説明

現場調査支援システムおよびそのプログラム

【課題】現場調査に係る作業効率を向上させる。
【解決手段】現場調査支援システム20は、サーバ100と端末200とを備える。サーバ100は、現場調査の調査対象の各々を一意に識別可能な調査対象情報を記憶しており、調査対象情報と対応付けて、調査対象情報に対応する調査対象についての調査結果を入力可能に構成されたGUIデータを端末に送信する。端末200は、サーバ100から取得したGUIデータに基づいて、端末200のディスプレイ250にGUIを表示し、調査対象情報と対応付けた調査結果の入力を受け付け、当該調査結果をサーバに送信する。サーバ100は、調査結果を端末から受信して、調査対象情報と対応付けて記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場調査の支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
各種施設の建設や維持管理、災害復旧などに際して、現場調査が行われている。例えば、下水道施設では、大規模地震が発生すると、下水道の管渠や人孔(マンホール)などが損傷し、本来の機能が損なわれる場合がある。そこで、大規模地震の発生後には、下水道の布設現場に赴き、管渠や人孔の状況を1つずつ確認して、施設の現況把握を行う現場調査が行われる。下水道の管理者は、この現場調査の結果に基づいて、施設の復旧計画を策定する。
【0003】
かかる下水道施設の現場調査では、従来、調査員は、各調査対象の設備(例えば、人孔)について、現場にて、目視確認、測定を行い、調査結果を紙に記録するとともに、現場の状況の写真撮影を行っていた。その後、調査員は、調査結果をオフィスに持ち帰り、調査結果の電子データ化や、各調査対象と撮影した写真とを対応付ける写真整理などの情報整理を行って、調査報告書を作成していた。
【0004】
しかしながら、上述した従来の現場調査手法は、効率の面から改善の余地を残していた。例えば、下水道施設を構成する設備の数は、膨大な量であり、各調査対象の調査結果をデジタル化する作業は、調査員にかなりの負担を強いていた。また、設備の数に比例して、写真の数も膨大となり、各調査対象と撮影した写真とを対応付ける写真整理作業も大きな負担となっていた。特に、上述した人孔を調査対象とする場合には、異なる人孔を撮影した複数の写真間での見た目の違いはほとんどなく、写真整理作業は煩雑なものとなっていた。
【0005】
あるいは、調査員は、現地の地理に明るい者が行うとは限らないので、現地で調査対象を見つけるのに苦労することがあった。特に、大規模地震の発生時には、被災地域以外の地域に在住の調査員が、災害支援として派遣される場合が多いので、このような問題は顕著であった。
【0006】
上述した問題は、下水道施設に限らず、上水道施設、鉄道、道路などの各種施設に共通するものであった。また、災害時の施設の現況調査に限らず、各種施設、設備の維持管理、施設建設予定地を選定するフィールド調査などにも共通するものであった。さらに、地理的に分散配置された施設を対象とする現場調査に限らず、各種構造物、建築物、プラントなどを対象としての、建設工事現場での工事記録の管理、建設工事の施工監理、竣工後の維持管理検査など、種々の現場調査に共通する問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−60074号公報
【特許文献2】特開2007−25911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の問題の少なくとも一部を踏まえ、本発明が解決しようとする課題は、現場調査に係る作業効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]ネットワークを介して接続されたサーバおよび端末を備え、現場調査を支援する現場調査支援システムであって、
前記サーバは、
前記現場調査の調査対象の各々を一意に識別可能な調査対象情報を記憶する第1の記憶部と、
前記調査対象情報と対応付けて、該調査対象情報に対応する調査対象についての調査結果を入力可能に構成されたGUIデータを前記端末に送信するGUI送信部と、
前記送信したGUIデータを用いて入力された前記調査結果を前記端末から受信する調査結果受信部と、
前記受信した調査結果を、該調査結果に対応する前記調査対象情報と対応付けて記憶する第2の記憶部と
を備え、
前記端末は、
前記サーバから前記GUIデータを取得するGUI取得部と、
前記取得したGUIデータに基づいて、前記端末が備えるディスプレイにGUIを表示するGUI表示部と、
前記表示されたGUIを介して、前記調査対象情報と対応付けた前記調査結果の入力を受け付ける受付部と、
前記受け付けた調査結果を前記サーバに送信する調査結果送信部と
を備えた現場調査支援システム。
【0011】
かかる構成の現場調査支援システムによれば、調査員は、調査現場において、端末を用いて調査結果を入力する操作を行うだけで、サーバ上で、調査対象ごとの調査結果を電子データで管理することができる。したがって、現地調査結果を調査実施後に整理する作業が必要なくなり、オフィスで調査結果のデジタル化作業や写真整理作業を行う場合と比べて、調査の効率が大幅に向上する。しかも、端末は、サーバから受信したGUIデータを用いて、調査結果の入力を受け付けるので、端末の各々がGUIを記憶しておく必要が無い。そのため、端末の構成を簡略化することができ、高い汎用性が得られる。
【0012】
[適用例2]適用例1記載の現場調査支援システムであって、前記サーバは、前記調査対象の各々の位置を示す位置図を前記端末に送信する位置図送信部を備え、前記端末は、前記サーバから前記位置図を取得する位置図取得部と、前記取得した位置図を前記ディスプレイに表示する位置図表示部とを備えた現場調査支援システム。
【0013】
かかる構成の現場調査支援システムによれば、調査員は、調査現場において、端末を用いて調査対象の各々の位置を確認することができるので、調査対象の配置図面を必ずしも持ち歩く必要がない。その結果、現地調査を行う際の利便性が向上する。
【0014】
[適用例3]前記位置図送信部は、前記第2の記憶部が記憶する調査結果に基づく調査情報を、前記位置図上に前記調査対象の各々と対応付けて付加して、該調査情報が付加された位置図を送信する適用例2記載の現場調査支援システム。
【0015】
かかる構成の現場調査支援システムによれば、調査員は、調査現場において、端末を用いて、調査済みの調査対象の調査情報を参照することができる。あるいは、現場など、オフィス以外の場所においても、最新の調査情報に基づいて、調査状況の確認や調査の方針の協議を行うことができる。その結果、現場調査を行う際の利便性が向上し、あるいは、協議を行う際の効率が向上する。
【0016】
[適用例4]前記調査結果に基づく情報は、前記現場調査の進捗情報である適用例3記載の現場調査支援システム。
【0017】
現場調査の進捗情報は、調査の方針検討に際して、重要な確認事項となる。適用例4の現場調査支援システムによれば、現場など、オフィス以外の場所においても、最新の進捗情報に基づいて、調査の方針の協議を行うことができる。
【0018】
[適用例5]適用例2ないし適用例4のいずれか記載の現場調査支援システムであって、前記第1の記憶部は、前記調査対象情報の各々と、該各々の調査対象情報に対応する前記調査対象についての調査予定とを対応付けて記憶し、前記位置図送信部は、前記記憶する調査予定を、前記位置図上に前記調査対象の各々と対応付けて付加して、該調査予定が付加された位置図を送信する現場調査支援システム。
【0019】
かかる構成の現場調査支援システムによれば、調査員は、調査現場において、端末を用いて、調査予定、例えば、当日に調査すべき調査対象を参照することができる。その結果、調査員が調査対象を間違えて調査することを抑制することができる。あるいは、調査員は、予定が記載された図面等を必ずしも持ち歩く必要がない。
【0020】
[適用例6]適用例2ないし適用例5のいずれか記載の現場調査支援システムであって、前記第1の記憶部は、前記調査対象情報の各々と、該各々の調査対象情報に対応する前記調査対象を調査する調査員を表す調査員情報とを対応付けて記憶し、前記位置図送信部は、前記記憶する前記調査員情報を、前記位置図上に前記調査対象の各々と対応付けて付加して、該調査員情報が付加された位置図を送信する現場調査支援システム。
【0021】
かかる構成の現場調査支援システムによれば、複数の調査員で現地調査を行う場合に、各調査員は、調査現場において、端末を用いて、自己の担当の調査対象を参照することができる。その結果、調査員が調査対象を間違えて調査することを抑制することができる。あるいは、調査員は、自己の予定が記載された図面等を必ずしも持ち歩く必要がない。
【0022】
[適用例7]適用例1ないし適用例6のいずれか記載の現場調査支援システムであって、前記調査対象の各々は、相互に異なる場所に存在し、前記第1の記憶部は、前記調査対象情報の各々と、該調査対象情報に対応する前記調査対象の地理座標とを対応付けて記憶し、前記サーバは、前記端末から指定された前記調査対象情報に対応する前記調査対象の地理座標の位置を示す地図画像を前記端末に送信する地図画像送信部を備え、前記端末は、前記調査対象情報を指定して、前記サーバに要求を行い、該サーバから前記地図画像を取得する地図画像取得部と、前記取得した地図画像を前記ディスプレイに表示する地図画像表示部とを備えた現場調査支援システム。
【0023】
かかる構成の現場調査支援システムによれば、調査員は、調査現場において、端末を用いて、特定の調査対象のみを表示した地図画像を確認することができる。その結果、調査現場の地理に不案内であっても、特定の調査対象に効率的にたどり着くことができ、作業効率が向上する。
【0024】
[適用例8]適用例7記載の現場調査支援システムであって、前記端末は、該端末の地理座標を取得するGPS受信機を備え、前記地図画像取得部は、前記調査対象情報に加えて、前記取得した端末の地理座標を指定して、前記サーバへの要求を行い、該サーバから、前記指定した調査対象情報に対応する調査対象の地理座標の位置と、前記端末の地理座標の位置とを示す前記地図画像を取得する現場調査支援システム。
【0025】
かかる構成の現場調査支援システムによれば、調査員は、端末を用いて、特定の調査対象の位置と、端末の位置、すなわち、調査員の位置とを、地図上で確認することができる。その結果、特定の調査対象にたどり着くための道筋をより簡単に把握することができ、作業効率がさらに向上する。
【0026】
[適用例9]適用例2ないし適用例6のいずれか記載の現場調査支援システムであって、前記調査対象の各々は、相互に異なる場所に存在し、前記端末は、該端末の地理座標を取得するGPS受信機を備え、前記位置図送信部は、前記端末から前記端末の地理座標を受信して、該受信した端末の地理座標の位置を前記位置図上に付加して、該受信した地理座標の位置が付加された位置図を前記端末に送信し、前記位置図取得部は、前記取得した端末の地理座標を指定して、前記サーバに要求を行い、該サーバから前記受信した地理座標の位置が付加された位置図を取得する現場調査支援システム。
【0027】
かかる構成の現場調査支援システムによれば、調査員は、端末を用いて、各々の調査対象の位置と、調査員の位置との関係を、地図上で確認することができる。その結果、調査員は、各々の調査対象と、自己との位置関係を容易に把握できるので、効率的な調査順序を設定して、各々の調査対象を調査することができる。
【0028】
また、本発明は、上述した現場調査支援システムのほか、現場調査支援システムを構成するサーバ、端末、これらのプログラム、当該プログラムを記録した記憶媒体、現場調査方法などとしても実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例としての現場調査支援システム20の概略構成を示す説明図である。
【図2】サーバ100の概略構成を示す説明図である。
【図3】サーバ100の調査対象情報テーブル121の具体例を示す説明図である。
【図4】サーバ100の調査結果テーブル122の具体例を示す説明図である。
【図5】端末200の概略構成を示す説明図である。
【図6】調査結果入力処理の流れを示すシーケンス図である。
【図7】調査対象を選択するためのGUI1の具体例を示す説明図である。
【図8】調査結果(文字データ)を入力するためのGUI2の具体例を示す説明図である。
【図9】調査結果(写真データ)を入力するためのGUI3の具体例を示す説明図である。
【図10】レイアウト図表示処理の流れを示すシーケンス図である。
【図11】レイアウト図の具体例を示す説明図である。
【図12】調査対象地図表示処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
A.実施例:
A−1.ネットワーク構成:
本発明の実施例について説明する。本発明の現場調査支援システムの実施例としての現場調査支援システム20の概略構成を図1に示す。図示するように、現場調査支援システム20は、サーバ100と端末200とを備えている。サーバ100は、ローカルエリアネットワークLANを介して、インターネットINTに接続されている。端末200は、移動体通信網を利用した通信が可能であり、基地局BSを介して、インターネットINTに接続可能に構成されている。なお、サーバ100と端末200とは、ネットワークを介して通信可能に接続されていればよく、ネットワークの種類や通信手段は問わない。例えば、サーバ100は、無線LANを介してインターネットINTに接続されていてもよい。あるいは、サーバ100と端末200とは、インターネットINTに代えて、他のWAN(Wide Area Network)を介して、接続されてもよい。また、サーバ100や端末200は、複数台であってもよい。
【0031】
かかる現場調査支援システム20において、端末200は、現場調査の調査員の操作に基づいて、現場調査の結果の入力を受け付けて、サーバ100に送信する。サーバ100は、この現場調査結果を、調査対象と対応付けて管理する。以下、現場調査支援システム20の詳細について説明する。なお、以下の説明では、現場調査支援システム20を用いて、大規模地震発生後における下水道施設の人孔の現況把握調査を行うものとして説明する。
【0032】
A−2.サーバ100の構成:
サーバ100の概略構成を図2に示す。サーバ100は、所定のプログラムがインストールされた汎用のパーソナルコンピュータである。図2に示すように、サーバ100は、CPU110、ハードディスクドライブ120、ROM130、RAM140、LANインタフェース150を備えており、それぞれがバスで接続されている。なお、ディスプレイや入力機構は、図示を省略している。
【0033】
CPU110は、ハードディスクドライブ120やROM130に記憶されたファームウェアやOSをRAM140に展開して実行することで、サーバ100全体の制御を司る。また、CPU110は、ハードディスクドライブ120に記憶されたプログラムを実行することで、GUI送信部111,調査結果受信部112,位置図送信部113,地理画像送信部114としても機能する。これらの機能部の詳細については後述する。
【0034】
インタフェース150は、ローカルエリアネットワークLANに接続するためのインタフェースであり、サーバ100は、インタフェース150を介してローカルエリアネットワークLANに接続されている。ハードディスクドライブ120には、上述した機能部の機能を実現するためのプログラムのほか、調査対象情報テーブル121、調査結果テーブル122、地図データ123が記憶されている。
【0035】
調査対象情報テーブル121には、現場調査の調査対象、つまり、人孔の各々を一意に識別可能な調査対象情報が記録される。調査対象情報テーブル121の具体例を図3に示す。図示する例では、人孔番号に加えて、地理座標と調査予定と調査員とが、人孔番号と対応付けられて記録されている。人孔番号は、人孔の識別番号であり、上述の調査対象情報に該当する。地理座標は、人孔番号に対応する人孔の地理座標であり、緯度および経度の情報である。調査予定は、人孔番号に対応する人孔の調査予定を示している。調査員は、人孔番号に対応する人孔を調査する予定の調査員を表している。例えば、人孔番号MH1の人孔は、地理座標(緯度,経度)=(x1,y1)に位置し、4月1日に調査員Aによって調査される予定である。調査対象情報テーブル121の情報は、ユーザによって予め調査対象情報テーブル121に登録される。
【0036】
調査結果テーブル122には、サーバ100から受信した人孔の調査結果が、人孔番号と対応付けて記録される。調査結果テーブル122の具体例を図4に示す。図示する例では、人孔番号と、調査結果としての異常の有無、段差の有無、調査日、調査員などが対応付けて記録されている。例えば、人孔番号MH1の人孔は、4月1日に調査員Aが現場調査した結果、異常なしと判断されている。調査結果テーブル122の情報は、後述する調査結果入力処理によって、端末200から調査結果を受信したサーバ100によって記録される。本実施例では、調査日は、異常の有無について記録された日が記録される。また、調査員は、調査員に貸与される端末200が、調査員が入力する当該調査員の識別情報(ここでは、ログインユーザ名)を受け付けて、調査結果と紐付けてサーバ100に送信し、サーバ100が登録する。なお、調査対象情報テーブル121と調査結果テーブル122とは、一体で構成されていてもよい。また、現場調査支援システム20によって、複数の現場の調査を行う場合には。現場ごとに、調査対象情報テーブル121と調査結果テーブル122を用意してもよいし、各エントリに、現場の識別番号が記録されてもよい。
【0037】
地図データ123は、市販の電子地図データ提供ソフトであり、現地調査の調査地域全体を含む範囲の地図データが記録されている。この地図データ123は、地理座標と、道路情報や背景情報を構成するベクトルデータと、文字情報を構成するテキストデータとを備えており、所望の範囲の地図画像データを所望の尺度で生成することができる。
【0038】
A−3.端末200の構成:
端末200の概略構成を図5に示す。端末200は、本実施例では、携帯電話である。ただし、端末200は、持ち運び可能、かつ、調査現場においてサーバ100とデータ通信が可能な通信端末であればよく、例えば、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)通信が可能なPDA(Personal Digital Assistant)やノートパソコンなどであってもよい。図5に示すように、端末200は、CPU210、FROM(フラッシュROM)220、ROM230、RAM240、ディスプレイ250、移動体通信網インタフェース260、カメラ270,GPS受信機280を備えており、それぞれがバスで接続されている。
【0039】
CPU210は、FROM220やROM230に記憶されたファームウェアやOSをRAM240に展開して実行することで、端末200全体の制御を司る。また、CPU210は、FROM220に記憶されたプログラムを実行することで、GUI取得部211,GUI表示部212、受付部213,調査結果送信部214,位置図取得部215,位置図表示部216,地図画像取得部217、地図画像表示部218としても機能する。これらの機能部の詳細については後述する。
【0040】
ディスプレイ250は、タッチパネル式のディスプレイであり、本実施例では、入力機構を兼ねた構成となっている。移動体通信網インタフェース260は、移動体通信の規格に準拠した通信を行うための制御回路であり、変調器やアンプ、アンテナといったハードウェアを備えている。カメラ270は、本実施例では。CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)式のデジタルスチルカメラである。GPS受信機280は、GPS(GLOBAL POSITIONING SYSTEM)衛星からの電波を受信し、解析することによって、端末200の地理的位置を表す地理座標を取得する。
【0041】
A−4.調査結果入力処理:
上述したサーバ100と端末200とを備えた現場調査支援システム20における調査結果入力処理について説明する。調査結果入力処理とは、現場調査の結果を端末200からサーバ100に送信し、サーバ100に登録する処理である。調査結果入力処理の流れを図6に示す。図示するように、調査結果入力処理では、まず、端末200のCPU210が、GUI取得部211の処理として、GUIデータ要求を端末200に送信する(ステップS310)。この処理は、本実施例では、調査現場に赴いた調査員の操作に基づいて、CPU210がWEBブラウザを用いて、サーバ100の所定のURL(Uniform Resource Locator)にアクセスすることによって実行される。
【0042】
一方、サーバ100のCPU110は、端末200からGUIデータ要求を受信すると、GUI送信部111の処理として、ハードディスクドライブ120に記憶されたGUI(Graphical User Interface)1のデータをサーバ100に送信する(ステップ410)。このGUI1は、端末200を用いて調査結果を入力するための初期画面である。
【0043】
GUI1の具体例を図7に示す。図示するように、GUI1は、検索画面ウィンドウW11と、調査結果出力ウィンドウW12とを備えている。検索画面ウィンドウW11は、検索実行ボタンB11と、入力ウィンドウIW11〜IW13と、レコード追加ボタンB12とを備えている。入力ウィンドウIW11に人孔番号を入力して、検索実行ボタンB11を押すと、入力した番号に一致する人孔番号に対応付けられた調査結果入力用画面(以下、GUI2ともいう)が表示される。GUI2については後述する。なお、入力ウィンドウIW11には、複数の人孔番号を入力してもよい。あるいは、人孔番号の一部を入力してもよい。例えば、人孔番号が1−1,1−2,2−1などの体系となっている場合には、「1−」と入力して検索を行うと、人孔番号1−1,1−2の各々について、調査結果を入力可能なGUI2が、スクロール操作可能に表示される。
【0044】
また、検索画面ウィンドウW11は、入力ウィンドウIW12や入力ウィンドウIW13に図面番号や管渠番号を入力し、検索することで、入力した条件に合致する人孔番号のGUI2を表示させることもできる。この場合、例えば、調査対象情報テーブル121の各エントリに、この検索に用いるための図面番号や管渠番号を対応付けておけばよい。レコード追加ボタンB12は、端末200での操作によって、調査結果テーブル122に新たなエントリを作成するために設けられている。
【0045】
調査結果出力ウィンドウW12は、調査結果を端末200のディスプレイ250に表示するために設けられる。調査結果出力ウィンドウW12は、リスト表示ボタンB13と、レイアウト図表示ボタンB14とを備えている。リスト表示ボタンB13を押すと、調査結果テーブル122に記録された調査結果がリスト化されて、ディスプレイ250に表示される。レイアウト図表示ボタンB14を押すと、調査対象となる人孔の全ての位置が地図上に落とし込まれたレイアウト図がディスプレイ250に表示される。本実施例では、このレイアウト図には、調査結果に基づく情報も付加される。レイアウト図の詳細については、後述する。かかる調査結果出力ウィンドウW12による調査結果の出力は、条件に合致する人孔のみを対象にすることもできる。具体的には、検索画面ウィンドウW11の入力ウィンドウIW11〜IW13のいずれかに検索条件を入力した上で、リスト表示ボタンB13またはレイアウト図表示ボタンB14を押すと、検索条件に合致する人孔のみを対象とした調査結果を出力できる。
【0046】
ここで説明を図6に戻す。端末200のCPU210は、GUI1のデータを受信すると、GUI1をディスプレイ250に表示する(ステップS320)。調査員は。このGUI1を用いて、例えば、所望の人孔番号を入力する。CPU210は、受付部213の処理として、この人孔番号の入力を受け付けて、GUI取得部211の処理として、受け付けた人孔番号を指定したGUIデータ要求を端末200に送信する(ステップS330)。
【0047】
一方、サーバ100では、GUIデータ要求を受信すると、CPU110が、GUI送信部111の処理として、受信したGUIデータ要求によって指定された人孔番号に対応するGUI2のデータを端末200に送信する(ステップS420)。本実施例においては、このGUI2のデータには、指定された人孔番号が付加される。さらに、当該人孔番号に対応する調査結果が調査結果テーブル122に既に格納されている場合には、当該調査結果も付加される。端末200のCPU210は、このGUI2のデータを受信して、GUI表示部212の処理として、GUI2をディスプレイ250に表示する(ステップS340)。
【0048】
GUI2の具体例を図8に示す。GUI2は、人孔番号と対応付けて、当該人孔番号に対応する人孔についての調査結果を入力可能に構成されている。具体的には、GUI2は、調査結果入力ウィンドウW21と、入力ボタンB21と、写真ボタンB22と、地図表示ボタンB23と、関連図面ボタンB24とを備えている。調査結果入力ウィンドウW21は、表示ウィンドウDW21と、入力ウィンドウIW21とを備えている。表示ウィンドウDW21には、人孔番号が表示される。この人孔番号は、GUI1を用いた検索によって抽出された人孔番号、つまり、上記ステップS330のGUIデータ要求で指定された人孔番号である。GUI2で入力される情報は、この人孔番号と紐付けされる。なお、本実施例では、利便性向上のために、GUI2上に人孔番号を表示する構成としているが、紐付けされていることは、GUI2に明示されていなくてもよい。
【0049】
入力ウィンドウIW21には、現地調査に基づいて、表示ウィンドウDW21に表示された人孔番号に対応する人孔についての異常の有無が入力される。詳しい説明は省略するが、その他の調査項目、例えば、管径、延長などについても、入力ウィンドウIW21と同様に、それぞれ入力可能となっている。これらの入力ウィンドウは、調査が未実施の項目については、空欄で表示される。一方、調査済みの人孔について、GUI2を表示した場合、GUI2の各入力ウィンドウには、端末200の調査結果テーブル122に格納された調査結果のうちの、表示ウィンドウDW21に表示された人孔番号に対応する調査結果が表示される。かかる構成により、調査員は、自身が、あるいは、他人が過去に調査した調査済みの人孔であるか否かを一見して把握することができる。つまり、誤りによる重複調査を回避でき、効率性が向上する。これらの入力ウィンドウへの調査結果の入力は、入力ボタンB21を押して、閲覧モードから入力モードに切り替わることによって可能となる。
【0050】
写真ボタンB22は、現場の状況をカメラ270によって撮影する際に用いられる。地図表示ボタンB23は、表示ウィンドウDW21に表示された人孔番号に対応する人孔の位置を示す地図を表示する場合に用いられる。この写真ボタンB22および地図表示ボタンB23の詳細については後述する。
【0051】
関連図面ボタンB24は、表示ウィンドウDW21に表示された人孔番号に対応する人孔の設計図面を閲覧したい際に用いる。ハードディスクドライブ120には、各人孔の設計図面が人孔番号と対応付けて記憶されている。調査員が、この関連図面ボタンB24を押すと、CPU210は、人孔番号を指定した設計図面の要求をサーバ100に対して送信する。これに対して、サーバ100のCPU110は、指定された人孔番号に対応する図面を応答する。CPU210は、この設計図面を受信して、ディスプレイ250に表示する。かかる構成によれば、災害前の人孔の諸元を容易に知ることができるので、異常の有無の判断をより正確に行うことができる。
【0052】
ここで、説明を図6に戻す。端末200のCPU210は、GUI2をディスプレイ250に表示すると、受付部213の処理として、GUI2を介して、調査員から調査結果の入力を受け付ける(ステップS350)。入力を受け付けると、CPU210は、調査結果送信部214の処理として、自動的に、受け付けた調査結果をサーバ100に送信する(ステップS360)。なお、送信後においても、入力した情報は、入力ウィンドウにそのまま表示される。この送信される調査結果には、表示ウィンドウDW21に表示された人孔番号が紐付けられている。本実施例においては、GUI2を用いて、1つの入力ウィンドウに入力が為されるごとに、CPU210は、その入力結果を随時サーバ100に送信することとした。ただし、全ての入力ウィンドウの入力を受け付けてから、送信する構成としてもよい。あるいは、送信指示を受け付けてから送信する構成としてもよい。
【0053】
一方、端末200では、調査結果を受信すると、CPU210が、受信した調査結果を、調査結果テーブル122のうちの調査結果に紐付けられた人孔番号に対応するエントリに記録する(ステップS430)。
【0054】
ここで、写真ボタンB22について説明する。図6では、図示を省略したが、調査員が写真ボタンB22を押すと、CPU210は、表示ウィンドウDW21に表示された人孔番号を指定して、GUIのデータ要求をサーバ100に送信する。このとき、CPU210は、自動的に、カメラ270を起動させる。サーバ100のCPU110は、GUIのデータ要求への応答として、GUI3のデータを端末200に送信する。
【0055】
GUI3の具体例を図9に示す。図示するようにGUI3は、表示ウィンドウDW31と、入力ウィンドウIW31〜IW34とを備えている。表示ウィンドウDW31には、GUIデータ要求で指定された人孔番号が表示される。入力ウィンドウIW31〜IW34は、調査報告書における写真整理ページと同一のフォーマットで構成されている。ここで、ユーザが入力ウィンドウIW31〜IW34のいずれかを選択して押した後に、カメラ270を用いて写真撮影を行うと、CPU210は、撮影データと、人孔番号および選択された入力ウィンドウIW31〜IW34のいずれかとを紐付けて、サーバ100に送信する。なお、撮影データの画像は、選択された入力ウィンドウIW31〜IW34のいずれかにも表示される。サーバ100のCPU110は、受信した撮影データを、人孔番号および入力ウィンドウIW31〜IW34のいずれかと紐付けてハードディスクドライブ120に記憶する。なお、既に撮影した撮影データが、ハードディスクドライブ120に記録されている場合には、CPU110は、GUI3のデータの送信時に、当該撮影データを付加して、端末200に送信する。このため、GUI3をディスプレイ250に表示した際には、撮影済みの写真画像が表示される。
【0056】
以上説明した調査結果入力処理によって、調査員の調査結果がハードディスクドライブ120に記録された状態で、調査員が、図7に示したGUI1のリスト表示ボタンB13を押すと、端末200は、現場調査結果の送信要求をサーバ100に送信し、その応答を受信して、ディスプレイ250に表示することができる。また、勿論であるが、サーバ100は、ハードディスクドライブ120に記録された調査結果のデータを、自機に接続された表示装置や印刷装置に出力することができる。
【0057】
かかる構成の調査結果入力処理によれば、調査員は、調査現場において、端末200を用いて調査結果を入力する操作を行うだけで、サーバ100上で、調査対象の人孔ごとの調査結果を電子データで管理することができる。したがって、現地調査結果をオフィスに持ち帰って整理する必要がなく、調査の効率が大幅に向上する。しかも、端末200は、サーバ100から受信したGUIデータを用いて、調査結果の入力を受け付けるので、端末200の各々がGUIを記憶しておく必要が無い。そのため、端末の構成を簡略化することができ、高い汎用性が得られる。さらに、調査項目を増やすなど、調査項目の変更を行いたい場合、サーバ100上でGUIデータを修正する作業を行えば、全ての端末200に反映できるので、調査項目の変更に柔軟かつ効率的に対応できる。また、各端末200がGUIデータを記憶する構成とすれば、ある調査員が調査済みの人孔、すなわち、調査結果テーブル122に調査結果が記録されたエントリの人孔の人孔番号を、他の調査員が誤って入力して、入力した人孔番号と異なる人孔番号の人孔についての調査結果を端末200からサーバ100へ送信してしまった場合には、調査結果テーブル122の調査結果が誤って更新されるおそれが生じる。一方、本実施例のように、端末200がサーバ100からGUIデータを受信する構成とすれば、このような誤った更新を抑制することができる。かかる効果は、上述したように、GUI2の各入力ウィンドウに、実施済みの調査の結果を表示する構成と組み合わせることで、より大きなものとなる。
【0058】
A−5.レイアウト図表示処理:
現場調査支援システム20におけるレイアウト図表示処理について説明する。レイアウト図表示処理とは、所定範囲に存在する調査対象の人孔の各々の位置を示すレイアウト図をディスプレイ250に表示する処理である。レイアウト図は、請求項の位置図に該当する。レイアウト図表示処理の流れを図10に示す。図示するように、レイアウト図表示処理では、まず、端末200のCPU210が、位置図取得部215の処理として、レイアウト図の要求を端末200に送信する(ステップS510)。この処理は、調査員が、図7に示したGUI1のレイアウト図表示ボタンB14を押すことを契機として実行される。なお、検索画面ウィンドウW11において、検索条件が指定された状態で、レイアウト図表示ボタンB14が押されると、CPU210は、入力された検索条件と紐付けたレイアウト図の要求を送信する。
【0059】
一方、サーバ100のCPU110は、位置図送信部113の処理として、端末200からレイアウト図の要求を受信すると、地図データ123に各人孔の位置を重畳するとともに、各人孔の異常の有無と調査の進捗とを付加したレイアウト図を生成する(ステップS610)。なお、本実施例では、レイアウト図は、最終的にPDF形式のファイルとして生成するものとした。このように、汎用性の高いファイル形式でレイアウト図を生成すれば、端末200で利用しやすくなり、汎用性が高まる。
【0060】
具体的には、CPU110は、受信したレイアウト図の要求に検索条件が紐付いていない場合には、調査対象情報テーブル121に記録された全ての人孔番号に対応する人孔の地理座標を取得する。次に、CPU110は、取得した地理座標が全て収まる範囲の地図データを地図データ123から切り出す。次に、CPU110は、切り出した地図データが表す画像に、各々の人孔の位置を示すマーキング画像を重畳する。その際、マーキング画像は、各人孔の異常の有無と調査の進捗に応じて、異なる表示態様のものが採用される。地図データの尺度は、端末200での利用性や、地図データのデータサイズを考慮して、適宜設定すればよい。
【0061】
ここで生成される重畳画像の具体例を図11に示す。図示する重畳画像では、調査範囲全体に亘って、人孔の位置がマーキング画像「○」,「●」,「□」でプロットされている。「○」は、異常なし(調査済み)、「●」は異常あり(調査済み)を表す。この異常の有無は、調査結果テーブル122の「異常」領域のデータが反映される。「□」は、未調査を表す。未調査であるか否かは、本実施例では、調査結果テーブル122の「異常」領域にデータが格納されているか否かで判断するものとした。
【0062】
本実施例では、上述のように、マーキング画像の形状を変化させることによって、各人孔の異常の有無と調査の進捗とを地図データに付加したが、色を変化させる態様としてもよい。つまり、各人孔の異常の有無と調査の進捗の違いに応じて、異なる表示態様で表示するものであればよい。もとより、異なる表示態様を採用する構成に限らず、同じ表示態様で全ての人孔を重畳した上で、文字情報として、各人孔の異常の有無と調査の進捗とを付加してもよい。
【0063】
上述の例では、異常の有無は、調査結果テーブル122の「異常」領域のデータを反映することとしたが、異常の有無の判断は、他の調査項目に基づいて行ってもよい。例えば、CPU110は、調査結果テーブル122の所定の調査項目領域を検索して、所定のキーワードを含む場合に、異常ありと判断してもよい。さらに具体的には、「段差」領域を検索して「浮き」が格納されている場合には、当該エントリの人孔番号に対応する人孔を異常ありと判断してもよい。あるいは、測定数値に基づいて、異常の判断を行ってもよい。例えば、調査対象情報テーブル121または調査結果テーブル122に各人孔の所定調査項目(例えば、勾配)の設計値、または、維持管理時に測定した測定値を記録しておき、この予め記録された数値と、調査によって測定された数値とを比較し、両数値間に所定の乖離がある場合に、異常と判断してもよい。
【0064】
また、異常の有無に代えて、あるいは、加えて、他の調査項目についての調査結果を付加してもよい。また、調査の進捗としては、上述の例では、調査が実施済みか否かの情報を付加したが、これに代えて、あるいは、加えて、調査実施日や調査員などを付加してもよい。つまり、調査結果テーブル122に記録された、調査結果に基づく所望の調査情報を付加すればよい。また、調査対象情報テーブル121に記録された予定情報や調査員の情報を付加してもよい。かかる種々の付加情報は、ユーザが選択設定可能に構成してもよい。なお、レイアウト図に付加情報を付加することは必須ではない。
【0065】
一方、受信したレイアウト図の要求に検索条件が紐付いている場合には、CPU110は、検索条件に合致する人孔番号を調査対象情報テーブル121から検索して、検索された人孔番号に対応する人孔のみを対象として、地理座標を取得し、それに基づいてレイアウト図を生成する。
【0066】
ここで説明を図10に戻す。レイアウト図を生成すると、CPU110は、位置図送信部113の処理として、生成したレイアウト図を端末200に送信する(ステップS620)。端末200のCPU210は、これを受信して、位置図表示部216の処理として、レイアウト図をディスプレイ250に表示する(ステップS520)。本実施例では、レイアウト図は、ディスプレイ250に全画面表示される。GUI2の画面に戻るためには、調査員は、1つ前の画面に戻る操作を行う。
【0067】
かかる構成のレイアウト図表示処理によれば、調査員は、調査現場にいながら、端末200を用いて人孔の各々の位置を確認することができるので、人孔の配置図面を必ずしも持ち歩く必要がない。そのため、調査員の利便性が向上する。また、現場など、オフィス以外の場所においても、最新の調査情報、例えば、調査済み、または、調査未実施の状況や、異常の有無の情報などに基づいて、調査の方針の協議を行うことができる。特に、災害時の現況調査では、体育館、公民館など、オフィスとは異なる場所で、当日の調査の進捗確認や、翌日以降の調査の方針の協議などを行う場合が多い。あるいは、広範囲に亘る工事現場などでは、オフィスや現場事務所への移動に比較的長時間を要するため、工事の進捗確認、検査予定などの簡単な打合せは、現場で行うことがある。これらの場合にも、協議会場で最新の調査情報に基づいて協議を行えるので、作業効率が大幅に向上する。しかも、調査情報は、レイアウト図上に落とし込まれるので、その理解が極めて容易となる。なお、レイアウト図を表示する端末200の種類は、状況に応じて使い分けてもよい。例えば、調査員は、現場調査の際には、小型で持ち運びに便利な携帯電話やPDAを使用し、調査終了後に協議を行う場合には、相対的に大きなディスプレイを備えたノートパソコンを使用してもよい。
【0068】
また、調査員は、調査現場において、端末200を用いて、調査予定、例えば、当日に調査すべき人孔をレイアウト図上で理解容易に確認することができる。その結果、調査員が調査対象を間違えることを抑制することができる。あるいは、調査員は、予定が記載された図面等を必ずしも持ち歩く必要がない。
【0069】
A−6.調査対象地図表示処理:
現場調査支援システム20における調査対象地図表示処理について説明する。調査対象地図表示処理とは、特定の調査対象の位置を示す調査対象地図をディスプレイ250に表示する処理である。調査対象地図は、請求項の地図画像に該当する。調査対象地図表示処理の流れを図12に示す。図示するように、調査対象地図表示処理では、まず、端末200のCPU210が、調査対象である特定の人孔を受け付ける(ステップS710)。具体的には、CPU210は、調査員が、GUI2の地図表示ボタンB23を押した際に、そのGUI2の表示ウィンドウDW21に表示されている人孔番号を受け付ける。
【0070】
人孔番号を受け付けると、CPU210は、GPS受信機280用いて、自機の地理座標を取得する(ステップS720)。地理座標を取得すると、CPU210は、地図画像取得部217の処理として、調査対象地図の要求を端末200に送信する(ステップS730)。この調査対象地図の要求は、人孔番号と、取得した地理座標とを指定して行われる。なお、人孔番号は、複数であってもよい。あるいは、人孔番号に代えて、人孔番号の検索条件であってもよい。
【0071】
一方、端末200のCPU210は、調査対象地図の要求を受信すると、地理画像送信部114の処理として、指定された人孔情報に対応する人孔と、端末200の位置とが表示された調査対象地図を取得する(ステップS810)。本実施例では、CPU210は、インターネットINTを介して、地図画像を提供するサーバに対して、指定された人孔情報に対応する地理座標と、端末200の地理座標とを指定して、これらの地理座標が図示された地図画像を、調査対象地図として取得する。人孔情報に対応する地理座標は、調査対象情報テーブル121を参照して取得される。こうすれば、インターネットINT上に公開されたサービスを利用して、所望の地理画像を容易に取得することができる。ただし、地図画像の取得方法は、上述の例に限るものではなく、レイアウト図と同様に、CPU110が地図データ123を元にして生成してもよい。なお、本実施例では、取得した地図画像は、最終的にPDF形式のファイルに変換するものとした。
【0072】
なお、必ずしも、指定された人孔情報に対応する人孔と、端末200の位置との両方を図示した地図画像を取得する必要はない。端末200が、指定された人孔情報に対応する地理座標と、端末200の地理座標とのうちのいずれか一方のみを指定して、調査対象地図の要求を行う場合には、指定された地理座標に対応する位置のみを図示した調査対象地図を取得すればよい。
【0073】
調査対象地図を取得すると、CPU110は、地理画像送信部114の処理として、当該調査対象地図を端末200に送信する(ステップS820)。一方、端末200のCPU210は、調査対象地図を受信し、地図画像表示部218の処理として、受信した調査対象地図をディスプレイ250に表示する(ステップS740)。
【0074】
かかる調査対象地図表示処理によれば、調査員は、調査現場において、端末200を用いて特定の人孔の位置、例えば、次に調査する人孔の位置と、端末200の位置、すなわち、調査員の位置との関係を、地図上で容易に確認することができる。その結果、特定の人孔にたどり着くための道筋を簡単に把握することができ、作業効率が向上する。特に、災害時の現況調査では、被災地以外の地域から調査員が派遣される場合が多い。このような場合には、調査員は、調査現場の地理に不案内であるので、従来は、所望の人孔に位置にたどり着くために苦労することが多かった。かかる問題は、施設建設予定を複数の候補地から絞り込むためのフォールド調査などでも共通する。調査員は、都市部の調査会社から派遣され、現地の地理に不案内であることが多いからである。しかし、本実施例の調査対象地図表示処理によれば、かかる非効率性が大幅に改善される。
【0075】
上述した端末200の位置を地図表示する構成は、レイアウト図表示処理にも適用することができる。こうすれば、調査員は、端末200を用いて、各々の人孔の位置と、調査員の位置とを、地図上で確認することができる。その結果、調査員は、各々の人孔と、自己との位置関係を容易に把握できるので、効率的な調査順序を設定して各々の調査対象を調査することができる。
【0076】
B.変形例:
上述の実施形態の変形例について説明する。
B−1.変形例1:
上述したGUI2またはGUI3への入力について、入力漏れを防止するための構成を採用することも可能である。例えば、全ての入力項目について入力される前に、つまり、調査結果テーブル122に記録される前に、調査員がGUI2またはGUI3を閉じる操作を行った場合、サーバ100は、端末200に対して、警告メッセージを送信する構成としてもよい。GUI2またはGUI3を閉じる操作は、例えば、セッションの断絶や、異なるWEBページの要求などを検知することで可能である。あるいは、全ての入力項目について入力されるまでは、端末200が、調査結果をサーバ100に送信不能となるように、端末200を構成してもよい。
【0077】
B−2.変形例2:
上述したGUI2への入力について、入力内容の整合性をチェックするための構成を採用することもできる。例えば、サーバ100は、所定のエントリについて、調査結果テーブル122に記録する全ての調査項目の内容を記録した際に、異常の有無と、それ以外の入力項目との整合性をチェックしてもよい。例えば、異常「あり」と段差「浮き」との関係と、異常「なし」と段差「なし」との関係とを紐付けておき、これ以外の関係で記録された場合には、不整合であると判断してもよい。かかる場合、端末200に対して、警告メッセージを送信してもよい。こうすれば、調査員は、警告メッセージによって、入力内容を再度確認することができる。その結果、いずれの入力項目が正しいのかが分からなくなり、再調査を行うとった非効率な状況の発生を回避することができる。
【0078】
B−3.変形例3:
上述した現場調査支援システム20は、下水道施設の調査や災害時の現況把握調査に限らず、種々の現場調査に広く適用することができる。例えば、上水道施設、鉄道、道路などの各種施設についての維持管理検査や、複数の候補地から施設建設予定地を選定する場合のフィールド調査などにも適用可能である。また、地理的に分散配置された施設を対象とする現場調査に限らず、所定の範囲に集約された施設や設備を調査対象とすることもできる。例えば、各種構造物、建築物、プラントなどを対象として、建設工事現場での工事記録の管理、建設工事の施工監理、建設後の維持管理検査などにも適用可能である。集約的な施設に適用する場合、上述したレイアウト図は、例えば、施設内の各設備の配置を表す施設内配置図、プラントを構成する各機器の配置を表す機器配置図などに置き換えればよい。これらの場合、レイアウト図は、例えば、1階機器配置図、2階機器配置図、水処理系設備配置図など、検索条件に合致する設備や機器のみを表示する構成としてもよい。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態における構成要素のうち、独立クレームに記載された要素に対応する要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略、または、組み合わせが可能である。また、本発明はこうした実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、本発明は、現場調査支援システムのほか、現場調査支援システムを構成するサーバ、端末、これらのプログラム、当該プログラムを記録した記憶媒体、現場調査方法などとしても実現することができる。
【符号の説明】
【0080】
20…現場調査支援システム
100…サーバ
110…CPU
111…GUI送信部
112…調査結果受信部
113…位置図送信部
114…地理画像送信部
120…ハードディスクドライブ
121…調査対象情報テーブル
122…調査結果テーブル
123…地図データ
130…ROM
140…RAM
150…LANインタフェース
200…端末
210…CPU
211…GUI取得部
212…GUI表示部
213…受付部
214…調査結果送信部
215…位置図取得部
216…位置図表示部
217…地図画像取得部
218…地図画像表示部
220…FROM
230…ROM
240…RAM
250…ディスプレイ
260…移動体通信網インタフェース
270…カメラ
280…GPS受信機
IW11〜IW13,IW21,IW31〜IW34
DW21,DW31…表示ウィンドウ
W11…検索画面ウィンドウ
W12…調査結果出力ウィンドウ
W21…調査結果入力ウィンドウ
B11…検索実行ボタン
B12…レコード追加ボタン
B13…リスト表示ボタン
B14…レイアウト図表示ボタン
B21…入力ボタン
B22…写真ボタン
B23…地図表示ボタン
B24…関連図面ボタン
BS…基地局
LAN…ローカルエリアネットワーク
INT…インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続されたサーバおよび端末を備え、現場調査を支援する現場調査支援システムであって、
前記サーバは、
前記現場調査の調査対象の各々を一意に識別可能な調査対象情報を記憶する第1の記憶部と、
前記調査対象情報と対応付けて、該調査対象情報に対応する調査対象についての調査結果を入力可能に構成されたGUIデータを前記端末に送信するGUI送信部と、
前記送信したGUIデータを用いて入力された前記調査結果を前記端末から受信する調査結果受信部と、
前記受信した調査結果を、該調査結果に対応する前記調査対象情報と対応付けて記憶する第2の記憶部と
を備え、
前記端末は、
前記サーバから前記GUIデータを取得するGUI取得部と、
前記取得したGUIデータに基づいて、前記端末が備えるディスプレイにGUIを表示するGUI表示部と、
前記表示されたGUIを介して、前記調査対象情報と対応付けた前記調査結果の入力を受け付ける受付部と、
前記受け付けた調査結果を前記サーバに送信する調査結果送信部と
を備えた現場調査支援システム。
【請求項2】
請求項1記載の現場調査支援システムであって、
前記サーバは、前記調査対象の各々の位置を示す位置図を前記端末に送信する位置図送信部を備え、
前記端末は、
前記サーバから前記位置図を取得する位置図取得部と、
前記取得した位置図を前記ディスプレイに表示する位置図表示部と
を備えた現場調査支援システム。
【請求項3】
前記位置図送信部は、前記第2の記憶部が記憶する調査結果に基づく調査情報を、前記位置図上に前記調査対象の各々と対応付けて付加して、該調査情報が付加された位置図を送信する請求項2記載の現場調査支援システム。
【請求項4】
前記調査結果に基づく情報は、前記現場調査の進捗情報である請求項3記載の現場調査支援システム。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれか記載の現場調査支援システムであって、
前記第1の記憶部は、前記調査対象情報の各々と、該各々の調査対象情報に対応する前記調査対象についての調査予定とを対応付けて記憶し、
前記位置図送信部は、前記記憶する調査予定を、前記位置図上に前記調査対象の各々と対応付けて付加して、該調査予定が付加された位置図を送信する
現場調査支援システム。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5のいずれか記載の現場調査支援システムであって、
前記第1の記憶部は、前記調査対象情報の各々と、該各々の調査対象情報に対応する前記調査対象を調査する調査員を表す調査員情報とを対応付けて記憶し、
前記位置図送信部は、前記記憶する前記調査員情報を、前記位置図上に前記調査対象の各々と対応付けて付加して、該調査員情報が付加された位置図を送信する
現場調査支援システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか記載の現場調査支援システムであって、
前記調査対象の各々は、相互に異なる場所に存在し、
前記第1の記憶部は、前記調査対象情報の各々と、該調査対象情報に対応する前記調査対象の地理座標とを対応付けて記憶し、
前記サーバは、前記端末から指定された前記調査対象情報に対応する前記調査対象の地理座標の位置を示す地図画像を前記端末に送信する地図画像送信部を備え、
前記端末は、
前記調査対象情報を指定して、前記サーバに要求を行い、該サーバから前記地図画像を取得する地図画像取得部と、
前記取得した地図画像を前記ディスプレイに表示する地図画像表示部と
を備えた現場調査支援システム。
【請求項8】
請求項7記載の現場調査支援システムであって、
前記端末は、該端末の地理座標を取得するGPS受信機を備え、
前記地図画像取得部は、前記調査対象情報に加えて、前記取得した端末の地理座標を指定して、前記サーバへの要求を行い、該サーバから、前記指定した調査対象情報に対応する調査対象の地理座標の位置と、前記端末の地理座標の位置とを示す前記地図画像を取得する
現場調査支援システム。
【請求項9】
請求項2ないし請求項6のいずれか記載の現場調査支援システムであって、
前記調査対象の各々は、相互に異なる場所に存在し、
前記端末は、該端末の地理座標を取得するGPS受信機を備え、
前記位置図送信部は、前記端末から前記端末の地理座標を受信して、該受信した端末の地理座標の位置を前記位置図上に付加して、該受信した地理座標の位置が付加された位置図を前記端末に送信し、
前記位置図取得部は、前記取得した端末の地理座標を指定して、前記サーバに要求を行い、該サーバから前記受信した地理座標の位置が付加された位置図を取得する
現場調査支援システム。
【請求項10】
現場調査の結果を管理するサーバ用のプログラムであって、
前記現場調査の調査対象の各々を一意に識別可能な調査対象情報を記憶する第1の記憶機能と、
前記調査対象情報と対応付けて、該調査対象情報に対応する調査対象についての調査結果を入力可能に構成されたGUIデータを前記端末に送信するGUI送信機能と、
前記送信したGUIデータを用いて入力された前記調査結果を前記端末から受信する調査結果受信機能と、
前記受信した調査結果を、該調査結果に対応する前記調査対象情報と対応付けて記憶する第2の記憶機能と
をコンピュータに実現させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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