説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】複数の現像ロールを備える現像装置を用いる際に、感光体と現像ロールとの間の空隙のばらつきを抑制する技術を提供する。
【解決手段】バネ59の弾性力によって現像装置175に対して矢印A2方向に力が加わることによって、突当部56が突当部58に押し当てられて接触する。この状態において、バネ59の弾性力によって現像装置175に対して更に矢印A2に方向に力が加わることによって、現像装置175は、突当部56と突当部58の接触位置P1を回転中心として矢印A3方向に回転し、この回転によって突当部57が突当部58に押し当てられて接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式で画像形成処理を行う画像形成装置において、複数の現像ロールを備えた現像装置を用いる技術が提案されている。このような複数の現像ロールを用いた装置においては、感光体と各現像ロールとの間の離間部材の浮きが生じることによって感光体と各現像ロールとの間のギャップ(空隙)にばらつきが生じ、このばらつきによって画質の劣化等の不具合が発生する場合がある。これを回避するために、特許文献1には、2つの現像ロールを備えた現像装置において、一方の現像ロールが他方の現像ロールを回転中心として振り子式に支持されており、2つの現像ロールをそれぞれ独立して加圧バネによって感光体に近接させることによって、感光体と現像ロールとの離間部材の浮きを防止する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−351211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数の現像ロールを備える現像装置を用いる際に、像保持体と現像ロールとの間の空隙のばらつきを抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る現像装置は、現像装置の外形をなす筐体と、円筒状の像保持体表面の回転方向に沿って前記筐体に各々回転可能に設けられ、前記像保持体表面に形成された静電潜像を現像する第1の現像ロールおよび第2の現像ロールと、前記筐体の前記第1の現像ロールの軸方向両端に設けられ、前記像保持体の軸方向両端に設けられた第3の突当部に突き当てられる第1の突当部と、前記筐体の前記第2の現像ロールの軸方向両端に設けられ、前記像保持体の軸方向両端に設けられた第4の突当部に突き当てられる第2の突当部と、前記第3の突当部に前記第1の突当部が突き当てられた後、当該第3の突当部と当該第1の突当部との接触位置を回転中心として前記筐体が回転する方向の力を加えて、前記第4の突当部に前記第2の突当部を押し当てる押当手段と、を具備することを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る現像装置は、上記現像装置において、前記押当手段は、前記第3の突当部と前記第1の突当部とが接触したときに弾性力により前記筐体を押す部材であることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る現像装置は、上記現像装置において、前記押当手段による力の方向は、前記第3の突当部と前記第1の突当部との接触位置から見て、前記第4の突当部と前記第2の突当部との接触位置側に傾いた方向となることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、上記現像装置と、前記現像装置によって供給される現像剤を用いて記録媒体に画像を形成する前記像保持体とを有する画像形成手段を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1及び4に記載の発明によれば、第3の突当部と第1の突当部との接触位置を回転中心として前記筐体が回転する方向の力を加える押当手段を有しない場合に比べて、像保持体と各現像ロールとの空隙のばらつきが抑制される。
請求項2に記載の発明によれば、上記押当部材が弾性力により筐体を押す部材でない場合に比べて装置の構成が簡易になる。
請求項3に記載の発明によれば、押当手段による力の方向が第4の突当部と第2の突当部との接触位置側に傾いた方向でない場合に比べて、像保持体と各現像ロールとの空隙のばらつきが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】画像形成部の構成の一例を示す図である。
【図3A】現像装置、感光体および支持機構の構成を示す図である。
【図3B】現像装置と感光体および支持機構の一部の概略を示す図である。
【図4】図3A中の矢視IV-IV方向から見た断面図である。
【図5】支持機構による動作を示す図である。
【図6】変形例(1)による現像装置、感光体および支持機構の構成を示す図である。
【図7】変形例(2)による現像装置、感光体および支持機構の構成を示す図である。
【図8】変形例(5)による現像装置、感光体および支持機構の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<構成>
図1は、この発明の一実施形態である画像形成装置1の構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置1は、電子写真方式で画像形成を行う装置であり、本発明に係る画像形成装置の一例に相当する。画像形成装置1は、パーソナルコンピュータなどの他のコンピュータ装置から送られたデータに従って、用紙等の記録媒体に画像を形成する画像形成機能、画像を複写する複写機能、記録媒体に形成されている画像を読み取るスキャン機能等を備えている。
画像形成装置1が備える機能はこれらの機能に限定されるものではなく、例えばファクシミリ機能を備えていてもよい。また、画像形成装置1は、上述した機能を全て備えているものに限定されず、例えば、画像形成機能及び複写機能を備えており、他の機能を備えていない構成であってもよい。また、画像形成装置1によって画像が形成される記録媒体は紙に限定されるものではなく、例えばOHP(Over-Head Projector)用のシートなどの透明な合成樹脂のシートであってもよく、また、その他の材質のものであってもよい。
【0011】
図示のように、画像形成装置1の各部はバス11に接続され、バス11を介して各部間でデータのやり取りが行われる。図において、制御部12は、CPU(Central Processing Unit)121や、ROM(Read Only Memory)122、RAM(Random Access Memory)123を備え、ROM122又は記憶部13に格納されたコンピュータプログラムにしたがって画像形成装置1の制御を行う。記憶部13は、ハードディスク等の記憶手段であり、画像形成装置1の制御に関するプログラムなどの各種プログラムが格納されている。UI部14は、タッチパネルとして機能する液晶ディスプレイを備えており、画像形成装置1の利用者はこの液晶ディスプレイに触れることで各種の操作を行う。通信部18は、通信ケーブルで通信回線2に接続され、通信回線2に接続されている他の装置とデータ通信を行う。通信回線2としては、電話回線やLAN(Local Area Network)等が挙げられる。
【0012】
画像読取部15は、光学系部材(図示略)を備えており、記録媒体に形成された画像を光学的に読み取り、読み取った画像を表す画像データを生成する。画像処理部16は、入力される画像データが表す画像に色補正や階調補正等の各種の画像処理を施し、画像処理が施された画像からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色の画像の画像データを生成し、生成した画像データを画像形成部17へ出力する。画像処理部16は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路によって構成される。
【0013】
画像形成部17は、電子写真方式によって記録媒体に画像を形成する。画像形成部17は、本発明に係る画像形成手段の一例に相当する。図2は、画像形成部17の構成の一例を示す図である。図において、筒状の感光体171Y,171M,171C,171Kは、それぞれ表面に有機感材等の光導電層が形成された感光体である。帯電器172Y,172M,172C,172Kは、それぞれ感光体171Y,171M,171C,171Kの表面にAC(交流)とDC(直流)を重畳した帯電バイアスで電荷を与え、これを一様に帯電させる帯電器である。露光器173は、レーザダイオード等のビーム発光源を備えた露光器である。露光器173は、画像処理部16から供給される画像データに従って、感光体171Y,171M,171C,171Kをそれぞれ露光して、感光体171Y,171M,171C,171Kの表面に静電潜像を形成する。
感光体171Y,171M,171C,171Kは、本発明に係る像保持体の一例に相当するものである。
【0014】
トナーカートリッジ174Y,174M,174C,174Kはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の現像剤を収容し、これを必要に応じて現像装置175Y,175M,175C,175Kのそれぞれに供給する。画像形成装置1で使用する現像剤は、最終的に用紙に付着されるトナー(着色粒子)とトナーを帯電させるためのキャリアである粉体とからなる、いわゆる2成分系の現像剤である。現像装置175Y,175M,175C,175Kは、それぞれ感光体171Y,171M,171C,171Kの表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を作像する。一次転写ロール176Y,176M,176C,176Kは、それぞれ中間転写ベルト177を介して感光体171Y,171M,171C,171Kと対向し、この対向する位置においてトナー像を中間転写ベルト177に転写する。中間転写ベルト177は、一次転写ロール176Y、176M、176C、176Kのそれぞれによって転写されたトナー像を保持する。中間転写ベルト177は、複数の支持ロール178により支持されて図中の矢印A1が示す方向に周回しながら移動する。二次転写ロール179は、中間転写ベルト177に転写されたトナー像を、搬送されてくる記録媒体に転写する。
なお、以下の説明では、説明の便宜上、感光体171Y,171M,171C,171Kを各々区別する必要がない場合には、これらを「感光体171」と称する。また、現像装置175Y,175M,175C,175Kを各々区別する必要がない場合には、これらを「現像装置175」と称する。
【0015】
本実施形態における画像形成装置1では、当該画像形成装置1に対して現像装置175が交換可能となっている。つまり、現像装置175は、画像形成装置1の筐体に形成された扉(図示略)を開いて現像装置175の支持を解除して当該現像装置175の長手方向に引き抜かれる。一方、現像装置175を装着する際には、現像装置175が抜かれた空間に現像装置175を挿入し、扉を閉めることで、後述する支持機構が動作して現像装置175が画像形成装置1に装着される。
【0016】
搬送ロール180は、二次転写ロール179に記録媒体を搬送する。搬送ロール180は、記録媒体を収容する収容部(図示略)に収容された記録媒体を搬送したり、利用者によって差し込まれた記録媒体を搬送したりする。定着装置181は、二次転写ロール179によりトナー像が転写された記録媒体を加熱及び加圧することによって、トナー像を記録媒体に定着させる。
【0017】
図3Aは現像装置、感光体および支持機構の構成を示す図であり、図3Bは現像装置と感光体および支持機構の一部の概略を示す図である。また、図4は、図3A中の矢視IV-IV方向から見た断面図である。
現像装置175の筐体175Aは、例えばABS樹脂等の材質で形成される。筐体175A内には、現像剤(トナー)を収容する現像収容部50が形成される。筐体175Aには、現像ロール51と現像ロール52とが両者の回転軸が略平行となる位置に設けられる。この筐体175Aのうち感光体171と対向する位置には、現像ロール51,52が露出する開口部が形成される。また、筐体175Aには、現像収容部50内のトナーを現像ロール51,52へと搬送する現像剤攪拌搬送部材53,54が設けられ、現像ロール51,52の表面には、現像装置175内のトナーが略均一の厚さの薄層を形成して保持される。
【0018】
この現像装置175は、現像収容部50内に収容された現像剤が、現像容器の内部に設けられた現像剤攪拌搬送部材53,54によって現像ロール51,52へと搬送され、現像ロール51と現像ロール52とを介して感光体171に形成された静電潜像にトナーを供給して現像を行う。この実施形態においては、感光体171は矢印A14方向に回転するため、第2の現像ロール52によって搬送されたトナーが感光体171の表面の静電潜像に付着した後、更に第1の現像ロール51によって搬送された現像剤が感光体171の表面の静電潜像に付着する。
現像ロール51は、本発明に係る第1の現像ロールの一例に相当するものであり、現像ロール52は、本発明に係る第2の現像ロールの一例に相当するものである。
以下の説明では、説明の便宜上、現像ロール52を上流側の現像ロールといい、現像ロール51を下流側の現像ロールと称する。
【0019】
現像ロール51,52の回転軸51A,52Aは、図4に示すように、軸受55,55,…によって現像装置175の筐体175Aに回転可能に支持されている。現像ロール51と現像ロール52の一端側には、回転の駆動力をそれぞれの現像ロール51,52に与えるギア511,521が設けられており、これらギア511,521がモータ(図示せず)により駆動されることで、それぞれの現像ロール51,52が回転する。
【0020】
次に、現像装置175の支持機構について説明する。支持機構は、第1の突当部56、第2の突当部57、第3の突当部58およびバネ59を有する。
第1の突当部56,56は、図4に示すように、第1の現像ロール51の軸方向両端に位置した筐体175Aに形成される。第1の突当部56は、図3A,図3Bに示すように、感光体171に対向する部分に半円状の接触部56Aが形成される。第1の突当部56は、感光体171側の第3の突当部58と共に、感光体171と第1の現像ロール51との間に空隙を確保する。第1の突当部56,56は、本発明に係る第1の突当部の一例に相当する。
第2の突当部57,57は、図4に示すように、第2の現像ロール52の軸方向両端に位置した筐体175Aに形成される。第2の突当部57は、図3A,図3Bに示すように、感光体171に対向する部分に扇状の接触部57Aが形成される。第2の突当部57は、感光体171側の第3の突当部58と共に、感光体171と第2の現像ロール52との間に空隙を確保する。第2の突当部57,57は、本発明に係る第2の突当部の一例に相当する。
第3の突当部58,58は、感光体171の軸方向両端に位置した、当該感光体171を支持する部位に設けられる。第3の突当部58は、図3A,図3Bに示すように、現像ロール51,52に対向する部分に扇状の接触部58Aが形成され、さらに接触部58Aのうち第1の突当部56と対向する部分に径方向外側に向けて突出する隆起部58Bが形成される。この隆起部58Bは、扇の円弧から第1の突当部56に対向する側の辺に向けて漸次径方向に延びる形状となる。第3の突当部58は、本発明に係る第3の突当部の一例に相当する。
図3Aに示すように、第1の突当部56と第3の突当部58とが接触する点を第1の接触位置P1、第2の突当部57と第3の突当部58とが接触する点を第2の接触位置P2とする。
【0021】
現像装置175を画像形成装置1に装着する際、第3の突当部58に形成された隆起部58Bによって、第1の突当部56の接触部56Aは、第2の突当部57の接触部57Aよりも先に第3の突当部58に接触する。さらに、第1の突当部56の接触部56Aを半円状に形成することにより、接触部56Aを扇状に形成する場合に比べて、接触位置P1の面積が小さくなる。
【0022】
バネ59は、図3Aに示すように、現像装置175の筐体175Aに対して矢印A2方向に力を加える押当手段である。矢印A2の方向は、第1の接触位置P1を中心として筐体175Aが回転する方向に力が加わる方向となる。本実施形態の場合、バネ59の力の方向は、第1の接触位置P1から見て第2の接触位置P2よりも外側に加わる方向となる。なお、図中では、バネ59が筐体175Aに直接接触しているように図示しているが、実際には、筐体175Aを覆う部材を介して力を加えるようになる。さらに、バネ59は筐体175Aの長手方向に沿って複数設けるようにしてもよい。
【0023】
図5は、支持機構による動作を示す図である。バネ59による力の方向を示す矢印A2と、接触位置P1との間を距離r1、接触位置P1,P2の間を距離r2とすると、r1>r2となる。つまり、バネ59による力の方向は、第1の接触位置P1から見て、第2の接触位置P2よりも外側に作用することになる。
【0024】
図5は第2の突当部57が第3の突当部58に突き当てられる前の状態を示し、図3Aは第2の突当部57が第3の突当部58に突き当てられた状態を示す。
現像装置175が画像形成装置1に挿入された段階では、バネ59による力は現像装置175には作用していない。第1の突当部56,第2の突当部57および第3の突当部58の形状によって、第1の突当部56と第3の突当部58とが、第2の突当部57と第3の突当部58との接触よりも先に接触する。この際、第2の突当部57の接触部57Aと第3の突当部58の接触部58Aとの間には空隙S1が形成される。なお、図5に示す例においては、説明の理解を容易にするため、第3の突当部58と第2の突当部57との間の空隙S1を、実際よりも大きく図示している。
【0025】
その後、扉を閉める等により、バネ59の力を発生させると、矢印A2方向に現像装置175を押す力が生じる。力を受けた現像装置175は、先に接触した接触位置P1を回転中心として矢印A3方向に回転し、接触部57Aが接触部58Aに押し当てられて接触する。
【0026】
現像ロール51の軸方向両端に設けられた第1の突当部56,56と、感光体171の軸方向両端に設けられた第3の突当部58,58は、感光体171(現像ロール51)の軸方向両端の2点でそれぞれ接触する。また、現像ロール52の軸方向両端に設けられた第2の突当部57,57と、感光体171の軸方向両端に設けられた第3の突当部58,58は、感光体171(第2の現像ロール52)の軸方向両端の2点でそれぞれ接触する。すなわち、第3の突当部58は、第1の突当部56及び第2の突当部57と計4点で接触する。ここで、現像ロール51と現像ロール52とは柔軟性を有する筐体175Aに固定されているため、多少の歪みが許容される。筐体175Aがバネ59から力を受けることで筐体175Aに若干の歪みが発生し、これにより、現像ロール52の軸方向両端に位置した接触部57Aが接触部58Aに押し当てられて接触する。ここで、筐体175Aにおいて許容される歪みは、第1の突当部56と第3の突当部58との接触点ふたつを結んだ軸と、第2の突当部57と第3の突当部58との接触点ふたつを結んだ軸との間のねじれを許容する程度の歪みである。
【0027】
このように本実施形態では、現像ロール51の第1の突当部56を、現像ロール52の第2の突当部57よりも先に感光体171の第3の突当部58に接触させた後に、第1の突当部56と第3の突当部58との第1の接触位置P1を回転中心として現像装置175を回転させて、第2の突当部57を第3の突当部58に押し当てて接触させる。すなわち、感光体171に突き当てるべき4点を「先に突き当てる2点と、後から突き当てる2点」に分解し、多段的かつ効率よく圧力を加える。このようにすることによって、第1の突当部56,第2の突当部57の一部が感光体171の第3の突当部58から浮いてしまうのを防ぎ、現像ロール51,52と感光体171との間の空隙のばらつきの発生を抑制する。
【0028】
また、本実施形態では、バネ59による力の方向が、第1の接触位置P1から見て、第2の接触位置P2よりも外側に向いているから、接触位置P1を回転中心としたバネ59の力によるモーメントが確保される。これにより、バネ59から発生する力を、この方向に力を発生させない場合に比べ、小さい力で現像装置175の回転を可能とする。
【0029】
<変形例>
(1)以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその例を示す。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、第1の突当部56を第3の突当部58に接触させた後に現像装置175を回転させて第2の突当部57を第3の突当部58に接触させる支持機構を例示したが、これに限らず、第2の突当部57を第3の突当部58に接触させた後に、第1の突当部56を第3の突当部58に接触させるようにしてもよい。
この場合の構成を図6に示す。図6に示す構成では、図3Aに示した構成と異なる点は、突当部560B,570B,580Bの形状が異なる点と、バネ59Bの弾性力の方向が異なる点であり、他の構成は上述の図3Aに示したそれと同様である。そのため、以下の説明においては、図3Aに示す構成と同様の構成要素については同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0030】
図6において、第1の突当部560の形状は上述の実施形態に係る第2の突当部57の形状と同様であり、第2の突当部570の形状は第1の突当部56の形状と同様であり、第3の突当部580の形状は第3の突当部58を反転させた形状と同様である。
すなわち、第1の突当部560は、感光体171に対向する部分に扇状の接触部560Aが形成され、第2の突当部570は、感光体171と対向する部分に半円状の接触部570Aが形成される。第3の突当部580は、現像ロール51,52に対向する部分に扇状の接触部580Aが形成され、さらに接触部580Aのうち第2の突当部570と対向する部分に径方向外側に向けて突出する隆起部580Bが形成される。
【0031】
バネ59Bは、その力の方向が矢印A4方向に向く。つまり第2の接触位置P2から見て第1の接触位置P1側にバネ59Bの力の方向が向く。
このように構成される支持機構であっても、第2の突当部570を第3の突当部580に接触された後、第2の接触位置P2を回転中心として現像装置175を回転させて、第1の突当部560を第3の突当部580に押し付けて接触させる。これにより、現像ロール51,52と感光体171との空隙のばらつきが抑制される。
【0032】
(2)上述の実施形態では、突当部56,57,58として、図3Aに示す形状のものを用いたが、突当部56,57,58の形状はこれに限定されるものではなく、他の形状であってもよい。具体的には、例えば、図7に示す形状のものであってもよい。図7に示す例では、突当部561,571は共に、突当部581に対向する部分に扇状の接触部561A,571Aが形成される。また、第3の突当部581は、現像ロール51,52に対向する部分に扇状の接触部581Aが形成される。バネ59Cから発生する力の方向が、突当部561が突当部571よりも先に突当部581に突き当たる方向であって、かつ接触位置P1を回転中心として現像ロール52が感光体171に近づく方向に回転する向きに設けられている。
また、突当部561と突当部581の形状は、回転中心となる接触位置の面積が小さくなるように、突当部561及び突当部581の少なくともいずれか一方が凸形状となっていてもよい。また、突当部561と突当部581の接触位置が回転する際にずれてしまうことを防ぐべく、突当部581からの抗力の方向とバネの弾性力の方向が垂直に近い方向にならないような形状であってもよい。
【0033】
(3)上述の実施形態では、バネ59を図3Aに示す位置と向きに設けたが、バネ59の位置と向きはこれに限定されるものではなく、他の位置や向きで設けられていてもよい。具体的には、例えば、バネ59D(図3Aに鎖線で図示)に示すような位置と向きで設けられていてもよい。要は、バネと現像装置は、バネの弾性力の方向が、突当部56が突当部57よりも先に突当部58に突き当たる方向であって、かつ、第1の接触位置P1を回転中心として現像ロール52が感光体171に近づく方向に回転する向きになるように設けられていればよい。
また、バネ59Dの力の向きは、突当部56と突当部58の接触位置が回転する際にずれてしまうことを防ぐべく、突当部58からの抗力の方向とバネ59Dの力の方向が垂直に近い方向にならないような向きであってもよい。
【0034】
(4)上述の実施形態では、現像装置175を感光体171に押し当てる押当手段としてバネ59を用いたが、押当手段はバネに限定されるものではなく、例えば、モータ駆動により現像装置175を移動させる駆動機構であってもよく、要は、押当手段は、第1の突当部56と第3の突当部58の接触位置P1を回転中心として現像装置175が回転する方向に力を加えるものであればどのようなものであってもよい。
【0035】
(5)上述の実施形態において、バネ59の弾性力によって、現像装置175を、第1の突当部56と第3の突当部58とが接触し、かつ、第2の突当部57と第3の突当部58とが接触しない位置に移動させるようにしてもよい。すなわち、押当手段(バネや駆動機構を含む)は、現像装置175を、第1の突当部56と第3の突当部58とが接触し、かつ第2の突当部57と第3の突当部58とが接触しない位置に移動させる(以下「第1の動作」という)とともに、接触位置P1を回転中心として回転する方向に力を加える(以下「第2の動作」という)、という2つの動作を行うものであってもよい。
【0036】
また、他の態様として、第1の動作を行う(現像装置175を、第1の突当部56と第3の突当部58とが接触し、かつ第2の突当部57と第3の突当部58とが接触しない位置に移動させる)移動手段と、第2の動作を行う(接触位置P1を回転中心として回転する方向に力を加える)押当手段とを、それぞれ別体として設ける構成としてもよい。具体的には、例えば、図8に示すように、第1の動作を行う移動手段としてバネ59Eを設けるとともに、第2の動作を行う押当手段としてバネ59Fを設ける構成とし、バネ59Eが筐体175Aに対して矢印A5方向に力を加えることによって第1の動作を行った後、バネ59Fが筐体175Aに対して矢印A6方向に力を加えることによって第2の動作を行うようにしてもよい。なお、第1の動作を行う移動手段は、バネに限定されるものではなく、例えばガイドレールやモータ駆動による駆動機構であってもよく、現像装置175を、第1の突当部56と第3の突当部58とが接触し、かつ第2の突当部57と第3の突当部58とが接触しない位置に移動させるものであればどのようなものであってもよい。
【0037】
(6)上述の実施形態では、2つの現像ロール51,52を備える現像装置175について説明したが、現像装置が備える現像ロールの数は2に限らず、これより多くてもよい。この場合であっても、上述した実施形態と同様に、第1の現像ロールの突当部を感光体の突当部に突き当てた後、突き当て位置を回転中心として現像装置を回転させることによって、他の現像ロールの突当部を感光体ドラムの突当部に突き当てるようにすればよい。このようにすることで、感光体と現像ロールとの間の空隙のばらつきが抑制される。
また、上述の実施形態では、突当部56は筐体175Aに形成され、第1の現像ロール51の回転に伴って回転しない構成であったが、これに限らず、第1の現像ロール51の回転に伴って回転する円筒状の部材を用いてもよい。突当部57,58についても同様であり、第2の現像ロール52や感光体171の回転に伴って回転する円筒状の部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…画像形成装置、16…画像処理部、17…画像形成部、51,52…現像ロール、53,54…現像剤攪拌搬送部材、56,56B,56C,57,57B,57C,58,58B,58C…突当部、59,59B,59C,59D,59E,59F…バネ、171…感光体、175…現像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像装置の外形をなす筐体と、
円筒状の像保持体表面の回転方向に沿って前記筐体に各々回転可能に設けられ、前記像保持体表面に形成された静電潜像を現像する第1の現像ロールおよび第2の現像ロールと、
前記筐体の前記第1の現像ロールの軸方向両端に設けられ、前記像保持体の軸方向両端に設けられた第3の突当部に突き当てられる第1の突当部と、
前記筐体の前記第2の現像ロールの軸方向両端に設けられ、前記像保持体の軸方向両端に設けられた第4の突当部に突き当てられる第2の突当部と、
前記第3の突当部に前記第1の突当部が突き当てられた後、当該第3の突当部と当該第1の突当部との接触位置を回転中心として前記筐体が回転する方向の力を加えて、前記第4の突当部に前記第2の突当部を押し当てる押当手段と、を具備する
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記押当手段は、前記第3の突当部と前記第1の突当部とが接触したときに弾性力により前記筐体を押す部材である
ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記押当手段による力の方向は、前記第3の突当部と前記第1の突当部との接触位置から見て、前記第4の突当部と前記第2の突当部との接触位置側に傾いた方向となる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像装置と、前記現像装置によって供給される現像剤を用いて記録媒体に画像を形成する前記像保持体とを有する画像形成手段
を具備することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−88491(P2013−88491A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226500(P2011−226500)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】