説明

現像装置および画像形成装置

【課題】現像剤規制部材の現像剤担持体表面移動方向上流側に生じた緩凝集トナーを良好に解すことができ、かつ、現像剤規制部材により現像剤の層厚を適正に制御することができる現像装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像時は、駆動モータを正回転させ、現像スリーブ302cを正回転させて、現像スリーブ302c表面の現像剤を、現像領域へ搬送し、感光体の潜像を現像する。このときは、ワンウェイクラッチ205によって、現像剤規制部材303には駆動力が伝達されず、現像剤規制部材303の回転は、停止している。
現像が終了したら、制御部210は、駆動モータを逆回転させ、現像スリーブを、逆回転する。また、このときは、ワンウェイクラッチ205を介して現像剤規制部材303に駆動力が伝達され、現像剤規制部材が、図中反時計回りに回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、内部に磁界発生手段を備えた現像剤担持体の表面上に磁力によって担持されたトナーと磁性キャリアとからなる現像剤の層厚を現像剤規制部材で規制してから現像剤を現像領域へ送り込む現像装置が広く知られている。この現像装置においては、現像剤規制部材の現像剤担持体表面移動方向上流側に現像剤規制部材により規制された現像剤が溜まってしまう。この溜まった現像剤は、現像剤担持体に担持された後続の現像剤により押圧され、密な状態となっている。
【0003】
近年の複写機やプリンタの高画質化に対する要望により、トナーの粒径は極小化し、さらに低消費電力化等に対応するため、トナーの融点はますます低下する傾向にある。このような低融点トナーは、流動性に乏しく、また、粒径が極小化することにより、トナーが高密に存在できるため、現像剤規制部材の現像剤担持体表面移動方向上流側に溜まり、密な状態となると、トナーが緩凝集してしまう場合があった。そして、経時でこの緩凝集トナーが成長していき、ついには、現像剤担持体と層厚規制部材との間隙に挟まり、白抜け画像などの不良画像が発生してしまう。
【0004】
特許文献1には、非現像時に現像剤担持体を逆回転させる現像装置が記載されている。非現像時に現像剤担持体を逆回転させることで、現像剤担持体により、現像剤が現像時とは逆方向へ移動せしめられる。その結果、後続の現像剤からの押圧力が減少し、緩凝集トナーが解れ2成分現像剤内に分散させることができる。
【0005】
また、特許文献2には、現像剤規制部材を磁性ローラにし、現像剤担持体との対向部において、表面が現像剤担持体表面移動方向と逆方向に回転させる現像装置が記載されている。これにより、現像剤規制部材の現像剤担持体表面移動方向上流側に溜まった現像剤が、磁性ローラの磁力により移動せしめられ、現像剤規制部材の現像剤担持体表面移動方向上流側に現像剤が滞留するのを抑制することができる。その結果、現像剤規制部材の現像剤担持体表面移動方向上流側に凝集トナーが生じるのを抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のように、非現像時に現像剤担持体を逆回転させるだけでは、緩凝集トナーを十分に解すことができなかった。
【0007】
また、特許文献2に記載の現像装置においては、磁性ローラを現像時に回転させているため、磁性ローラの回転ムラなどにより現像剤担持体との隙間が変動してしまい、現像剤の層厚を適正に制御することができないという課題があった。
【0008】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、現像剤規制部材の現像剤担持体表面移動方向上流側に生じた緩凝集トナーを良好に解すことができ、かつ、現像剤規制部材により現像剤の層厚を適正に制御することができる現像装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、トナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤を表面に担持して現像領域へと搬送する現像剤担持体と、上記現像剤担持体に担持された二成分現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材と、上記現像剤担持体が非現像時に現像時とは逆方向に表面移動するように制御する制御手段とを備えた現像装置において、上記現像剤規制部材は、磁性材料からなり、回転可能なローラ形状であり、現像時には、上記現像剤規制部材の回転を停止し、非現像時には、上記現像剤担持体との対向位置において、上記現像剤担持体の非現像時の表面移動方向と同方向に表面移動するように、上記現像剤規制部材を回転させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、非現像時に現像剤担持体を、現像時とは逆方向に表面移動させるとともに、上記現像剤規制部材を、現像剤担持体との対向位置において、現像剤担持体の非現像時の表面移動方向と同方向に表面移動するように回転させる。これにより、現像剤規制部材よりも現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側に溜まった現像剤には、現像剤担持体の表面移動だけではなく、磁界発生手段により磁化された磁性材料からなる現像剤規制部材の磁力による搬送力を受ける。その結果、現像剤規制部材よりも現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側に溜まった現像剤は、現像剤規制部材の磁力および現像剤担持体の表面移動により、現像剤規制部材よりも現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側の部分から移動せしめられる。このように、現像剤規制部材の磁力と現像剤担持体の表面移動とにより溜まった現像剤が搬送せしめられることにより、現像剤規制部材よりも現像時の現像剤担持体表面移動方向上流側の現像剤が分散し、密状態が解かれる。その結果、現像剤担持体のみを逆方向へ表面移動させた場合、現像剤規制部材のみを回転させた場合に比べて、現像剤担持体表面移動方向上流側に生成された緩凝集トナーを、良好に解すことができる。これにより、緩凝集トナーが成長して、現像剤規制部材と現像剤担持体との間の隙間に挟まり、白抜け画像などの不良画像が発生するのを抑制することができる。
また、現像剤規制部材は、現像時は回転を停止しているので、現像時に現像剤担持体との隙間が変動することがなく、現像剤の層厚が変動することがない。これにより、現像した画像に現像剤規制部材の回転周期に一致する濃度ムラなどが生じるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図2】作像装置の概略構成図。
【図3】法線磁束密度分布を追記した現像装置及び感光体の説明図。
【図4】現像ローラの回転軸方向に平行な断面の断面説明図。
【図5】現像装置の主要部の内部斜視図。
【図6】現像装置の主要部の外観斜視図。
【図7】現像装置の連通口部分の説明図。
【図8】緩凝集トナーが生成される位置について説明する図。
【図9】現像ローラおよび現像剤規制部材を回転させる回転駆動部の概略構成図。
【図10】駆動モータの制御フロー図。
【図11】2つの現像剤攪拌搬送部材を現像ローラから離れる方向に2つ並べて配置した現像装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を画像形成装置としてのプリンタ(以下、プリンタ100という)に適用した実施形態について説明する。
図1は、プリンタ100の概略構成図である。プリンタ100は、タンデム方式を採用してフルカラー画像を形成可能なカラー画像形成装置であり、ブラック、マゼンタ、イエロー、シアン(以下、K,M,Y,Cと記す)の各色トナー像を形成する作像装置17(K,M,Y,C)を備えている。これらの作像装置17(K,M,Y,C)の下方には、下流側張架ローラ18及び上流側張架ローラ19に掛け回されて転写紙Pを表面に担持して搬送し、各作像装置17(K,M,Y,C)の対向しながら表面移動する転写搬送ベルト15が配設されている。転写搬送ベルト15を挟んで各作像装置17(K,M,Y,C)と対向する転写バイアスローラ5(K,M,Y,C)を備えている。
また、転写搬送ベルト15による転写紙搬送方向について下流側張架ローラ18よりも下流側には、転写搬送ベルト15から分離した転写紙P上の未定着トナーを定着する定着装置24を備えている。また、プリンタ100の本体上部には、定着装置24を通過しトナー像が定着した転写紙Pを積載するための排紙トレイ25を備えている。
【0013】
転写搬送ベルト15の下方には、転写紙Pを収容する複数の給紙カセット20を備えている。また、転写搬送ベルト15と作像装置17(K,M,Y,C)とが対向する転写領域に各給紙カセット20から転写紙Pを供給する転写紙供給手段としての給紙搬送装置26と、給紙カセット20から搬送されてきた転写紙Pを作像装置17(K,M,Y,C)による作像タイミングに合わせて供給するレジストローラ対23とを備えている。
【0014】
なお、図1ではプリンタ100が図1中の左右方向において小型になるよう、転写搬送ベルト15が斜め方向に配設され、矢印Aで示す転写紙Pの搬送方向が斜め方向となっている。これにより、プリンタ100は、図1中の左右方向における筐体の幅が、A3サイズの転写紙長手方向の長さよりも僅かに長い大きさとなっている。すなわち、プリンタ100は、内部に転写紙を収容するために最低限必要な大きさとされることで大幅に小型化されている。
【0015】
各作像装置17(K,M,Y,C)は、潜像担持体としてドラム状の感光体1(K,M,Y,C)を有している。この感光体1(K,M,Y,C)の回転方向に関して順に、それぞれ帯電装置2(K,M,Y,C)、現像装置3(K,M,Y,C)、クリーニング装置6(K,M,Y,C)、等を有している。また、帯電装置2(K,M,Y,C)と現像装置3(K,M,Y,C)との間で書込光Lを露光装置16(K,M,Y,C)から照射される周知の構成である。感光体1(K,M,Y,C)はドラム状でなく、ベルト状としても良い。
【0016】
このような構成のプリンタ100では、画像形成スタートとともに、各作像装置17(K,M,Y,C)で各色トナー像が形成される。各作像装置17(K,M,Y,C)では、感光体1(K,M,Y,C)が、図示されないメインモータにより回転駆動され、帯電装置2(K,M,Y,C)によって一様帯電された後、露光装置16(K,M,Y,C)より、画像を色分解した色毎の画像情報に応じて書込光Lが照射され、静電潜像が形成される。感光体1(K,M,Y,C)上に形成された静電潜像は、現像装置3(K,M,Y,C)により現像され、各感光体1(K,M,Y,C)の表面上に各色トナー像が形成される。一方、複数ある給紙カセット20のうちの1つから給紙搬送された転写紙Pは、レジストローラ対23によって作像装置17(K,M,Y,C)による作像タイミングに合わせて、転写搬送ベルト15の表面上に供給される。そして、転写搬送ベルト15に担持された転写紙Pは転写搬送ベルト15の表面移動によって各色の転写領域に搬送される。
【0017】
各感光体1(K,M,Y,C)上に形成されたトナー像は、感光体1(K,M,Y,C)と転写搬送ベルト15との対向部で転写バイアス手段である転写バイアスローラ5(K,M,Y,C)によって転写搬送ベルト15上に担持された転写紙Pに順次転写される。このようにしてK(黒)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、C(シアン)の順で各感光体1(K,M,Y,C)上に形成されたトナー像が転写され、重ね合わせカラートナー像が転写紙P上に形成される。トナー像を転写された転写紙Pは、転写搬送ベルト15から分離され、定着装置24に搬送され、トナー像が定着されて機外の排紙トレイ25に排出される。
一方、転写紙P上にトナー像を転写した後の感光体1(K,M,Y,C)は、クリーニング装置6(K,M,Y,C)によって転写残トナーの除去がなされ、必要に応じて図示しない除電ランプで除電された後、再度、帯電装置2(K,M,Y,C)で一様に帯電される動作を繰り返す。
図2に示すプリンタ100では、転写搬送ベルト15の搬送方向に沿って搬送方向上流側から、K(黒)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、C(シアン)の順に四つの作像装置17(K,M,Y,C)が配置されているが、各色の作像装置17(K,M,Y,C)を配置する順序はこの限りではない。例えば、黒用の作像装置17Kを搬送方向最下流側に配置し、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、C(シアン)、K(黒)の順に四つの作像装置17(M,Y,C,K)を配置してもよい。
【0018】
次に、作像装置17について詳しく説明する。本実施形態のプリンタ100の作像装置17(K,M,Y,C)は、現像装置3内の画像形成物質として、互いに異なる色(K,M,Y,C)のトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。このため、以下、添字K,M,Y,Cを省略し、作像装置17として説明する。
【0019】
図2は、本実施形態のプリンタ100に適用可能な現像手段たる現像装置3を含む作像装置17の概略構成図である。
現像装置3は感光体1に対向配置され、感光体1は図2中矢印aに示すように図2における時計回り方向に回転駆動する。
感光体1の上方、時計の文字盤で表現すれば図2中の感光体1の略11時の位置に帯電手段たる帯電装置2が配置されている。帯電装置2は本例では感光体1と同じ表面移動速度で回転される回転体からなるが、回転体に限らずコロナ放電タイプでもよい。
【0020】
この帯電装置2により感光体1の表面は暗中で一様に帯電された後、潜像形成手段である露光装置16(図1参照)からの書込光Lの照射を受けて静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体1の回転と共に下流側に移動し現像装置3に至る。現像装置3は感光体1の右横に配置されている。
現像装置3はケーシング301内に、現像剤320を撹拌搬送する供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305、現像剤担持体たる現像ローラ302などの回転部材及びその他の部材を具備している。
現像ローラ302は図2中の感光体1の2時と3時との間の位置(2時半の位置)で感光体1に近接して対向させることで現像領域αを構成するようにして近接配置されている。この感光体1との対向部位に相当するケーシング301の部位は現像ローラ302を露出させるため開口している。
【0021】
現像ローラ302が図3中の矢印b方向に表面移動することにより、ケーシング301内の現像剤320は現像ローラ302の表面上に担持され、図2中の矢印B方向に搬送され、現像領域αへ搬送されるようになっている。現像領域αで感光体1の表面に形成されている静電潜像に現像剤320中のトナーが付着してトナー像として顕像化される。
このトナー像は感光体1の回転と共に感光体1の表面移動方向下流側に移動し、転写装置の転写バイアスローラ5との対向部である転写領域βに至る。転写バイアスローラ5は、感光体1の下方、図2中の感光体1の6時の位置に配置されている。本実施形態の転写装置は、転写部材として回転体からなる転写バイアスローラ5を備える構成であるが、転写部材としては回転体に限らずコロナ放電タイプでもよい。
【0022】
感光体1上のトナー像は転写領域βにおいて転写紙Pに転写され、転写紙P上の画像となる。本実施形態のプリンタ100は、感光体1上に形成したトナー像を転写紙Pに直接転写する構成である。感光体1上に形成したトナー像を転写紙Pに転写する構成としては、感光体上のトナー像を中間転写体(中間転写ベルトなど)に一旦転写し、中間転写体上で各色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、その後多色トナー像を一括して転写紙に転写する中間転写体方式の画像形成装置にも本発明の現像装置は適用可能である。この場合は、転写領域βで感光体上のトナーを中間転写体(中間転写ベルト)に転写することになる。
【0023】
転写領域βを通過した感光体1表面は感光体1の回転に伴い、その表面移動方向下流側へ移動してクリーニング装置6との対向部に至る。
クリーニング装置6は図2中の感光体1に対して10時の位置に配置されている。クリーニング装置6は、転写領域βで転写紙Pに転写し切れずに感光体1の表面に残ったトナーを、クリーニングブレード601により除去する。クリーニング装置6との対向部を通過した感光体1の表面は、その後、帯電装置2により一様に帯電され、次の画像形成工程を繰り返す。
【0024】
次に、現像装置3について詳しく説明する。
図2に示すように、現像装置3は、ケーシング301の内部に現像ローラ302、供給室搬送部材304、回収室搬送部材305、現像剤規制部材303を有し、現像剤320を撹拌搬送して循環させている。 本実施形態の現像装置3では、供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305として、回転軸部に螺旋形状のスクリュ羽部を固定したスクリュ部材を用いており、スクリュ羽部の外径が16[mm]以下のものを用いている。
【0025】
図3は、現像ローラ302回りに形成される磁界の法線磁束密度分布を追記した現像装置3及び感光体1の説明図である。
図3に示すように、現像ローラ302は、円周方向に複数の磁石MG(MG1〜MG3)を配置したマグネットローラ302dを内部に有し、その周囲を円筒状の現像スリーブ302cが回転軸302eと一体的に回転する構成となっている。
現像スリーブ302cはアルミ等の非磁性の金属で形成されている。マグネットローラ302dは、各磁石MGが所定の方向を向くように不動部材、例えば、ケーシング301に固定されており、その周囲を現像スリーブ302cが回転して、磁石MGによって引き付けた現像剤320を搬送していく。
【0026】
図4は、現像ローラ302の回転軸方向に平行な断面の断面説明図である。
図4に示すように、現像ローラ302は、不動部材であるケーシング301に固定されている固定軸302aと、この固定軸302aに一体的に形成され、円柱状をした磁界発生手段たるマグネットローラ302dと、マグネットローラ302dのまわりをギャップを介して覆っている現像スリーブ302cと、この現像スリーブ302cに一体的に構成された回転軸302e等からなる。固定軸302aに対して回転軸302eは軸受302fを介して回転自在であり、回転軸302eは図示省略の回転駆動手段から動力を伝達されて回転駆動される。
マグネットローラ302dの外周部には、図5に示すように所定の間隔をおいて複数の磁石MGが固定されている。これらの磁石MGの周囲を現像スリーブ302cが回転する構成となっている。
【0027】
マグネットローラ302dに配置された複数の磁石MGは、現像スリーブ302cの周表面に現像剤320を穂立ちさせ、また穂切りなどさせるように磁界を形成するためのものである。これらの磁石MGから発せられる法線方向磁力線に沿うように、磁性のキャリアが集合して磁気ブラシが形成される。
マグネットローラ302dとしては種々の構成が適用可能であるが、本実施形態の現像装置3では、図3に示すように、現像スリーブ302cの内部に3つの磁石MGを有し、3つの磁極MP(磁力分布)が生じるマグネットローラ302dを備える。
図3に示すように、現像ローラ302の中心である現像ローラ中心線O―1と感光体1の中心である感光体中心O−2とを結ぶ仮想直線上で、感光体1と対向する位置に第一磁石MG1を配置し、現像領域αにおける現像磁極MP1を形成する。さらに、現像磁極MP1に対して図3中の反時計回り方向に、ケーシング対向極MP2を形成する第二磁石MG2、現像剤規制部材対向極MP3を形成する第三磁石MG3が配置されている。
【0028】
本実施形態の現像装置3では、現像磁極MP1をN極、ケーシング対向極MP2及び現像剤規制部材対向極MP3をS極としているが、各磁極の極性は各磁極がこれと反対の極性であってもよい。現像磁極MP1は、感光体1に対向し、ケーシング対向極MP2はケーシングに対向しており、現像剤規制部材対向極MP3現像剤規制部材303に対向している。
現像領域αでは、現像ローラ302の表面と感光体1の表面とは直接には接触せず、現像に適する一定の間隔である現像ギャップGPを保持して対向している。現像装置3は、現像ローラ302表面上において、現像剤320を穂立ちさせ、現像剤320を感光体1に接触させることで、感光体1表面の静電潜像にトナーを付着させて顕像化する。
【0029】
現像装置3の現像ローラ302を構成する固定軸302aには接地された不図示のバイアス用の電源が接続されている。固定軸302aに接続された電源から電圧は、図4中に示す導電性の軸受302f及び導電性の回転軸302eを経て現像スリーブ302cに印加される。一方、感光体1を構成する最下層の導電性支持体は接地されている。このような構成により、現像領域αには、キャリアから離脱したトナーを感光体1側へ移動させる電界が形成され、現像スリーブ302cと感光体1の表面に形成された静電潜像との電位差により、トナーを感光体1側に向けて移動させることができる。
【0030】
本実施形態の現像装置3は、図1及び図2に示すように書込光Lで感光体1の表面上に潜像を書き込む方式の画像形成装置と組み合わせたものである。帯電装置2により感光体1の表面上に一様に負極性の電荷を乗せ、負極性の電位を低くするために画像部を書込光Lで露光し、電位が低下した画像部(静電潜像)に負極性のトナーで現像する、所謂反転現像方式を採用している。これは一例であり、本発明の特徴部を備えた現像装置を適用する構成としては、感光体1の表面上に乗せる帯電電荷の極性は大きな問題ではない。
【0031】
現像領域αを通過した現像スリーブ302cの表面上に担持された現像剤320は、ケーシング対向極MP2の磁力によって現像スリーブ302c上に担持され、現像スリーブ302cの回転と共に表面移動方向下流側に搬送され、ケーシング301内に引き入れられる。
ケーシング対向極MP2と現像剤規制部材対向極MP3とは同極性としており、図3に示すように、現像スリーブ302cの表面移動方向について、ケーシング対向極MP2と対向する位置よりも下流側で、且つ、現像剤規制部材対向極MP3と対向する位置よりも上流側となる現像スリーブ302cの表面上の領域では、現像剤320を穂立ちさせる磁界が形成されない。このため、この領域の現像スリーブ302cの表面上では、現像剤320の穂が寝た状態となり、それまで現像スリーブ302cの表面上に引き寄せていた現像剤320を現像ローラ302から引き離す「剤離し」の作用が働く。この穂が寝た状態となる現像スリーブ302cの表面上のケーシング対向極MP2と対向する位置よりも下流側で、且つ、現像剤規制部材対向極MP3と対向する位置よりも上流側となる領域は、図3に示すように、法線磁束密度分布の山形のピークが他領域と比べて極めて低い領域となり、この領域は、現像スリーブ302cから現像剤320を離す、剤離し領域γ(図2中に示す)を形成している。
【0032】
感光体1にトナーを付着させた現像剤320は、現像剤320中のトナー濃度が下がっている。このため、仮に、このトナー濃度が低下した現像剤320が現像ローラ302から離れずに再び現像領域αに搬送され現像に供されると、狙いの画像濃度を得ることが出来ないという不具合が生じてしまう。
これを防止する構成として、本実施形態の現像装置3では、現像領域αを通過した現像スリーブ302c表面上に担持された現像剤を剤離し領域γにおいて現像ローラ302から離脱させる。現像ローラ302から離脱した現像剤は、回収室305aに回収され、その後、狙いのトナー濃度、トナー帯電量になるように、ケーシング301内で十分に撹拌混合される。このようにして、狙いのトナー濃度、帯電量にされた現像剤320は、供給室304a内から供給室搬送部材304によって現像剤貯留スペースεに供給される。現像剤貯留スペースεに供給された現像剤320は、現像剤規制部材対向極MP3の磁力によって現像スリーブ302cの表面に担持され、現像剤規制部材対向極MP3のピーク位置に位置する現像剤規制部材303との対向部を通過することにより、所定の厚さに整えられる。現像剤規制部材303との対向部を通過した現像剤320は、磁気ブラシを形成しながら現像領域αに搬送される。また、現像剤規制部材対向極MP3は、現像剤320を搬送する搬送極の機能を担っている。
【0033】
図5は、現像装置3の主要部の内部斜視図であり、図6は、現像装置3の主要部の外観斜視図である。また、図7は、現像装置3の長手方向両端部の仕切板306に連通孔を設けた部分を上方から見た説明図である。
図5中の矢印D1〜D4がケーシング301内の現像剤320の流れを示している。
【0034】
図2及び図3に示すように、供給室搬送部材304は現像ローラ302のまわりの位置であって、図2及び図3中の現像ローラ302の2時の方向に配置されている。この位置は現像剤規制部材303との対向部に対して現像ローラ302の表面移動方向上流側でもある。図5にしめすように、供給室搬送部材304は回転軸の回りに螺旋状の羽部を設けたスクリュ形状をしており、現像ローラ302の現像ローラ中心線O―302aと平行な供給スクリュ中心線O−304を中心に、図2及び図3中の矢印fで示す時計回り方向に回転する。この回転により、図中の矢印D4で示すように、供給スクリュ中心線O−304に沿って現像装置3の長手方向の手前側FSから奥側BSに向けて現像剤320を撹拌しながら搬送する。つまり、供給室搬送部材304は回転軸に回転駆動が入力されることにより現像剤320をその軸方向、手前側FSから奥側BSに向けて搬送する。
【0035】
図2及び図3に示すように、回収室搬送部材305は現像ローラ302のまわりの位置であって、図2及び図3中の現像ローラ302の4時の方向で、剤離し領域γの近傍に配置されている。図5に示すように、回収室搬送部材305は回転軸の回りに螺旋状の羽部を設けたスクリュ形状をしており、現像ローラ中心線O−302aと平行な回収スクリュ中心線O−305を中心に、図2及び図3中の矢印gで示す時計回り方向に回転する。この回転により、図中の矢印D2で示すように、回収スクリュ中心線O−305に沿って現像装置3の長手方向の奥側BSから手前側FSに向けて現像剤320を撹拌しながら搬送する。つまり、回収室搬送部材305は回転軸に回転駆動が入力されることにより現像剤320を供給室搬送部材304による搬送方向とは逆向きの奥側BSから手前側FSに向けて搬送する。
【0036】
回収室搬送部材305に対して供給室搬送部材304は上方に位置する関係となっており、ケーシング301内で供給室搬送部材304の周囲の空間である供給室304aと、回収室搬送部材305の周囲の空間である回収室305aとは仕切板306を挟んで隣接している。
図5及び図6に示すように、供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305の手前側端部は現像ローラ302の手前側端部よりも若干手前側に位置するように設定して、現像ローラ302の手前側端部への供給室304a内からの現像剤320の供給を確保している。また、供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305の奥側端部は現像ローラ302の奥側端部よりも奥側に位置するように設定している。これにより、後述するトナー補給のためのスペースを確保している。現像剤規制部材303の長手方向の長さは、現像ローラ302の長さに合わせて設定されている。
【0037】
図2、図3に示すように、供給室搬送部材304と回収室搬送部材305との間には、供給室304aと回収室305aとを空間的に仕切る仕切板306がケーシング301の内側に支持されている。この仕切板306の長手方向両側端部には、それぞれ連通口(41及び42)が設けられている。
回収室搬送部材305によって長手方向の奥側BSから手前側FS(図中矢印D2方向)に搬送された現像剤320は、その搬送方向端部でケーシング301の側壁で進路を絶たれるため側壁に沿って盛り上がる。この盛り上がりによって、回収室305a内の搬送方向下流側端部に到達した現像剤320は、上述した仕切板306の長手方向両側端部に設けられた連通口のうちの長手方向手前側端部に設けられた持ち上げ口41を通過し(図中矢印D3)、供給室304aに受け渡される。供給室304aに受け渡された現像剤320は、供給室搬送部材304によって供給室304a内を長手方向の手前側FSから奥側BS(図中矢印D4方向)に搬送される。
回収室305aの場合と同様に、供給室搬送部材304によって長手方向の手前側FSから奥側BS(図中矢印D4方向)に搬送された現像剤320は、その搬送方向端部でケーシング301の側壁で進路を絶たれる。供給室304a内の搬送方向下流側端部に到達した現像剤320は、上述した仕切板306の長手方向両側端部に設けられた連通口のうちの長手方向奥側端部に設けられた落下口42より落下し、回収室305aに受け渡される。
【0038】
このように、現像装置3は、現像ローラ302、供給室搬送部材304、回収室搬送部材305及び仕切板306等を備える構成である。現像ローラ302は、現像剤320を担持して回転し感光体1に形成された静電潜像を可視像化するものである。供給室搬送部材304は、現像ローラ302の現像ローラ中心線O−302aに平行な供給スクリュ中心線O−304を中心に回転し、この供給スクリュ中心線O−304に沿って現像装置3の長手方向に現像剤320を撹拌しつつ搬送する。回収室搬送部材305は、現像ローラ302から現像剤320を離す剤離し領域γの近傍に配置され、現像ローラ中心線O−302aと平行な回収スクリュ中心線O−305を中心に回転し、供給室搬送部材304が現像剤320を搬送する方向とは反対方向に現像剤320を撹拌しつつ搬送する。また、仕切板306は、供給室搬送部材304と回収室搬送部材305との間であって、供給室304aと回収室305aとの空間を仕切り、長手方向の両端部にそれぞれ連通口を有する。このような構成により、現像装置3は、図中の矢印D1〜D4に沿った現像剤320の循環経路を形成する。
【0039】
また、本実施形態の現像装置3内で現像剤320を循環させる現像剤撹拌搬送部材(304及び305)が現像ローラ302の横に上下に二本並べて配置される。
従来の現像装置3としては、図11に示すように2つの現像剤攪拌搬送部材(供給回収スクリュ404、循環スクリュ405)を現像ローラ302から離れる方向(水平方向)に2つ並べて配置する構成のものがある。このように、2つの現像剤攪拌搬送部材を水平方向に並べて配置する構成にくらべて、本実施形態の現像装置3は、装置の横方向(水平方向)の大きさを小さくすることができる。
また、本実施形態の現像装置3は、仕切板306により供給室304a回収室305aとの空間が仕切られている。このため、現像ローラ302に対しては供給室搬送部材304により、トナーとキャリアを十分に撹拌混合された現像剤320のみが供給され、現像直後のトナー濃度の下がった現像剤320は専ら回収室搬送部材305により撹拌搬送され、直ぐに現像ローラ302に供給されることがない。よって、狙いの帯電量を持ったトナーを含み、狙いのトナー濃度となった現像剤320だけが現像ローラ302に供給され、現像に用いられることとなるため、高画質を得ることができる。
このように、本実施形態の現像装置3は、水平方向のコンパクト化を図りつつ、高画質を得ることができる。
【0040】
次に、現像装置3におけるトナー補給について説明する。
現像装置3内の現像剤320は、現像動作を繰り返す内にトナーが消費されていくため、現像装置3の外部から装置内の現像剤320に対してトナーを補給する必要がある。本実施形態の現像装置3は、長手方向の奥側BSの端部近傍にトナー補給口309(図6参照)を備え、このトナー補給口309より外部からのトナーの補給を行う。本実施形態の現像装置3では長手方向の奥側BSの端部近傍は、現像ローラ302に現像剤を供給する供給室304a内の搬送方向下流側端部近傍となるため、トナー補給口309より補給されたトナーが直ちに現像に供されることはなく、落下口42を通過して回収室305aに供給されることとなる。回収室305aに供給されたトナーは回収室搬送部材305で現像剤320と混合・撹拌され、所定のトナー濃度となった現像剤320に含有された状態で、持ち上げ口41から供給室304aへと受け渡され、現像に供される。また、回収室搬送部材305を配置した回収室305aは、現像ローラ302の表面から離脱した現像剤320を回収して搬送するものであり、現像ローラ302への現像剤320の供給は行わない。このため、トナー補給口309から新しくトナーが補給されたことにより十分に撹拌されていない、トナー濃度が不均一な状態の現像剤320が現像に供されることを防止できる。
トナー補給口309から補給されたトナーは、落下口42を通過して回収室305aに供給され、現像ローラ302から離脱してトナー濃度の低下して回収室305aに回収された現像剤320とともに、回収室搬送部材305によって撹拌混合されながら長手方向手前側FS(図中矢印D2方向)に向けて搬送される。新たに補給されたトナー及びトナー濃度が低下した現像剤320は、回収室305a内の搬送方向下流側端部である現像装置3の手前側FSの端部に搬送されるまでの間に、トナー濃度が正常化され、持ち上げ口41から供給室304aへと受け渡される。供給室304aでは、現像剤320は、供給室搬送部材304によって現像装置3の長手方向の奥側BS(図中矢印D4方向)に搬送されながら現像ローラ302に供給され現像に使用される。
【0041】
また、現像装置3は、回収室305a内の持ち上げ口41の下方に不図示のトナー濃度センサを配置している。本実施形態のトナー濃度センサは、透磁率を測定するセンサであり、現像剤のキャリア濃度(=100−トナー濃度)を検出することができる。このトナー濃度センサでの検出結果に基づいて、不図示の制御部がキャリア濃度からトナー濃度センサの検出領域における現像剤320のトナー濃度が適正か否かを判断し、補給するトナーの量を決定する。
【0042】
次に、本発明の現像装置3の特徴部について説明する。
上述したように、供給室搬送部材304によって現像剤貯留スペースεに供給された現像剤320は、現像剤規制部材対向極MP3の磁力によって現像スリーブ302cの表面に担持され、現像剤規制部材対向極MP3のピーク位置に位置する現像剤規制部材303との対向部へ搬送されることにより、所定の厚さに整えられる。そのとき、現像剤規制部材303により規制された現像剤は、現像剤規制部材303の現像ローラ302表面移動方向上流側に滞留する。そして、後続の現像剤担持体に担持されて搬送されてきた現像剤に押される。このような、押圧力により、図8に示すDの領域で、トナーの緩凝集体が形成される。このDの領域に発生したトナー緩凝集体は、感光体1の潜像を現像するために、現像スリーブ302cが、図中b方向(以下、現像スリーブ203aの現像時における回転を、正回転という)に回転し続ける限り、図中Dの領域には、後続の現像剤により押圧され続け、トナーの緩凝集体が、解れることはない。それどころか、生成されたトナー緩凝集体が核となり、更に大きく成長してしまう可能性もある。このように、図中Dの領域で生成されたトナー緩凝集体が、現像ローラと現像剤規制部材との間隙に挟まり、白抜け画像などの不良画像が発生してしまう。
【0043】
そこで、本実施形態においては、非現像時に図中Dの領域で生成されたトナー緩凝集体を崩すように現像装置を構成した。
具体的には、図2、図3、図8に示すように、現像剤規制部材303を、磁性材料からなり、回転可能なローラ形状にし、非現像時に現像剤規制部材を、図中反時計回りに回転させ、現像スリーブ302cを、逆回転(現像時とは反対)方向に所定角度回転させるよう構成した。また、現像剤規制部材303は、現像剤規制部材対向極MP3のピーク位置に配置した。
【0044】
現像剤規制部材303は、直径6mmの磁性ローラであり、現像スリーブ302cの表面から0.5mmの隙間を設けて配置されている。量産工程での調整で、現像剤規制部材303の現像スリーブ302c表面からの距離が、0.5mmとなるようにしてもよいし、ケーシング301に位置決めの穴等を設けて現像剤規制部材303をケーシング内で位置決めすることで、現像剤規制部材303の現像スリーブ302c表面からの距離が、0.5mmとなるようにしてもよい。また、現像剤規制部材303は、ケーシング301に軸受を介して回転自在に支持されている。
【0045】
図9は、現像ローラ302(現像スリーブ302c)および現像剤規制部材303を回転させる回転駆動部200の概略構成図である。
図に示す現像剤規制部材303の軸端部には、ワンウェイクラッチ205を介して規制ギヤ204が設けられている。規制ギヤ204は、現像ローラ302の軸端部に設けられた現像ギヤ202と噛み合っている。現像ギヤ202は、アイドラギヤ203と噛み合っており、アイドラギヤ203は、駆動モータ201のモータギヤ201aと噛み合っている。駆動源たる駆動モータ201は、制御手段たる制御部210が接続されており、モータの回転方向が制御される。
現像剤規制部材の軸端部に設けられたワンウェイクラッチ205は、現像スリーブが、正回転している(図中反時計回り:現像時の回転方向)ときは、規制ギヤ204が空転するのみであるが、現像スリーブが逆回転すると、規制ギヤと現像剤規制部材の軸とが繋がり、現像剤規制部材に駆動力が伝達され、図中反時計回りに回転駆動する。
【0046】
図10は、駆動モータ201の制御フロー図である。
まず、制御部210は、印刷信号を受信したら(S1のYES)、駆動モータを正回転させる(図9において、反時計回り)。駆動モータを正回転させると、現像スリーブ302cが正回転し、現像スリーブ302c表面の現像剤を、現像領域へ搬送して、感光体の潜像を現像する。このとき、現像ギヤから規制ギヤに駆動モータの駆動力が伝達されるが、ワンウェイクラッチ205によって、規制ギヤが空回りし、現像剤規制部材303の回転は、停止している。このように、現像時には、現像剤規制部材を停止させているので、現像剤規制部材と現像スリーブとの隙間が一定に維持される。その結果、現像領域へ搬送される現像スリーブ上の現像剤の層厚を一定に維持することができ、現像された感光体の画像に現像剤規制部材の1回転を1周期とするような画像濃度ムラが生じるようなことはない。
【0047】
そして、現像が終了したら(S3のYES)、制御部210は、駆動モータを逆回転させる(S4)。駆動モータを逆回転させると、現像スリーブが、逆回転する。また、このときは、規制ギヤと現像剤規制部材の軸とが繋がって、規制ギヤに伝達された駆動モータの駆動力が、現像剤規制部材に伝達され、現像剤規制部材が、図中反時計回りに回転する。現像スリーブが逆回転することにより、図8のDの領域付近に溜まった現像剤に、現像剤規制部材から離間する方向の搬送力が付与される。また、これと同時に、磁性材料からなる現像剤規制部材が、図8のi方向に回転することにより、現像剤規制部材の磁力により、図8のDの領域の現像剤に対して、現像剤貯留スペースεへ戻すような搬送力が付与される。密状態であった上記Dの領域の現像剤が現像スリーブと、現像剤規制部材との搬送力により、分散せしめられる。その結果、緩凝集状態のトナーが、付着したキャリアによって引き剥がされ、緩凝集状態トナーを解すことができる。
【0048】
また、本実施形態においては、磁性材料からなる現像剤規制部材を、現像剤規制部材対向極MP3のピーク位置に配置しているので、現像剤規制部材を現像剤規制部材対向極MP3により磁化されたときの磁力を高めることができる。これにより、現像終了時に現像剤規制部材を回転させたとき、上記Dの領域の現像剤に対して、強い磁気吸引力を付与することができ、上記Dの領域の現像剤に強い搬送力を付与することができる。よって、上記Dの領域の現像剤を良好に攪拌することができる。
【0049】
また、現像スリーブの線速と現像剤規制部材303の線速とを同じにするのが好ましい。一方の線速を他方の線速よりも早くすると、線速が早い方の部材の現像剤への影響が強くなり、線速が遅い方の部材の現像剤への影響が弱くなる。その結果、緩凝集体の解し効果が低減してしまう。現像スリーブの線速と現像剤規制部材303の線速とを同じにすることにより、現像スリーブを逆回転させる効果と、現像剤規制部材を回転させる効果とを最大限発揮することができ、緩凝集状態のトナーを、良好に解すことができる。
現像ギヤと規制ギヤとの外径比率やギヤの歯数比を適宜調整することにより、容易に現像スリーブの線速と、現像剤規制部材の線速を同一にすることができる。
【0050】
現像スリーブを約20°〜30°逆回転させれば、上記領域Dに生成された緩凝集状態のトナーを十分に解すことができる。よって、現像スリーブを所定角度回転させたら(S5のYES)、駆動モータを停止させる(S6)。本実施形態においては、現像スリーブを約20°〜30°逆回転させれば、上記領域Dに生成された緩凝集状態のトナーを十分に解すことができるが、使用するトナーや現像スリーブの回転数等によってもトナーを十分に解せる回転角度は異なる。よって、適時適切な角度を設定する必要があるのは言うまでも無い。また、回転により、現像剤規制部材は任意の位置で停止することとなるが、表面性公差を厳しく設定すれば、どの場所で停止しても常に安定した現像剤層厚を維持することが可能となる。もちろん、現像剤規制部材を一回転させて、停止させ、常に現像剤規制部材の所定の箇所を現像スリーブに対向させるようにしてもよい。このように、構成することで、表面性公差を厳しく設定せずとも、常に安定した現像剤層厚を維持することが可能となる。
【0051】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の(1)〜(5)態様毎に特有の効果を奏する。
(1)
複数の磁極を有するマグネットローラ302dなどの磁界発生手段を内包し、トナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤を表面に担持して現像領域αへと搬送する
現像ローラ302などの現像剤担持体と、上記現像剤担持体に担持された二成分現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材303と、上記現像剤担持体が非現像時に現像時とは逆方向に表面移動するように制御する制御部210などの制御手段とを備えた現像装置において、上記現像剤規制部材は、磁性材料からなり、回転可能なローラ形状であり、現像時には、上記現像剤規制部材の回転を停止し、非現像時には、上記現像剤担持体との対向位置において、上記現像剤担持体の非現像時の表面移動方向と同方向に表面移動するように、上記現像剤規制部材を回転させた。
かかる構成を備えることにより、現像剤規制部材よりも現像時の現像剤担持体移動方向上流側に生成された緩凝集トナーを良好に解すことができる。また、現像時は、現像剤規制部材は、回転を停止しているので、現像剤規制部材の回転ムラによる現像剤形成部材と現像剤担持体との間の隙間が変動するのを防止することができ、現像剤の層厚の変動を抑制することができる。これにより、現像剤規制部材の回転周期の画像濃度ムラが生じるのを防止することができる。
【0052】
(2)
また、上記(1)に記載の態様の現像装置において、上記現像剤規制部材を、上記現像剤担持体の磁束密度ピーク近傍に配置した。
かかる構成を備えることで、現像剤規制部材を磁界発生手段により磁化されたときの磁力を大きくすることができる。これにより、非現像時に現像剤規制部材を回転させたとき、現像剤規制部材よりも現像時の現像剤担持体移動方向上流側に溜まった現像剤に対して、強い磁気吸引力を付与することができ、この溜まった現像剤に強い搬送力を付与することができる。よって、現像剤規制部材よりも現像時の現像剤担持体移動方向上流側に溜まった現像剤の密な状態を良好に解除することができ、緩凝集トナーを良好に解すことができる。
【0053】
(3)
また、上記(1)または(2)に記載の態様の現像装置において、上記非現像時の現像剤担持体の線速と、上記現像剤規制部材の線速とを同じにした。
かかる構成を備えることで、上述したように、現像剤担持体の現像時とは逆方向に表面移動させることにより現像剤規制部材よりも現像時の現像剤担持体移動方向上流側に溜まった現像剤を搬送する効果と、現像剤規制部材の回転により現像剤規制部材よりも現像時の現像剤担持体移動方向上流側に溜まった現像剤を搬送する効果とを最大限発揮することができる。これにより、させることにより現像剤規制部材よりも現像時の現像剤担持体移動方向上流側に溜まった密状態の現像剤を良好に分散させることができ、緩凝集状態のトナーを、良好に解すことができる。
【0054】
(4)
また、上記(1)乃至(3)いずれかに記載の態様の現像装置において、上記現像剤規制部材は、上記現像剤担持体を表面移動させる駆動源から、ワンウェイクラッチを介して、駆動力が伝達されるよう構成した。
かかる構成を備えることで、上記現像剤担持体を表面移動させる駆動源と同一の駆動源を用いて、現像剤規制部材を現像時は停止、非現像時は回転するようにできる。よって、現像剤規制部材を回転させるための駆動源と、現像剤担持体を回転させるための駆動源とを別々に設ける場合に比べて、装置全体のコストを低くすることができる。
【0055】
(5)
また、少なくとも感光体1などの潜像担持体と、上記潜像担持体表面を帯電させるための帯電装置2などの帯電手段と、上記潜像担持体上に静電潜像を形成するための露光装置16など潜像形成手段と、上記静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段とを有する画像形成装置において、上記現像手段として、上記(1)乃至(4)いずれかに記載の態様の現像装置を用いた。
かかる構成を備えることで、白抜けや濃度ムラが抑制された高品位な画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0056】
1:感光体
2:帯電装置
3:現像装置
16:露光装置
200:回転駆動部
201:駆動モータ
202:現像ギヤ
203:アイドラギヤ
203a:現像スリーブ
204:規制ギヤ
205:ワンウェイクラッチ
210:制御部
301:ケーシング
302:現像ローラ
302c:現像スリーブ
302d:マグネットローラ
303:現像剤規制部材
320:現像剤
α:現像領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特開2010−85713号公報
【特許文献2】特許3129900号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、トナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤を表面に担持して現像領域へと搬送する現像剤担持体と、
上記現像剤担持体に担持された二成分現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材と、
上記現像剤担持体が非現像時に現像時とは逆方向に表面移動するように制御する制御手段とを備えた現像装置において、
上記現像剤規制部材は、磁性材料からなり、回転可能なローラ形状であり、
現像時には、上記現像剤規制部材の回転を停止し、非現像時には、上記現像剤担持体との対向位置において、上記現像剤担持体の非現像時の表面移動方向と同方向に表面移動するように、上記現像剤規制部材を回転させることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記現像剤規制部材を、上記現像剤担持体の磁束密度ピーク近傍に配置したことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2の現像装置において、
上記非現像時の現像剤担持体の線速と、上記現像剤規制部材の線速とを同じにしたことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかの現像装置において、
上記現像剤規制部材は、上記現像剤担持体を表面移動させる駆動源から、ワンウェイクラッチを介して、駆動力が伝達されるよう構成したことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
少なくとも潜像担持体と、
上記潜像担持体表面を帯電させるための帯電手段と、
上記潜像担持体上に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、
上記静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段とを有する画像形成装置において、
上記現像手段として、請求項1乃至4のいずれかの現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−41048(P2013−41048A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177017(P2011−177017)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】