説明

球支持薄膜蛍光体エレクトロルミネセンス素子

本発明は、柔軟な絶縁基板に埋め込んだ誘電球を用いたエレクトロルミネセンス表示装置に関する。球形誘電粒子の各々は、基板の上部面から突き出た第1部分と、基板の下部面から突き出た第2部分とを有する。エレクトロルミネセンス蛍光体層を各球形誘電粒子の第1部分に付着させると共に、連続的導電性の実質的に透明な電極層をエレクトロルミネセンス蛍光体層の上部面と、エレクトロルミネセンス蛍光体層の上部面同士の間に位置する上記柔軟な絶縁基板の領域に載せる。上記球形誘電粒子の第2部分と、球形誘電粒子の第2部分同士の間に位置する柔軟な絶縁基板の領域を連続的導電性電極層で被覆する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連米国特許出願についてのクロス・リファレンス)
この特許出願は、2003年9月5日に提出された「球支持薄膜蛍光体エレクトロルミネセンス素子」と題する米国仮特許出願番号60/500,375(その全文を参照として本明細書に組み込む)からの優先権を主張する。
【0002】
本発明は、薄膜エレクトロルミネセンス素子の材料および構造に関し、さらに具体的には、本発明は、球支持薄膜蛍光体エレクトロルミネセンス(SSTFEL)素子に関する。
【背景技術】
【0003】
薄膜エレクトロルミネセンス(TFEL)素子は、典型的には、絶縁基板上に蒸着させた薄膜の積層から構成される。この薄膜は、透明な電極層とエレクトロルミネセンス(EL)層構造を含み、一対の絶縁層にEL蛍光物質が挟まれている。第2電極層によって積層構造は完成する。マトリクスアドレス方式TFELパネルには、正面および背面の電極が行および列の直交配列を形成し、これらに電子励振器から電圧を印加すると、しきい電圧を超える十分な電圧が印加されたとき、行と列の重なり部分においてEL蛍光体により発光が起こる。
【0004】
TFEL素子には、長い寿命(輝度半減まで50,000時間以上)、広い動作温度範囲、高いコントラスト、広い視野角度、ならびに高い輝度という利点がある。
【0005】
EL素子を設計するにあたっては、基板、積層、ならびにこれらの層同士の界面が多数の様々な要件を満たす必要がある。エレクトロルミネセンス性能を高めるためには、絶縁体層の誘電率が高くなければならない。しかし、確実に作動するためには、自己回復作用が求められ、その場合、絶縁破壊は、EL素子の小さな局在化された箇所に限定される。そうすることにより、誘電層を被覆する電極材料は、局部で破壊し、それ以上の絶縁破壊が防止される。特定の誘電および電極の組合せしかこの自己回復作用の機能を備えていない。蛍光体と絶縁層との界面には、電荷注入および電荷捕獲を促進するため、また、動作中の強い電界の影響下、さらにはEL素子を製造するのに必要な温度での原子種の相互拡散を防止するために、材料同士の適合性が要求される。
【0006】
標準的EL薄膜絶縁体、例えば、SiO2、Si3N4、Al2O3、SiOxNy、SiAlOxNyおよびTa2O5は典型的に、3〜60の範囲の相対誘電率(K)を有し、これらを低K誘電体と呼ぶことにする。このような誘電体は、その比較的低い誘電率のために、常に最適のEL性能を提供するわけではない。高K誘電体と呼ばれる別のクラスの誘電体はこれより高い性能を提供する。このクラスには、SrTiO3、BaTiO3、PbTiO3のような材料が含まれ、これらは一般に100〜20,000の範囲にある相対誘電率を有し、ペロブスカイト型構造を有する結晶質である。これらの誘電体はすべて、強い電界の存在下で機能するのに十分高い良度指数(破壊電界と相対誘電率の積として定義する)を呈示するが、これら材料のすべてがEL素子の製造に求められる高い加工温度の存在下で十分な化学的安定性および適合性を提供するとは限らない。また、優れた絶縁破壊保護を備える薄膜として、高い誘電率の絶縁層を形成するのは困難である。
【0007】
基板もまたTFEL素子には極めて重要である。ガラス基板は商業的に生産されている。500℃より有意に高い温度では、ガラスが軟化し、ガラス内の応力により機械的変形が起こりうる。このため、TFEL蛍光体の最大加工温度が非常に重要になる。黄色発光ZnS:Mn TFELディスプレイはガラス基板と適合するが、多くのTFEL蛍光体は上記より高い加工温度を必要とする。例えば、青色発光BaAl2S4:Euは典型的に750℃で焼きなましし(Noboru Miura, Mitsuhiro Kawanishi, Hironaga MatsumotoおよびRyotaro Nakano, Jpn. J. Appl. Phys., 第38巻 (1999) pp. L1291-L1292)、また、緑色発光Zn2Si0.5Ge0.5O4:Mnは700℃以上で焼きなましする(A.H.Kitai, Y. Zhang, D. Ho, D.V. Stevanovic, Z. Huang, A. Nakua, Oxide Phosphor Green EL Devices on Glass Substrates, SID 99 Digest, p596-599)。
【0008】
ガラス以外の基板を用いてもよく、米国特許第5,432,015号でWuはTFEL素子のためにアルミナシートのようなセラミック基板の使用を教示している。このような素子では、厚膜で、誘電率の高い誘電体が製造される。これらの誘電体は、厚さが20μm前後であり、スクリーン印刷およびゾル−ゲル法を組み合わせてアルミナ蒸着基板に付着させ、一般にPbTiO3のような鉛含有材料および関連化合物を基材とする。その厚さによってこれらの誘電体は優れた絶縁破壊保護をもたらすが、誘電層上部に位置する蛍光体の加工温度を制限し、700℃以上の加工温度を必要とする蛍光体は、このような温度で誘電体配合物により汚染される可能性がある。また、基板の費用は、ガラスに比べてセラミックの方がはるかに高く、特に、大きなセラミックシートの割れおよび狂いは制御が難しいため、長さまたは幅が〜30cmを超える大きなサイズのセラミックは高価である。
【0009】
またガラス基板も、それらが軟化する加工温度(一般に500〜600℃以上)のために考慮することができるが、長い焼きなまし時間が必要な場合には、ガラスの狂いまたは圧縮が起こることもある。
【0010】
噴霧乾燥は、多様なセラミック材料からなる球形もしくはほぼ球形のセラミック粒子を形成することを可能にするセラミック合成方法である。これは、溶液またはスラリーを噴霧し、形成した液滴を熱ガス中に浮遊させて、そこから湿気を蒸発させることにより粒子を生成する。噴霧乾燥装置の概略図を図1に示す。
【0011】
噴霧乾燥工程は、主として4つの主なステップを含み、その各々が最終製品の特性に影響を与える。4つのステップは、スラリーの調製、噴霧、蒸発および粒子分離である。
【0012】
BaTiO3粒子を噴霧乾燥する場合には、スラリーの品質が、噴霧工程および最終球形粒子に重要な影響を及ぼす(Stanley J. Lukasiewicz, “Spray-Drying Ceramic Powders”, J. Am. Ceram. Soc., 72 (4) 617-624, 1989)。スラリーは、蒸留水に分散させた超微粒BaTiO3一次粒子から調製する。均質に分散したスラリーとなっているか注意する。凝集体が存在する場合には、微粉砕工程によりそれらを除去しなければならない。必要であれば、有機分散剤をスラリーに添加するが、このような分散剤は、クーロンまたはファンデルワールス力もしくは水素結合により粒子の表面に吸収され、スラリーを解凝集状態に保持することができる。スラリーについての2つの重要な特性は、固体の容量パーセントとスラリーの粘性である。最適な噴霧乾燥粒子を得るためには、これら2つの相容れないパラメーターを最適化しなければならない。
【0013】
噴霧は図1の(2)で行なわれ、ここでは、大量の液体から多数の微小液滴を発生させる。その結果、表面積対体積比が増加するため、液滴から湿気を急速に除去することができる。供給材料を図1の(7)において乾燥用熱空気(150〜200℃)中に噴霧すると、噴霧中の各液滴の表面に飽和蒸気膜が急速に形成される。蒸発は一般に10〜30秒以内に完了するが、これは、乾燥用ガスが乾燥チャンバの入口から出口を通過する時間である。次に、乾燥した粒子を乾燥用空気から分離し、サイクロン分離機中に回収する(図1の(8)(9))。
【0014】
噴霧乾燥の主な利点は、粒子の形状が球体またはほぼ球体であることと、10〜500μmの範囲に粒度分布が厳密に制御されることである(David. E. Oakley, “produce uniform particles by spray drying”, Chemical engineering progress, Oct., p48-54, 1997)。噴霧乾燥した粒子の表面仕上げは、加工パラメーターを調節することにより制御することができる。粒子の粒度は、出発一次粒子を調節することにより、次粒子の大きさに維持することができる。噴霧乾燥の後、セラミック粒子の焼結を完了するが、その際、焼結温度および時間に応じて、一般に粒子成長が認められる。
【0015】
電子ディスプレイの場合、軟質ポリマー基板は、低コスト、低重量および頑健であるため望ましい。ビヒクルについても、このような基板は、ガラスに起因する損傷が排除されるという安全面での利点を提供する。また、軟質基板にディスプレイを製造すれば、低コスト大量生産方法であるロールトゥロール(roll-to-roll)加工の可能性も見込まれる。
【0016】
プラスチック基板上のEL素子はよく知られており、そこでは、粉末蛍光体層を2つの電極の間に付着させる。これらは、液晶ディスプレイの低輝度ランプおよびバックライトに用いられる粉末EL素子として知られる。
【0017】
既存の粉末ELランプは、ZnS:Cuを基材としている(S. Chadha, Solid State Luminescence, A.H. Kitai, 監修、ChapmanおよびHall, pp. 159-227)。これらの粉末では、Cu2-xSが図2に示すような混在物を形成し、これらは先の尖った導体(先端の半径≦50オングストローム)であることから、電界増圧器として働く。
【0018】
動作中、これらのCu2-xSチップ(先端)はその尖りを失い、これにより電界が減弱し、その結果、ルミネセンスも弱まる。光学顕微鏡を用いた注意深い観察から、A.G. Fischer(A.G. Fischer, J. Electrochem. Soc., 118, 1396, 1971)は、チップから延びるすい星状の発光を認め、これは、蛍光体の使用時間が経過するにつれ、長さが短くなっていった。
【0019】
別の報告(S. Roberts, J. Appl. Phys., 28, 245, 1957)では、イオン拡散、ならびにこれら蛍光体と湿気の結合劣化を示唆している。
【0020】
観察された粉末ELから得られる時間依存輝度を図3に示す。
【0021】
ZnS:CuとCl、Mnおよびその他のイオンとの適切な相互活性化により、色を改変して、青色、緑色および黄色発光を達成することもできる(表1)。
【表1】

【0022】
図4は、典型的な市販のランプを示す。透湿を低減するために、改良型カプセル封じ方法が開発されてはいるが、1950年代以降、輝度または安定性に基本的な改善はなされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従って、高温基板を必要とせず、しかも、機械的フレキシビリティーをもたらすTFEL素子構造を提供することができれば、極めて有利である。このような素子は、TFEL素子の優れた安定性、高い輝度、ならびにしきい電圧特性と共に、プラスチック基板の低コスト、軽重量および頑健性を兼ね備えている。
【0024】
本発明の目的は、実質的に球形の誘電粒子(好ましくは、球形BaTiO3粒子)とポリマー基板を含むSSTFEL素子を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
この目的を達成するために、球形の噴霧乾燥BaTiO3粒子を出発材料として用いた。焼結および篩い分け後、酸化物蛍光体層を単分散BaTiO3球の上部面に付着させ、焼きなましした。次に、この蛍光体被覆球をポリプロピレンフィルムに埋め込んだ。正面の透明なITO電極と背面の金電極を付着させることにより、機能的SSTFEL素子を完成した。
【0026】
本発明は、以下のものを含むエレクトロルミネセンス表示装置を提供する:
向き合う面を有する柔軟な絶縁基板;
上記柔軟な絶縁基板に埋め込まれたほぼ球形の誘電粒子の配列であって、該粒子の各々が、上記向き合う面の一方から突き出た第1部分と、上記向き合う面の他方から突き出た第2部分とを有する、上記球形誘電粒子の配列;
各球形誘電粒子の第1部分に付着させたエレクトロルミネセンス蛍光体層;
エレクトロルミネセンス蛍光体層の上部面と、エレクトロルミネセンス蛍光体層の上部面同士の間に位置する上記柔軟な絶縁基板の領域に載せた連続的導電性の実質的に透明な電極層;ならびに
上記球形誘電粒子の第2部分と、球形誘電粒子の第2部分同士の間に位置する柔軟な絶縁基板の領域を被覆する連続的導電性電極層、ならびに、前記連続的導電性の実質的に透明な電極層と、前記連続的導電性電極層との間に電圧を印加する手段。
【0027】
本発明はまた、以下のものを含むコンデンサーを提供する:
向き合う面を有する柔軟な絶縁基板;
上記柔軟な絶縁基板に埋め込まれたほぼ球形の誘電粒子の配列であって、該粒子の各々が、上記向き合う面の一方から突き出た第1部分と、上記向き合う面の他方から突き出た第2部分とを有する、上記球形誘電粒子の配列;
上記球形誘電粒子の第1部分と、該球形誘電粒子の第1部分同士の間に位置する上記柔軟な絶縁基板の領域を被覆する第1連続的導電層;ならびに
上記球形誘電粒子の第2部分と、該球形誘電粒子の第2部分同士の間に位置する上記柔軟な絶縁基板の領域を被覆する連続的導電性電極層。
【0028】
本発明はさらに、以下のものを含むp-n半導体素子を提供する:
向き合う面を有する柔軟な絶縁基板;
上記柔軟な絶縁基板に埋め込まれたn型半導体からなるほぼ球形の半導体粒子の配列であって、該粒子の各々が、上記向き合う面の一方から突き出た第1部分と、上記向き合う面の他方から突き出た第2部分とを有する、上記球形半導体粒子の配列;
各球形半導体粒子の第1部分に付着させたp型半導体層;
p型半導体層の上部面と、p型半導体層の上部面同士の間に位置する上記柔軟な絶縁基板の領域に載せた第1連続的導電性電極層;
上記球形誘電粒子の第2部分と、球形誘電粒子の第2部分同士の間に位置する柔軟な絶縁基板の領域を被覆する第2連続的導電性電極層、ならびに、前記第1および第2連続的導電性電極層間に電圧を印加する手段。
【0029】
添付の図面を参照にしながら、以下に本発明を説明するが、これらは例示のためにすぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、誘電球、好ましくは、エレクトロルミネセンス(EL)ディスプレイ用のBaTiO3球を用いて、薄膜蛍光体エレクトロルミネセンス素子を製造できることを初めて明らかにした。この素子は、球体を低温基板に載せる前に必要な高温焼きなまし工程を実施するために、新規の構造を有し、特殊な加工方法により製造される。
【0031】
図5は、球支持薄膜エレクトロルミネセンス(SSTEL)素子について提案される構造の概略図を示す。蛍光体層4をBaTiO3球3の上部面に付着させる。好ましい実施形態では、蛍光体層への有効な電荷注入のために、薄いSrTiO3層5を蛍光体層に付着させる。BaTiO3球をポリマー層2内に埋め込むが、そのとき、BaTiO3球の上部および下部領域は露出している。BaTiO3球の上部領域と周囲のポリマーを透明な導電性電極6で被覆すると共に、BaTiO3球の下部領域と周囲のポリマーを別の導電性電極1(不透明でもよい)で被覆する。SSTEL構造を含む構成要素の各々についての好ましい厚さの範囲を図5の対応する要素の右側に示す。
【0032】
限定するものではないが、金属酸化物または硫化物を基材とするEL材料など、あらゆるEL蛍光体材料を用いることができる。例えば、硫化物蛍光体は、ZnS:MnまたはBaAl2S4:Eu、もしくはBaAl4S7:Euのいずれでもよい。酸化物蛍光体は、Zn2Si0.5Ge0.5O4:Mn、Zn2SiO4:Mn、もしくはGa2O3:EuおよびCaAl2O4:Euのいずれであってもよい。
【0033】
製造し、試験済みのSSTEL構造の具体的実施形態を図6に示す。分離したBaTiO3球33をポリプロピレンフィルム22に埋め込むが、この膜はBaTiO3球の上部および下部領域を被覆していない。球体の上部面を緑色酸化物蛍光体層44(Zn2Si0.5Ge0.5O4:Mn)で被覆する。この酸化物蛍光体層にSrTiO3は付着させなかった。BaTiO3球とポリプロピレンフィルムの下部面全体を金層11で被覆する。上部の透明な導電性電極は、付着させたITO層55である。構成要素の各々についての厚さの範囲を図6に示す。
【0034】
非制限的な製造方法の例について以下に詳しく説明する。
【0035】
用いた噴霧乾燥BaTiO3球は、TPL, Inc.製のNanOxide(商標)HPB-1000 Barium Titanate Powder(ロット番号:BTA020516AC)を含む。この粒子は、ほぼ球形で、極めて滑らかな表面をしており、約1〜120μmという広い粒度分布を有していた。球形の粒子が好ましいが、粒子は、完全な球形である必要はなく、例えば、やや楕円体もしくは平板の形状をしていてもよいことは理解されたい。
【0036】
収容したままの球の焼結を開口式炉内の空気中で1120℃にて2時間実施した。焼結による収縮は約20%、焼結後の粒度は0.4〜0.8μmで、表面粗度は0.5μm以下である。粒度範囲が53〜63μmの焼結BaTiO3球を米国標準試験篩(Laval Lab Inc)により選択した。
【0037】
ポリプロピレンフィルムに埋め込んだBaTiO3球の特殊な配置を達成するため、円形くぼみのパターンを用いて、スパッター、焼きなましおよび埋め込み工程中、BaTiO3球をアルミナ基板上に保持する。高純度Al2O3プレート上のこのような円形くぼみのパターンを図7に示す。直径54μmおよび深さ18μmのピットを狭い間隔で5×5ユニットの配列を形成するように配置する。各ユニット同士の水平および鉛直方向の間隔は、それぞれ284μmおよび264μmである。各ピットは、その中心同士が、1つのユニット内で互いに71μm離れている。後の埋め込み工程を容易にするため、前記ユニット間に数個のBT球を意図的に配置する。
【0038】
各ピットにBaTiO3球を定着させるのに十分な結合を達成するために、まず各ピットにポリマーを融解させる。ピット間のアルミナ表面がポリマーで被覆されないようにするために、固体のポリ(α-メチルスチレン)[PAMS、Mw=80、800、d=1.075]粉末を用いてパターン形成工程を達成し、ピットに導入した後、融解させる。PAMSペレットの機械的微粉砕によりPAMS粉末を調製する。粒度は、約1〜10μmの範囲である。特定の融点はない。軟化点から完全な融解状態までの温度範囲(〜50℃)がある。
【0039】
室温では、固体PAMS粉末を各ピットに入れるが、ピット間の表面領域にはPAMS粉末がほとんどないようにする。次に、やはり室温で、BaTiO3球をAl2O3プレート上に広げ、1層の密集したパターンを形成する。温度を〜115℃まで上昇させると、各ピット内のPAMS粉末は接着性のゲルを形成する。BaTiO3球を穏やかに押すと、各球がそれぞれのピットに接着する。室温まで冷却した後、過剰なBaTiO3球をブラシで除去し、図7に示したピットのパターンと同じ球のパターンを残す。
【0040】
パターン形成後、BaTiO3球を載せたAl2O3プレートを1000℃の空気中で10分ベーキングすることにより、PAMSを完全に焼き取る。ベーキング後、PMASの焼失による弱い結合力のために、球体はまだAl2O3プレートに弱く接着している。この粘着力は、続くスパッター、焼きなましおよび埋め込み工程中、球体を定着状態に維持するのに十分な大きさである。
【0041】
まずBT球の上部領域に厚さ50 nmのAl2O3バリア層をRFスパッターにより付着させた後、同じ室内で緑色発光Zn2Si0.5Ge0.5O4:Mn蛍光体層をスパッターした。球体を250℃に保ったが、その際、EL膜の厚さは約800 nmであった。スパッター後、まだAl2O3プレート上にある球を2.0×10-4トルの酸素圧の真空下において800℃で12時間焼きなましした。焼きなまし工程は、蛍光体層を活性化し、結晶化することを目的とする。Al2O3バリア層は、BTと蛍光体間の拡散バリアとして作用するため、蛍光体性能を改善する。
【0042】
焼きなまし後、ポリプロピレンフィルムに蛍光体被覆BaTiO3球を埋め込む手順を図8に示す。厚さ25.4μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(Translilwrap Company, inc.製のTORANSPROP(商標)OLポリプロピレンフィルム)を蛍光体被覆BT球に載せた。次に、ポリエステルシート2により支持された弾性のゲル様接着性ポリマー層1を含むGel-Pakシート(Gel-Pak Inc.製のGEL-FILM(商標)WF-40/1.5-X4)を上記ポリプロピレンフィルムの上に載せた。180g/cm2の圧力をポリエステルシートの背面に加えることにより、この構造を一体に保持した。構造全体を〜200℃で5分加熱すると、ポリプロピレンフィルムは融解し、圧力下で球同士の間に充填された。冷却後、pp-BT複合シートを剥離した。次に、この複合シートを2枚のGel-Pakシートで挟んだ。こうして得られたサンドイッチ構造に180g/cm2の圧力をかけながら、この複合シートを加熱し、再び融解させることにより、ppが複合シートの中央に移動するようにした。ここで、球体の上部および下部領域はポリプロピレンフィルムで被覆されていないことに留意されたい。Gel-Pakフィルムの接着層は弾性で、圧力下で変形する。これにより、球体の上部および下部領域のポリマーによる被覆を有効に防止することができる。さらに、このようして得られたポリプロピレンフィルムは、損傷を一切受けることなく、Gel-Pak接着層から容易に剥離することができた。
【0043】
図8cで製造したフィルムを取得した後、薄い層の金(100 nm)をフィルムの下部領域にスパッターした。また、透明なITO電極(100 nm)をフィルムの上部領域にスパッターした。150〜300ボルトピークのAC電圧をITOおよび金電極間に印加すると、球体の上部から明るい緑色発光が起こった。
【0044】
BT球の露出した上部および下部領域は、ppフィルムに関して対称である。複合フィルムの厚さは、埋め込み工程時における本来のppフィルムの厚さ、BT球の密度、印加する圧力およびその他の加工パラメーターに応じて変動する。
【0045】
印加するAC電圧がITOおよび金電極間のしきい値を超える場合、個々のBT球の蛍光体被覆上部領域は緑色のELを発光する。原型素子では、発光面積は、BT球の大きさおよびpp-BT複合フィルムの均質性(これもまた発光面積の大きさに影響する)に差があるため、BT球によって異なることが認められた。
【0046】
図9は、ピーク印加電圧の関数としての平均輝度および発光効率を示す。励振電圧の周波数は60 Hzである。SSTFEL素子の平均輝度は、250ボルトで励振して35 cd/m2に達しうる。最高発光効率は約0.18 lm/Wである。600 Hzで励振すると、図10に示すように、輝度は150 cd/m2を超える。
【0047】
蛍光体層上部に付着させた薄膜誘電層は、概してEL特性を改善するものと理解され、これは本発明の範囲に含まれると考慮すべきであることに留意しなければならない。前述したように、本明細書に開示した例のいくつかに酸化物EL蛍光体を用いたが、硫化物蛍光体など、その他のEL材料を用いることもできる。
【0048】
また、別の方法を用いて、薄膜蛍光体および誘電層で球体を被覆してもよい。例えば、スパッターではなく、蒸発または化学蒸着方法によりフィルムを製造することもできる。
【0049】
球体の上部だけを被覆するのではなく、薄膜EL蛍光体および薄膜誘電層を球体の表面全体に被覆してもよい。これは、付着の際、球体を転動させるか、あるいは、流動層中に球体を含む化学蒸着方法を用いて、蒸気流を流動層に通過させることにより達成することができる。球体をポリマー基板に埋め込んだ後、ポリマーフィルムの背面から突き出た球体の部分を例えば弱酸で腐蝕することによりこの領域の薄膜を除去すれば、図7に示すものと極めて類似した構造を得ることができる。この手法の利点は、被覆した球体をポリマーに埋め込む前に延伸を一切必要としないこと、従って、ルースパウダーとして製造できることである。腐蝕ステップを省いた場合には、各球体の上部および下部蛍光体領域の両方から発光が起こる。
【0050】
チタン酸バリウム以外の誘電材料を使用することにより、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)およびチタン酸鉛ジルコニウム(Pb(Zr,Ti)O3)のような球体を製造することができる。球体の直径は、約5ミクロンという小さいものから、約500ミクロンの大きいものまで可能である。
【0051】
ポリプロピレン以外のポリマーを用いてもよい。考えられる材料としては、ポリエチレン、ポリスチレンもしくはポリエステルなどが挙げられる。一般に、球体と結合し、しかも電極層で被覆が可能な絶縁ポリマーを使用する。最大コントラストを所望する場合、もしくは特殊な用途の場合には、黒色または各色のポリマーの使用も考えられ、これにより、得られるEL素子に特定の黒または各色の外観を賦与することも可能である。
【0052】
間隔をあけたパターンで、数種の色を発光する球体をポリマーに付着させることもできる。例えば、赤色、緑色および青色発光EL蛍光体が知られており、これらを画素に配置して、色彩イメージを表すことができる画素の配列を形成する。各画素は、各色を発光する1個の球体、または各色を発光する多数の球体からなる。EL素子の各色発光領域に対して適切に配置された行列電極を付着させることにより、電子的にアドレス可能なカラーELディスプレイを実現することができる。このようなELディスプレイ配列の製造を詳細に示す図12〜14を参照されたい。
【0053】
各色の球体のパターン形成は、インクおよびトナーについて周知の印刷方法を用いて達成することができる。このような方法として、スクリーン印刷および金属プレートからの印刷、ならびにフォトコピー法があり、フォトコピー法では、感光性プレートまたはドラムを用いて荷電トナーを静電気によりパターン形成する。
【0054】
各色を発光する球体をブレンドすれば、2種以上の色の組み合わせにより、予め選択した所望の色を達成することができる。
【0055】
ポリマーまたはガラスシートのような好適な材料からなる別の保護層をEL素子の上方および下方に加えることにより、電気的保護をもたらす、あるいは、密封素子を提供することもできる。
【0056】
図11に示すように、図5の装置を改良することも可能である。この実施形態では、さらに複雑なITO電極を用いるが、これは、BT球の蛍光体被覆面付近の領域にあるポリマーに発生しうる不要な高い電界を防止するものである。このITO被膜は、例えば、以下のような方法を用いて付着させることができる:まず、蛍光体4を被覆した球体2をポリマーシート3に埋め込むが、その際、ポリマーシートの正面から球体のほぼ半分が突き出るようにする。次に、第1透明ITO上部電極6を球体の片面にスパッターした後、球体を対称に埋め込むことにより、各球体の正面および背面が同等に突き出るようにする。次に、第1透明ITO上部電極と電気接触した第2透明ITO上部電極7をスパッターする。最後に、下部電極1をスパッターして、図11の構造を形成する。6および7で2つの正面電極を用いることにより、素子の電気動作中ポリマーに強い電界が存在するのを防止する。
【0057】
また、本発明者らは、本明細書に記載した球形構造の別の使用が存在することも考えている。例えば、図7bを参照にして、BaTiO3の代わりにn型半導体を用い、蛍光体層の代わりにp型半導体を用いれば、各球体にp-n接合ダイオード素子を形成することができる。目的の半導体は、ダイオード素子に効率的な発光をもたらすことが知られるGaxIn(1-x)Nとすることができる。
【0058】
ポリマーフィルムの背面から突き出た球体の部分を用いても有利である。例えば、好適な半導体材料の薄膜を製造するが、その際、切換え特性を備えるようにし、多数の行列電極を有していた表示装置のマトリクス構成特性を改善する。また、球体の上記部分へのパターン形成工程により、各球体を通過して流れる電流を制御することができる回路部品を形成する、あるいは、各球体が、その輝度レベルに関する情報を保存できる素子になるようにすることにより、前記以外の切換え装置を形成することも可能である。
【0059】
前述した例では、ポリマーフィルムの正面および背面から突き出た球体の部分は面積はほぼ等しかった。しかし、図8bにおいて2枚のGel-Pakシートのエラストマー層が様々なエラストマー特性を備えている場合には、ポリマーフィルムの正面および背面から突き出た球体の部分の面積が異なってもよい。これを用いて、ディスプレイ性能または特性を最適化することができる。
【0060】
前記の記載事項はすべてこの方法の映像ディスプレイ適用に関するものである。適切な改変により、柔軟コンデンサーなど、その他の用途も考えられる。コンデンサーは図11の50に示すように形成するが、球体/ポリマーフィルムの上部の透明な電極6(図5)の代わりに金属電極を用いることと、蛍光体層がないところがEL素子とは異なる。完成したコンデンサーを印刷回路板上、あるいは印刷回路板の層内に積層することにより、集積回路を製造することができる。集積コンデンサーに関する他の手法(R. IEEE Spectrum Magazine, 2003, 7月、pp26-30)を参照すると、一般に、金属ホイルに付着させたガラスまたはセラミック層が使用されており、金属ホイルには割れが起こるため、破損する恐れがあるが、本発明では、セラミック球間のポリマーフィルムの自然な柔軟性によりこの問題を解消している。一般に、BaTiO3のような球体に高誘電率セラミックを用いて、高い値のキャパシタンスを達成することができる。球体の直径は、10μmのように小さくして。さらにキャパシタンスを増加することもできる。多くの場合、これらのコンデンサーに1〜5ボルトの低電圧を印加するだけでよいため、さらに小さな球体、それに対応して、さらに薄いポリマーフィルムの使用が可能になる。これらのコンデンサーは、通常のコンデンサーのように回路板のスペースをふさがない高性能コンデンサーを必要とする回路用途のための印刷回路板に用いる(すなわち、回路板積層内に誘電層として組み込む)ことができる。加えて、コンデンサーと回路板の間の鉛を排除するため、回路板に伴う通常の寄生インダクタンスが最小限に抑えられる。
【0061】
本明細書で用いる「含む」および「含んでいる」という用語は、包含を意味し、非制限的かつ非限定的であると解釈すべきである。
【0062】
特に、請求項を含む本明細書で用いるとき、用語「含む」および「含んでいる」、ならびにその変形は、指定した特徴、ステップもしくは成分を含むことを意味する。これらの用語は、その他の特徴、ステップもしくは成分を排除すると解釈すべきではない。
【0063】
本発明の好ましい実施形態の以上の記載事項は、本発明の原理を説明するために提示したものであって、示した特定の実施形態に本発明を限定するものではない。本発明の範囲は、添付の請求項内に包含される実施形態のすべてにより画定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に用いる球形誘電粒子を製造するのに用いる噴霧乾燥設備の概略図である。
【図2】従来技術のZnS:Cu粉末蛍光体におけるCu2-XS包含物を示す図である。
【図3】従来技術の粉末ELセルの維持曲線を示すグラフである。
【図4】柔軟プラスチックおよびホイル構造を備える典型的従来技術のAC電力ELランプの構造を示す図である。
【図5】本発明に従い製造したSSTFEL構造の概略図である。
【図6a】SSTFEL構造の別の実施形態の断面図である。
【図6b】SSTFEL構造の実施形態の平面図である。
【図7】本発明に従いSSTFELディスプレイを製造する方法で用いる、直径54μmの高純度Al2O3プレートと、深さ18μmのピットを示す図である。
【図8】pp-BT複合シートを製造するための埋め込み方法を示す。
【図9】60Hzで励振するSSTFELディスプレイの輝度および発光効率に関するグラフを示す図である。
【図10】600Hzで励振するSSTFELディスプレイの輝度および発光効率に関するグラフを示す図である。
【図11】二重ITO層を有するSSTFEL構造の概略図である。
【図12】ポリプロピレン−セラミック複合構造を有する柔軟TFELディスプレイを製造する方法を示す概略図である。
【図13】ポリプロピレン−セラミック複合構造を有する柔軟TFELディスプレイを製造する方法におけるさらなるステップを示す概略図である。
【図14】ポリプロピレン−セラミック複合構造を有する柔軟TFELディスプレイを製造する方法におけるさらなるステップを示す概略図である。
【図15】図12〜14に示すステップを用いて製造したSSTFEL素子の構造を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
向き合う面を有する柔軟な絶縁基板;
上記柔軟な絶縁基板に埋め込まれたほぼ球形の誘電粒子の配列であって、該粒子の各々が、上記向き合う面の一方から突き出た第1部分と、上記向き合う面の他方から突き出た第2部分とを有する、上記球形誘電粒子の配列;
各球形誘電粒子の第1部分に付着させたエレクトロルミネセンス蛍光体層;
エレクトロルミネセンス蛍光体層の上部面と、エレクトロルミネセンス蛍光体層の上部面同士の間に位置する上記柔軟な絶縁基板の領域に載せた連続的導電性の実質的に透明な電極層;
上記球形誘電粒子の第2部分と、球形誘電粒子の第2部分同士の間に位置する柔軟な絶縁基板の領域を被覆する連続的導電性電極層、ならびに、前記連続的導電性の実質的に透明な電極層と、前記連続的導電性電極層との間に電圧を印加する手段;
を含むエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項2】
前記ほぼ球形の誘電粒子が、約100〜約25,000の相対誘電率を有する、請求項1に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項3】
前記ほぼ球形の誘電粒子が、約1,000〜約10,000の相対誘電率を有する、請求項1または2に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項4】
前記ほぼ球形の誘電粒子がBaTiO3粒子である、請求項1、2、3もしくは4に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項5】
前記BaTiO3粒子が約40〜70ミクロンの範囲の直径を有する、請求項4に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項6】
前記エレクトロルミネセンス蛍光体層と前記導電性の実質的に透明な電極との間に挟まれたSrTiO3の層を含む、請求項1、2、3、4もしくは5に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項7】
前記エレクトロルミネセンス蛍光体層と前記導電性の実質的に透明な電極との間に挟まれた誘電材料の層を含むエレクトロルミネセンス表示装置であって、その際、上記誘電材料が、SrTiO3、Ta2O5およびY2O3からなる群より選択される、請求項1に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項8】
前記誘電材料の層が、約0.2〜約1.5マイクロメートルの範囲の厚さを有する、請求項6または7に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項9】
前記柔軟な絶縁基板が、約20〜約50マイクロメートルの範囲の厚さを有する、請求項1、2、3、4、5、6、7もしくは8に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項10】
前記柔軟な絶縁基板がポリマーである、請求項1〜9に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項11】
前記ポリマーがポリプロピレンである、請求項10に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項12】
前記ポリプロピレンが、約20〜約50マイクロメートルの範囲の厚さを有する、請求項11に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項13】
前記導電性の実質的に透明な電極層と前記連続的導電性電極層が、各々約0.1〜約0.5マイクロメートルの範囲の厚さを有する、請求項1〜12に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項14】
前記エレクトロルミネセンス蛍光体層が、約0.2〜約1.5マイクロメートルの範囲の厚さを有する、請求項1〜13に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項15】
前記エレクトロルミネセンス蛍光体層が、Zn2Si0.5Ge0.5O4:Mn、Zn2SiO4:Mn、もしくはGa2O3:EuおよびCaAl2O4:Euからなる群より選択される発光酸化物蛍光体である、請求項1〜14に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項16】
上記導電性の実質的に透明な電極層が酸化インジウムスズ(TIO)である、請求項1〜15に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項17】
上記連続的導電性電極層が、銀、ニッケルおよび銅からなる群より選択される金属で製造される、請求項1〜16のいずれか1項に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項18】
前記ほぼ球形の誘電粒子が、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)およびチタン酸鉛ジルコニウム(Pb(Zr,Ti)O3)からなる群より選択される、請求項1〜17のいずれか1項に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項19】
前記ポリマーが、ポリエチレン、ポリスチレンおよびポリエステルからなる群より選択される、請求項10に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項20】
前記エレクトロルミネセンス蛍光体層が硫化物蛍光体である、請求項1〜14に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項21】
前記硫化物蛍光体が、ZnS:MnまたはBaAl2S4:Eu、およびBaAl4S7:Euからなる群より選択される、請求項20に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項22】
前記向き合う面の一方から突き出た第1部分と、前記向き合う面の他方から突き出た第2部分が、異なる表面積を有する、請求項1〜21に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項23】
エレクトロルミネセンス蛍光体層の上部面と、エレクトロルミネセンス蛍光体層の上部面同士の間に位置する上記柔軟な絶縁基板の領域に載せた連続的導電性の実質的に透明な電極層が第1電極であり、かつ、ほぼ球形の誘電粒子の各々が、エレクトロルミネセンス蛍光体層の上部面と、ほぼ球形の誘電粒子部分の半球面を覆う第1電極層との間に位置する第2の連続的導電性の実質的に透明な電極層を含む第2電極層を有し、これによって、上記ほぼ球形の誘電粒子を柔軟な絶縁基板に埋め込むと、第2電極層が柔軟な絶縁基板の表面より下のその内部に延びる、請求項1〜22のいずれか1項に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項24】
向き合う面を有する柔軟な絶縁基板;
上記柔軟な絶縁基板に埋め込まれたほぼ球形の誘電粒子の配列であって、該粒子の各々が、上記向き合う面の一方から突き出た第1部分と、上記向き合う面の他方から突き出た第2部分とを有する、上記球形誘電粒子の配列;
上記球形誘電粒子の第1部分と、該球形誘電粒子の第1部分同士の間に位置する上記柔軟な絶縁基板の領域を被覆する第1連続的導電層;ならびに
上記球形誘電粒子の第2部分と、該球形誘電粒子の第2部分同士の間に位置する上記柔軟な絶縁基板の領域を被覆する第2連続的導電性電極層、ならびに、前記第1および第2連続的導電性電極層の間に電圧を印加する手段;
を含むコンデンサー。
【請求項25】
前記ほぼ球形の誘電粒子が球形BaTiO3粒子である、請求項24に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項26】
前記BaTiO3粒子が約40〜70ミクロンの範囲の直径を有する、請求項24に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項27】
向き合う面を有する柔軟な絶縁基板;
上記柔軟な絶縁基板に埋め込まれたn型半導体からなるほぼ球形の半導体粒子の配列であって、該粒子の各々が、上記向き合う面の一方から突き出た第1部分と、上記向き合う面の他方から突き出た第2部分とを有する、上記球形半導体粒子の配列;
各球形半導体粒子の第1部分に付着させたp型半導体層;
p型半導体層の上部面と、p型半導体層の上部面同士の間に位置する上記柔軟な絶縁基板の領域に載せた第1連続的導電性電極層;ならびに
上記球形誘電粒子の第2部分と、球形誘電粒子の第2部分同士の間に位置する柔軟な絶縁基板の領域を被覆する第2連続的導電性電極層、ならびに、前記第1および第2連続的導電性電極層の間に電圧を印加する手段;
を含むp-n半導体素子。
【請求項28】
前記半導体がGaxIn(1-x)Nである、請求項27に記載のエレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項29】
向き合う面を有する柔軟な絶縁基板;
上記柔軟な絶縁基板に埋め込まれたほぼ球形の誘電粒子の配列であって、該粒子の各々が、上記向き合う面の一方から突き出た第1部分と、上記向き合う面の他方から突き出た第2部分とを有する、上記球形誘電粒子の配列;
各球形誘電粒子の第1部分に付着させたエレクトロルミネセンス蛍光体層;
エレクトロルミネセンス蛍光体層の上部面に位置し、互いにほぼ平行な行として延在する、連続的導電性の実質的に透明な電極層;ならびに
上記行電極とは垂直方向の列として球形誘電粒子の第2部分を被覆する連続的導電性列電極層であって、これにより配列中の各球形誘電粒子が上記行列電極の1つによりアドレス可能になる上記電極層、ならびに、前記行列電極間に電圧を印加する手段;
を含む、アドレス可能なエレクトロルミネセンス表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2007−504615(P2007−504615A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525012(P2006−525012)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001592
【国際公開番号】WO2005/024951
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(506074587)
【出願人】(506074598)
【出願人】(506074602)
【Fターム(参考)】