説明

現像装置

【課題】現像剤収容室内の現像剤の残量に関わらず、現像室に十分な現像剤を供給し、濃度ムラを低減することができる現像装置を提供する。
【解決手段】現像装置は、現像ローラ54と、現像ローラ54に現像剤を供給する供給ローラ53と、を有する現像室110と、現像室110の下方に配置され、現像剤を収容するトナー収容室120(現像剤収容室)と、供給ローラ53の下部に沿って設けられる壁部103と、トナー収容室120の下部から供給ローラ53の上方に向けて現像剤を搬送する縦搬送部材と、を備えている。そして、現像室110は、供給ローラ53の上方に設けられ、縦搬送部材により搬送された現像剤を貯留する貯留部112を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ローラと、現像ローラに現像剤を供給する供給ローラとを有する現像室と、現像室の下方に配置され、現像剤を収容する現像剤収容室と、を備える現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現像装置として、現像ローラと供給ローラを有する現像室と、現像室の下方に配置され、現像剤を収容する現像剤収容室とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的に、現像剤収容室には、現像装置に回転可能に支持される回転軸と、回転軸から径方向外側に向かって延びるフィルム部材とを有する撹拌部材が備えられている。撹拌部材は、フィルム部材が現像剤収容室を形成する壁に摺接しながら回転するように構成されており、この撹拌部材が回転することで、シート部材が現像剤を持ち上げ、現像室と現像剤収容室を連通させる開口部を通って現像室へ供給するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−170951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術では、現像剤収容室内の現像剤が減ってくると、撹拌部材で現像室へ供給できる現像剤の量が少なくなってしまう。これにより、現像室内の現像剤の圧力が低下し、供給ローラに十分な現像剤が供給されず、濃度ムラが生じてしまうことがあった。
【0005】
そこで、本発明は、現像剤収容室内の現像剤の残量に関わらず、現像室に十分な現像剤を供給し、濃度ムラを低減することができる現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の現像装置は、現像ローラと、現像ローラに現像剤を供給する供給ローラと、を有する現像室と、現像室の下方に配置され、現像剤を収容する現像剤収容室と、供給ローラの下部に沿って設けられる壁部と、現像剤収容部の下部から供給ローラの上方に向けて現像剤を搬送する縦搬送部材と、を備えている。
そして、現像室は、供給ローラの上方に設けられ、縦搬送部材により搬送された現像剤を貯留する貯留部を有している。
【0007】
このように構成された現像装置によれば、縦搬送部材により、現像剤収容室の下部から現像室へ現像剤を搬送するので、現像剤収容室内の現像剤の残量に関わらず、現像室に十分な現像剤を供給することができる。また、供給ローラの上方に貯留部を設けることで、現像剤の圧力を高い値に維持できるので、供給ローラの側方に貯留部を設ける構成に比べて、濃度ムラを低減することができる。
【0008】
そして、前記した現像装置において、現像ローラの下部は、現像室と現像剤収容室とを連通させる連通口を介して、前記現像剤収容室と上下方向で対面し、現像室は、現像ローラの前記下部と接触し、現像ローラに担持される現像剤の厚みを規制する層厚規制部材を有しているのが望ましい。
【0009】
このように構成された現像装置によれば、層厚規制部材で掻き取った現像剤が、現像室ではなく現像剤収容室に落ちるので、現像室と現像剤収容室との間で現像剤を循環させることができる。
【0010】
また、前記した現像室と現像剤収容室とを連通させる連通口を有する現像装置において、現像室は、一端が壁部の現像ローラ側の端部に固定され、他端が現像ローラに下方から接触し、壁部の前記端部と現像ローラとを塞ぐように設けられる可撓性の蓋部材を有しているのが望ましい。
【0011】
このように構成された現像装置によれば、現像室内の現像剤の圧力が高くなると、蓋部材が撓み、現像剤を現像剤収容室に落下させることができるので、現像剤の水位を一定にして現像室内の現像剤の圧力を調整することができる。なお、現像剤の水位とは、現像部または現像剤収容室内に貯溜される現像剤の上面の高さ位置である。
【0012】
そして、前記した現像室と現像剤収容室とを連通させる連通口を有する現像装置においては、縦搬送部材と、現像ローラおよび供給ローラとは、独立して駆動可能に構成されているのが望ましい。
【0013】
このように構成された現像装置によれば、縦搬送部材を停止させた状態で現像ローラおよび供給ローラを駆動させることで、現像室内の現像剤を現像剤収容室に戻し、現像室内の現像剤を入れ替えることができる。
【0014】
また、前記した現像室と現像剤収容室とを連通させる連通口を有する現像装置において、現像剤収容室は、現像剤を撹拌する撹拌部材を備えているのが望ましい。
【0015】
このように構成された現像装置によれば、撹拌部材により、現像室から落下してきた現像剤を、現像剤収容室に収容されている現像剤と混ぜることができる。
【0016】
そして、前記した現像装置において、現像剤収容室には、縦搬送部材に向けて現像ローラの軸方向一方側に現像剤を搬送する第1横搬送部材が設けられており、現像室には、縦搬送部材で搬送された現像剤を前記軸方向他方側に搬送する第2横搬送部材が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、縦搬送部材により、現像剤収容室の下部から現像室へ現像剤を搬送するので、現像剤収容室内の現像剤の残量に関係なく、現像室に十分な現像剤を供給することができる。また、供給ローラの上方に貯留部を設けることで、現像剤の圧力を高い値に維持できるので、供給ローラの側方に貯留部を設ける構成に比べて、濃度ムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る現像カートリッジを備えたカラープリンタの断面図である。
【図2】感光体ドラムと現像カートリッジの断面図である。
【図3】筐体、第1オーガ、第2オーガおよび第3オーガを示す図2におけるII−II断面図である。
【図4】供給ローラ、現像ローラおよび第3オーガの駆動機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<カラープリンタの全体構成>
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、方向は、カラープリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、手前側を「右」、奥側を「左」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0020】
図1に示すように、カラープリンタ1は、本体筐体10内に、給紙ユニット30と、4つのLEDユニット40と、4つのプロセスユニット50と、転写ユニット60と、定着ユニット70とを主に備えている。
【0021】
本体筐体10の上部には、本体筐体10から排出された用紙Sが載置される排紙トレイ12が設けられている。
【0022】
給紙ユニット30は、本体筐体10内の下部に設けられ、用紙Sを収容する給紙トレイ31と、給紙トレイ31から用紙Sを転写位置(中間転写ベルト63と2次転写ローラ65とのニップ位置)に搬送する給紙機構32とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Sは、給紙機構32によって1枚ずつ分離されて転写位置に搬送される。
【0023】
LEDユニット40は、感光体ドラム51の下方に対向して配置され、先端に図示しない複数の発光部(LED)が感光体ドラム51の軸方向(左右方向)に配列されている。このLEDユニット40は、画像データに基づいて発光部を明滅させることで、帯電器52により一様に帯電された感光体ドラム51の表面を露光し、感光体ドラム51上に画像データに基づく静電潜像を形成する。
【0024】
プロセスユニット50は、給紙ユニット30の上方で前後に並んで配置され、感光体ドラム51と、帯電器52と、供給ローラ53、現像ローラ54、層厚規制部材の一例としての層厚規制ブレード55およびアジテータ56を有する現像装置の一例としての現像カートリッジ100とを主に備えている。なお、現像カートリッジ100の詳細構成については、後で詳しく説明する。
【0025】
転写ユニット60は、プロセスユニット50の上方に設けられ、駆動ローラ61と、従動ローラ62と、駆動ローラ61および従動ローラ62の間に張設され、各感光体ドラム51に対面して配置された無端状の中間転写ベルト63と、中間転写ベルト63を介して感光体ドラム51と対向配置された4つの1次転写ローラ64と、中間転写ベルト63を介して駆動ローラ61と対向配置された2次転写ローラ65とを主に備えている。
【0026】
このようなプロセスユニット50および転写ユニット60では、感光体ドラム51の表面が帯電器52により一様に帯電された後、LEDユニット40によって露光されることで、感光体ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、現像カートリッジ100内に収容されているトナーTが、後述するアジテータ56によって撹拌されることで摩擦帯電された後、供給ローラ53を介して現像ローラ54の表面に供給される。この現像ローラ54上に供給されたトナーTは、現像ローラ54の回転に伴って、層厚規制ブレード55と現像ローラ54との間に進入し、さらに摩擦帯電されつつ、一定の厚さの薄層として現像ローラ54上に担持される。
【0027】
そして、現像ローラ54の表面に担持されたトナーTは、現像ローラ54から感光体ドラム51上の静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化されて感光体ドラム51上にトナー像が形成(担持)される。各感光体ドラム51上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト63上に順次重ね合わせて転写される。そして、給紙ユニット30から搬送された用紙Sが、中間転写ベルト63と2次転写ローラ65の間の転写位置を通過することで、中間転写ベルト63上のトナー像が用紙Sに転写される。
【0028】
定着ユニット70は、転写ユニット60の上方に設けられ、加熱ローラ71と、加熱ローラ71と対向配置されて加熱ローラ71を押圧する加圧ローラ72と、定着後の用紙Sを本体筐体10の外部に排出する排出ローラ73とを備えている。定着ユニット70では、トナー像が転写された用紙Sが、加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過することでトナー像が熱定着され、排出ローラ73によって本体筐体10の外部に排出されて排紙トレイ12上に排出される。
【0029】
<現像カートリッジの詳細構成>
次に、本発明の特徴部分である現像カートリッジ100の詳細構成について説明する。
【0030】
図2および図3に示すように、現像カートリッジ100は、現像室110と、現像室110の下方に配置され、トナーTを収容するトナー収容室120(現像剤収容室)と、現像室110およびトナー収容室120の左側に配置され、現像室110の上部とトナー収容室120の下部を連通させる連通筒部130とが設けられた筐体101を備えている。
【0031】
また、現像カートリッジ100は、現像室110内に配置された供給ローラ53、現像ローラ54、層厚規制ブレード55および第2オーガ58(第2横搬送部材)と、トナー収容室120内に配置されたアジテータ56および第1オーガ57(第1横搬送部材)と、連通筒部130内に配置された第3オーガ59(縦搬送部材)とを主に備えている。
【0032】
図2に示すように、現像カートリッジ100の筐体101には、前壁102の上下方向の中間部から後方へ向けて延びる壁部103が設けられている。これにより、筐体101内が区画されて、現像室110とトナー収容室120とが形成されている。
【0033】
現像室110は、後方に開口を有しており、現像ローラ54は、この開口を通して外側に露出するように配置されている。
【0034】
供給ローラ53は、現像ローラ54の前斜め下方でかつ、壁部103の上方において、現像ローラ54に接触するように配置されている。
【0035】
ここで、壁部103は、供給ローラ53の下部に沿って円弧状に形成されており、先端103Aが、後斜め上側に延びて、供給ローラ53よりも後方まで延びている。これにより、供給ローラ53の周辺にトナーTが貯留されるようになっている。そして、壁部103の先端103Aと筐体101の後壁104の間が、現像室110とトナー収容室120を連通させる連通口105となっている。これにより、現像ローラ54の下部(一部)は、連通口105を介してトナー収容室120と上下方向で対面するようになっている。
【0036】
また、壁部103の先端103A(現像ローラ54側の端部)には、可撓性を有する蓋部材の一例としての樹脂で形成されたフィルム106が設けられている。このフィルム106は、前端(一端)が壁部103の先端103Aに固定され、後端(他端)が現像ローラ54の後述する層厚規制ブレード55と接触している部分よりも現像ローラ54の回転方向における上流側の部分に下方から接触している。
【0037】
このフィルム106は、現像室110内に一定以上のトナーTが貯まり、現像室110内のトナーTの圧力が高くなると、撓んで、現像ローラ54に接触している後端が現像ローラ54から離れて下方へ移動するようになっている。
【0038】
層厚規制ブレード55は、現像ローラ54の外周面に下方から接触するように設けられている。具体的に、層厚規制ブレード55は、基端部が筐体101の後壁104に支持されており、先端部が現像ローラ54の下方まで延び、現像ローラ54と接触する接触部55Aを有している。この接触部55Aは、現像ローラ54のトナー収容室120に対面している部分に接触している。つまり、接触部55Aは、連通口105の上方に配置されている。
【0039】
現像室110は、供給ローラ53の上方に、トナーTを貯留する貯留部112と第2オーガ58を収容する第2オーガ収容部113を有している。
【0040】
貯留部112は、前後および左右の壁に囲われた筒状に形成され、供給ローラ53の上方でトナーTを貯留できるように構成されている。そして、貯留部112は、下端が供給ローラ53の上で開放されており、貯留部112で貯留されたトナーTが供給ローラ53の周囲に供給されるようになっている。
【0041】
第2オーガ収容部113は、貯留部112の上部でかつ貯留部112より後方に設けられている。第2オーガ収容部113は、図3に示すように、後述する連通筒部130の上部と連通し、左右方向に長く延びる筒状に形成されている。そして第2オーガ収容部113は、図2に示すように、前側に開口を有し、この開口を通して貯留部112と連通している。
【0042】
第2オーガ58は、第2オーガ収容部113内に配置され、筐体101に回転可能に支持されている。第2オーガ58は、筐体101の左端から右端にわたって設けられており、回転することで、第2オーガ収容部113内のトナーTを右方側(現像ローラ54の軸方向における他方側)へ搬送するように構成されている。より詳細に、第2オーガ58は、連通筒部130内の第3オーガ59によって搬送されたトナーTを、左右に均等に分散させて、現像室110の貯留部112へ搬送するようになっている。
【0043】
トナー収容室120は、略中空円柱状に形成されており、上部に連通口105が設けられて、現像室110と連通している。そして、トナー収容室120には、アジテータ56が設けられている。
【0044】
アジテータ56は、筐体101に回転可能に支持される回転軸56Aと、回転軸56Aから径方向外側へ延び、可撓性を有するフィルム部材56Bとから主に構成されている。アジテータ56は、フィルム部材56Bが筐体101の内面に摺接しながら回転するようになっている。これにより、トナー収容室120に収容されたトナーTは、アジテータ56が回転することで撹拌されるようになっている。
【0045】
また、トナー収容室120は、底面に、下方に凹んだ凹部121が形成されており、この凹部121内に第1オーガ57が配置されている。
【0046】
第1オーガ57は、筐体101に回転可能に支持されている。第1オーガ57は、筐体101の左端から右端にわたって設けられており、回転することで、第1オーガ57周辺のトナーTを左方側(現像ローラ54の軸方向における一方側)へ搬送するように構成されている。より詳細には、第1オーガ57は、トナー収容室120の下部のトナーTを連通筒部130内の第3オーガ59へ搬送するようになっている。
【0047】
図3に示すように、連通筒部130は、筐体101の左端部に配置され、上下方向に長い筒状に形成されている。連通筒部130は、上端が現像室110の上部(より詳細には、第2オーガ収容部113)と連結され、下端がトナー収容室120の下部(より詳細には、凹部121)と連結され、現像室110とトナー収容室120に連通するように構成されている。
【0048】
第3オーガ59は、前述したように、連通筒部130内に配置され、筐体101に回転可能に支持されている。第3オーガ59は、連通筒部130の上端から下端にわたって設けられており、回転することで、第1オーガ57によって連通筒部130内に搬送されたトナーTを上方に向けて搬送するように構成されている。
【0049】
次に、供給ローラ53、現像ローラ54および各オーガ57,58,59の駆動機構について説明する。
【0050】
第1オーガ57と第2オーガ58の回転軸の左端部は、筐体101から突出しており、この突出した部分に、第1オーガギヤ57Gと第2オーガギヤ58Gが、それぞれ固定され、第1オーガ57の回転軸と第1オーガギヤ57Gおよび第2オーガ58の回転軸と第2オーガギヤ58Gが一体的に回転するようになっている。
【0051】
また、第3オーガ59の回転軸の上端部は、筐体101から突出しており、この突出した部分に、第3オーガギヤ59Gが固定され、第3オーガ59の回転軸と第3オーガギヤ59Gが一体的に回転するようになっている。
【0052】
そして、第1オーガギヤ57G、第2オーガギヤ58Gおよび第3オーガギヤ59Gは、現像カートリッジ100に設けられている図示しない複数のギヤを介して互いに連結されている。また、図4に示すように、第3オーガギヤ59Gは、現像カートリッジ100に設けられている第2入力ギヤ150に連結されている。これにより、第2入力ギヤ150の回転により第3オーガギヤ59Gに駆動力が伝達されると、第1オーガギヤ57G、第2オーガギヤ58Gおよび第3オーガギヤ59Gが一緒に回転するようになっている。
【0053】
供給ローラ53および現像ローラ54の回転軸の一端部には、供給ローラギヤ53Gと現像ローラギヤ54Gが固定され、供給ローラ53と供給ローラギヤ53Gおよび現像ローラ54と現像ローラギヤ34Gが一体的に回転するようになっている。
【0054】
そして、供給ローラギヤ53Gと現像ローラギヤ54Gは、第2入力ギヤ150とは独立して現像カートリッジ100に設けられている第1入力ギヤ140に連結されている。これにより、第1入力ギヤ140に駆動力が伝達されると、供給ローラギヤ53Gと現像ローラギヤ54Gが一緒に回転するようになっている。そして、第1入力ギヤ140と第2入力ギヤ150は、独立して設けられているので、第3オーガ59と、供給ローラ53および現像ローラ54とは、独立して駆動可能となっている。
【0055】
カラープリンタ1は、本体筐体10内に、第1モータ13、第1出力ギヤ13G、第2モータ14、第2出力ギヤ14Gと、制御装置15と、を備えている。なお、第1出力ギヤ13Gおよび第2出力ギヤ14Gは、図示は省略するが、各色の現像カートリッジ100に対応して、それぞれ4つずつ設けられている。
【0056】
第1出力ギヤ13Gは、現像カートリッジ100が本体筐体10内に装着されたときに、第1入力ギヤ140と噛合するギヤであり、第1モータ13から駆動力が付与されることで回転するようになっている。
【0057】
第2出力ギヤ14Gは、現像カートリッジ100が本体筐体10内に装着されたときに、第2入力ギヤ150と噛合するギヤであり、第2モータ14から駆動力が付与されることで回転するようになっている。
【0058】
制御装置15は、本体筐体10内の適所に配置され、例えば、図示しないCPU、RAM、ROMなどを備え、予め用意されたプログラムに従って、第1モータ13や第2モータ14の駆動を制御するように構成されている。
【0059】
具体的には、制御装置15は、画像形成中には、第1モータ13および第2モータ14を駆動させ、画像形成を行っていない所定のタイミングで、第2モータ14を停止させた状態で第1モータ13を駆動させるようになっている。なお、所定のタイミングは、例えば、前回の使用から一定以上の期間が経過した後に、カラープリンタ1を使用するときである。
【0060】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用および効果を得ることができる。
画像形成を行うとき、制御装置15は、第1モータ13と第2モータ14を駆動させる。これにより、供給ローラ53、現像ローラ54、第1オーガ57、第2オーガ58および第3オーガ59が回転する。
【0061】
そして、図3に示すように、第1オーガ57が回転することで、トナー収容室120のトナーTが、連通筒部130内の第3オーガ59へ向けて搬送される。第1オーガ57によって搬送されたトナーTは、第3オーガ59によって連通筒部130内を上方へ搬送されたあと、第2オーガ58によって現像室110内(第2オーガ収容部113内)へ向けて搬送される。
【0062】
第2オーガ58によって第2オーガ収容部113内に搬送されたトナーTは、貯留部112を通って供給ローラ53へ供給される。
【0063】
このように、第3オーガ59によって、トナー収容室120の下部から供給ローラ53の上方に向けてトナーTが搬送されるので、トナー収容室120内のトナーTの残量に関わらず、現像室110に十分なトナーTを供給することができる。
【0064】
また、供給ローラ53の上方に貯留部112が設けられているので、第3オーガ59で搬送されたトナーTを供給ローラ53の上方で溜めておくことができるので、貯留部を供給ローラ53の側方に設ける構成に比べて、供給ローラ53周辺のトナーTの圧力を高い値に維持でき、濃度ムラを低減することができる。
【0065】
なお、現像室110内にトナーTが多く蓄積され、現像室110内のトナーTの圧力が高くなると、フィルム106が撓み、トナーTが連通口105を通ってトナー収容室120に落下する。これにより、現像室110内の水位を一定にして、現像室110内のトナーTの圧力を調整することができる。
【0066】
供給ローラ53に供給されたトナーTは、供給ローラ53と現像ローラ54が接触しながら回転することで現像ローラ54に供給される。そして、現像ローラ54に過剰に担持されたトナーTは、層厚規制ブレード55によって掻き取られる。層厚規制ブレード55の接触部55Aの下方には連通口105が設けられているので、層厚規制ブレード55によって掻き取られたトナーTは、現像室110ではなく、連通口105を通ってトナー収容室120に落下する。これにより、現像室110とトナー収容室120との間でトナーTを循環させることができる。
【0067】
また、トナー収容室120内では、アジテータ56が回転しているので、現像室110から落下してきたトナーTを、トナー収容室120内のトナーTと混ぜることができる。
【0068】
そして、所定のタイミングになると、制御装置15は、第2モータ14の駆動を停止した状態で、第1モータ13を駆動させる。これにより、各オーガ57,58,59が停止した状態で、供給ローラ53および現像ローラ54が回転する。すると、現像室110へトナーTが供給されない状態で、現像室110内のトナーTが現像ローラ54へ供給されたあと、層厚規制ブレード55によりトナー収容室120へ掻き落とされる。このように、現像室110内のトナーTをトナー収容室120へ戻してから、画像形成時に各オーガ57によって現像室110内にトナーTを供給することで、現像室110内のトナーTをトナー収容室120内の帯電したトナーTに入れ替えることが可能となっている。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0070】
前記実施形態では、縦搬送部材、第1横搬送部材および第2横搬送部材の一例としてオーガを採用したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、外周面に搬送方向に直交する面を有する複数のリブが設けられた無端状のベルトを採用してもよい。この場合、筐体に回転可能に支持される一対のローラを設け、この一対のローラの間にベルトを張設すればよい。
【0071】
そして、前記実施形態では、蓋部材の一例として樹脂製のフィルム106を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、蓋部材として、薄肉のゴムシートを採用してもよい。
【0072】
また、前記実施形態では、撹拌部材の一例として回転軸56Aとフィルム部材56Bとから構成されるアジテータ56を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、撹拌部材を、回転軸と、回転軸から径方向外側に向かって延びる板状の部材とを樹脂で一体形成してもよい。
【0073】
また、前記実施形態では、画像形成装置の一例としてカラープリンタ1を示したが、本発明は、モノクロプリンタや、コピー機、複合機などにも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 カラープリンタ
15 制御装置
53 供給ローラ
53G 供給ローラギヤ
54 現像ローラ
54G 現像ローラギヤ
55 層厚規制ブレード
55A 接触部
56 アジテータ
57 第1オーガ
57G 第1オーガギヤ
58 第2オーガ
58G 第2オーガギヤ
59 第3オーガ
59G 第3オーガギヤ
100 現像カートリッジ
103 壁部
105 連通口
106 フィルム
110 現像室
112 貯留部
120 トナー収容室
T トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像ローラと、前記現像ローラに現像剤を供給する供給ローラと、を有する現像室と、
前記現像室の下方に配置され、現像剤を収容する現像剤収容室と、
前記供給ローラの下部に沿って設けられる壁部と、
前記現像剤収容室の下部から前記供給ローラの上方に向けて現像剤を搬送する縦搬送部材と、を備え、
前記現像室は、前記供給ローラの上方に設けられ、前記縦搬送部材により搬送された現像剤を貯留する貯留部を有していることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像ローラの下部は、前記現像室と前記現像剤収容室とを連通させる連通口を介して、前記現像剤収容室と上下方向で対面し、
前記現像室は、前記現像ローラの前記下部と接触し、前記現像ローラに担持される現像剤の厚みを規制する層厚規制部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像室は、一端が前記壁部の前記現像ローラ側の端部に固定され、他端が前記現像ローラに下方から接触し、前記壁部の前記端部と前記現像ローラとの間を塞ぐように設けられる可撓性の蓋部材を有していることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記縦搬送部材と、前記現像ローラおよび前記供給ローラとは、独立して駆動可能に構成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像剤収容室は、現像剤を撹拌する撹拌部材を備えていることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記現像剤収容室には、前記縦搬送部材に向けて前記現像ローラの軸方向一方側に現像剤を搬送する第1横搬送部材が設けられており、
前記現像室には、前記縦搬送部材で搬送された現像剤を前記軸方向他方側に搬送する第2横搬送部材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の現像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−114078(P2013−114078A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260839(P2011−260839)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】