説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】軸受部材90の外側面90A・90B・90C・90Dの向きを、凹部95の底面95Aに対して変更することで、現像ロール74と感光体62との間隔を調整できるようにする。
【解決手段】軸受部材90の4つの外側面90A・90B・90C・90Dは、現像ロール74の回転軸の中心までの距離dA・dB・dC・dDが異なっている。これにより、凹部95の底面95Aに接触する外側面90A・90B・90C・90Dを変更することで、感光体62と現像ロール74との間隔を調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される画像形成装置は、特許文献1の図4に示すように、複写機装置本体10の筐体70に対して引き出し体60を出し入れ自在に設け、その引き出し体に、像担持体12や、現像ローラ(剤担持体)22で現像剤を付着して該像担持体上の潜像を現像する現像装置14などを備える。そして、装置本体に引き出し体を押し込んだとき、装置本体で支持するドラム軸(像担持体支持軸)76をはめ付けて、像担持体を回転自在に支持する。また、装置本体と引き出し体との間にスペーサ82を挟んで、像担持体と現像ローラとの現像ギャップGpを調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−311710号公報(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡単な作業で、支持部材に対する現像ロールの回転軸の位置を変更できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、現像ロールと、前記現像ロールを回転可能に支持し、前記現像ロールの回転軸の中心からの距離が異なる複数の外側面を有する軸受部材と、前記複数の外側面のいずれか1つを基準面に接触させた位置決め状態において前記軸受部材を支持し、前記基準面に接触する前記外側面を変更可能とする支持部材と、を備える現像装置である。
【0006】
請求項2の発明は、装置本体に支持された感光体と、前記基準面が前記感光体側を向き、前記装置本体に前記感光体とは独立して支持された請求項1に記載の現像装置と、を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1の構成によれば、現像ロールの回転軸の中心からの距離が異なる外側面の向きを基準面に対して変更できない構成に比べて、簡単な作業で支持部材に対する現像ロールの回転軸の位置を変更できる。
【0008】
本発明の請求項2の構成によれば、現像ロールの回転軸の中心からの距離が異なる外側面の向きを基準面に対して変更できない構成に比べて、簡単な作業で感光体に対する現像ロールの回転軸の位置を変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る感光体周辺の構成を示す概略図である。
【図3】本実施形態に係る現像装置の構成を示す斜視図である。
【図4】本実施形態に係る現像装置の軸受部材及び支持部材を示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係る現像装置の現像器の構成を示す斜視図である。
【図6】本実施形態に係る現像装置の軸受部材及び支持部材を示す正面図である。
【図7】本実施形態に係る軸受部材の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(本実施形態に係る画像形成装置の構成)
まず、本実施形態に係る画像形成装置の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0011】
画像形成装置10は、記録媒体の一例としての記録用紙Pが収容される用紙収容部12と、用紙収容部12の上に設けられ用紙収容部12から供給される記録用紙Pに画像形成を行う画像形成部14と、画像形成部14の上に設けられ読取原稿Gを読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。なお、以後の説明では、画像形成装置10の装置本体10Aの上下方向を矢印V方向、水平方向を矢印H方向と記載する。
【0012】
用紙収容部12は、サイズの異なる記録用紙Pが収容される第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26が設けられている。第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26には、収容された記録用紙Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路28に送り出す送り出しロール32が設けられている。搬送路28における送り出しロール32よりも下流側には、記録用紙Pを一枚ずつ搬送するそれぞれ一対の搬送ロール34及び搬送ロール36が設けられている。また、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で搬送ロール36よりも下流側には、記録用紙Pを一端停止させるとともに、決められたタイミングで後述する二次転写位置へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
【0013】
搬送路28の上流側部分は、画像形成装置10の正面視において、矢印V方向に向けて用紙収容部12の左側から画像形成部14の左側下部まで直線状に設けられている。また、搬送路28の下流側部分は、画像形成部14の左側下部から画像形成部14の右側面に設けられた排紙部15まで設けられている。さらに、搬送路28には、記録用紙Pの両面に画像形成を行うために記録用紙Pが搬送及び反転される両面搬送路29が接続されている。
【0014】
両面搬送路29は、画像形成装置10の正面視において、搬送路28と両面搬送路29の切り替えが行われる第1切替部材31と、画像形成部14の右側下部から用紙収容部12の右側まで矢印V方向に直線状に設けられた反転部33と、反転部33に搬送された記録用紙Pの後端が進入するとともに矢印H方向に搬送される搬送部37と、反転部33と搬送部37の切り替えが行われる第2切替部材35と、を有している。そして、反転部33には一対の搬送ロール42が間隔をあけて複数箇所に設けられており、搬送部37には一対の搬送ロール44が間隔をあけて複数箇所に設けられている。
【0015】
第1切替部材31は三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が搬送路28又は両面搬送路29のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。同様に、第2切替部材35は三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が反転部33又は搬送部37のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。なお、搬送部37の下流側端部は、搬送路28の上流側部分にある搬送ロール36の手前側に図示しない案内部材により接続されている。また、画像形成部14の左側面には、折り畳み式の手差給紙部46が設けられており、手差給紙部46から搬送路28の位置合せロール38へ記録用紙Pを搬送可能とされている。
【0016】
原稿読取部16は、読取原稿Gを1枚ずつ搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され読取原稿Gが載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿G又はプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取る原稿読取装置56とが設けられている。原稿搬送装置52は、一対の搬送ロール53が複数配置された搬送路55を有しており、搬送路55の一部は記録用紙Pがプラテンガラス54上を通るように配置されている。また、原稿読取装置56は、プラテンガラス54の左端部に静止した状態で原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿Gを読み取り、又は矢印H方向に移動しながらプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取るようになっている。
【0017】
一方、画像形成部14には、装置本体10Aの中央部に円筒状の感光体62が設けられている。感光体62は、図示しない駆動手段によって矢印+R方向(図1における時計回り方向)に回転すると共に光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。また、感光体62の上方で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、感光体62の表面を帯電するコロトロン方式の帯電装置64が設けられている。
【0018】
感光体62の回転方向における帯電装置64よりも下流側で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、露光装置66が設けられている。露光装置66は、帯電装置64により帯電した感光体62の外周面に各トナー色に対応した画像信号に基づき、光を照射(露光)して静電潜像を形成するようになっている。
【0019】
感光体62の回転方向で露光装置66の露光光が照射される部位よりも下流側には、感光体62の外周面に形成された静電潜像を決められた色のトナーで現像して可視化させる回転切り替え式の現像装置70が設けられている。なお、現像装置70の具体的な構成については後述する。
【0020】
感光体62の回転方向で現像装置70よりも下流側であり且つ感光体62の下側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像が転写される中間転写ベルト68が設けられている。中間転写ベルト68は、無端状であり、制御部20により回転駆動される駆動ロール61、中間転写ベルト68に張力を付与するための張力付与ロール63、中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する複数の搬送ロール65、及び後述する二次転写位置において中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する補助ロール69に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト68は、駆動ロール61が回転することにより、矢印−R方向(図2における反時計回り方向)に周回移動するようになっている。
【0021】
また、中間転写ベルト68を挟んで感光体62の反対側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写させる一次転写ロール67が設けられている。一次転写ロール67は、感光体62と中間転写ベルト68とが接触する位置から中間転写ベルト68の移動方向下流側に離れた位置で、中間転写ベルト68の裏面に接触している。そして、一次転写ロール67は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている感光体62との電位差で感光体62のトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写するようになっている。
【0022】
さらに、中間転写ベルト68を挟んで補助ロール69の反対側には、中間転写ベルト68上に一次転写されたトナー画像を記録用紙Pに二次転写させる転写手段の一例としての二次転写ロール71が設けられており、二次転写ロール71と補助ロール69との間が記録用紙Pへトナー画像を転写する二次転写位置とされている。二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面に接触している。そして、二次転写ロール71は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている補助ロール69との電位差で中間転写ベルト68のトナー画像を記録用紙Pに二次転写するようになっている。
【0023】
また、中間転写ベルト68を挟んで駆動ロール61の反対側には、中間転写ベルト68の二次転写後の残留トナーを回収する現像剤回収装置の一例としてのクリーニング装置100が設けられている。クリーニング装置100では、クリーニングブレード106が中間転写ベルト68に接触してトナーを掻き取るようになっている。このクリーニング装置100のクリーニングブレード106及び二次転写ロール71は、各色のトナー画像が中間転写ベルト68に多重(一次)転写され且つ記録用紙P上に二次転写されるまで、中間転写ベルト68の外周面から離れるようになっている。
【0024】
さらに、中間転写ベルト68の周囲で張力付与ロール63と対向する位置には、中間転写ベルト68の表面に付されたマーク(図示省略)を検知することで中間転写ベルト68上の予め定めた基準位置を検出し、画像形成処理の開始タイミングの基準となる位置検出信号を出力する位置検出センサ83が設けられている。
【0025】
感光体62の回転方向で一次転写ロール67よりも下流側には、中間転写ベルト68に一次転写されずに感光体62の表面に残留した残留トナー等を清掃するクリーニング装置73が設けられている。クリーニング装置73は、感光体62表面に接触するクリーニングブレード及びブラシロールにより残留トナー等を回収する構成となっている。また、感光体62の回転方向でクリーニング装置73の上流側(一次転写ロール67よりも下流側)には、感光体62の外周面に光を照射して除電を行う除電装置75が設けられている。除電装置75は、クリーニング装置73による残留トナー等の回収前に感光体62の外周面に光を照射して除電することで静電気による付着力を低減し、残留トナー等の回収率を高めるためのものである。なお、クリーニング装置73の下流側で且つ帯電装置64の上流側に、残留トナー等の回収後の除電手段を設けてもよい。
【0026】
図1に示すように、二次転写ロール71によるトナー画像の二次転写位置は、前述の搬送路28の途中に設定されており、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向(矢印Aで図示)で二次転写ロール71よりも下流側には、二次転写ロール71によってトナー画像が転写された記録用紙Pにトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。定着装置80は、記録用紙Pのトナー画像面側(上側)に配置され、通電により発熱する熱源を有する加熱ロール82と、加熱ロール82の下側に配置され記録用紙Pを加熱ロール82の外周面に向けて加圧する加圧ロール84とで構成されている。なお、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で定着装置80よりも下流側には、排紙部15又は反転部33へ向けて記録用紙Pを搬送する搬送ロール39が設けられている。
【0027】
一方、原稿読取装置56の下側で現像装置70よりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナーを収容するトナーカートリッジ78Y、78M、78C、78K、78E、78Fが水平方向に並んで交換可能に設けられている。
【0028】
なお、第1特別色E及び第2特別色Fは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択され、または、選択されないようになっている。そして、現像装置70では、第1特別色E及び第2特別色Fが選択された場合はY、M、C、K、E、Fの6色での画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fが選択されない場合はY、M、C、Kの4色での画像形成を行うようになっている。
【0029】
なお、画像形成装置10には、装置本体10Aに対して開閉される開閉部10Bが、画像形成部14の右側面に設けられている。
【0030】
(現像装置70の具体的な構成)
次に、現像装置70の具体的な構成について説明する。
【0031】
現像装置70は、図2及び図3に示すように、装置本体10A(図1参照)に対して回転可能に支持された回転体86を備えている。回転体86は、その回転軸方向に沿って延びる回転軸部材86Aと、回転軸部材86Aの軸方向両端部にそれぞれ設けられ回転軸部材86Aの半径方向外側へ鍔状に張り出した鍔状部材86Bと、を備えて構成されている。
【0032】
2つの鍔状部材86Bの間の空間には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナー色にそれぞれ対応する現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが、回転軸部材86Aの周方向に(図2における反時計回り方向にこの順番で)並んで配置されている。なお、図3では、現像器72Yのみを図示し、現像器72M、72C、72K、72E、72Fの図示を省略している。
【0033】
現像装置70では、図2に示すように、回転手段としてのモータ(図示省略)によって回転体86が中心角で60°ずつ矢印+R方向に回転することで、現像処理を行う現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが切り替えられ、感光体62の外周面と対向するようになっている。なお、現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fは同様の構成となっているため、ここでは現像器72Yについて説明し、他の現像器72M、72C、72K、72E、72Fについては説明を省略する。
【0034】
現像器72Yは、本体となるケース部材76を有しており、ケース部材76内にトナーカートリッジ78Y(図1参照)からトナー供給路(図示省略)を経由して供給されるトナー及びキャリアから成る現像剤(図示省略)が充填されている。また、ケース部材76には、感光体62の外周面と対向して矩形状の開口部76Aが形成されており、開口部76Aには、外周面が感光体62の外周面と対向する現像ロール74が設けられている。現像ロール74は、ケース部材76に回転可能に支持されている。さらに、ケース部材76内で開口部76Aに近い部位には、現像ロール74により搬送される現像剤の層厚を規制するための板状の規制部材79が、開口部76Aの長手方向に沿って設けられている。
【0035】
現像ロール74は、回転可能に設けられた円筒状の現像スリーブ74Aと、現像スリーブ74Aの内側に固定された複数の磁極から成る磁性部材74Bと、で構成されている。現像ロール74では、現像スリーブ74Aが回転することで現像剤(キャリア)の磁気ブラシが形成されると共に、規制部材79で層厚が規制されることで、現像スリーブ74Aの外周面に現像剤層を形成するようになっている。そして、現像スリーブ74Aの外周面の現像剤層は、感光体62に対向する位置に搬送され、感光体62の外周面に形成された潜像(静電潜像)に応じたトナーを付着させて現像を行う。
【0036】
また、ケース部材76内には、螺旋状に形成された搬送ローラ77が2本回転可能に並列配置されており、この2本の搬送ローラ77が回転することで、ケース部材76内に充填された現像剤が、現像ロール74の軸方向(現像器72Yの長手方向)に循環搬送されるようになっている。なお、各現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fに設けられた6本の現像ロール74は、隣の現像ロール74との間隔が中心角60°となるように周方向に配置されており、現像器72の切り替えにより、次の現像ロール74が感光体62の外周面と対向するようになっている。
【0037】
現像器72Yでは、ケース部材76及び現像ロール74を含めて構成部品が一体的に構成されており、現像ロール74は、ケース部材76を含めた構成部品に対して変位しない構成とされている。
【0038】
現像装置70は、図3及び図4に示すように、各現像ロール74を回転可能に支持する軸受部材90と、鍔状部材86Bに設けられ各軸受部材90を支持する支持部材92と、を備えている。各軸受部材90は、図5に示すように、各現像ロール74の軸方向両端部にそれぞれ配置されており、一対で構成されている。
【0039】
各軸受部材90は、図6に示すように、正面視にて、(現像ロール74の軸方向一端側から見て)4辺形状に形成されており、4つの外側面(外面)90A・90B・90C・90Dで囲まれた形状をしている。対向する外側面90Aと外側面90Dとの距離は、対向する外側面90Bと外側面90Cとの距離と等しくされており、具体的には、各軸受部材90は、正面視にて正方形状をしている。この4つの外側面90A・90B・90C・90Dは、現像ロール74の回転軸の中心までの距離dA・dB・dC・dDが異なっている。具体的には、距離dA・dB・dC・dDは、この順で、例えば、50μm刻みに大きくなっていくように距離が設定されている。なお、現像位置に位置する現像ロール74の外周面と感光体62の外周面との間隔は、初期設定値(適正値)が、例えば、400μmとされている。
【0040】
また、各軸受部材90には、外側面90A・90B・90C・90Dがどの方向を向いているかがわかるようにするための目印97が設けられている。目印97は、正面視にて(現像ロール74の軸方向外側から見て)視認される位置に配置されており、例えば、外側面90A・90B・90C・90Dのいずれかの近傍に形成された切欠部や凸部等で構成されている。
【0041】
支持部材92は、図3に示すように、回転軸部材86Aの軸方向両端部にある鍔状部材86Bのそれぞれに設けられており、各鍔状部材86Bの軸方向外側に支持されている。各支持部材92は、図4に示すように、板状(扁平状)であって、図6に示すように、正面視にて略おうぎ状に形成されている。
【0042】
各支持部材92は、その外周側(図6における矢印C方向)であって、周方向の一端側(図6における矢印E方向)に配置された揺動軸(回転軸)94によって、各鍔状部材86Bに対して揺動可能(回転可能)に支持されている。これにより、各支持部材92の周方向他端部(図6における矢印F方向端部)が、回転軸部材86A側(図6における矢印I方向)及びその反対側(図6における矢印G方向)へ揺動可能とされている。
【0043】
各支持部材92の周方向他端部には、図4に示すように、弾性部材の一例としての引っ張りコイルバネ91の一端部が取り付けられている。引っ張りコイルバネ91の他端部は、各鍔状部材86Bに取り付けられており、各支持部材92には、図6における矢印G方向へ移動させる弾性力が作用している。
【0044】
各鍔状部材86Bには、図6における矢印I方向へ移動可能にする調整ネジ93が設けられている。各調整ネジ93の先端部が各支持部材92に当っており、各調整ネジ93をねじ込むことにより、各支持部材92が図6における矢印I方向へ移動するようになっている。これにより、各鍔状部材86B(回転体86)に対する各支持部材92の位置が変更可能とされている。従って、各軸受部材90を介して各支持部材92に支持される各現像ロール74の位置を、感光体62に対して変更可能となる。
【0045】
また、各支持部材92には、各鍔状部材86B(回転体86)に対して各支持部材92を固定するための固定部材としての2つのネジ99が設けられている。各鍔状部材86B(回転体86)に対する各支持部材92の位置を調整した後に、各支持部材92を回転体86に対してネジ99でネジ止めして各支持部材92が固定される。
【0046】
各支持部材92の外周側であって、かつ、周方向中央部には、各軸受部材90が各支持部材92に対して外周側から差し込まれる凹部95が形成されている。各凹部95は、各支持部材92の外周よりも内周側へ一段凹んだ位置に形成された外周側を向く底面95Aと、周方向の一方(図6における矢印E方向)を向く側面95Bと、周方向の他方(図6における矢印F方向)を向く側面95Cと、を備えて構成されている。
【0047】
底面95Aは、軸受部材90の外側面に接触して軸受部材90を位置決めする基準面とされている。底面95Aは、その底面95Aが形成された現像器72が現像位置に位置する場合において、正面視にて、感光体62側を向く対向面でもある。具体的には、底面95Aは、感光体62の回転軸中心を向いている。従って、底面95Aから現像ロール74の回転軸の中心までの距離が変化することにより、現像ロール74の外周面と感光体62の外周面との間隔が変化することになる。なお、凹部95に差し込まれた軸受部材90の外側面90A・90B・90C・90Dと、側面95B・95Cとの間には、微小な隙間が形成されていても良い。すなわち、軸受部材90は、側面95Bと側面95Cとの間において、感光体62の外周面上を通る接線方向に移動しても良い。
【0048】
各支持部材92には、凹部95の側面95Cの図6おける上側に、凹部95に差し込まれた軸受部材90を保持する保持部材96が、回転軸96Aによって回転可能に支持されている。保持部材96の自由端部側には、保持部材96を支持部材92にネジ止めするネジ96Bが設けられている。
【0049】
保持部材96は、具体的には、底面95Aとの間に軸受部材90を挟んで軸受部材90を保持する保持位置と(図4において実線で示す位置)、凹部95の外周側を開放して軸受部材90を取り外し可能にする非保持位置(図4において二点鎖線で示す位置)と、の間を回転可能とされている。これにより、保持部材96を非保持位置に回転させて、軸受部材90を凹部95から抜き取り、再び軸受部材90を凹部95に差し込み、保持部材96を保持位置に回転させることで、軸受部材90が支持部材92に対して着脱される。
【0050】
軸受部材90は、凹部95から抜き取られた際に、現像ロール74の回転軸に対して90°刻みで回転させることで、凹部95に接触する軸受部材90の外側面90A・90B・90C・90Dを変更することが可能とされている。
【0051】
なお、現像ロール74では、回転体86が、装置本体10A(図1参照)に対して着脱不能とされており、装置本体10A(図1参照)に設けられた開閉部10Bを開くことにより、現像装置70の外周面の一部にアクセスできるようになっている。なお、開閉部10Bは、装置本体10A(図1参照)の右側面に設けられているので、装置本体10Aの正面側及び後面側に開閉部がある構成と異なり、現像ロール74の軸方向両側の軸受部材90にアクセスが可能とされている。
【0052】
また、本実施形態では、現像ロール74及びその他の現像器72Yの構成部品(例えば、ケース部材76)には、現像ロール74と感光体62との間隔を規定するために感光体62の外周面に接触する接触部材(以下、間隔規定用の接触部材という)が、設けられていない。また、感光体62及び現像装置70は、独立して装置本体10A(図1参照)に設けられており、それぞれが装置本体10Aに対して位置決めされることで、感光体62と現像ロール74との間隔が規定されるようになっている。
従って、本実施形態では、感光体62と現像ロール74との間隔を直接的に規定する構成ではなく、現像ロール74は、装置本体10Aを介して、感光体62との間隔が間接的に規定される構成となっており、感光体62と現像ロール74との間隔を直接的に規定する構成に比べて、感光体62と現像ロール74との間隔に変動が生じる可能性が高い構成とされている。このため、感光体62と現像ロール74との間隔に変動が生じた場合において、現像ロール74の感光体62に対する後述の位置調整作業が可能なように、本実施形態では、軸受部材90が、現像ロール74の回転軸の中心からの距離が異なる複数の外側面90A・90B・90C・90Dを有している。
【0053】
なお、本実施形態は、装置本体10Aを介して、感光体62と現像ロール74とが位置決めされる構成であるが、例えば、間隔規定用の接触部材が、現像ロール74に対して変位可能な変位部材(例えば、回転体86や支持部材92)に対して設けられて、その変位部材を介して現像ロール74と感光体62との間隔が間接的に規定される構成であってもよい。
また、本実施形態では、軸受部材90を支持する凹部95及び保持部材96が、支持部材92に対して設けられていたが、凹部95及び保持部材96が現像器72Yのケース部材76に対して設けられる構成であっても良い。この構成では、現像ロール74は、ケース部材76に対して変位可能となるので、間隔規定用の接触部材をケース部材76に対して設けて、ケース部材76を介して現像ロール74と感光体62との間隔を間接的に規定する構成としてもよい。
【0054】
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、画像形成装置10における画像形成工程について説明する。
【0055】
図1に示すように、画像形成装置10が作動すると、画像処理装置(図示省略)又は外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各色の画像データが露光装置66に順次出力される。このとき、一例として、現像装置70は、現像器72Y(図2参照)が感光体62の外周面と対向するように回転し保持されている。
【0056】
続いて、露光装置66から画像データに応じて出射された光は、帯電装置64により帯電された感光体62の外周面(表面)を露光し、感光体62の表面にはイエローの画像データに対応した静電潜像が形成される。さらに、感光体62の表面に形成された静電潜像は、現像器72Yによってイエローのトナー画像として現像される。そして、感光体62の表面のイエローのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68に転写される。
【0057】
続いて、図1に示すように、現像装置70が矢印+R方向に60°回転され、現像器72Mが感光体62の表面と対向する。そして、帯電、露光、現像の各工程が行われ、感光体62の表面のマゼンタのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68のイエローのトナー画像上に転写される。同様にして、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、及び第2特別色(F)のトナー画像が中間転写ベルト68上に順次多重転写される。
【0058】
一方、用紙収容部12から送り出され、搬送路28を搬送されてきた記録用紙Pは、位置合せロール38により、中間転写ベルト68への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写位置に搬送される。そして、中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置に搬送されてきた記録用紙P上に二次転写ロール71によって二次転写される。
【0059】
続いて、トナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置80に向けて矢印A方向(図示の右方向)に搬送される。そして、定着装置80では、トナー画像が加熱ロール82及び加圧ロール84によって加熱、加圧されることで記録用紙Pに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録用紙Pは、一例として、排紙部15に排出される。なお、記録用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置80で表面に画像定着を行った後、記録用紙Pは、反転部33に送り込まれて反転し、二次転写位置に搬送される。そして、この記録用紙Pの裏面に対して、画像形成及び定着が行われる。
【0060】
次に、現像ロール74の感光体62に対する位置を調整する位置調整作業について説明する。
【0061】
この位置調整作業は、例えば、市場に出荷された後のユーザー先でなされる調整作業に用いられる。市場に出荷される前の画像形成装置10の製造段階では、各調整ネジ93によって回転体86に対する各支持部材92の位置調整をして、支持部材92がネジ99で回転体86に対して固定されている。これにより、現像ロール74と感光体62との間隔が、予め調整されている。
【0062】
また、以下に説明する位置調整作業は、例えば、市場に出荷された後の環境変動などで、現像ロール74と感光体62との間隔がその軸方向において変動したことによって、記録用紙Pの幅方向(感光体62の軸方向に沿った方向)において画像の濃度ムラが生じていることが確認された場合に行われる。
【0063】
また、ここでは、現像ロール74の両端部において、軸受部材90の外側面90Bが凹部95の底面95Aに接触している位置が初期設定位置とされ、現像ロール74の軸方向一端部において、感光体62から100μm近づける作業について説明する。
【0064】
この位置調整作業では、まず、作業者は、開閉部10Bを装置本体10Aに対して開く。開閉部10B側に配置された作業対象の現像ロール74の軸受部材90を支持する支持部材92において、保持部材96を固定するネジ96Bを取り外す。
【0065】
なお、回転体86は回転自在である状態となっており、位置調整作業の対象となる現像ロール74が開閉部10B側にない場合には、作業者が、回転体86を手動で回転することで、位置調整作業の対象となる現像ロール74を開閉部10B側に位置させるようになっている。また、作業者が、開閉部10Bの開放に先立って、操作部(操作パネル)で操作することで、画像形成装置10が回転体86を回転させて、作業対象の現像ロール74を開閉部10B側に位置させる構成であっても良い。
【0066】
次に、保持部材96を非保持位置に回転し、軸受部材90を凹部95から抜き取る。軸受部材90を現像ロール74の回転軸に対して回転させて、軸受部材90の外側面90A・90B・90C・90Dの向きを変える。軸受部材90を凹部95に差し込み、保持部材96をネジ96Bで再び固定する。
【0067】
これにより、凹部95の底面95Aに接触する外側面90A・90B・90C・90Dが変更される。この例では、現像ロール74の感光体62から近づける側の一端部において、底面95Aに接触する外側面を外側面90Bから外側面90Dに変更する。外側面90Dの距離dDは、外側面90Bの距離dBよりも100μm長いので、上記の変更により、現像ロール74の感光体62から近づける側の一端部において、感光体62側へ100μm近づく。
【0068】
なお、感光体62から近づける側の一端部において、底面95Aに接触する外側面を外側面90Bから外側面90Cに変更し、反対側の端部において、底面95Aに接触する外側面を外側面90Bから外側面90Aに変更してもよい。外側面90Cの距離dCは、外側面90Bの距離dBよりも50μm長く、外側面90Aの距離dAは外側面90Bの距離dBよりも50μm短いので、上記の変更により、現像ロール74の感光体62から近づける側の一端部において、感光体62側へ100μm近づく。
【0069】
以上のように、現像ロール74の軸方向一端部において、感光体62に対する現像ロール74の回転軸の位置が変更され、現像ロール74と感光体62との間隔がその軸方向において均一化される。
【0070】
なお、上記の例では、現像ロール74の軸方向一端部において、現像ロール74と感光体62との間隔を調整していたが、現像ロール74の軸方向一端部において、現像ロール74と感光体62との間隔を調整してもよい。
【0071】
また、本実施形態では、軸受部材90は、正面視にて4辺形状とされていたが、3辺形状であっても良く(図7(A)参照)、5以上の辺で構成された形状であっても良い(図7(B)参照)。
【0072】
また、軸受部材90は、正面視にて、直線状の辺で囲まれていたが、直線(平面)と曲線(曲面)とを含んでいても良い。この場合は、平面から現像ロールの回転軸の中心からの距離が異なり、凹部95の底面95Aに接触する平面を変更する構成とされる。さらに、軸受部材90は、現像ロール74の回転軸の中心からの距離が徐々に変化する曲面を有するカムで構成されていてもよい。
【0073】
本実施形態では、支持部材92は、回転体86に対して位置調整可能な構成とされていたが、位置調整ができない構成であっても良く、回転体86と一体とされた構成であっても良い。
【0074】
また、本実施形態では、一例として、Y、M、C、K、E、Fの6色で画像形成を行う場合について説明したが、Y、M、C、Kの4色で画像形成を行ってもよいし、Y、M、C、Kの4色と第1特別色E又は第2特別色Fを用いて5色で画像形成を行ってもよい。
【0075】
また、本実施形態では、現像装置70は、60°分割で6色の現像器を有する構成であったが、例えば、90°分割で4色の現像器を有する現像装置であっても設けてもよい。
【0076】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、複数を組み合わせて構成しても良い。
【符号の説明】
【0077】
10 画像形成装置
10A 装置本体
62 感光体
70 現像装置
74 現像ロール
90A・90B・90C・90D 外側面
90 軸受部材
92 支持部材
95A 底面(基準面の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像ロールと、
前記現像ロールを回転可能に支持し、前記現像ロールの回転軸の中心からの距離が異なる複数の外側面を有する軸受部材と、
前記複数の外側面のいずれか1つを基準面に接触させた位置決め状態において前記軸受部材を支持し、前記基準面に接触する前記外側面を変更可能とする支持部材と、
を備える現像装置。
【請求項2】
装置本体に支持された感光体と、
前記基準面が前記感光体側を向き、前記装置本体に前記感光体とは独立して支持された請求項1に記載の現像装置と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−8470(P2012−8470A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146426(P2010−146426)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】