説明

現像装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】現像ローラの現像剤搬送力が経時的に低下することなく、また現像ローラと規制部材との隙間に異物等が挟まりにくい現像装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像ローラ241の表面に、回転方向に対して交差するように複数本のワイヤ240を設ける。ワイヤ240は現像ローラ241の回転方向に対して等間隔に設けるのが好ましい。またワイヤ240の端部の少なくとも一方を、現像ローラ241に取り外し可能に固定するのが好ましい。さらには、ワイヤ240の太さとしては0.07〜0.35mmの範囲が好ましく、その材質としては導電性材料が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体表面に形成された静電潜像を現像剤によって現像する現像装置及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリやプリンタ、複写機及びこれらの機能を複合的に備えた多機能器などの電子写真方式を用いた画像形成装置には、像担持体の表面を一様に帯電させる帯電装置と、画像情報に基づく光を照射して像担持体の表面に静電潜像を形成する露光装置と、静電潜像を現像剤によって可視像化する現像装置と、像担持体上の可視像化されたトナー像を記録材の表面に電気的・機械的に移動させる転写装置と、記録材に移動せず像担持体上に残留した現像剤を除去するための清掃装置と、記録材上のトナー像を加熱及び加圧によって記録材に溶融定着させる定着装置を備える。
【0003】
近年、特にフルカラー出力装置の増加に伴って、装置の小型化・高速化と共に、長寿命化・高信頼性化・高画質化が求められている。特に長寿命、高信頼性化、高画質化については現像装置の影響が大きく、現像装置の性能次第で、それらの達成度が大きく異なることはよく知られている。
【0004】
現像装置に要求される性能としては、現像剤の安定供給と、異物等によるノイズの発生防止がある。まず、現像剤の安定供給については、例えばトナーに含有されるワックス成分や、現像剤中に添加される後処理剤等が、時間とともに現像ローラ表面に付着し、現像ローラ表面の摩擦係数(いわゆる「μ」)を低下させ、現像ローラの現像剤搬送力が徐々に低下することがある。また、現像ローラ表面が、現像剤(主にキャリア)との摩擦によって削れ、現像ローラの表面粗さが小さくなり、それに伴って現像剤を担持する力が弱くなって、現像剤搬送力が徐々に低下することもある。現像ローラの現像剤搬送力の低下は、感光体に供給できるトナー量が少なくなるため、画像濃度不足を招くことになる。
【0005】
また、装置内に混入した異物やトナーの軟凝集物等が、現像部への現像剤搬送量を規制するドクターブレード(規制部材)と現像ローラとの間に挟まると、設定された量の現像剤が現像部に搬送されず、形成される画像にノイズが生じる。例えば、異物等の挟まった部分の現像剤搬送量が極端に少なくなった場合には画像上に白いスジが生じる。
【0006】
現像剤搬送力の低下問題に対しては、例えば、現像ローラの表面に溝を形成し、現像剤の搬送力低下を防止する技術が提案されている(例えば特許文献1,2)。現像ローラの表面に、約30〜100μmの深さの溝を軸方向に複数本形成し、溝部分の段差によって現像剤搬送力を維持しようとするものである。
【0007】
また異物等によるノイズ問題に対しては、現像ローラとドクターブレードとの間に、清掃治具を挿入し、ドクターブレードに付着している異物等を除去する技術が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-25462
【特許文献2】特開2007-114317
【特許文献3】特開2004-20877
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記提案技術のような、現像ローラに溝を形成して現像剤搬送力を維持する方法では、溝の形成に高い寸法精度が要求され、化学エッチングや機械切削加工、引き抜き加工などの従来の方法では十分な精度が得られず加工が困難という問題がある。また、現像ローラ表面に形成した溝に異物等が入り込んだ場合、それによって画像上に白いスジが生じることがある。さらには、例えば現像装置をリファービッシュする場合に、現像ローラの溝内の汚れを洗浄するのに手間が掛かる。また、溝が何らかの理由で変形したり破損した場合には現像ローラそのものを交換しなければならない。
【0010】
また、前記提案技術のように、現像ローラとドクターブレードとの間隙に、清掃治具を挿入し、ドクターブレードに付着している異物を除去する方法では、異物が前記間隙に挟まってから清掃治具によって除去されるまでの間、前述の白いスジが画像上に発生し続けるおそれがある。また、前記間隙に詰まった異物等を清掃治具によって除去するためには、現像ローラとドクターブレードとが露出するまで現像装置を分解しなくてはならず手間が掛かる。また当然ながら、前記提案技術では、異物等の除去はできても、異物等の詰まり等を予防することはできない。
【0011】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、現像ローラ等の現像剤担持体の現像剤搬送力が経時的に低下することなく、また現像ローラと規制部材との隙間に異物等が挟まりにくい現像装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、像担持体と対向する現像部に現像剤を表面に担持して回転搬送する現像剤担持体を備えた現像装置であって、前記現像剤担持体の表面に、回転方向に対して交差するように複数本の線状部材を設けたことを特徴とする現像装置が提供される。
【0013】
ここで、前記複数本の線状部材は、現像剤担持体の回転方向に対して等間隔に設けるのが好ましい。
【0014】
また、前記複数本の線状部材の端部の少なくとも一方を、前記現像剤担持体に取り外し可能に固定するのが好ましい。
【0015】
前記複数本の線状部材の太さとしては0.07〜0.35mmの範囲が好ましく、その材質としては導電性材料が好ましい。
【0016】
また本発明によれば、前記記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の現像装置及び画像形成装置によれば、現像剤担持体による現像剤搬送力を長期間にわたって維持することができ、画像濃度低下を招くことがない。また現像剤担持体と規制部材との間に異物等が詰まるのを効果的に抑えることができ、また異物等が詰まった場合でも現像剤担持体の回転によって自ら詰まりを解消でき、ノイズのない高品質な画像を出力できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る現像装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】現像ローラと規制部材、感光体ドラムとの概略説明図である。
【図4】ワイヤの一方端の、現像ローラへの取り付け状態を示す部分斜視図である。
【図5】ワイヤのもう一方端の、現像ローラへの取り付け状態を示す部分斜視図である。
【図6】ワイヤの取り付け状態を示す部分拡大斜視図である。
【図7】現像ローラ表面に取り付けられたワイヤの状態説明図である。
【図8】現像ローラと規制部材との間に挟まった異物がワイヤによって移動される様子を説明する図である。
【図9】現像ローラ表面へのワイヤの取付けの他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る現像装置及び画像形成装置を図に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例を示す概説図である。図1の画像形成装置は、タンデム型デジタルカラープリンタ(以下、単に「プリンタ」と記すことがある)である。もちろん、プリンタのほか、さらにスキャナを有する複写機、ファクシミリ又はそれらの機能を複合的に備えた複合機等にも本発明を適用することができる。なお、以下において、説明の対象である装置または部材がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)またはブラック(K)のいずれのものであるかを明確にする必要がある場合は、「(Y)」、「(M)」、「(C)」、「(K)」の文字を符号に付加して説明し、それ以外の場合はそれら文字を省略して説明する。
【0021】
プリンタ1は、その内部のほぼ中央部に中間転写ベルト(中間転写体)11を備えている。中間転写ベルト11は、ローラ12,テンションローラ13,ガイドローラ14,15の外周部に掛け渡されて反時計回りに回転駆動する。テンションローラ13は、外側へスライド可能に取り付けられていると共に、押しバネSによって中間転写ベルト11の内側から外側に向かって付勢されている。これにより、中間転写ベルト11は、常に張力がかかった状態となっている。
【0022】
中間転写ベルト11の下部水平部の下には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色にそれぞれ対応する4つの作像部2Y,2M,2C,2Bが、中間転写ベルト11に沿ってこの順に並んで配置されている。各作像部2Y,2M,2C,2Bは、感光体ドラム(像担持体)21Y,21M,21C,21Bをそれぞれ有している。各感光体ドラム21Y,21M,21C,21Bの周囲には、その回転方向に沿って順に、帯電器22Y,22M,22C,22Bと、プリントヘッド部23Y,23M,23C,23Bと、現像装置(現像手段)24Y,24M,24C,24Bと、クリーナ(クリーニング手段)25Y,25M,25C,25Bとがそれぞれ配置されている。プリントヘッド部23Y,23M,23C,23Bは、感光体ドラムの軸方向と平行な主走査方向に並べられた多数のLEDから構成されている。
【0023】
そして、中間転写ベルト11を挟んで、各感光体ドラム21Y,21M,21C,21Bと対向する位置には、一次転写ローラ30Y,30M,30C,30Bが設けられている。また、中間転写ベルト11のローラ12で支持された部分には、2次転写ローラ16が圧接されている。2次転写ローラ16と中間転写ベルト11とのニップ部が2次転写領域17となる。この2次転写領域17において中間転写ベルト11上に形成されたトナー像が、搬送されてきた用紙Pに転写される。
【0024】
プリンタ1に下部には、給紙カセット91が着脱可能に配置されている。給紙カセット91内に積載収容された用紙Pは、給紙ローラ92の回転によって最上部のものから1枚ずつ引き出されて搬送路93に送り出される。搬送路93は、給紙カセット91から、タイミングローラ対94のニップ部、2次転写領域17、および定着ユニット95を通って排紙トレイ98まで延びている。給紙カセット91から送り出された用紙Pは、タイミングローラ対94に搬送され、ここで所定のタイミングで2次転写領域17に送り出される。
【0025】
定着ユニット95は、中空円筒状で、ハロゲンヒータHを内部に備えた定着ローラ96と、この定着ローラ96に圧接されて従動回転する加圧ローラ97を備える。トナー像が2次転写された用紙Pが通過する、定着ローラ96と加圧ローラ97とのニップ部が、定着領域となる。
【0026】
このような構成のプリンタ1の概略動作について説明する。まず、カラー画像を出力するフルカラーモードの場合、外部装置(例えばパソコン)からプリンタ1の画像信号処理部(不図示)に画像信号が入力されると、画像信号処理部ではこの画像信号をイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックに色変換したデジタル画像信号を作成し、この信号をプリントヘッド用LEDドライブ回路に伝達する。このドライブ回路は、入力されたデジタル信号に基づいて、各作像部2Y,2M,2C,2Bのプリントヘッド部23Y,23M,23C,23Bを発光させて露光を行う。この露光は、プリントヘッド部23Y,23M,23C,23Bの順にそれぞれ時間差をもって行われる。これにより、各感光体ドラム21Y,21M,21C,21Bの表面に各色用の静電潜像がそれぞれ形成される。
【0027】
各感光体ドラム21Y,21M,21C,21B上に形成された静電潜像は、各現像装置24Y,24M,24C,24Bによってそれぞれ現像されて各色のトナー像となる。そして、各色のトナー像は、各一次転写ローラ30Y,30M,30C,30Bの作用により、図中反時計回りに回転する中間転写ベルト11上に順次一次転写されて重ね合わせられる。
【0028】
このようにして中間転写ベルト11上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト11の移動にしたがって2次転写領域17に達する。一方、給紙カセット91から搬送路93に送り出された用紙Pは、タイミングローラ対94によって、トナー像が2次転写領域17に達するタイミング合わせて2次転写領域17へ搬送される。そして、2次転写ローラ16にはトナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加される。これにより、2次転写領域17において、重ね合わされた各色トナー像は中間転写ベルト11から用紙Pに一括して2次転写される。なお、2次転写後に中間転写ベルト11上に残留するトナーは、不図示のベルトクリーナにより回収される。
【0029】
トナー像が2次転写された用紙Pは、搬送路93を通って定着ユニット95に送られ、そこで定着領域を通過することによりトナー像が用紙Pに定着される。そして、用紙Pは排紙トレイ98に排出される。
【0030】
次に、図1のプリンタに搭載されている現像装置24について説明する。図2は、現像装置24の横断面図である。図2の現像装置24は、磁性粒子からなるキャリアとトナーとを有する2成分系現像剤D(図3に図示)を用いて感光体ドラム21の静電潜像を現像するものである。この現像装置24は、複数の磁極を内蔵した回転自在の現像ローラ241と、水平方向に平行に配置され、互いに逆向きに現像剤を撹拌搬送する2本の撹拌羽根243,244と、2本の撹拌羽根243,244の間に形成され、両端部に開口部が形成された仕切り板245とを備える。
【0031】
2本の撹拌羽根243,244は、不図示の駆動機構によって互いに逆方向に回転する。現像剤は、撹拌羽根243が回転することによって紙面奥方向に、撹拌羽根244が回転することによって紙面手前方向に撹拌されながら搬送される。そして、撹拌羽根243,244の両端部において、仕切り板245の両端部に形成された開口部(不図示)を通って、一方の撹拌羽根から他方の撹拌羽根に現像剤は移動する。これにより現像剤は装置内を常に循環し撹拌される。現像装置内を撹拌されながら循環することによってトナーは所定値まで帯電する。
【0032】
図3は、現像ローラ241と規制部材242、感光体ドラム21との概略構成図である。現像ローラ241の表面には、複数本のワイヤ(線状部材)240が周方向に等間隔に且つ回転方向に対して垂直に張架されている。現像スリーブ241の回転に伴ってワイヤ240も回転する。現像剤Dは、これまでの現像装置と同様に、現像スリーブ241の表面の微小な凹凸によって担持・搬送されると同時に、現像スリーブ241に張架された複数本のワイヤ240によってさらに確実に担持・搬送されるようになる。
【0033】
現像ローラ241は、表面に数μmの凹凸を付けた金属製の円筒スリーブ241bの内部に順に、現像磁極N、搬送磁極S、剥離磁極N、汲み上げ磁極N、ブレード磁極Sの5つの磁極を配置した固定磁石241aを有してなる。現像ローラ30が矢印方向に回転すると、汲み上げ磁極Nの磁力によって、撹拌羽根243から現像ローラ241へ現像剤Dが汲み上げられる。現像ローラ241の表面に担持された現像剤Dは、規制ブレード242により層規制された後、現像部へ搬送される。そして現像部では、現像ローラ241にバイアス電圧が印加され、生じた現像電界により、帯電トナーが感光体ドラム21上の静電潜像に移動して現像がなされる。その後現像ローラ241上の現像剤は、搬送磁極Sによって装置内部に搬送され、剥離磁極Nによって現像ローラ241から剥離して、撹拌羽根243,244によって装置内を再び循環搬送され、現像に供していない現像剤Dと混合撹拌される。そして汲み上げ極Nによって、新たに現像剤が撹拌羽根243から現像スリーブ241へ供給される。
【0034】
現像装置24内のトナー濃度が低下すると、プリンタ1に取り外し自在に設けられたトナーカートリッジ(不図示)から現像装置25に新たなトナーが供給される。トナーカートリッジから供給されるトナーは、撹拌羽根244の上方に形成されたトナー供給口から供給される。現像装置24に供給された新しいトナーは、前述のように、撹拌羽根243,244によって撹拌されながら循環され、これによって所定値まで帯電される。
【0035】
図3において、現像スリーブ241bに担持された現像剤Dは、規制部材242と現像スリーブ241bとの間隙を通過する際に、現像部への搬送量が規制される。規制部材242と現像スリーブ241bとの間隙が広いと、現像部への現像剤Dの搬送量は多くなり、間隙が狭いと現像部への現像剤Dの搬送量は少なくなる。なお、規制部材242として可撓性を有する板状部材を用い、この板状部材を現像スリーブ242bに圧接させて現像部への現像剤Dの搬送量を調整するようにしてもよい。この場合、現像剤Dの搬送量は、板状部材の圧接力によって制御すればよい。
【0036】
ワイヤ240は、その両端が現像ローラ241の軸方向両端部に取り付けられている。図4に、ワイヤ240の一方端側の取付け状態例、図5に、ワイヤ240のもう一方端側の取付け状態例を示す。図4に示すように、ワイヤ240の一方端は、現像ローラ241の側面の軸芯近傍に固定されている。固定方法としては例えば溶着や接着などが挙げられる。そして、図5に示すように、ワイヤ240のもう一方端は、現像ローラ241に取り外し可能に取り付けられている。ワイヤ240の取り外し可能部分の拡大斜視図を図6に示す。
【0037】
図6に示す実施形態では、ワイヤ240は、線状の本体部240aと、本体部240aの一方端部に形成された球状部240bとを有する。一方、現像ローラ241の軸方向端部には凹部41が形成されている。凹部41は、ワイヤ240の球状部240bを挿入できる内部空洞部41aと、この内部空洞41aの上面に、軸方向内方に向かって徐々に狭くなるように形成された開口部41bとを有する。ワイヤ240の端部に形成された球状部240bを、現像ローラ241の端部に形成された凹部41の内部空洞部41aに差し入れた後、ワイヤ240を軸方向内方に引くことにより、内部空洞部41aの中で球状部240bが、開口部41bの幅が球状部240bよりも狭い部分に移動する。これにより、球状部240bが凹部41から抜けなくなってワイヤ240は現像ローラ241に固定される。
【0038】
現像ローラ241へのワイヤ240の取り付けは、現像ローラ241の両端2カ所のほか、途中においても固定してよいが、現像ローラ241の両端以外での固定部が現像剤の搬送の支障となるおそれがあるので、現像ローラ241の両端部のみでの固定が推奨される。また、後述する、現像ローラ241の回転に伴うワイヤ240の撓みを大きくする観点からも現像ローラ241の両端部のみの固定が推奨される。前記実施形態では、ワイヤ240を現像ローラ241に取り外し可能に固定していたが、ボンディング等によってワイヤ240の両端を現像ローラ241に取り外し不能に固着しても構わない。なお、使用した現像ローラ241の清掃・再使用の観点からは、ワイヤ240は取り外し可能に現像ローラ241に固定するのが望ましい。
【0039】
ワイヤ240の現像ローラ241への取り付け間隔としては特に限定はなく、現像剤Dの種類や現像スリーブの表面粗さ等から適宜決定すればよい。通常、ワイヤ240の取り付け間隔は0.5〜2mmの範囲が好ましい。ワイヤ240の断面形状に限定はなく、円状や多角形状などいずれの形状であってもよい。またワイヤ240の太さ(直径又は厚み)としては、0.07〜0.35mmの範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜0.15mmの範囲である。またワイヤの材質としては、タングステンやステンレス鋼、スチール、フロロカーボン、高炭素鋼などの金属材料の他、樹脂材料であっても構わない。ただし、感光体ドラム上の静電潜像を現像する際に、現像ローラ241と感光体ドラム21との間に電圧が印加されるので、現像ローラ241の表面に取り付けられるワイヤ240についても導電性であるのが好ましい。
【0040】
図7に、現像ローラ241が停止している状態(同図(a))及び回転している状態(同図(b))のワイヤ240の様子を示す。ワイヤ240の両端部を現像スリーブ241bに固定した場合、現像スリーブ241bが回転すると、慣性力によってワイヤ240の軸方向中央部が軸方向両端部にやや遅れて回転し、ワイヤ240は撓んだ状態となる。なお、図7は、理解しやすいように、円筒状の現像スリーブ241bを平面に展開した状態で示している。
【0041】
図8に、回転している現像スリーブ241bを規制部材242の上方から見た図を示す。現像スリーブ241bが回転するとワイヤ240が撓み、規制部材242に対して角度を有して通過するようになる。現像スリーブ241bと規制部材242との間隙に異物等が挟まっている場合、回転によってワイヤ240が撓むことによって、異物等に対して回転方向と交差する方向にワイヤ240から力が加わる。換言すれば、現像スリーブ241bと規制部材242との間隙に挟まった異物等に、回転方向に対して垂直方向の力が加わる。これにより、異物は軸方向外方へ移動し、現像スリーブ241bと規制部材242との間隙の同一箇所に留まることがなくなり、定位置的な画像の白スジは発生しにくくなる。また、軸方向に移動する間に異物が粉砕・解砕され、現像スリーブ241bと規制部材242との間隙から消滅することも起こり得る。
【0042】
加えて、ワイヤ240が規制部材242に対して角度を有すると、現像スリーブ241bに担持されている現像剤Dの穂が規制部材242に角度を持って接することとなり、規制部材242の、現像剤Dをせき止める面は常に清掃されるようになる。
【0043】
本発明で使用する現像剤Dとしては、キャリアとトナーとを含む2成分系現像剤の他、磁性トナーや非磁性トナーなどを含む1成分系現像剤であっても構わない。現像剤Dとして非磁性トナーを使用する場合、前記実施形態とは異なって現像ローラは磁石を備える必要はない。
【0044】
図9に、ワイヤ240の、現像スリーブ241bへの他の取付け状態を示す。なお、図9は、図7と同様に、円筒状の現像スリーブ241bを平面に展開した状態で示している。この図に示す実施形態では、現像スリーブ241bの表面に、回転方向に対して90°未満で交差するように、複数本のワイヤ240が互いに略平行に取り付けられている。このような形態であっても、現像スリーブ241に張架されたワイヤ240によって確実に現像剤は担持・搬送される。また、現像スリーブ241bと規制部材242との間隙に挟まった異物等についても、回転方向に対して垂直方向の力が加わり、異物は軸方向外方へ移動し、定位置的な画像の白スジは発生しにくくなる。また、前記実施形態と同様に、軸方向に移動する間に異物が粉砕・解砕され、現像スリーブ241bと規制部材242との間隙から消滅することも起こり得る。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の現像装置によれば、現像ローラによる現像剤の搬送力を長期間にわたって維持することができ、また現像ローラと規制部材との間に異物等が詰まるのを効果的に抑えることができ、さらには異物等が詰まった場合でも現像ローラの回転によって自ら詰まりを解消でき有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 プリンタ(画像形成装置)
P 用紙
11 転写ベルト
16 2次転写装置
21 感光体ドラム(像担持体)
22 帯電装置
23 露光装置
24 現像装置
30 1次転写装置
240 ワイヤ(線状部材)
241 現像ローラ(現像剤担持体)
242 規制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と対向する現像部に現像剤を表面に担持して回転搬送する現像剤担持体を備えた現像装置において、
前記現像剤担持体の表面に、回転方向に対して交差するように複数本の線状部材を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記複数本の線状部材を回転方向に対して等間隔に設けた請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記複数本の線状部材の端部の少なくとも一方を、前記現像剤担持体に取り外し可能に固定した請求項1又は2記載の現像装置。
【請求項4】
前記複数本の線状部材の太さが0.07〜0.35mmの範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記複数本の線状部材が導電性材料からなるものである請求項1〜4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記請求項1〜5のいずれかに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−164662(P2010−164662A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5290(P2009−5290)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】