説明

現金処理装置

【課題】現金処理装置において正常処理貨幣および異常処理貨幣の両方を管理可能に収納する。
【解決手段】投入者によって投入された貨幣について、識別処理および計数処理が正常に行なわれた正常処理貨幣を正常処理貨幣金庫に収納し、計数処理が不可となった異常処理貨幣を異常処理貨幣金庫に収納して管理するための投入処理機能を有する現金処理装置であり、投入処理機能を司る制御部と、制御部に制御され、前記異常処理貨幣を管理するための異常処理貨幣情報の入力を前記投入者に許容する操作部と、制御部に制御され、操作部を介して入力された異常処理貨幣情報、および、正常に計数処理されて得られた正常処理貨幣を管理するための正常処理貨幣情報を、投入者の識別情報に関係付けて投入処理情報として記憶する記憶部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小売店の店舗等における売上金の投入処理(「入金処理」とも言う)、集計処理、および回収処理を行う現金処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スーパーやコンビニエンスストア等の小売店の店舗においては、店舗のレジスタから回収した売上金である貨幣(紙幣、硬貨)を収納して保管しておく現金処理装置が用いられている。売上金は、現金処理装置の内部に装填された貨幣金庫(紙幣金庫および硬貨金庫庫)に収納される。売上金が収納された貨幣金庫は、一定期間経過時または貨幣金庫の収納容量に応じて、現金管理者や警備会社の担当者によって現金処理装置から売上金が収納されたままで回収される。貨幣金庫が回収された現金処理装置には、新たな貨幣金庫が装填される。
【0003】
この種の現金処理装置では、投入処理時において、計数処理ができない貨幣、例えば、そもそも投入することができない貨幣や、投入されたが識別できない貨幣等は、正常に計数処理されて現金処理装置内の貨幣金庫に収納された貨幣とは別に保管せざるを得ないという課題があった。なお、以下、本願明細書において、正常に計数処理された貨幣を「正常処理貨幣」とも呼び、正常に計数処理できない貨幣を「異常処理貨幣」とも呼ぶ。
【0004】
上記課題の解決を図った従来技術の例として、特許文献1に記載の現金処理装置が提案されている。この現金処理装置では、貨幣の投入処理の過程で紙幣鑑別部によって鑑別不明と鑑別されて紙幣入出金口にリジェクトされた紙幣がある場合、投入担当者に操作部を介してリジェクト紙幣の金種および枚数を入力させるとともに、紙幣入出金口からリジェクト紙幣を再投入させることにより、リジェクト紙幣専用の金庫に収納することが可能である。これにより、従来技術の現金処理装置では、正常に集計処理されて専用の金庫に収納された紙幣とともに、金種不明と鑑別されたリジェクト紙幣をリジェクト紙幣専用の金庫に収納して保管することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−65566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術の現金処理装置では、紙幣入出金口から再投入可能な紙幣、すなわち、再投入時に紙幣入出金口からリジェクト紙幣専用の金庫まで搬送可能な紙幣しか収納することができない。従って、汚損や欠損等により搬送が不可能な紙幣については収納して保管しておくことができない。
【0007】
また、リジェクト紙幣は、現金処理装置への再投入時に投入担当者によって金種および枚数が入力されるが、入力された情報と何ら関係付けられておらず、単にリジェクト紙幣専用の金庫に収納されて保管されるのみである。このため、例えば、入力ミス等により入力情報とリジェクト紙幣専用の金庫に収納・保管されたリジェクト紙幣の金種および枚数とが一致しない場合において、不一致の原因究明が困難となる。また、リジェクトされた理由に関わらず再投入された紙幣をリジェクト紙幣専用の金庫に収納・保管可能であるため、真偽性が疑わしい紙幣も収納・保管が可能である。このため、真偽性が疑わしい紙幣が回収処理される可能性があるが、回収処理後の現金精査時に真偽性が疑わしい紙幣が発見された場合であっても、そのような紙幣の混入原因の究明が困難となる。
【0008】
さらに、硬貨については、そもそも、リジェクトされた硬貨や搬送不可な硬貨に関わらず計数処理が不可な硬貨を現金処理装置に収納して保管することができない。
【0009】
以上説明したように、従来の現金処理装置は、異常処理貨幣の収納および管理の点で不十分であった。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、現金処理装置において正常処理貨幣および異常処理貨幣の両方を管理可能に収納する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0012】
[適用例1]
投入者によって投入された貨幣について、識別処理および計数処理が正常に行なわれた正常処理貨幣を正常処理貨幣金庫に収納し、計数処理が不可となった異常処理貨幣を異常処理貨幣金庫に収納して管理するための投入処理機能を有する現金処理装置であって、
前記投入処理機能を司る制御部と、
前記制御部に制御され、前記異常処理貨幣を管理するための異常処理貨幣情報の入力を前記投入者に許容する操作部と、
前記制御部に制御され、前記操作部を介して入力された異常処理貨幣情報、および、正常に計数処理されて得られた前記正常処理貨幣を管理するための正常処理貨幣情報を、前記投入者の識別情報に関係付けて投入処理情報として記憶する記憶部と、
を備えることを特徴とする現金処理装置。
上記現金処理装置によれば、入力された異常処理貨幣情報と、正常に計数処理されて得られた正常処理貨幣を管理するための正常処理貨幣情報とを、投入者の識別情報に関係付けておくことができ、正常処理貨幣および異常処理貨幣の両方を容易に管理することが可能である。
【0013】
[適用例2]
適用例1記載の現金処理装置であって、さらに、
前記制御部に制御され、明細票を印字する印字部を備え、
前記制御部は、前記操作部を介して前記投入者による前記異常処理貨幣情報の入力を受け付けた場合に、前記明細票として前記投入処理情報を前記印字部に印字させることを特徴とする現金処理装置。
この現金処理装置によれば、投入処理情報を明細票として印字することができるので、例えば、異常処理貨幣を明細票とともにまとめておけば、管理が容易になる。
【0014】
[適用例3]
適用例2記載の現金処理装置であって、さらに、
前記投入者によって前記異常処理貨幣および前記明細票が封入された異常処理貨幣封入体の前記投入者による投入を許容する異常処理貨幣投入部と、
投入された前記異常処理貨幣封入体を収納する前記異常貨幣収納金庫と、
を備えることを特徴とする現金処理装置。
この現金処理装置によれば、異常処理貨幣および投入処理情報が印字された明細票を纏めて異常処理貨幣封入体に入れて、異常貨幣収納金庫に収納することができるので、正常処理貨幣収納庫に収納された正常処理貨幣と一緒に現金処理装置内に、異常処理貨幣を収納しておくことができる。また、異常処理貨幣と投入処理情報が印字された明細票とが纏めて異常処理貨幣封入体に封入されているので、明細票に印字された異常処理貨幣の情報と封入されている異常処理貨幣とが関係付けられて管理可能に保管することができ、また、明細票に印字された正常処理貨幣の情報により正常処理貨幣収納金庫に収納されている正常処理貨幣を管理可能に保管することができる。
【0015】
[適用例4]
適用例3記載の現金処理装置であって、
前記制御部は、前記操作部を介して前記投入者による異常処理貨幣情報の入力を受け付けた場合に、前記操作部を介して前記投入者に対して前記異常処理貨幣投入部への前記異常処理貨幣封入体の投入を促すことを特徴とする現金処理装置。
この現金処理装置によれば、投入者による異常処理貨幣情報の入力に続けて、異常処理貨幣および明細票が封入された異常処理貨幣封入体を異常処理貨幣投入部へ投入することができるので、投入忘れを防止することが可能となり、セキュリティ面の向上が可能である。
【0016】
[適用例5]
適用例3または適用例4記載の現金処理装置であって、さらに、
前記制御部に制御され、前記投入者の操作カードに対して情報の読み取りおよび書き込みを実行するカードR/W部を備え、
前記制御部は、前記正常処理貨幣情報および前記異常処理貨幣情報を含む情報の前記操作カードへの書き込みを前記カードR/W部に実行させることを特徴とする現金処理装置。
この現金処理装置によれば、投入者の操作カードに、投入者が投入した貨幣についての正常処理貨幣情報および異常処理貨幣情報を記憶することができる。
【0017】
[適用例6]
適用例3または適用例4記載の現金処理装置であって、さらに、
前記制御部に制御され、管理サーバーと通信を行なうための通信処理部を備え、
前記制御部は、前記投入処理情報の前記管理サーバーへの送信を前記通信処理部に実行させることを特徴とする現金処理装置。
この現金処理装置によれば、投入処理情報を管理サーバーへ送信することができるので、管理サーバー側で管理が可能である。
【0018】
[適用例7]
適用例5記載の現金処理装置であって、
前記制御部は、さらに、前記正常処理貨幣金庫に収納されている前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣金庫に収納されている前記異常処理貨幣封入体中の前記異常処理貨幣を回収する回収処理機能を司り、
前記制御部は、回収処理時において、回収した前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣の情報を含む情報の回収者の操作カードへの書き込みを前記カードR/W部に実行させることを特徴とする現金処理装置。
この現金処理装置によれば、回収処理時において、回収者の操作カードに、回収した正常処理貨幣および異常処理貨幣の情報を含む情報を記憶することができる。
【0019】
[適用例8]
適用例6記載の現金処理装置であって、
前記制御部は、さらに、前記正常処理貨幣金庫に収納されている前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣金庫に収納されている前記異常処理貨幣封入体中の前記異常処理貨幣を回収する回収処理機能を有し、
前記制御部は、回収処理時において、前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣の情報を、回収者の識別情報に関係付けて回収処理情報とし、前記回収処理情報の前記管理サーバーへの送信を前記通信処理装置に実行させることを特徴とする現金処理装置。
この現金処理装置によれば、回収処理時において、正常処理貨幣および異常処理貨幣の情報を、回収者の識別情報に関係付けて回収処理情報として、管理サーバーへ送信することができるので、管理サーバー側で管理が可能である。
【0020】
[適用例9]
適用例5記載の現金処理装置であって、
前記制御部は、さらに、前記正常処理貨幣金庫に収納された前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣金庫に収納された前記異常処理貨幣の累積を集計する集計処理機能を司り、
前記制御部は、集計処理時において、集計した前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣の情報を含む情報の集計者の操作カードへの書き込みを前記カードR/W部に実行させることを特徴とする現金処理装置。
この現金処理装置によれば、集計処理時において、集計者の操作カードに、集計した正常処理貨幣および異常処理貨幣の情報を含む情報を記憶することができる。
【0021】
[適用例10]
適用例6記載の現金処理装置であって、
前記制御部は、さらに、前記正常処理貨幣金庫に収納された前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣金庫に収納された前記異常処理貨幣の累積を集計する集計処理機能を司り、
前記制御部は、集計処理時において、集計した前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣の情報を含む情報を、集計者の識別情報に関係付けた集計処理情報とし、前記集計処理情報の前記管理サーバーへの送信を前記通信処理装置に実行させることを特徴とする現金処理装置。
この現金処理装置によれば、集計処理時において、集計した正常処理貨幣および異常処理貨幣の情報を含む情報を、集計者の識別情報に関係付けた集計処理情報として、管理サーバーへ送信することができるので、管理サーバー側で管理が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施例の現金処理装置としての売上金入金機の構成について示す概略斜視図である。
【図2】売上金入金機の機能ブロック図である。
【図3】現金処理装置を利用したオンラインシステムの例を示す説明図である。
【図4】各種操作カードに応じた処理の開始処理について示すフローチャートである。
【図5】売上金の投入処理について示すフローチャートである。
【図6】投入処理情報が印字された投入明細票の例を示す説明図である。
【図7】手入力貨幣投入処理について示すフローチャートである。
【図8】売上金入金機内に収納されている収納庫の回収処理について示すフローチャートである。
【図9】回収情報が印字された回収明細票の例を示す説明図である。
【図10】投入金額および回収金額の集計処理について示すフローチャートである。
【図11】集計情報が印字された集計明細票の例を示す説明図である。
【図12】第2実施例における売上金入金機の機能ブロック図である。
【図13】第2実施例における売上金の投入処理について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明の実施例を以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.変形例:
【0024】
A.第1実施例:
A1.現金処理装置の構成:
本実施例の現金処理装置としての売上金入金機について説明する前に、一般的な売上金入金機について簡単に説明する。スーパーやコンビニエンスストア等の小売店舗において、店舗のレジスタから回収した売上金である貨幣(紙幣、硬貨)は、投入担当者により売上金入金機に投入される。投入された貨幣は計数され、投入担当者により投入確定操作が行われた後に、現金処理装置の内部に装填された貨幣収納庫(紙幣収納庫および硬貨収納庫)に収納される。収納庫としては、例えば、収納カセットや収納袋等が利用されている。そして、貨幣収納庫内の貨幣は、現金管理者や警備会社の担当者など限定された担当者のみ触れることができるため、それ以外の者は貨幣収納庫にアクセスすることは不可能である。
【0025】
以下、上記一般的な現金処理装置としての売上金入金機を踏まえて、第1実施例としての売上金入金機について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施例の現金処理装置としての売上金入金機の構成について示す概略斜視図である。この売上金入金機10の上面には、紙幣を投入する紙幣投入部101と、硬貨を投入する硬貨投入部111と、手入力貨幣および明細票を封入した手入力貨幣収納封筒701を投入する手入力貨幣投入部121と、が設けられている。また、操作部および表示部を備える操作表示部141と、投入情報や回収情報、集計情報、装置情報等を各種明細票として出力する枚砕氷印字部142と、操作時に使用する操作カードに対して情報の読み取りおよび書き込みを行うカードR/W部143と、が設けられている。売上金入金機10の正面には、投入処理時において金種不明な紙幣および硬貨の返却口である紙幣リジェクト部106および硬貨リジェクト部116と、投入処理のキャンセル時における紙幣および硬貨の返却口ともなる紙幣一時保留部107および硬貨一時保留部117が設けられている。また、貨幣収納庫である紙幣収納庫109および硬貨収納庫119と、手入力貨幣収納庫129とを装填する紙幣収納庫空間131および硬貨収納庫空間132と、貨幣収納庫空間133と、を備える貨幣収納庫装填部130が設けられている。
【0026】
図2は売上金入金機の機能ブロック図である。この売上金入金機10は、上記した貨幣収納庫装填部130、操作表示部141、明細票印字部142、および、カードR/W部143と、紙幣について投入処理を行う紙幣処理部100と、硬貨について投入処理を行う硬貨処理部110と、手入力貨幣について手入力貨幣処理部120と、通信装置および通信網を介して管理サーバー等の外部装置と情報の授受を行う通信処理部144と、各種の処理に必要な情報を記憶するメモリ等の記憶部145と、を備えている。
【0027】
紙幣処理部100は、上記紙幣投入部101と、投入された紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す紙幣繰出部102と、紙幣繰出部102で繰り出された紙幣を搬送する紙幣搬送部103と、紙幣の真偽等を識別する紙幣識別部104と、紙幣識別部104の識別結果に基づいて紙幣を振分ける紙幣振分部105と、紙幣識別部104の識別結果から異常な紙幣と判定された紙幣を排出させる上記紙幣リジェクト部106と、紙幣識別部104の識別結果から正常な紙幣と判定された紙幣を一時保留させる上記紙幣一時保留部107と、紙幣一時保留部107の開閉を制限する紙幣一時保留部ロック機構108と、紙幣一時保留部107に集積された紙幣が所定の枚数に達した場合、または操作表示部141において投入確定操作をした場合に紙幣を収納する紙幣収納庫109と、を備えている。紙幣一時保留部107は、上述の一時保留機能の他、操作表示部141において投入キャンセル操作をした場合に紙幣を返却する紙幣返却部としての機能も有している。紙幣収納庫109としては、収納カセットや収納袋等の種々の収納庫を用いることができる。ここでは、収納カセットを用いることとする。
【0028】
硬貨処理部110は、上記硬貨投入部111と、投入された硬貨を一枚ずつ分離して繰り出す硬貨繰出部112と、硬貨繰出部112で繰り出された硬貨を搬送する硬貨搬送部113と、硬貨の真偽等を識別する硬貨識別部114と、硬貨識別部114の識別結果に基づいて硬貨を振分ける紙幣振分部115と、硬貨識別部114の識別結果から異常な紙幣と判定された硬貨を排出させる上記硬貨リジェクト部116と、硬貨識別部114の識別結果から正常な紙幣と判定された紙幣を一時保留させる硬貨一時保留部117と、硬貨一時保留部117の開閉を制限する硬貨一時保留部ロック機構118と、硬貨一時保留部117に集積された硬貨が所定の枚数に達した場合、または操作表示部141において投入確定操作をした場合に硬貨を収納する硬貨収納庫119とを備えている。硬貨一時保留部117は、上述の一時保留機能の他、操作表示部141において投入キャンセル操作をした場合に硬貨を返却する硬貨返却部としての機能も有している。硬貨収納庫119としては、収納カセットや収納袋等の種々の収納庫を用いることができる。ここでは、収納カセットを用いることとする。
【0029】
紙幣リジェクト部106および硬貨リジェクト部116を、それぞれ売上金入金機10の前面側(図1の正面側)に引き出すことにより、これらに集積された紙幣および硬貨を取り出すことができる。同様に、紙幣返却部としての紙幣一時保留部107および硬貨返却部としての硬貨一時保留部11を、それぞれ売上金入金機10の前面側(図1の正面側)に引き出すことにより、これらに集積された紙幣および硬貨を取り出すことができる。ただし、紙幣一時保留部107および硬貨一時保留部117の開閉、すなわち、装置前面側への紙幣一時保留部107および硬貨一時保留部117の引き出しは、紙幣一時保留部ロック機構108および硬貨一時保留部ロック機構118によって制限される。なお、操作表示部141において投入キャンセル操作をした場合、紙幣一時保留部ロック機構108および硬貨一時保留部ロック機構118のロックを解除することで、紙幣一時保留部107および硬貨一時保留部117から、紙幣および硬貨を取り出すことが可能となる。
【0030】
手入力貨幣処理部120は、上記手入力貨幣投入部121と、投入された手入力貨幣収納封筒701を収納する手入力貨幣収納庫129とを備えている。手入力貨幣収納庫129としては、収納カセットや収納袋等の種々の収納庫を用いることができる。ここでは、収納カセットを用いることとする。
【0031】
貨幣収納庫装填部130は、図1に示すように、紙幣収納庫109を装填する紙幣収納庫空間131と、硬貨収納庫119を装填する硬貨収納庫空間132と、手入力貨幣収納庫129を装填する手入力貨幣収納庫空間133と、を備えている。そして、この貨幣収納庫装填部130を、売上金入金機10の前面側に引き出すことにより、装填された紙幣収納庫109と硬貨収納庫119と手入力貨幣収納庫129とを回収および装填することができる。ただし、貨幣収納庫装填部130の開閉、すなわち、装置前面側への貨幣収納庫装填部130の引き出しは、貨幣収納庫装填部ロック機構138によって制限される。
【0032】
操作表示部141としては、例えば、表示部として一般的に用いられるLCD(Liquid Crystal Display)の画面上に操作部としてのタッチセンサーが一体化して設けられたタッチパネルを用いることができる。ただし、表示部としてのLCDの横側に操作部としての入力キーを別途設ける構成としてもよい。また、表示部としては、LCDではなくCRT等の他のディスプレイを用いることも可能である。
【0033】
また、カードR/W部143としては、例えば、操作カードとしてRFID(Radio Frequency IDentification)カードを用いることとし、RFIDカード用のリーダー/ライターを用いることができる。また、操作カードとしてICカードや磁気カード等を用いることとし、採用した操作カード用のリーダー/ライターを用いる構成としてもよい。
【0034】
操作カードとしては、図1に示すように、売上金である貨幣を投入するときに店舗の投入担当者が使用する投入用カード601iと、紙幣収納庫109、硬貨収納庫119および手入力貨幣収納庫129の回収と装填を行うときに、現金管理者等の回収担当者が使用する回収用カード601cと、売上金である貨幣の投入金額を集計するときに店舗の管理者等の集計担当者が使用する集計用カード601t等がある。このように、処理内容に対応するカードを別けることにより、利用者の使用可能な機能を制限することができる。ただし、操作カードは単に利用者の識別カードとし、IDおよびパスワードの入力等の他の方法または操作カードとIDおよびパスワード入力を組み合わせた方法等を用いて、使用可能な機能を利用者に応じて制限するようにしても良い。
【0035】
制御部140は、各ブロックの動作を制御して各種処理を実行するコンピュータ装置である。
【0036】
図3は現金処理装置を利用したオンラインシステムの例を示す説明図である。店舗A400には、上記売上金入金機10が設置されており、通信装置412によって通信網500に接続されている。通信網500には、売上金入金機10を管理する組織によって運営されている管理センター300内の管理サーバー301が、通信装置302を介して接続されている。
【0037】
売上金入金機10にて売上金の投入処理や回収処理、集計処理が実行されると、売上金入金機10は、通信装置412から通信網500を経由し、通信装置302を介して管理サーバー301に各処理に応じた情報、投入金額等を含む投入処理情報や回収金額等を含む回収処理情報、集計金額等を含む集計処理情報を通知する。管理センター300は、管理サーバー301に通知された情報に従って、種々の処理や管理を行うことができる。例えば、回収処理情報に従って、回収した現金の精査を行うことができる。集計処理情報に従って売上げの管理等を行うことができる。
【0038】
A2.現金処理装置の処理:
以下では、現金処理装置としての売上金入金機10において実行される各種処理について順に説明する。
【0039】
図4は、各種操作カードに応じた処理の開始処理について示すフローチャートである。この処理は、現金処理装置の起動処理に応じて制御部140によって開始される。制御部140は、この処理を開始すると、まず、操作表示部141に待機画面(不図示)を表示させ、操作カードのセットを受け付ける(ステップS100)。操作カードがセットされた場合(ステップS100:YES)、カードR/W部143にてカードの種類を読み取らせ(ステップS502)、セットされたカードの種類に応じて、入金処理(ステップS400)と、回収処理(ステップS500)と、集計処理(ステップS600)のいずれかの処理を開始する。いずれかの処理が終了した場合には、先頭の処理に戻って、操作カードのセットを受け付ける。なお、この処理は、現金処理装置の起動停止処理が開始されるまで、常時実行されている。以下では、(1)投入用カード601iがセットされたときに行われる売上金の投入処理、(2)回収用カード601cがセットされたときに行われる回収処理、(3)集計用カード601tがセットされたときに行われる集計処理について詳細に説明する。
【0040】
(1)投入処理(入金処理)
図5は、売上金の投入処理について示すフローチャートである。制御部140は、操作表示部141に売上金投入画面(不図示)を表示させ、店舗の投入担当者に、売上金である貨幣(紙幣および硬貨)を紙幣投入部101および硬貨投入部111にセットするように指示し、貨幣が投入されるまで待機する(ステップS402)。投入担当者が紙幣および硬貨を紙幣投入部101および硬貨投入部111にセットし、「スタート」ボタン(不図示)を押下すると、制御部140は計数処理を開始する。(ステップS404)。なお、損傷(汚損や変形、しわ、等も含む)により明らかに投入して計数処理させることが不能と思われる貨幣については、最初から別にしておくことが望ましい。
【0041】
制御部140は、紙幣繰出部102を制御して紙幣を1枚ずつ繰り出し、紙幣搬送部103を制御して紙幣識別部104まで紙幣を搬送させ、硬貨繰出部112を制御して硬貨を1枚ずつ繰り出し、硬貨搬送部113を制御して硬貨識別部114まで硬貨を搬送させる。このとき、繰り出しあるいは搬送ができなかった貨幣や、繰り出しあるいは搬送の過程で詰った貨幣のように、搬送不可な貨幣の場合には(ステップS406:NO)、制御部140は、操作表示部141にその旨を示す画面(不図示)を表示させ、投入担当者に搬送不可貨幣を取り除かせるように指示する。そして、投入担当者が搬送不可貨幣を取り除き(ステップS408)、「再開」ボタン(不図示)を押下すると、制御部140は、計数処理を再開する(ステップS410)。一方、搬送可能な貨幣の場合には(ステップS406:YES)、紙幣識別部104および硬貨識別部114を制御して搬送された紙幣および硬貨の識別を行わせる(ステップS412))。
【0042】
紙幣識別部104および硬貨識別部114における識別の結果、正常と判断された場合(ステップS412:YES)、紙幣は紙幣一時保留部107に搬送され、硬貨は硬貨一時保留部117に搬送される(ステップS414)。一方、紙幣識別部104および硬貨識別部114における識別の結果、異常と判断された場合(ステップS412:NO)、紙幣は紙幣リジェクト部106に搬送され、硬貨は硬貨リジェクト部116に搬送される(ステップS416)。ステップS406〜S416の各処理は、紙幣投入部101および硬貨投入部111にセットされた紙幣および硬貨が無くなるまで行われる(ステップS418:YES)。
【0043】
紙幣および硬貨の識別および搬送の終了後、制御部140は、正常に計数処理された貨幣(正常処理貨幣)金額を示す投入金額表示画面(不図示)を操作表示部141に表示させる(ステップS420)。なお、この画面には、搬送不可貨幣やリジェクト貨幣の有無を示す情報、および、「手入力操作」ボタンや「投入確定」ボタン、「キャンセル」ボタンも表示される(不図示)。
【0044】
搬送不可貨幣やリジェクト貨幣、具体的には、例えば、金種不明で投入できずに紙幣リジェクト部106または硬貨リジェクト部116に排出された貨幣や、損傷等があり繰り出しや搬送ができない貨幣、投入前にあらかじめ別にしておいた貨幣等の計数処理が不可能な貨幣(異常処理貨幣)があった場合には、投入担当者が「手入力操作」ボタンを押下することにより、制御部140は、手入力操作が必要と判断し(ステップS422:YES)、操作表示部141に手入力画面(不図示)を表示させる。なお、この手入力画面には、投入する異常処理貨幣の金種の選択画面および金額または数量の入力画面や、「投入確定」ボタン、「キャンセル」ボタンが表示される(不図示)。
【0045】
一方、投入担当者が「投入確定」ボタンを押下した場合には、制御部140は、手入力操作は不要と判断する(ステップS422:NO)とともに、投入確定と判断する(ステップS426:YES)。また、投入担当者が「キャンセル」ボタンを押下した場合にも、制御部140は、手入力操作は不要と判断する(ステップS422:NO)とともに、投入キャンセルと判断する(ステップS426:NO)。
【0046】
投入担当者が、表示された手入力画面にて、投入する異常処理貨幣の金種を選択し、金額または数量を入力して(ステップS424)、「投入確定」ボタンを押下した場合にも、制御部140は、投入確定と判断する(ステップS426)。また、投入担当者が手入力画面にて金種の選択や、金額または数量の入力操作を行った場合であっても、「キャンセル」ボタンを押下した場合には、投入キャンセルと判断する(ステップS426:NO)。
【0047】
投入確定の場合には(ステップS426:YES)、制御部140は、明細票印字部142を制御して、投入処理に関する情報(「投入情報」あるいは「投入処理情報」とも呼ぶ)を明細票に印字させる(ステップS428)。図6は、投入処理情報が印字された投入明細票の例を示す説明図である。投入処理情報としては、正常に計数処理された貨幣(正常処理貨幣)の金種および枚数または金額の情報と、計数処理が不可能となった貨幣(異常処理貨幣)の金種および枚数または金額の情報と、投入担当者に関する情報と、関係付けられて含まれている。そして、この投入処理情報が、例えば、図6に示すように、投入明細票として印字される。図6に示した投入明細票428pには、「投入日時」、投入担当者に関する情報として、投入担当者の識別情報である「カード番号(カードNo.)」、売上入金機の識別情報である「装置番号(装置No.)」、店補の識別情報である「店舗番号(店舗No.)」および「店舗名称」が印字されている。また、投入貨幣情報として、「金種」、金種ごとの「枚数」および「金額」と「合計金額」が印字されている。ただし、枚数には、投入担当者が手入力した異常処理貨幣の枚数も含まれており、括弧内に手入力した異常処理貨幣の枚数の内訳が記載されている。さらにまた、合計金額の内訳として、手入力された異常処理貨幣の合計金額である「手入力計」と、計数処理された貨幣の合計金額である「計数計」と、が記載されている。なお、図6に示した投入明細票は一例であり、この形式に限定されるものではなく、正常処理貨幣の情報と、異常処理貨幣の情報と、投入担当者に関する情報と、が印字されていればどのような形式であってもよい。
【0048】
また、制御部140は、紙幣一時保留部107内の紙幣を紙幣収納庫109に搬送させるとともに、硬貨一時保留部117内の硬貨を硬貨収納庫119に搬送させる(ステップS430)。紙幣および硬貨の移動終了後、制御部140は、通信処理部144を制御して、上記した投入処理情報を管理サーバーに送信させる(ステップS432)。さらに、制御部140は、上記投入処理情報を記憶部145内に記憶し、後述する売上金の回収処理や集計処理に用いる。また、制御部140は、カードR/WW部143を制御して、セットされた投入用カード601iに投入処理情報を記憶する(ステップS434)。尚、投入用カード601iに記憶した情報は、操作表示部141での入力操作で、制御部140の制御により、明細票印字部142から投入明細票の再出力にて用いることもできる。
【0049】
上記した投入金額表示画面あるいは手入力画面において「キャンセル」ボタンが押下されることによりキャンセルが確定の場合には(ステップS426:NO)、制御部140は、紙幣一時保留部ロック機構108および硬貨一時保留部ロック機構118のロックを解除する(ステップS436)。このロックの解除によって、投入担当者は、上記したように紙幣一時保留部107および硬貨一時保留部117を引き出して、紙幣一時保留部107内の紙幣と硬貨返却部118内の硬貨を取り出すことが可能になる。
【0050】
ステップS434またはステップS436の処理を終了した場合には、この投入処理を終了する。そして、制御部140は、図4に示したステップS100に戻り、操作表示部141に待機画面を表示させる。
【0051】
図7は、手入力貨幣投入処理について示すフローチャートである。投入担当者は、図5のステップS424において、投入担当者が手入力画面にて金種の選択や、金額または数量の入力操作を行った貨幣である手入力貨幣(異常処理貨幣)を、ステップS428で印字された投入明細票428pと一緒に、手入力貨幣収納封筒701に封入し(ステップS452)、これを手入力貨幣投入部121に投入する(ステップS454)。これにより、投入担当者が投入した手入力貨幣収納封筒701は、手入力貨幣収納庫129に収納されて保管される。
【0052】
以上説明したように、本実施例の売上金入金機における投入処理によれば、ある投入担当者が売上金の投入処理を実施した場合において、計数処理させることが不可能な貨幣(異常処理貨幣)を手入力情報として入力し、計数処理された情報とともに、投入担当者に関する情報と関係付けて投入処理情報とすることができる。そして、この投入処理情報を投入明細票として印字させることができる。また、正常に計数処理された貨幣(正常処理貨幣)は紙幣収納庫109および硬貨収納庫119に収納して保管することができる。異常処理貨幣は手入力貨幣として投入明細票とともに手入力貨幣収納封筒に封入して、手入力貨幣投入部121に投入することにより、手入力貨幣収納庫129に収納して保管することができる。これにより、売上金入金機10において、ある投入担当者が投入した売上金を、正常処理貨幣と異常処理貨幣とに区別した上で、収納保管することができ、また、異常処理貨幣について、正常処理貨幣の情報や投入担当者に関する情報と関係付けて収納保管しておくことが可能となる。
【0053】
(2)回収処理
図8は、売上金入金機内に収納されている収納庫の回収処理について示すフローチャートである。制御部140は、操作表示部141に収納庫の回収を促す回収指示画面(不図示)を表示させ、貨幣収納庫装填部ロック機構138のロック解除を行う(ステップS502)。回収指示画面を確認した回収担当者は、貨幣収納庫装填部130を開けて、装填されている各種収納庫の回収準備を行う(ステップS504)。そして、回収担当者は、貨幣収納庫装填部130の紙幣収納庫空間131、硬貨収納庫空間132、および手入力貨幣収納庫空間133に装填されている紙幣収納庫109、硬貨収納庫119、および手入力貨幣収納庫129を回収するとともに、回収により装填可能となった各空間にそれぞれ新たな空収納庫を装填する(ステップS506)。次に、回収担当者が貨幣収納庫装填部130を閉めると(ステップS508)、制御部140は、閉められたことを検知して貨幣収納庫装填部ロック機構138をロックさせる(ステップS510)。
【0054】
次に、制御部140は、明細票印字部142を制御して、回収情報を明細票に印字させる(ステップS512)。図9は、回収情報が印字された回収明細票の例を示す説明図である。この回収明細票512pには、「回収日時」、回収担当者に関する情報として、回収担当者の識別情報である「カード番号(カードNo.)」、売上入金機の識別情報である「装置番号(装置No.)」、店補の識別情報である「店舗番号(店舗No.)」および「店舗名称」が印字されている。また、回収貨幣情報として、「金種」、金種ごとの「枚数」および「金額」と「合計金額」が印字されている。ただし、枚数には、前回の回収処理の実施時から今回の回収処理までの間に投入された貨幣の枚数が記載され、括弧内には手入力した異常処理貨幣の枚数の内訳が記載されている。さらにまた、合計金額の内訳として、手入力された異常処理貨幣の合計金額である「手入力計」と、計数処理された貨幣の合計金額である「計数計」と、が記載されている。なお、図6に示した回収明細票は一例であり、この形式に限定されるものではなく、正常処理貨幣の情報と、異常処理貨幣の情報と、回収担当者に関する情報と、が印字されていればどのような形式であってもよい。
【0055】
また、制御部140は、通信処理部144を制御して、回収金額、回収日時、および、カード情報を含む回収情報を管理サーバーに送信させる(ステップS514)。回収金額とは、投入処理(入金処理)毎に記憶部145に記憶された投入金額(入金金額)の合計金額のことである。また、制御部140は、カードR/W部143を制御して、セットされた回収用カード601cに回収金額等の回収情報(ただし、カード情報は不要)を記憶する(ステップS516)。なお、回収用カード601cに記憶した情報は、操作表示部141での入力操作で、制御部140の制御により、明細票印字部142から回収明細票の再出力にて用いることもできる。
【0056】
最後に、制御部140は、記憶部145に記憶された回収金額を0円にリセットし(ステップS518)、この回収処理を終了する。そして、制御部140は、図4に示したステップS100に戻り、操作表示部141に待機画面を表示させる。
【0057】
(3)集計処理
図10は、投入金額および回収金額の集計処理について示すフローチャートである。回収処理を開始すると、まず、制御部140は、前回の集計処理の実施時から今回の集計処理までの間に行われた、投入処理による投入金額(入金金額)および回収処理による回収金額の集計を行う(ステップS602)。その後、制御部140は、明細票印字部142を制御して、集計情報を明細票に印字させる(ステップS604)。図11は、集計情報が印字された集計明細票の例を示す説明図である。この集計明細票604pには、「集計日時」、集計担当者に関する情報として、集計担当者の識別情報である「カード番号(カードNo.)」、売上入金機の識別情報である「装置番号(装置No.)」、店補の識別情報である「店舗番号(店舗No.)」および「店舗名称」が印字されている。また、集計貨幣情報として、「金種」、金種ごとの「枚数」および「金額」と「合計金額」が印字されている。ただし、枚数には、前回の集計処理の実施時から今回の集計処理までの間に投入および回収された貨幣の枚数が記載され、括弧内には手入力した異常処理貨幣の枚数の内訳が記載されている。さらにまた、合計金額の内訳として、手入力された異常処理貨幣の合計金額である「手入力計」と、計数処理された貨幣の合計金額である「計数計」と、が記載されている。なお、図11に示した集計明細票は一例であり、この形式に限定されるものではなく、正常処理貨幣の情報と、異常処理貨幣の情報と、集計担当者に関する情報と、が印字されていればどのような形式であってもよい。
【0058】
また。制御部140は、通信処理部144を制御して、集計情報を管理サーバーに送信させる(ステップS606)。また、制御部140は、カードR/W部143を制御して、セットされた集計用カード601tに集計情報(ただし、カード情報は不要)を記憶し(ステップS608)、この集計処理を終了する。そして、制御部140は、図4に示したステップS100に戻り、操作表示部141に待機画面を表示させる。なお、集計用カード601tに記憶した情報は、操作表示部141での入力操作で、制御部140の制御により、明細票印字部から集計明細票の再出力にて用いることもできる。また、集計された投入金額(入金金額)および回収金額は、記憶部145から削除することが可能であるが、店舗側の運用次第により削除又は維持を選択しても良い。
【0059】
A3.効果:
以上のように、本実施例における現金処理装置としての売上金入金機では、投入処理の過程で汚損等によりリジェクトされた貨幣やそもそも装置内に投入できない貨幣や装置内で搬送不可な貨幣等の入金処理不可な貨幣などの計数処理不可な貨幣(異常処理貨幣)に関し、投入担当者に金種と枚数を入力させ、入力した情報が印字された投入明細票と貨幣を手入力貨幣収納封筒に封入し、封入済みの手入力貨幣収納封筒を売上金入金機10に投入して収納することができる。これにより、従来の現金処理装置において、収納することができなかったそもそも装置内に投入できない貨幣や装置内で搬送不可な貨幣等の入金処理不可な貨幣などの計数処理不可な貨幣を、正常に計数処理された硬貨や紙幣を収納した硬貨収納庫や紙幣収納庫とは別の専用の手入力貨幣収納庫に収納して、同一の機器内にて一緒に管理することができる。これにより、異常処理貨幣を保管する保管庫を別途設ける必要が無く、別に保管するよりも管理に関する負担低減が可能である。
【0060】
また、手入力貨幣収納庫に収納された計数処理不可な貨幣(異常処理貨幣)は、投入担当者による投入処理単位で手入力貨幣収納封筒に、投入情報が印字された投入明細票とともに封入されて管理されているので、正常に計数処理された貨幣(正常処理貨幣)の情報や、投入担当者、投入日時、投入機器、店補、等の関係情報と、関係付けて管理することができるの、管理がより容易になるという効果もある。
【0061】
B.第2実施例:
第1実施例では、図5に示した一連の投入処理の終了後、投入担当者が図7に示した手入力貨幣投入処理を独立して行うことにより、手入力貨幣(異常処理貨幣)および投入明細票428pを封入した手入力貨幣収納封筒701を売上金入金機10の手入力貨幣投入部121から投入している。これに対して、本実施例では、以下で説明するように、投入処理の過程において、制御部140が手入力貨幣処理部120Aを制御することにより、手入力貨幣投入部121からの手入力貨幣収納封筒701の投入を可能とするものである。
【0062】
図12は第2実施例における売上金入金機の機能ブロック図である。この売上金入金機10Aは、図2に示した第1実施例の売上金入金機10と基本的には同じであるが、制御部140と、手入力貨幣処理部120および手入力貨幣処理部120を構成する手入力貨幣投入部121とが、制御部140Aと、手入力貨幣処理部120Aおよび手入力貨幣投入部121Aに置き換えられ、手入力貨幣処理部120が制御部140Aの制御の下に動作する点が異なっている。また、図5に示した売上金の投入処理および図7に示した手入力貨幣投入処理が図13に示した投入処理に置き換えられている点が異なっている。なお、他の処理については、第1実施例と同じであるので、以下では、図13の処理についてのみ説明を加える。
【0063】
図13は、第2実施例における売上金の投入処理について示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、図5に示した第1実施例の売上金の投入処理のフローチャートにおけるステップS428の投入情報の明細票印字処理と、ステップS430の貨幣の収納庫への搬送処理との間に、加えられたステップS429a〜ステップS429eの処理のみを示している。
【0064】
本実施例の売上金の投入処理では、ステップS428の投入明細票印字処理の後、制御部140は、ステップS424における手入力操作の有無を判断し(ステップS429a)、手入力操作がなされなかった場合には(ステップS429a:NO)、第1実施例の場合と同様に、ステップS430の貨幣の収納庫への搬送処理を実行する。一方、手入力力操作がなされていた場合には(ステップS429a:YES)、制御部140は、手入力貨幣投入部121Aを制御してその投入口を開くとともに(ステップS429b)、手入力貨幣(異常処理貨幣)および投入明細票を同封した手入力貨幣収納封筒701の投入を促す投入指示画面(不図示)を操作表示部141に表示させる。このとき、投入担当者は、手入力画面にて金種の選択や、金額または数量の入力操作を行った貨幣である手入力貨幣(異常処理貨幣)を、ステップS428で印字された投入明細票428pと一緒に、手入力貨幣収納封筒701に封入し(ステップS429d)、これを手入力貨幣投入部121Aに投入する(ステップS429d)。投入された手入力貨幣収納封筒701は、手入力貨幣収納庫129に搬送されて、手入力貨幣収納庫129に収納される。また、手入力貨幣投入部121Aに手入力貨幣収納封筒701が投入されると、制御部140はこれを検知して手入力貨幣投入部121Aの投入口を閉じ(ステップS429e)、ステップS430において紙幣一時保留部107内の紙幣を紙幣収納庫109に搬送させるとともに、硬貨一時保留部117内の硬貨を硬貨収納庫119に搬送させるとともに、投入された手入力貨幣収納封筒701を手入力貨幣収納庫129に搬送させて手入力貨幣収納庫129に収納する。
【0065】
以上のように、本実施例における現金処理装置としての売上金入金機では、手入力貨幣処理部を制御することにより、投入処理の過程において、手入力貨幣(異常処理貨幣)を機器内に投入するため、手入力貨幣の投入忘れを防ぐことが可能となり、セキュリティ面の向上が可能となる。
【0066】
C.変形例:
なお、上記実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0067】
例えば、上記実施例では、異常処理貨幣について手入力操作を行うが、商品券などの貨幣以外を入力することとしても良い。
【0068】
また、現金処理装置としての売上金入金機から管理センターへデータ送信する構成としているが、管理センターへのデータ送信の後に、管理センサーから金融機関へのデータ送信を行い、管理センターから金融機関のデータ送信した売上金入金機を有する店舗の口座に投入金額分の振込処理をする構成としてもよい。
【0069】
また、印字する明細票は、操作者用や管理者用として同じ内容のものを同時に複数枚印字することとしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…売上金入金機
10A…売上金入金機
100…紙幣処理部
101…紙幣投入部
102…紙幣繰出部
103…紙幣搬送部
104…紙幣識別部
105…紙幣振分部
106…紙幣リジェクト部
107…紙幣一時保留部
108…紙幣一時保留部ロック機構
109…紙幣収納庫
110…硬貨処理部
111…硬貨投入部
112…硬貨繰出部
113…硬貨搬送部
114…硬貨識別部
115…紙幣振分部
116…硬貨リジェクト部
117…硬貨一時保留部
118…硬貨一時保留部ロック機構
119…硬貨収納庫
120…手入力貨幣処理部
120A…手入力貨幣処理部
121…手入力貨幣投入部
121A…手入力貨幣投入部
129…手入力貨幣収納庫
130…貨幣収納庫装填部
131…紙幣収納庫空間
132…硬貨収納庫空間
133…手入力貨幣収納庫空間
138…貨幣収納庫装填部ロック機構
140…制御部
140A…制御部
141…操作表示部
142…明細票印字部
143…カードE/W部
144…通信処理部
145…記憶部
300…管理センター
301…管理サーバー
302…通信装置
412…通信装置
428p…投入明細票
500…通信網
512p…回収明細票
601c…回収用カード
601i…投入用カード
601t…集計用カード
604p…集計明細票
701…手入力貨幣収納封筒
400…店舗A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入者によって投入された貨幣について、識別処理および計数処理が正常に行なわれた正常処理貨幣を正常処理貨幣金庫に収納し、計数処理が不可となった異常処理貨幣を異常処理貨幣金庫に収納して管理するための投入処理機能を有する現金処理装置であって、
前記投入処理機能を司る制御部と、
前記制御部に制御され、前記異常処理貨幣を管理するための異常処理貨幣情報の入力を前記投入者に許容する操作部と、
前記制御部に制御され、前記操作部を介して入力された異常処理貨幣情報、および、正常に計数処理されて得られた前記正常処理貨幣を管理するための正常処理貨幣情報を、前記投入者の識別情報に関係付けて投入処理情報として記憶する記憶部と、
を備えることを特徴とする現金処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の現金処理装置であって、さらに、
前記制御部に制御され、明細票を印字する印字部を備え、
前記制御部は、前記操作部を介して前記投入者による前記異常処理貨幣情報の入力を受け付けた場合に、前記明細票として前記投入処理情報を前記印字部に印字させることを特徴とする現金処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の現金処理装置であって、さらに、
前記投入者によって前記異常処理貨幣および前記明細票が封入された異常処理貨幣封入体の前記投入者による投入を許容する異常処理貨幣投入部と、
投入された前記異常処理貨幣封入体を収納する前記異常貨幣収納金庫と、
を備えることを特徴とする現金処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の現金処理装置であって、
前記制御部は、前記操作部を介して前記投入者による異常処理貨幣情報の入力を受け付けた場合に、前記操作部を介して前記投入者に対して前記異常処理貨幣投入部への前記異常処理貨幣封入体の投入を促すことを特徴とする現金処理装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4記載の現金処理装置であって、さらに、
前記制御部に制御され、前記投入者の操作カードに対して情報の読み取りおよび書き込みを実行するカードR/W部を備え、
前記制御部は、前記正常処理貨幣情報および前記異常処理貨幣情報を含む情報の前記操作カードへの書き込みを前記カードR/W部に実行させることを特徴とする現金処理装置。
【請求項6】
請求項3または請求項4記載の現金処理装置であって、さらに、
前記制御部に制御され、管理サーバーと通信を行なうための通信処理部を備え、
前記制御部は、前記投入処理情報の前記管理サーバーへの送信を前記通信処理部に実行させることを特徴とする現金処理装置。
【請求項7】
請求項5記載の現金処理装置であって、
前記制御部は、さらに、前記正常処理貨幣金庫に収納されている前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣金庫に収納されている前記異常処理貨幣封入体中の前記異常処理貨幣を回収する回収処理機能を司り、
前記制御部は、回収処理時において、回収した前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣の情報を含む情報の回収者の操作カードへの書き込みを前記カードR/W部に実行させることを特徴とする現金処理装置。
【請求項8】
請求項6記載の現金処理装置であって、
前記制御部は、さらに、前記正常処理貨幣金庫に収納されている前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣金庫に収納されている前記異常処理貨幣封入体中の前記異常処理貨幣を回収する回収処理機能を有し、
前記制御部は、回収処理時において、前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣の情報を、回収者の識別情報に関係付けて回収処理情報とし、前記回収処理情報の前記管理サーバーへの送信を前記通信処理装置に実行させることを特徴とする現金処理装置。
【請求項9】
請求項5記載の現金処理装置であって、
前記制御部は、さらに、前記正常処理貨幣金庫に収納された前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣金庫に収納された前記異常処理貨幣の累積を集計する集計処理機能を司り、
前記制御部は、集計処理時において、集計した前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣の情報を含む情報の集計者の操作カードへの書き込みを前記カードR/W部に実行させることを特徴とする現金処理装置。
【請求項10】
請求項6記載の現金処理装置であって、
前記制御部は、さらに、前記正常処理貨幣金庫に収納された前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣金庫に収納された前記異常処理貨幣の累積を集計する集計処理機能を司り、
前記制御部は、集計処理時において、集計した前記正常処理貨幣および前記異常処理貨幣の情報を含む情報を、集計者の識別情報に関係付けた集計処理情報とし、前記集計処理情報の前記管理サーバーへの送信を前記通信処理装置に実行させることを特徴とする現金処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−3747(P2013−3747A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132767(P2011−132767)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】