説明

球体を支持する相互モジュールを備えた搬送ベルト

モジュールベルトは、上面(272)と底面とを有する中間部を備えた複数のモジュールを有している。複数の第1リンク端部(215)は、前記中間部から第1方向に延び、複数の第2リンク端部(218)は、前記中間部から前記第1方向と反対の第2方向に延びる。第1湾曲壁(254)は、前記中間部に配置され、上面(272)から底面まで延び、かつ、第1リンク端部(215)の方向に面する第1開口を形成する。第2湾曲壁は、前記中間部に配置され、上面(272)から底面まで延び、かつ、前記第1開口の反対方向に面する第2開口(280)を形成する。前記モジュールは、第1モジュールの第1湾曲壁(254)と隣接するモジュールの第2湾曲壁とがキャビティを形成するように、回転ロッドにより端から端まで連結される。少なくとも1つの球体(260)は、前記モジュールにより形成されたキャビティ(269)の1つに配設された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体をある場所から他の場所まで移動する搬送ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、動力駆動の搬送装置に関し、特に、ヒンジピンにより端から端までヒンジ連結(hingedly interlinked)されたベルトモジュール列から構成されたモジュール搬送ベルトに関する。
【0003】
従来のモジュール搬送ベルトおよびチェーンは、列を成して配置されたモジュールリンクまたはベルトモジュールから構成されていた。モジュールの個々の端部から延びる間隔を隔てたリンク端部は、整列された開口を包含していた。一列のモジュールの一端に沿うリンク端部は、隣接する列のリンク端部と交互に配置されている。端から端まで連結された列の整列された開口に挿入された回転ロッドまたはヒンジピンは、隣接する列を互いに連結し、駆動スプロケットの周りに連接可能なエンドレス搬送ベルトを形成する。
【0004】
多くの工業用途の中で、品物を荷台から降ろす(off load)前に、連続的に移動する搬送ベルト上に積み上げることは許容されている。移動ベルトの搬送面と積み上げられた品物との間の摩擦は、品物を互いから反対に押圧し、後方ラインの圧力(backline pressure)を増大する。後方ラインの圧力は品物を損傷し、過度に搬送ベルトおよび駆動要素を負荷し、ベルトの摩耗を加速させる。搬送される品物の底部と転がり接触する際には、ローラなど回転可能な要素は摩擦を低減し、後方ラインの圧力を低くするために用いられている。
【0005】
他の搬送用途において、品物は、絶えず移動している、または少し進んでは停止する搬送ベルトの側に押しやられるはずである。ベルトの移動方向内で、回転軸と共に方向を合わせられたローラは、搬送装置の側に押しやられた搬送された品物の底部と低い摩擦で転がり接触するために用いられている。
【0006】
ローラ上部のベルトの1つの欠点は、多くの表面およびローラに関連する引っ込んだ場所および割れ目により、清掃が困難なことである。清掃可能なことは、食肉の処理所など、バクテリアが生成し、清掃が困難な領域から広がるいくつかの産業では、特に重要である。
【0007】
後方ラインの圧力が低い多くの搬送装置の他の欠点は、回転ロッドに対するローラの配置である。そのような配置は、ベルトの引っ張り強さをより小さくする結果となるより小数の若しくはより薄いリンク端部、または搬送される品物に高い圧力で接触する結果となる狭いローラを必要とする。このように、モジュール搬送ベルトにとって、低い後方ラインの圧力または低摩擦の側部搬送を特徴とし、容易に清掃できる必要性がある。
【0008】
本発明は、独立請求項1に係るモジュールベルト、および独立請求項7に係るモジュールベルトの生産方法を提供することで、上述した必要性に適合する。好適な実施形態が、従属項から明らかになるであろう。
【0009】
本発明の本質は、以下から構成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
モジュールベルトは、上面と底面とを有する中間部を備えた複数のモジュールを有している。複数の第1リンク端部は、前記中間部から第1方向に延び、複数の第2リンク端部は、前記中間部から前記第1方向と反対の第2方向に延びる。第1湾曲壁は、前記中間部に配置され、前記上面から底面まで延び、かつ、前記第1リンク端部の方向に面する第1開口を形成する。第2湾曲壁は、前記中間部に配置され、前記上面から底面まで延び、かつ、前記第1開口の反対方向に面する第2開口を形成する。前記モジュールは、第1モジュールの第1湾曲壁と隣接するモジュールの第2湾曲壁とがキャビティを形成するように、回転ロッドにより端から端まで連結される。前記モジュールベルトは、前記モジュールにより形成された前記キャビティの1つに配設された少なくとも1つの球体を備えた。
【0011】
前記第1リンク端部と前記第2リンク端部とが、前記第1リンク端部と前記第2リンク端部とに規定された横方向回転ロッド用開口を有することが好ましい。
【0012】
有利な点は、前記第1リンク端部が、前記第2リンク端部に対しオフセットされる。
【0013】
前記第1リンク端部は、空間が連続する第1リンク端部の間に規定されるように、間隔を空ける関係に配設されることが好ましい。
【0014】
有利な点は、リンク端部の間の前記空間が、湾曲壁により縁取られる。
【0015】
前記モジュールの底面が、スプロケットの歯を受けるように寸法が決められた凹部を有することが好ましい。
【0016】
本発明の更なる側面は、上面と底面とを有する中間部を備えた複数のモジュールを生産する方法にある。複数の第1リンク端部は、横方向回転ロッド用開口を有し、前記中間部から第1方向に延びる。第2リンク端部は、横方向回転ロッド用開口を有し、前記中間部から前記第1方向と反対の第2方向に延びる。前記第1リンク端部は前記第2リンク端部に対しオフセットされ、第1湾曲壁は前記中間部に配置されている。第1湾曲壁は前記上面から底面まで延び、かつ、前記第1リンク端部の方向に面する第1開口を形成する。第2湾曲壁は、前記中間部に配置されている。第2湾曲壁は、前記上面から底面まで延び、かつ、前記第1開口の反対方向に面する第2開口を形成する。前記モジュールは、第1モジュールの第1湾曲壁と隣接するモジュールの第2湾曲壁とがキャビティを形成するように、回転ロッドにより端から端まで連結される。本方法は更に、挿入されたリンク端部を貫通して回転ロッドを挿入することにより、モジュールを一列に連結するステップを備えている。前記モジュールは、第1モジュールの第1湾曲壁と隣接するモジュールの第2湾曲壁とがキャビティを形成するように一列に配置される。前記方法はまた、隣接するモジュールの第1湾曲壁と第2湾曲壁との間に形成された前記キャビティ内に球体を配置するステップを備えた。
【0017】
本発明の本質および目的を十分に理解するため、添付図面と以下の詳述を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】中間モジュールに係る実施形態の上面側から見た斜視図である。
【0019】
【図2】図1に示すモジュールの底面側から見た斜視図である。
【0020】
【図3】球体を組み込んだベルトの中央部に係る実施形態の上面側から見た斜視図である。
【0021】
【図4】図3に示すベルトの一部を示す正面図である。
【0022】
【図5】切り取り内部図を含んだ図3に示すベルトの一部を示す上面側から見た斜視図である。
【0023】
【図6】球体を組み込んだ本発明に係るベルトの実施形態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1および図2を参照すると、モジュール200は、第1端部203と第2端部206とを有している。モジュール200は、第1側部209から第2側部212まで延在している。モジュール200は、後述するように、煉瓦組みベルト(bricklayed belt,図6参照)213の中央部に適合するように設計されている。モジュール200は、第1端部203に向かって延びる複数の第1リンク端部215と、第1リンク端部215と反対方向および第2端部206に向かって延びる複数の第2リンク端部218とを有している。リンク端部215,218は、横方向回転ロッド用開口221,224を有している。横方向回転ロッド用開口221は、リンク端部215の第1側部227からリンク端部215の第2側部230まで延びている。複数のリンク端部215はそれらの間に空間233を有し、複数のリンク端部218はそれらの間に空間236を有している。空間233は、ベルト213の隣接する列(図6参照)から第2リンク端部218を受けるように寸法が決められている。第1リンク端部215と第2リンク端部218とは、第1モジュール200の第1リンク端部215を横の列に位置する隣接モジュール200の第2リンク端部218の間で、空間236に位置決めするようにオフセットされている。横方向回転ロッド用開口221,224が一直線上に配置され、回転ロッド229(図6)が開口221,224を貫通して挿入されて、隣接するモジュール200の列を連結することで、回転可能に連結されたモジュール200の列を備えたエンドレスベルト213(図6)が形成される。
【0025】
モジュール200は、リンク端部215,218の間でモジュールの左右に延びる中間部239を包含している。中間部239は、硬く平らな上面242を有してもよい。中間部239は、リンク端部215の近位部245まで延びている。中間部239は、モジュールの上面から底面まで延びる弓形面248を備えている。弓形面248は、隣接するリンク端部218の間に空間236を縁どり、隣接するモジュール200の列が回転ロッド229の周りを旋回するとき、隣接するリンク端部215の遠位部251のために隙間を設ける。モジュール200は、ベルト213が搬送路の端に到達し、スプロケット(図示せず)を通過するときに旋回する。図1の左側に示すように、中間部239は、モジュール200の上面272から底面273まで延びる湾曲内壁254を備えている。湾曲内壁254は、隣接するモジュール200に関し補完的な湾曲内壁257と組み合い、球体260(図3)を受けるキャビティ259を形成する。湾曲内壁254は、略半円形状に湾曲する上端263を有している。上端263は、隣接するモジュール200の上端266と組み合い、球体260の径よりも小さな径を有する円形開口269(図3参照)を形成する。従って、球体260が、隣接するモジュール200の間に形成されたキャビティ269内に組み込まれると、2つのモジュール200の湾曲壁254,257の上端263,266が、球体260をモジュール200内の所定位置に保持する。球体260の一部は、モジュール200の上面272から突出し、ベルト213に支持された品目と転がり接触をする。
【0026】
図2では、モジュール200の底側に、スプロケットの歯と係合するように寸法が決められたキャビティ270が設けられている。図の右側には、球体260を受けるキャビティ259の半分を形成する湾曲壁257が示されている。湾曲壁257がモジュール200の底面273まで延びることで、湾曲縁276はモジュール200の底面273の一部を形成し、かつ、湾曲壁257は、他のモジュール200が図示するモジュール200に連結するときに形成される円形開口280の半分を成す。並置されたモジュール200により形成された円形開口280は、球体260の径よりも小さな径を有するので、球体はキャビティ内に保持される。球体260の一部が、底面274内の円形開口280から突出しているので(図4に最もよく示す)、球体260はローラ、他のベルト、回転板などにより、ベルト213の底側から駆動することができる。
【0027】
図3を参照すると、一対のモジュール200が互いに連結され、球体260は隣接するモジュール200により形成されたキャビティ259内に配置されている。図示するように、個々のモジュール200は、モジュール200のそれぞれの側にある中間部239内を上面272に向かって延びる略半円形状の縁263,266を有している。モジュール200が、図示するように並んで連結されると、2つの半円形状に湾曲している縁263,266は互いに、ベルト213の上面272に円形開口269を形成する。球体260の一部がベルト213の上面272から突出し、ベルト213の上面272上の品目と転がり接触をすることができる。球体260は、湾曲壁254、257が対向する関係で配置されるときに、湾曲壁254、257により形成されたキャビティ259内に設置されることで、ベルト213内に組み込まれる。隣接するモジュール200が、回転ロッド229を位置決めされた横方向開口221,224に貫通して挿入することにより連結されるとき、矢印285に示されるベルトの移動方向に隣接するモジュール200の位置が、多少固定され、球体260は、隣接するモジュール200の間に形成されたキャビティ259内にしっかりと保持される。
【0028】
図4に示すように、球体260は、モジュール200の上面272および底面273の上方および下方に突出するように配置されてもよい。球体260の上部が、ベルト213の上面272上で搬送される品目と転がり接触するように配置することができる。球体260はまた、図示するように、ベルト213の一部の底側に配設されたローラ、ベルト、またはその他の機器と係合してもよい。この態様では、球体260をベルト213の底側から回転することができ、ベルトの上面上の品目を、例えば並んでなど種々の方向に移動することができる。
【0029】
図5を参照すると、キャビティ259を形成するように連結された一対のモジュール200の断面が示されている。モジュールの湾曲壁254、257と円形開口は、並置されたモジュール200内に球体260を保持するキャビティ259を形成する。同様のモジュール200をモジュール200の隣に配置し、かつ、回転ロッド229を挿入することにより、球体260を保持するキャビティ259を備えたモジュール200の列290(図6)が形成される。
【0030】
図6では、モジュール200の列290が、ベルト213に組み立てられている。ベルト213は、スプロケットの周りに連接することができる複数の列を有している。列は、隣接する列に配置されたモジュールのリンク端部を挿入することにより形成され、位置決めされた横方向回転ロッド用開口を貫通して挿入された回転ロッドにより、回転する。
【0031】
本発明を1以上の特定の実施形態に関して説明したが、本発明に係る他の実施形態を本発明の範囲を逸脱することなく成すことができると理解すべきである。従って、本発明は、添付した特許請求の範囲および、それからの合理的な解釈によってのみ限定されると判断すべきである。
【符号の説明】
【0032】
200 モジュール
213 モジュールベルト
215 第1リンク端部
218 第2リンク端部
221,224 横方向回転ロッド用開口
229 回転ロッド
233,236 空間
239 中間部
254 第1湾曲壁
257 第2湾曲壁
259 第1開口
260 球体
269 キャビティ
270 凹部
272 上面
273 底面
280 第2開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面(272)と底面(273)とを有する中間部(239)を備えた複数のモジュール(200)と、
前記中間部(239)から第1方向に延びる複数の第1リンク端部(215)と、
前記中間部(239)から前記第1方向と反対の第2方向に延びる複数の第2リンク端部(218)と、
前記中間部(239)に配置され、前記上面(272)から底面(273)まで延び、かつ、前記第1リンク端部(215)の方向に面する第1開口(259)を形成する第1湾曲壁(254)と、
前記中間部(239)に配置され、前記上面(272)から底面(273)まで延び、かつ、前記第1開口(259)の反対方向に面する第2開口(280)を形成する第2湾曲壁(257)と、
を備え、
前記モジュール(200)が、第1モジュール(200)の第1湾曲壁(254)と隣接するモジュール(200)の第2湾曲壁(257)とがキャビティ(269)を形成するように、回転ロッド(229)により端から端まで連結され、
少なくとも1つの球体(260)が、前記モジュール(200)により形成された前記キャビティ(269)の1つに配設されたことを特徴とするモジュールベルト(213)。
【請求項2】
前記第1リンク端部(215)と前記第2リンク端部(218)とが、前記第1リンク端部(215)と前記第2リンク端部(218)とに規定された横方向回転ロッド用開口(221,224)を有することを特徴とする請求項1に記載のモジュールベルト(213)。
【請求項3】
前記第1リンク端部(215)が、前記第2リンク端部(218)に対しオフセットされたことを特徴とする請求項1または2に記載のモジュールベルト(213)。
【請求項4】
前記第1リンク端部(215)は、空間(233)が連続する第1リンク端部(215)の間に規定されるように、間隔を空ける関係に配設されたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のモジュールベルト(213)。
【請求項5】
リンク端部(215,218)の間の前記空間(233,236)が、湾曲壁(254,257)により縁取られたことを特徴とする請求項4に記載のモジュールベルト(213)。
【請求項6】
前記モジュール(200)の底面(273)が、スプロケットの歯を受けるように寸法が決められた凹部(270)を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のモジュールベルト(213)。
【請求項7】
上面(272)と底面(273)とを有する中間部(239)を備えた複数のモジュール(200)と、
横方向回転ロッド用開口(221)を有し、前記中間部(239)から第1方向に延びる複数の第1リンク端部(215)と、
横方向回転ロッド用開口(224)を有し、前記中間部(239)から前記第1方向と反対の第2方向に延びる複数の第2リンク端部(218)とを設け、
前記第1リンク端部(215)を前記第2リンク端部(218)に対しオフセットし、
前記中間部(239)に配置され、前記上面(272)から底面(273)まで延び、かつ、前記第1リンク端部(215)の方向に面する第1開口(259)を形成する第1湾曲壁(254)と、
前記中間部(239)に配置され、前記上面(272)から底面(273)まで延び、かつ、前記第1開口(259)の反対方向に面する第2開口(280)を形成する第2湾曲壁(257)とを設け、
前記モジュール(200)を、第1モジュール(200)の第1湾曲壁(254)と隣接するモジュール(200)の第2湾曲壁(257)とがキャビティ(269)を形成するように、回転ロッド(229)により端から端まで連結し、
挿入されたリンク端部(215,218)を貫通して回転ロッド(229)を挿入することにより、モジュール(200)を列(290)をなして連結し、第1モジュール(200)の第1湾曲壁(254)と隣接するモジュール(200)の第2湾曲壁(257)とがキャビティ(269)を形成するように、前記モジュール(200)を一列(290)に配置し、
隣接するモジュール(200)の第1湾曲壁(254)と第2湾曲壁(257)との間に形成された前記キャビティ(269)内に球体(260)を配置することを特徴とするモジュールベルト(213)の生産方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−526031(P2012−526031A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508868(P2012−508868)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際出願番号】PCT/CH2010/000112
【国際公開番号】WO2010/127459
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(591270796)ハバシット アクチエンゲゼルシャフト (25)
【Fターム(参考)】