説明

現像装置とその梱包材および現像装置の梱包体

【課題】 封止部材を別途設けることなく梱包輸送時における現像剤の漏れ防止を図った現像装置とその梱包材および現像装置の梱包体を提供すること。
【解決手段】 梱包材200に,3つの現像ユニット10を回転対称に配置して梱包する。現像ユニット10の開口部16に露出している現像スリーブ11bの内側の磁極配置箇所66における固定磁石11aの磁極は,N極である。そして,現像残現像剤搬送路18を形成する現像スリーブ11bの内側の磁極配置箇所68における固定磁石11aの磁極は,S極である。一つの現像ユニット10における磁極配置箇所66のN極と他の現像ユニット10における磁極配置箇所68のS極とを,その間に現像残現像剤搬送路18を挟むように対面させて配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,現像装置とその梱包材および現像装置の梱包体に関する。さらに詳細には,梱包輸送時における現像剤の漏れ防止を図った現像装置とその梱包材および現像装置の梱包体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には,現像ユニットや感光体ユニットなどを別々に交換できるものがある。現像ユニットなどの現像装置は,その内部に現像剤を封入することができるようになっている。そして,現像ユニットには,現像ローラを露出させるための開口部が形成されている。現像ローラ等の現像部材を感光体ドラムに近接して配置するためである。このように開口部の形成された現像ユニットを梱包して輸送する際には,その開口部から現像剤が漏れるおそれがあった。このように漏れ出た現像剤は,周囲の部材を汚し,ユーザの手や周辺機器をも汚すおそれがある。
【0003】
ところで,画像形成装置には,トナーと磁性キャリアとを用いる磁性二成分の現像剤を用いる現像装置を備えるものがある。開口部から現像剤が漏れることは,磁性二成分の現像剤を用いる現像装置においても同様に問題となっている。
【0004】
このため,開口部等からの現像剤の漏れを防止する対策が講じられるようになった。特許文献1に記載の梱包装置は,梱包用の箱にシール用の磁石を配置することとしている。この磁石から発生する磁力により磁性の現像剤は拘束されることとなる。これにより,現像剤が現像装置の外部へ飛散することを防止することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−249533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし,特許文献1に記載の梱包装置では,開梱後にシール用の磁石が無用物となる。このような余剰品は,必然的に廃棄物となる。これでは,環境問題がクローズアップされる昨今の趨勢にそぐわない。
【0007】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,封止部材を別途設けることなく梱包輸送時における現像剤の漏れ防止を図った現像装置とその梱包材および現像装置の梱包体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の現像装置の梱包材は,磁性現像剤を担持して,像担持体に形成された静電潜像を現像するための中空ローラである現像スリーブと,現像スリーブの内部に配置されるとともに,磁性現像剤を現像スリーブに吸着させる複数の磁石が固定された磁石体とを備える現像部材と,磁性現像剤を収容する現像槽を備える現像容器とを有し,現像部材の一部を露出するための開口部が現像容器に形成されており,開口部から現像槽に向かう現像部材と現像容器との間の隙間が,現像後の現像残現像剤を搬送するための現像残現像剤搬送路となっており,磁石体が,開口部に対面する箇所に固定された第1の磁極と,現像残現像剤搬送路に対面する箇所に固定された第1の磁極と異なる極性の第2の磁極とを有する現像装置を,二個以上梱包する現像装置の梱包材において,現像装置の外形形状の少なくとも一部と一致している複数の位置決め箇所を有し,それぞれの位置決め箇所が,現像装置の少なくとも一部と接触するものであり,複数の位置決め箇所が,各現像装置の第1の磁極と,他の現像装置の第2の磁極とを対面させるように配置されているものである。かかる現像装置の梱包材は,現像残現像剤搬送路の箇所に磁界を形成することができる。これにより,梱包するすべての現像装置について,現像剤が外部へ漏れ出ることを防止することができる。なお,開梱後に廃棄物となる磁石はない。
【0009】
上記に記載の現像装置の梱包材において,複数の位置決め箇所が,二個以上の現像装置を回転対称に配置するように設けられているとよい。梱包するすべての現像装置について,現像剤が外部へ漏れ出ることを防止することができるためである。
【0010】
上記に記載の現像装置の梱包材において,現像装置を保持する保持部材と,二個以上の現像装置の相対位置を固定する固定具とを有し,複数の位置決め箇所が,固定具に設けられていてもよい。現像剤が外部に漏れ出ることを防止できることに変わりないためである。
【0011】
また,本発明の現像装置の梱包体は,磁性現像剤を担持して,像担持体に形成された静電潜像を現像するための中空ローラである現像スリーブと,現像スリーブの内部に配置されるとともに,磁性現像剤を現像スリーブに吸着させる複数の磁石が固定された磁石体とを備える現像部材と,磁性現像剤を収容する現像槽を備える現像容器とを有し,現像部材の一部を露出するための開口部が現像容器に形成されており,開口部から現像槽に向かう現像部材と現像容器との間の隙間が,現像後の現像残現像剤を搬送するための現像残現像剤搬送路となっており,磁石体が,開口部に対面する箇所に固定された第1の磁極と,現像残現像剤搬送路に対面する箇所に固定された第1の磁極と異なる極性の第2の磁極とを有する現像装置と,二個以上の現像装置を梱包する梱包材とを有する現像装置の梱包体において,梱包材が,現像装置の外形形状の少なくとも一部と一致している複数の位置決め箇所を有し,それぞれの位置決め箇所が,現像装置の少なくとも一部と接触するものであり,複数の位置決め箇所が,各現像装置の第1の磁極と,他の現像装置の第2の磁極とを対面させるように配置されており,二個以上の現像装置が,複数の位置決め箇所により相対位置を固定された状態で梱包材により梱包されているものである。かかる現像装置の梱包体は,梱包したすべての現像装置について,現像剤が現像装置の外部へ漏れ出ることを防止することができる。また,開梱後に廃棄物となる磁石はない。
【0012】
また,本発明の現像装置は,磁性現像剤を担持して,像担持体に形成された静電潜像を現像するための中空ローラである現像スリーブと,現像スリーブの内部に配置されるとともに,磁性現像剤を現像スリーブに吸着させる複数の磁石が固定された磁石体とを備える現像部材と,磁性現像剤を収容する現像槽を備える現像容器とを有し,現像部材の一部を露出するための開口部が現像容器に形成されており,開口部から現像槽に向かう現像部材と現像容器との間の隙間が,現像後の現像残現像剤を搬送するための現像残現像剤搬送路となっており,磁石体が,開口部に対面する箇所に固定された第1の磁極と,現像残現像剤搬送路に対面する箇所に固定された第1の磁極と異なる極性の第2の磁極とを有する現像装置において,同種の他の現像装置を係止する係止部材と,同種の他の現像装置の係止部材に係止される被係止箇所とを有し,係止部材および被係止箇所が,他の現像装置の被係止箇所を係止し,または他の現像装置の係止部材に係止されることにより,第1の磁極および第2の磁極の一方と,他の現像装置の第1の磁極および第2の磁極の他方とを対面させて,二個以上の同種の現像装置が配置されるように相対位置を固定しあうものである。かかる現像装置は,梱包時に現像残現像剤搬送路の箇所に磁界を形成することができる。このため,現像剤が現像装置の外部へ漏れ出ることを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば,封止部材を別途設けることなく梱包輸送時における現像剤の漏れ防止を図った現像装置とその梱包材および現像装置の梱包体が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る現像装置を説明するための概略構成図である。
【図2】本発明に係る現像装置の梱包材を説明するための斜視図(その1)である。
【図3】本発明に係る現像装置の梱包材を説明するための斜視図(その2)である。
【図4】本発明に係る現像装置の梱包体の内部における現像装置の位置を説明するための概念図である。
【図5】本発明に係る実施形の梱包材の例を示す斜視図である。
【図6】従来の梱包材を説明するための図である。
【図7】本発明に係る別の梱包材を説明するための斜視図である。
【図8】本発明に係る別の現像装置を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下,本発明を具体化した最良の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,現像装置とその梱包材および現像装置の梱包体について,本発明を具体化したものである。
【0016】
1.現像装置
本形態の現像ユニット10は,磁性二成分の現像剤を用いる現像装置である。現像ユニット10は,図1に示すように,現像ローラ11と,スクリュー12,13と,規制ブレード14と,現像容器15とを有するものである。現像ローラ11は,現像剤を担持し,図1中破線で示した感光体ドラム21の静電潜像を現像するための現像部材である。そして現像ローラ11は,現像スリーブ11bと,その内部に配置された固定磁石11aとを有するものである。
【0017】
現像スリーブ11bはその中心軸を中心として回転可能な中空ローラである。そして,現像スリーブ11bは,図1中の矢印Dの向きに回転することにより,現像剤を搬送するためのものである。固定磁石11aは,磁石を固定された磁石体である。そしてその形状は円柱形状である。固定磁石11aに固定された磁石は現像剤を現像スリーブ11bに吸着させる磁界を形成するためのものである。図1中の固定磁石11aの表面には,N極が2個とS極が3個配置されている。なお,S極が隣り合う領域周辺には,反発磁界により現像スリーブ11bから現像剤を剥離させる反発磁界が形成される領域がある。
【0018】
スクリュー12,13は,現像装置内のトナーを攪拌し,現像スリーブ11bにトナーを供給するためのものである。規制ブレード14は,現像スリーブ11bの表面上のトナー層の厚さを規制するための規制部材である。現像容器15は,各部材を収容するとともに,現像ユニット10の外形をなすケースである。
【0019】
現像容器15には,図1に示すように,開口部16が形成されている。開口部16は,現像ローラ11の一部を露出させるためのものである。また,現像ローラ11と現像容器15との間の隙間の箇所として現像前現像剤搬送路17と現像残現像剤搬送路18とがある。現像前現像剤搬送路17は,現像スリーブ11bと感光体ドラム21との対面箇所に現像前の現像剤を搬送するための搬送路である。現像残現像剤搬送路18は,現像後の現像残現像剤を開口部16から現像槽19に向かって搬送し,現像残現像剤を再度現像槽19に戻すための搬送路である。現像槽19は,現像容器15の内部に位置し,現像剤を収容するための槽である。
【0020】
固定磁石11aの表面の磁極は,図1に示す位置に配置されている。開口部16の内側の磁極配置箇所66にはN極が配置されている。現像残現像剤搬送路18の内側の磁極配置箇所68にはS極が配置されている。つまり,磁極配置箇所66に配置された磁極と磁極配置箇所68に配置された磁極とは,その極性が異なるものである。
【0021】
2.現像装置の梱包材および現像装置の梱包体
ここで,本形態の現像ユニット10を梱包する梱包材および現像ユニット10をその梱包材で梱包した梱包体について図2〜図4により説明する。本形態の梱包材200は,図2に示すように,梱包箱201と,梱包保持部材202とを有している。梱包箱201は,現像ユニット10及び梱包保持部材202を梱包するための容器である。梱包箱201の材質は,例えばダンボールである。また,その他のものであってもよい。
【0022】
梱包保持部材202は,梱包箱201の内部で3個の現像ユニット10の互いの位置関係をくずさないように保持して配置するための部材である。また,梱包保持部材202は,現像ユニット10の損傷を防止する役割をも担うものである。梱包保持部材202の材質は,例えば発泡スチロールである。また,その他のものであってもよい。また,現像ユニット10の他方の端部(図2中右側)も実際には梱包保持部材202と同様の梱包部材で保持されるようになっている。
【0023】
図3は,梱包箱201と,梱包保持部材202を示す斜視図である。梱包保持部材202には,図3に示すように,穴202aが3個形成されている。穴202aは,一つの現像ユニット10を挿入するために形成された凹部である。このため穴202aは,現像ユニット10の外形形状の一部と一致する形状をしている。
【0024】
この穴202aにおける現像ユニット10の外形形状の一部と一致する形状をしている箇所は,各現像ユニット10の相対位置を固定する位置決め箇所202bである。位置決め箇所202bは,穴202aの側面に存在する。図3に示した梱包保持部材202では,穴202aの側面全体が位置決め箇所202bとなっている。これら複数の位置決め箇所202bが現像ユニット10の一部と接触することにより,梱包保持部材202は,3つの現像ユニット10をまとめて梱包することができるようになっている。なお,図3では,穴202aの側面全体が位置決め箇所202bとなっているが,位置決め箇所202bは,穴202aの側面の一部であってもよい。また,穴202aの底面はなくともよい。各現像ユニット10の相対位置を固定する役割を担うものではないためである。
【0025】
3個の穴202aは,回転対称に配置されている。そしてその対称点は,図3中の点Xにより表されている。このため,穴202aは,120°だけ回転させると互いに重なるような形状となっている。なお,点Xは,回転対称となる中心点を示すために図中に付けたものであり,実際にはそこに何らかの形状が形成されているわけではない。
【0026】
続いて,3個の現像ユニット10を梱包材200で梱包した,現像ユニット10の梱包体について説明する。3個の現像ユニット10を梱包材200に収納したときの各現像ユニット10の位置関係について図4により説明する。
【0027】
図4は,梱包時における現像ユニット10の互いの位置関係を示した概念図である。図4において,各現像ユニット10は,前述したように点Xを中心として回転対称に配置されている。3個の現像ユニット10の互いの位置関係を説明するために,図4に示すように,現像ユニット10A,10B,10Cと区別することとする。
【0028】
図4においては,現像ユニット10Aの磁極配置箇所66Aと,現像ユニット10Bの磁極配置箇所68Bとが,現像ユニット10Bの現像残現像剤搬送路18Bを挟んで対面している。磁極配置箇所66Aの磁極はN極である。また,磁極配置箇所68Bの磁極はS極である。このため,現像ユニット10Aの磁極配置箇所66Aと,現像ユニット10Bの磁極配置箇所68Bの間には,磁界が形成されている。破線LABは,その磁界中の磁力線を仮想的に描いた線である。このように,現像残現像剤搬送路18Bの箇所には磁界が形成されている。このため,仮に現像剤が現像槽19Bから現像残現像剤搬送路18Bへ出たとしても,そこで拘束される。よって,現像剤が現像残現像剤搬送路18Bから漏れ出ることはない。
【0029】
同様に,現像ユニット10Bの磁極配置箇所66Bと,現像ユニット10Cの磁極配置箇所68Cとが,現像ユニット10Cの現像残現像剤搬送路18Cを挟んで対面している。磁極配置箇所66Bの磁極はN極である。また,磁極配置箇所68Cの磁極はS極である。このため,現像ユニット10Bの磁極配置箇所66Bと,現像ユニット10Cの磁極配置箇所68Cの間には,磁界が形成されている。破線LBCは,その磁界中の磁力線を仮想的に描いた線である。このように,現像残現像剤搬送路18Cの箇所には磁界が形成されている。このため,仮に現像剤が現像槽19Cから現像残現像剤搬送路18Cへ出たとしても,そこで拘束される。よって,現像剤が現像残現像剤搬送路18Cから漏れ出ることはない。
【0030】
現像ユニット10Cの磁極配置箇所66Cと,現像ユニット10Aの磁極配置箇所68Aとについても同様である。そのため,現像剤が現像残現像剤搬送路18Aから漏れ出ることはない。なお,破線LCAは,磁界を仮想的に描いた線である。
【0031】
このように本形態における現像ユニット10の梱包材200では,次のように位置決め箇所202bが配置されている。すなわち,各現像ユニット10の固定磁石11aの第1の極を,他の現像ユニット10の第2の極と対面させるように設けられているのである。なお,第1の極と第2の極とでは,その極性は異なっている。本形態における現像ユニット10の梱包体では,3個の現像ユニット10が位置決め箇所202bにより相対位置を固定された状態で,梱包材200に梱包されている。
【0032】
そして現像ユニット10A,10B,10Cを回転対称に配置することにより,現像ユニット10A,10B,10Cの全ての現像残現像剤搬送路18A,18B,18Cから現像剤が漏れ出ることを防止している。なお,現像前現像剤搬送路17には規制ブレード14が設けられているため,現像前現像剤搬送路17から現像剤が漏れることはほとんど起こらない。なお,実施形の梱包保持部材の例を図5に示す。
【0033】
3.従来との比較
従来は,図6に示すように現像ユニット10の外部に外部磁石150を配置して梱包していた。外部磁石150は,現像残現像剤搬送路18を挟んで固定磁石11aに固定された磁極と対面するような位置に配置されている。これにより,現像剤は,現像容器15から漏れ出ることがないようになっていた。しかし,梱包開梱後には,この磁石は無用なものとなる。本形態においては,外部に磁石を配置することなく,現像剤の漏れを防止することができる。
【0034】
4.変形例
本形態の変形例について説明する。本形態では,複数の現像ユニット10を梱包保持部材202に挿入した。しかし,図7に示すように,固定部材303を用いるようにしてもよい。図7に示すように,梱包保持部材302には,穴302aが一つだけ形成されている。穴302aには,複数の現像ユニット10を一つにまとめて挿入することができるようになっている。
【0035】
固定部材303により決められた現像ユニット10の配置は,図4における現像ユニット10A,10B,10Cの配置と同様である。このため,穴302aの一部は,3個の現像ユニット10を図4に示した位置に配置した場合における3個の現像ユニット10の外形の一部と一致する形状となっている。穴302aにおける現像ユニット10の外形の一部と一致する形状の箇所が,位置決め箇所302bである。
【0036】
位置決め箇所302bは,穴302aの側面に存在する。図7に示した梱包保持部材302では,穴302aの側面の一部が位置決め箇所302bとなっている。これら複数の位置決め箇所302bが現像ユニット10の一部と接触することにより,現像ユニット10を配置する位置が定められることとなる。梱包保持部材302は,3つの現像ユニット10をまとめて梱包することができるようになっている。なお,穴302aの底面はなくともよい。各現像ユニット10の相対位置を固定する役割を担うものではないためである。
【0037】
固定部材303は,各現像ユニット10の相対位置を固定するための固定具である。固定部材303は,3個の現像ユニット10を仕切る役割と,保持して互いの相対位置を固定する役割を担っている。そして固定部材303は,梱包保持部材302に固定されるようになっている。固定部材303の位置がずれてしまうと,現像ユニット10の位置もずれてしまうためである。
【0038】
固定部材303の形状は全体として円板形状である。その中心にはY字形状の部材が取り付けられている。そしてそのY字形状の部材の側面は,3個の現像ユニット10の外形と部分的に一致する形状となっている。その現像ユニット10の外形と部分的に一致する形状の箇所が,位置決め箇所303bである。このため,固定部材303は,3個の現像ユニット10をそれら複数の位置決め箇所303bで接触して保持することとなるのである。ただし,固定部材303の形状は,円板形状に限らない。例えば,Y字形状の部材のみであってもよい。
【0039】
図7に示した梱包材では,梱包保持部材302と,固定部材303との双方に位置決め箇所302b,303bが設けられている。このため,これらの複数の位置決め箇所302b,303bにより,3個の現像ユニット10の相対位置は固定されることとなる。ただし,位置決め箇所は,梱包保持部材302に設けられた位置決め箇所302bのみであってもよい。3個の現像ユニット10の相対位置が固定されれば十分であるためである。この場合において,固定部材は,各現像ユニット10を保持する役割を担うこととなる。また,位置決め箇所は,固定部材303に設けられた位置決め箇所303bのみであってもよい。
【0040】
なお,現像ユニット10の他方の端部(図7中右側)も実際には梱包保持部材302及び固定部材303とほぼ同様の梱包保持部材及び固定部材で保持されるようになっている。ただし,梱包保持部材のみであっても構わない。
【0041】
これにより,現像ユニット10が互いの位置を保ちつつ梱包され,現像ユニット10の輸送時においても現像剤の漏れが生じにくい。なお,固定部材303の材質は,金属や合成樹脂その他のものを用いることができる。固定部材303により,現像ユニット10の互いの位置関係が定まるためである。
【0042】
また,図8に示すように,現像ユニット10に固定部材203を設けてもよい。図8では,簡単のために,梱包箱および梱包保持部材を省略している。この場合の梱包保持部材は,図3に示した梱包保持部材202において,穴202aの形状を固定部材203の分だけ拡大した形状である。現像ユニット10の配置は,図4における現像ユニット10A,10B,10Cの配置と同様である。
【0043】
図8に示すように,固定部材203は他の現像ユニット10の被固定部204にひっかかるようになっている。固定部材203は,他の現像ユニット10の被固定部204を係止するための係止部材である。被固定部204は,他の現像ユニット10の固定部材203に係止される被係止箇所である。しかし,固定部材203がひっかかるようになっていれば,図8に示した箇所以外の箇所で代用してもよい。
【0044】
固定部材203は,被固定部204にひっかかって固定されているため,梱包輸送時に現像ユニット10A,10B,10Cの配置がくずれることはない。このように固定部材203は,梱包輸送時においては固定されている。つまり,現像ユニット10A,10B,10Cが,固定部材203を他の現像ユニット10の被固定部204に係止することにより,図4に示したのと同様の配置となる。つまり,固定部材203及び被固定部204が互いの相対位置を固定しあうのである。しかし,開梱後には,固定部材203を折りたたんだりすることにより,現像ユニット10を収納できるようにするとよい。
【0045】
また,図8において固定部材と被固定部との位置を逆転させてもよい。また,固定部材203の代わりに,単に取り外しできるようなものであってもよい。ただし,その場合には,その固定部材は取り外し後には廃棄物となる。
【0046】
5.まとめ
以上,詳細に説明したように,本実施の形態に係る梱包材200は,3つの現像ユニット10を回転対称に配置するものである。そして,各現像ユニット10の開口部16の内側に配置されたN極が,他の現像ユニット10の現像残現像剤搬送路18の内側に配置されたS極に対向して配置されている。このため,梱包されるすべての現像ユニット10の現像残現像剤搬送路18の箇所に磁界が形成される。これにより,梱包輸送時に現像剤が外部に漏れ出ることがないように,現像剤を拘束することができるようになった。また,余計な磁石を用いる必要がない。これにより,磁石を余分に用いることなく,現像剤の漏れを防止することのできる現像装置とその梱包材および現像装置の梱包体が実現されている。
【0047】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,現像部材は現像ローラに限らない。また,現像剤は二成分に限らない。磁性の現像剤を用いるものであればよい。また,画像形成装置100は,カラーコピー機に限らない。すなわち,カラーに限らない。またコピー機に限らない。プリンタ,FAX,その他の画像を形成する装置に適用することができる。
【0048】
また,本形態では,現像ユニット10と感光体ユニット20とが独立に交換可能なものとして説明した。しかし,現像ユニット10と感光体ユニット20とが一体となったプロセスカートリッジを用いる画像形成装置にも適用可能である。また,梱包装置に梱包する現像ユニット10の個数は3つに限らない。ただし,複数個を梱包するものであることが必要である。
【符号の説明】
【0049】
10…現像ユニット
11…現像ローラ
11a…固定磁石
11b…現像スリーブ
12,13…スクリュー
14…規制ブレード
15…現像容器
16…開口部
17…現像前現像剤搬送路
18…現像残現像剤搬送路
19…現像槽
66,68…磁極配置箇所
200…梱包材
201…梱包箱
202,302…梱包保持部材
202a,302a…穴
202b,302b,303b…位置決め箇所
203,303…固定部材
204…被固定部
X…点
LAB,LBC,LCA…磁力線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性現像剤を担持して,像担持体に形成された静電潜像を現像するための中空ローラである現像スリーブと,前記現像スリーブの内部に配置されるとともに,磁性現像剤を前記現像スリーブに吸着させる複数の磁石が固定された磁石体とを備える現像部材と,
磁性現像剤を収容する現像槽を備える現像容器とを有し,
前記現像部材の一部を露出するための開口部が前記現像容器に形成されており,
前記開口部から前記現像槽に向かう前記現像部材と前記現像容器との間の隙間が,現像後の現像残現像剤を搬送するための現像残現像剤搬送路となっており,
前記磁石体が,前記開口部に対面する箇所に固定された第1の磁極と,前記現像残現像剤搬送路に対面する箇所に固定された前記第1の磁極と異なる極性の第2の磁極とを有する現像装置を,
二個以上梱包する現像装置の梱包材において,
現像装置の外形形状の少なくとも一部と一致している複数の位置決め箇所を有し,
それぞれの前記位置決め箇所が,
現像装置の少なくとも一部と接触するものであり,
複数の前記位置決め箇所が,
各現像装置の第1の磁極と,他の現像装置の第2の磁極とを対面させるように配置されていることを特徴とする現像装置の梱包材。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置の梱包材において,
複数の前記位置決め箇所が,
二個以上の現像装置を回転対称に配置するように設けられていることを特徴とする現像装置の梱包材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の現像装置の梱包材において,
前記現像装置を保持する保持部材と,二個以上の前記現像装置の相対位置を固定する固定具とを有し,
複数の前記位置決め箇所が,
前記固定具に設けられていることを特徴とすることを特徴とする現像装置の梱包材。
【請求項4】
磁性現像剤を担持して,像担持体に形成された静電潜像を現像するための中空ローラである現像スリーブと,前記現像スリーブの内部に配置されるとともに,磁性現像剤を前記現像スリーブに吸着させる複数の磁石が固定された磁石体とを備える現像部材と,
磁性現像剤を収容する現像槽を備える現像容器とを有し,
前記現像部材の一部を露出するための開口部が前記現像容器に形成されており,
前記開口部から前記現像槽に向かう前記現像部材と前記現像容器との間の隙間が,現像後の現像残現像剤を搬送するための現像残現像剤搬送路となっており,
前記磁石体が,前記開口部に対面する箇所に固定された第1の磁極と,前記現像残現像剤搬送路に対面する箇所に固定された前記第1の磁極と異なる極性の第2の磁極とを有する現像装置と,
二個以上の前記現像装置を梱包する梱包材とを有する現像装置の梱包体において,
前記梱包材が,
現像装置の外形形状の少なくとも一部と一致している複数の位置決め箇所を有し,
それぞれの前記位置決め箇所が,
現像装置の少なくとも一部と接触するものであり,
複数の前記位置決め箇所が,
各現像装置の第1の磁極と,他の現像装置の第2の磁極とを対面させるように配置されており,
二個以上の前記現像装置が,複数の前記位置決め箇所により相対位置を固定された状態で前記梱包材により梱包されていることを特徴とする現像装置の梱包体。
【請求項5】
磁性現像剤を担持して,像担持体に形成された静電潜像を現像するための中空ローラである現像スリーブと,前記現像スリーブの内部に配置されるとともに,磁性現像剤を前記現像スリーブに吸着させる複数の磁石が固定された磁石体とを備える現像部材と,
磁性現像剤を収容する現像槽を備える現像容器とを有し,
前記現像部材の一部を露出するための開口部が前記現像容器に形成されており,
前記開口部から前記現像槽に向かう前記現像部材と前記現像容器との間の隙間が,現像後の現像残現像剤を搬送するための現像残現像剤搬送路となっており,
前記磁石体が,前記開口部に対面する箇所に固定された第1の磁極と,前記現像残現像剤搬送路に対面する箇所に固定された前記第1の磁極と異なる極性の第2の磁極とを有する現像装置において,
同種の他の現像装置を係止する係止部材と,
同種の他の現像装置の係止部材に係止される被係止箇所とを有し,
前記係止部材および前記被係止箇所が,
他の現像装置の前記被係止箇所を係止し,または他の現像装置の前記係止部材に係止されることにより,
前記第1の磁極および前記第2の磁極の一方と,他の現像装置の前記第1の磁極および前記第2の磁極の他方とを対面させて,二個以上の同種の現像装置が配置されるように相対位置を固定しあうものであることを特徴とする現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−262122(P2010−262122A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112437(P2009−112437)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】