説明

現像装置、電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真装置。

【課題】低硬度化を達成しつつ、連続画像形成時に生じる現像ローラの電流値の低下、ブリード抑制が良好な現像ローラを備え、画像形成に優れた現像装置、電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供する。
【解決手段】導電性芯体と、弾性層と、被覆層とを有し、該被覆層にトナーを担持する現像ローラと、該現像ローラ上のトナー量を制御する現像ブレードと、現像ブレードのバイアス印加手段とを有する現像装置において、該現像ローラの弾性層がポリアルキレン構造を主鎖に含む架橋ゴムを含有し、かつ該弾性層中に飽和炭化水素化合物を含有しかつ、飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸を含有する現像ローラを使用したことを特徴とする現像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、電子写真プロセスカートリッジ並びに電子写真装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像の形成において、近年のより一層の高画質化の要求に対し、現像ローラ上のトナー量を規制する現像ブレードにバイアスを印加してトナーを効率的に摩擦帯電しトナーのコート量を安定させる現像装置が特許文献1において提案されている。
【0003】
しかし、現像ブレードにバイアスを印加して画像形成を行う場合、使用する現像ローラによっては連続画像形成における現像ローラの通電による電流値の低下や体積抵抗のバラツキによる濃度ムラなどの画像弊害が発生する場合がある。
【0004】
上記現像ローラの弾性層の低硬度化手法としては、特許文献2において軟化剤を多量配合する方法が従来から提案されている。また、軟化剤のブリード対策として特許文献3において低分子量のオイルにゲル化剤を添加したものが提案されている。連続画像形成時に生じる現像ローラの電流値の低下に関する提案としては特許文献4において、2種類の特性の異なるカーボンブラックを用いる方法、あるいは特許文献5において表面層に疎水性の導電性微粒子と親水性の導電性微粒子を混合する方法などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−112212号公報
【特許文献2】特開2007−240742号公報
【特許文献3】特開2008−249860号公報
【特許文献4】特開平10−254215号公報
【特許文献5】特開2001−100490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
軟化剤を用いて弾性層を低硬度化する場合、該軟化剤は架橋ゴムポリマーの間に入りこんで動くことにより低硬度化を発揮すると考えられている。軟化剤を多量に添加した場合、該軟化剤は弾性層中で移動拡散し、他の導電剤の移動をも促進し、通電による電流値の低下を引き起こすことがある。この現象により印刷濃度や濃度諧調性の低下など電子写真画像形成において様々な弊害を生じさせることが指摘されている。また、高温高湿下においては前記の濃度に対する弊害がより生じる可能性が高まる。そのため、現像ローラを高温高湿下にて長期間使用しても電流値の低下が抑制された現像ローラが求められている。また、軟化剤が移動する場合、現像ローラ表面に染み出す所謂ブリードという現象を引き起こす。このブリードにより軟化剤が感光体に転写されて汚染し、白抜けなどの画像弊害を生じさせることがある。
【0007】
本発明の目的は、現像ブレードにバイアスを印加する現像装置において現像ローラの電流値の低下やブリードが抑制され、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する現像装置、電子写真プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、現像ブレードにバイアスを印加する現像装置に使用される現像ローラにおいて、低硬度化を達成し、電流値の低下やブリードが抑制された現像ローラによる現像装置を提供することに関して鋭意検討を行った。その結果、上記目的を達成できる現像装置、電子写真プロセスカートリッジ及び画像形成装置を得ることができることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明はトナーを収容する現像容器と、該現像容器の開口部に回転自在に支持された現像ローラと、該現像ローラによって担持されたトナーの量を規制する現像ブレードと、現像ブレードにバイアスを印加する手段とを備え、トナーによって前記現像ローラに対向する感光体上の潜像を現像してなる現像装置において、該現像ローラが、導電性芯体と、該導電性芯体上に形成された弾性層と該弾性層の外周上に形成された被覆層とを有し、該弾性層がポリアルキレン構造を主鎖に含む架橋ゴムを含有し、かつ該弾性層中に数平均分子量が300以上30000以下の飽和炭化水素化合物を15質量%以上50質量%以下含有し、かつ全炭素数が12以上20以下の飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸を前記飽和炭化水素化合物100質量部に対し0.1質量部以上5.0質量部以下を含有することを特徴とする現像ローラであることを特徴とする現像装置である。
【0010】
また、本発明は少なくとも現像ローラと現像ブレード、現像装置が一体化して、電子写真装置本体に脱離可能に装着された画像形成を行う電子写真プロセスカートリッジにおいて、
該現像ローラが前記記載の現像ローラであることを特徴とする電子写真プロセスカートリッジである。
【0011】
さらに、本発明は、トナーを収容する現像容器と、現像ローラと、該現像ローラによって担持されたトナーの量を規制する現像ブレードと、現像ブレードにバイアスを印加する手段とを備え、トナーによって前記現像ローラに対向する感光体上の潜像を現像してなる現像装置を有する電子写真装置において、該現像装置が前記記載の現像装置であることを特徴とする電子写真装置である。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、現像ブレードにバイアスを印加する現像装置に使用される現像ローラについて、低硬度化を達成し、ブリードおよび電流値の低下を有効に抑制することができる。よって、この優れたブリード抑制を有し、電流値の低下を抑制することができる現像ローラを用いた、現像ブレードへのバイアス印加手段を有する現像装置、電子写真プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することができる。
【0013】
この明確な理由は定かではないが、以下のように推測される。本発明においては、弾性層中にポリアルキレン構造を主鎖に有する架橋ゴム中に、飽和炭化水素化合物および飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸を含有している。飽和炭化水素化合物はポリアルキレン構造と親和性が高く、弾性層の低高度化に寄与し、飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸は飽和炭化水素化合物の弾性層内での移動拡散性を抑制する働きを有する。そのため、該飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸は飽和炭化水素化合物を捕捉し、該飽和炭化水素化合物の移動拡散を抑制することによって、導電剤の弾性層中における移動も抑制されるため、電流値の低下が抑制されるものと考えられる。更に、飽和炭化水素化合物の数平均分子量が300以上30000以下であることにより、現像ブレードにバイアスを印加するような強い電界をうける現像装置においても現像ローラの電流値の低下が抑制可能となり、画像形成に優れた現像装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の現像装置に使用される現像ローラの概略を示す断面図である。
【図2】本発明に使用される現像ローラの電流値の測定方法を模式図で示した図である。
【図3】本発明の電子写真装置の概略構成を示す断面図である。
【図4】本発明の電子写真プロセスカートリッジの概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の現像装置に使用される現像ローラは図1に示すように導電性芯体1上に弾性層2を有し、その外周上に被覆層3を有する構成となっている。弾性層とは、弾性体からなるものであり、外部からの応力により変形するが、応力が除かれれば、元の形状に戻る性質を有する固体を意味する。
【0016】
連続画像形成によって現像ローラの電流値が低下する現象にはいくつかの要因があるが、その一つとして弾性層中の導電剤の移動が挙げられる。架橋ゴム中でも外部から受ける電界によって、微細な範囲で導電剤が移動してしまい、体積抵抗が上昇すると考えられる。この時に導電剤のごとき微細で凝集性が強い粒子は近傍の粒子間で凝集する方向に移動するため、部分的に粒子間距離が離れる部位が発生する。その結果,網目上に形成された導電部に欠損を生じて電流値が低下するものと考えられる。したがい、本発明における現像ブレードにバイアスを印加する現像装置に使用される場合、現像バイアスが強い電界を受けることとなり、より導電剤の移動を抑制する材料設計が必要となる。また、電界を弱くして導電剤の移動を抑制するため現像ブレードバイアスを小さくすると、現像ブレードバイアスの効果が薄れてしまってトナーの均一な帯電を確保しにくく高精細な画像が得られなくなることがある。
【0017】
バイアスを現像ブレードに加えることによって、画像の高精細化のために小粒径化されたトナーへも均等な帯電が可能となり、現像ローラ上へ安定したトナー層を形成することができ、画像濃度の安定化や解像度が向上するという利点がある。
【0018】
本発明に用いられるポリアルキレン構造を主鎖に含む架橋ゴムとしては以下のものが挙げられる。エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴムなど。
【0019】
これらの架橋ゴムの中でも、前記飽和炭化水素化合物との親和性からエチレン−プロピレン−ジエンゴムやブタジエンゴム、イソプレンゴムが好適である。その中でも特にエチレン−プロピレン−ジエンゴムは主鎖が飽和炭化水素であるため、前記飽和炭化水素化合物との相溶性に優れているため特に好ましい。
【0020】
また、本発明に用いるエチレン−プロピレン−ジエンゴムは、加工性を向上させる目的で油展したもの、非油展のいずれをも用いることができる。油展エチレン−プロピレン−ジエンゴムの場合、エチレン−プロピレン−ジエンゴムの質量とは、該油展エチレン−プロピレン−ジエンゴムから飽和炭化水素化合物を除いたゴム分のみの質量を指す。油展エチレン−プロピレン−ジエンゴム中に含まれる飽和炭化水素化合物の質量は本発明における飽和炭化水素化合物に含まれる。また、該エチレン−プロピレン−ジエンゴムを目的に合わせて2種以上混合して用いることも可能である。混合したエチレン−プロピレン−ジエンゴムに油展エチレン−プロピレン−ジエンゴムが含まれる場合は含有質量の換算は成分ごとに分けて行う。つまり、該油展エチレン−プロピレン−ジエンゴム中のエチレン−プロピレン−ジエンゴムの質量、飽和炭化水素化合物の質量はそれぞれ、弾性層中のエチレン−プロピレン−ジエンゴムの質量、飽和炭化水素化合物の質量に含まれる。また、本発明におけるエチレン−プロピレン−ジエンゴムのヨウ素価は飽和炭化水素化合物の分散性及び弾性層の弾性の観点から10以上40以下のものが適している。本発明に使用されるエチレン−プロピレン−ジエンゴムは、実用されていれば使用できるが、特に第三成分であるジエンモノマーとして、エチリデンノルボルネン、ヘキサジエン、オクタジエンが用いられているポリマーが使用される。なかでも、エチリデンノルボルネンを第三成分とするエチレン−プロピレン−ジエンゴムが、架橋速度が速く、しかも物性のバランスがとれている点において好適に用いられる。なお、ヨウ素価の異なる2種以上のエチレン−プロピレン−ジエンゴムを混合して用いてもよい。
【0021】
このエチレン−プロピレン−ジエンゴムの工業的に実用されている具体的なものとしては以下のものを例示することができる。エスプレン 201,301,305,400,501A,502,505,505A,512F,514F,522,524,532,552,553,567,582F,586,600F,601F,606,670F,671F,673,5214,5754,6506S,6182F(商品名、住友化学工業株式会社製)、JSR EP912P,EP01P,EP02P,EP941P,EP961SP,EP07P,EP57P,EP181SP,EP11,EP43,EP93,EP24,EP27,EP21,EP132,EP22,EP25,EP33,EP35,EP37C/F,EP65,EP51,EP57C/F,EP75F,EP86,EP96,EP98,EP103AF,EP106EF,EP107F,EP801E,EP001DE(商品名、JSR株式会社製)NORDEL 1040,1070,1145,1320,1440,1470,1660,2522,2722/P,2744/P,2760/P(商品名、デュポン社製)、Epsyn 40−A,70−A,55,2308,2506,4506,4906,5206,5508,5805,7506,E801,N557,N597,N997,P557,P558,P597,MDE239,MDE248(商品名、コポリマー・ラバー・アンド・ケミカル・コーポレーション社製)、POLYSAR 227,306,345,585,487XP,865,965,5465,5672X,5875,6463(商品名、ポリサー・ラバー・コーポレーション社製)など。
【0022】
本発明における飽和炭化水素化合物とは、分子内に二重結合を含まず、炭素―炭素原子間が単結合で結ばれている有機化合物を意味する。該飽和炭化水素化合物は、直鎖および枝分れ鎖のいずれも含む非環系飽和炭化水素(アルカン)、ならびに環系飽和炭化水素のいずれであってもよいが、好ましくは、非環系飽和炭化水素である。
【0023】
本発明に用いられる飽和炭化水素化合物は数平均分子量が300以上30000以下で、該弾性層中における含有量は弾性層の全質量に対して15質量%以上50質量%以下である。数平均分子量が300未満の場合には弾性層中で移動拡散しやすく、ブリードの発生や、飽和炭化水素化合物の移動拡散によって導電剤も移動することによる導電剤の凝集を招き現像ローラの電流値の低下が生じやすくなる。以上のことから飽和炭化水素化合物の数平均分子量が300以上であれば現像ローラの電流値の低下を抑制できる。さらに飽和炭化水素化合物の数平均分子量が1000以上30000以下であればより効果が高い。数平均分子量が30000よりも大きい場合、該飽和炭化水素化合物が架橋ゴム中に入り込みにくくなり弾性層の低硬度化が実現されず、高硬度の現像ローラとなり、感光体との間で安定した接触幅を確保しにくくなる。
【0024】
また、該飽和炭化水素化合物の弾性層中における含有量が15質量%未満では弾性層の低硬度化が不十分で現像ローラの硬度が硬く感光体との間で安定した接触幅を確保しにくくなる場合があり、50質量%よりも多い場合にはブリードの発生が懸念される。
【0025】
本発明に用いられる飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸の全炭素数は12以上20以下である。飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸の全炭素数が12未満では飽和炭化水素化合物の移動性の抑制効果が弱く、現像ローラの電流値の低下が生じやすい。また、全炭素数が20よりも多い場合には弾性ローラ中への分散性が低下し、電流値のムラや硬度のムラが生じ画像弊害が発生する懸念がある。その中でも飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸の全炭素数が18であれば、飽和炭化水素化合物の移動拡散の抑制、分散性のバランスが良好で、安定して飽和炭化水素化合物の移動を抑制することが可能となり、より好適である。本発明における前記飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸の添加量は前記飽和炭化水素化合物100質量部に対し0.1質量部以上5.0質量部以下である。0.1質量部未満では飽和炭化水素化合物の移動性の抑制が不十分で電流値の低下を生じ、5質量部よりも多い場合、飽和ヒドロキシカルボン酸の分散不良となり、濃度ムラなどの画像弊害を発生させることがある。上記飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、以下のものが挙げられる。ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシペンタデシル酸、ヒドロキシパルチミン酸、ヒドロキシマルガリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシノナデカン酸、ヒドロキシアラキジン酸。また、ヒドロキシ基については1分子内に一つ以上のヒドロキシ基を有し、結合部位は限定されない。これらは一般に植物油、ロウ等を常法により加水分解、精製して得ることができる。また、これら飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸は単品あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0026】
さらに、前記弾性層には、必要に応じて導電剤、充填剤、増量剤、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、老化防止剤又は加工助剤等の各種添加剤を使用することができる。導電剤としては、カーボンブラックが、性能、品質、コストの面から好適に用い得る。
【0027】
前記飽和炭化水素化合物と飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸を混練する場合、他の添加剤と同時にゴム中に混練しても、ゴム中に混練する前に前記飽和炭化水素化合物と飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを混練した物を用意した後に混練してもよい。ゴム中に混練する前に前記飽和炭化水素化合物と飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを混ぜておいた場合、よりブリードの抑制、電流値の低下抑制に効果的である。
【0028】
本発明における前記弾性層の成形方法は、従来から知られている押出成形法、射出成形法のごとき成型方法によって製造することができる。層構成としては本発明に記載された特徴を有すれば限定されず、1層あるいは2層以上の構成とすることができる。前記弾性層の厚みとしては、本発明に記載された特徴を有すれば特に限定されないが、1mm以上5mm以下にあることが好ましい。1mm未満では弾性層として機能せず、トナーの劣化を促進しやすく、5mmよりも厚いと成形加工性が不安定となり、形状不良となり、段ムラなどの画像弊害が生じる場合がある。
【0029】
本発明においては弾性層の外周上にさらに被覆層を有している。該被覆層を形成する場合、弾性層と被覆層の剥離が生じないようにより密着性を向上させるために、弾性層の外周上をコロナ処理、フレーム処理、エキシマUV処理の表面改質方法にて改質してもよい。
【0030】
本発明における各試料の数平均分子量の測定にはゲルパーミネーションクロマトグラフィー法によって行っている。ゲルパーミネーションクロマトグラフィー法の測定方法は,以下の方法による。すなわち、40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定に当っては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0031】
本発明における被覆層の種類としては、以下のものが挙げられる。
【0032】
有機系の被覆層としては、以下の樹脂で形成された被覆層が挙げられる。ポリアミド樹脂;フッ素樹脂;スチレン系樹脂;ビニル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;アクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂のポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂のごとき熱硬化性樹脂など。
【0033】
無機系の被覆層としては、シリカ膜や炭素膜が挙げられる。シリカ膜としてはO−Si−Oを主骨格とし、全元素におけるSiとOの占める割合が60%以上であり、SiにはH、O、Cの少なくとも1つがSiに結合されたSiOxが挙げられる。炭素膜としては高硬度、電気絶縁性、赤外線透過性を持つカーボン薄膜のダイヤモンドライクカーボン(DLC)が挙げられる。前期DLCの構造はCを主骨格とし、かつ若干のHを含有し,ダイヤモンド結合(SP3結合)とグラファイト結合(SP2結合)の両方の結合が混在しているアモルファス構造である。
【0034】
これら被覆層の厚みは、形成される被覆層の種類や形成方法により適宜選択される。
【0035】
有機系の被覆層の場合には3μm以上100μm以下である。3μm未満ではブリード性の抑制が不十分であり、100μmよりも厚い場合、現像ローラの体積抵抗ムラの原因となる場合がある。
【0036】
無機系の被覆層の厚みは0.01μm以上3μm以下が好ましい。0.01μm未満では、弾性層の被覆が困難であり、弾性層の削れ、磨耗が生じやすくなり、3μmよりも厚いと被覆層の割れが生じることがある。
【0037】
本発明における前記の被覆層の形成方法は、ディップコート、スプレーコート、ロールコートのごとき塗工方法によって形成する方法があげられる。または多層押出成形やチューブ被覆などの方法やプラズマCVD法で形成される方法のごとき公知の被覆層の形成方法を用いることも可能である。
【0038】
また、被覆層の構成としては本発明に記載された特徴を有すれば限定されず、1層あるいは2層以上の構成とすることができる。
【0039】
本発明に使用される現像ローラの導電性芯体としては、従来からこの種の現像ローラに用いられているものが使用可能であり、その材料は十分な強度を有し、且つ導電性を有すれば特に限定されない。
【0040】
本発明における現像方法において使用されるトナーは、粉砕トナー、重合トナーなど従来からこの分野で使用される公知のトナーが使用可能である。
【0041】
現像ローラの電流値の測定方法を模式図として図2に示した。現像ローラの電流値は温度40℃、相対湿度95%RH環境下にて、以下の方法により測定した。すなわち、直径Φ40mmのSUSドラム6に現像ローラを当接させ導電性芯体の両端露出部に各500gの荷重4、合計1kgの荷重をかける。この状態でローラを45rpmで回転させ、アース側に10kΩの内部抵抗7を配置し、DC電源8より100Vを2秒間印加した時の電流値をマルチメーター5にて0.1秒ごとに21点測定する。そして現像ローラが一周する間の電流値の平均値を現像ローラの電流値とする。現像ローラの電流値としては、10μA以上3000μA以下にすることが好ましい。該現像ローラの電流値が10μA未満ではベタ画像の濃度不足が発生する場合があり、現像ローラの電流値が3000μA以上では感光体に欠損があった場合に電流のリークが発生し画像不良が起きる場合がある。
【0042】
本発明に係る現像装置は、以上で説明した現像ローラを備えるものである。現像装置の構成としては、トナーを収容する現像容器、現像容器の開口部に回転自在に支持された現像ローラ、現像ローラによって担持されたトナーの量を規制する現像ブレード、および現像ブレードにバイアスを印加する手段を有する構成とすることができる。
<電子写真装置>
次に、本発明に係る現像装置を備える電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真装置を説明する。図3〜4は本発明に係る現像装置を備えた電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真装置の該略構成を示す断面図である。
【0043】
感光体9が矢印方向に回転し、帯電ローラ16によって一様に帯電され、感光体9に静電潜像を書き込む露光手段であるレーザー光15により、感光体上に静電潜像が形成される。静電潜像は、感光体9に対して接触配置される現像容器14によってトナー12を付与され、トナー像として可視化される。現像容器14には、現像ローラ10と現像ローラにトナーを塗布すると同時に現像ローラ上に画像形成に使用されずに残留するトナーを掻きとるトナー塗布部材11と、現像ローラ10上のトナーを薄膜状に形成すると共に摩擦帯電する現像ブレード13を設ける。また、現像ブレード13に高精度に制御された一定電圧のバイアスを印加するバイアス印加手段である現像ブレードバイアス電源23が設けられる。
【0044】
さらに、現像ローラ10に高精度に制御された一定電圧のバイアスを印加するバイアス印加手段である現像ローラバイアス電源24が設けられる。前記現像ブレードに印加する現像ブレードバイアスは、現像バイアスに対してトナーと同極性側であれば良い。現像は露光部にトナー像を形成するいわゆる反転現像を行っている。可視化された感光体9上のトナー像は、転写部材である転写ローラ21によって記録媒体である紙29に転写される。トナー像を転写された紙29は、定着装置19により定着処理され、装置外に排紙されプリント動作が終了する。
【0045】
一方、転写されずに感光体9上に残存したトナーは、感光体9表面をクリーニングするためのクリーニング部材であるクリーニングブレード18により掻き取られ廃トナー容器17に収納され、クリーニングされた感光体9は上述作用を繰り返し行う。
【0046】
一成分トナーとして非磁性トナーを収容した現像容器14と、現像容器内の長手方向に延在する開口部に位置し感光体9と対向設置された現像ローラ10からなる構成単位は現像装置の主部を構成し、感光体9上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。
【0047】
電子写真プロセスカートリッジの例を、図4に示す。カートリッジ本体には、少なくとも現像ローラ10とトナー12を収容する現像容器14とを有し、その他トナー塗布部材11、感光体9、帯電ローラ16も組みこんでもよい。これらの部材が一体化して保持されてなるものであり、電子写真装置本体に脱離可能に装着できるように設けられる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例によってさらに本発明を詳細に説明する。また、原材料に特に記載が無い場合、市販の高純度品を使用した。
[実施例1]
[現像ローラの弾性層の作製]
弾性層を構成する各成分として用いた材料を配合比(質量部で表示)とともに以下に記す。
【0049】
【表1】

【0050】
上記の配合比率にて総質量を5kgとなるように配合し、6リットルニーダーTD6−15MDX(商品名、トーシン社製)にて混練した。然る後、架橋剤として硫黄1質量部、架橋助剤としてメルカプトベンゾチアゾール(MBT)1質量部をオープンロールにて混合し、弾性体の未加硫ゴム組成物を得た。得られた弾性層における飽和炭化水素化合物の含有量は30質量%、12−ヒドロキシカルボン酸は飽和炭化水素化合物に対して1.0質量部であった。
【0051】
得られた未加硫ゴム組成物をベント式ゴム押出機(φ50mmベント押出機 L/D=16 EM技研社製)によってチューブ状に押出し、加硫缶を用いた加圧水蒸気により160℃で30分間の一次加硫を行った。その結果、外径14mm、内径5.5mm、長さ250mmのゴムチューブを得た。
【0052】
現像ローラの軸芯体としては直径6mm、長さ252mmの円柱形の導電性芯体(硫黄複合快削鋼製、表面はニッケルメッキ)を用いた。この導電性芯体の円柱面の軸方向中央部232mmにケムロック459X(商品名、ロード社製)をプライマーとして塗布したものに、前述のゴムチューブを圧入し、熱風炉にて160℃で2時間の二次加硫と接着処理を行った。この加硫後のローラのゴム両端部を突っ切り、ゴム部分の長さを232mmとした後、ゴム部分をGC80の砥石を使用して回転研磨機LEO-600-F4L-BME(商品名、水口製作所製)にて研磨加工し、直径12mm直線形状の弾性体層を有する弾性層を得た。
[現像ローラの被覆層の作製]
被覆層の材料として、ニッポラン5033(商品名、日本ポリウレタン社製)を使用し、硬化剤としてイソシアネートのコロネートL(商品名、日本ポリウレタン社製)を合わせて100質量部とした。その比率は[NCO]/[OH]のモル比の値が1.2となるようにした。さらに、カーボンブラックMA100(商品名、三菱化学社製)を30質量部添加した。上記原料混合液に有機溶剤を加え、被覆層の膜厚が20μmとなるように固形分20%以上30%以下の範囲で調整した。この有機溶剤を加えた原料混合液に平均粒径が16μmのウレタン樹脂粒子CFB−101−40(商品名、大日本インキ化学工業社製)を5質量部加え、均一分散、混合したものを被覆層の原料液とした。この樹脂原料液中に、得られた弾性ローラを浸漬してコーティングした後、引き上げて乾燥させ、160℃にて20分間加熱処理することで、約20μmの被覆層を弾性層の外周に設けた現像ローラを作製した。
[通電による現像ローラの電流値変化]
得られた現像ローラを温度40℃、相対湿度95%RHの環境下にて図2に示した評価システムにて、印加電圧50vにて10分間通電を行い、通電前後の現像ローラの電流値を比較し、その比(試験後の電流値/試験前の電流値)を以下の基準で評価した。
A:50%以上
B:10%以上50%未満
C:5%以上10%未満
D:5%未満
[現像ローラのブリード]
得られた現像ローラを温度40℃、湿度95%の恒温恒湿槽中に1週間放置した。その後で取り出し、カラーレーザープリンターLBP5400(商品名 キヤノン社製)の現像ブレードとして厚さ100μmのりん青銅ブレードを使用し電子写真プロセスカートリッジへ組み込んだ。そして該電子写真プロセスカートリッジを、前記りん青銅ブレードに現像ブレードバイアスを印加できるように改造したLBP5400本体(以下、LBP5400改造機)に取り付けた。そして、温度23℃、相対湿度50%の環境下でブレードバイアスを現像バイアスに対して−200vとなるように印加し、印字率50%のハーフトーン画像を10枚出力した。その画像に該現像ローラの周期に白い画像欠陥の有無について以下の基準にて評価した。
【0053】
A:ハーフトーン画像上にブリードの影響による白い画像欠陥がない。
【0054】
B:1枚目の出力画像には軽微な白い画像欠陥がみられるが、数枚通紙後には見られなくなる。
【0055】
C:10枚出力後も僅かに白い画像欠陥がある。
【0056】
D:10枚出力後も白い画像欠陥がある。
[濃度ムラ]
得られた現像ローラを温度40℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽中に1週間放置したあとで取り出し、現像ブレードとして厚さ100μmのりん青銅ブレードを使用したLBP5400(商品名 キヤノン社製)用の電子写真プロセスカートリッジへ取り付けた。該電子写真プロセスカートリッジをLBP5400改造機本体に組み込んだ。その後、温度23℃、相対湿度50%の環境下でブレードバイアスを現像バイアスに対して−200vとなるように印加し、印字率50%濃度のハーフトーンの画像をLBP5400改造機にて、カラー複写機用普通紙(80g/m2、キヤノン販売製)に出力した。出力結果の評価については、目視にて濃度ムラの有無を確認し、実用性の判断を行った。
【0057】
A:濃度ムラはみられない。
【0058】
B:濃度ムラが極軽微であり、ほとんどみられない。
【0059】
C:画像領域の20%以下の範囲に濃度ムラがみられる。
【0060】
D:画像領域の20%よりも広い範囲に濃度ムラがみられる。
[実施例2]
実施例1の飽和炭化水素化合物をルーカントHC−2000からモレスコP−70(商品名、松村石油研究所製、Mn=300)に置き換え、添加量を23.5質量部とし、12−ヒドロキシステアリン酸の添加量を0.0235質量部とした。得られた弾性層における該飽和炭化水素化合物の含有量は15質量%、12−ヒドロキシカルボン酸は該飽和炭化水素化合物に対して0.1質量部であった。その他は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[実施例3]
実施例2のモレスコP−70の添加量を133質量部に変更し、12−ヒドロキシステアリン酸の添加量を0.133質量部とした。得られた弾性層における該飽和炭化水素化合物の含有量は50質量%、12−ヒドロキシカルボン酸は該飽和炭化水素化合物に対して0.1質量部であった。その他は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[実施例4]
実施例2の12−ヒドロキシステアリン酸の添加量を1.2質量部に変更し、12−ヒドロキシカルボン酸は該飽和炭化水素化合物に対して5.0質量部となるように配合し、それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価を行った。
[実施例5]
実施例1のルーカントHC−2000をモレスコP−70(商品名、松村石油研究所製)に置き換え、添加量を140質量部とし、12−ヒドロキシステアリン酸の添加量を7.0質量部とした。得られた弾性層における該飽和炭化水素化合物の含有量は50質量%、12−ヒドロキシカルボン酸は該飽和炭化水素化合物に対して5.0質量部であった。その他は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価を行った。
[実施例6]
クラプレンLIR−50(商品名、クラレ社製)をシクロヘキサン溶媒中でパラジウム−炭素を触媒として2MPaの水素雰囲気下で水素添加を行い、飽和炭化水素化合物としてLIR−50水添物(Mn=30000)を得た。実施例2の飽和炭化水素化合物を該LIR−50水添物に置き換え、該飽和炭化水素化合物の添加量を15質量%とし、12−ヒドロキシステアリン酸の添加量を該LIR−50水添物に対し0.1質量部とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価を行った。
[実施例7]
実施例3の飽和炭化水素化合物をLIR−50水添物に置き換え、該飽和炭化水素化合物の添加量を50質量%とし、12−ヒドロキシステアリン酸の添加量を該LIR−50水添物に対し0.1質量部とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[実施例8]
実施例4の飽和炭化水素化合物をLIR−50水添物に置き換え、該飽和炭化水素化合物の添加量を15質量%とし、12−ヒドロキシステアリン酸の添加量を該LIR−50水添物に対し5.0質量部とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[実施例9]
実施例5の飽和炭化水素化合物を該LIR−50水添物に置き換え、該飽和炭化水素化合物の添加量を50質量%とし、12−ヒドロキシステアリン酸の添加量を該LIR−50水添物に対し5.0質量部とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[実施例10]
実施例2の飽和炭化水素化合物をルーカントHC−40(商品名、三井化学社製、Mn=1000)に置き換え、該飽和炭化水素化合物の添加量を15質量%とし、12−ヒドロキシステアリン酸の添加量を該ルーカントHC−40に対し0.1質量部とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[実施例11]
実施例3の飽和炭化水素化合物をルーカントHC−40に置き換え、該飽和炭化水素化合物の添加量を50質量%とし、12−ヒドロキシステアリン酸の添加量を該ルーカントHC−40に対し0.1質量部とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[実施例12]
実施例4の飽和炭化水素化合物をルーカントHC−40に置き換え、該飽和炭化水素化合物の添加量を15質量%とし、12−ヒドロキシステアリン酸の添加量を該ルーカントHC−40に対し5.0質量部とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[実施例13]
実施例5の飽和炭化水素化合物をルーカントHC−40に置き換え、該飽和炭化水素化合物の添加量を50質量%とし、12−ヒドロキシステアリン酸の添加量を該ルーカントHC−40に対し5.0質量部とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[実施例14]
実施例1の飽和ヒドロキシカルボン酸を2−ヒドロキシラウリン酸とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[実施例15]
実施例1の飽和ヒドロキシカルボン酸を20−ヒドロキシアラキジン酸とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[実施例16]
実施例1の架橋ゴムをブタジエンゴムBR−150(商品名、宇部興産社製)とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[実施例17]
実施例1の架橋ゴムをSBRゴムのニポールNS116R(結合スチレン量21%、商品名、日本ゼオン社製)とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[実施例18]
実施例1の架橋ゴムをNBRゴムのニポールDN401(結合アクリロニトリル量18%、商品名、日本ゼオン社製)とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[実施例19]
実施例1の架橋ゴムをIRゴムのニポールIR2200(商品名、日本ゼオン社製)とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[実施例20]
実施例1の架橋ゴムをブチルゴムのブチル065(商品名、日本ブチル社製)とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[比較例1]
実施例1の飽和炭化水素化合物をモレスコP−40(商品名、松村石油研究所製、Mn=250)に置き換えた。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[比較例2]
実施例1の飽和炭化水素化合物をクラプレンLIR−200(商品名、クラレ社製、Mn=32000)に置き換えた。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[比較例3]
実施例1のルーカントHC−2000の添加量を10質量%とし、12−ヒドロキシステアリン酸の添加量は該ルーカントHC−2000に対して1.0質量部として、その他は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[比較例4]
実施例1のルーカントHC−2000の添加量を55質量%とし、12−ヒドロキシステアリン酸の添加量は該ルーカントHC−2000に対して1.0質量部として、その他は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[比較例5]
実施例1の12−ヒドロキシステアリン酸の添加量をルーカントHC−2000に対し、0.05質量部に変更した。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[比較例6]
実施例1の12−ヒドロキシステアリン酸の添加量をルーカントHC−2000に対し、6.0質量部に変更し、HC−2000の添加部数を59質量部とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[比較例7]
実施例1の飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸を10−ヒドロキシデカン酸とし、それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[比較例8]
実施例1の飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸を22−ヒドロキシドコサン酸とし、それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
[比較例9]
実施例1の架橋ゴムをエピクロルヒドリンゴムT3106(商品名、日本ゼオン社製)とした。それ以外は実施例1と同様の方法にて現像ローラを作製し、評価した。
【0061】
以上説明したように、本発明によれば、電気抵抗値の安定性、ブリードの抑制が良好で、連続画像形成時に生じる現像ローラの電流値低下が抑制され、画像形成に優れた現像ローラを提供することが可能となる。
【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【符号の説明】
【0065】
1 導電性芯体
2 弾性層
3 被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容する現像容器と、該現像容器の開口部に回転自在に支持された現像ローラと、該現像ローラによって担持されたトナーの量を規制する現像ブレードと、該現像ブレードにバイアスを印加する手段とを備え、トナーによって前記現像ローラに対向する感光体上の潜像を現像してなる現像装置において、
該現像ローラは、導電性芯体と、該導電性芯体の外周上に形成された弾性層と該弾性層の外周上に形成された被覆層とを有し、
該弾性層は、ポリアルキレン構造を主鎖に有する架橋ゴムと、数平均分子量が300以上30000以下の飽和炭化水素化合物と、炭素数が12以上20以下の飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを含み、
該飽和炭化水素化合物は、該弾性層の全質量に対して15質量%以上50質量%以下で該弾性層中に含有されており、
該飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸は、該飽和炭化水素化合物100質量部に対し0.1質量部以上5.0質量部以下で該弾性層中に含有されていることを特徴とする現像ローラであることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記架橋ゴムがエチレン−プロピレン−ジエンゴムである請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸が、ヒドロキシステアリン酸である請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
少なくとも現像ローラとトナーを収容する現像容器と現像ブレード、現像装置が一体化して、電子写真装置本体に脱離可能に装着されて画像形成を行う電子写真プロセスカートリッジにおいて、該現像ローラが請求項1乃至3のいずれか一項に記載の現像ローラであることを特徴とする電子写真プロセスカートリッジ。
【請求項5】
トナーと、該トナーを収容している現像容器と、現像ローラと、該現像ローラによって担持されたトナーの量を規制する現像ブレードと、現像ブレードにバイアスを印加する手段とを備え、トナーによって前記現像ローラに対向する感光体上の潜像を現像してなる現像装置を有する電子写真装置において、該現像装置が請求項1乃至3のいずれか一項に記載の現像装置であることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−78745(P2012−78745A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226503(P2010−226503)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】