説明

球状ボールの形状を呈するマクロ細孔質触媒の存在下でのプロピレン生成方法

【課題】球状ボールの形状を呈するマクロ細孔質触媒の存在下での新規プロピレン生成方法を提供する。
【解決手段】プロピレン生成のために、4個の炭素原子を有するオレフィンと、5個の炭素原子を有するオレフィンを含む炭化水素供給原料の直接転換方法である。該方法は直径1〜3mmの球状ボールの形状を呈する少なくとも1種の触媒を備えた少なくとも1つの反応装置内での前記供給原料の通過を含み、前記球状ボールの各々が、少なくとも1種のゼオライトと、アルミナを主成分とする少なくとも1種の担体を含み、かつ水銀圧入測孔法によって測定されるマクロ細孔容積が、0.10〜0.20ml/gであり、かつ水銀圧入測孔法によって測定されるメソ細孔容積が、0.25〜0.35ml/gであるような細孔分布を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも、4個の炭素原子を有するオレフィンと、少なくとも、5個の炭素原子を有するオレフィンを含む炭化水素供給原料からのプロピレン生成の分野に関係する。前記炭化水素供給原料は、好適には水蒸気分解装置から生じたオレフィンC4/C5留分か、流動接触分解(FCC)装置から生じたオレフィンC4留分及びガソリンか、更には水蒸気分解及び流動接触分解から生じた前記留分の混合物に由来する。本発明によるプロピレン生成方法は、各球状ボールの多孔性の中にマクロ細孔領域を作るように、造孔剤(porogene)の存在下で調製された球状ボールの形状の少なくとも1種の触媒を利用する。
【背景技術】
【0002】
多数の特許及び出版物が、すでにプロピレン生成に興味を抱いた。
【0003】
特に、特許文献1に開示された方法は、軽質オレフィンから行われ、かつZSM−5ゼオライトを含む触媒を使用する一段階でのプロピレン生成方法である。この方法は、投資の見地から見て費用がかかり、かつ比較的難しい方法を行う必要がある流動床技術を使用する。該方法は、摩滅による触媒の著しい損失にも至らせる。MFI構造型のゼオライト、特にZSM−5ゼオライトは、プロピレン生成方法を実施するために、触媒中で頻繁に使用された(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5)。それらは、ジエン及び芳香族生成の原因となる水素移行反応を制限するために一般的に高いSi/Al比(180〜1000)を有する。
【0004】
一般的に、以上に記載されたこれらのプロピレン生成方法全体が、満足のゆくプロピレン収率に至らせるとしても、副産物、特にガソリンと、イソブテンを含むオレフィンに富むC4化合物の生成は、一般的に所望の生成物、すなわちプロピレンに対する選択性を犠牲にし、無視できない。
【0005】
本発明は、プロピレンに対する反応の選択性を促進し、かつこのようにしてプロピレン/イソブテン比を増加させて市場の傾向を満たすために、前記望ましくない副産物の生成を制限して、プロピレン生成方法を実施することを意図する。本発明によるプロピレン生成方法は、以前の方法に対してエネルギー消費の点で安価であるという利点を同様に有する:実際、驚くべきことに、同一のプロピレン生成(同一のプロピレン収率)に達するために、本発明による方法は、反応装置が移動床で機能する際に、以前の方法によって必要とされたよりも遙かに少ない再生利用されたC4/C5のオレフィン量を必要とすることが発見された。
【特許文献1】国際公開第01/04237号パンフレット
【特許文献2】国際公開第99/29805号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第0921181号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0921179号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1195424号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プロピレン生成のために、少なくとも、4個の炭素原子を有するオレフィンと、少なくとも、5個の炭素原子を有するオレフィンを含む炭化水素供給原料の直接転換方法であって、直径1〜3mmの球状ボールの形状を呈する少なくとも1種の触媒を備えた少なくとも1つの反応装置内での前記供給原料の通過を含み、前記球状ボールの各々が、少なくとも1種のゼオライトと、アルミナを主成分とする少なくとも1種の担体を含み、かつ水銀圧入測孔法によって測定されるマクロ細孔容積が、0.10〜0.20ml/gであり、かつ水銀圧入測孔法によって測定されるメソ細孔容積が、0.25〜0.35ml/gであるような細孔分布を有する方法を対象とする。
【0007】
本発明による方法は、少なくとも、分子当たり4個の炭素原子を有するオレフィンと、少なくとも、分子当たり5個の炭素原子を有するオレフィンを含む炭化水素供給原料の転換からのプロピレン生成を対象とする。本発明による方法は、反応温度を一定に維持するか、又は温度が前記所望の反応温度に対して±20℃より大きく外れないか監視するように、幾つかの反応器を含むことができる少なくとも1つの反応装置中で、プロピレンを生成するための前記供給原料の変換が単一段階で行われるので、前記供給原料のいわゆる直接転換方法である。
【0008】
本発明によれば、プロピレンを生成するために反応装置内で処理される前記供給原料は、好適には、水蒸気分解装置から生じたオレフィンC4/C5留分か、流動接触分解(FCC)装置から生じたオレフィンC4留分及びガソリンか、更には水蒸気分解及び流動接触分解から生じた前記留分の混合物に由来する。水蒸気分解は、種々の炭化水素留分、多くの場合、沸点100℃〜350℃のいわゆるナフサ留分の水蒸気クラッキングに対応し、かつ多くはオレフィン、本質的にエチレン及びプロピレンを生成するが、より高い炭素原子数を有するオレフィンも生成する。水蒸気分解装置から生じたオレフィンC4/C5留分は、供給原料及び操作条件に応じて、10重量%まで至り得る収率で一般的に生成され、かつ直ちに価値向上が可能でない。該留分は、本発明による方法においてプロピレンに転換されるための選択供給原料となる。
【0009】
水蒸気分解装置から生じ、かつ好適には本発明の方法において使用されるオレフィンC4留分に関して、前記留分は好適には、水蒸気分解装置から生じた粗製C4留分、及び/又は水蒸気分解装置から生じた粗製C4留分の処理後に得られるオレフィンC4留分であっても良く、前記処理は、溶剤中の吸収によって、前記粗製C4留分中に存在するジオレフィン化合物、特にブタジエンを抽出することからなる。ジオレフィン化合物、特にブタジエンのこのタイプの抽出方法は、例えば「プロセデ・ドゥ・ペトロシミ(Procedes de petrochimie)」という題名の著作の第1巻、第3章、224頁、1985年、エディシオン・テクニップ(edition Technip)、(アー・ショベル(A.Chauvel)−ジェ・ルフェーブル(G.Lefebvre)−エル・カステクス(L.Castex))に記載されている。少なくとも前記触媒を備え、かつプロピレンへの変換を行う少なくとも前記反応装置内に導入される前に、水蒸気分解装置から生じた前記オレフィンC4留分は、好適には残留ジエン及びアセチレンタイプの多価不飽和化合物の少なくとも1つの選択水素化装置内に導入される。前記選択水素化装置内の、水蒸気分解装置から生じた前記オレフィンC4留分の通過により、モノオレフィンへのジオレフィンの転換が可能になるだけでなく、モノオレフィンへ転換されるアセチレン化合物の除去も可能になる。水蒸気分解装置から生じたオレフィンC4留分が、上記に示したように溶剤中の吸収によって、前記粗製C4留分中に存在するジオレフィン化合物、特にブタジエンを抽出することからなる処理を予め受け、かつ前記抽出装置から生じた流出液が、10000ppm未満のジオレフィン化合物含有量を有する時、前記選択水素化ステップは、任意である。処理すべき、水蒸気分解装置から生じたオレフィンC4留分中のジオレフィン化合物含有量が大きい時、すなわち一般的に1.5質量%を超える時、幾つかの連続した、例えば2つの反応器を使用して、前記選択水素化ステップを実行し、転換されないジオレフィンを含む流出液は、反応の全体的加熱の点検も同様に可能にするために、好適には少なくとも部分的に、選択水素化装置の入口で再生利用される。選択水素化装置は、反応理論量より5〜30モル%高く、好ましくは理論量より10〜20モル%高く変動する量に応じて、前記装置内に導入される水素の存在下で操作され、H/(ジオレイン+アセチレン)モル比は、このようにして1.05〜1.30、好ましくは1.1〜1.2である。
【0010】
選択水素化ステップを実施するために使用される触媒は、アルミナのような耐熱性酸化物を主成分とする少なくとも1種の担体上に堆積した第VIII族の少なくとも1種の金属、好ましくはニッケル又はパラジウムから一般的に形成される。第VIII族の前記金属がパラジウムである時、この金属の含有量は、好適には、触媒の0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜0.6重量%である。第VIII族の前記金属がニッケルである時、この金属の含有量は、好適には、触媒の5〜25重量%、好ましくは7〜20重量%である。前記触媒は、選択水素化触媒の表面で重合反応を制限することを可能にする比表面積SBETを有し、前記比表面積は、5〜140m/gである。
【0011】
選択水素化反応は、主たる反応を行う、すなわち全転換の少なくとも60%を行う(転換する流出液が1.5重量%を超えるジオレフィンを含む時に当てはまる)第1反応器に関して一般的に下降流の、かつ反応の仕上げ段階を行う第2反応器に関して一般的に上昇並流の、1つ以上の固定床反応器内で好ましくは行われる。選択水素化装置中の操作条件は、前記装置から生じた流出液が、液体状態に留まるために選択される:前記装置中の温度は、20℃〜150℃であり、全圧は、0.5バール〜4MPaである。vvh(装入される触媒の容積に対する新しい液体供給原料の15℃での毎時容積流量の比)は、4〜10h−1である。選択水素化ステップから出る流出液の(ジオレフィン及び/又はアセチレンの)多価不飽和化合物含有量は、10ppm〜4000ppmであり、かつ好ましくは50ppm〜1000ppmである。
【0012】
水蒸気分解装置から生じ、かつ好適には本発明の方法において使用されるオレフィンガソリン留分は、多くは芳香族化合物(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン)、シクロジオレフィン及びジオレフィン(主にイソプレン)、アルケニル芳香族(スチレンのような不飽和アルキル基を有する芳香族化合物)、パラフィン及びオレフィン、前記留分の40〜60重量%となる芳香族化合物、前記留分の20〜30重量%となるシクロジオレフィン及びジオレフィン(主にイソプレン)を含む。C5炭化水素化合物は、前記ガソリン留分の10〜40重量%、好ましくは前記ガソリン留分の20〜25重量%となる。前記最初のオレフィンガソリン留分中の存在する多価不飽和化合物(ジエン及びアセチレン化合物)は、少なくとも1つの選択水素化装置内での前記留分の通過によって、少なくとも部分的に好ましくは除去され、該選択水素化装置は、アルミナのような耐熱性酸化物を主成分とする少なくとも1種の担体上に堆積した第VIII族の少なくとも1種の金属、好ましくはニッケル又はパラジウムから一般的に形成された少なくとも1種の触媒を備える。第VIII族の前記金属がパラジウムである時、この金属の含有量は、好適には、触媒の0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜0.6重量%である。第VIII族の前記金属がニッケルである時、この金属の含有量は、好適には、5〜25重量%、好ましくは7〜20重量%である。前記触媒は、選択水素化触媒の表面で重合反応を制限することを可能にする比表面積SBETを有し、前記比表面積は、5〜140m/gである。
【0013】
選択水素化装置は、15℃で液体の供給原料1m当たりガス100〜500標準mで変動する量に応じて、前記装置に導入される水素の存在下で操作される。使用される水素量は、水蒸気分解装置から生じた前記オレフィンガソリン留分中に存在する、僅かに反応する化学種、例えばスチレン化合物の転換を促進するために、過剰である。
【0014】
選択水素化反応は、主たる反応を行う、すなわち全転換の少なくとも60%を行う(転換する流出液が1.5重量%を超えるジオレフィンを含む時に当てはまる)第1反応器に関して一般的に下降流の、1つ以上の固定床反応器内で好ましくは行われる。選択水素化装置中の操作条件は、前記装置から生じた流出液が、液体状態に留まるために選択される:前記装置中の温度は、20℃〜200℃であり、全圧は、0.5〜4MPaであり、かつ水素圧力は、2MPa未満である。vvh(装入される触媒の容積に対する新しい液体供給原料の15℃での毎時容積流量の比)は、0.3〜6h−1である。前記選択水素化装置から出る流出液は、少なくとも60重量%のC5モノオレフィン(ペンテン及びイソペンテン)を含む5個の炭素原子を有する化合物から本質的に(最初のガソリン留分の10〜40%)形成される軽質留分を回収することを可能にする少なくとも1つの分離カラムに好適には導入され、前記軽質留分は、C5パラフィンと、C6及びC4炭化水素を同様に含み得る。多くは芳香族化合物(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン)、オレフィン化合物(C6オレフィン)、及びシクロオレフィン化合物(ジヒドロ−ジシクロペンタジエン及びアルキル誘導体)から形成される重質留分は、分離カラムの最終留分で抽出される。前記軽質留分は、本発明による方法を実施するために使用されるものである。
【0015】
FCCは、一般的に真空留出物の、場合により脱アスファルト油、又は大気残渣の、約350℃を超える沸点の石油留分の流動床接触分解を指し示す。FCCから生じたガソリンは、一般的に20℃〜250℃の沸点の留分に相当する。このガソリンは、オレフィンタイプの不飽和化合物、モノオレフィン、及びジオレフィンに比較的富み(20〜50重量%)、かつ数重量%に達し得る値まで硫黄を含む。質量の3分の1が、20〜60℃で沸騰する留分から構成される、FCCから生じた前記ガソリン留分は、SHUと表される少なくとも1つの選択水素化装置内で処理される。軽質化合物の分離、又はトッピングは、20〜60℃で沸騰し、かつ多くが、すなわち少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも30重量%が、5個の炭素原子を有する炭化水素化合物を含む留分を抽出するために、SHUステップに続いて行われる。この軽質留分は、モノオレフィン(ペンテン及びイソペンテン)に富み、かつ本発明による方法を実施するための選択供給原料となる。選択水素化ステップ(SHU)を実施するために使用される触媒は、アルミナのような耐熱性酸化物を主成分とする少なくとも1種の担体上に堆積した第VIII族の少なくとも1種の金属、好ましくはニッケル又はパラジウムから一般的に形成される。第VIII族の前記金属がパラジウムである時、この金属の含有量は、好適には、触媒の0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜0.6重量%である。第VIII族の前記金属がニッケルである時、この金属の含有量は、好適には、5〜25重量%、好ましくは7〜20重量%であり、かつ触媒は、表面のニッケル原子を不動態化するために、硫化される。前記選択水素化触媒は、選択水素化触媒の表面で重合反応を制限することを可能にする比表面積SBETを有し、前記比表面積は、5〜140m/gである。水素は、反応理論量より5〜30モル%高く、好ましくは理論量より10〜20モル%高く変動する量に応じて、選択水素化装置内に導入される。選択水素化装置中の操作条件は、前記装置から生じた流出液が、液体状態に留まるために選択される:前記装置中の温度は、120℃〜200℃であり、全圧は、0.5〜4MPaである。vvh(装入される触媒の容積に対する新しい液体供給原料の15℃での毎時容積流量の比)は、4〜10h−1である。
【0016】
FCCから生じたC4留分は、多くが、すなわち少なくとも80重量%が、FCCによって生成された、4個の炭素原子を有する分子から構成される炭化水素留分に相当する。この留分は、FCCによって処理された最初の供給原料の一般的に4〜10重量%となる。該留分は、少なくとも30重量%のオレフィン、好ましくは少なくとも60重量%を含み、モノオレフィンの割合は、ジオレフィンに対して多数である。モノオレフィンは、一般的に全オレフィン留分の少なくとも98%となる。FCCから生じた前記C4留分は、一般的に、特にメルカプタンの形状の、5〜50ppmとなる量で存在する硫黄、並びに/又は一般的に5〜30ppmとなる量で存在するアンモニア及び/若しくはアセトニトリル形状の窒素のヘテロ元素を同様に含む。特にメルカプタン形状の硫黄化合物は、それらが、前記硫黄化合物を含む前記留分とソーダを接触することからなる少なくとも1つの接触装置、少なくとも1つの水洗装置、及び前記接触装置の下流に位置する少なくとも1つのコアレッサ内での前記留分の処理によって内部に存在するFFCから生じた前記留分から少なくとも部分的に抽出される。接触装置は、例えば抽出Merox(商標)又はsulfrex(商標)を備える;10モル%に近い濃度を有するソーダ水溶液を含む吸着カラムのことである。このステップは、反応体が液体のままでいるために十分な圧力下で、かつ40〜100℃の温度で行われる。接触ステップから生じた流出液は、好ましくは3ppmより多くの硫黄を含まない。流出液は、好適には、プロピレンへの変換を行う反応領域に導入される供給原料を少なくとも部分的に構成する。接触装置の下流に置かれた水洗装置は、FCCから生じたC4留分中に存在する窒化化学種の少なくとも80重量%の除去を行う。接触ステップは、FCCから生じたC4留分の硫黄含有量が、少なくとも5ppmに等しい時、特に好適である。
【0017】
硫黄化合物の濃度を低くした流出液は、次に好適には、少なくとも選択水素化装置に導入される。水素は、反応理論量より5〜30モル%高く、好ましくは理論量より10〜20モル%高く変動する量に応じて、選択水素化装置内に導入され、H/ジオレフィンのモル比は、このようにして1.05〜1.3、好ましくは1.1〜1.2である。
【0018】
選択水素化ステップを実施するために使用される触媒は、アルミナのような耐熱性酸化物を主成分とする少なくとも1種の担体上に堆積した第VIII族の少なくとも1種の金属、好ましくはニッケル又はパラジウムから一般的に形成される。第VIII族の前記金属がパラジウムである時、この金属の含有量は、好適には、触媒の0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜0.6重量%である。第VIII族の前記金属がニッケルである時、この金属の含有量は、好適には、5〜25重量%、好ましくは7〜20重量%である。前記触媒は、選択水素化触媒の表面で重合反応を制限することを可能にする比表面積SBETを有し、前記比表面積は、5〜140m/gである。
【0019】
選択水素化反応は、硫黄化合物の濃度を低くした、転換する流出液が、1.5重量%を超えるジオレフィンを含む時、第1反応器に関して一般的に下降流の、かつ硫黄化合物の濃度を低くした、転換する前記流出液が、1.5重量%未満のジオレフィンを含む時、第2反応器に関して一般的に上昇並流の、1つ以上の固定床反応器内で好ましくは行われる。選択水素化装置中の操作条件は、前記装置から生じた流出液が、液体状態に留まるために選択される:前記装置中の温度は、20℃〜150℃であり、全圧は、0.5〜4MPaである。vvh(装入される触媒の容積に対する新しい液体供給原料の15℃での毎時容積流量の比)は、4〜10h−1である。
【0020】
少なくとも、4個の炭素原子を有するオレフィンと、少なくとも、5個の炭素原子を有するオレフィンを含み、かつプロピレン生成のために利用される、前記反応装置に導入される炭化水素供給原料は、多くが4及び5個の炭素原子を有するモノオレフィン化合物、すなわち4及び5個の炭素原子を有するモノオレフィン化合物の20〜100重量%、好ましくは25〜60重量%からなる。前記炭化水素供給原料は、前記反応領域に入る前記炭化水素供給原料の好ましくは1重量%超にならない4及び/又は5個の炭素原子を有するジオレフィン化合物を同様に含み得る。分子当たり5個を超える炭素原子を有するオレフィン化合物も同様に存在し得る。少なくとも1種のヘテロ元素を有する化合物、特に硫黄化合物は、少量で存在し得る:該化合物は、前記反応領域に入る前記炭化水素供給原料の100ppmを超えない。
【0021】
かかる塑性を有する供給原料は、水蒸気分解装置から生じたC4留分と、C5留分の混合物によって、流動接触分解(FCC)装置から生じたC4留分と、ガソリン留分の混合物によって、水蒸気分解装置から生じたC4留分と、流動接触分解(FCC)装置から生じたガソリン留分の混合物によって、流動接触分解(FCC)装置から生じたC4留分と、水蒸気分解装置から生じたC5留分の混合物によって、又は水蒸気分解装置から生じたC4/C5留分と、流動接触分解(FCC)装置から生じたC4留分及びガソリンの混合物によって好適には得られ、水蒸気分解装置から生じた前記留分及び接触分解装置から生じたそれは、以上に記載され、かつ以上に記載された方法(選択水素化、接触方法)により予め処理された、留分の特性を示す。
【0022】
プロピレン生成のために前記炭化水素供給原料の転換を行い、かつ前記触媒を少なくとも備えた反応装置は、450〜580℃の温度、0.01〜0.5MPaの操作圧力、及び1〜20h−1のpph(供給原料の毎時質量流量/触媒質量)で利用される。前記触媒は、移動床か、固定床で、好ましくは移動床で機能する前記反応装置内で利用される。
【0023】
前記反応装置から生じた流出液は、探求されるプロピレンを含む少なくとも1種の第1留分、水素を包含する少なくとも1種の第2留分、分子当たり4、5及び/又は6個の炭素原子を有する非芳香族炭化水素化合物を包含する少なくとも1種の第3留分、並びに少なくとも6個の原子を有する芳香族化合物及び/又は分子当たり少なくとも7個の炭素原子、かつ一般的に分子当たり少なくとも9個の炭素原子を有する重質炭化水素化合物を包含する少なくとも1種の第4留分を別個に収集するように分留される。
【0024】
プロピレンを含む前記第1留分は、一般的に5〜7重量%のプロパンを同様に包含する。プロピレン分離装置は、好適には、プロピレン含有量が増加した炭化水素留分を得るように、前記第1留分の収集領域の下流に置かれる。前記第2留分は、前記第2留分の少なくとも7重量%となる割合で存在する水素からなり、第2留分は、好適には、石油化学中間体として価値を高めるために、前記第2留分から単離できる少なくとも60重量%のエチレンを同様に含む。前記第2留分は、形成されるプロピレン量を増加させるために前記反応装置の上流で好適には再生利用される。分子当たり4、5及び/又は6個の炭素原子を有する非芳香族炭化水素化合物を包含する前記第3留分は、前記反応装置が、移動床で機能する時、少なくとも部分的に、前記反応装置の上流で好適には再生利用される。前記第3留分は、反応しなかったオレフィン化合物を含む。前記第3留分は、反応領域入口での再生利用が、オレフィンの分圧低下によって、プロピレンに対する触媒の選択性を増大させることを可能にする、不活性パラフィンも含む。好ましくは、再生利用される前記第3留分の割合は、再生利用率と呼ばれる{前記反応領域入口の第3留分の質量流量/再生利用される留分との混合の前に前記反応装置に入る新しい炭化水素供給原料の質量流量}比が、0.5〜2、好ましくは0.5〜1.5であるようになっている。前記第3留分の少なくとも一部の再生利用により、前記反応装置内への非転換オレフィンと、転換反応中に形成され、かつプロピレンに転換することがふさわしい、望ましくない二次生成物の再導入が少なくとも部分的に、好ましくは全体的に可能になる。高い再生利用率は、高いエネルギー消費を引き起こし、かつそれ故に、高い、すなわち1.5を超え、好ましくは2を超える再生利用率が、一般的にほとんど活性でない触媒の結果であるだけに一層、方法の経済的可能性に有害である。
【0025】
本発明の方法の反応装置の各反応器内で用いられる触媒は、水銀圧入測孔法によって測定された2重の多孔性を有する球状ボールの形状を呈する:0.10〜0.20ml/gで変動する範囲に、かつ好ましくは0.12〜0.18ml/gで変動する範囲に含まれる水銀マクロ細孔容積を特徴とするマクロ細孔性、及び0.25〜0.35ml/gで変動する範囲に、好ましくは0.28〜0.35ml/gで変動する範囲に含まれる水銀メソ細孔容積を特徴とするメソ細孔性。マクロ細孔性は、50nmを超える、好ましくは100nmを超えるマクロ細孔領域の存在も同様に特徴とし、かつ/又は粒子内組織マクロ細孔性から生じ、メソ細孔性は、7〜50nmで変動する範囲に、かつ好ましくは8〜10nmで変動する範囲に含まれるメソ細孔領域の存在も特徴とする。20nm未満の孔径を有する前記ボールの細孔容積の割合は、60〜70%である。
【0026】
水銀圧入測孔法分析は、484ダイン/cmの表面張力及び140°の接触角(ジー・シャルパン(J.Charpin)及びベー・ラスヌール(B.Rasneur)によって著された著作「テクニック・ドゥ・ランジェニウール、トレテ・アナリズ・エ・キャラクテリザシオン(Technique de l’ingenieur,traite analyse et caracterisation)」、1050頁の勧めに従って選択された値)を使用し、かつ細孔が円筒形状と仮定され、4000バールの最大圧力でASTM規格D4284−83に応じた、前記触媒中のメソ細孔及びマクロ細孔の存在の特徴を示す水銀容積の注入に相当する。この技術により、メソ細孔の範囲内に含まれる、すなわち3.6〜50nmの直径を有する細孔の集合によって吸着された水銀容積として定義されるメソ細孔水銀容積の値に達することが可能になる。同様に、マクロ細孔水銀容積は、50nmを超える直径を有する細孔の集合によって吸着された水銀容積として定義される。
【0027】
本発明によれば、触媒を形成する前記球状ボールの各々の中に存在するゼオライトは、好ましくはMEL、MFI、NES、EUO、FER、CHA、MFS、MWW及びNES構造型ゼオライトから選択され、かつ非常に好ましくはMFI構造型ゼオライト、特にZSM−5ゼオライトである。前記ゼオライトは、好適にはNU−85、NU−86及びIM−5ゼオライトから同様に選択できる。好適には、触媒を形成する前記球状ボールの各々の中に存在する前記ゼオライトは、50〜500、かつ非常に好適には70〜140のSi/Al比を有する。前記ゼオライトは、触媒を形成する前記球状ボールの各々の中でアルミナを主成分とする担体中に分散される。触媒を形成する前記ボールの各々の中のゼオライトの割合は、15〜90重量%、好ましくは30〜80重量%、かつ非常に好ましくは35〜50重量%であり、残りは、アルミナを主成分とする担体からなる。
【0028】
本発明によれば、本発明の方法において用いられる前記触媒を構成する前記球状ボールは、1〜3mm、好ましくは1.8〜2.2mmの直径を有する。ボールの形態及び寸法分布は、走査電子顕微鏡検査(MEB)によって得られる写真の分析によって確立される。触媒は、290〜350m/gの比表面積SBETを有する。触媒は、EGGが、10Nに少なくとも等しく、かつ好ましくは20Nに少なくとも等しいように、ASTM方法D4179−88aにより、細粒間破砕によって測定された機械抵抗を有する。
【0029】
触媒は、a)少なくとも1種の造孔剤と、水と、界面活性剤から形成される少なくとも1種のエマルションの調製と、b)水と、酸と、アルミナ源と、少なくとも1種のゼオライトと、ステップa)で調製された前記エマルションから形成される懸濁液の調製と、c)i)小滴を形成するように較正された寸法のオリフィスを各々が有するノズルからなる排水ポット内にb)で形成された前記懸濁液を通過させることと、ii)有機相からなる上相と、塩基性水性相からなる下相を含むカラム内に前記小滴を、下降運動により通過させることからなり、球状ボールを得るように、有機相−水性相の界面が、界面活性剤からなる、滴状凝固による成形と、d)前記ボールの乾燥と、e)前記ボールの焼成を含む方法により調製される。
【0030】
ステップa)によるエマルション調製のために、最終触媒のボール中に細孔を形成するために使用される造孔剤は、石油留分、好ましくは10〜14個の炭素原子を有し、ノーマルパラフィン及びイソパラフィンから形成され、かつ220〜350℃の沸点を有するパラフィン系灯油留分である。好適には、組成が数種の芳香族成分を含む、市販用化合物、isane(登録商標)を造孔剤として使用する。エマルションを調製するために使用される界面活性剤は、非イオン性乳化剤である。該界面活性剤は、エマルションの安定性を確実にするように選択される。該界面活性剤が、燃焼によって除去できることと、室温で液体であることが重要である。一般的に、コントワール・フランセ・デ・プロデュイ・アンデュストリエル(Comptoir Francais des Produits Industriels)によって販売される市販の化合物、Galoryl(登録商標)を界面活性剤として選択する。水と、造孔剤と、界面活性剤の混合物は、好ましくは10〜15分の期間で、室温で作られる。
【0031】
ステップb)による懸濁液の調製は、第1段階において、水と、酸と、アルミナ源を混合し、次にこのように形成された混合物中に、少なくとも1種のゼオライトを導入し、かつ最後にステップa)で形成されたエマルションをそこに導入することからなる。水と、酸と、アルミナ源の混合物は、室温で作られる。水と、酸は、同時に混合され、次にアルミナ源が、導入される。懸濁液の調製に用いられる酸は、好適には強酸、好ましくは硝酸及び硫酸から選択される。非常に好適には、硝酸、かつ特には59.68重量%の硝酸を使用する。好ましくは、硝酸と、リン酸の混合物を使用する。懸濁液の調製に用いられるアルミナ源は、好ましくは水礬土石、バイヤライト、擬似ベーマイト、非晶質ゲル、ρ、χ、η、γ、κ、θ及びα相を含む群から選ばれる少なくとも1つの相を含むいわゆる遷移アルミナによって形成される群から選択される。非常に好ましくは、前記アルミナ源は、擬似ベーマイト、例えばサゾル(SASOL)社によって市販されたPURAL SB3(登録商標)である。懸濁液の調製は、室温で、水と、酸と、アルミナ源を含む混合物中に、少なくとも1種のゼオライトを粉末形状で導入して遂行される。懸濁液の調製に用いられるゼオライトは、一様に粗製合成形状、交換形状、又は焼成形状(水素形状)にあっても良い。懸濁液の調製は、{水、酸、アルミナ源、ゼオライト}混合物中へのステップa)で調製されたエマルションの導入によって終了する。前記懸濁液は、前記懸濁液の粘度が250〜400mPa.s.になるまで激しく撹拌される。激しい撹拌は、好ましくは1100〜1900回転/分、かつ非常に好ましくは1400〜1700回転/分で、約10分間、一般的には10〜15分間行われ、次に撹拌速度は、前記懸濁液の粘度が250〜400mPa.s.になるまで、好ましくは550〜700回転/分であるように減少される。このように、懸濁液は、滴状凝固により触媒を成形するステップc)で用いられる排水ポットのノズルを通って流されるために適した流動性を有する。前記懸濁液の粘度は、100s−1の剪断速度勾配に関して平面−平面レオメータ(rheometre plan−plan)によって測定される。測定される粘度は、相対粘度である。
【0032】
撹拌速度は、ウーロメランジュ(Euromelanges)社の攪拌器ER550によって得られるものである。モータは、220ボルトの単相直流で機能し、出力は、3000回転/分で0.55kWに等しい。
【0033】
本発明による転換方法において用いられる触媒の調製方法によれば、エマルション及び懸濁液中に存在する様々な反応体の量は以下のようになっている:
− エマルション中に投入される水及び懸濁液中に投入される水の質量に対する造孔剤の質量に等しい造孔剤の率は、1.5〜8質量%、好ましくは2〜7.5質量%である。エマルション及び懸濁液中に投入される化合物、特にアルミナ源及びゼオライト中に存在する水は、造孔剤率を計算するために介在しない。
【0034】
− エマルション中に存在し、かつ造孔剤質量に対する界面活性剤質量に等しいとして計算される界面活性剤の割合は、1〜10質量%、好ましくは4〜8質量%、かつ非常に好ましくは5〜7質量%であり、7は、5〜7の範囲から除外される。
【0035】
− (懸濁液中のエマルションの導入後)懸濁液中に存在する水の割合は、全水質量に対する(粉末質量に対応する、すなわち脱水アルミナ源及びゼオライト)乾燥質量比が、20〜30質量%、好ましくは24〜28質量%である。
【0036】
− エマルション中に投入される水の量が、懸濁液中に投入される全水量の9〜11重量%となる。
【0037】
− 懸濁液中に投入された酸の率は、前記酸の濃度(重量%)と、アルミナ源の乾燥質量にもたらされた前記酸の質量の積に等しく、10〜15質量%である。
【0038】
− 懸濁液中に存在し、かつアルミナ源及びゼオライトの乾燥質量に対するゼオライトの乾燥質量に関して等しいとして計算されるゼオライトの割合は、10〜55質量%、好ましくは30〜55質量%、かつ非常に好ましくは35〜50質量%である。
【0039】
− 好適には硝酸によって導入されるリン酸の割合は、PO5/乾燥アルミナ源の質量比が、1〜5質量%であるようになっている。
【0040】
アルミナ源の乾燥質量及びゼオライトのそれは、これらの粉末の各々の強熱減量(PAF)の測定によって入手できる。
【0041】
滴状凝固による成形は、第1ステップ中に、i)ノズルからなる排水ポット内にステップb)で調製された前記懸濁液を通過させることからなり、前記ノズルの各々が、小滴を形成するように較正された寸法のオリフィスを有する。前記排水ポットは、有機相からなる上相と、塩基性水性相からなる下相を含むカラム頂部に置かれ、有機相−水性相の界面が、界面活性剤からなる。前記ノズルは、各々が約2〜3mmの直径の小滴を形成するように較正された寸法のオリフィスを有する。得られた小滴の大きさは、一般的に1mmに近い、ノズルの内径(湿潤現象)だけでなく、前記ノズルの端部での円形断面形状によっても決まる。このように形成された小滴は、滴状凝固による成形のステップii)に従って、下降運動により、有機相からなる上相と、水性相からなる下相を含む前記カラムを横断し、約2〜3mmの直径を有する球状ボールを得るように、有機相−水性相の界面が、界面活性剤からなる。前記有機相は、水よりも僅かに低い容積質量を有するように選択される。好ましくは、有機相は、容積質量が、15℃で0.7〜0.9kg.m−3であるように選択される。前記有機相は、前記有機相と、前記塩基性水性相の間の表面張力が高く、一般的に60.10−3〜80.10−3N/mであるように選択される。好適には石油留分、好ましくはパラフィン系灯油留分、特にisane(登録商標)が、有機相として選択される。有機及び水性相を分離する界面活性剤は、好ましくはカチオン性TAである。好ましくは、セピック・エス・アー(SEPIC SA)社によって市販された水溶液の臭化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、アンモニル(ammonyl)BR1244(商標)を使用する。カラムの下部を構成する塩基性水性相は、好適には、25〜33g.l−1、好ましくは27〜29g.l−1のアンモニア濃度を有する塩基性溶液である。前記塩基性水溶液は、8〜10のpHを有する。
【0042】
滴状凝固による成形のために利用されるカラムは、そこに最初に前記有機相、好ましくはisane(登録商標)を、次に前記塩基性水溶液、好ましくは前記アンモニア溶液を、かつ最後に前記界面活性剤、好ましくはアンモニルBR1244を導入して調製される。前記界面活性剤は、前記塩基性水溶液中に直接導入されるか、連続注入によって前記カラムに導入されても良い。前記カラムの容積は、1容積%までの前記界面活性剤、4容積%までの空気、6〜10容積%の前記有機相から構成され、残りは、前記塩基性水性相によって占められる。
【0043】
カラム内の小滴の落下速度は、1〜3mm、好ましくは1.8〜2.2mmの直径を有する球状ボールを得るように、小滴がその球形状を保つようになっている。ファンデルワールスの力を受ける小滴は、前記水溶液を横断して、互いに凝集しながら硬質になる。その結果、前記カラムの出口でボールが形成される。次に前記ボールは、前記塩基性水性相のフラックスによって、好ましくはアンモニアフラックスによって導かれ、回収され、かつ篩上で前記水性相から分離される。回収されたアンモニア水溶液は、好適には、滴状凝固による成形のために利用される前記カラム内で再生利用される。
【0044】
本発明による転換方法において用いられる触媒の調製方法のステップd)に従って、前記ボールは、室温で換気されるハウジング内で乾燥され、次に60〜120℃の温度で乾燥炉で乾燥される。ハウジング内の乾燥及び乾燥は、各々が一般的に10〜20時間続く。
【0045】
次にボールは、本発明による転換方法において用いられる触媒の調製方法のステップe)に従って、500〜800℃、好ましくは550〜700℃の温度で焼成される。焼成は、一般的に数時間、好ましくは3〜5時間続く。
【0046】
本発明による方法を実施するために球状ボールの形状の前記触媒を備えた反応装置は、移動床か、固定床で機能する。該反応装置が、固定床か、移動床で機能する時、触媒は、定期的に再生され、かつ前記装置は、プロピレンを生成する反応と、反応中に表面に堆積したコークスを除去するように前記触媒の再生とを交互に行う。再生段階は、例えば、空気/窒素混合物、又は(特に煙の再循環によって)酸素濃度を低くした空気、又は単純に空気を用いて一般的に触媒上に形成された炭素堆積物を燃焼する段階を含み、前記燃焼段階は、一般的に400〜650℃の温度を使用し、圧力は、多くの場合反応装置内で使用される圧力に近い。前記燃焼段階の後に、500〜600℃の温度で、場合により窒素によって希釈された乾燥空気下の焼成が続く。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明は、以下に続く実施態様を読めばより良く理解されるが、実施態様は、例示的に示すので、本発明は、この唯一の実施態様に限定されない。
【0048】
水蒸気分解装置から生じ、かつ以上に特徴付けられたようなオレフィンC4留分は、水素が同様に線(6a)によって導入された、多価不飽和化合物の選択水素化装置(22)に向けて線(6)によって送られる。前記選択水素化装置は、装置(22)中でのモノオレフィン化合物への多価不飽和化合物の転換の結果生じた流出液(7)が、10ppm〜4000ppm、かつ好ましくは50ppm〜1000ppmの多価不飽和化合物含有量を有するような条件で操作される。
【0049】
水蒸気分解装置から生じ、かつ以上に特徴付けられたようなオレフィンガソリン留分は、水素が同様に線(8a)によって導入された、多価不飽和化合物の選択水素化装置(23)に向けて線(8)によって送られる。前記装置(23)から出る流出液(9)は、軽質留分(10)と、重質留分(11)の分離を行う蒸留装置(24)内に導入される。前記軽質留分は、本質的に、すなわち最初のガソリン留分の10〜40重量%が、少なくとも60重量%のC5モノオレフィン(ペンテン及びイソペンテン)を含む5個の炭素原子を有する化合物から形成される。重質留分(11)は、芳香族化合物(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン)、オレフィン化合物(C6オレフィン)、及びシクロオレフィン化合物(ジヒドロ−ジシクロペンタジエン及びアルキル誘導体)から形成される。
【0050】
FCCから生じ、かつ明細書において以上に特徴付けられたようなガソリン留分は、水素が同様に線(2a)によって導入された、多価不飽和化合物の選択水素化装置(20)に向けて線(2)によって送られる。前記装置(20)から出る流出液(3)は、多くが5個の炭素原子を有する炭化水素化合物、かつ特にはC5モノオレフィン、すなわちペンテン及びイソペンテンを含む軽質留分(4)を抽出することを可能にする分離装置(21)内に導入される。パラフィン、オレフィン及び芳香族(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン)化合物から形成された重質留分(5)は、装置(21)の最終留分で同様に抽出される。
【0051】
FCCから生じ、かつ明細書において以上に特徴付けられたようなC4留分は、水素が同様に線(12a)によって導入された、多価不飽和化合物の選択水素化装置(25)に向けて線(12)によって送られる。留分(12)は、好適には、前記選択水素化装置(25)内に導入される前にそれを構成する反応性硫黄種から除去できる。装置(25)から生じた流出液(13)は、C4オレフィン(2−ブテン、イソブテン、1−ブテン)と、C4パラフィン(イソブタン、ブタン)を含む。
【0052】
流出液(7)、(10)、(13)及び(4)は、プロピレンに転換する供給原料(14a)を形成するために、反応装置(30)の上流で混合される。前記供給原料は、少なくとも1種の触媒を備えた反応装置(30)内に導入され、前記装置は、移動床で機能する。前記装置(30)から出る流出液(15)は、別個の4つのフラックスが得られる分離装置(31)内に導入される。先頭のフラックス(16)は、水素に富み、かつエチレンを同様に含む。フラックス(17)は、探求されるプロピレンを包含する。前記装置(30)内で転換されなかったオレフィンから形成されるフラックス(18)、及び前記装置(30)内で形成された二次生成物は、線(18a)によって前記装置(30)の上流で部分的に再生利用され、他方で多くがC4及び/又はC5パラフィンを含むフラックス(18b)が、パージを構成する。前記装置(30)の上流で再生利用されるフラックス(18a)を統合する、完全な供給原料は、フラックス(14b)から構成される。
【0053】
以下に続く実施例は、本発明を例示する。
【0054】
実施例1
実施例1(発明):2.0質量%に等しい造孔剤率を有するC1触媒の調製
1リットルのビーカー内に、244gの水と、isaneからなる49gの造孔剤と、galorylからなる2.9gの界面活性剤を導入して、エマルションを調製する。混合物は、15分間、500回転/分の撹拌下に置かれる。
【0055】
4リットルのビーカー内に、2198gの置換水と、69gの59.68重量%硝酸を導入して懸濁液を調製し、混合物は、5分間、400回転/分で撹拌される。450gのPURAL SB3(強熱減量=26.10%)が、次に添加され、かつ{置換水、硝酸、及びPURAL SB3}混合物は、14分間、1600回転/分で撹拌される。ゼオリスト(Zeolyst)社によって市販された、Si/Al比が140に等しい、H字形の332gのZSM−5ゼオライトは、次に{置換水、硝酸、及びPURAL SB3}混合物に添加され、結果として生じた混合物は、3分間、1600回転/分で撹拌され、次に水と、isaneと、galorylから形成されたエマルションが、前記混合物に添加される。全体は、13分間、1600回転/分で撹拌され、次に撹拌速度は、70分間、625回転/分に減少される。前記混合物の粘度は、次に100s−1の剪断速度勾配に関して平面−平面レオメータによって測定され、かつ270mPa.s.に等しい。
【0056】
滴状凝固による成形のために、9.4リットルのガラス製カラムを使用する。前記カラムに、28g/lに等しい濃度を有する、7リットルのアンモニア溶液と、0.4リットルの1質量%アンモニル溶液と、0.7リットルのisaneを装入する。カラムは、ノズルからなる排水ポットを上に載せ、各ノズルは1mmに等しい直径を有する円形オリフィスを備える。懸濁液を前記排水ポットに導入し、排水流量は、80の小滴が、毎分かつノズル当たりで排水されるようになっている。次に小滴は、isane相、次に28g/lのアンモニア相に落ち、isane相−アンモニア相の界面は、アンモニルからなる。このようにして得られたボールは、緩やかな第1乾燥を実行するために、一晩中室温で換気されるハウジング内に置かれ、次に100℃で一晩中乾燥炉内に置かれる。乾燥されたボールは、600℃でマッフル炉内で2時間焼成される。このようにして、組織及び機械的特性を表1に示すC1触媒が得られる。該C1触媒は、細粒間破砕(EGG)が26Nに等しいような機械抵抗を有する。
【0057】
実施例2
実施例2(発明):4.0質量%に等しい造孔剤率を有するC2触媒の調製
1リットルのビーカー内に、247gの水と、isaneからなる99gの造孔剤と、galorylからなる5.9gの界面活性剤を導入して、エマルションを調製する。混合物は、15分間、500回転/分の撹拌下に置かれる。
【0058】
4リットルのビーカー内に、2219gの置換水と、73gの59.68重量%硝酸を導入して懸濁液を調製し、混合物は、5分間、400回転/分で撹拌される。450gのPURAL SB3(強熱減量=26.10%)が、次に添加され、かつ{置換水、硝酸、及びPURAL SB3}混合物は、14分間、1600回転/分で撹拌される。140に等しいSi/Al比を有し、かつゼオリスト(Zeolyst)社によって市販された、H字形の343gのZSM−5ゼオライトは、次に{置換水、硝酸、及びPURAL SB3}混合物に添加され、結果として生じた混合物は、3分間、1600回転/分で撹拌され、次に水と、isaneと、galorylから形成されたエマルションが、前記混合物に添加される。全体は、13分間、1600回転/分で撹拌され、次に撹拌速度は、70分間、625回転/分に減少される。前記混合物の粘度は、次に100s−1の剪断速度勾配に関して平面−平面レオメータによって測定され、かつ320mPa.s.に等しい。
【0059】
滴状凝固による成形のために、9.4リットルのガラス製カラムを使用する。前記カラムに、28g/lに等しい濃度を有する、7リットルのアンモニア溶液と、0.4リットルの1質量%アンモニル溶液と、0.7リットルのisaneを装入する。カラムは、ノズルからなる排水ポットを上に載せ、各ノズルは1mmに等しい直径を有する円形オリフィスを備える。懸濁液を前記排水ポットに導入し、排水流量は、80の小滴が、毎分かつノズル当たりで排水されるようになっている。次に小滴は、isane相、次に28g/lのアンモニア相に落ち、isane相−アンモニア相の界面は、アンモニルからなる。このようにして得られたボールは、緩やかな第1乾燥を実行するために、一晩中室温で換気されるハウジング内に置かれ、次に100℃で一晩中乾燥炉内に置かれる。乾燥されたボールは、600℃でマッフル炉内で2時間焼成される。このようにして、組織及び機械的特性を表1に示すC2触媒が得られる。該C2触媒は、細粒間破砕(EGG)が16Nに等しいような機械抵抗を有する。
【0060】
実施例3
実施例3:(発明):7.5質量%に等しい造孔剤率を有するC3触媒の調製
1リットルのビーカー内に、249gの水と、isaneからなる187gの造孔剤と、galorylからなる11.2gの界面活性剤を導入して、エマルションを調製する。混合物は、15分間、500回転/分の撹拌下に置かれる。
【0061】
4リットルのビーカー内に、2243gの置換水と、68gの59.68重量%硝酸を導入して懸濁液を調製し、混合物は、5分間、400回転/分で撹拌される。450gのPURAL SB3(強熱減量=26.10%)が、次に添加され、かつ{置換水、硝酸、及びPURAL SB3}混合物は、14分間、1600回転/分で撹拌される。Si/Al比が140に等しく、かつゼオリスト(Zeolyst)社によって市販された、H字形の339gのZSM−5ゼオライトは、次に{置換水、硝酸、及びPURAL SB3}混合物に添加され、結果として生じた混合物は、3分間、1600回転/分で撹拌され、次に水と、isaneと、galorylから形成されたエマルションが、前記混合物に添加される。全体は、13分間、1600回転/分で撹拌され、次に撹拌速度は、70分間、625回転/分に減少される。前記混合物の粘度は、次に100s−1の剪断速度勾配に関して平面−平面レオメータによって測定され、かつ270mPa.s.に等しい。
【0062】
滴状凝固による成形のために、9.4リットルのガラス製カラムを使用する。前記カラムに、28g/lに等しい濃度を有する、7リットルのアンモニア溶液と、0.4リットルの1質量%アンモニル溶液と、0.7リットルのisaneを装入する。カラムは、ノズルからなる排水ポットを上に載せ、各ノズルは1mmに等しい直径を有する円形オリフィスを備える。懸濁液を前記排水ポットに導入し、排水流量は、80の小滴が、毎分かつノズル当たりで排水されるようになっている。次に小滴は、isane相、次に28g/lのアンモニア相に落ち、isane相−アンモニア相の界面は、アンモニルからなる。このようにして得られたボールは、緩やかな第1乾燥を実行するために、一晩中室温で換気されるハウジング内に置かれ、次に100℃で一晩中乾燥炉内に置かれる。乾燥されたボールは、600℃でマッフル炉内で2時間焼成される。このようにして、組織及び機械的特性を表1に示すC3触媒が得られる。該C3触媒は、細粒間破砕(EGG)が26Nに等しいような機械抵抗を有する。
【0063】
実施例4
実施例4(比較):造孔剤の不存在下でのC0触媒の調製
4リットルのビーカー内に、2492gの置換水と、68gの59.76重量%硝酸を導入して懸濁液を調製し、混合物は、5分間、400回転/分で撹拌される。450gのPURAL SB3(強熱減量=26.10%)が、次に添加され、かつ{置換水、硝酸、及びPURAL SB3}混合物は、14分間、1600回転/分で撹拌される。Si/Al比が140に等しく、かつゼオリスト(Zeolyst)社によって市販された、H字形の339gのZSM−5ゼオライトは、次に{置換水、硝酸、及びPURAL SB3}混合物に添加され、結果として生じた混合物は、16分間、1600回転/分で撹拌され、次に撹拌速度は、70分間、625回転/分に減少される。前記混合物の粘度は、次に100s−1の剪断速度勾配に関して平面−平面レオメータによって測定され、かつ270mPa.s.に等しい。
【0064】
滴状凝固による成形のために、9.4リットルのガラス製カラムを使用する。前記カラムに、28g/lに等しい濃度を有する、7リットルのアンモニア溶液と、0.4リットルの1質量%アンモニル溶液と、0.7リットルのisaneを装入する。カラムは、ノズルからなる排水ポットを上に載せ、各ノズルは1mmに等しい直径を有する円形オリフィスを備える。懸濁液を前記排水ポットに導入し、排水流量は、80の小滴が、毎分かつノズル当たりで排水されるようになっている。次に小滴は、isane相、次に28g/lのアンモニア相に落ち、isane相−アンモニア相の界面は、アンモニルからなる。このようにして得られたボールは、緩やかな第1乾燥を実行するために、一晩中室温で換気されるハウジング内に置かれ、次に100℃で一晩中乾燥炉内に置かれる。乾燥されたボールは、600℃でマッフル炉内で2時間焼成される。このようにして、組織及び機械的特性を表1に示す、本発明によらないC0触媒が得られる。
【0065】
触媒C0、C1、C2及びC3の組織及び機械的特性を下記の表1に示す。
【表1】

【0066】
実施例5
実施例5:1−ブテン及び1−ペンテンからなる供給原料からのプロピレン生成方法における触媒C0、C1、C2及びC3の触媒性能
触媒C0、C1、C2及びC3の各々は、同じ粒度のSiC床内に置かれた、1.5gの前記触媒の1種を備えた反応器を持つ装置を備えたプロピレン生成方法において別個にテストされた。反応器は、510℃に加熱される。前記装置に補給する供給原料は、50重量%の純粋な1−ブテン、99モル%と、50重量%の1−ペンテンからなる。前記供給原料の流量は、触媒C1、C2及びC3に関して6.75g/hに等しい。窒素は、6.7 l/hに等しい流量で前記装置に同様に導入される。前記装置は、固定床で機能する。前記装置中の反応は、0.05MPaに等しい圧力で行われる。触媒C1、C2及びC3がテストされる時、pphは4.5h−1であり、かつ触媒C0がテストされる時、3h−1に等しく、かつ触媒C0に関して供給原料流量は、4.5g/hである。
【0067】
反応装置の出口で、気相クロマトグラフィを通して分析されるガスが得られる。
【0068】
上記テスト中に触媒C0、C1、C2及びC3の各々につき得られた触媒性能は、表2に示す。
【表2】

【0069】
オレフィンへの転換は、反応領域の入口のC4/C5オレフィンの重量から引かれる出口のC4/C5オレフィンの重量に相当し、全体は、入口のC4/C5オレフィンの重量で割られる。プロピレン収率は、新しい供給原料量に加えられる生成されたプロピレンの重量に等しいとして計算される。
【0070】
表2に現れる結果は、オレフィンへの等転換(iso−conversion)(C1、C2及びC3に関して、ppH=4.5h−1、C0に関して、pph=3h−1)で、触媒C1、C2及びC3が、造孔剤の不存在下で調製された触媒C0よりも、所望の生成物、プロピレンに対して選択性が高く、かつ遙かに良好なプロピレン収率に至らせることを示す。
【0071】
テストは、供給原料の注入開始後、10時間及び40時間の期間(フラックス下の時間)に対して行われた。フラックス下の時間が増加する時、触媒の各々に関して観察された不活性化(供給原料注入の10時間後のテストと、供給原料注入の40時間後のテストの間の触媒全体に関する転換の低下)にもかかわらず、プロピレンの選択性、かつ従ってプロピレン/イソブテン比は、触媒C0が用いられる時よりも、触媒C1、C2及びC3が用いられる時、常に良好である。
【0072】
実施例6
実施例6:水蒸気分解装置から生じた供給原料と、FCCから生じた供給原料を結合する供給原料からのプロピレン生成方法における触媒C0、C1、C2及びC3の触媒性能
触媒C0、C1、C2及びC3の各々は、前記触媒の1種を備えた反応器を持つ装置を備えたプロピレン生成方法において別個にテストされた。各触媒は、反応器に導入される前に510℃に予め加熱された供給原料によって補給される前記方法において実施され、その組成は、表3に示される(図1に示したフラックスの名称に対応するフラックス6、12、2及び8の組成を参照)。フラックスの各々の流量は、表3にkg/hで示される。前記装置は、移動床で機能する。前記装置中の反応は、0.15MPaに等しい圧力で行われる。pphは4.5h−1である。表3に現れるフラックス14a及び18aは、図1に示したフラックスの名称に対応する。
【0073】
反応装置の出口で、気相クロマトグラフィを通して分析されるガスが得られる。
【表3】

【0074】
表中、nC4=はn−ブテンであり、iC4=はイソブテンであり、C4==はブタジエンであり、C4 PはC4パラフィンであり、n+i C5=はn−及びイソ−ペンテンであり、シクロC5はシクロペンテンであり、C5==はペンタジエンであり、C5 PはC5パラフィン及びシクロペンタンであり、C6-C12は分子当たり6〜12個の炭素原子を有する炭化水素(パラフィン、オレフィン、芳香族)である。
【0075】
48時間のサイクル時間に対してテストが行われ、サイクル時間は、プロピレン生成反応を行うために、触媒が供給原料と接触する期間に相当する。この48時間の期間後、各触媒は、再生される。
【0076】
上記テスト中に触媒C0、C1、C2及びC3の各々につき得られた触媒性能を、表4に示す。
【表4】

【0077】
オレフィンへの転換は、フラックス(18a)の再生利用前の、反応領域の入口のC4/C5オレフィンの重量から引かれる出口のC4/C5オレフィンの重量に相当し、全体は、入口のC4/C5オレフィンの重量で割られる。プロピレン収率は、新しい供給原料量に加えられる生成されたプロピレンの重量に等しいとして計算される。
【0078】
表4に現れる結果は、触媒C1、C2及びC3の存在下で実施される方法が、触媒C0によって実施される方法によって得られるものと同一のプロピレン収率に至らせ、他方で、再生利用されるフラックス(18a)の流量が、触媒C0を使用する方法を実施するために用いられるそれよりも2倍低いことを示す。プロピレン生成方法において使用される触媒が、造孔剤の存在下で調製される時、再生利用率の半分を減少させることは、触媒C1、C2及びC3の存在下で実施される方法の全体的エネルギー消費を著しく減少させることを可能にする。その上、プロピレンに対する選択性は、触媒が、造孔剤の存在下で調製される時、増大する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】炭化水素供給原料の直接転換方法を示すフローシートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン生成のために、少なくとも、4個の炭素原子を有するオレフィンと、少なくとも、5個の炭素原子を有するオレフィンを含む炭化水素供給原料の直接転換方法であって、直径1〜3mmの球状ボールの形状を呈する少なくとも1種の触媒を備えた少なくとも1つの反応装置内での前記供給原料の通過を含み、前記球状ボールの各々が、少なくとも1種のゼオライトと、アルミナを主成分とする少なくとも1種の担体を含み、かつ水銀圧入測孔法によって測定されるマクロ細孔容積が、0.10〜0.20ml/gであり、かつ水銀圧入測孔法によって測定されるメソ細孔容積が、0.25〜0.35ml/gであるような細孔分布を有する方法。
【請求項2】
前記球状ボールの各々が、50nmを超えるマクロ細孔領域を有する請求項1に記載の直接転換方法。
【請求項3】
前記触媒が、1.8〜2.2mmの直径の球状ボールの形状を呈する請求項1又は2に記載の直接転換方法。
【請求項4】
前記球状ボールの各々の中に存在する前記ゼオライトが、MEL、MFI、NES、EUO、FER、CHA、MFS、MWW及びNES構造型ゼオライトから選択される請求項1から3のいずれかに記載の直接転換方法。
【請求項5】
前記ゼオライトが、MFI構造型ゼオライトである請求項4に記載の直接転換方法。
【請求項6】
前記触媒が、a)少なくとも1種の造孔剤と、水と、界面活性剤から形成される少なくとも1種のエマルションの調製と、b)水と、酸と、アルミナ源と、少なくとも1種のゼオライトと、ステップa)で調製された前記エマルションから形成される懸濁液の調製と、c)i)小滴を形成するように較正された(calibrated)寸法のオリフィスを各々が有するノズルからなる排水ポット内にb)で形成された前記懸濁液を通過させることと、ii)有機相からなる上相と、塩基性水性相からなる下相を含むカラム内に前記小滴を、下降運動により通過させることからなり、球状ボールを得るように、有機相−水性相の界面が界面活性剤からなる、滴状凝固による成形と、d)前記ボールの乾燥と、e)前記ボールの焼成を含む方法により調製される請求項1から5のいずれかに記載の直接転換方法。
【請求項7】
前記ステップa)によるエマルション調製のために使用される前記造孔剤が、10〜14個の炭素原子を有し、ノーマルパラフィン及びイソパラフィンから形成され、かつ220〜350℃の沸点を有するパラフィン系灯油留分である請求項6に記載の直接転換方法。
【請求項8】
エマルション中に投入される水及び懸濁液中に投入される水の質量に対する造孔剤の質量に等しい造孔剤の率が、1.5〜8質量%である請求項6又は7に記載の直接転換方法。
【請求項9】
懸濁液中に投入された酸の率が、前記酸の濃度(重量%)と、アルミナ源の乾燥質量にもたらされた前記酸の質量の積に等しく、10〜15質量%である請求項6から8のいずれかに記載の直接転換方法。
【請求項10】
前記炭化水素供給原料が、水蒸気分解装置から生じたオレフィンC4/C5留分か、流動接触分解(FCC)装置から生じたオレフィンC4留分及びガソリンか、更には水蒸気分解及び流動接触分解から生じた前記留分の混合物に由来する請求項1から9のいずれかに記載の直接転換方法。
【請求項11】
プロピレン生成のために前記炭化水素供給原料の転換を行い、かつ前記触媒を少なくとも備えた前記反応装置が、450〜580℃の温度、0.01〜0.5MPaの操作圧力、及び1〜20h−1のpphで利用される請求項1から10のいずれかに記載の直接転換方法。
【請求項12】
前記触媒が、移動床か、固定床で機能する前記反応装置内で利用される請求項1から11のいずれかに記載の直接転換方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−50359(P2008−50359A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217794(P2007−217794)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(591007826)イエフペ (261)
【Fターム(参考)】