説明

現場点検システム

【課題】点検作業者がプラント内での点検対象設備の設置場所や点検対象設備内の点検箇所が分からない場合であっても点検作業を実施でき、点検漏れや点検ミスを防止することができる現場点検システムを提供する。
【解決手段】携帯端末2は、製造プラントを構成し点検対象となる機器設備5〜9の場所を特定して表示する機能と、機器設備5〜9における点検箇所を特定して表示する機能と、機器設備5〜9の点検結果を入力する機能とを有する。現場点検管理装置1は、携帯端末2に表示する機器設備5〜9の場所を登録しておく機能と、機器設備5〜9の点検箇所を登録しておく機能と、携帯端末2に機器設備5〜9の場所及び点検箇所に関する情報を送信する機能と、携帯端末2から点検結果を受信する機能とを有する。携帯端末2は、印により機器設備5〜9の場所及び点検箇所を特定して表示し、機器設備5〜9の場所を2次元画像または3次元画像で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造プラントにおいて、プラントの各種製造機器を点検する現場点検システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製造プラントなどの各種製造機器設備の点検において、プロセス監視制御装置などを用いて自動で収集できない各種製造機器設備の状態情報については、点検作業者がプラント現場を巡回して点検を行っている。点検作業者は、プラントやプラント内の各種製造機器設備について精通していない場合もあり、プラント内での点検対象設備の設置場所や点検対象設備内の点検箇所が分からないこともある。このような場合には、点検漏れや点検ミスが生じる可能性がある。従って、点検漏れや点検ミスなどのヒューマンエラーを防止するためには、点検作業者が点検対象設備の設置場所や点検箇所を習得するまで、熟練の現場作業者が点検作業者に同伴する必要がある。
【0003】
従来のプラントの現場点検システムとしては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−285647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、点検作業者がプラント現場内の点検場所(点検対象設備の設置場所)や点検対象設備内の点検箇所が分からない場合、従来は、熟練の現場作業者が点検作業者に同伴してプラント現場へ行き、点検場所や点検箇所を確認して点検している点である。また、点検作業者の点検漏れや点検ミスを防止することである。
【0006】
熟練の現場作業者は、点検作業者への同伴という補助的な業務よりも、より専門的な業務に従事する方がよい。また、プラント全体の作業効率という点から考えても、点検作業者は同伴者なしで点検作業を行うのが好ましい。さらに、一日の点検箇所は2000箇所に及ぶこともあり、点検項目が1000点を超える場合もある。このような場合には、経験のある点検作業者であっても、点検漏れや点検ミスなどのヒューマンエラーを起こしかねない。従って、点検作業者が単独で点検現場へ行くことができ、点検漏れや点検ミスなどを起こさずに設備の点検を行うことができる現場点検システムが望まれている。
【0007】
本発明は、点検作業者がプラント内での点検対象設備の設置場所や点検対象設備内の点検箇所が分からない場合であっても点検作業を実施でき、点検漏れや点検ミスを防止することができる現場点検システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による現場点検システムは、上記課題を解決するため、以下のような特徴を備える携帯端末と現場点検管理装置とを備える。
【0009】
携帯端末は、製造プラントを構成し点検対象となる機器設備の場所を特定して表示する機能と、表示された前記機器設備における点検すべき箇所を特定して表示する機能と、前記機器設備の点検結果を入力する機能とを有する。現場点検管理装置は、前記携帯端末に表示すべき前記機器設備の場所を登録しておく機能と、前記機器設備における点検すべき箇所を登録しておく機能と、前記携帯端末に前記機器設備の場所及び前記機器設備における点検すべき箇所に関する情報を送信する機能と、前記携帯端末から前記点検結果を受信する機能とを有する。
【0010】
前記携帯端末は、印を付けることにより前記機器設備の場所及び前記機器設備における点検すべき箇所を特定して表示することが好ましい。
【0011】
また、前記携帯端末は、前記機器設備の場所を2次元画像または3次元画像で表示することが好ましい。
【0012】
また、前記携帯端末は、前記機器設備に取り付けられた外部媒体に記録された情報を読み取る機能を備えることが好ましい。
【0013】
また、前記携帯端末は、前記機器設備の画像を撮影する機能を備え、前記現場点検管理装置は、前記携帯端末で撮影した前記機器設備の画像を前記携帯端末から受信する機能を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明による現場点検システムを用いると、作業者は、画像情報や文字情報を参照することにより、点検対象設備の設置場所や点検箇所を把握することができるとともに、点検漏れや点検ミスを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による現場点検システムの構成図である。
【図2】本発明による現場点検システムのデータ構成図である。
【図3】本発明による現場点検システムの、携帯端末の画面表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明では、製造プラントを構成する各種製造機器設備であって点検対象となっているものを「点検対象設備」と称する。また、プラント現場のどこに点検対象設備があるかという位置情報、すなわちプラント現場内での点検対象設備の設置場所のことを「点検場所」と称する。また、点検対象設備のどこの部分を点検するかという点検部分、すなわち点検対象設備における点検すべき箇所のことを「点検箇所」と称する。
【0017】
本発明は、携帯端末に画像情報や文字情報を表示し、作業者が点検場所や点検箇所を知らない場合であっても、単独で点検作業場所に行くことができ、点検作業をできるようにするものである。以下、図面を用いて、本発明による現場点検システムの実施例を説明する。
【0018】
図1は、本発明による現場点検システムを適用する全体構成を示す図である。本現場点検システムは、現場点検管理装置1と携帯端末2とを備える。
【0019】
現場点検管理装置1は、コンピュータで構成され、現場点検システムの管理を行い、ネットワーク4と接続されている。ネットワーク4には、無線アクセスポイント3が接続されている。
【0020】
携帯端末2は、無線通信装置を備え、無線アクセスポイント3を経由してネットワーク4と接続される。現場点検管理装置1、無線アクセスポイント3、及びネットワーク4は、プラントの計器室に設置される。携帯端末2は、無線アクセスポイント3とネットワーク4を介して現場点検管理装置1と通信し、データを送受信することができる。また、携帯端末2は、点検現場であるプラント現場でも使用可能である。さらに、携帯端末2は、カメラ機能や外部媒体との通信機能を備えることもできる。カメラ機能と外部媒体との通信機能については、後述する。
【0021】
プラント現場には、コントロールバルブ5、バルブ6、タンク7、電灯盤8、動力盤9、ポンプ(図示せず)などが設置されているが、これらが点検対象設備である。
【0022】
従来の現場点検システムでは、点検場所(位置情報)及び点検箇所を把握していない点検者が点検作業を行う場合、現場を熟知した作業者が同伴し、点検場所及び点検箇所を習得する必要があった。
【0023】
本発明の目的は、現場に不慣れな点検者であっても、点検漏れや点検ミスを起こさずに、設備故障の予防保全として点検作業を円滑に実施できるシステムを提供することにある。
【0024】
図2は、本発明による現場点検システムのデータ構成の一例を示す。現場点検管理装置1は、データベース101を備え、現場点検管理画面105を表示し、携帯端末との通信のための処理である携帯端末通信処理110を行う。また、後述する各種ファイル106〜109を格納する。データベース101には、点検項目管理情報103、及び点検結果情報104が格納される。点検項目管理情報103は、点検項目や点検場所、点検順路といった点検場所や点検箇所に関する情報であり、現場点検管理画面105から追加、変更、削除などの操作を行うことができる。点検結果情報104は、携帯端末2から受信した点検結果に関する情報である。
【0025】
携帯端末2は、点検用データ102を格納し、点検データ入力画面116を表示する。点検用データ102には、後述するように、点検計画111や点検結果データ115などの各種データ111〜115が含まれる。また、カメラ機能118や外部媒体との通信機能であるICタグ通信機能119を備える。
【0026】
ここで、本発明による現場点検システムを用いた現場点検の手順を簡単に説明する。まず、作業者(点検者)121は、携帯端末2を用いて現場点検管理装置1に対して点検計画のダウンロード要求を行う。点検計画のダウンロード要求を受けた現場点検管理装置1は、点検項目管理情報103を基に、携帯端末通信処理110で点検計画111を生成する。作業者121は、生成された点検計画111を携帯端末2にダウンロード後、携帯端末2を携帯して現場点検を行う。点検結果は、点検現場で点検データ入力画面116から入力され、点検結果データ115へ格納される。点検完了後、作業者121は、点検結果データ115を現場点検管理装置1へアップロード要求する。アップロード要求を受けた現場点検管理装置1は、携帯端末通信処理110により、点検結果情報104に点検結果データ115を格納する。
【0027】
従来、作業者121は、携帯端末2にダウンロードした点検計画111を基に作成され、点検順路順に点検項目が表示された点検データ入力画面116を確認しながら現場点検を行っていた。しかし、点検データ入力画面116に点検順路順の点検項目を表示するだけでは、点検場所や点検箇所が分からないなどの現場点検作業に不慣れな作業者の場合には、点検漏れや点検ミスの原因となっていた。
【0028】
本発明による現場点検システムでは、現場点検管理装置1に地図情報(2次元)ファイル106、地図情報(3次元)ファイル107、及び点検箇所ファイル108を設け、点検項目管理情報103と結びつけて点検場所及び点検箇所を明確にして携帯端末2に表示することにより、作業者121が正しく点検できることが可能となる。地図情報(2次元)ファイル106と地図情報(3次元)ファイル107は、工場の敷地図面や航空写真、各建物の設計図面、または独自に作成したフロア図などの電子情報であり、それぞれ2次元と3次元の地図情報である。点検箇所ファイル108は、点検対象設備を写真撮影した電子ファイルや、独自に作成し点検箇所を明確にした点検箇所指定図などの電子情報である。地図情報(2次元)ファイル106、地図情報(3次元)ファイル107、及び点検箇所ファイル108は、現場点検管理装置1に予め登録しておく。
【0029】
点検場所及び点検箇所は、現場点検管理装置1の現場点検管理画面105で登録する。点検場所の登録は、地図情報(2次元)ファイル106や地図情報(3次元)ファイル107の地図情報を現場点検管理画面105に表示し、画面上で点検場所をポインティングデバイスなどで指定することにより点検場所の座標を取得し、点検項目管理情報103に格納する。点検箇所の登録は、点検箇所ファイル108の電子ファイルに点検箇所をマーキングしたり点検箇所指定図などの電子情報を読み込んだりして指定し、この指定情報を点検項目管理情報103に格納する。
【0030】
この点検場所及び点検箇所の登録を行うことにより、作業者121が携帯端末2に点検計画111をダウンロードする際に、携帯端末通信処理110は、地図情報(2次元)ファイル106、地図情報(3次元)ファイル107、及び点検箇所ファイル108を参照して、地図情報データ(2次元)112、地図情報データ(3次元)113、及び点検箇所データ114をそれぞれ生成する。地図情報データ(2次元)112、地図情報データ(3次元)113、及び点検箇所データ114は、それぞれ地図情報(2次元)ファイル106、地図情報(3次元)ファイル107、及び点検箇所ファイル108に対応する携帯端末2用のデータであり、点検計画111とともに携帯端末2へダウンロードされる。
【0031】
地図情報データ(2次元)112、及び地図情報データ(3次元)113は、携帯端末2の点検データ入力画面116で表示されるときに、現場点検管理画面105で登録されて点検項目管理情報103に格納された点検場所の座標に基づき、点検場所にマーカーで印が付けられる。これにより、携帯端末2は、点検場所を特定して表示することができる。
【0032】
また、点検箇所データ114は、携帯端末2の点検データ入力画面116で表示されるときに、現場点検管理画面105で登録されて点検項目管理情報103に格納された指定情報に基づき、点検箇所にマーカーで印が付けられる。これにより、携帯端末2は、点検箇所を特定して表示することができる。
【0033】
作業者121は、点検データ入力画面116に、点検場所が示された地図情報や点検箇所を示す点検場所/点検箇所画像画面122を表示し、点検場所、点検順路、及び点検箇所を確認しながら点検作業をすることが可能となる。点検場所/点検箇所画像画面122は、点検用データ102の各データに基づいて表示される。
【0034】
現場点検管理画面105からは、点検場所や点検箇所を示す画像情報(地図情報)のほかに、点検場所や点検箇所を文字情報として点検項目管理情報103に登録することができる。この文字情報は、場所コメントや点検箇所コメントとして点検項目管理情報103に予め登録しておく。登録された文字情報は、点検計画111に含まれて携帯端末2へダウンロードされる。ダウンロードした文字情報は、作業者121が任意で点検場所/点検箇所ガイダンス画面123として表示することができ、さらに確実な点検作業が可能となる。
【0035】
図3に、携帯端末2の画面表示の一例を示す。図3には、携帯端末2の点検データ入力画面116が表示する点検場所/点検箇所画像画面122、及び点検場所/点検箇所ガイダンス画面123の例を示す。
【0036】
点検場所/点検箇所画像画面122aには、地図情報データ(2次元)112が表示されている。この例では、点検場所/点検箇所画像画面122aに複数のポンプ10が表示されているが、点検対象のポンプには、点検項目管理情報103に基づき点検場所マーカー11が付けられている。作業者121は、点検場所マーカー11が付けられたポンプ10が点検場所であると特定することができる。また、点検場所/点検箇所ガイダンス画面123aとして文字情報を表示することもできる。点検場所/点検箇所ガイダンス画面123aに表示されている文字情報は、点検項目管理情報103に文字情報として登録されている場所コメントである。
【0037】
点検場所/点検箇所画像画面122bは、地図情報データ(3次元)113が表示されている例である。点検場所/点検箇所画像画面122aと同様に、点検場所/点検箇所画像画面122bには複数のポンプ10が表示されており、点検項目管理情報103に基づいて点検場所マーカー11が付けられたポンプ10が点検場所である。また、点検場所/点検箇所ガイダンス画面123bとして文字情報を表示することもできる。このように、本発明による現場点検システムでは、3次元の地図情報を表示することで、点検場所をより正確に表示し、不慣れな作業者(点検者)に対しても点検場所を明確にすることが可能である。
【0038】
点検場所/点検箇所画像画面122cには、点検箇所データ114が表示されている。この例では、点検場所/点検箇所画像画面122cに点検対象のポンプ10が表示されているが、ポンプ10の点検箇所には、点検項目管理情報103に基づき点検箇所マーカー12が付けられている。作業者121は、点検箇所マーカー12が付けられた箇所が点検箇所であると特定することができる。また、点検場所/点検箇所ガイダンス画面123cとして文字情報を表示することもできる。点検場所/点検箇所ガイダンス画面123cに表示されている文字情報は、点検項目管理情報103に文字情報として登録されている点検箇所コメントである。
【0039】
また、点検データ入力画面116には、点検が完了した点検項目に印を付けて表示することができる。図3に示した例では、点検データ入力画面116に黒丸13と白丸14で印を付けている。黒丸13は点検結果が異常の場合の印であり、白丸14は点検結果が正常の場合の印である。このように、点検データ入力画面116を用いると、点検が完了した点検項目とその点検結果を把握することができる。
【0040】
現場点検システムにおいては、現場点検作業時の携帯性の良さから小型の携帯端末を使用してシステムを構築する場合が多いが、移動時や点検作業時の落下、水没などにより携帯端末が故障する例が少なくない。従来の現場点検システムでは、携帯端末に点検データ入力画面116などの専用アプリケーションをインストールして利用していた。このため、携帯端末が故障する度に、アプリケーションのインストールが必要となり、復旧に時間とノウハウが必要であった。
【0041】
本発明による現場点検システムでは、携帯端末2は、専用アプリケーションではなく、一般的なWebブラウザを利用する。すなわち、点検データ入力画面116などとしてWebブラウザを用い、現場点検管理装置1から必要な情報を携帯端末2へダウンロードする方式とした。このため、携帯端末2が故障しても、携帯端末2のWebブラウザの設定をするだけで復旧が可能となり、保守性の向上が可能となる。
【0042】
現場点検時に点検対象設備の故障などを発見した場合、メモをとったり携帯端末2の点検データ入力画面116へコメントを入力したりして文字情報として記録することも可能である。この文字情報は、点検結果データ115のアップロード時に、現場点検管理装置1のデータベース101の点検結果情報104に、コメントとして格納される。しかし、文字情報で点検対象設備の状態(故障の程度など)を正確に表現する事は、難しい場合が多い。
【0043】
そこで、本発明による現場点検システムでは、携帯端末2が備えるカメラ機能118を用いて現場の画像を撮影し、現場撮影画像ファイル117を生成することができる。図3に示した点検場所/点検箇所ガイダンス画面123cに表示されているカメラの撮影ボタン201をポインティングデバイスなどでポイントすることにより、現場の画像を撮影することができる。撮影画像のデータである現場撮影画像ファイル117は、点検結果データ115のアップロード時に、現場点検管理装置1に現場撮影画像ファイル109として格納される。現場撮影画像ファイル109を現場点検管理画面105で表示することにより、文字情報だけでは伝えきれない点検対象設備の正確な情報を、撮影した画像で表現することが可能となる。
【0044】
本発明による現場点検システムでは、点検対象設備に外部媒体が取り付けられている場合は、携帯端末2が備える外部媒体との通信機能を用いて、外部媒体に記録された情報を読み取ることができる。図2に示した例では、外部媒体としてICタグ120を用いており、携帯端末2は、ICタグ通信機能119を用いて、ICタグ120に記録された情報を読み取ることができる。携帯端末2で読み取った情報と点検計画111とを照合することにより、点検対象設備の間違い防止が可能となる。また、点検データ入力画面116で点検結果を入力する際に、点検結果を点検対象設備に取り付けられたICタグ120にも書込むことにより、次回の点検の際に前回値として表示することが可能となる。点検時のデータや状態を前回値とその場で比較する事により、点検対象設備の時系列としての状況把握が可能となる。
【0045】
なお、ICタグ120の代わりに、バーコードなど他の外部媒体を用いてもよい。この場合、携帯端末2は、ICタグ通信機能119の代わりに、用いた外部媒体に適した通信機能を備える。バーコードなど読み取り専用の外部媒体では、データを書き込みことはできないが、記録されているデータを読み取って点検時に使用することができる。
【0046】
本発明による現場点検システムでは、携帯端末2は、未点検の点検対象設備のみを表示する機能を備えることができる。図3に示した点検データ入力画面116aは、点検が未実施の点検対象設備のみを表示している例である。この機能により、点検対象設備の数が多くても、作業者121はこれから点検すべき設備を容易に把握することができ、点検漏れを防止することが可能となる。
【0047】
現場点検作業中に点検対象設備が異常(警報発信中)となっている場合、作業者121は、この点検対象設備を携帯端末2の点検データ入力画面116で把握する必要がある。しかし、点検データ入力画面116で表示される点検項目は1000点を超える場合があり、異常となっている点検対象設備を容易に見つける事は困難である。
【0048】
本発明による現場点検システムでは、図3に示すように、異常(警報発信中)となっている検査対象設備のみを表示するアラーム一覧ガイダンス画面124を点検データ入力画面116に表示することができる。アラーム一覧ガイダンス画面124により、作業者121は、警報を一覧で確認する事が可能となる。
【0049】
以上説明したように、本発明による現場点検システムでは、作業者が点検場所や点検箇所が分からない場合であっても、画像情報や文字情報を参照することにより、点検場所や点検箇所を把握でき、現場点検を行うことができる。さらに、画像情報や文字情報を参照しながら点検することにより、点検漏れや点検ミスを防止することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…現場点検管理装置、2…携帯端末、3…無線アクセスポイント、4…ネットワーク、5…コントロールバルブ、6…バルブ、7…タンク、8…電灯盤、9…動力盤、10…ポンプ、11…点検場所マーカー、12…点検箇所マーカー、13…黒丸、14…白丸、101…データベース、102…点検用データ、103…点検項目管理情報、104…点検結果情報、105…現場点検管理画面、106…地図情報(2次元)ファイル、107…地図情報(3次元)ファイル、108…点検箇所ファイル、109…現場撮影画像ファイル、110…携帯端末通信処理、111…点検計画、112…地図情報データ(2次元)、113…地図情報データ(3次元)、114…点検箇所データ、115…点検結果データ、116…点検データ入力画面、117…現場撮影画像ファイル、118…カメラ機能、119…ICタグ通信機能、120…ICタグ、121…作業者、122…点検場所/点検箇所画像画面、123…点検場所/点検箇所ガイダンス画面、124…アラーム一覧ガイダンス画面、201…撮影ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造プラントを構成し点検対象となる機器設備の場所を特定して表示する機能と、表示された前記機器設備における点検すべき箇所を特定して表示する機能と、前記機器設備の点検結果を入力する機能とを有する携帯端末と、
前記携帯端末に表示すべき前記機器設備の場所を登録しておく機能と、前記機器設備における点検すべき箇所を登録しておく機能と、前記携帯端末に前記機器設備の場所及び前記機器設備における点検すべき箇所に関する情報を送信する機能と、前記携帯端末から前記点検結果を受信する機能とを有する現場点検管理装置と、を備えることを特徴とする現場点検システム。
【請求項2】
請求項1記載の現場点検システムにおいて、
前記携帯端末は、印を付けることにより前記機器設備の場所及び前記機器設備における点検すべき箇所を特定して表示する現場点検システム。
【請求項3】
請求項1記載の現場点検システムにおいて、
前記携帯端末は、前記機器設備の場所を2次元画像または3次元画像で表示する現場点検システム。
【請求項4】
請求項1記載の現場点検システムにおいて、
前記携帯端末は、前記機器設備に取り付けられた外部媒体に記録された情報を読み取る機能を備える現場点検システム。
【請求項5】
請求項1記載の現場点検システムにおいて、
前記携帯端末は、前記機器設備の画像を撮影する機能を備え、前記現場点検管理装置は、前記携帯端末で撮影した前記機器設備の画像を前記携帯端末から受信する機能を備える現場点検システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−113161(P2011−113161A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267090(P2009−267090)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000233549)株式会社日立ハイテクコントロールシステムズ (130)
【Fターム(参考)】