説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】回転する円筒状の現像剤搬送体に供給される磁性を示す現像剤の規制部材を通過した後の搬送量が変動することを抑制できる現像装置等を提供する。
【解決手段】現像装置は、上記現像剤搬送体と、磁石部材と、上記規制部材と、規制部材のうち現像剤搬送体の回転方向上流側の面部分に接触した状態で配置され、現像剤搬送体の外周面と向き合うとともに供給される現像剤が上記隙間にむけて導入される導入空間を形成する対向面を有する導入部材とを備え、磁石部材に配置する規制部材の規制補助用の磁極を、規制部材と向き合う位置から現像剤搬送体の回転方向上流側に離れた位置に配置し、かつ、導入部材の対向面を、その対向面のうち少なくとも現像剤搬送体の回転方向上流側に存在する端部が現像剤搬送体の接線を規制部材の現像剤搬送体と向き合う端部まで平行に移動させたときの仮想接線よりも現像剤搬送体の外周面に近い側に存在した状態になるよう配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式、静電記録方式等の画像記録方式を適用したプリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置においては、感光体等の潜像保持体に形成される静電潜像を現像剤により現像する現像装置が装備されている。
【0003】
このような現像装置のなかには、磁性を示す現像剤を磁力により保持して潜像保持体と向き合う現像領域まで回転して搬送する現像ロールと、その現像ロールに端部が所要の間隔をあけた状態に保たれるように設置され、そのロール表面に供給されて現像領域に搬送すべき現像剤の層の厚さ(搬送量)を均一に揃えるよう規制する規制部材とを少なくとも備えた形式の現像装置がある。ここで、磁性を示す現像剤とは、例えば、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤や、磁性一成分現像剤などである。また、現像ロールとしては、例えば回転する円筒状の搬送部材と、その搬送部材の内側に固定した状態で配置され、その搬送部材の外周面に現像剤を磁力で保持するための磁力線を発生する磁石部材とで構成される現像剤保持搬送体である。
【0004】
そして、この種の現像装置としては、例えば、以下のものが知られている。
【0005】
現像域の上流側に配置されて回転する第1現像ロール(第一のスリーブ部材)と、現像域の下流側に配置されて回転する第2現像ロール(第二のスリーブ部材)とを備えた現像装置において、第二現像ロールの回転方向にみて現像域の上流側でかつ第2現像ロールと第1現像ロールとの最接近部位よりも上流側に、第2現像ロールの表面に接近した先端縁を有し、第2現像ロールの表面に吸引保持される現像剤量を規制する穂切り部材(規制部材)を設け、現像剤攪拌手段として、第2現像ロールに隣接しかつこれに沿って延びる第一の回転螺旋羽根手段を設け、これにより、第一の回転螺旋羽根手段の攪拌搬送作用により穂切り部材の上流側に堰き止められた現像剤を第2現像ロールに沿って流動せしめるようにした現像装置が知られている(特許文献1)。
【0006】
特許文献1によれば、第2現像ロールには穂切り部材とほぼ向き合う近傍の位置に磁極(N)が配置されている。また、特許文献1には、穂切り部材の上流側に存在する現像剤が第一の回転螺旋羽根手段の攪拌搬送作用により第2現像ロールに沿って流動させられるので、その穂切り部材の穂切りトルクを従来に比較して低下させることができることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−31351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、回転する現像ロール(円筒状の現像剤搬送体)に供給される磁性を示す現像剤の通過を規制して所要の搬送量に保つ板状の規制部材を通過した後の現像剤の搬送量が、その現像ロールと規制部材との間の隙間を通過するときの現像剤に圧力が最も集中して増大することや現像ロールへの現像剤の供給量が変化することで変動してしまうことを抑制できる現像装置を提供するものである。また、この発明は、その現像装置を用いて現像剤搬送体の規制部材を通過した後の現像剤の搬送量が変動することに起因した画質不良が発生することを低減できる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の現像装置(A1)は、
回転し、磁性を示す現像剤を搬送する外周面を有する円筒状の現像剤搬送体と、
前記現像剤搬送体の内側に固定した状態で設置され、当該現像剤搬送体の軸方向に沿って延びる複数の磁極を当該現像剤搬送体の回転方向に間隔をあけて配置してなる磁石部材と、
前記現像剤搬送体の外周面に対して所要の間隔をあけてかつ当該現像剤搬送体の軸方向に沿った状態で向き合うように配置され、当該現像剤搬送体の外周面に供給される現像剤の通過を規制して所要の搬送量に保つ板状の規制部材と、
前記規制部材のうち前記現像剤搬送体の回転方向上流側の面部分に接触した状態で配置され、前記現像剤搬送体の外周面と向き合うとともに前記供給される現像剤が当該規制部材と当該現像剤搬送体との間の隙間にむけて導入される導入空間を形成する対向面を有する導入部材と
を備え、
前記磁石部材における複数の磁極のうち前記規制部材の規制補助用の磁極を、前記規制部材と向き合う位置から前記現像剤搬送体の回転方向上流側に離れた位置であって前記導入部材の対向面の一部と向き合う位置に配置し、
かつ、前記導入部材の対向面を、その対向面のうち少なくとも前記現像剤搬送体の回転方向上流側に存在する端部が、前記現像剤搬送体の前記規制部材と向き合う位置での接線を当該規制部材の当該現像剤搬送体と向き合う端部まで平行に移動させたときの仮想接線上又は仮想接線よりも当該現像剤搬送体の外周面に近い側に存在した状態になるよう配置していることを特徴とするものである。
【0010】
この発明の現像装置(A2)は、上記発明A1の現像装置において、前記導入部材の対向面のうち前記規制補助用の磁極と向き合う部分と前記現像剤搬送体の外周面との間の間隔を、前記規制部材と前記現像剤搬送体との間の隙間の間隔よりも広い寸法に設定しているものである。
【0011】
この発明の現像装置(A3)は、上記発明A1又はA2の現像装置において、前記導入部材の対向面のうち前記規制部材と接触する側の端部を、前記規制部材の前記現像剤搬送体と向き合う端部と段差のない状態で接触させているものである。
【0012】
また、この発明の画像形成装置(B1)は、
回転する潜像保持体と、前記潜像保持体に現像剤を供給して潜像を現像する現像装置とを有し、
前記現像装置が、上記発明A1又はA2の現像装置で構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
上記発明A1の現像装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、回転する円筒状の現像剤搬送体に供給される磁性を示す現像剤の規制部材を通過した後の搬送量が、その現像剤搬送体と規制部材との間の隙間を通過するときの現像剤に圧力が最も集中して増大することや現像剤搬送体への現像剤の供給量が変化することで変動してしまうことを抑制できる。
【0014】
上記発明A2の現像装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、規制部材を通過したときの現像剤の搬送量が現像剤搬送体と規制部材との隙間によって確実に決定することができるようになり、しかも、導入部材の対向面のうち規制補助用の磁極と向き合う部分と現像剤搬送体の外周面との間で現像剤へ必要以上の圧力が集中することが緩和されて、現像剤搬送体と規制部材との間の隙間を通過するときの現像剤の搬送量が変動することをより確実に抑制できる。
【0015】
上記発明B1の画像形成装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、現像装置における現像剤搬送体の規制部材を通過した後の現像剤の搬送量が変動することに起因した画質不良が発生することを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1に係る現像装置を用いた画像形成装置の要部を示す説明図である。
【図2】図1の画像形成装置に用いる現像装置を示す概略断面図である。
【図3】図2の現像装置の要部(現像ロール、規制板、導入部材など)を拡大して示す説明図である。
【図4】図2の現像装置における特徴的な要部(規制補助用の磁極、導入部材の対向面など)の構成を示す説明図である。
【図5】現像剤の圧力と粘性係数の関係(特性)を示すグラフ図である。
【図6】図2の現像装置における特徴的な要部の構成とその要部による現像剤の圧力分布状態を示す説明図である。
【図7】図2の現像装置における特徴的な要部に対する比較例の構成とその要部による現像剤の圧力分布状態を示す説明図である。
【図8】図2の現像装置における特徴的な要部に対する他の比較例の構成を示す説明図である。
【図9】図8の現像装置における特徴的な要部による現像剤の圧力分布状態を示す説明図である。
【図10】他の実施の形態に係る現像装置における特徴的な要部(規制補助用の磁極、導入部材の対向面など)の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
【0018】
[実施の形態1]
図1及び図2は、実施の形態1に係る現像装置を適用した画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の概要を示し、図2はその現像装置の概要を示している。
【0019】
画像形成装置1は、図1に示すように、支持部材、外装材等で構成される筐体10の内部空間に、現像剤で構成されるトナー像を形成して用紙9に転写する作像装置20と、作像装置20に供給すべき用紙9を収容するとともに送り出す給紙装置30と、作像装置20で転写されたトナー像を用紙9に定着する定着装置35を設置している。
【0020】
上記作像装置20は、例えば公知の電子写真方式を利用して構成されるものである。この作像装置20は、矢印Aで示す方向(図中において時計回りの方向)に回転駆動する感光ドラム21と、感光ドラム21の周面を所要の電位に帯電させる帯電装置22と、帯電後の感光体ドラム21の周面に画像情報(信号)に基づく光Bmを照射して電位差のある静電潜像を形成する露光装置23と、その静電潜像を現像剤としてのトナーにより現像してトナー像にする現像装置4と、そのトナー像を用紙9に転写する転写装置25と、転写後の感光体ドラム21の周面に残留するトナー等を除去する清掃装置26とで主に構成されている。
【0021】
このうち感光ドラム21としては、例えば接地された円筒状の導電性基体の外周面に有機導電材料等からなる感光層を形成したものが使用される。帯電装置22としては、接触式又は非接触式の帯電装置が使用される。露光装置23としては、半導体レーザや各種光学部品を組み合わせたレーザビーム走査装置や、複数の発光ダイオード(LED)や各種光学部品を組み合わせたLEDアレイ等が使用される。また、露光装置23は、画像形成装置1に接続又は装備される原稿読取装置、外部接続機器、記憶媒体読取装置等の画像生成源から入力される画像情報を図示しない画像処理装置で所要の処理をして得られる画像信号に基づく光Bmを照射して露光を行う。
【0022】
現像装置4は、非磁性トナーと磁性キャリア(粒子)を含む二成分現像剤Gを使用する現像装置であり、図2等に示すように、2つの現像ロール51,52を採用している。この現像装置4の詳細については後述する。
【0023】
転写装置25としては、接触式又は非接触式の転写装置が使用される。清掃装置26としては、例えば、感光ドラム21の周面に接触する清掃ブレードと回転ブラシを接触させる方式のものが使用される。帯電装置22、現像装置4(の現像ロール5)及び転写装置25には、作像動作時(画像形成動作の実行時)になると、図示しない給電装置から帯電用電圧、現像用電圧、転写用電圧がそれぞれ供給される。
【0024】
給紙装置30は、画像の形成に使用する所要のサイズ、種類等からなる複数枚の用紙9を積み重ねた状態で収容する用紙収容体31と、その用紙収容体31に収容される用紙9を1枚ずつ用紙搬送路にむけて送り出す送出装置32とを備えている。この給紙装置30は、作像動作時において所要の用紙9を1枚ずつ送り出して作像装置20の転写位置に供給するようになっている。用紙収容体31は、両矢印で示す方向に筐体10の外部に引き出すことができるように取り付けらており、また利用態様に応じて複数装備される。
【0025】
筐体10の内部には、給紙装置30から送り出される用紙9を作像装置20の転写位置に搬送した後、定着装置35、さらに筐体10の上部に形成された排出収容部12に搬送するための搬送路が設けられている。その搬送路は、複数の搬送ロール対33a,33b,33c、搬送ガイド部材34等で構成されている。
【0026】
定着装置35は、筐体36の内部に、回転駆動するとともに表面温度が加熱手段により所要の温度に加熱されて保持されるロール形態、ベルト形態等の加熱回転体37と、この加熱回転体37の軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動回転するロール形態、ベルト形態等の加圧回転体38とが装備されている。この定着装置35は、その加熱回転体37と加圧回転体142との間に形成される定着部にトナー像が転写された用紙9を通過させて定着を行う。
【0027】
この画像形成装置1による画像の形成は、次のようにして行われる。ここでは、用紙9の片面に画像を形成するときの基本的な画像形成動作を例に挙げて説明する。
【0028】
画像形成装置1では、画像形成動作の開始指令を受けると、作像装置20において、回転始動する感光ドラム21の外周面が帯電装置22により所定の極性及び電位に帯電された後、その帯電された感光ドラム21の周面に露光装置23により画像情報に基づく露光が行われて所要の電位差で構成される静電潜像が形成される。続いて、感光ドラム21に形成された静電潜像が、現像装置4を通過する際に2つの現像ロール51,52からそれぞれ供給される現像剤Gのトナーにより現像されてトナー像として顕像化される。
【0029】
しかる後、感光ドラム21上に形成されたトナー像は、感光ドラム21の回転により転写装置25と対向する転写位置まで搬送されると、このタイミングに合わせて給紙装置30から搬送路を通して供給される用紙9に対し転写装置25により転写される。この転写後の感光ドラム21の周面は清掃装置26で清掃される。
【0030】
続いて、トナー像が転写された用紙9は、感光ドラム21から剥離されて定着装置35の定着部に導入されるよう搬送され、その定着装置35における加熱回転体37と加圧回転体38の間の定着部を通過するときに加熱及び加圧されることによってトナー像が定着される。定着が終了した後の用紙9は、定着装置35から排出されて排出収容部12等に搬送されて収容される。
【0031】
以上により、1枚の用紙9の片面に対して1色のトナーで構成される単色画像が形成され、基本的な画像形成動作が終了する。複数枚の画像形成動作を実行する要求がある場合には、上記した一連の動作がその要求された枚数分だけ同様に繰り返されることになる。
【0032】
次に、現像装置4について詳述する。
【0033】
現像装置4は、図2から図4等に示すように、前述した二成分現像剤Gを収容する収容室40aと感光ドラム21と向き合う位置に形成される矩形状の開口部40aを有する本体40を備えている。この本体40は、感光ドラム21の軸方向の長さを超える長さからなる細長い容器状の形状をしている。また、収容室40aは、その底部が、細長い容器状の形状における長手方向の両端部で互いにつながりかつ長手方向に沿う仕切り隆起部で中央部が仕切られて平行する2列の現像剤循環搬送路(溝部)を有した形状に形成されている。現像剤Gは、この収容室40aに収容されている。
【0034】
そして、現像装置4は、本体40の内部に、現像剤Gを感光ドラム21と2箇所で向き合う現像域まで磁気力で保持してそれぞれ搬送する2つの現像ロール51,52(第1現像ロール51と第2現像ロール52)と、収容室40bに収容される現像剤Gを攪拌して搬送する攪拌搬送部材としての2つのスクリューオーガー55、56と、スクリューオーガー56から第2現像ロール52に供給される現像剤Gの通過を規制してその層の厚さ(搬送量)を規制する規制板61と、第2現像ロール52に供給される現像剤Gを現像ロール52と規制板61との間の隙間Jにむけて導き入れる導入空間(M)を形成する対向面66を有する導入部材65と、第2現像ロール52から搬送される現像剤Gを第1現像ロール51と第2現像ロール52に振り分ける振分け部材42と、第1現像ロール51から剥離される現像剤Gを収容室40aに戻すよう案内する案内板44等が配置されている。
【0035】
第1現像ロール51及び第2現像ロール52は、図2や図3等に示すように、本体40の開口部40bに一部を露出した状態で所要の方向B,Cにそれぞれ回転するように設置されている。2つの現像ロール51,52は、所要の間隔をあけた状態で配置されており、両現像ロール51,52が最も接近する部分(空間)が最接近部53として形成されている。
【0036】
このうち第1現像ロール51は、感光ドラム21の第1現像域E1に接近した位置で矢印Bの方向に回転する円筒状のスリーブ51Aと、このスリーブ13Aの内側に固定した状態で存在するように設けられる磁石ロール51Bとで構成されている。スリーブ51Aの回転方向Bは、感光ドラム21の第1現像域E1での移動方向が感光ドラム21の回転(移動)方向Aと反対の方向になるよう設定されている。一方、第2現像ロール52は、感光ドラム21の第1現像域E1よりも下流側の第2現像域E2に接近した位置で矢印Cの方向に回転する円筒状のスリーブ52Aと、このスリーブ52Bの内側に固定した状態で存在するように設けられる磁石ロール52Bとで構成されている。スリーブ52Aの回転方向Bは、感光ドラム21の第2現像域E2での移動方向が感光ドラム21の回転(移動)方向Aと同じ方向になるよう設定されている。
【0037】
スリーブ51A,52Aはいずれも、非磁性材料(例えばステンレス、アルミニウム等)を用いて、感光ドラム21の回転軸方向における画像形成有効領域とほぼ同じ幅(長さ)の円筒部を有する形状に形成されている。このスリーブ51A,52Aは、その回転の軸方向が感光ドラム21の回転の軸方向とほぼ平行して向き合う状態になるよう配置され、また、その両端部が軸部として本体40の側方部に対して回転自在に軸受けされた状態で取り付けられている。また、スリーブ51A,52Aは、その各軸部を介して図示しない回転駆動装置からの動力を受けて矢印B,Cで示す方向にそれぞれ回転させられる。さらに、スリーブ51A,52Aには、図示しない給電装置から感光ドラム21との間に現像電界を形成するための現像電圧が印加される。現像電圧としては、例えば交流成分を重畳した直流電圧が印加される。
【0038】
磁石ロール51B,52Bはいずれも、スリーブ51A,52Aの外周面に現像剤Gの磁性キャリアが磁気ブラシを形成した状態で保持されるような磁力線等を発生させる複数の磁極(S極、N極)を配置した構造のものである。磁石ロール51B,52Bは、例えば、その両端部が現像スリーブ51A,52Aの各軸部における内部空間を通して本体40の側方部に固定された状態で取り付けられる。複数の磁極は、スリーブ51A,52Aの軸方向に沿ってそれぞれ延びるものであり、スリーブ51A,52Aの周方向(回転方向)に間隔をあけて所要の位置にそれぞれ配置されている。
【0039】
第1現像ロール51の磁石ロール51Bでは、図2や図3に示すように、S6,N3,S4,N4,N5という5つの磁極を配置したものである。このうち磁極S6は、第2現像ロール52と最も接近した位置(最接近位置)に配置され、その現像ロール52で搬送される現像剤Bをスリーブ51Aの外周面側に磁力で引き寄せて搬送させる搬送極である。磁極N3は、感光ドラム21の第1現像域E1と向き合う位置に配置され、現像剤Gを現像工程に寄与させる現像極である。磁極S4は搬送極であり、磁極N4とN5はいずれもスリーブ51Aの外周面から現像剤Gを剥離させるピックオフを行う極である。
【0040】
第2現像ロール52の磁石ロール52Bでは、図2や図3に示すように、S3,S2,N2,S1,N1,N1という6つの磁極を配置したものである。このうち磁極S3は、第2現像ロール52に近い側に配置されているスクリューオーガー56のドラム21寄りの上端部分とほぼ向き合う位置に配置され、そのスクリューオーガー56から供給される現像剤Gをスリーブ52Aの外周面に磁力で引き寄せて保持させるピックアップを行う極である。磁極S2は、規制板61による現像剤に対する規制作用を補助するための磁気ブラシを所要の大きさに立たせた状態にする規制補助用の極である。磁極N2は、第1現像ロール51における搬送極S6と向き合う位置に配置される搬送極である。磁極S1は、感光ドラム21の第2現像域E2と向き合う位置に配置され、現像剤Gを現像工程に寄与させる現像極である。磁極N1,N1は、反発磁力を発生させて、スリーブ52Aの外周面から現像剤Gを剥離させるピックオフを行う極である。
【0041】
特に第2現像ロール52の磁石ロール52Bにおいては、規制補助用の磁極S2を、規制板61と向き合う位置からスリーブ52Aの回転方向Cの上流側に離れた位置であり、しかも導入部材65における対向面66の一部と向き合う位置に配置している。具体的には、磁極S2は、その法線方向の磁束密度を示す曲線(磁力線)が少なくとも規制板61に及ばない状態になる位置に配置される。
【0042】
スクリューオーガー55、56はいずれも、図2に示すように、回転軸の周面に搬送羽根を螺旋状に巻きつけた形態のものであり、本体40の収容室40aにおける前記2列の現像剤循環搬送路内にそれぞれ存在して回転し得る状態で設置され、その双方の搬送路にある各現像剤Gを所要の方向に搬送させるべき方向に回転駆動するようになっている。オーガー55、56は、現像ロール51,52における各スリーブ51A,52Aを回転させる回転駆動装置の動力の一部が分岐して伝達されることで回転するよう構成されている。第2現像ロール52と近い位置に配置されているスクリューオーガー56は、その搬送する現像剤Gの一部を第2現像ロール52に供給するようになっている。
【0043】
規制板61は、図2から図4等に示すように、その主要部がほぼ一定の厚さからなり、しかも第2現像ロール52のスリーブ52Aの軸方向における長さを少なくとも有する長さ(長辺)からなる長方形状の板材である。また、規制板61は、非磁性材料(例えばステンレス)を用いて形成されている。さらに、規制板61は、その長手方向の一端部(下方の長辺部)62がスリーブ52Aの外周面と所要の間隔(規制間隔)hをあけて向き合う状態になるとともにスリーブ52Aの軸方向に沿って延びて向き合う状態になるよう本体40に取り付けられている(図4)。実施の形態1における規制板61は、全体の断面がL字状となるよう他端部側が曲げられた形状の板材として形成されており、その曲げられた他端部が支持部材64に固定された状態に取り付けられる(図2)。
【0044】
導入部材65は、図2から図4等に示すように、規制板61のうちスリーブ52Aの回転方向Cの上流側になる面部分63に接触した状態で配置されるものであり、例えばその規制板61の面部分63に固着した状態で配置される。実施の形態1における導入部材65は、規制体61よりも厚い厚さからなる厚板(角柱)状の板材で形成されている。このような導入部材65は、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂)の材料で形成される。導入部材65の対向面66で形成される導入空間(M)は、図4等に示すように、対向面66が平面状の面であってスリーブ52Aの外周面が円筒の曲面であるため、規制板61に近づくほどスリーブ52Aの外周面との間の隙間が徐々に狭くなり、全体の縦断面がくさび形状(先細り形状)をなす空間になる。
【0045】
導入部材65における対向面66は、図4に示すように、少なくともスリーブ52Aの回転方向Cの上流側に存在する端部(角部)66aが、そのスリーブ52Aの規制板61の端部62(導入部材65側の角部)と向き合う位置P1での接線(TL)を規制板61の端部62に接するまで平行に移動させたときに得られる仮想接線(VL)よりもスリーブ52Aの外周面に近い側に存在するように設定されている。この構成により、断面くさび形状の導入空間Mの入口が比較的狭くなり、導入空間Mに侵入した現像剤Gが導入空間Mを規制板61の隙間Jにむけて流れるときに物理的空間が次第に狭くなることで密集した状態になって受ける圧力の上昇度合いを抑制することができる。また、例えば、スクリューオーガー56からスリーブ52Aに供給される現像剤Gの供給量に変動(特に増大する変動:スクリューの回転軌道に対応して小さく波打つように供給される変動、いわゆるオーガマークの発生)があっても、その変動が導入空間Mの内部に伝わり難くすることができる。
【0046】
対向面66の端部66aについては、仮想接線(VL)上に存在するように設定しても構わない。このため、図4に示すように、対向面66の端部66a,66bを通る直線(面)Kと仮想接線VLとなす角度を「θ」とした場合、その角度θが「θ≧0°」となるように設定すればよい。この角度θが負の値になると、導入空間Mの入口が比較的広くなるので、前述した作用効果が得られ難くなる。角度θの上限値は、例えば、対向面66とスリーブ52Aの外周面との最短距離が規制体61の規制間隔hよりも狭くならないようにする等の観点から設定される。
【0047】
また、対向面66は、図4に示すように、その規制板61と接触する側の端部(角部)66bが、規制板61のスリーブ52Aと向き合う側の端部62と段差のない状態で接触するように設定されている。段差のない状態は、対向面66の当該端部66bと規制板61の端部(角部)62とが一致(合一)した状態である。この構成により、導入空間Mに導入された現像剤Bが規制板61と対向面66の端部66bとの間の段差で滞留することで圧力が高められることを回避することができる。
【0048】
さらに、対向面66は、規制補助用の磁極S2と向き合う部分66cとスリーブ52Aの外周面との間の間隔Dが、規制板61の規制間隔hよりも広い寸法になるよう設定される(D>h)。磁極S2と向き合う部分66cは、磁極S2の法線方向磁力分布のピーク値の位置と対応する部位になる。この構成により、規制板61を通過した現像剤G1の搬送量がスリーブ52Aと規制板61との隙間hによって確実に決定することができ、これに加えて、磁極S2で発生する磁力(線)を受けて現像剤Gが磁気ブラシを形成することで圧力が高まる度合いを、磁極S2が規制板61と向き合う位置に設置された場合における圧力の増加に比べて低減することができる。
【0049】
振分け部材42は、図2や図3に示すように、2つの現像ロール51、52の軸方向に沿って延びる長さであって断面がくさび形状からなる棒状の部材であり、各現像ロール51,52のスリーブ51A,52Aの外周面にそれぞれ向き合う振分け面42a,42bを有している。この振分け部材42は、2つの現像ロール51、52の最接近部53よりも感光ドラム21寄りとなる位置に、その先細り先端部を最接近部53に向けた状態で、しかもその振分け面2a,42bがスリーブ51A,52Aの各外周面と等しい間隔をあけた状態になるよう設置されている。振分け部材42は、実際にはその両端部から突出する取付部43が本体40の側面部に固定されることで取り付けられている。
【0050】
案内板44は、第1現像ロール51から剥離される現像剤G4を受けた後に収容室40aに戻すように滑らせて落下させる面を有する板材である。この案内板44は、図2や図3に示すように、その上端部44aが第1現像ロール51の剥離極である磁極N4及び磁極N5の中間で向き合った状態になり、その下端部44bが導入部材65の対向面66とは反対側の面67に接触した状態になるよう取り付けられている。
【0051】
以下、この現像装置4の動作について説明する。
【0052】
まず、現像装置4は、画像形成装置1による画像形成の動作時になると、2つの現像ロール51,52の各スリーブ51A,52Aとスクリューオーガー55,56が回転し始めるとともに、各スリーブ51A,52Aに現像電圧が印加される。
【0053】
これにより、本体40の収容室40aに収容されている二成分現像剤Gは、回転するオーガー55,56によって攪拌されながら収容室40aにおける2列の循環経路内を各方向にそれぞれ搬送されて全体として循環されるような状態で搬送される。この際、現像剤Gにおける非磁性トナーは、磁性キャリアと十分に攪拌されて摩擦帯電されるとともに、そのキャリアの表面に静電的に付着した状態となる。
【0054】
続いて、図3に示すように、第2現像ロール52に近い側に配置されたスクリューオーガー56によって搬送される二成分現像剤Gは、その一部が、第2現像ロール52のスリーブ52Aの外周面に磁力により吸着されるようにして保持される。すなわち、回転するスリーブ52Aの外周面に、磁石ロール52Bの磁極S3から発生する磁力が及ぶことにより、トナーが付着した磁性キャリアが鎖状に繋がった穂立ち状の磁気ブラシを形成した状態で保持されて供給される。
【0055】
次いで、第2現像スリーブ52に保持された二成分現像剤Gは、図3に示すように、そのスリーブ52Aの回転に伴って搬送される途中で導入部材65の対向面66で形成される導入空間Mの入口に達する。
【0056】
ここで、その現像剤Gの一部(スリーブ52Aの外周面に近い側に存在する現像剤)が導入空間M内に導入され、その残りの部分(スリーブ52Aの外周面から離れた側に存在する現像剤)が導入部材65の側面67によるせん断力を受けてせき止められた状態になり、その殆どが収容室40a側に戻される。
【0057】
また、導入空間Mに導入された現像剤Gは、規制補助用の磁極N3の磁力を受ける導入空間M内を移動して規制板61との間に形成される隙間Jを通過する際に、その通過を規制されてほぼ一定の層厚(搬送量)にされる。
【0058】
続いて、規制板61により規制された後の現像剤G1は、図3に示すように、振分け部材42を通過する際に2分されて第1現像ロール51と第2現像ロール52の双方に振り分けられる。
【0059】
このとき、第1現像ロール51に振り分けられた現像剤G2は、矢印B方向に回転するスリーブ51Aによって搬送されて感光ドラム21の第1現像域E1を通過する際に、現像磁極N3の磁力を受けるとともに現像電圧による現像電界による作用を受ける。これにより、現像剤G2の磁気ブラシにおけるトナーが感光ドラム21に移動して第1現像域E1を通過する潜像部分に付着することで当該潜像部分を現像する。また、第1現像域E1を通過した後の現像剤G4は、剥離極である磁極N4を通過した後にスリーブ51Aの外周面から剥離され、しかる後、案内板44に案内された状態で収容室40aに戻される。
【0060】
一方、第2現像ロール52に振り分けられた現像剤G3は、矢印C方向に回転するスリーブ52Aによって搬送され、感光ドラム21の第2現像域E2を通過する際に、現像磁極N1の磁力を受けるとともに現像電圧による現像電界による作用を受ける。これにより、現像剤G3の磁気ブラシにおけるトナーが感光ドラム21に移動して第2現像域E2を通過する潜像部分に付着することで当該潜像部分を現像する。第2現像域E2を通過した後の現像剤G5は、剥離極である磁極N1を通過した後にスリーブ52Aの外周面から剥離されて自然落下することで収容室40aに戻される。
【0061】
そして、この現像装置4においては、第2現像ロール52に供給される現像剤Gが、導入部材65の対向面66で形成される導入空間Mに導入されて規制板61のスリーブ52Aとの間の隙間Jを通過する際に、以下のように挙動する。
【0062】
まず、導入部材65を設けず、しかも規制補助用の磁極S2を規制板61と向き合う位置に配置した構成の現像装置では、規制板61とスリーブ52Aとの間の隙間Jに磁極N2の磁気ブラシを立たせた状態にする磁気力(磁力線)が集中し、その隙間Jを通過しようとする現像剤Gが密集して圧力が高まるため、現像剤Gの粘性(流動性)が変動して(不安定になり)隙間Jを通過した後の現像剤G1の搬送量も変動してしまうことが多い。図5は、現像剤の圧力と粘性係数との関係を示すものである。図5中の「TC」は、成分現像剤Gにおけるトナーの濃度(含有率)を示す。このデータは、通気試験などの方法のように測定して得られたものである。図5に示されるように、圧力が高まるにつれて粘性係数も高まる。また、この傾向は、トナーの濃度TCが高くなるにつれて顕著になる。
【0063】
この隙間Jを通過した後の現像剤Gの搬送量が変動する現象は、特に現像剤Gとして小径(例えば平均粒径が5μm以下)のトナーを含むものを使用して高速のプロセススピード(例えば、600mm/sec以上)で画像形成(現像工程)を行う場合に顕著に現れる。
【0064】
そこで、この現像装置4では、前述したように規制補助用の磁極S2を規制板61と向き合う位置からスリーブ52Aの回転方向Cの上流側に離れた位置に配置し、しかも、その規制板61のスリーブ52Aの回転方向C上流側に流動空間Sを形成する特定の対向面66を有する導入部材65を配置している。
【0065】
これにより、図6に示すように、流動空間Sでは、その隙間Jに達する手前の位置において規制補助用の磁極S2の磁気力が集中して現像剤Gの圧力が高まるようになり、隙間Jにおける現像剤Bの圧力(上昇)が緩和される。図6のデータは、流体解析ソフトウェアを用いた連続体解析により得たものである(図7と図9も同様である。)。
【0066】
この結果、流動空間Sに導入された現像剤Gは、隙間Jに達する手前で磁極S2の磁力により圧力を高められて流動性が低下して変動することがあるものの、その位置を通過して隙間Jに達するとともに通過するまでの領域では圧力が相対的に緩和されて流動性が良好になるので、規制板61を通過した時点では隙間Jの規制間隔hに対応した現像剤の搬送量に規制されやすくなる。しかも、導入部材65の対向面66において磁極S2と向き合う部分66cのスリーブ52Aの外周面との距離Dが隙間Jの規制間隔hより広い寸法になるよう設定されているので(図4)、これによって磁極S2の磁気力が集中して現像剤Gの圧力が高まる部分にもかかわらず現像剤が流動しやすくなっている。
【0067】
また、導入部材65の対向面66について、そのスリーブ52Aの回転方向C上流側になる端部66aが前記仮想接線VLよりもスリーブ52Aの外周面に近い側に存在するように設定されているので、断面くさび形状の導入空間Mに導き入れられた現像剤Gは、その先細りになる先端部にむかうにつれて空間が狭くなって密集した状態になることで現像剤への圧力が高まることが抑制される。また、前述したように導入空間Mの入口が比較的狭くなるので、スリーブ52Aに供給される現像剤Gの供給量に変動(特に増大する変動)があっても、その変動が導入空間Mの内部に伝わり難くなる。
【0068】
この結果、導入空間Mに導き入れられた現像剤Gが規制板61による隙間Jを通過する直前の領域で圧力が高められることがないので、規制板61を通過した時点では隙間Jの規制間隔hに対応した現像剤の搬送量に規制されやすくなる。また、スリーブ52Aに供給される現像剤Gの供給量に変動(特に増大する変動)があっても、その変動の影響が隙間Jを通過した後の現像剤の搬送量に変動が生じることもなくなる。しかも、導入部材65の対向面66において規制板61の端部62と接触する端部66bがその端部62と一致して段差のない状態になるよう設定されているので(図4)、これによって規制板61の端部62と対向面66の端部66bの間に存在する段差で現像剤の圧力が高められてしまうというおそれがない。
【0069】
以上のことから現像装置4によれば、第2現像ロール52(スリーブ52A)に供給される現像剤Gの規制板61を通過した後の搬送量が、そのスリーブ52Aと規制板61との間の隙間Jを通過するときの現像剤Gに圧力が最も集中して増大することやスリーブ52Aへの現像剤Gの供給量が変化することで変動してしまうことが抑制される。このため、現像装置4において現像剤の搬送量の変動(むら)に起因した現像むらの発生が抑制され、ひいては画像形成装置1において最終的に得られるトナー画像に濃度むら等の画質不良が発生することも低減される。このような効果は、前述した小径のトナーを含む現像剤Gを使用して高速のプロセススピードで画像形成を行った場合に得られるので特に有効である。
【0070】
ちなみに、導入部材65の対向面66(B)について、図7に例示するように、その端部66aが仮想接線VLよりもスリーブ52Aから離れる位置に存在するよう設定(θ<0°)した場合には、同図に示すように、断面くさび形状の導入空間Mに導き入れられた現像剤Gが、対向面66Bによって導入空間Mの先細り先端部分に積極的に寄せ集められて密集した状態になることで圧力も高い状態になってしまう。この隙間Jの直前位置で高められる圧力は、規制板61から離れた位置に設置した規制補助用の磁極S2による磁気力で高められる圧力よりも大きいものになる。
【0071】
このため、この場合は、隙間Lの近傍で高められた圧力の影響を受けて現像剤の粘性(流動性)が不安定になるので、その隙間Jを通過した後の現像剤G1の搬送量が変動しやすくなる。
【0072】
また、図8に例示するように、規制補助用の磁極S2を規制板61と向き合う位置からスリーブ52Aの回転方向Cの上流側に離れた位置に配置したうえで、前記した導入部材65に代えて、スリーブ52Aとの間に断面くさび形状の導入空間(S)を形成しないスリーブ52Aの外周面から離れた形状の対向面75を有する導入部材75を設置した現像装置を適用した場合は、導入部材75の対向面75とスリーブ52Aの外周面との間に形成される導入空間Qにおける現像剤の圧力分布が、図9に示すような結果になる。
【0073】
つまり、この場合は、図9に示すように、断面くさび形状の導入空間(S)を形成する対向面66を有した導入部材65のように対向面66の設定の仕方によって規制板61の隙間Jの近傍で現像剤の圧力が高められること(図7)は解消される。しかし、その導入分剤75の対向面75で形成される導入空間Qは、その入口が前記導入空間Mの入口に比べて広いものになるため、スリーブ52Aに供給される現像剤Gの供給量に変動(特に増大する変動)があると、その変動が導入空間Qの内部に伝わりやすくなり、規制板61の隙間Jを通過した後の現像剤G1の搬送量も変動しやすくなり、現像むら(オーガマークに対応したむら)が発生してしまう。
【0074】
[他の実施の形態]
実施の形態1では、この発明が適用される現像装置4として2つの現像ロール51,52を用いるものを例示して説明したが、この発明は1つの現像ロールを用いる現像装置にも同様に適用することができる。
【0075】
また、実施の形態1では、導入部材として対向面66が平面状である構成の部材65を適用した場合について例示したが、例えば、図10に例示するように対向面66Bが曲面である導入部材65Bを適用することも可能である。図10に示す導入部材65Bの対向面66Bは、スリーブ52Aの外周面における円筒曲面にほぼ追従させた形状の曲面である。この対向面66Bについても、導入部材65Bの規制補助用の磁極S2と向き合う部分66cとスリーブ52Aの外周面との間隔Dが隙間Jの規制間隔hよりも広い寸法になるよう設定されている。
【0076】
さらに、実施の形態1では、導入部材66における対向面66として、その規制板61の端部62と接触する側の端部66bがその端部62と段差のない状態で接触する場合について例示したが、例えば0.5mm以下の段差であれば、その段差が存在するように構成しても構わない。
【0077】
この他、この発明の現像装置4を用いる画像形成装置1は、その現像装置4を使用することが可能なものであれば、その形式等については特に限定されるものでない。
【符号の説明】
【0078】
1 …画像形成装置
4 …現像装置
21…感光ドラム(潜像保持体)
52A…スリーブ(円筒状の現像剤搬送体)
52B…磁石ロール(磁石部材)
61…規制板(規制部材)
62…規制板のスリーブと向き合う側の端部
65,65B…導入部材
66,66B…対向面
66a…回転方向上流側に存在する端部
66b…規制板と接触する側の端部
C …回転方向
D …対向面の一部分とスリーブの外周面との間の間隔
J …隙間
G …二成分現像剤(現像剤)
M …導入空間
N,S…複数の磁極
P1…スリーブの規制板と向き合う位置
S2…規制補助用の磁極
TL…接線
VL…仮想接線
h …規制間隔(所要の間隔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転し、磁性を示す現像剤を搬送する外周面を有する円筒状の現像剤搬送体と、
前記現像剤搬送体の内側に固定した状態で設置され、当該現像剤搬送体の軸方向に沿って延びる複数の磁極を当該現像剤搬送体の回転方向に間隔をあけて配置してなる磁石部材と、
前記現像剤搬送体の外周面に対して所要の間隔をあけてかつ当該現像剤搬送体の軸方向に沿った状態で向き合うように配置され、当該現像剤搬送体の外周面に供給される現像剤の通過を規制して所要の搬送量に保つ板状の規制部材と、
前記規制部材のうち前記現像剤搬送体の回転方向上流側の面部分に接触した状態で配置され、前記現像剤搬送体の外周面と向き合うとともに前記供給される現像剤が当該規制部材と当該現像剤搬送体との間の隙間にむけて導入される導入空間を形成する対向面を有する導入部材と
を備え、
前記磁石部材における複数の磁極のうち前記規制部材の規制補助用の磁極を、前記規制部材と向き合う位置から前記現像剤搬送体の回転方向上流側に離れた位置であって前記導入部材の対向面の一部と向き合う位置に配置し、
かつ、前記導入部材の対向面を、その対向面のうち少なくとも前記現像剤搬送体の回転方向上流側に存在する端部が、前記現像剤搬送体の前記規制部材と向き合う位置での接線を当該規制部材の当該現像剤搬送体と向き合う端部まで平行に移動させたときの仮想接線上又は仮想接線よりも当該現像剤搬送体の外周面に近い側に存在した状態になるよう配置していることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記導入部材の対向面のうち前記規制補助用の磁極と向き合う部分と前記現像剤搬送体の外周面との間の間隔を、前記規制部材と前記現像剤搬送体との間の隙間の間隔よりも広い寸法に設定している請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記導入部材の対向面のうち前記規制部材と接触する側の端部を、前記規制部材の前記現像剤搬送体と向き合う端部と段差のない状態で接触させている請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
回転する潜像保持体と、前記潜像保持体に現像剤を供給して潜像を現像する現像装置とを有し、
前記現像装置が、請求項1乃至3のいずれかに記載の現像装置で構成されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−92604(P2013−92604A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233756(P2011−233756)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】