説明

球検査用転がし装置

【課題】球の色、傷等の不具合を発見するために、複数の球を一斉に転がす球検査用転がし装置であって、球の球の出し入れ作業を簡単にでき、しかも安価で容易に製造できるようにする。
【解決手段】複数の球30を載置する載置用台1と、複数の球30を縦横複数列に内側に配置する四角形状の枠20と、枠20の外側の周囲面に接触する前後板12a、12bおよび左右板13a、13bを有しこれらにより枠20を縦横の2方向に案内するガイド10とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球を転がして目視検査するのに最適な球検査用転がし装置に関する。
【背景技術】
【0002】
玉軸受に使用される球は、材質の面で鋼製およびセラミックス製の2種類があり、鋼製のものはカメラで捕えた画像を処理することにより、球の色、傷等の不具合を発見している。光の反射の関係上、鋼製はカメラで白っぽく捕えられるのに対し、セラミックス製はカメラで黒っぽく捕えられるので、セラミックス製の球は、球の色、傷等の不具合を発見しにくい。このため、セラミックス製の球を四角形状のトレイに複数入れ、トレイを傾けることにより複数の球を低い方へ一斉に転がし、目視で複数の球の中で一際異なるものを見つける方法を採用している。この方法は、熟練を要し、転がし方が上手でないと、球がバラバラに転がって一際異なるものの発見が困難になり、あるいは同じ面ばかり見て、異なる面の色、傷等の不具合を見落とすことがある。
【0003】
これを解消するために、図8(特許文献1)に示すような球検査用転がし装置がある。図8の(1)は、球検査用転がし装置の平面図であり、図8の(2)は、(1)のF−F線断面図である。このものは、ガイド板120の各ガイド穴123に球130を入れてこれらの球130をパッド110上に載せ、ガイド板120をガイド溝121、122およびピン111、112、113に倣って動かすことにより、各球130を一斉に図8の(1)の左下がりの方向に転がし、続いて左上がりの方向に転がし、左下がりの方向に転がし、左上がりの方向に転がし、最後に左下がりの方向に転がすことができる。これを使用すれば、誰が行っても同じの転がしを球に与えることができ、熟練度によるバラツキを無くすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4654269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8に示す球検査用転がし装置は、各ガイド穴123に球130を一個一個入れなければならず、各ガイド穴123に球130を入れたり出したりする作業が面倒である。また、ガイド溝121、122をNC機で加工しなければならず、加工が面倒で高価となる。本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、球の出し入れ作業を簡単にでき、しかも安価で容易に製造できる球検査用転がし装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、複数の球を載置する載置用台と、前記複数の球を縦横複数列に内側に配置する四角形状の枠と、前記枠の外側の周囲面に接触する前後板および左右板を有しこれらにより前記枠を縦横の2方向に案内するガイドとからなるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、枠の内側は、複数の球を縦横複数列配列することができる大きな穴であるので、枠の内側に複数の玉を一斉に出し入れすることができ、球の出し入れ作業が簡単にできる。また、前後板および左右板に枠の外側の周囲面を接触させ、これらに沿って枠を移動させるので、板同士をボルト等で接続するだけで、安価で容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態における球検査用転がし装置の動作図である。
【図2】本発明の第1の実施形態において球検査用転がし装置の図1と異なる動作図である。
【図3】本発明の第2の実施形態における球検査用転がし装置の動作図である。
【図4】本発明の第3の実施形態における球検査用転がし装置の動作図である。
【図5】本発明の第3の実施形態において球検査用転がし装置の図4と異なる動作図である。
【図6】本発明の第4の実施形態における球検査用転がし装置の動作図である。
【図7】本発明の第4の実施形態において球検査用転がし装置の図6と異なる動作図である。
【図8】従来における球検査用転がし装置の全体図であり、(1)は平面図であり、(2)は(1)のF−F線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施形態について、図1および図2を参酌しつつ説明する。図1は球検査用転がし装置の平面図でもあり動作図でもある。図2は球検査用転がし装置の図1と異なる動作図である。
【0010】
図1に示すように、球検査用転がし装置は、複数の球30を載置する載置用台1と、複数の球30を縦横複数列に内側に配置する四角形状の枠20と、枠20の外側の周囲面に接触して枠20を縦横の2方向に案内するガイド10とからなっている。
【0011】
載置用台1は、金属製で凹凸の非常に少ない上面を有する。載置用台1には、ガイド10が直接載置されて固定され、ガイド10の内側にある図略のゴム製のパッドを介して球30および枠20が載置されている。
【0012】
枠20は、金属製で四角形状の枠状のもので、この内側に球30が縦4列、横5列配置される。枠20は、左右方向に延びる左右板21、24と、前後方向に延びる前後板22、23とからなる。枠20は、左右板21、24の両端にボルト等で前後板22、23を連結した簡単なものである。
【0013】
ガイド10は、枠20の外側の周囲面に接触して、枠20を縦横に移動可能に案内する機能を有する。ガイド10は、金属製で枠状のものである。ガイド10は、左右方向に延びる第1左右板11と、これに続いて前後方向に延びる第1前後板12a、12bと、左右方向に延びる第2左右板13a、13bと、前後方向に延びる第2前後板14a、14bと、左右方向に延びる第3左右板15a、15bと、前後方向に延びる第3前後板16a、16bと、左右方向に延びる第4左右板17とからなる。ガイド10は、これらの板を互いにボルト等で連結した簡単なものである。第1前後板12a、12bによって枠20は前後方向に移動可能に案内され、第2左右板13a、13bによって枠20は左右方向に移動可能に案内され、第2前後板14a、14によって枠20は前後方向に移動可能に案内され、第3左右板15a、15によって枠20は左右方向に移動可能に案内され、第3前後板16a、16bによって枠20は前後方向に移動可能に案内されるようになっている。
【0014】
載置用台1上のパッドには、球30の重力が作用し、パッド自体の摩擦係数が高いので、パッドに対して球30は転がる。これに対して、球30はセラミックス製で摩擦係数が小さく、枠20は金属製で摩擦係数が小さいので、枠20に対し球30は滑る。球30間でも滑りが発生する。すなわち、ガイド10に沿って枠20を縦横に移動させると、球30は枠20によって縦横方向に押され、球30はパッド上を転がりながら、球30は枠20に対して滑り、球30同士で滑りが発生する。
【0015】
第1前後板12a、12bは、枠20を前後方向に移動させたときに、球30が縦方向に1回転する程度の長さを有し、第2左右板13a、13bは、枠20を左右方向に移動させたときに、球30が横方向に1回転プラス90度回転する程度の長さを有し、第2前後板14a、14は、枠20を前後方向に移動させたときに、球30が縦方向に45度回転する程度の長さを有し、第3左右板15a、15は、枠20を左右方向に移動させたときに、球30が横方向に1回転プラス90度回転する程度の長さを有し、第3前後板16a、16bは、枠20を前後方向に移動させたときに、球30が縦方向に1回転する程度の長さを有する。
【0016】
球30を縦方向に1回転させ、続いて球30を横方向に1回転させると、見た範囲が重なるところが上下の2箇所に出来る。このまま縦方向に1回転、横方向に1回転させると、同じところを見ることなり、好ましくない。上下の重なった2箇所を軸に45度回転させてから縦方向に1回転、横方向に1回転させると、先ほどと異なるところを見ることができ、球30の全面を見ることが可能となる。前述した横方向に90度回転、縦方向に45度回転、90度回転は、上下の重なった2箇所を軸に直接45度回転させる動作と同じことが得られる動作である。45度回転させる動作を、縦横方向に球をそれぞれ1回転させる1回目の動作と、横縦方向に球をそれぞれ1回転させる2回目の動作間に入れた。
【0017】
次に第1の実施形態の動作について説明する。ガイド10に対し枠20を図1の左下に置き、枠20の外側の周囲面をガイド10の第1左右板11および第1前後板12a、12bに接触させる。枠20へ一斉に複数の球30を投入し、枠20の内側に球30を縦4列、横5列配置し、図1の(1)に示す状態となる。
【0018】
作業者は枠20を前方向に押し、枠20を第1前後板12a、12bに沿って前方向へ移動させ、球30を縦方向に1回転させ、図1の(2)に示す状態となる。枠20を右方向に押し、枠20を第2左右板13a、13bに沿って右方向へ移動させ、球30を横方向に1回転させ、図1の(3)に示す状態となる。
【0019】
さらに枠20を右方向に押し、枠20を第2左右板13a、13bに沿って右方向へ移動させ、球30を横方向に90度回転させ、図1の(4)に示す状態となる。枠20を前方向に押し、枠20を第2前後板14a、14に沿って前方向へ移動させ、球30を縦方向に45度回転させ、図1の(5)に示す状態となる。枠20を右方向に押し、枠20を第3左右板15a、15に沿って右方向へ移動させ、球30を横方向に90度回転させ、図1の(6)に示す状態となる。
【0020】
さらに枠20を右方向に押し、枠20を第3左右板15a、15bに沿って右方向へ移動させ、球30を横方向に1回転させ、図1の(7)に示す状態となる。枠20を前方向に押し、枠20を第3前後板16a、16bに沿って前方向へ移動させ、球30を縦方向に1回転させ、図1の(8)に示す状態となる。
【0021】
作業者は、枠20を動かしながら、複数の球30を目視し、複数の球30の中から一際異なるものを探す。色、傷等の一際異なるものを発見すると、その場でペン等で球30にマークが入れられる。枠20の移動が完了した時点で、マークの入った球30を異常ボックスへ回収し、マークの入っていない球30を一斉に良品ボックスへ回収する。
【0022】
ガイド10の図1の左側にある球31は、枠20内の球30を図1の左から見た状態を示し、ガイド10の図1の下側にある球32は、枠20内の球30を図1の下から見た状態を示す。球30、31、32上の2本線間は、作業者が見た範囲を示す。
【0023】
図1の(2)で、球30、32に縦方向の2本線が入り、図1の(3)で球30に横方向の2本線が入り、球31に縦方向の2本線が入る。球30に縦方向の2本線間および横方向の2本線間の重なった範囲ができる。これから見る範囲が重ならないようにするために、球30の上下の重なった範囲を軸に球30を45度回す必要がある。
【0024】
45度回すためには、まず球30を右方向に90度回転させて図1の(4)の球32の状態にし、続いて球30を前方向に45度回転させて図2の(5)の球31の状態にし、さらに球30を右方向に90度回転させて図2の(6)の球30の状態にする。図1の(3)の状態では、球30に縦横の十字に2本線が入っていたのが、図2の(6)の状態では、球30に直交する2つの斜め方向の十字に2本線が入っている。図1の(3)の状態から球30が45度回転して図2の(6)の状態になったことが分かる。
【0025】
球30に直交する2つの斜め方向の十字に2本線が入った状態から、図2の(7)で、球30に横方向の2本線が入り、球31に縦方向の2本線が入り、図2の(8)で、球30、32に縦方向の2本線が入る。つまり、斜め方向の十字に縦横方向の十字が重なった状態となる。これで、重なりを最低限にしながら見落としなく球30の全面を効率良く見ることができる。
【0026】
本発明の第2の実施形態について、図3を参酌しつつ説明する。図3は球検査用転がし装置の平面図でもあり動作図でもある。
【0027】
図3に示すように、球検査用転がし装置は、複数の球30を載置する載置用台2と、複数の球30を縦横複数列に内側に配置する四角形状の枠20と、枠20の外側の周囲面に接触して枠20を縦横の2方向に案内するガイド40とからなっている。
【0028】
載置用台2は、金属製で凹凸の非常に少ない上面を有する。載置用台2には、ガイド40が直接載置されて固定され、ガイド40の内側にある図略のゴム製のパッドを介して球30および枠20が載置されている。
【0029】
枠20は、第1の実施形態と同様のものを使用するので、説明は割愛する。ガイド40は、枠20の外側の周囲面に接触して、枠20を縦横に移動可能に案内する機能を有する。ガイド40は、金属製で四角形状の枠状のものである。ガイド40は、前後方向に延びる第1前後板50と、これに続いて左右方向に延びる第1左右板41、42と、前後方向に延びる第2前後板51、52と、左右方向に延びる第2左右板43、44と、前後方向に延びる第3前後板53、54と、左右方向に延びる第3左右板45、46と、前後方向に延びる第4前後板55、56と、左右方向に延びる第4左右板47、48と、前後方向に延びる第5前後板57とからなる。
【0030】
ガイド40は、これらの板を互いにボルト等で連結した簡単なものである。第1左右板41、42によって枠20は左右方向に移動可能に案内され、第2前後板51、52によって枠20は前後方向に移動可能に案内され、第2左右板43、44によって枠20は左右方向に移動可能に案内され、第3前後板53、54によって枠20は前後方向に移動可能に案内され、第3左右板45、46によって枠20は左右方向に移動可能に案内され、第4前後板55、56によって枠20は前後方向に移動可能に案内され、第4左右板47、48によって枠20は左右方向に移動可能に案内されるようになっている。
【0031】
第1左右板41、42は、枠20を左右方向に移動させたときに、球30が横方向に1回転する程度の長さを有し、第2前後板51、52は、枠20を前後方向に移動させたときに、球30が縦方向に45度回転する程度の長さを有し、第2左右板43、44は、枠20を左右方向に移動させたときに、球30が横方向に1回転する程度の長さを有し、第3前後板53、54は、枠20を前後方向に移動させたときに、球30が縦方向に45度回転する程度の長さを有し、第3左右板45、46は、枠20を左右方向に移動させたときに、球30が横方向に1回転する程度の長さを有し、第4前後板55、56は、枠20を前後方向に移動させたときに、球30が縦方向に45度回転する程度の長さを有し、第4左右板47、48は、枠20を左右方向に移動させたときに、球30が横方向に1回転する程度の長さを有する。
【0032】
球30を横方向に1回転させ、球30を縦方向に45度回転させる動作を繰り返すことにより、球30の全面に渡って見ることができる。このために、左右板、前後板が交互に配置されている。
【0033】
次に第2の実施形態の動作について説明する。ガイド40に対し枠20を図1の左下に置き、枠20の外側の周囲面をガイド40の第1左右板41、42および第1前後板50に接触させる。枠20へ一斉に複数の球30を投入し、枠20の内側に球30を縦4列、横5列配置し、図3の(1)に示す状態となる。
【0034】
作業者は枠20を右方向に押し、枠20を第1左右板41、42に沿って右方向へ移動させ、球30を横方向に1回転させ、図3の(2)に示す状態となる。さらに枠20を前方向に押し、枠20を第2前後板51、52に沿って前方向へ移動させ、球30を縦方向に45度回転させる。枠20を右方向に押し、枠20を第2左右板43、44に沿って右方向へ移動させ、球30を横方向に1回転させ、図3の(3)に示す状態となる。枠20を前方向に押し、枠20を第3前後板53、54に沿って前方向へ移動させ、球30を縦方向に45度回転させる。枠20を右方向に押し、枠20を第3左右板45、46に沿って右方向へ移動させ、球30を横方向に1回転させ、図3の(4)に示す状態となる。枠20を前方向に押し、枠20を第2前後板55、56に沿って前方向へ移動させ、球30を縦方向に45度回転させる。枠20を右方向に押し、枠20を第4左右板47、48に沿って右方向へ移動させ、球30を横方向に1回転させ、図3の(5)に示す状態となる。
【0035】
作業者は、枠20を動かしながら、複数の球30を目視し、複数の球30の中から一際異なるものを探す。色、傷等の一際異なるものを発見すると、その場でペン等で球30にマークが入れられる。枠20の移動が完了した時点で、マークの入った球30を異常ボックスへ回収し、マークの入っていない球30を一斉に良品ボックスへ回収する。
【0036】
ガイド10の図3の左側にある球33は、枠20内の球30を図3の左から見た状態を示す。球30、33上の2本線間は、作業者が見た範囲を示す。
【0037】
図3の(2)で、球30に横方向の2本線が入り、球33に縦方向の2本線が入る。球30を縦方向に45度回転させると、球33の縦方向の2本線は、斜め方向の2本線となる。図3の(3)で、球30に横方向の2本線が入り、球33に縦方向の2本線が入る。球30を縦方向に45度回転させると、球33の縦方向の2本線は、斜め方向の2本線となり、球33の斜め方向の2本線は、横方向の2本線となる。図3の(4)で、球30に横方向の2本線が入り、球33に縦方向の2本線が入る。球30を縦方向に45度回転させると、球33の縦方向の2本線は、斜め方向の2本線となり、斜め方向の2本線は、横方向の2本線となり、横方向の2本線は、先ほどの斜め方向の2本線に対し直交する斜め方向の2本線となる。重なった領域は、球30の左右方向両側に作られ、これを軸に45度回転してから横方向の1回転を行う。これらを繰り返すと、重なりを最低限にしながら見落としなく球30の全面を効率良く見ることができる。
【0038】
本発明の第3の実施形態について、図4および図5を参酌しつつ説明する。図4は球検査用転がし装置の平面図であり動作図でもある。図5は球検査用転がし装置の図4と異なる動作図である。
【0039】
図4に示すように、球検査用転がし装置は、複数の球30を載置する載置用台3と、複数の球30を縦横複数列に内側に配置する四角形状の枠20と、枠20の外側の周囲面に接触して枠20を縦横の2方向の案内する内ガイド60と、内ガイド60の外側の周囲面に接触して内ガイド60を縦横の2方向に案内する外ガイド70とからなっている。
【0040】
載置用台3は、金属製で凹凸の非常に少ない上面を有する。載置用台3には、外ガイド70が直接載置されて固定され、外ガイド70の内側にある図略のゴム製のパッドを介して球30、内ガイド60および枠20が載置されている。
【0041】
枠20は、第1の実施形態と同様のものを使用するので、説明は割愛する。内ガイド60は、枠20の外側の周囲面に接触して、枠20を縦横に移動可能に案内する機能を有する。内ガイド60は、金属製で四角形状の枠状のものである。内ガイド60は、左右方向に延びる左右板61、64と、前後方向に延びる前後板62、63とからなる。内ガイド60は、左右板61、64の両端にボルト等で前後板62、63を連結した簡単なものである。内ガイド60の前後板62に枠20の前後板22が接することによって枠20は、前後方向に移動可能に案内され、内ガイド60の左右板64に枠20の左右板24が接することによって枠20は、左右方向に移動可能に案内され、内ガイド60の前後板63に枠20の前後板23が接することによって枠20は、前後方向に移動可能に案内され、内ガイド60の左右板61に枠20の左右板21が接することによって枠20は、左右方向に移動可能に案内されるようになっている。
【0042】
前後板62、63は、枠20を前後方向に移動させたときに、球30が縦方向に1回転する程度の長さを有し、左右板61、64は、枠20を左右方向に移動させたときに、球30が横方向に1回転する程度の長さを有する。
【0043】
球30を縦方向に1回転させ、続いて球30を横方向に1回転させると、見た範囲の重なるところが上下の2箇所に出来る。このまま縦方向に1回転、横方向に1回転させると、同じところを見ることなり、好ましくない。上下の重なった2箇所を軸に45度回転させてから縦方向に1回転、横方向に1回転させると、先ほどと異なるところを見ることができ、球30全面を見ることが可能となる。後述する横方向に90度回転、縦方向に45度回転、90度回転は、上下の重なった2箇所を軸に直接45度回転させる動作と同じことが得られる動作である。この動作を行うために、内ガイド60の外側に外ガイド70を配置した。
【0044】
外ガイド70は、内ガイド60の外側の周囲面に接触して、内ガイド60を縦横に移動可能に案内する機能を有する。外ガイド70は、金属製で四角形状の枠状のものである。外ガイド70は、左右方向に延びる左右板71、74と、前後方向に延びる前後板72、73とからなる。外ガイド70は、左右板71、74の両端にボルト等で前後板72、73を連結した簡単なものである。外ガイド70の前後板72に内ガイド60の前後板62が接することによって内ガイド60は、前後方向に移動可能に案内され、外ガイド70の左右板74に内ガイド60の左右板64が接することによって内ガイド60は、左右方向に移動可能に案内され、外ガイド70の前後板73に内ガイド60の前後板63が接することによって内ガイド60は、前後方向に移動可能に案内され、外ガイド70の左右板71に内ガイド60の左右板61が接することによって枠20は、左右方向に移動可能に案内されるようになっている。
【0045】
前後板72、73は、球30が縦方向に90度回転する程度の長さを有し、左右板71、74は、球30が横方向に45度回転する程度の長さを有する。外ガイド70に対して内ガイド60を枠20とともに前方向に移動させると、球30が縦方向に90度回転し、外ガイド70に対して内ガイド60を枠20とともに右方向に移動させると、球30が横方向に45度回転し、外ガイド70に対して内ガイド60を枠20とともに後ろ方向に移動させると、球30が縦方向に90度回転するようになっている。
【0046】
内ガイド60は、外ガイド70に対して図4の左下の位置に固定、あるいは、右下の位置に固定できるようになっている。このために内ガイド60は四隅に上下方向に貫通した図略の貫通穴を有し、載置用台3およびパッドには、内ガイド60が外ガイド70に対し図4の左下にあるとき、内ガイド60の左側の貫通穴に対応する位置で、ピン穴81が形成されている。また、載置用台3およびパッドには、内ガイド60が外ガイド70に対し図4の右下にあるとき、内ガイド60の右側の貫通穴に対応する位置で、ピン穴81が形成されている。内ガイド60が外ガイド70に対し図4の左下にあるとき、貫通穴およびピン穴81にピン80を挿通すると、内ガイド60はこの位置に固定されるようになっている。また内ガイド60が外ガイド70に対し図4の右下にあるとき、貫通穴およびピン穴81にピン80を挿通すると、内ガイド60はこの位置に固定されるようになっている。
【0047】
次に第3の実施形態の動作について説明する。外ガイド70に対して内ガイド60を図4の左下に置いてピン80でこの位置に固定する。内ガイド60に対し枠20を図1の左下に置き、枠20の外側の周囲面を内ガイド60の左右板61および前後板62に接触させる。枠20へ一斉に複数の球30を投入し、枠20の内側に球30を縦4列、横5列配置し、図4の(1)に示す状態となる。
【0048】
作業者は枠20を前方向に押し、枠20を前後板62に沿って前後方向へ移動させ、球30を縦方向に1回転させ、図4の(2)に示す状態となる。枠20を右方向に押し、枠20を左右板64に沿って左右方向へ移動させ、球30を横方向に1回転させ、図4の(3)に示す状態となる。
【0049】
ピン80を内ガイド60から外し、内ガイド60を枠20とともに前方向に押し、内ガイド60を前後板72に沿って前方向へ移動させ、球30を縦方向に90度回転させ、図4の(4)に示す状態となる。内ガイド60を枠20とともに右方向に押し、内ガイド60を左右板74に沿って右方向へ移動させ、球30を横方向に45度回転させ、図5の(5)に示す状態となる。内ガイド60を枠20とともに後ろ方向に押し、内ガイド60を前後板73に沿って後ろ方向へ移動させ、球30を縦方向に90度回転させ、図5の(6)に示す状態となる。
【0050】
内ガイド60が外ガイド70に対し右下にある状態で、内ガイド60の貫通穴および載置用台3のピン穴81にピン80を挿入して内ガイド60をその位置に固定する。枠20を後ろ方向に押し、枠20を前後板63に沿って後ろ方向へ移動させ、球30を縦方向に1回転させ、図5の(7)に示す状態となる。枠20を左方向に押し、枠20を左右板61に沿って左方向へ移動させ、球30を横方向に1回転させ、図5の(8)に示す状態となる。
【0051】
作業者は、枠20を動かしながら、複数の球30を目視し、複数の球30の中から一際異なるものを探す。色、傷等の一際異なるものを発見すると、その場でペン等で球30にマークが入れられる。枠20の移動が完了した時点で、マークの入った球30を異常ボックスへ回収し、マークの入っていない球30を一斉に良品ボックスへ回収する。
【0052】
外ガイド70の図4の左側にある球35は、枠20内の球30を図4の左から見た状態を示し、外ガイド70の図4の下側にある球36は、枠20内の球30を図4の下から見た状態を示す。球30、35、36上の2本線間は、作業者が見た範囲を示す。
【0053】
図4の(2)で、球30、36に縦方向の2本線が入り、図4の(3)で球30に横方向の2本線が入り、球36に縦方向の2本線が入る。球30に縦方向の2本線間および横方向の2本線間の重なった範囲ができる。これから見る範囲が重ならないようにするために、球30の上下の重なった範囲を軸に球30を45度回す必要がある。
【0054】
45度回すためには、まず球30を前方向に90度回転させて図4の(4)の球35の状態にし、続いて球30を右方向に45度回転させて図4の(5)の球36の状態にし、さらに球30を後ろ方向に90度回転させて図4の(6)の球30の状態にする。図1の(3)の状態では、球30に縦横の十字に2本線が入っていたのが、図4の(6)の状態では、球30に直交する2つの斜め方向の十字に2本線が入っている。図4の(3)の状態から球30が45度回転して図4の(6)の状態になったことが分かる。
【0055】
球30に直交する2つの斜め方向の十字に2本線が入った状態から、図4の(7)で、球30、36に縦方向の2本線が入り、図4の(8)で、球30に横方向の2本線が入り、球35に縦方向の2本線が入る。つまり、斜め方向の十字に縦横方向の十字が重なった状態となる。これで、重なりを最低限にしながら見落としなく球30の全面を効率良く見ることができる。
【0056】
本発明の第4の実施形態について、図6および図7を参酌しつつ説明する。図6は球検査用転がし装置の平面図でもあり動作図でもある。図7は球検査用転がし装置の図6と異なる動作図である。
【0057】
図6に示すように、球検査用転がし装置は、複数の球30を載置する載置用台4と、複数の球30を縦横複数列に内側に配置する四角形状の枠20と、枠20の外側の周囲面に接触して枠20を縦横の2方向に案内するガイド10とからなっている。
【0058】
第4の実施形態は、第1の実施形態とほぼ同じであり、異なる点のみ説明する。第1の実施形態では、第2前後板14a、14bは、枠20を前後方向に移動させたときに、球30が縦方向に45度回転する程度の長さを有している。これに対し、第4の実施形態では、第2前後板14c、14dは、枠20を前後方向に移動させたときに、球30が縦方向に1回転プラス45度回転する程度の長さを有している。第4の実施形態の載置用台4は、第2前後板14c、14dに対応する部分が長くなっている点で、第1の実施形態の載置用台1と異なる。上記以外の部品は、第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と同じ番号を付与して説明を省略する。
【0059】
次に第4の実施形態の動作について説明する。図6の(1)から(4)までの動作は、第1の実施形態の図1の(1)から(4)までの動作と同じである。また、図7の(6)から(8)までの動作は、第1の実施形態の図1の(6)から(8)までの動作と同じである。動作で異なる点は、図6の(4)から図7の(5)までの動作であり、球30の縦方向の回転が、45度回転から、1回転プラス45度回転に変わる。1回転増える分だけ、より確実に検査できるメリットがある。
【0060】
本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
1:載置用台、10:ガイド、12a:第1前後板(前後板)、12b:第1前後板(前後板)、13a:第2左右板(左右板)、13b:第2左右板(左右板)、20:枠、30:球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の球を載置する載置用台と、前記複数の球を縦横複数列に内側に配置する四角形状の枠と、前記枠の外側の周囲面に接触する前後板および左右板を有しこれらにより前記枠を縦横の2方向に案内するガイドとからなる球検査用転がし装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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