説明

現像装置および画像形成装置

【課題】
現像ローラ表面におけるトナー粒子、並びにトナー粒子から剥離した外添剤の融着又は固着を抑制しトナーフィルミングの発生を抑えることが可能な現像装置及び画像形成装置の提供。
【解決手段】
弾性層及び該弾性層を覆う表面層を有し、現像剤を担持する現像剤担持体と、前記表面層に対して当接し、前記表面層上の前記現像剤の層厚を規制する現像剤層厚規制部材とを備え、前記表面層は、少なくともカーボンブラックを含み、その重量部を100としたときの前記カーボンブラックの含有量をC[重量部]、動摩擦係数をμ、10点平均粗さをRz[μm]としたとき、2≦Rz≦6の範囲において、0.4≦μ≦0.9のとき、2≦C≦0.5Rz+3、又は0.9≦μ≦0.05Rz+1のとき、10μ−7≦C≦0.5Rz+3の式を満たす現像剤担持体を備えた現像装置及び画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子写真方式の画像形成装置が備える現像装置は、主に像担持体としての感光体ドラム、感光体ドラムの表面を一様均一に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ、感光体ドラム表面に形成された静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させて現像する現像剤担持体としての現像ローラ、現像ローラにトナーを供給する現像剤供給部材としての供給ローラ、現像ローラ表面上のトナー層厚を規制する現像剤層厚規制部材としての現像ブレード等で構成されている。
【0003】
上記現像装置において、感光体ドラム表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像する現像ローラの表面層が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−152024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成を有する現像装置を備えた画像形成装置では、現像ローラ表面にトナー粒子、並びにトナー粒子から剥離した外添剤が融着、又は固着する現象が生じ(以下、トナーフィルミングと称する)、印字品質が低下するといった問題があった。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、現像ローラ表面におけるトナー粒子、並びにトナー粒子から剥離した外添剤の融着、又は固着を抑制し、トナーフィルミングの発生を抑えることが可能な現像装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる現像装置は、弾性層及び該弾性層を覆う表面層を有し、現像剤を担持する現像剤担持体と、前記表面層に対して当接し、前記表面層上の前記現像剤の層厚を規制する現像剤層厚規制部材とを備え、前記表面層は、少なくともカーボンブラックを含み、その重量部を100としたときの前記カーボンブラックの含有量をC[重量部]、動摩擦係数をμ、10点平均粗さをRz[μm]としたとき、
2≦Rz≦6の範囲において、
0.4≦μ≦0.9のとき、2≦C≦0.5Rz+3、又は
0.9≦μ≦0.05Rz+1のとき、10μ−7≦C≦0.5Rz+3
の式を満たすことを特徴としている。
【0008】
また、本発明にかかる現像装置は、弾性層及び該弾性層を覆う表面層を有し、現像剤を担持する現像剤担持体と、前記表面層に対して当接し、前記表面層上の前記現像剤の層厚を規制する現像剤層厚規制部材と、層厚が規制された前記現像剤により現像される静電潜像を担持する像担持体と、前記像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、前記帯電部材に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記表面層は少なくともカーボンブラックを含み、その重量部を100としたときの前記カーボンブラックの含有量をC[重量部]、10点平均粗さをRz[μm]とし、前記電圧印加手段が前記帯電部材に印加する電圧の電圧値をCh[V]としたとき、
2≦Rz≦6の範囲において、
−50Rz−950≦Ch≦−25Rz−900
2≦C≦0.02Ch+Rz+21
の式を満たすことを特徴としている。
【0009】
そして、本発明にかかる画像形成装置は、上記何れかの現像装置と、前記現像装置により現像された現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段に前記記録媒体を搬送する搬送手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現像ローラ表面におけるトナー粒子、並びにトナー粒子から剥離した外添剤の融着、又は固着を抑制し、トナーフィルミングの発生を抑えることが可能な現像装置および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】プリンタの概略断面図である。
【図2】プリンタの主な機能構成を説明するためのブロック図である。
【図3】現像ローラの概略断面図である。
【図4】供給ローラの概略断面図である。
【図5】供給ローラの形状を説明する図である。
【図6】現像ブレードの現像ローラに対する当接状態を示す図である。
【図7】動摩擦係数の大小に基づく汚れの発生を説明する図である。
【図8】動摩擦係数の測定方法を説明する図である。
【図9】刷毛目汚れを説明する図である。
【図10】1%デューティーパターンを説明する図である。
【図11】トナー採取位置を説明する図である。
【図12】かぶり判定を説明する図である。
【図13】トナーフィルミングを説明する図である。
【図14】誘電緩和測定装置を説明する図である。
【図15】汚れ、かぶり、トナーフィルミングの評価結果を説明する表である。
【図16】図15の10点平均粗さRz=4[μm]における動摩擦係数μと配合量Cとのトナーフィルミング判定グラフである。
【図17】図15の動摩擦係数μと配合量Cとのかぶり判定グラフである。
【図18】配合量C、動摩擦係数μの良好範囲を示す図である。
【図19】かぶりの評価結果を説明する表である。
【図20】図19の配合量Cと、10点平均粗さRzとの関係を示したかぶり判定グラフである。
【図21】動摩擦係数μ、配合量C、及び10点平均粗さRzの関係を示したものである。
【図22】10点平均粗さRzと変動値αとの関係を表すグラフである。
【図23】10点平均粗さRzと変動値βとの関係を表すグラフである。
【図24】かぶりの評価結果を説明する表である。
【図25】図24を10点平均粗さRzに分けて示したかぶり判定グラフである。
【図26】印加電圧Ch、配合量Cの良好範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。
【0013】
[第1の実施形態]
第1の実施形態の説明においては、まず、本発明にかかる現像装置を適用した画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0014】
図1は、プリンタ100の概略断面図である。プリンタ100は、電子写真方式により記録媒体としての用紙11上に画像を形成することが可能な画像形成装置である。このような機能を実現するプリンタ100には、用紙搬送ローラ13aを始点とし、用紙搬送ローラ13bを介して用紙搬送ローラ13cを終点とする略S字状に形成された用紙搬送経路12(12a、12b、12c、12d)に沿って現像装置30、転写手段である転写ローラ14、定着装置15等が設けられている。
【0015】
現像装置30は、用紙搬送経路12bに沿って着脱自在に装着されており、露光装置10から照射された照射光によって像担持体としての感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像に現像剤としてのトナー8を付着させて現像し、現像剤像であるトナー像を形成する。現像装置30については後ほど詳細に説明する。
【0016】
露光装置10は、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子から構成されるLEDヘッドとレンズアレイとを有し、画像データに基づいてLED素子から照射される照射光が感光体ドラム1の表面に結像する位置となるように配設される。
【0017】
転写ローラ14は、導電性ゴム等で形成され、感光体ドラム1に対向して圧接するように配設される。転写ローラ14は、後述する転写ローラ用電源22から印加されたバイアス電圧により、感光体ドラム1の表面で現像されたトナー像を用紙11に転写させる。
【0018】
定着装置15は、現像装置28以降の用紙搬送経路12下流側に配設されており、ヒートローラと、バックアップローラと、サーミスタとを備える。ヒートローラは、例えば、アルミニウム等からなる中空円筒状の芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFA(テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを被覆することによって形成されている。そして、その芯金内には、例えば、ハロゲンランプ等の加熱ヒータが設けられている。バックアップローラは、例えば、アルミニウム等からなる芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFAチューブを被覆した構成であり、ヒートローラとの間にNIP部が形成されるように配設されている。サーミスタは、ヒートローラの表面温度検出手段であり、ヒートローラの近傍に非接触で配設される。サーミスタが検出したヒートローラの表面温度の検出結果に基づき、加熱ヒータを制御することで、ヒートローラの表面温度は所定の温度に維持される。トナー像が転写された用紙11が所定の温度に維持されたヒートローラとバックアップローラとから形成されるNIP部を通過することで、熱及び圧力が付与され、用紙11上のトナーが溶融し、トナー像は定着される。
【0019】
なお、図1には示されていないが、プリンタ100を構成する他の部材として、プリンタ100は、図2で説明する制御部20として機能するCPU(Central Processing Unit)、プリンタ100の動作を制御する制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、CPUのワーキングエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)、画像データや制御コマンド等を受信する各種インタフェース部、インタフェース部を介して入力された印刷データを受け取ると共に、該印刷データを編集処理することによって形成された画像データを記憶する画像データ編集メモリ、プリンタ100の動作状態を表示するための、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示手段を備える表示部、ユーザからの指示を受付けるための、例えば、タッチパネル等の入力手段を備える操作部、プリンタ100の動作状態を監視するための、例えば、用紙位置検出センサ、濃度センサ等の各種センサ、画像データ編集メモリに記憶された画像データを露光装置10に出力し、露光装置10が備えるLEDヘッドの駆動を制御するヘッド駆動制御部、定着装置15の温度を制御する温度制御部、用紙11を用紙搬送経路12に沿って搬送する用紙搬送ローラ13a、13b、13cを回転させるための駆動モータを制御する用紙搬送モータ制御部、感光体ドラム1等の各種ローラを回転させるための駆動モータを制御する駆動制御部等を備える。
【0020】
さらに、プリンタ100の機能構成について説明する。図2は、プリンタ100の主な機能構成を説明するためのブロック図である。
【0021】
プリンタ100は、制御部20と、電圧印加手段としての帯電ローラ用電源18と、現像ローラ用電源19と、供給ローラ用電源21と、転写ローラ用電源22とを備える。
【0022】
制御部20は、プリンタ100全体の動作を統括的に制御する。また、制御部20は、感光体ドラム1の回転数を計測するドラムカウンタ17を備える。
【0023】
帯電ローラ用電源18は、制御部20の指示に基づき、帯電ローラ4に所定の電圧を印加し、感光体ドラム1の表面を一様均一に帯電させる。
【0024】
現像ローラ用電源19は、感光体ドラム1上に形成された静電潜像にトナー8を付着させてトナー像を現像する現像剤担持体としての現像ローラ2に所定の電圧を印加する。
【0025】
供給ローラ用電源21は、現像ローラ12にトナー8を供給するために現像剤供給部材としての供給ローラ3に所定の電圧を印加する。
【0026】
転写ローラ用電源22は、感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像を用紙11に転写するために転写ローラ14に所定の電圧を印加する。
【0027】
次に、現像装置30について説明する。図1に示すように、現像装置30は、図中矢印方向に回転可能に支持された像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1に対向して配設され、回転可能に支持された現像剤担持体としての現像ローラ2と、現像ローラ2に対向して配設され、回転可能に支持された現像剤供給部材としての供給ローラ3と、感光体ドラム1の回転方向上流側に圧接するように配設された帯電ローラ4と、感光体ドラム1の表面の所定位置に当接するように配設されたクリーニングブレード5と、クリーニングブレード5により掻き落とされた廃トナーが落下する位置に設けられたスペース6と、供給ローラ3の上方に形成され所定量のトナー8を収容するトナーカートリッジ7と、現像装置28の筐体内壁に支持され現像ローラ2の所定位置にそのエッジ部分が当接するように配設された現像剤層厚規制部材としての現像ブレード9と、現像ローラ2からのトナー8の漏洩を防止するためのシール部材16とを備える。
【0028】
感光体ドラム1は導電性支持体と光導電層によって構成され、導電性支持体としてのアルミニウム等の金属パイプに光導電層としての電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した構成の有機感光体であり、露光装置10から照射された照射光によって画像データに基づく静電潜像を形成する。本実施形態においては、感光体ドラム1は、厚さ0.75[mm]、外径30[mm]のアルミ素管上に、膜厚0.5[mm]の電荷発生層、膜厚18[μm]の電荷輸送層を設けたものを使用した。電荷発生層に使用される電荷発生物質として、例えば、セレン、及びその合金、セレン化ヒ素化合物、硫化カドミニウム、酸化亜鉛、その他の無機光導電物質、フタロシアニン、アゾ色素、キナクリドン、多環キノン、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、インジゴ、チオインジゴ、アントアントロン、ピラントロン、シアニン等の各種有機顔料、染料を用いることが好ましい。また、電荷輸送層に使用される電荷輸送物質として、例えば、カルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾールなどの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖、若しくは側鎖に有する重合体等の電子供与性物質を用いることが好ましい。
【0029】
現像ローラ2は、図3の概略断面図に示すように、例えば、芯金であるステンレス等の導電性シャフト2a上に弾性層2bが周設され、さらに弾性層2b上にトナー8を帯電させるための表面層2cが周設されている。弾性層2bは、例えば、ポリエーテル系ウレタン樹脂で形成され、抵抗値調整や強度確保のために、電子導電剤であるカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等)、及び炭酸カルシウム、シリカといった絶縁性無機微粒子が添加されている。なお、本実施形態にかかる弾性層2bのアスカーC硬度は68〜80[°]程度が好ましい。この弾性層2bの硬度を示すアスカーC硬度は、例えば、アスカーC硬度計(高分子計器(株)社製)を用い、ローラ外周の頂点に硬度計の圧子を接触させることで測定可能である。
【0030】
表面層2cは、所定の溶媒にウレタン樹脂を溶解させたウレタン溶液にディッピングすることで、弾性層2b上にウレタン溶液を浸漬させて形成されている。表面層2cをウレタンとすることで、高導電性が得られ、特に、経時での現像ローラ2の抵抗値の上昇を抑制することができる。また、表面層2cには、導電性を付与するためのカーボンブラックや、表面層2cの表面の動摩擦係数μを調整するためのフッ素系、シリコン系等の添加剤が添加されている。このようにして形成された表面層2cの表面の10点平均粗さRz[μm](JIS B0601−1994;以下、単に10点平均粗さRzと称する)は、2〜6[μm]であることが望ましい。この10点平均表面粗さRzは、サーフコーダSEF3500((株)小坂研究所製)によって計測することができ、このときの表面粗さ測定器の触針半径は2[μm]、触針圧は0.7[mN]、触針の送り速さは0.1[mm/sec]とした。
【0031】
なお、上記導電性シャフト2a、弾性層2b、及び表面層2cからなる現像ローラ2の形状はストレート形状であり、そのローラゴム部の外径φsは19.6[mm]、導電性シャフト12aの外径φsは12.0[mm]、ローラゴム部の全長は348[mm]とした。
【0032】
供給ローラ3は、図4の概略断面図に示すように、芯金である導電性シャフト3a上に弾性層3bが周設されている。導電性シャフト3aは外径φs6.0[mm]のSUM材に無電解ニッケルメッキ処理を施したものを使用した。また、弾性層3bは導電性シリコーンゴム発泡体で形成され、外形は、図5に示すように、長手方向端部の外径が中央部の外径よりも小さいクラウン形状である。中央部の外径φsは15.7[mm]であり、中央部の外径に対する長手方向端部の外径φsの比率は0.975とした(図5中 外径y/外径x≒外径z/外径x=0.975)。また、ローラゴム部の全長は336[mm]である。ところで、上記発泡体の密度は発泡倍率、平均セル径により異なり、特に限定はされないが、例えば、平均セル径は、200〜500[μm]とすることが好ましい。平均セル径は、重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤、アゾジカルボンアミド(ADCA)等の有機発泡剤等の発泡剤の量や種類、加硫時間や加硫温度をコントロールすることで所望の値を得ることができる。例えば、平均セル径を大きくする場合、発泡剤の量を増やす、加硫時間を長くする、または加硫温度を高くするといった方法により行うことができる。
【0033】
また、弾性層3bには、カーボンブラック等の電子導電剤が添加され、半導電性が付与されている。このような構成を有する供給ローラ3は以下の製造方法により製造することができる。まず、有機溶剤等で洗浄し油分を除去した導電性シャフト3aと弾性層3bとしての導電性シリコーンゴム発泡体とを押し出し成型機にて一体化し、次いで、赤外線オーブン等にて発泡、硬化させる。その後、約180〜225[℃]の温度で5〜10時間程度、2次加硫処理を行い、粗研磨、フィニッシャー研磨等を経て所望の外径を有する供給ローラ3を得ることができる。
【0034】
帯電ローラ4は感光体ドラム1の表面に接して設けられ、例えば、ステンレス等の導体を軸としてエピクロロヒドリンゴム等の導電性の弾性体を被覆することによって構成されている。帯電ローラ4は、帯電ローラ用電源18から印加された所定の電圧により感光体ドラム1表面を一様均一に帯電させる。
【0035】
クリーニングブレード5は、感光体ドラム1の表面の所定位置に接して設けられ、感光体ドラム1の表面に残留した転写残トナーを感光体ドラム1の回転に伴い掻き落とす。
【0036】
スペース6は、トナーを搬送する搬送部材が収容される空間であり、クリーニングブレード5により掻き落とされた転写残トナーを廃トナーとして図示せぬ回収容器に搬送する。
【0037】
トナーカートリッジ7は、画像形成に用いられる未使用のトナー8を収容する箱型部材である。
【0038】
トナー8は、懸濁重合法、若しくは乳化重合法で作製された重合トナーを用いることができる。本実施形態で用いたトナー8は、乳化重合法によって作製されたスチレンアクリル共重合樹脂と着色剤とワックスとを混合し、凝集してできるトナー粒子(ベーストナー)にシリカ、酸化チタン微粉末を加えてミキサーにて混合したものである。このようにして作製されたトナー8の円形度は0.95〜0.97、粒径は5.5〜7[μm]であった。
【0039】
現像ブレード9は、現像ローラ2の表面の所定位置において、カウンタ方向に所定の圧接力で当接するように配設された、板厚0.08[mm]のステンレス製の現像剤層厚規制部材である。図6は、本実施形態にかかる現像ブレード9の現像ローラ2に対する当接状態を示す図である。図6に示すように、現像ブレード9はそのエッジ部分において、現像ローラ2の表面と単位長さ当り40[gf/cm]の線圧をかけてトナー8を一定の層厚に規制する。ここで、当接部分の曲率半径をR[mm]とすると、本実施形態においては、曲率半径Rを0.275[mm]と設定した。
【0040】
シール部材16は、例えば、発泡ウレタンを現像ローラ2の形状に合わせて、厚み約3mmの円弧状に形成し、かつ、現像ローラ2と周擦する部分に厚み約0.08mmのフィルム状のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を設けたものである。なお、PTFEはフィルム形状の他に繊維状に成型したものを織り合わせたフェルト形状のものを用いることもできる。
【0041】
次に、このような構成を備えたプリンタ100の印刷動作について説明する。
【0042】
まず、例えば、パーソナルコンピュータ等の上位装置から図示せぬインターフェースを介して印刷実行命令が入力されると、制御部20は、図示せぬ駆動制御部を制御して、感光体ドラム1を図1中矢印方向へ所定の周速度をもって回転させる。
【0043】
同時に、制御部20は、所定の電圧を帯電ローラ4に印加するよう帯電ローラ用電源18に指示を与える。指示を受けた帯電ローラ用電源18は帯電ローラ4に所定の電圧を印加し、感光ドラム1の表面を一様均一に帯電させる。なお、本実施形態においては、帯電ローラ7に−1100[V]程度の電圧を印加した(NN環境下:温度22[℃]、湿度50[%])。
【0044】
次に、制御部20は、入力された画像データに基づくイメージデータを図示せぬヘッド駆動制御部に出力する。ヘッド駆動制御部は、入力されたイメージデータに基づく光を照射するよう露光装置10が備えるLEDヘッドを制御し、感光ドラム1上に静電潜像を形成させる。
【0045】
ここで、トナーカートリッジ7に収容されたトナー8は、供給ローラ用電源21によって電圧が印加された供給ローラ3により現像ローラ2に供給される。なお、本実施形態においては、供給ローラ3に−300[V]程度の電圧を印加した。
【0046】
現像ローラ2の表面の所定位置に配設された現像ブレード9は、供給ローラ3から供給されたトナー8を均一な層厚に形成する。そして、現像ローラ2と感光ドラム1との間において、感光ドラム1上に形成された静電潜像に対応する電気力線により、トナー8が静電潜像部分に付着することでトナー像が現像される。なお、本実施形態においては、現像ローラ2に−150[V]程度の直流電圧を印加した。
【0047】
上記トナー像の形成動作に合わせて、制御部20は、用紙搬送ローラ13a、13b、13cを回転させるよう図示せぬ用紙搬送モータ制御部に対して指示を与える。用紙搬送ローラ13a、13bの回転に伴い、用紙11は用紙搬送経路12a、12bを経て現像装置30に搬送される。
【0048】
そして、転写ローラ用電源22により所定の電圧が印加された転写ローラ14により、用紙11上にトナー像が転写される。
【0049】
その後、用紙11は、定着装置15に搬送される。そして、ヒートローラから付与される熱によりトナー8が溶融され、さらに、ヒートローラとバックアップローラとから形成されるNIP部において圧接されることにより、トナー像が用紙11上に定着する。トナー像が定着された用紙11は、用紙搬送ローラ13cの回転により用紙搬送経路12c、12dを経てプリンタ100外部に排出され、一連の印刷動作が終了する。
【0050】
なお、トナー像が転写された後の感光ドラム1上には、若干のトナーが残留する場合があるが、この残トナーは、クリーニングブレード5によって除去され、クリーニングされた感光ドラム1は繰り返して使用される。
【0051】
前述したように、懸濁重合法、若しくは乳化重合法で作製された重合トナーを使用した場合、トナーフィルミングが発生し、印字品質が低下することがある。以下の説明においては、本実施形態において検討に用いた現像ローラについて説明し、次いで、トナーフィルミングの発生を抑える上で検討した評価方法について説明する。
【0052】
まず、本実施形態において検討に用いた現像ローラ2について説明する。表1は、検討に用いた、動摩擦係数μ、表面層2cに含まれるカーボンブラックの配合量C[重量部](表面層2c内のウレタン重量部を100としたときのカーボンブラックの重量部;以下、単に配合量Cと称する)がそれぞれ異なる現像ローラ2を一覧にして示したものである。
【0053】
【表1】

【0054】
シリコン系、フッ素系の添加剤の量を調整することで、異なる動摩擦係数μを示す現像ローラ2を作製した。ここで、例えば、動摩擦係数μが小さすぎると、トナー8が現像ローラ2に付着しづらく、十分な画像濃度を得ることができない。逆に、動摩擦係数μが大きすぎると、現像されずに現像ローラ2上に残ったトナー8を供給ローラ3で掻き取りにくくなり、図7に示すような掻き取れなかった部分の現像2周期目のトナー付着量が多くなり、汚れや現像1周期目との濃度段差が生じることになる。したがって、本実施形態において準備した現像ローラ2の動摩擦係数μの範囲は、0.4≦μ≦2とした。
【0055】
ここで、図8を用いて動摩擦係数μの測定方法について説明する。図8に示すように、テンションゲージ45(IMADA製 DIGITALFORCE GAUGE ZP−50N)は、図中矢印方向に移動するステージ47(オリエンタルモーター(株)製 小型直動シリーズSPL42)に固定されている。支持された現像ローラ2と所定の角度θ(本実施形態においては、90[°])で接触した、幅50[mm]、長さ200[mm]のベルト44は、一端側がテンションゲージ45に、他端側が重り46に接続されている。この状態で、ステージ47を1.2[mm/sec]の速さで5秒間、図中矢印方向にスライドさせる。このときにテンションゲージ45にかかる荷重Kを読み取り、動摩擦係数μを算出した。なお、ベルト44として、表面状態に個体差が少ないものとして、(株)沖データ社製のエクセレントホワイト紙(型名:PPR−CA4NA、坪量:80[g/cm])を用いた。また、重り46として、重量Wが5[g]、10[g]、15[g]のものを用いた。そして、動摩擦係数μは、下記のオイラーのベルト式、
μ=1/θ×ln(K/W)
から算出した。表1に示す動摩擦係数μは、前記5[g]、10[g]、15[g]の3種類の重りを用いて測定、算出した動摩擦係数μの平均値を示したものである。
【0056】
次に、表1に示した現像ローラ2を用い、トナーフィルミングの発生を抑える上で検討した評価方法について説明する。
【0057】
まず、汚れを確認するため初期の時点でのA3ハーフトーン画像を1枚印刷する。時間が経過すると、トナー帯電性が低下するため、最も帯電性が高い初期の段階で汚れを確認しておくことが望ましい。汚れの原因は、現像ローラ2の表面に付着するトナー8の量が多くなり、現像ブレード9で層厚が規制されずに大量のトナー8が感光体ドラム1に現像されることで生じる。このような場合、図9に示すような刷毛目汚れが主に観察される。特に、帯電性の高い現像ローラや表面粗さの大きい現像ローラにおいて汚れの発生の危険性がある。
【0058】
次に、トナーフィルミングの発生を再現するにあたり、図10に示す印刷面積のデューティーパターンが1%となるようなA3ベタパターン(1%デューティーパターン)を20000枚印刷した後、現像ローラ2表面上にトナー8と外添剤とを融着させる。現像ローラ2表面上へのトナーフィルミングは、トナー8と現像ブレード9、現像ローラ2、又は供給ローラ3等の部材との摩擦によりストレスがかかることで、トナー8に点在する外添剤が剥離し、該外添剤がトナー8自体と共に現像ローラ2表面上に堆積後、融着する現象である。したがって、トナーフィルミングが再現されるまでは、ある程度の印刷枚数が必要とされる。ここで、印刷時に各部材に印加された電圧は、現像ローラ2:−150[V]程度、供給ローラ3:−300[V]程度、帯電ローラ4:−1100[V]程度、現像ブレード9:−300[V]程度とした。また、使用したプリンタ100の印刷速度は、一般的な普通紙(坪量:68〜75[g/cm])を用いたときに片面36[ppm]であり、使用したプリンタ100は(株)沖データ社製のMICROLINE910PSである。そして、評価環境は、NN環境(温度:22[℃]、湿度:50[%])である。なお、HH環境(温度:28[℃]、湿度:80[%])においては、帯電ローラ4に印加する電圧は−1000[V]程度とした。
【0059】
1%デューティーパターンを20000枚印刷した後、プリンタ100をHH環境に移し、24時間放置した。その後、A3白紙に印刷を行い、この記録用紙が感光体ドラム1と転写ローラ14との間に位置するタイミングで現像装置30を取り出し、かぶりの原因となるかぶりトナーを採取した。なお、かぶりトナーの採取位置は、図11に示すとおりであり、本来ならば、トナー像が現像後〜転写前の部分に相当する位置である。
【0060】
ここで、かぶりトナーを採取する理由について説明する。表1に示した各現像ローラ2はそれぞれカーボンブラックの配合量が異なるものである。カーボンブラックは、一般的に導電剤として利用されており、その配合量が多ければ多いほど、トナー8の帯電性は低下する。かぶりは、正常に帯電したトナー8に対して、低い帯電性のトナー8や逆極性の帯電したトナー8によって、画像の背景部分(すなわち、非印刷部分)にトナー8が付着することで発生する現象である。一般的に、トナー帯電性が低い程、かぶりが悪い傾向であるため、かぶりトナーを採取することは、適切なカーボンブラックの配合量を確認する上で有効な方法といえる。
【0061】
次に、かぶりの測定方法について説明する。まず、上記の現像後〜転写前の感光体ドラム1上のトナー8を粘着テープ(住友スリーエム社製 スコッチテープ)に付着させた後に白紙の記録用紙に貼り付けた。そして、粘着テープだけを記録用紙に貼り付けた場合との色差△Eを分光測色計にて測定した。本実施形態においては、図12に示すように、感光体ドラム1の両端部から均等に5点採取し、その平均値をかぶり測定値とした。
【0062】
次に、現像ローラ2自体を現像装置30から取り出し、感光体ドラムと接触させて回転させながら電圧を印加することで、電気的にトナー8を除去した。電気的にトナー8を除去することで、現像ローラ2表面上には融着したトナー8、及び外添剤のみが残る。トナーフィルミングの程度が悪いものは、この段階で融着が醜く、現像ローラ2表面は黒みがかったトナー8の色で覆われている。このような状態において、現像ローラ2表面をレーザ顕微鏡で観察した場合、図13左図に示すような、顕微鏡画面上で表面の素地に対して融着したトナー8、及び外添剤が占める面積が大きくなる。
【0063】
次に、トナー8、及び外添剤が融着した状態を定量的に把握するため、誘電緩和測定装置を用いて現像ローラ2の残留電荷[V]を測定した。
【0064】
図14は、現像ローラ2上の残留電荷を測定するために用いた誘電緩和測定装置37を説明する図である。誘電緩和測定装置37として、Quality Engineering Associates社製のDRA−2000Lを用いた。本測定装置によれば、現像ローラ2表面にコロナ電圧を印加後、電位衰退後の現像ローラ2表面に介在する電荷から残留電位を算出することができる。このとき、残留電位の値が大きいほど、残留電荷が大きく誘電的性質が強いといえる。
【0065】
誘電緩和測定装置37は現像ローラ2の表面にコロナ電圧を印加するコロナ電圧印加部(コロナ放電器)39と現像ローラ2の表面の電荷を収得するプローブ(表面電位計)40とが図14に示す配設位置で設けられたキャリア38を有する。キャリア38は、現像ローラ2の長手方向に対して移動自在となるように設けられている。なお、本実施形態においては、プローブ40と現像ローラ2の表面との距離は1[mm]に固定されており、プローブ40はコロナ電圧印加部39による6[kV]のコロナ電圧印加後、0.1秒後の現像ローラ2の残留電位を電流センサ41にて測定する。キャリア38が現像ローラ2の両端部を往復する毎に現像ローラ2は任意の回転角度だけ回転し、最終的に360度回転するまで該回転動作を繰り返す。
【0066】
現像ローラ2表面上のトナーフィルミングが悪い程、絶縁性が高くなるため、残留電荷[V]は高くなる。ここで、本実施形態においては、トナーフィルミングを判定する定量的な値として現像ローラ2の初期残留電荷V1[V]と印刷枚数20000枚印刷後の現像ローラ2の残留電荷V2の比率であるVfを規定する。比率Vfは、下記(1)式で表され、比率Vfが大きい程トナーフィルミングが悪いと判別することができる。
Vf=V2/V1 (1)
【0067】
上記評価を行った結果を図15に示した。汚れ、かぶり、トナーフィルミングの判定方法は以下の通りである、△は数値としては、かぶり、トナーフィルミングは若干悪い傾向ではあるが、いずれも印字上では問題ない領域とする。
汚れ; ×:刷毛目汚れあり ○:刷毛目汚れなし
かぶり; ×:△E>4.00 △:3.50<△E≦4.00 ○:△E≦3.50
トナーフィルミング; ×:Vf>1.60 △:1.40<Vf≦1.60 ○:Vf≦1.40
【0068】
ここで、比率Vfの良好範囲と非良好範囲との境界である1.4〜1.6の範囲の値をトナーフィルミング判定として使用する。図16は、図15の10点平均粗さRz=4[μm]における動摩擦係数μと配合量Cとのトナーフィルミング判定グラフであり、図17は、図15の動摩擦係数μと配合量Cとのかぶり判定グラフである。動摩擦係数μによるかぶり依存性は小さく、配合量Cに大きく依存していることがここから分かる。ここで、トナーフィルミング、かぶりの良好範囲を図18に示し、動摩擦係数μと配合量Cとの関係は下記(2)式で表される。また、配合量Cに対して動摩擦係数μのかぶり依存性は低いが、配合量Cに関わらず動摩擦係数μが0.4未満となるとかぶりが発生した。
(0.4≦μ≦0.9) 2≦C≦5
(0.9≦μ≦1.2) 10μ−7≦C≦5 (2)
【0069】
次に、表2に示したサンプル表は、配合量C、10点平均粗さRzがそれぞれ異なる現像ローラ2を評価サンプルとして一覧にして示したものである。
【0070】
【表2】

【0071】
10点平均粗さRzは表面の凹凸を調整した研磨ペーパを数種類使用し、研磨速度、研磨押し込み量等を調整することにより、差異を出すことが可能である。なお、ここで準備したサンプルの動摩擦係数μは1.2とする。
【0072】
本来、10点平均粗さRzを増減させると、それに伴い動摩擦係数μも増減することになるが、本実施形態においては、10点平均粗さRzを増減させても動摩擦係数μが変動しないように添加剤にて調整しているため、10点平均粗さRzと動摩擦係数μとはフラットに近い関係となる。10点平均粗さRzについては、この値が小さすぎると、現像ローラ2にトナー8が付着しにくく、十分な画像濃度を得ることができない。これとは逆に、10点平均粗さRzの値が大きすぎると、トナー8の付着量が多くなりすぎて汚れが発生しやすくなる。したがって、本実施形態においては、10点平均粗さRzの範囲を2≦Rz≦6とした。
【0073】
そして、上記と同条件、方法で初期の汚れ、及び1%デューティーパターンを20000枚印刷した後のHH環境下でのかぶり判定を行った。この結果を示したのが図19である。そして、図20は、図19の配合量Cと、10点平均粗さRzとの関係を示したかぶり判定グラフである。ここで、汚れの良好範囲に変化はないが、10点平均粗さRzを調整することによりかぶりの良好範囲がシフトすることが分かる。このときの振れ幅は単位Rzあたり0.5となる。図21は、動摩擦係数μ、配合量C、及び10点平均粗さRzの関係を示したものである。図21から、10点平均粗さRzの値が増減することにより、配合量Cの良好範囲が変動し、それに伴い、動摩擦係数μの良好範囲が変動することが分かる。これらの関係は、下記の(3)式で表される。なお、このときの10点平均粗さRzによる変動値をα、βとする。
(0.4≦μ≦0.9) 2≦C≦β
(0.9≦μ≦α) 10μ−7≦C≦β (3)
【0074】
ここで、上記α、βは、図22、図23に示されるように10点平均粗さRzで表すと下記の(4)式のようになる。
2≦Rz≦6
(0.4≦μ≦0.9) 2≦C≦0.5Rz+3
(0.9≦μ≦0.05Rz+1) 10μ−7≦C≦0.5Rz+3 (4)
【0075】
以上のように、第1の実施形態によれば、乳化重合法により製造したトナーを使用した場合、現像ローラの表面層の表面10点平均粗さRz[μm]、同表面の動摩擦係数μ、表面層に含まれるカーボンブラックの配合量C[重量部]とし、上記の(4)式を満たすときに、汚れ、低濃度画像、高湿環境下でのかぶり、経時によるトナーフィルミングの発生を抑制することができる。
【0076】
[第2の実施形態]
かぶりの発生を緩和する方法として、帯電ローラに印加する電圧を調整する方法がある。これは、感光体ドラム1表面の負帯電を低下させることで、感光体ドラム1に付着できる正帯電のトナー量を少なくするという原理に基づくものである。第1の実施形態においては、帯電ローラに印加する電圧を−1000[V]程度としたが、これを−900[V]より小さくすると汚れが発生する要因となるため、帯電ローラに印加する電圧は−900[V]以上であることが望ましい。本実施形態においては、第1の実施形態で検討に用いた現像ローラについて、種々の帯電ローラへの電圧印加条件下におけるかぶりの発生を評価することで、かぶりの良好範囲を確認した。
【0077】
第2の実施形態においては、表2に示した評価サンプルの中で、配合量Cが2〜7までのものを評価に使用した。最もかぶりの良好範囲が広い、10点平均粗さRz=6[μm]の現像ローラ2用い、帯電ローラ4に対して印加電圧下限の−900[V]の電圧を印加したとき、配合量Cが7の時点におけるかぶりの判定は、△E=3.86で△であった。また、配合量Cが2より小さい場合、第1の実施形態の結果から、刷毛目汚れが悪いため、今回の評価からは除外した。したがって、評価サンプルとしての現像ローラ2の表面層2cに含まれるカーボンブラックの配合量Cの上限を7、下限を2とした。
【0078】
評価方法としては、第1の実施形態で説明したHH環境下におけるかぶり評価と同様であり、評価タイミングとしては、1%デューティーパターンを20000枚印刷した後である。ここで、帯電ローラ4に印加する印加電圧をCh[V]としたとき、印加電圧Chを−900[V]から負に上げていったときのかぶりの変動を確認した。この評価結果を図24に示す。また、図25は、図24を10点平均粗さRzに分けて示したかぶり判定グラフである。これらの結果から、印加電圧Ch、配合量Cの良好範囲はそれぞれ下記の(5)式〜(9)式で表される。
Rz=2 (−1050≦Ch≦−950) 2≦C≦0.02Ch+23 (5)
Rz=3 (−1100≦Ch≦−975) 2≦C≦0.02Ch+24 (6)
Rz=4 (−1150≦Ch≦−1000) 2≦C≦0.02Ch+25 (7)
Rz=5 (−1200≦Ch≦−1050) 2≦C≦0.02Ch+26 (8)
Rz=6 (−1250≦Ch≦−1050) 2≦C≦0.02Ch+27 (9)
【0079】
したがって、10点平均粗さRzの変数をγ、δ、εとすると、下記の(10)式で表される。
(γ≦Ch≦δ) 2≦C≦0.02Ch+ε (10)
【0080】
そして、図26に示すように、上記γ、δは10点平均粗さRzの値を増加させると、負の方向にシフトする。そして、(10)式は、いずれも10点平均粗さRzの一次関数で表され、最終的には、(10)式は、(11)式に置き換わる。
2≦Rz≦6
(−50Rz−950≦Ch≦−25Rz−900) 2≦C≦0.02Ch+Rz+21 (11)
上記(11)式を満たすとき、かぶりの発生に対して良好な結果を得ることができる。
【0081】
以上のように、第2の実施形態によれば、帯電ローラに印加する印加電圧を規定することにより、かぶりの発生を抑制することができる。
【0082】
本発明は上記記述に限定されず、例えば、中間転写方式の画像形成装置にも適用可能である。また、プリンタのみならず、MFP、ファックス、または複写機等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 感光体ドラム
2 現像ローラ
2a 導電性シャフト
2b 弾性層
2c 表面層
3 供給ローラ
3a 導電性シャフト
3b 弾性層
4 帯電ローラ
5 クリーニングブレード
6 スペース
7 トナーカートリッジ
8 トナー
9 現像ブレード
10 露光装置
11 用紙
12a、12b、12c、12d 用紙搬送路
13a、13b、13c 用紙搬送ローラ
14 転写ローラ
15 定着装置
16 シール部材
17 ドラムカウンタ
18 帯電ローラ用電源
19 現像ローラ用電源
20 制御部
21 供給ローラ用電源
22 転写ローラ用電源
30 現像装置
37 誘電緩和測定装置
38 キャリア
39 コロナ電圧印加部
40 プローブ
41 電流センサ
44 ベルト
45 テンションゲージ
46 重り
47 ステージ
100 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性層及び該弾性層を覆う表面層を有し、現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記表面層に対して当接し、前記表面層上の前記現像剤の層厚を規制する現像剤層厚規制部材とを備え、
前記表面層は、
少なくともカーボンブラックを含み、その重量部を100としたときの前記カーボンブラックの含有量をC[重量部]、動摩擦係数をμ、10点平均粗さをRz[μm]としたとき、
2≦Rz≦6の範囲において、
0.4≦μ≦0.9のとき、2≦C≦0.5Rz+3 又は
0.9≦μ≦0.05Rz+1のとき、10μ−7≦C≦0.5Rz+3
の式を満たすこと
を特徴とする現像装置。
【請求項2】
弾性層及び該弾性層を覆う表面層を有し、現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記表面層に対して当接し、前記表面層上の前記現像剤の層厚を規制する現像剤層厚規制部材と、
層厚が規制された前記現像剤により現像される静電潜像を担持する像担持体と、
前記像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、
前記帯電部材に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、
前記表面層は少なくともカーボンブラックを含み、その重量部を100としたときの前記カーボンブラックの含有量をC[重量部]、10点平均粗さをRz[μm]とし、
前記電圧印加手段が前記帯電部材に印加する電圧の電圧値をCh[V]としたとき、
2≦Rz≦6の範囲において、
−50Rz−950≦Ch≦−25Rz−900
2≦C≦0.02Ch+Rz+21
の式を満たすこと
を特徴とする現像装置。
【請求項3】
導電性支持体と導電性シリコーンゴム発泡体を含む弾性層とを有し、
前記現像剤担持体に対して所定の圧接力をもって当接し、前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する現像剤供給部材を備えること
を特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像剤は乳化重合法により作製されたこと
を特徴とする請求項1乃至3請求項3の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の現像装置と、
前記現像装置により現像された現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写手段に前記記録媒体を搬送する搬送手段とを備えること
を特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−73003(P2013−73003A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211807(P2011−211807)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】