説明

現像装置および画像形成装置

【課題】 現像槽内での現像剤の撹拌効率が高く、かつ現像槽内のトナー濃度をほぼ正確に検知することができる現像装置を提供する。
【解決手段】 現像槽2と、現像ローラ3と、層厚規制部材4と、供給ローラ5と、撹拌ローラ6と、トナー濃度検知センサ7とを含む現像装置1において、供給ローラ5が現像槽2に回転自在に支持される軸体15と、軸体15の外周面に軸体15の軸線方向に延びて螺旋状に形成される撹拌羽根16とを含む構成とし、撹拌羽根16全体または撹拌羽根16の現像槽内壁面2aに対向する先端部分を軟質材料により形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式は、良好な画質品位を有する画像を容易に形成できることから、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に広く利用される。電子写真方式を用いた画像形成装置は、一般に、光導電性物質を含む電子写真感光体表面を一様に帯電させる帯電手段と、帯電状態にある電子写真感光体表面に画像情報に基づく光を照射して静電潜像を形成する露光手段と、電子写真感光体表面の静電潜像にトナーを供給して可視像化する現像手段と、電子写真感光体表面に担持されるトナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、加熱、加圧などによって記録媒体上のトナー像を記録媒体に定着させる定着手段とを含んで構成される。
【0003】
ここで現像手段には、一般に、現像部とトナー補給部とを含む現像装置が用いられる。現像部は、電子写真感光体に近接または当接するように設けられ、トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤(以後特に断らない限り単に「現像剤」と称す)を表面に担持して静電潜像にトナーを供給する現像ローラと、現像ローラ表面に近接または当接するように設けられ、現像ローラ表面の現像剤層の層厚を規制する板状部材である層厚規制部材と、その回転駆動によりトナーと磁性キャリアとを摺擦してトナーを帯電させるとともに帯電状態のトナーを含む現像剤を現像ローラの周囲に送給する供給ローラと、現像ローラ、層厚規制部材および供給ローラを内蔵し、かつ現像剤を収容する容器状部材である現像槽と、供給ローラ近傍の現像槽壁に形成されるセンサ装着用の貫通孔に、センサ面の現像槽外壁面からの高さが現像槽内壁面とほぼ同じ高さになりかつ現像槽の内部空間にセンサ面が露出するように装着されて現像槽内のトナー濃度を検知するトナー濃度検知センサとを含んで構成され、電子写真感光体上の静電潜像をトナーにより顕像化する。そして、供給ローラなどの現像剤の撹拌混合を主要機能にする部材には、現像槽の長手方向に延びる軸体と、軸体の外周面に軸体の軸線方向に延びて螺旋状に形成される撹拌羽根とからなるスクリュー状ロール部材を用いるのが一般的である。スクリュー状ロール部材の撹拌羽根は金属よりも動摩擦係数の少ない硬質の合成樹脂で形成され、このような合成樹脂としては、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂などが汎用される。また、トナーホッパなどと呼ばれるトナー補給部は、現像槽にトナーを補給するトナー補給ローラを含む。そして、トナー補給部にもトナーがなくなった場合は、トナー補給部自体を交換するように構成される。
【0004】
従来の現像装置においては、供給ローラなどのスクリュー状ロール部材が回転する際に、硬質合成樹脂製の撹拌羽根が現像槽内壁面と接触することによって、撹拌羽根が損傷したり、トナー濃度検知センサのセンサ面が損傷したり、回転トルクが上昇するのを防止するために、撹拌羽根先端部分と現像槽内壁面とを離隔するような1mm程度の間隙を設けてスクリュー状ロール部材を配置する。ところが、この間隙に存在する現像剤は、供給ローラを回転させてもそのまま滞留することが多く、トナー濃度検知センサのセンサ面上にも滞留してセンサの検知不良を生起し、トナー濃度を正確に把握するのが困難になる。その結果、画像濃度の低下、かぶりなどの画像不良の発生頻度が高くなる。
【0005】
このような従来技術の問題に鑑み、種々の提案がなされている。たとえば、現像槽内に現像ローラと、スクリュー状ロール部材である供給ローラおよび撹拌ローラとを備え、撹拌ローラの上方の現像槽壁にトナーホッパからトナー補給を受けるトナー受入口が形成され、現像槽底部の現像槽壁から供給ローラと撹拌ローラとの間を現像槽上部に向けて延びるようにして現像槽内部空間を隔する隔壁が形成される現像装置において、撹拌ローラ近傍の現像槽壁に形成される貫通孔にセンサ面が現像槽内部空間に露出するように装着されるトナー濃度検知センサと、トナー濃度検知センサのセンサ面を被覆するように形成される第1のフッ素樹脂層と、撹拌ローラの軸体の長手方向側面から外方に向けて延び、現像槽内壁面には接触しないように設けられる板状部材である現像剤撹拌板と、一端を現像剤撹拌板の現像槽内壁面に対向する先端部に支持されて第1のフッ素樹脂層に当接し、さらに現像槽長手方向に垂直な方向において第1のフッ素樹脂層を起点として現像槽内壁と供給ローラとの隙間を延びるように設けられるポリウレタン製の可撓性板状部材であって、供給ローラの回転駆動に伴って現像槽内壁面を摺擦するクリーニングブレードと、現像槽内壁面におけるクリーニングブレードが摺擦する部分に形成される第2のフッ素樹脂層とを含む現像装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この現像装置によれば、撹拌ローラの回転駆動に伴い、現像剤撹拌板ひいては現像剤撹拌板に支持されるクリーニングブレードが撹拌ローラの軸心回りに回転して第1のフッ素樹脂層表面を摺擦することによって、第1のフッ素樹脂層表面に現像剤が滞留するのが防止され、トナー濃度検知センサのセンサ面が常に現像槽内部に露出するように構成されるので、現像槽内のトナー濃度を正確に検知できる。また、現像槽内壁面におけるクリーニングブレードが摺擦する部分の表面には第2のフッ素樹脂層が形成されるので、クリーニングブレードが回転の際に現像槽内壁面に損傷を与えることがない。
【0006】
特許文献1の現像装置では、クリーニングブレードが摺擦する部分は、現像槽内壁面における第1のフッ素樹脂層および第1のフッ素樹脂層から現像槽長手方向に垂直な方向に延びる第2のフッ素樹脂層のみであり、これらのフッ素樹脂層の現像槽長手方向における幅もさほど大きいものではない。したがって、クリーニングブレードが摺擦する以外の部分において現像剤の滞留が起こり、現像剤の撹拌効率が低下する。また、クリーニングブレードの摺擦性を向上させるために、現像槽内壁面に形成される樹脂層には潤滑性の良好なフッ素樹脂を使用する。しかしながら、クリーニングブレードは、クリーニングブレードとフッ素樹脂層との間にトナー粒子が存在する状態で、フッ素樹脂層と摺擦するので、長期的な使用においては撹拌ローラの回転トルクが上昇するのを避けることはできない。回転トルクの上昇は、撹拌ローラのロック現象を発生させ、現像剤の撹拌効率の低下、トナーの帯電不良、現像不良、撹拌ローラひいては現像装置の長期耐用性の低下などをもたらす場合がある。
【0007】
【特許文献1】特開平5−150650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、現像槽内での現像剤の撹拌効率が高く、現像槽内壁面近傍でも現像剤がほぼ均一に混合され、トナー濃度を検知するセンサのセンサ面にもその時点における現像槽内の標準的なトナー濃度を有する現像剤を供給でき、現像槽内のトナー濃度をほぼ正確に検知することができる現像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
電子写真方式で画像形成する画像形成装置に搭載される現像装置において、
内部空間を有して現像剤を収容する現像槽と、
現像槽に回転自在に支持されて、画像形成装置に設けられる電子写真感光体の表面に形成される静電潜像にトナーを供給して現像する現像ローラと、
現像槽に支持されて現像ローラ表面の現像剤層の層厚を規制する層厚規制部材と、
現像槽に回転自在に支持される軸体と、軸体の外周面に軸体の軸線方向に延びて螺旋状に形成される撹拌羽根とを含んで構成され、現像剤を撹拌および搬送する撹拌搬送部材であって、撹拌羽根全体または撹拌羽根の現像槽内壁面に対向する先端部分が軟質材料により構成される撹拌搬送部材とを含むことを特徴とする現像装置である。
【0010】
また本発明の現像装置は、
撹拌搬送部材が、撹拌羽根の現像槽内壁面に対向する先端部分における現像槽内壁面への最近接点と、現像槽内壁面との間の距離が1.0mm未満になるように設けられることを特徴とする。
【0011】
さらに本発明の現像装置は、
撹拌搬送部材が、撹拌羽根の現像槽内壁面に対向する先端部分における現像槽内壁面への最近接点と、現像槽内壁面との間の距離が0.5mm以下になるように設けられることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明の現像装置は、
撹拌搬送部材が、その回転により現像槽内に供給されるトナーと現像槽内の現像剤とを混合する撹拌ローラおよび/またはその回転により現像剤を現像ローラに送給する供給ローラであることを特徴とする。
【0013】
さらに本発明の現像装置は、軟質材料がゴム材料であることを特徴とする。
さらに本発明の現像装置は、
現像槽壁にセンサ面が現像槽の内部空間に露出するように取り付けられて現像槽中のトナー濃度を検知するトナー濃度検知センサをさらに含み、
軟質材料が、トナー濃度検知センサのセンサ面よりも硬度の低いゴム材料であることを特徴とする。
【0014】
さらに本発明の現像装置は、ゴム材料がシリコーンゴムまたはウレタンゴムであることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前述のいずれか1つの現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、現像剤を収容する現像槽と、電子写真感光体の静電潜像にトナーを供給する現像ローラと、現像ローラ表面の現像剤層の層厚を規制する層厚規制部材と、現像剤を撹拌および搬送する撹拌搬送部材とを含み、電子写真方式の画像形成装置に搭載される現像装置において、撹拌搬送部材の軸体の外周面に軸体の軸線方向に延びて螺旋状に形成される撹拌羽根全体または撹拌羽根の現像槽内壁面に対向する先端部分を軟質材料で構成することによって、撹拌羽根が万一現像槽内壁面に接触しても、撹拌羽根の損傷、現像槽にセンサが設けられる場合におけるセンサの損傷、撹拌搬送部材の回転トルクの上昇などが起こり難いので、撹拌羽根と現像槽内壁面との間隙を従来よりもさらに狭めることができ、間隙部分に現像剤が滞留するのを防止できる。したがって、現像剤の撹拌効率が高く、現像槽の内部空間に収容される現像剤がほぼ均一に混合され、トナー濃度検知センサが設けられる場合にはその時点におけるトナー濃度をほぼ正確に検知できる現像装置が提供される。さらに、現像槽内の現像剤がほぼ均一に混合されるので、従来の現像装置のようにトナー濃度検知センサを撹拌搬送部材近傍の現像槽壁に取り付ける必要性がなくなり、現像装置を設計する上での自由度が増す。
【0017】
本発明によれば、撹拌搬送部材の撹拌羽根の現像槽内壁面に対向する先端部分における現像槽内壁面への最近接点と、現像槽内壁面との間の距離が好ましくは1.0mm未満、さらに好ましくは0.5mm以下になるように撹拌搬送部材を配置することによって、撹拌羽根と現像槽内壁面との間隙部分に現像剤が滞留するのが一層防止されるとともに、撹拌搬送部材の現像剤に対する撹拌効率が著しく向上する。また、撹拌効率が高まると、個々のトナー粒子に付与される電荷も均一になることから、現像効率も向上し、さらにトナー消費量の低減化がもたらされる。
【0018】
本発明によれば、撹拌羽根全体またはその先端部分を軟質材料で構成する撹拌搬送部材を、撹拌ローラおよび/または供給ローラとして用いることによって、現像槽内での現像剤撹拌効率の向上、現像槽内におけるトナー濃度の正確な把握などが可能になるとともに、現像剤の撹拌効率の向上につれて現像槽内での現像剤の流動性が良好になり、硬質プラスチックで作製される場合に比べて撹拌羽根へのトナーの付着なども減少するので、撹拌ローラおよび供給ローラの長期的な耐用性が増し、ひいては現像装置の使用寿命を延長することができる。
【0019】
本発明によれば、撹拌搬送部材の撹拌羽根全体またはその先端部分を構成する軟質材料としてゴム材料を用いることによって、撹拌羽根を現像槽内壁面に一層近づけても、撹拌羽根の損傷、撹拌羽根へのトナーの付着、センサを設ける場合のセンサ面の損傷、撹拌搬送部材の回転トルクの上昇などを起こすことない。また、撹拌効率の向上、現像剤におけるトナー濃度の均一化、センサによるトナー濃度検知結果の信頼性の向上、トナーの帯電量の均一化、現像槽内での現像剤流動性の向上などを図ることができる。また、撹拌羽根またはその先端部分を適度な機械的強度と良好な成形性とを併せ持つゴム材料で形成することによって、耐用性の良好な撹拌搬送部材を、製造コストなどをほとんど上昇させることなく、工業的に有利に製造できる。また、ゴム材料を用いれば、撹拌羽根の形状に関係なく、撹拌効率の向上などが達成される。
【0020】
本発明によれば、トナー濃度検知センサを、そのセンサ面が現像槽の内部空間に露出するように現像槽壁に取り付ける場合には、軟質材料としては、センサ面よりも硬度の低いゴム材料を用いるのが好ましい。これによって、トナー濃度検知センサのセンサ面が撹拌搬送部材の回転により損傷を受けるのを一層確実に防止できる。
【0021】
本発明によれば、前述のゴム材料として、シリコーンゴムおよびウレタンゴムが特に好適に使用でき、ゴム材料を用いることによる種々の好ましい利点が一層助長される。
【0022】
本発明によれば、前述の現像装置を備える画像形成装置が提供される。この画像形成装置によれば、現像槽内での現像剤撹拌効率に優れる現像装置から電子写真感光体表面の静電潜像に、ほぼ均一な電荷が付与されたトナーを過不足無く供給できるので、画像濃度が高く、原稿画像を精細に再現した高画質画像を長期にわたって安定的に形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の実施の第1形態である現像装置1の構成を簡略化して示す部分断面図である。図2は、図1に示す現像装置1の要部の構成を拡大して示す部分断面図である。
【0024】
現像装置1は、電子写真方式で画像形成する画像形成装置に搭載され、電子写真感光体8の表面に形成される静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0025】
現像装置1は、現像槽2と、現像ローラ3と、層厚規制部材4と、供給ローラ5と、撹拌ローラ6と、トナー濃度検知センサ7とを含んで構成される。
【0026】
現像槽2は、たとえば硬質の合成樹脂などからなる容器状部材であり、その内部空間に現像剤を収容する。ここで、現像剤はトナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤である。現像装置1が画像形成装置に装着された状態で、現像槽2の画像形成装置に備わる電子写真感光体8を臨む面には、電子写真感光体8の軸線方向と平行に延びて開口部9が形成される。また、撹拌搬送部材である撹拌ローラ6の上方の現像槽壁には、トナー受入口10が形成される。トナー受入口10が形成される現像槽壁の上部には、現像槽2にトナーを補給する図示しないトナー補給容器が連接され、トナー補給容器の下面にトナー受入口10と連通するように形成されるトナー補給口からトナー受入口10を介して現像槽2にトナーが補給される。
【0027】
現像ローラ3は、現像槽2に電子写真感光体8を臨んで形成される開口部9を通して電子写真感光体8に対向し、かつ電子写真感光体8の軸線と現像ローラ3の軸線とが平行になるようにして現像槽2に回転自在に支持され、図示しない駆動手段により矢符13の方向に回転駆動するローラ部材である。現像ローラ3は、アルミニウム、ステンレス鋼などの金属により構成される現像スリーブ12と、現像スリーブ12の内部に設けられて、極性が異なる磁石部材をほぼ交互に周方向に配置して形成され、現像剤による静電潜像の現像に用いられるマグローラ11とを含む。現像ローラ3は、現像スリーブ12表面に現像剤からなる現像剤層を担持し、現像ローラ3と電子写真感光体8との最近接部分に形成される現像領域に搬送し、電子写真感光体8表面の静電潜像にトナーを供給する。
【0028】
層厚規制部材4は、たとえば、金属、合成樹脂などの弾性材料からなる薄板部材であり、一端部が現像槽2に装着され、他方の遊端部付近が現像ローラ3に近接または当接するように設けられる。層厚規制部材4は、現像ローラ3表面に担持される現像剤層の厚さが所望の値になるように調整する。
【0029】
供給ローラ5は、現像ローラ3に対向し、かつ現像ローラ3表面から離隔するように設けられるスクリュー状ロール部材であって、現像槽2に回転自在に支持されて図示しない駆動手段によりその軸線回りに回転駆動する軸体15と、軸体15の現像槽長手方向の側面に軸体15の軸線方向に螺旋状に形成される撹拌羽根16とを含み、撹拌搬送部材として用いられる。すなわち供給ローラ5は、その回転により現像槽2内の現像剤を均一に撹拌混合し、トナーに均一な電荷量を付与するとともに、均一な電荷量を付与されたトナーを含む現像剤を現像ローラ3の周辺に搬送する。
【0030】
供給ローラ5は、撹拌羽根16の現像槽内壁面2aに対向する先端部分16aにおける現像槽内壁面2aへの最近接点と、現像槽内壁面2aとの距離dが1.0mm未満、好ましくは0.5mm以下になるように現像槽2内に設けられる。図においては、撹拌羽根16とセンサ7のセンサ面7aとの距離をdと規定するけれども、後述するように、センサ面7aと現像槽内壁面2aとは現像槽外壁面2bからの高さが同じなので差し支えない。距離dを1.0mm未満にすることによって、供給ローラ5と現像槽内壁面2aとの間の隙間に現像剤が滞留するのが防止され、現像槽2内での現像剤の撹拌効率が向上する。その結果、後述するトナー濃度検知センサ7のセンサ面7aに、その時点で、現像槽2内に存在する標準的なトナー濃度の現像剤を供給できるので、トナー濃度検知センサ7による検知結果の信頼性を高めることができる。
【0031】
また、供給ローラ5の撹拌羽根16は軟質材料により形成される。軟質材料としては、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂などの従来から撹拌羽根の形成に用いられる合成樹脂に比べて、表面硬度が低いものであれば特に制限されないけれども、適度な機械的強度と弾性とを併せ持つゴム材料が好ましい。適度な機械的強度を持つことによって現像剤の撹拌搬送能力が低下せず、適度な弾性を持つことによってたとえ現像槽内壁面2aと接触することがあっても、それによる損傷、供給ローラ5の回転トルクの上昇などを生起させることがない。このようなゴム材料の中でも、トナー濃度検知センサ7のセンサ面7aよりも表面硬度が低いゴム材料が好ましい。さらに具体的には、スプリング硬さHs(A)が20〜80°程度であるゴム材料であることが好ましい。その中でも、特に20〜30°の範囲が最適である。なお本明細書において「スプリング硬さHs(A)」とは、表面硬さを表わす指標であり、JIS K 6301に規定される、A型のスプリング式硬さ試験機による測定値である。このような範囲の表面硬度を持つゴム材料としては、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどが挙げられる。このように撹拌羽根16を軟質材料により形成することによって、現像槽内壁面2aとの接触による撹拌羽根16の損傷、センサ面7aの損傷、供給ローラ5の回転トルクの上昇などを著しく抑制できるので、撹拌羽根16の先端部分16aと現像槽内壁面2aとの距離dを1.0mm未満にすることができる。本実施の形態では、撹拌羽根16全体を軟質材料により形成する構成を採るけれども、それに限定されず、撹拌羽根16の先端部分16aのみを軟質材料により形成することもできる。
【0032】
撹拌ローラ6は、供給ローラ5を介して現像ローラ3に対向し、かつ供給ローラ5から離隔するように設けられるスクリュー状ロール部材であって、現像槽2に回転自在に支持されて図示しない駆動手段によりその軸線回りに回転駆動する軸体17と、軸体17の現像槽長手方向の側面に軸体17の軸線方向に螺旋状に形成される撹拌羽根18とを含み、撹拌搬送部材として用いられる。なお、図1では、撹拌羽根18の形状については図示を省略する。撹拌ローラ6は、その上部に位置するトナー受入口10を介して、図示しないトナーホッパから現像槽2に補給されるトナーを現像槽2内の現像剤と撹拌混合するとともに、その撹拌混合した現像剤を供給ローラ5周辺に搬送する。本実施の形態では、撹拌羽根18は、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂などの一般的な合成樹脂により形成されるけれども、撹拌羽根18全体または撹拌羽根18の現像槽内壁面2aに対向する図示しない先端部が、供給ローラ5と同様の軟質材料により構成されてもよい。その場合には、撹拌羽根18の図示しない先端部と現像槽内壁面2aとの距離を小さくすることができる。
【0033】
なお、供給ローラ5および撹拌ローラ6のいずれかまたは両方に、軟質材料から構成される撹拌羽根を形成するかは、現像装置1が装着される画像形成装置において設定される画像形成性能などに応じて適宜決定すればよい。
【0034】
トナー濃度検知センサ7は、供給ローラ5近傍の現像槽壁に形成される貫通孔であるセンサ装着孔19に、センサ面7aが現像槽2の内部空間に露出し、かつ現像槽外壁面2bからのセンサ面7aの高さが現像槽内壁面2aの高さと同じになるように装着される。トナー濃度検知センサ7には、種々のセンサを使用できるけれども、たとえば、透磁率測定式トナー濃度検知センサ(ATCセンサ)などが挙げられる。トナー濃度検知センサ7のセンサ面7aには、前述のように、供給ローラ5の回転により、その時点で現像槽2内部における標準的なトナー濃度を有する現像剤が常に供給されるので、トナー濃度検知センサ7による検知結果が信頼性の高いものになり、検知結果に基づく制御によって、画像不良が発生することなく画像形成が行われる。
【0035】
現像装置1によれば、トナー受入口10から現像槽2内に供給されるトナーを撹拌ローラ6の回転により現像槽2内の現像剤と混合して供給ローラ5周辺へ搬送し、撹拌羽根16が現像槽内壁面2aに近接するように設けられる供給ローラ5の回転により、現像槽2内の現像剤がほぼ均一に混合され、トナーにほぼ均一な電荷が付与され、現像剤の撹拌効率だけでなく静電潜像の現像効率もが向上するとともに、トナー濃度検知センサ7のセンサ面7a周辺にも、その時点での標準的なトナー濃度を有する現像剤が常に供給されるので、トナー濃度検知センサ7による検知結果の信頼性が向上する。
【0036】
図3は、本発明の現像装置を備える本発明のもう一つの実施形態である画像形成装置100の構成を簡略化して示す断面図である。図3に示す画像形成装置100は、たとえば本発明の実施の第1形態である現像装置1を備え、たとえばパーソナルコンピュータ、ビデオレコーダ、デジタルカメラなどの外部機器から伝達される画像情報、画像形成装置100に備えられる図示しないスキャナ装置により読み取られる画像情報などに応じて、記録紙などの記録媒体上に単色の画像として記録出力するものである。
【0037】
画像形成装置100は、画像形成部21と、記録材供給部22と、画像定着部23と、制御部24とを含んで構成される。
【0038】
画像形成部21は、電子写真感光体25と、電子写真感光体25の周面に対向するように設けられる帯電手段26、露光ユニット27、現像装置1、転写手段28、クリーニングユニット29および除電手段30とを含む。
【0039】
電子写真感光体25は、図示しない駆動手段により軸線回りに回転自在に設けられ、図示しない円筒状または円柱状の導電性基体と、導電性基体の表面に形成される図示しない光導電層とを含むローラ部材であり、その表面に、画像情報に応じて静電潜像が形成される。
【0040】
帯電手段26は、帯電ローラ、帯電チャージャなどの接触式または非接触式の帯電器によって構成され、電子写真感光体25の周面を所定の極性および電位に帯電させる。
【0041】
露光ユニット27は、たとえば、半導体レーザなどのレーザユニットによって構成され、後述する制御部24から伝達される画像情報に応じて、帯電手段26によって帯電状態にある電子写真感光体25の周面に光を照射し、該周面に静電潜像を書き込む。
【0042】
現像装置1は、本発明の現像装置であり、電子写真感光体8の周面に書き込まれた静電潜像に、トナーホッパ32から供給され、現像装置1内でキャリアとの混合されて帯電状態にあるトナーを供給して静電潜像を顕像化し、トナー像を形成する。
【0043】
転写手段28は、たとえば、電子写真感光体25周面に圧接しかつ回転自在に設けられる転写ローラ31と、転写ローラ31に転写バイアス電圧を印加する図示しない電源とを含んで構成され、記録材の転写ローラ31側から転写バイアス電圧を印加して記録材を帯電させるとともに、転写ローラ31により記録材を加圧することによって、電子写真感光体25周面上のトナー像を記録材に転写する。トナー像が転写された記録材はなお、記録材は、露光ユニット27による露光に同期して、後述する記録材供給部22から、電子写真感光体25と転写ローラ31との圧接部(転写ニップ部)に送給される。
【0044】
クリーニングユニット29は、たとえば、弾性材料からなり、電子写真感光体8周面に当接するように設けられる板状部材であるクリーニングブレード29aを含んで構成され、トナー像を記録材に転写した後に、電子写真感光体25周面に残留するトナー、紙粉などを除去する。
【0045】
除電手段30は除電ランプなどによって構成され、クリーニング後の電子写真感光体25周面の電荷を除去する。
【0046】
画像形成部21では、まず感光体ドムラ25周面が帯電手段26により帯電され、これに露光ユニット27から画像情報に応じた光が照射され、静電潜像が書き込まれる。この静電潜像に現像装置1からトナーが供給されてトナー像が形成され、トナー像は転写手段28により記録材に転写される。トナー転写後の電子写真感光体25周面は、クリーニングユニット29による残留トナーなどの除去および除電手段11による電荷除去を受け、清浄化される。この一連の操作が繰返し実行され、画像が形成される。
【0047】
記録材供給部22は、記録材トレイ33と、ピックアップローラ34と、レジストローラ35とを含んで構成される。記録材トレイ33は、普通紙、カラーコピー用紙、OHPフィルムなどの記録材を収容するトレイである。記録材トレイ33への記録材の補給は、画像形成装置100の正面側(操作側)に記録材トレイ33を引き出して行われる。ピックアップローラ34は、記録材トレイ33内の記録材を1枚ずつ分離してレジストローラ35に送給する。レジストローラ35は、画像形成部21における露光ユニット27の電子写真感光体25周面への露光に同期して、記録材を転写ニップ部に順次送給する。
【0048】
記録材供給部22によれば、記録材トレイ33に収容される記録材は、ピックアップローラ34およびレジストローラ35を介して、画像形成部1に供給される。
【0049】
画像定着部23は、定着装置36と、搬送ローラ37と、切換えゲート38と、反転ローラ39と、積載トレイ40とを含んで構成される。
【0050】
定着装置36は、定着ローラ41と加圧ローラ42とを含む。定着装置36では、画像形成部21の転写手段28によりトナー像が転写された記録材が、定着ローラ41と加圧ローラ39との圧接部(定着ニップ部)に送給されて加熱加圧を受け、トナー像が記録材に定着され、画像が形成される。
【0051】
搬送ローラ37は、定着装置36により画像が形成された記録材(画像記録済み記録材)を切換えゲート38に送給する。切換えゲート38は、画像記録済み記録材の送給経路を切換える。切換えゲート38を介して、画像記録済み記録材は、反転ローラ39または図示しない中継搬送装置もしくは記録材再供給搬送装置のいずれかに搬送される。なお、これらの装置については後述する。反転ローラ39は画像記録済み記録材を積載トレイ40に排出する。その一方で、両面画像形成または後処理(たとえば、ステープル処理、穴あけ処理など)が指定される場合、反転ローラ39は画像記録済み記録材を挟持した状態で、該記録材の一部を積載トレイ40の方向に排出した後逆回転し、該記録材を切換えゲート38および画像形成装置100の側面に開口するように設けられる搬送路45を介して図示しない中継搬送装置または記録材再供給搬送装置に送給する。このとき、切換えゲート38は実線の位置から破線の位置に変位する。積載トレイ40は、画像形成装置100の外側上部に設けられ、画像形成装置100から排出される画像記録済み記録材を貯留するためのトレイである。
【0052】
画像定着部23によれば、定着装置36によりトナー像が記録材に定着され、画像記録済み記録材は、搬送ローラ37および切換えゲート38を介して反転ローラ39に搬送され、そのまま積載トレイ40に排出されるかまたは反転ローラ39により搬送方向を変更され、切換えゲート38を介して図示しない中継搬送装置または記録材再供給搬送装置に送給される。
【0053】
制御部24は、画像形成装置100の内部空間における露光ユニット27の上部に設けられ、図示しない、制御手段、演算手段、メモリなどからなる中央処理装置(CPU)を備えるマイクロコンピュータなどによって実現される処理回路を含み、現像装置1を備える画像形成装置100の全動作を制御する。メモリには、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。制御部24は、前述の処理回路とともに電源を含み、電源は制御部24だけでなく、画像形成部21、記録材供給部22および画像定着部23における各装置にも電力を供給する。ここで外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビ、ビデオレコーダ、DVDレコーダ、ファクシミリ装置などが挙げられる。
【0054】
さらに画像形成装置100の下面および側面には搬送路43,44が設けられる。搬送路43,44および搬送路45は、画像形成装置100に外部装置を接続する際に、記録材を画像形成装置100の外部または内部に搬送するために利用される。
【0055】
画像形成装置100によれば、制御部24に入力される画像情報に応じて、電子写真感光体25の周面に静電潜像が書き込まれ、この静電潜像が現像されてトナー像として記録材に転写され、さらに定着され、そのまま積載トレイ40に排出されるかまたは後処理工程、再度の画像形成工程などに供される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の第1形態である現像装置の構成を簡略化して示す部分断面図である。
【図2】図1に示す現像装置の要部の構成を拡大して示す部分断面図である。
【図3】本発明のもう一つの実施形態である画像形成装置の構成を簡略化して示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 現像装置
2 現像槽
2a 現像槽内壁面
2b 現像槽外壁面
3 現像ローラ
4 層厚規制部材
5 供給ローラ
6 撹拌ローラ
7 トナー濃度検知センサ
7a センサ面
8 電子写真感光体
9 開口部
10 トナー受入口
11 マグローラ
12 現像スリーブ
15,17 軸体
16,18 撹拌羽根
19 センサ装着孔
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式で画像形成する画像形成装置に搭載される現像装置において、
内部空間を有して現像剤を収容する現像槽と、
現像槽に回転自在に支持されて、画像形成装置に設けられる電子写真感光体の表面に形成される静電潜像にトナーを供給して現像する現像ローラと、
現像槽に支持されて現像ローラ表面の現像剤層の層厚を規制する層厚規制部材と、
現像槽に回転自在に支持される軸体と、軸体の外周面に軸体の軸線方向に延びて螺旋状に形成される撹拌羽根とを含んで構成され、現像剤を撹拌および搬送する撹拌搬送部材であって、撹拌羽根全体または撹拌羽根の現像槽内壁面に対向する先端部分が軟質材料により構成される撹拌搬送部材とを含むことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
撹拌搬送部材は、
撹拌羽根の現像槽内壁面に対向する先端部分における現像槽内壁面への最近接点と、現像槽内壁面との間の距離が1.0mm未満になるように設けられることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
撹拌搬送部材は、
撹拌羽根の現像槽内壁面に対向する先端部分における現像槽内壁面への最近接点と、現像槽内壁面との間の距離が0.5mm以下になるように設けられることを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。
【請求項4】
撹拌搬送部材は、
その回転により現像槽内に供給されるトナーと現像槽内の現像剤とを混合する撹拌ローラおよび/またはその回転により現像剤を現像ローラに送給する供給ローラであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の現像装置。
【請求項5】
軟質材料は、
ゴム材料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の現像装置。
【請求項6】
現像槽壁にセンサ面が現像槽の内部空間に露出するように取り付けられて現像槽中のトナー濃度を検知するトナー濃度検知センサをさらに含み、
軟質材料は、
トナー濃度検知センサのセンサ面よりも硬度の低いゴム材料であることを特徴とする請求項5記載の現像装置。
【請求項7】
ゴム材料は、シリコーンゴムまたはウレタンゴムであることを特徴とする請求項5または6記載の現像装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つの現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−93776(P2007−93776A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−280468(P2005−280468)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】