説明

現金自動取引装置

【課題】
平日の昼休みなど、ATMの利用者が混み合う時間では、待ち時間が長くなる。
【解決手段】
銀行の支店内に設置されたATMのそれぞれにタイムサービス時間帯一覧表を具備し、ATMからホストに対して送信する取引要求電文内に、現在時刻がタイムサービス時間帯内であるかどうかのフラグを設ける。ホストはATMからの取引要求電文を参照し、タイムサービス時間帯内の取引ならば取引回答電文内の手数料を安くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行などで利用される現金自動取引装置(以下、ATMという)において、利用者の待ち時間を軽減するための装置、システム、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の現金自動取引装置は、混雑時には記帳取引のような時間の掛かる取引を縮退することで、利用者の順番待ち時間を短縮する技術を開示している。
【0003】
【特許文献1】特開平2−231672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
平日の昼休みなど、ATMの利用者が混み合う時間では待ち時間が長くなることから、特許文献1を採用するとある取引を縮退するので時間短縮が図れるが、一方でその取引を実施したい利用者にとっては不便となる問題が発生してしまう。
【0005】
そこでATM利用の待ち時間を短縮して利用者に便利なATMを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、銀行の支店内に設置されたATMのそれぞれにタイムサービス時間帯一覧表を具備し、ATMからホストに対して送信する取引要求電文内に、現在時刻がタイムサービス時間帯内であるかどうかのフラグを設ける。ホストはATMからの取引要求電文を参照し、タイムサービス時間帯内の取引ならば取引回答電文内の手数料を安くする。
【発明の効果】
【0007】
あらかじめタイムサービス時間帯として支店がすいている時間帯を設定しておき、その時間帯は手数料を安く設定することで、支店の混み具合を平準化することができる。また、近隣の支店でタイムサービス時間帯をずらして設定しておくことで、それらの支店を監視する保守会社は、そのタイミングが重ならないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例について、図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明における全体構成(システム)を表した図である。銀行の支店103には複数のATM104が設置されており、ネットワーク102を介して銀行のホスト100や保守会社の監視端末101と接続されている。ホスト100は各ATM104からの取引要求電文を受信し、各ATM104に取引回答電文を送信する。監視端末101は保守会社に設置されており、各ATMの状態(障害の有無、紙幣の残量など)を監視する。各ATM104にはタイムサービス時間帯一覧表105を具備しており、現在時刻がタイムサービス時間帯かどうかを判定するために用いる。なお、ATM104はカードに貼付された磁気ストライプを読取りするカード機構部、通帳に印字等を行う通帳機構部、現金の入出金を行う現金機構部、利用者の入力を検知又は利用者に所定のガイダンス、項目等を表示する操作部、及びこれらを制御する制御部を具備し、本制御部はホスト100との通信制御や種々の処理を実行する。またタイムサービス時間帯一覧表105の情報はATM104内の記憶部に記憶されている。
【0010】
図2は、ホスト100とATM104との間で送受信される電文の種類を表す。利用者がATM104で操作部を介して支払・預入などの取引を選択するとそれを検知して制御部がATM104の制御部は取引要求電文201をホスト100に対して送信する。ホスト100はその利用者の口座残高などの情報を基にしてその取引が実行可能かどうか判定し、その結果、取引許可または取引拒否を取引回答電文202にセットしてATM104に対して送信する。ATM104では取引回答電文202を参照して、取引許可ならばその取引を実行する。取引としてはATMより現金を出金したり、入金された現金をATM内に収納したりする。一方、取引回答電文202を参照して、取引拒否ならばその取引を実行しない(利用者のカードを返却するのみ)。
【0011】
図3は、取引要求電文201の構成を表した図である。取引種別301は、利用者が操作部より選択した取引の種類(支払、預入、振込など)をセットする。取引金額302は、取引で扱う金額をセットする。暗証番号303は、利用者が入力した暗証番号をセットする。通常は特定の方法で暗号化されている。磁気カードデータ304は、利用者が挿入したキャッシュカードの磁気ストライプ部のデータをセットする。口座番号305は、利用者の口座番号をセットする。時間帯種別306は、ATM104内のタイムサービス時間帯一覧表105を参照して現在時刻がタイムサービス時間帯かどうかを判定し、タイムサービス時間帯なら“1”を、タイムサービス時間帯以外なら“0”をセットする。
【0012】
図4は、図2の取引回答電文202の構成を表した図である。取引種別401は、取引要求電文202内の取引種別301をセットする。取引許可拒否402は、その利用者の口座残高などの情報を基にその取引が実行可能かどうか判定し、その結果、取引許可または取引拒否をセットする。取引金額403は、取引要求電文202内の取引金額302をセットする。手数料404は、取引の時刻や取引種別301などに対応して銀行が定めた手数料金額をセットする。さらに本発明では、取引要求電文20)内の時間帯種別306に対応して、タイムサービス時間帯の場合にはそうでない場合より安い手数料金額をセットする。口座残高405は、取引を実行した結果、その利用者の口座残高がいくらになったかをセットする。
【0013】
図5は、各ATM104が具備するタイムサービス時間帯一覧表105である。501は一日の全体を表し、そのうち、502で示す時間帯がタイムサービス時間帯である。この例では9:00〜10:00と14:00〜15:00がタイムサービス時間帯である。
【0014】
図6は、本発明におけるATM104の処理手順を表したフローチャートである。ステップ601で、利用者からの入力(取引種別、取引金額、暗証番号、磁気カードデータ、口座番号など)を受け付ける。ステップ602で、ATM104の内部時計を取得する。ステップ603で、タイムサービス時間帯一覧表105を参照し、取得した現在時刻がタイムサービス時間帯か判定する。現在時刻がタイムサービス時間帯なら、ステップ604で、取引要求電文201のタイムサービス時間帯欄に“1”をセットする。現在時刻がタイムサービス時間帯以外なら、ステップ605で、取引要求電文201のタイムサービス時間帯欄に“0”をセットする。ステップ606で、取引要求電文201をホスト100に送信する。ステップ607で、取引回答電文202をホスト100から受信する。ステップ608で、取引回答電文202から手数料405を取得する。ステップ609で、手数料405を操作部の画面に表示し、カード機構部内にある明細票印字機構より明細票に印字する。
【0015】
図7は、本発明におけるホスト100の処理手順を表したフローチャートである。ステップ701で、取引要求電文201をATM104から受信する。ステップ702で、取引要求電文201の時間帯種別306の値を参照する。時間帯種別306の値が“1”なら、ステップ703で、取引回答電文202にタイムサービス時間帯用の手数料405をセットする。時間帯種別306の値が“0”なら、ステップ704で、取引回答電文202にタイムサービス時間帯以外用の手数料405をセットする。タイムサービス時間帯用の手数料は、タイムサービス時間帯以外用の手数料よりも安い金額とする。ステップ705で、ホストの処理(取引要求電文で指定された口座の残高を増減する等)を実行する。ステップ706で、取引回答電文202をATM104に送信する。
【実施例2】
【0016】
図8は、本発明における別の全体構成(現金自動取引システム)を表した図である。
【0017】
実施例1のタイムサービス時間帯一覧表105は、ATM104それぞれが具備しているものとした。しかし、支店103内のATM104全てが全く同じタイムサービス時間帯でいい場合には、各ATM104がタイムサービス時間帯一覧表105を具備するのではなく、ATM104とネットワーク102の間にゲートウェイ106を設け、ゲートウェイ106がタイムサービス時間帯一覧表105を具備することも可能である。
【0018】
図9は、本発明におけるATM104の処理手順を表したフローチャートである。ステップ901で、利用者からの入力(取引種別、取引金額、暗証番号、磁気カードデータ、口座番号など)を受け付ける。ステップ902で、取引要求電文201をゲートウェイ106に送信する。ステップ903で、取引回答電文202をゲートウェイ106から受信する。ステップ904で、取引回答電文202から手数料405を取得する。ステップ905で、手数料405を操作部の画面に表示し、明細票に印字する。
【0019】
図10は、本発明におけるゲートウェイ106の処理手順を表したフローチャートである。ステップ1001で、取引要求電文201をATM104から受信する。ステップ1002で、ゲートウェイ106の内部時計を取得する。ステップ1003で、タイムサービス時間帯一覧表105を参照し、現在時刻がタイムサービス時間帯か判定する。現在時刻がタイムサービス時間帯なら、ステップ1004で、取引要求電文201のタイムサービス時間帯欄に“1”をセットする。現在時刻がタイムサービス時間帯以外なら、ステップ1005で、取引要求電文201のタイムサービス時間帯欄に“0”をセットする。ステップ1006で、取引要求電文201をホスト100に送信する。ステップ1007で、取引回答電文202をホスト100から受信する。ステップ1008で、取引回答電文202をATM104に送信する。
【実施例3】
【0020】
図11は、本発明において、近隣の支店(A支店、B支店、C支店)毎にタイムサービス時間帯が異なっている場合のタイムサービス時間帯一覧表105である。この例では、A支店のタイムサービス時間帯は9:00〜10:00と14:00〜15:00、B支店は10:00〜11:00と15:00〜16:00、C支店は11:00〜12:00と16:00〜17:00である。タイムサービス時間帯では取引の回数が増加するため、障害の発生頻度が高くなると予想される。しかし、タイムサービス時間帯が支店毎に異なっていることにより、これらの支店を監視する保守会社は出動するタイミングをずらすことが可能となる。
【0021】
以上のとおり、タイムサービス時間帯一覧表をATMに記憶しておき現在時刻が当該一覧表内のタイムサービス時間帯であれば手数料を安くすることで、利用者はそのサービス時間帯で取引を行うこととなり、タイムサービス時間帯ではない昼間に集中することを防止できる。なお、この時間帯はATMに具備された係員用操作部より設定又はホストより一括で設定するのが望ましく、制御部が設定処理する。実施例2ではゲートウェイ内の制御部でこの設定処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明における全体構成を表した図である。
【図2】ホストとATMとの間で送受信される電文の種類を表した図である。
【図3】取引要求電文の構成を表した図である。
【図4】取引回答電文の構成を表した図である。
【図5】タイムサービス時間帯一覧表である。
【図6】ATMの処理手順を表したフローチャートである。
【図7】ホストの処理手順を表したフローチャートである。
【図8】本発明における別の全体構成を表した図である。
【図9】ATMの処理手順を表したフローチャートである。
【図10】ゲートウェイの処理手順を表したフローチャートである。
【図11】支店毎のタイムサービス時間帯一覧表である。
【符号の説明】
【0023】
100:ホスト、101:監視端末、102:ネットワーク、103:支店、104:ATM、105:タイムサービス時間帯一覧表、106:ゲートウェイ、201:取引要求電文、202:取引回答電文、301:取引種別、302:取引金額、303:暗証番号、304:磁気カードデータ、305:口座番号、306:時間帯種別、401:取引種別、402:取引許可拒否、403:取引金額、404:手数料、405:口座残高、501:一日全体、502:タイムサービス時間帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してホストと接続する現金自動取引装置において、
現在時刻を取得する内部時計と、タイムサービスの時間帯を記憶するタイムサービス時間帯一覧表と、制御部とを有し、
前記制御部は、要求された取引の時間を前記内部時計より取得し、取得した時間が前記タイムサービス時間帯に存在するか否かを判断し、存在するとき時間帯種別にセットして前記ホストに送信し、ホストより受信した手数料にて前記取引を実行することを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項2】
請求項1記載の現金自動取引装置において、
前記制御部は、係員の操作する操作部又は前記ホストからの指示に基づき前記タイムサービス時間帯一覧表のタイムサービス時間帯を設定処理することを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の現金自動取引装置において、
前記タイムサービス時間帯一覧表に記憶されているタイムサービス時間帯を前記現金自動取引装置毎に異なるように設定することを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項4】
ホストと、ネットワークを介してホストと接続するゲートウェイと、現金自動取引装置とを有する現金自動取引システムにおいて、
前記ゲートウェイは現在時刻を取得する内部時計と、タイムサービスの時間帯を記憶するタイムサービス時間帯一覧表とを有し、前記現金自動取引装置より電文を受信し、前記内部時計にて取得した時刻が前記タイムサービス時間帯一覧表の時間帯かを判定し、時間帯であるときその旨をセットすると共に前記ホストへ電文を送信することを特徴とする現金自動取引システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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