説明

現像装置及びこれを用いる画像形成装置

【課題】現像装置における現像剤担持体に担持されるトナー層上にすじが発生することを抑制して、良好な画像形成を実現できる現像装置及びこれを用いる画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体ドラム32に現像剤を供給して感光体ドラム32上に形成される静電潜像を現像するための現像ローラ62と、現像ローラの表面に担持される現像剤の層厚を規制するドクターブレード68とを具備する現像装置6において、現像ローラ62の表面を凹凸状に形成し、凹凸状の表面に、表面粗さにおいて平均粗さRaの異なる第1ブラスト処理領域62Bと第2ブラスト処理領域62Cとを現像ローラ62の円周方向に沿って隣接して形成し、それぞれ現像ローラ62の軸線方向にわたり形成し、それらの領域の境界部には、平均粗さRaの異なる凹凸が混在して形成されていることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及びこれを用いる画像形成装置に係り、特に、電子写真方式を採用する画像形成装置に搭載される現像装置及びこれを用いる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する画像形成装置においては、感光体の表面に形成される静電潜像に対して、現像装置から現像剤の成分であるトナーを供給して現像することによって可視像であるトナー像を形成し、さらにトナー像を転写媒体である記録紙などに転写し、記録紙上に転写されたトナー像を定着して堅牢な記録画像を形成する。
【0003】
近年、カラーインクジェット方式の画像形成装置の普及により、電子写真方式を利用した画像形成装置においても、小型化・低価格化が求められている。
このような状況から、電子写真の現像装置としては、構造が簡単で小型化が可能な、非磁性一成分現像方式が用いられることが多い。
【0004】
従来技術として、非磁性一成分現像方式よる現像装置において、現像装置に備えられた従来方式の現像剤担持体の例として、前記現像剤担持体の表面を粗面化して、その表面の凹凸のピッチや平均粗さを規定したものが提案されている(特許文献1を参照)。
【0005】
また、その他の技術として、現像剤担持体の例として、前記現像剤担持体の表面に凹凸を設け、その表面の凹凸の山の高さや山の間隔を規定したものが提案されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭58−57165号公報
【特許文献2】特開昭59−189374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、一般に、現像剤担持体表面に凹凸を形成して現像剤の安定した搬送を図ることが知られており、凹凸を規定するために上記パラメータに配慮しながら設計される。
【0008】
しかしながら、上述した従来方式においては、現像剤担持体の表面すべてを一定の条件で凹凸加工しているため、現像剤量規制ブレードの押圧部へのトナーの流入によって形成されるトナー層の状態が常に一定となるので、トナーが前記現像剤量規制ブレード表面に溶着しやすく、その結果トナー層上にすじが発生し、画像不良となっていた。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、現像装置における現像剤担持体に担持されるトナー層上にすじが発生することを抑制して、良好な画像形成を実現できる現像装置及びこれを用いる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するための本発明に係る現像装置及びこれを用いる画像形成装置は、次の通りである。
【0011】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に設けられ、画像形成装置に備わる感光体に現像剤(特に、非磁性一成分現像剤であって、例えば、トナー)を供給して前記感光体上に形成される静電潜像を現像するための現像ローラと、前記現像ローラの表面に担持される現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材(例えば、ドクターブレード)とを備えた現像装置において、前記現像ローラの構成として、その表面を凹凸状に形成して、前記凹凸状の表面には、表面粗さにおいて平均粗さRaの異なる2つの領域を、前記現像ローラの円周方向に沿って隣接して形成するとともに、それぞれ前記現像ローラの軸線方向にわたり形成し、前記平均粗さRaの異なる2つの領域の境界部には、平均粗さRaの異なる凹凸を混在して形成することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明は、前記平均粗さRaの異なる2つの領域を、前記現像ローラの円周方向に沿った方向で平均粗さRaの大きい領域の占める割合が平均粗さRaの小さい領域の占める割合よいも小さく構成することが好ましい。
【0013】
また、本発明は、前記平均粗さRaの大きい領域を、円周方向の幅が、前記現像ローラの軸線方向における両端部を中央部よりも広く形成することが好ましい。
【0014】
また、本発明は、前記現像ローラを、アルミ製の円筒部材で形成することが好ましい。
【0015】
また、本発明は、前記凹凸状の表面を、ガラスビーズブラストによりブラスト処理することが好ましい。
【0016】
また、本発明は、前記凹凸状の表面を、サンドブラストによりブラスト処理することが好ましい。
【0017】
また、本発明は、前記凹凸状の表面の平均粗さRaを、一方の領域の平均粗さRaを0.3〜0.5μmとして、他方の領域の平均粗さRaを0.5μm以上とすることが好ましい。
【0018】
また、本発明は、前記ブラスト処理を、前記現像ローラを構成するアルミ製の円筒部材の素地表面を平均粗さRaが0.05μm以下で鏡面加工仕上げした後に行うことが好ましい。
【0019】
また、本発明は、静電潜像が形成される感光体を備えるとともに、前記感光体に現像剤を供給して前記感光体上に形成される静電潜像を現像するための現像ローラと、前記現像ローラの表面に担持される現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材とを具備する現像装置を備えて、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置において、前記現像装置として、請求項1から8のうちの何れか一項に記載の現像装置を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の現像装置によれば、電子写真方式の画像形成装置に設けられ、画像形成装置に備わる感光体に現像剤を供給して前記感光体上に形成される静電潜像を現像するための現像ローラと、前記現像ローラの表面に担持される現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材とを備えた現像装置において、前記現像ローラの構成として、その表面を凹凸状に形成して、前記凹凸状の表面には、表面粗さにおいて平均粗さRaの異なる2つの領域を、前記現像ローラの円周方向に沿って隣接して形成するとともに、それぞれ前記現像ローラの軸線方向にわたり形成し、前記平均粗さRaの異なる2つの領域の境界部には、平均粗さRaの異なる凹凸を混在して形成することで、現像剤の搬送量が増減する(微小量)ため、現像剤規制部材直下での現像剤の流れが常に一定とはならず、現像剤の滞留層を崩す効果がある。さらに、その現像剤搬送量の変化を急激に起こすことなく、徐々に変化する。これにより、現像領域に影響を及ぼすことなく、現像剤の現像剤規制部材の表面への溶着を起こし難く、トナー層上にすじが発生し難くなるため、安定した画像を得ることができる。
【0021】
また、本発明によれば、前記平均粗さRaの異なる2つの領域を、前記現像ローラの円周方向に沿った方向で平均粗さRaの大きい領域の占める割合が平均粗さRaの小さい領域の占める割合よいも小さく構成することで、前記現像ローラの1回転の一部分で瞬間的に現像剤の搬送量を変化させるため、現像剤規制部材直下での現像剤の流れが常に一定とはならず、現像剤の滞留層を崩す効果がある。これにより、現像剤の現像剤規制部材の表面への溶着を起こし難く、トナー層上にすじが発生し難くなるため、安定した画像が得られる。
【0022】
また、本発明によれば、前記平均粗さRaの大きい領域を、円周方向の幅において、前記現像ローラの軸線方向における両端部を中央部よりも広く形成することで、前記現像ローラの軸線方向(長手方向)において中央部よりも両端部の現像剤搬送量を部分的に増やすことが可能となる。
【0023】
詳しくは、従来、現像剤規制部材、例えば、ドクターブレードの固定板金の横幅は、中央部が両端部よりもやや広く設定していわゆるクラウン状に形成されており、前記現像剤規制部材の支持部板金の自由長を疑似的に中央部のみ短くすることにより、中央部に加わる押圧を両端部よりも上げて長手方向全体の現像剤搬送量のバランスを適正化しているが、本発明によれば、前記固定板金の横幅を変える必要がなくなる。
【0024】
また、現像ローラの両端部は、中央部に比べて現像剤搬送量の増減に対して影響度合が比較的少ないので、現像剤の滞留層を崩す効果を上げるために、中央部よりも表面粗さRaの大きい領域を両端部に設けることにより、現像剤規制部材直下での現像剤の流れが常に一定とはならず、現像剤の現像剤規制部材の表面への溶着を起こし難く、トナー層上にすじが発生し難くなるため、安定した画像が得られる。
【0025】
また、本発明によれば、前記現像ローラを、アルミ製の円筒部材で形成することで、
ブラスト処理により平均粗さRa=0.3〜0.5μmの範囲で凹凸を形成することができるので、最適な現像剤搬送量や現像剤層の均一性を得ることが容易となり、前記現像ローラ上における現像剤搬送不良によって発生するムラ等のない安定した画像が得られる。
【0026】
また、本発明によれば、前記凹凸状の表面を、ガラスビーズブラストによりブラスト処理することで、均一な凹凸を形成することができるので、最適な現像剤搬送量や現像剤層の均一性を得ることが容易となり、前記現像ローラ上における現像剤搬送不良によるムラ等のない安定した画像が得られる。
【0027】
また、本発明によれば、前記凹凸状の表面を、サンドブラストによりブラスト処理することで、均一な凹凸を形成することができるので、最適な現像剤搬送量や現像剤層の均一性を得ることが容易となり、前記現像ローラ上における現像剤搬送不良によるムラ等のない安定した画像が得られる。
【0028】
また、本発明によれば、前記凹凸状の表面の平均粗さRaを、一方の領域の平均粗さRaを0.3〜0.5μmとして、他方の領域の平均粗さRaを0.5μm以上とすることで、最適な現像特性が得られ、且つ現像剤の滞留層を崩す効果がある。これにより、現像剤の現像剤規制部材の表面への溶着を起こし難く、トナー層上にすじが発生し難くなるため、安定した画像が得られる。
【0029】
また、本発明によれば、前記ブラスト処理を、前記現像ローラを構成するアルミ製の円筒部材の素地表面を平均粗さRaが0.05μm以下で鏡面加工仕上げした後に行うことで、平均粗さRa=0.3〜0.5μmの範囲で凹凸を形成することができ、最適な現像剤搬送量や現像剤層の均一性を得ることが容易となり、前記現像剤担持体上における現像剤搬送不良によるムラ等のない安定した画像が得られる。
【0030】
また、本発明の画像形成装置によれば、静電潜像が形成される感光体を備えるとともに、前記感光体に現像剤を供給して前記感光体上に形成される静電潜像を現像するための現像ローラと、前記現像ローラの表面に担持される現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材とを具備する現像装置を備えて、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置において、前記現像装置として、請求項1から8のうちの何れか一項に記載の現像装置を備えたことで、前記現像ローラの現像領域に影響を及ぼすことなく、現像剤の現像剤規制部材の表面への溶着を起こし難く、トナー層上にすじが発生し難くなるため、安定した画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】本実施形態に係る現像装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】前記現像装置を構成するドクターブレードの構成を示す説明図である。
【図4】前記現像装置を構成する現像ローラの構成を示す説明図である。
【図5】図4のA部の拡大画像であって前記現像ローラの表面状態の一例を示す説明図である。
【図6】前記現像ローラのブラスト処理した第1ブラスト処理領域の表面粗さの測定値を示したグラフである。
【図7】前記現像ローラの表面粗さに応じたトナー付着量を示すグラフである。
【図8】(a)は前記現像ローラの表面の構成を示す説明図、(b)は前記現像ローラの表面の構成を示す側面図である。
【図9】前記現像ローラのブラスト処理した第2ブラスト処理領域の表面粗さの測定値を示したグラフである。
【図10】(a)は従来の現像ローラに形成された溝の形状の一例を示す説明図、(b)は前記溝の形状に応じたトナー搬送量の関係を示す説明図である。
【図11】(a)は本実施形態の現像ローラに形成された凹凸部の形状の一例を示す説明図、(b)は前記凹凸部の形状に応じたトナー搬送量の関係を示す説明図である。
【図12】本実施形態における現像ローラにブラスト処理を行うときの概略を示す説明図である。
【図13】本実施形態の現像装置を構成する現像ローラの変形例の構成を示す説明図である。
【図14】(a)は従来の現像装置を構成するドクターブレード付近の構成を示す説明図、(b)は(a)のB矢視図であって前記ドクターブレードを保持する固定板金の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の現像装置とこれを備える画像形成装置を実施するための形態について図面を参照して説明する。尚、以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
図1は発明を実施する形態の一例であって、本発明の実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
【0033】
本実施形態に係る画像形成装置1は、図1に示すように、静電潜像が形成される感光体ドラム(感光体)32を備えるとともに、感光体ドラム32に現像剤を供給して感光体ドラム32上に形成される静電潜像を現像するための現像ローラ62と、現像ローラの表面に担持される現像剤の層厚を規制するドクターブレード(現像剤規制部材)68(図2を参照)とを具備する現像装置6を備えて、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置1において、現像装置6として、本発明に係る特徴的な定着装置の構成を採用したものである。
【0034】
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態に係る現像装置6を備えた画像形成装置1の全体構成について説明する。
【0035】
本実施形態に係る画像形成装置1は、印刷モードとしてコピアモード(複写モード),プリンタモード,FAXモードを有しており、不図示の操作部からの操作入力や、パーソナルコンピュータ等の外部ホスト装置からの印刷ジョブの受信に応じた印刷モードが、後述する制御部によって選択される。
【0036】
画像形成装置1は、図1に示すように、原稿読み取り部10、給紙部20、印刷部30、排紙部40に大別され、原稿読み取り部10が給紙部20の上方に配設され、排紙部40が原稿読み取り部10と給紙部20の中間部位に配設されている。
【0037】
以下に、上記各処理モードの中からコピアモードについて説明する。
ユーザが、原稿読み取り部(スキャナ部)10のプラテンガラス11上に原稿を載置した後,給紙部20の給紙カセット21或いは装置側面に設けられた手差しトレイ23に用紙(記録紙)を装着し、さらに装置の外装前面部に配置される操作パネル(不図示)上の条件入力キー(印刷枚数/印刷倍率等々)を入力した後に、操作パネルのスタートキーを操作するとコピー動作が開始される。
【0038】
スタートキーが操作されると、メイン駆動モータ(不図示)が始動し、各駆動ギヤが回転する。その後、給紙ローラ22又は22aが回転して用紙が装置内へ送出(給紙)され、給紙された用紙はレジストローラ31(ローラ対)に到達して捕捉される。
【0039】
このレジストローラ31により、用紙は、感光体ドラム32上に形成される画像の先端部(画像形成開始部)と同期をとるために一時停止され、用紙の先端部が均一にレジストローラ31に押しつけられて用紙の先端位置の補正が行なわれる。
【0040】
一方、原稿読み取り部10においては、コピーランプ(光源)12aが点灯し、コピーランプユニット12が矢印C方向へ移動することで露光が開始される。コピーランプ12aにより原稿に照射された照射光は、原稿の画像情報を含む反射光(原稿からの反射光)となり、該反射光は、コピーランプユニット12に設けられた第1ミラー12bから第2ミラー13,第3ミラー14,光学レンズ15から、CCD16へ入力されることによって読み取られる。
【0041】
このようにして読み取られた画像情報は、不図示のCCD回路で、光の画像情報が電気的信号に変換され、その画像情報信号は、設定された条件で画像処理が行われ、レーザスキャナユニット33へプリントデータとして送信される。
【0042】
他方、帯電ユニット(帯電手段)34により、感光体ドラム32の周面の一部が軸方向全体に渡って所定帯電電位に帯電され、感光体ドラム32が回転することによってその周面全体が所定の負の帯電電位に帯電される。帯電した感光体ドラム32表面は、感光体ドラム32の回転により次工程へ移動する。
【0043】
次に、レーザスキャナユニット33(露光手段)では、回転方向に複数の反射面を有したポリゴンミラー(回転多面鏡)及び各種光学系により、半導体レーザから出射されたレーザ光が偏向されながら感光体ドラム32へ照射される。これにより、レーザ光が帯電ユニット34により帯電した感光体ドラム32上を走査されて、感光体ドラム32上に静電潜像が形成される。
【0044】
その後、現像装置6が備える現像槽61内の負の直流電位に印加された現像ローラ62により、現像槽61内のトナー(現像剤の一例)が回転する感光体ドラム32表面上に供給され、静電潜像はこのトナーによって感光体ドラム32上の電位ギャップに応じて顕像化(現像)される。
【0045】
また、作像される用紙(記録紙)は、タイミングを合わせてレジストローラ31により、感光体ドラム32方向へ搬送され、転写ユニット(コロナチャージャ(転写手段))36により感光体ドラム32上のトナーが用紙に転写される。感光体ドラム32上の残留したトナーはドラムユニットのクリーニングブレード37aによってかきとられ、クリーナーユニット37により回収される。
【0046】
クリーニングブレード37aによりトナーがかきとられた感光体ドラム32の表面は、前記帯電ユニット34へ移動する途中で除電装置(除電手段)39により必要に応じて除電される。
【0047】
他方、トナーの転写が終了した用紙は、定着装置38(定着工程)の加熱ローラ38aと加圧ローラ38bとの間を通過して、熱と圧力が加えられ、用紙上の未定着トナーが用紙に溶融・固着され、排紙ローラ41により排紙トレイ42に排出される。前記加熱ローラ38aは、その内部に設けられた加熱ヒータ38cによって加熱される。
【0048】
また、原稿読み取り部10が備える原稿トレイ19に原稿が載置されていることが、所定のセンサにより検出されている場合には、所定のスタートキー操作がなされたときに給紙ローラ51が回転し、原稿トレイ19上に載置された原稿が原稿読み取り部10内へ送出されて所定の搬送経路Rt1中を搬送される。
【0049】
この搬送経路Rt1には、レジストローラ53が設けられており、このレジストローラ53によって原稿が捕捉され、原稿先端の位置決めが行われた後、所定のタイミングで原稿読み取り位置へ搬送される。
【0050】
そして、コピーランプユニット12が所定の停止位置(原稿読み取り位置)で停止したまま搬送中の原稿を露光する。この露光により得られた原稿からの反射光により原稿画像を読み取る処理は前述した通りである。
このようにして画像が読み取られた原稿は、原稿排出部18へ排出される。
【0051】
次に、本実施形態に係る特徴的な現像装置6について図面を参照して説明する。
図2は本実施形態に係る現像装置の概略構成を示す説明図である。
【0052】
現像装置6は、大略、現像剤を担持する現像ローラ62と、現像剤を収容する現像槽61と、現像槽61の中で現像剤60を撹拌搬送する撹拌搬送部材63、64及び65を含む。それぞれ矢印で示す反時計方向に回転している。
【0053】
現像ローラ62は、現像槽内で回転自在に設けられるアルミ製の現像ローラである。
現像ローラ62は、感光体ドラム32を臨み、その軸線が感光体ドラム32の回転軸線と平行になるように配置され、現像槽61本体のフレーム部に支持される。
【0054】
現像ローラ62に担持される現像剤としては、非磁性の一成分現像剤であるトナーが用いられる。
【0055】
現像槽61内において、トナー搬送方向で現像ローラ62上流に設けられたトナー供給ローラ66により、その表面にトナーを吸着し、現像ローラ上に一定量のトナーを供給する。
【0056】
現像ローラ62の上方には、現像ローラ62上に一定量のトナー層を形成するための現像剤規制部材、いわゆるドクターブレード68が設けられている。ドクターブレード68の先端には、ブレードと一体化されたウレタンゴム製の規制部67が設けられ、他端側は、固定板金71及び72によってブレードを挟み込んだ状態で、ビス73によって現像槽61本体に固定されている。
【0057】
ドクターブレード68は、薄く、ばね性を有した金属板金であり、このばね性によって規制部67を一定の圧力で現像ローラ62上における接触点p位置に押圧している。これにより、現像ローラ62上に一定の帯電を有したトナー層が担持される。
【0058】
これらの電荷を有するトナーが、現像ローラ62と感光体ドラム32との電位差に応じて、現像ローラ62から感光体ドラム32に供給されて静電潜像を現像し、トナー像を形成する。
【0059】
現像槽61は、例えば、硬質の合成樹脂などからなり、外観が略直方体形状を有する容器部材である。現像槽61内において、第1撹拌搬送部材65と第2撹拌搬送部材63は主として回転方向のトナーの攪拌と搬送の役割を持っている。両部材共に回転軸の周囲に設けられた薄い樹脂性、例えばPET製の羽を有している。
【0060】
また、第1撹拌搬送部材65と第2撹拌搬送部材63との間には、第3撹拌搬送部材64が配置されている。第3撹拌搬送部材64は、例えば硬質の合成樹脂製のスクリュー状の回転部材であって、主として軸方向のトナーの攪拌と搬送の役割を持っている。
【0061】
第2撹拌搬送部材63とトナー供給ローラ66との間には、中間壁部材80が設けられる。中間壁部材80は、例えば合成樹脂などからなる平板状の部材であり、現像槽61の長手方向に延びて現像槽61の底部から立ち上がるようにして設けられる。
中間壁部材80の中央部には開口穴81が形成され、現像槽61内において、第2撹拌搬送部材63からトナー供給ローラ66へ向う現像剤の流れを形成している。
【0062】
トナー供給ローラ66は、芯金のまわりに円筒状のたとえば発泡ウレタンなどの多孔性弾性部材が設けられたものであり、この穴部にトナーを吸着させつつ、現像ローラ62を摺擦することでトナーを現像ローラ62に供給し、且つ現像後、現像ローラ62に残った余分のトナー層をクリーニングする役割も持つ。
【0063】
次に、ドクターブレード68について、図面を参照して説明する。
図3は本実施形態の現像装置を構成するドクターブレードの構成を示す説明図である。
【0064】
ドクターブレード68は、図3に示すように、現像ローラ62と対向する先端部に規制部67が設けられている。規制部67は、略長方形形状の断面を有し、且つ長手方向、すなわち現像ローラ62の軸線方向に沿った方向に現像ローラ62とほぼ同じ幅で形成されている。
【0065】
また、ドクターブレード68は、他端部側が固定板金71及び72に挟み込まれた状態でビス等により現像槽61側に固定されている。
【0066】
また、規制部67は、支持部であるドクターブレード68の本体の材料弾性力によって、現像ローラ62に対して、接触点pの位置において荷重(押圧力)Pで押圧されている。
【0067】
現像ローラ62は、矢印N方向(反時計回り方向)に回転しており、現像槽61内のトナーは、トナー供給ローラ66によりその表面に吸着されて、現像ローラ62上に一定量のトナーを供給している。
【0068】
接触点pに流入したトナーは、現像ローラ62と規制部67によって摩擦力を受け帯電する。そして、接触点pを通過したトナーは、感光体ドラム32と対向する現像位置へ搬送された後に供給されて、感光体ドラム32に形成された静電潜像を現像する。
【0069】
規制部67を現像ローラ62に押圧する力の設定方法については、以下に示す通りである。押圧力は、主としてドクターブレード68の材料弾性力を利用している。
即ち、現像ローラ62にドクターブレード68をどの程度撓ませた状態(Y方向)で当接させているかにより押圧力を調整している。理論的には下記に示す片持ち梁の公式(1)で表される。

力:P(kgf)=3EIδ/L3・・・(1)

ここで、Eはブレード指示部材料のヤング率、Iは断面二次モーメント、δはたわみ量、Lは自由長である。
【0070】
なお、実際の実験においては、規制部67と現像ローラ62との間に、短冊状にカットしたPET製の部材の一端を挟み込み、他端をテンションゲージに繋いで一定の速度で前記PET部材を引き抜いた時の引抜力で評価している。テンションゲージには、アイコーエンジニアリング(株)製の「RX-5」を使用している。
本実験では、引抜力を0.03〜0.05(kgf/cm)程度となるよう調整した。
【0071】
ところで、現像ローラ62上のトナー付着量(搬送量)は常に一定である必要がある。
その際、単位面積当たりのトナー重量が一定であるだけでなく、トナー層の厚みも均一である必要がある。トナー重量が一定ではなく、トナー層の厚みが均一でないと、画像濃度にバラツキが生じたり、画像上にムラやスジが発生する。
【0072】
このような不具合については、前述したように現像ローラ62の表面を凹凸状にすることでトナー層の安定化が図れることが知られている。従って、本実施形態において、アルミ製の現像ローラ62をブラスト処理することで規定量のトナー搬送量を得ることができる。
【0073】
次に、本実施形態の特徴的な現像ローラ62の構成について図面を参照して説明する。
図4は本実施形態の現像装置を構成する現像ローラの構成を示す説明図、図5は図4のA部の拡大画像であって前記現像ローラの表面状態の一例を示す説明図、図6は前記現像ローラのブラスト処理した第1ブラスト処理領域の表面粗さの測定値を示したグラフ、図7は前記現像ローラの表面粗さに応じたトナー付着量を示すグラフ、図8(a)は前記現像ローラの表面の構成を示す説明図、(b)は前記現像ローラの表面の構成を示す側面図、図9は前記現像ローラのブラスト処理した第2ブラスト処理領域の表面粗さの測定値を示したグラフである。
【0074】
現像ローラ62は、図4に示すように、ドクターブレード68の規制部67と接する領域62Bにブラスト処理が施されている(以下、「第1ブラスト処理領域62B」と称する。)。現像ローラ62の両端部のドクターブレード68の規制部67と接しない領域62Aは、使用されるアルミ素地となっている(以下、「アルミ素地領域62A」と称する。)。
【0075】
本実施形態では、現像ローラ62の構成部材として、アルミ材のA5052,A5056,A6061等を用いた。
【0076】
ブラスト処理は、砥粒として砂を用いたサンドブラストが一般的であるが、定形である球形のガラスビーズや鋼球を用いることも多い。
本実施形態では、砥粒としてガラスビーズや砂を用いている。
【0077】
現像ローラ62の表面は、図5に示すように、アルミ素地領域62Aと第1ブラスト処理領域62Bとは異なる表面状態となっている。図中、符号dはガラスビーズ粒一粒によって凹部に変形した状態である。
【0078】
ここで、ブラスト処理について説明する。
ブラスト処理は、一般に対象物を中心軸の周りに回転させながら、ある一定の大きさ、硬度の砥粒を射出ノズルから一定の圧力、速度で対象物に射出衝突させ、それらの時間、ノズルから対象物までの距離、対象物に対する射出繰り返し回数等を調整しながら実施する。
【0079】
なお、対象物の表面をブラスト前にどこまで滑らかに仕上げておくかによっても、処理後の粗さに差が出てくる。本実施形態においては、ブラスト処理は現像ローラ62であるアルミ製の円筒部材の素地表面を平均粗さRa=0.05μm以下で鏡面研磨加工した後に行うことで、平均粗さRa=0.3〜0.5μmの範囲で安定して凹凸を形成することができた。
【0080】
以下に、アルミ材の素地の平均仕上げ加工粗さRaによるブラスト後の平均粗さRaの関係を示す。
【0081】
【表1】

【0082】
また、第1ブラスト処理領域62Bの表面粗さの測定値は、図6に示すようになっている。この場合の平均粗さは、Ra=0.43(μm)である。
【0083】
本実施形態では、上述したように、現像ローラ62の第1ブラスト処理領域62Bの表面の平均粗さRaを0.3〜0.5μmとした。このように構成することで、現像ローラ62のトナー付着量は、図7に示すように、0.7〜0.9(mg/cm)となり、画像形成上最適なトナー付着量、及び用紙上の必要濃度が得られた。
【0084】
また、本実施形態の現像ローラ62には、特徴的な構成として、図8(a),(b)に示すように、第1ブラスト処理領域62B内に領域62Bの表面粗さよりも粗い第2ブラスト処理領域62Cが形成されている。
【0085】
具体的には、現像ローラ62の表面には、図8(a)に示すように、表面粗さにおいて平均粗さRaの異なる第1ブラスト処理領域62Bと第2ブラスト処理領域62Cが、現像ローラ62の円周方向に沿って隣接して形成されるとともに、それぞれ現像ローラ62の軸線方向にわたりドクターブレード68の当接する範囲に形成されている。
【0086】
そして、第1ブラスト処理領域62Bと第2ブラスト処理領域62Cは、図8(b)に示すように、現像ローラ62の円周方向に沿った方向で平均粗さRaの大きい第2ブラスト処理領域62C領域の占める割合が平均粗さRaの小さい第1ブラスト処理領域62Bの占める割合よいも小さく構成されている。
【0087】
第2ブラスト処理領域62Cの表面粗さの測定値は、図9に示すようになっている。この場合の平均粗さRa=0.65(μm)である。
【0088】
そして、第1ブラスト処理領域62Bと第2ブラスト処理領域62Cの境界部には、平均粗さRaの異なる凹凸が混在して形成されている。
【0089】
ここで、現像ローラ62の表面加工する際の加工処理方法の一例を示す。
現像ローラ62の表面を加工する場合には、例えば、現像ローラ62の表面の第2ブラスト処理領域62Cに相当する部分(範囲)に予め粘着テープ等でマスキングを施した後、第2ブラスト処理領域62Cの表面粗さよりも小さめの粗さで現像ローラ62の全面をブラストし、その後マスキングしたテープを剥がしてから、第2ブラスト処理領域62Cのみを再度所定の粗さでブラストすると良い。
【0090】
このようにすることで、第1ブラスト処理領域62Bと第2ブラスト処理領域62Cの境界部には、平均粗さRaの異なる凹凸が混在して形成される。
【0091】
そして、前述したように表面粗さの大小によって異なる現像ローラ62の有するトナー搬送能力が、第2ブラスト処理領域62Cがドクターブレード68の規制部67下を通過する時のみ第1ブラスト処理領域62Bに比べて増えることになる。
【0092】
従来方式の場合、現像ローラの表面粗さは全面で一定であるため、常に一定のトナー量がドクターブレード下に供給されていたので、ある部分ではトナーがスムーズに現像領域に搬送されることなく、ドクターブレード下で滞留してトナーが移動しないことがあった。これにより、長時間の装置運転によってドクターブレードの表面にトナーが溶着しやすくなる。その結果、トナー溶着部分ではトナーが下流側へ搬送されないので、現像ローラ上ですじとなって現れて、画像不良となっていた。
【0093】
本実施形態の現像ローラ62によれば、現像ローラ62の1回転あたり1度、第2ブラスト処理領域62Cにおいてトナーの搬送能力が増えることで、滞留しかけたトナーに変化圧力が加わることになるので、固まりかけたトナーを瞬間的に崩すことができる。これにより、トナーをスムーズに下流に搬送することができる。
【0094】
ここで、本実施形態の現像ローラ62と従来の現像ローラの構成と作用効果について比較する。
図10(a)は従来の現像ローラに形成された溝の形状の一例を示す説明図、(b)は前記溝の形状に応じたトナー搬送量の関係を示す説明図、図11(a)は本実施形態の現像ローラに形成された凹凸部の形状の一例を示す説明図、(b)は前記凹凸部の形状に応じたトナー搬送量の関係を示す説明図、図12は本実施形態における現像ローラにブラスト処理を行うときの概略を示す説明図である。
【0095】
現像ローラの現像剤搬送能力を部分的に上げるには、既知の方法としては現像ローラの表面に例えば機械加工や、金型ダイス加工によって溝を設けることが知られている。
例えば、図10(a)に示すように、表面からh(mm)深く、幅k(mm)の溝部分を設ける。このように構成することで、この溝部分に現像剤が捕捉されるので、現像ローラによるトナー搬送量(mg/cm)、即ちトナー搬送能力は、図10(b)に示すように、溝に相当する場所では他の場所よりも高くなる。
【0096】
しかしながら、このような溝加工では、図10(b)に示すように、溝のない部分に比べてトナー搬送量が急激に立ち上がって増えることになる。その結果、現像領域には要求以上のトナーが長手方向に帯状になって供給されるため、画像濃度が円周ピッチで帯状に高くなってしまう。
【0097】
それに対して、本実施形態における現像ローラ62の表面のブラスト加工では、前述したように、砥石粒を現像ローラ62に吹き付けるので、従来の溝加工のような明瞭な形状変化ではなく、図11(a)に示すように、隣り合う領域の境界がなだらかな変化を持つ凹凸加工が可能となる。
【0098】
すなわち、例えば、図12に示すように、現像ローラ62の第2ブラスト処理領域62Cの帯領域の円周方向における中心線CL1上では、ブラストノズル100からの砥石粒のブラスト強度を強くして、中心線CL1から外れる方向、即ち第1ブラスト処理領域62Bとの境界付近に向けてはブラスト強度を弱めてやれば良い。そうすることで、第1ブラスト処理領域62Bと第2ブラスト処理領域62Cとの境界領域においては、大小の凹凸が混在することになる。
【0099】
その結果、現像ローラ62によるトナー搬送量は、図11(b)に示すように、なだらかに変化するので、従来のような過度のトナー搬送変化は生じに難くできる。
【0100】
なお、第1ブラスト処理領域62Bと第2ブラスト処理領域62Cとの表面粗さの差分量、及び面積比については、使用する現像装置や現像剤、現像条件に左右されるので、特に既定しないが、使用する条件に応じて最適化する。
【0101】
例えば、第2ブラスト処理領域62Cの表面粗さを粗くすればする程、また、面積を増やせば増やす程、トナーすじをなくす効果は高いが、その分トナー搬送量が増えて画像濃度が変化するので、前記のパラメータを振りながら画像不良の起こらない組み合わせを見つける必要がある。
【0102】
以下に、第1ブラスト処理領域62Bの平均粗さRaを0.3〜0.5(μm)として、第2ブラスト処理領域62Cの平均粗さRaを0.5〜1.0(μm)以上で変化させ、かつ、第2ブラスト処理領域62Cが円周上に占める角度θを15〜30(°)以上で変化させて、トナー層上にすじが発生することによる画像不良の有無を評価した結果を示す。
【0103】
ここで、「角度θ」とは、図8(b)の側面図において、現像ローラ62の回転中心Oからの第2ブラスト処理領域62Cが円周上に占める部分の角度θである。
【0104】
【表2】

【0105】
表1に示すように、第2ブラスト処理領域62Cの平均粗さRaが0.5〜0.7(μm)のときは、第2ブラスト処理領域62Cの占める角度θが15〜30(°)で、トナー層上にすじの発生はなく画像は良好であった。
【0106】
【表3】

【0107】
表2に示すように、第2ブラスト処理領域62Cの平均粗さRaが0.5〜1.0(μm)のときは、第2ブラスト処理領域62Cの占める角度θが15(°)以下で画像は△であり、角度θが15〜30(°)で、トナー層上にすじの発生はなく画像は良好であった。
【0108】
【表4】

【0109】
表3に示すように、第2ブラスト処理領域62Cの平均粗さRaが1.0(μm)以上のときは、第2ブラスト処理領域62Cの占める角度θが15(°)以下及び15〜30(°)で画像は△であった。
【0110】
以上、表1〜表3の結果により、本実施形態の現像ローラ62によれば、第1ブラスト処理領域62Bの平均粗さRaが0.3〜0.5(μm)、第2ブラスト処理領域62Cの平均粗さRaが0.5〜1.0(μm)、第2ブラスト処理領域62Cの占める角度θが15〜30(°)の範囲で、トナー層上にすじの発生はなく良好な画像を形成できる。
【0111】
以上のように構成したので、本実施形態によれば、現像装置6の構成として、現像ローラ62の表面をブラスト処理により凹凸状に形成し、この凹凸状の表面に、表面粗さにおいて平均粗さRaの異なる第1ブラスト処理領域62Bと第2ブラスト処理領域62Cとを現像ローラ62の円周方向に沿って隣接して、それぞれ現像ローラ62の軸線方向にわたりドクターブレード68の当接する範囲に形成し、第1ブラスト処理領域62Bと第2ブラスト処理領域62Cの境界部には、平均粗さRaの異なる凹凸を混在して形成したので、トナー搬送量の変化を急激に起こすことなくトナーを搬送することができるので、現像領域に影響を及ぼすことなく、トナーのドクターブレード68の表面への溶着を起こし難くして、トナー層上にすじが発生することを抑制して、安定した画像を得ることができる。
【0112】
なお、本実施形態では、現像ローラ62の表面に凹凸状に形成される第2ブラスト処理領域62Cを、図8(a)に示すように、現像ローラ62の軸線方向に沿って略平行に形成しているが、本発明は、凹凸状に形成される領域の形状に限定されるものではなく、平行に形成されるものでなくてもよい。
【0113】
(変形例)
次に、本実施形態の現像ローラ62の変形例について図面を参照して説明する。
図13は本実施形態の現像装置を構成する現像ローラの変形例の構成を示す説明図、図14(a)は従来の現像装置を構成するドクターブレード付近の構成を示す説明図、(b)は(a)のB矢視図であって前記ドクターブレードを保持する固定板金の構成を示す説明図である。
【0114】
変形例は、上述した実施形態の現像装置6を構成する現像ローラ62の凹凸状の表面の構成を変えたものである。
なお、変形例の現像装置において、現像ローラとそれに関して構成の異なる構成要素以外のものは、上述した実施形態の現像装置6と同様の構成を備えるものとする。また、同一の構成を有するものには同一の符号を付することで説明を省略する。
【0115】
変形例の現像ローラ162は、図13に示すように、第1ブラスト処理領域162B内に第1ブラスト処理領域162Bの表面粗さよりも粗い第2ブラスト処理領域162Cが形成されている。
【0116】
第2ブラスト処理領域162Cは、円周方向の幅が、現像ローラ162の軸線方向における両端部162d2,162d3が中央部162d1よりも広くなるように形成されている。
【0117】
ところで、従来の現像装置においては、現像ローラに関して図示しない圧接機構の構造上から、現像ローラの長手方向(軸線方向)において中央部分では両端部分よりもトナー搬送量が多めになる傾向がある。
【0118】
そこで、図14(a),(b)に示すように、ドクターブレード68を保持する固定板金271の形状を、現像ローラ262の軸線方向の中央部271w1は両端部271w2,271w3よりもやや広く設定していわゆるクラウン状にしており、ドクターブレード68の自由長を疑似的に中央部のみ短くすることにより、中央部271w1に加わる押圧Pを両端部271w2,271w3よりも上げて長手方向(軸線方向)全体のトナー搬送量のバランスを適正化していた。
【0119】
変形例では、現像ローラ162の構成を、図13に示すようにしたので、現像ローラ162の長手方向(軸線方向)において中央部162d1よりも両端部162d2,162d3のトナー搬送量を増やすことが可能となる。これにより、前述した従来の固定板金271のように、現像ローラの軸線方向に沿って幅形状を変える必要がなくなる。
【0120】
また、現像ローラ162の両端部162d2,162d3は、中央部162d1に比べて本発明によるトナー搬送量の増減に対しては、比較的影響度合が少ない。それは、以下の理由による。
【0121】
すなわち、現像ローラ162は、感光体ドラム32に対してある一定の間隙をもって設置されているわけであるが、現像ローラ162は、現像に寄与する円筒部分を両端の駆動軸162eにより回転させる構造となっている。そして、両端の軸162eは、いずれも現像槽61に対して軸受を介して回転している。一般に、この種の円筒部材を旋盤等で製作した場合、円筒の中央部の回転振れが最も大きく、両端に近くなるに従って振れは小さくなる。
【0122】
従って、このような構成の現像ローラ162が感光体ドラム32に対向して回転した場合、両者の間隙、即ち現像ギャップは回転に伴って大小の値、つまり離れたり近づいたりを繰り返すことになる。
【0123】
この現像ギャップが広くなると、必然的に感光体ドラム32へのトナー付着量は少なくなり、その結果、用紙上の画像濃度は低くなる。一方、現像ギャップが小さくなる場合は、逆に画像濃度は高くなる。これは中央部でより顕著となり、両端に近づくに伴って影響は少ない。通常の製品化時には、この振れ量を考慮して諸条件を決定しているので、別のパラメータにより影響は相殺されている。
【0124】
以上の理由により、現像ローラ162の両端部のトナー搬送量が多少中央部に比べて増えたとしても、前述した中央部の振れによる影響度と同程度の増加であれば、出力画像への影響はない。
【0125】
以上のように構成したので、変形例によれば、現像ローラ162の構成を、トナーの滞留層を崩す効果を上げるため、表面粗さの大きい第2ブラスト処理領域162Cを中央部162d1よりも両端部162d2,162d3に広い範囲で設けることにより、現像ローラ162の長手方向(軸線方向)でトナーの移動量に差を生じるので、ドクターブレード68直下でのトナーの流れが常に一定とはならず、トナーのドクターブレード68表面への溶着を起こし難くして、トナー層上にすじが発生することを抑制して、安定した画像を得ることができる。
【0126】
なお、上述した実施形態において、現像装置6の主な仕様は下記の通りとなっている。
現像ローラ ;外径16mm
感光体(OPC) ;外径30mm
トナー供給ローラ;外径16mm
プロセス速度 ;145mm/sec
規制部厚み ;1mm
ここで、出力用紙上の画像濃度は、ベタ画像濃度をポータブル分光測色濃度計(商品名:X−Rite 939、X−Rite社製)を用いて測定ができる。
また、トナー帯電量は、TReK社製、Model「210HS-2A」を用いて測定できる。
【0127】
以上のように、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
1 画像形成装置
32 感光体ドラム(感光体)
60 現像剤
62,162 現像ローラ
62A アルミ素地領域
62B,162B 第1ブラスト処理領域(平均粗さRaの異なる2つの領域の一方)
62C,162C 第2ブラスト処理領域(平均粗さRaの異なる2つの領域の他方)
67 規制部
68 ドクターブレード
100 ブラストノズル
162d1 中央部
162d2,162d3 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式の画像形成装置に設けられ、画像形成装置に備わる感光体に現像剤を供給して前記感光体上に形成される静電潜像を現像するための現像ローラと、前記現像ローラの表面に担持される現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材とを備えた現像装置において、
前記現像ローラは、その表面が凹凸状に形成され、
前記凹凸状の表面には、表面粗さにおいて平均粗さRaの異なる2つの領域が、前記現像ローラの円周方向に沿って隣接して形成されるとともに、それぞれ前記現像ローラの軸線方向にわたり形成され、
前記平均粗さRaの異なる2つの領域の境界部には、平均粗さRaの異なる凹凸が混在して形成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記平均粗さRaの異なる2つの領域は、前記現像ローラの円周方向に沿った方向で平均粗さRaの大きい領域の占める割合が平均粗さRaの小さい領域の占める割合よいも小さく構成されていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記平均粗さRaの大きい領域は、円周方向の幅が、前記現像ローラの軸線方向における両端部が中央部よりも広く形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像ローラは、アルミ製の円筒部材で形成されていることを特徴とする請求項1から3のうちの何れか一項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記凹凸状の表面は、ガラスビーズブラストによりブラスト処理されたものであることを特徴とする請求項1から4のうちの何れか一項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記凹凸状の表面は、サンドブラストによりブラスト処理されたものであることを特徴とする請求項1から4のうちの何れか一項に記載の現像装置。
【請求項7】
前記凹凸状の表面の平均粗さRaは、一方の領域の平均粗さRaが0.3〜0.5μmであって、他方の領域の平均粗さRaが0.5μm以上であることを特徴とする請求項1から6のうちの何れか一項に記載の現像装置。
【請求項8】
前記ブラスト処理は、前記現像ローラを構成するアルミ製の円筒部材の素地表面を平均粗さRaが0.05μm以下で鏡面加工仕上げした後に行うことを特徴とする請求項5から7のうちの何れか一項に記載の現像装置。
【請求項9】
静電潜像が形成される感光体を備えるとともに、前記感光体に現像剤を供給して前記感光体上に形成される静電潜像を現像するための現像ローラと、前記現像ローラの表面に担持される現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材とを具備する現像装置を備えて、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置において、
前記現像装置として、請求項1から8のうちの何れか一項に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−64786(P2013−64786A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202137(P2011−202137)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】