説明

現像装置、画像形成装置及び現像方法

【課題】 画像形成装置における現像剤槽内の撹拌搬送部材の帯電、リークによる印字不良の発生を防止しつつ、かつ、現像剤の帯電量上昇などの帯電バランスの崩れを防止することのできる現像方法、現像装置を提供する。
【解決手段】 少なくともトナーを含む現像剤をその内部に収容する現像剤槽、該現像剤槽に補給される前記トナーを収容する補給トナー槽、前記トナーを前記補給トナー槽から前記現像剤槽に補給するトナー補給部材、前記現像剤槽内の現像剤を撹拌搬送する撹拌搬送部材、を少なくとも有する現像装置であって、前記トナー補給部材によって前記現像剤槽に補給された前記トナーが、前記現像剤槽内において少なくとも最初に接触する前記撹拌搬送部材の一部を導電性材料で形成し、この導電性材料とアースをバリスタを介して接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式による画像形成装置の現像装置および現像方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置では、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像装置で現像し、現像されたトナー像を紙等の記録媒体に転写し、転写されたトナー像を定着して画像形成を行うのが通例である。
【0003】
現像方式としては、主としてトナーのみからなる一成分現像剤を用いる一成分現像方式と、主としてトナーとキャリアとを混合した二成分現像剤を用いる二成分現像方式の2つに大別される。
【0004】
現像装置の構造は概略次の様なものである。現像剤を収容する現像剤槽があり、静電潜像担持体と対向する側に設けられた前記現像剤槽の開口部に現像ローラ等の現像剤担持体が配され、該現像剤担持体上に担持、搬送されている現像剤で静電潜像担持体上の静電潜像を現像する。
【0005】
現像剤槽内には、現像剤を撹拌、搬送等するための現像剤撹拌搬送部材が配されていることが多い。現像剤撹拌搬送部材には、様々な形状のものがあり、スクリュー、オーガ、パドル、羽根等色々の名称で呼ばれるが、現像剤槽内に収容された現像剤に、撹拌、搬送、循環、混合等を施す機能を有するものである。
【0006】
現像に伴い、現像剤槽中のトナーが消費されていくが、一成分現像方式では、印字データ量に応じた量のトナーを補給トナー槽から現像剤槽内に補給したり、別途設けられた現像剤量センサーで現像剤槽中の現像剤量を検出し、適量のトナーを現像剤槽に補給したりすることで、現像剤槽中の現像剤量を適正範囲内に維持することが行われる。
【0007】
また、二成分現像方式では、別途設けられたトナー濃度センサ(トナー濃度:現像剤中のトナーの質量割合)でトナー濃度をモニタし、トナー濃度が適正範囲にあるように、現像剤槽にトナーを補給することが行われる。
【0008】
さて、現像剤撹拌搬送部材は、形状としては長手軸の周りにスクリュー、オーガ、パドル等を配設した構造ものが多く、材質的には金属、プラスチック(樹脂)、これらの材料を複合したもの等、種々製造は可能である。しかしながら、長手軸周りに回転させて使うことが多いため、すくなくともその軸部は鋼、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属材料で構成することが多い。
【0009】
一方、現像剤槽を構成する材料としては、成形性に優れ、大量生産に適し、軽量、安価といった特性から、プラスチック(樹脂)が多用されており、現像剤槽の構成部材をすべて板金などの、金属部材で構成することは極めて稀である。
【0010】
このため、撹拌搬送部材のアース等を特に意識することなく現像装置を設計すると、絶縁性材料が主体である現像剤槽に撹拌搬送部材が軸支等された構造となり、撹拌搬送部材を構成する軸部等の金属製の部材は、アースとは絶縁されたいわゆるフロート状態となることが多い。
【0011】
尚、本明細書ではグラウンド、フレームグラウンド等含めてアースと呼び、その電位をアース電位と呼ぶこととする。
【0012】
このようなフロート状態の撹拌搬送部材では、現像剤との摩擦帯電が主原因と考えられるが、現像剤の撹拌搬送動作に伴い該撹拌搬送部材が帯電し、場合によって絶対値で1000Vを超えるような帯電電位を持ってしまうことが知られている。
【0013】
撹拌搬送部材が帯電しても、その電位量や極性に依っては、特に問題が発生しない場合もある。しかしながら、極端に帯電電位が高い場合などには、帯電電荷が近接する導電性部材にリークしてスパイク状の電気的ノイズが発生し、該電気的ノイズが画像信号に混入して、印字不良が発生する場合がある。
【0014】
これは、多くはデジタル信号である画像信号に、電気的ノイズが混入し、本来1である信号が0となったり、逆に0である信号が1となったりすることで、印字上の白地部に黒点、黒線が発生したり、逆に印字部(黒字部)に白抜け(白点、白線)が発生したりする現象である。また、印字上の画像の位置ずれ、重複、欠落といった印字不良となる場合もある。
【0015】
この為、このようなリークによる印字不良が発生する場合には、撹拌搬送部材の帯電を防止するために、撹拌搬送部材の金属部分を適当な端子等を介してアースに落としたり、あるいは現像剤槽の撹拌搬送部材を支持する部分を金属材料に変更するなどしてアースに落とすといった対策が行われることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2001−22175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところが、リークによる印字不良対策のため、撹拌搬送部材をアースに落とす対策をとったところ、次のような問題が発生する場合があることが明らかとなった。
【0018】
図7は従来技術による現像ユニット80の概略図である。尚、図2等に示す本発明の実施態様である現像ユニット5とは殆ど同じ構成の為、共通する部材には共通の部番を附している。
【0019】
図7において、撹拌搬送部材たる、2本の撹拌搬送スクリュー52および53、撹拌パドル61は、絶縁性のABS樹脂からなる現像器側板57、58に軸支されており、このままではアース電位とは隔離されたフロート状態となる。撹拌搬送スクリュー52および53は、ステンレス製の軸部にABS樹脂の成型品であるスクリュー駒が複数個嵌挿された構造である。また撹拌パドル61は図4に示す様に、同じくステンレス製軸部61aに、厚み1.0mmのSECC鋼板からなるパドル61bを2枚ねじ止めした構造で、軸部61a、パドル61bとも塗装等は行っておらず、その表面を含めすべて導電性である。
【0020】
2本の撹拌搬送スクリュー52および53は、現像剤槽60中で、図3に示す矢印D、E、F、Gの順に現像剤(図示せず)を循環させつつ撹拌搬送させるものであり、現像剤に半分以上埋設するよう配設される。これに対し、撹拌パドル61はその上方に位置する補給トナー槽62から補給された補給トナー(図示せず)が、塊(かたまり)のまま現像剤中に混ぜ込まれるのを防止するため、補給トナーを解砕しながら現像剤方向に押し出して、現像剤中に混ぜ込む機能を有する。従って撹拌パドル61は、パドル61bの先端が僅かに現像剤中に埋設する程度で、その大部分は現像剤のヘッドよりも上方に位置している。すなわち、補給トナー槽62から補給されたトナーは、現像剤槽60中においては、最初にこの撹拌パドル61と接触することとなる。
【0021】
現像剤槽60内に収容される現像剤は、トナーがマイナス帯電の二成分現像剤である。
【0022】
図5はこの従来技術による現像ユニット80での、印字動作すなわち撹拌搬送部材の撹拌搬送動作に伴う、撹拌パドル61の軸部61aの帯電電位の推移を示したものである。撹拌搬送動作に伴い帯電電位が上昇し、最高では-3000V程度に達する。また-3000V程度の電位に達すると、-1000V〜-2000V程度への瞬間的な電位降下が発生しており(図中矢印位置)、帯電電荷のリークが発生していることがわかる。また、このリークのタイミングで、図10に示すように、印字上に黒筋や白筋の印字不良が発生する。
【0023】
尚、撹拌パドル61の軸部61aの帯電電位は、市販の表面電位計で測定することが可能である。本実施例においては、モンロー社MODEL244表面電位計で、軸部61aの端部を測定している。
【0024】
この印字不良を防止するために、図8に示すように撹拌パドル61の軸に接触端子70を設けて撹拌パドル61をアースに落として印字したところ、当然のことであるが、撹拌パドル軸の電位は0Vのままで、帯電およびリークは起こらず印字不良は防止された。ところが図11に示す様に、印字にともない現像剤中トナーの帯電量が上昇する現象が発生し、この結果として印字濃度が低下するという問題が発生する事が明らかとなった(図11中(ロ))。トナー帯電量とは、現像剤槽内に収容された現像剤中のトナーの帯電量のことであり、種々公知の帯電量測定装置で測定可能なものである。
【0025】
この帯電量上昇の原因、メカニズムは明らかでないが、大局的には現像剤槽中で撹拌搬送されている現像剤中に、アースされた(すなわち電位が0)もしくはトナーの極性とは逆の電位を有する導電部材が存在することにより、二成分現像剤中のトナー、キャリアの帯電バランスが崩れることによるものと推定される。
【0026】
また、後述の実施態様に示す現像器5や現像剤に於いては、現像剤と接触している他の導電部材、すなわち撹拌搬送スクリュー52、53のステンレス軸や、現像剤槽底部に一部露出している底板部材59(ステンレス製)をアースに落としても、このような帯電量上昇は見られないことから、現像剤槽に補給されたトナーが、キャリアと混合される以前に、アースされた導電部材と接触することが、帯電量上昇とより強く関係しているものとも推定される。
【0027】
よって、本発明の目的は、撹拌搬送部材の帯電、リークによる印字不良の発生を防止しつつ、かつ、現像剤の帯電量上昇などの帯電バランスの崩れを防止することのできる現像方法、現像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記課題を解決するため本発明においては、少なくともトナーを含む現像剤をその内部に収容する現像剤槽、該現像剤槽に補給されるトナーを収容するトナー槽、前記トナーを前記トナー槽から前記現像剤槽に補給するトナー補給部材、前記現像剤槽内の現像剤を撹拌搬送する撹拌搬送部材、を少なくとも有する現像装置であって、前記トナー補給部材によって前記現像剤槽に補給されたトナーが、前記現像剤槽内において少なくとも最初に接触する前記撹拌搬送部材の一部を導電性材料で形成し、この導電性材料とアースがバリスタを介して接続されていることを特徴とする現像装置が提供される。
【0029】
また、本発明の別の態様に於いては、少なくともトナーを含む現像剤をその内部に収容する現像剤槽、該現像剤槽に補給されるトナーを収容するトナー槽、前記トナーを前記トナー槽から前記現像剤槽に補給するトナー補給部材、前記現像剤槽内の現像剤を撹拌搬送する撹拌搬送部材、を少なくとも有する現像装置であって、前記トナー補給部材によって前記現像剤槽に補給された前記トナーが、前記現像剤槽内において少なくとも最初に接触する前記撹拌搬送部材の一部を、導電性材料で形成し、この導電性材料に前記トナーの帯電極性と同じ極性のバイアス電位が印加されることを特徴とする現像装置が提供される。
【0030】
またさらに、本発明の別の態様に於いては前記の現像装置を有する画像形成装置が提供される。
【0031】
また、本発明の別の態様に於いては、少なくともトナーを含む現像剤をその内部に収容する現像剤槽に、該現像剤槽に補給されるトナーを収容するトナー槽から、トナー補給部材によって前記トナーを補給し、前記現像剤槽に補給されたトナーが、前記現像剤槽内において少なくとも最初に接触する前記撹拌搬送部材の一部を導電性材料で形成し、この導電性材料とアースをバリスタを介して接続することを特徴とする現像方法が提供される。
【0032】
また本発明のさらに別の態様に於いては、少なくともトナーを含む現像剤をその内部に収容する現像剤槽に、該現像剤槽に補給されるトナーを収容するトナー槽から、トナー補給部材によって前記トナーを補給し、前記現像剤槽に補給された前記トナーが、前記現像剤槽内において少なくとも最初に接触する前記撹拌搬送部材の一部を、導電性材料で形成し、この導電性材料に前記トナーの帯電極性と同じ極性のバイアス電位を印可することを特徴とする現像方法が提供される。
【発明の効果】
【0033】
本発明に依れば、画像形成装置における現像剤槽内の撹拌搬送部材の帯電、リークによる印字不良の発生を防止しつつ、かつ、現像剤の帯電量上昇などの帯電バランスの崩れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態である電子写真プリンタの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態である現像装置の概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態である現像装置の内部外観図である。
【図4】撹拌パドルの斜視図である。
【図5】従来技術の現像装置による、印字動作に伴う撹拌パドルの電位推移を示す図である。
【図6】本発明の現像装置による、印字動作に伴う撹拌パドルの電位推移を示す図である。
【図7】従来技術による現像装置の概略斜視図である。
【図8】従来技術による現像装置の概略斜視図である。
【図9】本発明の別の実施形態である現像装置の概略斜視図である。
【図10】従来技術による現像装置を用いた場合の印字欠陥の一例を示す図である。
【図11】印字動作に伴う撹拌パドルの電位推移を比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の一実施態様である現像装置を有する画像形成装置を、図1ほかを用いて詳細に説明する。
【0036】
画像形成装置たる電子写真プリンタ1は、側板1a、1dを有する。画像担持体たる感光ドラム2の回りに主帯電器3、LEDプリントヘッド4、現像ユニット5、転写帯電器6、分離帯電器7、クリーニング前帯電器8、キャリア回収ユニット9、クリーニングユニット10及び除電ランプ11が配置され(以上が像形成部に相当する)、記録媒体MRCの搬送経路に沿って見て、感光ドラム2下流側にフラッシュ定着装置である定着ユニット20が配置されている。また、電子写真プリンタ1は、搬送経路の感光ドラム2上流側に記録媒体MRCの搬送手段であるガイド板13と、同じく搬送手段であるトラクタ14が、搬送経路の定着ユニット20と対向する位置に別の搬送手段である搬送ユニット15が、それぞれ設けられている。
【0037】
感光ドラム2は図示しない駆動モータ及び減速機構によって駆動されている。
【0038】
ここで、電子写真プリンタ1では、記録媒体MRCはその両端部に送り孔(図示せず)を有する連続紙が使用される。記録媒体MRCは、図示のように、電子写真プリンタ1の右側の導入口1bから導入され、左側の排出口1cから排出される。
【0039】
搬送手段であるトラクタ14は記録媒体MRCの送り孔と嵌合するトラクタピン14aを備える搬送部材たるトラクタベルト14bを有する。トラクタベルト14bは図示しない駆動モータによって駆動され、記録媒体MRCを搬送する。記録媒体MRCの搬送速度は424.39mm/sに設定されている。
【0040】
感光ドラム2は、円筒形のドラムの表面に負帯電型の有機感光材料からなる感光層が形成され、LEDプリントヘッド4から照射される光によって静電潜像が表面に形成される。主帯電器3は、LEDプリントヘッド4による感光ドラム2上への潜像形成に先立って、放電で発生させたイオンにより感光ドラム2の表面を一様に帯電させる。LEDプリントヘッド4は、光ビームによって感光ドラム2の表面を露光し、記録情報に対応した静電潜像を形成する。
【0041】
現像装置たる現像ユニット5は内部に現像剤(図示せず)を収容し、現像ローラ51でもって、感光ドラム2上の静電潜像を現像し、トナー像とする。
【0042】
トナーは平均粒径8μmのポリエステル樹脂を主成分とするマイナストナーである。またキャリアはMn-Mg-St系フェライト粒子を母材粒子として、アクリル系樹脂を10重量%コートしたコート系キャリアである。キャリアの平均粒径は70μm。このトナーとキャリアをトナー濃度5.5重量パーセントで混合した現像剤を用いた。
【0043】
転写帯電器6は、放電で発生させたイオンを利用して感光ドラム2上に現像された未定着のトナー像を記録媒体MRCに転写する。分離帯電器7は、記録媒体MRCを感光ドラム2から電気的に分離させる帯電器で、例えば、交番電圧が印加されるコロトロン帯電器が使用される。転写帯電器6と分離帯電器7は共通のシールド板部材Sでもって一体に構成されている。
【0044】
ここで、感光ドラム2外周の分離帯電器7とクリーニング前帯電器8との間には記録媒体MRCを感光ドラム2から機械的に分離させる分離爪12が設けられている。
【0045】
本実施態様に於いては、主帯電器3および転写帯電器6以外にもクリーニング前帯電器8を有し、このクリーニング前帯電器8は、感光ドラム2の表面をクリーニングに先立って帯電させ、記録媒体MRCに転写されずに感光ドラム2の表面に残留したトナー粒子をクリーニングユニット10で回収し易くする目的で使用される。
【0046】
キャリア回収ユニット9は、感光ドラム2の回転方向に見て、転写帯電器6とクリーニングユニット10との間に設けられ、記録媒体MRCに転写されずに感光ドラム2の表面に残留したキャリア粒子や、後述のブラシローラ10bに因って、感光ドラム2の表面からはたき落とされたキャリアを回収する。キャリア回収ユニット9は、ハウジング9a内に磁気ローラである回収ローラ9bがキャリア粒子を磁気的に吸着して回収する。
【0047】
クリーニングユニット10は、記録媒体MRCに転写されずに感光ドラム2の表面に残留したトナー粒子を主として除去するもので、ハウジング10a内にブラシローラ10bと回収ローラ10cが設けられている。ブラシローラ10bは、トナー粒子と逆極性のバイアス電圧が印加され、感光ドラム2の表面に残留したトナー粒子をブラシで掻き取ると共に、静電的に吸着してクリーニングする。回収ローラ10cは、ブラシローラ10b以上の絶対値のバイアス電圧が印加され、ブラシローラ10bに吸着されたトナー粒子を静電的に回収する。回収されたトナー粒子は、図示しないブレードによって回収ローラ10cから掻き落とされ、移送ローラ10dによって紙面表裏いずれか一方向に設けた回収部(図示せず)へ移送される。
【0048】
除電ランプ11は、小形の電球で、光照射によって感光ドラム2の表面から残留電荷を除去する。尚、電球の替わりにLED等の発光素子を用いる事も出来る。搬送ユニット15は、2本の搬送ローラ15a間に搬送ベルト15bが掛け渡され、2本の搬送ローラ15aは強磁性素材からなる筐体15cに支持されている。搬送ローラ15aは図示しない駆動モータによって図中矢印方向に回転駆動されており、これにより搬送ベルト15bに載置された記録媒体MRCを搬送する。
【0049】
搬送ユニット15の後方には、スカフローラ対16が存在する。スカフローラ対16を構成する2本のローラの内、記録媒体MRCの下方に位置するローラのみが図示しない駆動モータによって回転駆動されている。他方のローラは記録媒体MRCを挟んで自重により下方に付勢され、従動回転している。
【0050】
図1に示すように電子写真プリンタ1に於いては、感光ドラム2上に現像された未定着のトナー像が転写帯電器6によって転写される転写位置から、定着ユニット20によって該トナー像が定着される定着位置までの間を含め、記録媒体MRCが搬送される搬送経路が、略直線状で、かつ略水平となるように構成されている。このように記録媒体MRCの搬送経路を略直線状とすれば、記録媒体の搬送に当たって、該記録媒体を折り曲げることがなく、厚紙、薄紙、合成紙、樹脂フィルム媒体など特殊紙の搬送も容易とすることが出来る。
【0051】
定着ユニット20は、ハウジング20a内に輻射熱源となる定着ランプ21、反射板22、反射板22を冷却する放熱フィン23が設けられ、搬送ユニット15に対向するハウジング20aの前面には保護ガラス24が配置されている。また、定着ユニット20の下流側に、空気を吸引する吸引ダクト26が設けられている。
【0052】
吸引ダクト26は、図1において電子写真プリンタ1の紙面表裏方向に配置され、搬送ユニット15側に開口を有し、内部には脱臭、脱煙用のフィルタとブロワ等の吸引手段が設けられている。吸引ダクト26は、定着ユニット20周りの空気を吸引し、電子写真プリンタ1の外部へ排出することで、主として定着ユニット20における未定着トナー像の定着によって発生するトナー成分の不快な臭気や煙を除去する。
【0053】
電子写真プリンタ1は以上のように構成され、以下に述べる電子写真方法により記録媒体MRCに未定着トナー像を定着して所望のプリントを行う。
【0054】
先ず、クリーニングユニット10で表面が清掃され、矢印方向に一定の速度で回転する感光ドラム2は、除電ランプ11で表面の残留電荷が除去され、主帯電器3で一様に帯電される。
【0055】
次に、LEDプリントヘッド4が、感光ドラム2に光ビームを照射し、記録情報に対応した静電潜像を感光ドラム2の表面に形成する。この静電潜像は感光ドラム2の回転により、現像ユニット5で現像され、未定着トナー像(可視像)となる。
【0056】
そして、感光ドラム2上に現像された未定着トナー像は、矢印で示した搬送経路に沿って搬送されてくる記録媒体MRC上に転写帯電器6で転写される。未定着トナー像が転写された記録媒体MRCは、分離帯電器7で感光ドラム2から離され、搬送ユニット15によって定着ユニット20へ搬送される。定着ユニット20では、定着ランプ21が発光し、発生した熱により未定着トナー像が溶融し記録媒体MRC上に定着される。
【0057】
電子写真プリンタ1においては、上記のようにして、記録情報に対応した画像が記録媒体MRC上に形成され、クリーニング前帯電器8での帯電、キャリア回収ユニット9でのキャリア回収、クリーニングユニット10での感光ドラム2の表面クリーニングの後、除電ランプ11によって感光ドラム2の残留潜像が消去されて、引き続く次の画像形成に供される。
【0058】
次に、図2および図3は本発明に関わる現像装置たる現像ユニット5の概略構成図である。
【0059】
現像ユニット5は感光ドラム2と対向する開口に現像ローラ51が配され、該現像ローラ51と平行に、2本のトナー撹拌搬送スクリューが水平面内に配されている。ここでは現像ローラ51に近い側を第1トナー撹拌搬送スクリュー53、遠い側を第2トナー撹拌搬送スクリュー52と呼ぶこととする。両撹拌搬送スクリューの間にはその両端部を除いて仕切り板54が設けられているが、仕切り板の両端部外側は第1トナー撹拌搬送スクリュー53と第2トナー撹拌搬送スクリュー52を連通させる連通口となっている。両トナー撹拌搬送スクリューは互いに逆方向(図中矢印B、C)に図示しない駆動モータによって駆動回転され、図3中の矢印D、E、F、Gで示すように、現像剤槽60内で現像剤を循環させる。
【0060】
現像ローラ51は図2に示すように、図中矢印A方向に回転駆動され、循環されている現像剤をその表面に担持し、感光ドラム2との対向領域(現像領域)に搬送し、該現像領域で感光ドラム上2の静電潜像をトナーで現像する。現像に供されトナー濃度の低下した現像剤は、現像ローラ51の回転に伴って再び現像剤槽60内に回収される。
【0061】
水平面内に見て、両撹拌搬送スクリュー52、53の、現像ローラ51との反対側に撹拌パドル61が設けられ、図示しない駆動機構により図中矢印Hの方向に回転駆動されている。撹拌パドル61の上方に補給トナー槽62が配され、その内部に配されたトナー補給部材たるトナー補給ローラ64により適量の補給トナーが、現像剤槽60に自然落下することで補給されるようになっている。本実施態様においては、これら両撹拌搬送スクリュー52、53および撹拌パドル61が撹拌搬送部材に相当する。
【0062】
トナー補給ローラ64は、長手軸方向に見てスクリュー部64aとスポンジローラ部64bとからなる。補給トナー槽62と現像剤槽60を区画する隔壁(すなわち補給トナー槽62の底板であって、現像剤槽60の天板)には、図示しない補給トナー開口が設けられており、該補給トナー開口を塞ぐ形でスポンジローラ部64bが配されている。トナー補給ローラが図示しない回転駆動機構によって、長手軸周りに所定量回転駆動されると、スポンジローラ部64bのスポンジに担持された補給トナーが所定量補給される仕組みとなっている。すなわち、補給トナーローラの回転量(回転数や回転時間))を制御することで任意量のトナーが補給可能となっている。
【0063】
撹拌パドル61を図4に示す。撹拌パドル61は前述したように、補給トナー槽62から自然落下により補給された補給トナーが、塊のまま現像剤中に混ぜ込まれないよう、パドル61bによって補給トナーを解砕し、同時に第2撹拌搬送スクリュー52方向に押し出して、現像剤中に補給トナーが混ざり易くする機能を有するものである。撹拌パドル61は図4に示す様に、ステンレス製の軸部61aに、厚み1.0mmのSECC鋼板製のパドル61bを2枚ねじ止めした構造を有しており、撹拌パドル61全体が導電性を有している。これが転がりベアリングを介して、ABS樹脂材からなる絶縁性の現像ユニット5の両側板57、58に軸支されている。
【0064】
側板58には、軸部61aの一端部に接触する接触端子70が設けられ、該接触端子70はバリスタ電位1000Vのバリスタ71を介して、プリンタの本体側板1aに接続される。尚、図が煩雑となるためバリスタ71以降は簡略して回路図として描いている。本体側板1aは、図示しない接地端子によってアースに接続されており、撹拌パドル61はバリスタ71を介してアースに接続されたこととなる。尚、バリスタ71の一端の接続先は本体側板1aに限らず、アース電位の導電部材であればどこでも差し支えない。
【0065】
また、本発明の効果は、バリスタ71を介して電気的に撹拌パドル61とアースとを接続すれば達せられるものであり、接触端子の形状や位置、バリスタの取付位置、アースとの接続部位など、本実施態様に限定されるものではない。
【0066】
図6に、印字動作に伴う撹拌パドル61の帯電電位推移を示す。従来の技術における図5とは異なり、バリスタ71の効果により、帯電電位は細かな変動はあるものの絶対値でも1000Vに達せず、リークも発生しない。この為、リークによる印字不良の発生は起こらず、また、図11中(ハ)に示すようにトナー帯電量の上昇も見られず、一石二鳥の効果が得られるていることがわかる。
【0067】
バリスタ71は、リークが発生せず、かつ、帯電電位上昇の発生しない電位近辺のバリスタ電圧のものを用いるとよい。本実施態様では、図5より−3000Vから−1000V強の電位にリークしており、バリスタ電圧1000Vのバリスタを用いて、撹拌パドルの電位が1000Vを超えないようにしてやれば帯電電位は1000V以下に抑えられかつ、リークも発生しない。
【0068】
バリスタは、フロート状態では過剰に帯電する撹拌パドル61の帯電を抑制しつつ、かつ、リークが発生しない程度に維持することで、リークの発生を防止しつつ、かつ現像剤の帯電量上昇を抑止する効果を発揮している。
【0069】
本実施態様では、バリスタを用いて撹拌パドル軸の電位を制御しているが、別の実施態様として外部電源を用いて積極的に撹拌パドル軸に電位を印加、制御することも可能である。図9にその一例を示す。
【0070】
図11には撹拌パドル61に印加する電位極性とトナー帯電量上昇の関係もあわせて示している((ニ)と(ホ))。現像剤槽60で最初にトナーに接触する撹拌パドル61にマイナスの電位が印加されるときは帯電量上昇は見られないが、逆極性のプラス電位を印加したときにはアースの場合と同様の帯電量上昇が見られた。また、帯電量上昇とは別に、撹拌パドル61表面に多量のトナーが付着、堆積しているのが確認された。これは、撹拌パドル61にトナーの帯電極性と逆のバイアスが印加されているためと考えられる。また、この付着堆積したトナーがトナー塊なって剥落し、現像剤中に混入しているのも確認された。このようなトナー塊は、印字不良の原因ともなり、好ましいものではない。
【0071】
またさらに、本実施態様では撹拌パドル61がフロートの状態では、撹拌パドル61はトナーと同極性のマイナスに帯電する。しかしながら、キャリア、トナーの特性、或いは、場合によっては現像剤槽の他の構成材料によっては、撹拌パドルがフロートの状態でトナーと逆極性に帯電することも考えられる。この場合には、図9に示すように、外部電源を用いて積極的に撹拌パドル61の電位を、好ましい極性、絶対値に制御することが好ましい。
【符号の説明】
【0072】
1.電子写真プリンタ
1a、1d.側板
1e、1f.ステー
1g、1h.遮蔽板
2.感光ドラム
3.主帯電器
4.LEDプリントヘッド
4a.LEDプリントヘッド冷却フィン
5.現像ユニット
5a.トナーカートリッジ
5b.トナー槽
5c.現像ローラ
6. 転写帯電器
7.分離帯電器
8.クリーニング前帯電器
9.キャリア回収ユニット
9a.キャリア回収ローラ
10.クリーニングユニット
10a.クリーニングユニット天板
10b.ブラシローラ
10c.回収ローラ
11.除電ランプ
12.分離爪
13.ガイド板
14.トラクタ
10b.ブラシローラ
14.トラクタ
15.搬送ユニット
15a.搬送ローラ
15b.搬送ベルト
16.スカッフローラ対
20.定着ユニット
20a.筐体
21.フラッシュランプ
22.反射板
23.放熱フィン
24.保護ガラス
26.吸引ダクト
51.現像ローラ
52.第2撹拌搬送スクリュー
53.第1撹拌搬送スクリュー
54.仕切り板
57、58.現像ユニット側板
59.底板部材
60.現像剤槽
61.撹拌パドル
61a.撹拌パドル軸
61b.パドル
62.補給トナー槽
64.トナー補給ローラ
64a.スクリュー部
64b.スポンジローラ部
70.接触端子
71.バリスタ
80.現像ユニット
81.現像ユニット
82.現像ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともトナーを含む現像剤をその内部に収容する現像剤槽、該現像剤槽に補給される前記トナーを収容する補給トナー槽、前記トナーを前記補給トナー槽から前記現像剤槽に補給するトナー補給部材、前記現像剤槽内の現像剤を撹拌搬送する撹拌搬送部材、を少なくとも有する現像装置であって、前記トナー補給部材によって前記現像剤槽に補給された前記トナーが、前記現像剤槽内において少なくとも最初に接触する前記撹拌搬送部材の一部を導電性材料で形成し、この導電性材料とアースがバリスタを介して接続されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
少なくともトナーを含む現像剤をその内部に収容する現像剤槽、該現像剤槽に補給される前記トナーを収容する補給トナー槽、前記トナーを前記補給トナー槽から前記現像剤槽に補給するトナー補給部材、前記現像剤槽内の現像剤を撹拌搬送する撹拌搬送部材、を少なくとも有する現像装置であって、前記トナー補給部材によって前記現像剤槽に補給された前記トナーが、前記現像剤槽内において少なくとも最初に接触する前記撹拌搬送部材の一部を導電性材料で形成し、この導電性材料に前記トナーの帯電極性と同じ極性のバイアス電位が印加されることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の現像装置を有する画像形成装置。
【請求項4】
少なくともトナーを含む現像剤をその内部に収容する現像剤槽に、該現像剤槽に補給される前記トナーを収容する補給トナー槽から、トナー補給部材によって前記トナーを補給し、前記現像剤槽に補給された前記トナーが、前記現像剤槽内において少なくとも最初に接触する前記撹拌搬送部材の一部を導電性材料で形成し、この導電性材料とアースをバリスタを介して接続することを特徴とする現像方法。
【請求項5】
少なくともトナーを含む現像剤をその内部に収容する現像剤槽に、該現像剤槽に補給される前記トナーを収容する補給トナー槽から、トナー補給部材によって前記トナーを補給し、前記現像剤槽に補給された前記トナーが、前記現像剤槽内において少なくとも最初に接触する前記撹拌搬送部材の一部を導電性材料で形成し、この導電性材料に前記トナーの帯電極性と同じ極性のバイアス電位を印加することを特徴とする現像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−208339(P2012−208339A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74335(P2011−74335)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】