現金自動取引装置
【課題】壁面に設置するコストの低減、及び防犯性を向上させることができ、また紙幣のジャムが発生した場合、そのジャムを容易に除去することができる現金自動取引装置を提供する。
【解決手段】現金自動取引装置において、金庫112は、紙幣を収納する収納庫5a〜5dと、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する第1の搬送路20,22〜24と、第1の搬送路を貫通させた第1の開口部114と、第1の開口部とは別に設けられた第2の開口部114´と、第1の搬送路の搬送路と連結され、第2の開口部を貫通する第2の搬送路21と、第1の搬送路上に配置された、紙幣の判別のために少なくとも紙幣の金種に関する情報を取得する判別部3と、を有し、かつ第2の搬送路21を介して判別部3で判別された紙幣を一時的に保持する一時保管部4と、第1の搬送路と連結して、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする取引口2を、金庫の外側に配置して構成する。
【解決手段】現金自動取引装置において、金庫112は、紙幣を収納する収納庫5a〜5dと、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する第1の搬送路20,22〜24と、第1の搬送路を貫通させた第1の開口部114と、第1の開口部とは別に設けられた第2の開口部114´と、第1の搬送路の搬送路と連結され、第2の開口部を貫通する第2の搬送路21と、第1の搬送路上に配置された、紙幣の判別のために少なくとも紙幣の金種に関する情報を取得する判別部3と、を有し、かつ第2の搬送路21を介して判別部3で判別された紙幣を一時的に保持する一時保管部4と、第1の搬送路と連結して、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする取引口2を、金庫の外側に配置して構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は現金の支払いや預入を行う現金自動取引装置に係り、特に壁面に設置される現金自動入出金装置(ATM)や現金支払機のような現金自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ATMは金融機関の店舗内に設置されて来たが、最近では利用者の利便性を考慮して、通路に面した建物の壁面に設置されることが多くなっている。
【0003】
いわゆる壁埋め込み型のATMは、壁面の一部を取り払い、壁の前面には利用者が操作するフロントパネルを設置し、壁の内側にはATMの紙幣取扱い関連の機構が入るようにしてATMを配置している。
【0004】
例えば、特開2004−110289号公報(特許文献1)には、紙幣を入出金するための入出金口(上部ユニット300)を、紙幣を収納する金庫500よりも前方に突出させる壁埋め込み型の紙幣取扱装置が開示されている。このような構成により、利用者と装置の本体との間に厚い壁があっても入出金口を利用者から遠くせずに、利用者側へ近づけて配置することができ、利用者の操作性を向上させることができる。
【0005】
また、他の例として、特開平11−232527号公報(特許文献2)には、利用者が紙幣等を取り扱う紙幣放出口20や封筒投入口22と、紙幣放出ユニットBDUや封筒型預金ユニットEDUとの間に、所定の距離だけ離間して紙幣や封筒を搬送する搬送ユニットを配置している壁埋め込み型のATMが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−110289号公報
【特許文献2】特開平11−232527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような壁埋め込み型のATMの設置に関しては、硬く厚い壁を開口する部分は小さくした方が、設置工事のコストを低く抑えることができる。また、防犯上の観点からも壁面の開口部は小さい方が望ましい。
【0008】
しかしながら、特開2004−110289号公報に開示の紙幣取扱装置では、金庫と別体に構成された上部ユニット300全体を前方へ移動させて設置しているので、入出金口以外に、上部ユニットおよび上部ユニットと金庫の連結ユニット400もフロントパネル近くとなって前面に出てしまい、壁面の開口部が大きくなってしまうという問題がある。
【0009】
また、特開平11−232527号公報の例では、利用者が紙幣を取り出す取り出し口と、紙幣を一枚ずつ分離する分離部を別々に設置し、それらの間を一括して搬送ユニットで接続している。この例では出金専用のCDに適用されているが、このような構成を、入出金が可能な紙幣取扱装置に適用した場合、次のような問題が起こる。
【0010】
例えば、入金した紙幣のサイズが同一でなくて入金された紙幣の束の外側にサイズの大きい紙幣があり、その間にサイズの小さい紙幣が入り込んでいるような場合がある。このような場合には、それらの紙幣の束をベルトで一括搬送するときに、ベルトで紙幣を狭持できるのは外側のサイズが大きい紙幣だけであるために、それらの中に入り込んでいるサイズの小さい紙幣が搬送路から落下してしまう。
【0011】
また、紙幣の一括搬送の手段として、ベルトによる搬送ではなくトレイで搬送する場合には、大量の枚数の紙幣を一括で搬送する時に、上のほうに積まれた紙幣に対して上面からの押さえが無いことから、やはり搬送途中で紙幣が落下してしまう可能性がある。搬送途中で紙幣が落下して紛失してしまうと、その装置の信頼性が失われるといった問題が生じる。
【0012】
さらに、防犯上の観点から紙幣取扱ユニットを金庫の内部に配置した場合には、紙幣の分離部も金庫内に実装されることになる。そのため分離部で紙幣のジャムが発生した場合は、ジャムを除去するために金庫を開錠する必要がある。しかし、元々金庫の中には紙幣収納庫が実装されているため、それを開閉することができるのは金庫の鍵を保有する、定められた係員だけである。そのため、金庫の扉を容易に開錠できるわけではなく、金庫を開錠してからジャム除去をするために非常に時間がかかってしまい、結果的にATMのダウン時間が長くなるという問題もある。
【0013】
また、利用者が投入した紙幣の枚数や金種を鑑別した後、その取引が確定するまで一時的に保管する一時保管部を金庫内部に有する場合は、次のような問題がある。即ち、入金紙幣の状態は利用者に依存することから、紙幣が大きく折れていたり、しわがあったり、また大きくスキューしている可能性が高く、それらの紙幣を集積する一時保管部でジャムが発生する可能性が高くなる。一時保管部でジャムが発生した場合は、やはり、金庫を開閉しなければジャム除去できないことから、ATMが長時間ダウンすることになる。
【0014】
また、近年入金機能をもたない出金専用のキャッシュディスペンサー(CD)から出金口から紙幣の入金もできる入出金可能なATMへのリプレースしたいとの要望が多くなってきている。このCDの多くは、あらかじめ決められた紙幣を出金するだけであるために、出金紙幣の金種の判定をする必要がないことから、小型化設計されており、結果的には紙幣収納部と、紙幣収納部を実装している金庫の利用者側に設けた開口部から出金する搬送路だけが主要な構成要素なっている。
【0015】
上記の従来例である上部ユニットを金庫の外側に配置している入出金機能つきの装置を、金庫やフロントパネルをそのまま使用するという前提で、CDからリプレースしようとした場合、前述のような入出金口のレイアウトの違いがあるために、容易ではないといった問題がある。
【0016】
本発明の目的は、壁面に設置することが好適で、設置コストの低減、及び防犯性を向上させた現金自動取引装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、紙幣のジャムが発生した場合でもそのジャムを容易に除去することができる現金自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る現金自動取引装置は、紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路と、搬送路を貫通させた第1の開口部とを有する金庫と、金庫と別体に構成され、かつ搬送路を介して金庫の収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする取引口と、を備えた現金自動取引装置であって、紙幣の判別を行う判別部を該金庫の内部に備え、該紙幣を一時的に保管する一時保管部を、該搬送路に連結して該金庫の外部に備える。
【0018】
本発明に係る現金自動取引装置の好ましい例では、紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する第1の搬送路と、第1の搬送路を貫通させた第1の開口部と、第1の開口部とは別に設けられた第2の開口部と、第1の搬送路と連結され、第2の開口部を貫通する第2の搬送路と、第1の搬送路上に配置された、紙幣の判別のために少なくとも紙幣の金種に関する情報を取得する判別部と、を有する金庫と、金庫の外側に配置され、かつ第2の搬送路を介して判別部で判別された後の紙幣を一時的に保持する一時保管部と、金庫の外側に配置され、かつ第1の搬送路と連結して、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする取引口と、を有して構成される。また、一例では、上記一時保管部は複数個配置される。
【0019】
本発明は、現金自動取引装置の設置構造としても把握される。即ち、取引に必要な情報を表示するモニタと、取引に必要な情報を入力する利用者操作部と、取引用のカードの挿入や明細票の排出を行う挿入・排出部と、入金又は出金される紙幣をセットする取引口とが少なくとも配置されたフロントパネルを壁面に固定し、
紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む紙幣取扱機構を収納し、開口部より搬送路を貫通させた金庫を壁面の内側に配置し、
搬送路を介して金庫の収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、金庫とは別体に構成された取引口を壁面に固定してなる現金自動取引装置の設置構造である。
一例では、現金自動取引装置の設置構造において、紙幣の判別を行う判別部と、紙幣を一時的に保管する一時保管部を、金庫の内部に備える。
また、他の例では、紙幣の判別を行う判別部を金庫の内部に備え、紙幣を一時的に保管する一時保管部を、搬送路に連結して金庫の外部に備える。
【0020】
本発明はまた、ジャム除去方法としても把握される。即ち、紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む紙幣取扱機構を収納し、開口部より搬送路を貫通させた金庫と、
搬送路を介して金庫の収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、金庫とは別体に構成され、壁面に設置される取引口と、を有する現金自動取引装置におけるジャムの除去方法であって、搬送路を取引口から離脱して、金庫を壁面から離し、取引口付近のジャムを除去するジャム除去方法である。
【0021】
また、他の例におけるジャムの除去方法では、紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む紙幣取扱機構を収納し、開口部より搬送路を貫通させた金庫と、
搬送路を介して金庫の収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、紙幣取扱機構と一体的に構成された、壁面に設置される取引口と、を有する現金自動取引装置におけるジャムの除去方法であって、搬送路を取引口から離脱して、金庫の扉を開放して紙幣取扱機構を金庫から取り出し、取引口付近のジャムを除去するジャム除去方法である。
好ましい例では、紙幣を一時的に保管する一時保管部を、搬送路に連結して金庫の外部に備える現金自動取引装置において、この一時保管部にジャムが発生した場合、金庫の扉を開放せずに、一時保管部からジャムを除去する。
【0022】
本発明は、また、現金自動取引装置の交換方法としても把握される。即ち、紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む第1の紙幣取扱機構を収納し、開口部より搬送路を貫通させた金庫と、
搬送路を介して金庫の収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、壁面に設置される取引口と、出金又は入金の取引に必要な情報を表示するモニタ及び利用者によって操作される利用者操作部とを含み壁面に設置されたフロントパネルと、を有する第1の現金自動取引装置を、
紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む第2の紙幣取扱機構を収納し、開口部より搬送路を貫通させた金庫と、
搬送路を介して金庫の収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、壁面に設置される取引口と、出金又は入金の取引に必要な情報を表示するモニタ及び利用者によって操作される利用者操作部とを含み壁面に設置されたフロントパネルと、を有する第2の現金自動取引装置に交換する方法であって、
取引口及びフロントパネルを壁面に固定した状態にして、搬送路を取引口から離脱して金庫を離し、
金庫の扉を開放して、金庫内に実装される第1の紙幣取扱機構を第2の紙幣取扱機構に交換し、
金庫の扉を閉じて、搬送路を取引口に連結して、第2の現金自動取引装置に交換する交換方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、壁面に紙幣を入金又は出金するための取引口を設置するための穴部を形成することにより、容易にATMを設置できる。壁に形成される穴部をより小さくすることができ、ATMの設置コストの低減でき、防犯性を向上させることができる。
【0024】
また、紙幣の取引口や一時保管部などのようなジャムが発生しやすい機構部を金庫の外側に配置する構成としたので、金庫を開放しないでジャムを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】一実施例によるATMの外観斜視図。
【図2】一実施例によるATMの制御ブロック図。
【図3】一実施例(第1実施例)における紙幣取扱機構101の構成を示す図。
【図4】一実施例における紙幣取扱機構101の制御ブロックを示す図。
【図5】一実施例における入金動作を説明するための図。
【図6】一実施例における入金動作を説明するための図。
【図7】一実施例における出金動作を説明するための図。
【図8】一実施例における出金動作を説明するための図。
【図9】一実施例における紙幣取扱機構の構成を示す図。
【図10】一実施例における紙幣装填の動作を説明する図。
【図11】一実施例における紙幣回収の動作を説明する図。
【図12】一実施例(第2実施例)による紙幣取扱機構の構成を示す図。
【図13】一実施例(第3実施例)による紙幣取扱機構の構成を示す図。
【図14】一実施例(第4実施例)によるCDへ適用した紙幣取扱機構の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
図1は一実施例のおけるATM1の外観を示す。
ATM1は、入出金される紙幣を取扱う紙幣取扱機構101、利用者の取引カードや取引明細票を処理するカード・明細票処理機構102、通帳に印字処理する通帳処理機構103、筐体104と、取引に必要な情報を入力する利用者操作部105、取引に必要な情報を表示するモニタ116、これらの機構部を制御する本体制御部106、及び電源部111を備えて構成される。
【0027】
カード・明細票処理機構102に対するカードの挿入や明細票の排出を行う挿入・排出部102´、通帳処理機構103に対する通帳挿入・排出部103´、利用者操作部105やモニタ116、紙幣取扱機構101と連結して入出金される紙幣をセットする取引口2等の、利用者により操作及び確認される部位はフロントパネル115に配置されている。
【0028】
図2は、ATM1の制御関係を示すブロック図である。
カード・明細票処理機構102、通帳処理機構103、利用者操作部105、モニタ116および紙幣取扱機構101は、バス110を介して本体制御部106と接続されており、本体制御部106からの制御指令に従って所要の動作を行う。
【0029】
バス110には、更にインタフェース部107、係員操作部108、外部記憶部109が接続されており、これらのユニット間で必要なデータのやり取りを行う。なお、これらのユニットには電源部111により電力が供給される。
【0030】
(第1実施例)
図3はATM1に実装される紙幣取扱機構101の構成を示す。
紙幣取扱機構101は、利用者に対して出金する紙幣を放出セットし及び入金される紙幣をセットする取引口2と、紙幣Bの金種や搬送状態を判別する紙幣判別部3と、入金された紙幣Bを取引成立までの間一時的に保持する一時保管部4と、取引口2から入金された紙幣Bを収納したり、金種別の紙幣Bを収納し、出金取引時に紙幣Bを繰り出す収納庫5a〜5dと、紙幣判別部3によって金種の読み取りが不可と判定された紙幣Bや搬送状態が搬送不可と判定された紙幣B等を収納するリジェクト庫7と、及び上記各構成部を連結して紙幣Bを搬送する搬送路20〜23を備えて構成される。
【0031】
紙幣Bを保管する収納庫5a〜5d、及び搬送路21〜23は金庫112の内部に収納される。金庫112には開口部114が形成され、この開口部114を通って搬送路20が延伸され、取引口2と連結している。開口部114の大きさは搬送路20が通る最小の穴径である。
【0032】
金庫112は通常閉鎖されており、特定の係員のみが金庫扉113を開錠することができる。そして、必要に応じて、金庫112を開けて収納庫5a〜5d、リジェクト庫7、内部の搬送路21〜23等で構成される金庫の内部ユニットを引き出して保守を行う。
このように通常の取引時には金庫112の扉113は千錠され、開口部114を通してのみ紙幣の出し入れが行われる。よって、特定者以外による金庫の内部へのアクセスが制限され、現金保管の安全性が確保される。
【0033】
一時保管部4は、リール40、テープ41、ホイール42、ローラ43を備えており、入金された紙幣であって紙幣判別部3で判別されたものを、テープ41の間に挟持して一時的に保管する。
【0034】
尚、搬送路20〜23が分岐する箇所には、夫々切り替えゲート11が配置される。また図3には示していないが、金種別の収納庫5a〜5dに各金種の紙幣を装填したり、収納庫5a〜5dから各金種紙幣を回収するための装填回収庫6(図4参照)が装填され得る。図4の例では、取扱われる金種が4種であるので、収納庫5a〜5dは4つ有しているが、収納庫の数は金種に応じて変更できる。
【0035】
取引口2の内部は、仕切り板10によって入金紙幣をセットする入金口2aと出金紙幣をセットする出金口2bとに分かれており、搬送路20は入金口2a及び出金口2bと接続されている。入金口2aにはセットされた紙幣を1枚ずつ分離して搬送路へ繰り出す分離機構(図示せず)を有している。
【0036】
次に、ATM1を壁117に貫通した状態で設置する例について説明する。
壁117の厚さWthは設置する建物により異なる。壁の厚さWthが厚いの場合、壁の内側に設置されるATM1の本体と壁前面に設置されるフロントパネル115の距離が遠くなる。しかしその場合には、搬送路20の長さを延ばすように変えることで取引口2と連結する。また、壁117を貫通する部分は、搬送路20、搬送路22及び取引口2だけであり、壁117の貫通部分の面積が最小限必要な面積となっている。
【0037】
図4は紙幣取扱機構101の制御ブロック図である。
紙幣取扱機構101を構成する上記した取引口2、紙幣判別部3、一時保管部4、収納庫5、装填回収庫6、リジェクト庫7、搬送路20〜25の各機構を駆動する駆動制御部、及び記憶部12は、制御部13に接続される。ここで、記憶部12は、判別した紙幣の金種及び紙幣サイズとの対応関係等を記憶する。
【0038】
制御部13はバス110を介して本体制御部106と接続され、本体制御部106からの指令および紙幣取扱機構101の状態検出に応じて紙幣取扱機構101の関連するユニットの制御を行う。また必要に応じて紙幣取扱機構101の状態に関する情報を検知、収集して本体制御部106に送る。
【0039】
次に、図5及び図6を参照して、本実施例の入金動作について説明する。
図5に示すように、利用者によって取引口2の入金口2aに投入された紙幣Bは一枚ずつ分離されて搬送路20に繰り出される。搬送路20に繰り出された紙幣Bは、図中の矢印方向に搬送され、紙幣判別部3で紙幣の金種および枚数の判別が行われる。判別の結果、正しく判別された紙幣Bは一時保管部4に搬送され、そこに一旦保管される。
【0040】
一方、紙幣判別部3における判別の結果、紙幣の金種や枚数が正しく判別できない場合、或いは紙幣が大きくスキューしたりシフトした状態であるので、ATMが取り扱えないと判断した場合は、それらの紙幣をリジェクト紙幣Bとして扱い、切り替えゲート11を操作して搬送路20を逆送して取引口2内の出金口2bに返却する。
【0041】
利用者は、出金口2bに返却された紙幣Bを取り除くか、再投入するなどの行為をする。そして出金口2b内に返却された紙幣Bが無くなった後、紙幣判別部3により判定された金種及び枚数から算出された合計金額金額がモニタ116に表示される。
【0042】
利用者はモニタ116の表示内容を確認して、意図した入金金額と同じであった場合には利用者操作部105を操作してその入金取引を確定する。取引が確定すると、図6に示すように、一時保管部4に一時的に保管されていた紙幣Bは、図中の矢印方向に搬送され、紙幣判別部3にて金額及び紙幣状態等を再度判別される。判別の結果、金種が判別できなかったり、正常に搬送できないと判定された紙幣は、リジェクト紙幣として扱われ搬送路22、23を経由してリジェクト庫7に搬送して収納される。また、正常と判定された紙幣Bは、搬送路22、23を経由して金種ごとに収納庫5a〜5dに収納される。
【0043】
次に、図7及び図8を参照して、本実施例の出金動作について述べる。
利用者が利用者操作部105にて出金額を入力した後、操作の確定を行うと、図7に示すように、収納庫5a〜5dから出金の対象となる紙幣Bが搬送路23に繰り出される。繰り出された紙幣Bは搬送路22を搬送され、紙幣判別部3で金種および枚数が判別される。判別の結果、判別不可能と判定された紙幣Bは一時保管部4に一時的に保管される。一方、正常と判定判別された紙幣Bは取引口2の出金口2bに搬送され、そこに集積される。利用者は取引口2に集積された紙幣Bを取り出す。
【0044】
利用者によるこの紙幣Bの取り出し動作と並行して、一時保管部4に保管されていた紙幣Bは、図8に示すように搬送路22,23を経由してリジェクト庫7に搬送され、そこに集積される。
【0045】
次に、図9〜図11を参照して紙幣の装填及び回収について説明する。
本実施例において、収納庫内の紙幣Bが満杯になったり、出金するための枚数が不足した場合は、該当する収納庫を取り出して紙幣Bを装填又は回収する必要がある。またATM1を稼動する前に装置内に紙幣を装填する場合もある。この場合、対象となる収納庫が複数個存在するので、それぞれの収納庫に対して回収作業を行うことになり、その作業も煩雑になる。
【0046】
そこでこの作業性を良くするために、図9に示すように装填回収庫6を金庫112内に実装しておくことが好ましい。即ち装填回収庫6を用いることにより、それぞれの金種に応じた収納庫5a〜5dを1つ1つ取り出して紙幣を装填や回収する必要が無くなり、作業性が向上する。
【0047】
装填回収庫6は、搬送路24を通して搬送路21と結合して実装される。この実装状態がATMの通常取引き状態である。
【0048】
金庫112内に実装された状態で、装填回収庫6へ紙幣Bを装填する場合、係員は金庫112の扉113を開錠して、装填回収庫6を矢印M方向に引いて金庫112から取り出す。そして係員は、補充したい紙幣Bを装填回収庫6に詰め、この装填回収庫6を再度金庫112内に実装する。
【0049】
また、紙幣Bの回収については、装填回収庫6を空もしくは紙幣残量を少なくした状態でセットし、収納庫5a〜5dから紙幣を自動的に装填回収庫6に回収する。回収作業は営業終了後に紙幣取扱機構101内の各収納庫5a〜5d内の紙幣を回収する場合にも実施される。
【0050】
次に図10を参照して装填回収庫6による装填動作について詳細に説明する。装填動作ではまず金庫扉113を開き装填回収庫6を矢印N方向に紙幣取扱機構101に装着する。装填後、金庫112の扉113を閉じると、装填回収庫6から紙幣Bが自動的に繰り出され、矢印に沿って搬送される。即ち、搬送路24を通って紙幣判別部3を通過する際に、そこで金種および紙幣状態が判別される。判別の結果、金種や搬送状態が正常と判定された紙幣Bは搬送路22、23を経由して各金種に応じた収納庫5a〜5dに収納される。上記判別の結果、リジェクト紙幣と判定された紙幣Bは装填回収庫6内の装填リジェクト庫9に収納される。
【0051】
次に図11を参照して、装填回収庫6による回収動作について詳細に説明する。回収動作では、収納庫5a〜5dから搬送路23へ紙幣Bを繰り出し、搬送路22を経由して紙幣判別部3にて金種および紙幣状態を判別し、搬送路24を通して装填回収庫6に紙幣Bを回収する。回収作業が終了すると、係員は金庫112の扉113を開けて装填回収庫6を紙幣取扱機構101から矢印O方向に取り外す。これで回収動作を完了する。
【0052】
以上の説明では、装填回収庫6による紙幣の回収及び装填の動作について述べた。しかし、他の応用例として、装填回収庫6を利用して各収納庫5a、5b、5c、5d内の紙幣の枚数を計数するために使用することもできる。即ち、装填回収庫6を紙幣取扱機構101に装着したままで、各収納庫5a、5b、5c、5dから紙幣を順次繰り出して、紙幣判別部3で通過する紙幣の金種及び枚数を判定することで、紙幣毎の枚数を計数ことができる。紙幣判別部3を通過した紙幣Bは搬送路24を通って装填回収庫6に収納される。
【0053】
(第2実施例)
次に、図12を参照して第2の実施例について説明する。この実施例は、一時保管部4をユニット化構成して、金庫112の外側に配置し、金庫112に設けた開口部114´に搬送路21を通して金庫112内の搬送路と連結したものである。一時保管部4の内部構成及び紙幣の一時保管動作は、例えば図3を参照して前述したものと同様である。また、金庫112内の紙幣取扱機構101はじめその他の構成も、前述した例と同様である。
【0054】
この実施例で特徴的なことは、一時保管部4を金庫112の外部に配置することにより、例えばこの場所でジャムが発生しても金庫112の扉113を開ける必要が無く、ジャムの除去作業を容易に行えることである。
【0055】
ここで、一時保管部4の内部構成について説明しておく。一時保管部4は、1本のテープ41を巻取り・巻戻しするリール40と、リール40に巻取り・巻戻されるテープ41に圧接し回転するローラ43と、ローラ43により方向転換されたテープ41と紙幣Bとを巻取り・巻戻しするホイール42で構成する。一時保管部4において、紙幣Bはテープ41とホイール42の間に巻きつけられて集積される。集積された紙幣Bは、リール40を回転させてテープ41をリール40に巻きつけながらホイール42から紙幣Bをそのまま順番で搬送路21へ繰り出すことで放出される。
【0056】
このような紙幣の集積、繰り出し動作では、例えば大きくスキューした紙幣を姿勢を直して又はそのままの姿勢で無理やりに集積するのではなく、スキューしたそのままの状態で巻き取りを行うことから、スキューなどの搬送状態が異常な状態であっても、集積時のジャムが発生しにくい。また、その後の繰り出しにおいても、集積されている紙幣をピックアップローラなどで一枚ずつ繰り出すのではなく、巻き付いている紙幣をそのまま放出するだけであることから、紙幣に対して余分な力が加わることがなく、その結果繰り出し作業が容易となってジャムが発生する確率が極めて低くなる。
【0057】
次に、ジャムの除去作業について簡単に述べる。
利用者から入金される紙幣Bにはいろいろな大きさがあり、また、それらが不整列の状態でセットされたりする。更にしわや折れ曲がりがある紙幣Bが入金されたりする。このような場合、紙幣の集積又は分離する場所でジャムが発生する可能性がある。紙幣の集積や分離場所としては、取引口2や一時保管庫4が関係する。
【0058】
例えば一時保管庫4でジャムが発生した場合に、金庫扉113を開錠することなく、銀行の係員により容易にジャムを除去することができる。
また、取引口2でジャムが発生した場合は、金庫112の外側で矢印A方向から手を挿入して取引口2のジャムを除去することができる。
【0059】
更に、金庫112内の搬送路20〜24や収納庫5a〜5d等でジャムが発生した場合は、金庫扉113を開錠後、金庫の内部のユニットを矢印B方向に引き出して実施する。このとき、搬送路20と取引口2とは線K−Kにて切り離される。
【0060】
尚、ジャムの発生した場所は、搬送路や紙幣集積部に配置された、紙幣の有無を検知するための光学センサからの信号を制御部13で検知することにより検出される。制御部13は紙幣の検知信号の状態が規定時間以上続くことを検出すると、紙幣が滞留している状態、即ちジャムと判断する。ジャムの発生は、制御部13から本体制御部106へ伝えられ、本体制御部106は、ジャムの発生と判断したセンサに対応する位置のエラー情報を監視用のモニタに表示する。これにより係員はジャム発生場所を認識できる。
【0061】
(第3実施例)
次に、図13を参照して第3の実施例について説明する。前述した実施例と本実施例との相違は、前述の実施例で具備していた(第1の点)、取引口2の入金口2aと出金口2bとを分離していた仕切り板10を除去して取引口2を1つの口にしたこと、及び同様の構成を成す2つの一時保管庫4、4´を設けたこと(第2の点)にある。
【0062】
第1の点に関して、入金口2aと出金口2bを統合することで、取引口2の最大厚さOthを金庫の開口部最大厚さCthよりも更に小さくするように実装する。ここで搬送路20は双方向搬送が可能な搬送路である。搬送路20と取引口2は、図12で示したように線K−Kで切り離す必要が無く、搬送路20と取引口2が一体的に固定されている。これら搬送路20及び取引口2は、紙幣取扱機構101と一体であるので、金庫112の扉113を開いて矢印B方向へ全体として引出ることができる。
【0063】
第2の点に関して、紙幣判別部5における紙幣の判別の結果に応じて一時保管庫4、4´を切り分けて使用する。
即ち、入金動作において、紙幣判別部5による紙幣の判別の結果に応じて、一時保管庫4には正常な紙幣Bを保管し、一時保管庫4´は金種が読み取れない、スキューやシフトが大きすぎて装置が取り扱うことができない等と判定したリジェクト紙幣Bを保管するように、搬送路21のゲートを切り替えて制御する。
【0064】
一時保管部4´に保管されたリジェクト紙幣Bは、搬送路21、20を経由して取引口2に返却される。この紙幣Bは利用者により再入金されるか、リジェクト紙幣Bの入金をあきらめる。そして取引口2に紙幣がなくなった状態になり、利用者がモニタ116に示される金額を確認して、操作部105から入金取引の確定を操作した後に、一時保管庫4に保管された正常な紙幣Bは、搬送路21、22、23を経由してそれぞれの収納庫5a〜5dに集積される。
【0065】
一方、出金動作において、収納庫5a〜5dから繰り出された紙幣Bは、紙幣判別部3で判別される。判別の結果、出金に適した紙幣Bは一時保管部4に保管される。それに対して、金種が読み取れない等の出金が不適当と判定された紙幣Bは一時保管部4´に保管される。その後、正常な紙幣Bは一時保管部4から搬送路21、20を経由して取引口2に搬送して放出される。一方、出金に不適当な紙幣Bは一時保管部4´から搬送路21、22、23を経由してリジェクト庫7に収納される。
【0066】
第3の実施例において紙幣のジャム除去作業は次のように行われる。
入金取引において、一時保管部4´に保管されたリジェクト紙幣Bはその保管集積時にジャムが発生しやすい。しかし、例えジャムが発生したとしても一時保管部4´は金庫112の外側にあるために、金庫112の扉113を開放することなく、一時保管部4´からジャムの紙幣を容易に取り出すことができる。一時保管部4におけるジャムの除去も同様である。
【0067】
取引口2でジャムが発生した場合には、取引口2を含めた金庫112の内部のユニットをまとめて矢印B方向に引き出すことによってジャムを除去することができる。尚、一時保管部4と一時保管部4´をレールに搭載しておき、これらのユニットを矢印C方向に引き出して、矢印A方向から手を入れてジャムを除去してもよい。
【0068】
(第4実施例)
次に、図14を参照して、入金機能を持たない出金専用機(キャッシュシディスペンサー:CDと言う)に適用した例について説明する。上述した例は、何れも入出金機能を持つATMの例であったが、本発明の趣旨はCDにも適用される。
【0069】
図14において、金庫112に収納される紙幣取扱機構101´には、CDの紙幣出金機能として以下のユニットが実装される。即ち、例えば4金種に対応する4つの収納庫5e、5f,5g、5hと、重複して搬送される紙幣を検知する2枚検知部31と、出金前の紙幣を一時保管する集積部32と、紙幣の搬送路33と、出金紙幣をセットする出金口34を有して構成される。
【0070】
収納庫5e〜5h、2枚検知部31、集積部32等で構成される金庫112の内部ユニットと出金口34は搬送路33で連結されている。紙幣取扱機構101´は、入金機能がないので、前述した実施例における紙幣判別部3や一時保管庫4を実装していない。そのため、装置高さは収納庫が実装される金庫の高さ程度までに低くなっており、搬送路33が貫通する金庫開口部114は、金庫112の利用者側の面に設けることができる。
【0071】
CDは出金機能のみを持つ自動取引装置であるので、紙幣取扱機構にセットされる紙幣は、金融機関によって予め精査されたものである。このため、利用者による入金紙幣に比べて、紙幣の状態や搬送状態が一様で安定している。このため、ジャムが発生する可能性は非常に低い。しかし、もしCDの装置内の集積部32や搬送路33、出金部34でジャムが発生したとしても、それらのジャムの除去は容易に行える。例えば、図12を参照して説明した方法と同様にしてジャムを除去できる。
【0072】
(第5実施例)
本実施例によれば、図14のように、既に壁面に設置されているCDからATMへのリプレースが容易に行える。以下、その一例について説明する。
【0073】
出金機能を持つ紙幣取扱機構101´から、上述した入出金機能を持つ紙幣取扱機構101を有するATMへリプレースする場合には、金庫112から紙幣取扱機構101´を除去する。その後、紙幣取扱機構101を金庫112に実装してATMを構成する。ATM1の構成ユニットのうち紙幣取扱機構101´以外の物、例えば金庫112やフロントパネル115などはリプレース前に使用していた物を利用する。
【0074】
以上説明したように、第1の実施例によれば、壁面の貫通部は搬送路20及び取引口2であることから、壁面貫通部を小さくすることができ、これによりATMの設置コストを低くすることができる。また、壁面貫通部を小さくすることでATMの防犯性を高めることができる。さらに、取引口2に入金された紙幣Bを一枚ずつ分離する分離部が金庫112の外側にあるので、分離部でジャムが発生しても、金庫112を開錠することなくジャムを除去することができ、ATMのダウン時間を短くすることができる。
【0075】
また、紙幣判別部を金庫の中に収納することにより、防犯性を一層向上させることができる。例えば、もし紙幣判別部が金庫の外部に在ると、偽札を真券と判定させようとして、故意に紙幣判別部に使用されているセンサ等が改造される恐れがあるが、紙幣判別部を金庫内に収納することによりセンサ等の悪意な改造が防止できる。
【0076】
第2の実施例によれば、一時保管部4を金庫112の外側に実装する構成としたので、入金された紙幣Bの状態(折れ、しわなど)や搬送状態(大スキュー、大シフト、種々のサイズを一括に扱うことによる不整列性など)が原因で一時保管部4でジャムが発生しても、金庫112を開錠してジャム除去する必要がない。これによりATMのダウン時間を短くすることができる。
【0077】
第3の実施例によれば、取引口2とそれにつながる搬送路を一体的に連結した構成とした、その連結部でジャムが発生する可能性が極めて低くなる。また、例え取引口2でジャムが発生したとても、取引口2を金庫112の内部ユニットとを一緒に、壁の内側で奥行き方向へ引き出すことが出来るので、安全な状態でジャムの除去ができる。さらに、入金時のリジェクト紙幣を金庫の外に配置した一時保管部4´に集積するので、やはりジャムの除去性が良くなる。
【0078】
第4の実施例によれば、壁面設置型のCDにも適用できる。また壁面の貫通部は搬送路33及び出金口34であることから、その貫通部を小さくすることができ、またCDの防犯性を高めることができる。また、取引口である出金口34付近に発生したジャムに対しても、搬送路33を出金口から分離して、金庫112を開錠することなくジャムを除去することができる。
【0079】
第5の実施例によれば、金庫112内の構成をCD30からATM用の紙幣取扱機構101へ交換し、かつ以前から形成された壁の貫通部(CD用の穴部)を利用することにより、CD30からのATMへのリプレースを容易に行うことができる。これによりリプレースのコストも低くなる。
【0080】
尚、本発明は上記実施例に限定されずに、更に色々と変形、応用して実施し得る。
例えば、実施例1乃至3における紙幣の収納庫5a〜5dの配列を、図14に示す収納庫5e〜5hのように上下方向に重ねて配列してもよい。
【0081】
また、他の代替例として、図12に示した装填回収庫6を金庫112の外部に設置するようにしてもよい。それは例えば、図12の一時保管部4又は図13の一方の一時保管部4又は4´を装填回収庫6に置き換えることで説明できる。この場合、装填回収庫6と搬送路21とは着脱可能な構造である。金融機関の係員は必要時に装填回収庫6を搬送路21に連結することで、紙幣の装填や回収が容易に行える。これによれば金庫112の扉113を開錠することなく装填回収作業が行えるので、作業性が向上する。
【0082】
また上記第5実施例の代替例として、逆にATMからCDへのリプレースも同様にして容易に行えることが理解されるであろう。
【0083】
上記実施例は壁面に設置されるATMの例であるが、本実施例によるジャム除去のための構成は壁面設置型のATMだけではなく、銀行のロビー設置型のATMにも適用できる。この種のATMでは、係員がATMのフロントパネルを開閉して、断面K−K(図12)にて取り外された取引口2を矢印S方向に引き出してジャム除去を行う。
【符号の説明】
【0084】
1:ATM、2:取引口、2a:入金口、2b:出金口、3:紙幣判別部、4、4a:一時保管部、5a〜5d:収納庫、5e〜5h:収納庫、6:装填回収庫、7:リジェクト庫、9:装填リジェクト庫、10:仕切り板、11:切り替えゲート、12:記憶部、13:制御部、20〜25:搬送路、31:2枚検知部、32:集積部、33:一括搬送路、34:出金口、40:リール、41:テープ、42:ホイール、43:ローラ、101:紙幣取扱機構、102:カード・明細票処理機構、103:通帳処理機構、104:筐体、105:利用者操作部、106:本体制御部、107:インタフェース部、108:係員操作部、109:外部記憶部、110:バス、111:電源部、112:金庫、113:金庫扉、114:開口部、115:フロントパネル、116:モニタ、117:壁、Oth:取引口2の最大高さ、Cth:開口部114の最大高さ、Wth:壁の厚さ
【技術分野】
【0001】
本発明は現金の支払いや預入を行う現金自動取引装置に係り、特に壁面に設置される現金自動入出金装置(ATM)や現金支払機のような現金自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ATMは金融機関の店舗内に設置されて来たが、最近では利用者の利便性を考慮して、通路に面した建物の壁面に設置されることが多くなっている。
【0003】
いわゆる壁埋め込み型のATMは、壁面の一部を取り払い、壁の前面には利用者が操作するフロントパネルを設置し、壁の内側にはATMの紙幣取扱い関連の機構が入るようにしてATMを配置している。
【0004】
例えば、特開2004−110289号公報(特許文献1)には、紙幣を入出金するための入出金口(上部ユニット300)を、紙幣を収納する金庫500よりも前方に突出させる壁埋め込み型の紙幣取扱装置が開示されている。このような構成により、利用者と装置の本体との間に厚い壁があっても入出金口を利用者から遠くせずに、利用者側へ近づけて配置することができ、利用者の操作性を向上させることができる。
【0005】
また、他の例として、特開平11−232527号公報(特許文献2)には、利用者が紙幣等を取り扱う紙幣放出口20や封筒投入口22と、紙幣放出ユニットBDUや封筒型預金ユニットEDUとの間に、所定の距離だけ離間して紙幣や封筒を搬送する搬送ユニットを配置している壁埋め込み型のATMが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−110289号公報
【特許文献2】特開平11−232527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような壁埋め込み型のATMの設置に関しては、硬く厚い壁を開口する部分は小さくした方が、設置工事のコストを低く抑えることができる。また、防犯上の観点からも壁面の開口部は小さい方が望ましい。
【0008】
しかしながら、特開2004−110289号公報に開示の紙幣取扱装置では、金庫と別体に構成された上部ユニット300全体を前方へ移動させて設置しているので、入出金口以外に、上部ユニットおよび上部ユニットと金庫の連結ユニット400もフロントパネル近くとなって前面に出てしまい、壁面の開口部が大きくなってしまうという問題がある。
【0009】
また、特開平11−232527号公報の例では、利用者が紙幣を取り出す取り出し口と、紙幣を一枚ずつ分離する分離部を別々に設置し、それらの間を一括して搬送ユニットで接続している。この例では出金専用のCDに適用されているが、このような構成を、入出金が可能な紙幣取扱装置に適用した場合、次のような問題が起こる。
【0010】
例えば、入金した紙幣のサイズが同一でなくて入金された紙幣の束の外側にサイズの大きい紙幣があり、その間にサイズの小さい紙幣が入り込んでいるような場合がある。このような場合には、それらの紙幣の束をベルトで一括搬送するときに、ベルトで紙幣を狭持できるのは外側のサイズが大きい紙幣だけであるために、それらの中に入り込んでいるサイズの小さい紙幣が搬送路から落下してしまう。
【0011】
また、紙幣の一括搬送の手段として、ベルトによる搬送ではなくトレイで搬送する場合には、大量の枚数の紙幣を一括で搬送する時に、上のほうに積まれた紙幣に対して上面からの押さえが無いことから、やはり搬送途中で紙幣が落下してしまう可能性がある。搬送途中で紙幣が落下して紛失してしまうと、その装置の信頼性が失われるといった問題が生じる。
【0012】
さらに、防犯上の観点から紙幣取扱ユニットを金庫の内部に配置した場合には、紙幣の分離部も金庫内に実装されることになる。そのため分離部で紙幣のジャムが発生した場合は、ジャムを除去するために金庫を開錠する必要がある。しかし、元々金庫の中には紙幣収納庫が実装されているため、それを開閉することができるのは金庫の鍵を保有する、定められた係員だけである。そのため、金庫の扉を容易に開錠できるわけではなく、金庫を開錠してからジャム除去をするために非常に時間がかかってしまい、結果的にATMのダウン時間が長くなるという問題もある。
【0013】
また、利用者が投入した紙幣の枚数や金種を鑑別した後、その取引が確定するまで一時的に保管する一時保管部を金庫内部に有する場合は、次のような問題がある。即ち、入金紙幣の状態は利用者に依存することから、紙幣が大きく折れていたり、しわがあったり、また大きくスキューしている可能性が高く、それらの紙幣を集積する一時保管部でジャムが発生する可能性が高くなる。一時保管部でジャムが発生した場合は、やはり、金庫を開閉しなければジャム除去できないことから、ATMが長時間ダウンすることになる。
【0014】
また、近年入金機能をもたない出金専用のキャッシュディスペンサー(CD)から出金口から紙幣の入金もできる入出金可能なATMへのリプレースしたいとの要望が多くなってきている。このCDの多くは、あらかじめ決められた紙幣を出金するだけであるために、出金紙幣の金種の判定をする必要がないことから、小型化設計されており、結果的には紙幣収納部と、紙幣収納部を実装している金庫の利用者側に設けた開口部から出金する搬送路だけが主要な構成要素なっている。
【0015】
上記の従来例である上部ユニットを金庫の外側に配置している入出金機能つきの装置を、金庫やフロントパネルをそのまま使用するという前提で、CDからリプレースしようとした場合、前述のような入出金口のレイアウトの違いがあるために、容易ではないといった問題がある。
【0016】
本発明の目的は、壁面に設置することが好適で、設置コストの低減、及び防犯性を向上させた現金自動取引装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、紙幣のジャムが発生した場合でもそのジャムを容易に除去することができる現金自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る現金自動取引装置は、紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路と、搬送路を貫通させた第1の開口部とを有する金庫と、金庫と別体に構成され、かつ搬送路を介して金庫の収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする取引口と、を備えた現金自動取引装置であって、紙幣の判別を行う判別部を該金庫の内部に備え、該紙幣を一時的に保管する一時保管部を、該搬送路に連結して該金庫の外部に備える。
【0018】
本発明に係る現金自動取引装置の好ましい例では、紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する第1の搬送路と、第1の搬送路を貫通させた第1の開口部と、第1の開口部とは別に設けられた第2の開口部と、第1の搬送路と連結され、第2の開口部を貫通する第2の搬送路と、第1の搬送路上に配置された、紙幣の判別のために少なくとも紙幣の金種に関する情報を取得する判別部と、を有する金庫と、金庫の外側に配置され、かつ第2の搬送路を介して判別部で判別された後の紙幣を一時的に保持する一時保管部と、金庫の外側に配置され、かつ第1の搬送路と連結して、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする取引口と、を有して構成される。また、一例では、上記一時保管部は複数個配置される。
【0019】
本発明は、現金自動取引装置の設置構造としても把握される。即ち、取引に必要な情報を表示するモニタと、取引に必要な情報を入力する利用者操作部と、取引用のカードの挿入や明細票の排出を行う挿入・排出部と、入金又は出金される紙幣をセットする取引口とが少なくとも配置されたフロントパネルを壁面に固定し、
紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む紙幣取扱機構を収納し、開口部より搬送路を貫通させた金庫を壁面の内側に配置し、
搬送路を介して金庫の収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、金庫とは別体に構成された取引口を壁面に固定してなる現金自動取引装置の設置構造である。
一例では、現金自動取引装置の設置構造において、紙幣の判別を行う判別部と、紙幣を一時的に保管する一時保管部を、金庫の内部に備える。
また、他の例では、紙幣の判別を行う判別部を金庫の内部に備え、紙幣を一時的に保管する一時保管部を、搬送路に連結して金庫の外部に備える。
【0020】
本発明はまた、ジャム除去方法としても把握される。即ち、紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む紙幣取扱機構を収納し、開口部より搬送路を貫通させた金庫と、
搬送路を介して金庫の収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、金庫とは別体に構成され、壁面に設置される取引口と、を有する現金自動取引装置におけるジャムの除去方法であって、搬送路を取引口から離脱して、金庫を壁面から離し、取引口付近のジャムを除去するジャム除去方法である。
【0021】
また、他の例におけるジャムの除去方法では、紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む紙幣取扱機構を収納し、開口部より搬送路を貫通させた金庫と、
搬送路を介して金庫の収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、紙幣取扱機構と一体的に構成された、壁面に設置される取引口と、を有する現金自動取引装置におけるジャムの除去方法であって、搬送路を取引口から離脱して、金庫の扉を開放して紙幣取扱機構を金庫から取り出し、取引口付近のジャムを除去するジャム除去方法である。
好ましい例では、紙幣を一時的に保管する一時保管部を、搬送路に連結して金庫の外部に備える現金自動取引装置において、この一時保管部にジャムが発生した場合、金庫の扉を開放せずに、一時保管部からジャムを除去する。
【0022】
本発明は、また、現金自動取引装置の交換方法としても把握される。即ち、紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む第1の紙幣取扱機構を収納し、開口部より搬送路を貫通させた金庫と、
搬送路を介して金庫の収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、壁面に設置される取引口と、出金又は入金の取引に必要な情報を表示するモニタ及び利用者によって操作される利用者操作部とを含み壁面に設置されたフロントパネルと、を有する第1の現金自動取引装置を、
紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む第2の紙幣取扱機構を収納し、開口部より搬送路を貫通させた金庫と、
搬送路を介して金庫の収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、壁面に設置される取引口と、出金又は入金の取引に必要な情報を表示するモニタ及び利用者によって操作される利用者操作部とを含み壁面に設置されたフロントパネルと、を有する第2の現金自動取引装置に交換する方法であって、
取引口及びフロントパネルを壁面に固定した状態にして、搬送路を取引口から離脱して金庫を離し、
金庫の扉を開放して、金庫内に実装される第1の紙幣取扱機構を第2の紙幣取扱機構に交換し、
金庫の扉を閉じて、搬送路を取引口に連結して、第2の現金自動取引装置に交換する交換方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、壁面に紙幣を入金又は出金するための取引口を設置するための穴部を形成することにより、容易にATMを設置できる。壁に形成される穴部をより小さくすることができ、ATMの設置コストの低減でき、防犯性を向上させることができる。
【0024】
また、紙幣の取引口や一時保管部などのようなジャムが発生しやすい機構部を金庫の外側に配置する構成としたので、金庫を開放しないでジャムを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】一実施例によるATMの外観斜視図。
【図2】一実施例によるATMの制御ブロック図。
【図3】一実施例(第1実施例)における紙幣取扱機構101の構成を示す図。
【図4】一実施例における紙幣取扱機構101の制御ブロックを示す図。
【図5】一実施例における入金動作を説明するための図。
【図6】一実施例における入金動作を説明するための図。
【図7】一実施例における出金動作を説明するための図。
【図8】一実施例における出金動作を説明するための図。
【図9】一実施例における紙幣取扱機構の構成を示す図。
【図10】一実施例における紙幣装填の動作を説明する図。
【図11】一実施例における紙幣回収の動作を説明する図。
【図12】一実施例(第2実施例)による紙幣取扱機構の構成を示す図。
【図13】一実施例(第3実施例)による紙幣取扱機構の構成を示す図。
【図14】一実施例(第4実施例)によるCDへ適用した紙幣取扱機構の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
図1は一実施例のおけるATM1の外観を示す。
ATM1は、入出金される紙幣を取扱う紙幣取扱機構101、利用者の取引カードや取引明細票を処理するカード・明細票処理機構102、通帳に印字処理する通帳処理機構103、筐体104と、取引に必要な情報を入力する利用者操作部105、取引に必要な情報を表示するモニタ116、これらの機構部を制御する本体制御部106、及び電源部111を備えて構成される。
【0027】
カード・明細票処理機構102に対するカードの挿入や明細票の排出を行う挿入・排出部102´、通帳処理機構103に対する通帳挿入・排出部103´、利用者操作部105やモニタ116、紙幣取扱機構101と連結して入出金される紙幣をセットする取引口2等の、利用者により操作及び確認される部位はフロントパネル115に配置されている。
【0028】
図2は、ATM1の制御関係を示すブロック図である。
カード・明細票処理機構102、通帳処理機構103、利用者操作部105、モニタ116および紙幣取扱機構101は、バス110を介して本体制御部106と接続されており、本体制御部106からの制御指令に従って所要の動作を行う。
【0029】
バス110には、更にインタフェース部107、係員操作部108、外部記憶部109が接続されており、これらのユニット間で必要なデータのやり取りを行う。なお、これらのユニットには電源部111により電力が供給される。
【0030】
(第1実施例)
図3はATM1に実装される紙幣取扱機構101の構成を示す。
紙幣取扱機構101は、利用者に対して出金する紙幣を放出セットし及び入金される紙幣をセットする取引口2と、紙幣Bの金種や搬送状態を判別する紙幣判別部3と、入金された紙幣Bを取引成立までの間一時的に保持する一時保管部4と、取引口2から入金された紙幣Bを収納したり、金種別の紙幣Bを収納し、出金取引時に紙幣Bを繰り出す収納庫5a〜5dと、紙幣判別部3によって金種の読み取りが不可と判定された紙幣Bや搬送状態が搬送不可と判定された紙幣B等を収納するリジェクト庫7と、及び上記各構成部を連結して紙幣Bを搬送する搬送路20〜23を備えて構成される。
【0031】
紙幣Bを保管する収納庫5a〜5d、及び搬送路21〜23は金庫112の内部に収納される。金庫112には開口部114が形成され、この開口部114を通って搬送路20が延伸され、取引口2と連結している。開口部114の大きさは搬送路20が通る最小の穴径である。
【0032】
金庫112は通常閉鎖されており、特定の係員のみが金庫扉113を開錠することができる。そして、必要に応じて、金庫112を開けて収納庫5a〜5d、リジェクト庫7、内部の搬送路21〜23等で構成される金庫の内部ユニットを引き出して保守を行う。
このように通常の取引時には金庫112の扉113は千錠され、開口部114を通してのみ紙幣の出し入れが行われる。よって、特定者以外による金庫の内部へのアクセスが制限され、現金保管の安全性が確保される。
【0033】
一時保管部4は、リール40、テープ41、ホイール42、ローラ43を備えており、入金された紙幣であって紙幣判別部3で判別されたものを、テープ41の間に挟持して一時的に保管する。
【0034】
尚、搬送路20〜23が分岐する箇所には、夫々切り替えゲート11が配置される。また図3には示していないが、金種別の収納庫5a〜5dに各金種の紙幣を装填したり、収納庫5a〜5dから各金種紙幣を回収するための装填回収庫6(図4参照)が装填され得る。図4の例では、取扱われる金種が4種であるので、収納庫5a〜5dは4つ有しているが、収納庫の数は金種に応じて変更できる。
【0035】
取引口2の内部は、仕切り板10によって入金紙幣をセットする入金口2aと出金紙幣をセットする出金口2bとに分かれており、搬送路20は入金口2a及び出金口2bと接続されている。入金口2aにはセットされた紙幣を1枚ずつ分離して搬送路へ繰り出す分離機構(図示せず)を有している。
【0036】
次に、ATM1を壁117に貫通した状態で設置する例について説明する。
壁117の厚さWthは設置する建物により異なる。壁の厚さWthが厚いの場合、壁の内側に設置されるATM1の本体と壁前面に設置されるフロントパネル115の距離が遠くなる。しかしその場合には、搬送路20の長さを延ばすように変えることで取引口2と連結する。また、壁117を貫通する部分は、搬送路20、搬送路22及び取引口2だけであり、壁117の貫通部分の面積が最小限必要な面積となっている。
【0037】
図4は紙幣取扱機構101の制御ブロック図である。
紙幣取扱機構101を構成する上記した取引口2、紙幣判別部3、一時保管部4、収納庫5、装填回収庫6、リジェクト庫7、搬送路20〜25の各機構を駆動する駆動制御部、及び記憶部12は、制御部13に接続される。ここで、記憶部12は、判別した紙幣の金種及び紙幣サイズとの対応関係等を記憶する。
【0038】
制御部13はバス110を介して本体制御部106と接続され、本体制御部106からの指令および紙幣取扱機構101の状態検出に応じて紙幣取扱機構101の関連するユニットの制御を行う。また必要に応じて紙幣取扱機構101の状態に関する情報を検知、収集して本体制御部106に送る。
【0039】
次に、図5及び図6を参照して、本実施例の入金動作について説明する。
図5に示すように、利用者によって取引口2の入金口2aに投入された紙幣Bは一枚ずつ分離されて搬送路20に繰り出される。搬送路20に繰り出された紙幣Bは、図中の矢印方向に搬送され、紙幣判別部3で紙幣の金種および枚数の判別が行われる。判別の結果、正しく判別された紙幣Bは一時保管部4に搬送され、そこに一旦保管される。
【0040】
一方、紙幣判別部3における判別の結果、紙幣の金種や枚数が正しく判別できない場合、或いは紙幣が大きくスキューしたりシフトした状態であるので、ATMが取り扱えないと判断した場合は、それらの紙幣をリジェクト紙幣Bとして扱い、切り替えゲート11を操作して搬送路20を逆送して取引口2内の出金口2bに返却する。
【0041】
利用者は、出金口2bに返却された紙幣Bを取り除くか、再投入するなどの行為をする。そして出金口2b内に返却された紙幣Bが無くなった後、紙幣判別部3により判定された金種及び枚数から算出された合計金額金額がモニタ116に表示される。
【0042】
利用者はモニタ116の表示内容を確認して、意図した入金金額と同じであった場合には利用者操作部105を操作してその入金取引を確定する。取引が確定すると、図6に示すように、一時保管部4に一時的に保管されていた紙幣Bは、図中の矢印方向に搬送され、紙幣判別部3にて金額及び紙幣状態等を再度判別される。判別の結果、金種が判別できなかったり、正常に搬送できないと判定された紙幣は、リジェクト紙幣として扱われ搬送路22、23を経由してリジェクト庫7に搬送して収納される。また、正常と判定された紙幣Bは、搬送路22、23を経由して金種ごとに収納庫5a〜5dに収納される。
【0043】
次に、図7及び図8を参照して、本実施例の出金動作について述べる。
利用者が利用者操作部105にて出金額を入力した後、操作の確定を行うと、図7に示すように、収納庫5a〜5dから出金の対象となる紙幣Bが搬送路23に繰り出される。繰り出された紙幣Bは搬送路22を搬送され、紙幣判別部3で金種および枚数が判別される。判別の結果、判別不可能と判定された紙幣Bは一時保管部4に一時的に保管される。一方、正常と判定判別された紙幣Bは取引口2の出金口2bに搬送され、そこに集積される。利用者は取引口2に集積された紙幣Bを取り出す。
【0044】
利用者によるこの紙幣Bの取り出し動作と並行して、一時保管部4に保管されていた紙幣Bは、図8に示すように搬送路22,23を経由してリジェクト庫7に搬送され、そこに集積される。
【0045】
次に、図9〜図11を参照して紙幣の装填及び回収について説明する。
本実施例において、収納庫内の紙幣Bが満杯になったり、出金するための枚数が不足した場合は、該当する収納庫を取り出して紙幣Bを装填又は回収する必要がある。またATM1を稼動する前に装置内に紙幣を装填する場合もある。この場合、対象となる収納庫が複数個存在するので、それぞれの収納庫に対して回収作業を行うことになり、その作業も煩雑になる。
【0046】
そこでこの作業性を良くするために、図9に示すように装填回収庫6を金庫112内に実装しておくことが好ましい。即ち装填回収庫6を用いることにより、それぞれの金種に応じた収納庫5a〜5dを1つ1つ取り出して紙幣を装填や回収する必要が無くなり、作業性が向上する。
【0047】
装填回収庫6は、搬送路24を通して搬送路21と結合して実装される。この実装状態がATMの通常取引き状態である。
【0048】
金庫112内に実装された状態で、装填回収庫6へ紙幣Bを装填する場合、係員は金庫112の扉113を開錠して、装填回収庫6を矢印M方向に引いて金庫112から取り出す。そして係員は、補充したい紙幣Bを装填回収庫6に詰め、この装填回収庫6を再度金庫112内に実装する。
【0049】
また、紙幣Bの回収については、装填回収庫6を空もしくは紙幣残量を少なくした状態でセットし、収納庫5a〜5dから紙幣を自動的に装填回収庫6に回収する。回収作業は営業終了後に紙幣取扱機構101内の各収納庫5a〜5d内の紙幣を回収する場合にも実施される。
【0050】
次に図10を参照して装填回収庫6による装填動作について詳細に説明する。装填動作ではまず金庫扉113を開き装填回収庫6を矢印N方向に紙幣取扱機構101に装着する。装填後、金庫112の扉113を閉じると、装填回収庫6から紙幣Bが自動的に繰り出され、矢印に沿って搬送される。即ち、搬送路24を通って紙幣判別部3を通過する際に、そこで金種および紙幣状態が判別される。判別の結果、金種や搬送状態が正常と判定された紙幣Bは搬送路22、23を経由して各金種に応じた収納庫5a〜5dに収納される。上記判別の結果、リジェクト紙幣と判定された紙幣Bは装填回収庫6内の装填リジェクト庫9に収納される。
【0051】
次に図11を参照して、装填回収庫6による回収動作について詳細に説明する。回収動作では、収納庫5a〜5dから搬送路23へ紙幣Bを繰り出し、搬送路22を経由して紙幣判別部3にて金種および紙幣状態を判別し、搬送路24を通して装填回収庫6に紙幣Bを回収する。回収作業が終了すると、係員は金庫112の扉113を開けて装填回収庫6を紙幣取扱機構101から矢印O方向に取り外す。これで回収動作を完了する。
【0052】
以上の説明では、装填回収庫6による紙幣の回収及び装填の動作について述べた。しかし、他の応用例として、装填回収庫6を利用して各収納庫5a、5b、5c、5d内の紙幣の枚数を計数するために使用することもできる。即ち、装填回収庫6を紙幣取扱機構101に装着したままで、各収納庫5a、5b、5c、5dから紙幣を順次繰り出して、紙幣判別部3で通過する紙幣の金種及び枚数を判定することで、紙幣毎の枚数を計数ことができる。紙幣判別部3を通過した紙幣Bは搬送路24を通って装填回収庫6に収納される。
【0053】
(第2実施例)
次に、図12を参照して第2の実施例について説明する。この実施例は、一時保管部4をユニット化構成して、金庫112の外側に配置し、金庫112に設けた開口部114´に搬送路21を通して金庫112内の搬送路と連結したものである。一時保管部4の内部構成及び紙幣の一時保管動作は、例えば図3を参照して前述したものと同様である。また、金庫112内の紙幣取扱機構101はじめその他の構成も、前述した例と同様である。
【0054】
この実施例で特徴的なことは、一時保管部4を金庫112の外部に配置することにより、例えばこの場所でジャムが発生しても金庫112の扉113を開ける必要が無く、ジャムの除去作業を容易に行えることである。
【0055】
ここで、一時保管部4の内部構成について説明しておく。一時保管部4は、1本のテープ41を巻取り・巻戻しするリール40と、リール40に巻取り・巻戻されるテープ41に圧接し回転するローラ43と、ローラ43により方向転換されたテープ41と紙幣Bとを巻取り・巻戻しするホイール42で構成する。一時保管部4において、紙幣Bはテープ41とホイール42の間に巻きつけられて集積される。集積された紙幣Bは、リール40を回転させてテープ41をリール40に巻きつけながらホイール42から紙幣Bをそのまま順番で搬送路21へ繰り出すことで放出される。
【0056】
このような紙幣の集積、繰り出し動作では、例えば大きくスキューした紙幣を姿勢を直して又はそのままの姿勢で無理やりに集積するのではなく、スキューしたそのままの状態で巻き取りを行うことから、スキューなどの搬送状態が異常な状態であっても、集積時のジャムが発生しにくい。また、その後の繰り出しにおいても、集積されている紙幣をピックアップローラなどで一枚ずつ繰り出すのではなく、巻き付いている紙幣をそのまま放出するだけであることから、紙幣に対して余分な力が加わることがなく、その結果繰り出し作業が容易となってジャムが発生する確率が極めて低くなる。
【0057】
次に、ジャムの除去作業について簡単に述べる。
利用者から入金される紙幣Bにはいろいろな大きさがあり、また、それらが不整列の状態でセットされたりする。更にしわや折れ曲がりがある紙幣Bが入金されたりする。このような場合、紙幣の集積又は分離する場所でジャムが発生する可能性がある。紙幣の集積や分離場所としては、取引口2や一時保管庫4が関係する。
【0058】
例えば一時保管庫4でジャムが発生した場合に、金庫扉113を開錠することなく、銀行の係員により容易にジャムを除去することができる。
また、取引口2でジャムが発生した場合は、金庫112の外側で矢印A方向から手を挿入して取引口2のジャムを除去することができる。
【0059】
更に、金庫112内の搬送路20〜24や収納庫5a〜5d等でジャムが発生した場合は、金庫扉113を開錠後、金庫の内部のユニットを矢印B方向に引き出して実施する。このとき、搬送路20と取引口2とは線K−Kにて切り離される。
【0060】
尚、ジャムの発生した場所は、搬送路や紙幣集積部に配置された、紙幣の有無を検知するための光学センサからの信号を制御部13で検知することにより検出される。制御部13は紙幣の検知信号の状態が規定時間以上続くことを検出すると、紙幣が滞留している状態、即ちジャムと判断する。ジャムの発生は、制御部13から本体制御部106へ伝えられ、本体制御部106は、ジャムの発生と判断したセンサに対応する位置のエラー情報を監視用のモニタに表示する。これにより係員はジャム発生場所を認識できる。
【0061】
(第3実施例)
次に、図13を参照して第3の実施例について説明する。前述した実施例と本実施例との相違は、前述の実施例で具備していた(第1の点)、取引口2の入金口2aと出金口2bとを分離していた仕切り板10を除去して取引口2を1つの口にしたこと、及び同様の構成を成す2つの一時保管庫4、4´を設けたこと(第2の点)にある。
【0062】
第1の点に関して、入金口2aと出金口2bを統合することで、取引口2の最大厚さOthを金庫の開口部最大厚さCthよりも更に小さくするように実装する。ここで搬送路20は双方向搬送が可能な搬送路である。搬送路20と取引口2は、図12で示したように線K−Kで切り離す必要が無く、搬送路20と取引口2が一体的に固定されている。これら搬送路20及び取引口2は、紙幣取扱機構101と一体であるので、金庫112の扉113を開いて矢印B方向へ全体として引出ることができる。
【0063】
第2の点に関して、紙幣判別部5における紙幣の判別の結果に応じて一時保管庫4、4´を切り分けて使用する。
即ち、入金動作において、紙幣判別部5による紙幣の判別の結果に応じて、一時保管庫4には正常な紙幣Bを保管し、一時保管庫4´は金種が読み取れない、スキューやシフトが大きすぎて装置が取り扱うことができない等と判定したリジェクト紙幣Bを保管するように、搬送路21のゲートを切り替えて制御する。
【0064】
一時保管部4´に保管されたリジェクト紙幣Bは、搬送路21、20を経由して取引口2に返却される。この紙幣Bは利用者により再入金されるか、リジェクト紙幣Bの入金をあきらめる。そして取引口2に紙幣がなくなった状態になり、利用者がモニタ116に示される金額を確認して、操作部105から入金取引の確定を操作した後に、一時保管庫4に保管された正常な紙幣Bは、搬送路21、22、23を経由してそれぞれの収納庫5a〜5dに集積される。
【0065】
一方、出金動作において、収納庫5a〜5dから繰り出された紙幣Bは、紙幣判別部3で判別される。判別の結果、出金に適した紙幣Bは一時保管部4に保管される。それに対して、金種が読み取れない等の出金が不適当と判定された紙幣Bは一時保管部4´に保管される。その後、正常な紙幣Bは一時保管部4から搬送路21、20を経由して取引口2に搬送して放出される。一方、出金に不適当な紙幣Bは一時保管部4´から搬送路21、22、23を経由してリジェクト庫7に収納される。
【0066】
第3の実施例において紙幣のジャム除去作業は次のように行われる。
入金取引において、一時保管部4´に保管されたリジェクト紙幣Bはその保管集積時にジャムが発生しやすい。しかし、例えジャムが発生したとしても一時保管部4´は金庫112の外側にあるために、金庫112の扉113を開放することなく、一時保管部4´からジャムの紙幣を容易に取り出すことができる。一時保管部4におけるジャムの除去も同様である。
【0067】
取引口2でジャムが発生した場合には、取引口2を含めた金庫112の内部のユニットをまとめて矢印B方向に引き出すことによってジャムを除去することができる。尚、一時保管部4と一時保管部4´をレールに搭載しておき、これらのユニットを矢印C方向に引き出して、矢印A方向から手を入れてジャムを除去してもよい。
【0068】
(第4実施例)
次に、図14を参照して、入金機能を持たない出金専用機(キャッシュシディスペンサー:CDと言う)に適用した例について説明する。上述した例は、何れも入出金機能を持つATMの例であったが、本発明の趣旨はCDにも適用される。
【0069】
図14において、金庫112に収納される紙幣取扱機構101´には、CDの紙幣出金機能として以下のユニットが実装される。即ち、例えば4金種に対応する4つの収納庫5e、5f,5g、5hと、重複して搬送される紙幣を検知する2枚検知部31と、出金前の紙幣を一時保管する集積部32と、紙幣の搬送路33と、出金紙幣をセットする出金口34を有して構成される。
【0070】
収納庫5e〜5h、2枚検知部31、集積部32等で構成される金庫112の内部ユニットと出金口34は搬送路33で連結されている。紙幣取扱機構101´は、入金機能がないので、前述した実施例における紙幣判別部3や一時保管庫4を実装していない。そのため、装置高さは収納庫が実装される金庫の高さ程度までに低くなっており、搬送路33が貫通する金庫開口部114は、金庫112の利用者側の面に設けることができる。
【0071】
CDは出金機能のみを持つ自動取引装置であるので、紙幣取扱機構にセットされる紙幣は、金融機関によって予め精査されたものである。このため、利用者による入金紙幣に比べて、紙幣の状態や搬送状態が一様で安定している。このため、ジャムが発生する可能性は非常に低い。しかし、もしCDの装置内の集積部32や搬送路33、出金部34でジャムが発生したとしても、それらのジャムの除去は容易に行える。例えば、図12を参照して説明した方法と同様にしてジャムを除去できる。
【0072】
(第5実施例)
本実施例によれば、図14のように、既に壁面に設置されているCDからATMへのリプレースが容易に行える。以下、その一例について説明する。
【0073】
出金機能を持つ紙幣取扱機構101´から、上述した入出金機能を持つ紙幣取扱機構101を有するATMへリプレースする場合には、金庫112から紙幣取扱機構101´を除去する。その後、紙幣取扱機構101を金庫112に実装してATMを構成する。ATM1の構成ユニットのうち紙幣取扱機構101´以外の物、例えば金庫112やフロントパネル115などはリプレース前に使用していた物を利用する。
【0074】
以上説明したように、第1の実施例によれば、壁面の貫通部は搬送路20及び取引口2であることから、壁面貫通部を小さくすることができ、これによりATMの設置コストを低くすることができる。また、壁面貫通部を小さくすることでATMの防犯性を高めることができる。さらに、取引口2に入金された紙幣Bを一枚ずつ分離する分離部が金庫112の外側にあるので、分離部でジャムが発生しても、金庫112を開錠することなくジャムを除去することができ、ATMのダウン時間を短くすることができる。
【0075】
また、紙幣判別部を金庫の中に収納することにより、防犯性を一層向上させることができる。例えば、もし紙幣判別部が金庫の外部に在ると、偽札を真券と判定させようとして、故意に紙幣判別部に使用されているセンサ等が改造される恐れがあるが、紙幣判別部を金庫内に収納することによりセンサ等の悪意な改造が防止できる。
【0076】
第2の実施例によれば、一時保管部4を金庫112の外側に実装する構成としたので、入金された紙幣Bの状態(折れ、しわなど)や搬送状態(大スキュー、大シフト、種々のサイズを一括に扱うことによる不整列性など)が原因で一時保管部4でジャムが発生しても、金庫112を開錠してジャム除去する必要がない。これによりATMのダウン時間を短くすることができる。
【0077】
第3の実施例によれば、取引口2とそれにつながる搬送路を一体的に連結した構成とした、その連結部でジャムが発生する可能性が極めて低くなる。また、例え取引口2でジャムが発生したとても、取引口2を金庫112の内部ユニットとを一緒に、壁の内側で奥行き方向へ引き出すことが出来るので、安全な状態でジャムの除去ができる。さらに、入金時のリジェクト紙幣を金庫の外に配置した一時保管部4´に集積するので、やはりジャムの除去性が良くなる。
【0078】
第4の実施例によれば、壁面設置型のCDにも適用できる。また壁面の貫通部は搬送路33及び出金口34であることから、その貫通部を小さくすることができ、またCDの防犯性を高めることができる。また、取引口である出金口34付近に発生したジャムに対しても、搬送路33を出金口から分離して、金庫112を開錠することなくジャムを除去することができる。
【0079】
第5の実施例によれば、金庫112内の構成をCD30からATM用の紙幣取扱機構101へ交換し、かつ以前から形成された壁の貫通部(CD用の穴部)を利用することにより、CD30からのATMへのリプレースを容易に行うことができる。これによりリプレースのコストも低くなる。
【0080】
尚、本発明は上記実施例に限定されずに、更に色々と変形、応用して実施し得る。
例えば、実施例1乃至3における紙幣の収納庫5a〜5dの配列を、図14に示す収納庫5e〜5hのように上下方向に重ねて配列してもよい。
【0081】
また、他の代替例として、図12に示した装填回収庫6を金庫112の外部に設置するようにしてもよい。それは例えば、図12の一時保管部4又は図13の一方の一時保管部4又は4´を装填回収庫6に置き換えることで説明できる。この場合、装填回収庫6と搬送路21とは着脱可能な構造である。金融機関の係員は必要時に装填回収庫6を搬送路21に連結することで、紙幣の装填や回収が容易に行える。これによれば金庫112の扉113を開錠することなく装填回収作業が行えるので、作業性が向上する。
【0082】
また上記第5実施例の代替例として、逆にATMからCDへのリプレースも同様にして容易に行えることが理解されるであろう。
【0083】
上記実施例は壁面に設置されるATMの例であるが、本実施例によるジャム除去のための構成は壁面設置型のATMだけではなく、銀行のロビー設置型のATMにも適用できる。この種のATMでは、係員がATMのフロントパネルを開閉して、断面K−K(図12)にて取り外された取引口2を矢印S方向に引き出してジャム除去を行う。
【符号の説明】
【0084】
1:ATM、2:取引口、2a:入金口、2b:出金口、3:紙幣判別部、4、4a:一時保管部、5a〜5d:収納庫、5e〜5h:収納庫、6:装填回収庫、7:リジェクト庫、9:装填リジェクト庫、10:仕切り板、11:切り替えゲート、12:記憶部、13:制御部、20〜25:搬送路、31:2枚検知部、32:集積部、33:一括搬送路、34:出金口、40:リール、41:テープ、42:ホイール、43:ローラ、101:紙幣取扱機構、102:カード・明細票処理機構、103:通帳処理機構、104:筐体、105:利用者操作部、106:本体制御部、107:インタフェース部、108:係員操作部、109:外部記憶部、110:バス、111:電源部、112:金庫、113:金庫扉、114:開口部、115:フロントパネル、116:モニタ、117:壁、Oth:取引口2の最大高さ、Cth:開口部114の最大高さ、Wth:壁の厚さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して該収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む紙幣取扱機構を収納し、開口部より該搬送路を貫通させた金庫と、
該搬送路を介して該金庫の該収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、該金庫とは別体に構成され、壁面に設置される取引口と、を有する現金自動取引装置におけるジャムの除去方法であって、
該搬送路を該取引口から離脱して、該金庫を該壁面から離し、該取引口付近のジャムを除去することを特徴とするジャム除去方法。
【請求項2】
紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して該収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む紙幣取扱機構を収納し、開口部より該搬送路を貫通させた金庫と、
該搬送路を介して該金庫の該収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、該紙幣取扱機構と一体的に構成された、壁面に設置される取引口と、
を有する現金自動取引装置におけるジャムの除去方法であって、
該搬送路を該取引口から離脱して、該金庫の扉を開放して該紙幣取扱機構を該金庫から取り出し、該該取引口付近のジャムを除去することを特徴とするジャム除去方法。
【請求項3】
該紙幣を一時的に保管する一時保管部を、該搬送路に連結して該金庫の外部に備える現金自動取引装置において、該一時保管部にジャムが発生した場合、該金庫の扉を開放せずに、一時保管部からジャムを除去することを特徴とする請求項1又は2のジャム除去方法。
【請求項4】
紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して該収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む第1の紙幣取扱機構を収納し、開口部より該搬送路を貫通させた金庫と、
該搬送路を介して該金庫の該収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、壁面に設置される取引口と、出金又は入金の取引に必要な情報を表示するモニタ及び利用者によって操作される利用者操作部とを含み該壁面に設置されたフロントパネルと、を有する第1の現金自動取引装置を、
紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して該収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む第2の紙幣取扱機構を収納し、開口部より該搬送路を貫通させた金庫と、
該搬送路を介して該金庫の該収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、壁面に設置される取引口と、出金又は入金の取引に必要な情報を表示するモニタ及び利用者によって操作される利用者操作部とを含み該壁面に設置されたフロントパネルと、を有する第2の現金自動取引装置に交換する方法であって、
該取引口及び該フロントパネルを壁面に固定した状態にして、該搬送路を該取引口から離脱して該金庫を離し、
該該金庫の扉を開放して、該金庫内に実装される該第1の紙幣取扱機構を該第2の紙幣取扱機構に交換し、
該金庫の扉を閉じて、該搬送路を該取引口に連結して、第2の現金自動取引装置に交換することを特徴とする交換方法。
【請求項1】
紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して該収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む紙幣取扱機構を収納し、開口部より該搬送路を貫通させた金庫と、
該搬送路を介して該金庫の該収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、該金庫とは別体に構成され、壁面に設置される取引口と、を有する現金自動取引装置におけるジャムの除去方法であって、
該搬送路を該取引口から離脱して、該金庫を該壁面から離し、該取引口付近のジャムを除去することを特徴とするジャム除去方法。
【請求項2】
紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して該収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む紙幣取扱機構を収納し、開口部より該搬送路を貫通させた金庫と、
該搬送路を介して該金庫の該収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、該紙幣取扱機構と一体的に構成された、壁面に設置される取引口と、
を有する現金自動取引装置におけるジャムの除去方法であって、
該搬送路を該取引口から離脱して、該金庫の扉を開放して該紙幣取扱機構を該金庫から取り出し、該該取引口付近のジャムを除去することを特徴とするジャム除去方法。
【請求項3】
該紙幣を一時的に保管する一時保管部を、該搬送路に連結して該金庫の外部に備える現金自動取引装置において、該一時保管部にジャムが発生した場合、該金庫の扉を開放せずに、一時保管部からジャムを除去することを特徴とする請求項1又は2のジャム除去方法。
【請求項4】
紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して該収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む第1の紙幣取扱機構を収納し、開口部より該搬送路を貫通させた金庫と、
該搬送路を介して該金庫の該収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、壁面に設置される取引口と、出金又は入金の取引に必要な情報を表示するモニタ及び利用者によって操作される利用者操作部とを含み該壁面に設置されたフロントパネルと、を有する第1の現金自動取引装置を、
紙幣を収納する収納庫と、出金又は入金に際して該収納庫から又は収納庫へ紙幣を搬送する搬送路とを含む第2の紙幣取扱機構を収納し、開口部より該搬送路を貫通させた金庫と、
該搬送路を介して該金庫の該収納庫と連結されて、利用者に対する出金又は入金のための紙幣をセットする、壁面に設置される取引口と、出金又は入金の取引に必要な情報を表示するモニタ及び利用者によって操作される利用者操作部とを含み該壁面に設置されたフロントパネルと、を有する第2の現金自動取引装置に交換する方法であって、
該取引口及び該フロントパネルを壁面に固定した状態にして、該搬送路を該取引口から離脱して該金庫を離し、
該該金庫の扉を開放して、該金庫内に実装される該第1の紙幣取扱機構を該第2の紙幣取扱機構に交換し、
該金庫の扉を閉じて、該搬送路を該取引口に連結して、第2の現金自動取引装置に交換することを特徴とする交換方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−238340(P2012−238340A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−198049(P2012−198049)
【出願日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【分割の表示】特願2010−210687(P2010−210687)の分割
【原出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【分割の表示】特願2010−210687(P2010−210687)の分割
【原出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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