して、レーザスキャナ103により走査露光がなされ、目的の画像情報の静電潜像が形成される。
【0135】
非接触現像器1では、感光ドラム101上に形成された静電潜像を、感光ドラム101と所定の間隔をもって配置され、一方向に回転する現像剤担持体(現像ローラ)6に対し、現像ローラ6及び感光ドラム101の間で作用する現像バイアスを印加することによって現像を行う。
【0136】
一方、感光ドラム101に担持された静電潜像が、現像剤Tを担持した現像ローラ6と対向する部位に到達すると、現像用電源12から現像ローラ6に対しAC電圧とDC電圧を重畳した振動電圧の印加を行ない、感光ドラム101と現像ローラ6間に振動電界を形成することにより、感光ドラム101表面に形成された静電潜像に対し現像剤Tが飛翔・転移して、現像が行われる。
【0137】
感光ドラム101上に形成された現像剤像は、感光ドラム101の回転により画像形成装置本体に設けられた転写部105にて記録材Pに転写され(転写工程)、記録材Pは定着部106に搬送されて現像剤像が定着され(定着工程)、記録材P上に定着画像が完成する。
【0138】
一方、転写時に感光ドラム101上に残留した現像剤Tは、再び帯電ローラ102を通過する前にクリーニングブレード107aによって掻き落とされ、廃現像剤容器107内に蓄積される(クリーニング工程)。
【0139】
上記の画像形成装置に実施例1又は2の現像装置1、1aを設置することが可能であり、形成される画像において、掃き寄せや濃度低下を抑えることができるが、本実施例では、実施例2にて説明した構成の現像装置1aを設けた例を説明する。
【0140】
現像器1aの構成については図1を用いて説明したものと同様であり、即ち、実施例1に記載した像担持体9として、上記の構成の画像形成装置には、像担持体である感光ドラム101が設けられ、非接触現像器は、実施例1に説明したように、感光ドラム101上に形成された静電潜像を、感光ドラム101と規制コロ8によって300μmの間隔をもって配置され、一方向に回転する現像ローラ101との間で作用する振動電圧を印加することによって現像を行う。
【0141】
そして、実施例1又は2と同様に、感光ドラム101と現像ローラ6とで構成される間隙dにおける現像領域α内にかかるように、現像ブレード7に固定した台座10に厚さ60μm程のPETシート11を貼付け、現像ローラ6の回転方向上流から垂下して配置してある。この際、PETシート11が現像ローラ6に接触しないように、調整を行った。
【0142】
そして、本実施例において現像ローラ6に印加される振動バイアスは、実施例2の現像装置1aと同様、図5に示す通り、電位が10波分交互に変化するパルス波形部Pと、パルス波形部Pと同様の期間(10波分)電位が変化せず、一定の電位となるブランク部Bより形成されているブランクパルスバイアスである。
【0143】
ここでも、電位が交互に変化するパルス部の周波数を3.0kHz、ピーク間電圧(振幅)を2.0kV、Dutyを50%とし、パルス波形部Pのピーク間中央値を−300Vに設定した。
【0144】
そして、現像性をコントロールする為にこのブランクバルスバイアスの切り換えは、実施例2と同様に以下の2つの条件に従って行われた
(1)PETシート11が現像領域mを遮る量δが増えた場合には、パルス波形部Pの比率を大きくして、現像性Upさせた。
【0145】
(2)PETシート11が現像領域mを遮る量δが減った場合には、ブランク部Bの比率を大きくして現像性Downさせた。
【0146】
ここで、本実施例では、これらの振動バイアスの切り替えは、図7にブロック図にて示す図6の画像形成装置の制御手段に制御されて行われる。
【0147】
この振動バイアスの切替えを行う為の手段について、図7のブロック図及び図8のフローチャートを用いて説明を行う。
【0148】
ステップS1:まず、画像形成装置のオペレータによる、図6、図7に示す画像形成装置外装に取付けられた操作パネル24からの入力により、予め明確であるPETシート11が現像領域mを遮る量δ即ちシート11の先端位置について入力が行われる。この時、シート11先端位置情報は、現像器1aの出荷検査時に測定を行うことによって得られたものであり、設置される現像器1aそれぞれによって異なる。又、前述の測定結果は、交換を行う現像器1a毎に添付若しくは貼付けられる。
【0149】
ステップS2:一方、記憶媒体A25内には各々のシート先端位置に対応したブランクパルス条件(制御テーブル)が記憶されている。制御部26は入力された値と、情報読み出し・書込み手段27を介して接続された記憶媒体A25内の情報の比較を行う。
【0150】
ステップS3:制御部26が、ステップS2における比較作業に基づいて、現像器1におけるシート位置に対応するブランクパルス条件を決定する。
【0151】
ステップS4:適当なブランクパルス条件を決定した制御部26は、現像用電源12に接続された振動電圧切替え手段13に対し切替えの実行命令を発する。
【0152】
ステップS5:振動電圧切り替え手段13にて、ブランクパルス条件の切替えが行われる。
【0153】
この図8のフローチャートに示す制御動作のステップS2における制御テーブルは、本発明の実施例2で説明に用いた表4に示す通り、シート先端位置と好適なブランクパルス条件がそれぞれ相関付けられたものである。
【0154】
又、記憶媒体A25に記憶されたブランクパルス条件に関する情報は、操作パネル24より書き換え、追加を可能とすることもできる。そして、使用状況に合わせ、オペレータが制御テーブルの補正を行うことで、更に緻密な画質調整を行うことが出来る。
【0155】
又、複数の制御テーブルを記憶媒体A25に記憶させて、環境条件等により制御テーブルを変更してブランクパルス条件の切替えを行うことで、同様に緻密な画質調整を行うことも可能である。
【0156】
上記手段を用いることで、装置が使用される環境条件等に応じ、記憶媒体内に記憶されたシート部材の先端位置に係わる情報が任意に変更出来、この情報に基づき現像ローラに印加するバイアスを変化させることによって、幅広い条件下で最適な出力画質を得ることが出来る。
【0157】
しかし、プランクパルスバイアスの制御方法は、上記のものに限定されるものではない。
【0158】
ここで、本実施例の画像形成装置の優位性を確認するため、現像領域α内でPETシート11の自由端Gの位置を振り、出力画像上の「掃き寄せ」や濃度の状況を調べた。
【0159】
評価方法としては、実施例2と同様にブランクパルスバイアスを変化させ、レーザースキャナ103により露光を行った後の感光ドラム101上のベタ部潜像電位を−100Vに調整して、出力画像上に25mm×25mm角のベタ部を設け、このベタ部後端に「掃き寄せ」が発生するか否かに着目して評価を行った。
【0160】
その結果、表4に示す本発明の実施例2で行った評価と同様の結果が得られた。
【0161】
又、PETシート11の自由端Gの位置を、それぞれ−1.7mm、+0.6mmとし、上述の条件で連続して2000枚の画像形成を行った所、何れの場合においても評価末期まで「掃き寄せ」が抑制され、濃度も充分な出力画像が得られた。
【0162】
本実施例の画像形成装置でも、台座に取付けるシート状の部材としてPETシートを用いたが、例えばウレタン等の様に絶縁性を有し、且つ感光ドラムに接触した際に傷等を生じさせないものであれば、同様の効果が得られる。
【0163】
又、ここでは、実施例2の現像器1aを設け、現像器1aの規制部材7に台座10が設けられているが、例えば、感光ドラムの枠体を設けてそこに台座10を設けてPETシート11を配置してもよく、画像形成装置内のどこかに設けられていればよい。
【0164】
そして、PETシートの幅は、現像ローラが現像剤Tを担持する領域(現像幅)全てを覆い、且つ両端部に設けられる規制コロよりも内側までとすることで、現像幅全域で「掃き寄せ」や現像剤飛散を抑えることが出来る。
【0165】
又、本実施例の画像形成装置と同様に、感光ドラムと現像ローラの間隙にPETシートを垂れ下げるように配置すれば、複数の現像器を格納し、各々の現像器で現像を行った現像剤像を積層してフルカラー画像の形成を行う、タンデム方式・ロータリー方式等の多色画像形成装置においても、「掃き寄せ」を抑制することが可能である。
【0166】
尚、本実施例の画像形成装置に実施例1の現像器1を設け、現像バイアスにおける振動バイアスのDutyを表1と同様に変化させても、実施例1と同様の結果が得られる。
【0167】
つまり、実施例1及び2において説明した現像装置における効果が、画像形成装置においても得ることができた。
【0168】
尚、図6に示される構成以外においても、画像形成装置の構成については様々のものに適用できる。
【0169】
実施例4
図9に本実施例におけるカートリッジ110、図9にこのカートリッジ110を装着して画像形成を行う画像形成装置の模式図を示す。
【0170】
本実施例のカートリッジ110は、本発明に係わる実施例3に用いた図6の画像形成装置と同様の画像形成を実施する図10に示される構成の画像形成装置において、画像形成プロセスの構成要素のうち、像担持体である感光ドラム101と、感光ドラム101表面を帯電する帯電手段である帯電ローラ102と、感光ドラム101上に形成された静電潜像を非接触現像する現像器1a、そしてクリーニングブレード107a及び廃現像剤容器部107とを一体化し、画像形成装置本体と着脱可能なプロセスカートリッジ110として構成したものである。尚、本実施例の画像形成装置の他の構成は、実施例3にて説明したものと同様であるので、説明を省略する。尚、プロセスカートリッジとは、感光ドラム等の像担持体とそれに作用する画像形成手段とを一体化させ、画像形成装置から着脱自在とされるカートリッジである。
【0171】
そして、現像装置としては、実施例2のように、現像バイアスとしてブランクパルスバイアスが重畳されており、そのプランクパルスバイアスが切り換えられる現像器1aを設けたものである。ここで、実施例1のように、現像バイアスのAC成分におけるDutyが切り換えられる現像器1を設けることもできる。
【0172】
更に、感光ドラム101と現像ローラ6の間隙dにおいて現像領域αを遮るPETシート11も、台座10を介してプロセスカートリッジ110に取付けられている。
【0173】
ここで、プロセスカートリッジ110には、記憶媒体B34が搭載され、PETシート11の先端位置に係わる情報が書き込まれている。
【0174】
ここでも、図11にてブロック図にて示される画像形成装置の制御手段によって、ブランクパルスバイアスが実施例2に説明したものと同様に切り換えられる。本実施例における振動バイアスの切替え手段について、図11のブロック図及び図12のフローチャートを用いて説明を行う。
【0175】
ステップS11:プロセスカートリッジ110が画像形成装置本体に装着される。
【0176】
ステップS12:すると、制御部35は情報読み出し・書込み手段B36を介し、プロセスカートリッジ110に搭載された記憶媒体B34から、PETシート11の先端位置に係わる情報を読み出す。プロセスカートリッジ110に搭載された記憶媒体B34内に記憶されたシート先端位置情報は、出荷検査時に測定を行うことによって得られたものであり、プロセスカートリッジ110毎に異なる。
【0177】
ステップS13:一方、画像形成装置側の記憶媒体A37内には各々のシート先端位置に対応したブランクパルス条件(制御テーブル)が記憶されている。制御部35はステップS12にて得られた記憶媒体B34からの情報と、情報読み出し・書込み手段A38を介して接続された記憶媒体A37内の情報の比較を行う。
【0178】
ステップS14:ステップS13における制御部35による比較作業において、対応する振動バイアス条件を決定させる。
【0179】
ステップS15:制御部35は、現像用電源12に接続された振動電圧切替え手段13に対し切替えの実行命令を発する。
【0180】
ステップS16:現像ローラ6に印加される振動バイアス条件の切替えが行われる。
【0181】
本実施例の画像形成装置においても、本発明に係わる実施例3である画像形成装置と同様に、出力画像上の「掃き寄せ」や濃度低下を抑止出来た。
【0182】
又、本実施例では、プロセスカートリッジの交換毎に、操作パネル等からオペレーターがシート先端位置を設定する必要が無く、各プロセスカートリッジの状態に合わせ、確実に最適な振動バイアス条件に切替えられる為、複数のプロセスカートリッジ間で画像品質のバラつきを抑えることが可能となる。
【0183】
更に、プロセスカートリッジを交換するという簡単な操作のみで、感光ドラムや帯電ローラ等の消耗部材の交換や現像剤の補給が容易に行えるため、諸々のメンテナンス作業に係わる使用者の労力を軽減出来、長期に亘り安定した出力画像を得られるようなった。
【0184】
尚、製造時におけるシート状の部材の取付け精度を緩和することも可能となり、上述の利点を比較的安価に提供することが出来る。
【0185】
又、必ずしも本実施例のようなプロセスカートリッジとしてではなく、現像装置のみカートリッジ化して、現像装置に記憶媒体B34を設けても良い。
【0186】
又、ここでは、実施例2の現像器1aを設け、現像器1aの規制部材7に台座10が設けられているが、例えば、感光ドラムの枠体を設けて、そこに台座10を設けてPETシート11を配置してもよく、画像形成装置やカートリッジ110内のどこかに設けられていればよい。
【0187】
上記手段を用いることで、カートリッジの記憶媒体内に記憶されたシート状の部材の先端位置に係わる情報に基づき、カートリッジ毎に前記振動電圧を最適な値にコントロールすることが可能となる。従って、「掃き寄せ」を効果的に抑制し、長期間に亘って高品位な出力画像が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】本発明に係る現像装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る現像装置のシート部材取り付け部の一例を示す拡大図である。
【図3】本発明に係る現像装置を動作させる装置の一例を示す概略構成図である。
【図4】本発明に係る振動電圧波形の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る振動電圧波形の他の例を示す図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置の制御手段の一例を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る振動電圧切り換え制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係るカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の他の例を示す概略構成図である。
【図11】本発明に係る画像形成装置の制御手段の他の例を示すブロック図である。
【図12】本発明に係る振動電圧切り換え制御動作の他の例を示すフローチャートである。
【図13】従来の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図14】像担持体と現像剤担持体との間の電気力線の様子を示す説明図である。
【図15】像担持体と現像剤担持体との間の掃き寄せの様子を示す説明図である。
【図16】像担持体と現像剤担持体との間の掃き寄せの様子を示す説明図である。
【図17】像担持体と現像剤担持体との間の掃き寄せの様子を示す説明図である。
【図18】像担持体と現像剤担持体との間の掃き寄せの様子を示す説明図である。
【図19】像担持体と現像剤担持体との間の掃き寄せの様子を示す説明図である。
【図20】像担持体と現像剤担持体との間の掃き寄せの様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0189】
1、1a 非接触現像器(現像装置)
6 現像ローラ(現像剤担持体)
7 現像ブレード(規制部材)
8 規制コロ(間隔保持部材)
9、101 像担持体(感光ドラム)
10 台座(支持部材)
11 PETシート(シート部材)
12 現像用電源
13 振動電圧切り替え手段
110 プロセスカートリッジ(カートリッジ)
d 間隙
α 現像領域
T 現像剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成された静電潜像に対して、前記像担持体と所定の間隔をもって配置され且つ現像剤を担持して回転する現像剤担持体に、前記像担持体との間に作用する振動電圧を印加し、現像剤を現像部へと搬送することによって現像動作を行う現像装置において、
更に、シート部材を、先端が前記像担持体と前記現像剤担持体との間隙において現像に作用する現像領域内に侵入するように、前記現像剤担持体の回転方向上流から垂下して配置し、
該シート部材の前記現像領域内における先端位置に応じて、前記振動電圧を変化させる手段を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記振動電圧は、振動電界を形成する部分と、振動電界を形成していない部分とが交互に繰返される電界であることを特徴とする請求項1の現像装置。
【請求項3】
表面に静電潜像が形成される像担持体と、該像担持体上に形成された前記静電潜像に対して、前記像担持体と所定の間隔をもって配置され且つ現像剤を担持して回転する現像剤担持体に、前記像担持体との間に作用する振動電圧を印加し、現像剤を現像部へと搬送することによって現像動作を行う現像装置と、を有する画像形成装置において、
更に、シート部材を、先端が前記像担持体と前記現像剤担持体との間隙において現像に作用する現像領域内に侵入するように、前記現像剤担持体の回転方向上流から垂下して配置し、
該シート部材の前記現像領域内の先端位置に応じて、前記振動電圧を変化させる手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記振動電圧は、振動電界を形成する部分と、振動電界を形成していない部分とが交互に繰返される電界であることを特徴とする請求項3の画像形成装置。
【請求項5】
前記シート部材の先端位置に係わる情報を記憶する記憶媒体と、該記憶媒体に対し情報の読み出し及び書込みを行う為の読み出し・書込み手段と、前記記憶媒体に記憶された情報に基づき、前記現像剤担持体に印加する前記振動電圧を変化させる手段を具備することを特徴とする請求項3又は4の画像形成装置。
【請求項6】
少なくとも前記現像装置と、前記像担持体と、前記シート部材と、を含む複数のプロセス手段を一体化し、画像形成装置本体と着脱可能なプロセスカートリッジとすることを特徴とする請求項3、4又は5の画像形成装置。
【請求項7】
像担持体に形成された静電潜像を、前記像担持体と所定の間隔をもって配置される現像剤担持体上に現像剤を担持させ、前記像担持体と前記現像剤担持体との間に振動電圧が印加されることにより現像を行う現像装置と、前記像担持体と前記現像剤担持体との間隙において現像に作用する現像領域内にかかるように設置されたシート部材と、を一体化し、画像形成装置本体と着脱可能としたカートリッジであり、前記シート部材の先端位置に係わる情報を記憶する記憶媒体を搭載することを特徴とするカートリッジ。
【請求項8】
前記カートリッジは、前記像担持体を有することを特徴とする請求項7のカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−3464(P2006−3464A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177546(P2004−177546)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】