説明

現像装置および画像形成装置

【課題】像担持体に付着したキャリアをキャリア回収ローラにて回収するに際して、回収効率を高めることができる手段を提供すること。
【解決手段】像担持体1対向して配設された多段の現像剤担持体を有し、像担持体1の回転方向Gでの最上流側の第1現像剤担持体5は、回転可能な第1現像剤支持手段81とこれに内包される第1磁界発生手段82を有し、最下流側に位置する第2現像剤担持体91は、回転可能な第2現像剤支持手段90と、この第2現像剤支持手段90に内包され、固定された第2磁界発生手段93を有し、該第2磁界発生手段93は、前記像担持体1と該第2現像剤担持体91との近接位置で磁極を具備し、現像剤の穂が潜像担持体1に接触していることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および該現像装置を用いた複写装置、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ、複合機、等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現像装置および該現像装置を用いた複写装置、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ、複合機、等の画像形成装置においては、潜像担持体である感光体上に形成された静電潜像を現像装置により可視像化処理をし、可視像をシートなどに転写することにより記録出力を得ることができる。
【0003】
現像に用いられる現像剤には、磁性あるいは非磁性トナーのみの一成分系現像剤の他にトナーとキャリアとを混合した二成分系現像剤がある。二成分系現像剤は、トナーとこれを担持するキャリアとで構成され、攪拌混合時に生起される摩擦帯電作用によりトナーを帯電させて感光体上の静電潜像に対して静電吸着できる状態にされる。
【0004】
現像装置には、磁力により周面に現像剤を穂立ちさせて感光体上の静電潜像に向け現像剤を供給する現像剤担持体としての現像スリーブと、現像スリーブに対して撹拌混合した現像剤を供給するスクリューオーガ等の撹拌部材とを備えた構成が知られている。
【0005】
<従来技術1>
特許文献1には現像装置として、現像ローラ内部に磁石ローラを具備し、この磁石ローラを高速で回転させて現像剤を攪拌しながら搬送し、現像領域で複数回の現像を行うことにより現像効率を上げ、また帯電効率もよくするものが提案されている。
【0006】
この特許文献1の現像装置は、磁石ローラに異なる極性の磁極が偶数個、配置され、該磁石ローラが現像ローラの断面中心に対して感光体に対し接近する向きに自らの断面中心を偏心させて配置されている。このため、一度現像した現像剤が剤分離されるので、連れ回って再び現像領域に搬送されるから画像濃度不足を生じない。しかし、この種の現像装置では磁石ローラの回転により現像ローラ上で磁気ブラシが激しく自転し、その遠心力によりキャリアが飛散し、感光体に付着するキャリア付着がより深刻な問題となる。
【0007】
その対策として、例えば上記キャリアを回収する手段として、今までのキャリア回収ローラを感光体および現像ローラ近傍に配置した場合、磁石ローラの交番磁場とキャリア回収ローラの磁場が干渉し、吸引と反発を繰り返すため多大な振動を発生させてしまう。この振動は感光体や露光装置に伝播し、バンディング画像を発生させる。また、騒音の発生や、現像装置の寿命低下も引き起こし、さらに、磁場の干渉により現像剤の溢れを生ずる場合もある。
【0008】
これらの問題は、キャリア回収ローラの磁場を低減させることにより改善されるものの、キャリア回収ローラの磁場を低減させると、こんどはキャリア回収効率が低下してしまう。
【0009】
a:そこで、キャリア回収ローラの磁場は低下させずに、キャリア回収ローラを現像ローラから十分離れた位置に配置した場合、上記キャリア回収効率の問題は改善されるものの、画像形成装置が大型化し、回収したキャリアを現像装置に戻すのに複雑な機構が必要となってしまう。回収したキャリアをキャリア溜めに溜めて現像装置に戻さない場合は現像装置内のキャリアが次第に減少してしまう。
【0010】
b:キャリア回収ローラで上記キャリアを回収するために静電気力を増加させると感光体上のトナー像を乱してしまう。
【0011】
c:キャリア回収磁極の磁気力を十分に増加させれば上記キャリアの回収は可能となる。しかし、キャリア回収ローラ上で回収したキャリアを搬送できずに擦れ画像が発生する。この擦れ画像は、キャリア回収ローラ表面が平滑でかつキャリア回収磁極の磁気力が高いとキャリアがスリップし、溜まっていくために発生する。これを避けるためには、弾性を有した薄板状のスクレーパ先端をキャリア回収ローラに当接させキャリア回収ローラからキャリアを剥離すればよいが、そのためにはキャリア回収ローラの表面を平滑にする必要があり製造コストを引き上げてしまう。
【0012】
d:一方で、キャリア回収ローラ表面に溝を形成しキャリアの搬送性を向上させたキャリア回収ローラも提案されている。しかし、前述したようにスクレーパの使用はキャリア回収ローラの表面の平滑化を伴うという制約があるためキャリアを完全に剥離することは困難で、結句、キャリアはキャリア回収ローラの回転とともに連れ回り、再びキャリア回収磁極付近に到達した際に穂立ちが発生し感光体上のトナー像を擦ることによる擦れ画像を生じさせるおそれがある。
【0013】
<従来技術2>
特許文献2には現像装置として、現像スリーブ(71)と磁気ローラ(72)を回転させる現像装置においてキャリア付着による弊害を除去する目的で、現像スリーブ(71)に近接してキャリア回収ローラ(76)、キャリア回収ローラ(76)の内部には回転自在な磁気ローラ(77)を収納し、磁気ローラ(77)は磁気ローラ(72)の磁力にて同期回転する現像装置が開示されている。
【0014】
しかし、この構成では、磁気ローラ(77)と磁気ローラ(72)の磁場干渉により多大な振動が発生し、磁場干渉による種々の課題(振動が感光体や露光装置に伝播しバンディング画像となる、騒音が発生する、現像装置の寿命が低下する、現像剤が溢れる、等)を解消できない。
【0015】
また、現像スリーブ(71)に隣接配置されたキャリア回収ローラ(76)の外周面にはスクレーパ(78)の先端が圧接されている。キャリア回収ローラ(76)の外周面に捕獲したキャリアは磁気ローラ(77)の同期回転により搬送されスクレーパ(78)にて掻き取られる。しかし、回収ローラの磁気力を十分に増加させるとキャリアをスクレーパ(78)にて掻き取ることが困難となり、キャリア回収ローラの回転とともに連れ回り、再びキャリア回収磁極付近に到達した際に穂立ちが発生し感光体上のトナー像を擦ることによる擦れ画像を発生させるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、前記従来技術における問題に鑑み、像担持体に付着したキャリアをキャリア回収ローラにて回収するに際して、回収効率を高めることができる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、前記目的を達成するため、以下の構成とした。
(1):本発明の第1の手段は、像担持体に形成されている静電潜像に対してトナーとキャリアとを含む二成分系現像剤を供給する現像剤担持体を備えた現像装置であって、
前記像担持体に対向して配設された複数段の現像剤担持体を有し、
前記複数段の現像剤担持体のうち、前記像担持体の回転方向最上流側の第1現像剤担持体は、回転可能な第1現像剤支持手段と、この第1現像剤支持手段に内包される、現像剤を穂立ちさせて搬送させる磁極を備え回転可能な第1磁界発生手段を有し、
前記複数段の現像剤担持体のうち前記像担持体の回転方向最下流側に位置する第2現像剤担持体は、回転可能な第2現像剤支持手段と、この第2現像剤支持手段に内包され、固定された第2磁界発生手段を有し、
該第2磁界発生手段は、前記像担持体と該第2現像剤担持体との近接位置で磁極を具備し、現像剤の穂が潜像担持体に接触していることとした。
第2現像剤担持体としての下流の現像ローラ(回収ローラ)の磁気ブラシが像担持体である感光体に接触していることで、上流の第1現像剤担持体としての現像ローラで像担持体(感光体)に付着したキャリアを回収ローラから漏れなく回収し回収率を上げることができる。なお、実施形態では2段の現像ローラで示したがこれに限らず、多段現像ローラでもよく、最下段のローラを回収ローラとする場合も当然同様の技術的利益が得られ、本発明の範囲に入る。
(2):本発明の第2の手段は、(1)に記載の現像装置において、
前記第2磁界発生手段は、前記第1現像剤担持体と対向する位置には磁極を具備せず、
前記第2現像剤支持手段は、前記像担持体と対向部ですれ違う向きに回転することとした。前記第2現像剤支持手段と前記像担持体とは同じ方向に回転するので対向面では互いにすれ違う関係になる。
下流の現像ローラ(回収ローラ)をカウンター回転とすることで、上流の第1現像剤担持体(現像ローラ5)である所謂マグスリーブ両回転ローラ近傍に磁極を置く必要がなく、磁場干渉による振動を起こすことなく、感光体に付着したキャリアを再度付着・回収することが可能になる。
(3):本発明の第3の手段は、(1)又は(2)に記載の現像装置において、
前記第1磁界発生手段は、前記第1現像剤担持体と逆方向に回転可能とした。
現像剤支持手段と磁界発生手段が相対方向に回転することで、現像剤が搬送中により攪拌され、現像効率、帯電効率がさらに上がる。
(4):本発明の第4の手段は、(1)乃至(3)の何れか1つに記載の現像装置において、
前記第1磁界発生手段は、前記第1現像剤担持体の断面中心に対して前記像担持体に対して接近する向きに自らの断面中心を偏心させて配置されていることとした。
偏心配置したことで、上流側の第1現像剤担持体(マグスリーブ両回転ローラ)からの現像剤の分離が容易になる。また上下ローラの磁場干渉による振動をより低減できるため、下ローラの磁場波形に余裕ができる。
(5):本発明の第5の手段は、画像形成装置について、(1)乃至(4)の何れか1つに記載の現像装置を備えていることとした。
(6):本発明の第6の手段は、(5)に記載の画像形成装置について、少なくとも前記現像装置および像担持体が纏めて収容されるプロセスカートリッジを備えることとした。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、像担持体に付着したキャリアを第2現像剤担持体としてのキャリア回収ローラにて回収するに際して、従来技術よりも回収効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】画像形成装置の概略構成を説明した図である。
【図2】プロセスカートリッジを構成する現像装置及び感光体の長手方向略中央部での断面を拡大して示した図である。
【図3】現像装置内における現像剤の搬送経路を示す部分斜視図である。
【図4】現像装置の外観斜視図である。
【図5】図3における感光体、現像ローラ、キャリア回収ローラ、供給スクリューまわりの現像剤の搬送経路を拡大して示した図である。
【図6】図5における感光体、現像ローラ、キャリア回収ローラまわりの現像剤の状態を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付すことにより、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0021】
この発明の構成・動作を実施例に沿って説明する。
なお、以下の記載は例であり、特許請求の範囲を限定するものではない。
また当業者は本発明の特許請求の範囲内で変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であるが、これらの変更・修正は当然この特許請求の範囲に含まれる。
【0022】
[画像形成装置]
図1において、画像形成装置としての複写機500は、大きく分けて、上下方向中ほどにプリンタ部100、該プリンタ部100の下方に給紙装置200、該プリンタ部100の上方にスキャナ300等をそれぞれ固定した構成となっている。また、スキャナ300の上には原稿自動給送装置400が固定されている。
【0023】
プリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kからなる画像形成ユニットを備えている。
【0024】
プロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kにおける各符号の数字の後に付されたY,M,C,Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している(以下同様)。プロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kの他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。
【0025】
光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述の感光体の表面にレーザ光Lbを照射する。プロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kは、それぞれが、画像形成に必要な機器類を備えた一体的なユニットとして構成されている。
【0026】
以下、イエロー用のプロセスカートリッジ18Yについて説明する。
イエロー用のプロセスカートリッジ18Yは静電潜像及びトナー画像を担持する像担持体としてのドラム状をした感光体1Y、帯電器2Y、現像装置4Y、ドラムクリーニング装置28Y、除電器などを有し、一体的なユニットとして複写機本体に対して着脱可能に構成されている。他のプロセスカートリッジ18M,18C,18Kについても同様に感光体1M,1C,1K、帯電器2M,2C,K、現像装置4M,4C,4K、ドラムクリーニング装置28M,28C,28K等を有している。
【0027】
なお、プロセスカートリッジとしては、少なくとも現像装置と感光体とを備えたユニット構成であれば、ユニットとして複写機本体に着脱可能であり、メンテナンスに便利である。
【0028】
帯電手段たる帯電器2Yによって、感光体1Yの表面は一様に帯電される。帯電処理が施された感光体1Yの表面には、光書込ユニット21によって変調及び偏向されたレーザ光Lbが照射される。これにより、照射部(露光部)の感光体1Yの表面の電位が減衰する。この表面の電位の減衰により、感光体1Y表面にY用の静電潜像が形成される。形成されたY用の静電潜像は現像手段たる現像装置4Yによって現像されてYトナー像となる。
【0029】
Y用の感光体1Y上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後の感光体1Yの表面は、ドラムクリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。
【0030】
Y用のプロセスカートリッジ18Yにおいて、ドラムクリーニング装置28Yによってクリーニングされた感光体1Yは、除電器によって除電され初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他のプロセスカートリッジ18M,18C,18Kについても同様である。
【0031】
次に、中間転写ユニット17について説明する。
中間転写ユニット17は、中間転写ベルト110やベルトクリーニング装置97等を有している。また、張架ローラ14、駆動ローラ15、二次転写バックアップローラ16、4つの一次転写バイアスローラ62Y,62M,62C,62Kなども有している。
【0032】
中間転写ベルト110は、張架ローラ14を含む複数のローラによって張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって図中時計回りの向きに回転および無端移動させられる。
【0033】
4つの一次転写バイアスローラ62Y,62M,62C,62Kは、それぞれ中間転写ベルト110の内周面側に接触するように配設され、図示しない電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト110をその内周面側から感光体1Y,1M,1C,1Kに向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体1と一次転写バイアスローラ62との間に一次転写電界が形成される。
【0034】
Y用の感光体1Y上に形成された上述のYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の作用によって中間転写ベルト110上に一次転写される。このYトナー像の上には、M,C,K用の感光体1M,1C,1K上に形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト110上には多重トナー像たる4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0035】
中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像は、後述の二次転写ニップ22NPで図示しない記録体たる転写紙に二次転写される。二次転写ニップ22NP通過後の中間転写ベルト110の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ15との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置97によってクリーニングされる。
【0036】
二次転写装置22について説明する。
図1において、中間転写ユニット17の下方には、紙搬送ベルト24が2本の張架ローラ23によって張架されている。紙搬送ベルト24は、これを張架する少なくとも左右何れか一方の張架ローラ23の回転駆動に伴って、図中反時計回りに無端移動せしめられる。
【0037】
2本の張架ローラ23のうち、図中右側に配設された一方の張架ローラ23は、中間転写ユニット17の二次転写バックアップローラ16との間に、中間転写ベルト110及び紙搬送ベルト24を挟み込んで二次転写装置22を構成している。この挟み込みにより、中間転写ユニット17の中間転写ベルト110と、二次転写装置22の紙搬送ベルト24とが接触する二次転写ニップ22NPが形成されている。
【0038】
ここで、紙搬送ベルト24を支持する2つの張架ローラ23のうち、一方の張架ローラ、本例では右側の張架ローラ23には、トナーと逆極性の二次転写バイアスが図示しない電源によって印加される。この二次転写バイアスの印加により、二次転写ニップ22NPには中間転写ユニット17の中間転写ベルト110上の4色トナー像をベルト側からこの一方の張架ローラ23側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。
【0039】
一方、レジストローラ対49より、中間転写ベルト110上の4色トナー像に同期するように二次転写ニップ22NPに向けて送り込まれる転写紙に、この二次転写バイアスによる電界やニップ圧の影響を受けた4色トナー像が二次転写される。なお、上記例のように張架ローラ23に二次転写バイアスを印加する二次転写方式に代えて、転写紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。
【0040】
複写機500本体の下部に設けられた給紙装置200には、内部に複数の転写紙を紙束の状態で複数枚重ねて収容可能な給紙カセット44が、鉛直方向に複数重なるように配設されている。それぞれの給紙カセット44は、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ42を押し当てている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の転写紙を給紙路48に向けて送り出される。
【0041】
給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路48は、複数の搬送ローラ対47と、給紙路46内の末端付近に設けられたレジストローラ対49とを有している。そして、転写紙をレジストローラ対49に向けて搬送する。レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、中間転写ユニット17において、中間転写ベルト110上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って二次転写ニップ22NPに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ転写紙を二次転写ニップ22NPにて4色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。
【0042】
これにより、二次転写ニップ22NPでは、中間転写ベルト110上の4色トナー像が転写紙に密着する。そして、転写紙上に二次転写されて、白色の転写紙上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像を担持した転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って二次転写ニップ22NPを出た後、紙搬送ベルト24上から定着装置25に送られる。
【0043】
定着装置25は、定着ベルト26を2本のローラによって張架しながら無端移動せしめるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。これら定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおける2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、これの発熱によって定着ベルト26を加熱する。加熱された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着される。
【0044】
定着装置25内で定着処理が施された転写紙は、複写機500の外装を構成するプリンタ筐体の図中左側板の外側に設けたスタック部57上にスタックされるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために上述の二次転写ニップ22NPに戻されるかの何れかの搬送形態が選択される。
【0045】
図示しないシート原稿の束からコピーをとる際には、シート原稿の束が原稿自動搬送装置400の原稿台30上にセットされる。但し、その原稿が本状に綴じてある片綴じ原稿の場合には、コンタクトガラス32上にセットされる。このセットに先立ち、複写機本体に対して原稿自動搬送装置400が上方に開かれ、スキャナ300のコンタクトガラス32が露出される。この後、原稿自動搬送装置400を閉じることに伴い片綴じ原稿が押さえられる。
【0046】
このようにして原稿がセットされた後、図示しないコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ300による原稿読取動作がスタートする。但し、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿をコンタクトガラス32まで自動移動させる。
【0047】
原稿読取動作では、まず、第1走行体33と第2走行体34とがともに走行を開始し、第1走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体34内に設けられたミラーによって反射されて結像レンズ35を通過した後、読取センサ36に入射される。入射光を受けた読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0048】
このような原稿読取動作と並行して、各プロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18K内の各機器や、中間転写ユニット17、二次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、各感光体1Y,1M,1C,1K上に、Y,M,C,Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
【0049】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置200内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、複数設置された給紙ローラ42の1つが選択回転せしめられ、ペーパーバンク43内に多段に収容される給紙カセット44の1つから転写紙が送り出される。
【0050】
送り出された転写紙は、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて搬送ローラ対47によって二次転写ニップ22NPに向けて搬送される。このような給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51より給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択回転して手差しトレイ51上の転写紙を送り出した後、分離ローラ52が転写紙を1枚ずつ分離してプリンタ部100の手差し給紙路53に給紙する。
【0051】
複写機500において、2色以上のトナーからなる多色画像を形成する場合には、中間転写ベルト110をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面に全ての感光体1Y,1M,1C,1Kを接触させる。
【0052】
これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト110の上部張架面をK用の感光体1Kに接触したままで、中間転写ベルト110を図中左下に傾けた姿勢にして、その上部張架面をY,M,C用の感光体1Y,1M,1Cから離間させる。そして、4つの感光体1Y,1M,1C,1Kのうち、K用の感光体1Kだけを図中反時計回りに回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、感光体1Y,1M,1Cについては、感光体1だけでなく、現像装置4も駆動を停止させて、感光体1や現像装置4の各部材及び現像装置4内の現像剤の不要な消耗を防止する。
【0053】
複写機500は、当該複写機500内の各機器の制御を司るCPU等から構成される図示しない制御部と、液晶ディスプレイや各種キーボタン等などから構成される図示しない操作表示部とを備えている。操作者は、この操作表示部に対するキー入力操作により、制御部に対して命令を送ることで、転写紙の片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードについて、3つのモードの中から1つを選択することができる。この3つの片面プリントモードとは、ダイレクト排出モードと、反転排出モードと、反転デカール排出モードとからなる。
【0054】
[現像装置及び感光体]
図2は、図1に示したプリンタ部100のうち、4つプロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kにそれぞれ装備されている現像装置4及び感光体1を取り出して示している。
【0055】
図2において、4つのプロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kは、それぞれ扱うトナーの色が異なる点以外はほぼ同様の構成になっているので、同図では現像装置を示す符号「4」や感光体を示す符号「1」に付すY,M,C,Kという添字を省略している。
【0056】
図2に示すように感光体1は図中矢印G方向に回転しながら、その表面を不図示の帯電装置により帯電される。帯電された感光体1の表面には、図1に示した露光手段である光書き込みユニット21より照射されるレーザ光Lbにより静電潜像が形成される。この静電潜像に現像装置4からトナーが供給されて、トナー像が形成される。
【0057】
現像装置4は、現像剤担持体としての現像ローラ5を有している。現像ローラ5は、現像スリーブ81が図中時計回りの向きである矢印H方向に回転して現像剤を搬送しながら感光体1の表面に形成されている静電潜像に対してトナーとキャリアを含む二成分現像剤を供給し、該静電潜像を可視像化する、所謂現像を行う。
【0058】
現像ローラ5は対向して配置された感光体1の回転方向Gでの上流側と下流側に配設された複数(本例では2つ)の現像剤担持体のうちの最上流側に配設された第1段目の第1現像剤担持体である。
【0059】
現像ローラ5は外周部に、時計回りの向きである矢印H方向に回転可能な第1現像剤支持手段としての現像スリーブ81を備える。現像スリーブ81は第1磁界発生手段としての磁石ローラ82を内包している。磁石ローラ82は現像スリーブ81とは逆に図中、反時計回りの向きの矢印A方向に回転可能で、磁気発生手段としての偶数の磁極を有している。
【0060】
感光体1の進行方向(回転方向)を示す反時計回りの向きの矢印Gの方向上、現像ローラ5と感光体1との対向部よりも下流側であって、現像ローラ5および感光体1に近接した位置にはもう一つの現像剤担持体であるキャリア回収ローラ13が設けられている。
【0061】
キャリア回収ローラ13は前記複数(本例では2つ)の現像剤担持体のうちの最下流側に配設された第2段目の第2現像剤担持体である。キャリア回収ローラ13も現像ローラ5と同様に、外周部に回転可能な第2現像剤支持手段としてのキャリア回収スリーブ90を備える。キャリア回収スリーブ90は、複数の固定磁極からなる複合磁石93(図5、図6参照)を備える第2磁界発生手段としてのキャリア回収磁石ローラ91を内包している。このように、キャリア回収ローラ13はキャリア回収スリーブ90とその内側のキャリア回収磁石ローラ91からなる。キャリア回収スリーブ90は図5、図6において、感光体1との対向部が感光体1とすれ違う向き(カウンター方向)の矢印Jの方向(反時計回りの向き)に回転される。
【0062】
キャリア回収スリーブ90の回転方向である矢印J方向上、感光体1との対向近接部よりも上流にはドクタブレード111が設けられ、感光体1から回収したキャリアを回収スクリュー6に回収するようにしている。
【0063】
感光体1に付着したキャリアはキャリア回収ローラ13にて回収される。キャリア回収ローラ13に回収されたキャリアは、キャリア回収磁石ローラ91の磁気力とキャリア回収スリーブ90回転により現像装置4内へ戻される。現像ローラ5およびキャリア回収ローラ13は本発明の特徴部であり詳細は後述する。
【0064】
現像装置4は供給スクリュー8を有している。供給スクリュー8は、現像ローラ5に現像剤を供給しながら該現像ローラ5の軸線方向に沿って図2に示す紙面の奥側(以下、便宜上、図中奥側あるいは図2中奥側と称する場合もある)に向けて現像剤を搬送する供給搬送路9を構成する。
【0065】
現像ローラ5の供給スクリュー8との対向部から現像剤搬送方向Hの下流側は第二仕切り壁134により仕切られている。第二仕切り壁134は供給搬送路9を現像ローラ周面に連通させる樋9’の側壁を構成している。
【0066】
現像ローラ5の感光体1との対向部である現像領域よりも現像スリーブ81に沿って時計回りの向きに進んだ位置(現像剤搬送方向H下流側)には、回収スクリュー6が現像ローラ5と対向配置されている。現像領域を通過し現像ローラ5の表面から離脱した現像済みの現像剤は回収スクリュー6に沿って形成される回収搬送路7をたどり回収される。
【0067】
図3にも示すように、回収搬送路7を形作る回収スクリュー6は、回収した回収現像剤を現像ローラ5の軸線方向に沿って供給スクリュー8と同方向に搬送する回収搬送部材として機能する。また、供給スクリュー8の軸線方向に平行に配置された螺旋状のスクリューを備えている。供給スクリュー8に沿って形作られる供給搬送路9は現像ローラ5の上方に、そして回収スクリュー6に沿う回収搬送路7は現像ローラ5の下方に並設されている。
【0068】
現像装置4には、図2の紙面奥行き方向に平行して設けられた供給搬送路9及び回収スクリュー6に沿う回収搬送路7に並列して攪拌搬送路10が設けられている。攪拌搬送路10は、図2の紙面奥行き方向奥側では高さ位置が相対的に低い回収搬送路7と同じ高さ、同手前側では高さ位置が相対的に高い供給搬送路9と同じ高さになるよう構成されている。したがって、攪拌搬送路10は図3にも示すように、紙面奥行き方向奥側(低)から同紙面奥行き方向手前側(高)を結ぶ傾斜した経路を構成している。
【0069】
攪拌搬送路10は攪拌スクリュー11に沿った搬送路である。攪拌スクリュー11は、現像ローラ5の軸線方向に沿って現像剤を攪拌しながら供給スクリュー8とは逆方向である、図2に示す紙面の手前側(以下、便宜上、図中手前側と称する場合もある)に向けて搬送する攪拌搬送部材である。攪拌スクリュー11は、軸線方向に傾斜状に配置された螺旋状のスクリューを備えていて、その回転により、図2、図3において現像剤を攪拌しつつ奥側から手前側へ搬送する。
【0070】
図2において、供給搬送路9と攪拌搬送路10との間は仕切り部材としての第一仕切り壁133によって仕切られているが、図中手前側の端部では、供給搬送路9と攪拌搬送路10とを連通するように供給開口部と呼ばれる開口部を形成している。図中手前側で、供給搬送路9と攪拌搬送路10とは該開口部を介して連通していて、攪拌搬送路10から供給搬送路9へ現像剤が受け渡される。この受け渡しの経路を図3において矢印Dで示す。
【0071】
図2において、供給搬送路9と回収搬送路7との間はその長手方向で、仕切り部材としての第二仕切り壁134によって仕切られているが、図中奥側の端部では、供給搬送路9と回収搬送路7とを連通するように余剰開口部と呼ばれる開口を形成している。図中奥側で、供給搬送路9と回収搬送路7とは該開口部を介して連通していて、供給搬送路9から回収搬送路7へ現像剤が受け渡される。この受け渡しの経路を図3において矢印Eで示す。
【0072】
図2において、攪拌搬送路10と回収搬送路7との間はその長手方向で、は仕切り部材としての第三仕切り壁135によって仕切られているが、図中奥側の端部では、攪拌搬送路10と回収搬送路7と連通するように回収開口部と呼ばれる開口部を形成している。図中奥側で攪拌搬送路10と回収搬送路7とは該開口部を介して連通していて、回収搬送路7から攪拌搬送路10へ現像剤が受け渡される。この受け渡しの経路を図3において矢印Fで示す。
【0073】
現像剤搬送部材である供給スクリュー8、回収スクリュー6及び攪拌スクリュー11は、樹脂もしくは金属のスクリューからなっており各スクリュー径は供給スクリュー8、回収スクリュー6がφ26(mm)、攪拌スクリュー11がφ30(mm)でスクリューピッチは供給スクリューが54(mm)の2条巻き、回収スクリュー6が36(mm)の2条巻き、攪拌スクリュー11が54(mm)の2条巻き、回転数は全て約600(rpm)に設定されている。
【0074】
現像ローラ5上に担持された現像剤は、ステンレスからなるドクタブレード12によって薄層化されたうえで感光体1との対向部である現像領域まで搬送されて現像が行われる。
【0075】
現像ローラ5の直径はφ40(mm)、ドクタブレード12及び感光体1とのギャップは0.3(mm)程度となっている。
【0076】
現像後の現像剤は回収搬送路7にて回収が行われ、図2、図3中の奥側に搬送され、これら搬送路の長手方向端部に位置する非画像領域部に設けられた第三仕切り壁135の開口部で、攪拌搬送路10へ矢印Fで示した経路で現像剤が移送される。
【0077】
図3において、供給搬送路9における奥側、現像剤搬送方向下流側の第二仕切り壁134の開口部の付近に位置する供給搬送路9の部位には、上方からトナーTが供給されるようになっている。図4において、この供給トナーTは供給搬送路9の上記部位の上方に位置するトナー補給口96から供給される。トナー補給口96については後述する。
【0078】
図3は現像装置4の部分斜視断面図であり、現像装置4内での現像剤搬送路および現像剤の流れを示している。手前側にて、矢印Dで示す受け渡し経路で攪拌搬送路10から現像剤の供給を受けた供給搬送路9では、該供給搬送路9を奥側に向けて現像剤が移動しながら現像ローラ5に接触して供給される。
【0079】
この供給プロセスで、現像ローラ5に供給されずに供給搬送路9の搬送方向下流端まで移動した余剰現像剤は第二仕切り壁134の前記余剰開口部を矢印Eの向きで回収搬送路7に供給される。
【0080】
一方、現像ローラ5に供給された現像剤は現像領域で現像に用いられた後、現像ローラ5から分離・離脱して、矢印Rで示す経路で回収搬送路7に受け渡される。受け渡された現像剤は回収スクリュー6によって回収搬送路7の搬送方向下流端(奥側)まで搬送された回収現像剤は第三仕切り壁135の前記回収開口部を矢印Fの向きで攪拌搬送路10に供給される。
【0081】
攪拌搬送路10では、供給搬送路9から供給された余剰現像剤と回収搬送路7に回収された回収現像剤と後述するトナー補給口96(図4参照)から補給されたトナーTとが攪拌され、これら攪拌された現像剤は、攪拌スクリュー11の搬送方向下流側(手前側)で、かつ、供給スクリュー8の搬送方向上流側に搬送され、第一仕切り壁133の前記供給開口部を矢印Dの向きで供給搬送路9に供給される。
【0082】
なお図2において、攪拌搬送路10の下方には、透磁率センサからなるトナー濃度センサ(不図示)が設けられ、このトナー濃度センサのセンサ出力により不図示のトナー補給制御装置を作動し、不図示のトナー収容部からトナー補給口95を経てトナー補給を行っている。
【0083】
現像装置4では、図2、図3において供給搬送路9と回収搬送路7の間は、奥側から手前側に至る長手方向の中間部で仕切り部材としての第二仕切り壁134によって仕切られていて、現像剤の供給と回収とを、異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が供給搬送路9に混入することがない。このため、供給搬送路9の搬送方向下流側ほど現像ローラ5に供給される現像剤のトナー濃度が低下することを抑制することができる。
【0084】
また、回収搬送路7と攪拌搬送路10との間は、奥側から手前側に至る長手方向の中間部を仕切り部材としての第三仕切り壁135によって仕切られていて、現像剤の回収と攪拌とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が攪拌の途中に落ちることがない。これにより、十分に攪拌がなされた現像剤が供給搬送路9に供給されるため、供給搬送路9に供給される現像剤が攪拌不足となることを抑制することができる。
【0085】
このように、供給搬送路9内の現像剤のトナー濃度が低下すること、および供給搬送路9内の現像剤が攪拌不足となることを抑制することができるので現像時の画像濃度を一定にすることができる。
【0086】
図4によりトナー補給位置を説明する。トナーを補給するトナー補給口96は、供給スクリュー8を備える供給搬送路9の搬送方向下流(奥側)端部の上方に設けられている。このトナー補給口95は第二仕切り壁134の余剰開口部(図3中矢印E)の上方にあるため、トナーTは余剰現像剤および回収現像剤と混ざりやすい。そこで、供給スクリュー8を備える供給搬送路9の搬送方向下流(奥側)端部の上方位置でトナーの補給を行うこととした。これにより、効率よく現像剤の攪拌を行うことができる。
【0087】
図5により、本実施形態の特徴部である現像ローラ5とキャリア回収ローラ13まわりの現像剤の経路等を説明する。現像ローラ5は、現像剤を担持する円筒状の現像スリーブ81と現像スリーブ81に内包され磁気力により現像剤を吸着する磁界発生手段としての磁石ローラ82からなる。
【0088】
現像スリーブ81はアルミ、オーステナイト系ステンレス、マグネシウム等の非磁性かつ導電材料からなる。表面は平滑でも構わないが高速機では現像剤のスリップを抑制するために下記の粗し処理・加工を施してもよい。
【0089】
現像スリーブ81の粗し処理・加工の類型
(類型A):V溝またはU溝等の溝押し出し加工・各種凹形状の機械加工またはレーザ加工またはエッジング加工による。
(類型B):ブラスト処理による。
(類型C):金属またはセラミック等の溶射処理による。
【0090】
磁石ローラ82は現像剤の搬送方向である現像スリーブ81の回転方向に沿う矢印Hとは反対の矢印A方向に回転可能に設けられており、偶数個の磁石83を等間隔に配置している。図5に示す例では16個の磁石を配置している。これら磁石83の極性は隣り合う磁石間で引き合うように互いに反対向きとしてある。
【0091】
本例では、磁石ローラ82と現像スリーブ81との駆動方向として、同方向および相対方向の何れかの回転方向が選択できるようになっており、その回転関係は、現像スリーブ81の表面に担持される現像剤と磁石ローラ82側の磁石83との対向回数が多くなることを条件として設定されるようになっている。
【0092】
上述した駆動方向の設定による得られる、磁石ローラ82の磁石に対する現像剤の対向回数の増加によって、現像剤が磁極と対向したときに穂立ちが形成され、磁極から離れた際に穂立ちが崩されるという現象を繰り返す回数が増加し、これによるトナーとキャリアと摩擦接触機会の増加によりトナーの帯電特性を向上させることができる。
【0093】
この場合の対向回数の増加は、上述したように、磁石ローラ83と現像スリーブ81との回転方向の設定や速度差の設定などによって得られる。つまり、両者が同じ方向に回転する場合には、両者間に速度差を設定することで磁石83に対する現像剤の対向回数を増加させることができ、また、速度差を設定しないで相反する方向とした場合も同様に磁石83に対する現像剤の対向回数を増加させることができる。
【0094】
上述した磁石83に関しては、従来の廉価なフェライト磁石が使用可能であるが、小型化や高速化のためにはより強力なサマリウムコバルト磁石やネオジウム磁石等の希土類磁石の使用も可能である。磁石83は磁石ホルダ84に接着により支持し、その外周を図示しない熱収縮チューブ等で保護してもよい。
【0095】
磁石ホルダ84を磁性材料で作製すれば磁石83の磁気力を若干向上可能である。但しコスト高であり一般に鉄を主成分とする磁性材料は高比重のため高速回転時は慣性モーメントが増大し駆動部の耐久性に問題が生じる場合がある。そのため磁石83の磁気力は若干低くなるが、非磁性かつ軽比重のアルミニウムやマグネシウムを材料としてもよい。
【0096】
図5において、本例における磁石ローラ82の回転中心P’は現像スリーブ81の回転中心Pより距離(Q)だけ離れた位置に偏心させて位置決めされている。
【0097】
偏心の方向は、現像ローラ5の表面に担持された現像剤が感光体1に移行する付近の位置で現像ローラ81の内面に最も接近することができる向きに設定され、上記符号Qで示した距離に相当する偏心量は、現像領域においてキャリアが感光体1に移行するのを磁極からの磁力によって抑制することができる量とされている。これにより、感光体1に移行する現像剤は、感光体1との接触に際して穂立ちを確保された状態で接触できると共に、接近した磁極からの磁力によりキャリアの移行が阻止されてトナーのみを感光体の潜像に供給するように移動することになる。
【0098】
一方、偏心方向と反対側では磁気力を低く抑えることができる。このため、現像スリーブ81表面に担持されている現像剤の剥離を容易にすることができる。このように偏心した構成とするだけで、現像剤の剥離が外部からの機械的な外力を用いることなく容易に行えることになる。
【0099】
次に、図5において本実施形態での現像剤の移送について説明する。
供給スクリュー8に沿う供給搬送路9を辿る現像剤は樋9’による搬送経路を介して現像ローラ5に供給される。現像ローラ5に供給された現像剤は磁石ローラ82の磁気力により現像スリーブ81上に吸着され、現像スリーブ81の回転により搬送され、ドクタブレード12を通過する際に現像剤量を一定に規制される。ドクタブレード12を通過した現像剤は磁力線に沿って配列される。つまり磁石83上では、符号B1で示すように磁気ブラシが発生し、磁石83間では、符号B2で示すように磁気ブラシは転倒する。
【0100】
磁石ローラ82の回転方向は矢印Aで示すように、現像スリーブ81の回転方向Hに対して相反する方向とした場合、磁石ローラ82が回転する間、磁気ブラシは、所謂フリップフラップ状に自転し、磁石ローラ82の回転方向である矢印Aで示す方向と反対の矢印Fm方向に進行する。この際、現像スリーブ81は補助的に矢印H方向に比較的低速で回転させてもよい。
【0101】
ドクタブレード12を通過した現像剤は引き続き自転進行するに従い磁石ローラ82の偏心により次第に現像スリーブ81への吸着力を増大し現像領域にかけてキャリアが感光体1に移行するのを抑制する。磁石ローラ82が高速回転するほど感光体1との対向部において現像剤は活発に撹拌されるため感光体1上の静電潜像に応じて効率よくトナーを転移できるが、前記の磁気ブラシの自転による遠心力は回転速度の2乗に比例して増大するため、キャリア付着も増大する。キャリア付着の除去方法については後述する。
【0102】
図6において、現像剤は引き続き自転進行するが現像領域を過ぎる従い磁石ローラ82の偏心により次第に現像スリーブ81への吸着力を減少させ回収搬送路7にて自重により、矢印Kや矢印Lで示すように、現像スリーブ81より離脱する。
【0103】
図5および図6を参照しつつ、キャリア回収ロ−ラ13について説明する。
キャリア回収ローラ13の外周部を構成するキャリア回収スリーブ90は、感光体1と対向している部分について、矢印Gで示す感光体1の回転方向(図5、図6では反時計回り)に対してカウンター方向(図5、図6での矢印Jの方向)に回転している。
【0104】
キャリア回収ローラ13と感光体1とのギャップ(以下、現像ギャップという。)は0.3mmと近接している。現像剤はキャリア回収磁石ローラ91の磁極P23で汲み上げられ、該キャリア回収磁石ローラ91の回転方向上、該汲み上げ部の下流に設置されたドクタブレード111で規制されることで現像剤の汲み上げ量が規制される。本例では回収ローラの汲み上げ量は30mg/cm2とした。ドクタブレード111はP23極とP24極の極間に0.2mmのギャップで当接されている。
【0105】
ドクタブレード111で規制された現像剤は、キャリア回収ローラ13の外周を左に巻くような経路、つまり、図5に破線NRで示す経路で搬送され、現像領域の現像ギャップ部に配置された磁極P21の現像領域まで搬送される。磁極P21ではキャリア回収スリーブ90上に磁気ブラシB3が穂立ちし、現像剤の穂が感光体1に接触しているため、キャリア回収だけでなく、現像も行われる。
【0106】
磁極P21(N極)で付着キャリアの回収と現像とを行った現像剤は磁極P21の先隣の磁極P22まで搬送される。磁極P22と磁極P23は同極性のため磁極P22で現像剤はキャリア回収ローラ13のキャリア回収スリーブ90から分離する。分離した現像剤の大部分は、現像ローラ5に吸着し搬送される。
【0107】
キャリア回収スリーブ90の線速(Vs)と感光体1の線速(Vp)との線速比Vs/Vpは、Vs/Vp=1.5とした。これは、線速比を1.7以上にすると横線がカスレ、1.3以下にすると地肌汚れのスキャベンジが悪化するためである。
【0108】
図5により、キャリア回収ロ−ラ13の構成について、説明する。
キャリア回収ローラ13は回転可能なキャリア回収スリーブ90を備え、複数の固定磁極を具備し、キャリア回収磁石ローラ91を内包している。
【0109】
キャリア回収磁石ローラ91はアルミニウム、オーステナイト系ステンレス、マグネシウム、各種樹脂材料等の非磁性材料からなるシャフト92に、複合磁石93、ブロック磁石94を貼り付けて固定してなる。
【0110】
複合磁石93はマグネット粉末としてはSrフェライトないしBaフェライトを用い、高分子化合物としては6PAもしくは12PA等のPA(ポリアミド)系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)又はEVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料を使用することができる。
【0111】
キャリア回収磁石ローラ91に構成された複合磁石93は半月状に成型され、着磁により4個の磁極を有し、切り欠き部を現像ローラ5側に配置し、現像ローラ5に対向する側には磁極を有しないようにしてある。
【0112】
磁極P21に相当するブロック磁石94は感光体1に付着したキャリアを回収するため、感光体1とキャリア回収磁石ローラ91(キャリア回収スリーブ90)との近接位置に配置されている。ブロック磁石94は複合磁石93よりも小さい体積で高磁力が必要であり、Br>0.5Tの材料を用いることが望ましく、多くはNe系(Ne−Fe−B等)またはSm系(Sm−Co、Sm−Fe−N等)の希土類焼結磁石もしくはこれらのマグネット粉を高分子化合物と混合した希土類ボンド磁石を用いることができる。
【0113】
希土類系マグネット粉には等方性、異方性のマグネット粉があり、異方性マグネット粉の方が高磁力を得られるが、所望の磁気特性に応じてどちらのタイプを用いてもかまわない。
【0114】
ブロック磁石94は、上記の材料を、燒結、押出し成型・射出成型、あるいは、磁性粉とバインダーの型内圧縮成型等することで、幅3(mm)、厚さ3(mm)とした。長さは346(mm)で磁石ローラ82より約10(mm)長くして端部まで確実にキャリア回収を可能にしている。
【0115】
本例では、ブロック磁石94を希土類ボンド磁石とした。磁極P21は150(mT)と高磁束密度が得られた。他の搬送極は、磁極P22を(70mT)、磁極P23を(100mT)、磁極P24を(80mT)、磁極P25を(80mT)とした。
【0116】
キャリア回収スリーブ90はアルミニウム、オーステナイト系ステンレス、マグネシウム等の非磁性かつ導電材料からなる。また、現像剤を搬送するために、その表面に下記の粗し処理・加工を施す必要がある。
【0117】
キャリア回収スリーブ90の粗し処理・加工の類型
(類型A1):V溝またはU溝等の溝押し出し加工・各種凹形状の機械加工またはレーザ加工またはエッジング加工による。
(類型B1):ブラスト処理による。
(類型C1):金属またはセラミック等の溶射処理による。
【0118】
上記(A1)については、溝・凹の深さは0.05(mm)〜0.5(mm)程度で形状や個数等公知技術を使用可能である。上記(B1)については、その粗さはRz7μm〜Rz50μmが製作可能で、かつキャリアのスリップを防止できる範囲とする。上記(C1)については、その粗さはRz40μm〜Rz90μmで製作可能で、かつキャリアのスリップを防止できる範囲とする。本例のキャリア回収ローラ13のスリーブ表面の溝はV溝で、溝深さは0.1mmとした。
【0119】
キャリア回収ローラ13と感光体1との間隙は0.3(mm)と狭く設定することで、回収ローラでの現像能力を上げた。キャリア回収ローラ13と現像ローラ5との間隙は2(mm)と狭く設定することで、現像ローラ5の穂立ちをキャリア回収ローラ13に接触させ、キャリア回収ローラ13の磁極P22から分離した現像剤を回収することが可能になる。
【0120】
磁気ブラシをキャリア回収ローラ13の磁極のない部分に接触させることで、磁場干渉による振動を抑えながら、回収ローラから分離した剤を回収することが可能になる。
キャリア回収ローラ13の現像ローラ5と円周方向反対側にはケーシング98を備え、キャリア回収ローラ13とケーシング98との間隙は1.5(mm)と狭く設定することで、磁極P24での穂立ちをケーシング98に接触させ回収効率を高めることができる。
【0121】
磁極P23と磁極P24の極間に当接させているドクタブレード111は、材質がアルミニウムからなる。ドクタギャップを狭めるためにドクタブレード111を極間でなく磁極上に当接させている。他の例として、キャリア回収スリーブ90近傍に磁性板をつけるなどすることも有効である。
【0122】
キャリア回収率を以下の、キャリア付着しやすい実験条件で行った。
<実験条件>
・キャリア:(株)リコー imagio MP C7500用 35μmフェライトキャリア
・トナー:(株)リコー imagio MP C7500用 PxP重合トナー
・トナー濃度:4 [wt%]
・帯電量:−24[μC/g]
・現像ポテンシャル:114 [V]
・地肌ポテンシャル:150 [V]
・感光体線速:700(mm/s)
・マグスリーブ両回転スリーブ線速:880(mm/s)
・マグスリーブ両回転ローラの感光体ギャップ:0.4(mm)
・マグスリーブ両回転ローラの磁石ローラ回転数:3500(rpm)
・キャリア回収ローラスリーブ線速:1050mm/s
【0123】
<比較例>
キャリア回収ローラ内のキャリア回収磁気ローラを固定配置し、キャリア回収磁気ローラの磁極は感光体に対向する位置および現像ローラに対して円周上反対側のみに設置し、対向部では現像ローラ側のみに磁極を配置。また、キャリア回収ローラの回転方向を現像ローラの回転方向と同じにし、現像ローラとキャリア回収ローラを接近させた構成。
【0124】
比較例においては、キャリア回収率は、マグスリーブ両回転ローラの磁石ローラ回転速度が3000rpmのときには付着キャリアの回収率100%だったものが、感光体線速上昇に伴い磁石ローラ回転速度3500rpmにすることによって回収率90%に低下した。一方、本例に係る上記<実験条件>による実験結果では、この回収ローラのスリーブ線速でも回収率100%となった。
【0125】
この差は、磁気ブラシを構成する現像剤の芯剤であるフェライトの透磁率が高いため、感光体表面上の磁気吸引力が高いためと、磁気ブラシ先端のキャリアが直接、付着キャリアに接触するため(距離=0になるため)、磁気ブラシが感光体付着キャリアに衝突するため、感光体1と付着キャリアの付着力が低減するためと考えられる。
【0126】
また、磁場干渉による振動をマグスリーブ両回転ローラのドクタ12上部に加速度ピックアップを貼り付けて振動を測定した(許容レベルは10m/ses2以内)。本例の実験例において振動は、7〜8m/s2以内と許容範囲内に収まった。
【0127】
これは、回収ローラを感光体1に対してカウンター回転にして、マグスリーブ両回転近傍に磁極をおかず、かつ、剤分離した剤をマグスリーブ両回転ローラの磁気ブラシによって吸着するようにしたためと考える。
【0128】
本実験例に用いた現像剤構成は次のとおりである。
トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有し、必要に応じて離型剤や帯電制御剤、その他の成分が含有される。また、添加剤として上述のもの以外に、必要に応じて流動性向上剤やその他の成分が添加される。これら材料に関しては、公知のものがすべて可能である。結着樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロレスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)タクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリロニトリル酸、(メタ)アクリアミド、(メタ)アクリル酸、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル。ビニルメチルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、ブタジエン等の単量体の重量体、又は、これらの単量体の2種類以上からなる共重合体、あるいはそれらの混合物があげられる。その他、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ロジン、変性ロジン、テルベン樹脂、フェノール樹脂、水添石油樹脂、アイオノマー樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂等が単独あるいは混合して使用できる。
【0129】
着色剤としては公知の染料及び顔料がすべて使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレトVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。使用量は一般にバインダー樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部である。
【0130】
帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む。)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、2〜5重量部の範囲がよい。0.1重量部未満では、トナーの負帯電が不足し実用的でない。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、キャリアとの静電的吸引力の増大のため、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0131】
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックスやフィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックスや密ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス、等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、等の高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド等及びこれらの各種変性ワックスがあげられる。
【0132】
これらは1種または2種以上を併用して用いることができるが、融点が70〜125℃の範囲のものを使用するのが好ましい。融点が70℃以上とすることにより転写性、耐久性が優れたトナーとすることができ、融点を125℃以下とすることにより定着時に速やかに溶融し、確実な離型効果を発揮できる。これらの離型剤の使用量は、トナーに対して1〜15重量%が好適である。1重量%より少ない場合にはオフセット防止効果が不充分であり、15重量%以上では転写性、耐久性が低下する。
【0133】
添加剤(外添剤)としては、少なくとも体積平均粒径50〜500nm、嵩密度0.3g/cm3以上の微粒子を添加する。外添量としては、トナー母体に対して0.2〜3重量%が好ましい。この範囲より少ないとトナー間やトナーとその他との間に適度な空隙を形成する効果が発現されない。逆に多いと、流動性を阻害し、脱離量が多くなることにより外添剤の凝集体ができ、画像品質を低下させる。上述の添加剤と合わせて、この範囲以外の添加剤を添加することも可能であり、流動性向上を目的として体積平均粒径が小さい微粒子を添加することが好ましい。
【0134】
添加剤について、無機化合物としては、SiO2 、TiO2 、Al2O3 、MgO、CuO、ZnO、SnO2 、CeO2 、Fe2O3 、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2 、CaO・SiO2 、K2O(TiO2)n、Al2O3・2SO2 、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4、SrTiO3等を例示することができ、好ましくは、SiO2 、TiO2 、Al2O3 があげられる。特にこれら無機化合物は各種のカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン等で疎水化処理が施されていてもよい。また、有機化合物の添加剤としては、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等があげられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
【0135】
ビニル系樹脂の具体的な例としては、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等があげられる。
【0136】
実験に用いた添加剤(微粒子)は、現像装置内の現像剤用のトナーとしても優れている。すなわち、トナー粒子、感光体ドラム、帯電付与部材との接触面積が非常に小さく、均等に接触するので付着力低減効果が大きく、現像・転写効率の向上に有効である。さらに、コロの役割を果たすため、感光体ドラムを摩耗又は損傷させることなく、クリーニングブレードと感光体ドラムとの高ストレス(高荷重、高速度等)下でのクリーニングの際も、トナー粒子に埋没し難く、あるいは少々埋没しても離脱、復帰が可能であるので、長期間にわたって安定した特性を得ることができる。さらに、トナーの表面から適度に脱離し、クリーニングブレードの先端部に蓄積し、いわゆるダム効果によって、ブレードからトナーが通過する現象を防止する効果がある。
【0137】
本例の実験に用いたトナーの製造方法としては、トナー構成材料を溶融混練後、粉砕分級して得る方法が従来の方法として一般的であるが、この方法に限らず、重合法等も含めてさまざまな方法が可能である。
【0138】
重合法としては懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法などが可能であり、重合法とは異なるが溶解懸濁法、ポリマー懸濁法等の他、伸長反応法等が使用可能である。
【0139】
先に説明した粒径範囲や円形度のトナーを容易に得られる点では、従来の方法以外が好ましい。また、粉砕分級後のトナーを加熱処理することにより円形度を調整してもよい。
【0140】
本例の実験における添加剤の添加方法は特に制限されず、トナー母体粒子と添加剤とを各種の公知の混合装置を用いて、機械的に混合して付着させる方法や、液相中でトナー母体粒子と添加剤とを界面活性剤等で均一に分散させ、付着処理後、乾燥させる方法等がある。
【0141】
先に説明したトナーの粒径分布は、コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置を用いて測定することができる。これら装置として、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(何れもコールター社製)がある。
【0142】
以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理をおこない、上述の測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
【0143】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0144】
先に説明したトナーの円形度は、次式により得られた値である。 円形度=(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長) この円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
【0145】
円形度は東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて測定することができる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、さらに測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理をおこない、分散液濃度を3000〜10000個/μlとして上述の装置によりトナーの形状を測定する。
【0146】
以下、本例に用いられたキャリアについて補足的に説明する。キャリアは、重量平均粒径が20〜60μm(好ましくは、20〜45μmである。)になるように形成されている。この粒径範囲は、現像装置内の現像剤用のキャリアとしても優れている。
【0147】
キャリアの平均粒径が20μm未満であると、キャリア粒子の分布において微粉が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがある。これに対してキャリアの平均粒径が45μmを超えると、現像工程時のキャリアの穂立ちが粗くなって、ベタやハーフトーンの均一性が劣る場合がある(特に、平均粒径が60μmを超えると顕著になる。)。また比表面積が低下するため、小粒径トナーではトナーの飛散が生じることがある。
【0148】
キャリアとしては、粒径以外に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
【0149】
芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料等が好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体ドラムへの当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0150】
キャリアの樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0151】
樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、その導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
【0152】
キャリアの樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付をおこなうことにより形成することができる。塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法等があげられる。
【0153】
キャリアにおける樹脂層の量としては、0.01〜5.0質量%が好ましい。樹脂層の量が、0.01質量%未満であると、芯材の表面に均一な樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
【0154】
また、現像装置内に予め収容される現像剤(初期剤)も、上述したトナーとキャリアとを混合したものである。現像剤におけるキャリアの含有量(キャリア濃度)としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、90〜98質量%が好ましく、93〜97質量%がより好ましい。
【符号の説明】
【0155】
1M,1C,1K,1Y 感光体
2M,2C,2K,2Y 帯電器
4M,4C,4K,4Y 現像装置
5 現像ローラ(第1現像剤担持体)
6 回収スクリュー
7 回収搬送路
8 供給スクリュー
9 供給搬送路
9’ 樋
10 攪拌搬送路
11 攪拌スクリュー
12 ドクタブレード
13 キャリア回収ローラ(第2現像剤担持体)
15 駆動ローラ
16 二次転写バックアップローラ
17 中間転写ユニット
18Y,18M,18C,18K プロセスカートリッジ
21 光書込ユニット
22 二次転写装置
22NP 二次転写ニップ
22NP 二次転写ニップ
23 張架ローラ
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28M,28C,28K,28Y ドラムクリーニング装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取センサ
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
47 搬送ローラ対
48 給紙路
49 レジストローラ対
51 手差しトレイ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
57 スタック部
62Y,62M,62C,62K 一次転写バイアスローラ
81 現像スリーブ(第1現像剤支持手段)
82 磁石ローラ(第1磁界発生手段)
83 磁石
90 キャリア回収スリーブ(第2現像剤支持手段)
91 キャリア回収磁石ローラ(第2磁界発生手段)
92 シャフト
93 複合磁石
94 ブロック磁石
95 ベルトクリーニング装置
96 トナー補給口
97 ベルトクリーニング装置
98 ケーシング
100 プリンタ部
110 中間転写ベルト
111 ドクタブレード
133 第一仕切り壁
134 第二仕切り壁
135 第三仕切り壁
200 給紙装置
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
500 複写機
A、D、E、F、Fm、G、J、H、K、L、R 矢印
B1、B2、B3 磁気ブラシ
Lb レーザ光
NR 破線
P21、P22、P23、P24 磁極
P、P’ 回転中心
Q 距離
T トナー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0156】
【特許文献1】特開2010−282065号公報
【特許文献2】特開昭62−83767号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成されている静電潜像に対してトナーとキャリアとを含む二成分系現像剤を供給する現像剤担持体を備えた現像装置であって、
前記像担持体に対向して配設された複数段の現像剤担持体を有し、
前記複数段の現像剤担持体のうち、前記像担持体の回転方向最上流側の第1現像剤担持体は、回転可能な第1現像剤支持手段と、この第1現像剤支持手段に内包される、現像剤を穂立ちさせて搬送させる磁極を備え回転可能な第1磁界発生手段を有し、
前記複数段の現像剤担持体のうち前記像担持体の回転方向最下流側に位置する第2現像剤担持体は、回転可能な第2現像剤支持手段と、この第2現像剤支持手段に内包され、固定された第2磁界発生手段を有し、
該第2磁界発生手段は、前記像担持体と該第2現像剤担持体との近接位置で磁極を具備し、現像剤の穂が潜像担持体に接触していることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記第2磁界発生手段は、前記第1現像剤担持体と対向する位置には磁極を具備せず、
前記第2現像剤支持手段は、前記像担持体の回転方向と前記像担持体と対向部ですれ違う向きに回転することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の現像装置において、
前記第1磁界発生手段は、前記第1現像剤担持体と逆方向に回転可能であることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の現像装置において、
前記第1磁界発生手段は、前記第1現像剤担持体の断面中心に対して前記像担持体に対して接近する向きに自らの断面中心を偏心させて配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の現像装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
少なくとも前記現像装置および像担持体が纏めて収容されるプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−114150(P2013−114150A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261758(P2011−261758)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】