説明

現像装置並びにこれを備えた画像形成装置及びプロセスユニット

【課題】フレア現像方式を採用する現像装置で発生する弱帯電トナーによるトナー飛散を抑制することを課題とする。
【解決手段】トナー担持ローラ16に設けられる第一電極53と第二電極54に対して互いに異なる電圧を印加することによりトナーをホッピングさせるための電界をトナー担持ローラの外周面上に形成する現像装置5において、現像装置内部でトナー担持ローラの外周面に対して空隙(供給ギャップ)を介して対向配置されるトナー供給ローラ61を有し、トナー供給ローラの表面に保持されたトナーのうち正常帯電トナーは供給ギャップを介してトナー担持ローラ外周面へ移動させるが、弱帯電トナーは供給ギャップを介してトナー担持ローラ外周面へ移動させない供給電界をトナー供給領域に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー担持体上のトナーを現像領域へ搬送して潜像担持体上の潜像に付着させることにより潜像を現像する現像装置、並びに、この現像装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置及びプロセスユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の現像装置としては、トナー担持体表面や磁性キャリアに吸着させたトナーを現像に用いるのではなく、トナー担持体の外周面上でホッピングさせたトナーを現像に用いるフレア現像方式を採用したものが知られている。フレア現像方式を採用した現像装置としては、例えば、周方向に所定のピッチで配設された複数の電極を具備する筒状のトナー担持体を有するものがある。これらの電極は、互いに隣り合う2つの電極からなる電極対が繰り返し配設されたものである。それぞれの電極対における2つの電極の間には交番電界(ホッピング電界)が形成される。これにより、電極対における一方の電極の上に位置していたトナーが浮上して他方の電極の上に着地したり、他方の電極の上から浮上して一方の電極の上に着地したりするといったホッピングの挙動を示す。
【0003】
また、フレア現像方式を採用した現像装置としては、例えば、トナー担持体の内周面側に一方の電極を形成し、その上に絶縁層を介して櫛歯状の他方の電極を形成したトナー担持体を有するものも知られている(特許文献1、特許文献2等)。このような電極構成のトナー担持体でも、その外周面上でトナーをホッピングさせることができる。
【0004】
このようなホッピングを繰り返しながら、トナー担持体上のトナーはトナー担持体の回転駆動に伴う表面移動よって現像領域まで搬送される。現像領域では、潜像担持体上の潜像の近傍まで浮上したトナーが、トナー担持体の電極に向けて下降することなく、潜像による電界に引かれて潜像に付着する。かかる構成では、トナー担持体表面や磁性キャリアなどに吸着しているトナーではなく、ホッピングによって吸着力を発揮していないトナーを現像に用いる。これにより、従来の一成分現像方式や二成分現像方式では実現が望めなかったほどの低電位現像を実現することができる。例えば、周囲の非画像部との電位差が僅か数十[V]である静電潜像にトナーを選択的に付着させることも可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トナー担持体上で安定してトナーをホッピングさせるためには、正規帯電極性に十分帯電したトナーをトナー担持体に担持させることが重要である。しかしながら、従来のフレア現像方式の現像装置では、通常、トナー担持体上に担持されるトナーの中に、安定してホッピングするのに必要な帯電量まで帯電されていないトナー(以下「弱帯電トナー」という。)が含まれる。このような弱帯電トナーは、以下の理由により、トナー担持体上から遊離しやすい。
【0006】
図9(a)及び(b)は、弱帯電トナーがトナー担持体上から遊離しやすいメカニズムを説明する説明図である。
トナー担持体上の正常帯電トナーは、ホッピング電界の作用を受けて、図9(a)に示すように、トナー担持体の外周面上でホッピングを繰り返す。一方、トナー担持体上の弱帯電トナーは、ホッピング電界の作用を受けにくいので、トナー担持体の外周面に付着したまま留まっている場合が多い。トナー担持体上でホッピングする正常帯電トナーは、そのホッピングの着地時に、トナー担持体の外周面に留まっている弱帯電トナーに衝突することがある。この衝突により、弱帯電トナーはトナー担持体の外周面上からはじき出される。はじき出された弱帯電トナーは、トナー担持体の外周面外側に形成されたホッピング電界による拘束力を受けにくいため、トナー担持体外周面近傍から遊離しやすい。
【0007】
このように、弱帯電トナーはトナー担持体上から遊離しやすいので、現像装置のケースより露出する領域で遊離した弱帯電トナーや、現像装置内で遊離して現像装置外へ流出した弱帯電トナーは、現像装置外部へ飛散して画像形成装置内部を汚染するなどの不具合を発生させる。
【0008】
上記特許文献1に記載の現像装置では、規制部材よりもトナー担持体回転方向下流側であって現像領域よりもトナー担持体回転方向上流側に、トナー担持体上から遊離した弱帯電トナーを回収する弱帯電トナー回収手段を設けている。この現像装置において、トナー担持体上のトナーは、現像ケースから出て現像領域へ搬送される前に、トナー担持体の外周面と規制部材とが当接した規制領域で摩擦帯電し、トナーの帯電量が上昇する。そして、この規制領域を通過した後も帯電量が不十分な弱帯電トナーを弱帯電トナー回収手段によって回収するので、弱帯電トナーによるトナー飛散を抑制できる。
【0009】
しかしながら、弱帯電トナー回収手段が設けられる箇所、すなわち、規制部材よりもトナー担持体回転方向下流側であって現像領域よりもトナー担持体回転方向上流側の箇所では、トナー担持体の回転によって生じるトナー担持体回転方向への気流と、潜像担持体の回転によって生じる潜像担持体回転方向への気流とがぶつかり合う。そのため、この箇所では、乱気流が発生するなどして気流が不安定な状態にある。このような不安定な気流に流されて浮遊する弱帯電トナーをすべて回収することは困難であるので、上記特許文献1に記載の現像装置では、弱帯電トナーによるトナー飛散の抑制効果が十分でないという問題があった。
【0010】
また、上記特許文献2に記載の現像装置では、トナー担持体の外周面と接触するように配置されたトナー供給部材を備え、このトナー供給部材の表面に保持されたトナーをトナー担持体の外周面へ供給する。この構成においては、トナー担持体の外周面とトナー供給部材の表面とが接触する供給領域において、これらの間にトナーが挟持された状態で摺擦を受ける。この摺擦によりトナーの摩擦帯電が行われ、トナー担持体上に供給されたトナーの帯電量が向上する。また、この現像装置では、トナー供給部材に電圧を印加することで、トナー供給部材の表面とトナー担持体の外周面との間に正規帯電極性に帯電したトナーをトナー担持体外周面側へ移動させるように作用する供給電界が形成される。よって、供給領域では、トナー供給部材上の正規帯電極性に帯電したトナーは、トナー担持体の外周面とトナー供給部材の表面との間の電位差による供給電界の作用により、トナー担持体上へ供給される。
【0011】
上記特許文献2に記載の現像装置は、供給領域においてトナーを摩擦帯電させるために、トナー担持体の外周面とトナー供給部材の表面とが接触する構成を採用している。したがって、供給領域では、供給電界の作用だけでなく、トナー担持体の外周面とトナー供給部材の表面との間に挟み込まれる際の機械的な付着力も作用して、トナー供給部材上のトナーがトナー担持体上へ供給される。そのため、供給領域では、供給電界の作用を受けにくい弱帯電トナーも、摺擦による機械的な付着力の作用で、トナー担持体上に移動してしまう。
【0012】
上記特許文献2に記載の現像装置では、トナー供給部材の表面とトナー担持体の外周面との電位差が放電開始電圧以上となるような電圧をトナー供給部材に印加することで、供給領域に対してトナー担持体回転方向下流側に隣接する微小空隙において放電を生じさせる。この放電により、トナー担持体に供給された弱帯電トナーに電荷が付与される結果、トナー担持体上の弱帯電トナーの量を減らすことが可能である。しかしながら、この放電による電荷付与では、トナー担持体上に供給されてしまったすべての弱帯電トナーの帯電量を正常な帯電量まで上昇させることは難しい。よって、上記特許文献2に記載の現像装置でも、弱帯電トナーによるトナー飛散の抑制効果は十分でないという問題が存在する。
【0013】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、フレア現像方式を採用する現像装置で発生する弱帯電トナーによるトナー飛散の抑制効果が高い現像装置並びにこれを備えた画像形成装置及びプロセスユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、互いに異なる電圧が印加される少なくとも2種類の電極部材を備えたトナー担持体を有し、該少なくとも2種類の電極部材に対して互いに異なる電圧を印加することによりトナーをホッピングさせるためのホッピング電界を該トナー担持体の外周面上に形成し、ホッピングした状態のトナーを潜像担持体の表面と対向する現像領域へ送り込んで該潜像担持体上の潜像に付着させることにより該潜像を現像する現像装置において、現像装置内部で、上記トナー担持体の外周面又は該トナー担持体に供給されるトナーを表面に保持するトナー保持部材の表面に対して空隙を介して対向配置され、該トナー担持体の外周面又は該トナー保持部材の表面に供給するトナーを表面に保持するトナー供給部材と、上記トナー供給部材の表面に保持されたトナーのうち正規帯電極性に帯電したトナーが上記空隙を介して上記トナー担持体の外周面又は上記トナー保持部材の表面へ移動するように、該トナー供給部材と該トナー担持体とが対向する供給領域に供給電界を形成する供給電界形成手段とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明では、供給領域において、トナー供給部材とトナー担持体又はトナー保持部材(以下、「トナー担持体等」という。)との間に空隙が形成されるので、トナー供給部材の表面に保持されたトナーがトナー担持体等に押し付けられることがない。よって、トナー供給部材上のトナーが機械的な付着力によりトナー担持体外周面に供給されることがない。これにより、トナー供給部材からトナー担持体へのトナーの移動(飛翔)に影響する要因としては、供給電界形成手段により形成される供給電界の作用が支配的となる。
【0016】
弱帯電トナーと正常帯電トナーは、いずれも正規帯電極性に帯電しているので、供給電界の作用によりトナー供給部材からトナー担持体へ移動する力を受ける。しかしながら、弱帯電トナーは、正常帯電トナーと比較して帯電量が少ないため、供給電界の影響を受けにくく、トナー供給部材からトナー担持体への移動する力が正常帯電トナーと比較して弱い。その結果、トナー供給部材上の弱帯電トナーについては、トナー供給部材の表面に留まらせたまま、又は、供給領域内に居る間にトナー担持体の外周面までは到達できない程度の電界強度をもつように、供給電界を適切に設定することで、正常帯電トナー(ホッピング電界の作用を受けてホッピングするのに十分な帯電量を有するトナー)だけを選択的にトナー担持体へ移動させることが可能である。よって、トナー担持体の外周面に担持されて現像領域へ搬送されるトナーの中に含まれる弱帯電トナーの量が減少し、現像領域よりもトナー担持体回転方向上流側の箇所で発生する気流が不安定であっても、その不安定な気流に乗る弱帯電トナー自体が少ないので、トナー飛散が抑制される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フレア現像方式を採用する現像装置で発生する弱帯電トナーによるトナー飛散の抑制効果が高いという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】同画像形成装置における現像装置を示す概略構成図である。
【図3】同現像装置のトナー担持ローラを、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
【図4】同トナー担持ローラの第一電極及び第二電極にそれぞれ印加する第一電圧と第二電圧の一例を示すグラフである。
【図5】同トナー担持ローラの第一電極及び第二電極にそれぞれ印加する第一電圧と第二電圧の他の例を示すグラフである。
【図6】同トナー担持ローラの第一電極及び第二電極にそれぞれ印加される電圧と、トナー供給ローラに印加される電圧との関係を示すグラフである。
【図7】変形例における現像装置を示す概略構成図である。
【図8】比較例1における現像装置を示す概略構成図である。
【図9】(a)及び(b)は、弱帯電トナーがトナー担持体上から遊離しやすいメカニズムを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を、画像形成装置としての電子写真方式の複写機に適用した一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機の構成及び動作について説明する。
図1は、本実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。
本複写機は、原稿を原稿読込部に搬送する原稿搬送部32、原稿の画像情報を読み込む図示しない原稿読込部、出力画像が積載される排紙トレイ30、転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部26、記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ対28、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される潜像担持体としての感光体ドラム1Y,1M,1C,1BK、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1BK上に形成される静電潜像を現像する現像装置5Y,5M,5C,5BK、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9BKなどを備えている。また、本複写機は、記録媒体Pを搬送する紙搬送ベルト8、記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置20、各色トナーを現像装置5Y,5M,5C,5BKに供給する各色のトナー容器31も備えている。
【0020】
原稿は、原稿搬送部32の搬送ローラによって、原稿台から搬送されて、図示しない原稿読込部のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部でコンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。詳しくは、原稿読込部は、コンタクトガラス上の原稿の画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿にて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿のカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理を行い、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0021】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、図示しない書込み部に送信される。そして、書込み部からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光が、それぞれ対応する感光体ドラム1Y,1M,1C,1BK上に向けて発せられる。一方、4つの感光体ドラム1Y,1M,1C,1BKは、それぞれ図中反時計方向に回転している。感光体ドラム1Y,1M,1C,1BKの表面は、書込み部からレーザ光が照射される前段階で、図示しない帯電部との対向部で、一様に帯電される。その後、帯電された感光体ドラム1Y,1M,1C,1BKの表面部分は、それぞれのレーザ光の照射位置に達し、書込み部における4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ照射される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる。
【0022】
イエロー成分に対応したレーザ光は、図中下側から1番目の感光体ドラム1Yの表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム1Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部にて帯電された後の感光体ドラム1Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、図中下から2番目の感光体ドラム1Mの表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、図中下から3番目の感光体ドラム1Cの表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、図中下から4番目の感光体ドラム1BKの表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0023】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム1Y,1M,1C,1BKの表面部分は、それぞれ、現像装置5Y,5M,5C,5BKとの対向位置(現像領域)に達する。そして、各現像装置5Y,5M,5C,5BKからそれぞれの感光体ドラム1Y,1M,1C,1BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム1Y,1M,1C,1BK上の潜像が現像される。
【0024】
現像後の感光体ドラム1Y,1M,1C,1BKの表面部分は、それぞれ、紙搬送ベルト8との対向部(転写領域)に達する。ここで、それぞれの対向部には、紙搬送ベルト8の内周面に当接するように転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9BKが設置されている。そして、転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9BKの位置で、図中の時計方向に走行する紙搬送ベルト8によって搬送されてきた記録媒体P上に、感光体ドラム1Y,1M,1C,1BK上に形成された各色のトナー像が、互いに重なり合うように順次転写される。感光体ドラム1Y,1M,1C,1BKと紙搬送ベルト8との対向部(転写領域)に搬送される記録媒体Pは、給紙部26からレジストローラ対28等を経由して搬送される。詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部26から給紙ローラ27により給送された記録媒体Pは、搬送ガイドを通過した後に、タイミングを合わせて、転写領域に向けて搬送される。
【0025】
転写後の各感光体ドラム1Y,1M,1C,1BKの表面は、それぞれ、図示しないクリーニング部との対向位置に達する。そして、クリーニング部で、感光体ドラム1Y,1M,1C,1BK上に残存する未転写トナーが回収される。その後、感光体ドラム1Y,1M,1C,1BKの表面は、図示しない除電部を通過して、感光体ドラム1Y,1M,1C,1BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
【0026】
一方、各色トナー像が重なり合ったカラー画像が転写された記録媒体Pは、その後に定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ローラと加圧ローラとのニップにて、カラー画像が記録媒体P上に定着される。そして、定着後の記録媒体Pは、排紙ローラによって装置外部に出力画像として排出されて、排紙トレイ30上にスタックされて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0027】
本実施形態の複写機においては、少なくとも感光体ドラムと現像装置とを一体化して、画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジの構成としてもよい。プロセスカートリッジは、色ごとに独立して取り外しが可能に構成してもよい。また、プロセスカートリッジには、感光体ドラムと現像装置のほか、例えば帯電装置やクリーニング装置を搭載してもよい。
【0028】
次に、本発明の特徴部分である現像装置5Y,5M,5C,5BKの構成及び動作について説明する。
なお、各色の現像装置5Y,5M,5C,5BKは、使用するトナーの色が異なる点を除いて、その基本構成が同じものであるため、以下、色分け符号Y、M、C、BKを付すのを省略して説明する。
【0029】
図2は、本実施形態における現像装置5を示す概略構成図である。
本実施形態の現像装置5は、トナー担持体としてのトナー担持ローラ16と、トナー担持ローラ16へトナーを供給するトナー供給部材としてのトナー供給ローラ61とを備えている。トナー供給ローラ61は、現像装置5の内部でトナー担持ローラ16の外周面に対して空隙を介して対向配置されている。トナー担持ローラ16は、トナー供給ローラ61から供給されたトナーを外周面に担持して図中矢印の方向へ回転駆動することにより、トナーを感光体ドラム1の表面と対向する現像領域へ搬送する。
【0030】
現像装置内部に形成されたトナー収容部66には、非磁性トナーから成る一成分トナーが収容されている。トナー収容部66内のトナーは、2つの搬送スクリュー65によって循環搬送されており、その循環搬送中のトナーの一部は供給スクリュー62側へ移動する。各搬送スクリュー65の材質としては、例えばポリプロピレン等のやわらかく弾性を有するものを用いることができ、その弾性を利用してトナー収容部66の内壁と密着させた状態で回転し、確実にトナーを搬送する。供給スクリュー62側へ移動したトナーは、供給スクリュー62の移送によってトナー供給ローラ61の表面と摺擦して摩擦帯電し、静電気力によってトナー供給ローラ61の表面に汲み上げられる。
【0031】
トナー供給ローラ61の表面に汲み上げられたトナーは、トナー供給ローラ61の回転に伴ってトナー層規制部材としての規制ブレード63との対向位置(規制位置)へ搬送される。この規制位置では、規制ブレード63が10〜15[N]程度の付勢力を受けてトナー供給ローラ61の表面に当接している。トナー供給ローラ61上のトナーは、この規制位置において、規制ブレード63とトナー供給ローラ61との間をすり抜ける際に層厚が規制されるとともに、摩擦帯電が助長され、帯電量が上昇する。
【0032】
現像領域に搬送されるトナーの帯電量は、−10[μC/g]以上−50[μC/g]以下が好ましく、−15[μC/g]以上−45[μC/g]以下が更に好ましい。なお、本実施形態において、現像領域へ搬送される単位面積あたりのトナー搬送量は、[30mg/cm]となるように調整されている。
【0033】
規制位置を通過したトナーは、トナー供給ローラ61の回転に伴って、トナー担持ローラ16に対向する供給領域に至る。この供給領域では、トナー担持ローラ16とトナー供給ローラ61とが、最小離間距離が300[μm]程度の空隙(供給ギャップ)を介して互いに対向配置されている。トナー供給ローラ61には、供給電界形成手段としてのトナー供給用電源68が接続されており、このトナー供給用電源68からトナー供給ローラ61に電圧が印加されている。トナー供給ローラ61に印加された電圧により、供給領域には、トナー供給ローラ61上のトナーをトナー担持ローラ16へと静電的に移動させる供給電界が形成される。トナー供給ローラ61上の正規帯電極性に帯電しているトナーは、この供給電界の作用を受けて、トナー担持ローラ16へと飛翔し、トナー担持ローラ16の外周面に担持される。
【0034】
トナー担持ローラ16の外周面に担持されたトナーは、後述するホッピング電界の作用を受けてホッピングした状態で、トナー担持ローラ16の回転により現像領域へと搬送される。現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持ローラ16と感光体ドラム1上の画像部との間の現像電界によって感光体ドラム1上に現像される。本実施形態において、トナー担持ローラ16の表面移動速度をVs、感光体ドラム1の表面移動速度をVpとしたとき、Vs/Vpが1.5以上2.0以下の範囲内となるように設定するのが好ましい。現像領域で現像に寄与せずにトナー担持ローラ16上に残ったトナーは、トナー担持ローラ16の回転によりさらに搬送され、図示しない回収手段によってトナー担持ローラ16表面から回収される。回収されたトナーは、再びトナー収容部66に戻され、現像装置内を循環する。
【0035】
本実施形態に使用されるトナーの一例について説明する。
低分子量ポリエステル樹脂(100重量部)、カーボンブラック(6重量部)、高分子帯電制御剤(1重量部)を、通常のスクリューニーダー混練方法により混練し、続いて圧延冷却後粗粉砕したトナーをジェットミルにて粉砕し、最後に気流式分級機にかけて、体積平均粒径が6.7[μm]、個数平均粒径が6.1[μm]のトナーを得た。同様に、マゼンタ、シアン、イエローについても顔料を代えてカラートナーを得た。次に、得られた各色トナー100重量部に対して、シリカ0.3重量部を加えてヘンシェルミキサーにて1分間混合処理を行った。続いて、チタニア0.3重量部を加えて1分間混合処理し、更にシリカ1.0重量部を加えて1分間混合処理した。
【0036】
次に、本実施形態におけるトナー担持ローラ16の具体的構成について説明する。
図3は、本実施形態におけるトナー担持ローラ16を、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
本実施形態のトナー担持ローラ16は、中空状のローラ部材で構成されており、その最内周に位置する内周側電極部材としての第一電極53と、最外周側に位置していて第一電極53へ印加される電圧(第一電圧)とは異なる電圧(第二電圧)が印加される最外周電極部材としての櫛歯状の第二電極54とを備えている。また、第一電極53と第二電極54との間にはこれらの間を絶縁するための絶縁層55が設けられている。また、第二電極54の外周面側を覆う表面層56も設けられている。すなわち、本実施形態のトナー担持ローラ16は、内周側から順に、第一電極53、絶縁層55、第二電極54、表面層56の4層構造となっている。
【0037】
第一電極53は、トナー担持ローラ16の基体としても機能しており、SUSやアルミニウム等の導電性材料を円筒状に成型した金属ローラである。このほか、第一電極53の構成としては、ポリアセタール(POM)やポリカーボネート(PC)等からなる樹脂ローラの表面にアルミニウムや銅などの金属層等からなる導電層を形成したものが挙げられる。この導電層の形成方法としては、金属メッキ、蒸着等により形成する方法や、ローラ表面に金属膜を接着する方法などが考えられる。
【0038】
第一電極53の外周面側は絶縁層55に覆われている。本実施形態において、この絶縁層55は、ポリカーボネートやアルキッドメラミン等で形成されている。また、本実施形態において、絶縁層55の厚みは、3[μm]以上50[μm]以下の範囲内が好ましい。3[μm]よりも小さくなると、第一電極53と第二電極54との間の絶縁性が十分に保てなくなり、第一電極53と第二電極54との間でリークが発生してしまう可能性が高くなる。一方、50[μm]よりも大きくなると、第一電極53と第二電極54との間で作られる電界が表面層56よりも外側に形成されにくくなり、表面層56の外側に強いホッピング電界を形成することが困難となる。本実施形態では、メラミン樹脂からなる絶縁層55の厚みを20[μm]としている。絶縁層55はスプレー法やディップ法等によって第一電極53上に均一な膜厚で形成することができる。
【0039】
絶縁層55の上には第二電極54が形成される。本実施形態において、この第二電極54は、アルミニウム、銅、銀などの金属で形成されている。櫛歯状の第二電極54の形成方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、絶縁層55の上にメッキや蒸着によって金属膜を形成し、フォトレジスト・エッチングによって櫛歯状の電極を形成するという方法が挙げられる。また、インクジェット方式やスクリーン印刷によって導電ペーストを絶縁層55の上に付着させて櫛歯状の電極を形成するという方法も考えられる。
【0040】
第二電極54及び絶縁層55の外周面側は、絶縁性の表面層56により覆われている。トナーは、表面層56上でホッピングを繰り返す際、この表面層56との接触摩擦によって帯電する。トナーに正規帯電極性(本実施形態ではマイナス極性)を与えるため、本実施形態では、表面層56の材料として、シリコーン、ナイロン(登録商標)、ウレタン、アルキッドメラミン、ポリカーボネート等が使用される。本実施形態ではポリカーボネートを採用している。また、表面層56は、第二電極54を保護する役割も持ち合わせているので、表面層56の膜厚としては、3[μm]以上40[μm]以下の範囲内が好ましい。3[μm]よりも小さいと、経時使用による膜削れ等で第二電極54が露出し、トナー担持ローラ16上に担持されたトナーやトナー担持ローラ16に接触するその他の部材を通じてリークしてしまうおそれがある。一方、40[μm]よりも大きいと、第一電極53と第二電極54との間で作られる電界が表面層56よりも外側に形成されにくくなり、表面層56の外側に強いホッピング電界を形成することが困難となる。本実施形態では、表面層の膜厚は20[μm]としている。表面層56は、絶縁層55と同様にスプレー法やディッピング法等によって形成することができる。
【0041】
本実施形態では、第一電極53と第二電極54との間で作られる電界、より詳しくは、第一電極53の第二電極54とは対向していない部分(第二電極54の櫛歯間に位置する第一電極53の部分)と第二電極54の櫛歯部分との間で作られる電界が、表面層56の外側に形成されることで、トナー担持ローラ16上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ16上のトナーは、第一電極53に絶縁層55を介して対向した表面層部分と、これに隣接する第二電極54に対向した表面層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。
【0042】
トナーを安定してクラウド化させるためには、相応する大きさのホッピング電界を形成することが重要となるが、このような大きなホッピング電界を形成するためには第一電極53と第二電極54との間に大きな電位差を形成する必要がある。しかし、このような大きな電位差を安定して形成するためには、第一電極53と第二電極54との間を安定かつ有効に絶縁し、リークを防止することが重要である。
【0043】
ここで、ホッピング電界を形成するための2種類の電極をそれぞれ櫛歯状に形成して同心円上に配置し、互いの櫛歯部分が相手の櫛歯間に入り込むように構成した場合、その櫛歯状電極の形成品質が悪いと、2種類の電極間の絶縁性が著しく低下し、リークが起きやすい。具体的には、例えば、エッチングで電極形成する場合には除去すべき金属膜の一部が残存していたり、インクジェット法やスクリーン印刷法で電極形成する場合には電極間に導電ペーストが付着してしまったりする事態が起こり得る。このような事態が生じると、2種類の電極間でリークが起きやすくなり、適正なホッピング電界を形成することができなくなる。また、この構成においては、ローラの樹脂表面上に櫛歯状電極を高い品質で形成したとしても、2種類の櫛歯状電極を形成した後にその外周面側を絶縁材で覆うことにより電極間に絶縁材を充填して電極間の絶縁性を得るため、電極間にはローラの樹脂表面と絶縁材との界面が形成され、この界面を通じたリークが生じやすく、比較的大きな電圧を印加すると電極間の絶縁性が著しく低下する。
【0044】
本実施形態によれば、第一電極53の上に絶縁層55を設け、その絶縁層上に櫛歯状の第二電極54を形成した構成であるため、これらの電極間にリークの原因となり得るような界面は存在しない。また、トナー担持ローラ16の製造段階において、リークの原因となり得る導電材が電極間に介在する可能性も非常に少なくできる。したがって、本実施形態によれば、第一電極53と第二電極54との間を安定かつ有効に絶縁することができ、比較的大きな電圧を印加する場合でもリークを効果的に防止することができる。
なお、本実施形態は、ホッピング電界を形成するための2種類の電極をそれぞれ櫛歯状に形成して同心円上に配置し、互いの櫛歯部分が相手の櫛歯間に入り込むように構成した例においても適用可能である。
【0045】
また、本実施形態において、第二電極54の電極幅(各櫛歯部分の幅)は、80[μm]以上100[μm]以下であるのが好ましい。80[μm]よりも小さいと、細すぎて電極が途中で断線してしまうおそれがある。一方、100[μm]より大きいと、第二電極54の被給電部からの距離が遠い箇所の電圧が低くなり、その箇所でトナーを安定かつ有効にホッピングさせることが困難となる。本実施形態の被給電部は、トナー担持ローラ16の外周面上における軸方向両端に設けられている。よって、本実施形態では、第二電極54の電極幅が100[μm]より大きいと、トナー担持ローラ16の軸方向中央部におけるホッピング電界が軸方向両端部のホッピング電界よりも相対的に低くなり、軸方向中央部に担持されているトナーを安定かつ有効にホッピングさせることが困難となる。
【0046】
また、本実施形態では、第二電極54の電極ピッチ(櫛歯部分間の距離)は、電極幅と同じか広いのが好ましい。電極幅よりも小さいと、第一電極53からの電気力線の多くが表面層56の外側に出る前に第二電極54へ収束してしまい、表面層56の外側に形成されるホッピング電界が弱くなってしまうからである。一方、電極ピッチが大きいと、電極間中央のホッピング電界が弱くなってしまう。本実施形態において、電極ピッチは、電極幅以上であって電極幅の3倍以下の範囲内であるのが好ましい。
本実施形態では、電極幅を100[μm]に設定し、電極ピッチを150[μm]に設定している。
【0047】
また、本実施形態では、第二電極54の電極ピッチを、トナー担持ローラ16の周方向にわたって一定となるように設定されている。電極ピッチを一定とすることで、第一電極53と第二電極54との間で作られるホッピング電界がトナー担持ローラ16上の周方向にわたってほぼ均一となる。よって、現像領域で周方向に均一なトナーのホッピングを実現することが可能となり、均一な現像が可能となる。
【0048】
次に、第一電極53及び第二電極54に印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ16上の第一電極53及び第二電極54には、それぞれパルス電源(不図示)から第一電圧及び第二電圧が印加される。パルス電源(不図示)が印加する第一電圧及び第二電圧は、矩形波が最も適している。ただし、これに限らず、例えばサイン波で三角波でもよい。また、本実施形態では、ホッピング電極を形成するための電極が第一電極53及び第二電極54の2相構成であり、各電極53,54には互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0049】
図4は、第一電極53及び第二電極54にそれぞれ印加する第一電圧と第二電圧の一例を示すグラフである。
本実施形態において、各電圧は矩形波であり、第一電極53と第二電極54にそれぞれ印加される第一電圧と第二電圧は、互いに位相がπだけずれた同じ大きさ(ピークトゥピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、第一電極53と第二電極54との間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表面層56の外側に形成されるホッピング電界によって表面層56上をトナーがホッピングする。本実施形態において、Vppは100[V]以上1000[V]以下の範囲内であるのが好ましい。Vppが100[V]より小さいと、十分なホッピング電界を表面層56上に形成できず、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。一方、Vppが1000[V]より大きいと、経時使用により電極間でリークが発生する可能性が高くなる。
また、本実施形態において、第一電圧と第二電圧の中心値V0は、画像部電位(静電潜像部分の電位)と非画像部電位(地肌部分の電位)との間に設定され、現像条件によって適宜変動する。
【0050】
本実施形態において、第一電圧と第二電圧の周波数fは、100[Hz]以上1000[Hz]以下であるのが好ましい。100[Hz]より小さいと、トナーのホッピングが現像速度に追いつかなくなるおそれがある。一方、1000[Hz]より大きいと、トナーの移動が電界の切り替わりに追従できなくなり、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。
【0051】
図5は、第一電極53及び第二電極54へ印加する第一電圧と第二電圧の他の例を示すグラフである。
この例では、第一電極53については、図4に示したものと同様の第一電圧が印加されるが、第二電極54については、直流電圧が印加される。この場合、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、この例におけるVppの好適な範囲は、200[V]以上2000[V]以下である。この例によれば、第一電極53と第二電極54との位相差を考慮する必要がなく、電源コストが安くなる。
【0052】
次に、本実施形態におけるトナー供給ローラ61の具体的構成について説明する。
トナー供給ローラ61は、表面をアルミニウム、SUS等の金属で形成したもの、又は、これらの金属基地に尿素樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等を被覆して形成したもの等が挙げられる。また、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等に導電材料を分散させた導電性樹脂で構成する表面を形成したものでもよい。この導電材料としては、カーボンブラック、銅粉、アルミニウム粉の金属粉、ジルコニム固溶体、蛍石等のFを含む固溶体、アルミニウムなどのアルカリ金属塩等のイオン導電体を用いることができる。
【0053】
トナー供給ローラ61の表面層の電気抵抗は、11[LogΩ]以下であるのが好ましい。また、トナー供給ローラ61の表面粗さは、Rzで2[μm]以上4[μm]以下の範囲内が好ましい。表面粗さRzが小さすぎると、トナー供給ローラ61の表面に保持できるトナー量が少なくなり、表面粗さRzが大きすぎるとトナー供給ローラ61の表面に保持されるトナー層の均一性が損なわれて、トナー担持ローラ16へのトナー供給ムラが発生する。
【0054】
図6は、トナー担持ローラ16の第一電極53及び第二電極54にそれぞれ印加される電圧と、トナー供給ローラ61に印加される電圧との関係を示すグラフである。
本実施形態におけるトナー供給ローラ61には、直流電圧VB2が印加される。本実施形態では、トナー供給ローラ61の表面に保持されたトナーのうち、トナー担持ローラ16上でホッピング電界の作用を受けてホッピングするのに十分な帯電量を有する正常帯電トナーについては、空隙(供給ギャップ)を介してトナー担持ローラ16の外周面へ移動させるが、ホッピング電界の作用を受けてホッピングするには帯電量が不足している弱帯電トナーについては、空隙(供給ギャップ)を介してトナー担持ローラ16の外周面へ移動させないような供給電界を形成する。このような供給電界がトナー供給ローラ61とトナー担持ローラ16とが対向する供給領域に形成されるように、トナー供給ローラ61に印加する直流電圧VB2の設定値が決定される。
【0055】
本実施形態において、トナー供給ローラ61に印加する直流電圧VB2の設定可能範囲は、主に、トナー担持ローラ16に印加する電圧の中心値VB1(図4及び図5中のV0)とピークツーピーク電圧VPPとによって変動する。例えば、本実施形態のように、トナー供給ローラ61に印加する直流電圧VB2がマイナス極性であり、トナー担持ローラ16に印加する電圧の中心値もマイナス極性であり、トナーの正規帯電極性もマイナス極性である場合、トナー供給ローラ61に印加する直流電圧VB2は、一例として、下記の式(1)が成り立つように設定できる。なお、下記の式(1)中のVPAは、放電開始電圧であり、供給ギャップ等の条件によって変動する。
VB1 > VB2 > VB1+VPP/2−VPA ・・・(1)
【0056】
ここで、トナー供給ローラ61に印加する直流電圧VB2がトナー担持ローラ16に印加する電圧の中心値VB1以上であると(VB2がVB2下限値と同じ又はこれよりも図6中下側に設定されると)、供給領域内において、トナー担持ローラ16上の正常帯電トナー(マイナス極性で十分に帯電したトナー)に対し、平均的に、トナー供給ローラ61側へ移動させるように供給電界が作用することになる。この場合、トナー担持ローラ16上の正常帯電トナーは、供給領域内におけるホッピングの高さが供給領域外よりも高くなる。その結果、供給ギャップの設定値によっては、トナー供給ローラ61の表面に保持されているトナーに衝突するおそれがある。このように、トナー担持ローラ16上でホッピングしている正常帯電トナーがトナー供給ローラ61の表面に保持されているトナーに衝突すると、トナー供給ローラ61の表面との静電的付着力が弱い弱帯電トナーを、トナー供給ローラ61上からはじき出す現象が発生する。この現象が発生すると、供給領域の近傍で弱帯電トナーを浮遊することになり、その一部はトナー担持ローラ16の回転によって生じる気流等に乗って現像装置外部へ漏れだし、トナー飛散を引き起こすおそれがある。したがって、本実施形態では、トナー供給ローラ61に印加する直流電圧VB2の上限値を、トナー担持ローラ16に印加する電圧の中心値VB1としている。
なお、トナー供給ローラ61に印加する直流電圧VB2の下限値は、上記式(1)に示すように、トナー供給ローラ61に印加する電圧VB2とトナー担持ローラ16に印加する電圧の最大値との差(最大電位差)が放電開始電圧以上とならないように設定している。
【0057】
具体例としては、供給ギャップが300[μm]であり、トナー担持ローラ16に中心値VB1が−400[V]でVPPが500[V]である電圧を印加した場合、トナー供給ローラ61に印加する直流電圧VB2の設定可能範囲は、−400[V]よりも大きく−750[V]よりも小さい範囲となる。
【0058】
なお、本実施形態では、トナー供給ローラ61に印加する直流電圧VB2がマイナス極性であり、トナー担持ローラ16に印加する電圧の中心値もマイナス極性であり、トナーの正規帯電極性もマイナス極性である場合について説明したが、これらの極性の一部又は全部が反転した構成については、上述した観点からトナー供給ローラ61に印加する直流電圧VB2の設定可能範囲は同様に決定できる。
【0059】
また、本実施形態は、トナー供給ローラ61に直流電圧を印加する例であるが、交流電圧を印加してもよい。ただし、交流電圧を印加する場合、トナー供給ローラ61の表面から一旦は離脱したトナーがその電圧値の変化でトナー供給ローラ61側に引き戻されたときに、トナー供給ローラ61の表面上に保持されている弱帯電トナーに衝突する可能性が出てくる。このような衝突が発生すると、上述したようなはじき出し現象が発生し、トナー飛散を引き起こすおそれがある。
【0060】
また、本実施形態は、トナー供給ローラ61とトナー担持ローラ16との間に、空隙を形成し、かつ、上述した供給電界を形成する場合について説明したが、供給スクリュー62に代えて第2の供給ローラを設け、この第2の供給ローラとトナー供給ローラ61との間に、空隙を形成し、かつ、上述した供給電界を形成しても、同様の効果を得ることができる。このとき、トナー供給ローラ61とトナー担持ローラ16との間は、空隙を形成しないように構成してもよい。
【0061】
〔変形例〕
次に、上記実施形態の現像装置の一変形例について説明する。
本変形例における現像装置は、トナー層規制部材として、規制ブレード63に代えて、規制ローラを用いている点で、上記実施形態の現像装置とは異なっている。なお、以下の説明において、上記実施形態と共通する事項については説明を省略する。
【0062】
図7は、本変形例における現像装置を示す概略構成図である。
規制ローラ80は、支持部に金属の軸を用い、表層部の材質として、摩擦係数の小さい樹脂であるフッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂に導電材料を分散させた導電性樹脂を用いたものである。導電材料は、上記実施形態においてトナー供給ローラ61で説明したものと同様の材料を用いることができる。規制ローラ80の表面層の電気抵抗は11[LogΩ]以下であるのが好ましい。規制ローラ80の表面粗さは、粗すぎると規制位置を通過したトナー層にムラが生じるため、一般的な画像に対しては、Rzで4[μm]以下であるのが好ましい。高精細(600dpi以上)の画像に対しては、Rzで2[μm]以下とするのが好ましい。また、硬度はJIS?K6253の規格で、50°以上85°以下の範囲内で選択するのが良い。
【0063】
また、本変形例において、規制ローラ80は、図示しない駆動源からの駆動力によって回転駆動するもので、トナー供給ローラ61と規制ローラ80との線速比が1.5以上2.0以下の範囲になるように設定することが好ましい。線速比が1.5より小さくなると、規制位置におけるトナーの摩擦帯電が不十分となるおそれがあり、弱帯電トナーの量が増えるおそれがある。
【0064】
本変形例のようにトナー層規制部材としてローラ状の規制ローラ80を用いることで、上記実施形態のようにブレード条の規制ブレード63と比較して、トナー層規制部材へのトナーの固着を低減することができる。その結果、規制位置でトナー層規制部材をトナー供給ローラ61へ押し当てる力を上げることが可能となり、これにより規制位置での摩擦帯電効率を上げて、弱帯電トナーの量を減らすことができる。
【0065】
本変形例において、規制ローラ80の表面にスクレーパ等のトナー除去部材を当接させてもよい。
また、本変形例においては、トナー供給ローラ61、供給スクリュー62、規制ローラ80の少なくとも1つをアースし、電荷を逃がす構成するのが好ましい。トナー供給ローラ61、供給スクリュー62、規制ローラ80のいずれも電気的にフロートの状態であると、トナーをマイナス極性に摩擦帯電させた際に、トナー供給ローラ61、供給スクリュー62、規制ローラ80に正極性の電荷が残る。この正極性の電荷が蓄積していくことで、トナーの摩擦帯電を阻害し、トナーの負極性の帯電が不十分となり、逆帯電トナーや弱帯電トナーが増加する。トナー供給ローラ61、供給スクリュー62、規制ローラ80の少なくとも1つをアースして電荷を逃がす構成すれば、トナーの摩擦帯電により蓄積される正極性の電荷を逃がすことができる。
【0066】
また、本変形例においては、トナー供給ローラ61の支持部、供給スクリュー62の支持部、規制ローラ80の支持部の中から選択される少なくとも1組の支持部間で電位差をなくし、同電位となるように構成するのがよい。トナーの摩擦帯電は、トナー供給ローラ61、供給スクリュー62、規制ローラ80の表面との摺擦によって行われるが、これらの支持部が同電位であれば、これらの間で電荷が偏在するのを防止することができる。また、このとき、これらの支持部と表面との間の電気抵抗は、11[LogΩ]以下とするのがよい。ここの電気抵抗が大きくなると、電気容量成分が大きくなるために、例えば、トナー供給ローラ61の表面とトナー供給ローラ61の支持部との間に電荷が蓄積し、アースに流れずに電荷が逃げなくなってしまう。そのため、長期の使用によってトナーの帯電量が多少でも不足する事態が起こり得る。
【0067】
なお、トナー供給ローラ61、供給スクリュー62、規制ローラ80における支持部と表面との間の電気抵抗は、次のようにして算出できる。すなわち、始めに、トナー供給ローラ61、供給スクリュー62、規制ローラ80である測定対象物を、水平においた金属製平板上に置き、その支持部(軸部)の両端にそれぞれ100[g]の荷重をかけながら、金属製平板と測定対象物の支持部との間に100[V]の電圧を印加しながら、電流計で電流値を測定し、電気抵抗を算出する。
【0068】
次に、上記実施形態の現像装置及び上記変形例の現像装置について、トナー飛散抑制効果を確認するために行った評価試験を説明する。
本評価試験において、トナー飛散の程度を表す評価指標値としてΔIDを用いる。評価指標値ΔIDの測定方法は、まず、感光体ドラム上に静電潜像を形成しない状態で画像形成動作を行い、現像装置を動作させる。その後、プリンタックを用いて紙搬送ベルト8上に付着したトナーを採取する。次に、トナーを採取したプリンタックの画像濃度と、トナーが付着していない新しいプリンタックの画像濃度とを測定し、これらの差分値を算出する。このようにして得られた差分値を評価指標値ΔIDとする。ここで、評価指標値ΔIDが、0.01以下であればトナー飛散の抑制効果が高いとして「〇」と評価し、0.02以上0.04以下であればトナー飛散の抑制効果が不十分であるとして「△」と評価し、0.05以上であればトナー飛散の抑制効果が不足しているとして「×」と評価した。なお、画像濃度の測定には、X−Lite(AMTEC社製)を用いた。
【0069】
また、本評価試験では、トナー担持ローラ16上に担持されているトナーのうちの弱帯電トナーの量についても評価を行った。トナー担持ローラ16上における弱帯電トナー量は、E−Spartアナライザー(ホソカワミクロン社製)を用い、トナー個々の帯電量を分布として捉えることで測定した。ここでは、帯電量が−2[μC/g]以上−3[μC/g]以下の範囲内であるトナーを弱帯電トナーとし、その量がトナー担持ローラ16上に担持されているトナー全体の10%以上である場合には、弱帯電トナー量が多いとして「多」と評価し、2%以下の場合には弱帯電トナー量が少ないとして「小」と評価し、0.5%以下の場合には弱帯電トナー量が極めて少ないとして「極小」と評価した。なお、現像装置内の正常帯電トナーの帯電量は、−25[μC/g]以上−30[μC/g]以下である。
【0070】
本評価試験の結果は、下記の表1に示すとおりである。
【表1】

【0071】
本評価試験の共通パラメータは以下のとおりである。
感光体ドラムの線速:150[mm/sec]
トナー担持ローラ線速/感光体ドラム線速:1.5
トナー担持ローラ線速/トナー供給ローラ線速:1.5
供給ギャップ(非接触の場合):0.3[mm]
現像ギャップ:0.3[mm]
現像領域へ搬送される単位面積当たりのトナー量:30[mg/cm
トナー供給ローラ及びトナー担持ローラの径:φ16[mm]
非画像部電位(帯電電位):−700[V]
露光部電位VL:−100[V]
トナー担持ローラに印加される電圧の中心値VB1:−400[V]
トナー担持ローラに印加される電圧のピークツーピーク電圧VPP:500[V]
トナー担持ローラに印加される電圧の周波数:700[Hz]
トナー供給ローラに印加される直流電圧VB2:−700[V]
【0072】
本評価試験の実施例1で用いた現像装置は、上記実施形態の現像装置であり、規制ブレード63のトナー供給ローラ61に対する付勢力は15[N]である。
本評価試験の実施例2で用いた現像装置は、上記変形例の現像装置であり、規制ローラ80の線速/トナー供給ローラ61の線速(線速比)は1.5である。
本評価試験の比較例1で用いた現像装置は、図8に示すもので、上記実施例1における現像装置からトナー供給ローラ61を除外し、トナー担持ローラ16へのトナー供給を供給スクリュー62により実施した構成である。なお、供給スクリュー62には電圧を印加していない。
本評価試験の比較例2で用いた現像装置は、上記実施例1における現像装置において、トナー供給ローラ61上のトナーがトナー担持ローラ16の外周面に接触するようにトナー担持ローラ16とトナー供給ローラ61との供給ギャップを狭めたものである。
本評価試験の比較例3で用いた現像装置は、上記実施例1における現像装置において、トナー供給ローラ61へ印加する直流電圧VB2として、上述した設定可能範囲を外れる電圧値、具体的には、トナー担持ローラ16に印加する電圧の中心値VB1以上の電圧値を用いたものである。
【0073】
本評価試験の結果、トナー供給ローラ61をトナー担持ローラ16に対して空隙を介して対向配置し、かつ、トナー供給ローラ61に印加する電圧を上述した設定可能範囲内に設定することで、トナー担持ローラ16上に担持される弱帯電トナーの量を少なく抑え、トナー飛散の抑制について高い効果が得られることが確認された。
【0074】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
互いに異なる電圧が印加される第一電極53及び第二電極54等の少なくとも2種類の電極部材を備えたトナー担持ローラ16等のトナー担持体を有し、該少なくとも2種類の電極部材に対して互いに異なる電圧を印加することによりトナーをホッピングさせるためのホッピング電界を該トナー担持体の外周面上に形成し、ホッピングした状態のトナーを感光体ドラム1等の潜像担持体の表面と対向する現像領域へ送り込んで該潜像担持体上の潜像に付着させることにより該潜像を現像する現像装置5において、現像装置内部で上記トナー担持体の外周面又は該トナー担持体に供給されるトナーを表面に保持するトナー保持部材の表面に対して空隙(供給ギャップ)を介して対向配置され、該トナー担持体の外周面又は該トナー保持部材の表面に供給するトナーを表面に保持するトナー供給ローラ61等のトナー供給部材と、上記トナー供給部材の表面に保持されたトナーのうち正規帯電極性に帯電したトナーが上記空隙を介して上記トナー担持体の外周面又は上記トナー保持部材の表面へ移動するように、該トナー供給部材と該トナー担持体とが対向する供給領域に供給電界を形成するトナー供給用電源68等の供給電界形成手段とを有することを特徴とする。
これによれば、上述したように、トナー担持体上に担持される弱帯電トナーの量を少なく抑えることができ、トナー飛散の抑制について高い効果が得られる。
【0075】
(態様B)
上記態様Aにおいて、上記供給電界形成手段は、上記トナー供給部材の表面に保持されたトナーのうち、上記ホッピング電界の作用を受けてホッピングするのに十分な帯電量を有する正常帯電トナーは、上記空隙を介して上記トナー担持体の外周面へ移動させるが、該ホッピング電界の作用を受けてホッピングするには帯電量が不足している弱帯電トナーは、該空隙を介して該トナー担持体の外周面へ移動させない電界強度を有するように、上記供給電界を形成することを特徴とする。
これによれば、上述したように、トナー担持体上に担持される弱帯電トナーの量を少なく抑えることができ、トナー飛散の抑制について高い効果が安定して得られる。
【0076】
(態様C)
上記態様A又はBにおいて、上記トナー供給部材はトナー供給ローラ61等の回転体であり、上記供給領域よりもトナー供給部材回転方向上流側で、上記トナー供給部材の表面に保持されたトナーを該トナー供給部材の表面との間に挟持するように配置された規制ブレード63や規制ローラ80等のトナー層規制部材を有することを特徴とする。
これによれば、トナー供給部材上に保持されたトナーは、供給領域へ搬送される前の段階で、トナー層規制部材とトナー供給部材とが対向する規制位置で摺擦を受けることで摩擦帯電し、帯電量が増加する。これにより、トナー供給部材上に保持されて供給領域へ搬送されるトナーに含まれる弱帯電トナーの量を減らすことができる。よって、弱帯電トナーによるトナー飛散の抑制効果が更に高まる。
【0077】
(態様D)
上記態様Cにおいて、上記トナー層規制部材は、上記トナー供給部材の表面との対向位置で該トナー供給部材の表面移動速度と速度差が生じるように回転駆動する規制ローラ80等の回転体であることを特徴とする。
これによれば、規制位置でのトナーの摩擦帯電が促進され、トナー供給部材上に保持されて供給領域へ搬送されるトナーに含まれる弱帯電トナーの量を効果的に減らすことができ、弱帯電トナーによるトナー飛散の抑制効果が高い。
【0078】
(態様E)
潜像担持体の潜像にトナーを付着させることにより該潜像を現像し、これによる得られたトナー像を最終的に記録材に転移させて画像形成を行う画像形成装置において、上記潜像担持体上の潜像を現像する手段として、上記態様A乃至Dのいずれかの態様に係る現像装置を用いたことを特徴とする。
これによれば、トナー飛散の抑制効果が高いので、トナー飛散による画像形成装置内の汚染を抑制でき、また、トナー飛散による地汚れなども抑制できる。
【0079】
(態様F)
潜像担持体と、該潜像担持体上に形成される潜像をトナーで現像する現像装置とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成したプロセスユニットにおいて、上記潜像担持体上の潜像を現像する手段として、上記態様A乃至Dのいずれかの態様に係る現像装置を用いたことを特徴とする。
これによれば、トナー飛散の抑制効果が高いので、トナー飛散による画像形成装置内の汚染を抑制でき、また、トナー飛散による地汚れなども抑制できる。
【符号の説明】
【0080】
1 感光体ドラム
5 現像装置
16 トナー担持ローラ
53 第一電極
54 第二電極
55 絶縁層
56 表面層
61 トナー供給ローラ
62 供給スクリュー
63 規制ブレード
65 搬送スクリュー
66 トナー収容部
68 トナー供給用電源
80 規制ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特開2011−154098号公報
【特許文献2】特開2010−191208号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる電圧が印加される少なくとも2種類の電極部材を備えたトナー担持体を有し、該少なくとも2種類の電極部材に対して互いに異なる電圧を印加することによりトナーをホッピングさせるためのホッピング電界を該トナー担持体の外周面上に形成し、ホッピングした状態のトナーを潜像担持体の表面と対向する現像領域へ送り込んで該潜像担持体上の潜像に付着させることにより該潜像を現像する現像装置において、
現像装置内部で、上記トナー担持体の外周面又は該トナー担持体に供給されるトナーを表面に保持するトナー保持部材の表面に対して空隙を介して対向配置され、該トナー担持体の外周面又は該トナー保持部材の表面に供給するトナーを表面に保持するトナー供給部材と、
上記トナー供給部材の表面に保持されたトナーのうち正規帯電極性に帯電したトナーが上記空隙を介して上記トナー担持体の外周面又は上記トナー保持部材の表面へ移動するように、該トナー供給部材と該トナー担持体とが対向する供給領域に供給電界を形成する供給電界形成手段とを有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記供給電界形成手段は、上記トナー供給部材の表面に保持されたトナーのうち、上記ホッピング電界の作用を受けてホッピングするのに十分な帯電量を有する正常帯電トナーは、上記空隙を介して上記トナー担持体の外周面へ移動させるが、該ホッピング電界の作用を受けてホッピングするには帯電量が不足している弱帯電トナーは、該空隙を介して該トナー担持体の外周面へ移動させない電界強度を有するように、上記供給電界を形成することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2の現像装置において、
上記トナー供給部材は回転体であり、
上記供給領域よりもトナー供給部材回転方向上流側で、上記トナー供給部材の表面に保持されたトナーを該トナー供給部材の表面との間に挟持するように配置されたトナー層規制部材を有することを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項3の現像装置において、
上記トナー層規制部材は、上記トナー供給部材の表面との対向位置で該トナー供給部材の表面移動速度と速度差が生じるように回転駆動する回転体であることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
潜像担持体の潜像にトナーを付着させることにより該潜像を現像し、これによる得られたトナー像を最終的に記録材に転移させて画像形成を行う画像形成装置において、
上記潜像担持体上の潜像を現像する手段として、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
潜像担持体と、該潜像担持体上に形成される潜像をトナーで現像する現像装置とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成したプロセスユニットにおいて、
上記現像装置として、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とするプロセスユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−97148(P2013−97148A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239280(P2011−239280)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】