説明

現像装置および画像形成装置

【課題】層厚規制時に現像剤が受ける圧力が過剰になることを低減しつつ、磁力不足に伴う画質低下を抑制すること。
【解決手段】現像領域(Q3)に対応して配置された第1の磁極(N1)と、回転部材(2)と層厚規制部材(Ge)とが対向する規制領域(3)に対して回転部材(2)の回転方向の上流側に配置されて現像容器(V)内の現像剤を回転部材(2)の表面に吸着させる第2の磁極(N3)と、を有し、規制領域(3)に対応する位置に磁極が配置されていない磁石部材(1)と、非磁性の回転部材本体(6)の回転方向に沿って間隔をあけて複数配置された磁性材料製の磁化部(6b)であって、第2の磁極(N3)の位置を通過する際に第2の磁極(N3)の磁力を受けて着磁され且つ残留磁化で現像剤を保持する磁化部(6b)と、を有する回転部材(2)と、を備えた現像装置(G)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、潜像の現像を行う現像装置に関する技術として、以下の特許文献1〜3に記載の技術が従来公知である。
特許文献1としての特開平11−61003号公報には、現像剤担持体の表面に磁性塗料を塗布して薄層の磁性体層を形成し、磁性体層に微小ピッチの着磁をして、現像剤を磁力で吸着して搬送することで、現像剤担持体の構造を簡素化しつつ、濃度ムラを低減する技術が記載されている。
【0003】
特許文献2としての特開平11−26238号公報には、円筒状の基体の周面に磁性材料の薄層が形成された被着磁体(2)に対して、磁気ヘッドを使用して、着磁させる技術が記載されている。
特許文献3としての特開平11−95559号公報には、表面に形成された導電層(12a)と、導電層(12a)の内側に設けられ且つ周方向に沿ってS極とN極とが交互に微小ピッチで着磁されたフェライト磁石製の磁気記録層(12b)と、を有する現像ロール(12)が記載されている。
特許文献4としての特開平3−259276号公報には、弾性層(42)の表面に、磁化反転ピッチが100[μm]以下になるように磁化された磁界発生層(43,45,54,63,73,83,94,101,111,121)を形成した現像ローラが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−61003号公報(「0057」〜「0058」、「0081」、図1)
【特許文献2】特開平11−26238号公報(「0015」〜「0016」、図3)
【特許文献3】特開平11−95559号公報(「0052」〜「0056」、図4)
【特許文献4】特開平3−259276号公報(第4ページ右上欄第14行〜第6ページ左下欄第9行、図4〜図11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、層厚規制時に現像剤が受ける圧力が過剰になることを低減しつつ、磁力不足に伴う画質低下を抑制することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の現像装置は、
内部に現像剤が収容された現像容器と、
表面に潜像が形成された像保持体に対向して配置された現像剤保持体であって、複数の磁極を有する磁石部材と、前記磁石部材の回りを回転可能に支持された回転部材と、を有し、前記現像容器内の現像剤を前記回転部材の表面に保持して、前記像保持体と対向する現像領域に搬送して、前記像保持体の潜像を可視像に現像する前記現像剤保持体と、
前記現像領域に対して前記回転部材の回転方向の上流側に配置され、前記回転部材の表面に保持された現像剤の層の厚さを規制する層厚規制部材と、
前記現像領域に対応して配置された第1の磁極と、前記回転部材と前記層厚規制部材とが対向する規制領域に対して前記回転部材の回転方向の上流側に配置されて前記現像容器内の現像剤を前記回転部材の表面に吸着させる第2の磁極と、を有し、前記規制領域に対応する位置に磁極が配置されていない前記磁石部材と、
前記磁石部材の回りを回転可能に支持された非磁性の回転部材本体と、前記回転部材本体の回転方向に沿って間隔をあけて複数配置された磁性材料製の磁化部であって、前記第2の磁極の位置を通過する際に前記第2の磁極の磁力を受けて着磁され且つ残留磁化で現像剤を保持する前記磁化部と、を有する前記回転部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項2に記載の発明の画像形成装置は、
回転する像保持体と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体の表面の潜像を可視像に現像する請求項1に記載の現像装置と、
前記像保持体の表面の可視像を媒体に転写する転写装置と、
前記媒体に転写された可視像を定着させる定着装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1、2に記載の発明によれば、第1の磁極を有すると共に第2の磁極で着磁される磁化部を有しない構成に比べて、層厚規制時に現像剤が受ける圧力が過剰になることを低減しつつ、磁力不足に伴う画質低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は実施例1の画像形成装置の斜視図である。
【図2】図2は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図3】図3は実施例1の現像装置の要部拡大図である。
【図4】図4は実施例1の現像スリーブの要部説明図である。
【図5】図5は実施例1の現像スリーブの磁化部の着磁の説明図である。
【図6】図6は従来の現像装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0011】
図1は実施例1の画像形成装置の斜視図である。
図1において、実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタUでは、前面下部に、媒体の一例としてのシートSが収容される給紙部の一例としての給紙トレイTR1が設けられている。また、プリンタUの上面には、画像が記録されたシートSが排出される排出部の一例としての排出トレイTRhが形成されている。また、前面右部には、後述する現像剤収容容器の一例としてのトナーカートリッジを操作する際に開閉される開閉部の一例としてのフロントカバーU1aが形成されている。
【0012】
図2は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図2において、プリンタUは制御部の一例としてのコントローラCと、前記コントローラCにより作動を制御される画像処理部IPS、潜像形成回路の一例としてのレーザ駆動回路DL、および電源装置E等を有している。電源装置Eは、後述の帯電器の一例としての帯電ロールCR、現像部材の一例としての現像ローラGa、および、転写装置の一例としての転写ローラTr等に電圧を印加する。
前記画像処理部IPSは、外部の情報送信装置の一例としてのコンピュータ等から入力された印刷情報を潜像形成用の画像情報に変換して予め設定された時期、すなわち、タイミングでレーザ駆動回路DLに出力する。レーザ駆動回路DLは、入力された画像情報に応じて駆動信号を潜像形成装置LHに出力する。実施例1の潜像形成装置LHは、左右方向に沿って、予め設定された間隔で潜像書込素子の一例としてのLEDが線状に配置された装置、いわゆるLEDヘッドにより構成されている。
【0013】
プリンタUの後部には、回転駆動する像保持体の一例としての感光体PRが支持されている。前記感光体PRの周囲には、感光体PRの回転方向に沿って、帯電ロールCR、潜像形成装置LH、現像装置G、転写ロールTr、像保持体用の清掃器の一例としての感光体クリーナCLが配置されている。
図2において、前記帯電ロールCRには、帯電ロールCR表面を清掃する帯電器用の清掃器の一例としての帯電ロールクリーナCRcが対向、接触して配置されている。
【0014】
また、前記現像装置Gは、内部に現像剤が収容される現像容器Vを有する。なお、実施例1では、現像剤の一例として、負極性に帯電する非磁性のトナーと、正極性に帯電する磁性のキャリアとを含む二成分現像剤が使用されているが、これに限定されず、磁性トナーのみからなる一成分現像剤も使用可能である。前記現像容器V内には、感光体PRに対向して配置された現像剤保持体の一例としての現像ロールGaと、現像剤を撹拌しながら循環搬送する一対の循環搬送部材Gb,Gcと、循環搬送部材で撹拌された現像剤を現像ロールGaに搬送する供給部材Gdと、が配置されている。また、現像容器V内において、現像ロールGaの斜め上方には、現像ロールGaの表面の現像剤の層の厚さを規制する層厚規制部材Geが現像ロールGaの表面に対向して配置されている。さらに、現像ロールGaの斜め下方には、供給部材Gdとの間に、現像後の現像ロールGaの表面に付着する現像剤を剥離させる剥離部材Gfが現像ロールGaに対向して配置されている。
【0015】
前記現像容器Vの前側上面には、補給部の一例としての現像剤補給口V1が形成されており、現像剤補給口V1には、現像剤搬送路の一例として、前方に延びる現像剤補給路V3が連結されている。前記現像剤補給路V3内部には、現像剤搬送部材の一例としての補給オーガV4が回転可能に支持されている。前記現像剤補給路V3の前端には、トナーカートリッジTCが着脱される被着脱部の一例としてのカートリッジホルダKHが連結されており、トナーカートリッジTCからの現像剤が流入する。したがって、現像装置Gでの現像剤の消費量に応じて、補給オーガV4が駆動すると、トナーカートリッジTCから現像剤が現像装置Gに補給される。
【0016】
回転する感光体PRの表面は、帯電領域Q1において帯電ロールCRにより帯電され、潜像形成位置Q2において潜像形成装置LHから出射する潜像形成光により静電潜像が形成される。前記静電潜像は現像領域Q3において現像ロールGaにより可視像の一例としてのトナー像に現像され、感光体PR及び転写ロールTrとの対向領域により形成される転写領域Q4において転写ロールTrにより媒体の一例としての記録シートSに転写される。感光体PR表面の残留トナーは、転写領域Q4の下流側の清掃領域の一例としてのクリーニング領域Q5において清掃部材の一例としてのクリーニングブレードCBにより除去され、感光体クリーナCL内部に回収される。
なお、前記クリーニングブレードCBの対向する側には飛散防止部材の一例としてのフィルムシールFSが設けられており、フィルムシールFSは感光体クリーナCL内に回収されたトナーが外にこぼれ出るのを防止する。
【0017】
図2において、プリンタUの下部の給紙トレイTR1には、媒体取り出し部材の一例としてのピックアップロールRpが配置されている。前記ピックアップロールRpにより取出された記録シートSは、媒体さばき部材の一例としてのリタードロールおよび給紙ロールを有するさばきロールRsにより1枚づつ分離されて、シート搬送路SHに沿って配置された媒体搬送部材の一例としてのシート搬送ロールRaにより搬送され、転写領域Q4のシート搬送方向の上流側に配置された時期調節部材の一例としてのレジロールRrにより予め設定されたタイミングで、転写領域Q4に搬送される。
【0018】
前記コントローラCにより動作が制御される電源装置E等から転写電圧が印加される転写ロールTrは、転写領域Q4を通過する記録シートSに感光体PR上のトナー像を転写する。
前記転写領域Q4においてトナー像が転写された記録シートSは、トナー像が未定着の状態で定着装置Fに搬送される。前記定着装置Fは定着部材の一例としての一対の定着ロールFh,Fpを有し、前記一対の定着ロールFh,Fpの圧接領域によって定着領域Q6が形成される。前記定着装置Fに搬送された記録シートSは、定着領域Q6において一対の定着ロールFh,Fpによりトナー像が定着される。定着トナー像が形成された記録シートSは、媒体案内部材の一例としてのシートガイドSG1,SG2によってガイドされ、排出部材の一例としての排出ロールR1からプリンタ本体U1上面の前記排出トレイTRhに排出される。
【0019】
(現像ロールの説明)
図3は実施例1の現像装置の要部拡大図である。
図3において、実施例1の現像ロールGaは、磁石部材の一例として、現像容器Vに固定支持され且つ左右方向に延びる円柱状の磁石ロール1を有する。前記磁石ロール1の外周には、回転部材の一例として、左右方向に延びる円筒状の現像スリーブ2が現像容器Vに回転可能に支持されている。
【0020】
実施例1の磁石ロール1には、現像領域Q3に対応して、第1の磁極の一例としての現像磁極N1が配置されている。前記現像磁極N1に対して現像スリーブ2の回転方向の下流側には、現像磁極N1とは逆極性の搬送磁極S1が配置されており、搬送磁極S1に対して現像スリーブ2の回転方向の下流側には、剥離磁極の一例として、剥離部材Gfに対応して搬送磁極S1と逆極性のピックオフ磁極N2が配置されている。現像スリーブ2の回転方向に対して、ピックオフ磁極N2の下流側且つ層厚規制部材Geの上流側には、第2の磁極の一例であって吸着磁極の一例として、ピックオフ磁極N2と同極性のピックアップ磁極N3が配置されている。
なお、実施例1では、一例として、現像磁極N1が120[mT]〜150[mT]、搬送磁極S1が80[mT]、ピックアップ磁極N2およびピックオフ磁極N3が50[mT]に設定されているが、数値はこれに限定されず、設計や仕様等に応じて任意に変更可能である。
また、実施例1の磁石ロール1では、層厚規制部材Geと現像スリーブ2とが対向する規制領域の一例としてのトリミング領域3に対応する位置には、磁極が配置されていない。
【0021】
図4は実施例1の現像スリーブの要部説明図である。
図4において、実施例1の現像スリーブ2は、回転部材本体の一例として、非磁性材料により構成されたスリーブ本体6を有する。なお、実施例1のスリーブ本体6は、非磁性且つ導電性の材料の一例としてのアルミニウムが使用されているが、アルミニウムに限定されず、例えば、非磁性ステンレスや導電性樹脂等の非磁性且つ導電性の任意の材料を使用可能である。
実施例1のスリーブ本体6の外周面には、軸方向に沿って延びる複数の溝部6aが、周方向に予め設定された間隔をあけて形成されている。各溝部6aには、磁性材料製の磁化部6bが形成されている。なお、実施例1の磁化部6bは、磁性材料の一例としての鉄が使用されているが、鉄に限定されず、例えば、フェライトや酸化クロム等の常磁性体、いわゆる磁石以外の任意の磁性材料を使用可能であり、特に、残留磁化が大きい材料が好ましい。また、前記磁化部6bの作製方法は、特に限定されず、従来公知の任意の作製方法で作成可能であり、例えば、棒状や帯状の磁性材料を溝部6aに接着剤等で固定したり、粉状の磁性材料に接着剤が添加されたペースト状態の材料を溝部6aに詰めて固めたり、エッチングで形成する等、材料を塗布する方法など任意の方法が採用可能である。
【0022】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1のプリンタUでは、画像形成が行われると、帯電された感光体PRの表面に潜像が形成され、現像装置Gで可視像に現像されて、転写領域Q4を記録シートSが通過する際に転写され、定着装置Fで定着される。
図3において、実施例1の現像装置Gでは、現像容器V内の現像剤は、磁石ロール1のピックアップ磁極N3の磁界の磁力で吸着されて現像スリーブ2の表面に吸着される。そして、現像スリーブ2の回転に伴って、現像スリーブ2の表面に付着して下流側に搬送される。
【0023】
図5は実施例1の現像スリーブの磁化部の着磁の説明図である。
図5において、現像スリーブ2の回転に伴って、磁化部6bがピックアップ磁極N3を通過する際に、各磁化部6bはピックアップ磁極N3の磁力を受けて着磁する。したがって、着磁された磁化部6bの残留磁化に伴う磁力に現像剤が吸着、保持されて下流側に搬送される。
図3において、層厚規制部材Geと対向するトリミング領域3において、現像スリーブ2の表面に保持された現像剤の層の厚さが規制され、現像領域Q3に搬送される。現像領域Q3では、現像磁極N1の磁界に応じて、表面の現像剤は穂立ちして現像に使用される。現像後の現像スリーブ2の表面の現像剤は、現像磁極N1と搬送磁極S1との間の磁界や、搬送磁極S1とピックオフ磁極N2との間の磁界に伴う磁力で現像スリーブ2の表面に吸着、保持され、下流側に搬送される。そして、ピックオフ磁極N2とピックアップ磁極N3との間では、同一のN極の磁極どうしの間で磁力が弱くなると共に、剥離部材Gfに掻き取られて、現像剤が現像スリーブ2の表面から離脱し、現像容器V内に戻され、再び循環搬送部材Gb,Gcで撹拌される。
【0024】
図6は従来の現像装置の説明図である。
図6において、従来の現像装置では、磁石ロール01には、層厚規制部材02に対応する位置に層厚規制磁極03が配置されており、層厚規制磁極03とピックアップ磁極04との間の磁界で現像剤を現像スリーブ06の表面に吸着した状態で搬送していた。したがって、現像剤が層厚規制部材02で規制されても、層厚規制磁極03とピックアップ磁極04との間の磁界を受けて、現像スリーブ06の回転方向に対して層厚規制部材02の上流側に滞留しやすかった。したがって、滞留した現像剤に対して、現像スリーブ06の表面に吸着された現像剤が上流から送り込まれることとなり、層厚規制部材02の上流側で現像剤が受ける圧力が過剰になりやすかった。よって、現像剤が劣化したり、過大な圧力を受けて層厚規制部材02が変形して現像剤の層の厚さが変動したりする問題があった。
【0025】
これに対して、実施例1の現像装置Gでは、層厚規制磁極03に対応する磁極が省略されており、ピックアップ磁極N3で着磁された磁化部6bに吸着され、図6に示す従来の構成に比べて少ない現像剤が層厚規制部材Geの位置に搬送される。ここで、現像剤を現像スリーブ06に吸着させるための磁界も発生させるために、100mT程度の大きさの層厚規制磁極03を有する従来の構成に比べて、ピックアップ磁極N3で着磁される磁化部6bは、磁力が弱くなる。したがって、磁化部6bに保持される現像剤自体が少なく、それに伴って、規制される現像剤も少なくなると共に、磁力の弱い磁化部6bに規制された現像剤が保持されにくく、層厚規制部材Geの上流側に滞留することが低減される。よって、実施例1の現像装置Gでは、層厚規制部材Geの上流側で滞留する現像剤に作用する圧力が低減され、現像剤の劣化が低減されると共に、層厚規制部材Geの変形に伴う層厚の変動が低減される。
【0026】
また、特許文献1〜4に記載されているような微小ピッチ着磁された構成では、磁力が弱く、現像領域Q3において、現像剤を保持する力が弱くなる。したがって、磁力不足に伴ってキャリアが感光体PRに移動する現象、いわゆるキャリア付着や現像剤が過剰に感光体PRに移動する現象が発生しやすく、画質が低下する問題があった。これに対して、実施例1のプリンタUでは、現像領域Q3に対応して現像磁極N1が配置されており、現像磁極N1の磁界を受けてキャリアが感光体PRに移動することが低減される。したがって、画質が低下することが低減されている。
【0027】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H05)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としてのプリンタを例示したが、これに限定されず、例えば、複写機、FAX、あるいはこれらの複数または全ての機能を有する複合機等により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、前記プリンタUは、単色の現像剤が使用される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、2色以上の多色の画像形成装置にも適用可能である。また、感光体PRから記録シートSに、転写装置の一例としての転写ロールTrにより直接画像が転写される構成を例示したが、これに限定されず、中間転写体や一次転写器、二次転写器等からなる転写装置を使用する構成に適用することも可能である。
【0028】
(H03)前記実施例において、磁化部6bは、軸方向に延びる帯状の構成を例示したが、これに限定されず、例えば、現像スリーブ2の外表面に粒状、円状の複数の磁化部6bが散在、点在するような構成としたり、軸方向ではなく軸方向に対して傾斜する形状等、任意の変更が可能である。
(H04)前記実施例において、磁極N1〜N3、S1の極性や数は、設計に応じて任意に変更可能である。例えば、搬送磁極S1を無くしたり、層厚規制部材Geの下流側且つ現像磁極N1の間に搬送磁極を追加したり、或いは、現像磁極N1とピックオフ磁極N2との間に2つ以上の搬送磁極を設けたり、層厚規制部材Geの上流側且つピックアップ磁極N3の下流側に搬送磁極を追加する等の変更が可能である。また、ピックオフ磁極N2は設けることが望ましいが、剥離部材Gfで剥離可能である場合には省略することも可能である。
【0029】
(H05)前記実施例において、剥離部材Gfは設けることが望ましいが、ピックオフ磁極N2とピックアップ磁極N3との間の磁界で現像剤の剥離がかのうであれば、省略することも可能である。
【符号の説明】
【0030】
1…磁石部材、
2…回転部材、
3…規制領域、
6…回転部材本体、
6b…磁化部、
F…定着装置、
G…現像装置、
Ga…現像剤保持体、
Ge…層厚規制部材、
LH…潜像形成装置、
N1…第1の磁極、
N1,N2,N3,S1…磁極、
N3…第2の磁極、
PR…像保持体、
Q3…現像領域、
S…媒体、
Tr…転写装置、
U…画像形成装置、
V…現像容器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に現像剤が収容された現像容器と、
表面に潜像が形成された像保持体に対向して配置された現像剤保持体であって、複数の磁極を有する磁石部材と、前記磁石部材の回りを回転可能に支持された回転部材と、を有し、前記現像容器内の現像剤を前記回転部材の表面に保持して、前記像保持体と対向する現像領域に搬送して、前記像保持体の潜像を可視像に現像する前記現像剤保持体と、
前記現像領域に対して前記回転部材の回転方向の上流側に配置され、前記回転部材の表面に保持された現像剤の層の厚さを規制する層厚規制部材と、
前記現像領域に対応して配置された第1の磁極と、前記回転部材と前記層厚規制部材とが対向する規制領域に対して前記回転部材の回転方向の上流側に配置されて前記現像容器内の現像剤を前記回転部材の表面に吸着させる第2の磁極と、を有し、前記規制領域に対応する位置に磁極が配置されていない前記磁石部材と、
前記磁石部材の回りを回転可能に支持された非磁性の回転部材本体と、前記回転部材本体の回転方向に沿って間隔をあけて複数配置された磁性材料製の磁化部であって、前記第2の磁極の位置を通過する際に前記第2の磁極の磁力を受けて着磁され且つ残留磁化で現像剤を保持する前記磁化部と、を有する前記回転部材と、
を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
回転する像保持体と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体の表面の潜像を可視像に現像する請求項1に記載の現像装置と、
前記像保持体の表面の可視像を媒体に転写する転写装置と、
前記媒体に転写された可視像を定着させる定着装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−189957(P2012−189957A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55579(P2011−55579)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】