説明

現像装置における基板搬送方法及び基板搬送装置

【課題】水置換が完了する間に進行する過剰な現像を抑制し、エアナイフによる水の残跡の発生を抑制し、パターン品質が損なわれない、現像装置における基板搬送方法、基板搬送装置を提供する。
【解決手段】現像槽から水洗槽へは、その初期には現像液20を基板の先端部の現像液量を多くD1、中期には先端部及び末端部での現像液量を少なくD2、末期には先端部での現像液量を少なくD2保って行い、水置換は現像液量の少ない先端部から開始する。水洗槽からエアナイフへの基板搬送は、その初期には水を先端部で水量を多くD1、中期には先端部及び末端部で少なくD2、末期には先端部での水量を少なくD2保って行い、エアナイフでの水の排除は水量の少ない基板の先端部から開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板のウエット処理に関するものであり、特に、現像液から水への水置換が完了するまでの間に進行する過剰な現像を抑制し、エアナイフによる水の残跡の発生を抑制する、現像装置における基板搬送方法及び基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を枚葉で水平に搬送しながらウエット処理によってパターンを形成する際の現像においては、現像槽での現像が終了した後に、基板上の現像液を水に置換している。この現像液から水への水置換が完了するまでの間は、現像が進行しているので、その間の現像は過剰なものとなる。
また、基板上の液、例えば、水洗水などをエアナイフによって排除し乾燥する際には、例えば、基板のサイズが大きくなると排除する水量が多くなり、十分に排除しきれず基板上に水の残跡が生じる。すなわち、過剰な現像や、水の残跡によって形成されたパターン品質は損なわれたものとなる。
【特許文献1】特開平7−35478号公報
【特許文献2】特開2001−227868号公報
【特許文献3】実開平6−59794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、現像液から水への水置換が完了するまでの間に進行する過剰な現像を抑制し、また、基板上の排除する水洗水の水量が多くなっても、エアナイフによる水の残跡の発生を抑制し、形成されたパターン品質が損なわれることのない、現像装置における基板搬送方法を提供することを課題とする。
また、上記過剰な現像を抑制し、残跡の発生を抑制することのできる、現像装置における基板搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明における第一の発明は、基板を枚葉で水平に搬送しながらウエット処理によってパターンを形成する際の現像槽と水洗槽との間の基板搬送方法において、
1)前記現像槽から水洗槽への基板搬送は、その搬送初期には、基板上に残留した現像液を基板の進行方向の先端部での基板上の現像液量を多く、基板の進行方向の末端部での基板上の現像液量を少なくした状態に保ち、
2)その搬送中期には、基板上に残留した現像液を基板の進行方向の先端部及び末端部での基板上の現像液量を少なく、基板の進行方向の中央部での基板上の現像液量を多くした状態に保ち、
3)その搬送末期には、基板上に残留した現像液を基板の進行方向の先端部での基板上の現像液量を少なく、基板の進行方向の末端部での基板上の現像液量を多くした状態に保って行い、
水洗槽での水置換は、現像液量の少ない基板の進行方向の先端部から開始することを特徴とする現像装置における基板搬送方法である。
【0005】
また、本発明は、基板を枚葉で水平に搬送しながらウエット処理によってパターンを形成する際の現像槽と水洗槽との間の基板搬送装置において、
1)前記基板を支持し運ぶ転動体の支持部は、該転動体の高さを、基板を水平に搬送する基板のパスラインの高さより低くすることが可能な昇降機構を有し、
2)前記現像槽から水洗槽への基板搬送の搬送初期に、基板の進行方向の先端部に対応した位置にある隣接する複数の転動体の高さを、昇降機構によって基板のパスラインの高さより低いものとし、
3)前記現像槽から水洗槽への基板搬送は、a)その搬送初期には、基板の進行方向の先端部での基板の高さをパスラインの高さより低く保ち、
b)その搬送中期には、基板の進行方向の中央部での基板の高さをパスラインの高さより低く保ち、
c)その搬送末期には、基板の進行方向の末端部での基板の高さをパスラインの高さより低く保って行うことを特徴とする現像装置における基板搬送装置である。
【0006】
また、本発明は、上記発明による現像装置における基板搬送装置において、前記基板のパスラインの高さより、その高さを低いものとした隣接する複数の転動体の集合体の位置が、現像槽から水洗槽への基板搬送に伴い、基板の進行方向の逆方向に移動するように当該昇降機構を作動させることを特徴とする現像装置における基板搬送装置である。
【0007】
また、本発明は、上記発明による現像装置における基板搬送装置において、前記基板のパスラインの高さより、その高さを低いものとした隣接する複数の転動体の集合体が、現像槽から水洗槽への基板搬送に伴い、その転動体の数を増加させつつ、集合体の位置を基板の進行方向の逆方向に移動するように当該昇降機構を作動させることを特徴とする現像装置における基板搬送装置である。
【0008】
また、本発明は、上記発明による現像装置における基板搬送装置において、前記基板のパスラインの高さより、その高さを低いものとした隣接する複数の転動体の集合体が、現像槽から水洗槽への基板搬送に伴い、基板の進行方向の逆方向に、その転動体の数を増加させるように当該昇降機構を作動させることを特徴とする現像装置における基板搬送装置である。
【0009】
また、本発明は、上記発明による現像装置における基板搬送装置において、
1)前記転動体の回転数を回転検出器によって検出し、
2)前記基板の先端及び末端を基板検知センサーによって検出し、
3)上記1)、2)より基板の位置と大きさを演算し、
4)該演算した基板の位置と大きさより、前記転動体の高さを制御することを特徴とする現像装置における基板搬送装置である。
【0010】
本発明における第二の発明は、基板を枚葉で水平に搬送しながらウエット処理によってパターンを形成する際の水洗槽とエアナイフとの間の基板搬送方法において、
1)前記水洗槽からエアナイフへの基板搬送は、その搬送初期には、基板上に残留した水を基板の進行方向の先端部での基板上の水量を多く、基板の進行方向の末端部での基板上の水量を少なくした状態に保ち、
2)その搬送中期には、基板上に残留した水を基板の進行方向の先端部及び末端部での基板上の水量を少なく、基板の進行方向の中央部での基板上の水量を多くした状態に保ち、3)その搬送末期には、基板上に残留した水を基板の進行方向の先端部での基板上の水量を少なく、基板の進行方向の末端部での基板上の水量を多くした状態に保って行い、
エアナイフでの水の排除は、水量の少ない基板の進行方向の先端部から開始することを特徴とする現像装置における基板搬送方法である。
【0011】
また、本発明は、基板を枚葉で水平に搬送しながらウエット処理によってパターンを形成する際の水洗槽とエアナイフとの間の基板搬送装置において、
1)前記基板を支持し運ぶ転動体の支持部は、該転動体の高さを、基板を水平に搬送する基板のパスラインの高さより低くすることが可能な昇降機構を有し、
2)前記水洗槽からエアナイフへの基板搬送の搬送初期に、基板の進行方向の先端部に対応した位置にある隣接する複数の転動体の高さを、昇降機構によって基板のパスラインの高さより低いものとし、
3)前記水洗槽からエアナイフへの基板搬送は、a)その搬送初期には、基板の進行方向の先端部での基板の高さをパスラインの高さより低く保ち、
b)その搬送中期には、基板の進行方向の中央部での基板の高さをパスラインの高さより低く保ち、
c)その搬送末期には、基板の進行方向の末端部での基板の高さをパスラインの高さより低く保って行うことを特徴とする現像装置における基板搬送装置である。
【0012】
また、本発明は、上記発明による現像装置における基板搬送装置において、前記基板のパスラインの高さより、その高さを低いものとした隣接する複数の転動体の集合体の位置が、水洗槽からエアナイフへの基板搬送に伴い、基板の進行方向の逆方向に移動するように当該昇降機構を作動させることを特徴とする現像装置における基板搬送装置である。
【0013】
また、本発明は、上記発明による現像装置における基板搬送装置において、前記基板のパスラインの高さより、その高さを低いものとした隣接する複数の転動体の集合体が、水洗槽からエアナイフへの基板搬送に伴い、その転動体の数を増加させつつ、集合体の位置を基板の進行方向の逆方向に移動するように当該昇降機構を作動させることを特徴とする現像装置における基板搬送装置である。
【0014】
また、本発明は、上記発明による現像装置における基板搬送装置において、前記基板のパスラインの高さより、その高さを低いものとした隣接する複数の転動体の集合体が、水洗槽からエアナイフへの基板搬送に伴い、基板の進行方向の逆方向に、その転動体の数を増加させるように当該昇降機構を作動させることを特徴とする現像装置における基板搬送装置である。
【0015】
また、本発明は、上記発明による現像装置における基板搬送装置において、
1)前記転動体の回転数を回転検出器によって検出し、
2)前記基板の先端及び末端を基板検知センサーによって検出し、
3)上記1)、2)より基板の位置と大きさを演算し、
4)該演算した基板の位置と大きさより、前記転動体の高さを制御することを特徴とする現像装置における基板搬送装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明における第一の発明は、現像槽から水洗槽への基板搬送は、その搬送初期には、残留した現像液を基板の進行方向の先端部での基板上の現像液量を多く保ち、その搬送中期には、残留した現像液を基板の先端部及び末端部での基板上の現像液量を少なく保ち、その搬送末期には、残留した現像液を基板の進行方向の先端部での基板上の現像液量を少なく保って行い、水洗槽での水置換は、現像液量の少ない基板の進行方向の先端部から開始するので、基板を枚葉で水平に搬送しながらウエット処理によってパターンを形成する際の現像槽と水洗槽との間の基板搬送方法において、現像液から水への水置換が完了するまでの間に進行する過剰な現像を抑制し、形成されたパターン品質が損なわれることのない、現像装置における基板搬送方法となる。
【0017】
また、本発明は、基板を支持し運ぶ転動体の支持部は、パスラインの高さより低くすることが可能な昇降機構を有し、現像槽から水洗槽への基板搬送の搬送初期に、基板の先端部に対応した位置にある転動体を除き、次の転動体と隣接する複数の転動体の高さをパス
ラインの高さより低いものとし、現像槽から水洗槽への基板搬送は、その搬送初期には、基板の先端部での基板の高さをパスラインの高さより低く保ち、その搬送中期には、基板の中央部での基板の高さをパスラインの高さより低く保ち、その搬送末期には、基板の末端部での基板の高さをパスラインの高さより低く保って行うので、基板を枚葉で水平に搬送しながらウエット処理によってパターンを形成する際の現像槽と水洗槽との間の基板搬送装置において、基板上の排除する水洗水の水量が多くなっても、エアナイフによる水の残跡の発生を抑制し、形成されたパターン品質が損なわれることのない、現像装置における基板搬送装置となる。
【0018】
本発明における第二の発明は、水洗槽からエアナイフへの基板搬送は、その搬送初期には、残留した水を基板の進行方向の先端部での基板上の水量を多く保ち、その搬送中期には、残留した水を基板の先端部及び末端部での基板上の水量を少なく保ち、その搬送末期には、残留した水を基板の先端部での基板上の水量を少なく保って行い、エアナイフでの水の排除は、水量の少ない基板の進行方向の先端部から開始するので、基板を枚葉で水平に搬送しながらウエット処理によってパターンを形成する際の水洗槽とエアナイフとの間の基板搬送方法において、基板上の排除する水洗水の水量が多くなっても、エアナイフによる水の残跡の発生を抑制し、形成されたパターン品質が損なわれることのない、現像装置における基板搬送方法となる。
【0019】
また、本発明は、基板を支持し運ぶ転動体の支持部は、該転動体の高さを、パスラインの高さより低くすることが可能な昇降機構を有し、水洗槽からエアナイフへの基板搬送の搬送初期に、基板の先端部に対応した位置にある転動体を除き、次の転動体と隣接する複数の転動体の高さをパスラインの高さより低いものとし、水洗槽からエアナイフへの基板搬送は、その搬送初期には、基板の先端部での基板の高さをパスラインの高さより低く保ち、その搬送中期には、基板の中央部での基板の高さをパスラインの高さより低く保ち、その搬送末期には、基板の末端部での基板の高さをパスラインの高さより低く保って行うので、基板を枚葉で水平に搬送しながらウエット処理によってパターンを形成する際の水洗槽とエアナイフとの間の基板搬送装置において、基板上の排除する水洗水の水量が多くなっても、エアナイフによる水の残跡の発生を抑制し、形成されたパターン品質が損なわれることのない、現像装置における基板搬送装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図4は、本発明における第一の発明に係わる、現像装置における基板搬送装置の一例の概略を示す側面図である。この基板搬送装置は、図4中、左方の現像槽(図示せず)と右方の水洗槽(図示せず)との間に設けられている。この基板搬送装置は、転動体として、ローラ(R)を用いた例であり、所謂、ローラコンベアーと称される搬送装置である。
【0021】
転動体(ローラ)(R)は、その長手方向を基板の搬送方向(X軸)と直角(Y軸方向)にし、複数のローラ(第1ローラ(1)〜第14ローラ(14))が水平に、その間隔を同一にし近接させ、基板の搬送方向(X軸)に一列に揃えて並列されている。並列された複数のローラ(第1ローラ(1)〜第14ローラ(14))の上部は、基板(50)を搬送するパスライン(P)であり、ローラ(R)は、その回転によって、白太矢印で示すように、基板(50)を図3中、左方から右方へとローラ(R)上を搬送するようになっている。
【0022】
転動体(ローラ)(R)の支持部(40)は、ローラの上部の高さをパスライン(P)の高さより低くする(Z軸方向)ことが可能な昇降機構(41)を有している。昇降機構(41)は、複数のローラ(第1ローラ(1)〜第14ローラ(14))の各々を独立して昇降することができるようになっている。
この基板搬送装置が、その昇降機構(41)を作動させない場合には、基板(50)はパスライン(P)上を図4中、左方から右方へと水平に搬送される。
尚、符号(20)は基板(50)上に残留した現像液を表している。また、符号(D0)は基板(50)上の現像液量を表している。
【0023】
図1は、基板搬送装置の動作の形態1の概略を説明する側面図である。この形態1は、請求項2に係わる形態の一例である。
図1(a)は、現像槽から水洗槽への基板搬送の搬送初期の段階を表したものである。また、図1(b)は、基板搬送の搬送中期の段階を、図1(c)は、搬送末期の段階を表したものである。
図1(a)に示すように、搬送初期に、基板(50)の進行方向の先端部に対応した位置にある転動体を除き、次の転動体と隣接する複数のローラ(R)の上部の高さを、昇降機構(41)によって基板のパスライン(P)よりも低いものとする。
【0024】
図1(a)においては、第7ローラ(7)、第8ローラ(8)、第9ローラ(9)の3個のローラをパスライン(P)よりも低い(ΔH)ものとする。このように第7ローラ(7)〜第9ローラ(9)の3個のローラを設定することにより、基板搬送装置は、図1中、左方から搬送される基板(50)を、図1(a)に示す搬送初期の段階では、基板の進行方向の先端部での基板(50)の高さをパスライン(P)の高さより低く(ΔH)保つ。
【0025】
また、図1(b)に示すように、搬送中期の段階では、基板の進行方向の中央部での基板(50)の高さをパスライン(P)の高さより低く(ΔH)保つ。また、図1(c)に示すように、搬送末期の段階では、基板の進行方向の末端部での基板(50)の高さをパスライン(P)の高さより低く(ΔH)保つことになる。
【0026】
これにより、その搬送初期(図1(a))には、基板(50)上に残留した現像液(20)を基板の進行方向の先端部での基板上の現像液量を多く(D1、D1>D0)、基板の進行方向の末端部での基板上の現像液量を少なく(D2、D2<D0)した状態に保ち、その搬送中期(図1(b))には、基板(50)上に残留した現像液(20)を基板の進行方向の先端部及び末端部での基板上の現像液量を少なく(D2)、基板の進行方向の中央部での基板上の現像液量を多く(D1)した状態に保ち、また、その搬送末期(図1(c))には、基板(50)上に残留した現像液(20)を基板の進行方向の先端部での基板上の現像液量を少なく(D2)、基板の進行方向の末端部での基板上の現像液量を多く(D1)した状態に保った基板搬送を行うことになる。
【0027】
このように、現像槽と水洗槽との間にて、基板(50)上の位置(先端部、中央部、末端部)での現像液量を変えることにより、現像液量の多い/少ないによる現像進行の度合いが、図3に示すように、水平にパスライン(P)上を搬送される場合と同様に、略平均化された状態を保持し、且つ、水洗槽での水置換は、現像液量の少ない基板の進行方向の先端部から開始するので、水置換の効率が向上する。つまり、従来における過剰な現像は抑制されたものとなる。
尚、図1(c)中、符号(S)は、水洗槽において、水洗水が吐出する位置を表している。
【0028】
また、表1は、上記形態1において、その上部の高さを低くするローラ番号を表したものであり、表1中、ステップ1は搬送初期、ステップ2は搬送中期、ステップ3は搬送末期に相当する。
【0029】
【表1】

図2及び図3は、第一の発明に係わる、現像装置における基板搬送装置の動作の形態2の概略を説明する側面図である。この形態2は、請求項5に係わる形態の一例である。
図2(a)は、現像槽から水洗槽への基板搬送の搬送初期1の段階を表したものである。また、図2(b)は、基板搬送の搬送初期2の段階を表したものである。また、図3(a)は、基板搬送の搬送中期の段階を、図3(b)は、搬送末期の段階を表したものである。図2及び図3においては、基板(50)の進行方向の大きさが、第1ローラ(1)〜第9ローラ(9)間の長さに相当する基板を例示してある。
【0030】
図2(a)に示すように、搬送初期1に、基板(50)の進行方向の先端部に対応した位置にある隣接する複数のローラ(R)の上部の高さを、昇降機構(41)によって基板のパスライン(P)よりも低いものとする。
図2(a)においては、第7ローラ(7)、第8ローラ(8)、第9ローラ(9)の3個のローラをパスライン(P)よりも低い(ΔH)ものとする。
このように、上部の高さがパスライン(P)よりも低い3個のローラ(第7ローラ(7)〜第9ローラ(9))を集合体(60)として設定することにより、基板搬送装置は、図2中、左方から搬送される基板(50)を、図2(a)に示す搬送初期1の段階では、基板の進行方向の先端部での基板(50)の高さをパスライン(P)の高さより低く(ΔH)保つ。
【0031】
また、図2(b)に示すように、搬送初期2の段階では、現像槽から水洗槽への基板搬送に伴い、基板(50)の進行方向の逆方向に、集合体(60)がパスライン(P)よりも高さの低いローラの数を増加させるように、昇降機構(41)によって第6ローラ(6)の高さを低い(ΔH)ものとする。
これにより、集合体(60)は第6ローラ(6)〜第9ローラ(9)で構成されたものとなり、図2中、左方から搬送される基板(50)は、図2(b)に示す搬送初期2の段階では、第6ローラ(6)〜第9ローラ(9)間上の基板(50)の高さをパスライン(P)の高さより低く(ΔH)保たれる。
【0032】
また、図3(a)に示すように、搬送中期の段階では、現像槽から水洗槽への基板搬送に伴い、基板(50)の進行方向の逆方向に、集合体(60)がパスライン(P)よりも高さの低いローラの数を増加させるように、昇降機構(41)によって第5ローラ(5)の高さを低い(ΔH)ものとする。
これにより、集合体(60)は第5ローラ(5)〜第9ローラ(9)で構成されたものとなり、図3中、左方から搬送される基板(50)は、図3(a)に示す搬送中期の段階では、第5ローラ(5)〜第9ローラ(9)間、すなわち、基板の進行方向の中央部での基板(50)の高さをパスライン(P)の高さより低く(ΔH)保たれる。
【0033】
また、図3(b)に示すように、搬送末期の段階では、第4ローラ(4)の高さを低い(ΔH)ものとする。これにより、集合体(60)は第4ローラ(4)〜第9ローラ(9)で構成されたものとなり、図3中、左方から搬送される基板(50)は、図3(b)に示す搬送末期の段階では、第4ローラ(4)〜第9ローラ(9)間、すなわち、基板の進行方向の中央部〜末端部での基板(50)の高さをパスライン(P)の高さより低く(ΔH)保たれることになる。
【0034】
従って、その搬送初期1、2(図2(a)、(b))には、基板(50)上に残留した現像液(20)を基板の進行方向の先端部〜中央部での基板上の現像液量を多く(D1、D1>D0)、基板の進行方向の末端部での基板上の現像液量を少なく(D2、D2<D0)した状態に保ち、また、その搬送中期(図3(a))には、基板(50)上に残留した現像液(20)を基板の進行方向の先端部及び末端部での基板上の現像液量を少なく(D2)、基板の進行方向の中央部での基板上の現像液量を多く(D1)した状態に保ち、
また、その搬送末期(図3(b))には、基板(50)上に残留した現像液(20)を基板の進行方向の先端部での基板上の現像液量を少なく(D2)、基板の進行方向の中央部〜末端部での基板上の現像液量を多く(D1)した状態に保った基板搬送を行うことになる。
【0035】
このように、パスラインより低いローラ数を基板(50)上の先端部から末端部方向へ増やすことにより、基板(50)上の先端部から末端部方向へ現像液の流れができるので、基板(50)上の先端部からの現像液の除去の効率が上がる。
尚、図3(b)中、符号(S)は、水洗槽において、水洗水が吐出する位置を表している。
【0036】
また、表2は、上記形態2において、その上部の高さを低くするローラ番号を表したものであり、表2中、ステップ1は搬送初期1、ステップ2は搬送初期2、ステップ3は搬送中期、ステップ4は搬送末期に相当する。
【0037】
【表2】

また、第一の発明の請求項3に係わる発明は、基板(50)のパスライン(P)の高さより、その高さを低いものとした隣接する複数の転動体の集合体(60)の位置が、現像槽から水洗槽への基板搬送に伴い、基板の進行方向の逆方向に移動するように当該昇降機構(41)を作動させることを特徴としており、基板搬送装置の動作の形態3である。表3は、このような形態3の一例におけるステップを表したものである。
【0038】
【表3】

この動作の形態3においては、基板(50)上の現像液を、パスラインより低いローラに集め、水洗水の吐出する位置から離れるように移動させて排除し、水洗の効果を上げる。
【0039】
また、第一の発明の請求項4に係わる発明は、基板(50)のパスライン(P)の高さより、その高さを低いものとした隣接する複数の転動体の集合体(60)が、現像槽から水洗槽への基板搬送に伴い、高さの低い転動体の数を増加させつつ、集合体の位置を基板の進行方向の逆方向に移動するように当該昇降機構(41)を作動させることを特徴としており、基板搬送装置の動作の形態4である。表4は、このような形態4の一例におけるステップを表したものである。
【0040】
【表4】

この動作の形態4においては、基板(50)上の現像液を、パスラインより低いローラに集め、さらに水洗水の流れ込み分のパスラインより低いローラ数を増加しながら、水洗水の吐出する位置から離れるように移動させて排除し、水洗の効果を上げる。
【0041】
図5は、第一の発明の請求項6に係わる発明における、搬送装置制御装置(80)の一例の概略を示す説明図である。図5に示すように、搬送装置制御装置(80)は、1)転動体(ローラ)(R)の回転数を回転検出器(71)によって検出(73)し、基板速度を演算(74)し、2)基板(50)の先端及び末端を基板検知センサー(72)によって検出(75)し、3)上記1)、2)より基板の位置と大きさを演算(76)し、4)該演算した基板の位置と大きさより、転動体(ローラ)(R)の高さを制御(77)する。尚、図4中、符号(70)は、情報伝達路を表している。
【0042】
このような搬送装置制御装置(80)を備えることによって、上述した、表1〜表4に示すような基板搬送装置の動作の種々な形態を任意に容易に設定することができるものとなる。
【0043】
上述のように、本発明における第一の発明によれば、現像液から水への水置換が完了するまでの間に進行する過剰な現像が抑制されるので、形成されたパターン品質の損なわれることが低減される。
【0044】
図4は、本発明における第一の発明に係わる、現像装置における基板搬送装置の一例の概略を示す側面図であるが、同時に、本発明における第二の発明に係わる、現像装置における基板搬送装置の一例の概略を示す側面図である。第二の発明においては、基板搬送装置は、図4中、左方の水洗槽(図示せず)と右方のエアナイフ(図示せず)との間に設けられている。
【0045】
また、図1は、第一の発明における、動作の形態1の側面図であるが、同時に、第二の発明における基板搬送装置の動作の形態1の概略を説明する側面図である。この形態1は、請求項8に係わる形態の一例である。
図1(a)は、水洗槽からエアナイフへの基板搬送の搬送初期の段階を表したものである。また、図1(b)は、基板搬送の搬送中期の段階を、図1(c)は、搬送末期の段階を表したものである。
図1(a)に示すように、搬送初期に、基板(50)の進行方向の先端部に対応した位置にある隣接する複数のローラ(R)の上部の高さを、昇降機構(41)によって基板のパスライン(P)よりも低い(ΔH)ものとする。
【0046】
図1(a)においては、第7ローラ(7)、第8ローラ(8)、第9ローラ(9)の3個のローラをパスライン(P)よりも低い(ΔH)ものとする。このように第7ローラ(7)〜第9ローラ(9)の3個のローラを設定することにより、基板搬送装置は、図1中、左方から搬送される基板(50)を、図1(a)に示す搬送初期の段階では、基板の進行方向の先端部での基板(50)の高さをパスライン(P)の高さより低く(ΔH)保つ。
【0047】
また、図1(b)に示すように、搬送中期の段階では、基板の進行方向の中央部での基板(50)の高さをパスライン(P)の高さより低く(ΔH)保つ。また、図1(c)に示すように、搬送末期の段階では、基板の進行方向の末端部での基板(50)の高さをパスライン(P)の高さより低く(ΔH)保つことになる。
【0048】
これにより、その搬送初期(図1(a))には、基板(50)上に残留した水(30)を基板の進行方向の先端部での基板上の水量を多く(D1、D1>D0)、基板の進行方向の末端部での基板上の水量を少なく(D2、D2<D0)した状態に保ち、その搬送中期(図1(b))には、基板(50)上に残留した水(30)を基板の進行方向の先端部及び末端部での基板上の水量を少なく(D2)、基板の進行方向の中央部での基板上の水量を多く(D1)した状態に保ち、また、その搬送末期(図1(c))には、基板(50)上に残留した水(30)を基板の進行方向の先端部での基板上の水量を少なく(D2)、基板の進行方向の末端部での基板上の水量を多く(D1)した状態に保った基板搬送を行うことになる。
【0049】
このように、水洗槽とエアナイフとの間にて、基板(50)上の位置(先端部、中央部、末端部)での水量を変えることにより、水量は、図4に示すように、水平にパスライン(P)上を搬送される場合と同様に、略平均化された状態を保持し、且つ、エアナイフでの水の排除は、水量の少ない基板の進行方向の先端部から開始するので、水を排除する効率が向上する。つまり、従来における水の残跡の発生は抑制されたものとなる。
尚、図1(c)中、符号(E)は、エアナイフにおいて、エアが吐出する位置を表している。
【0050】
また、表1は、第一の発明における形態1での高さを低くするローラ番号を表したものであるが、同時に、第二の発明における上記形態1において、その上部の高さを低くするローラ番号を表したものであり、表1中、ステップ1は搬送初期、ステップ2は搬送中期、ステップ3は搬送末期に相当する。
【0051】
上述のように、本発明における第二の発明の技法は、第一の発明の技法と同一であり、第一の発明における現像槽、水洗槽、現像液を、各々水洗槽、エアナイフ、水に置き換えるものであるので、以降の説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】(a)〜(c)は、基板搬送装置の動作の形態1の概略を説明する側面図である。
【図2】(a)、(b)は、基板搬送装置の動作の形態2の概略を説明する側面図である。
【図3】(a)、(b)は、基板搬送装置の動作の形態2の概略を説明する側面図である。
【図4】本発明における第一の発明に係わる、現像装置における基板搬送装置の一例の概略を示す側面図である。
【図5】搬送装置制御装置の一例の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1〜14・・・第1ローラ〜第14ローラ
20・・・基板上に残留した現像液
30・・・基板上に残留した水
40・・・転動体(ローラ)の支持部
41・・・昇降機構
50・・・ガラス基板
60・・・上部の高さがパスラインよりも低いローラの集合体
70・・・情報伝達路
71・・・回転検出器
72・・・基板検知センサー
80・・・搬送装置制御装置
E・・・エアが吐出する位置
P・・・パスライン
R・・・転動体(ローラ)
S・・・水洗水が吐出する位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を枚葉で水平に搬送しながらウエット処理によってパターンを形成する際の現像槽と水洗槽との間の基板搬送方法において、
1)前記現像槽から水洗槽への基板搬送は、その搬送初期には、基板上に残留した現像液を基板の進行方向の先端部での基板上の現像液量を多く、基板の進行方向の末端部での基板上の現像液量を少なくした状態に保ち、
2)その搬送中期には、基板上に残留した現像液を基板の進行方向の先端部及び末端部での基板上の現像液量を少なく、基板の進行方向の中央部での基板上の現像液量を多くした状態に保ち、
3)その搬送末期には、基板上に残留した現像液を基板の進行方向の先端部での基板上の現像液量を少なく、基板の進行方向の末端部での基板上の現像液量を多くした状態に保って行い、
水洗槽での水置換は、現像液量の少ない基板の進行方向の先端部から開始することを特徴とする現像装置における基板搬送方法。
【請求項2】
基板を枚葉で水平に搬送しながらウエット処理によってパターンを形成する際の現像槽と水洗槽との間の基板搬送装置において、
1)前記基板を支持し運ぶ転動体の支持部は、該転動体の高さを、基板を水平に搬送する基板のパスラインの高さより低くすることが可能な昇降機構を有し、
2)前記現像槽から水洗槽への基板搬送の搬送初期に、基板の進行方向の先端部に対応した位置にある隣接する複数の転動体の高さを、昇降機構によって基板のパスラインの高さより低いものとし、
3)前記現像槽から水洗槽への基板搬送は、a)その搬送初期には、基板の進行方向の先端部での基板の高さをパスラインの高さより低く保ち、
b)その搬送中期には、基板の進行方向の中央部での基板の高さをパスラインの高さより低く保ち、
c)その搬送末期には、基板の進行方向の末端部での基板の高さをパスラインの高さより低く保って行うことを特徴とする現像装置における基板搬送装置。
【請求項3】
前記基板のパスラインの高さより、その高さを低いものとした隣接する複数の転動体の集合体の位置が、現像槽から水洗槽への基板搬送に伴い、基板の進行方向の逆方向に移動するように当該昇降機構を作動させることを特徴とする請求項2記載の現像装置における基板搬送装置。
【請求項4】
前記基板のパスラインの高さより、その高さを低いものとした隣接する複数の転動体の集合体が、現像槽から水洗槽への基板搬送に伴い、高さの低い転動体の数を増加させつつ、集合体の位置を基板の進行方向の逆方向に移動するように当該昇降機構を作動させることを特徴とする請求項2記載の現像装置における基板搬送装置。
【請求項5】
前記基板のパスラインの高さより、その高さを低いものとした隣接する複数の転動体の集合体が、現像槽から水洗槽への基板搬送に伴い、基板の進行方向の逆方向に、高さの低い転動体の数を増加させるように当該昇降機構を作動させることを特徴とする請求項2記載の現像装置における基板搬送装置。
【請求項6】
1)前記転動体の回転数を回転検出器によって検出し、
2)前記基板の先端及び末端を基板検知センサーによって検出し、
3)上記1)、2)より基板の位置と大きさを演算し、
4)該演算した基板の位置と大きさより、前記転動体の高さを制御することを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の現像装置における基板搬送装置。
【請求項7】
基板を枚葉で水平に搬送しながらウエット処理によってパターンを形成する際の水洗槽とエアナイフとの間の基板搬送方法において、
1)前記水洗槽からエアナイフへの基板搬送は、その搬送初期には、基板上に残留した水を基板の進行方向の先端部での基板上の水量を多く、基板の進行方向の末端部での基板上の水量を少なくした状態に保ち、
2)その搬送中期には、基板上に残留した水を基板の進行方向の先端部及び末端部での基板上の水量を少なく、基板の進行方向の中央部での基板上の水量を多くした状態に保ち、3)その搬送末期には、基板上に残留した水を基板の進行方向の先端部での基板上の水量を少なく、基板の進行方向の末端部での基板上の水量を多くした状態に保って行い、
エアナイフでの水の排除は、水量の少ない基板の進行方向の先端部から開始することを特徴とする現像装置における基板搬送方法。
【請求項8】
基板を枚葉で水平に搬送しながらウエット処理によってパターンを形成する際の水洗槽とエアナイフとの間の基板搬送装置において、
1)前記基板を支持し運ぶ転動体の支持部は、該転動体の高さを、基板を水平に搬送する基板のパスラインの高さより低くすることが可能な昇降機構を有し、
2)前記水洗槽からエアナイフへの基板搬送の搬送初期に、基板の進行方向の先端部に対応した位置にある隣接する複数の転動体の高さを、昇降機構によって基板のパスラインの高さより低いものとし、
3)前記水洗槽からエアナイフへの基板搬送は、a)その搬送初期には、基板の進行方向の先端部での基板の高さをパスラインの高さより低く保ち、
b)その搬送中期には、基板の進行方向の中央部での基板の高さをパスラインの高さより低く保ち、
c)その搬送末期には、基板の進行方向の末端部での基板の高さをパスラインの高さより低く保って行うことを特徴とする現像装置における基板搬送装置。
【請求項9】
前記基板のパスラインの高さより、その高さを低いものとした隣接する複数の転動体の集合体の位置が、水洗槽からエアナイフへの基板搬送に伴い、基板の進行方向の逆方向に移動するように当該昇降機構を作動させることを特徴とする請求項8記載の現像装置における基板搬送装置。
【請求項10】
前記基板のパスラインの高さより、その高さを低いものとした隣接する複数の転動体の集合体が、水洗槽からエアナイフへの基板搬送に伴い、高さの低い転動体の数を増加させつつ、集合体の位置を基板の進行方向の逆方向に移動するように当該昇降機構を作動させることを特徴とする請求項8記載の現像装置における基板搬送装置。
【請求項11】
前記基板のパスラインの高さより、その高さを低いものとした隣接する複数の転動体の集合体が、水洗槽からエアナイフへの基板搬送に伴い、基板の進行方向の逆方向に、高さの低い転動体の数を増加させるように当該昇降機構を作動させることを特徴とする請求項8記載の現像装置における基板搬送装置。
【請求項12】
1)前記転動体の回転数を回転検出器によって検出し、
2)前記基板の先端及び末端を基板検知センサーによって検出し、
3)上記1)、2)より基板の位置と大きさを演算し、
4)該演算した基板の位置と大きさより、前記転動体の高さを制御することを特徴とする請求項8〜請求項11のいずれか1項に記載の現像装置における基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−146927(P2009−146927A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319416(P2007−319416)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】