現像装置及び画像形成装置
【課題】カブリ現象の発生及びキャリア粒子の静電潜像担持体への付着を抑制しつつ効率よく静電潜像を現像できる現像装置を提供する。該現像装置を搭載することでカブリ等のノイズの抑制された高品質の画像を形成できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像スリーブ41及びスリーブ41が外嵌した磁石体42を含み、2成分現像剤を用いる現像装置4。磁石体42の現像極Dpによる法線方向磁束密度ピーク値Brpを示す角度位置p1が、現像極中心位置p2より、現像領域における感光体1表面の移動方向において下流側へ偏っている。
【解決手段】現像スリーブ41及びスリーブ41が外嵌した磁石体42を含み、2成分現像剤を用いる現像装置4。磁石体42の現像極Dpによる法線方向磁束密度ピーク値Brpを示す角度位置p1が、現像極中心位置p2より、現像領域における感光体1表面の移動方向において下流側へ偏っている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置に関係しており、特に、該画像形成装置に用いる現像装置に関係している。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置では、静電潜像担持体の表面を帯電装置で帯電させ、該帯電域に露光装置から画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成し、該トナー像を被転写体に転写できるものが一般的である。
【0003】
ここで、「被転写体」とは、モノクロ画像形成装置では、記録紙等の記録媒体が一般的であり、カラー画像形成装置等において、静電潜像担持体上のトナー像を1次転写する中間転写体を採用している場合は、該中間転写体及び該中間転写体からトナー像が2次転写される記録媒体のいずれもが被転写体であると言える。
【0004】
このような画像形成装置における現像装置としては、乾式現像剤を用いるものと、液体現像剤を用いるものが知られているが、今日では乾式現像剤を用いる現像装置が一般的である。乾式現像剤を用いる現像装置については、トナーを主体とする所謂一成分現像剤を用いる現像装置と、トナー及びキャリア粒子を含む所謂二成分現像剤を用いる現像装置が知られている。
【0005】
二成分現像剤を用いる現像装置は、一般的には、固定配置された磁石体と、該磁石体に回転可能に外嵌された現像スリーブとを含み、トナーと磁性キャリア粒子を含む現像剤からなる現像剤穂を該磁石体の磁力により該現像スリーブ表面上に形成し保持し、該現像剤穂を回転駆動される静電潜像担持体の表面に形成される静電潜像を現像する現像領域へ搬送し、該現像剤穂を該静電潜像担持体表面に接触させて該静電潜像を現像する。
【0006】
図19(A)はこのような現像装置における磁石体MRびそれに外嵌された現像スリーブDSの例を示している。磁石体MRは、図19(A)に例示するように、環状に配列されたN極とS極を含む磁極群を有している。これら磁極のうち静電潜像担持体(図示例では感光体)PC上の静電潜像を現像する現像領域Da’に臨む磁極が主として該静電潜像の現像に携わる現像極Dp’である。図19(A)に示す例では、現像領域Da’に臨む一つのN極が現像極Dp’となっている。
【0007】
このような単一磁極からなる現像極Dp’では、磁力分布が、通常、図19(B)に例示するように、現像極Dp’の中心Dpcに関してほぼ対称である。
【0008】
図20(A)は、このような現像極Dp’により現像領域において現像スリーブDS上に形成される現像剤の穂( 磁気ブラシ)の例(1) 〜(6) を模式的に示している。図20(A)に示す例では、現像領域における現像スリーブDS表面の移動方向、従って現像剤の搬送方向はd1であり、現像領域における静電潜像担持体PC表面の移動方向は、d1とは反対方向のd2である。
現像剤の穂(磁気ブラシ)(1) 〜(6) は、現像極等の磁極により現像スリーブDSの表面に形成される磁性キャリア粒子Cpからなるキャリアチエーンとこれに付着したトナーtとからなる。
【0009】
図20(A)に示すように、現像極Dp’による磁気ブラシは、現像スリーブDS表面に対する接線方向の磁束密度が大きい、現像剤搬送方向d1において現像領域のやや上流側で発生し始め、ブラシの形を保ちつつ下流側へ向け搬送される。
【0010】
さらに説明すると、現像極Dp’とその上流側に隣り合う磁極(図示省略)との中間位置の下流側隣辺りから磁気ブラシが立ち上がり始める。そして図20(A)に示すように、現像領域Da’の上流側端部辺りで長い磁気ブラシ(1) が立ち上がる。ブラシ(1) より下流側で先端部が像担持体PCに接触して折れ曲がったような磁気ブラシ(2) が像担持体PC表面を摺擦し始める。さらに下流側では、ブラシ(2) の折れ曲がり部が現像領域Da’で畳まれるようにして短く太った磁気ブラシ(3) 、(4) 及び(5) となり、像担持体PC表面を摺擦する。現像領域Daの下流側端部辺りでは短く太ったままの磁気ブラシ(6) が像担持体PCから離れていく。
【0011】
このように形成される磁気ブラシによる静電潜像の現像においては、図20(B)に模式的に示すように、図20(A)の磁気ブラシ(1) のような長い磁気ブラシ(21)、(22)の先端部が、静電潜像に付着したトナーt を掻き落とすように作用しがちである。静電潜像に付着したトナーt が多く掻き落とされると、画像欠損が生じたり、画像濃度が低下したりして画像品質が低下する。
【0012】
図20(C)に模式的に示すように、図20(A)の磁気ブラシ(3) 〜(6) のような太った短い磁気ブラシ(40) は、ブラシ中のトナーtの自由度が奪われやすく、現像に寄与することが困難になりやすい。トナーtの自由度が奪われ、静電潜像へのトナー付着量が少なくなると、現像効率が低下し、画像欠損が生じたり、画像濃度が低下したりして画像品質が低下する。
【0013】
また、一般的に言って、現像極が単一極で構成されている現像装置は、プロセス速度(画像形成処理速さ)の高い画像形成装置に搭載して用いると、現像性能が低下する傾向があることが知られている。特に、画像形成に伴ってキャリア粒子が、その表面形状の変化や、トナー樹脂成分の付着等により劣化し、そのために磁石体及び現像スリーブによる現像剤搬送量が低下して現像形成されるトナー像の濃度が低下する傾向がある。
【0014】
そこで、特開平5−72902号公報には、このような問題の解決を目指して、現像領域に臨む現像極を、同極を隣り合わせて着磁してなる同極着磁の現像極とすることが記載されている。
【0015】
図21(A)は同極(N極又はS極)を隣り合わせて着磁した、所謂同極着磁の現像極による磁力分布例を示している。図21(B)は、同極着磁の現像極を有する磁石体の該現像極を含む部分の磁束密度の例を示している。図21(B)において、Brは現像スリーブ表面に対して法線方向の磁束密度であり、Bθは現像スリーブ表面の接線の方向の磁束密度である。fは磁気吸引力を示している(f=Br+Bθ)。
【0016】
なお、図21(B)において、横軸上の磁石体における中心角度位置は、磁石体の軸(シャフト)の端部に形成される磁石体位置決め、固定のための、所謂Dカット面(後述する図2に示されるようなDカット面Dc)の中央位置を基準にして、該基準位置からの中心角度量(図2を参照して言えば、図2において反時計方向に回った中心角度量)に相当する位置である。図21(B)に示す例では、現像極中心の角度位置は基準位置から中心角度にして反時計まわりに290度の位置mpである。
【0017】
図21(B)からも分かるように、同極着磁の現像極によると、隣り合う同極着磁部分の間で磁力fが急激に低下しており、それにより磁気吸引力が弱まり、現像剤の攪乱が生じるので、それだけこの部分でトナーが動き易くなり、静電潜像の現像性がそれだけ向上する。また、通常、現像スリーブの回転方向において現像領域より上流側に設けられている現像剤穂の高さを規制する規制部材(穂高規制部材)での詰まりがあれば発生することがある筋状画像ノイズの発生が、磁気拘束力の弱まりに起因する現像剤の攪乱により抑制される利点がある。さらに、該隣り合う同極着磁部分による反発磁界により現像領域内における現像剤の静電潜像担持体への接触抵抗が低減し、それだけ画像の乱れが抑制され、画像品質が向上する利点もある。
【特許文献1】特開平5−72902
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、同極着磁の現像極を採用する現像装置では、隣り合う同極着磁部分の間の中央部で磁力が急激に低下するので、該中央部に対応する現像領域の部分でトナー飛散量が多く、そのため画像にカブリが発生しやすい。
【0019】
同極着磁部分の間の中央部を静電潜像担持体から速やかに遠ざけることでカブリ現象を抑制しようとして、該同極着磁部分の間の中央部を静電潜像担持体からの現像剤離れ際の位置に設定すると、該中央部での磁力の低減による現像剤の攪乱によりキャリア粒子が静電潜像担持体に付着しやすくなる。
【0020】
そこで本発明は、固定配置された磁石体と、該磁石体に回転可能に外嵌された現像スリーブとを含み、トナーと磁性キャリア粒子を含む現像剤からなる現像剤穂を該磁石体の磁力により該現像スリーブ表面上に形成し保持し、該現像剤穂を回転駆動される静電潜像担持体の表面に形成される静電潜像を現像する現像領域へ搬送し、該現像剤穂を該静電潜像担持体表面に接触させて該静電潜像を現像する現像装置であって、
カブリ現象発生を抑制しつつ、そして同極着磁の現像極における該同極着磁部分の間の中央部を静電潜像担持体からの現像剤離れ際位置に設定する場合と比べるとキャリア粒子の静電潜像担持体への付着を抑制しつつ、効率よく静電潜像を現像できる現像装置を提供することを第1の課題とする。
【0021】
また本発明は、回転駆動される静電潜像担持体上に形成される静電潜像を現像装置により現像してトナー像を形成できる画像形成装置であって、カブリ等の画像ノイズの抑制された、それだけ高品質の画像を形成できる画像形成装置を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者は前記課題を解決するため研究を重ね、次のことに着目した。
(a)現像極を同極着磁の現像極とすると、隣り合う同極着磁部分の間で磁力が急激に低下し、それにより現像剤の攪乱が生じ、トナー飛散量が多くなり、画像カブリが発生しやすくなる。
(b)従って、現像剤のこのようなカブリ現象をもたらす攪乱を防止するために現像極は単一の磁極とすることが好ましい、と言える。
(c)しかし、現像極を単一磁極で形成する場合、該現像極の磁力分布を図19(B)に例示するように現像極中心に関してほぼ対称のものとすると、既述のとおり、現像剤搬送方向において下流側へ向かうにつれ短く太った磁気ブラシが形成され、太った短い磁気ブラシによる現像ではトナーtの自由度が奪われ、現像効率が低くなる。
【0023】
本発明者はさらに研究を重ね、現像極を単一磁極で形成して、しかも現像効率を向上させるには、次のようにすればよいことを見出した。
(d)現像極による現像スリーブ表面に対する法線方向の磁束密度のピーク値を示す磁石体における位置(中心角度位置)を現像極の中心位置より、現像領域における静電潜像担持体表面の移動方向において下流側へずらす。
(e)該磁束密度ピーク値の予め定めた割合分(例えばピーク値の50%分)の磁束密度を示す該磁石体における中心角度位置は該磁束密度ピーク値を示す中心角度位置から静電潜像担持体表面の移動方向において上流側及び下流側へそれぞれ等中心角度離れた位置とする。
(f)さらに、前記磁束密度ピーク値を示す磁石体における中心角度位置から静電潜像担持体表面の移動方向において下流側で前記法線方向の磁束密度が0になる位置までの中心角度Xと、上流側で前記法線方向の磁束密度が0になる位置までの中心角度Yとの間にY>Xの関係を成立させる。
【0024】
これら条件のもとでは、現像領域における静電潜像担持体表面の移動方向において現像極の上流側部分(現像極上流側端部を含む現像極における上流側寄り部分)による磁力線分布が下流側寄り部分による磁力線分布より少ない割合で構成される。しかし該上流側部分による磁力線の向きは、法線方向磁束密度のピーク値を示す位置を静電潜像担持体表面の移動方向において下流側へずらさない場合の現像極における上流側部分での磁力線の向きと同じ、或いはほぼ同じままである(換言すれば、磁力線の向きは変わらない或いは殆ど変わらない)。このように磁力線の向きが同じ、或いはほぼ同じままで、該上流側部分での磁力ベクトルの大きさを小さくすることができ、それにより、磁気ブラシに(特にブラシにおけるキャリア粒子チエーンに)それを現像スリーブ表面上に立たせる偶力(磁界ベクトルに垂直方向の磁気力成分による偶力)を作用させることができる。これにより、上流側部分による磁気ブラシがそれだけ静電潜像担持体を摺擦し易くなる。
【0025】
また、そのように磁力ベクトルの大きさが小さくなった現像極の上流側部分を該現像極において現像剤搬送方向に広い幅にわたって設定でき、磁力ベクトルの大きさが低減された該広い幅にわたる上流側部分に臨む現像剤を低磁力で、従ってキャリア粒子の移動性が高められる状態で、細い多くの磁気ブラシの形で現像スリーブ上に保持することができる。それら磁気ブラシにおけるトナー拘束力は、図20(C)に例示するような従来の太った短い磁気ブラシの場合よりも弱く、それだけトナーの静電潜像への移動が容易化される。
【0026】
かくして、現像極を単一磁極で形成して該現像極の磁力分布を図19(B)に例示するように現像極中心に関してほぼ対称のものとする場合と比べると、現像効率を向上させることができる。
しかも単一磁極の現像極を採用するので、同極着磁の現像極を採用する場合に比べてカブリ現象の発生を抑制しつつ、そして同極着磁の現像極における該同極着磁部分の間の中央部を静電潜像担持体からの現像剤離れ際位置に設定する場合と比べるとキャリア粒子の静電潜像担持体への付着を抑制しつつ、現像効率を向上させることができる。
【0027】
キャリア粒子の静電潜像担持体への付着抑制の点についてもう少し説明すると、単一磁極の現像極を採用し、且つ、該現像極における前記法線方向の磁束密度のピーク値を示す位置を現像極の中心位置(そこでは通常、静電潜像担持体へ現像スリーブが最も接近する)より、現像領域における静電潜像担持体表面の移動方向において下流側へずらせることで、静電潜像担持体から現像剤が離れていこうとする現像剤離れ際で最も強い磁力を作用させることができ、それによりキャリアが静電潜像担持体に付着することを抑制できる。
【0028】
本発明はこのような知見に基づき前記第1の課題を解決するため次の現像装置を提供し、前記第2の課題を解決するため次の画像形成装置を提供する。
(1)現像装置
固定配置された磁石体と、該磁石体に回転可能に外嵌された現像スリーブとを含み、トナーと磁性キャリア粒子を含む現像剤からなる現像剤穂を該磁石体の磁力により該現像スリーブ表面上に形成し保持し、該現像剤穂を回転駆動される静電潜像担持体の表面に形成される静電潜像を現像する現像領域へ搬送し、該現像剤穂を該静電潜像担持体表面に接触させて該静電潜像を現像する現像装置であり、
前記磁石体は前記現像領域に臨む単一の磁極である現像極を含む、環状に配列された磁極群を有しており、
該現像極による前記現像スリーブ表面に対する法線方向の磁束密度のピーク値を示す該磁石体における中心角度位置が、前記現像領域において該現像スリーブが対向する静電潜像担持体表面の移動方向において該現像極の中心の該磁石体における中心角度位置より下流側へ偏っており、
前記磁束密度ピーク値の予め定めた割合分の磁束密度を示す該磁石体における中心角度位置は該磁束密度ピーク値を示す中心角度位置から前記静電潜像担持体表面の移動方向において上流側及び下流側へそれぞれ等中心角度離れた位置であり(該等中心角度には等中心角度と見做して差し支えない略等中心角度も含まれる。)、
前記磁束密度ピーク値を示す磁石体における中心角度位置から前記静電潜像担持体表面の移動方向において下流側で前記法線方向の磁束密度が0になる位置までの中心角度Xと、上流側で前記法線方向の磁束密度が0になる位置までの中心角度YとがY>Xの関係にある現像装置。
【0029】
(2)画像形成装置
本発明に係る現像装置を含んでおり、回転駆動される静電潜像担持体上に形成される静電潜像を該現像装置により現像してトナー像を形成できる画像形成装置。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、固定配置された磁石体と、該磁石体に回転可能に外嵌された現像スリーブとを含み、トナーと磁性キャリア粒子を含む現像剤からなる現像剤穂を該磁石体の磁力により該現像スリーブ表面上に形成し保持し、該現像剤穂を回転駆動される静電潜像担持体の表面に形成される静電潜像を現像する現像領域へ搬送し、該現像剤穂を該静電潜像担持体表面に接触させて該静電潜像を現像する現像装置であって、
カブリ現象の発生を抑制しつつ、そして同極着磁の現像極における該同極着磁部分の間の中央部を静電潜像担持体からの現像剤離れ際位置に設定する場合と比べるとキャリア粒子の静電潜像担持体への付着を抑制しつつ、効率よく静電潜像を現像できる現像装置を提供することができる。
【0031】
また本発明によると、回転駆動される静電潜像担持体上に形成される静電潜像を現像装置により現像してトナー像を形成できる画像形成装置であって、カブリ等の画像ノイズの抑制された、それだけ高品質の画像を形成できる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明に係る画像形成装置の例及びそこで用いられている現像装置について説明する。
図1は画像形成装置の1例PRの構成の概略を示している。画像形成装置PRはタンデム型のフルカラープリンタである。
【0033】
このプリンタPRは、駆動ローラ81とこれに対向するローラ82に巻き掛けられた無端の中間転写ベルト8を有している。転写ベルト8は、図示省略のベルト駆動部により駆動される駆動ローラ81により図中反時計方向(図中矢印方向)CCWに回される。
【0034】
ローラ82には転写ベルト8上の2次転写残トナー等を清掃するクリーニング装置83が臨んでおり、駆動ローラ81には2次転写ローラ9が臨んでいる。クリーニング装置83に回収されるトナー等は図示省略の搬送手段にて廃棄容器へ送られる。
【0035】
2次転写ローラ9の表層部は弾性材料で形成されており、図示省略の押圧手段にて駆動ローラ81に支持された中間転写ベルト8の部分に押圧され、中間転写ベルト8との間にニップ部を形成し、中間転写ベルト8の回転に従動して、或いは、後述するように該ニップ部に送り込まれる記録媒体Sの移動に従動して回転することができる。2次転写ローラ9には、図示省略の電源から2次転写バイアスを印加することができる。
【0036】
中間転写ベルト8及び2次転写ローラ9の上方には定着装置FXが配置されており、下方にはタイミングローラ対TRが配置されており、さらにその下方に、記録紙等の記録媒体Sを収容した記録媒体収容カセット10が配置されている。
【0037】
定着装置FXはハロゲンランプヒータ等の熱源を内蔵した定着加熱ローラとこれに圧接される加圧ローラとを含むものである。
記録媒体収容カセット10に収容された記録媒体Sは、媒体供給ローラ101にて1枚ずつ引き出してタイミングローラ対TRへ供給することができる。
【0038】
中間転写ベルト8を巻き掛けたローラ81、82の間には、転写ベルト8に沿って、ローラ82からローラ81に向けて、イエロー画像形成部Y、マゼンタ画像形成部M、シアン画像形成部C及びブラック画像形成部Kがこの順序で配置されている。
【0039】
Y、M、C、Kの各画像形成部は、静電潜像担持体としてドラム型の感光体1を備えており、該感光体の周囲に帯電器2、露光装置3、現像装置4、1次転写ローラ5及びクリーニング装置6がこの順序で配置されている。
【0040】
1次転写ローラ5は転写ベルト8を間にして感光体1に対向しており、ベルト8の走行に従動回転する。1次転写ローラ5には、感光体1上に形成されるトナー像をベルト8へ1次転写するための1次転写バイアスを図示省略の電源から印加できる。
露光装置3は、図示省略のパーソナルコンピュータ等から提供される画像情報に応じて、レーザービームの点滅により感光体1にドット(点)露光で画像露光を施せるものである。
【0041】
各画像形成部における感光体1は、ここでは負帯電性の感光体であり、図示省略の感光体駆動モータにて図中時計方向回りに回転駆動できる。
各画像形成部における帯電器2は、本例ではスコロトロン帯電器であり、所定のタイミングで図示省略の電源から帯電用の電圧が印加される。なお、帯電器2は帯電ローラを用いるもの等であってもよい。
【0042】
各画像形成部における現像装置4は図2にも示すものであり、磁性キャリアと負帯電性トナーを主成分とする所謂2成分現像剤を用いて、感光体1上に形成される静電潜像を、図示省略の電源から現像バイアスが印加されるローラ形態の現像スリーブ(換言すれば、現像ローラ)41で反転現像することができる。現像装置4については後ほどさらに説明する。
【0043】
このプリンタによると、Y、M、C、Kの画像形成部のうち1又は2以上を用いて画像を形成することができる。
画像形成部Y、M、C及びKのすべてを用いてフルカラー画像を形成する場合を例にとると、先ず、イエロー画像形成部Yにおいてイエロートナー像を形成し、これを転写ベルト8に1次転写する。
【0044】
すなわち、イエロー画像形成部Yにおいて、感光体1が図中時計方向に回転駆動され、帯電器2にて表面が一様に所定電位に帯電され、該帯電域に露光装置3からイエロー画像用の画像露光が施され、感光体1上にイエロー用静電潜像が形成される。この静電潜像はイエロートナーを有する現像装置4の現像バイアスが印加された現像スリーブ41にて現像されて可視イエロートナー像となる。該イエロートナー像は1次転写ローラ5にて転写ベルト8上に1次転写される。このとき、1次転写ローラ5には図示省略の電源から1次転写バイアスが印加される。
【0045】
同様にして、マゼンタ画像形成部Mにおいてマゼンタトナー像が形成されて転写ベルト8に転写され、シアン画像形成部Cにおいてシアントナー像が形成されて転写ベルト8に転写され、ブラック画像形成部Kにおいてブラックトナー像が形成されて転写ベルト8に転写される。
【0046】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像はこれらが中間転写ベルト8上に重ねて転写されるタイミングで形成される。
かくして転写ベルト8上に形成された多重トナー像は転写ベルト8の回動により2次転写ローラ9へ向け移動する。
【0047】
一方、記録媒体Sが記録媒体収容カセット10から媒体供給ローラ101にて引き出され、タイミングローラ対TRへ供給され、待機している。
【0048】
このようにタイミングローラ対TRのところで待機する記録媒体Sは、中間転写ベルト8にて送られてくる多重トナー像に合わせて、転写ベルト8と2次転写ローラ9とのニップ部に供給される。該多重トナー像は図示省略の電源から2次転写バイアスが印加された2次転写ローラ9にて該記録媒体S上に2次転写される。その後記録媒体Sは定着装置FXに通され、そこで多重トナー像が加熱加圧下に記録媒体Sに定着される。記録媒体Sはひき続き、排出ローラ対DRにて排出トレイDTに排出される。
【0049】
トナー像のベルト8への1次転写において感光体1上に残留する転写残トナー等はクリーニング装置6で清掃され、2次転写によりベルト8上に残留する2次転写残トナー等はクリーニング装置83で清掃される。これら清掃除去されたトナーはそれぞれ図示省略の搬送手段にて廃棄容器へ送られる。
【0050】
以上説明したように画像形成されるのであるが、2成分現像剤を用いる現像装置4についてさらに説明する。本発明の好ましい実施形態の現像装置は、基本的には、固定配置された磁石体と、磁石体に回転可能に外嵌された現像スリーブとを含み、トナーと磁性キャリア粒子を含む現像剤からなる現像剤穂(磁気ブラシ)を磁石体の磁力により現像スリーブ表面上に形成し保持し、該現像剤穂を回転駆動される静電潜像担持体(ここではドラム型感光体)の表面に形成される静電潜像を現像する現像領域へ搬送し、該現像剤穂を該像担持体の表面に接触させて該静電潜像を現像する現像装置である。
【0051】
ここで用いられている現像装置4は図2〜図6に示すものである。図2は現像装置4の断面構造の概略を示している。図3(A)は現像装置4の現像スリーブ41と磁石体42等との関係及び現像スリーブ41と感光体1との位置関係を示している。図4は現像装置4を図2において左側から見て、且つ、ケース蓋体40Lを外して示す図である。図5は現像装置4を図2において上方から見て、且つ、蓋体40L及び現像剤規制部材43を省略して示す図である。図6は現像スリーブ41と磁石体42の断面を示している。
【0052】
現像装置4は現像スリーブ41を有している。現像スリーブ41は断面円形の中空ローラ形態のスリーブであり、磁石体42に外嵌され、左右の軸受け部b1、b2を介して磁石体42に回転自在に支持されている。磁石体42はここでは概ねローラ形態に形成されている。
【0053】
現像スリーブ41は、図3(A)において左側端部411に嵌着された円盤状端部材e1を有しているとともに図3(A)において右側端部412に嵌着された円盤状端部材e2を有している。磁石体42は図3(A)において左側端から現像スリーブ41の外へ突出する軸部421を有しているとともに右側端から反対側へ短く突出する軸部422を有している。
【0054】
磁石体42の現像スリーブ41から突出した軸部421は現像装置ケース40(図2参照)に支持されており、かくして磁石体42は現像装置ケース40に対し定位置をとる固定配置の磁石体となっている。
【0055】
現像スリーブ41の左側の端部材e1の内面側に段落とし凹所が形成されている。左側の軸受け部b1は該凹所に嵌め込まれているとともに磁石体42の軸部421に外嵌されている。現像スリーブ41の右側の端部材e2の内面側にも段落とし凹所が形成されている。右側の軸受け部b2は該凹所に嵌め込まれているとともに磁石体42の短軸部422に外嵌されている。
【0056】
このようにして、現像スリーブ41は磁石体42に外嵌され、左右の軸受け部b1、b2を介して該磁石体に回転自在となっている。
現像スリーブ41の左側の端部材e1の外面側にも段落とし凹所が形成されている。シールリングsrが該凹所に嵌め込まれているとともに磁石体42の軸部421に外嵌されている。
【0057】
現像スリーブ41の右側の端部材e2から現像スリーブ41を回転駆動するための軸部410が一体的に突出しており、該軸部は図示省略の軸受け部にて現像装置ケース40に回転可能に支持されており、該ケース40外へ突出した端部に駆動用ギアG(後述する図4、図5参照)が嵌着されている。該駆動ギアGが図省略の現像装置駆動部により駆動されることで、現像スリーブ41が図2中時計方向CWに回転駆動される。
【0058】
磁石体42は、現像スリーブ41が磁石体42の周囲に回転駆動されたとき、現像装置4で使用される現像剤からなる磁気ブラシ(現像剤の穂)が現像スリーブ41の周面上に形成されるように、磁石体に周囲方向に沿ってN極、S極を交互に有している。磁石体42については後ほどさらに説明する。
【0059】
かくして、現像装置4は、現像スリーブ41の周面に磁性キャリアとトナーを含む現像剤からなる磁気ブラシを担持して、感光体1上の静電潜像を現像する現像領域Daへ搬送することができる。また、該現像剤搬送の途中で、現像領域Daへ搬送される現像剤量(磁気ブラシの穂高さ)が現像剤規制部材(現像剤の穂高規制部材)43で予め定めたものに規制されるようになっている。
【0060】
現像領域Daにおいては、感光体1と現像スリーブ41との間の間隙(現像ギャップ)Dgに磁気ブラシが到来して感光体1上の静電潜像が現像され、可視トナー像が形成される。このトナー像は感光体1から被転写体(ここではベルト8)に転写される。
【0061】
現像領域における現像ギャップDgは、ここでは、次のように確保される。
図2及び図3(A)に示すように、磁石体42の軸部421が感光体1を支持している図示省略の部材に設けられた軸部位置決め装置PS1に嵌め込み支持されるとともに、現像スリーブ41の駆動軸部410が、感光体1を支持している図示省略の部材に設けられた軸部位置決め装置PS2に嵌め込み支持されている。かくして、現像スリーブ41は感光体1に対し固定的に定位置に設けられ、感光体1に対し、決められた現像ギャップDgをおいて臨む。
なお、図3(A)では軸部位置決め装置PS1を簡略図示しているが、装置PS1は図2及び図3(B)に示すように、軸部421の端部の一部を、その断面形状がD字様形状となるように、軸部中心線と平行に平坦に切除して、所謂Dカット面Dcを形成し、該Dカット面Dcに位置決めスプリングを当接させるものである。磁石体42における各磁極の位置は、該Dカット面Dcの、軸部円周方向における中心ceを基準位置として、図2において反時計まわりに磁極へ至るための中心角度量に相当する中心角度位置とされる。
【0062】
感光体1と現像スリーブ41との間の現像ギャップを設定する手法として、上記のような軸部位置決め装置PS1、PS2のほか、コロを採用したものでもよい。
例えば、図7に示すように、現像スリーブの軸部に現像スリーブ41より現像ギャップDgの2倍分大径のコロrを嵌め、現像装置全体を感光体側へ付勢するか、又は現像スリーブ41をガイドに沿って感光体側へ付勢することで該コロrを感光体1の周面に当接させて現像ギャップDgを得るようにしてもよい。
【0063】
現像装置4は上記説明した現像スリーブ41等のほか、現像スリーブ41へ現像剤を攪拌しつつ供給する供給スクリュー44及び供給スクリュー44と共に現像剤を攪拌する攪拌スクリュー45も含んでいる。スクリュー44、45の間に隔壁46が設けられている。隔壁46には、その一端部に現像剤流通開口h1が(図4、図5にその位置だけを示す)、他端部に現像剤流通開口h2が形成されている。
【0064】
スクリュー44、45は図示省略の駆動モータ(前記の現像スリーブ駆動モータでもよい)に回転駆動され、それにより、現像装置4内に現像剤が循環するようになっている。 現像装置4内の現像剤は、攪拌スクリュー45によりキャリアとトナーが攪拌されつつ図4及び図5において右側へ搬送され、隔壁開口h2から供給スクリュー44側へ押し出され、該スクリュー44にて図4、図5中左側へ送られ、そのとき、現像剤がスクリュー44により攪拌されつつ現像スリーブ41の各部へ均等状に供給される。
【0065】
現像に供されずに供給スクリュー44によりその送り出し端側へ搬送される現像剤は、隔壁開口h1から攪拌スクリュー45側へ移行する。このように現像装置4内で現像剤が循環する。
供給スクリュー44には、その送り出し端側からトナー補給供給スクリュー441が同軸に連設されており、図示省略のトナー補給ホッパからトナー補給口TSへ予め定めたタイミングで供給される補給トナーが隔壁開口h1へ送られ、既に装置4内にある現像剤に混合され、現像に供されていく。
【0066】
磁石体42についてさらに説明する。現像装置4の磁石体42は図6に示すものである。磁石体としては、基本的には、現像領域Daに臨む単一の磁極(例えばN極)である現像極Dpを含む、環状に配列された磁極群を有するものを採用できる。
【0067】
磁石体42は、現像極Dpを含め、全体がフェライト系磁石で形成されている。現像極Dpは、図6及び図18(A)に示すように、現像剤搬送方向(図6ではCW方向に同じ)において下流側寄りの切欠部Ctを有している。観点を変えて言えば、現像極Dpは、現像領域Daにおける感光体1表面の移動方向において上流側寄りの切欠部Ctを有している。切欠部Ctを形成することで磁石体42は僅かではあるが軽量化されている。
【0068】
磁石体42の現像極Dpは、図8に示すような磁束密度分布を示す。この磁束密度分布は、ここでは、現像極Dpが前記切欠部Ctを有していることに基づいている。
この磁束密度分布について説明すると、現像極Dpによる現像スリーブ41表面に対する法線方向の磁束密度Brのピーク値Brpを示す磁石体における中心角度位置p1が、現像領域Daにおける感光体1表面移動方向において、現像極Dpの中心の位置p2(現像極中心の磁石体における角度位置p2)より下流側へ予め定めた角度D1偏っている。 本例では、現像極Dpの中心位置p2は、現像スリーブ41が感光体1に最も接近する位置に対応している。
【0069】
磁束密度ピーク値Brpの予め定めた割合分(図8に示すように例えばピーク値の50%)の磁束密度を示す磁石体における中心角度位置p3、p4は磁束密度ピーク値を示す位置p1から感光体1表面の移動方向において上流側及び下流側へそれぞれ中心角度D2、D2’離れた位置である。角度D2と角度D2’は等中心角度である。ここで「等中心角度」とは、角度D2と角度D2’とが等しい場合は勿論のこと、角度D2と角度D2’とが等中心角度であると見做して差し支えない略等中心角度である場合も含まれる。
【0070】
磁束密度ピーク値Brpを示す磁石体における位置p1から感光体1の表面移動方向において下流側で法線方向の磁束密度が0になる位置p5までの中心角度量Xと、上流側で法線方向の磁束密度が0になる位置p6までの中心角度量YとがY>Xの関係にある。
なお、位置p2と位置p5との間の角度D3と、位置p2と位置p6との間の角度D3’とは、等しいか、或いは等しい見做して差し支えない略等しい角度である。
【0071】
図8に示す磁束密度分布では、さらに、ピーク値Brpを示す角度位置p1から感光体1の表面移動方向において上流側で磁束密度が0になる角度位置p6へ至るまでの磁束密度の変化が、該上流側で磁束密度ピーク値Brpの前記の予め定めた割合分(例えばピーク値の50%)の磁束密度を示す角度位置p4から磁束密度が0になる位置p6へ至るまでの間に変曲点を含んでいる。
【0072】
図9は磁石体42の現像極Dpを含む部分の磁束密度分布の例を示している。図9において、Brは現像スリーブ41表面に対して法線方向の磁束密度であり、Bθは現像スリーブ41表面の接線の方向の磁束密度である。fは磁気吸引力を示している(f=Bθ+Br)。
【0073】
なお、図9において、横軸の磁石体における角度位置は図2に示すDカット面Dcの幅の中央位置ceを基準位置にして図2において反時計方向に回った中心角度量に相当する位置である。
また、この例では現像極Dpによる法線方向磁束密度のピーク値の位置p1は基準位置から中心角度にして290度の位置である。
さらに、図8に示す角度量D1に相当する角度量は略6度であり、角度量D2(D2’)に相当する角度量は略15度であり、角度量D3(D3’)に相当する角度量は略30度である。
【0074】
現像装置4には、上記の現像極条件に基づく次の利点がある。
現像領域Daにおける感光体1表面の移動方向において現像極Dpの上流側部分(現像極上流側端部を含む現像極における上流側寄りの部分)による磁力線分布(Br、Bθそれぞれの分布)が現像極Dpの下流側寄り部分による磁力線分布より少ない割合で構成される。しかし該上流側部分による磁力線の向きは、法線方向磁束密度のピーク値を示す位置を感光体1表面の移動方向において下流側へずらさない従来の単極の現像極における上流側部分での磁力線の向きと同じ、或いはほぼ同じままである(換言すれば、磁力線の向きは変わらない或いは殆ど変わらない)。このように磁力線の向きが同じ、或いはほぼ同じままで、感光体1表面の移動方向において上流側の部分での磁力ベクトルの大きさを小さくすることができる。
【0075】
図10はこのことを象徴的に示す図である。図10において、垂直成分とは現像スリーブ表面に対する法線方向の磁力線成分であり、水平成分とは現像スリーブ表面の接線の方向の磁力線成分である。図10に示すように、現像極Dpにおける上流側部分(感光体1表面の移動方向において上流側部分)では、磁力線の向きは従来の単極の現像磁極の場合(図10の左側の図参照)と同じ、或いはほぼ同じままで、該上流側部分での磁力ベクトルの大きさを小さくできる(図10の右側の図参照)。
【0076】
図11は従来の単極の現像極と磁石体42の現像極Dpのそれぞれによる磁力ベクトの変化の例を示している。これら現像極の法線方向磁束密度Brのピーク値は略同じである。 図12は、図11の場合と同じ従来の単極の現像極と図11の場合と同じ磁石体42の現像極Dpのそれぞれによる磁力線の向きの変化の例を示している。図11及び図12から分かるように、両タイプの現像極による磁力線の向きはほぼ同じで(図12参照)、現像極における上流側部分による磁力ベルトルの大きさは磁石体42の現像極Dpの方が低下する。
なお、図12において、縦軸の数値は角度〔度〕を示しており、「0」は法線方向を示している。
【0077】
図13は法線方向磁束密度Brのピーク値が略同じである従来の単極の現像極と磁石体42の現像極Dpのそれぞれによる磁界と磁気力の位相差を示している。
図13の横軸の「0」位置は現像極Dpの位置P1であり、縦軸の「0」は現像スリーブ法線に沿った方向を示しており、後述する図14において傾角β=傾角αとなる状態である。
【0078】
図13から分かるように、ピーク値Brpを感光体表面移動方向において下流側へずらせた磁石体42の現像極Dpのように、現像極における感光体表面移動方向において上流側部分での磁力線の向きが実質上変わらないで、該上流側部分での磁力ベクトルの大きさが小さくなる現像極の場合には、従来の単極の現像極の場合より、現像極上流側の部分による磁界と磁気力の位相差が略無くなる。
【0079】
その結果、磁気ブラシ(特にキャリア粒子チエーン)の現像スリーブ41表面の法線の方向に対する傾きは小さくなる。つまり、現像領域Da内では磁気ブラシが現像スリーブ41表面に対する法線方向に立った状態を広い範囲で維持しやすい。
【0080】
図14(A)及び図14(B)はこのことを図示説明している。前記位相差が小さい状態では、図14(A)に示すように、磁界ベルトの現像スリーブの法線の方向に対する傾角αと磁気力ベクトルの現像スリーブ法線方向に対する傾角βとの関係が|α|>|β|となり、穂(磁気ブラシ)を寝かせる偶力(磁界ベクトルに垂直方向の磁気力成分による偶力)が生じる。一方、前記位相差が大きくなってくると、図14(B)に示すように、傾角αと傾角βとの関係が|α|<|β|となってきて、穂(磁気ブラシ)を立たせる偶力が生じてくる。このように磁気ブラシを立たせる偶力が生じてくるので、現像極Dpにおける、感光体表面移動方向において上流側の部分により形成される磁気ブラシがそれだけ感光体1を立った状態で摺擦し易くなる。
【0081】
また、そのように磁力ベクトルの大きさが小さくなった現像極Dpの上流側部分を該現像極において現像剤搬送方向に広い幅にわたって設定でき、該広い幅にわたる上流側部分に臨む現像剤を低磁力で、従ってキャリア粒子の移動性が高められる状態で、細い多くの磁気ブラシの形で現像スリーブ上に保持することができる。
【0082】
それら磁気ブラシにおけるトナー拘束力は、図15の左側に示す太った短い磁気ブラシ〔図20(C)に例示する従来の太った硬く短い磁気ブラシと同じ状態の磁気ブラシ〕の場合よりも弱められ、それだけトナーtの静電潜像への移動が容易化される。さらには柔らかく短いブラシのために、これが現像形成さたトナー像のトナーを掻き取ったり、該トナー像を乱したりすることはない。
【0083】
図15の右側に示す図は、そのようにキャリア粒子Cpの移動性が高められた状態で、細く多く、柔らかく形成された磁気ブラシを模式的に示しているとともに該磁気ブラシにおいてはトナーtの移動が容易であることを模式的に示している。
なお、図15においてd1は現像領域における現像スーリブ41表面の移動方向(現像剤搬送方向)を示しており、d2は現像領域における感光体1表面の移動方向を示している。
【0084】
かくして、現像極を単一磁極で形成して該現像極の磁力分布を図19(B)に例示するように現像極中心に関してほぼ対称のものとする場合と比べると現像効率を向上させることができ、また、同極着磁の現像極を採用する場合と比べても遜色なく現像効率を向上させることができる。しかも単一磁極の現像極Dpを採用するので、同極着磁の現像極を採用する場合に比べると現像領域Daにおける現像剤の攪乱は抑制され、それだけカブリ現象の発生を抑制しつつ現像効率を向上させることができる。
【0085】
図16は従来の同極着磁の現像極を有する磁石体を採用した現像装置と法線方向磁束密度ピーク値を感光体表面移動方向において下流側へずらせた現像極Dpを有する磁石体42を採用した現像装置のそれぞれにより感光体1上に最も高い濃度のトナー画像を現像形成し、感光体へのトナー付着量を測定した結果を示している。
【0086】
図17は従来の単極の現像極を有する磁石体を採用した現像装置と法線方向磁束密度ピーク値を感光体表面移動方向において下流側へずらせた現像極Dpを有する磁石体42を採用した現像装置のそれぞれにより感光体1上に最も高い濃度のトナー画像を現像形成し、感光体へのトナー付着量を測定した結果を示している。
【0087】
図16、図17のいずれの場合も、両現像装置において、現像極の一つの着磁部分の法線方向磁束密度は同じ(100mT)とし、現像極以外の現像装置構成及び現像条件は実質上同じとした。
現像領域における現像スリーブ表面の移動方向と感光体表面の移動方向は逆方向とし、スリーブ周速と感光体周速の比θは1.85とした。
図16、図17において、横軸は静電潜像現像のための感光体表面と現像スリーブとの間の電位差である。
【0088】
図16から、磁石体42の現像極Dpによると、同極着磁の現像極による静電潜像現像の場合と比べて遜色なく現像効率を向上させることができることが分かる。
図17から、磁石体42の現像極Dpによると、従来型の単極の現像極による静電潜像現像の場合と比べて現像効率が向上することが分かる。
【0089】
現像装置4では、既述のとおり、現像領域Daへ搬送される現像剤の穂(磁気ブラシ)は穂高規制部材43により高さが規制される。この規制部材43において詰まりが生じることがあり、詰まりが生じると筋状画像ノイズが発生しようとする。しかし、現像装置4では、感光体表面移動方向における現像極Dpの上流側部分は、図8におけるY領域に対応している。該現像極Dpの上流側部分により形成される磁気ブラシは、既述のとおり磁気吸引力fが低くてっていることで自由度が大きいとともに、図15の右側の図に示すように多くの細い磁気ブラシとなり、これら磁気ブラシにおいてはトナーの拘束力は弱く、トナー移動性がよい。これらにより、規制部材43での詰まりにより発生することがある筋状のトナー欠損部分は移動性のよいトナーで埋められやすく、それだけ規制部材詰まりによる筋状画像ノイズの発生が抑制される。
【0090】
磁石体42の現像極Dpによると、それは単一磁極の現像極であり、従って同極着磁の現像極と比べると現像剤の攪乱は抑制されるので、同極着磁の現像極における該同極着磁部分の間の中央部を静電潜像担持体からの現像剤離れ際位置に設定する場合と比べるとキャリア粒子Cpの静電潜像担持体(ここでは感光体1)への付着を抑制しつつ、現像効率を向上させることができる。
【0091】
現像領域における現像スリーブ表面の移動方向(従って現像剤搬送方向)と静電潜像担持体表面の移動方向は同方向でもよい。しかし、図1に示すプリンタPRでは、図2に示すように、現像スリーブ41と静電潜像担持体1の回転方向はいずれも時計方向CWであり、従って現像領域Daにおける現像スリーブ41表面の移動方向と像担持体1表面の移動方向は互いに逆向きである。
【0092】
このように現像スリーブ41表面の移動方向と像担持体1表面の移動方向は互いに逆向きであるので、現像極Dpにおける現像剤搬送方向において下流側部分により形成されるキャリア粒子の移動性の高い磁気ブラシ(図15の右側の図参照)から像担持体1へ付着することがあるキャリア粒子Cpが現像極Dpにおける上流側部分により形成されるキャリア粒子移動性の低い磁気ブラシにより補足され、全体として現像効率を向上させつつ像担持体1へのキャリア粒子の付着を抑制できる。
【0093】
現像装置4の磁石体42の現像極Dpでは、図8に示すように、磁束密度ピーク値Brpの予め定めた割合分の磁束密度を示す角度位置p3、p4はピーク値Brpを示す角度位置p1から現像剤搬送方向において上流側及び下流側へそれぞれ等中心角度離れた位置p3、p4である。ここで、「ピーク値Brpの予め定めた割合」として、図8では50%が示されているが、該割合は50%に限定されない。しかしあまり少なすぎると効果エリアが狭くなり、多すぎるとP1位置が現像領域から離れるようになってきて、キャリアが感光体に付着し易くなるから、概ね25%〜75%程度を例示できる。この割合の許容範囲は一般的に言えば、感光体径と磁石体径との兼ね合いで決まってくる。感光体径が大きくなれば該割合の許容範囲は広がり、逆に感光体径が小さくなってくると、該割合の許容範囲は狭くなってくる。
【0094】
感光体1からの現像剤離れ際で、現像スリーブ41表面の接線方向の磁束密度Bθを高め、且つ、磁気吸引力fを高めることで、感光体1へのキャリア付着を抑制できるとともに、キャリア粒子チエーン高さを低く抑制して該チエーンによる感光体1上のトナー画像擦り、それによる画像品質の低下を抑制することができる。
【0095】
この観点から、感光体表面移動方向において磁石体42の現像極Dpの下流側に隣り合う磁極に関して、該隣り合う磁極による現像スリーブ41表面に対する法線方向の磁束密度は60mT〜100mT程度とする例を挙げることかできる。また、該隣り合う磁極と現像極Dpとの隔たりを、磁極中心間の中心角度間隔にして、15度〜45度程度とする例を挙げることができる。しかし、現像極Dpとそれに隣り合う上流側の磁極との関係はこれに限定されるものではない。
【0096】
用いる現像剤に関して言えば、感光体表面移動方向において現像極Dpの上流側部分により形成される磁気ブラシ(特にそのキャリア粒子チェーン)は、図15の右側の図のように、トナーtの移動を容易化し、現像効率を向上させるために、細く、多い(密度が高い)ことが好ましい。この観点から、キャリア粒子Cpの粒径として40μm程度以下を例示できる。しかし、キャリア粒子として機能させるために該粒径は概ね20μm以上であることが好ましい。
【0097】
また、キャリア粒子Cpの磁力は、像担持体1上に形成されるトナー像の磁気ブラシ擦りによるカスレ発生の抑制、キャリア粒子の粒状性の維持、キャリア粒子の掃き寄せのために、80emu/g程度以下を例示できる。しかし、磁性キャリア粒子として機能させるために概ね20emu/g程度以上が好ましい。
【0098】
よって、用いる現像剤のキャリア粒子Cpは、粒径が20μm〜40μmの範囲にあることが好ましく、また、磁力が20emu/g〜80emu/gの範囲にあることが好ましいと言える。しかし、粒径や磁力がこれに限定されるものではない。
【0099】
現像剤に関してさらに言えば、磁気ブラシが高くなりすぎて感光体1上のトナー像が該ブラシに強く擦られて画像不良が発生することを抑制するとともにトナーの離型性を高めて画像品質向上を図る観点から、磁性キャリア粒子Cpは球形のキャリア粒子とし、トナーtは球状トナーとすることができる。
【0100】
現像剤による現像スリーブ41の回転に対する負荷を軽減して、現像剤の劣化及びトナー飛散を抑制する観点から、静電潜像担持体(ここでは感光体1)の周速度と現像スリーブ41の周速度との差は1.0〜2.2の範囲にする例を挙げることができる。
【0101】
画像形成装置の小型化、コンパクト化のために感光体1を小さくし、しかも、現像効率向上を図りつつ感光体1を小さくする観点から、感光体1の外径は20mm〜60mm程度とし、現像装置の現像スーリブ41の外径は10mm〜30mm程度とする例を挙げることができる。
【0102】
ここで再び磁石体42について説明する。既述の磁石体42は図6及び図18(A)に示すように、現像極Dpを含め全体がフエライト系磁石からなるものであったが、磁石体としては、図18(B)〜図18(G)に例示するもの等も採用できる。
【0103】
これら磁石体はいずれも現像極Dpが現像領域における感光体1の表面の移動方向において現像極の中心より上流側寄りの切欠部Ctを有しているものであり、図8と同様の法線方向磁束密度分布を示すものである。
図18(A)〜図18(C)の各磁石体は全体が一体的に成形されたものであり、図18(D)〜図18(G)の各磁石体は各磁極を有する断面形状が略扇形状の磁石部材を環状に組み合わせてなるものである。
【0104】
図18(D)の磁石体は現像極Dpを含め各部がフェライト系磁石feで構成されている。
【0105】
図18(B)、図18(E)及び図18(G)の各磁石体は、現像極Dpが希土類系磁石raとフェライト系磁石feとで構成されている。他の磁極部分はフェライト系磁石feで構成されている。図18(G)の磁石体の現像極では、希土類系磁石ra部分が現像領域における感光体1の表面の移動方向において上流側まで延在しており、その部分に切欠部Ctが形成されている。
【0106】
このように、現像極が希土類系磁石raとフェライト系磁石feとで構成され、希土類系磁石raが主として感光体表面移動方向において下流側に位置している磁石体では、現像極における感光体表面移動方向において上流側部分と下流側部分との間に十分な磁力差を得ることができ、それにより、該上流側部分による磁力ベクトルの大きさを低下させ、キャリア粒子チェーンを立たせる偶力を、図18(A)や図18(D)に示す磁石体よりも確実に得ることができる。
【0107】
図18(C)及び図18(F)の各磁石体は、現像極Dpが希土類系磁性粉を含むボンド磁石rabとフェライト系磁性粉を含むボンド磁石febとで構成されており、該希土類系磁性粉を含むボンド磁石rabが感光体表面移動方向において下流側に位置している。
これら磁石体においても、図18(B)、図18(E)及び図18(G)の各磁石体と同様に、現像極における上流側部分と下流側部分との間に十分な磁力差を得ることができ、それにより、該上流側部分による磁力ベクトルの大きさを低下させ、キャリア粒子チェーンを立たせる偶力を、図18(A)や図18(D)に示す磁石体よりも確実に得ることができる。
【0108】
以上説明したプリンタはタンデム型のフルカラープリンタであったが、本発明はモノクロ画像形成装置にも適用でき、また、他のタイプの多色画像形成装置(例えば、いわゆる4サイクル型フルカラープリンタ)等にも適用できる。また、現像装置を複数備えている画像形成装置では、該複数の現像装置の全数より少ない数の現像装置に本発明が適用されているだけでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、2成分現像剤を用いて静電潜像担持体上の静電潜像を現像効率良く現像できる現像装置及び該現像装置を搭載することでそれだけ良好に画像形成できる画像形成装置を提供することに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明に係る画像形成装置の1例の構成の概略を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置における現像装置の断面構造の概略を示す図である。
【図3】図3(A)は図2の現像装置の現像スリーブと磁石体等との関係及び現像スリーブと感光体との位置関係を示す図であり、図3(B)は磁石体の軸部のDカット面を示す斜視図である。
【図4】図2の現像装置4を図2において左側から見て、且つ、ケース蓋体を外して示す図である。
【図5】図2に示す現像装置を図2において上方から見て、且つ、ケース蓋体及び現像剤規制部材を省略して示す図である。
【図6】現像スリーブと磁石体の断面図である。
【図7】現像ギャップ形成手法の他の例を示す図である。
【図8】磁石体の現像極の法線方向磁束密度分布例を示す図である。
【図9】図2の現像装置の磁石体の現像極を含む部分の磁束密度分布例を示す図である。
【図10】現像極における下流側部分による磁力線の向きが実質上同じままで、該下流側部分での磁力ベクトルの大きさが小さくなることを象徴的に示す図である。
【図11】従来の単極の現像極と図2の現像装置の磁石体の現像極のそれぞれによる磁力ベクトの変化の例を示す図である。
【図12】従来の単極の現像極と図2の現像装置の磁石体の現像極のそれぞれによる磁力線の向きの変化の例を示す図である。
【図13】従来の単極の現像極と図2の現像装置の磁石体の現像極のそれぞれによる磁界と磁気力の位相差を示す図である。
【図14】図14(A)及び図14(B)は磁気ブラシに加わる偶力を説明する図である。
【図15】従来の太った短い磁気ブラシと、これとは異なり細く多く形成された磁気ブラシを模式的に示す図である。
【図16】従来の同極着磁の現像極及び図2の現像装置の磁石体の現像極のそれぞれによる感光体へのトナー付着量(換言すれば現像効率)を示す図である。
【図17】従来の単極の現像極及び図2の現像装置の磁石体の現像極のそれぞれによる感光体へのトナー付着量(換言すれば現像効率)を示す図である。
【図18】採用できる磁石体の種々の例を示す図である。
【図19】図19(A)は従来の現像装置における磁石体及びそれに外嵌された現像スリーブの例を示す図であり、図19(B)は単一磁極からなる現像極の磁力分布例を示す図である。
【図20】図20(A)は従来の現像極により形成される現像剤の穂( 磁気ブラシ)の例を模式的に示す図であり、図20(B)は長い磁気ブラシを拡大して模式的に示す図であり、図20(C)は太った短い磁気ブラシを拡大して模式的に示す図である。
【図21】図21(A)は従来の同極着磁の現像極の磁力分布の例を示す図であり、図21(B)は同極着磁の現像極による磁束密度分布例を示す図である。
【符号の説明】
【0111】
PR プリンタ
Y イエロー画像形成部
M マゼンタ画像形成部
C シアン画像形成部
K ブラック画像形成部
1、PC 感光体
2 帯電装置 3 画像露光装置
4 現像装置
40 現像装置ケース
40L ケース蓋体
41 現像スリーブ
42 磁石体
Dp 現像極
Br 法線方向磁束密度
Brp 法線方向磁束密度のピーク値
Bθ 接線方向磁束密度
f 磁力
p1〜p6 磁石体における(現像極における)角度位置
ra 希土類系磁石
fe フェラント系磁石
rab 希土類系磁性粉を含むボンド磁石
feb フェラント系磁性粉を含むボンド磁石
43 現像剤規制部材
Da 現像領域
Dg 現像ギャップ
d1 現像領域における現像スリーブ表面移動方向
d2 現像領域における感光体表面移動方向
5 1次転写ローラ
6 クリーニング装置
8 中間転写ベルト
81 駆動ローラ
82 対向ローラ
83 クリーニング装置
9 2次転写ローラ
10 記録媒体供給カセット
101 記録媒体供給ローラ
TR タイミングローラ対
FX 定着装置
DR 記録媒体排出ローラ対
DT 記録媒体排出トレイ
S 記録媒体
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置に関係しており、特に、該画像形成装置に用いる現像装置に関係している。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置では、静電潜像担持体の表面を帯電装置で帯電させ、該帯電域に露光装置から画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成し、該トナー像を被転写体に転写できるものが一般的である。
【0003】
ここで、「被転写体」とは、モノクロ画像形成装置では、記録紙等の記録媒体が一般的であり、カラー画像形成装置等において、静電潜像担持体上のトナー像を1次転写する中間転写体を採用している場合は、該中間転写体及び該中間転写体からトナー像が2次転写される記録媒体のいずれもが被転写体であると言える。
【0004】
このような画像形成装置における現像装置としては、乾式現像剤を用いるものと、液体現像剤を用いるものが知られているが、今日では乾式現像剤を用いる現像装置が一般的である。乾式現像剤を用いる現像装置については、トナーを主体とする所謂一成分現像剤を用いる現像装置と、トナー及びキャリア粒子を含む所謂二成分現像剤を用いる現像装置が知られている。
【0005】
二成分現像剤を用いる現像装置は、一般的には、固定配置された磁石体と、該磁石体に回転可能に外嵌された現像スリーブとを含み、トナーと磁性キャリア粒子を含む現像剤からなる現像剤穂を該磁石体の磁力により該現像スリーブ表面上に形成し保持し、該現像剤穂を回転駆動される静電潜像担持体の表面に形成される静電潜像を現像する現像領域へ搬送し、該現像剤穂を該静電潜像担持体表面に接触させて該静電潜像を現像する。
【0006】
図19(A)はこのような現像装置における磁石体MRびそれに外嵌された現像スリーブDSの例を示している。磁石体MRは、図19(A)に例示するように、環状に配列されたN極とS極を含む磁極群を有している。これら磁極のうち静電潜像担持体(図示例では感光体)PC上の静電潜像を現像する現像領域Da’に臨む磁極が主として該静電潜像の現像に携わる現像極Dp’である。図19(A)に示す例では、現像領域Da’に臨む一つのN極が現像極Dp’となっている。
【0007】
このような単一磁極からなる現像極Dp’では、磁力分布が、通常、図19(B)に例示するように、現像極Dp’の中心Dpcに関してほぼ対称である。
【0008】
図20(A)は、このような現像極Dp’により現像領域において現像スリーブDS上に形成される現像剤の穂( 磁気ブラシ)の例(1) 〜(6) を模式的に示している。図20(A)に示す例では、現像領域における現像スリーブDS表面の移動方向、従って現像剤の搬送方向はd1であり、現像領域における静電潜像担持体PC表面の移動方向は、d1とは反対方向のd2である。
現像剤の穂(磁気ブラシ)(1) 〜(6) は、現像極等の磁極により現像スリーブDSの表面に形成される磁性キャリア粒子Cpからなるキャリアチエーンとこれに付着したトナーtとからなる。
【0009】
図20(A)に示すように、現像極Dp’による磁気ブラシは、現像スリーブDS表面に対する接線方向の磁束密度が大きい、現像剤搬送方向d1において現像領域のやや上流側で発生し始め、ブラシの形を保ちつつ下流側へ向け搬送される。
【0010】
さらに説明すると、現像極Dp’とその上流側に隣り合う磁極(図示省略)との中間位置の下流側隣辺りから磁気ブラシが立ち上がり始める。そして図20(A)に示すように、現像領域Da’の上流側端部辺りで長い磁気ブラシ(1) が立ち上がる。ブラシ(1) より下流側で先端部が像担持体PCに接触して折れ曲がったような磁気ブラシ(2) が像担持体PC表面を摺擦し始める。さらに下流側では、ブラシ(2) の折れ曲がり部が現像領域Da’で畳まれるようにして短く太った磁気ブラシ(3) 、(4) 及び(5) となり、像担持体PC表面を摺擦する。現像領域Daの下流側端部辺りでは短く太ったままの磁気ブラシ(6) が像担持体PCから離れていく。
【0011】
このように形成される磁気ブラシによる静電潜像の現像においては、図20(B)に模式的に示すように、図20(A)の磁気ブラシ(1) のような長い磁気ブラシ(21)、(22)の先端部が、静電潜像に付着したトナーt を掻き落とすように作用しがちである。静電潜像に付着したトナーt が多く掻き落とされると、画像欠損が生じたり、画像濃度が低下したりして画像品質が低下する。
【0012】
図20(C)に模式的に示すように、図20(A)の磁気ブラシ(3) 〜(6) のような太った短い磁気ブラシ(40) は、ブラシ中のトナーtの自由度が奪われやすく、現像に寄与することが困難になりやすい。トナーtの自由度が奪われ、静電潜像へのトナー付着量が少なくなると、現像効率が低下し、画像欠損が生じたり、画像濃度が低下したりして画像品質が低下する。
【0013】
また、一般的に言って、現像極が単一極で構成されている現像装置は、プロセス速度(画像形成処理速さ)の高い画像形成装置に搭載して用いると、現像性能が低下する傾向があることが知られている。特に、画像形成に伴ってキャリア粒子が、その表面形状の変化や、トナー樹脂成分の付着等により劣化し、そのために磁石体及び現像スリーブによる現像剤搬送量が低下して現像形成されるトナー像の濃度が低下する傾向がある。
【0014】
そこで、特開平5−72902号公報には、このような問題の解決を目指して、現像領域に臨む現像極を、同極を隣り合わせて着磁してなる同極着磁の現像極とすることが記載されている。
【0015】
図21(A)は同極(N極又はS極)を隣り合わせて着磁した、所謂同極着磁の現像極による磁力分布例を示している。図21(B)は、同極着磁の現像極を有する磁石体の該現像極を含む部分の磁束密度の例を示している。図21(B)において、Brは現像スリーブ表面に対して法線方向の磁束密度であり、Bθは現像スリーブ表面の接線の方向の磁束密度である。fは磁気吸引力を示している(f=Br+Bθ)。
【0016】
なお、図21(B)において、横軸上の磁石体における中心角度位置は、磁石体の軸(シャフト)の端部に形成される磁石体位置決め、固定のための、所謂Dカット面(後述する図2に示されるようなDカット面Dc)の中央位置を基準にして、該基準位置からの中心角度量(図2を参照して言えば、図2において反時計方向に回った中心角度量)に相当する位置である。図21(B)に示す例では、現像極中心の角度位置は基準位置から中心角度にして反時計まわりに290度の位置mpである。
【0017】
図21(B)からも分かるように、同極着磁の現像極によると、隣り合う同極着磁部分の間で磁力fが急激に低下しており、それにより磁気吸引力が弱まり、現像剤の攪乱が生じるので、それだけこの部分でトナーが動き易くなり、静電潜像の現像性がそれだけ向上する。また、通常、現像スリーブの回転方向において現像領域より上流側に設けられている現像剤穂の高さを規制する規制部材(穂高規制部材)での詰まりがあれば発生することがある筋状画像ノイズの発生が、磁気拘束力の弱まりに起因する現像剤の攪乱により抑制される利点がある。さらに、該隣り合う同極着磁部分による反発磁界により現像領域内における現像剤の静電潜像担持体への接触抵抗が低減し、それだけ画像の乱れが抑制され、画像品質が向上する利点もある。
【特許文献1】特開平5−72902
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、同極着磁の現像極を採用する現像装置では、隣り合う同極着磁部分の間の中央部で磁力が急激に低下するので、該中央部に対応する現像領域の部分でトナー飛散量が多く、そのため画像にカブリが発生しやすい。
【0019】
同極着磁部分の間の中央部を静電潜像担持体から速やかに遠ざけることでカブリ現象を抑制しようとして、該同極着磁部分の間の中央部を静電潜像担持体からの現像剤離れ際の位置に設定すると、該中央部での磁力の低減による現像剤の攪乱によりキャリア粒子が静電潜像担持体に付着しやすくなる。
【0020】
そこで本発明は、固定配置された磁石体と、該磁石体に回転可能に外嵌された現像スリーブとを含み、トナーと磁性キャリア粒子を含む現像剤からなる現像剤穂を該磁石体の磁力により該現像スリーブ表面上に形成し保持し、該現像剤穂を回転駆動される静電潜像担持体の表面に形成される静電潜像を現像する現像領域へ搬送し、該現像剤穂を該静電潜像担持体表面に接触させて該静電潜像を現像する現像装置であって、
カブリ現象発生を抑制しつつ、そして同極着磁の現像極における該同極着磁部分の間の中央部を静電潜像担持体からの現像剤離れ際位置に設定する場合と比べるとキャリア粒子の静電潜像担持体への付着を抑制しつつ、効率よく静電潜像を現像できる現像装置を提供することを第1の課題とする。
【0021】
また本発明は、回転駆動される静電潜像担持体上に形成される静電潜像を現像装置により現像してトナー像を形成できる画像形成装置であって、カブリ等の画像ノイズの抑制された、それだけ高品質の画像を形成できる画像形成装置を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者は前記課題を解決するため研究を重ね、次のことに着目した。
(a)現像極を同極着磁の現像極とすると、隣り合う同極着磁部分の間で磁力が急激に低下し、それにより現像剤の攪乱が生じ、トナー飛散量が多くなり、画像カブリが発生しやすくなる。
(b)従って、現像剤のこのようなカブリ現象をもたらす攪乱を防止するために現像極は単一の磁極とすることが好ましい、と言える。
(c)しかし、現像極を単一磁極で形成する場合、該現像極の磁力分布を図19(B)に例示するように現像極中心に関してほぼ対称のものとすると、既述のとおり、現像剤搬送方向において下流側へ向かうにつれ短く太った磁気ブラシが形成され、太った短い磁気ブラシによる現像ではトナーtの自由度が奪われ、現像効率が低くなる。
【0023】
本発明者はさらに研究を重ね、現像極を単一磁極で形成して、しかも現像効率を向上させるには、次のようにすればよいことを見出した。
(d)現像極による現像スリーブ表面に対する法線方向の磁束密度のピーク値を示す磁石体における位置(中心角度位置)を現像極の中心位置より、現像領域における静電潜像担持体表面の移動方向において下流側へずらす。
(e)該磁束密度ピーク値の予め定めた割合分(例えばピーク値の50%分)の磁束密度を示す該磁石体における中心角度位置は該磁束密度ピーク値を示す中心角度位置から静電潜像担持体表面の移動方向において上流側及び下流側へそれぞれ等中心角度離れた位置とする。
(f)さらに、前記磁束密度ピーク値を示す磁石体における中心角度位置から静電潜像担持体表面の移動方向において下流側で前記法線方向の磁束密度が0になる位置までの中心角度Xと、上流側で前記法線方向の磁束密度が0になる位置までの中心角度Yとの間にY>Xの関係を成立させる。
【0024】
これら条件のもとでは、現像領域における静電潜像担持体表面の移動方向において現像極の上流側部分(現像極上流側端部を含む現像極における上流側寄り部分)による磁力線分布が下流側寄り部分による磁力線分布より少ない割合で構成される。しかし該上流側部分による磁力線の向きは、法線方向磁束密度のピーク値を示す位置を静電潜像担持体表面の移動方向において下流側へずらさない場合の現像極における上流側部分での磁力線の向きと同じ、或いはほぼ同じままである(換言すれば、磁力線の向きは変わらない或いは殆ど変わらない)。このように磁力線の向きが同じ、或いはほぼ同じままで、該上流側部分での磁力ベクトルの大きさを小さくすることができ、それにより、磁気ブラシに(特にブラシにおけるキャリア粒子チエーンに)それを現像スリーブ表面上に立たせる偶力(磁界ベクトルに垂直方向の磁気力成分による偶力)を作用させることができる。これにより、上流側部分による磁気ブラシがそれだけ静電潜像担持体を摺擦し易くなる。
【0025】
また、そのように磁力ベクトルの大きさが小さくなった現像極の上流側部分を該現像極において現像剤搬送方向に広い幅にわたって設定でき、磁力ベクトルの大きさが低減された該広い幅にわたる上流側部分に臨む現像剤を低磁力で、従ってキャリア粒子の移動性が高められる状態で、細い多くの磁気ブラシの形で現像スリーブ上に保持することができる。それら磁気ブラシにおけるトナー拘束力は、図20(C)に例示するような従来の太った短い磁気ブラシの場合よりも弱く、それだけトナーの静電潜像への移動が容易化される。
【0026】
かくして、現像極を単一磁極で形成して該現像極の磁力分布を図19(B)に例示するように現像極中心に関してほぼ対称のものとする場合と比べると、現像効率を向上させることができる。
しかも単一磁極の現像極を採用するので、同極着磁の現像極を採用する場合に比べてカブリ現象の発生を抑制しつつ、そして同極着磁の現像極における該同極着磁部分の間の中央部を静電潜像担持体からの現像剤離れ際位置に設定する場合と比べるとキャリア粒子の静電潜像担持体への付着を抑制しつつ、現像効率を向上させることができる。
【0027】
キャリア粒子の静電潜像担持体への付着抑制の点についてもう少し説明すると、単一磁極の現像極を採用し、且つ、該現像極における前記法線方向の磁束密度のピーク値を示す位置を現像極の中心位置(そこでは通常、静電潜像担持体へ現像スリーブが最も接近する)より、現像領域における静電潜像担持体表面の移動方向において下流側へずらせることで、静電潜像担持体から現像剤が離れていこうとする現像剤離れ際で最も強い磁力を作用させることができ、それによりキャリアが静電潜像担持体に付着することを抑制できる。
【0028】
本発明はこのような知見に基づき前記第1の課題を解決するため次の現像装置を提供し、前記第2の課題を解決するため次の画像形成装置を提供する。
(1)現像装置
固定配置された磁石体と、該磁石体に回転可能に外嵌された現像スリーブとを含み、トナーと磁性キャリア粒子を含む現像剤からなる現像剤穂を該磁石体の磁力により該現像スリーブ表面上に形成し保持し、該現像剤穂を回転駆動される静電潜像担持体の表面に形成される静電潜像を現像する現像領域へ搬送し、該現像剤穂を該静電潜像担持体表面に接触させて該静電潜像を現像する現像装置であり、
前記磁石体は前記現像領域に臨む単一の磁極である現像極を含む、環状に配列された磁極群を有しており、
該現像極による前記現像スリーブ表面に対する法線方向の磁束密度のピーク値を示す該磁石体における中心角度位置が、前記現像領域において該現像スリーブが対向する静電潜像担持体表面の移動方向において該現像極の中心の該磁石体における中心角度位置より下流側へ偏っており、
前記磁束密度ピーク値の予め定めた割合分の磁束密度を示す該磁石体における中心角度位置は該磁束密度ピーク値を示す中心角度位置から前記静電潜像担持体表面の移動方向において上流側及び下流側へそれぞれ等中心角度離れた位置であり(該等中心角度には等中心角度と見做して差し支えない略等中心角度も含まれる。)、
前記磁束密度ピーク値を示す磁石体における中心角度位置から前記静電潜像担持体表面の移動方向において下流側で前記法線方向の磁束密度が0になる位置までの中心角度Xと、上流側で前記法線方向の磁束密度が0になる位置までの中心角度YとがY>Xの関係にある現像装置。
【0029】
(2)画像形成装置
本発明に係る現像装置を含んでおり、回転駆動される静電潜像担持体上に形成される静電潜像を該現像装置により現像してトナー像を形成できる画像形成装置。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、固定配置された磁石体と、該磁石体に回転可能に外嵌された現像スリーブとを含み、トナーと磁性キャリア粒子を含む現像剤からなる現像剤穂を該磁石体の磁力により該現像スリーブ表面上に形成し保持し、該現像剤穂を回転駆動される静電潜像担持体の表面に形成される静電潜像を現像する現像領域へ搬送し、該現像剤穂を該静電潜像担持体表面に接触させて該静電潜像を現像する現像装置であって、
カブリ現象の発生を抑制しつつ、そして同極着磁の現像極における該同極着磁部分の間の中央部を静電潜像担持体からの現像剤離れ際位置に設定する場合と比べるとキャリア粒子の静電潜像担持体への付着を抑制しつつ、効率よく静電潜像を現像できる現像装置を提供することができる。
【0031】
また本発明によると、回転駆動される静電潜像担持体上に形成される静電潜像を現像装置により現像してトナー像を形成できる画像形成装置であって、カブリ等の画像ノイズの抑制された、それだけ高品質の画像を形成できる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明に係る画像形成装置の例及びそこで用いられている現像装置について説明する。
図1は画像形成装置の1例PRの構成の概略を示している。画像形成装置PRはタンデム型のフルカラープリンタである。
【0033】
このプリンタPRは、駆動ローラ81とこれに対向するローラ82に巻き掛けられた無端の中間転写ベルト8を有している。転写ベルト8は、図示省略のベルト駆動部により駆動される駆動ローラ81により図中反時計方向(図中矢印方向)CCWに回される。
【0034】
ローラ82には転写ベルト8上の2次転写残トナー等を清掃するクリーニング装置83が臨んでおり、駆動ローラ81には2次転写ローラ9が臨んでいる。クリーニング装置83に回収されるトナー等は図示省略の搬送手段にて廃棄容器へ送られる。
【0035】
2次転写ローラ9の表層部は弾性材料で形成されており、図示省略の押圧手段にて駆動ローラ81に支持された中間転写ベルト8の部分に押圧され、中間転写ベルト8との間にニップ部を形成し、中間転写ベルト8の回転に従動して、或いは、後述するように該ニップ部に送り込まれる記録媒体Sの移動に従動して回転することができる。2次転写ローラ9には、図示省略の電源から2次転写バイアスを印加することができる。
【0036】
中間転写ベルト8及び2次転写ローラ9の上方には定着装置FXが配置されており、下方にはタイミングローラ対TRが配置されており、さらにその下方に、記録紙等の記録媒体Sを収容した記録媒体収容カセット10が配置されている。
【0037】
定着装置FXはハロゲンランプヒータ等の熱源を内蔵した定着加熱ローラとこれに圧接される加圧ローラとを含むものである。
記録媒体収容カセット10に収容された記録媒体Sは、媒体供給ローラ101にて1枚ずつ引き出してタイミングローラ対TRへ供給することができる。
【0038】
中間転写ベルト8を巻き掛けたローラ81、82の間には、転写ベルト8に沿って、ローラ82からローラ81に向けて、イエロー画像形成部Y、マゼンタ画像形成部M、シアン画像形成部C及びブラック画像形成部Kがこの順序で配置されている。
【0039】
Y、M、C、Kの各画像形成部は、静電潜像担持体としてドラム型の感光体1を備えており、該感光体の周囲に帯電器2、露光装置3、現像装置4、1次転写ローラ5及びクリーニング装置6がこの順序で配置されている。
【0040】
1次転写ローラ5は転写ベルト8を間にして感光体1に対向しており、ベルト8の走行に従動回転する。1次転写ローラ5には、感光体1上に形成されるトナー像をベルト8へ1次転写するための1次転写バイアスを図示省略の電源から印加できる。
露光装置3は、図示省略のパーソナルコンピュータ等から提供される画像情報に応じて、レーザービームの点滅により感光体1にドット(点)露光で画像露光を施せるものである。
【0041】
各画像形成部における感光体1は、ここでは負帯電性の感光体であり、図示省略の感光体駆動モータにて図中時計方向回りに回転駆動できる。
各画像形成部における帯電器2は、本例ではスコロトロン帯電器であり、所定のタイミングで図示省略の電源から帯電用の電圧が印加される。なお、帯電器2は帯電ローラを用いるもの等であってもよい。
【0042】
各画像形成部における現像装置4は図2にも示すものであり、磁性キャリアと負帯電性トナーを主成分とする所謂2成分現像剤を用いて、感光体1上に形成される静電潜像を、図示省略の電源から現像バイアスが印加されるローラ形態の現像スリーブ(換言すれば、現像ローラ)41で反転現像することができる。現像装置4については後ほどさらに説明する。
【0043】
このプリンタによると、Y、M、C、Kの画像形成部のうち1又は2以上を用いて画像を形成することができる。
画像形成部Y、M、C及びKのすべてを用いてフルカラー画像を形成する場合を例にとると、先ず、イエロー画像形成部Yにおいてイエロートナー像を形成し、これを転写ベルト8に1次転写する。
【0044】
すなわち、イエロー画像形成部Yにおいて、感光体1が図中時計方向に回転駆動され、帯電器2にて表面が一様に所定電位に帯電され、該帯電域に露光装置3からイエロー画像用の画像露光が施され、感光体1上にイエロー用静電潜像が形成される。この静電潜像はイエロートナーを有する現像装置4の現像バイアスが印加された現像スリーブ41にて現像されて可視イエロートナー像となる。該イエロートナー像は1次転写ローラ5にて転写ベルト8上に1次転写される。このとき、1次転写ローラ5には図示省略の電源から1次転写バイアスが印加される。
【0045】
同様にして、マゼンタ画像形成部Mにおいてマゼンタトナー像が形成されて転写ベルト8に転写され、シアン画像形成部Cにおいてシアントナー像が形成されて転写ベルト8に転写され、ブラック画像形成部Kにおいてブラックトナー像が形成されて転写ベルト8に転写される。
【0046】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像はこれらが中間転写ベルト8上に重ねて転写されるタイミングで形成される。
かくして転写ベルト8上に形成された多重トナー像は転写ベルト8の回動により2次転写ローラ9へ向け移動する。
【0047】
一方、記録媒体Sが記録媒体収容カセット10から媒体供給ローラ101にて引き出され、タイミングローラ対TRへ供給され、待機している。
【0048】
このようにタイミングローラ対TRのところで待機する記録媒体Sは、中間転写ベルト8にて送られてくる多重トナー像に合わせて、転写ベルト8と2次転写ローラ9とのニップ部に供給される。該多重トナー像は図示省略の電源から2次転写バイアスが印加された2次転写ローラ9にて該記録媒体S上に2次転写される。その後記録媒体Sは定着装置FXに通され、そこで多重トナー像が加熱加圧下に記録媒体Sに定着される。記録媒体Sはひき続き、排出ローラ対DRにて排出トレイDTに排出される。
【0049】
トナー像のベルト8への1次転写において感光体1上に残留する転写残トナー等はクリーニング装置6で清掃され、2次転写によりベルト8上に残留する2次転写残トナー等はクリーニング装置83で清掃される。これら清掃除去されたトナーはそれぞれ図示省略の搬送手段にて廃棄容器へ送られる。
【0050】
以上説明したように画像形成されるのであるが、2成分現像剤を用いる現像装置4についてさらに説明する。本発明の好ましい実施形態の現像装置は、基本的には、固定配置された磁石体と、磁石体に回転可能に外嵌された現像スリーブとを含み、トナーと磁性キャリア粒子を含む現像剤からなる現像剤穂(磁気ブラシ)を磁石体の磁力により現像スリーブ表面上に形成し保持し、該現像剤穂を回転駆動される静電潜像担持体(ここではドラム型感光体)の表面に形成される静電潜像を現像する現像領域へ搬送し、該現像剤穂を該像担持体の表面に接触させて該静電潜像を現像する現像装置である。
【0051】
ここで用いられている現像装置4は図2〜図6に示すものである。図2は現像装置4の断面構造の概略を示している。図3(A)は現像装置4の現像スリーブ41と磁石体42等との関係及び現像スリーブ41と感光体1との位置関係を示している。図4は現像装置4を図2において左側から見て、且つ、ケース蓋体40Lを外して示す図である。図5は現像装置4を図2において上方から見て、且つ、蓋体40L及び現像剤規制部材43を省略して示す図である。図6は現像スリーブ41と磁石体42の断面を示している。
【0052】
現像装置4は現像スリーブ41を有している。現像スリーブ41は断面円形の中空ローラ形態のスリーブであり、磁石体42に外嵌され、左右の軸受け部b1、b2を介して磁石体42に回転自在に支持されている。磁石体42はここでは概ねローラ形態に形成されている。
【0053】
現像スリーブ41は、図3(A)において左側端部411に嵌着された円盤状端部材e1を有しているとともに図3(A)において右側端部412に嵌着された円盤状端部材e2を有している。磁石体42は図3(A)において左側端から現像スリーブ41の外へ突出する軸部421を有しているとともに右側端から反対側へ短く突出する軸部422を有している。
【0054】
磁石体42の現像スリーブ41から突出した軸部421は現像装置ケース40(図2参照)に支持されており、かくして磁石体42は現像装置ケース40に対し定位置をとる固定配置の磁石体となっている。
【0055】
現像スリーブ41の左側の端部材e1の内面側に段落とし凹所が形成されている。左側の軸受け部b1は該凹所に嵌め込まれているとともに磁石体42の軸部421に外嵌されている。現像スリーブ41の右側の端部材e2の内面側にも段落とし凹所が形成されている。右側の軸受け部b2は該凹所に嵌め込まれているとともに磁石体42の短軸部422に外嵌されている。
【0056】
このようにして、現像スリーブ41は磁石体42に外嵌され、左右の軸受け部b1、b2を介して該磁石体に回転自在となっている。
現像スリーブ41の左側の端部材e1の外面側にも段落とし凹所が形成されている。シールリングsrが該凹所に嵌め込まれているとともに磁石体42の軸部421に外嵌されている。
【0057】
現像スリーブ41の右側の端部材e2から現像スリーブ41を回転駆動するための軸部410が一体的に突出しており、該軸部は図示省略の軸受け部にて現像装置ケース40に回転可能に支持されており、該ケース40外へ突出した端部に駆動用ギアG(後述する図4、図5参照)が嵌着されている。該駆動ギアGが図省略の現像装置駆動部により駆動されることで、現像スリーブ41が図2中時計方向CWに回転駆動される。
【0058】
磁石体42は、現像スリーブ41が磁石体42の周囲に回転駆動されたとき、現像装置4で使用される現像剤からなる磁気ブラシ(現像剤の穂)が現像スリーブ41の周面上に形成されるように、磁石体に周囲方向に沿ってN極、S極を交互に有している。磁石体42については後ほどさらに説明する。
【0059】
かくして、現像装置4は、現像スリーブ41の周面に磁性キャリアとトナーを含む現像剤からなる磁気ブラシを担持して、感光体1上の静電潜像を現像する現像領域Daへ搬送することができる。また、該現像剤搬送の途中で、現像領域Daへ搬送される現像剤量(磁気ブラシの穂高さ)が現像剤規制部材(現像剤の穂高規制部材)43で予め定めたものに規制されるようになっている。
【0060】
現像領域Daにおいては、感光体1と現像スリーブ41との間の間隙(現像ギャップ)Dgに磁気ブラシが到来して感光体1上の静電潜像が現像され、可視トナー像が形成される。このトナー像は感光体1から被転写体(ここではベルト8)に転写される。
【0061】
現像領域における現像ギャップDgは、ここでは、次のように確保される。
図2及び図3(A)に示すように、磁石体42の軸部421が感光体1を支持している図示省略の部材に設けられた軸部位置決め装置PS1に嵌め込み支持されるとともに、現像スリーブ41の駆動軸部410が、感光体1を支持している図示省略の部材に設けられた軸部位置決め装置PS2に嵌め込み支持されている。かくして、現像スリーブ41は感光体1に対し固定的に定位置に設けられ、感光体1に対し、決められた現像ギャップDgをおいて臨む。
なお、図3(A)では軸部位置決め装置PS1を簡略図示しているが、装置PS1は図2及び図3(B)に示すように、軸部421の端部の一部を、その断面形状がD字様形状となるように、軸部中心線と平行に平坦に切除して、所謂Dカット面Dcを形成し、該Dカット面Dcに位置決めスプリングを当接させるものである。磁石体42における各磁極の位置は、該Dカット面Dcの、軸部円周方向における中心ceを基準位置として、図2において反時計まわりに磁極へ至るための中心角度量に相当する中心角度位置とされる。
【0062】
感光体1と現像スリーブ41との間の現像ギャップを設定する手法として、上記のような軸部位置決め装置PS1、PS2のほか、コロを採用したものでもよい。
例えば、図7に示すように、現像スリーブの軸部に現像スリーブ41より現像ギャップDgの2倍分大径のコロrを嵌め、現像装置全体を感光体側へ付勢するか、又は現像スリーブ41をガイドに沿って感光体側へ付勢することで該コロrを感光体1の周面に当接させて現像ギャップDgを得るようにしてもよい。
【0063】
現像装置4は上記説明した現像スリーブ41等のほか、現像スリーブ41へ現像剤を攪拌しつつ供給する供給スクリュー44及び供給スクリュー44と共に現像剤を攪拌する攪拌スクリュー45も含んでいる。スクリュー44、45の間に隔壁46が設けられている。隔壁46には、その一端部に現像剤流通開口h1が(図4、図5にその位置だけを示す)、他端部に現像剤流通開口h2が形成されている。
【0064】
スクリュー44、45は図示省略の駆動モータ(前記の現像スリーブ駆動モータでもよい)に回転駆動され、それにより、現像装置4内に現像剤が循環するようになっている。 現像装置4内の現像剤は、攪拌スクリュー45によりキャリアとトナーが攪拌されつつ図4及び図5において右側へ搬送され、隔壁開口h2から供給スクリュー44側へ押し出され、該スクリュー44にて図4、図5中左側へ送られ、そのとき、現像剤がスクリュー44により攪拌されつつ現像スリーブ41の各部へ均等状に供給される。
【0065】
現像に供されずに供給スクリュー44によりその送り出し端側へ搬送される現像剤は、隔壁開口h1から攪拌スクリュー45側へ移行する。このように現像装置4内で現像剤が循環する。
供給スクリュー44には、その送り出し端側からトナー補給供給スクリュー441が同軸に連設されており、図示省略のトナー補給ホッパからトナー補給口TSへ予め定めたタイミングで供給される補給トナーが隔壁開口h1へ送られ、既に装置4内にある現像剤に混合され、現像に供されていく。
【0066】
磁石体42についてさらに説明する。現像装置4の磁石体42は図6に示すものである。磁石体としては、基本的には、現像領域Daに臨む単一の磁極(例えばN極)である現像極Dpを含む、環状に配列された磁極群を有するものを採用できる。
【0067】
磁石体42は、現像極Dpを含め、全体がフェライト系磁石で形成されている。現像極Dpは、図6及び図18(A)に示すように、現像剤搬送方向(図6ではCW方向に同じ)において下流側寄りの切欠部Ctを有している。観点を変えて言えば、現像極Dpは、現像領域Daにおける感光体1表面の移動方向において上流側寄りの切欠部Ctを有している。切欠部Ctを形成することで磁石体42は僅かではあるが軽量化されている。
【0068】
磁石体42の現像極Dpは、図8に示すような磁束密度分布を示す。この磁束密度分布は、ここでは、現像極Dpが前記切欠部Ctを有していることに基づいている。
この磁束密度分布について説明すると、現像極Dpによる現像スリーブ41表面に対する法線方向の磁束密度Brのピーク値Brpを示す磁石体における中心角度位置p1が、現像領域Daにおける感光体1表面移動方向において、現像極Dpの中心の位置p2(現像極中心の磁石体における角度位置p2)より下流側へ予め定めた角度D1偏っている。 本例では、現像極Dpの中心位置p2は、現像スリーブ41が感光体1に最も接近する位置に対応している。
【0069】
磁束密度ピーク値Brpの予め定めた割合分(図8に示すように例えばピーク値の50%)の磁束密度を示す磁石体における中心角度位置p3、p4は磁束密度ピーク値を示す位置p1から感光体1表面の移動方向において上流側及び下流側へそれぞれ中心角度D2、D2’離れた位置である。角度D2と角度D2’は等中心角度である。ここで「等中心角度」とは、角度D2と角度D2’とが等しい場合は勿論のこと、角度D2と角度D2’とが等中心角度であると見做して差し支えない略等中心角度である場合も含まれる。
【0070】
磁束密度ピーク値Brpを示す磁石体における位置p1から感光体1の表面移動方向において下流側で法線方向の磁束密度が0になる位置p5までの中心角度量Xと、上流側で法線方向の磁束密度が0になる位置p6までの中心角度量YとがY>Xの関係にある。
なお、位置p2と位置p5との間の角度D3と、位置p2と位置p6との間の角度D3’とは、等しいか、或いは等しい見做して差し支えない略等しい角度である。
【0071】
図8に示す磁束密度分布では、さらに、ピーク値Brpを示す角度位置p1から感光体1の表面移動方向において上流側で磁束密度が0になる角度位置p6へ至るまでの磁束密度の変化が、該上流側で磁束密度ピーク値Brpの前記の予め定めた割合分(例えばピーク値の50%)の磁束密度を示す角度位置p4から磁束密度が0になる位置p6へ至るまでの間に変曲点を含んでいる。
【0072】
図9は磁石体42の現像極Dpを含む部分の磁束密度分布の例を示している。図9において、Brは現像スリーブ41表面に対して法線方向の磁束密度であり、Bθは現像スリーブ41表面の接線の方向の磁束密度である。fは磁気吸引力を示している(f=Bθ+Br)。
【0073】
なお、図9において、横軸の磁石体における角度位置は図2に示すDカット面Dcの幅の中央位置ceを基準位置にして図2において反時計方向に回った中心角度量に相当する位置である。
また、この例では現像極Dpによる法線方向磁束密度のピーク値の位置p1は基準位置から中心角度にして290度の位置である。
さらに、図8に示す角度量D1に相当する角度量は略6度であり、角度量D2(D2’)に相当する角度量は略15度であり、角度量D3(D3’)に相当する角度量は略30度である。
【0074】
現像装置4には、上記の現像極条件に基づく次の利点がある。
現像領域Daにおける感光体1表面の移動方向において現像極Dpの上流側部分(現像極上流側端部を含む現像極における上流側寄りの部分)による磁力線分布(Br、Bθそれぞれの分布)が現像極Dpの下流側寄り部分による磁力線分布より少ない割合で構成される。しかし該上流側部分による磁力線の向きは、法線方向磁束密度のピーク値を示す位置を感光体1表面の移動方向において下流側へずらさない従来の単極の現像極における上流側部分での磁力線の向きと同じ、或いはほぼ同じままである(換言すれば、磁力線の向きは変わらない或いは殆ど変わらない)。このように磁力線の向きが同じ、或いはほぼ同じままで、感光体1表面の移動方向において上流側の部分での磁力ベクトルの大きさを小さくすることができる。
【0075】
図10はこのことを象徴的に示す図である。図10において、垂直成分とは現像スリーブ表面に対する法線方向の磁力線成分であり、水平成分とは現像スリーブ表面の接線の方向の磁力線成分である。図10に示すように、現像極Dpにおける上流側部分(感光体1表面の移動方向において上流側部分)では、磁力線の向きは従来の単極の現像磁極の場合(図10の左側の図参照)と同じ、或いはほぼ同じままで、該上流側部分での磁力ベクトルの大きさを小さくできる(図10の右側の図参照)。
【0076】
図11は従来の単極の現像極と磁石体42の現像極Dpのそれぞれによる磁力ベクトの変化の例を示している。これら現像極の法線方向磁束密度Brのピーク値は略同じである。 図12は、図11の場合と同じ従来の単極の現像極と図11の場合と同じ磁石体42の現像極Dpのそれぞれによる磁力線の向きの変化の例を示している。図11及び図12から分かるように、両タイプの現像極による磁力線の向きはほぼ同じで(図12参照)、現像極における上流側部分による磁力ベルトルの大きさは磁石体42の現像極Dpの方が低下する。
なお、図12において、縦軸の数値は角度〔度〕を示しており、「0」は法線方向を示している。
【0077】
図13は法線方向磁束密度Brのピーク値が略同じである従来の単極の現像極と磁石体42の現像極Dpのそれぞれによる磁界と磁気力の位相差を示している。
図13の横軸の「0」位置は現像極Dpの位置P1であり、縦軸の「0」は現像スリーブ法線に沿った方向を示しており、後述する図14において傾角β=傾角αとなる状態である。
【0078】
図13から分かるように、ピーク値Brpを感光体表面移動方向において下流側へずらせた磁石体42の現像極Dpのように、現像極における感光体表面移動方向において上流側部分での磁力線の向きが実質上変わらないで、該上流側部分での磁力ベクトルの大きさが小さくなる現像極の場合には、従来の単極の現像極の場合より、現像極上流側の部分による磁界と磁気力の位相差が略無くなる。
【0079】
その結果、磁気ブラシ(特にキャリア粒子チエーン)の現像スリーブ41表面の法線の方向に対する傾きは小さくなる。つまり、現像領域Da内では磁気ブラシが現像スリーブ41表面に対する法線方向に立った状態を広い範囲で維持しやすい。
【0080】
図14(A)及び図14(B)はこのことを図示説明している。前記位相差が小さい状態では、図14(A)に示すように、磁界ベルトの現像スリーブの法線の方向に対する傾角αと磁気力ベクトルの現像スリーブ法線方向に対する傾角βとの関係が|α|>|β|となり、穂(磁気ブラシ)を寝かせる偶力(磁界ベクトルに垂直方向の磁気力成分による偶力)が生じる。一方、前記位相差が大きくなってくると、図14(B)に示すように、傾角αと傾角βとの関係が|α|<|β|となってきて、穂(磁気ブラシ)を立たせる偶力が生じてくる。このように磁気ブラシを立たせる偶力が生じてくるので、現像極Dpにおける、感光体表面移動方向において上流側の部分により形成される磁気ブラシがそれだけ感光体1を立った状態で摺擦し易くなる。
【0081】
また、そのように磁力ベクトルの大きさが小さくなった現像極Dpの上流側部分を該現像極において現像剤搬送方向に広い幅にわたって設定でき、該広い幅にわたる上流側部分に臨む現像剤を低磁力で、従ってキャリア粒子の移動性が高められる状態で、細い多くの磁気ブラシの形で現像スリーブ上に保持することができる。
【0082】
それら磁気ブラシにおけるトナー拘束力は、図15の左側に示す太った短い磁気ブラシ〔図20(C)に例示する従来の太った硬く短い磁気ブラシと同じ状態の磁気ブラシ〕の場合よりも弱められ、それだけトナーtの静電潜像への移動が容易化される。さらには柔らかく短いブラシのために、これが現像形成さたトナー像のトナーを掻き取ったり、該トナー像を乱したりすることはない。
【0083】
図15の右側に示す図は、そのようにキャリア粒子Cpの移動性が高められた状態で、細く多く、柔らかく形成された磁気ブラシを模式的に示しているとともに該磁気ブラシにおいてはトナーtの移動が容易であることを模式的に示している。
なお、図15においてd1は現像領域における現像スーリブ41表面の移動方向(現像剤搬送方向)を示しており、d2は現像領域における感光体1表面の移動方向を示している。
【0084】
かくして、現像極を単一磁極で形成して該現像極の磁力分布を図19(B)に例示するように現像極中心に関してほぼ対称のものとする場合と比べると現像効率を向上させることができ、また、同極着磁の現像極を採用する場合と比べても遜色なく現像効率を向上させることができる。しかも単一磁極の現像極Dpを採用するので、同極着磁の現像極を採用する場合に比べると現像領域Daにおける現像剤の攪乱は抑制され、それだけカブリ現象の発生を抑制しつつ現像効率を向上させることができる。
【0085】
図16は従来の同極着磁の現像極を有する磁石体を採用した現像装置と法線方向磁束密度ピーク値を感光体表面移動方向において下流側へずらせた現像極Dpを有する磁石体42を採用した現像装置のそれぞれにより感光体1上に最も高い濃度のトナー画像を現像形成し、感光体へのトナー付着量を測定した結果を示している。
【0086】
図17は従来の単極の現像極を有する磁石体を採用した現像装置と法線方向磁束密度ピーク値を感光体表面移動方向において下流側へずらせた現像極Dpを有する磁石体42を採用した現像装置のそれぞれにより感光体1上に最も高い濃度のトナー画像を現像形成し、感光体へのトナー付着量を測定した結果を示している。
【0087】
図16、図17のいずれの場合も、両現像装置において、現像極の一つの着磁部分の法線方向磁束密度は同じ(100mT)とし、現像極以外の現像装置構成及び現像条件は実質上同じとした。
現像領域における現像スリーブ表面の移動方向と感光体表面の移動方向は逆方向とし、スリーブ周速と感光体周速の比θは1.85とした。
図16、図17において、横軸は静電潜像現像のための感光体表面と現像スリーブとの間の電位差である。
【0088】
図16から、磁石体42の現像極Dpによると、同極着磁の現像極による静電潜像現像の場合と比べて遜色なく現像効率を向上させることができることが分かる。
図17から、磁石体42の現像極Dpによると、従来型の単極の現像極による静電潜像現像の場合と比べて現像効率が向上することが分かる。
【0089】
現像装置4では、既述のとおり、現像領域Daへ搬送される現像剤の穂(磁気ブラシ)は穂高規制部材43により高さが規制される。この規制部材43において詰まりが生じることがあり、詰まりが生じると筋状画像ノイズが発生しようとする。しかし、現像装置4では、感光体表面移動方向における現像極Dpの上流側部分は、図8におけるY領域に対応している。該現像極Dpの上流側部分により形成される磁気ブラシは、既述のとおり磁気吸引力fが低くてっていることで自由度が大きいとともに、図15の右側の図に示すように多くの細い磁気ブラシとなり、これら磁気ブラシにおいてはトナーの拘束力は弱く、トナー移動性がよい。これらにより、規制部材43での詰まりにより発生することがある筋状のトナー欠損部分は移動性のよいトナーで埋められやすく、それだけ規制部材詰まりによる筋状画像ノイズの発生が抑制される。
【0090】
磁石体42の現像極Dpによると、それは単一磁極の現像極であり、従って同極着磁の現像極と比べると現像剤の攪乱は抑制されるので、同極着磁の現像極における該同極着磁部分の間の中央部を静電潜像担持体からの現像剤離れ際位置に設定する場合と比べるとキャリア粒子Cpの静電潜像担持体(ここでは感光体1)への付着を抑制しつつ、現像効率を向上させることができる。
【0091】
現像領域における現像スリーブ表面の移動方向(従って現像剤搬送方向)と静電潜像担持体表面の移動方向は同方向でもよい。しかし、図1に示すプリンタPRでは、図2に示すように、現像スリーブ41と静電潜像担持体1の回転方向はいずれも時計方向CWであり、従って現像領域Daにおける現像スリーブ41表面の移動方向と像担持体1表面の移動方向は互いに逆向きである。
【0092】
このように現像スリーブ41表面の移動方向と像担持体1表面の移動方向は互いに逆向きであるので、現像極Dpにおける現像剤搬送方向において下流側部分により形成されるキャリア粒子の移動性の高い磁気ブラシ(図15の右側の図参照)から像担持体1へ付着することがあるキャリア粒子Cpが現像極Dpにおける上流側部分により形成されるキャリア粒子移動性の低い磁気ブラシにより補足され、全体として現像効率を向上させつつ像担持体1へのキャリア粒子の付着を抑制できる。
【0093】
現像装置4の磁石体42の現像極Dpでは、図8に示すように、磁束密度ピーク値Brpの予め定めた割合分の磁束密度を示す角度位置p3、p4はピーク値Brpを示す角度位置p1から現像剤搬送方向において上流側及び下流側へそれぞれ等中心角度離れた位置p3、p4である。ここで、「ピーク値Brpの予め定めた割合」として、図8では50%が示されているが、該割合は50%に限定されない。しかしあまり少なすぎると効果エリアが狭くなり、多すぎるとP1位置が現像領域から離れるようになってきて、キャリアが感光体に付着し易くなるから、概ね25%〜75%程度を例示できる。この割合の許容範囲は一般的に言えば、感光体径と磁石体径との兼ね合いで決まってくる。感光体径が大きくなれば該割合の許容範囲は広がり、逆に感光体径が小さくなってくると、該割合の許容範囲は狭くなってくる。
【0094】
感光体1からの現像剤離れ際で、現像スリーブ41表面の接線方向の磁束密度Bθを高め、且つ、磁気吸引力fを高めることで、感光体1へのキャリア付着を抑制できるとともに、キャリア粒子チエーン高さを低く抑制して該チエーンによる感光体1上のトナー画像擦り、それによる画像品質の低下を抑制することができる。
【0095】
この観点から、感光体表面移動方向において磁石体42の現像極Dpの下流側に隣り合う磁極に関して、該隣り合う磁極による現像スリーブ41表面に対する法線方向の磁束密度は60mT〜100mT程度とする例を挙げることかできる。また、該隣り合う磁極と現像極Dpとの隔たりを、磁極中心間の中心角度間隔にして、15度〜45度程度とする例を挙げることができる。しかし、現像極Dpとそれに隣り合う上流側の磁極との関係はこれに限定されるものではない。
【0096】
用いる現像剤に関して言えば、感光体表面移動方向において現像極Dpの上流側部分により形成される磁気ブラシ(特にそのキャリア粒子チェーン)は、図15の右側の図のように、トナーtの移動を容易化し、現像効率を向上させるために、細く、多い(密度が高い)ことが好ましい。この観点から、キャリア粒子Cpの粒径として40μm程度以下を例示できる。しかし、キャリア粒子として機能させるために該粒径は概ね20μm以上であることが好ましい。
【0097】
また、キャリア粒子Cpの磁力は、像担持体1上に形成されるトナー像の磁気ブラシ擦りによるカスレ発生の抑制、キャリア粒子の粒状性の維持、キャリア粒子の掃き寄せのために、80emu/g程度以下を例示できる。しかし、磁性キャリア粒子として機能させるために概ね20emu/g程度以上が好ましい。
【0098】
よって、用いる現像剤のキャリア粒子Cpは、粒径が20μm〜40μmの範囲にあることが好ましく、また、磁力が20emu/g〜80emu/gの範囲にあることが好ましいと言える。しかし、粒径や磁力がこれに限定されるものではない。
【0099】
現像剤に関してさらに言えば、磁気ブラシが高くなりすぎて感光体1上のトナー像が該ブラシに強く擦られて画像不良が発生することを抑制するとともにトナーの離型性を高めて画像品質向上を図る観点から、磁性キャリア粒子Cpは球形のキャリア粒子とし、トナーtは球状トナーとすることができる。
【0100】
現像剤による現像スリーブ41の回転に対する負荷を軽減して、現像剤の劣化及びトナー飛散を抑制する観点から、静電潜像担持体(ここでは感光体1)の周速度と現像スリーブ41の周速度との差は1.0〜2.2の範囲にする例を挙げることができる。
【0101】
画像形成装置の小型化、コンパクト化のために感光体1を小さくし、しかも、現像効率向上を図りつつ感光体1を小さくする観点から、感光体1の外径は20mm〜60mm程度とし、現像装置の現像スーリブ41の外径は10mm〜30mm程度とする例を挙げることができる。
【0102】
ここで再び磁石体42について説明する。既述の磁石体42は図6及び図18(A)に示すように、現像極Dpを含め全体がフエライト系磁石からなるものであったが、磁石体としては、図18(B)〜図18(G)に例示するもの等も採用できる。
【0103】
これら磁石体はいずれも現像極Dpが現像領域における感光体1の表面の移動方向において現像極の中心より上流側寄りの切欠部Ctを有しているものであり、図8と同様の法線方向磁束密度分布を示すものである。
図18(A)〜図18(C)の各磁石体は全体が一体的に成形されたものであり、図18(D)〜図18(G)の各磁石体は各磁極を有する断面形状が略扇形状の磁石部材を環状に組み合わせてなるものである。
【0104】
図18(D)の磁石体は現像極Dpを含め各部がフェライト系磁石feで構成されている。
【0105】
図18(B)、図18(E)及び図18(G)の各磁石体は、現像極Dpが希土類系磁石raとフェライト系磁石feとで構成されている。他の磁極部分はフェライト系磁石feで構成されている。図18(G)の磁石体の現像極では、希土類系磁石ra部分が現像領域における感光体1の表面の移動方向において上流側まで延在しており、その部分に切欠部Ctが形成されている。
【0106】
このように、現像極が希土類系磁石raとフェライト系磁石feとで構成され、希土類系磁石raが主として感光体表面移動方向において下流側に位置している磁石体では、現像極における感光体表面移動方向において上流側部分と下流側部分との間に十分な磁力差を得ることができ、それにより、該上流側部分による磁力ベクトルの大きさを低下させ、キャリア粒子チェーンを立たせる偶力を、図18(A)や図18(D)に示す磁石体よりも確実に得ることができる。
【0107】
図18(C)及び図18(F)の各磁石体は、現像極Dpが希土類系磁性粉を含むボンド磁石rabとフェライト系磁性粉を含むボンド磁石febとで構成されており、該希土類系磁性粉を含むボンド磁石rabが感光体表面移動方向において下流側に位置している。
これら磁石体においても、図18(B)、図18(E)及び図18(G)の各磁石体と同様に、現像極における上流側部分と下流側部分との間に十分な磁力差を得ることができ、それにより、該上流側部分による磁力ベクトルの大きさを低下させ、キャリア粒子チェーンを立たせる偶力を、図18(A)や図18(D)に示す磁石体よりも確実に得ることができる。
【0108】
以上説明したプリンタはタンデム型のフルカラープリンタであったが、本発明はモノクロ画像形成装置にも適用でき、また、他のタイプの多色画像形成装置(例えば、いわゆる4サイクル型フルカラープリンタ)等にも適用できる。また、現像装置を複数備えている画像形成装置では、該複数の現像装置の全数より少ない数の現像装置に本発明が適用されているだけでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、2成分現像剤を用いて静電潜像担持体上の静電潜像を現像効率良く現像できる現像装置及び該現像装置を搭載することでそれだけ良好に画像形成できる画像形成装置を提供することに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明に係る画像形成装置の1例の構成の概略を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置における現像装置の断面構造の概略を示す図である。
【図3】図3(A)は図2の現像装置の現像スリーブと磁石体等との関係及び現像スリーブと感光体との位置関係を示す図であり、図3(B)は磁石体の軸部のDカット面を示す斜視図である。
【図4】図2の現像装置4を図2において左側から見て、且つ、ケース蓋体を外して示す図である。
【図5】図2に示す現像装置を図2において上方から見て、且つ、ケース蓋体及び現像剤規制部材を省略して示す図である。
【図6】現像スリーブと磁石体の断面図である。
【図7】現像ギャップ形成手法の他の例を示す図である。
【図8】磁石体の現像極の法線方向磁束密度分布例を示す図である。
【図9】図2の現像装置の磁石体の現像極を含む部分の磁束密度分布例を示す図である。
【図10】現像極における下流側部分による磁力線の向きが実質上同じままで、該下流側部分での磁力ベクトルの大きさが小さくなることを象徴的に示す図である。
【図11】従来の単極の現像極と図2の現像装置の磁石体の現像極のそれぞれによる磁力ベクトの変化の例を示す図である。
【図12】従来の単極の現像極と図2の現像装置の磁石体の現像極のそれぞれによる磁力線の向きの変化の例を示す図である。
【図13】従来の単極の現像極と図2の現像装置の磁石体の現像極のそれぞれによる磁界と磁気力の位相差を示す図である。
【図14】図14(A)及び図14(B)は磁気ブラシに加わる偶力を説明する図である。
【図15】従来の太った短い磁気ブラシと、これとは異なり細く多く形成された磁気ブラシを模式的に示す図である。
【図16】従来の同極着磁の現像極及び図2の現像装置の磁石体の現像極のそれぞれによる感光体へのトナー付着量(換言すれば現像効率)を示す図である。
【図17】従来の単極の現像極及び図2の現像装置の磁石体の現像極のそれぞれによる感光体へのトナー付着量(換言すれば現像効率)を示す図である。
【図18】採用できる磁石体の種々の例を示す図である。
【図19】図19(A)は従来の現像装置における磁石体及びそれに外嵌された現像スリーブの例を示す図であり、図19(B)は単一磁極からなる現像極の磁力分布例を示す図である。
【図20】図20(A)は従来の現像極により形成される現像剤の穂( 磁気ブラシ)の例を模式的に示す図であり、図20(B)は長い磁気ブラシを拡大して模式的に示す図であり、図20(C)は太った短い磁気ブラシを拡大して模式的に示す図である。
【図21】図21(A)は従来の同極着磁の現像極の磁力分布の例を示す図であり、図21(B)は同極着磁の現像極による磁束密度分布例を示す図である。
【符号の説明】
【0111】
PR プリンタ
Y イエロー画像形成部
M マゼンタ画像形成部
C シアン画像形成部
K ブラック画像形成部
1、PC 感光体
2 帯電装置 3 画像露光装置
4 現像装置
40 現像装置ケース
40L ケース蓋体
41 現像スリーブ
42 磁石体
Dp 現像極
Br 法線方向磁束密度
Brp 法線方向磁束密度のピーク値
Bθ 接線方向磁束密度
f 磁力
p1〜p6 磁石体における(現像極における)角度位置
ra 希土類系磁石
fe フェラント系磁石
rab 希土類系磁性粉を含むボンド磁石
feb フェラント系磁性粉を含むボンド磁石
43 現像剤規制部材
Da 現像領域
Dg 現像ギャップ
d1 現像領域における現像スリーブ表面移動方向
d2 現像領域における感光体表面移動方向
5 1次転写ローラ
6 クリーニング装置
8 中間転写ベルト
81 駆動ローラ
82 対向ローラ
83 クリーニング装置
9 2次転写ローラ
10 記録媒体供給カセット
101 記録媒体供給ローラ
TR タイミングローラ対
FX 定着装置
DR 記録媒体排出ローラ対
DT 記録媒体排出トレイ
S 記録媒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定配置された磁石体と、該磁石体に回転可能に外嵌された現像スリーブとを含み、トナーと磁性キャリア粒子を含む現像剤からなる現像剤穂を該磁石体の磁力により該現像スリーブ表面上に形成し保持し、該現像剤穂を回転駆動される静電潜像担持体の表面に形成される静電潜像を現像する現像領域へ搬送し、該現像剤穂を該静電潜像担持体表面に接触させて該静電潜像を現像する現像装置であり、
前記磁石体は前記現像領域に臨む単一の磁極である現像極を含む、環状に配列された磁極群を有しており、
該現像極による前記現像スリーブ表面に対する法線方向の磁束密度のピーク値を示す該磁石体における中心角度位置が、前記現像領域において該現像スリーブが対向する静電潜像担持体表面の移動方向において該現像極の中心の該磁石体における中心角度位置より下流側へ偏っており、
前記磁束密度ピーク値の予め定めた割合分の磁束密度を示す該磁石体における中心角度位置は該磁束密度ピーク値を示す中心角度位置から前記静電潜像担持体表面の移動方向において上流側及び下流側へそれぞれ等中心角度離れた位置であり、
前記磁束密度ピーク値を示す磁石体における中心角度位置から前記静電潜像担持体表面の移動方向において下流側で前記法線方向の磁束密度が0になる位置までの中心角度Xと、上流側で前記法線方向の磁束密度が0になる位置までの中心角度YとがY>Xの関係にあることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記磁束密度ピーク値を示す前記中心角度位置から前記静電潜像担持体表面の移動方向において上流側で前記法線方向の磁束密度が0になる位置へ至るまでの磁束密度の変化は、該上流側で前記磁束密度ピーク値の予め定めた割合分の磁束密度を示す前記位置から該法線方向の磁束密度が0になる位置へ至るまでの間に変曲点を含んでいる請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記磁束密度ピーク値の予め定めた割合分の磁束密度は該磁束密度ピーク値の25%〜75%の範囲における磁束密度である請求項1又は2記載の現像装置。
【請求項4】
前記磁石体の現像極は前記静電潜像担持体表面の移動方向において該現像極の中心より上流側寄りの切欠部を有している請求項1、2又は3記載の現像装置。
【請求項5】
前記磁石体の現像極は、希土類系磁石とフェライト系磁石とで構成されており、該希土類系磁石は主として前記静電潜像担持体表面の移動方向において下流側に位置している請求項1から4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記磁石体の現像極は、希土類系磁性粉を含むボンド磁石とフェライト系磁性粉を含むボンド磁石とで構成されており、該希土類系磁性粉を含むボンド磁石が主として前記静電潜像担持体表面の移動方向において下流側に位置している請求項1から4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記磁石体において、前記静電潜像担持体表面の移動方向において前記現像極の下流側に隣り合う磁極による前記現像スリーブ表面に対する法線方向の磁束密度は60mT〜100mTの範囲のものであり、該現像極の下流側に隣り合う該磁極と該現像極とは磁極中心間の中心角度間隔が15度〜45度の範囲内にある請求項1から6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像剤のキャリア粒子は、粒径が20μm〜40μmの範囲のものであり、磁力が20emu/g〜80emu/gの範囲のものである請求項1から7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
前記現像剤における前記磁性キャリア粒子は球形のキャリア粒子であり、前記トナーは球状トナーである請求項1から8のいずれかに記載の現像装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の現像装置を含んでおり、回転駆動される静電潜像担持体上に形成される静電潜像を該現像装置により現像してトナー像を形成できることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記静電潜像担持体上の静電潜像を現像する現像領域において、該静電潜像担持体表面の移動方向は前記現像装置の現像スリーブ表面の移動方向とは逆方向である請求項10記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記静電潜像担持体の周速度と前記現像装置の現像スリーブの周速度との差は1.0〜2.2の範囲にある請求項10又は11記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記静電潜像担持体はドラム型感光体であり、該感光体の外径は20mm〜60mmであり、前記現像装置の現像スーリブの外径は10mm〜30mmである請求項10、11又は12記載の画像形成装置。
【請求項1】
固定配置された磁石体と、該磁石体に回転可能に外嵌された現像スリーブとを含み、トナーと磁性キャリア粒子を含む現像剤からなる現像剤穂を該磁石体の磁力により該現像スリーブ表面上に形成し保持し、該現像剤穂を回転駆動される静電潜像担持体の表面に形成される静電潜像を現像する現像領域へ搬送し、該現像剤穂を該静電潜像担持体表面に接触させて該静電潜像を現像する現像装置であり、
前記磁石体は前記現像領域に臨む単一の磁極である現像極を含む、環状に配列された磁極群を有しており、
該現像極による前記現像スリーブ表面に対する法線方向の磁束密度のピーク値を示す該磁石体における中心角度位置が、前記現像領域において該現像スリーブが対向する静電潜像担持体表面の移動方向において該現像極の中心の該磁石体における中心角度位置より下流側へ偏っており、
前記磁束密度ピーク値の予め定めた割合分の磁束密度を示す該磁石体における中心角度位置は該磁束密度ピーク値を示す中心角度位置から前記静電潜像担持体表面の移動方向において上流側及び下流側へそれぞれ等中心角度離れた位置であり、
前記磁束密度ピーク値を示す磁石体における中心角度位置から前記静電潜像担持体表面の移動方向において下流側で前記法線方向の磁束密度が0になる位置までの中心角度Xと、上流側で前記法線方向の磁束密度が0になる位置までの中心角度YとがY>Xの関係にあることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記磁束密度ピーク値を示す前記中心角度位置から前記静電潜像担持体表面の移動方向において上流側で前記法線方向の磁束密度が0になる位置へ至るまでの磁束密度の変化は、該上流側で前記磁束密度ピーク値の予め定めた割合分の磁束密度を示す前記位置から該法線方向の磁束密度が0になる位置へ至るまでの間に変曲点を含んでいる請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記磁束密度ピーク値の予め定めた割合分の磁束密度は該磁束密度ピーク値の25%〜75%の範囲における磁束密度である請求項1又は2記載の現像装置。
【請求項4】
前記磁石体の現像極は前記静電潜像担持体表面の移動方向において該現像極の中心より上流側寄りの切欠部を有している請求項1、2又は3記載の現像装置。
【請求項5】
前記磁石体の現像極は、希土類系磁石とフェライト系磁石とで構成されており、該希土類系磁石は主として前記静電潜像担持体表面の移動方向において下流側に位置している請求項1から4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記磁石体の現像極は、希土類系磁性粉を含むボンド磁石とフェライト系磁性粉を含むボンド磁石とで構成されており、該希土類系磁性粉を含むボンド磁石が主として前記静電潜像担持体表面の移動方向において下流側に位置している請求項1から4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記磁石体において、前記静電潜像担持体表面の移動方向において前記現像極の下流側に隣り合う磁極による前記現像スリーブ表面に対する法線方向の磁束密度は60mT〜100mTの範囲のものであり、該現像極の下流側に隣り合う該磁極と該現像極とは磁極中心間の中心角度間隔が15度〜45度の範囲内にある請求項1から6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像剤のキャリア粒子は、粒径が20μm〜40μmの範囲のものであり、磁力が20emu/g〜80emu/gの範囲のものである請求項1から7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
前記現像剤における前記磁性キャリア粒子は球形のキャリア粒子であり、前記トナーは球状トナーである請求項1から8のいずれかに記載の現像装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の現像装置を含んでおり、回転駆動される静電潜像担持体上に形成される静電潜像を該現像装置により現像してトナー像を形成できることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記静電潜像担持体上の静電潜像を現像する現像領域において、該静電潜像担持体表面の移動方向は前記現像装置の現像スリーブ表面の移動方向とは逆方向である請求項10記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記静電潜像担持体の周速度と前記現像装置の現像スリーブの周速度との差は1.0〜2.2の範囲にある請求項10又は11記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記静電潜像担持体はドラム型感光体であり、該感光体の外径は20mm〜60mmであり、前記現像装置の現像スーリブの外径は10mm〜30mmである請求項10、11又は12記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−300907(P2009−300907A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157539(P2008−157539)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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