説明

現像装置並びにこれを備えた画像形成装置及びプロセスユニット

【課題】層厚均一化部材がトナー担持体の下方に位置するレイアウトを採用する場合、層厚均一化部材との対向箇所に導かれる前にトナー担持体からのトナーの離脱が発生するのを抑制することを課題とする。
【解決手段】現像領域で鉛直方向下側から上側に向けて外周面が移動するように回転するトナー担持ローラ2と、その鉛直方向下方に配置された規制ブレード23とを有する現像装置において、上記トナー担持ローラとして、互いに異なる電圧が印加される内側電極3a及び外側電極4aを有し、かつ、これらの電極に対して互いに異なる電圧を印加することによりトナーをホッピングさせるフレア用電界を当該トナー担持ローラ外周面上に形成して、ホッピングした状態のトナーを現像領域へ搬送するものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー担持体上のトナーを現像領域へ搬送して潜像担持体上の潜像に付着させることにより潜像を現像する現像装置、この現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の小型化が強く要求されるようになり、画像形成装置を構成する各種構成部品のレイアウトとして採用できるレイアウトが制限されてきている。一般的な電子写真方式の画像形成装置では、回転駆動する潜像担持体の表面上に潜像を形成し、現像装置により当該潜像にトナーを付着させることでトナー像を形成し、これを最終的に記録材上に転写することで画像形成を行う。現像装置は、潜像担持体の表面に対向配置されたトナー担持体を回転駆動することで、そのトナー担持体上に担持されているトナーを潜像担持体の表面と対向する現像領域へ順次供給する。このような画像形成装置において、近年の小型化の要求に応えるためには、潜像担持体の表面が現像領域において鉛直方向下側から上側に向けて移動するようなレイアウトに制限される場合があった。
【0003】
このようなレイアウトにおいては、高画質化の観点から、トナー担持体の表面が現像領域において潜像担持体の表面に連れ回る方向へ移動するように、トナー担持体の表面も現像領域において鉛直方向下側から上側に向けて移動するようなレイアウトを採用することが好ましい場合がある。ここで、一般に、現像装置は、トナー担持体上に担持されて現像領域へ供給されるトナー量が均一かつ一定となるように、トナー担持体の表面に接触又は非接触の状態で対向配置される規制部材(層厚均一化部材)が、現像領域のトナー担持体表面移動方向上流側に配置される。そのため、トナー担持体の表面が現像領域において鉛直方向下側から上側に向けて移動するようなレイアウトの場合、規制部材がトナー担持体の下方に位置するレイアウトとなる。このようなレイアウトにおいては、トナー担持体上に供給されたトナーがトナー担持体の回転に伴って規制部材による規制箇所まで導かれる前に、自重や遠心力によってトナー担持体上から離脱するおそれがある。このようなトナーの離脱が生じると、現像領域に供給されるトナー量が不足して画像濃度の低下を引き起こしたり、現像領域に供給されるトナー量が不均一となって画像濃度ムラを引き起こしたりする。
【0004】
特許文献1には、規制部材がトナー担持体の下方に位置するレイアウトにおいて、その規制部材のトナー担持体表面移動方向上流側に、板状のプレ帯電部材がトナー担持体表面に当接されている画像形成装置が開示されている。この画像形成装置によれば、トナー担持体上に供給されたトナーは、トナー担持体とプレ帯電部材との間を通過する際にプレ帯電部材と接触して予備帯電され、これにより帯電量が増加する。その結果、トナー担持体上にトナーを引きつける静電力が増大し、規制部材による規制箇所まで導かれる前にトナー担持体からトナーが離脱するのを抑制している。
【0005】
一方、従来の現像装置の中には、互いに異なる電圧が印加される複数の電極を備えたトナー担持体を有する現像装置が知られている。例えば、トナー担持体上のトナーを潜像担持体に直接接触させないで、トナーを潜像担持体上の潜像に供給して現像を行う現像装置がある(特許文献2)。この現像装置の一例としては、トナー担持体上のトナーをクラウド化させることによってトナーを潜像担持体上に供給する方式を採用するものがある。この方式に使用されるトナー担持体は、外周面に沿って複数種類の電極が所定のピッチで配置され、その複数種類の電極の外周面側を保護層で覆ったものである。この複数種類の電極に対し、時間的に変化する互いに異なる電圧をそれぞれ印加して、時間的に変化する電界を互いに近接する複数種類の電極間に形成すると、この電界(以下、「ホッピング電界」という。)によりトナー担持体上のトナーを互いに近接する複数種類の電極間で飛翔(ホッピング)あるいはフレアさせることができる。これにより、トナー担持体の外周面近傍の空間でトナーがクラウド化した状況となり、トナー担持体の回転によってクラウド化したトナーを搬送する。以下、このようにトナー担持体の外周面上のトナーをホッピングした状態して現像領域へ送り込む現像方式を、フレア現像方式という。
【0006】
一般に、トナー担持体の外周面上に担持されるトナーの量にムラがあると、現像領域における現像能力にムラが生じ、画像濃度ムラを引き起こす。これは、上述したフレア現像方式の現像装置にも当てはまることである。そのため、上記特許文献2に記載の現像装置では、現像領域に搬送される直前にトナー担持体外周面上のトナーの層厚を均一化するための規制部材(層厚均一化部材)を設け、現像領域へ搬送されるトナーのムラを抑制している。これにより、フレア現像方式において、トナー担持体上におけるトナー量のムラに起因した画像濃度ムラが発生することが抑制される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
層厚均一化部材がトナー担持体の下方に位置するレイアウトにおいては、上述したように、トナー担持体上のトナーが層厚均一化部材との対向箇所まで導かれる前にトナー担持体から離脱して、画像濃度低下や画像濃度ムラを引き起こすという問題があった。上記特許文献1に記載の画像形成装置では、層厚均一化部材のトナー担持体表面移動方向上流側に板状のプレ帯電部材を配置し、トナーを予備帯電させることでトナーの離脱を抑制しているが、その抑制効果は不十分であった。これは次の理由による。
【0008】
トナー担持体上のトナーは、通常、トナー担持体表面上にトナーが積層した状態で担持されている。そのため、トナー担持体上のトナーの中には、トナー担持体表面に直接接触して担持されているトナー(1層目のトナー)、1層目のトナーの上に付着しているトナー(2層目のトナー)、更にその上に付着しているトナー(3層目以降のトナー)に大別できる。1層目のトナーは、主として、トナー担持体表面との間で生じる比較的強い静電気力と非静電的付着力によって保持される。これに対し、2層目以降のトナーは、主として、これに接触する下層のトナーとの間で生じる非静電的付着力によって保持される。そのため、上記特許文献1に記載の画像形成装置のようにプレ帯電部材によってトナーを予備帯電させる場合、1層目のトナーについてはトナー担持体表面のトナー保持力を増大させることができるが、2層目以降のトナーについてはトナー担持体表面のトナー保持力をほとんど増大させることができない。その結果、上記特許文献1に記載の画像形成装置では、プレ帯電部材でトナーを予備帯電させても、2層目以降のトナーは自重や遠心力により離脱してしまい、トナー離脱の抑制効果が不十分であった。
【0009】
一方、上述したフレア現像方式の現像装置は、トナー担持体上のトナーをホッピング電界により互いに近接する複数種類の電極間で飛翔(ホッピング)あるいはフレアさせてトナー担持体表面にトナーを担持する。したがって、フレア現像方式の現像装置では、トナー担持体に担持されている全トナーに対してホッピング電界が作用してトナー担持体に対する拘束力が作用している。そして、本発明者らは、このようなフレア現像方式の特徴に着目し、層厚均一化部材がトナー担持体の下方に位置するレイアウトにおいて発生するトナーの離脱を抑制することを案出した。
【0010】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、層厚均一化部材がトナー担持体の下方に位置するレイアウトを採用する場合、層厚均一化部材との対向箇所に導かれる前にトナー担持体からのトナーの離脱が発生するのを抑制できる現像装置、この現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、潜像担持体の表面と対向する現像領域で鉛直方向下側から上側に向けて外周面が移動するように回転するトナー担持体と、上記トナー担持体の鉛直方向下方に配置され、該トナー担持体の外周面に担持されたトナーの層厚を均一化する層厚均一化部材とを有し、上記層厚均一化部材により層厚が均一化されたトナー担持体上のトナーを上記現像領域へ搬送して上記潜像担持体上の潜像に付着させることにより該潜像を現像する現像装置において、互いに異なる電圧が印加される少なくとも2種類の電極部材を上記トナー担持体に設け、該少なくとも2種類の電極部材に対して互いに異なる電圧を印加することによりトナーをホッピングさせるための電界を該トナー担持体の外周面上に形成し、該トナー担持体を回転させることによりホッピングした状態のトナーを現像領域内へ搬送することを特徴とする。
【0012】
本発明においては、いわゆるフレア現像方式を採用しているため、トナー担持体の外周面上の全トナーにホッピング電界を作用させてトナーをトナー担持体上に拘束している。そのため、トナー担持体に担持されているトナーはすべてホッピング電界が作用している。すなわち、本発明によれば、従来のトナー担持体に担持されていた2層目以降のトナーのように、実質的にトナー同士の付着力という弱い拘束力だけでトナー担持体上に拘束されるようなトナー(自重や遠心力で容易に離脱してしまうトナー)がトナー担持体上には存在しない。したがって、層厚均一化部材がトナー担持体の下方に位置するレイアウトを採用していても、層厚均一化部材との対向箇所へ導かれる前にトナー担持体からトナーが離脱してしまう事態の発生が抑制される。
【発明の効果】
【0013】
以上より、本発明によれば、層厚均一化部材がトナー担持体の下方に位置するレイアウトを採用する際、層厚均一化部材との対向箇所に導かれる前にトナー担持体からのトナーの離脱が発生するのを抑制できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】同画像形成装置における感光体と現像装置とを示す概略構成図である。
【図3】同現像装置のトナー担持ローラの電極配置を説明するためにトナー担持ローラを回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図である。
【図4】同トナー担持ローラを、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
【図5】外側電極の電極間距離が絶縁層厚よりも広く形成された例を示す説明図である。
【図6】外側電極の電極間距離が絶縁層厚よりも狭く形成された例を示す説明図である。
【図7】外側電極の電極幅と電極間距離との和を一定とし、これらの電極幅と電極間隔との比率を変化させたときの、トナー担持ローラ外周面に形成される平均電界強度のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図8】同シミュレーション結果について、当該比率が1になる点を境に2つのデータに分け、各データについてそれぞれ近似直線をプロットしたグラフである。
【図9】トナー担持ローラの周方向だけでなく軸方向にも、内側電極に対向する領域と外側電極に対向する領域とが交互配列された一例を示す説明図である。
【図10】外側電極の電極幅を固定して、外側電極の電極間距離を変化させた場合の、トナー担持ローラ表面に出てくる平均電界強度をプロットしたグラフである。
【図11】複数の電極幅について、図10に示したグラフで平均電界強度が最大となる電極間距離(最適値)を求め、それをプロットしたグラフである。
【図12】同トナー担持ローラの内側電極及び外側電極にそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフである。
【図13】内側電極及び外側電極へ印加する内側電圧と外側電圧の他の例を示すグラフである。
【図14】内側電極及び外側電極へ印加する内側電圧と外側電圧の更に他の例を示すグラフである。
【図15】内側電極及び外側電極への給電構成を、ローラ軸に沿って切断したときの模式図である。
【図16】同給電構成を模式的に示す斜視図である。
【図17】変形例1における内側電極及び外側電極への給電構成を、ローラ軸に沿って切断したときの模式図である。
【図18】同給電構成をもつトナー担持ローラを、軸方向に対して直交する方向から見たときの模式図である。
【図19】同給電構成を模式的に示す斜視図である。
【図20】変形例2における現像装置を示す模式図である。
【図21】変形例3における現像装置を示す模式図である。
【図22】変形例4における現像装置を感光体とともに図示した概略構成図である。
【図23】同現像装置における回収機構の他の例を示すための概略構成図である。
【図24】同現像装置における回収機構の更に他の例を示すための概略構成図である。
【図25】同現像装置における回収機構の更に他の例を示すための概略構成図である。
【図26】変形例5におけるトナー担持ローラを、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
【図27】変形例6におけるトナー担持ローラを展開した状態を模式的に表した説明図である。
【図28】同トナー担持ローラを、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
本実施形態に係る画像形成装置は、フレア現像方式の現像装置を利用して構成され、潜像担持体としての感光体49Y,49M,49C,49K上に各色のトナー像を形成し、これらを中間転写体としての中間転写ベルト48上で重ねてカラー画像を形成するタンデム型の画像形成装置である。なお、イエロー用の部材には符号に「Y」を付し、マゼンタ用の部材には符号に「M」を付し、シアン用の部材には符号に「C」を付し、ブラック用の部材には符号に「K」を付す。
【0016】
イエローのトナー像を感光体49Yに形成する場合、まず、回転駆動する感光体49Yの表面を帯電装置41Yによって一様に帯電する帯電処理を行う。帯電処理がなされた感光体49Yの表面部分には、潜像形成手段としての露光装置42によって、イエロー用の画像情報に応じた書込光が照射され、これにより静電潜像が形成される。感光体49Yの表面上に形成された静電潜像には、現像装置1Yと対向する現像領域においてイエロートナーが供給され、静電潜像に付着したイエロートナーによりイエロー用トナー像が形成される。他色のトナー像についても、イエローと同様の方法により形成される。
【0017】
このようにして、各感光体49Y,49M,49C,49K上に形成された各色トナー像は、中間転写ベルト48と対向する一次転写領域において、図示しない電源から一次転写バイアスが印加される一次転写手段としての各色の一次転写ローラ43Y,43M,43C,43Kにより、互いに重なり合うように、中間転写ベルト48上へ順次転写される。これにより、中間転写ベルト48上にカラートナー像が形成される。この一次転写時に一次転写されずに感光体49Y上に残留したイエロートナーは、クリーニング手段としてのクリーニング装置44Yによって感光体49Y上から除去される。他色の残留トナーについても、イエローと同様の方法により除去される。
【0018】
また、中間転写ベルト48上のカラートナー像が二次転写領域に到達するタイミングに合わせて、画像形成装置下部に配置された給紙装置から記録材としての記録紙が給送される。この記録紙は、図示しない電源から二次転写バイアスが印加される二次転写手段としての二次転写ローラ45と中間転写ベルト48を介して対向する二次転写領域に搬送される。二次転写ローラ45は、中間転写ベルト48の内周面に当接して中間転写ベルト48を張架支持する支持ローラの1つであり、中間転写ベルト48上のカラートナー像は、二次転写領域において、記録紙上に二次転写される。二次転写時に二次転写されずに中間転写ベルト48上に残留したトナーは、クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置47によって中間転写ベルト48上から除去される。一方、カラートナー像が転写された記録紙は、定着装置46によりカラートナー像が定着されて記録紙上にカラー画像が形成され、画像形成装置外部へ排出される。
【0019】
本実施形態では、画像形成装置の一例として、複数の潜像担持体を使用したタンデム型の画像形成装置について説明したが、どのような方式のものでもよい。例えば、1つの潜像担持体上に各色トナー像を順番に形成し、各トナー像を中間転写体上に重ねて転写することで中間転写体上にカラートナー像を形成する方式や、1つの潜像担持体上で各色トナー像を互いに重ね合わせて形成し、その重ね合わせトナー像を中間転写体や記録材上に直接転写する方式などであってもよい。
【0020】
次に、本実施形態における現像装置の構成及び動作について説明する。
なお、各色の現像装置は、使用するトナーの色が異なるだけでその基本構成は同一であるため、以下の説明では、色分け符号を省略して説明する。
本実施形態で使用するトナーは、重合法で作成されたものを用い、平均粒径が5.2[μm]であり、円形度が0.98であり、安息角が33[°]であり、外添剤としてチタン酸ストロンチュームを含有しているトナーを使用している。
【0021】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置における感光体49と現像装置1とを示す概略構成図である。
ドラム状の感光体49は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。そして、この感光体49の図中左側方には、トナー担持体であるトナー担持ローラ2を有する現像装置1が配設されている。現像装置1は、図中時計回り方向に回転駆動される第1搬送スクリュー12を収容する第1収容部13と、図中反時計回りに回転駆動される第2搬送スクリュー14を収容する第2収容部15とを有しており、両収容部は仕切壁16によって仕切られている。そして、これら収容部はそれぞれ、図示しない磁性キャリアとマイナス帯電性のトナーとが混合された混合剤を収容している。
【0022】
第1搬送スクリュー12は、その回転駆動によって第1収容部13内の混合剤を回転撹拌しながら、図中手前側から図中奥側へと搬送する。このとき、搬送途中の混合剤は、第1収容部13の底部に固定されたトナー濃度センサ17によってそのトナー濃度が検知される。そして、図中奥側の端部付近まで搬送された混合剤は、仕切壁16の奥側端部付近に設けられた図示しない第1連通口を経て、第2収容部15内に進入する。第2収容部15は、トナー供給部材としての後述するトナー供給ローラ18を収容する磁気ブラシ形成部21に連通しており、第2搬送スクリュー14とトナー供給ローラ18とは所定の間隙を介して互いに軸線方向を平行にする姿勢で対向している。第2収容部15内の第2搬送スクリュー14は、その回転駆動によって第2収容部15内の混合剤を回転撹拌しながら、図中奥側から図中手前側へと搬送する。この過程において、第2搬送スクリュー14によって搬送される混合剤の一部は、トナー供給ローラ18のトナー供給スリーブ19上に汲み上げられる。そして、図中反時計回り方向のトナー供給スリーブ19の回転駆動に伴って、後述するトナー供給位置を通過した後、トナー供給スリーブ19の表面から離脱して、再び第2収容部15内に戻される。その後、第2搬送スクリュー14によって図中手前側の端部付近まで搬送された混合剤は、仕切壁16の図中手前側端部付近に設けられた図示しない第2連通口を経て第1収容部13内に戻される。
【0023】
上述したトナー濃度センサ17は、透磁率センサからなる。このトナー濃度センサ17による混合剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として図示しない制御部に送られる。混合剤の透磁率は、混合剤のKトナー濃度と相関を示すため、トナー濃度センサ17はトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。
【0024】
本画像形成装置の図示しない制御部はRAM(Random Access Memory)を備えており、この中にトナー濃度センサ17からの出力電圧の目標値であるVtrefを格納している。そして、トナー濃度センサ17からの出力電圧値と、RAM内のVtrefとを比較して、比較結果に応じた時間だけ図示しないトナー補給装置を駆動させる。この駆動により、現像に伴うトナーの消費によってトナー濃度を低下させた混合剤に対し、トナー補給口13aから第1収容部13内に適量のトナーが補給される。このため、第2収容部15内の混合剤のトナー濃度が所定の範囲内に維持される。
【0025】
トナー供給ローラ18は、図中反時計回り方向に回転駆動される非磁性材料からなる筒状のトナー供給スリーブ19と、これに内包される固定配置されたマグネットローラ20とを有している。筒状のトナー供給スリーブ19は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂などの非磁性体を円筒形に成型したものである。また、マグネットローラ20は、図示のように、回転方向に並ぶ複数の磁極(図中真上の位置から反時計回り方向に順にN極、S極、N極、S極、N極、S極)を有している。これら磁極により、トナー供給スリーブ19の周面上に混合剤が吸着し、磁力線に沿って穂立ちした磁気ブラシが形成される。
【0026】
トナー供給スリーブ19の表面によって汲み上げられた混合剤は、トナー供給スリーブ19の回転に伴って図中反時計回り方向に回転する。そして、トナー供給スリーブ19の表面に対して所定の間隙を介して対向配置されている規制部材22との対向位置である担持量規制位置に進入する。このとき、規制部材22とスリーブ表面との間隙を通過することで、スリーブ表面上における混合剤の担持量が規制される。
【0027】
トナー供給スリーブ19の図中左側方では、トナー担持ローラ2がトナー供給スリーブ19表面と所定の間隙を介して対向しながら、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されている。トナー供給スリーブ19の回転に伴って上述の担持量規制位置を通過した混合剤は、トナー担持ローラ2との接触位置であるトナー供給位置に進入する。これにより、混合剤からなる磁気ブラシ先端がトナー担持ローラ2の表面を摺擦する。この摺擦やトナー供給スリーブ19とトナー担持ローラ2との電位差などの作用を受けて、磁気ブラシ中のトナーがトナー担持ローラ2の表面上に供給される。なお、トナー供給スリーブ19には、供給バイアス電源24により、供給バイアスが印加されている。この供給バイアスは、トナー担持ローラ2側にトナーを移動させる電界が形成できるようなものであれば、直流電圧でもよいし、かかる直流電圧に交流電圧を重畳したものでもよい。
【0028】
トナー供給位置を通過したトナー供給スリーブ19上の混合剤は、スリーブの回転に伴って第2収容部15との対向位置まで搬送される。この対向位置の付近には、マグネットローラ20に磁極が設けられておらず、混合剤をスリーブ表面に引き付ける磁力が作用していないため、混合剤はスリーブ表面から離脱して第2収容部15内に戻る。なお、本画像形成装置においては、マグネットローラ20として、6つの磁極を有するものを用いたが、磁極の個数はこれに限られるものではない。8極、12極などであってもよい。
【0029】
トナーが供給されたトナー担持ローラ2は、現像装置1のケーシング11に設けられた開口から外周面の一部を露出させている。この露出箇所は、感光体49に対して数十〜数百[μm]の間隙を介して対向している。このようにトナー担持ローラ2と感光体49とが対向している領域が、本画像形成装置における現像領域となっている。
【0030】
トナー担持ローラ2の表面上に供給されたトナーは、後述する理由により、トナー担持ローラ2の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ2の回転に伴って、層厚均一化部材としての規制ブレード23との対向領域(規制領域)へ搬送される。本実施形態の規制ブレード23は、リン青銅やSUSまたは弾性ゴム等の材料で板状に形成されたものをケーシング11に片持ち支持し、その自由端部をトナー担持ローラ2の外周面に対して10[N/m]以上100[N/m]以下の範囲内の当接圧力で当接させたものを使用しているが、これに限らず、例えばローラのものなどを使用してもよい。トナー担持ローラ2に担持されたトナーは、トナー担持ローラ2の外周面と規制ブレード23との間に挟まれながら規制領域を通過することにより、所望の層厚にトナー層が均一化されるとともに、トナーが摩擦帯電してトナーの帯電量が増加する。
【0031】
規制領域に進入する前におけるトナー担持ローラ2上のトナーの帯電量及びトナー量が適切であると、現像領域でのトナー飛散や地肌汚れが少なくて済む。好ましくは、規制ブレード進入前において、トナー担持ローラ2上のトナー帯電量は、10[μC/g]以上60[μC/g]以下の範囲が好ましく、トナー担持ローラ2上のトナー量は0.3[mg/cm]以上1.0[mg/cm]以下の範囲であることが好ましい。
【0032】
規制領域を通過したトナーは、トナー担持ローラ2の回転に伴って、ホッピング状態で現像領域へ搬送される。現像領域では、トナー担持ローラ2の平均表面電位と感光体49の表面電位との電位差に応じた現像電界の作用によって、トナー担持ローラ2上のトナーが感光体49の表面上の静電潜像部分に移動して現像処理が行われる。現像領域で感光体49の表面へ移動せずにトナー担持ローラ2上に残ったトナーは、トナー担持ローラ2の回転に伴って現像装置内に戻される。
【0033】
次に、本実施形態におけるトナー担持ローラ2の具体的構成について説明する。
図3は、本実施形態におけるトナー担持ローラ2の電極配置を説明するためにトナー担持ローラ2を回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図である。なお、説明の都合上、表層6や絶縁層5は図示していない。
図4は、本実施形態におけるトナー担持ローラ2を、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
本実施形態のトナー担持ローラ2は、中空状のローラ部材で構成されており、その内周側に位置する内周側電極部材としての内側電極3aと、外周側に位置していて内側電極3aへ印加される電圧(内側電圧)とは異なる電圧(外側電圧)が印加される外周側電極部材としての櫛歯状の外側電極4aとを備えている。また、内側電極3aと外側電極4aとの間にはこれらの間を絶縁するための絶縁層5が設けられている。また、外側電極4aの外周面側を覆う保護層としての表層6も設けられている。すなわち、本実施形態のトナー担持ローラ2は、内周側から順に、内側電極3a、絶縁層5、外側電極4a、表層6の4層構造となっている。
【0034】
内側電極3aは、トナー担持ローラ2の軸芯部材(基体)としても機能しており、SUSやアルミニウム等の導電性材料を円筒状に成型した金属ローラである。このほか、内側電極3aの構成としては、ポリアセタール(POM)やポリカーボネート(PC)等からなる樹脂ローラの表面にアルミニウムや銅などの金属層等からなる導電層を形成したものが挙げられる。この導電層の形成方法としては、金属メッキ、蒸着等により形成する方法や、ローラ表面に金属膜を接着する方法などが考えられる。
【0035】
内側電極3aの外周面側は絶縁層5に覆われている。本実施形態において、この絶縁層5は、ポリカーボネートやアルキッドメラミン等で形成されている。また、本実施形態において、絶縁層5の厚みは、3[μm]以上であるのが好ましい。3[μm]よりも小さくなると、内側電極3aと外側電極4aとの間の絶縁性が十分に保てなくなり、内側電極3aと外側電極4aとの間でリークが発生してしまう可能性が高くなる。一方、絶縁層5の厚みの好適範囲の上限値は、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界が表層6よりも外側に形成され、表層6の外側に強いフレア用電界(外部電界)を形成できる値に設定されることになる。本実施形態では、メラミン樹脂からなる絶縁層5の厚みを20[μm]としている。絶縁層5はスプレー法やディップ法等によって内側電極3a上に均一な膜厚で形成することができる。
【0036】
絶縁層5の上には外側電極4aが形成される。本実施形態において、この外側電極4aは、アルミニウム、銅、銀などの金属で形成されている。櫛歯状の外側電極4aの形成方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、絶縁層5の上にメッキや蒸着によって金属膜を形成し、フォトレジスト・エッチングによって櫛歯状の電極を形成するという方法が挙げられる。また、インクジェット方式やスクリーン印刷によって導電ペーストを絶縁層5の上に付着させて櫛歯状の電極を形成するという方法も考えられる。
【0037】
外側電極4a及び絶縁層5の外周面側は、表層6により覆われている。トナーは、表層6上でホッピングを繰り返す際、この表層6との接触摩擦によって帯電する。トナーに正規帯電極性(本実施形態ではマイナス極性)を与えるため、本実施形態では、表層6の材料として、シリコーン、ナイロン(登録商標)、ウレタン、アルキッドメラミン、ポリカーボネート等が使用される。本実施形態ではポリカーボネートを採用している。また、表層6は、外側電極4aを保護する役割も持ち合わせているので、表層6の膜厚としては、3[μm]以上であるのが好ましい。3[μm]よりも小さいと、経時使用による膜削れ等で外側電極4aが露出し、トナー担持ローラ2上に担持されたトナーやトナー担持ローラ2に接触するその他の部材を通じてリークしてしまうおそれがある。一方、表層6の厚みの好適範囲の上限値は、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界が表層6よりも外側に形成され、表層6の外側に強いフレア用電界を形成できる値に設定されることになる。表層6は、絶縁層5と同様にスプレー法やディッピング法等によって形成することができる。
【0038】
ここで、表層6の外側に形成される電界は、外側電極4aの電極間距離(櫛歯部分の離間距離)によっても大きく変化する。電極間距離が狭いと、内側電極3aからの電気力線の多くが表層6の外側に出る前に外側電極4aに収束してしまい、表層6の外側に形成されるフレア用電界が弱まってしまうからである。したがって、上述した絶縁層5の好適範囲の上限値や、表層6の好適範囲の上限値は、外側電極4aの電極間距離によって変わってくる。本発明者らによる検討の結果、絶縁層5の厚さをT[μm]とし、表層6の厚さをD[μm]、電極間距離をS[μm]としたとき、S>T+Dの関係式を満たす場合には、表層6よりも外側にフレア用電界が形成されて、トナーをホッピングさせることができることが判明した。
【0039】
下記の表1は、検討結果を示す表である。
この検討では、電極間距離Sが80[um]であり、電極幅が80[um]であるトナー担持ローラ2について、絶縁層5の厚さTと表層6の厚さDを下記水準で製作して、トナーのホッピング性能評価を行った。ホッピング性能評価は、トナー担持ローラ2の外周面に対しての非接触で試験用電極を対向させ、トナー担持ローラ2と試験用電極との間に電位差を形成し、トナー担持ローラ2の外周面上にホッピングしているトナーを試験用電極に移動させた。そして、トナー担持ローラ2に担持されていたトナー量に対する試験用電極上に付着しているトナー量の比率(ホッピング比率)を測定し、その比率が80%以上である場合に「○」と評価し、20%以下である場合に「×」と評価した。
【0040】
【表1】

【0041】
本実施形態では、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界、より詳しくは、内側電極3aの外側電極4aとは対向していない部分(外側電極4aの櫛歯間に位置する内側電極3aの部分)と外側電極4aの櫛歯部分との間で作られる電界が、表層6の外側に形成されることで、トナー担持ローラ2上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ2上のトナーは、内側電極3aに絶縁層5を介して対向した表層部分と、これに隣接する外側電極4aに対向した表層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。
【0042】
トナーを安定してクラウド化させるためには、相応する大きさのフレア用電界を形成することが重要となるが、このような大きなフレア用電界を形成するためには内側電極3aと外側電極4aとの間に大きな電位差を形成する必要がある。しかし、このような大きな電位差を安定して形成するためには、内側電極3aと外側電極4aとの間を安定かつ有効に絶縁し、リークを防止することが重要である。従来のように、フレア用電界を形成するための2種類の電極をそれぞれ櫛歯状に形成して同心円上に配置し、互いの櫛歯部分が相手の櫛歯間に入り込むように構成した場合、その櫛歯状電極の形成品質が悪いと、2種類の電極間の絶縁性が著しく低下し、リークが起きやすい。具体的には、例えば、エッチングで電極形成する場合には除去すべき金属膜の一部が残存していたり、インクジェット法やスクリーン印刷法で電極形成する場合には電極間に導電ペーストが付着してしまったりする事態が起こり得る。このような事態が生じると、2種類の電極間でリークが起きやすいなり、適正なフレア用電界を形成することができなくなる。また、従来構成においては、ローラの樹脂表面上に櫛歯状電極を高い品質で形成したとしても、2種類の櫛歯状電極を形成した後にその外周面側を絶縁材で覆うことにより電極間に絶縁材を充填して電極間の絶縁性を得るため、電極間にはローラの樹脂表面と絶縁材との界面が形成され、この界面を通じたリークが生じやすく、比較的大きな電圧を印加すると電極間の絶縁性が著しく低下する。
【0043】
本実施形態によれば、内側電極3aの上に絶縁層5を設け、その絶縁層上に櫛歯状の外側電極4aを形成した構成であるため、これらの電極間にリークの原因となり得るような界面は存在しない。また、トナー担持ローラ2の製造段階において、リークの原因となり得る導電材が電極間に介在する可能性も非常に少なくできる。したがって、本実施形態によれば、内側電極3aと外側電極4aとの間を安定かつ有効に絶縁することができ、比較的大きな電圧を印加する場合でもリークを効果的に防止することができる。
【0044】
また、本実施形態において、外側電極4aの電極幅(各櫛歯部分の幅)は、10[μm]以上120[μm]以下であるのが好ましい。10[μm]よりも小さいと、細すぎて電極が途中で断線してしまうおそれがある。一方、120[μm]より大きいと、外側電極4aの被給電部4bからの距離が遠い箇所の電圧が低くなり、その箇所でトナーを安定かつ有効にホッピングさせることが困難となる。本実施形態の被給電部4bは、図3に示すように、トナー担持ローラ2の外周面上における軸方向両端に設けられている。よって、本実施形態では、外側電極4aの電極幅が120[μm]より大きいと、トナー担持ローラ2の軸方向中央部におけるフレア用電界が軸方向両端部のフレア用電界よりも相対的に低くなり、軸方向中央部に担持されているトナーを安定かつ有効にホッピングさせることが困難となる。
【0045】
また、本実施形態では、外側電極4aの電極間距離(櫛歯部分の離間距離)は、電極幅と同じか広いのが好ましい。電極幅よりも小さいと、内側電極3aからの電気力線の多くが表層6の外側に出る前に外側電極4aへ収束してしまい、表層6の外側に形成されるフレア用電界が弱くなってしまうからである。一方、電極間距離が大きいと、電極間中央のフレア用電界が弱くなってしまう。本実施形態において、電極間距離は、電極幅以上であって電極幅の5倍以下の範囲内であるのが好ましい。
【0046】
また、本実施形態において、図5に示すように、外側電極4aの電極間距離Sが、絶縁層厚Tよりも広く形成するのが好ましい。仮に、図6に示すように、外側電極4aの電極間距離Sが絶縁層厚Tよりも狭いと、内側電極3aからの電気力線の多くが表層6の外側に出る前に外側電極4aへ収束してしやすくなり、表層6の外側に形成されるフレア用電界が弱くなってしまうからである。
【0047】
また、本実施形態において、外側電極4aの電極間距離Sが広すぎると、外側電極4aの電極間領域(外側電極4aの層における外側電極4aが形成されていない領域)の中央部分(トナー担持体周方向の中央部分)に対応した部分のフレア用電界が弱くなってしまう。一方、電極間距離Sが狭すぎると、内側電極3aから外側電極4aの電極間領域まで出た電気力線の多くが表層6の外側に出る前に外側電極4aへ収束してしまう。そのため、表層6の厚さDが厚いほど、より多くの電気力線が表層6の外側に出る前に外側電極4aへ収束しまうので、フレア用電界が弱くなる。本実施形態では、表層6の厚さTを電極間距離Sよりも小さくすると、フレア用電界の強さを表層6の外側でも適正な強さにすることができる。
【0048】
また、本実施形態において、電極幅Lと電極間距離Sとの和を180[μm]で一定とし、電極幅Lと電極間隔Sとの比率を変化させたときの、トナー担持ローラ2の外周面に形成される平均電界強度(単位面積当たりの電界強度を平均化した数値)のシミュレーション結果を図7に示す。
図7に示すグラフの横軸は、電極間距離Sに対する電極幅Lの比率(L/S)であり、縦軸は、トナー担持ローラ2の外周面に形成される平均電界強度である。このシミュレーションは、内側電極3aと外側電極4aに印加される電圧のピークツーピーク電圧値Vppが、300[V]の場合、500[V]の場合、700[V]の場合について、それぞれ行った。
【0049】
図7に示すグラフを見ると、電極幅Lと電極間距離Sとの比率L/Sが大きくなるにつれて、つまり、電極間距離Sが狭くなるにつれて、トナー担持ローラ2の外周面に形成される平均電界強度が小さくなることが分かる。これは、電極間距離Sが狭くなるにつれて、内側電極3aからの電気力線の多くが表層6の外側に出る前に外側電極4aへ収束してしまうためである。また、図7に示すグラフを見ると、電極幅Lと電極間距離Sとの比率L/Sが1より大きくなると、トナー担持ローラ2の外周面に形成される平均電界強度の減少傾向が大きくなることが分かる。
【0050】
これを明確化するため、Vpp=700[V]のシミュレーション結果について、比率L/Sが1になる点を境に2つのデータに分け、各データについてそれぞれ近似直線をプロットしたものを図8に示す。図8に示すグラフを見ると、比率L/Sが1となる点を境にして、近似直線の傾きが3倍以上変化していることが分かる。したがって、電極幅Lと電極間距離Sとの比率L/Sが1以下、つまり電極幅Lと電極間隔Sの関係がL≦Sの関係を満たす場合、トナー担持ローラ2の外周面上に形成される電界強度を効率よく得ることができる。
【0051】
なお、本実施形態のトナー担持ローラ2は、外側電極4aが櫛歯状の電極であり、トナー担持ローラ2の外周面上におけるトナーを担持するトナー担持領域では、内側電極3aに対向する領域と外側電極4aに対向する領域とがストライプ状に配列(交互配列)されたものである。この場合、トナー担持ローラ2の軸方向については、内側電極3aに対向する領域と外側電極4aに対向する領域とが交互配列されていないため、上記シミュレーション結果では、トナー担持ローラ2の周方向における電極幅Lと電極間距離Sとの関係について説明した。しかしながら、例えば図9に示すように、トナー担持ローラ2の周方向だけでなく軸方向にも内側電極3aに対向する領域と外側電極4aに対向する領域とが交互配列されている構成においては、トナー担持ローラ2の周方向における電極幅Lと電極間距離Sとの関係だけでなく、トナー担持ローラ2の軸方向における電極幅Lと電極間距離Sとの関係も、トナー担持ローラ2の外周面上に形成される電界強度に影響する。この場合には、上記シミュレーション結果から、外側電極4aにおける電極間領域(非電極領域)の面積Sが、外側電極4aにおける電極領域の面積S以上であるといいう関係を満たせば、トナー担持ローラ2の外周面上に形成される電界強度を効率よく得ることができる。
【0052】
図10は、電極幅Lを100[μm]に固定し、電極間距離Sを変化させた場合の、トナー担持ローラ2の表面に出てくる平均電界強度をプロットしたグラフである。
トナー担持ローラの外周面上に形成される電界強度は一様ではないが、トナー担持ローラ2上でトナーがホッピングする比率(ホッピング比率)は、この平均電界強度、すなわち、単位面積当たりの電界強度を平均化した数値と大きく相関があることが判明している。
【0053】
図11は、複数の電極幅について、図10に示したグラフで平均電界強度が最大となる電極間距離(最適値)を求め、それをプロット(正方形)したグラフである。このグラフには、最適値に対して平均電界強度が80%となる電極間距離も併せてプロット(菱形)してある。ここで、平均電界強度が最大値の80%以上であるという条件を満たすことは、おおよそ、トナー担持ローラ2上のトナーのうちの80%がホッピングするという条件に等しいと言える。したがって、本実施形態においては、下記の式(2)の関係を満たすことで、トナー担持ローラ2上における80%以上のトナーのホッピングを確保することができる。
0.15×S[μm]+45 ≦ L[μm] ≦ 0.72×S[μm]+123 ・・・(2)
【0054】
本実施形態では、絶縁層5の厚さTを20[μm]とし、表層6の厚さDを20[μm]とし、電極幅及び電極間距離Sをいずれも80[μm]に設定している。
【0055】
また、本実施形態では、外側電極4aの電極間距離を、トナー担持ローラ2の周方向にわたって一定となるように設定されている。電極間距離を一定とすることで、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られるフレア用電界がトナー担持ローラ2上の周方向にわたってほぼ均一となる。よって、現像位置で周方向に均一なトナーのホッピングを実現することが可能となり、均一な現像が可能となる。
【0056】
次に、内側電極3a及び外側電極4aに印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ2上の内側電極3a及び外側電極4aには、それぞれパルス電源25A,25Bから第1電圧である内側電圧及び第2電圧である外側電圧が印加される。パルス電源25A,25Bが印加する内側電圧及び外側電圧は、矩形波が最も適している。ただし、これに限らず、例えばサイン波で三角波でもよい。また、本実施形態では、フレア用電極を形成するための電極が内側電極3a及び外側電極4aの2相構成であり、各電極3a,4aには互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0057】
図12は、内側電極3a及び外側電極4aにそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフである。
本実施形態において、各電圧は矩形波であり、内側電極3aと外側電極4aにそれぞれ印加される内側電圧と外側電圧は、互いに位相がπだけズレた同じ大きさ(ピークツーピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、内側電極3aと外側電極4aとの間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表層6の外側に形成されるフレア用電界によって表層6上をトナーがホッピングする。本実施形態において、Vppは100[V]以上2000[V]以下の範囲内であるのが好ましい。Vppが100[V]より小さいと、十分なフレア用電界を表層6上に形成できず、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。一方、Vppが2000[V]より大きいと、経時使用により電極間でリークが発生する可能性が高くなる。本実施形態では、Vppを500[V]に設定している。
また、本実施形態において、内側電圧と外側電圧の中心値V0は、画像部電位(静電潜像部分の電位)と非画像部電位(地肌部分の電位)との間に設定され、現像条件によって適宜変動する。
【0058】
本実施形態において、内側電圧と外側電圧の周波数fは、0.1[kHz]以上10[kHz]以下であるのが好ましい。0.1[kHz]より小さいと、トナーのホッピングが現像速度に追いつかなくなるおそれがある。一方、10[kHz]より大きいと、トナーの移動が電界の切り替わりに追従できなくなり、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。本実施形態では、周波数fを500[Hz]に設定している。
【0059】
図13は、内側電極3a及び外側電極4aへ印加する内側電圧と外側電圧の他の例を示すグラフである。
この例では、内側電極3aについては、図12に示したものと同様の内側電圧が印加されるが、外側電極4aについては、直流電圧が印加される。この場合、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、この例におけるVppの好適な範囲は、200[V]以上4000[V]以下である。この例によれば、内側電極3aと外側電極4aとの位相差を考慮する必要がなく、電源コストが安くなる。
【0060】
図14は、内側電極3a及び外側電極4aへ印加する内側電圧と外側電圧の更に他の例を示すグラフである。
この例では、外側電極4aについては、図12に示したものと同様の内側電圧が印加されるが、内側電極3aについては、直流電圧が印加される。この場合も、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、この例におけるVppの好適な範囲は、200[V]以上4000[V]以下である。この例も、内側電極3aと外側電極4aとの位相差を考慮する必要がなく、電源コストが安くなる。
【0061】
図15は、本実施形態における内側電極3a及び外側電極4aへの給電構成を、ローラ軸に沿って切断したときの模式図である。
図16は、同給電構成を模式的に示す斜視図である。
本実施形態における内側電極3a及び外側電極4aへの給電構成において、内側電極3aは、トナー担持ローラ2のローラ軸と一体化されており、そのローラ軸端面が被給電部3bとなる。ローラ軸端面で構成される被給電部3bには、パルス電源25Aに接続された第1給電部材としての給電ブラシ7が当接している。一方、トナー担持ローラ2の外周面両端部分には表層6が設けられておらず、トナー担持ローラ2の外周面における外側電極4aの両端部分は露出しており、この露出面が被給電部4bとなる。その露出面で構成される被給電部4bには、パルス電源25Bに接続された第2給電部材としての給電コロ8が当接している。この給電コロ8は、回転自在に支持されており、トナー担持ローラ2の回転に伴い、被給電部4bに当接したまま連れ回り回転する。
【0062】
なお、本実施形態では、外側電極4aに外側電圧を印加するための第2給電部材である給電コロ8が2つ設けられているが、1つであっても3つ以上であってもよい。外側電極4aに外側電圧を印加するための第2給電部材が複数あれば、一部の第2給電部材で接触不良による給電不良が生じても、他の第2給電部材により給電を行うことができるので、安定した給電を行うことが可能となる。
【0063】
また、本実施形態のように、トナー担持ローラ2の外周面に外側電極4aの一部分を露出させ、その露出部分を被給電部4bとして、これに第2給電部材を当接させて給電する方式を採用する場合、その被給電部4bは、トナー担持ローラ2上における現像幅(感光体上において静電潜像が形成され得る領域と対向し得る領域幅)よりも軸方向外側に位置することが望まれる。なぜなら、被給電部4bが現像幅内に位置すると、トナー担持ローラ2と被給電部4bとの間で押しつぶされたトナーが現像に寄与することになり、その部分で現像不良が発生するからである。より好ましくは、被給電部4bは、トナー担持ローラ2上におけるトナー供給幅(トナー供給スリーブ19からトナーが供給される領域幅)よりも軸方向外側に位置することが望まれる。なぜなら、被給電部4bがトナー供給幅内に位置すると、トナー担持ローラ2と被給電部4bとの間に多量のトナーが介在し、給電不良が起きやすくなるからである。本実施形態では、被給電部4bがトナー担持ローラ2上におけるトナー供給幅よりも軸方向外側に位置するように構成している。更に、本実施形態では、トナー供給幅内のトナーが被給電部4bに付着しないように、ローラ両端部に位置する各被給電部4bの軸方向中央側に図示しないトナーシールが設けられている。
【0064】
なお、本実施形態では、第2給電部材として、被給電部4bに連れ回り回転する給電コロ8を用いているが、これに限らず、例えば、導電性ブラシや導電性板バネなどを用いてもよい。なお、導電性ブラシや、導電性板バネなどのように被給電部4bに対して摺動する第2給電部材を用いる場合、被給電部4bとの接点部分の摩耗を抑制するために導電性グリスなど充填するとよい。
また、本実施形態では、内側電極3aの被給電部がローラ軸端面である場合について説明したが、これに限らず、例えばローラ軸の周面やローラ本体部の端面を被給電部としてもよい。
【0065】
〔変形例1〕
次に、内側電極3a及び外側電極4aへの給電構成の変形例(以下、本変形例を「変形例1」という。)について説明する。
図17は、本変形例1における内側電極3a及び外側電極4aへの給電構成を、ローラ軸に沿って切断したときの模式図である。
図18は、同給電構成をもつトナー担持ローラを、軸方向に対して直交する方向から見たときの模式図である。
図19は、同給電構成を模式的に示す斜視図である。
【0066】
本変形例1において、内側電極3aに対する給電構成は、上記実施形態と同様に、ローラ軸端面がその被給電部3bとなるように構成されており、その被給電部3bに給電ブラシ7が当接している。一方、外側電極4aに対する給電構成は、外側電極4aをローラ軸周面上まで引き出し、その引き出した部分を被給電部4bとしている。そして、絶縁層5も同様にローラ軸周面上まで引き出すことにより、ローラ軸周面上においても内側電極3aと外側電極4aとの絶縁を確保している。ローラ軸周面上の被給電部4bには、パルス電源25Bに接続された第2給電部材としての給電ブラシ8’が当接する。
【0067】
本変形例1に例示した給電構成以外にも、例えば、トナー担持ローラ2の各ローラ軸を互いに電気的に分割し、内側電極3a及び外側電極4aをそれぞれいずれかの軸に導通させ、各ローラ軸を通じて内側電極3a及び外側電極4aそれぞれに電圧を印加する構成が考えられる。
【0068】
〔変形例2〕
次に、トナー担持ローラ2にトナーを供給する構成の変形例(以下、本変形例を「変形例2」という。)について説明する。
図20は、本変形例2における現像装置を示す模式図である。
本変形例2では、磁性キャリアを用いないでトナー担持ローラ2にトナーを供給する。具体的には、本変形例2に係る現像装置1は、図中時計回り方向に回転駆動される第1搬送スクリュー12を収容する第1収容部13と、図中反時計回りに回転駆動される第2搬送スクリュー14を収容する第2収容部15とを有しており、両収容部は仕切壁16によって仕切られている。そして、これら収容部には、それぞれ、図示しないマイナス帯電性のトナーが収容されている。第1搬送スクリュー12及び第2搬送スクリュー14の回転駆動により、トナーは第1収容部13及び第2収容部15を循環搬送される。この搬送時に、トナーは第1搬送スクリュー12及び第2搬送スクリュー14から摺擦を受けることで摩擦帯電する。このようにして摩擦帯電した第2収容部15内のトナーは、供給バイアス電源24により供給バイアスが印加されたトナー供給ローラ18’上に、静電的に吸着する。なお、この供給バイアスは、直流電圧でも交流電圧でもよいし、また、直流電圧に交流電圧を重畳させたバイアスでもよい。トナー供給ローラ18’上に吸着したトナーは、規制部材22により担持量が規制された後、供給位置へと搬送される。そして、供給位置へ搬送されたトナーは、トナー供給ローラ18’とトナー担持ローラ2との電位差の作用を受けて、トナー担持ローラ2の表面上に供給される。その後は、上記実施形態と同様なので説明を省略する。
【0069】
〔変形例3〕
次に、トナー担持ローラ2にトナーを供給する構成の他の変形例(以下、本変形例を「変形例3」という。)について説明する。
図21は、本変形例3における現像装置を示す模式図である。
本変形例3では、上記変形例2と同様に磁性キャリアを用いないでトナー担持ローラ2にトナーを供給するが、トナー供給ローラ18’を用いずにトナーを直接的にトナー担持ローラ2へ供給する。
具体的には、本変形例3では、トナー収容部15’内にスポンジローラ18’を設け、スポンジローラ18’の表面をトナー担持ローラ2の表面に当接させている。これにより、トナー収容部15’内でスポンジローラ18’の表面に付着したトナーは、トナー担持ローラ2の表面との当接部で摺擦を受けて摩擦帯電し、これにより静電的にトナー担持ローラ2上へ供給される。本変形例3では、スポンジローラ18’をトナー担持ローラ2に対してカウンター方向に回転駆動しているが、トレーリング方向でもよい。本変形例3の場合、スポンジローラ18’に接続された供給バイアス電源24’により印加される供給バイアスによって、トナー担持ローラ2へ供給するトナーの量を制御することができる。この供給バイアスは、直流電圧でも交流電圧でもよいし、また直流電圧に交流電圧を重畳させたバイアスでもよい。
【0070】
〔変形例4〕
次に、現像に寄与しなかったトナーをトナー担持ローラ2から回収する回収手段としての回収機構30を設けた現像装置の変形例(以下、本変形例を「変形例4」という。)について説明する。
図22は、本変形例4における現像装置を感光体49とともに図示した概略構成図である。
本変形例4における現像装置の基本構成は、上記実施形態と同様であるが、回収機構30が設けられている点と、トナー担持ローラ2及びトナー供給ローラ18の下方に位置するケーシング11の内壁が第2搬送スクリュー14を収容する第2収容部15に向けて下傾斜している点とが、主に相違する構成である。以下、この相違する構成についてのみ説明する。
【0071】
本変形例4において、回収機構30は、トナー担持ローラ2の外周面に対向するように配置される回収板31と、回収板31に接触するように配置された振動子32と、回収板31に所定の電圧を印加するための回収電源33とから構成されている。トナー担持ローラ2と回収板31との間には、マイナス極性に帯電したトナーをトナー担持ローラ2から回収板31に向けて静電的に移動させる向きの電界が形成される。これにより、現像領域で現像に寄与しなかったトナーは、回収板31とトナー担持ローラ2とが対向しあう回収領域において、トナー担持ローラ2上から回収板31側へ移動する。回収板31に付着したトナーは、振動子32によって回収板31を振動させることにより、回収板31上から振るい落とされる。振るい落とされたトナーは、トナー供給ローラ18上に落下し、トナー供給ローラ18の回転により第2収容部15内に戻され、再び第1収容部13及び第2収容部15を循環搬送される。
【0072】
また、本変形例4においては、トナー担持ローラ2及びトナー供給ローラ18の下方に位置するケーシング11の内壁が第2搬送スクリュー14を収容する第2収容部15に向けて下傾斜している。これにより、規制ブレード23によって規制されたトナーは、ケーシング11の内壁面上を移動して第2収容部15内に戻され、再び第1収容部13及び第2収容部15を循環搬送される。
【0073】
図23は、回収機構30の他の例を示すための概略構成図である。
図23に示すように、回収機構30として、回収ローラ34を利用した構成も採用できる。具体的には、この回収機構30は、トナー担持ローラ2の外周面に対向するように配置される回収ローラ34と、回収ローラ34に接触するように配置されたクリーニングブレード35と、回収ローラ34に所定の電圧を印加するための回収電源33とから構成されている。トナー担持ローラ2と回収ローラ34との間には、マイナス極性に帯電したトナーをトナー担持ローラ2から回収ローラ34に向けて静電的に移動させる向きの電界が形成される。これにより、現像領域で現像に寄与しなかったトナーは、回収ローラ34とトナー担持ローラ2とが対向しあう回収領域において、トナー担持ローラ2上から回収ローラ34側へ移動する。回収ローラ34に付着したトナーは、クリーニングブレード35によって掻き落とされる。掻き落とされたトナーは、トナー供給ローラ18上に落下し、トナー供給ローラ18の回転により第2収容部15内に戻され、再び第1収容部13及び第2収容部15を循環搬送される。
【0074】
図24は、回収機構30の更に他の例を示すための概略構成図である。
図24に示すように、回収機構30として、ブラシローラ36を利用した構成も採用できる。具体的には、この回収機構30は、トナー担持ローラ2の外周面に接触して対向するように配置されるブラシローラ36と、ブラシローラ36に接触するように配置されたフリッカー37と、ブラシローラ36に所定の電圧を印加するための回収電源33とから構成されている。トナー担持ローラ2とブラシローラ36との間には、マイナス極性に帯電したトナーをトナー担持ローラ2からブラシローラ36に向けて静電的に移動させる向きの電界が形成される。これにより、現像領域で現像に寄与しなかったトナーは、ブラシローラ36とトナー担持ローラ2とが対向しあう回収領域において、トナー担持ローラ2上からブラシローラ36側へ移動する。ブラシローラ36に付着したトナーは、フリッカー37によって払い落とされる。払い落とされたトナーは、トナー供給ローラ18上に落下し、トナー供給ローラ18の回転により第2収容部15内に戻され、再び第1収容部13及び第2収容部15を循環搬送される。
【0075】
図25は、回収機構30の更に他の例を示すための概略構成図である。
図25に示すように、回収機構30として、吸引ポンプ40を利用した構成も採用できる。具体的には、この回収機構30は、トナー担持ローラ2の外周面に対向するように配置される吸引ノズル38と、入口端が吸引ノズル38に接続され、出口端39aが第1搬送スクリュー12を収容する第1収容部13の上部に連通したダクト39と、吸引ノズル38からのトナーをダクト39の出口端39aまで吸引搬送するための吸引ポンプ40とから構成されている。また、吸引ノズル38に対してトナー担持ローラ2の表面移動方向下流側には、シール38aが設けられている。このシール38aは、トナー担持ローラ2の表面と接触している。現像領域で現像に寄与しなかったトナーは、トナー担持ローラ2と吸引ノズル38とが対向しあう回収領域において、吸引ポンプ40により生じる空気の流れに乗って吸引ノズル38内に吸引され、ダクト39を通って出口端39aから第1収容部13内へ戻され、再び第1収容部13及び第2収容部15を循環搬送される。なお、空気の流れに乗らずに回収領域を通過したトナーは、シール38aによって堰き止められるので、そのまま下流に搬送されていくことはない。
【0076】
〔変形例5〕
次に、内側電極3aの一変形例(以下、本変形例を「変形例5」という。)について説明する。
一般に、複数種類の電極部材(内側電極3a及び外側電極4a)をトナー担持ローラ2の外周面法線方向で互いに異なる位置に配置し、各電極部材間に絶縁層を介在させた上述したような構成においては、従来の現像装置のようにローラ同心円上に複数種類の電極を備えた構成よりも、電極部材間の静電容量が大きくなってしまう。これは、主として、電極部材間の対向面積の違いによるものである。これらの電極部材に対して供給される交流電流は静電容量に比例して増大するため、これらの電極部材間の静電容量が大きいと、これらの電極部材に対して給電するための電源として、出力電流が大きな電源が必要になる。交流電源は、通常、出力電流が大きいほどコストが大きくなる。したがって、電極部材間の静電容量、すなわち、内側電極3aと外側電極4aとの間の静電容量を、なるべく小さくすることが望まれる。
【0077】
ここで、内側電極3aと外側電極4aとの間の静電容量を小さくするための方法としては、内側電極3aと外側電極4aとの間の対向面積を小さくする方法と、内側電極3aと外側電極4aとの間の距離を大きくする方法とが考えられる。このうち、後者の方法をとる場合、内側電極3aと外側電極4aとの間に介在する絶縁層5の層厚を大きくするというような簡易な構造を採用できるので製造コストが増大することはないが、この構造では、表層6の外側に強いフレア用電界(外部電界)を形成することが困難となるので、結局、電源コストの増大を招く。本変形例5では、内側電極3aと外側電極4aとの間の静電容量を簡易な構造で小さくしつつ、表層6の外側に強いフレア用電界を形成することが容易な構成を提案する。
【0078】
図26は、本変形例5におけるトナー担持ローラ2を、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
本変形例5のトナー担持ローラ2の基本構造は、図4に示した上記実施形態のものと同様に4層構造であるが、本変形例5では内周側電極部材としての内側電極3aの構成が異なっている。具体的には、トナー担持ローラ表面移動方向における内側電極3aの少なくとも一部分について、図26に示すように、外周側電極部材としての外側電極4aの電極間領域(非電極領域)に対向する内側電極3aの電極面(外周側の面)が、外側電極4a(電極領域)に対向する内側電極3aの電極面よりも、トナー担持ローラ外周面側に位置するように構成されている。これにより、外側電極4a(電極領域)とこれに対向する内側電極3aの電極領域との距離については、上記実施形態における距離B’よりも、本変形例5における距離Bの方を長くすることができる。その結果、本変形例5によれば、内側電極3aと外側電極4aとの間の静電容量を上記実施形態のものよりも小さくすることができる。
【0079】
一方で、外側電極4aの電極間領域(非電極領域)に対向する内側電極3aの電極領域は、上記実施形態と同じままとなっている。すなわち、外側電極4aの電極間領域とこれに対向する内側電極3aの電極領域との間の絶縁層の厚さAは同じである。表層6の外側に形成されるフレア用電界は、主に、外側電極4aの電極間領域に対向する内側電極3aの電極領域と、外側電極4aとによって形成される。本変形例5では、外側電極4aの電極間部分に対向する内側電極3aの電極部分と外側電極4aとの位置関係は上記実施形態のものと同じままになっているので、上記実施形態のものと同じ電源で、上記実施形態のものと同程度の強いフレア用電界を形成することができる。
【0080】
図26に示すような内側電極3aを形成する方法としては、例えば、上記実施形態の内側電極のように、外周面側が平滑な内側電極の外周面側に対し、外側電極4aの電極間部分と対向することになる部分を、フォトレジスト・エッチング等の公知の方法により削り取る処理を行う方法が考えられる。本変形例では、内側電極3aの凹凸ピッチを160[μm]とし、削り幅を80[μm]とし、削り深さを80[μm]としている。
【0081】
なお、本変形例5では、トナー担持ローラ2の軸方向に延びる各外側電極4aに沿うように内側電極3aを削り取って、各外側電極4aの全長にわたって外側電極4aの電極間部分とこれに対向する内側電極3aの電極部分との距離を離しているが、これに限られない。すなわち、外側電極4aの電極間部分と対向する内側電極3aの少なくとも一部分を削り取れば内側電極3aと外側電極4aとの間の静電容量を上記実施形態のものよりも小さくすることができる。
【0082】
ここで、本変形例5の構成において、外側電極4aとこれに対向する内側電極3aの電極部分との距離Bを変化させたときの静電容量を計測する実験を行った結果について説明する。
本実験では、 図4に示した上記実施形態のトナー担持ローラ、すなわち、内側電極3aを削り取っていない例(絶縁層5の層厚=10[μm])に対し、上記距離Bが15[μm]となるように削り取った構成例1と、上記距離Bが20[μm]となるように削り取った構成例2とについて、静電容量がどの程度小さくなるかを計測した。その結果、構成例1の静電容量は、比較例の静電容量に対して80%となり、構成例2の静電容量は、比較例の静電容量に対して70%となった。
【0083】
〔変形例6〕
次に、内側電極3aの他の変形例(以下、本変形例を「変形例6」という。)について説明する。
上記変形例5で述べたように、内側電極3aと外側電極4aとの間の静電容量を小さくするための方法としては、内側電極3aと外側電極4aとの間の対向面積を小さくする方法と、内側電極3aと外側電極4aとの間の距離を大きくする方法とが考えられる。本変形例6は、このうちの前者の方法を採用したものである。
【0084】
図27は、本変形例6におけるトナー担持ローラ2を展開した状態を模式的に表した説明図である。
図28は、本変形例6におけるトナー担持ローラ2を、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
本変形例6のトナー担持ローラ2は、中空状の導電性基材である金属スリーブ201Aを軸芯部材とし、その上層に絶縁体層201B、その表面に内側電極211Bを形成し、さらに絶縁体層201Cを介して外側電極211Aを形成して、最表面に絶縁性の表面コート層201Dを設けたものである。
【0085】
金属スリーブ201Aは、アルミニウム、鉄材等の導電性材料を円筒状に成型した金属ローラである。絶縁体層201Bおよび絶縁体層201Cは、ポリカーボネートやアルキッドメラミン等で形成されている。その製造はスプレー法やディップ法等によって金属スリーブ201A上に均一な膜厚で形成することができる。
【0086】
また、本変形例6において、内側電極211Bおよび外側電極211Aは、アルミニウム、銅などの金属によって、いずれも櫛歯状に形成されており、外側電極211Aの電極間領域に内側電極211Bの電極領域が対向するように配置されている。内側電極211Bおよび外側電極211Aの製造方法は、種々の方法が考えられる。例えば、各絶縁体層201B,201Cの上にメッキや蒸着によって金属膜を形成し、フォトレジスト・エッチングによって櫛歯状の電極を形成するという方法が挙げられる。また、インクジェット方式やスクリーン印刷によって導電ペーストを各絶縁体層201B,201Cの上に付着させて櫛歯状の電極を形成するという方法も考えられる。
【0087】
外側電極211Aの外周面側を覆っている最表面の表面コート層201Dの材料としては、シリコーン、ナイロン(登録商標)、ウレタン、アルキッドメラミン、ポリカーボネート等が使用される。表面コート層201Dは、前記と同様にスプレー法やディッピング法等によって形成することができる。
【0088】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
感光体49Y,49M,49C,49K等の潜像担持体の表面と対向する現像領域で鉛直方向下側から上側に向けて外周面が移動するように回転するトナー担持ローラ2等のトナー担持体と、上記トナー担持体の鉛直方向下方に配置され、該トナー担持体の外周面に担持されたトナーの層厚を均一化する規制ブレード23等の層厚均一化部材とを有し、上記層厚均一化部材により層厚が均一化されたトナー担持体上のトナーを上記現像領域へ搬送して上記潜像担持体上の潜像に付着させることにより該潜像を現像する現像装置において、互いに異なる電圧が印加される内側電極3a及び外側電極4a等の少なくとも2種類の電極部材を上記トナー担持体に設け、該少なくとも2種類の電極部材に対して互いに異なる電圧を印加することによりトナーをホッピングさせるためのフレア用電界を該トナー担持体の外周面上に形成し、該トナー担持体を回転させることによりホッピングした状態のトナーを現像領域内へ搬送することを特徴とする。
これによれば、いわゆるフレア現像方式を採用しているため、トナー担持体の外周面上の全トナーにフレア用電界(ホッピング電界)を作用させてトナー担持体上に拘束することができる。そのため、フレア現像方式を採用していない従来の現像装置におけるトナー担持体の表面に接触していない2層目以降のトナーのように、実質的にトナー同士の付着力という弱い拘束力だけでトナー担持体上に拘束されるようなトナーがトナー担持体上には存在しない。したがって、層厚均一化部材がトナー担持体の下方に位置するレイアウトを採用していても、層厚均一化部材との対向箇所へ導かれる前にトナー担持体からトナーが離脱してしまう事態の発生が抑制される。その結果、層厚均一化部材との対向箇所へ導かれる前におけるトナーの離脱に起因して、現像領域に供給されるトナー量が不足して画像濃度が低下したり、現像領域に供給されるトナー量が不均一となって画像濃度ムラが発生したりするのを抑制できる。
また、本態様Aでは、層厚均一化部材がトナー担持体の下方に位置するレイアウトを採用している結果、層厚均一化部材との対向箇所で通過を規制されたトナー担持体上のトナーは、現像装置内の底壁上にトナーが堆積していく場合がある。この場合、堆積したトナーが層厚均一化部材に圧力を加え、層厚均一化部材とトナー担持体との対向箇所を通過するトナー量がトナー担持体回転軸方向に不均一となるおそれがあり、これにより画像濃度ムラが生じることがある。しかしながら、本態様Aにおいては、フレア現像方式を採用しているので、層厚均一化部材との対向箇所を通過した後におけるトナー担持体上のトナー量が多少不均一となっていても、トナー担持体上でトナーがホッピングすることによりトナー担持体上のトナー層の均一化が図られる。よって、現像装置内の底壁上にトナーが堆積して、層厚均一化部材との対向箇所を通過した後におけるトナー担持体上のトナー量が多少不均一となっていても、これに起因した画像濃度ムラの発生を抑制できる。
【0089】
(態様B)
上記態様Aにおいて、上記トナー担持体における上記少なくとも2種類の電極部材は、該トナー担持体の外周面法線方向で互いに異なる位置に配置された内側電極3a等の内周側電極部材と該トナー担持体の外周面に沿って複数の電極に分割された外側電極4a等の外周側電極部材とを含んでおり、上記内周側電極部材と上記外周側電極部材との間には絶縁層5が介在し、かつ、上記外周側電極部材の外周側には表層6等の表面層が形成されていることを特徴とする。
これによれば、内周側電極部材と外周側電極部材との間に絶縁層5が介在しているので、これらの電極部材間をつなぐような界面が存在したり、これらの電極部材間にトナーが介在したりするようなことがなく、トナー担持体上に設けられる電極部材間で界面やトナーを通じた電流リークが生じることがない。
【0090】
(態様C)
上記態様Bにおいて、上記トナー担持体の周方向における上記外周側電極部材の電極間距離Sは、上記絶縁層5の厚さTよりも長いことを特徴とする。
これによれば、内周側電極部材からの電気力線の多くが外周側電極部材に収束せずに表面層の外側までに出ることができ、表面層の外側にフレア用電界を効率よく形成するのに好適である。
【0091】
(態様D)
上記態様B又はCにおいて、上記トナー担持体の周方向における上記外周側電極部材の電極間距離Sは、上記表面層の厚さDよりも長いことを特徴とする。
これによれば、内周側電極部材からの電気力線の多くが外周側電極部材に収束せずに表面層の外側までに出ることができ、表面層の外側にフレア用電界を効率よく形成するのに好適である。
【0092】
(態様E)
上記態様B乃至Dのいずれかの態様において、上記トナー担持体の周方向における上記外周側電極部材の電極間距離Sは、上記絶縁層の厚さTと上記表面層の厚みDとの合計値よりも長いことを特徴とする。
これによれば、内周側電極部材からの電気力線の多くが外周側電極部材に収束せずに表面層の外側までに出ることができ、表面層の外側にフレア用電界を効率よく形成するのに好適である。
【0093】
(態様F)
上記態様B乃至Eのいずれかの態様において、上記外周側電極部材における電極間領域等の非電極領域の面積Sは、該外周側電極部材における電極領域の面積S以上であることを特徴とする。
これによれば、内周側電極部材からの電気力線の多くが外周側電極部材に収束せずに表面層の外側までに出ることができ、表面層の外側にフレア用電界を効率よく形成するのに好適である。
【0094】
(態様G)
上記態様Fにおいて、上記トナー担持体の周方向における上記外周側電極部材の電極間距離Sは、該トナー担持体の周方向における該外周側電極部材の電極領域長さL以上であることを特徴とする。
これによれば、内周側電極部材からの電気力線の多くが外周側電極部材に収束せずに表面層の外側までに出ることができ、表面層の外側にフレア用電界を効率よく形成するのに好適である。
【0095】
(態様H)
上記態様B乃至Gのいずれかの態様において、上記トナー担持体の周方向における上記外周側電極部材の電極領域長さをL[μm]とし、該トナー担持体の周方向における該外周側電極部材の電極間距離をS[μm]としたとき、上記式(2)の関係が成り立つことを特徴とする。
これによれば、内周側電極部材からの電気力線の多くが外周側電極部材に収束せずに表面層の外側までに出ることができ、表面層の外側にフレア用電界を効率よく形成するのに好適である。
【0096】
(態様I)
上記態様B乃至Hのいずれかの態様において、上記内周側電極部材は、上記トナー担持体の周方向には分割されていない一体化された電極部材であることを特徴とする。
これによれば、内周側電極部材を簡易な方法で形成することが可能となる。また、内周側電極部材をトナー担持体の軸芯部材(基体)として用いることもできるようになる。
【0097】
(態様J)
上記態様Iにおいて、上記内周側電極部材は、上記外周側電極部材の電極間領域に対向する電極面が該外周側電極部材の電極に対向する電極面よりも外周側に位置するように形成されていることを特徴とする。
これによれば、内周側電極部材の電極面がトナー担持体の径方向で同じ位置にある構成と比較して、同程度の強いフレア用電界を維持したまま、内周側電極部材と外周側電極部材との間の静電容量を小さくできる。その結果、これらの内周側電極部材と外周側電極部材に給電する電源コストを抑制できる。
【0098】
(態様K)
上記態様I又はJにおいて、上記内周側電極部材は、上記トナー担持体の軸芯部材であることを特徴とする。
これによれば、トナー担持体の構造を簡素化でき、製造コストを下げることが可能となる。
【0099】
(態様L)
上記態様B乃至Hのいずれかの態様において、上記内周側電極部材は、複数の電極に分割されていて、各電極が上記外周側電極部材の各電極間領域に対向する位置に配置されていることを特徴とする。
これによれば、内周側電極部材が外周側電極部材の電極領域にも対向している構成と比較して、同程度の強いフレア用電界を維持したまま、内周側電極部材と外周側電極部材との間の静電容量を小さくできる。その結果、これらの内周側電極部材と外周側電極部材に給電する電源コストを抑制できる。
【0100】
(態様M)
上記態様A乃至Lのいずれかの態様において、上記トナー担持体の外周面は、トナーとの摺擦によって生じる摩擦帯電によって該トナーに対して正規のトナー帯電極性の電荷を与える材料で形成されていることを特徴とする。
これによれば、トナー担持体の外周面とトナーとの摩擦によってトナーを帯電させることができるようになるので、フレア用電界(ホッピング電界)によってトナー担持体上にトナーをより安定して拘束することができる。その結果、層厚均一化部材との対向箇所へ導かれる前におけるトナーの離脱を更に抑制できる。また、現像領域へ供給されるトナーのうち、帯電極性が正規帯電極性とは逆極性に帯電した逆帯電トナーの量が減るので、逆帯電トナーによる地肌よごれも減らすことができる。
【0101】
(態様N)
態様A乃至Mのいずれかの態様において、外周面にトナーを付着させて回転することにより該外周面上のトナーを上記トナー担持体の外周面に供給するトナー供給部材を有し、上記トナー担持体と上記トナー供給部材とが対向する対向箇所で、該トナー担持体の外周面と該トナー供給部材の外周面とが互いに逆向きに移動するように構成されていることを特徴とする。
これによれば、トナー担持体とトナー供給部材との対向箇所におけるトナーの摩擦が大きくなるので、トナー担持体上のトナーをより帯電させやすくなる。その結果、層厚均一化部材との対向箇所へ導かれる前におけるトナーの離脱を更に抑制できる。また、現像されずに現像領域を通過したトナーをトナー担持体上から回収しやすくなるので、同じトナーがトナー担持体上でストレスを受け続けることがなくなり、耐久性が向上する。
【0102】
(態様O)
潜像担持体の潜像にトナーを付着させることにより該潜像を現像し、これによる得られたトナー像を最終的に記録材に転移させて画像形成を行う画像形成装置において、上記潜像担持体上の潜像を現像する手段として、態様A乃至Nのいずれかの態様に係る現像装置を用いたことを特徴とする。
これによれば、現像領域に供給されるトナー量が不足して画像濃度が低下したり、現像領域に供給されるトナー量が不均一となって画像濃度ムラが発生したりするのを抑制できる。
【0103】
(態様P)
潜像担持体と、該潜像担持体上に形成される潜像をトナーで現像する現像装置とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成したプロセスユニットにおいて、上記現像装置として、態様A乃至Nのいずれかの態様に係る現像装置を用いたことを特徴とする。
これによれば、現像領域に供給されるトナー量が不足して画像濃度が低下したり、現像領域に供給されるトナー量が不均一となって画像濃度ムラが発生したりするのを抑制できる。
【符号の説明】
【0104】
1 現像装置
2 トナー担持ローラ
3a 内側電極
4a 外側電極
5 絶縁層
6 表層
11 ケーシング
13 第1収容部
15 第2収容部
16 仕切壁
18 トナー供給ローラ
23 規制ブレード
25A,25B パルス電源
41 帯電装置
42 露光装置
43 一次転写ローラ
44 クリーニング装置
45 二次転写ローラ
46 定着装置
47 ベルトクリーニング装置
48 中間転写ベルト
49 感光体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】
【特許文献1】特開2001−356516号公報
【特許文献2】特開2007−310355号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体の表面と対向する現像領域で鉛直方向下側から上側に向けて外周面が移動するように回転するトナー担持体と、
上記トナー担持体の鉛直方向下方に配置され、該トナー担持体の外周面に担持されたトナーの層厚を均一化する層厚均一化部材とを有し、
上記層厚均一化部材により層厚が均一化されたトナー担持体上のトナーを上記現像領域へ搬送して上記潜像担持体上の潜像に付着させることにより該潜像を現像する現像装置において、
互いに異なる電圧が印加される少なくとも2種類の電極部材を上記トナー担持体に設け、該少なくとも2種類の電極部材に対して互いに異なる電圧を印加することによりトナーをホッピングさせるための電界を該トナー担持体の外周面上に形成し、該トナー担持体を回転させることによりホッピングした状態のトナーを現像領域内へ搬送することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記トナー担持体における上記少なくとも2種類の電極部材は、該トナー担持体の外周面法線方向で互いに異なる位置に配置された内周側電極部材と該トナー担持体の外周面に沿って複数の電極に分割された外周側電極部材とを含んでおり、
上記内周側電極部材と上記外周側電極部材との間には絶縁層が介在し、かつ、上記外周側電極部材の外周側には表面層が形成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2の現像装置において、
上記トナー担持体の周方向における上記外周側電極部材の電極間距離は、上記絶縁層の厚さよりも長いことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2又は3の現像装置において、
上記トナー担持体の周方向における上記外周側電極部材の電極間距離は、上記表面層の厚さよりも長いことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記トナー担持体の周方向における上記外周側電極部材の電極間距離は、上記絶縁層の厚さと上記表面層の厚みとの合計値よりも長いことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記外周側電極部材における非電極領域の面積は、該外周側電極部材における電極領域の面積以上であることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項6の現像装置において、
上記トナー担持体の周方向における上記外周側電極部材の電極間距離は、該トナー担持体の周方向における該外周側電極部材の電極領域長さ以上であることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項2乃至7のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記トナー担持体の周方向における上記外周側電極部材の電極領域長さをS[μm]とし、該トナー担持体の周方向における該外周側電極部材の電極間距離をL[μm]としたとき、下記の式(1)の関係が成り立つことを特徴とする現像装置。
0.15×S+45 ≦ L ≦ 0.72×S+123 ・・・(1)
【請求項9】
請求項2乃至8のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記内周側電極部材は、上記トナー担持体の周方向には分割されていない一体化された電極部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項9の現像装置において、
上記内周側電極部材は、上記外周側電極部材の電極間領域に対向する電極面が該外周側電極部材の電極に対向する電極面よりも外周側に位置するように形成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
請求項9又は10の現像装置において、
上記内周側電極部材は、上記トナー担持体の軸芯部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項12】
請求項2乃至8のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記内周側電極部材は、複数の電極に分割されていて、各電極が上記外周側電極部材の各電極間領域に対向する位置に配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記トナー担持体の外周面は、トナーとの摺擦によって生じる摩擦帯電によって該トナーに対して正規のトナー帯電極性の電荷を与える材料で形成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の現像装置において、
外周面にトナーを付着させて回転することにより該外周面上のトナーを上記トナー担持体の外周面に供給するトナー供給部材を有し、
上記トナー担持体と上記トナー供給部材とが対向する対向箇所で、該トナー担持体の外周面と該トナー供給部材の外周面とが互いに逆向きに移動するように構成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項15】
潜像担持体の潜像にトナーを付着させることにより該潜像を現像し、これによる得られたトナー像を最終的に記録材に転移させて画像形成を行う画像形成装置において、
上記潜像担持体上の潜像を現像する手段として、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
潜像担持体と、該潜像担持体上に形成される潜像をトナーで現像する現像装置とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成したプロセスユニットにおいて、
上記現像装置として、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とするプロセスユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−88560(P2013−88560A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227808(P2011−227808)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】