説明

現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】フレア現像方式の現像装置において、規制圧力を高めることなく、目標量よりも多い量のトナーが規制部を通過する事態の発生を抑制することを課題とする。
【解決手段】フレア現像方式の現像装置において、現像領域に対してトナー担持ローラ41の外周面移動方向上流側であって、トナー供給ローラ42によるトナー供給位置に対してトナー担持ローラ外周面移動方向下流側に、トナー担持ローラ外周面に対して接触又は非接触の状態で対向配置される規制ブレード43を有し、当該トナー移動阻害部材が無ければ規制ブレードとトナー担持ローラ外周面との間の規制部Aに向かってトナーが移動する箇所に、その規制部に向かうトナーの移動を阻害するためのトナー移動阻害部材として、移動阻害ブレード48が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに異なる電圧が印加される複数種類の電極部材を備えたトナー担持体における絶縁性の外周面にトナーを担持させ、そのトナーを電界の作用によりホッピングした状態にして現像領域内へ送り込んで現像を行う現像装置、並びに、これを備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに異なる電圧が印加される複数の電極を備えたトナー担持体を有する現像装置が知られている。
例えば、トナー担持体上のトナーを感光体等の潜像担持体に直接接触させないで、トナーを潜像担持体上の潜像に供給して現像を行う現像装置がある(特許文献1)。そして、この現像装置の一例としては、トナー担持体上のトナーをクラウド化させることによってトナーを潜像担持体上に供給する方式を採用するものがある。この方式に使用されるトナー担持体は、外周面に沿って複数種類の電極が所定のピッチで配置され、その複数種類の電極の外周面側を保護層で覆ったものである。この複数種類の電極に対し、時間的に変化する互いに異なる電圧をそれぞれ印加して、時間的に変化する電界を互いに近接する複数種類の電極間に形成すると、この電界(以下、「ホッピング電界」という。)によりトナー担持体上のトナーを互いに近接する複数種類の電極間で飛翔(ホッピング)あるいはフレアさせることができる。これにより、トナー担持体の外周面近傍の空間でトナーがクラウド化した状況となる。以下、このようにトナー担持体の外周面上のトナーをホッピングした状態して現像領域へ送り込む現像方式を、フレア現像方式という。
【0003】
一般に、トナー担持体の外周面上に担持されるトナーの量にムラがあると、現像領域における現像能力にムラが生じ、画像濃度ムラを引き起こす。これは、上述したフレア現像方式の現像装置にも当てはまることである。そのため、上記特許文献1に記載の現像装置では、現像領域に搬送される直前にトナー担持体外周面上のトナーの層厚を均一にする層厚均一化手段を設け、現像領域へ搬送されるトナーのムラを抑制している。これにより、フレア現像方式において、トナー担持体上におけるトナー量のムラに起因した画像濃度ムラが発生することが抑制される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した層厚均一化手段としては、トナー担持体回転軸方向のほぼ全域(少なくとも現像領域全域)にわたってトナー担持体の外周面に対して接触又は非接触の状態で対向配置されるトナー規制部材を用いることができる。この構成によれば、トナー担持体の外周面上に担持されているトナーが、トナー担持体外周面とトナー規制部材との間の規制部を通過する際、そのトナー通過量が規制される。この規制により、トナー担持体上のトナー量ムラが軽減される結果、現像領域へ搬送されるトナー量のムラが抑制され、画像濃度ムラの発生が抑制される。また、この規制によって、現像領域へ搬送するトナー量を一定範囲に収めることができる結果、安定した量のトナーを現像領域へ搬送でき、安定した現像能力を維持できる。また、この規制の際、トナー担持体上のトナーは、規制部においてトナー担持体外周面とトナー規制部材との間に挟まれ、トナー担持体外周面やトナー規制部材との間の摩擦が促進される結果、帯電量が増加する。よって、規制後のトナーは、ホッピング電界に追従しやすくなり、安定してホッピング状態を形成することができる。
【0005】
ところが、本発明者らの研究の結果、フレア現像方式の現像装置に上述したトナー規制部材を設けた場合でも、本来は規制すべきトナーが規制部を通過してしまい、目標量よりも多い量のトナーが規制部を通過する事態が発生することが判明した。このような事態が生じると、トナーが機内に飛散して機内汚染を引き起こしやすくなるなどの問題が発生する。そして、このような事態が発生する原因について本発明者らが検討したところ、この事態は次の現象に起因して発生することが判明した。
【0006】
一般に、規制部の入口側をトナー担持体回転軸方向から見ると、トナー担持体外周面とトナー規制部材との間に、規制部に向かって先細った楔形状の隙間が形成される。トナー担持体上のトナーは、トナー担持体の回転に伴って当該楔形状の隙間を規制部に向かって搬送される間に、トナー担持体外周面から遠い箇所に担持されているトナーから順に移動が阻止され、これによりトナー量が規制されていく。そして、最終的に規制部を通過したトナー担持体外周面上には、規定量のトナーが残り、これが現像領域へと搬送される。
【0007】
ここで、規制部入口側に形成される楔形状の隙間に存在するトナーに加わる圧力(以下「規制前圧力」という。)が高まるほど、規制部を通過するトナー量が増える。近年の画像形成スピードの高速化により、トナー担持体の回転速度が増加する傾向にある。トナー担持体の回転速度が増加すると、そのトナー担持体の回転に伴って当該楔形状の隙間に送り込まれる単位時間当たりのトナー量が増える結果、その隙間内のトナー圧力(規制前圧力)は増大する。そして、規制前圧力の増大により規制部を通過するトナー量が増えて、目標量よりも多い量のトナーが規制部を通過する事態が発生する。また、例えば、トナー収容器内に収容されているトナーの自重が当該楔形状の隙間に作用するような構成である場合、経時使用によりトナーが消費されてトナー収容器内のトナー量が減っていくと、その隙間内のトナー圧力(規制前圧力)は徐々に減少する。そのため、現像領域へ搬送されるトナー量は経時的に少なくなる。この場合、現像領域へ搬送されるトナー量を経時において確保できるように、初期時に規制部を通過するトナー量が多くなるように設定すると、初期時において、目標量よりも多い量のトナーが規制部を通過する事態が発生し、トナー飛散による機内汚染を引き起こしやすくなる。
【0008】
特にフレア現像方式の現像装置においては、トナー担持体上のトナーが規制部へ搬送される前の段階で既にホッピング状態になっている場合が多いので、規制部を通過する直前のトナーは、トナーを静止状態で(つまりホッピング状態にさせないで)トナー担持体上に担持する一般的な一成分現像方式と比較して、その流動性が高い状態にある。そのため、フレア現像方式の現像装置では、規制前圧力の作用によってトナーが規制部に向けて移動しやすい状態にある。よって、規制前圧力の増大に起因して、本来は規制すべきトナーが規制部を通過してしまう事態が発生しやすい。
【0009】
目標量よりも多い量のトナーが規制部を通過する事態を抑制する方法としては、規制部を通過するトナーの規制を強める方法が考えられる。しかしながら、規制部におけるトナー規制を強めると、その規制部を通過する時にトナーに加わる圧力(以下「規制圧力」という。)が高まる。そのため、トナー担持体外周面にトナーを押し付ける押圧力が高まり、トナー担持体外周面とトナーとの付着力が大きくなる。その結果、規制部を通過した後にホッピング状態とならないトナーの量が増大し、現像能力を低下させることになる。また、トナー担持体の外周面にトナーが固着してしまう事態が生じるおそれもある。トナー固着が生じると、そのトナー固着箇所では適正なホッピング電界が形成できなかったりトナー担持体外周面とトナーとの付着力が高まったりして、トナーをホッピング状態にすることが困難となる。そのため、トナー固着が発生していない箇所との間で現像能力に差が生じ、画像濃度ムラ等を引き起こす。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、フレア現像方式の現像装置において、規制圧力を高めることなく、目標量よりも多い量のトナーが規制部を通過する事態の発生を抑制することが可能な現像装置、並びに、これを備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、互いに異なる電圧が印加される少なくとも2種類の電極部材を備えたトナー担持体の外周面にトナーを担持させ、該少なくとも2種類の電極部材に対して互いに異なる電圧を印加することにより、トナーをホッピングさせるための電界を該トナー担持体の外周面上に形成し、該トナー担持体を回転させることによりホッピングした状態のトナーを現像領域内へ送り込んで、潜像担持体上の潜像にトナーを供給して該潜像を現像する現像装置において、トナー収容部と、該トナー収容部内のトナーを上記トナー担持体の外周面に供給するトナー供給手段と、現像領域に対してトナー担持体外周面移動方向上流側であって、該トナー供給手段によるトナー供給箇所に対してトナー担持体外周面移動方向下流側に、トナー担持体回転軸方向の少なくとも現像領域全域にわたって上記トナー担持体の外周面に対して接触又は非接触の状態で対向配置されるトナー規制部材と、当該トナー移動阻害部材が無ければ上記トナー規制部材と上記トナー担持体の外周面との間の規制部に向かってトナーが移動する箇所に設けられ、該規制部に向かうトナーの移動を阻害するためのトナー移動阻害部材とを有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記トナー供給手段は、上記トナー担持体の回転方向と同じ方向に回転駆動するトナー供給部材により該トナー供給部材の回転方向へ搬送されるトナーを該トナー担持体の外周面に供給するものであり、上記トナー移動阻害部材は、上記トナー供給部材の回転駆動により上記規制部に向かって移動するトナーの移動を阻害する箇所に配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の現像装置において、上記トナー移動阻害部材は、当該トナー移動阻害部材と上記トナー供給部材の外周面との間を該トナー供給部材の回転方向に沿って移動するトナーが通過可能な隙間が形成されるように、該トナー供給部材に対して非接触状態で配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2の現像装置において、上記トナー移動阻害部材は、当該トナー移動阻害部材と上記トナー供給部材の外周面との間を該トナー供給部材の回転方向に沿って移動するトナーが通過可能な接触圧で該トナー供給部材と接触した状態で配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の現像装置において、上記トナー移動阻害部材は、非回転部材であって、上記トナー供給部材との接触部分が可撓性を有していることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4又は5のいずれか1項に記載の現像装置において、上記トナー移動阻害部材は、非回転部材であって、上記トナー規制部材によって上記規制部の通過が規制されたトナーを上記トナー収容部内に戻すための通路となる貫通孔を備えていることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の現像装置において、上記トナー規制部材によって上記規制部の通過が規制されたトナーが上記貫通孔を通じて上記トナー収容部内へ戻るトナー戻り方向とは逆方向へのトナー移動を防止するための逆流防止手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項4の現像装置において、上記トナー移動阻害部材は、回転可能なロール状部材であることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の現像装置において、上記ロール状部材は、上記トナー供給部材の回転に対して従動回転するものであることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、潜像担持体上に形成された潜像に対して現像装置により現像剤を供給することにより該潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、上記現像装置として、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10の画像形成装置において、上記現像装置を複数設け、各現像装置により互いに異なる色のトナーで各色に対応する潜像をそれぞれ現像し、これにより得られる各色画像が互いに重なり合ったカラー画像を形成する構成を有することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体上に形成される潜像を現像剤で現像する現像装置とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成したプロセスカートリッジにおいて、上記現像装置として、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明は、フレア現像方式を採用するものであるため、上述したとおり、トナーを静止状態でトナー担持体上に担持して搬送する一般的な一成分現像方式と比較して、トナー担持体上のトナー流動性が高い。そのため、トナー規制部材とトナー担持体の外周面との間の規制部の入口側の領域に存在するトナーに加わる圧力(規制前圧力)の増大が、その規制部を通過するトナー量の増大に影響しやすい。本発明によれば、当該トナー移動阻害部材が無ければ規制部に向かってトナーが移動する箇所に、トナー移動阻害部材が設けられている。ここで、規制部に向かってトナーを移動させる外力としては、例えば、トナー担持体の回転駆動によりトナー担持体の外周面に沿ってトナーを移動させる力が挙げられる。また、例えば、トナー収容部内のトナーの自重が規制部の入口側領域に作用するような構成である場合には、当該トナーの自重が挙げられる。また、例えば、トナー供給手段が、トナー担持体の回転方向と同じ方向に回転駆動するトナー供給部材によりトナー供給部材回転方向へ搬送されるトナーが規制部に向かって移動するように構成されている場合には、トナー供給部材の回転駆動によりトナーを移動させる力が挙げられる。本発明によれば、このような外力によって規制部に向かって移動するトナーの移動を阻害するトナー移動阻害部材を設けたことにより、このトナー移動阻害部材が無い構成よりも、規制部の入口側の領域に送り込まれる単位時間当たりのトナー量を減らすことができる。よって、その規制部の入口側の領域に存在するトナーに加わる圧力(規制前圧力)を減らすことができる。したがって、規制部を通過した後のトナーがホッピング状態とならなかったり、トナー担持体の外周面にトナー固着が生じたりするほどの高い当接圧までトナー規制部材とトナー担持体との当接圧(規制圧力)を高めなくても、目標量よりも多い量のトナーが規制部を通過する事態の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フレア現像方式の現像装置において、規制圧力を高めることなく、目標量よりも多い量のトナーが規制部を通過する事態の発生を抑制することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の主要部を示す概略構成図である。
【図2】同画像形成装置における現像装置を示す概略構成図である。
【図3】同現像装置のトナー担持ローラの電極配置を説明するためにトナー担持ローラを回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図である。
【図4】同トナー担持ローラを、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
【図5】同トナー担持ローラの内側電極及び外側電極にそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフである。
【図6】内側電極及び外側電極へ印加する内側電圧と外側電圧の他の例を示すグラフである。
【図7】内側電極及び外側電極へ印加する内側電圧と外側電圧の更に他の例を示すグラフである。
【図8】内側電極及び外側電極への給電構成を、ローラ軸に沿って切断したときの模式図である。
【図9】同給電構成を模式的に示す斜視図である。
【図10】構成例1における現像装置の規制部近傍について、トナー担持ローラ回転軸方向に直交する面に沿って切断したときの概略構成を示す拡大図である。
【図11】(a)は、トナー担持ローラを取り除いた状態において、構成例1における現像装置の規制部近傍を規制ブレードの平面部法線方向から見たときの正面図である。(b)は、同現像装置の規制部近傍の側面図である。
【図12】スペーサの高さを大きくしすぎた場合の例を示す説明図である。
【図13】構成例2における現像装置の規制部近傍について、トナー担持ローラ回転軸方向に直交する面に沿って切断したときの概略構成を示す拡大図である。
【図14】構成例3における現像装置の規制部近傍について、トナー担持ローラ回転軸方向に直交する面に沿って切断したときの概略構成を示す拡大図である。
【図15】構成例4における現像装置の規制部近傍について、トナー担持ローラ回転軸方向に直交する面に沿って切断したときの概略構成を示す拡大図である。
【図16】(a)は、トナー担持ローラを取り除いた状態において、構成例4における現像装置の規制部近傍を規制ブレードの平面部法線方向から見たときの正面図である。(b)は、同現像装置の規制部近傍の側面図である。
【図17】構成例5における現像装置の規制部近傍について、トナー担持ローラ回転軸方向に直交する面に沿って切断したときの概略構成を示す拡大図である。
【図18】構成例6における現像装置の規制部近傍について、トナー担持ローラ回転軸方向に直交する面に沿って切断したときの概略構成を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を電子写真方式の画像形成装置に適用した一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る画像形成装置の構成及び動作について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の主要部を示す概略構成図である。
この画像形成装置は、複数の現像装置を有し、潜像担持体としてのベルト状の感光体1上に各色のトナー像を重ねて多色画像を形成する画像形成装置である。ベルト状の感光体1は、水平方向よりも鉛直方向にスペースをとる縦長の姿勢で複数のローラに張架しながら、図示しない駆動部により図中時計回り方向に回転駆動される。この感光体1における図中左側の張架面(以下「左側張架面」という。)はほぼ鉛直方向に延在する姿勢になっている。
【0016】
感光体1の左側張架面の図中左側方には、感光体1と対向するよう、複数色、例えばマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の画像をそれぞれ形成するための複数の画像形成手段として4つのプロセスカートリッジ6M,6C,6Y,6Kが鉛直方向に並ぶように配設されている。これら4つのプロセスカートリッジ6M,6C,6Y,6Kは、それぞれ、現像装置4M,4C,4Y,4Kと、感光体1を一様帯電せしめる帯電装置2M,2C,2Y,2Kと、図示しない除電器とを1つのユニットとして図示しない共通の保持体に保持している。そして、画像形成装置の筺体に対して現像装置4M,4C,4Y,4K、帯電装置2M,2C,2Y,2K及び除電器がそれぞれ一体的にプロセスカートリッジ6M,6C,6Y,6Kとして着脱され、ユーザーによる交換が可能となっている。
【0017】
プロセスカートリッジ6M,6C,6Y,6Kにおける帯電装置2M,2C,2Y,2Kと現像装置4M,4C,4Y,4Kとの間から、図示しない潜像形成手段としての光書込装置による各色の露光ビーム3M,3C,3Y,3Kが感光体1へ照射される。また、本画像形成装置は、さらに、図示しない転写手段、クリーニング手段、給紙装置、定着装置などを備えている。
【0018】
感光体1は、図1中矢印方向に回転駆動され、マゼンタのプロセスカートリッジ6Mでマゼンタの帯電装置2Mにより一様に帯電されて、次いで図示しない光書込装置によりマゼンタの画像データで変調された露光ビーム3Mによって露光されることで静電潜像が形成される。この静電潜像がマゼンタの現像装置4Mにより現像されてマゼンタのトナー像となる。その後、感光体1は図示しない除電器により除電される。
次いで、感光体1は、シアンのプロセスカートリッジ6Cで、シアンの帯電装置2Cにより一様に帯電された後、図示しない光書込装置によりシアンの画像データで変調された露光ビーム3Cによって露光されることでシアンの静電潜像が形成される。この静電潜像がシアンの現像装置4Cにより現像されて上記マゼンタのトナー像と重なるシアンのトナー像となる。その後、感光体1は図示しない除電器により除電される。
さらに、感光体1は、イエローのプロセスカートリッジ6Yで、イエローの帯電装置2Yにより一様に帯電された後、図示しない光書込装置によりイエローの画像データで変調された露光ビーム3Yによって露光されることでイエローの静電潜像が形成される。この静電潜像がイエローの現像装置4Yにより現像されて上記マゼンタのトナー像及び上記シアンのトナー像と重なるイエローのトナー像となる。その後、感光体1は図示しない除電器により除電される。
最後に感光体1は、ブラックのプロセスカートリッジ6Kで、ブラックの帯電装置2Kにより一様に帯電された後、図示しない光書込装置によりブラックの画像データで変調された露光ビーム3Kによって露光されることでブラックの静電潜像が形成される。この静電潜像がブラックの現像装置4Kにより現像されて、上記マゼンタのトナー像、上記シアンのトナー像及び上記イエローのトナー像と重なるブラックのトナー像となることでフルカラー画像が形成される。
【0019】
一方、給紙装置(不図示)から記録紙等の記録材が給送され、この記録材には、転写バイアスが印加される転写手段としての転写ローラにより感光体1上のフルカラー画像が転写される。フルカラー画像が転写された記録材は、定着装置(不図示)によりフルカラー画像が定着され、外部へ排出される。感光体1は、フルカラー画像転写後にクリーニング手段(不図示)により残留トナー等が除去される。
【0020】
このような構成の画像形成装置では、同一の感光体1上に4色の書き込みを行うので、4つの感光体を用いて各感光体上のトナー像を転写により重ね合わせる一般的なタンデム方式の画像形成装置と比較すると、各トナー像間における位置ズレがほとんど発生せず、高画質のフルカラー画像を得ることができる。
なお、本発明は、一般的なタンデム方式の画像形成装置に適用することはできるし、他の画像形成装置にも適用できる。
【0021】
次に、本実施形態の画像形成装置に採用される現像装置について説明する。
なお、現像装置4M,4C,4Y,4Kは、収容されるトナーが異なる以外は、同じ構成、動作であるので、以下添え字M,C,Y,Kを省略して説明を行う。
【0022】
図2は、本実施形態に係る現像装置4の概略構成図である。
現像装置4は、トナー担持体としてのトナー担持ローラ41と、トナー担持ローラ41へトナーを供給するトナー供給部材としてのトナー供給ローラ42と、トナーの層厚を規制するトナー規制部材としての規制ブレード43と、入口シール44と、図中時計回り方向に回転駆動される第1搬送スクリュー45と、図中反時計回りに回転駆動される第2搬送スクリュー46とを有している。
【0023】
第2搬送スクリュー46は、その回転駆動によってトナーを図中手前側から図中奥側へと搬送する。図中奥側の端部付近まで搬送されたトナーは、第1搬送スクリュー45側へ進入し、今度は第1搬送スクリュー45の回転駆動によって図中奥側から図中手前側へと搬送される。第1搬送スクリュー45により搬送されている途中のトナーの一部は、トナー供給ローラ42側へと移動し、トナー供給ローラ42の外周面に担持される。本実施形態におけるトナー供給ローラ42は、その外周面部分が多孔質状のスポンジローラであるため、トナー供給ローラ42の外周面上に存在する多孔質の孔内にもトナーが担持される。トナー供給ローラ42の外周面に担持されたトナー(多孔質の孔内に担持されるトナーを含む。以下同様。)は、図中反時計回り方向のトナー供給ローラ42の回転駆動に伴って、トナー供給ローラ42の表面とトナー担持ローラ41の外周面との接触位置(以下「トナー供給位置」という。)へと搬送される。
【0024】
このトナー供給位置では、トナー供給ローラ42の表面とトナー担持ローラ41の外周面とが互いに逆方向(カウンター方向)へ移動している。したがって、トナー供給位置へと搬送されてきたトナー供給ローラ42上のトナーは、トナー担持ローラ41の外周面に擦りつけられ、トナー担持ローラ41の外周面へと移動する。このとき、トナーは、トナー担持ローラ41の外周面との摩擦により正規極性(本実施形態ではマイナス極性)側に帯電する。
【0025】
トナー担持ローラ41の表面上に供給されたトナーは、後述する理由により、トナー担持ローラ41の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ41の回転に伴って、トナー供給位置から現像領域に向けて搬送される。そして、現像領域へ搬送される前に、規制ブレード43との対向領域に到達し、その規制ブレード43とトナー担持ローラ41の外周面との間の規制部において、現像領域へ搬送されるトナーの量が規制される。ここで、本実施形態では、規制ブレード43に電源47を接続し、規制ブレード43に電圧を印加しているが、電圧を印加しない構成としてもよい。
【0026】
トナー担持ローラ41は、現像装置4のケーシングに設けられた開口から外周面の一部を露出させている。この露出箇所は、感光体1に対して数十〜数百[μm]の間隙を介して対向している。このようにトナー担持ローラ41と感光体1とが対向している領域が、本画像形成装置における現像領域となっている。なお、現像領域とは、感光体1とトナー担持ローラ41の両方の回転を停止させた状態で、トナー担持ローラ41上のトナーをホッピングさせたときに、感光体1上にトナーが現像される領域を現像領域とする。
【0027】
規制ブレード43によって規制されたトナー担持ローラ41の表面上のトナーは、トナー担持ローラ41の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ41の回転に伴って現像領域へ搬送される。現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持ローラ41と感光体1上の静電潜像との間の現像電界によって、感光体表面上の静電潜像部分に付着し、これにより現像が行われる。現像に寄与しなかったトナーは、ホッピングしながらトナー担持ローラ41の回転によってさらに搬送され、トナー供給位置へと運ばれる。そして、トナー供給位置へ進入する際に、トナー供給ローラ42によりトナー担持ローラ41上から掻き取られることで、現像装置4のケーシング内部に戻され、再利用される。
【0028】
次に、本実施形態におけるトナー担持ローラ41の具体的構成について説明する。
図3は、本実施形態におけるトナー担持ローラ41の電極配置を説明するためにトナー担持ローラ41を回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図である。なお、説明の都合上、表面層56や絶縁層55は図示していない。
図4は、現像領域に対向する部分のトナー担持ローラ41を、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
【0029】
本実施形態のトナー担持ローラ41は、図4に示すように、無端移動部材である中空状のスリーブ部41aと、そのスリーブ部41aの内部に固定配置される固定部41bとから構成されている。固定部41bには、トナー担持ローラ41の最内周に位置する内周側電極部材としての内側電極53aが設けられている。一方、スリーブ部41aには、トナー担持ローラ41の外周側に位置していて内側電極53aへ印加される電圧(内側電圧)とは異なる電圧(外側電圧)が印加される櫛歯状の外側電極54aが設けられている。本実施形態では、外側電極54aの各櫛歯部分が外周側電極部材を構成する。このような構成により、スリーブ部41aが回転駆動すると、固定配置されている内側電極53aに対してスリーブ部41a上の外側電極54aが相対的に移動することになる。
【0030】
内側電極53aと外側電極54aとの間には、これらの間を絶縁するための絶縁層55及び空隙層が設けられている。また、外側電極54aの外周面側を覆う表面層56も設けられている。すなわち、本実施形態のトナー担持ローラ41は、内周側から順に、内側電極53a、空隙層、絶縁層55、外側電極54a、表面層56の5層構造となっている。
【0031】
トナー担持ローラ41の固定部41bは、ウレタン樹脂で成型されたローラ状基体の外周面に内側電極53aとなるアルミニウム、銅、銀などの金属等からなる金属板を貼り付けた構成となっている。ここで、ローラ状基体の外周面に金属板を貼り付けただけでは、金属板部分が外周面上で突出してしまい、スリーブ部41aの内周面の接触により摩耗したり、剥がれたりするおそれがある。よって、本実施形態では、ローラ状基体の外周面上における金属板を張り付ける部分を切削し、その切削部分に金属板を張り付けることで、金属板の摩耗や剥がれを防止している。
なお、この固定部41bの形成方法としては、絶縁性基体上に、金属メッキ、蒸着等により内側電極53aを形成する方法や、内側電極53aとなる金属スリーブを微細加工(スリット加工して微細な穴を開けたスリーブ)したものに対して絶縁コートをするなど、様々な工法が考えられる。
【0032】
一方、トナー担持ローラ41のスリーブ部41aは、絶縁層55となる薄肉樹脂スリーブ上に外側電極54aとなる金属膜を蒸着し、エッチングにて櫛歯状の微細パターンを形成した上に、表面層56を被覆した構成となっている。
【0033】
絶縁層55は、ポリカーボネートやアルキッドメラミン等で形成されている。また、本実施形態において、絶縁層55の厚みは、3[μm]以上50[μm]以下の範囲内が好ましい。3[μm]よりも小さくなると、内側電極53aと外側電極54aとの間の絶縁性が十分に保てなくなるおそれがあり、内側電極53aと外側電極54aとの間でリークが発生してしまう可能性が高くなる。一方、50[μm]よりも大きくなると、内側電極53aと外側電極54aとの間で作られる電界が表面層56よりも外側に形成されにくくなり、表面層56の外側に強いホッピング電界あるいはフレア電界(外部電界)を形成することが困難となる。本実施形態では、メラミン樹脂からなる絶縁層55の厚みを20[μm]としている。
【0034】
絶縁層55の上に形成される外側電極54aは、アルミニウム、銅、銀などの金属で形成されている。櫛歯状の外側電極54aの形成方法としては、上述したエッチング法以外にも、種々の方法が考えられる。例えば、絶縁層55の上にメッキや蒸着によって金属膜を形成し、フォトレジストによって櫛歯状の電極を形成するという方法や、インクジェット方式やスクリーン印刷によって導電ペーストを絶縁層55の上に付着させて櫛歯状の電極を形成するという方法も考えられる。
【0035】
外側電極54a及び絶縁層55の外周面側は、絶縁性の表面層56により覆われている。トナーは、表面層56上でホッピングを繰り返す際、この表面層56との接触摩擦によって帯電する。トナーに正規帯電極性(本実施形態ではマイナス極性)を与えるため、本実施形態では、表面層56の材料として、シリコーン、ナイロン(登録商標)、ウレタン、アルキッドメラミン、ポリカーボネート等が使用される。本実施形態ではポリカーボネートを採用している。また、表面層56は、外側電極54aを保護する役割も持ち合わせているので、表面層56の膜厚としては、3[μm]以上40[μm]以下の範囲内が好ましい。3[μm]よりも小さいと、経時使用による膜削れ等で外側電極54aが露出し、トナー担持ローラ41上に担持されたトナーやトナー担持ローラ41に接触するその他の部材を通じてリークしてしまうおそれがある。一方、40[μm]よりも大きいと、内側電極53aと外側電極54aとの間で作られる電界が表面層56よりも外側に形成されにくくなり、表面層56の外側に強いホッピング電界を形成することが困難となる。本実施形態では、表面層の膜厚は20[μm]としている。表面層56は、絶縁層55と同様にスプレー法やディッピング法等によって形成することができる。
【0036】
本実施形態では、内側電極53aと外側電極54aとの間で作られる電界、より詳しくは、内側電極53aの外側電極54aとは対向していない部分(外側電極54aの櫛歯間に位置する内側電極53aの部分)と外側電極54aの櫛歯部分との間で作られる電界が、表面層56の外側に形成されることで、トナー担持ローラ41上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ41上のトナーは、内側電極53aに絶縁層55を介して対向した表面層部分と、これに隣接する外側電極54aに対向した表面層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。
【0037】
トナーを安定してクラウド化させるためには、相応する大きさのホッピング電界を形成することが重要となるが、このような大きなホッピング電界を形成するためには内側電極53aと外側電極54aとの間に大きな電位差を形成する必要がある。しかし、このような大きな電位差を安定して形成するためには、内側電極53aと外側電極54aとの間を安定かつ有効に絶縁し、リークを防止することが重要である。
【0038】
ここで、ホッピング電界を形成するための2種類の電極をそれぞれ櫛歯状に形成して径方向同一位置に配置し、互いの櫛歯部分が相手の櫛歯間に入り込むように構成した場合、その櫛歯状電極の形成品質が悪いと、2種類の電極間の絶縁性が著しく低下し、リークが起きやすい。具体的には、例えば、エッチングで電極形成する場合には除去すべき金属膜の一部が残存していたり、インクジェット法やスクリーン印刷法で電極形成する場合には電極間に導電ペーストが付着してしまったりする事態が起こり得る。このような事態が生じると、2種類の電極間でリークが起きやすいなり、適正なホッピング電界を形成することができなくなる。また、この構成においては、ローラの樹脂表面上に櫛歯状電極を高い品質で形成したとしても、2種類の櫛歯状電極を形成した後にその外周面側を絶縁材で覆うことにより電極間に絶縁材を充填して電極間の絶縁性を得るため、電極間にはローラの樹脂表面と絶縁材との界面が形成され、この界面を通じたリークが生じやすく、比較的大きな電圧を印加すると電極間の絶縁性が著しく低下する。
【0039】
本実施形態によれば、内側電極53aと櫛歯状の外側電極54aとの間に絶縁層55及び空隙層が設けられているので、これらの電極間にリークの原因となり得るような界面は存在しない。また、トナー担持ローラ41の製造段階において、リークの原因となり得る導電材が電極間に介在する可能性も非常に少なくできる。したがって、本実施形態によれば、内側電極53aと外側電極54aとの間を安定かつ有効に絶縁することができ、比較的大きな電圧を印加する場合でもリークを効果的に防止することができる。
【0040】
なお、本発明は、ホッピング電界を形成するための2種類の電極をそれぞれ櫛歯状に形成して径方向同一位置に配置し、互いの櫛歯部分が相手の櫛歯間に入り込むように構成した場合でも適用可能であることは言うまでもない。
また、本実施形態では、トナー担持ローラ41が外側電極54aを備えたスリーブ部41aと内側電極53aを備えた固定部41bとが別体構成である場合を例に挙げて説明しているが、これらが一体構成となっている場合でも同様に本発明は適用可能である。
【0041】
また、本実施形態において、外側電極54aの電極幅(各櫛歯部分の幅)は、10[μm]以上120[μm]以下であるのが好ましい。10[μm]よりも小さいと、細すぎて電極が途中で断線してしまうおそれがある。一方、120[μm]より大きいと、外側電極54aの被給電部54bからの距離が遠い箇所の電圧が低くなり、その箇所でトナーを安定かつ有効にホッピングさせることが困難となる。本実施形態の被給電部54bは、図3に示すように、トナー担持ローラ41の外周面上における軸方向両端に設けられている。よって、本実施形態では、外側電極54aの電極幅が120[μm]より大きいと、トナー担持ローラ41の軸方向中央部におけるホッピング電界が軸方向両端部のホッピング電界よりも相対的に低くなり、軸方向中央部に担持されているトナーを安定かつ有効にホッピングさせることが困難となる。
【0042】
また、本実施形態では、外側電極54aの電極ピッチ(櫛歯部分間の距離)は、電極幅と同じか広いのが好ましい。電極幅よりも小さいと、内側電極53aからの電気力線の多くが表面層56の外側に出る前に外側電極54aへ収束してしまい、表面層56の外側に形成されるホッピング電界が弱くなってしまうからである。一方、電極ピッチが大きいと、電極間中央のホッピング電界が弱くなってしまう。本実施形態において、電極ピッチは、電極幅以上であって電極幅の5倍以下の範囲内であるのが好ましい。
本実施形態では、電極幅及び電極ピッチをいずれも80[μm]に設定している。
【0043】
また、本実施形態では、外側電極54aの電極ピッチを、トナー担持ローラ41の周方向にわたって一定となるように設定されている。電極ピッチを一定とすることで、内側電極53aと外側電極54aとの間で作られるホッピング電界がトナー担持ローラ41上の周方向にわたってほぼ均一となる。よって、現像領域で周方向に均一なトナーのホッピングを実現することが可能となり、均一な現像が可能となる。
【0044】
次に、内側電極53a及び外側電極54aに印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ41上の内側電極53a及び外側電極54aには、それぞれパルス電源51A,51Bから第1電圧である内側電圧及び第2電圧である外側電圧が印加される。パルス電源51A,51Bが印加する内側電圧及び外側電圧は、矩形波が最も適している。ただし、これに限らず、例えばサイン波で三角波でもよい。また、本実施形態では、ホッピング用電極を形成するための電極が内側電極53a及び外側電極54aの2相構成であり、各電極53a,54aには互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0045】
図5は、内側電極53a及び外側電極54aにそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフである。
本実施形態において、各電圧は矩形波であり、内側電極53aと外側電極54aにそれぞれ印加される内側電圧と外側電圧は、互いに位相がπだけズレた同じ大きさ(ピークトゥピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、内側電極53aと外側電極54aとの間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表面層56の外側に形成されるホッピング電界によって表面層56上をトナーがホッピングする。本実施形態において、Vppは100[V]以上1000[V]以下の範囲内であるのが好ましい。Vppが100[V]より小さいと、十分なホッピング電界を表面層56上に形成できず、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。一方、Vppが1000[V]より大きいと、経時使用により電極間でリークが発生する可能性が高くなる。本実施形態では、Vppを500[V]に設定している。
また、本実施形態において、内側電圧と外側電圧の中心値V0は、画像部電位(静電潜像部分の電位)と非画像部電位(地肌部分の電位)との間に設定され、現像条件によって適宜変動する。
【0046】
本実施形態において、内側電圧と外側電圧の周波数fは、0.1[kHz]以上10[kHz]以下であるのが好ましい。0.1[kHz]より小さいと、トナーのホッピングが現像速度に追いつかなくなるおそれがある。一方、10[kHz]より大きいと、トナーの移動が電界の切り替わりに追従できなくなり、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。本実施形態では、周波数fを500[Hz]に設定している。
【0047】
図6は、内側電極53a及び外側電極54aへ印加する内側電圧と外側電圧の他の例を示すグラフである。
この例では、内側電極53aについては、図5に示したものと同様の内側電圧が印加されるが、外側電極54aについては、直流電圧が印加される。この場合、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、この例におけるVppの好適な範囲は、200[V]以上2000[V]以下である。この例によれば、内側電極53aと外側電極54aとの位相差を考慮する必要がなく、電源コストが安くなる。
【0048】
図7は、内側電極53a及び外側電極54aへ印加する内側電圧と外側電圧の更に他の例を示すグラフである。
この例では、外側電極54aについては、図5に示したものと同様の内側電圧が印加されるが、内側電極53aについては、直流電圧が印加される。この場合も、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、この例におけるVppの好適な範囲は、200[V]以上2000[V]以下である。この例も、内側電極53aと外側電極54aとの位相差を考慮する必要がなく、電源コストが安くなる。
【0049】
図8は、本実施形態における内側電極53a及び外側電極54aへの給電構成を、ローラ軸に沿って切断したときの模式図である。
図9は、同給電構成を模式的に示す斜視図である。
本実施形態における内側電極53a及び外側電極54aへの給電構成において、内側電極53aは、トナー担持ローラ41の固定部41bに設けられているので、パルス電源51Aとの間に摺動接点が存在しない。よって、内側電極53aは、パルス電源51Aに直接的に接続されている。一方、トナー担持ローラ41のスリーブ部41aは、回転駆動するのでパルス電源51Bとの間に摺動接点が存在する。そのため、本実施形態では次のような給電構成を採用している。
【0050】
トナー担持ローラ41のスリーブ部41aの外周面におけるトナー担持ローラ軸方向両端部分には表面層56が設けられておらず、外側電極54aの両端部分は露出しており、この露出面が被給電部54bとなる。その露出面で構成される被給電部54bには、パルス電源51Bに接続された給電コロ58が当接している。この給電コロ58は、回転自在に支持されており、トナー担持ローラ41の回転に伴い、被給電部54bに当接したまま連れ回り回転する。
【0051】
なお、本実施形態では、外側電極54aに外側電圧を印加するための給電コロ58が2つ設けられているが、1つであっても3つ以上であってもよい。外側電極54aに外側電圧を印加するための給電コロが複数あれば、一部の給電コロで接触不良による給電不良が生じても、他の給電コロにより給電を行うことができるので、安定した給電を行うことが可能となる。
【0052】
また、本実施形態のように、トナー担持ローラ41の外周面に外側電極54aの一部分を露出させ、その露出部分を被給電部54bとして、これに給電コロ58を当接させて給電する方式を採用する場合、その被給電部54bは、トナー担持ローラ41上における現像幅(感光体上において静電潜像が形成され得る領域と対向し得る領域幅)よりも軸方向外側に位置することが望まれる。なぜなら、被給電部54bが現像幅内に位置すると、トナー担持ローラ41と被給電部54bとの間で押しつぶされたトナーが現像に寄与することになり、その部分で現像不良が発生するからである。より好ましくは、被給電部54bは、トナー担持ローラ41上におけるトナー供給幅(トナー供給ローラ42からトナーが供給される領域幅)よりも軸方向外側に位置することが望まれる。なぜなら、被給電部54bがトナー供給幅内に位置すると、トナー担持ローラ41と被給電部54bとの間に多量のトナーが介在し、給電不良が起きやすくなるからである。本実施形態では、被給電部54bがトナー担持ローラ41上におけるトナー供給幅よりも軸方向外側に位置するように構成している。更に、本実施形態では、トナー供給幅内のトナーが被給電部54bに付着しないように、ローラ両端部に位置する各被給電部54bの軸方向中央側に図示しないトナーシールが設けられている。
【0053】
なお、本実施形態では、給電部材として、被給電部54bに連れ回り回転する給電コロ58を用いているが、これに限らず、例えば、導電性ブラシや導電性板バネなどを用いてもよい。なお、導電性ブラシや、導電性板バネなどのように被給電部54bに対して摺動する給電部材を用いる場合、被給電部54bとの接点部分の摩耗を抑制するために導電性グリスなど充填するとよい。
【0054】
ここで、本実施形態の現像装置4は、上述したようにフレア現像方式を採用するものであるため、トナーを静止状態でトナー担持体上に担持して搬送する一般的な一成分現像方式と比較して、トナー担持体上のトナー流動性が高い。そのため、規制ブレード43とトナー担持ローラ41の外周面との間の規制部Aの入口側に隣接した入口側領域Bに存在するトナーに加わる圧力(規制前圧力)の増大が、その規制部Aを通過するトナー量の増大に影響しやすい。本実施形態において、規制部Aに向かってトナーを移動させる外力は、主として、トナー担持ローラ41の回転駆動によりトナー担持ローラ外周面に沿ってトナーを搬送する力と、トナー供給ローラ42の回転駆動によりトナーを搬送する力である。そこで、本実施形態においては、トナー供給ローラ42の回転駆動によってトナーを搬送する力により規制部に向かって移動するトナーの移動を阻害するトナー移動阻害部材を設けている。すなわち、本実施形態では、トナー供給ローラ42の回転駆動により巻き上げられるようにしてトナー供給ローラ42の回転方向へ移動するトナーの移動をトナー移動阻害部材で阻害する。これにより、このトナー移動阻害部材が無い構成よりも、規制部の入口側領域Bに送り込まれる単位時間当たりのトナー量を減らすことができる。よって、その入口側領域Bに存在するトナーに加わる規制前圧力を減らすことができ、目標量よりも多い量のトナーが規制部を通過する事態の発生を抑制することができる。
【0055】
〔構成例1〕
以下、本実施形態における現像装置4の一構成例(以下、本構成例を「構成例1」という。)について説明する。
図10は、本構成例1における現像装置4の規制部近傍について、トナー担持ローラ回転軸方向に直交する面に沿って切断したときの概略構成を示す拡大図である。
図11(a)は、トナー担持ローラ41を取り除いた状態において、本構成例1における現像装置4の規制部近傍を規制ブレード43の平面部法線方向から見たときの正面図である。図11(b)は、同現像装置4の規制部近傍の側面図である。
【0056】
本構成例1に係る現像装置においては、トナー移動阻害部材として、トナー担持ローラ41の回転軸方向に長尺な板状の移動阻害ブレード48を用い、これをトナー供給ローラ42とは非接触の状態で配置している。そのため、移動阻害ブレード48とトナー供給ローラ42の外周面との間にギャップ(隙間)Gが形成される。トナー供給ローラ42の外周面に担持されたトナーは、このギャップGを通過してトナー供給位置まで移動することができる。このギャップGは、トナー供給ローラ42の回転駆動により巻き上げられるようにしてトナー供給ローラ42の回転方向へ移動するトナーの移動を移動阻害ブレード48によって阻害しつつも、当該ギャップGを通過してトナー供給位置へ必要量のトナーが搬送されるような間隔に設定される。本実施形態の構成においては、このギャップGを0.5mm以上とし、本実施形態では1mmに設定するが、この値はトナーの種類やトナー供給ローラ42の線速などによって適宜変更される。
【0057】
移動阻害ブレード48の材料や厚みは、ギャップGの近傍を流れるトナーによって実質的に撓まない範囲であればどのようなものでもよい。本実施形態では、移動阻害ブレード48として、リン青銅で形成した板状部材を厚みが150μmとなるように形成したものを用いている。
【0058】
また、移動阻害ブレード48は、その短手方向一端部が現像ケーシングと一体成型されている台座49bに取り付けられた片持ち支持構造となっている。また、規制ブレード43は、この台座49bにスペーサ49aを介して支持されている。したがって、このスペーサ49aの高さSを変更することによって、規制ブレード43と移動阻害ブレード48との間隔を変更することができる。スペーサ49aの高さSは、少なくとも、規制ブレード43と移動阻害ブレード48との間隔が、規制ブレード43の最大撓み時に規制ブレード43が移動阻害ブレード48に当たらない程度の間隔となるように設定される。また、例えば、図12に示すように、スペーサ49aの高さSを大きくしすぎると、トナー供給ローラ42の回転駆動によるトナーの移動Cを移動阻害ブレード48によって阻害することができなくなる。すなわち、当該トナーの移動Cの一部を規制部へ向かわないようにする流れC2を生み出すことができない。本実施形態では、このスペーサ49aの高さSを2mmに設定している。
【0059】
また、本実施形態の構成において、移動阻害ブレード48の先端位置が規制ブレード43の先端位置よりも突き出ていない場合、すなわち、図11(b)に示す長さLがマイナスとなるような場合には、トナー供給ローラ42の回転駆動により巻き上げられるようにしてトナー供給ローラ42の回転方向へ移動するトナーの移動を移動阻害ブレード48によって有効に阻害できない。本実施形態において、この長さLは4mmに設定されている。
【0060】
以上、本構成例1に係る現像装置は、トナー供給ローラ42の回転駆動によってトナーを搬送する力により規制部に向かって移動するトナーの移動を阻害する移動阻害ブレード48が設けられている。これにより、この移動阻害ブレード48が無い構成よりも、規制部の入口側領域Bに送り込まれる単位時間当たりのトナー量を減らすことができる。よって、その入口側領域Bに存在するトナーに加わる規制前圧力を減らすことができる。したがって、規制部Aを通過した後のトナーがホッピング状態とならなかったり、トナー担持ローラ41の外周面にトナー固着が生じたりするほど高い当接圧まで規制ブレード43のトナー担持ローラ41に対する当接圧を高めることなくとも、目標量よりも多い量のトナーが規制部を通過する事態の発生を抑制することができる。
【0061】
〔構成例2〕
次に、本実施形態における現像装置4の他の構成例(以下、本構成例を「構成例2」という。)について説明する。
図13は、本構成例2における現像装置4の規制部近傍について、トナー担持ローラ回転軸方向に直交する面に沿って切断したときの概略構成を示す拡大図である。
本構成例2における現像装置4は、その基本構成は上述した構成例1と同様であるが、トナー移動阻害部材の構成が上記構成例1とは異なっている。具体的には、本構成例2のトナー移動阻害部材である移動阻害ブレード148は、台座49bに取り付けられたブレード本体148bにおけるトナー供給ローラ42との対向端部に、そのブレード本体148bよりも高い可撓性を有するフィルム部148aが取り付けられている。そして、このフィルム部148aがトナー供給ローラ42の外周面に当接するように、本構成例2の移動阻害ブレード148は配置されている。
【0062】
フィルム部148aとしては、例えば、トナー担持ローラ回転軸方向に複数の切れ込みを入れてのれん状にしたPETフィルムや、小さな孔が多数分散した薄い金属板などを用いることができる。本構成例2では、ブレード本体148bとトナー供給ローラ42とのギャップが1mmに設定し、そのブレード本体148bからトナー供給ローラ42側へ突き出た部分が1.5mmとなるようにフィルム部148aをブレード本体148bに取り付けた移動阻害ブレード148を用いている。このフィルム部148aには、長さ1mmの切れ込みを入れたのれん状のPETフィルムを用いた。
【0063】
トナー供給ローラ42の線速や、規制部の入口側領域Bに存在するトナーに作用する他の外力の大きさによっては、上述した構成例1のように移動阻害ブレード48をトナー供給ローラ42に対して非接触の状態に配置する構成では、そのギャップGを現実的に可能な範囲で最小としても、規制部Aを通過するトナー量が過剰となり、目標量よりも多い量のトナーが規制部Aを通過する事態が起こり得る。本構成例2のように、可撓性を有するフィルム部148aをトナー供給ローラ42の外周面に接触させる構成であれば、トナー供給ローラ42の回転によって巻き上げられるトナーが規制部の入口側領域Bに向かって移動するのをほぼ完全にシャットアウトでき、上記構成例1よりも、トナー供給ローラ42の回転駆動によってトナーを搬送する力により規制部Aに向かって移動するトナーの移動を阻害する効果が高い。したがって、上記構成例1では規制部Aの通過を規制することが困難であった本来規制すべきトナーについて、本構成例2であれば、その規制部Aの通過を規制することができる。よって、目標量よりも多い量のトナーが規制部を通過する事態の発生が抑制される。
【0064】
〔構成例3〕
次に、本実施形態における現像装置4の更に他の構成例(以下、本構成例を「構成例3」という。)について説明する。
図14は、本構成例3における現像装置4の規制部近傍について、トナー担持ローラ回転軸方向に直交する面に沿って切断したときの概略構成を示す拡大図である。
本構成例3における現像装置4は、その基本構成は上述した構成例1と同様であるが、トナー移動阻害部材である移動阻害ブレード248の先端がトナー供給ローラ42の外周面に当接するように配置されている点で、上記構成例1とは異なっている。このような構成により、移動阻害ブレード248は、その先端がスポンジローラからなるトナー供給ローラ42の外周面に食い込んだ状態で配置される。
【0065】
本構成例3の現像装置4によれば、移動阻害ブレード248とトナー供給ローラ42との当接部を通過できるトナーは、そのトナー供給ローラ42の外周面上に形成される多孔質の孔内に担持されたトナーだけとなる。したがって、トナー供給ローラ42の回転によって巻き上げられるトナーが規制部の入口側領域Bに向かって移動するのを完全にシャットアウトできる。また、移動阻害ブレード248がトナー供給ローラ42に食い込んでいるので、トナー供給ローラ42の多孔質孔に過剰に取り込まれたトナーを移動阻害ブレード48で押し出すことができる。これにより、トナー供給ローラ42からトナー担持ローラ41へ過剰な量のトナーが供給されるのを抑制することができる。また、本構成例3によれば、移動阻害ブレード248のトナー供給ローラ42への食い込み量を変更することで、トナー供給ローラ42からトナー担持ローラ41へ供給するトナー量を制御することが可能となる。本構成例3における移動阻害ブレード48の食い込み量は、トナー担持ローラ41がトナー供給ローラ42に食い込んでいる量と同程度の1mmとした。
【0066】
〔構成例4〕
次に、本実施形態における現像装置4の更に他の構成例(以下、本構成例を「構成例4」という。)について説明する。
図15は、本構成例4における現像装置4の規制部近傍について、トナー担持ローラ回転軸方向に直交する面に沿って切断したときの概略構成を示す拡大図である。
図16(a)は、トナー担持ローラ41を取り除いた状態において、本構成例4における現像装置4の規制部近傍を規制ブレード43の平面部法線方向から見たときの正面図である。図16(b)は、同現像装置4の規制部近傍の側面図である。
【0067】
本構成例4における現像装置4は、その基本構成は上述した構成例1と同様であるが、トナー移動阻害部材である移動阻害ブレード348に、規制ブレード43によって規制部Aの通過が規制されたトナーを図中矢印C3で示すようにトナー収容部内に戻すための通路となる貫通孔348Aを備えている点で、上記構成例1とは異なっている。上記構成例1の場合、規制ブレード43と移動阻害ブレード48との囲まれる空間に、規制ブレード43によって規制部Aの通過が規制されたトナーが滞留して、トナーのパッキングが発生してしまう可能性がある。このようなトナーのパッキングが発生すると、パッキングしたトナーが増えるにつれて規制ブレード43がトナー担持ローラ41側へ強く押されていき、規制ブレード43とトナー担持ローラ41との間の規制圧が上昇してしまう。その結果、規制部Aを通過した後にホッピング状態とならないトナーが増大したり、トナー担持ローラ41の外周面にトナー固着が生じたりするなどの不具合を引き起こすおそれがある。
【0068】
本構成例4によれば、移動阻害ブレード348に貫通孔348Aが設けられているため、規制ブレード43によって規制部Aの通過が規制されたトナーがこの貫通孔348Aを通じてトナー収容部側に戻ることができる。そのため、規制ブレード43と移動阻害ブレード48との囲まれる空間でトナーのパッキングが生じるのを抑制でき、上記不具合を回避することができる。
貫通孔348Aは、規制ブレード43によって規制部Aの通過が規制されたトナーをトナー収容部側へ戻すようなトナーの流れを形成できるものであれば、どのようなサイズ、形状、配置のものでもよい。本構成例4においては、2mm×6mmの貫通孔348Aをトナー担持ローラ回転軸方向に沿って20mm間隔で複数配置している。
【0069】
〔構成例5〕
次に、本実施形態における現像装置4の更に他の構成例(以下、本構成例を「構成例5」という。)について説明する。
図17は、本構成例5における現像装置4の規制部近傍について、トナー担持ローラ回転軸方向に直交する面に沿って切断したときの概略構成を示す拡大図である。
本構成例5は、上記構成例4における貫通孔348Aに対し、トナー収容部側からの逆流を防止するために、逆流防止手段としての逆流防止弁348Bを貫通孔348Aに設けたものである。この逆流防止弁348Bの構成は、規制ブレード43と移動阻害ブレード48との間の空間側から貫通孔348Aを通過するトナー移動に対しては、そのトナー移動によって撓む又は折れるあるいは回動することでトナーを通過させ、トナー収容部側から貫通孔348Aを通過しようとするトナー移動(逆流)に対しては、貫通孔348Aへの移動を阻止してトナーを通過させない構成であれば何でもよい。本変形例では、厚み10μmのPETフィルムを逆流防止弁348Bとして貫通孔348Aに取り付けた。
【0070】
上記構成例4の構成では、貫通孔348Aをトナーが逆流してしまう可能性がある。トナーの逆流が発生すると、規制ブレード43と移動阻害ブレード48との囲まれる空間にトナーのパッキングが発生してしまう可能性があり、規制ブレード43とトナー担持ローラ41との間の規制圧が上昇してしまう。その結果、規制部Aを通過した後にホッピング状態とならないトナーが増大したり、トナー担持ローラ41の外周面にトナー固着が生じたりするなどの不具合を引き起こすおそれがある。本構成例5によれば、逆流防止弁348Bを設けたことで、貫通孔348Aをトナーが逆流してしまう事態の発生が抑制される。よって、上記不具合を回避することができる。
【0071】
〔構成例6〕
次に、本実施形態における現像装置4の更に他の構成例(以下、本構成例を「構成例6」という。)について説明する。
図18は、本構成例6における現像装置4の規制部近傍について、トナー担持ローラ回転軸方向に直交する面に沿って切断したときの概略構成を示す拡大図である。
本構成例6における現像装置4は、トナー移動阻害部材として、板状の移動阻害ブレードではなく、ロール状の移動阻害ローラ448を用いている。この移動阻害ローラ448は、トナー供給ローラ42の外周面に当接するように配置されて、スポンジローラからなるトナー供給ローラ42の外周面に食い込んだ状態で配置されている。この移動阻害ローラ448は、回転不能な非回転部材であってもよいが、本構成例6では、回転可能な回転部材で構成されている。特に、本構成例6の移動阻害ローラ448は、トナー供給ローラ42の回転に対して従動回転するように構成されている。
【0072】
上記構成例3のように、板状の移動阻害ブレード248の先端をスポンジローラからなるトナー供給ローラ42の外周面に食い込ませた構成においては、その食い込み量やトナー供給ローラ42の材質、線速によっては、移動阻害ブレード248とトナー供給ローラ42との摩擦力が増大し、トナー供給ローラ42に過大なトルク負荷を与えてしまう場合がある。その結果、トナー供給ローラ42の劣化を促進させたり、トナー供給ローラ42の駆動源コストが高くなってしまったりする。本構成例6によれば、トナー移動阻害部材としてロール状の移動阻害ローラ448を用いているため、板状の移動阻害ブレード248を用いる場合よりも、トナー供給ローラ42との摩擦力を軽減でき、トナー供給ローラ42に与えるトルク負荷を減らすことができる。特に、本構成例6では、移動阻害ローラ448が回転可能な回転部材で構成されている上、トナー供給ローラ42の回転に対して従動回転する構成となっているため、トナー供給ローラ42に与えるトルク負荷を減らす効果が高い。
【0073】
以上、本実施形態(各構成例を含む。以下同じ。)に係る画像形成装置は、潜像担持体としての感光体1と、互いに異なる電圧が印加される複数種類の電極部材である内側電極53a及び外側電極54aを備えたトナー担持体としてのトナー担持ローラ41の外周面にトナーを担持させ、内側電極及び外側電極に対して互いに異なる電圧(内側電圧及び外側電圧)を印加することにより、トナーをホッピングさせるための電界(ホッピング電界)をトナー担持体外周面上に形成し、トナー担持体外周面を移動させることによりホッピングした状態のトナーを現像領域内に送り込み、感光体1上の静電潜像にトナーを供給して静電潜像を現像する現像装置4M,4C,4Y,4Kとを有し、静電潜像を現像して得られる画像を最終的に記録材上に転移させて記録材上に画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置の現像装置4M,4C,4Y,4Kは、トナー収容部と、このトナー収容部内のトナーをトナー担持ローラ41の外周面に供給するトナー供給手段と、現像領域に対してトナー担持ローラ外周面移動方向上流側であって、トナー供給手段によるトナー供給箇所(トナー供給位置)に対してトナー担持ローラ外周面移動方向下流側に、トナー担持ローラ回転軸方向の少なくとも現像領域全域にわたってトナー担持ローラ41の外周面に対して接触又は非接触の状態で対向配置されるトナー規制部材としての規制ブレード43とを有し、当該トナー移動阻害部材が無ければ規制ブレード43とトナー担持ローラ41の外周面との間の規制部Aに向かってトナーが移動する箇所に、その規制部Aに向かうトナーの移動を阻害するためのトナー移動阻害部材として、移動阻害ブレード48,148,248,348又は移動阻害ローラ448を設けたものである。このような現像装置によれば、規制部の入口側領域Bに送り込まれる単位時間当たりのトナー量を減らすことができるので、その入口側領域Bに存在するトナーに加わる規制前圧力を減らすことができ、規制部Aを通過した後のトナーがホッピング状態とならなかったり、トナー担持ローラ41の外周面にトナー固着が生じたりするほど高い当接圧まで規制ブレード43のトナー担持ローラ41に対する当接圧を高めることなくとも、目標量よりも多い量のトナーが規制部を通過する事態の発生を抑制することができる。
特に、本実施形態においては、トナー供給手段が、トナー担持ローラ41の回転方向と同じ方向に回転駆動するトナー供給部材としてのトナー供給ローラ42によりトナー供給ローラ42の回転方向へ搬送されるトナーをトナー担持ローラ41の外周面に供給するものであり、移動阻害ブレード48,148,248,348又は移動阻害ローラ448は、トナー供給ローラ42の回転駆動により規制部Aに向かって移動するトナーの移動を阻害する箇所に配置されている。トナー供給ローラ42の回転駆動によってトナーを搬送する力により規制部に向かって移動するトナーの移動は、規制部Aの入口側領域Bに存在するトナーに加わる規制前圧力を高める主原因である。よって、このトナー移動を阻害することで、その規制前圧力を効果的に低減することができる。
また、上記構成例1、4及び5においては、移動阻害ブレード48,348が、当該移動阻害ブレードとトナー供給ローラ42の外周面との間をトナー供給ローラ42の回転方向に沿って移動するトナーが通過可能な隙間(ギャップG)が形成されるように、トナー供給ローラ42に対して非接触状態で配置されている。これにより、トナー供給ローラ42と接触する構成と比較して、トナー供給ローラ42の劣化が抑制される。特に、トナー供給ローラ42が回転駆動する構成の場合、接触によるトルク負荷の増大という不具合も生じない。
また、上記構成例2、3及び6においては、移動阻害ブレード148,248又は移動阻害ローラ448が、当該移動阻害ブレード又は当該移動阻害ローラとトナー供給ローラ42の外周面との間をトナー供給ローラ42の回転方向に沿って移動するトナーが通過可能な接触圧でトナー供給ローラ42と接触した状態で配置されている。非接触の場合、トナー供給ローラ42によるトナー担持ローラ41へのトナー供給量がギャップGの間隔に大きく依存することになるため、そのギャップGの間隔に高い精度が要求される。そのため、部品精度や組み付け精度などに高い精度が要求されてコスト高となりやすい。これに対し、移動阻害ブレード148,248又は移動阻害ローラ448をトナー供給ローラ42に対して接触配置した構成であれば、非接触の場合ほどの高精度が要求されることはなく、安価な構成を実現できる。
特に、上記構成例2のように、移動阻害ブレード148が、非回転部材であって、トナー供給ローラ42との接触部分が可撓性を有するフィルム部148aとなっている場合、非接触の構成よりも、トナー供給ローラ42の回転駆動によってトナーを搬送する力により規制部Aに向かって移動するトナーの移動を阻害する効果が高い。よって、非接触の構成では規制部Aの通過を規制することが困難であった本来規制すべきトナーについて、その規制部Aの通過を規制することが可能となる。
また、上記構成例4及び5においては、移動阻害ブレード348は、非回転部材であって、規制ブレード43によって規制部Aの通過が規制されたトナーをトナー収容部内に戻すための通路となる貫通孔348Aを備えている。これにより、規制ブレード43と移動阻害ブレード48との囲まれる空間でトナーのパッキングが生じるのを抑制でき、パッキングしたトナーにより規制ブレード43とトナー担持ローラ41との間の規制圧が上昇し、規制部Aを通過した後にホッピング状態とならないトナーが増大したり、トナー担持ローラ41の外周面にトナー固着が生じたりするなどの不具合が引き起こされるのを、回避することができる。
特に、上記構成例5では、規制ブレード43によって規制部Aの通過が規制されたトナーが貫通孔348Aを通じてトナー収容部内へ戻るトナー戻り方向とは逆方向へのトナー移動を防止するための逆流防止手段としての逆流防止弁348Bが設けられている。これにより、貫通孔348Aをトナーが逆流することで生じるトナーのパッキングの発生が抑制される。
また、上記構成例6においては、トナー移動阻害部材として、回転可能なロール状部材である移動阻害ローラ448を用いている。これにより、トナー供給ローラ42との摩擦力を軽減でき、トナー供給ローラ42の劣化を軽減し、またトナー供給ローラ42に与えるトルク負荷を減らすことができる。
特に、上記構成例6では、移動阻害ローラ448がトナー供給ローラ42の回転に対して従動回転するものであるため、トナー供給ローラ42の劣化を軽減し、またトナー供給ローラ42に与えるトルク負荷を減らすことができる効果が高い。
【符号の説明】
【0074】
1 感光体
4 現像装置
6 プロセスカートリッジ
41 トナー担持ローラ
42 トナー供給ローラ
43 規制ブレード
44 入口シール
48,148,248,348 移動阻害ブレード
49a スペーサ
49b 台座
51A,51B パルス電源
53a 内側電極
54a 外側電極
55 絶縁層
56 表面層
148a フィルム部
148b ブレード本体
348A 貫通孔
348B 逆流防止弁
448 移動阻害ローラ
A 規制部
B 入口側領域
G ギャップ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特開2007−310355号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる電圧が印加される少なくとも2種類の電極部材を備えたトナー担持体の外周面にトナーを担持させ、該少なくとも2種類の電極部材に対して互いに異なる電圧を印加することにより、トナーをホッピングさせるための電界を該トナー担持体の外周面上に形成し、該トナー担持体を回転させることによりホッピングした状態のトナーを現像領域内へ送り込んで、潜像担持体上の潜像にトナーを供給して該潜像を現像する現像装置において、
トナー収容部と、
該トナー収容部内のトナーを上記トナー担持体の外周面に供給するトナー供給手段と、
現像領域に対してトナー担持体外周面移動方向上流側であって、該トナー供給手段によるトナー供給箇所に対してトナー担持体外周面移動方向下流側に、トナー担持体回転軸方向の少なくとも現像領域全域にわたって上記トナー担持体の外周面に対して接触又は非接触の状態で対向配置されるトナー規制部材と、
当該トナー移動阻害部材が無ければ上記トナー規制部材と上記トナー担持体の外周面との間の規制部に向かってトナーが移動する箇所に設けられ、該規制部に向かうトナーの移動を阻害するためのトナー移動阻害部材とを有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記トナー供給手段は、上記トナー担持体の回転方向と同じ方向に回転駆動するトナー供給部材により該トナー供給部材の回転方向へ搬送されるトナーを該トナー担持体の外周面に供給するものであり、
上記トナー移動阻害部材は、上記トナー供給部材の回転駆動により上記規制部に向かって移動するトナーの移動を阻害する箇所に配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2の現像装置において、
上記トナー移動阻害部材は、当該トナー移動阻害部材と上記トナー供給部材の外周面との間を該トナー供給部材の回転方向に沿って移動するトナーが通過可能な隙間が形成されるように、該トナー供給部材に対して非接触状態で配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2の現像装置において、
上記トナー移動阻害部材は、当該トナー移動阻害部材と上記トナー供給部材の外周面との間を該トナー供給部材の回転方向に沿って移動するトナーが通過可能な接触圧で該トナー供給部材と接触した状態で配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項4の現像装置において、
上記トナー移動阻害部材は、非回転部材であって、上記トナー供給部材との接触部分が可撓性を有していることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項4又は5のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記トナー移動阻害部材は、非回転部材であって、上記トナー規制部材によって上記規制部の通過が規制されたトナーを上記トナー収容部内に戻すための通路となる貫通孔を備えていることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項6の現像装置において、
上記トナー規制部材によって上記規制部の通過が規制されたトナーが上記貫通孔を通じて上記トナー収容部内へ戻るトナー戻り方向とは逆方向へのトナー移動を防止するための逆流防止手段を有することを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項4の現像装置において、
上記トナー移動阻害部材は、回転可能なロール状部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項8の現像装置において、
上記ロール状部材は、上記トナー供給部材の回転に対して従動回転するものであることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
潜像担持体上に形成された潜像に対して現像装置により現像剤を供給することにより該潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
上記現像装置として、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10の画像形成装置において、
上記現像装置を複数設け、各現像装置により互いに異なる色のトナーで各色に対応する潜像をそれぞれ現像し、これにより得られる各色画像が互いに重なり合ったカラー画像を形成する構成を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
潜像担持体と、該潜像担持体上に形成される潜像を現像剤で現像する現像装置とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成したプロセスカートリッジにおいて、
上記現像装置として、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−58592(P2012−58592A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203222(P2010−203222)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】