現像装置及びこれを備えた画像形成装置
【課題】フレア現像方式の現像装置において、現像領域を通過したトナー担持体上のトナーがトナー漏れ防止部材に接触する場合でもトナー飛散が生じるのを抑制することを課題とする。
【解決手段】現像領域に対してトナー担持ローラ2の回転方向Bの下流側で現像ケース11の内壁とトナー担持ローラ外周面との隙間(入口隙間)を塞ぐように配置されるトナー漏れ防止部材12を、トナー担持ローラ外周面上における鉛直方向最上地点Hよりもトナー担持ローラ回転方向下流側に位置するトナー担持ローラ外周面部分であって、かつ、鉛直方向上側を向いている外周面部分と最近接するように配置した。
【解決手段】現像領域に対してトナー担持ローラ2の回転方向Bの下流側で現像ケース11の内壁とトナー担持ローラ外周面との隙間(入口隙間)を塞ぐように配置されるトナー漏れ防止部材12を、トナー担持ローラ外周面上における鉛直方向最上地点Hよりもトナー担持ローラ回転方向下流側に位置するトナー担持ローラ外周面部分であって、かつ、鉛直方向上側を向いている外周面部分と最近接するように配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー担持体上のトナーを現像領域へ搬送して潜像担持体上の潜像に付着させることにより潜像を現像する現像装置、及び、この現像装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の現像装置としては、トナー担持体表面や磁性キャリアに吸着させたトナーを現像に用いるのではなく、トナー担持体の外周面上でホッピングさせたトナーを現像に用いるフレア現像方式を採用したものが知られている。例えば、特許文献1に記載の現像装置は、周方向に所定のピッチで配設された複数の電極を具備する筒状のトナー担持体を有している。これら電極は、互いに隣り合う2つの電極からなる電極対が繰り返し配設されたものである。それぞれの電極対における2つの電極の間には交番電界が形成される。これにより、電極対における一方の電極の上に位置していたトナーが浮上して他方の電極の上に着地したり、他方の電極の上から浮上して一方の電極の上に着地したりするといったホッピングの挙動を示す。
【0003】
このようなホッピングを繰り返しながら、トナー担持体上のトナーはトナー担持体の回転駆動に伴う表面移動よって現像領域まで搬送される。現像領域では、潜像担持体上の潜像の近傍まで浮上したトナーが、トナー担持体の電極に向けて下降することなく、潜像による電界に引かれて潜像に付着する。かかる構成では、トナー担持体表面や磁性キャリアなどに吸着しているトナーではなく、ホッピングによって吸着力を発揮していないトナーを現像に用いる。これにより、従来の一成分現像方式や二成分現像方式では実現が望めなかったほどの低電位現像を実現することができる。例えば、周囲の非画像部との電位差が僅か数十[V]である静電潜像にトナーを選択的に付着させることも可能である。
【0004】
このような現像装置では、現像ケース内に配置されたトナー担持体の表面が潜像担持体と対向できるように、現像ケースに設けられた開口からトナー担持体の表面の一部分(トナー担持体回転方向における一部分)が露出するように構成されている。このような構成においては、現像ケースの開口縁部とトナー担持体の表面との間に隙間が形成されるため、その隙間から現像ケース内のトナーが漏れ出て現像装置外部へ飛散するおそれがある。そのため、上記特許文献1に記載の現像装置のように、トナー担持体の表面露出部分に対してトナー担持体回転方向下流側に位置する開口縁部とトナー担持体の表面との隙間(入口隙間)を塞いでトナーの漏れを防止するシール部材などのトナー漏れ防止部材が設けられている。
【0005】
トナー担持体の表面露出部分に対してトナー担持体回転方向上流側に位置する開口縁部とトナー担持体の表面との間にも隙間(出口隙間)は存在するが、この隙間と現像ケースの内部空間との間には、現像領域へ搬送するトナー量を規制するための層厚規制部材がトナー担持体の表面に当接配置されている。そのため、現像ケース内部のトナーがこの隙間から漏れ出ることは少ないので、上記特許文献1に記載の現像装置のように、入口隙間だけにトナー漏れ防止部材を設けることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、入口隙間にトナー漏れ防止部材が設けられた現像装置においては、現像領域を通過した後におけるトナー担持体表面上のトナーが現像ケース内に進入する際に、トナー担持体表面上のトナーがトナー漏れ防止部材と接触する。このとき、トナー担持体表面や磁性キャリアに吸着させたトナーを現像に用いる一般的な現像方式(非フレア現像方式)の場合には、トナー担持体上のトナーとトナー担持体表面との間の付着力、あるいは、トナー担持体上のトナーとトナー担持体上に磁気的に拘束された磁性キャリアとの間の付着力が大きい。この場合、トナー担持体表面上のトナーは、現像ケース内に進入する際にトナー漏れ防止部材と接触しても、トナー担持体の回転に追従して、トナー漏れ防止部材とトナー担持体表面との間を通過して現像ケース内へ進入することができる。
【0007】
しかしながら、フレア現像方式の現像装置は、トナー担持体表面上をトナーがホッピングした状態となっており、上述したとおり、トナー担持体表面とトナーとの付着力が小さい。そのため、トナー担持体表面上のトナーの中には、現像ケース内への進入する際にトナー漏れ防止部材と接触してトナー漏れ防止部材に堰き止められ、現像ケース内へ進入することができないものが存在する。このようにトナー漏れ防止部材に堰き止められたトナーが、その自重や画像形成装置内の気流などの作用により、トナー担持体表面から離れる方向へ移動する挙動を示すと、画像形成装置内にトナーが飛散するという問題が発生する。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、フレア現像方式の現像装置において、現像領域を通過したトナー担持体上のトナーがトナー漏れ防止部材に接触する場合でも、トナー飛散が生じるのを抑制することができる現像装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、内部にトナーを収容し、潜像担持体の表面との対向箇所が開口した現像ケースと、互いに異なる電圧が印加される少なくとも2種類の電極部材を備え、上記現像ケースの開口を介して外周面の一部が露出するように配置されたトナー担持体と、トナー担持体の外周面と潜像担持体の表面とが対向する現像領域に対してトナー担持体回転方向下流側で上記現像ケースの内壁と上記トナー担持体の外周面との隙間を塞ぐように配置されるトナー漏れ防止部材とを有し、上記少なくとも2種類の電極部材に対して互いに異なる電圧を印加することによりトナーをホッピングさせるためのホッピング電界を上記トナー担持体の外周面上に形成し、上記現像ケース内のトナーを上記トナー担持体の外周面上に担持して該トナー担持体を回転させることにより、ホッピングした状態のトナーを現像領域へ搬送して該潜像担持体上の潜像に付着させることにより該潜像を現像する現像装置において、上記トナー漏れ防止部材は、上記トナー担持体の外周面上における鉛直方向最上地点よりもトナー担持体回転方向下流側に位置する該トナー担持体の外周面部分であって、かつ、鉛直方向上側を向いている外周面部分と最近接するように配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、トナー漏れ防止部材とトナー担持体の外周面との最近接箇所(トナー漏れ防止部材がトナーを介してトナー担持体の外周面に当接する箇所。以下「入口シール箇所」という。)が、トナー担持体の外周面上における鉛直方向最上地点よりもトナー担持体回転方向下流側の箇所であって、かつ、トナー担持体外周面が鉛直方向上側を向いている箇所となる。これにより、この入口シール箇所のトナー担持体回転方向上流側に隣接するトナー滞留領域で滞留するトナーは、その自重により、トナー担持体外周面に近づく方向へ移動する。これにより、トナー滞留領域で滞留したトナーについて、トナー担持体表面から離れる方向に向かって移動するような挙動が抑制される結果、トナー飛散が抑制される。
【0011】
また、トナー滞留領域で滞留するトナーは、そのトナー量が増えることで十分なホッピングができない状態になり、その結果、トナー担持体の回転に追従してトナー担持体回転方向下流側へ移動しやすくなる。更に、本発明においては、トナー滞留領域で滞留するトナーは、その自重により、入口シール箇所へ近づく方向へ移動するので、徐々に入口シール箇所を通過して現像ケース内に進入することになる。したがって、トナー滞留領域で滞留するトナーの量が増大してトナー担持体上からこぼれ落ちるような事態は発生しない。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明によれば、フレア現像方式の現像装置において、現像領域を通過したトナー担持体上のトナーがトナー漏れ防止部材に接触する場合でも、トナー飛散が生じるのを抑制することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】同画像形成装置における感光体と現像装置とを示す概略構成図である。
【図3】構成例1におけるトナー担持ローラの電極配置を説明するためにトナー担持ローラを回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図である。
【図4】同トナー担持ローラを、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
【図5】構成例2におけるトナー担持ローラの電極配置を説明するための斜視図である。
【図6】同トナー担持ローラを、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
【図7】同トナー担持ローラの電極配置を平面展開した説明図である。
【図8】トナー担持ローラに設けられる2種類の電極にそれぞれ印加する電圧の一例を示すグラフである。
【図9】トナー担持ローラに設けられる2種類の電極にそれぞれ印加する電圧の他の例を示すグラフである。
【図10】トナー担持ローラに設けられる2種類の電極にそれぞれ印加する電圧の更に他の例を示すグラフである。
【図11】同現像装置の入口隙間近傍を拡大した説明図である。
【図12】入口シール箇所に対してトナー担持ローラ回転方向上流側近傍に、ホッピング抑制電界を形成するための導電部材を配置した例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
本実施形態に係る画像形成装置は、フレア現像方式の現像装置を利用して構成され、潜像担持体としての感光体49Y,49M,49C,49K上に各色のトナー像を形成し、これらを中間転写体としての中間転写ベルト48上で重ねてカラー画像を形成するタンデム型の画像形成装置である。なお、イエロー用の部材には符号に「Y」を付し、マゼンタ用の部材には符号に「M」を付し、シアン用の部材には符号に「C」を付し、ブラック用の部材には符号に「K」を付す。
【0015】
イエローのトナー像を感光体49Yに形成する場合、まず、回転駆動する感光体49Yの表面を帯電装置41Yによって一様に帯電する帯電処理を行う。帯電処理がなされた感光体49Yの表面部分には、潜像形成手段としての露光装置42によって、イエロー用の画像情報に応じた書込光が照射され、これにより静電潜像が形成される。感光体49Yの表面上に形成された静電潜像には、現像装置1Yと対向する現像領域においてイエロートナーが供給され、静電潜像に付着したイエロートナーによりイエロー用トナー像が形成される。他色のトナー像についても、イエローと同様の方法により形成される。
【0016】
このようにして、各感光体49Y,49M,49C,49K上に形成された各色トナー像は、中間転写ベルト48と対向する一次転写領域において、図示しない電源から一次転写バイアスが印加される一次転写手段としての各色の一次転写ローラ43Y,43M,43C,43Kにより、互いに重なり合うように、中間転写ベルト48上へ順次転写される。これにより、中間転写ベルト48上にカラートナー像が形成される。この一次転写時に一次転写されずに感光体49Y上に残留したイエロートナーは、クリーニング手段としてのクリーニング装置44Yによって感光体49Y上から除去される。他色の残留トナーについても、イエローと同様の方法により除去される。
【0017】
また、中間転写ベルト48上のカラートナー像が二次転写領域に到達するタイミングに合わせて、画像形成装置下部に配置された給紙装置から記録材としての記録紙が給送される。この記録紙は、図示しない電源から二次転写バイアスが印加される二次転写手段としての二次転写ローラ45と中間転写ベルト48を介して対向する二次転写領域に搬送される。二次転写ローラ45は、中間転写ベルト48の内周面に当接して中間転写ベルト48を張架支持する支持ローラの1つであり、中間転写ベルト48上のカラートナー像は、二次転写領域において、記録紙上に二次転写される。二次転写時に二次転写されずに中間転写ベルト48上に残留したトナーは、クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置47によって中間転写ベルト48上から除去される。一方、カラートナー像が転写された記録紙は、定着装置46によりカラートナー像が定着されて記録紙上にカラー画像が形成され、画像形成装置外部へ排出される。
【0018】
本実施形態では、画像形成装置の一例として、複数の潜像担持体を使用したタンデム型の画像形成装置について説明したが、どのような方式のものでもよい。例えば、1つの潜像担持体上に各色トナー像を順番に形成し、各トナー像を中間転写体上に重ねて転写することで中間転写体上にカラートナー像を形成する方式や、1つの潜像担持体上で各色トナー像を互いに重ね合わせて形成し、その重ね合わせトナー像を中間転写体や記録材上に直接転写する方式などであってもよい。
【0019】
次に、本実施形態における現像装置の構成及び動作について説明する。
なお、各色の現像装置は、使用するトナーの色が異なるだけでその基本構成は同一であるため、以下の説明では、色分け符号を省略して説明する。
本実施形態で使用するトナーは、重合法で作成されたものを用い、平均粒径が5.2[μm]であり、円形度が0.98であり、安息角が33[°]であり、外添剤としてチタン酸ストロンチュームを含有しているトナーを使用している。
【0020】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置における感光体49と現像装置1とを示す概略構成図である。
ドラム状の感光体49は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。そして、この感光体49の図中左側方には、トナー担持体であるトナー担持ローラ2を有する現像装置1が配設されている。現像装置1は、現像ケース11の内部に、図中反時計回りに回転駆動されるパドルスクリュー14を備えたトナー収容部15を備えている。このトナー収容部15には、マイナス帯電性のトナーが収容されている。
【0021】
トナー供給ローラ18は、図中反時計回り方向に回転駆動されるローラ状部材であり、トナー供給ローラ18の表面によって汲み上げられたトナーは、トナー供給ローラ18の回転に伴って搬送される。トナー供給ローラ18の図中右側方では、トナー担持ローラ2がトナー供給ローラと当接した状態で回転駆動されている。トナー供給ローラ18上のトナーは、トナー担持ローラ2との摺擦やトナー供給ローラ18とトナー担持ローラ2との電位差などの作用を受けて、トナー担持ローラ2の表面上に供給される。
【0022】
トナー担持ローラ2は、現像装置1の現像ケース11に設けられた開口から外周面の一部を露出させている。この露出箇所は、感光体49に対して数十〜数百[μm]の間隙を介して対向している。このようにトナー担持ローラ2と感光体49とが対向している領域が、本画像形成装置における現像領域となっている。
【0023】
トナー担持ローラ2の表面上に供給されたトナーは、後述する理由により、トナー担持ローラ2の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ2の回転に伴って、層厚均一化部材としての規制ブレード23との対向領域(規制領域)へ搬送される。本実施形態の規制ブレード23は、リン青銅やSUSまたは弾性ゴム等の材料で板状に形成されたものを現像ケース11に片持ち支持し、その自由端部をトナー担持ローラ2の外周面に対して10[N/m]以上100[N/m]以下の範囲内の当接圧力で当接させたものを使用しているが、これに限らず、例えばローラのものなどを使用してもよい。トナー担持ローラ2に担持されたトナーは、トナー担持ローラ2の外周面と規制ブレード23との間に挟まれながら規制領域を通過することにより、所望の層厚にトナー層が均一化されるとともに、トナーが摩擦帯電してトナーの帯電量が増加する。
【0024】
規制領域に進入する前におけるトナー担持ローラ2上のトナーの帯電量及びトナー量が適切であると、現像領域でのトナー飛散や地肌汚れが少なくて済む。好ましくは、規制ブレード進入前において、トナー担持ローラ2上のトナー帯電量は、10[μC/g]以上60[μC/g]以下の範囲が好ましく、トナー担持ローラ2上のトナー量は0.3[mg/cm2]以上1.0[mg/cm2]以下の範囲であることが好ましい。
【0025】
規制領域を通過したトナーは、トナー担持ローラ2の回転に伴って、ホッピング状態で現像領域へ搬送される。現像領域では、トナー担持ローラ2の平均表面電位と感光体49の表面電位との電位差に応じた現像電界の作用によって、トナー担持ローラ2上のトナーが感光体49の表面上の静電潜像部分に移動して現像処理が行われる。現像領域で感光体49の表面へ移動せずにトナー担持ローラ2上に残ったトナーは、トナー担持ローラ2の回転に伴って現像装置内に戻される。
【0026】
〔構成例1〕
次に、本実施形態におけるトナー担持ローラ2の具体的構成の一例(以下、本例を「構成例1」という。)について説明する。
図3は、本構成例1におけるトナー担持ローラ2の電極配置を説明するためにトナー担持ローラ2を回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図である。なお、説明の都合上、表層6や絶縁層5は図示していない。
図4は、本構成例1におけるトナー担持ローラ2を、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
本構成例1のトナー担持ローラ2は、中空状のローラ部材で構成されており、その内周側に位置する内周側電極部材としての内側電極3aと、外周側に位置していて内側電極3aへ印加される電圧(内側電圧)とは異なる電圧(外側電圧)が印加される外周側電極部材としての櫛歯状の外側電極4aとを備えている。また、内側電極3aと外側電極4aとの間にはこれらの間を絶縁するための絶縁層5が設けられている。また、外側電極4aの外周面側を覆う保護層としての表層6も設けられている。すなわち、本構成例1のトナー担持ローラ2は、内周側から順に、内側電極3a、絶縁層5、外側電極4a、表層6の4層構造となっている。
【0027】
内側電極3aは、トナー担持ローラ2の軸芯部材(基体)としても機能しており、SUSやアルミニウム等の導電性材料を円筒状に成型した金属ローラである。このほか、内側電極3aの構成としては、ポリアセタール(POM)やポリカーボネート(PC)等からなる樹脂ローラの表面にアルミニウムや銅などの金属層等からなる導電層を形成したものが挙げられる。この導電層の形成方法としては、金属メッキ、蒸着等により形成する方法や、ローラ表面に金属膜を接着する方法などが考えられる。
【0028】
内側電極3aの外周面側は絶縁層5に覆われている。本構成例1において、この絶縁層5は、ポリカーボネートやアルキッドメラミン等で形成されている。また、本構成例1において、絶縁層5の厚みは、3[μm]以上であるのが好ましい。3[μm]よりも小さくなると、内側電極3aと外側電極4aとの間の絶縁性が十分に保てなくなり、内側電極3aと外側電極4aとの間でリークが発生してしまう可能性が高くなる。一方、絶縁層5の厚みの好適範囲の上限値は、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界が表層6よりも外側に形成され、表層6の外側に強いフレア用電界(外部電界)を形成できる値に設定されることになる。本構成例1では、メラミン樹脂からなる絶縁層5の厚みを20[μm]としている。絶縁層5はスプレー法やディップ法等によって内側電極3a上に均一な膜厚で形成することができる。
【0029】
絶縁層5の上には外側電極4aが形成される。本構成例1において、この外側電極4aは、アルミニウム、銅、銀などの金属で形成されている。櫛歯状の外側電極4aの形成方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、絶縁層5の上にメッキや蒸着によって金属膜を形成し、フォトレジスト・エッチングによって櫛歯状の電極を形成するという方法が挙げられる。また、インクジェット方式やスクリーン印刷によって導電ペーストを絶縁層5の上に付着させて櫛歯状の電極を形成するという方法も考えられる。
【0030】
外側電極4a及び絶縁層5の外周面側は、表層6により覆われている。トナーは、表層6上でホッピングを繰り返す際、この表層6との接触摩擦によって帯電する。トナーに正規帯電極性(本実施形態ではマイナス極性)を与えるため、本構成例1では、表層6の材料として、シリコーン、ナイロン(登録商標)、ウレタン、アルキッドメラミン、ポリカーボネート等が使用される。本構成例1ではポリカーボネートを採用している。また、表層6は、外側電極4aを保護する役割も持ち合わせているので、表層6の膜厚としては、3[μm]以上であるのが好ましい。3[μm]よりも小さいと、経時使用による膜削れ等で外側電極4aが露出し、トナー担持ローラ2上に担持されたトナーやトナー担持ローラ2に接触するその他の部材を通じてリークしてしまうおそれがある。一方、表層6の厚みの好適範囲の上限値は、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界が表層6よりも外側に形成され、表層6の外側に強いフレア用電界を形成できる値に設定されることになる。表層6は、絶縁層5と同様にスプレー法やディッピング法等によって形成することができる。
【0031】
本構成例1では、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界、より詳しくは、内側電極3aの外側電極4aとは対向していない部分(外側電極4aの櫛歯間に位置する内側電極3aの部分)と外側電極4aの櫛歯部分との間で作られる電界が、表層6の外側に形成されることで、トナー担持ローラ2上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ2上のトナーは、内側電極3aに絶縁層5を介して対向した表層部分と、これに隣接する外側電極4aに対向した表層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。
【0032】
〔構成例2〕
次に、本実施形態におけるトナー担持ローラ2の具体的構成の他の例(以下、本例を「構成例2」という。)について説明する。
図5は、本構成例2におけるトナー担持ローラ2の電極配置を説明するための斜視図である。
図6は、本構成例2におけるトナー担持ローラ2を、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
図7は、本構成例2におけるトナー担持ローラ2の電極配置を平面展開した説明図である。
【0033】
上記構成例1では、トナー担持ローラ2の電極構成が、内側電極3aの上に絶縁層5を設け、その絶縁層上に櫛歯状の外側電極4aを形成した構成であったが、本構成例2では、2種類の電極をそれぞれ櫛歯状に形成して同心円上に配置し、互いの櫛歯部分が相手の櫛歯間に入り込むように構成したものである。
【0034】
本構成例2のトナー担持ローラ2は、支持基板7上に2種類の電極3c,4cが所定の間隔で配置され、その上に無機又は有機の絶縁性材料で形成した表面保護層6が積層されている。なお、図6において、各電極3c,4cから延びる線は、各電極3c,4cに電圧を印加するための導電線を示しており、各線の重なる部分のうち黒丸で示した部分だけが電気的に接続されており、他の部分は電気的に絶縁状態である。各電極3c,4cに対しては、本体側の電源25A,25Bから2相の異なる駆動電圧が印加される。
【0035】
トナー担持ローラ2は、トナーをホッピングさせるための電界を発生する2種類の電極群3c,4cを有し、偶数番目の電極群3cと奇数番目の電極群4cにそれぞれ図示しない駆動回路から、例えば逆位相の駆動波形が印加され、2相の電極間に時間周期的な電位差が形成される。
【0036】
トナー担持ローラ2の支持基板7としては、樹脂等の絶縁性材料、あるいはSUS等の導電性材料からなる基板にSiO2等の絶縁膜を成膜したもの等を適用できる。電極3c,4cは、支持基板7上に、Al、Cu、Ni−Cr等の導電性材料を0.1〜10[μm]の厚さ、好ましくは0.5〜2.0[μm]の厚さで成膜し、これをフォトリソグラフィ技術等で所要の電極形状にパターニングして形成している。
【0037】
トナー担持ローラ2上の電極幅L及び電極間隔Rは、トナーのホッピング効率に大きく影響する。なお、電極ピッチPは、P=R+Lで定義される。
電極3cと電極4cとの間にあるトナーはほぼ水平方向の電界により、トナー担持ローラ2の外周面に沿って隣接する電極3c,4cまで移動する。これに対して、電極3c,4cに近接したトナー担持ローラ2の外周面上に乗っているトナーは、少なくとも外周面の法線方向成分も持った初速が与えられることから、多くはトナー担持ローラ2の外周面から離れて飛翔する。特に、電極端面付近にあるトナーは、隣接電極を飛び越えて移動するため、電極幅Lが広い場合には、その電極上に乗っているトナーの数が多くなり、移動距離の大きいトナーが増える。ただし、電極幅Lが広すぎると、電極中央付近の電界強度が低下するためにトナーが電極に付着し、ホッピング効率が低下することになる。
【0038】
また、電極間隔Rは、距離と印加電圧との関係から電極間の電界強度を決定し、間隔Rが狭い程電界強度は当然強く、ホッピングの初速が得られやすい。しかし、電極から電極へ移動するようなトナーについては、一回の移動距離が短くなり、駆動周波数を高くしないとホッピングしている時間が短くなり、着地している時間が長くなる。この点を考慮して、低電圧で効率よくトナーを搬送、ホッピングするための適正な電極間隔が設定される。
【0039】
さらに、電極表面を覆う表面保護層6の厚さも電極表面の電界強度に影響を与え、特に垂直方向成分の電気力線への影響が大きく、ホッピングの効率を決定することをも見出した。したがって、トナー担持ローラ2の電極幅L、電極間隔R、表面保護層6の厚さの関係を適正に設定することによって、低電圧で効率的なホッピングを行うことができる。本構成例2では、電極幅Lはトナー平均粒径の1倍以上20倍以下とし、かつ、電極間隔Rもトナー平均粒径の1倍以上20倍以下としている。また、表面保護層6は、例えば、SiO2、BaTiO2、TiO2、TiO4、SiON、BN、TiN、Ta2O5等を適用でき、厚さは0.5〜10[μm]、好ましくは0.5〜3[μm]で形成している。
【0040】
また、表面保護層6の上にポリカーボネートなどの有機材料をコートしても良い。ジルコニア、あるいは二成分現像剤のキャリアのコート材料として一般的に使われる材料、例えばシリコーン系樹脂を選択することもできる。表面保護層6は、絶縁性、耐久性、トナー担持ローラ自体の製法、及び使用するトナーとの帯電列との関係から適宜選択される。
【0041】
本構成例2のトナー担持ローラ2の製法について説明する。
第1の製法例は、フレキシブルな電極パターンを形成し、それを支持ドラム(支持基板7)に巻きつけてトナー担持ローラ2を形成する方法である。フレキシブルなファインピッチ薄層電極を有する基板の一例としては、ポリイミドのベースフィルム(厚さ20〜100[μm])を基材として、その上に蒸着法によって0.1〜0.3[μm]のCu、Al、Ni−Cr等を成膜する。幅が30〜60[cm]のものであれば、ロール・トゥ・ロールの装置で製造可能であり、量産性が非常に高まる。共通バスラインは同時に幅1〜5[mm]程度の電極を形成する。
【0042】
この蒸着法の具体的手段としては、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法、イオンビーム法、等の方法が可能である。例えば、スパッタ法で電極を形成する場合において、ポリイミドとの密着性を向上させるため、Cr膜を介在させても良いし、プラズマ処理やプライマー処理によっても密着性を向上させることができる。
【0043】
また、蒸着法以外の工法としては、電着法によっても薄層電極を形成することができる。この場合は、上記ポリイミドの基材上に、まず、無電解メッキによって電極を形成する。塩化Sn、塩化Pd、塩化Niに順次浸漬して下地電極を形成した後、Ni電解液中で電解メッキを行ってNi膜1〜3[μm]をロール・トゥ・ロールで製造することが可能である。
【0044】
そして、これらの薄膜電極にレジスト塗布、パターニング、エッチングで電極を形成する。この場合、0.1〜3[μm]厚さの薄層電極であれば、フォトリソグラフィ、エッチング処理によって5[μm]〜数10[μm]幅又は間隔のファインパターン電極を精度良く形成することができる。
【0045】
次いで、表面保護層6として、SiO2 、BaTiO2、TiO2等を厚さ0.5〜2[μm]をスパッタ等により形成する。或いは、表面保護層6として、PI(ポリイミド)を厚さ2〜5[μm]にロールコータ、その他コーティング装置により塗布し、ベークして仕上げる。PIのままで支障を生じるときには、更に最表面にSiO2、その他無機膜を0.1〜0.5[μm]の厚みにスパッタ等で形成すればよい。
【0046】
このようなフレキシブル基板を構成することによって、円筒形状のドラムに貼り付けたり、或いは、部分的に曲面形状にしたりすることが容易に行える。
【0047】
第2の製法例としては、ポリイミドのベースフィルム(厚さ20〜100[μm])を基材として、その上に電極材料として、厚さ10〜20[μm]のCu、SUS等を使用することも可能である。この場合は、逆に金属材の上にポリイミドをロールコータにて20〜100[μm]塗布してベークする。その後、金属材をフォトリソグラフィ、エッチング処理によって電極の形状にパターン化し、その電極面上に保護層6としてポリイミドをコーティング、金属材電極の厚さ10〜20[μm]に応じた凹凸がある場合は平坦化して完成する。
【0048】
例えば、粘度50〜10000[cps]、より好ましくは100〜300[cps]のポリイミド系材料、ポリウレタン系材料をスピンコートして放置することによって、材料の表面張力によって基板の凹凸がスムージングされ、搬送部材最表面が平坦化される。
【0049】
第3の製法例は、フレキシブル基板の強度を上げた例として、基材として厚さ20〜30[μm]のSUS、Al材等を用いて、その表面に絶縁層(電極と基材との間の絶縁)として5[μm]程度の希釈したポリイミド材をロールコータによりコーティングする。そして、このポリイミドを例えば150[℃]、30分のプリベークし、350[℃]、60分のポストベークして、薄層ポリイミド膜を形成して支持基板とする。
【0050】
その後、密着性向上のプラズマ処理やプライマー処理を施した後、薄層電極層としてNi−Crを0.1〜0.2[μm]の厚みに蒸着し、フォトリソグラフィ、エッチングによって数10[μm]のファインパターンの電極を形成する。さらに、表面に前記SiO2、BaTiO2、TiO2等の表面保護層6を0.5〜1[μm]程度の厚みにスパッタにより形成することで、フレキシブル搬送部材を得ることができる。また、SiO2等の上にポリカーボネートなどの有機材料をコートしても良い。
【0051】
トナーを安定してクラウド化させるためには、相応する大きさのフレア用電界を形成することが重要となるが、このような大きなフレア用電界を形成するためにはトナー担持ローラ2に設けられる2種類の電極間に大きな電位差を形成する必要がある。しかし、このような大きな電位差を安定して形成するためには、これらの2種類の電極間を安定かつ有効に絶縁し、リークを防止することが重要である。
【0052】
上記構成例2のように、フレア用電界を形成するための2種類の電極3c,4cをそれぞれ櫛歯状に形成して同心円上に配置し、互いの櫛歯部分が相手の櫛歯間に入り込むように構成した場合、その櫛歯状電極の形成品質が悪いと、2種類の電極3c,4c間の絶縁性が著しく低下し、リークが起きやすい。具体的には、例えば、エッチングで電極形成する場合には除去すべき金属膜の一部が残存していたり、インクジェット法やスクリーン印刷法で電極形成する場合には電極間に導電ペーストが付着してしまったりする事態が起こり得る。このような事態が生じると、2種類の電極3c,4c間でリークが起きやすいなり、適正なフレア用電界を形成することができなくなる。また、ローラの樹脂表面上に櫛歯状電極を高い品質で形成したとしても、2種類の櫛歯状電極3c,4cを形成した後にその外周面側を絶縁材で覆うことにより電極間に絶縁材を充填して電極間の絶縁性を得るため、電極間にはローラの樹脂表面と絶縁材との界面が形成され、この界面を通じたリークが生じやすく、比較的大きな電圧を印加すると電極間の絶縁性が著しく低下する。
【0053】
これに対し、上記構成例1は、内側電極3aの上に絶縁層5を設け、その絶縁層上に櫛歯状の外側電極4aを形成した構成であるため、これらの電極間にリークの原因となり得るような界面は存在しない。また、トナー担持ローラ2の製造段階において、リークの原因となり得る導電材が電極間に介在する可能性も非常に少なくできる。したがって、本構成例1によれば、内側電極3aと外側電極4aとの間を安定かつ有効に絶縁することができ、比較的大きな電圧を印加する場合でもリークを効果的に防止することができる。以下の説明では、構成例1のトナー担持ローラ2を用いて説明するが、構成例2のトナー担持ローラ2であっても同様である。
【0054】
次に、内側電極3a及び外側電極4aに印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ2上の内側電極3a及び外側電極4aには、それぞれパルス電源25A,25Bから第1電圧である内側電圧及び第2電圧である外側電圧が印加される。パルス電源25A,25Bが印加する内側電圧及び外側電圧は、矩形波が最も適している。ただし、これに限らず、例えばサイン波で三角波でもよい。また、本実施形態では、フレア用電極を形成するための電極が内側電極3a及び外側電極4aの2相構成であり、各電極3a,4aには互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0055】
図8は、内側電極3a及び外側電極4aにそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフである。
本実施形態において、各電圧は矩形波であり、内側電極3aと外側電極4aにそれぞれ印加される内側電圧と外側電圧は、互いに位相がπだけズレた同じ大きさ(ピークツーピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、内側電極3aと外側電極4aとの間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表層6の外側に形成されるフレア用電界によって表層6上をトナーがホッピングする。本実施形態において、Vppは100[V]以上2000[V]以下の範囲内であるのが好ましい。Vppが100[V]より小さいと、十分なフレア用電界を表層6上に形成できず、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。一方、Vppが2000[V]より大きいと、経時使用により電極間でリークが発生する可能性が高くなる。本実施形態では、Vppを500[V]に設定している。
また、本実施形態において、内側電圧と外側電圧の中心値V0は、画像部電位(静電潜像部分の電位)と非画像部電位(地肌部分の電位)との間に設定され、現像条件によって適宜変動する。
【0056】
本実施形態において、内側電圧と外側電圧の周波数fは、0.1[kHz]以上10[kHz]以下であるのが好ましい。0.1[kHz]より小さいと、トナーのホッピングが現像速度に追いつかなくなるおそれがある。一方、10[kHz]より大きいと、トナーの移動が電界の切り替わりに追従できなくなり、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。本実施形態では、周波数fを500[Hz]に設定している。
【0057】
図9は、内側電極3a及び外側電極4aへ印加する内側電圧と外側電圧の他の例を示すグラフである。
この例では、内側電極3aについては、図8に示したものと同様の内側電圧が印加されるが、外側電極4aについては、直流電圧が印加される。この場合、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、この例におけるVppの好適な範囲は、200[V]以上4000[V]以下である。この例によれば、内側電極3aと外側電極4aとの位相差を考慮する必要がなく、電源コストが安くなる。
【0058】
図10は、内側電極3a及び外側電極4aへ印加する内側電圧と外側電圧の更に他の例を示すグラフである。
この例では、外側電極4aについては、図8に示したものと同様の内側電圧が印加されるが、内側電極3aについては、直流電圧が印加される。この場合も、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、この例におけるVppの好適な範囲は、200[V]以上4000[V]以下である。この例も、内側電極3aと外側電極4aとの位相差を考慮する必要がなく、電源コストが安くなる。
【0059】
次に、本発明の特徴部分である、現像上シール部材12の配置について説明する。
図11は、本実施形態における現像装置の入口隙間近傍を拡大した説明図である。
本実施形態においては、現像ケース11の開口から露出したトナー担持ローラ2の表面部分(表面露出部分)に対してトナー担持体回転方向下流側に位置する現像ケースの開口縁部11aとトナー担持ローラ2の外周面との隙間(入口隙間)を塞ぐように、トナー漏れ防止部材としての現像上シール部材12が設けられている。この現像上シール部材12が入口隙間を塞いでいることにより、その入口隙間から現像ケース11内のトナーが漏れ出て現像装置外部へ飛散するのを防止している。
【0060】
ここで、本実施形態のようなフレア現像方式の現像装置においては、トナー担持ローラ2上のトナーがホッピングしているため、トナー担持ローラ2とトナーとの付着力が小さい。そのため、現像上シール部材12と接触したトナーの中には、現像上シール部材12とトナー担持ローラ2の外周面との最近接箇所(現像上シール部材12がトナーを介してトナー担持ローラ2の外周面に当接する箇所)である入口シール箇所Eを通過できないトナーが発生する。その結果、入口シール箇所Eを通過できないトナーは、この入口シール箇所Eに対してトナー担持ローラ回転方向上流側に隣接するトナー滞留領域Dに滞留し、このトナーがトナー担持ローラ回転方向上流側に向かって移動して現像ケースから遠ざかると、トナー飛散が引き起こされる。
【0061】
本実施形態における現像上シール部材12は、図11に示すように、トナー担持ローラ2の外周面上における鉛直方向最上地点Hよりもトナー担持ローラ回転方向下流側に位置するトナー担持ローラ外周面部分であって、かつ、鉛直方向上側を向いている外周面部分と最近接するように配置されている。よって、本実施形態の入口シール箇所Eのトナー担持ローラ回転方向上流側に隣接するトナー滞留領域Dに滞留するトナーは、その自重により、トナー担持ローラ外周面に近づく方向、かつ、入口シール箇所Eへ近づく方向へ移動する。これにより、トナー滞留領域Dで滞留したトナーについては、トナー担持ローラ回転方向上流側に向かって移動するようなトナーの挙動が抑制される。よって、トナー飛散が抑制される。
【0062】
しかも、本実施形態においては、トナー滞留領域Dで滞留するトナーは、その量が増えることで十分なホッピングができない状態となり、その結果、トナー担持ローラ2の回転に追従してトナー担持ローラ回転方向下流側へ移動しやすくなる。加えて、トナー滞留領域Dで滞留するトナーは、その自重により、入口シール箇所Eへ近づく方向へ移動する。よって、トナー滞留領域Dで滞留するトナーは、徐々に入口シール箇所Eを通過して現像ケース11内に進入することになる。したがって、トナー滞留領域Dに大量のトナーが滞留するような事態は発生せず、トナー滞留領域Dに滞留したトナーがトナー担持ローラ2上からこぼれ落ちてトナー飛散が発生するような事態は生じない。
【0063】
また、本実施形態の現像上シール部材12は、現像ケース11に片持ち支持されたシート状部材であり、その自由端が支持部に対してトナー担持ローラ2の回転方向下流側に位置するように設けられている。そして、トナー担持ローラ2の回転方向上流側を向いた現像上シール部材12の面(トナー担持ローラ2の外周面と対向する面)が、トナーを介してトナー担持ローラ2の外周面に腹当たりするように配置されている。このような構成により、トナー滞留領域Dは、現像上シール部材12の面とトナー担持ローラ2の外周面とによって囲まれた楔形状となり、入口シール箇所Eを通過できなかったトナーをその楔形状内に保持することができ、トナー飛散を抑制できる。
【0064】
また、図12に示すように、トナー滞留領域D内のトナーが入口シール箇所Eを通過するのを促進させるために、入口シール箇所Eに対してトナー担持ローラ回転方向上流側近傍に、トナーのホッピングを抑制するホッピング抑制電界を形成するホッピング抑制手段を設けてもよい。
【0065】
図12に示すホッピング抑制手段は、入口シール箇所Eのトナー担持ローラ回転方向上流側近傍でトナー担持ローラ2の外周面と対向するように、導電部材である導電ワイヤー13を、トナー担持ローラ2の回転軸方向にわたって配置したものである。この導電ワイヤー13には、マイナス極性(正規帯電極性)に帯電したトナーを導電ワイヤー13側からトナー担持ローラ2の外周面側へ向かう方向へ移動させるホッピング抑制電界が形成されるような交流電圧又は直流電圧が印加される。例えば、導電ワイヤー13の平均電位がトナー担持ローラ2に設けられた2種類の電極3a,4aに印加されるバイアスの平均電位に対して小さくなるような交流バイアスを印加する。このようにしてホッピング抑制電界を形成することで、トナー滞留領域Dに存在するトナーのホッピングが抑制され、トナー滞留領域D内におけるトナーの入口シール箇所Eの通過を促進させることができる。
【0066】
具体的な構成について例示すれば、以下のとおりである。
導電ワイヤー13として、直径60[μm]のものを用い、導電ワイヤー13とトナー担持ローラ2の外周面との最近接部のギャップが50[μm]となるように配置する。トナー担持ローラ2として上記構成例2に示したものを用い、各電極群3c,4cに対し、オフセット電圧が−300[V]で、周波数が2[kHz]で、ピークツーピーク電圧が600[V]の矩形波バイアスを印加した場合、導電ワイヤー13の平均電位がトナー担持ローラ2に設けられた2種類の電極3a,4aに印加されるバイアスの平均電位に対して小さくなるような交流バイアスを導電ワイヤー13に印加する。本実施形態のように、導電部材として細いワイヤー部材を用いることにより、必要最小限の領域にのみホッピング抑制電界を発生させることができる。
【0067】
なお、トナーの正規帯電極性がプラス極性である場合には、導電ワイヤー13の平均電位がトナー担持ローラ2に設けられた2種類の電極3a,4aに印加されるバイアスの平均電位に対して大きくなるような交流バイアス又は直流バイアスを導電ワイヤー13に印加すればよい。
【0068】
このようにして、入口シール箇所Eを通過して現像ケース11内に収容されたトナー担持ローラ2上のトナーは、トナー供給ローラ18との当接位置でトナー担持ローラ2上から回収される。このとき、トナー担持ローラ2上のトナーはホッピングしているため、トナー担持ローラ2とトナーとの付着力が小さく、容易にトナー担持ローラ2上からトナーを回収できる。
【0069】
なお、本実施形態では、ホッピング抑制手段の導電部材として、ワイヤー部材を用いた例について説明したが、板状部材であってもよい。この場合の具体的な構成の例としては、トナー担持ローラ2として上記構成例2に示したものを用い、各電極群3c,4cに対し、オフセット電圧が−300[V]で、周波数が1[kHz]で、ピークツーピーク電圧が500[V]の矩形波バイアスを印加する。
【0070】
また、ホッピング抑制手段の導電部材として、導電性材料で形成された現像上シール部材12を用い、この現像上シール部材12に所定の電圧を印加してホッピング抑制電界を形成するようにしてもよい。
【0071】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
内部にトナーを収容し、感光体49等の潜像担持体の表面との対向箇所が開口した現像ケース11と、互いに異なる電圧が印加される少なくとも2種類の電極部材3a,4a,3c,4cを備え、現像ケース11の開口を介して外周面の一部が露出するように配置されたトナー担持ローラ2等のトナー担持体と、トナー担持体の外周面と潜像担持体の表面とが対向する現像領域に対してトナー担持体回転方向下流側で現像ケース11の内壁とトナー担持体の外周面との隙間(入口隙間)を塞ぐように配置される現像上シール部材12等のトナー漏れ防止部材とを有し、上記少なくとも2種類の電極部材に対して互いに異なる電圧を印加することによりトナーをホッピングさせるためのホッピング電界を上記トナー担持体の外周面上に形成し、上記現像ケース11内のトナーを上記トナー担持体の外周面上に担持して該トナー担持体を回転させることにより、ホッピングした状態のトナーを現像領域へ搬送して該潜像担持体上の潜像に付着させることにより該潜像を現像する現像装置において、上記トナー漏れ防止部材は、上記トナー担持体の外周面上における鉛直方向最上地点Hよりもトナー担持体回転方向下流側に位置する該トナー担持体の外周面部分であって、かつ、鉛直方向上側を向いている外周面部分と最近接するように配置されていることを特徴とする。
これによれば、上述したように、フレア現像方式の現像装置のようにトナー担持体とトナーとの付着力が小さくてトナー漏れ防止部材に接触したトナーが現像ケース11内に進入しにくい場合でも、トナー漏れ防止部材により現像ケースへの進入を阻止されたトナーの飛散が生じるのを抑制できる。
【0072】
(態様B)
上記態様Aにおいて、上記トナー漏れ防止部材は、上記現像ケース11に支持されたシート状部材である。
これによれば、簡易な構成で、トナー漏れ防止部材を実現できる。
【0073】
(態様C)
上記態様A又はBにおいて、上記トナー漏れ防止部材を導電性材料で形成し、該トナー漏れ防止部材に所定の電圧を印加してトナーのホッピングを抑制するホッピング抑制電界を形成するホッピング抑制手段を有することを特徴とする。
これによれば、ホッピングが抑制されたトナーがトナー担持体の回転に追従してトナー漏れ防止部材とトナー担持体表面との間の入口シール箇所Eを通過しやすくなるので、トナー飛散が更に抑制される。
【0074】
(態様D)
上記態様A又はBにおいて、上記トナー漏れ防止部材と上記トナー担持体との最近接箇所である入口シール箇所Eに対してトナー担持体回転方向上流側近傍(トナー滞留領域D)にトナーのホッピングを抑制するホッピング抑制電界を形成するホッピング抑制手段を有することを特徴とする。
これによれば、ホッピングが抑制されたトナーがトナー担持体の回転に追従してトナー漏れ防止部材とトナー担持体表面との間の入口シール箇所Eを通過しやすくなるので、トナー飛散が更に抑制される。
【0075】
(態様E)
上記態様Dにおいて、上記ホッピング抑制手段は、上記トナー漏れ防止部材と上記トナー担持体との最近接箇所に対してトナー担持体回転方向上流側近傍(トナー滞留領域D)で該トナー担持体の外周面と対向配置された導電ワイヤー13等の導電部材に所定の電圧を印加することにより上記ホッピング抑制電界を形成するものであり、上記導電部材に印加される電圧は、正規帯電極性に帯電したトナーを上記導電部材から上記トナー担持体の外周面へ向かう方向へ移動させるホッピング抑制電界を形成する交流電圧又は直流電圧であることを特徴とする。
これによれば、簡易な構成で、トナーのホッピングを抑制でき、トナー飛散の抑制を図ることができる。
【0076】
(態様F)
上記態様D又はEにおいて、上記導電部材は、上記トナー担持体の外周面と所定のギャップを介して対向配置される板状部材であることを特徴とする。
これによれば、トナー滞留領域Dという狭い領域に導電部材を配置することが容易となる。
【0077】
(態様G)
上記態様D又はEにおいて、上記導電部材は、上記トナー担持体の外周面と所定のギャップを介して対向配置される導電ワイヤー13等のワイヤー部材であることを特徴とする。
これによれば、トナー滞留領域Dという狭い領域に導電部材を配置することが容易となるだけでなく、必要最小限の範囲にだけホッピング抑制電界を形成できる。
【0078】
(態様H)
感光体49等の潜像担持体の潜像にトナーを付着させることにより該潜像を現像し、これによる得られたトナー像を最終的に記録材に転移させて画像形成を行う画像形成装置において、上記潜像担持体上の潜像を現像する手段として、上記態様A〜Gのいずれかの態様に係る現像装置を用いたことを特徴とする。
これによれば、画像形成装置内のトナー飛散を抑制できる。
【符号の説明】
【0079】
1 現像装置
2 トナー担持ローラ
3a 内側電極
4a 外側電極
3c,4c 電極
5 絶縁層
6 表層
7 支持基板
11 現像ケース
12 現像上シール部材
13 導電ワイヤー
18 トナー供給ローラ
23 規制ブレード
25A,25B 電源
48 中間転写ベルト
49Y,49M,49C,49K 感光体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2009−036929号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー担持体上のトナーを現像領域へ搬送して潜像担持体上の潜像に付着させることにより潜像を現像する現像装置、及び、この現像装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の現像装置としては、トナー担持体表面や磁性キャリアに吸着させたトナーを現像に用いるのではなく、トナー担持体の外周面上でホッピングさせたトナーを現像に用いるフレア現像方式を採用したものが知られている。例えば、特許文献1に記載の現像装置は、周方向に所定のピッチで配設された複数の電極を具備する筒状のトナー担持体を有している。これら電極は、互いに隣り合う2つの電極からなる電極対が繰り返し配設されたものである。それぞれの電極対における2つの電極の間には交番電界が形成される。これにより、電極対における一方の電極の上に位置していたトナーが浮上して他方の電極の上に着地したり、他方の電極の上から浮上して一方の電極の上に着地したりするといったホッピングの挙動を示す。
【0003】
このようなホッピングを繰り返しながら、トナー担持体上のトナーはトナー担持体の回転駆動に伴う表面移動よって現像領域まで搬送される。現像領域では、潜像担持体上の潜像の近傍まで浮上したトナーが、トナー担持体の電極に向けて下降することなく、潜像による電界に引かれて潜像に付着する。かかる構成では、トナー担持体表面や磁性キャリアなどに吸着しているトナーではなく、ホッピングによって吸着力を発揮していないトナーを現像に用いる。これにより、従来の一成分現像方式や二成分現像方式では実現が望めなかったほどの低電位現像を実現することができる。例えば、周囲の非画像部との電位差が僅か数十[V]である静電潜像にトナーを選択的に付着させることも可能である。
【0004】
このような現像装置では、現像ケース内に配置されたトナー担持体の表面が潜像担持体と対向できるように、現像ケースに設けられた開口からトナー担持体の表面の一部分(トナー担持体回転方向における一部分)が露出するように構成されている。このような構成においては、現像ケースの開口縁部とトナー担持体の表面との間に隙間が形成されるため、その隙間から現像ケース内のトナーが漏れ出て現像装置外部へ飛散するおそれがある。そのため、上記特許文献1に記載の現像装置のように、トナー担持体の表面露出部分に対してトナー担持体回転方向下流側に位置する開口縁部とトナー担持体の表面との隙間(入口隙間)を塞いでトナーの漏れを防止するシール部材などのトナー漏れ防止部材が設けられている。
【0005】
トナー担持体の表面露出部分に対してトナー担持体回転方向上流側に位置する開口縁部とトナー担持体の表面との間にも隙間(出口隙間)は存在するが、この隙間と現像ケースの内部空間との間には、現像領域へ搬送するトナー量を規制するための層厚規制部材がトナー担持体の表面に当接配置されている。そのため、現像ケース内部のトナーがこの隙間から漏れ出ることは少ないので、上記特許文献1に記載の現像装置のように、入口隙間だけにトナー漏れ防止部材を設けることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、入口隙間にトナー漏れ防止部材が設けられた現像装置においては、現像領域を通過した後におけるトナー担持体表面上のトナーが現像ケース内に進入する際に、トナー担持体表面上のトナーがトナー漏れ防止部材と接触する。このとき、トナー担持体表面や磁性キャリアに吸着させたトナーを現像に用いる一般的な現像方式(非フレア現像方式)の場合には、トナー担持体上のトナーとトナー担持体表面との間の付着力、あるいは、トナー担持体上のトナーとトナー担持体上に磁気的に拘束された磁性キャリアとの間の付着力が大きい。この場合、トナー担持体表面上のトナーは、現像ケース内に進入する際にトナー漏れ防止部材と接触しても、トナー担持体の回転に追従して、トナー漏れ防止部材とトナー担持体表面との間を通過して現像ケース内へ進入することができる。
【0007】
しかしながら、フレア現像方式の現像装置は、トナー担持体表面上をトナーがホッピングした状態となっており、上述したとおり、トナー担持体表面とトナーとの付着力が小さい。そのため、トナー担持体表面上のトナーの中には、現像ケース内への進入する際にトナー漏れ防止部材と接触してトナー漏れ防止部材に堰き止められ、現像ケース内へ進入することができないものが存在する。このようにトナー漏れ防止部材に堰き止められたトナーが、その自重や画像形成装置内の気流などの作用により、トナー担持体表面から離れる方向へ移動する挙動を示すと、画像形成装置内にトナーが飛散するという問題が発生する。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、フレア現像方式の現像装置において、現像領域を通過したトナー担持体上のトナーがトナー漏れ防止部材に接触する場合でも、トナー飛散が生じるのを抑制することができる現像装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、内部にトナーを収容し、潜像担持体の表面との対向箇所が開口した現像ケースと、互いに異なる電圧が印加される少なくとも2種類の電極部材を備え、上記現像ケースの開口を介して外周面の一部が露出するように配置されたトナー担持体と、トナー担持体の外周面と潜像担持体の表面とが対向する現像領域に対してトナー担持体回転方向下流側で上記現像ケースの内壁と上記トナー担持体の外周面との隙間を塞ぐように配置されるトナー漏れ防止部材とを有し、上記少なくとも2種類の電極部材に対して互いに異なる電圧を印加することによりトナーをホッピングさせるためのホッピング電界を上記トナー担持体の外周面上に形成し、上記現像ケース内のトナーを上記トナー担持体の外周面上に担持して該トナー担持体を回転させることにより、ホッピングした状態のトナーを現像領域へ搬送して該潜像担持体上の潜像に付着させることにより該潜像を現像する現像装置において、上記トナー漏れ防止部材は、上記トナー担持体の外周面上における鉛直方向最上地点よりもトナー担持体回転方向下流側に位置する該トナー担持体の外周面部分であって、かつ、鉛直方向上側を向いている外周面部分と最近接するように配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、トナー漏れ防止部材とトナー担持体の外周面との最近接箇所(トナー漏れ防止部材がトナーを介してトナー担持体の外周面に当接する箇所。以下「入口シール箇所」という。)が、トナー担持体の外周面上における鉛直方向最上地点よりもトナー担持体回転方向下流側の箇所であって、かつ、トナー担持体外周面が鉛直方向上側を向いている箇所となる。これにより、この入口シール箇所のトナー担持体回転方向上流側に隣接するトナー滞留領域で滞留するトナーは、その自重により、トナー担持体外周面に近づく方向へ移動する。これにより、トナー滞留領域で滞留したトナーについて、トナー担持体表面から離れる方向に向かって移動するような挙動が抑制される結果、トナー飛散が抑制される。
【0011】
また、トナー滞留領域で滞留するトナーは、そのトナー量が増えることで十分なホッピングができない状態になり、その結果、トナー担持体の回転に追従してトナー担持体回転方向下流側へ移動しやすくなる。更に、本発明においては、トナー滞留領域で滞留するトナーは、その自重により、入口シール箇所へ近づく方向へ移動するので、徐々に入口シール箇所を通過して現像ケース内に進入することになる。したがって、トナー滞留領域で滞留するトナーの量が増大してトナー担持体上からこぼれ落ちるような事態は発生しない。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明によれば、フレア現像方式の現像装置において、現像領域を通過したトナー担持体上のトナーがトナー漏れ防止部材に接触する場合でも、トナー飛散が生じるのを抑制することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】同画像形成装置における感光体と現像装置とを示す概略構成図である。
【図3】構成例1におけるトナー担持ローラの電極配置を説明するためにトナー担持ローラを回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図である。
【図4】同トナー担持ローラを、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
【図5】構成例2におけるトナー担持ローラの電極配置を説明するための斜視図である。
【図6】同トナー担持ローラを、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
【図7】同トナー担持ローラの電極配置を平面展開した説明図である。
【図8】トナー担持ローラに設けられる2種類の電極にそれぞれ印加する電圧の一例を示すグラフである。
【図9】トナー担持ローラに設けられる2種類の電極にそれぞれ印加する電圧の他の例を示すグラフである。
【図10】トナー担持ローラに設けられる2種類の電極にそれぞれ印加する電圧の更に他の例を示すグラフである。
【図11】同現像装置の入口隙間近傍を拡大した説明図である。
【図12】入口シール箇所に対してトナー担持ローラ回転方向上流側近傍に、ホッピング抑制電界を形成するための導電部材を配置した例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
本実施形態に係る画像形成装置は、フレア現像方式の現像装置を利用して構成され、潜像担持体としての感光体49Y,49M,49C,49K上に各色のトナー像を形成し、これらを中間転写体としての中間転写ベルト48上で重ねてカラー画像を形成するタンデム型の画像形成装置である。なお、イエロー用の部材には符号に「Y」を付し、マゼンタ用の部材には符号に「M」を付し、シアン用の部材には符号に「C」を付し、ブラック用の部材には符号に「K」を付す。
【0015】
イエローのトナー像を感光体49Yに形成する場合、まず、回転駆動する感光体49Yの表面を帯電装置41Yによって一様に帯電する帯電処理を行う。帯電処理がなされた感光体49Yの表面部分には、潜像形成手段としての露光装置42によって、イエロー用の画像情報に応じた書込光が照射され、これにより静電潜像が形成される。感光体49Yの表面上に形成された静電潜像には、現像装置1Yと対向する現像領域においてイエロートナーが供給され、静電潜像に付着したイエロートナーによりイエロー用トナー像が形成される。他色のトナー像についても、イエローと同様の方法により形成される。
【0016】
このようにして、各感光体49Y,49M,49C,49K上に形成された各色トナー像は、中間転写ベルト48と対向する一次転写領域において、図示しない電源から一次転写バイアスが印加される一次転写手段としての各色の一次転写ローラ43Y,43M,43C,43Kにより、互いに重なり合うように、中間転写ベルト48上へ順次転写される。これにより、中間転写ベルト48上にカラートナー像が形成される。この一次転写時に一次転写されずに感光体49Y上に残留したイエロートナーは、クリーニング手段としてのクリーニング装置44Yによって感光体49Y上から除去される。他色の残留トナーについても、イエローと同様の方法により除去される。
【0017】
また、中間転写ベルト48上のカラートナー像が二次転写領域に到達するタイミングに合わせて、画像形成装置下部に配置された給紙装置から記録材としての記録紙が給送される。この記録紙は、図示しない電源から二次転写バイアスが印加される二次転写手段としての二次転写ローラ45と中間転写ベルト48を介して対向する二次転写領域に搬送される。二次転写ローラ45は、中間転写ベルト48の内周面に当接して中間転写ベルト48を張架支持する支持ローラの1つであり、中間転写ベルト48上のカラートナー像は、二次転写領域において、記録紙上に二次転写される。二次転写時に二次転写されずに中間転写ベルト48上に残留したトナーは、クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置47によって中間転写ベルト48上から除去される。一方、カラートナー像が転写された記録紙は、定着装置46によりカラートナー像が定着されて記録紙上にカラー画像が形成され、画像形成装置外部へ排出される。
【0018】
本実施形態では、画像形成装置の一例として、複数の潜像担持体を使用したタンデム型の画像形成装置について説明したが、どのような方式のものでもよい。例えば、1つの潜像担持体上に各色トナー像を順番に形成し、各トナー像を中間転写体上に重ねて転写することで中間転写体上にカラートナー像を形成する方式や、1つの潜像担持体上で各色トナー像を互いに重ね合わせて形成し、その重ね合わせトナー像を中間転写体や記録材上に直接転写する方式などであってもよい。
【0019】
次に、本実施形態における現像装置の構成及び動作について説明する。
なお、各色の現像装置は、使用するトナーの色が異なるだけでその基本構成は同一であるため、以下の説明では、色分け符号を省略して説明する。
本実施形態で使用するトナーは、重合法で作成されたものを用い、平均粒径が5.2[μm]であり、円形度が0.98であり、安息角が33[°]であり、外添剤としてチタン酸ストロンチュームを含有しているトナーを使用している。
【0020】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置における感光体49と現像装置1とを示す概略構成図である。
ドラム状の感光体49は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。そして、この感光体49の図中左側方には、トナー担持体であるトナー担持ローラ2を有する現像装置1が配設されている。現像装置1は、現像ケース11の内部に、図中反時計回りに回転駆動されるパドルスクリュー14を備えたトナー収容部15を備えている。このトナー収容部15には、マイナス帯電性のトナーが収容されている。
【0021】
トナー供給ローラ18は、図中反時計回り方向に回転駆動されるローラ状部材であり、トナー供給ローラ18の表面によって汲み上げられたトナーは、トナー供給ローラ18の回転に伴って搬送される。トナー供給ローラ18の図中右側方では、トナー担持ローラ2がトナー供給ローラと当接した状態で回転駆動されている。トナー供給ローラ18上のトナーは、トナー担持ローラ2との摺擦やトナー供給ローラ18とトナー担持ローラ2との電位差などの作用を受けて、トナー担持ローラ2の表面上に供給される。
【0022】
トナー担持ローラ2は、現像装置1の現像ケース11に設けられた開口から外周面の一部を露出させている。この露出箇所は、感光体49に対して数十〜数百[μm]の間隙を介して対向している。このようにトナー担持ローラ2と感光体49とが対向している領域が、本画像形成装置における現像領域となっている。
【0023】
トナー担持ローラ2の表面上に供給されたトナーは、後述する理由により、トナー担持ローラ2の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ2の回転に伴って、層厚均一化部材としての規制ブレード23との対向領域(規制領域)へ搬送される。本実施形態の規制ブレード23は、リン青銅やSUSまたは弾性ゴム等の材料で板状に形成されたものを現像ケース11に片持ち支持し、その自由端部をトナー担持ローラ2の外周面に対して10[N/m]以上100[N/m]以下の範囲内の当接圧力で当接させたものを使用しているが、これに限らず、例えばローラのものなどを使用してもよい。トナー担持ローラ2に担持されたトナーは、トナー担持ローラ2の外周面と規制ブレード23との間に挟まれながら規制領域を通過することにより、所望の層厚にトナー層が均一化されるとともに、トナーが摩擦帯電してトナーの帯電量が増加する。
【0024】
規制領域に進入する前におけるトナー担持ローラ2上のトナーの帯電量及びトナー量が適切であると、現像領域でのトナー飛散や地肌汚れが少なくて済む。好ましくは、規制ブレード進入前において、トナー担持ローラ2上のトナー帯電量は、10[μC/g]以上60[μC/g]以下の範囲が好ましく、トナー担持ローラ2上のトナー量は0.3[mg/cm2]以上1.0[mg/cm2]以下の範囲であることが好ましい。
【0025】
規制領域を通過したトナーは、トナー担持ローラ2の回転に伴って、ホッピング状態で現像領域へ搬送される。現像領域では、トナー担持ローラ2の平均表面電位と感光体49の表面電位との電位差に応じた現像電界の作用によって、トナー担持ローラ2上のトナーが感光体49の表面上の静電潜像部分に移動して現像処理が行われる。現像領域で感光体49の表面へ移動せずにトナー担持ローラ2上に残ったトナーは、トナー担持ローラ2の回転に伴って現像装置内に戻される。
【0026】
〔構成例1〕
次に、本実施形態におけるトナー担持ローラ2の具体的構成の一例(以下、本例を「構成例1」という。)について説明する。
図3は、本構成例1におけるトナー担持ローラ2の電極配置を説明するためにトナー担持ローラ2を回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図である。なお、説明の都合上、表層6や絶縁層5は図示していない。
図4は、本構成例1におけるトナー担持ローラ2を、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
本構成例1のトナー担持ローラ2は、中空状のローラ部材で構成されており、その内周側に位置する内周側電極部材としての内側電極3aと、外周側に位置していて内側電極3aへ印加される電圧(内側電圧)とは異なる電圧(外側電圧)が印加される外周側電極部材としての櫛歯状の外側電極4aとを備えている。また、内側電極3aと外側電極4aとの間にはこれらの間を絶縁するための絶縁層5が設けられている。また、外側電極4aの外周面側を覆う保護層としての表層6も設けられている。すなわち、本構成例1のトナー担持ローラ2は、内周側から順に、内側電極3a、絶縁層5、外側電極4a、表層6の4層構造となっている。
【0027】
内側電極3aは、トナー担持ローラ2の軸芯部材(基体)としても機能しており、SUSやアルミニウム等の導電性材料を円筒状に成型した金属ローラである。このほか、内側電極3aの構成としては、ポリアセタール(POM)やポリカーボネート(PC)等からなる樹脂ローラの表面にアルミニウムや銅などの金属層等からなる導電層を形成したものが挙げられる。この導電層の形成方法としては、金属メッキ、蒸着等により形成する方法や、ローラ表面に金属膜を接着する方法などが考えられる。
【0028】
内側電極3aの外周面側は絶縁層5に覆われている。本構成例1において、この絶縁層5は、ポリカーボネートやアルキッドメラミン等で形成されている。また、本構成例1において、絶縁層5の厚みは、3[μm]以上であるのが好ましい。3[μm]よりも小さくなると、内側電極3aと外側電極4aとの間の絶縁性が十分に保てなくなり、内側電極3aと外側電極4aとの間でリークが発生してしまう可能性が高くなる。一方、絶縁層5の厚みの好適範囲の上限値は、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界が表層6よりも外側に形成され、表層6の外側に強いフレア用電界(外部電界)を形成できる値に設定されることになる。本構成例1では、メラミン樹脂からなる絶縁層5の厚みを20[μm]としている。絶縁層5はスプレー法やディップ法等によって内側電極3a上に均一な膜厚で形成することができる。
【0029】
絶縁層5の上には外側電極4aが形成される。本構成例1において、この外側電極4aは、アルミニウム、銅、銀などの金属で形成されている。櫛歯状の外側電極4aの形成方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、絶縁層5の上にメッキや蒸着によって金属膜を形成し、フォトレジスト・エッチングによって櫛歯状の電極を形成するという方法が挙げられる。また、インクジェット方式やスクリーン印刷によって導電ペーストを絶縁層5の上に付着させて櫛歯状の電極を形成するという方法も考えられる。
【0030】
外側電極4a及び絶縁層5の外周面側は、表層6により覆われている。トナーは、表層6上でホッピングを繰り返す際、この表層6との接触摩擦によって帯電する。トナーに正規帯電極性(本実施形態ではマイナス極性)を与えるため、本構成例1では、表層6の材料として、シリコーン、ナイロン(登録商標)、ウレタン、アルキッドメラミン、ポリカーボネート等が使用される。本構成例1ではポリカーボネートを採用している。また、表層6は、外側電極4aを保護する役割も持ち合わせているので、表層6の膜厚としては、3[μm]以上であるのが好ましい。3[μm]よりも小さいと、経時使用による膜削れ等で外側電極4aが露出し、トナー担持ローラ2上に担持されたトナーやトナー担持ローラ2に接触するその他の部材を通じてリークしてしまうおそれがある。一方、表層6の厚みの好適範囲の上限値は、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界が表層6よりも外側に形成され、表層6の外側に強いフレア用電界を形成できる値に設定されることになる。表層6は、絶縁層5と同様にスプレー法やディッピング法等によって形成することができる。
【0031】
本構成例1では、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界、より詳しくは、内側電極3aの外側電極4aとは対向していない部分(外側電極4aの櫛歯間に位置する内側電極3aの部分)と外側電極4aの櫛歯部分との間で作られる電界が、表層6の外側に形成されることで、トナー担持ローラ2上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ2上のトナーは、内側電極3aに絶縁層5を介して対向した表層部分と、これに隣接する外側電極4aに対向した表層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。
【0032】
〔構成例2〕
次に、本実施形態におけるトナー担持ローラ2の具体的構成の他の例(以下、本例を「構成例2」という。)について説明する。
図5は、本構成例2におけるトナー担持ローラ2の電極配置を説明するための斜視図である。
図6は、本構成例2におけるトナー担持ローラ2を、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
図7は、本構成例2におけるトナー担持ローラ2の電極配置を平面展開した説明図である。
【0033】
上記構成例1では、トナー担持ローラ2の電極構成が、内側電極3aの上に絶縁層5を設け、その絶縁層上に櫛歯状の外側電極4aを形成した構成であったが、本構成例2では、2種類の電極をそれぞれ櫛歯状に形成して同心円上に配置し、互いの櫛歯部分が相手の櫛歯間に入り込むように構成したものである。
【0034】
本構成例2のトナー担持ローラ2は、支持基板7上に2種類の電極3c,4cが所定の間隔で配置され、その上に無機又は有機の絶縁性材料で形成した表面保護層6が積層されている。なお、図6において、各電極3c,4cから延びる線は、各電極3c,4cに電圧を印加するための導電線を示しており、各線の重なる部分のうち黒丸で示した部分だけが電気的に接続されており、他の部分は電気的に絶縁状態である。各電極3c,4cに対しては、本体側の電源25A,25Bから2相の異なる駆動電圧が印加される。
【0035】
トナー担持ローラ2は、トナーをホッピングさせるための電界を発生する2種類の電極群3c,4cを有し、偶数番目の電極群3cと奇数番目の電極群4cにそれぞれ図示しない駆動回路から、例えば逆位相の駆動波形が印加され、2相の電極間に時間周期的な電位差が形成される。
【0036】
トナー担持ローラ2の支持基板7としては、樹脂等の絶縁性材料、あるいはSUS等の導電性材料からなる基板にSiO2等の絶縁膜を成膜したもの等を適用できる。電極3c,4cは、支持基板7上に、Al、Cu、Ni−Cr等の導電性材料を0.1〜10[μm]の厚さ、好ましくは0.5〜2.0[μm]の厚さで成膜し、これをフォトリソグラフィ技術等で所要の電極形状にパターニングして形成している。
【0037】
トナー担持ローラ2上の電極幅L及び電極間隔Rは、トナーのホッピング効率に大きく影響する。なお、電極ピッチPは、P=R+Lで定義される。
電極3cと電極4cとの間にあるトナーはほぼ水平方向の電界により、トナー担持ローラ2の外周面に沿って隣接する電極3c,4cまで移動する。これに対して、電極3c,4cに近接したトナー担持ローラ2の外周面上に乗っているトナーは、少なくとも外周面の法線方向成分も持った初速が与えられることから、多くはトナー担持ローラ2の外周面から離れて飛翔する。特に、電極端面付近にあるトナーは、隣接電極を飛び越えて移動するため、電極幅Lが広い場合には、その電極上に乗っているトナーの数が多くなり、移動距離の大きいトナーが増える。ただし、電極幅Lが広すぎると、電極中央付近の電界強度が低下するためにトナーが電極に付着し、ホッピング効率が低下することになる。
【0038】
また、電極間隔Rは、距離と印加電圧との関係から電極間の電界強度を決定し、間隔Rが狭い程電界強度は当然強く、ホッピングの初速が得られやすい。しかし、電極から電極へ移動するようなトナーについては、一回の移動距離が短くなり、駆動周波数を高くしないとホッピングしている時間が短くなり、着地している時間が長くなる。この点を考慮して、低電圧で効率よくトナーを搬送、ホッピングするための適正な電極間隔が設定される。
【0039】
さらに、電極表面を覆う表面保護層6の厚さも電極表面の電界強度に影響を与え、特に垂直方向成分の電気力線への影響が大きく、ホッピングの効率を決定することをも見出した。したがって、トナー担持ローラ2の電極幅L、電極間隔R、表面保護層6の厚さの関係を適正に設定することによって、低電圧で効率的なホッピングを行うことができる。本構成例2では、電極幅Lはトナー平均粒径の1倍以上20倍以下とし、かつ、電極間隔Rもトナー平均粒径の1倍以上20倍以下としている。また、表面保護層6は、例えば、SiO2、BaTiO2、TiO2、TiO4、SiON、BN、TiN、Ta2O5等を適用でき、厚さは0.5〜10[μm]、好ましくは0.5〜3[μm]で形成している。
【0040】
また、表面保護層6の上にポリカーボネートなどの有機材料をコートしても良い。ジルコニア、あるいは二成分現像剤のキャリアのコート材料として一般的に使われる材料、例えばシリコーン系樹脂を選択することもできる。表面保護層6は、絶縁性、耐久性、トナー担持ローラ自体の製法、及び使用するトナーとの帯電列との関係から適宜選択される。
【0041】
本構成例2のトナー担持ローラ2の製法について説明する。
第1の製法例は、フレキシブルな電極パターンを形成し、それを支持ドラム(支持基板7)に巻きつけてトナー担持ローラ2を形成する方法である。フレキシブルなファインピッチ薄層電極を有する基板の一例としては、ポリイミドのベースフィルム(厚さ20〜100[μm])を基材として、その上に蒸着法によって0.1〜0.3[μm]のCu、Al、Ni−Cr等を成膜する。幅が30〜60[cm]のものであれば、ロール・トゥ・ロールの装置で製造可能であり、量産性が非常に高まる。共通バスラインは同時に幅1〜5[mm]程度の電極を形成する。
【0042】
この蒸着法の具体的手段としては、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法、イオンビーム法、等の方法が可能である。例えば、スパッタ法で電極を形成する場合において、ポリイミドとの密着性を向上させるため、Cr膜を介在させても良いし、プラズマ処理やプライマー処理によっても密着性を向上させることができる。
【0043】
また、蒸着法以外の工法としては、電着法によっても薄層電極を形成することができる。この場合は、上記ポリイミドの基材上に、まず、無電解メッキによって電極を形成する。塩化Sn、塩化Pd、塩化Niに順次浸漬して下地電極を形成した後、Ni電解液中で電解メッキを行ってNi膜1〜3[μm]をロール・トゥ・ロールで製造することが可能である。
【0044】
そして、これらの薄膜電極にレジスト塗布、パターニング、エッチングで電極を形成する。この場合、0.1〜3[μm]厚さの薄層電極であれば、フォトリソグラフィ、エッチング処理によって5[μm]〜数10[μm]幅又は間隔のファインパターン電極を精度良く形成することができる。
【0045】
次いで、表面保護層6として、SiO2 、BaTiO2、TiO2等を厚さ0.5〜2[μm]をスパッタ等により形成する。或いは、表面保護層6として、PI(ポリイミド)を厚さ2〜5[μm]にロールコータ、その他コーティング装置により塗布し、ベークして仕上げる。PIのままで支障を生じるときには、更に最表面にSiO2、その他無機膜を0.1〜0.5[μm]の厚みにスパッタ等で形成すればよい。
【0046】
このようなフレキシブル基板を構成することによって、円筒形状のドラムに貼り付けたり、或いは、部分的に曲面形状にしたりすることが容易に行える。
【0047】
第2の製法例としては、ポリイミドのベースフィルム(厚さ20〜100[μm])を基材として、その上に電極材料として、厚さ10〜20[μm]のCu、SUS等を使用することも可能である。この場合は、逆に金属材の上にポリイミドをロールコータにて20〜100[μm]塗布してベークする。その後、金属材をフォトリソグラフィ、エッチング処理によって電極の形状にパターン化し、その電極面上に保護層6としてポリイミドをコーティング、金属材電極の厚さ10〜20[μm]に応じた凹凸がある場合は平坦化して完成する。
【0048】
例えば、粘度50〜10000[cps]、より好ましくは100〜300[cps]のポリイミド系材料、ポリウレタン系材料をスピンコートして放置することによって、材料の表面張力によって基板の凹凸がスムージングされ、搬送部材最表面が平坦化される。
【0049】
第3の製法例は、フレキシブル基板の強度を上げた例として、基材として厚さ20〜30[μm]のSUS、Al材等を用いて、その表面に絶縁層(電極と基材との間の絶縁)として5[μm]程度の希釈したポリイミド材をロールコータによりコーティングする。そして、このポリイミドを例えば150[℃]、30分のプリベークし、350[℃]、60分のポストベークして、薄層ポリイミド膜を形成して支持基板とする。
【0050】
その後、密着性向上のプラズマ処理やプライマー処理を施した後、薄層電極層としてNi−Crを0.1〜0.2[μm]の厚みに蒸着し、フォトリソグラフィ、エッチングによって数10[μm]のファインパターンの電極を形成する。さらに、表面に前記SiO2、BaTiO2、TiO2等の表面保護層6を0.5〜1[μm]程度の厚みにスパッタにより形成することで、フレキシブル搬送部材を得ることができる。また、SiO2等の上にポリカーボネートなどの有機材料をコートしても良い。
【0051】
トナーを安定してクラウド化させるためには、相応する大きさのフレア用電界を形成することが重要となるが、このような大きなフレア用電界を形成するためにはトナー担持ローラ2に設けられる2種類の電極間に大きな電位差を形成する必要がある。しかし、このような大きな電位差を安定して形成するためには、これらの2種類の電極間を安定かつ有効に絶縁し、リークを防止することが重要である。
【0052】
上記構成例2のように、フレア用電界を形成するための2種類の電極3c,4cをそれぞれ櫛歯状に形成して同心円上に配置し、互いの櫛歯部分が相手の櫛歯間に入り込むように構成した場合、その櫛歯状電極の形成品質が悪いと、2種類の電極3c,4c間の絶縁性が著しく低下し、リークが起きやすい。具体的には、例えば、エッチングで電極形成する場合には除去すべき金属膜の一部が残存していたり、インクジェット法やスクリーン印刷法で電極形成する場合には電極間に導電ペーストが付着してしまったりする事態が起こり得る。このような事態が生じると、2種類の電極3c,4c間でリークが起きやすいなり、適正なフレア用電界を形成することができなくなる。また、ローラの樹脂表面上に櫛歯状電極を高い品質で形成したとしても、2種類の櫛歯状電極3c,4cを形成した後にその外周面側を絶縁材で覆うことにより電極間に絶縁材を充填して電極間の絶縁性を得るため、電極間にはローラの樹脂表面と絶縁材との界面が形成され、この界面を通じたリークが生じやすく、比較的大きな電圧を印加すると電極間の絶縁性が著しく低下する。
【0053】
これに対し、上記構成例1は、内側電極3aの上に絶縁層5を設け、その絶縁層上に櫛歯状の外側電極4aを形成した構成であるため、これらの電極間にリークの原因となり得るような界面は存在しない。また、トナー担持ローラ2の製造段階において、リークの原因となり得る導電材が電極間に介在する可能性も非常に少なくできる。したがって、本構成例1によれば、内側電極3aと外側電極4aとの間を安定かつ有効に絶縁することができ、比較的大きな電圧を印加する場合でもリークを効果的に防止することができる。以下の説明では、構成例1のトナー担持ローラ2を用いて説明するが、構成例2のトナー担持ローラ2であっても同様である。
【0054】
次に、内側電極3a及び外側電極4aに印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ2上の内側電極3a及び外側電極4aには、それぞれパルス電源25A,25Bから第1電圧である内側電圧及び第2電圧である外側電圧が印加される。パルス電源25A,25Bが印加する内側電圧及び外側電圧は、矩形波が最も適している。ただし、これに限らず、例えばサイン波で三角波でもよい。また、本実施形態では、フレア用電極を形成するための電極が内側電極3a及び外側電極4aの2相構成であり、各電極3a,4aには互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0055】
図8は、内側電極3a及び外側電極4aにそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフである。
本実施形態において、各電圧は矩形波であり、内側電極3aと外側電極4aにそれぞれ印加される内側電圧と外側電圧は、互いに位相がπだけズレた同じ大きさ(ピークツーピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、内側電極3aと外側電極4aとの間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表層6の外側に形成されるフレア用電界によって表層6上をトナーがホッピングする。本実施形態において、Vppは100[V]以上2000[V]以下の範囲内であるのが好ましい。Vppが100[V]より小さいと、十分なフレア用電界を表層6上に形成できず、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。一方、Vppが2000[V]より大きいと、経時使用により電極間でリークが発生する可能性が高くなる。本実施形態では、Vppを500[V]に設定している。
また、本実施形態において、内側電圧と外側電圧の中心値V0は、画像部電位(静電潜像部分の電位)と非画像部電位(地肌部分の電位)との間に設定され、現像条件によって適宜変動する。
【0056】
本実施形態において、内側電圧と外側電圧の周波数fは、0.1[kHz]以上10[kHz]以下であるのが好ましい。0.1[kHz]より小さいと、トナーのホッピングが現像速度に追いつかなくなるおそれがある。一方、10[kHz]より大きいと、トナーの移動が電界の切り替わりに追従できなくなり、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。本実施形態では、周波数fを500[Hz]に設定している。
【0057】
図9は、内側電極3a及び外側電極4aへ印加する内側電圧と外側電圧の他の例を示すグラフである。
この例では、内側電極3aについては、図8に示したものと同様の内側電圧が印加されるが、外側電極4aについては、直流電圧が印加される。この場合、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、この例におけるVppの好適な範囲は、200[V]以上4000[V]以下である。この例によれば、内側電極3aと外側電極4aとの位相差を考慮する必要がなく、電源コストが安くなる。
【0058】
図10は、内側電極3a及び外側電極4aへ印加する内側電圧と外側電圧の更に他の例を示すグラフである。
この例では、外側電極4aについては、図8に示したものと同様の内側電圧が印加されるが、内側電極3aについては、直流電圧が印加される。この場合も、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、この例におけるVppの好適な範囲は、200[V]以上4000[V]以下である。この例も、内側電極3aと外側電極4aとの位相差を考慮する必要がなく、電源コストが安くなる。
【0059】
次に、本発明の特徴部分である、現像上シール部材12の配置について説明する。
図11は、本実施形態における現像装置の入口隙間近傍を拡大した説明図である。
本実施形態においては、現像ケース11の開口から露出したトナー担持ローラ2の表面部分(表面露出部分)に対してトナー担持体回転方向下流側に位置する現像ケースの開口縁部11aとトナー担持ローラ2の外周面との隙間(入口隙間)を塞ぐように、トナー漏れ防止部材としての現像上シール部材12が設けられている。この現像上シール部材12が入口隙間を塞いでいることにより、その入口隙間から現像ケース11内のトナーが漏れ出て現像装置外部へ飛散するのを防止している。
【0060】
ここで、本実施形態のようなフレア現像方式の現像装置においては、トナー担持ローラ2上のトナーがホッピングしているため、トナー担持ローラ2とトナーとの付着力が小さい。そのため、現像上シール部材12と接触したトナーの中には、現像上シール部材12とトナー担持ローラ2の外周面との最近接箇所(現像上シール部材12がトナーを介してトナー担持ローラ2の外周面に当接する箇所)である入口シール箇所Eを通過できないトナーが発生する。その結果、入口シール箇所Eを通過できないトナーは、この入口シール箇所Eに対してトナー担持ローラ回転方向上流側に隣接するトナー滞留領域Dに滞留し、このトナーがトナー担持ローラ回転方向上流側に向かって移動して現像ケースから遠ざかると、トナー飛散が引き起こされる。
【0061】
本実施形態における現像上シール部材12は、図11に示すように、トナー担持ローラ2の外周面上における鉛直方向最上地点Hよりもトナー担持ローラ回転方向下流側に位置するトナー担持ローラ外周面部分であって、かつ、鉛直方向上側を向いている外周面部分と最近接するように配置されている。よって、本実施形態の入口シール箇所Eのトナー担持ローラ回転方向上流側に隣接するトナー滞留領域Dに滞留するトナーは、その自重により、トナー担持ローラ外周面に近づく方向、かつ、入口シール箇所Eへ近づく方向へ移動する。これにより、トナー滞留領域Dで滞留したトナーについては、トナー担持ローラ回転方向上流側に向かって移動するようなトナーの挙動が抑制される。よって、トナー飛散が抑制される。
【0062】
しかも、本実施形態においては、トナー滞留領域Dで滞留するトナーは、その量が増えることで十分なホッピングができない状態となり、その結果、トナー担持ローラ2の回転に追従してトナー担持ローラ回転方向下流側へ移動しやすくなる。加えて、トナー滞留領域Dで滞留するトナーは、その自重により、入口シール箇所Eへ近づく方向へ移動する。よって、トナー滞留領域Dで滞留するトナーは、徐々に入口シール箇所Eを通過して現像ケース11内に進入することになる。したがって、トナー滞留領域Dに大量のトナーが滞留するような事態は発生せず、トナー滞留領域Dに滞留したトナーがトナー担持ローラ2上からこぼれ落ちてトナー飛散が発生するような事態は生じない。
【0063】
また、本実施形態の現像上シール部材12は、現像ケース11に片持ち支持されたシート状部材であり、その自由端が支持部に対してトナー担持ローラ2の回転方向下流側に位置するように設けられている。そして、トナー担持ローラ2の回転方向上流側を向いた現像上シール部材12の面(トナー担持ローラ2の外周面と対向する面)が、トナーを介してトナー担持ローラ2の外周面に腹当たりするように配置されている。このような構成により、トナー滞留領域Dは、現像上シール部材12の面とトナー担持ローラ2の外周面とによって囲まれた楔形状となり、入口シール箇所Eを通過できなかったトナーをその楔形状内に保持することができ、トナー飛散を抑制できる。
【0064】
また、図12に示すように、トナー滞留領域D内のトナーが入口シール箇所Eを通過するのを促進させるために、入口シール箇所Eに対してトナー担持ローラ回転方向上流側近傍に、トナーのホッピングを抑制するホッピング抑制電界を形成するホッピング抑制手段を設けてもよい。
【0065】
図12に示すホッピング抑制手段は、入口シール箇所Eのトナー担持ローラ回転方向上流側近傍でトナー担持ローラ2の外周面と対向するように、導電部材である導電ワイヤー13を、トナー担持ローラ2の回転軸方向にわたって配置したものである。この導電ワイヤー13には、マイナス極性(正規帯電極性)に帯電したトナーを導電ワイヤー13側からトナー担持ローラ2の外周面側へ向かう方向へ移動させるホッピング抑制電界が形成されるような交流電圧又は直流電圧が印加される。例えば、導電ワイヤー13の平均電位がトナー担持ローラ2に設けられた2種類の電極3a,4aに印加されるバイアスの平均電位に対して小さくなるような交流バイアスを印加する。このようにしてホッピング抑制電界を形成することで、トナー滞留領域Dに存在するトナーのホッピングが抑制され、トナー滞留領域D内におけるトナーの入口シール箇所Eの通過を促進させることができる。
【0066】
具体的な構成について例示すれば、以下のとおりである。
導電ワイヤー13として、直径60[μm]のものを用い、導電ワイヤー13とトナー担持ローラ2の外周面との最近接部のギャップが50[μm]となるように配置する。トナー担持ローラ2として上記構成例2に示したものを用い、各電極群3c,4cに対し、オフセット電圧が−300[V]で、周波数が2[kHz]で、ピークツーピーク電圧が600[V]の矩形波バイアスを印加した場合、導電ワイヤー13の平均電位がトナー担持ローラ2に設けられた2種類の電極3a,4aに印加されるバイアスの平均電位に対して小さくなるような交流バイアスを導電ワイヤー13に印加する。本実施形態のように、導電部材として細いワイヤー部材を用いることにより、必要最小限の領域にのみホッピング抑制電界を発生させることができる。
【0067】
なお、トナーの正規帯電極性がプラス極性である場合には、導電ワイヤー13の平均電位がトナー担持ローラ2に設けられた2種類の電極3a,4aに印加されるバイアスの平均電位に対して大きくなるような交流バイアス又は直流バイアスを導電ワイヤー13に印加すればよい。
【0068】
このようにして、入口シール箇所Eを通過して現像ケース11内に収容されたトナー担持ローラ2上のトナーは、トナー供給ローラ18との当接位置でトナー担持ローラ2上から回収される。このとき、トナー担持ローラ2上のトナーはホッピングしているため、トナー担持ローラ2とトナーとの付着力が小さく、容易にトナー担持ローラ2上からトナーを回収できる。
【0069】
なお、本実施形態では、ホッピング抑制手段の導電部材として、ワイヤー部材を用いた例について説明したが、板状部材であってもよい。この場合の具体的な構成の例としては、トナー担持ローラ2として上記構成例2に示したものを用い、各電極群3c,4cに対し、オフセット電圧が−300[V]で、周波数が1[kHz]で、ピークツーピーク電圧が500[V]の矩形波バイアスを印加する。
【0070】
また、ホッピング抑制手段の導電部材として、導電性材料で形成された現像上シール部材12を用い、この現像上シール部材12に所定の電圧を印加してホッピング抑制電界を形成するようにしてもよい。
【0071】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
内部にトナーを収容し、感光体49等の潜像担持体の表面との対向箇所が開口した現像ケース11と、互いに異なる電圧が印加される少なくとも2種類の電極部材3a,4a,3c,4cを備え、現像ケース11の開口を介して外周面の一部が露出するように配置されたトナー担持ローラ2等のトナー担持体と、トナー担持体の外周面と潜像担持体の表面とが対向する現像領域に対してトナー担持体回転方向下流側で現像ケース11の内壁とトナー担持体の外周面との隙間(入口隙間)を塞ぐように配置される現像上シール部材12等のトナー漏れ防止部材とを有し、上記少なくとも2種類の電極部材に対して互いに異なる電圧を印加することによりトナーをホッピングさせるためのホッピング電界を上記トナー担持体の外周面上に形成し、上記現像ケース11内のトナーを上記トナー担持体の外周面上に担持して該トナー担持体を回転させることにより、ホッピングした状態のトナーを現像領域へ搬送して該潜像担持体上の潜像に付着させることにより該潜像を現像する現像装置において、上記トナー漏れ防止部材は、上記トナー担持体の外周面上における鉛直方向最上地点Hよりもトナー担持体回転方向下流側に位置する該トナー担持体の外周面部分であって、かつ、鉛直方向上側を向いている外周面部分と最近接するように配置されていることを特徴とする。
これによれば、上述したように、フレア現像方式の現像装置のようにトナー担持体とトナーとの付着力が小さくてトナー漏れ防止部材に接触したトナーが現像ケース11内に進入しにくい場合でも、トナー漏れ防止部材により現像ケースへの進入を阻止されたトナーの飛散が生じるのを抑制できる。
【0072】
(態様B)
上記態様Aにおいて、上記トナー漏れ防止部材は、上記現像ケース11に支持されたシート状部材である。
これによれば、簡易な構成で、トナー漏れ防止部材を実現できる。
【0073】
(態様C)
上記態様A又はBにおいて、上記トナー漏れ防止部材を導電性材料で形成し、該トナー漏れ防止部材に所定の電圧を印加してトナーのホッピングを抑制するホッピング抑制電界を形成するホッピング抑制手段を有することを特徴とする。
これによれば、ホッピングが抑制されたトナーがトナー担持体の回転に追従してトナー漏れ防止部材とトナー担持体表面との間の入口シール箇所Eを通過しやすくなるので、トナー飛散が更に抑制される。
【0074】
(態様D)
上記態様A又はBにおいて、上記トナー漏れ防止部材と上記トナー担持体との最近接箇所である入口シール箇所Eに対してトナー担持体回転方向上流側近傍(トナー滞留領域D)にトナーのホッピングを抑制するホッピング抑制電界を形成するホッピング抑制手段を有することを特徴とする。
これによれば、ホッピングが抑制されたトナーがトナー担持体の回転に追従してトナー漏れ防止部材とトナー担持体表面との間の入口シール箇所Eを通過しやすくなるので、トナー飛散が更に抑制される。
【0075】
(態様E)
上記態様Dにおいて、上記ホッピング抑制手段は、上記トナー漏れ防止部材と上記トナー担持体との最近接箇所に対してトナー担持体回転方向上流側近傍(トナー滞留領域D)で該トナー担持体の外周面と対向配置された導電ワイヤー13等の導電部材に所定の電圧を印加することにより上記ホッピング抑制電界を形成するものであり、上記導電部材に印加される電圧は、正規帯電極性に帯電したトナーを上記導電部材から上記トナー担持体の外周面へ向かう方向へ移動させるホッピング抑制電界を形成する交流電圧又は直流電圧であることを特徴とする。
これによれば、簡易な構成で、トナーのホッピングを抑制でき、トナー飛散の抑制を図ることができる。
【0076】
(態様F)
上記態様D又はEにおいて、上記導電部材は、上記トナー担持体の外周面と所定のギャップを介して対向配置される板状部材であることを特徴とする。
これによれば、トナー滞留領域Dという狭い領域に導電部材を配置することが容易となる。
【0077】
(態様G)
上記態様D又はEにおいて、上記導電部材は、上記トナー担持体の外周面と所定のギャップを介して対向配置される導電ワイヤー13等のワイヤー部材であることを特徴とする。
これによれば、トナー滞留領域Dという狭い領域に導電部材を配置することが容易となるだけでなく、必要最小限の範囲にだけホッピング抑制電界を形成できる。
【0078】
(態様H)
感光体49等の潜像担持体の潜像にトナーを付着させることにより該潜像を現像し、これによる得られたトナー像を最終的に記録材に転移させて画像形成を行う画像形成装置において、上記潜像担持体上の潜像を現像する手段として、上記態様A〜Gのいずれかの態様に係る現像装置を用いたことを特徴とする。
これによれば、画像形成装置内のトナー飛散を抑制できる。
【符号の説明】
【0079】
1 現像装置
2 トナー担持ローラ
3a 内側電極
4a 外側電極
3c,4c 電極
5 絶縁層
6 表層
7 支持基板
11 現像ケース
12 現像上シール部材
13 導電ワイヤー
18 トナー供給ローラ
23 規制ブレード
25A,25B 電源
48 中間転写ベルト
49Y,49M,49C,49K 感光体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2009−036929号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にトナーを収容し、潜像担持体の表面との対向箇所が開口した現像ケースと、
互いに異なる電圧が印加される少なくとも2種類の電極部材を備え、上記現像ケースの開口を介して外周面の一部が露出するように配置されたトナー担持体と、
トナー担持体の外周面と潜像担持体の表面とが対向する現像領域に対してトナー担持体回転方向下流側で上記現像ケースの内壁と上記トナー担持体の外周面との隙間を塞ぐように配置されるトナー漏れ防止部材とを有し、
上記少なくとも2種類の電極部材に対して互いに異なる電圧を印加することによりトナーをホッピングさせるためのホッピング電界を上記トナー担持体の外周面上に形成し、上記現像ケース内のトナーを上記トナー担持体の外周面上に担持して該トナー担持体を回転させることにより、ホッピングした状態のトナーを現像領域へ搬送して該潜像担持体上の潜像に付着させることにより該潜像を現像する現像装置において、
上記トナー漏れ防止部材は、上記トナー担持体の外周面上における鉛直方向最上地点よりもトナー担持体回転方向下流側に位置する該トナー担持体の外周面部分であって、かつ、鉛直方向上側を向いている外周面部分と最近接するように配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記トナー漏れ防止部材は、上記現像ケースに支持されたシート状部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2の現像装置において、
上記トナー漏れ防止部材を導電性材料で形成し、
該トナー漏れ防止部材に所定の電圧を印加してトナーのホッピングを抑制するホッピング抑制電界を形成するホッピング抑制手段を有することを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1又は2の現像装置において、
上記トナー漏れ防止部材と上記トナー担持体との最近接箇所に対してトナー担持体回転方向上流側近傍にトナーのホッピングを抑制するホッピング抑制電界を形成するホッピング抑制手段を有することを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項4の現像装置において、
上記ホッピング抑制手段は、上記トナー漏れ防止部材と上記トナー担持体との最近接箇所に対してトナー担持体回転方向上流側近傍で該トナー担持体の外周面と対向配置された導電部材に所定の電圧を印加することにより上記ホッピング抑制電界を形成するものであり、
上記導電部材に印加される電圧は、正規帯電極性に帯電したトナーを上記導電部材から上記トナー担持体の外周面へ向かう方向へ移動させるホッピング抑制電界を形成する交流電圧又は直流電圧であることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項4又は5の現像装置において、
上記導電部材は、上記トナー担持体の外周面と所定のギャップを介して対向配置される板状部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項4又は5の現像装置において、
上記導電部材は、上記トナー担持体の外周面と所定のギャップを介して対向配置されるワイヤー部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
潜像担持体の潜像にトナーを付着させることにより該潜像を現像し、これによる得られたトナー像を最終的に記録材に転移させて画像形成を行う画像形成装置において、
上記潜像担持体上の潜像を現像する手段として、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
内部にトナーを収容し、潜像担持体の表面との対向箇所が開口した現像ケースと、
互いに異なる電圧が印加される少なくとも2種類の電極部材を備え、上記現像ケースの開口を介して外周面の一部が露出するように配置されたトナー担持体と、
トナー担持体の外周面と潜像担持体の表面とが対向する現像領域に対してトナー担持体回転方向下流側で上記現像ケースの内壁と上記トナー担持体の外周面との隙間を塞ぐように配置されるトナー漏れ防止部材とを有し、
上記少なくとも2種類の電極部材に対して互いに異なる電圧を印加することによりトナーをホッピングさせるためのホッピング電界を上記トナー担持体の外周面上に形成し、上記現像ケース内のトナーを上記トナー担持体の外周面上に担持して該トナー担持体を回転させることにより、ホッピングした状態のトナーを現像領域へ搬送して該潜像担持体上の潜像に付着させることにより該潜像を現像する現像装置において、
上記トナー漏れ防止部材は、上記トナー担持体の外周面上における鉛直方向最上地点よりもトナー担持体回転方向下流側に位置する該トナー担持体の外周面部分であって、かつ、鉛直方向上側を向いている外周面部分と最近接するように配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記トナー漏れ防止部材は、上記現像ケースに支持されたシート状部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2の現像装置において、
上記トナー漏れ防止部材を導電性材料で形成し、
該トナー漏れ防止部材に所定の電圧を印加してトナーのホッピングを抑制するホッピング抑制電界を形成するホッピング抑制手段を有することを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1又は2の現像装置において、
上記トナー漏れ防止部材と上記トナー担持体との最近接箇所に対してトナー担持体回転方向上流側近傍にトナーのホッピングを抑制するホッピング抑制電界を形成するホッピング抑制手段を有することを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項4の現像装置において、
上記ホッピング抑制手段は、上記トナー漏れ防止部材と上記トナー担持体との最近接箇所に対してトナー担持体回転方向上流側近傍で該トナー担持体の外周面と対向配置された導電部材に所定の電圧を印加することにより上記ホッピング抑制電界を形成するものであり、
上記導電部材に印加される電圧は、正規帯電極性に帯電したトナーを上記導電部材から上記トナー担持体の外周面へ向かう方向へ移動させるホッピング抑制電界を形成する交流電圧又は直流電圧であることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項4又は5の現像装置において、
上記導電部材は、上記トナー担持体の外周面と所定のギャップを介して対向配置される板状部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項4又は5の現像装置において、
上記導電部材は、上記トナー担持体の外周面と所定のギャップを介して対向配置されるワイヤー部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
潜像担持体の潜像にトナーを付着させることにより該潜像を現像し、これによる得られたトナー像を最終的に記録材に転移させて画像形成を行う画像形成装置において、
上記潜像担持体上の潜像を現像する手段として、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−92581(P2013−92581A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233237(P2011−233237)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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