説明

現金自動預払機

【目的】 操作に不慣れな利用客も落ち着いて操作することができ、操作中にタイムアウトとなり取引を最初からやり直すことを軽減することができる現金自動預払機を提供する。
【構成】 画面に次々に表示されるメッセージに従って利用者が各項目ごとに操作することにより自動的に取引を行なう現金自動預払機において、画面に表示すべきメッセージを記憶しておき、必要に応じてこれを呼び出し画面に表示させる手段と、画面に表示されたメッセージに従って利用者が必要な情報を操作項目ごとに前記メッセージ記憶呼出し手段に入力操作する手段と、操作項目に応じて、画面上に操作残り時間を表示させる手段と、を有する

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、現金自動預払機に係り、とくに利用者用操作案内盤のディスプレイ表示の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】現金自動預払機の接客面には、利用者に音声とともに画像メッセージを伝えるディスプレイと、メッセージに従って利用者が操作するタッチパネルが設けられている。
【0003】利用者は、メッセージを見ながら次々に入力操作を繰り返すが、預金,預金引出し等の他に振込や振替といった操作をする場合は、入力すべき項目数が多く、項目によってはタッチ数が多いものもあり、取引きに長時間を要する。通常、現金自動預払機では、混雑時を想定して、利用者の回転率向上を図るために、取引開始から終了までに要する総合時間を制限している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の現金自動預払機においては、操作に不慣れな利用客が取引きする場合に、取引中に制限時間をオーバーしてしまい、タイムアウトとなり最初から取引をやり直さなければならないという問題が生じる。また、時間を要する取引操作をしている最中に、利用客はタイムアウトの時間が気になり、安心して取引することができない。
【0005】本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、操作に不慣れな利用客も落ち着いて操作することができ、操作中にタイムアウトとなり取引を最初からやり直すことを低減することができる現金自動預払機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、画面に次々に表示されるメッセージに従って利用者が各項目ごとに操作することにより自動的に預金、預金引出、振込、振替を行なう現金自動預払機において、画面に表示すべきメッセージを記憶しておき、必要に応じてこれを呼び出し画面に表示させる手段と、画面に表示されたメッセージに従って利用者が必要な情報を操作項目ごとに前記メッセージ記憶呼出し手段に入力操作する手段と、操作項目に応じて、画面上に操作残り時間を表示させる手段と、を有することを特徴とする。この場合に、残り時間表示手段は、操作項目のすべてについて、画面上に操作残り時間を表示させることが好ましい。
【0007】
【作用】本発明に係る現金自動預払機においては、画面上に操作残り時間が各項目ごとに表示される。利用客は、これを目安として各項目の操作を行なうことができるので、タイムアウトとなり取引操作をやり直すことを未然に防止することができる。
【0008】
【実施例】以下に、添付図を参照して本発明の実施例について説明する。図1は、現金自動預払機を接客面のほうから見て示すものである。また、図2は、現金自動預払機のブロック構成図である。
【0009】現金自動預払機2の筐体前面(接客面)には、顧客センサ3、通帳口4、カード・明細口・振込券口5、紙幣口6、硬貨口7、使用中止表示器8、CRTディスプレイ9が設けられている。
【0010】顧客センサ3は、接客面中段部より下方の垂直面に設けられ、接客面に接近する利用客を検知するようになっている。通帳口4およびカード・明細口・振込券口5は、接客面中段部より上方の垂直面に設けられ、通帳およびカードを受入れ返戻するようになっている。紙幣口6および硬貨口7は、接客面中段部の直上に設けられ、開閉扉を介して紙幣および硬貨の預金・支払いをするようになっている。使用中止表示器8は、接客面の最上部に設けられ、ジャム等の支障が生じたときに取引き中止の表示を利用客に示すようになっている。
【0011】CRTディスプレイ9は、接客面中段部に設けられ、カラーCRT16及びタッチセンサ15内蔵のタッチパネルにより操作手順やその他の情報をイラスト、文字或いは文言によって表示することにより利用客を誘導すると共に、この誘導によって暗証番号、金額、口座番号、取引の承認、確認或いは取消などに応じた表示部分を押圧する操作が行なわれるものである。
【0012】図2に示すように、現金自動預払機2内には、主制御部20、磁気カードリーダ/ジャーナルプリンタ振込券ユニット10、通帳プリンタ・明細票発行ユニット11、硬貨入出金ユニット13、接客ユニット14、音声案内ユニット17、顧客センサユニット18、内部モニタ19、伝送制御部21、ディスク制御部22、電源部23が設けられている。主制御部20は、装置全体を制御するためのものであり、伝送制御部21を経由して監視センタのホストコンピュータに接続されている。
【0013】磁気カードリーダ/ジャーナルプリンタ振込券ユニット10は、カード挿入口5から挿入されたカードを取扱うためのものである。通帳プリンタ・明細票発行ユニット11は、通帳挿入口4から挿入された通帳を受入れてその通帳の磁気情報の読取り及び記録を行なうとともに取引内容の印字を行なう通帳読取印字装置を備えている。紙幣入出金ユニット12は、紙幣口6を介して紙幣を取り扱うためのものである。硬貨入出金ユニット13は、硬貨口7を介して硬貨を取り扱うためのものである。
【0014】接客ユニット14は、タッチセンサ15およびカラーCRT16を備え、CRTディスプレイ9に操作項目ごとにイラスト及び文字情報を表示させる機能を有する。利用客は、CRTディスプレイ9の案内メッセージに従って、タッチセンサ15に接続されたタッチパネルの押圧ボタンを押すことにより操作を行うことができる。
【0015】音声案内ユニット15は、操作項目ごとに利用客に対して音声情報を伝える機能を有する。顧客センサユニット18は、顧客の接近離脱を検知するためのものである。内部モニタ19は、装置状態を監視し、媒体搬送動作を制御し、ビデオ情報(カット)を呼出し、これを制御し、さらに出力する機能を備えている。なお、外部には係員用のリモートモニタ24も設けられている。伝送制御部21およびディスク制御部22は、主制御部20を補助するためのものである。
【0016】図3に示すように、CRTディスプレイ9にはタッチパネル15a、メッセージディスプレイ16a、操作残り時間表示部31が設けられている。タッチパネル15aにはア〜ンの47音および濁音記号などの50個の入力キー、並びに取消キー、訂正キー、一字訂正キー、確認キーが配置されている。メッセージディスプレイ16aには、「ご依頼人名を押し最後に確認を押してください」のように、利用者に対する短いメッセージが表示される。
【0017】操作残り時間表示部31には操作の残り時間0〜10秒、10〜20秒、20〜30秒、30〜40秒、40〜50秒、50〜60秒と10秒間隔でアナログ表示する6個の表示ランプが縦配列されている。表示部31の各表示ランプは主制御部20によってタイマー監視されるようになっている。なお、図4に示すように、上記アナログ表示部31の代わりに、操作残り時間を各秒ごとに数値表示するデジタル表示部32を設けてもよい。
【0018】図5は振込取引時に必要な操作項目ごとに操作制限時間(秒)を示すタイムテーブルである。利用者は項目番号1〜14にそれぞれ該当する入力操作を各制限時間内に終了する必要がある。それぞれの処理には一定のタイマー監視がなされており、操作タイムアウトとなった場合には利用者は取引を最初からやり直さなければならない。次に、図6乃至図8に示すフローチャートをそれぞれ参照しながら振込取引時の入力操作について説明する。
【0019】利用客は現金自動預払機2の正面に立ち、CRTディスプレイ9の案内に従って操作を始める。先ず、振込取引を制限時間30秒以内に選択する(工程41)。主制御部20により振込カードの有無を判定し(工程42)、振込カードが有る場合は図7の振込金額入力〜確認操作(工程49)に進む。
【0020】振込カードが無い場合は、金融機関名入力の指示メッセージが表示されるので、金融機関名を制限時間30秒以内に入力する(工程43)。次に、支店名を制限時間30秒以内に入力する(工程44)。さらに、振込先科目を制限時間30秒以内に選択する(工程45)。口座番号を制限時間60秒以内に入力する(工程46)。主制御部20により自行以外の他行を指定したか否かを判定し(工程47)、自行指定の場合は図7の振込金額入力〜確認操作(工程49)に進む。他行指定の場合は、受取人名入力の指示メッセージが表示されるので、受取人名を制限時間60秒以内に入力する(工程48)。
【0021】なお、各制限時間内に入力操作を終了しない場合は、もとの画面に戻って再び最初から操作をやり直す必要がある。利用者は、表示部31に表示される操作残り時間を見ながら各項目ごとに入力選択操作をすることができる。
【0022】図7に示す振込金額入力〜確認操作を制限時間60秒以内にする(工程49)。振込カードの有無を判定し(工程50)、振込カードが有る場合は送受信処理1(工程55)へ進む。振込カードが無いときは、さらにカード振込するか否かを判定し(工程51)、カード振込する場合は入力内容確認操作(工程54)へ進む。カード振込しない場合は、依頼人名を入力する(工程52)。
【0023】図3は、操作項目番号8のCRT画面案内文言の内容を示す図である。図のように画面が表示されてから、依頼人名入力操作終了迄の操作時間が60秒あるとした場合に、棒グラフ状に10秒単位の6個の表示キーを設けてその横に秒数も表示させる。まず、操作残り時間が60秒〜50秒の時には60〜50の表示キーを点滅させ残り5つのキーは表示させたままとする。操作残り時間が50秒〜40秒になった時には、60〜50のキーを消し、50〜40のキーを点滅させ残りのキーは表示させたままとする。操作残り時間が40秒〜30秒になった時に、50〜40のキーを消し、40〜30のキーを点滅させ残りの3ケのキーは表示させたままとする。操作残り時間が30秒〜20秒になった時に、40〜30のキーを消し、30〜20のキーを点滅させ残りの2ケのキーは表示させたままとする。操作残り時間が20秒〜10秒になった時に、30〜20のキーを消し、20〜10のキーを点滅させ10〜0のキーは表示させたままとする。操作残り時間が10秒以下になった時に、20〜10のキーを消し、10〜0のキーを点滅させる。さらに5秒以下になった時は、10〜0のキーの点滅時間を速くし、タイムアウトとなった時には、操作残り時間を表示する全てのキーを消し、利用客は再び操作を最初からやり直すことになる。
【0024】また、表示キーの色をある時間を境に変化させ、顧客に操作残り時間が少なくなったことより強く印象づけさせる為、例えば操作残り時間が20秒以下になった時に、キーの色を赤色に変えて表示させる。
【0025】操作タイムアウト前に依頼人名入力処理が終了すれば、操作項目番号9の依頼人電話番号入力の処理(工程53)へ進み、制限時間60秒以内にこれを入力する。さらに、入力内容確認操作(工程54)、送受信処理1(工程55)、振込内容確認(工程56)を制限時間60秒以内に次々に操作する。
【0026】振込内容確認(工程56)後、カード振込をするか否かを判定し(工程57)、YES判定のときは振込カード使用判定(工程59)へ進む。NO判定のときは、現金投入〜確認の操作を制限時間60秒以内にする(工程58)。
【0027】振込カード使用判定(工程59)の結果がYESのときは送受信処理2(工程61)へ進む。NO判定のときは、振込カード発行選択の操作を制限時間30秒以内にする(工程60)。
【0028】送受信処理2(工程61)後、媒体放出の操作を制限時間60秒以内にする(工程62)。紙幣、硬貨、通帳などの媒体が機体内から放出され、取引は終了する。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、操作画面上への操作残り時間を表示させるので、操作に不慣れな利用客であっても最後まで落ち着いて操作することができる。
【0030】また、利用客は、操作残り時間の表示を目安として各項目の入力選択操作をするので、操作中にタイムアウトとなり取引を最初からやり直さなければならない場合が少なくなり、全体として円滑かつ迅速な取引を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】現金自動預払機を接客面のほうから見た外観図。
【図2】現金自動預払機のブロック構成図。
【図3】第1実施例の取引画面図。
【図4】第2実施例の取引画面図。
【図5】操作残り時間を各操作項目ごとに示すタイムテーブル。
【図6】振込取引の場合のフローチャート。
【図7】振込取引の場合のフローチャート。
【図8】振込取引の場合のフローチャート。
【符号の説明】
9…CRTディスプレイ、15a…タッチパネル、16a…メッセージ表示部、31,32…操作残り時間表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 画面に次々に表示されるメッセージに従って利用者が各項目ごとに操作することにより自動的に預金、預金引出、振込、振替を行なう現金自動預払機において、画面に表示すべきメッセージを記憶しておき、必要に応じてこれを呼び出し画面に表示させる手段と、画面に表示されたメッセージに従って利用者が必要な情報を操作項目ごとに前記メッセージ記憶呼出し手段に入力操作する手段と、操作項目に応じて、画面上に操作残り時間を表示させる手段と、を有することを特徴とする現金自動預払機。
【請求項2】 残り時間表示手段は、操作項目のすべてについて、画面上に操作残り時間を表示させることを特徴とする請求項1記載の現金自動預払機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開平5−266304
【公開日】平成5年(1993)10月15日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−65970
【出願日】平成4年(1992)3月24日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000221100)東芝システム開発株式会社 (1)