説明

球状シリコーンエラストマー微粒子とその製造方法、および化粧料

【課題】白金系、スズ系などの金属系の硬化触媒を使用することなく、球状のシリコーンエラストマー微粒子を製造する方法を提供。また、経時的に臭気を発生させない化粧料を提供。
【解決手段】本発明の球状シリコーンエラストマー微粒子は、シリコーンエラストマーを主成分とする平均粒子径が0.1〜500μmの球状微粒子である。この微粒子の製造方法は、(a)1分子中に少なくとも2個のシラノール基を有するポリオルガノシロキサンと、(b)一般式:RSi(ORで表されるオルガノトリアルコキシシランとを、金属系の触媒を使用することなく縮合反応させて得られた架橋性ポリオルガノシロキサンを、(c)界面活性剤の存在下に水中に乳化し、かつ金属系の触媒を使用することなく縮合反応させて架橋する。本発明の化粧料は、(A)球状シリコーンエラストマー微粒子と、(B)ポリエーテル化合物、および(C)水を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状シリコーンエラストマー微粒子とその製造方法、および化粧料に係わり、さらに詳しくは、白金系、スズ系などの金属系の硬化触媒を使用することなく乳化重合によって得られる球状シリコーンエラストマー微粒子とその製造方法、およびそのような球状シリコーンエラストマー微粒子を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シリコーンゴム粒子のようなシリコーンエラストマー粒子の製造方法として、反応性の液状シリコーン組成物を界面活性剤により水中に乳化した後、硬化させる方法が知られている。
【0003】
例えば、分子中にビニル基を含有するポリオルガノシロキサンとポリオルガノハイドロジェンロキサンを界面活性剤により水中に乳化し、触媒として白金化合物を加えてヒドロシリル化反応を生起させ、架橋・硬化する方法が提案されている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)
【0004】
また、シラノール基を含有するポリオルガノシロキサンと、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンおよび/またはアルコキシル基含有のポリシロキサンを、界面活性剤により水中に乳化し、有機スズ系などの触媒の存在下で縮合反応により架橋する方法が提案されている。(例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8参照)
【0005】
しかし、これらの方法においては、反応性のポリオルガノシロキサンを架橋し硬化させるために、白金系やスズ系など金属系の触媒を使用するため、得られる粒子やその水分散液中に前記した金属元素が残留してしまうという問題があった。そして、用途によっては着色が生じたり、あるいはこの粒子を配合した製品の安定性を悪化させるおそれがあった。
【0006】
また、これらの製造方法においては、金属系の触媒を水中に均一に分散させるために、予め触媒を乳化する必要があるばかりでなく、高濃度で粒子を調製する場合には、触媒の水中への分散が不十分になるため、架橋が起こりにくくなる傾向があった。
【0007】
さらに、白金系触媒は価格が高く、一方有機スズ系触媒は環境に与える負荷的な影響が大きいため、このような金属系の硬化触媒を使用せずに球状シリコーンエラストマー微粒子を製造する方法が望まれていた。
【0008】
またさらに、球状シリコーンエラストマー微粒子は、滑り性、伸び、特有の感触などを付与することから、各種の化粧料の成分として幅広く利用されているが、従来からの化粧料においては、以下に示す問題があった。すなわち、従来からの球状シリコーンエラストマー微粒子は、白金系触媒の存在下にヒドロシリル化反応により架橋されたものであるため、このようなシリコーンエラストマー微粒子とポリエーテル化合物、および水を含有する化粧料において、シリコーンエラストマー微粒子に残留する白金系触媒の作用により、経時的に臭気が発生するという問題があった。
【0009】
この問題を解決するため、球状シリコーンエラストマー微粒子に含まれる白金系触媒の触媒作用を低下させる有機アミン化合物を含浸させる方法が提案されている。(例えば、特許文献9、特許文献10参照)
【0010】
しかし、これらの方法においては、予め球状シリコーンエラストマー微粒子にアミン化合物などを含浸させる工程が必要であり、また、白金系触媒の触媒作用を低下させる化合物であるアミン化合物が、化粧料の特性を悪化させたり、化粧料の安定性を損なう場合があった。
【特許文献1】特開昭56−036546号公報
【特許文献2】特開昭62−243621号公報
【特許文献3】特開昭62−257939号公報
【特許文献4】特開昭63−77942号公報
【特許文献5】特開平3−93834号公報
【特許文献6】特開昭63−202658号公報
【特許文献7】特開2001−2786号公報
【特許文献8】特開2001−113147号公報
【特許文献9】特開平11−217324号公報
【特許文献10】特開平11−217444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、白金系、スズ系などの金属系の硬化触媒を使用することなく、球状のシリコーンエラストマー微粒子を製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、配合により着色や安定性の低下を引き起こすことがなく、さらには低価格で環境に対する負荷が小さい球状シリコーンエラストマー微粒子を提供することを目的とする。さらに、本発明は、経時的に臭気を発生させない化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、1分子中に少なくとも2個のシラノール基を有するポリオルガノシロキサンと、オルガノトリアルコキシシランとを、金属系の硬化触媒を使用することなく反応させて得られる液状の架橋性ポリオルガノシロキサンを、界面活性剤の存在下に水中で乳化重合させることにより、金属系の硬化触媒を含まない球状シリコーンエラストマー微粒子が得られることを見出し、本発明を完成した。さらに、本発明者らは、硬化触媒に由来する白金などの金属元素を実質的に含まない球状シリコーンエラストマー微粒子を、ポリエーテル化合物と水を含有する化粧料に配合することで、経時的に臭気を発生させないという目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明の球状シリコーンエラストマー微粒子は、シリコーンエラストマーを主成分とする平均粒子径が0.1〜500μmの球状微粒子であり、硬化触媒に由来する金属元素を実質的に含まないことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の球状シリコーンエラストマー微粒子の製造方法は、(a)1分子中に少なくとも2個のシラノール基を有するポリオルガノシロキサンと、(b)一般式:RSi(OR(式中、Rは置換または非置換のアルキル基、アルケニル基およびアリールから選ばれる1価の炭化水素基を示し、Rは同一または異なる置換もしくは非置換のアルキル基を示す。)で表されるオルガノトリアルコキシシランとを、金属系の触媒を使用することなく縮合反応させて、液状の架橋性ポリオルガノシロキサンを得る工程と、前記工程で得られた架橋性ポリオルガノシロキサンを、(c)界面活性剤の存在下に水中に乳化し、かつ金属系の触媒を使用することなく縮合反応させて架橋する工程を備えることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の化粧料は、(A)硬化触媒に由来する金属元素を実質的に含まない球状シリコーンエラストマー微粒子と、(B)ポリエーテル化合物、および(C)水を含有することを特徴とする。
【0016】
なお、本発明において、「球状」の用語は、真球状の他、その類似形状、例えばたまご形状や球状の一部が欠損した形状も包含して使用するものとする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の球状シリコーンエラストマー微粒子は、白金やスズのような硬化触媒に由来する金属元素を実質的に含有していないので、低価格で環境に対する負荷が小さいうえに、化学的特性が良好で弾性、非粘着性、撥水性、耐摩耗性、滑り性などの物理的特性に優れている。また、この球状シリコーンエラストマー微粒子の配合により、着色や安定性の低下などを引き起こすことがない。
【0018】
本発明の製造方法によれば、前記したような球状シリコーンエラストマー微粒子を効率的に製造することができる。また、乳化状態での反応の条件を制御することにより、得られるエラストマー粒子の硬度だけでなく、粒子中の官能基(シラノール基やアルコキシル基)の量をコントロールすることができ、エラストマー粒子に反応性を持たせることもできる。さらに、(a)成分と(b)成分の反応割合を変えることで、得られる粒子の硬度と比重をそれぞれコントロールすることもできる。
【0019】
本発明の化粧料によれば、ポリエーテル化合物および水とともに含まれる球状シリコーンエラストマー微粒子が、白金系などの硬化触媒に由来する金属元素を実質的に含有していないので、経時的に臭気を発生することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
本発明の実施形態のシリコーンエラストマー微粒子は、シリコーンゴム、シリコーンゲルなどのシリコーンエラストマーを主成分とし、硬化触媒に由来する白金系、スズ系などの金属元素を実質的に含有しない球状粒子であり、0.1〜500μmの平均粒子径を有している。
【0022】
このような球状シリコーンエラストマー微粒子は、(a)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合する水酸基、すなわちシラノール基を有するポリオルガノシロキサンと、(b)一般式:RSi(ORで表されるオルガノトリアルコキシシランとを、金属系の触媒を使用することなく縮合反応させた後、得られた液状の架橋性ポリオルガノシロキサンを、(c)界面活性剤の存在下で水中に乳化し、かつ縮合反応させて架橋・硬化することにより製造することができる。
【0023】
本発明の実施形態で使用する(a)成分は、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合する水酸基を有するポリオルガノシロキサンであり、このオルガノポリシロキサンの分子構造としては、直鎖状、環状、網状、一部分岐を有する直鎖状などが挙げられる。エラストマー状シリコーン粒子の架橋構造の制御のし易さから、特に、一般式(I)で示される分子鎖末端がシラノール基で封鎖された直鎖状のポリオルガノシロキサンが好ましい。このポリオルガノシロキサンは、以下において、α、ω−ジヒドロキシポリジオルガノシロキサンと呼ぶことがある。
【0024】
HO[(RSiO]H ………(I)
式中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基を表す。Rとしては、(1)炭素数1〜30、好ましくは1〜10のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基など、(2)炭素数4〜7、好ましくは6のシクロアルキル基、例えばシクロヘキシル基など、(3)炭素数2〜8、好ましくは2〜3のアルケニル基、例えばビニル基、アリル基など、(4)アラルキル基、特にアリール部分がフェニル基または低級アルキル(C程度まで)置換フェニル基で、アルキル部分がC程度までのもの、例えば2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基など、(5)アリール基、特にフェニル基または置換フェニル基(置換基は、例えばC程度までのアルキル基)、例えばフェニル基、トリル基など、および(6)置換炭化水素基、特に置換基がハロゲンであるもの、例えば3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などが例示される。
【0025】
乳化重合により得られるエラストマー状シリコーン粒子が、撥水性、滑り性に優れ、また生理活性がないことから、分子中のRの85%以上がメチル基であることが好ましく、実質的にはすべてがメチル基であることが特に好ましい。したがって、(a)成分として好ましいものは、α、ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)、およびそのジメチルシロキサン単位の一部がメチルエチルシロキサン単位、メチルヘキシルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位、ジフェニルシロキサン単位などで置換された共重合ポリシロキサンである。これらのうちでも、α、ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)が特に好ましい。
【0026】
式中pは、成分(I)の25℃における粘度を5〜3000mPa・s、特に15〜1000mPa・sの範囲にする値のものであることが好ましい。シラノール末端ポリオルガノシロキサンの粘度が5mPa・s未満のものは、安定に合成し精製することが困難であり、粘度が3000mPa・sを超えると、粒径分布の狭い粒子を得ることが難しくなる。
【0027】
(b)成分である一般式:RSi(ORで表されるオルガノトリアルコキシシランは、前記(a)成分の架橋剤として機能するものである。ここでRは前記Rと同義であり、好ましくはメチル基、フェニル基である。Rとしては、メチル基、エチル基、ブチル基のようなアルキル基;および2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−プロポキシエチル基、2−ブトキシエチル基のようなアルコキシ置換炭化水素基が例示され、加水分解速度が大きいことから、メチル基、エチル基、および2−メトキシエチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0028】
好ましいオルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロキシシラン、フェニルトリメトキシシランおよびフェニルトリエトキシシランが例示される。これらの1種または2種以上を混合したものが用いられる。
【0029】
(b)成分であるオルガノトリアルコキシシランの配合量は、(a)成分であるポリオルガノシロキサンのシラノール基1個に対して、アルコキシル基が1.5〜5個となるような範囲であることが好ましい。アルコキシル基が1.5個未満となるような量では、(a)成分と(b)成分をあらかじめ縮合反応させて液状の架橋性ポリオルガノシロキサンを調製する際に、ゲル化が起こりやすくなり、アルコキシル基が5個を超えるような量では、(a)成分と(b)成分をあらかじめ縮合反応させて液状の架橋性ポリオルガノシロキサンを調製する際に、未反応の(b)成分が多くなり、均一に硬化した粒子が得られなくなる。
【0030】
本発明の実施形態において、(a)成分と(b)成分との縮合反応は、有機スズ化合物や有機チタン化合物のような金属系の触媒を使用することなく行われる。縮合反応の触媒としては、アミン類、第4アンモニウムヒドロキシド類、第4ホスホニウムヒドロキシド類などが挙げられ、これらのものを併用してもよい。アミン類としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチルテトラアミンのような有機アミン;α−アミノプロピルトリエトキシシランのようなアミノ基を有するシラン化合物やそれらの塩が例示される。
【0031】
第4アンモニウムヒドロキシド類としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシドおよびそれらのシラノレート化合物が例示される。第4ホスホニウムヒドロキシド類としては、テトラメチルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムハイドロオキサイド、フェニルトリメチルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラメチルホスホニウムメトキサイド、テトラブチルホスホニウムブトキサイド、ブチルトリシクロヘキシルホスホニウムハイドロオキサイドおよびそれらのシラノレート化合物が例示される。これらの中でも第4アンモニウムヒドロキシド類、第4ホスホニウムヒドロキシド類およびそれらのシラノレート化合物は、縮合反応後に熱分解できることから特に好ましい。
【0032】
この縮合反応用触媒の配合量は、前記(a)成分であるポリオルガノシロキサンおよび(b)成分であるオルガノトリアルコキシシランの合計量100重量部に対して、0.001〜0.1重量部の範囲であることが好ましく、特に0.003〜0.01重量部の範囲であることが好ましい。触媒の配合量が0.001重量部未満では縮合反応速度が小さくなり、0.1重量部を超えると触媒の不活性化や除去が困難になるからである。
【0033】
(a)成分と(b)成分との縮合反応により得られる液状の架橋性ポリオルガノシロキサンは、反応後に生成するアルコール類や未反応のオルガノトリアルコキシシラン類を取り除くために、加熱や減圧下に留去することが好ましい。さらに、乳化時の安定性を向上させるために、縮合触媒の中和や除去を行うことが好ましい。
【0034】
(a)成分と(b)成分との縮合反応により、液状の架橋性ポリオルガノシロキサンが得られる。得られる架橋性ポリオルガノシロキサンの粘度は限定されないが、25℃において5〜10000mPa・sの範囲であることが好ましく、特に10〜5000mPa・sの範囲であることが好ましい。さらに、この架橋性ポリオルガノシロキサンには、その流動性を調節したり、得られる架橋シリコーンエラストマー微粒子の機械強度を向上させるために、任意の成分として充填剤を配合してもよい。
【0035】
このような充填剤としては、例えば、沈澱シリカ、フュームドシリカ、焼成シリカ、フュームド酸化チタンなどの補強充填剤;粉砕石英、ケイソウ土、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウムなどの非補強充填剤、これらの表面をヘキサメチルシラザン、トリメチルクロルシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサンなどの有機ケイ素化合物により処理してなる充填剤が挙げられる。
【0036】
こうして得られた架橋性ポリオルガノシロキサンは、(c)界面活性剤の存在下で水中に乳化させ、加水分解するとともに縮合反応させることにより、架橋・硬化される。この架橋および硬化反応も、前記した金属系の触媒を使用することなく行われる。
【0037】
(c)界面活性剤としては、前記した液状の架橋性ポリオルガノシロキサンの架橋を阻害しないものであれば特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれを用いてもよい。単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0038】
アニオン性界面活性剤としては、ヘキシルベンゼンスルフォン酸、オクチルベンゼンスルフォン酸、デシルベンゼンスルフォン酸、ドデシルベンゼンスルフォン酸、セチルベンゼンスルフォン酸、ミリスチルベンゼンスルフォン酸、ラウリル硫酸、ポリオキシエチレンラウリル硫酸、ドデセンスルフォン酸、テトラデセンスルフォン酸、ヘキサデセンスルフォン酸、ヒドロキシドデカンスルフォン酸、ヒドロキシテトラデカンスルフォン酸、ヒドロキシヘキサデカンスルフォン酸、およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩などが挙げられる。
【0039】
カチオン性界面活性剤としては、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ラウリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ステアリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジオクチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジステアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
【0040】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。
【0041】
両性界面活性剤としては、アミノ酸型、ベタイン酸型界面活性剤が例示される。
【0042】
これらの界面活性剤の使用量は、架橋性ポリオルガノシロキサン100重量部に対して0.05〜50重量部が好ましく、特には0.1〜10重量部が好ましい。界面活性剤が0.05重量部未満では、エマルジョンの安定性が悪くて分離することがあり、50重量部を超えると、得られるシリコーンエラストマー微粒子の用途が限定されたり、あるいはエマルジョンが増粘して流動性が悪くなるおそれがある。
【0043】
本発明の実施形態においては、塩型のアニオン性界面活性剤を使用して架橋性ポリオルガノシロキサンを乳化し、その後、酸を添加し、反応系内で酸型のアニオン性界面活性剤を生成するように構成することが好ましい。このように構成した場合には、乳化重合条件の制御が容易であり、また乳化状態が良好であって、エマルジョン製造中や保存中に高分子量ポリオルガノシロキサンの分離や浮きが発生せず、安定性に優れたエマルジョンを得ることができる。
【0044】
乳化後に添加される酸としては、無機酸および有機酸がある。無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸などが挙げられる。有機酸としては、カルボン酸(ギ酸を包含する)、スルフォン酸、スルファミン酸、硫酸モノエステルなどが挙げられる。
【0045】
前記したように、乳化剤として加えられた塩型のアニオン性界面活性剤を、乳化後に酸を添加して酸型のアニオン性界面活性剤に変える場合には、硫酸、塩酸、リン酸、ギ酸などが使用される。低温でも大きな重縮合反応速度が得られることから、これらのうちで硫酸の使用が好ましい。酸の使用量は特に限定されないが、架橋性ポリオルガノシロキサン100重量部に対して0.05〜10量部が好ましく、0.1〜5重量部の範囲が特に好ましい。
【0046】
本発明の実施形態において、架橋性ポリオルガノシロキサンの水中への乳化とそれに続く縮合反応は、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、コロイドミル、ラインミル、ホモミキサー、ホモジナイザーなどの乳化機、あるいは、アンカーミキサーとホモミキサー、またはアンカーミキサーとディスパーミキサーとが一体になった乳化機、さらには加圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、多孔質膜などの乳化機を用いて乳化する方法などを用いることができる。必要であればさらに水を加えて均一に乳化分散させる。次いで、酸を加えて分散して架橋性ポリオルガノシロキサンを重縮合させることで、シリコーンエラストマー微粒子が形成される。
【0047】
反応温度が低すぎるとエマルジョンの安定性が損なわれ、また反応温度が高すぎてもエマルジョンの安定性が損なわれることから、反応温度は0〜85℃であることが好ましい。より好ましくは5〜60℃で2〜48時間保持するが、必要に応じてさらに長時間をかけても差し支えない。酸をエマルジョンへ添加する際には、酸を水で予め希釈してもよく、また反応中は撹拌を継続することも停止することもできる。
【0048】
所望の重合度に達したならば、アルカリ性物質を添加することにより、触媒である酸ならびに酸型のアニオン性界面活性剤を中和して重合反応を停止する。アルカリ性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、および酢酸カリウムのような無機物質、ならびにトリエタノールアミンのようなアミン類が挙げられる。
【0049】
エマルジョンの安定性を向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で、先に例示したアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、水などを、重縮合反応後やアルカリ性物質添加時、その他任意の段階で配合することもできる。さらに、エマルジョンを保存するための防腐剤、防カビ剤、金属の腐食を防止するための防錆剤などを配合することもできる。
【0050】
またさらに、乳化重合によって得られるシリコーンエラストマー微粒子に含まれるシラノール基をトリオルガノシリル基で封鎖するために、またはシリコーンエラストマー微粒子の硬度を所望の値に制御するために、トリオルガノシリル基を有するシロキサン化合物を添加することができる。トリオルガノシリル基がトリメチルシリル基の場合、添加されるシロキサン化合物としては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンなどが挙げられる。
【0051】
また、架橋性ポリオルガノシロキサンを重縮合させることで、シリコーンエラストマー微粒子の水分散液中に生成するアルコール分や低分子量オルガノシロキサンを除去するために、加熱や減圧下に留去することも、必要に応じて行うことができる。
【0052】
こうして、架橋シリコーンエラストマーから成る球状の微粒子を、水分散液(ディスパージョンまたはサスペンジョン)として得ることができる。本発明の製造方法により、シリコーンエラストマー微粒子が水分散液として得られるが、必要に応じてこの水分散液を脱水することによりシリコーンエラストマー微粒子を分離することができる。脱水方法としては、水分散液を熱風中に噴霧する方法や、ろ過、水洗、乾燥、解砕などの適当な処理を施す方法があり、こうして架橋シリコーンエラストマー球状粒子を微粉体として回収することができる。
【0053】
次に、本発明の別の実施形態である化粧料について説明する。この実施形態の化粧料は、(A)硬化触媒に由来する金属元素を実質的に含まない球状シリコーンエラストマー微粒子と、(B)ポリエーテル化合物、および(C)水を含有することを特徴とする。
【0054】
実施形態の化粧料に使用する(A)球状シリコーンエラストマー微粒子は、シリコーンゴム、シリコーンゲルなどのシリコーンエラストマーを主成分とし、硬化触媒に由来する白金系、スズ系などの金属元素を実質的に含有しない球状粒子である。この球状粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、得られる化粧料の使用感が良好であることから、0.1〜500μmの範囲にあることが好ましく、特に0.5〜200μmの範囲にあることが好ましい。
【0055】
(A)成分である硬化触媒に由来する金属元素を含まない球状シリコーンエラストマー微粒子としては、前記した製造方法により得られたものが挙げられる。すなわち、(a)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合する水酸基、すなわちシラノール基を有するポリオルガノシロキサンと、(b)一般式:RSi(ORで表されるオルガノトリアルコキシシランとを、金属系の触媒を使用することなく縮合反応させた後、得られた液状の架橋性ポリオルガノシロキサンを、(c)界面活性剤の存在下で水中に乳化し、かつ縮合反応させて架橋・硬化することにより製造された球状シリコーンエラストマー微粒子が(A)成分として使用される。
【0056】
実施形態の化粧料において、(B)成分であるポリエーテル化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール等のポリアルキレンオキサイド;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリアルキレンオキサイドのエーテル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル等のポリアルキレンオキサイドのエステルが挙げられる。
【0057】
また、一般式:
【化1】

(式中、mは正数であり、nは0または正数であり、xは正数であり、yは0または正数である。)で示されるポリエーテル鎖含有シリコーン(ポリエーテル変性シリコーン)、一般式:
【化2】

(式中、mは正数であり、nは0または正数であり、xは正数であり、yは0または正数である。)で示されるポリエーテル変性シリコーン、一般式:
【化3】

(式中、mは正数であり、nは0または正数であり、yは0または正数である。)で示されるポリエーテル変性シリコーン、一般式:
【化4】

(式中、mは正数であり、nは0または正数であり、yは0または正数である。)で示されるポリエーテル変性シリコーン、一般式:
【化5】

(式中、mは正数であり、nは0または正数であり、xは正数であり、yは0または正数である。)で示されるポリエーテル変性シリコーン、これらのポリエーテル変性シリコーンのメチル基の一部をフェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、水酸基、メトキシ基、エトキシ基に置換したシリコーンや、ポリエーテル鎖の末端を水酸基により封鎖したシリコーンが挙げられる。特に、前記(化1)〜(化5)で表されるポリエーテル変性シリコーンを使用することが望ましい。
【0058】
(C)成分である水は特に限定されず、通常化粧料に用いられる精製水であることが好ましい。
【0059】
実施形態の化粧料の剤形としては、例えば、溶液状、乳液状、クリーム状、半固形状などが挙げられる。また、実施形態の化粧料の態様としては、例えば、香水、シャンプー、リンス、ヘアリキッド、ヘアトリートメント、キューティクルコート剤、セット剤、洗顔料、クレンジング剤、パック、化粧水、クリーム、乳液、化粧油、油性ファンデーション、乳化ファンデーション、水使用ファンデーション、両用ファンデーション、リップクリーム、アイクリーム、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、頬紅、口紅、爪クリーム、爪エナメル、制汗剤、日焼け(止め)ローション、日焼け(止め)クリーム、日焼け(止め)オイル、髭剃り用ローション、髭剃り用クリーム、浴用化粧料などが挙げられる。
【0060】
実施形態の化粧料には、その他の成分として粉体を配合することができる。例えば、マイカ、タルク、セリサイト、カオリン等の体質顔料;雲母チタン等のパール顔料;ナイロンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シルクパウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー等の高分子粉体;赤色201号、赤色202号、赤色220号、赤色223号、赤色226号、黄色4号、黄色5号、黄色205号、黄色401号、青色1号、青色404号、黄色4号アルミニウムレーキ、青色1号アルミニウムレーキ、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料;シリカ、アルミナ等の無機粉体;硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等の金属塩等が挙げられる。また、これらの粉体は、従来公知の表面処理、例えば、シリコーン処理、金属石鹸処理,N−アシルグルタミン酸処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、ポリアクリル酸処理、アミノ酸処理、無機化合物処理、あるいはフッ素化合物処理等によって事前に表面処理されていても構わない。
【0061】
さらに、実施形態の化粧料には、油剤を含有してもよい。油剤としては、例えば、固体状あるいは液状パラフィン、クリスタルオイル、セレシン、オゾケライト、モンタンろう等の炭化水素類;オリーブ、地ろう、カルナバワックス、ラノリン、鯨ろう等の植物油、もしくは動物性油脂やろう;さらに、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンジステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、イソプロピルミスチリン酸エステル、イソプロピルステアリン酸エステル、ブチルステアリン酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル等の脂肪酸、およびそのエステル類;ポリジメチルシロキサン、オクタメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、揮発性シリコーンオイル、ポリメチルフェニルシロキサン等のシリコーンオイル;エチルアルコール、イソプロピルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、パルミチルアルコール、ヘキシルドデシルアルコール等のアルコールが挙げられる。
【0062】
また、本発明の化粧料には、グリコール、グリセリン、ソルビトール等の保湿効果を有する多価アルコールを含有してもよい。またさらに、p−メチルベンジリデン、ショウノウ、およびそのスルホン酸ナトリウム塩や有機酸ナトリウム塩、ベンゾフェノン類、エステル類等の公知の紫外線吸収剤や、化粧料、医薬部外品、外用医薬品に配合できる防腐剤、殺菌剤、生理活性成分、キレート剤、中和剤、pH調整剤、香料、顔料、パール剤、色剤、酸化防止剤、増粘剤等を含有してもよい。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ表す。また、粘度などの物性値はいずれも25℃での値を示す。
【0064】
実施例1
<反応性オイル(1)の調製>
粘度が30mPa・sのα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)334部とメチルトリメトキシシラン119部を、還流撹拌装置付きの500mLフラスコに仕込み、撹拌混合した。そして、撹拌しながら90℃まで昇温した後、触媒であるテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの30%水溶液を0.015部添加し、さらに撹拌を続けた。4時間撹拌を続けたところ、縮合反応により生成したメタノールが還流状態となり、フラスコ内の温度が77℃になった。
【0065】
次いで、140℃まで昇温して2時間撹拌を続け、生成したメタノールを除去するとともに、触媒のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの分解を行った。しかる後、140℃、2.6KPaの加熱減圧下で1時間低沸点化合物の除去を行った後、室温まで冷却して、粘度が16mPa・sの反応性オイル(1)を386部得た。
【0066】
<球状シリコーンエラストマー微粒子の調製>
ラウリル硫酸ナトリウム1.5部とポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.6部をイオン交換水90部に溶解させた。その中に反応性オイル(1)300部を添加し、ホモミキサーにより3500rpmの回転速度で3分間撹拌した後、撹拌を続けながらイオン交換水150部を5分間かけて滴下し、さらに4000rpmの回転速度で3分間撹拌を行った。
【0067】
次いで、得られたエマルジョンをフラスコに移し、撹拌しながら20%硫酸6部を添加した後、撹拌しながら20℃で16時間反応させた。その後、撹拌を続けながら、10%炭酸ナトリウム水溶液と30%ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を1:1の重量比で混合した溶液を、pHが7になるまで滴下することにより反応を停止させ、150メッシュの金網に通し、シリコーンエラストマー微粒子の水分散液(1)を得た。この水分散液中の粒子の粒径を粒度分布測定装置(LS−230;ベックマン・コールター社製)を用いて測定したところ、体積平均粒子径が8.6μmであった。
【0068】
次いで、得られた水分散液からろ紙を用いてシリコーンエラストマー微粒子を分離し、水洗後、105℃での乾燥処理を施すことにより、弾性のある白色のシリコーンエラストマー微粒子が得られた。得られた粒子を光学顕微鏡で観察したところ、球状であり、粒子同士の凝結も見られなかった。
【0069】
実施例2
ラウリル硫酸ナトリウム5.2部をイオン交換水90部に溶解させた後、その中に、実施例1と同じ反応性オイル(1)300部を添加し、5分間撹拌を行った。次いで、撹拌を続けながらイオン交換水150部を5分間かけて滴下し、その後コロイドミルにより均一に乳化させた。
【0070】
次いで、得られたエマルジョンをフラスコに移し、撹拌しながら20%硫酸6部を添加した後、撹拌しながら50℃で12時間反応させた。その後,撹拌を続けながら30℃まで冷却し、10%炭酸ナトリウム水溶液と30%ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を1:1の重量比で混合した溶液を、pHが7になるまで滴下することにより反応を停止させ、200メッシュの金網に通し、シリコーンエラストマー微粒子の水分散液(2)を得た。この水分散液中の粒子の粒径を実施例1と同様に測定したところ、体積平均粒子径が3.5μmであった。
【0071】
次いで、得られた水分散液からろ紙を用いてシリコーンエラストマー微粒子を分離し、水洗後、105℃での乾燥処理を施すことにより、弾性のある白色の微粒子シリコーンエラストマー微粒子が得られた。得られた粒子を光学顕微鏡で観察したところ、球状であり、粒子同士の凝結も見られなかった。
【0072】
実施例3
ラウリル硫酸ナトリウム1.5部とポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.6部を、イオン交換水90部に溶解させた。その中に、実施例1と同じ反応性オイル(1)300部を添加し、5分間撹拌を行った。次いで、撹拌を続けながらイオン交換水150部を5分間かけて滴下し、その後コロイドミルにより均一に乳化させた。その後、加圧ホモジナイザー(圧力500Kgf/cm)で処理することにより、エマルジョンを得た。
【0073】
次いで、得られたエマルジョンをフラスコに移し、撹拌しながら20%硫酸6部を添加した後、撹拌しながら75℃で20時間反応させた。その後、撹拌を続けながら30℃まで冷却し、10%炭酸ナトリウム水溶液と30%ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を1:1の重量比で混合した溶液を、pHが7になるまで滴下することにより反応を停止させ、325メッシュの金網に通し、シリコーンエラストマー微粒子の水分散液(3)を得た。この水分散液中の粒子の粒径を実施例1と同様に測定したところ、体積平均粒子径が0.25μmであった。
【0074】
次いで、得られた水分散液からメンブランフィルターを用いてシリコーンエラストマー微粒子を分離し、水洗後、室温での乾燥処理を施すことにより、弾性のある白色の微粒子シリコーンエラストマー微粒子が得られた。得られた粒子を光学顕微鏡で観察したところ、球状であった。
【0075】
実施例4
<反応性オイル(2)の調製>
粘度が85mPa・sのα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)428部とメチルトリメトキシシラン32部を、還流撹拌装置付きの500mLフラスコに仕込み、撹拌混合した。そして、撹拌しながら90℃まで昇温した後、触媒であるテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの30%水溶液を0.005部添加し、さらに撹拌を続けた。3時間撹拌を続けた後、酢酸10μLを加えて1時間撹拌を行った。
【0076】
次いで、140℃、2.6KPaの加熱減圧下で低沸点化合物の除去を1時間行った後、室温まで冷却し、粘度が57mPa・sの反応性オイル(2)を449部を得た。
【0077】
<球状シリコーンエラストマー微粒子の調製>
ラウリル硫酸ナトリウム1.5部とポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.6部をイオン交換水90部に溶解させた。その中に反応性オイル(2)300部を添加し、ホモミキサーにより3000rpmの回転速度で3分間撹拌した後、撹拌を続けながらイオン交換水150部を5分間かけて滴下し、さらに3500rpmの回転速度で2分間撹拌を行った。
【0078】
次いで、得られたエマルジョンをフラスコに移し、撹拌しながら20%硫酸6部を添加した後、撹拌しながら20℃で16時間反応させた。その後、撹拌を続けながら、10%炭酸ナトリウム水溶液をpHが7になるまで滴下することにより反応を停止させ、150メッシュの金網に通し、シリコーンエラストマー微粒子の水分散液(4)を得た。この水分散液中の粒子の粒径を実施例1と同様に測定したところ、体積平均粒子径が18.2μmであった。
【0079】
次いで、得られた水分散液からろ紙を用いてシリコーンエラストマー微粒子を分離し、水洗後、105℃での乾燥の処理を施すことにより、弾性のある白色のシリコーンエラストマー微粒子が得られた。得られた粒子を光学顕微鏡で観察したところ、球状であり、粒子同士の凝結も見られなかった。
【0080】
実施例5
ラウリル硫酸ナトリウム1.5部とポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.6部をイオン交換水90部に溶解させた。その中に、実施例4と同じ反応性オイル(2)300部を添加し、ホモミキサーにより2000rpmの回転速度で3分間撹拌した後、撹拌を続けながらイオン交換水150部を5分間かけて滴下し、さらに2500rpmの回転速度で2分間撹拌を行った。
【0081】
次いで、得られたエマルジョンをフラスコに移し、撹拌しながら20%硫酸6部を添加し、3分間撹拌を行った後撹拌を停止し、50℃で40時間反応させた。しかる後撹拌を再開し、10%炭酸ナトリウム水溶液をpHが7になるまで滴下することにより反応を停止させ、100メッシュの金網に通し、シリコーンエラストマー微粒子の水分散液(5)を得た。この水分散液中の粒子の粒径を実施例1と同様に測定したところ、体積平均粒子径が48.5μmであった。
【0082】
次いで、得られた水分散液からろ紙を用いてシリコーンエラストマー微粒子を分離し、水洗後、105℃での乾燥処理を施すことにより、弾性のある白色のシリコーンエラストマー微粒子が得られた。得られた粒子を光学顕微鏡で観察したところ、球状であり、粒子同士の凝結も見られなかった。
【0083】
比較例1
ラウリル硫酸ナトリウム1.5部とポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.6部をイオン交換水90部に溶解させた。その中に粘度が30mPa・sのα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)221.1部とメチルトリメトキシシラン78.9部を添加し、ホモミキサーにより3500rpmの回転速度で3分間撹拌した後、撹拌を続けながらイオン交換水150部を5分間かけて滴下し、さらに4000rpmの回転速度で3分間撹拌を行った。
【0084】
次いで、得られたエマルジョンをフラスコに移し、撹拌しながら20%硫酸6部を添加した後、撹拌しながら20℃で反応させたところ、およそ10分間後にはオイルの一部が分離し、その後反応系全体がゲル化を起こし、シリコーンエラストマー微粒子は得られなかった。
【0085】
調製例1
<反応性オイル(3)の調製>
粘度が85mPa・sのα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)427部とメチルトリエトキシシラン42部を、還流撹拌装置付きの500mLフラスコに仕込み、撹拌混合した。これを撹拌しながら100℃まで昇温した後、触媒であるテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの30%水溶液を0.015部添加し、さらに撹拌を続けた。5時間撹拌を続けたところ、縮合反応により生成したエタノールが還流状態となり、フラスコ内の温度が94℃になった。
【0086】
その後、140℃まで昇温して2時間撹拌を続け、生成したエタノールを除去するとともに、触媒のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの分解を行った。次いで、140℃、2.6KPaの加熱減圧下で低沸化合物の除去を3時間行い、室温まで冷却して、粘度が470mPa・sの反応性オイル(3)を445部得た。
【0087】
<球状シリコーンエラストマー微粒子水分散液の調製>
ラウリル硫酸ナトリウム4.2部をイオン交換水90部に溶解させた。この中へ反応性オイル(3)300部を添加して5分間撹拌を行った。次いで、撹拌を継続しながらイオン交換水150部を5分間かけて滴下し、その後コロイドミルにより均一に乳化した。
【0088】
次いで、得られたエマルジョンをフラスコに移し、撹拌しながら20%硫酸6部を添加した後、撹拌しながら50℃で17時間反応させた。その後、撹拌を続けながら30℃まで冷却した後、トリエタノールアミンをpHが7になるまで滴下することにより反応を停止させた。こうして、シリコーンエラストマー微粒子の水分散液(6)(以下、水性分散液−(6)と示す。)を得た。この水性分散液−(6)中の粒子の粒径を実施例1と同様に測定したところ、体積平均粒子径が5.7μmであった。
【0089】
次いで、得られた水性分散液−(6)の一部を室温で乾燥したところ、弾性のある白色のシリコーンエラストマー微粒子が得られた。得られた粒子を光学顕微鏡で観察したところ、球状であり、粒子同士の凝結も見られなかった。
【0090】
調製例2
<反応性オイル(4)の調製>
粘度が30mPa・sのα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)314部とメチルトリエトキシシラン146部を、還流撹拌装置付きの500mLフラスコに仕込み、撹拌混合した。これを撹拌しながら100℃まで昇温した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの30%水溶液を0.015部添加し、さらに撹拌を続けた。4時間撹拌を続けたところ、縮合反応により生成したエタノールが還流状態となり、フラスコ内の温度が87℃になった。
【0091】
次いで、140℃まで昇温して2時間撹拌を続け、生成したエタノールを除去するとともに、触媒のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの分解を行った。しかる後、140℃、2.6KPaの加熱減圧条件下で低沸化合物の除去を3時間行った後、室温まで冷却して、粘度104mPa・sの反応性オイル(4)を348部得た。
【0092】
<球状シリコーンエラストマー微粒子水分散液の調製>
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム1.2部をイオン交換水90部に溶解させた。この中に反応性オイル(4)300部を添加し、5分間撹拌した後、撹拌を継続しながらイオン交換水150部を5分間かけて滴下し、コロイドミルにより均一に乳化した。
【0093】
次いで、得られたエマルジョンをフラスコに移し、撹拌しながら20%硫酸6部を添加した後、撹拌しながら50℃で20時間反応させた。その後、撹拌を続けながら、10%炭酸ナトリウム水溶液と30%ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を1:1の重量比で混合した溶液を、pHが7になるまで滴下することにより反応を停止させ、シリコーンエラストマー微粒子の水分散液(7)(以下、水性分散液−(7)と示す。)を得た。この水性分散液−(7)中の粒子の粒径を実施例1と同様に測定したところ、体積平均粒子径が7.4μmであった。
【0094】
次いで、得られた水性分散液−(7)の一部を室温で乾燥したところ、弾性のある白色のシリコーンエラストマー微粒子が得られた。得られた粒子を光学顕微鏡で観察したところ、球状であり、粒子同士の凝結も見られなかった。
【0095】
実施例6
<ヘアシャンプー>
下記の配合組成にしたがって、ヘアシャンプーを処方した。なお、成分(9)のポリエーテル変性シリコーンとしては、以下の化学式(化6)で示されるものを使用した。
【化6】

【0096】
(1)ポリオキシエチレン(3)
ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン 8部
(2)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 5部
(3)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 2部
(4)ジステアリン酸エチレングリコール 2部
(5)ポリジメチルシロキサン(粘度1000Pa・s)
水性乳濁液(50%) 4部
(6)グリセリン 3部
(7)ポリクオタニウム−10 0.5部
(8)水性分散液−(6) 3部
(9)ポリエーテル変性シリコーン 2部
(10)パラベン 0.2部
(11)香料 0.2部
(12)精製水 70.1部
【0097】
成分(7)、成分(10)および成分(12)を70℃で加温溶解したものに、成分(1)〜(4)、成分(6)および成分(9)を撹拌しながら加えた。これを50℃以下まで冷却した後、成分(5)、成分(8)および成分(11)を加え、ヘアシャンプーを得た。
【0098】
実施例7
<ヘアコンディショナー>
下記の配合組成にしたがって、ヘアコンディショナーを処方した。成分(6)のポリエーテル変性シリコーンとしては、実施例6で使用したものと同じものを使用した。
【0099】
(1)流動パラフィン 1部
(2)ステアリルアルコール 1.5部
(3)ベヘニルアルコール 1部
(4)塩化ステアリルアンモニウムクロリド 0.7部
(5)プロピレングリコール 3部
(6)ポリエーテル変性シリコーン 1部
(7)ポリジメチルシロキサン(粘度1000Pa・s)
水性乳濁液(50%) 5部
(8)水性分散液−(6) 2部
(9)パラベン 0.2部
(10)香料 0.2部
(11)精製水 84.4部
【0100】
成分(9)と成分(11)を70℃で混合したものに、予め70℃で加温溶解した成分(1)〜(6)を撹拌しながら加えた。これを50℃以下まで冷却した後、成分(7)、成分(8)および成分(10)を加え、ヘアコンディショナーを得た。
【0101】
実施例8
<リキッドファンデーション>
下記の配合組成にしたがって、リキッドファンデーションを処方した。なお、成分(6)のポリエーテル変性シリコーンとしては、以下の化学式(化7)で示されるものを使用した。
【化7】

【0102】
(1)オクタン酸トリグリセル 10部
(2)イソオクタン酸ネオペンチルグリコールジエステル 7部
(3)デキストリン脂肪酸エステル 1.5部
(4)12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0.5部
(5)ホホバ油 5部
(6)ポリエーテル変性シリコーン 1部
(7)酸化チタン 8部
(8)酸化鉄 4部
(9)マイカ 3部
(10)タルク 3部
(11)水性分散液−(7) 4部
(12)1,3−ブチレングリコール 7部
(13)パラベン 0.2部
(14)香料 0.1部
(15)精製水 45.7部
【0103】
成分(1)〜(6)を加熱溶解した後、これに成分(7)〜(10)を加えて均一に分散させた。次いで、成分(11),(12),(13)および成分(15)を加温溶解したものを加えて撹拌乳化し、その後冷却した後、成分(14)を加え、リキッドファンデーションを得た。
【0104】
実施例9
<乳液>
下記の配合組成にしたがって、乳液を処方した。なお、成分(5)のポリエーテル変性シリコーンとしては、実施例8で使用したものと同じものを使用した。
(1)ステアリン酸 1部
(2)自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 0.5部
(3)ポリオキシエチレン(10)セチルアルコール 0.5部
(4)流動パラフィン 6部
(5)ポリエーテル変性シリコーン 0.5部
(6)コレステロール 0.5部
(7)水性分散液−(7) 1.5部
(8)セチル硫酸ナトリウム 0.5部
(9)グリセリン 2部
(10)カルボキシビニルポリマー 0.2部
(11)水酸化カリウム 0.1部
(12)パラベン 0.2部
(13)香料 0.1部
(14)精製水 86.4部
【0105】
成分(8)〜(12)および成分(14)を約80℃に加熱して溶解した。これをホモミキサーで撹拌しながら、予め80℃で均一に混合溶解した成分(1)〜(6)を加えて乳化し、その後50℃以下に冷却した後、成分(7)および成分(13)を加え、乳液を得た。
【0106】
実施例10
<乳液状サンスクリーン>
下記の配合組成にしたがって、乳液状サンスクリーンを処方した。なお、成分(4)のポリエーテル変性シリコーンとしては、実施例8で使用したものと同じものを使用した。
(1)オクタメチルシクロテトラシロキサン 30部
(2)酸化亜鉛 10部
(3)酸化チタン 5部
(4)ポリエーテル変性シリコーン 2部
(5)トリメチルシロキシケイ酸 1部
(6)ポリジメチルシロキサン(粘度10cSt) 1部
(7)ヒアルロン酸 1部
(8)ポリエチレングリコール 4部
(9)水性分散液−(7) 0.7部
(10)パラベン 0.2部
(11)香料 0.1部
(12)精製水 45部
【0107】
成分(1)〜(6)の混合物をディスパーにより分散させた。また、成分(7)、(8)、(10)および成分(12)を加熱撹拌して溶解させた。次いで、これをよく撹拌しながら、この中に成分(1)〜(6)の混合物を添加し、冷却後に成分(9)および成分(11)を加え、乳液状サンスクリーンを得た。
【0108】
比較例2
以下の化学式(化8)で示される粘度600mPa・sのメチルビニルポリシロキサン250部と、化学式(化9)で示される粘度30mPa・sのメチルハイドロジェンポリシロキサン10部を、ホモミキサーを用いて1000rpmで撹拌混合した後、ポリオキシエチレン(9)オクチルフェニルエーテル2.5部と水75部を加え、5500rpmで撹拌を継続して乳化を行った。次いで、1500rpmで撹拌を行いながら、水165部を加えた。
【0109】
次に、得られたエマルジョンをフラスコへ移し、撹拌しながら塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.3%)0.5部とポリオキシエチレン(9)オクチルフェニルエーテル0.5部の混合物を添加し、撹拌しながら室温で20時間反応を行い、シリコーンエラストマー微粒子の水分散液(8)(以下、水性分散液−(8)と示す。)を得た。この水性分散液−(8)中の粒子の粒径を実施例1と同様に測定したところ、体積平均粒子径が4.5μmであった。また、得られた水性分散液−(8)の一部を室温で乾燥したところ、弾性のある白色のシリコーンエラストマー微粒子が得られた。得られた粒子を光学顕微鏡で観察したところ、球状であった。
【0110】
次いで、比較例2として、水性分散液−(6)の代わりに水性分散液−(8)を使用する以外は実施例6と同じ配合組成で調製を行い、ヘアシャンプーを得た。
【化8】

【化9】

【0111】
比較例3
水性分散液−(7)の代わりに水性分散液−(8)を使用する以外は実施例8と同じ配合組成で調製を行い、リキッドファンデーションを得た。
【0112】
比較例4
水性分散液−(7)の代わりに水性分散液−(8)を使用する以外は実施例10と同じ配合組成で調製を行い、乳液状サンスクリーンを得た。
【0113】
次に、実施例6〜10および比較例2〜4で得られた化粧料について、それぞれ経時的な臭気の発生の有無を評価した。結果を表1に示す。
【0114】
なお、化粧料の臭気評価は次のようにして行った。すなわち、各化粧料50gを100mlの蓋付きガラス容器に入れ、密封した状態で、50℃で1ヶ月間、および50℃で3ヶ月間それぞれ保管した。保管後蓋を開けた直後の化粧料の臭気を、調製直後の化粧料の臭気と比較した。10人のパネラーにより臭気の差を判定してもらい、経時的に臭気が発生していると判断したパネラーが7人以上の場合を×、4〜6人の場合を△、3人以下の場合を○として評価を行った。
【0115】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明の球状シリコーンエラストマー微粒子あるいはその微粒子の水分散液は、白金やスズのような硬化触媒に由来する金属元素を実質的に含有していないので、低価格で環境に対する負荷が小さいうえに、化学的特性が良好で弾性、非粘着性、撥水性、耐摩耗性、滑り性などの物理的特性に優れている。したがって、例えば自動車用ウェザーストリップ、プリンターブレード、防振ゴム、建材用ガスケットなどのゴム部品の表面処理剤、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂などの耐衝撃吸収剤、液晶パネルなどのスペース保持剤、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂などの光拡散剤、ファンデーション、サンスクリーン、口紅、シャンプー、リンス、洗顔剤のような化粧料の滑り性付与剤、塗料、インキ、コーティング剤などの滑り性付与剤、紙、プラスチックシートなどの滑り性付与、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのブロッキング防止剤、ワックス、洗浄剤などの研磨剤、塗料の艶消し剤として、好適に使用することができる。
【0117】
また、本発明の化粧料は、ポリエーテル化合物および水とともに含まれる球状シリコーンエラストマー微粒子が、白金系などの硬化触媒に由来する金属元素を実質的に含有していないので、経時的な臭気の発生が抑制されている。したがって、香水、シャンプー、リンス、ヘアリキッド、ヘアトリートメント、キューティクルコート剤、セット剤、洗顔料、クレンジング剤、パック、化粧水、クリーム、乳液、化粧油、油性ファンデーション、乳化ファンデーション、水使用ファンデーション、両用ファンデーション、リップクリーム、アイクリーム、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、頬紅、口紅、爪クリーム、爪エナメル、制汗剤、日焼け(止め)ローション、日焼け(止め)クリーム、日焼け(止め)オイル、髭剃り用ローション、髭剃り用クリーム、浴用化粧料などの化粧料として好適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンエラストマーを主成分とする平均粒子径が0.1〜500μmの球状微粒子であり、硬化触媒に由来する金属元素を実質的に含まないことを特徴とする球状シリコーンエラストマー微粒子。
【請求項2】
(a)1分子中に少なくとも2個のシラノール基を有するポリオルガノシロキサンと、(b)一般式:RSi(OR
(式中、Rは置換または非置換のアルキル基、アルケニル基およびアリールから選ばれる1価の炭化水素基を示し、Rは同一または異なる置換もしくは非置換のアルキル基を示す。)で表されるオルガノトリアルコキシシランとを、金属系の触媒を使用することなく縮合反応させて、液状の架橋性ポリオルガノシロキサンを得る工程と、
前記工程で得られた架橋性ポリオルガノシロキサンを、(c)界面活性剤の存在下に水中に乳化し、かつ金属系の触媒を使用することなく縮合反応させて架橋する工程を備えることを特徴とする球状シリコーンエラストマー微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記(c)界面活性剤が、塩型のアニオン性界面活性剤と酸との反応により反応系内で生成されるものであることを特徴とする請求項2記載の球状シリコーンエラストマー微粒子の製造方法。
【請求項4】
(A)硬化触媒に由来する金属元素を実質的に含まない球状シリコーンエラストマー微粒子と、(B)ポリエーテル化合物、および(C)水を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項5】
前記(B)ポリエーテル化合物がポリエーテル変性シリコーンであることを特徴とする、請求項4記載の化粧料。

【公開番号】特開2006−104456(P2006−104456A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258825(P2005−258825)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000221111)ジーイー東芝シリコーン株式会社 (257)
【Fターム(参考)】