説明

現像装置および画像形成装置

【課題】
本発明は、小型化を実現し、かつ、均一な押圧が可能な現像装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
層厚規制ブレード110と押圧板120は互いに交差する位置関係にあり、層厚規制ブレード110の一端は現像ローラ10に向けて押圧される。押圧板110の一端は筐体11に固定される。層厚規制ブレード110と押圧板120の他端は、ブレードホルダ130に支持される。押圧板120は、撓みをもった状態で配置されており、押圧板120の復元力によって、ブレードホルダ130を介して、層厚規制ブレード120を現像ローラ10に押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および現像装置を着脱可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置に対して着脱可能に構成される現像装置において、特許文献1に示すものが知られている。図8は、特許文献1に示される現像装置300の側断面図であり、現像装置300は、筐体301、トナー室302、アジテータ303、供給ローラ304、層厚規制ブレード305、現像ローラ306等を備える。
【0003】
トナー室302に収容されたトナーは、トナー室302に取り付けられたアジテータ303の回転により供給ローラ304に搬送される。アジテータ303の回転によって供給ローラ304に搬送されたトナーは、供給ローラ304の回転により、現像ローラ306に供給され現像ローラ306上に担持される。そして、トナーは、供給ローラ304と現像ローラ306との間の摩擦により帯電される。
【0004】
現像ローラ306上に供給されたトナーは、現像ローラ306の回転に伴って現像ローラ306と、現像ローラ306に対して圧接された層厚規制ブレード305との間に進入する。このときに、現像ローラ306上のトナーは、層厚規制ブレード305との間の摩擦により帯電され、一定の厚さの薄層として現像ローラ306上に担持される。
【0005】
このような現像装置300において、層厚規制ブレード305は、その一端が、現像ローラ306の上方で現像装置の筐体301と固定され、他端が現像ローラ306に向かって直線状に延び、現像ローラ306に圧接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−281987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、画像形成装置の小型化が要請されており、それに伴い現像装置の小型化が求められている。そのため、図8に示したような従来の現像装置において、現像ローラと現像ローラ上方にある現像装置のフレームとの間隔を狭めることで、現像装置の小型化を実現する方法が考えられる。
【0008】
そこで、層厚規制ブレードの現像装置との固定部から現像ローラ側端部間での長さ(自由長)を短くする必要が生まれた。しかし、層厚規制ブレードの自由長を短くすると、層厚規制ブレードのバネ定数が高くなり、層厚規制ブレードが撓み難くなる。そうすると、層厚規制ブレード等のわずかな取り付け誤差によって、層厚規制ブレードが現像ローラに加える押圧力が大きく変化する(押圧力のばらつきが大きくなる)。
【0009】
そのため、現像ローラと層厚規制ブレードとを均一な押圧力で当接させるためには、層厚規制ブレードの現像装置への高精度な取り付けが必要となってしまう。
【0010】
以上の問題点から、本発明は、小型化を実現し、かつ、均一な押圧を達成する現像装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の現像装置は、筐体と、現像剤を担持する現像ローラと、前記現像ローラに担持される現像剤の層厚を規制する層厚規制部と、を備え、前記層厚規制部は、一端が前記現像ローラに向けて押圧され、他端が支持部材により支持される第1板と、前記第1板の前記現像ローラと対向する面とは反対の面側にあって前記第1板と交差する向きに延び、一端が前記筐体に固定され、他端が前記現像ローラに向かいかつ前記支持部材に支持され、一端と他端との間に弾性変形可能な部位を有する第2板と、を有することを特徴とする現像装置。
【0012】
請求項2に記載の現像装置は、請求項1に記載の現像装置において、前記第1板と前記第2板とがなす角度は鋭角であり、前記第2板は、前記第1板の一端側に撓むことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の現像装置は、請求項1又は請求項2に記載の現像装置において、前記第2板は、前記第1板よりバネ定数が小さいことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の現像装置は、請求項3に記載の現像装置において、前記第2板には、複数のスリットが形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の現像装置は、請求項3又は請求項4に記載の現像装置において、前記第1板は、前記第2板より板厚が厚いことを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の現像装置は、請求項3から請求項5のいずれかに記載の現像装置において、前記第1板は前記第2板より剛性の高い材質であることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の現像装置は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の現像装置において、前記第1板と前記第2板は、一体に形成されることを特徴とする。
【0018】
請求項8に記載の現像装置は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の現像装置において、前記第1板と前記第2板は、前記支持部材に対して、溶着または接着されることを特徴とする。
【0019】
請求項9に記載の現像装置は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の現像装置において、前記支持部材は、前記筐体に回動可能に軸支されることを特徴とする。
【0020】
請求項10に記載の現像装置は、請求項1から請求項9のいずれかに記載の現像装置において、前記第1板と前記第2板の一方の面は、前記筐体の外部に露出されており、前記第1板と前記第2板の他方の面により、前記支持部材は支持されることを特徴とする。
【0021】
請求項11に記載の画像形成装置は、請求項1から請求項10にいずれかに記載の現像装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の現像装置によれば、第2板の一端と他端の間が撓むように層厚規制部が配置されている。この第2板が撓むことによって生じる第2板の復元力が、支持部材を介して、第1板を現像ローラに向けて押圧する。このように、第2板の撓みによる復元力が、支持部材を介して第1板に伝えることが出来る構成となっている。従って、第2板の撓みを利用して第1板に加わる押圧力のばらつきを小さくすることが出来る。よって、第1板の自由長が短く第1板のばね定数が高くても、第2板の撓みを利用して第1板に加わる押圧力のばらつきを小さくすることが出来る。従って、第1板を短くし現像装置の小型
化が可能となる。
【0023】
請求項2に記載の現像装置によれば、第1板と第2板とがなす角度を鋭角にすることで、第2板が延びる方向における現像装置の寸法を抑えることができ、現像装置の小型化が可能となる。
【0024】
請求項3に記載の現像装置によれば、第2板の弾性変形によって第1板が現像ローラに与える押圧力のばらつきをより小さくすることができる。
【0025】
請求項4に記載の現像装置によれば、第2板にスリットを設けることで、第2板のバネ定数を小さくすることが出来る。従って、第1板に剛性の高い板材を用いて層厚規制部の強度を上げつつ、第2板のバネ定数を下げ、第1板が現像ローラに与える押圧力のばらつきを抑えることが出来る。
【0026】
請求項5に記載の現像装置によれば、第1板は第2板より板厚が厚い。これにより、第1板の剛性を高くし、第1板を現像ローラに確実に圧接しつつ、第2板の撓みで現像ローラへの押圧力のばらつきを小さくすることが出来る
請求項6に記載の現像装置によれば、第1板に剛性の高い板材を用いることで、第1板のうねり等を抑えることができ、良好な現像が可能となる。
【0027】
請求項7に記載の現像装置によれば、第1板と第2板を一体形成することで、層厚規制部の剛性を上げることができ、第1板を現像ローラに対して確実に押圧することが出来る。
【0028】
請求項8に記載の現像装置によれば、第1板と第2板を支持部材に対して溶着又は接着する。これにより、ネジなどで支持部材に第1板と第2板を固定した場合に生じる、第1板と第2板の波打ちを抑えることができる。また、ネジ等を用いないことから部品点数を少なくし層厚規制部を簡易な構成とすることができる。
【0029】
請求項9に記載の現像装置によれば、支持部材の回動軸が、筐体に対して位置決めされている。従って、第1板を現像ローラに対して精度良く位置決めすることができる。従って、第1板を現像ローラに対して確実に押圧することが出来る。
【0030】
請求項10に記載の現像装置によれば、現像装置の内部側に支持部材を設けることで、より現像装置を小型化することが出来る。
【0031】
請求項11に記載の画像形成装置によれば、請求項1から請求項10に記載の現像装置を用いることで、画像形成装置の小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】カラープリンタの側断面の模式図である。
【図2】現像カートリッジの側断面図である。
【図3】層厚規制部の分解斜視図である。
【図4】層厚規制部の斜視図である。
【図5】変形例1に係る層厚規制部の斜視図である。
【図6】変形例2に係る現像カートリッジの側断面図である。
【図7】変形例3に係る現像カートリッジの側断面図である。
【図8】従来技術の現像カートリッジの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<プリンタの構成>
図1は、画像形成装置の一例としてのプリンタ1の側断面の模式図である。プリンタ1は、タンデム型のカラープリンタである。図1に示すように、プリンタ1の本体ケーシング2内には、ドラムユニット3が装着されている。このドラムユニット3は、本体ケーシング2の一方の側壁に設けられたフロントカバー4を開けて、本体ケーシング2に対して着脱可能となっている。
【0034】
なお、以下の説明において、フロントカバーが設けられる側(図1における右側)を前側(正面側)とし、その反対側(図1における左側)を後側(背面側)とする。また、プリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。
【0035】
ドラムユニット3には、4つの感光ドラム5が備えられている。4つの感光ドラム5は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色に対して設けられ、前後方向に沿って、前側からブラック、イエロー、マゼンタ、およびシアンの順に等間隔に並列に配置されている。
【0036】
また、ドラムユニット3には、各感光ドラム5に対応して、スコロトロン型帯電器6と、感光ドラム5の表面をクリーニングするためのクリーニングローラ7と、現像装置の一例としての現像カートリッジ8とが備えられている。現像カートリッジ8は、感光ドラム5にトナー(現像剤)を供給するための供給ローラ9と、内部にトナーを有するボックス形状をなし、下端部に現像ローラ10をその周面の一部が露出する状態で保持する筺体11とを含む構成である。各現像カートリッジ8は、ドラムユニット3に対して着脱可能に装着されている。
【0037】
ドラムユニット3の上方には、各色に対応した4本のレーザビームを出射する露光器12が配置されている。
【0038】
感光ドラム5の回転に伴って、感光ドラム5の表面には、スコロトロン帯電器6からの放電によって一様に帯電された後、露光器12からのレーザビームにより選択的に露光される。この露光によって、感光ドラム5の表面から電荷が選択的に除去され、感光ドラム5の表面に静電潜像が形成される。静電潜像が現像ローラ10に対向すると、現像ローラ9から静電潜像にトナーが供給される。これにより、感光ドラム5の表面にトナー像が形成される。
【0039】
なお、露光器12に代えて、4つのLEDアレイが各感光ドラム5に対応して設けられていてもよい。
【0040】
本体ケーシング2の底部には、用紙Pを収容する給紙カセット13が配置されている。給紙カセット13に収容されている用紙Pは、各種ローラにより、搬送ベルト14上に搬送される。搬送ベルト14は、4つに感光ドラム5に下方から対向して配置されている。感光ドラム5に対して搬送ベルト14の上側部分を挟んで対向する各位置には、転写ローラ15が配置されている。搬送ベルト14上に搬送された用紙Pは、搬送ベルト14の走行により、搬送ベルト14と感光ドラム5との間を順次に通過する。そして、感光ドラム5の表面上のトナー像は、用紙Pと対向したとき、転写ローラ15に印加された転写バイアスによって、用紙Pに転写される。
【0041】
搬送ベルト14に対して用紙Pの搬送方向における下流側には、定着器16が設けられている。トナー像が転写された用紙Pは定着器16に搬送される。定着器16では、加熱および加圧により、トナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着した用紙Pは、各種ローラにより、本体ケーシング2の上面の排紙トレイ17に排出される。
【0042】
<現像カートリッジの構成>
図2は、現像カートリッジ8の側断面図である。図2に示すように、現像カートリッジ8の筺体11は、前壁21および後壁22を備えている。前壁21および後壁22は、上下方向および左右方向に延びる略矩形状をなし、前後方向に間隔を空けて対向している。
【0043】
前壁21は、後壁22よりも下方に長手に形成されている。前壁21および後壁22の各上端部には、上壁23が架設されている。後壁22は、上壁23と連続する後壁上部22Aと、後壁上部22Aの下端部から筐体11の内部側に屈曲する屈曲部22Bと、屈曲部22Aと連続し下方に向かって延びる後壁下部22Cとによって形成される。
【0044】
そして、図2では図示が省略されているが、前壁21および後壁22の左端部には左側側壁が架設されている。また、前壁21および後壁22の右端部には、右側壁が架設されている。これにより、筺体11は、その下端部に後側下方に向けて解放される開口24が形成された略ボックス形状に形成されている。
【0045】
また、筺体11内には、トナー収容室31と現像室32が上下方向に並んで形成されている。トナー収容室31と現像室32とは、連通口33により連通されている。
【0046】
トナー収容室31には、非磁性一成分の正帯電トナーが収容されている。
【0047】
現像室32は、連通口33に対してトナー収容室31の下方に設けられている。また、現像室32の筺体11の下端部には、開口24が形成される。開口24には、ロアフィルム40が設けられ、内部のトナーが外部に漏れないよにシールされる。
【0048】
現像室32には、連通口33の下方に供給ローラ9が設けられている。供給ローラ9は、後述する現像ローラ10の上方に、現像ローラ10と圧接して配置される。供給ローラ9は、図2に示す矢印の向きに回転し、トナーを現像ローラ9に供給する。
【0049】
また、現像室32には、現像ローラ10が設けられている。現像ローラ10は、現像ローラ本体36および現像ローラ軸37を有している。現像ローラ10は現像ローラ軸37を軸中心として、図に示す矢印の方向に回転する。
【0050】
現像ローラ本体36は、筺体9の長手方向(左右方向)に延びる円柱状に形成され、その周面の一部が開口24から後側下方に露出している。
【0051】
現像ローラ軸37は、現像ローラ本体36の中心軸線に沿って延び、現像ローラ本体36の左右方向両端部から外方に突出している。
【0052】
また、筺体11の後壁22の下端部には、後述する層厚規制部100が設けられている。
【0053】
<層厚規制部の構成>
次に本実施例に係る層厚規制部100の詳細な構成について説明する。図3は、層厚規制部100の分解斜視図であり、図4は層厚規制部100の斜視図である。
【0054】
図3に示すように、層厚規制部100は、第1板の一例としての層厚規制ブレード110と、第2板の一例としての押圧板120と、支持部材の一例としてのブレードホルダ130およびブレード補強板140とを有する。
【0055】
層厚規制ブレード110は、図3に示すように、板状部材111と板状部材111の一端側に設けられた当接部材112とから構成されている。板状部材111は、現像ローラ10の軸線方向(長手方向)に延びる金属板(例えばSUS301)からなる。当接部材112は、板状部材111の短手方向の一端であるブレード端部113に設けられる。当接部材112は、ゴム状の部材である。当接部材112の短手方向における断面は、長手方向から見て現像ローラ10側に凸になるように断面が形成され、この部分が現像ローラ10と直接摺接して現像ローラ10の表面に担持されるトナーの厚さを規制する。また、層厚規制ブレード110の他端であるブレード支持部114は、後述するブレードホルダ130により支持される。
【0056】
押圧板120は、層厚規制ブレード110と同様に現像ローラ軸10の軸線方向に延びる金属板(例えばSUS301)からなる。押圧板120は、その短手方向の一端に、後壁下部22Cの筐体11内部側の面と接着または溶着等で固定される部分に対応する押圧板固定部122を有する。また、押圧板120の短手方向の他端部には、後述するブレードホルダ130により支持される押圧板支持部123が設けられる。押圧板120の短手方向の他端側には、第1取付穴121が等間隔で複数形成される。押圧板120の短手方向の長さは、層厚規制ブレード110の短手方向の長さより長く形成される。
【0057】
ブレードホルダ130は、現像ローラ10の軸線方向から見て台形の箱形状である。そして、ブレードホルダ130は、現像ローラ軸10の軸線方向に沿って延びる。ブレードホルダ130は、押圧板120が支持される第1支持面131と、層厚規制ブレード110が固定される第2支持面132を有する。第1支持面131には、その短手方向における第2支持面側の端部に、長手方向に等間隔となるよう複数の第2取付穴137が形成される。
【0058】
図3に示すように、ブレードホルダ130の第2支持面132における、第1支持面131と反対側の端部からは、第1支持面131の短手方向にホルダ前面133が延びる。そして、ホルダ前面133の第2支持面132と反対側の端部からは、第2支持面132と略平行に、第2支持面132の短手方向に沿ってホルダ上面134が延びる。第2支持面132の前後方向の長さは、ホルダ上面134の前後方向の長さよりも長くなるように形成されている。そして、第1支持面131と第2支持面132とのなす角度は、鋭角である。
【0059】
更に、ブレードホルダ130の左右両側面には、ホルダ側壁135が、第1支持面131、第2支持面132、ホルダ前面133、ホルダ上面134を両側から挟むように設けられている。左右両ホルダ側壁135には、ホルダ回動軸136が現像ローラ10の軸線方向に沿って外方に突出している。
【0060】
ブレード補強板140は、金属性の板状部材を、第1支持面131と第2支持面132とのなす角度と同一となるように、鋭角に折り曲げて形成されている。図3に示すように、押圧板120の短手方向に延びる取付部142と、取付部142と鋭角となる方向に延びる挟持部141とから構成される。
【0061】
挟持部141は、ブレードホルダ130の第2支持面132との間で層厚規制ブレード110を挟持する部分である。この挟持部141は、内側の面が、層厚規制ブレード110と接触するとともに、ブレードホルダ130の第2支持面132と対向する。
【0062】
取付部142は、内側の面がブレードホルダ130の第1支持面131と接触する。この取付部142の短手方向の端部には、複数の第3取付穴143が等間隔に形成される。
【0063】
次に、層厚規制部100の組み立てについて説明する。
【0064】
層厚規制ブレード110のブレード支持部114は、ブレードホルダ130の第2支持面132に対して接着または溶着にて固定される。押圧板120は、ブレードホルダ130の第1支持面131と、ブレード補強板140の取付部142とに挟持された状態で第1取付穴121、第2取付穴137、第3取付穴143にネジ150をねじ込むことにより固定される。このとき、挟持部141をブレードホルダ130の第2支持面132に押しつけながら、取付穴にネジ150をねじ込むことで層厚規制ブレード110を固定する。
【0065】
層厚規制部100が組み立てられた状態において、層厚規制ブレード110の当接部材112側の端部は、ブレードホルダ130によって支持されずに、弾性変形可能な部分を有する。この弾性変形可能な部分の短手方向の長さが、層厚規制ブレード110の自由長である。そして、層厚規制ブレード110の自由長は、当接部材112と板状部材111が接触する、板状部材の短手方向の長さと略等しい。そして、層厚規制ブレード110の短手方向の長さは、層厚規制ブレード110の自由長の約2倍である。具体的には、層厚規制ブレード110の自由長は、約3mmである。
【0066】
また、層厚規制ブレード110と押圧板120は、ブレードホルダ130に固定された状態で、それぞれの短手方向が交差して配置されている。そして、ブレードホルダ130に層厚規制ブレード110と押圧板120が固定された際に、層厚規制ブレード110と押圧板120とのブレードホルダ130側のなす角度が鋭角となる。
【0067】
以上のように組み立てられた層厚規制部100は、押圧板120の押圧板固定部122が、後壁下部22Cの筐体11内側面と溶着あるいは接着により固定される。このとき、押圧板120は、押圧板120の筐体11との固定部と、押圧板120の第1支持面131による支持部までが弾性変形可能なように所定の間隔Lを空けて配置される。具体的には、約7mm〜10mm程度間隔Lを空けて配置される。
【0068】
そして、層厚規制部100が、筐体11に固定された状態において、押圧板120は、斜め後下方向に延びる。そして、層厚規制ブレード110は、押圧板支持部123付近から供給ローラ9に向かって延び、現像ローラ10と上下方向に対向する(図2参照)。
【0069】
また、ブレードホルダ130のホルダ回動軸136は、筐体11の図示しない左右両側壁に、回動可能に軸支されている。層厚規制部100は、層厚規制ブレード110(当接部材112)が、供給ローラ9と現像ローラ10との当接部に対して、現像ローラ10の回転方向下流側で現像ローラ10と当接するように配置される。
【0070】
層厚規制部110と現像ローラ10が当接した状態において、押圧板120が撓みを有する位置関係で配置されている。具体的には、現像ローラ10と層厚規制ブレード110が当接すると、層厚規制ブレード110は、図2において、上方向の力を受ける。ブレードホルダ130は、層厚規制ブレード110が上方向の力を受けることにより、図2において、ブレードホルダ130は、ホルダ回動軸136を中心として右回りに回動しようとする。ブレードホルダ130の回動により、押圧板支持部123は、図2において、後方向の力を受ける。そして、押圧板120は、押圧板支持部123と押圧板固定部122との間で、供給ローラ9側に略円弧形状となるように撓みが形成される。そして、押圧板120が撓むことにより生じる押圧板120の復元力が、層厚規制ブレード110を、ブレードホルダ130を介して現像ローラ10に向けて押圧する。
【0071】
また、押圧板120の短手方向の長さは、層厚規制ブレード110の短手方向のよりも
長い。即ち、押圧板120は、層厚規制ブレード110よりバネ定数が小さい。よって、押圧板120が撓むことで、寸法のばらつき等によって生じる現像ローラ10への層厚規制ブレード110の押圧力の変化を小さくできる構成となっている。更に、層厚規制ブレード110を押圧板120と交差させるように配置することで、層厚規制ブレード110の自由長を短くすることが可能になり、図2における現像カートリッジ8の前後方向の小型化が可能となる。
【0072】
更に、層厚規制部100は、層厚規制ブレード110と押圧板120とが、ブレードホルダ130側になす角度が鋭角となるように構成される。これにより、図2における、現像カートリッジ8の前後方向の寸法を抑えることができる。従って、現像カートリッジ8の前後方向の小型化が可能となる。
【0073】
また、層厚規制ブレード110は、ブレードホルダ130に対して、溶着または接着により固定されている。従って、ネジ等で層厚規制ブレード110を固定することによる層厚規制ブレード110の波打ちを抑制することができ、良好な現像を行うことが出来る。
【0074】
また、ブレードホルダ130は、現像カートリッジ8の筐体11に対して回動可能に取り付けられている。即ち、ブレードホルダ130の軸中心が筐体11に対して位置決めされる。したがって、ブレードホルダ130が現像カートリッジ8に対して回動しても、ブレードホルダ130の位置は筐体11に対して一定である。よって、ブレードホルダ130が筐体11に対して回動しても、層厚規制ブレード110の当接部112は現像ローラ10に対して精度よく位置決めされるため、良好な現像が可能となる。
【0075】
また、層厚規制ブレード110と押圧板120が、ブレードホルダ130により支持されることにより、層厚規制ブレード110と押圧板120のなす角度を、精度よく保つことが出来る。
【0076】
また、層厚規制ブレード110の当接部材112を有する面と、押圧板120のブレード補強板140側の面の一部は、筐体11の外部に露出されている。そして、ブレードホルダ130は、層厚規制ブレード110と押圧板120の外部に露出していない方の面と固定されている。即ち、ブレードホルダ130は、筐体11内部に収容されている。これにより、現像装置を前後方向に薄型化することが出来る。
【0077】
更に、屈曲部22Bを設け、後壁22Cを後壁22Aより筐体11の内側に配置する。これにより、層厚規制ブレード110と押圧板120の角度を鋭角に保ちつつ、層厚規制部110を後壁22Aよりも供給ローラ9側に配置することが出来る。従って、図2において、現像カートリッジ8の前後方向の薄型化を実現できる。
【0078】
また、層厚規制ブレード110と押圧板120を別部材として設けていることから、図2や図4に示すように、層厚規制ブレード110だけに厚みを持たせ、層厚規制ブレード110の剛性を高くすることができる。したがって、層厚規制ブレード110のうねり等を抑えることができ、現像ローラ10に対して均一に押圧することができる。例えば、層厚規制ブレード110の板厚を0.1mmより大きくし、押圧板120の板厚を0.1mmより小さくすると良い。また、層厚規制ブレード110に剛性が高い素材(例えば、タングステンなど)を用いることで同様の効果を得ることができる。
【0079】
<変形例1>
次に、適宜図面を参照しながら層厚規制部の変形例について説明する。以下、前述した構成と同一の部分に関しては、同一の番号を付して説明を省略する。
【0080】
図5は層厚規制ブレード110の斜視図を表わす図面である。
【0081】
図5において押圧板120には、複数のスリット123が押圧板120の短手方向に沿って設けられている。そして、押圧板120の現像カートリッジ8内部側面には、スリット123からのトナー漏れを防止するための図示しないシール部材が配置されている。このように、複数のスリット123を設けることで押圧板120のばね定数を更に小さくすることができる。
【0082】
押圧板120のバネ定数を小さくすることで、寸法のばらつきや、層厚規制部100の取り付け誤差等による、現像ローラ10に対する押圧力のばらつきをより小さくすることが出来る。
【0083】
また、押圧板120に複数のスリットを設けて、押圧板120のばね定数を小さくしていることから、押圧板120に剛性の高い素材を用いて層厚規制部100の強度を高めつつ、現像ローラ10への押圧力のばらつきを小さくすることが出来る。
【0084】
<変形例2>
また、図6は、変形例2に係る現像カートリッジ8の側断面図を表す。図6に示すように、層厚規制部100の押圧板120と層厚規制ブレード110は一体に形成されてもよい。
【0085】
具体的には、層厚規制ブレード110と押圧板120は、1枚のステンレス鋼板等の金属板からなる。金属板の短手方向の一端は、後壁22Cの筐体11内面側と接着または溶着により固定される。金属板は、現像ローラ10に向かい、かつ、供給ローラ9から離れる向きに延び、その途中の一箇所で曲げ部150が形成される。
【0086】
曲げ形成されることにより金属板の短手方向の他端は、供給ローラ9に向かって延び現像ローラ10と上下方向に対向する。金属板の他端側には当接部材112が設けられる。当接部材112は、現像ローラ10と供給ローラ9との当接部において、現像ローラ10の回転方向下流側で、現像ローラ10と当接する。
【0087】
このとき、現像ローラ10と上下方向に対向するように曲げ形成された部分が、層厚規制ブレード110であり、曲げ部から斜め上方に延びる部分が押圧板130である。層厚規制ブレード110と押圧板120は、鋭角をなすように、かつ、層厚規制ブレード110は、押圧板120より短手方向の長さが短くなるように曲げ形成される。金属板とブレードホルダ130の第1支持面131と第2支持面132は、溶着または接着等で固定される。
【0088】
押圧板120と層厚規制ブレード110を一体に形成することで、層厚規制部100の剛性を高めることが出来る。従って、層厚規制ブレード110のうねり等を抑えることができ、層厚規制ブレード110を現像ローラ10に対して確実に押圧することができる。よって、良好な現像が可能となる。
【0089】
<変形例3>
また、図7は、変形例3に係る現像カートリッジ8の側断面図を表す。図7に示すように、層厚規制ブレード110と押圧板120がなす角度は、鈍角であってもよい。このように層厚規制部100を構成した場合、現像ローラ10と層厚規制ブレード110が当接することで、押圧板120は、現像カートリッジ8の外側に撓む。この撓みにより、層厚規制ブレード110と押圧板120のなす角度が鋭角である層厚規制部100と同様の効果を得ることが出来る。そして、押圧板120の後側にスペースが生じるので、このスペ
ースに帯電器等を配置することで、プリンタ1を小型化することが出来る。
【0090】
また、図7においては、押圧板120、層厚規制ブレード110は共に、ブレードホルダ130に対してネジ等を用いずに、溶着あるいは接着により固定されている。押圧板120も溶着あるいは接着によりブレードホルダ130に固定することで、押圧板120のうねり等を抑えることができ、良好な層厚規制ブレード110の押圧を行うことが出来る。
【0091】
また、前述したブレードホルダ130は、筐体11に対して軸支されておらず、現像ローラ10と層厚規制ブレード110の当接により、筐体11に対して相対的に移動可能であっても良い。更に、ブレードホルダ130は、本実施形態で示した形状に限られず、側面視略三角形状等でも良い。
【0092】
また、本実施例では、層厚規制ブレード110に当接部材112を設け、現像ローラ10は、当接部材112と当接する構成とした。しかし、層厚規制ブレード110に当接部材等を設けず、板状部材111を現像ローラ10に直接当接させる構成としても良い。
【符号の説明】
【0093】
8 現像カートリッジ
10 現像ローラ
100 層厚規制部
110 層厚規制ブレード
111 板状部材
112 当接部材
120 押圧板
123 スリット
130 ブレードホルダ
136 ホルダ回動軸
140 ブレード補強板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
現像剤を担持する現像ローラと、
前記現像ローラに担持される現像剤の層厚を規制する層厚規制部と、を備え、
前記層厚規制部は、
一端が前記現像ローラに向けて押圧され、他端が支持部材により支持される第1板と、
前記第1板の前記現像ローラと対向する面とは反対の面側にあって前記第1板と交差する向きに延び、一端が前記筐体に固定され、他端が前記現像ローラに向かいかつ前記支持部材に支持され、一端と他端との間に弾性変形可能な部位を有する第2板と、を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記第1板と前記第2板とがなす角度は鋭角であり、前記第2板は、前記第1板の一端側に撓むことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第2板は、前記第1板よりバネ定数が小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記第2板には、複数のスリットが形成されていることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記第1板は、前記第2板より板厚が厚いことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記第1板は前記第2板より剛性の高い材質であることを特徴とする請求項3から請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記第1板と前記第2板は、
一体に形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記第1板と前記第2板は、前記支持部材に対して、溶着または接着されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
前記支持部材は、前記筐体に回動可能に軸支されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の現像装置。
【請求項10】
前記第1板と前記第2板の一方の面は、前記筐体の外部に露出されており、前記第1板と前記第2板の他方の面により、前記支持部材は支持されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の現像装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10に記載の現像装置を有する画像形成装置。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図1】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−248069(P2011−248069A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120796(P2010−120796)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】